JP2004064414A - データ送受信システム,データ送受信装置,故障監視装置,データ通信線,およびデータ送受信システムにおける故障監視方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】少ないデータ量で故障を監視でき,バス帯域を有効に通常データの送受信に使用できるデータ送受信システム,そのシステムにおけるデータ送受信装置,故障監視装置,データ通信線,および故障監視方法を提供すること。
【解決手段】監視フレームでは,監視対象以外のバススレーブカード12はすべて内部のアナログスイッチ16によりバス10から切り離す。そして,監視カード13から監視対象のバススレーブカード12へ,監視データを送信する。そして,監視対象のバススレーブカード12では,受信した監視データを,監視カード13へ向けて返信する。すると監視カード13では,送信した監視データと返信された監視データとを比較する。両者が一致すれば,監視対象以外のバススレーブカード12および監視カード13に故障はないものと判断できる。故障したバススレーブカード12はその後,アナログスイッチ16を開いたままとする。
【選択図】 図11
【解決手段】監視フレームでは,監視対象以外のバススレーブカード12はすべて内部のアナログスイッチ16によりバス10から切り離す。そして,監視カード13から監視対象のバススレーブカード12へ,監視データを送信する。そして,監視対象のバススレーブカード12では,受信した監視データを,監視カード13へ向けて返信する。すると監視カード13では,送信した監視データと返信された監視データとを比較する。両者が一致すれば,監視対象以外のバススレーブカード12および監視カード13に故障はないものと判断できる。故障したバススレーブカード12はその後,アナログスイッチ16を開いたままとする。
【選択図】 図11
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は,データ通信線を介して複数のデータ送受信装置間でデータの送受信を行うデータ送受信システムに関する。さらに詳細には,データ送受信装置の故障の発生を監視する機能を有するデータ送受信システム,そのデータ送受信装置,そのための故障監視装置,データ通信線,および故障監視方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来のこの種のシステム例を,図15に示す。図15のデータ送受信システムは,バス60に,複数のバススレーブカード62−1,62−2,62−3……(以下,総称して単に「バススレーブカード62」という場合がある)と,バスマスタカード61と,監視カード63とを接続して構成されている。各バススレーブカード62は,バス60を介して互いにデータを送受信するものである。バスマスタカード61は,バス60を介してクロック信号や各種タイミング信号を各バススレーブカード62や監視カード63に供給したり,各バススレーブカード62によるバス60の使用権を調整したりするものである。監視カード63は,バススレーブカード62の故障状況を監視するものである。バス60には,データ信号線の他,バス要求/許可信号線,基本フレーム信号線,およびクロック信号線が含まれている。このデータ送受信システムでは,バススレーブカード62間で送受信されるデータは,固定長のデータであるものとする。
【0003】
このデータ送受信システムでは,通常動作,すなわちバススレーブカード62間でのデータの送受信は,次のようにして行われる。まず,データを送信したいバススレーブカード62により,バス60のデータ信号線の使用権の取得が行われる。このため,データを送信したいバススレーブカード62は,バス60のバス要求/許可信号線に対してバス要求信号を出力する。出力されたバス要求信号は,バスマスタカード61により受信される。こうしてバスマスタカード61には,データを送信したいすべてのバススレーブカード62からのバス要求が集まる。するとバスマスタカード61は,集まったすべてのバス要求信号の中から1つを選択する。選択の方法としては例えば,各バススレーブカード62に優先順位があらかじめ固定的に割り当てられているプライオリティ方式や,バススレーブカード62がバス60を使用するたびに優先順位が各バススレーブカード62を巡回するラウンドロビン方式等がある。そして,選択したバススレーブカード62に対してバス許可信号を出力する。こうしてバス許可信号を受信したバススレーブカード62が,バス60のデータ信号線の使用権を取得するのである。ここまでの動作が,基本フレーム信号(図9参照:バス要求/許可やデータ転送の周期(フレーム)を示す信号)の1周期の間に行われる。
【0004】
そして,データ信号線の使用権を取得したバススレーブカード62は,基本フレーム信号の次の1周期の間に,バス60のデータ信号線に対して,データを出力する。その先頭には,どのバススレーブカード62が宛先であるかを示すヘッダ部分が付加されている。すると,他のすべてのバススレーブカード62は,そのヘッダ部分を受信する。そして,受信したヘッダ部分により,データの宛先が自己であるか否かを判断する。自己宛てのデータである場合には,引き続き受信動作を行い,固定長データの全体を受信する。自己宛てのデータでない場合には,受信動作を中断する。以上の一連の動作により,任意のバススレーブカード62間でデータの送受信が行われる。
【0005】
ここで,バススレーブカード62の1つにおいてバスドライバが故障したと仮定する。するとバス60のデータ信号線の信号レベルは,システムで設定されたレベルに固定される。あるいはハイインピーダンスとなる。したがって,当該故障したバススレーブカード62のみならずすべてのバススレーブカード62間でのデータの送受信に支障を来す。支障を解消するためには,故障したバススレーブカード62を早急に特定する必要がある。そこで,故障したバススレーブカード62を特定するため,監視カード63による監視動作が行われる。
【0006】
監視動作の説明のため,バススレーブカード62および監視カード63のより詳細な構造を図16に示す。すなわち,バススレーブカード62は,監視データ送信回路65と,データ送受信回路64と,ゲート制御回路67とを有している。そして,データ送受信回路64とバス60のデータ信号線との間に,バスドライバ68とアナログスイッチ66とを有している。このうちのアナログスイッチ66は,ゲート制御回路67の制御下にある。図16中にバススレーブカード62は1つしか描かれていないが,他のどのバススレーブカード62も同様の構成を有している。監視カード63は,監視データ受信比較回路75と,データ送受信回路74と,ゲート制御回路77とを有している。そして,データ送受信回路74とバス60のデータ信号線との間に,バスドライバ78とアナログスイッチ76とを有している。このうちのアナログスイッチ76は,ゲート制御回路77の制御下にある。
【0007】
監視動作は,次のようにして行われる。まず,ある1つのバススレーブカード62についてそのアナログスイッチ66を開き,残りのすべてのバススレーブカード62についてそのアナログスイッチ66を閉じる。また,監視カード63のアナログスイッチ76を閉じる。すなわち,ある1つのバススレーブカード62のみバス60のデータ信号線から切り離し,残りのすべてのバススレーブカード62および監視カード63をバス60のデータ信号線に接続した状態とする。この状態で,アナログスイッチ66が開かれているバススレーブカード62以外のすべてのバススレーブカード62から,監視カード63に対して監視データを送信する。監視データは,あらかじめ監視カード63から送信され各バススレーブカード62に保存しているものである。監視カード63では,監視データを受信し,自身に保存している元の監視データと比較する。受信したすべての監視データが元の監視データと同一であれば,監視データを送信したすべてのバススレーブカード62が正常であると考えられる。そうでなかった場合には,監視データを送信したバススレーブカード62中に故障しているものがあると考えられる。
【0008】
そこで,別のある1つのバススレーブカード62についてそのアナログスイッチ66を開き,残りのすべてのバススレーブカード62についてそのアナログスイッチ66を閉じる。この状態で再び監視データの送受信を行う。さらにこれを繰り返し,アナログスイッチ66を開いた状態を,すべてのバススレーブカード62に1巡させる。これにより,故障しているバススレーブカード62がどれであるかを特定することができる。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら,前記した従来の技術には,次のような問題点があった。すなわち,故障したバススレーブカード62を特定するために必要な監視データの総数が多く,監視サイクルがその分長い。バススレーブカード62の個数をNとすると,そのデータ数は(N−1)×N個にも達する。Nの値が10ないし20程度であれば,データ数は100近くもしくはそれ以上となる。このように監視データの送受信にバス帯域が使用されてしまうのである。このため,通常データの送受信に使用できるバス帯域がその分限られてしまうのである。
【0010】
本発明は,前記した従来のデータ送受信システムが有する問題点を解決するためになされたものである。すなわちその課題とするところは,少ないデータ量で故障の監視をすることができ,バス帯域を有効に通常データの送受信に使用できるデータ送受信システム,そのシステムにおけるデータ送受信装置,故障監視装置,データ通信線,および故障監視方法を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
この課題の解決を目的としてなされた本発明のデータ送受信システムは,データ通信線を介して複数のデータ送受信装置間でデータの送受信を行うシステムであって,各データ送受信装置とともにデータ通信線に接続された故障監視装置を有し,データ通信線は,データの送受信の時間単位であるフレーム周期を示す基本フレーム信号を供給する基本フレーム信号線と,基本フレーム信号に同期するとともにフレーム周期の整数倍の周期を持つ監視フレーム信号を供給する監視フレーム信号線と,複数のデータ送受信装置および故障監視装置間で送受信されるデータを伝達するデータ信号線とを有し,監視フレーム信号の各周期では各データ送受信装置を1つずつ順に監視対象とし,基本フレーム信号の各周期は,故障の有無の判定動作を行う監視フレームとデータ送受信を行う通常動作フレームとからなり,監視フレーム内で,故障監視装置は,監視対象のデータ送受信装置へデータ信号線を介して監視データを送信し,監視対象のデータ送受信装置は,故障監視装置へ前記データ信号線を介して監視データを返信し,故障監視装置で,送信した監視データと返信された監視データとを比較することにより,故障の有無を判定するシステムである。
【0012】
また,本発明の故障監視方法では,データ通信線を介して複数のデータ送受信装置間でデータの送受信を行うデータ送受信システムにおいて,データ通信線に接続された故障監視装置により各データ送受信装置の故障の有無を監視するに際し,データ通信線に,データの送受信の時間単位であるフレーム周期を示す基本フレーム信号と,基本フレーム信号に同期するとともにフレーム周期の整数倍の周期を持つ監視フレーム信号とを供給し,故障監視装置および複数のデータ送受信装置はそれぞれ,監視フレーム信号の各周期では各データ送受信装置を1つずつ順に監視対象とし,基本フレーム信号の各周期は,故障の有無の判定動作を行う監視フレームとデータ送受信を行う通常動作フレームとからなり,監視フレーム内で,故障監視装置から監視対象のデータ送受信装置へデータ通信線を介して監視データを送信し,監視対象のデータ送受信装置から故障監視装置へデータ通信線を介して監視データを返信し,故障監視装置で,保存している監視データと返信された監視データとを比較することにより,故障の有無を判定する。
【0013】
そして,本発明のデータ通信線は,複数のデータ送受信装置および故障監視装置を接続し,各装置間でデータの送受信を行わせるものであって,通常のデータ信号線の他に,データの送受信の時間単位であるフレーム周期を示す基本フレーム信号を供給する基本フレーム信号線と,基本フレーム信号に同期するとともにフレーム周期の整数倍の周期を持つ監視フレーム信号を供給する監視フレーム信号線とを有するものであることが望ましい。ここで基本フレーム信号は,故障の有無の判定動作を行う監視フレームとデータ送受信を行う通常動作フレームとの識別を各装置に行わせる信号である。監視フレーム信号は,どのデータ送受信装置が監視対象であるかについての認識を各装置に行わせる信号である。
【0014】
本発明では,監視フレーム信号の各周期では各データ送受信装置が1つずつ順に監視対象とされる。また,基本フレーム信号の各周期は,故障の有無の判定動作を行う監視フレームとデータ送受信を行う通常動作フレームとからなる。そして,監視フレームには,故障監視装置と監視対象のデータ送受信装置との間で監視データのやりとりが行われる。そして,故障監視装置から送信した監視データと,監視対象のデータ送受信装置を経て戻ってきた監視データとが対比される。これにより,故障の有無が判定される。すなわち,両者が一致すれば,当該データ送受信装置および故障監視装置には故障がないものと考えられる。一方,両者に相違があれば,当該データ送受信装置もしくは故障監視装置が故障している可能性がある。このようにして故障の判定をするので,データ送受信装置と故障監視装置との間で送受信される監視データのN数は,データ送受信装置の個数の2倍で済む。このため,監視データの送受信のためにデータ通信線の送受信帯域を過度に占有してしまうことがない。
【0015】
ここにおいて,故障監視装置および複数のデータ送受信装置はそれぞれ,監視フレーム信号をカウントすることにより,監視フレーム信号の各周期に各データ送受信装置を1つずつ順に監視対象とし,基本フレーム信号を監視フレーム信号の周期ごとにカウントすることにより,基本フレーム信号の各周期が,故障の有無の判定動作を行う監視フレームと通常のデータ送受信を行う通常動作フレームとのいずれであるかを識別することが望ましい。
【0016】
本発明において,故障監視装置は,送信するデータをデータ信号線に送出するとともに,受信するデータをデータ信号線から取り込むデータ送受信回路と,監視データを監視対象のデータ送受信装置宛てにデータ送受信回路を介してデータ信号線へ送出し,自己宛の監視データをデータ送受信回路を介してデータ信号線から取り込み,送出した監視データと返信された監視データとを比較することにより故障の有無を判定する監視データ比較回路と,データ送受信回路とデータ信号線との間に設けられたスイッチング素子と,スイッチング素子を制御するゲート制御回路と,監視フレーム信号をカウントする監視フレーム信号カウンタとを有し,ゲート制御回路は,基本フレーム信号を監視フレーム信号の周期ごとにカウントする基本フレーム信号カウンタを有し,基本フレーム信号カウンタのカウント値により,故障の有無の判定動作を行う監視フレームとデータ送受信を行う通常動作フレームとを識別し,監視データ比較回路は,監視フレーム信号カウンタのカウント値により,どのデータ送受信装置が監視対象であるかを認識するものであることが望ましい。
【0017】
また,データ送受信装置は,送信するデータをデータ信号線に送出するとともに,受信するデータをデータ信号線から取り込むデータ送受信回路と,自己宛ての監視データをデータ送受信回路を介してデータ信号線から取り込むとともに,その監視データをデータ送受信回路を介して故障監視装置宛てにデータ信号線へ送出する折り返し回路と,データ送受信回路とデータ信号線との間に設けられたスイッチング素子と,スイッチング素子を制御するゲート制御回路とを有し,ゲート制御回路は,監視フレーム信号を受信してカウントする監視フレーム信号カウンタと,基本フレーム信号を受信して監視フレーム信号の周期ごとにカウントする基本フレーム信号カウンタとを有し,監視フレーム信号カウンタのカウント値により,自己が監視対象であるか否かを認識し,基本フレーム信号カウンタのカウント値により,監視動作を行う監視フレームとデータ送受信を行う通常動作フレームとを識別するものであることが望ましい。
【0018】
これらの故障監視装置およびデータ送受信装置では,まず,故障監視装置の監視データ比較回路が,データ送受信回路を介して,監視データをデータ信号線に送出する。その監視データの宛先は,現在の監視対象のデータ送受信装置である。すると,データ信号線に接続されているデータ送受信装置のうち現在監視対象となっているものが,その監視データを自己のデータ送受信回路を介してデータ信号線から自己の折り返し回路に取り込む。そしてそのデータ送受信装置では,その折り返し回路が,取り込んだ監視データを,自己のデータ送受信回路を介してデータ信号線に送出する。すると,故障監視装置が,その監視データを自己のデータ送受信回路を介してデータ信号線から監視データ比較回路に取り込む。そして監視データ比較回路では,送出した監視データと返信された監視データとを比較する。これにより,故障の有無の判定がなされる。
【0019】
そして,本発明の故障監視装置および各データ送受信装置ではそれぞれ,監視フレーム信号カウンタのカウント値により,どのデータ送受信装置が監視対象であるかについて認識する。具体的には,故障監視装置は,監視対象のデータ送受信装置がどれであるかを認識する。各データ送受信装置は,自己が監視対象であるか否かを認識する。また,本発明の故障監視装置および各データ送受信装置ではそれぞれ,基本フレーム信号カウンタのカウント値により,故障の有無の判定動作を行う監視フレームと通常のデータ送受信を行う通常動作フレームとを識別する。
【0020】
本発明における故障監視装置のゲート制御回路は,データ送受信動作時にはスイッチング素子を開き,監視動作時にはスイッチング素子を閉じる制御を行うのである。一方,データ送受信装置のゲート制御回路は,通常のデータ送受信動作時にはスイッチング素子を閉じ,監視動作時には,自己が監視対象である場合に限りスイッチング素子を閉じ,自己が監視対象でない場合にはスイッチング素子を開く制御を行うのである。
【0021】
このようにすると,監視動作と通常のデータ送受信動作とをともに適切に行うことができる。まず,通常のデータ送受信動作時を考える。この場合,故障監視装置のスイッチング素子は開かれており,各データ送受信装置のスイッチング素子は閉じられている。すなわち通常のデータ送受信動作時には,故障監視装置はデータ信号線から切り離されており,各データ送受信装置はデータ信号線に繋がっている。そのため,故障監視装置が余計な動作をすることなく,各データ送受信装置間でのデータの送受信を適切に行うことができる。次に,監視動作時を考える。この場合,故障監視装置のスイッチング素子は閉じられている。各データ送受信装置については,監視対象であるもののスイッチング素子のみが閉じられ,他のもののスイッチング素子は開かれている。すなわち監視動作時には,故障監視装置と監視対象のデータ送受信装置のみがデータ信号線に繋がっており,他のデータ送受信装置はすべてデータ信号線から切り離されている。そのため,他のデータ送受信装置が余計な動作をすることなく,故障監視装置と監視対象のデータ送受信装置との間で監視データの送返信を適切に行うことができる。したがって,1往復の監視データの送返信で故障が検知された場合,故障している可能性があるのは,故障監視装置か監視対象のデータ送受信装置かのいずれかである。このため,故障した装置を少ないデータ量で効率よく特定できるのである。
【0022】
本発明ではさらに,データ通信線が,基本フレーム信号に同期するとともに監視フレーム信号の周期の整数倍の周期を持つ監視マルチフレーム信号を供給する監視マルチフレーム信号線を有し,故障監視装置および複数のデータ送受信装置はそれぞれ,監視マルチフレーム信号の周期により,監視フレーム信号カウンタのカウント値がリセットされるものであるとよりよい。このようにすると,定期的に監視フレーム信号のカウント値がリセットされる。これにより,各データ送受信装置が再び順に1つずつ監視対象となる。そしてこれが反復される。このため,システムが稼働している限り監視動作が行われる。
【0023】
本発明ではまた,データ通信線が,故障監視装置から故障したデータ送受信装置へ切り離し信号を伝達する切り離し信号線を有し,故障監視装置は,故障したデータ送受信装置が特定された場合には,そのデータ送受信装置が監視対象となる監視フレーム中に切り離し信号線に切り離し信号を出力し,各データ送受信装置は,自己が監視対象である監視フレーム中に切り離し信号線に切り離し信号が出力されると,以後,スイッチング素子を開いたままとするものであるとよりよい。このようにすると,故障が判明したデータ送受信装置はシステムから切り離される。したがってその後,残ったデータ送受信装置により通常と同様にデータの送受信がなされる。
【0024】
本発明ではまた,故障監視装置が,自己が故障したと判定した場合には,以後,スイッチング素子を開いたままとすることが望ましい。故障した故障監視装置により故障監視動作を行っても意味がないからである。この後,残ったデータ送受信装置に1つも故障が発生しない限り,通常と同様にデータの送受信がなされる。
【0025】
【発明の実施の形態】
以下,本発明を具体化した実施の形態を,添付図面を参照しつつ詳細に説明する。本実施の形態は,携帯電話の無線基地局に本発明を適用したものである。無線基地局102は,図1に示す概略構成を有している。無線基地局102は,送受信増幅部103,無線制御部104の他,棚100,棚101を有している。ここで棚と呼んでいるものは,多数のドーターボードを搭載したマザーボードである。棚100には,ドーターボードとして,バス中継部,監視カード,多数の変復調カードが搭載されている。これらは,棚100の棚内バスにより互いに接続されている。棚101には,ドーターボードとして,バス中継部,監視カード,多数の制御部および有線I/F(インターフェース)カードが搭載されている。これらは,棚101の棚内バスにより互いに接続されている。また,棚100のバス中継部と棚101のバス中継部とは,棚間バスにより接続されている。また,棚101の有線I/Fカードは交換局に接続されている。この無線基地局102は,高い信頼性が要求される装置であり,万一内部に故障が起こった場合にはその故障個所を早期に特定する必要がある。その一方で取り扱うデータ量が多いので,故障の監視動作にあまり多くの負荷をかけることは好ましくない。
【0026】
上記の無線基地局102において,本発明が適用されるのは,棚100,棚101のそれぞれにおける,棚内バスを介しての各ドーターボード間のデータ送受信システムである。さらには,棚間バスによる各棚間のデータ送受信システムである。
【0027】
そこで,棚100の棚内システムを例として,本実施の形態に係るデータ送受信システムを説明する。本実施の形態に係るデータ送受信システムは,図2に示すように構成されている。すなわち,図2のデータ送受信システムは,バス10に,複数のバススレーブカード12−1,12−2,12−3……(以下,総称して単に「バススレーブカード12」という場合がある)と,バスマスタカード11と,監視カード13とを接続して構成されている。各バススレーブカード12は,バス10を介して互いにデータを送受信するものである。バスマスタカード11は,各バススレーブカード12によるバス10の使用権を調整するものである。監視カード13は,バススレーブカード12の故障状況を監視するものである。バス10には,データ信号線の他,バス要求/許可信号線,監視マルチフレーム信号線,監視フレーム信号線,基本フレーム信号線,およびクロック信号線が含まれている。このデータ送受信システムでは,バススレーブカード12間で送受信されるデータは,固定長のデータである。
【0028】
図2のデータ送受信システムと図1中の棚100との対応関係は,以下の通りである。図2中のバス10は,棚100の棚内バスに相当する。図2中のバススレーブカード12−1,12−2,12−3……は,棚100の多数の「変復調カード」に相当する。図2中のバスマスタカード11は,棚100の「バス中継部」に相当する。図2中の監視カード13は,棚100の「監視カード」に相当する。
【0029】
バス10の監視マルチフレーム信号線,監視フレーム信号線,基本フレーム信号線,およびクロック信号線はそれぞれ,各バススレーブカード12に,監視マルチフレーム信号,監視フレーム信号,基本フレーム信号,そしてクロック信号を供給する信号線である(図3)。これらの各信号は,監視カード13が出力制御している。監視カード13は,自らもこれらの信号を利用する。また,バス10の切り離し信号線は,バススレーブカード12に,監視カード13から切り離し信号を供給する信号線である。
【0030】
クロック信号は,図2のデータ送受信システムで送受信されるすべての信号の動作単位となる信号である。基本フレーム信号は,バス要求/許可やデータ転送の周期(フレーム)を示す信号である。基本フレーム信号はクロック信号に同期しており,その1周期は15クロックに相当する。監視フレーム信号は,基本フレーム信号により示されるフレームが,監視動作のための監視フレームであるか,あるいは,通常動作,すなわちバススレーブカード12間でのデータの送受信のための通常動作フレームであるかの区別を示す信号である。監視フレーム信号は,基本フレーム信号に同期しており,その1周期は,基本フレーム信号の周期(フレーム)の10〜20程度の整数倍である。ただし,システム設計により,これより大きくてもよく,逆に小さくてもよい。監視フレーム信号のパルスにより,2フレームからなる監視フレームが開始される。その1フレーム目は,監視カード13から監視対象のバススレーブカード12への往信フレームである。2フレーム目は,監視対象のバススレーブカード12から監視カード13への復信フレームである。残りのフレームは,通常動作フレームである。
【0031】
監視マルチフレーム信号は,監視対象とするバススレーブカード12の周期を規定するための信号である。監視マルチフレーム信号は,監視フレーム信号に同期している。バススレーブカード12の個数をNとすると,監視マルチフレーム信号の1周期は,監視フレーム信号の1周期のN(もしくはそれ以上の整数)倍である。そして,監視マルチフレーム信号のパルスの直後の監視フレーム信号周期中の監視フレームでは,バススレーブカード12−1が監視対象とされる。以下,監視フレーム信号周期ごとに順に各バススレーブカード12が監視対象とされる。監視マルチフレーム信号の1周期中における監視フレーム信号の周期数がバススレーブカード12の個数Nより多い場合には,N+1番目およびそれ以降の監視フレーム信号周期では,監視フレームであっても監視動作は行われない。この場合にこのような監視フレームを通常動作フレームとして取り扱うようにしてもよい。
【0032】
各バススレーブカード12は,図4に示すブロック構成を有するものである。すなわち,バススレーブカード12には,折り返し回路15と,データ送受信回路14と,ゲート制御回路17と,バスドライバ18と,アナログスイッチ16とが実装されている。折り返し回路15は,後述する監視動作において,監視カード13から送信された監視データを折り返して,監視カード13へ返送するための回路である。折り返し回路15は,監視データの本体部分である監視用テストパターンはそのまま返信し,ヘッダ部分の宛先を監視カード13の宛先に変更する。データ送受信回路14は,バス10のデータ信号線に対するデータの送受信動作を行う回路である。バスドライバ18およびアナログスイッチ16は,データ送受信回路14とバス10のデータ信号線との間に位置している。ゲート制御回路17の制御下にあるアナログスイッチ16により,バスドライバ18とバス10のデータ信号線との間の接続/非接続を切り替えることができるようになっている。なお,監視カード13による故障監視の対象となるのは,図4中のバスドライバ18である。バスドライバ18が故障していると,バス10のデータ信号線の信号レベルは,システムで設定されたレベルに固定されてしまう。あるいはハイインピーダンスの状態となる。なお,データ送受信回路14,折り返し回路15が故障した場合もバスドライバ18の故障として検出される。
【0033】
ゲート制御回路17の回路構成を,図5のブロック図により説明する。ゲート制御回路17は,2つのカウンタ171,172と,3つの比較回路173〜175と,NORゲート176と,ORゲート177と,NANDゲート178と,ラッチ179と,NANDゲート180とを有している。
【0034】
カウンタ171,172はともに,クロック信号の立ち上がりをカウントするものである。ただしそのカウントは,イネーブル信号がHigh(以下,単に「H」という)レベルであるときに限り行われるようになっている。また,クロック信号の立ち上がりの際にリセット信号がLow(以下,単に「L」という)レベルであった場合には,カウントアップでなくカウンタ値をゼロにリセットするようになっている。カウンタ171は,イネーブル信号として監視フレーム信号の反転信号を受け,リセット信号として監視マルチフレーム信号を受けるように構成されている。このことと図3に示した各信号の内容とによりカウンタ171は,監視フレーム信号のパルスを受けるとカウントアップし,監視マルチフレーム信号のパルスを受けるとカウンタ値をクリアするのである。カウンタ172は,イネーブル信号として基本フレーム信号の反転信号を受け,リセット信号として監視フレーム信号を受けるように構成されている。このことと図3に示した各信号の内容とによりカウンタ172は,基本フレーム信号のパルスを受けるとカウントアップし,監視フレーム信号のパルスを受けるとカウンタ値をクリアするのである。
【0035】
比較回路173〜175はいずれも,2つの入力値が等しい場合にのみ出力を「H」レベルにし,2つの入力値が異なる場合には出力を「L」レベルにするものである。比較回路173は,自カード番号と,カウンタ171の出力値とを受けるようにされている。これにより比較回路173は,監視マルチフレーム信号のパルスが発生してからの監視フレーム信号のパルス数が自カード番号に等しい場合にのみ,出力を「H」レベルにするようになっている。自カード番号(図2中の各バススレーブカード12の番号から1を引いたもの)は,バススレーブカード12上のディップスイッチ(図示せず)あるいは外部から遠隔操作で設定されるレジスタ(図示せず)等の適当な設定手段で設定されるものである。自カード番号は,例えば図2のデータ送受信システム中のバススレーブカード12全体で連番をなすように設定される。比較回路174は,カウンタ172の出力値と,固定値「0」とを受けるように構成されている。これにより比較回路174は,監視フレーム信号のパルスが発生してからの基本フレーム信号のパルス数が0である場合にのみ,出力を「H」レベルにするようになっている。比較回路175は,カウンタ172の出力値と,固定値「1」とを受けるように構成されている。これにより比較回路175は,監視フレーム信号のパルスが発生してからの基本フレーム信号のパルス数が1である場合にのみ,出力を「H」レベルにするようになっている。
【0036】
ORゲート177は,比較回路174の出力と比較回路175の出力とを受けるように構成されている。これによりORゲート177は,監視フレーム信号のパルスが発生してからの基本フレーム信号のパルス数が0または1である場合にのみ,出力を「H」レベルにするようになっている。NORゲート176は,比較回路173の出力とORゲート177の出力の反転信号とを受けるように構成されている。これによりNORゲート176は,比較回路173の出力が「L」レベルでかつORゲート177の出力が「H」レベルである場合にのみ,出力を「H」レベルにするようになっている。
【0037】
NANDゲート178は,比較回路173の出力と,切り離し信号の反転信号を受けるようになっている。切り離し信号は,通常では常時「H」レベルである。そして,バススレーブカード12の故障が判明すると,その後最初にそのバススレーブカード12が監視対象となる監視フレーム信号周期の間のみ「L」レベルとなる。その後は再び「H」レベルとなる。これにより,NANDゲート178の出力は,通常の状況では常時「H」レベルである。そして,自己が監視対象である監視フレーム信号周期中に切り離し信号がローダウンすると,そのときだけ「L」レベルとなる。そして,NANDゲート178の出力は,ラッチ179に入力されている。ラッチ179は,通常の状況,すなわちNANDゲート178の出力が「H」レベルであり続けている間は「H」レベルを出力し続ける。そして,NANDゲート178の出力が「L」レベルになると,ラッチ179の出力も「L」レベルになる。そして,一旦こうなると,その後はNANDゲート178の出力に関わらず,ラッチ179の出力は「H」レベルに戻らず「L」レベルに固定される。
【0038】
NANDゲート180は,NORゲート176の出力の反転信号とラッチ179の出力とを受けるように構成されている。これによりNANDゲート180は,通常の状況,すなわちラッチ179の出力が「H」レベルであり続けている間は,NORゲート176の出力をそのまま出力するのである。そして,ラッチ179の出力が「L」レベルに固定されると,その後はNANDゲート180の出力は,「H」レベルに固定される。そして,NANDゲート180の出力信号が,アナログスイッチ16への制御信号である。この制御信号が「L」レベルであればアナログスイッチ16が閉じ,「H」レベルであればアナログスイッチ16が開くように構成されている。
【0039】
したがってアナログスイッチ16は,自カードが監視対象である間に切り離し信号が入力されない限り,次の(1),(2)のいずれかに該当する場合には閉じられ,いずれにも該当しない場合には開かれる。
(1)監視マルチフレーム信号のパルスが発生してからの監視フレーム信号のパルス数が自カード番号に等しい場合
(2)監視フレーム信号のパルスが発生してからの基本フレーム信号のパルス数が2以上である場合
(1)は,監視フレーム信号の周期により,自己が監視対象であると認識される場合である。(2)は,監視フレーム信号の周期中,基本フレーム信号の第3フレーム以降,すなわち通常動作フレームの場合である。これより,監視フレームにおいて,監視対象のバススレーブカード12のアナログスイッチ16は閉じられ,他のすべてのバススレーブカード12のアナログスイッチ16は開かれる。通常動作フレームにおいては,すべてのバススレーブカード12のアナログスイッチ16が閉じられる。
【0040】
そして,自カードが監視対象である間に切り離し信号が入力されると,以後,当該バススレーブカード12のアナログスイッチ16は開いたままとなる。すなわち,当該バススレーブカード12はバス10から切り離された状態におかれる。
【0041】
監視カード13は,図6に示すブロック構成を有するものである。すなわち,監視カード13には,監視データ比較回路25と,データ送受信回路24と,ゲート制御回路27と,バスドライバ28と,アナログスイッチ26とが実装されている。監視データ比較回路25は,後述する監視動作において,監視対象であるバススレーブカード12へ送信した監視データと,そのバススレーブカード12から返送された監視データとを比較する回路である。データ送受信回路24は,バス10のデータ信号線に対するデータの送受信動作を行う回路である。バスドライバ28およびアナログスイッチ26は,データ送受信回路24とバス10のデータ信号線との間に位置している。ゲート制御回路27の制御下にあるアナログスイッチ26により,バスドライバ28とバス10のデータ信号線との間の接続/非接続を切り替えることができるようになっている。
【0042】
ゲート制御回路27の回路構成を,図7のブロック図により説明する。ゲート制御回路27は,カウンタ272と,2つの比較回路274,275と,ORゲート277とを有している。
【0043】
カウンタ272は,クロック信号の立ち上がりをカウントするものである。ただしそのカウントは,イネーブル信号が「H」であるときに限り行われるようになっている。また,クロック信号の立ち上がりの際にリセット信号が「L」であった場合には,カウントアップでなくカウンタ値をゼロにリセットするようになっている。カウンタ272は,イネーブル信号として基本フレーム信号の反転信号を受け,リセット信号として監視フレーム信号を受けるように構成されている。すなわちカウンタ272は,図5に示したバススレーブカード12中のゲート制御回路17におけるカウンタ172に相当するものである。
【0044】
比較回路274,275はいずれも,2つの入力値が等しい場合にのみ出力を「H」レベルにし,2つの入力値が異なる場合には出力を「L」レベルにするものである。比較回路274は,カウンタ272の出力値と,固定値「0」とを受けるように構成されている。すなわち比較回路274は,図5に示したバススレーブカード12中のゲート制御回路17における比較回路174に相当するものである。比較回路275は,カウンタ272の出力値と,固定値「1」とを受けるように構成されている。すなわち比較回路275は,図5に示したバススレーブカード12中のゲート制御回路17における比較回路175に相当するものである。
【0045】
ORゲート277は,比較回路274の出力と比較回路275の出力とを受けるように構成されている。すなわちORゲート277は,図5に示したバススレーブカード12中のゲート制御回路17におけるORゲート177に相当するものである。そして,ORゲート277の出力信号の反転信号が,アナログスイッチ26への制御信号である。この制御信号が「L」レベルであればアナログスイッチ26が閉じ,「H」レベルであればアナログスイッチ26が開くように構成されている。したがってアナログスイッチ26は,監視フレーム信号の周期中,基本フレーム信号のパルス数が2未満である場合に閉じられ,2以上である場合には開かれる。すなわちアナログスイッチ26は,監視フレームにおいては閉じられ,通常動作フレームにおいては開かれるのである。
【0046】
監視データ比較回路25には,図8に示すように,カウンタ251が含まれている。カウンタ251は,クロック信号の立ち上がりをカウントするものである。ただしそのカウントは,イネーブル信号が「H」であるときに限り行われるようになっている。また,クロック信号の立ち上がりの際にリセット信号が「L」であった場合には,カウントアップでなくカウンタ値をゼロにリセットするようになっている。カウンタ251は,イネーブル信号として監視フレーム信号の反転信号を受け,リセット信号として監視マルチフレーム信号を受けるように構成されている。すなわちカウンタ251は,図5に示したバススレーブカード12中のゲート制御回路17におけるカウンタ171に相当するものである。これにより監視データ比較回路25では,どのバススレーブカード12が監視対象であるかを認識できるのである。
【0047】
このデータ送受信システムでは,通常動作は,従来技術で説明したものと同様に行われる。すなわち,通常動作フレームにおいて,データを送信したいバススレーブカード12により,バス10のバス要求/許可信号線を介して,バスマスタカード11に対してバス要求信号が出力される(図9中の▲1▼の「REQ」)。そしてバスマスタカード11により,すべてのバス要求信号の中から1つが選択され,そのバススレーブカード12に対してバス許可信号が出力される(図9中の▲2▼の「GRANT」)。選択の方法も前述と同様であるが,これらに限定されるものではない。これにより,そのバススレーブカード12が,バス10のデータ信号線の使用権を取得する。ここまでの動作が,基本フレームの1フレームの間に行われる。
【0048】
そして,そのバススレーブカード12は,次の1フレームに,バス10のデータ信号線に対して,送信データを出力する(図9中の▲3▼の「データ」)。ここで送受信されるデータは,図10のフォーマット図に示すように,固定長のデータであり,送信データそのものの前に,ヘッダ部分が付されている。ヘッダ部分には,宛先のバススレーブカード12を示すコードが含まれている。データを受信した他のバススレーブカード12は,そのヘッダ部分により,データの宛先が自己であるか否かを判断し,自己宛てであればデータ全体を受信する。以上の動作が,通常動作フレームの2フレームを使用して行われる。なお,このうちの2フレーム目では,バス10のデータ信号線の使用権を取得したバススレーブカード12によるデータの送信と並行して,バスマスタカード11による次の基本フレームのバス10のデータ信号線の使用権の割り振りが行われている。ここにおいて,監視カード13は動作に関与しない。通常動作フレーム中はアナログスイッチ26が開かれ,バス10のデータ信号線から切り離されているからである。なお,ここで示したフォーマットは一例であり,ビット幅,データ長はこれに限定されない。また,ヘッダ宛先,送信データ以外のデータが付加されてもかまわない。
【0049】
このデータ送受信システムにおける監視動作は,次のようにして行われる。監視フレーム信号のパルスが発生すると(図3参照),各バススレーブカード12および監視カード13において,次の(1)および(2)が起こる。
(1)各バススレーブカード12のゲート制御回路17のカウンタ172および,監視カード13のゲート制御回路27のカウンタ272のカウンタ値がクリアされ「0」となる。なお,監視フレーム信号のパルスと同時に基本フレーム信号のパルスも発生しているが(図3参照),前述のように監視フレーム信号のパルスによる動作が優先する。このため,監視フレームの1フレーム目,すなわち監視データ往信フレームにはいる。
(2)各バススレーブカード12のゲート制御回路17のカウンタ171および,監視カード13の監視データ比較回路25のカウンタ251のカウンタ値が,1カウント増加する。これにより,監視対象のバススレーブカード12が次の番号のものに移る。
【0050】
このとき,図11に示すように,バススレーブカード12のうち監視対象となった1つ(図11中では12−2)と監視カード13においてのみ,アナログスイッチ16,26が閉じられ,他のバススレーブカード12ではアナログスイッチ16が開かれた状態となる。そこで監視カード13は,監視データ比較回路25が監視データを作成する。作成される監視データは,図12のフォーマット図に示すように,監視用テストパターンの前に,ヘッダ部分を付したものである。監視用テストパターンは,あらかじめ内部メモリ(図示せず)に用意されている。ヘッダ部分には,監視対象のバススレーブカード12を示す宛先コードが含まれている。監視対象のバススレーブカード12がどれであるかは,カウンタ251のカウンタ値により認識される。監視用テストパターンとしては一般的には,データ信号線の全ビットが「0」と「1」とをとるようなパターン(16進数の55h,AAhの繰り返し等)が使用されるが,対象システムに適した他のパターンであってもよい。作成された監視データは,監視データ往信フレームに,データ送受信回路24からバスドライバ28およびアナログスイッチ26を介して,バス10のデータ信号線に送出される。この送出は,前述の通常動作の説明で述べた,バスマスタカード11によるバス10のデータ信号線の使用権の選択手順を踏まずに行われる。
【0051】
すると,監視対象のバススレーブカード12(ここでは12−2)は,アナログスイッチ16およびバスドライバ18を介してデータ送受信回路14がその監視データを取り込む。取り込まれた監視データは,折り返し回路15に送られる。すると折り返し回路15では返送用監視データを作成する。返送用監視データは,取り込まれた監視データ(図12)のヘッダ部分中の宛先コードを,監視カード13を示すものに変更したデータである(図13)。監視カード13を示す宛先コードは,前述した自カード番号の設定と同様にあらかじめ設定されている。あるいは内部メモリ(図示せず)に用意しておいてもよい。
【0052】
そして,監視フレーム信号のパルスの後の最初の基本フレーム信号のパルスが発生すると(図3参照),各バススレーブカード12および監視カード13において,各バススレーブカード12のゲート制御回路17のカウンタ172および,監視カード13のゲート制御回路27のカウンタ272のカウンタ値が「1」となる。このため,監視フレームの2フレーム目,すなわち監視データ復信フレームにはいる。なお,監視対象のバススレーブカード12は変更されない。すなわち,各バススレーブカード12および監視カード13におけるアナログスイッチ16,26の開閉状況はそのままである。
【0053】
監視データ復信フレームでは,監視対象のバススレーブカード12(ここでは12−2)により,監視データの返送が行われる。すなわち,データ送受信回路14がバスドライバ18およびアナログスイッチ16を介して,返送用監視データ(図13)をバス10のデータ信号線に送出する。この送出も,バスマスタカード11によるバス10のデータ信号線の使用権の選択手順を踏まずに行われる。すると監視カード13では,アナログスイッチ26およびバスドライバ28を介して,データ送受信回路14がその監視データを取り込む。取り込まれた監視データは,監視データ比較回路25に送られる。そこで監視データ比較回路25では,内部メモリ(図示せず)に用意されている元の監視用テストパターンと返信された監視データ(図13)の監視用テストパターンとを比較する。ここで,監視対象のバススレーブカード12と監視カード13とのいずれにも故障がなければ,両監視データの監視用テストパターンの部分は互いに同一であるはずである。しかし,いずれか(バスドライバ18もしくはバスドライバ28)に故障があれば,監視データの返信がされなかったり,仮に返信されたとしても,返信された監視データでは,パターンがすべてローレベルになってしまっている等の相違があることになる。そこで,両監視データの監視用テストパターンの部分が互いに同一であるか否かを判定する。
【0054】
両者の監視用テストパターンの部分が同一であった場合には,監視対象のバススレーブカード12および監視カード13のいずれもが正常であるものと考えられる。もし,2つの監視データが一致しなければ,監視対象のバススレーブカード12と監視カード13とのいずれかに故障(バスドライバ18もしくはバスドライバ28)が発生しているものと考えられる。以上で,監視フレーム1回分の動作が終了する。なお,以上の監視動作において,監視対象以外のバススレーブカード12は動作に関与しない。監視フレーム中はそれらのバススレーブカード12のアナログスイッチ16が開かれ,バス10のデータ信号線から切り離されているからである。よって,他のバススレーブカード12に故障しているものがあったとしても,その影響を受けることはない。
【0055】
基本フレーム信号の次のパルスが発生すると(図3参照),各バススレーブカード12および監視カード13において,各バススレーブカード12のゲート制御回路17のカウンタ172および,監視カード13のゲート制御回路27のカウンタ272のカウンタ値が「2」となる。このため,監視フレームを終えて通常動作フレームにはいる。すなわち,監視カード13のアナログスイッチ26が開かれる。そして,すべてのバススレーブカード12のアナログスイッチ16が閉じられる。この状態で,前述の通常動作が行われるのである。
【0056】
監視フレーム信号の次のパルスが発生すると,再び監視フレームにはいる。ただし,監視対象のバススレーブカード12は,前回の監視対象の次の番号を有するものである。このため,新たに監視対象となったバススレーブカード12について,前述と同じく監視データの往復により,監視動作が行われる。かくして,監視フレーム信号のパルスが発生するたびに監視対象のバススレーブカード12が1番ずつずれていく。そして,すべてのバススレーブカード12について監視動作が1回ずつ行われると,故障状況の最終判定がなされる。
【0057】
すなわち,どのバススレーブカード12についても,往復信の監視用テストパターンが一致していた場合には,すべてのバススレーブカード12および監視カード13のいずれもが正常であり故障はないものと判定される。ある1つのバススレーブカード12についてのみ復信の監視用テストパターンに不一致が見られ,他のすべてのバススレーブカード12について一致していた場合には,当該不一致が見られたバススレーブカード12に故障が発生しているものと判定される。どのバススレーブカード12についても,復信の監視用テストパターンが不一致であった場合には,監視カード13に故障が発生しているものと判定される。そして,監視マルチフレーム信号のパルスが発生すると(図3参照),各バススレーブカード12のゲート制御回路17のカウンタ171および,監視カード13の監視データ比較回路25のカウンタ251のカウンタ値がクリアされる。これにより,再び1番のバススレーブカード12から順に監視動作が行われる。
【0058】
ここにおいて,あるバススレーブカード12について復信の監視用テストパターンに不一致があった場合には,その後,故障したカードが特定されるまで,監視フレーム信号および監視マルチフレーム信号の周期を短くするようにしてもよい。このようにすると,故障したカードの特定までの所要時間が短くて済むので有利である。例えば,監視フレーム信号の周期を基本フレーム信号の周期の2倍とすると,基本フレームの1周期目と2周期目は監視フレームなので,すべてのバススレーブカード12の監視動作が連続して行われる。これにより,故障したカードを早期に特定できる。
【0059】
監視カード13またはバススレーブカード12に故障が発生しているものと判定されたら,アラームを発してシステム管理者に報知する。これによりシステム管理者は,故障したカードを正常に動作するカードに交換する手配を行うことができる。そして監視カード13では,次のような措置が執られる。
【0060】
まず,故障したのがバススレーブカード12であった場合の措置を説明する。この場合には,故障したバススレーブカード12をバス10の信号線から切り離す必要がある。このため監視カード13では,故障したバススレーブカード12が特定された後,最初にそのバススレーブカード12が監視対象となる監視フレーム信号周期(一般的には,故障したバススレーブカード12が特定された後の最初の監視フレーム信号周期がこれである)に,切り離し信号線に「L」レベルを出力する。すると,監視対象の,すなわち故障しているバススレーブカード12では,図5中のNANDゲート178の出力が「L」レベルとなる。これがラッチ179によりラッチされる。したがってこれ以後,NANDゲート180の出力が,「H」レベルに固定されることとなる。このため,アナログスイッチ16はその後開いたままとなる。このように,故障したバススレーブカード12に対してバス10の信号線を介さずに切り離し信号が伝達される。これにより,そのバススレーブカード12はバス10の信号線から切り離されるのである。なお,他のバススレーブカード12においては,比較回路173の出力が「L」レベルであるため,NANDゲート178の出力が「L」レベルになることはない。したがってラッチ179は作動せず,通常の状態がそのまま維持される。よってその後,残りのバススレーブカード12による通常動作は支障なく行われる。
【0061】
次に,故障したのが監視カード13自身であった場合の措置を説明する。この場合には,監視カード13をバス10の信号線から切り離す必要がある。もはや監視動作をしても意味がないからである。このため,強制的にアナログスイッチ26を開き,その状態で固定する。そして,監視フレーム信号および監視マルチフレーム信号の出力を停止する。これにより,その後監視動作は行われずすべての基本フレームが通常動作フレームとなる。この状態で,バススレーブカード12に1つも故障が発生しない限り,通常動作は支障なく行われる。
【0062】
以上詳細に説明したように本実施の形態に係るデータ送受信システムでは,バス10に,データ信号線や基本フレーム信号線などの他,監視フレーム信号線と監視マルチフレーム信号線とを備えている。そして,これらに対してバスマスタカード11からそれぞれ,基本フレーム信号に同期する監視フレーム信号と,監視フレーム信号に同期する監視マルチフレーム信号とを供給するようにしている。一方,各バススレーブカード12および監視カード13にはそれぞれ,監視フレーム信号の周期中における基本フレーム信号のパルス数をカウントするカウンタ172およびカウンタ272が備えられている。これにより,各バススレーブカード12および監視カード13において,監視フレームと通常動作フレームとを区別できるようにしている。さらに,各バススレーブカード12および監視カード13にはそれぞれ,監視マルチフレーム信号の周期中における監視フレーム信号のパルス数をカウントするカウンタ171およびカウンタ251が備えられている。これにより,各バススレーブカード12において,自己が監視対象であるか否かを認識できるようにしている。同様に監視カード13において,どのバススレーブカード12が監視対象であるかを認識できるようにしている。
【0063】
そして,各バススレーブカード12では,ゲート制御回路17により,通常動作フレームにおいては必ず,監視フレームにおいては自己が監視対象である場合に限り,アナログスイッチ16を閉じるようにしている。また,監視カード13では,ゲート制御回路27により,通常動作フレームにおいてはアナログスイッチ26を開き,監視フレームにおいてはアナログスイッチ26を閉じるようにしている。これにより,監視フレームにおいて,監視カード13と監視対象である1つのバススレーブカード12との間で監視データを往復させる監視動作を,バスマスタカード11の介在なしに行うことができるようにしている。もちろん,各バススレーブカード12間での通常のデータ送受信も可能である。
【0064】
また,各バススレーブカード12には,自己が監視対象である監視フレームにおいて監視カード13から受信した監視データの宛先コードを,監視カード13宛てのコードに変換する折り返し回路15を備えている。また,監視カード13には,監視対象のバススレーブカード12に送信した監視データの監視用テストパターンと,監視対象のバススレーブカード12から返信された監視データの監視用テストパターンとを比較する監視データ比較回路25を備えている。このため,監視カード13と監視対象のバススレーブカード12との間で監視データを往復させる監視動作を行うことにより,他のバススレーブカード12と無関係な故障情報を得ることができるのである。したがって,データ送受信システム全体についての故障判定に必要な監視データの送受信量が,バススレーブカード12の個数の2倍で済む。よって,監視動作のために大量の監視データでバス10のデータ信号線の通信帯域を過度に占有してしまうことがない。このため,バス10のデータ信号線の通信帯域を,バススレーブカード12間の通常のデータの送受信のために有効に利用できるのである。
【0065】
また,監視カード13では,故障したバススレーブカード12が特定されると,そのバススレーブカード12が監視対象となる監視フレーム信号周期に,バス10の切り離し信号線に切り離し信号を出力することとしている。一方,バススレーブカード12では,自己が監視対象であるときにバス10の切り離し信号線に切り離し信号が出力されると,そのことをラッチ179でラッチすることとしている。このため,そのバススレーブカード12は,以後,アナログスイッチ16が開いたままとなり,バス10のデータ信号線から切り離される。したがって,バススレーブカード12に故障が発生しても,残ったバススレーブカード12により通常動作が支障なく行われる。また,監視カード13は,自身が故障した場合には,自身のアナログスイッチ26を強制的に開き,以後,バス10のデータ信号線から切り離された状態とする。これにより,故障した監視カード13による無意味な監視動作を行うことがない。
【0066】
なお,本実施の形態は単なる例示にすぎず,本発明を何ら限定するものではない。したがって本発明は当然に,その要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良,変形が可能である。例えば,本実施の形態では,バスマスタカード11と監視カード13とを別々のカードとしたが,1枚のカードでこれらの機能を兼ねるようにしてもよい。別々のカードの場合でも,監視マルチフレーム信号,監視フレーム信号,基本フレーム信号,そしてクロック信号の出力元はバスマスタカード11と監視カード13とのどちらでもよい。また,バスドライバ18,28とバス10との間のスイッチング素子は,アナログスイッチに限らず,MOSスイッチやリレー等により構成してもよい。
【0067】
また,本実施の形態では,監視対象のバススレーブカード12の番号を,監視マルチフレーム信号によりリセットすることとしているが,これに限るものではない。システム中のバススレーブカード12の個数は既知であるから,カウンタ171,251のカウンタ値がその値に達したら自動的にリセットするようにしてもよい。そのためには,システム中のバススレーブカード12の個数をあらかじめ各カードに用意しておけばよい。
【0068】
また,本実施の形態では,監視データについても通常動作の送受信データと同じく,ヘッダ部分に宛先コードを付している。そして,受信側ではまずヘッダ部分を確認してから取り込むこととしている。しかし監視フレームでは,バス10の信号線に繋がっているのは,監視カード13と監視対象のバススレーブカード12との2つだけである。よって,データの本体部分である監視用テストパターンのみをヘッダなしで送受信することも可能である。ただし,通常動作と同様にヘッダ部分を使用することにより,宛先の認識および付加機能をも含めてより良好に故障の検出ができるのである。また,本実施の形態では,データの受信の際,まずヘッダの宛先のみを受信して自己宛てか否かを判断しているが,データ全体を取り込んでから判断してもよい。なお,本実施の形態では,データ送受信装置(バススレーブカード12)や故障監視装置(監視カード13)をハードウェアで実現しているが,ソフトウェアで実現することも可能である。以下,その他の種々の変形例について説明する。
【0069】
まず,本発明の適用対象箇所について説明する。前述の実施の形態は,本発明を,図1の無線基地局102中の棚100内の送受信システムに適用したものである。しかしこれに限らず,図1の無線基地局102中の棚101内の送受信システムに適用することも可能である。その場合には,棚101中の「制御部」および「有線I/Fカード」がともに,図2中のバススレーブカード12−1,12−2,12−3……に相当する。すなわち,本発明の送受信システムにおいては,複数のデータ送受信装置に,異なる種類のものが含まれていてもよいのである。その場合でも,監視動作の内容には何ら異なるところはない。
【0070】
また,図1の無線基地局102中の棚内の送受信システムに限らず,棚間バスによる送受信システムに本発明を適用することもできる。その一例として,棚間バスに監視装置を備え,その監視装置により各棚の「バス中継部」を監視するシステムが考えられる。むろん,棚の数はもっと多くてもよい。
【0071】
別の例として,図14に示すような送受信システムも考えられる。図14に示す送受信システムは,3本のバス30,40,50にそれぞれ,1つずつのバスマスタカード31,41,51と,多数のバススレーブカード32−1,32−2,32−3,……,42−1,42−2,42−3,……,52−1,52−2,52−3,……,とを接続し,さらに,共通の監視カード33を設けたものである。図14中のバス30,40,50は,単一の線であるかのように描かれているが,実際には図2等に示したバス10のように,多種類の信号線からなっている。図14の送受信システムでは,バス30,40,50のそれぞれが図1中の棚内バスに相当する。そして,複数の棚内システムに対する監視動作を1つの監視カード33で行うようにしたものである。バス30,40,50のそれぞれにおける通常動作や,監視動作は,前述と同様である。
【0072】
図14の送受信システムでは,監視カード33の稼働効率が高いという利点がある。すなわち,前述の実施の形態で説明したシステムでは,通常動作フレーム中には監視カード13は事実上休止状態であった。これに対し図14の送受信システムでは,バス30,40,50のそれぞれのシステム間で監視フレームが時間的にずれるようにしておくことにより,監視カード33の稼働効率を高められるのである。なお,図14の送受信システム中の監視カード33では,監視対象を認識するためのカウンタ(図8中のカウンタ251に相当するもの)を,バス30,40,50ごとに備える必要がある。また,図14中の監視カード33は,図1中の棚間バスの役割を兼ねるものではない。
【0073】
さらに,本発明の適用対象は,図1に示したような無線基地局102に限られるわけではない。多数のデータ送受信装置をバスで接続して互いにデータのやりとりを行うあらゆるシステムに適用可能である。また,前述の実施の形態では,各バススレーブカード12や監視カード13等は,必要な回路や部品を基板に実装したドーターボードであったが,このような形態に限られない。独立した外形を持つデータ送受信装置や監視装置をバスで接続したシステムであってもよい。あるいは,データ送受信装置や監視装置をそれぞれ1つの集積回路装置とし,基板上に装着してそのバスに接続したシステムであってもよい。
【0074】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように本発明によれば,故障の監視のための監視データの送受信量が,データ送受信装置の個数の2倍で済むデータ送受信システム,そのシステムにおけるデータ送受信装置,故障監視装置,データ通信線,および故障監視方法が提供されている。これにより,バス帯域を故障の監視のための監視データの送受信で過度に占有してしまうことがなく,有効に通常データの送受信に使用できるようにしている。また,故障が判明したデータ送受信装置はその後データ通信線から切り離されるようにしている。これにより,残ったデータ送受信装置により,通常と同様のデータ送受信を続行できる。また,故障監視装置が故障した場合には,故障監視装置がデータ通信線から切り離されるようにしている。これによりその後も,データ送受信装置に1つも故障が発生しない限り,通常と同様のデータ送受信を続行できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の適用対象の一例である無線基地局の概略構成を示すブロック図である。
【図2】本実施の形態に係るデータ送受信システムの構成を示すブロック図である。
【図3】各バススレーブカードおよび監視カードに供給される各種信号を示すタイミングチャートである。
【図4】本実施の形態に係るバススレーブカードの構成を示すブロック図である。
【図5】本実施の形態に係るバススレーブカード中のゲート制御回路の構成を示すブロック図である。
【図6】本実施の形態に係る監視カードの構成を示すブロック図である。
【図7】本実施の形態に係る監視カード中のゲート制御回路の構成を示すブロック図である。
【図8】本実施の形態に係る監視カード中の監視データ比較回路に含まれるカウンタを示すブロック図である。
【図9】本実施の形態に係るデータ送受信システムにおける通常動作を説明するタイミングチャートである。
【図10】本実施の形態に係るデータ送受信システムにおいて送受信されるデータの構造を示すフォーマット図である。
【図11】本実施の形態に係るデータ送受信システムにおける監視動作を示すブロック図である。
【図12】本実施の形態に係るデータ送受信システムにおいて監視カードから送信される監視データの構造を示すフォーマット図である。
【図13】本実施の形態に係るデータ送受信システムにおいて監視カードへ返信される監視データの構造を示すフォーマット図である。
【図14】本発明に係るデータ送受信システムの他の構成例を示すブロック図である。
【図15】従来のデータ送受信システムの構成を示すブロック図である。
【図16】従来のバススレーブカードおよび監視カードの構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
10,30,40,50 バス
12,32,42,52 バススレーブカード(データ送受信装置)
13,33 監視カード(故障監視装置)
14,24 データ送受信回路
15 折り返し回路
25 監視データ比較回路
16,26 アナログスイッチ
17,27 ゲート制御回路
171,251 監視フレーム信号カウンタ
172,272 基本フレーム信号カウンタ
100,101 棚(データ送受信システム)
【発明の属する技術分野】
本発明は,データ通信線を介して複数のデータ送受信装置間でデータの送受信を行うデータ送受信システムに関する。さらに詳細には,データ送受信装置の故障の発生を監視する機能を有するデータ送受信システム,そのデータ送受信装置,そのための故障監視装置,データ通信線,および故障監視方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来のこの種のシステム例を,図15に示す。図15のデータ送受信システムは,バス60に,複数のバススレーブカード62−1,62−2,62−3……(以下,総称して単に「バススレーブカード62」という場合がある)と,バスマスタカード61と,監視カード63とを接続して構成されている。各バススレーブカード62は,バス60を介して互いにデータを送受信するものである。バスマスタカード61は,バス60を介してクロック信号や各種タイミング信号を各バススレーブカード62や監視カード63に供給したり,各バススレーブカード62によるバス60の使用権を調整したりするものである。監視カード63は,バススレーブカード62の故障状況を監視するものである。バス60には,データ信号線の他,バス要求/許可信号線,基本フレーム信号線,およびクロック信号線が含まれている。このデータ送受信システムでは,バススレーブカード62間で送受信されるデータは,固定長のデータであるものとする。
【0003】
このデータ送受信システムでは,通常動作,すなわちバススレーブカード62間でのデータの送受信は,次のようにして行われる。まず,データを送信したいバススレーブカード62により,バス60のデータ信号線の使用権の取得が行われる。このため,データを送信したいバススレーブカード62は,バス60のバス要求/許可信号線に対してバス要求信号を出力する。出力されたバス要求信号は,バスマスタカード61により受信される。こうしてバスマスタカード61には,データを送信したいすべてのバススレーブカード62からのバス要求が集まる。するとバスマスタカード61は,集まったすべてのバス要求信号の中から1つを選択する。選択の方法としては例えば,各バススレーブカード62に優先順位があらかじめ固定的に割り当てられているプライオリティ方式や,バススレーブカード62がバス60を使用するたびに優先順位が各バススレーブカード62を巡回するラウンドロビン方式等がある。そして,選択したバススレーブカード62に対してバス許可信号を出力する。こうしてバス許可信号を受信したバススレーブカード62が,バス60のデータ信号線の使用権を取得するのである。ここまでの動作が,基本フレーム信号(図9参照:バス要求/許可やデータ転送の周期(フレーム)を示す信号)の1周期の間に行われる。
【0004】
そして,データ信号線の使用権を取得したバススレーブカード62は,基本フレーム信号の次の1周期の間に,バス60のデータ信号線に対して,データを出力する。その先頭には,どのバススレーブカード62が宛先であるかを示すヘッダ部分が付加されている。すると,他のすべてのバススレーブカード62は,そのヘッダ部分を受信する。そして,受信したヘッダ部分により,データの宛先が自己であるか否かを判断する。自己宛てのデータである場合には,引き続き受信動作を行い,固定長データの全体を受信する。自己宛てのデータでない場合には,受信動作を中断する。以上の一連の動作により,任意のバススレーブカード62間でデータの送受信が行われる。
【0005】
ここで,バススレーブカード62の1つにおいてバスドライバが故障したと仮定する。するとバス60のデータ信号線の信号レベルは,システムで設定されたレベルに固定される。あるいはハイインピーダンスとなる。したがって,当該故障したバススレーブカード62のみならずすべてのバススレーブカード62間でのデータの送受信に支障を来す。支障を解消するためには,故障したバススレーブカード62を早急に特定する必要がある。そこで,故障したバススレーブカード62を特定するため,監視カード63による監視動作が行われる。
【0006】
監視動作の説明のため,バススレーブカード62および監視カード63のより詳細な構造を図16に示す。すなわち,バススレーブカード62は,監視データ送信回路65と,データ送受信回路64と,ゲート制御回路67とを有している。そして,データ送受信回路64とバス60のデータ信号線との間に,バスドライバ68とアナログスイッチ66とを有している。このうちのアナログスイッチ66は,ゲート制御回路67の制御下にある。図16中にバススレーブカード62は1つしか描かれていないが,他のどのバススレーブカード62も同様の構成を有している。監視カード63は,監視データ受信比較回路75と,データ送受信回路74と,ゲート制御回路77とを有している。そして,データ送受信回路74とバス60のデータ信号線との間に,バスドライバ78とアナログスイッチ76とを有している。このうちのアナログスイッチ76は,ゲート制御回路77の制御下にある。
【0007】
監視動作は,次のようにして行われる。まず,ある1つのバススレーブカード62についてそのアナログスイッチ66を開き,残りのすべてのバススレーブカード62についてそのアナログスイッチ66を閉じる。また,監視カード63のアナログスイッチ76を閉じる。すなわち,ある1つのバススレーブカード62のみバス60のデータ信号線から切り離し,残りのすべてのバススレーブカード62および監視カード63をバス60のデータ信号線に接続した状態とする。この状態で,アナログスイッチ66が開かれているバススレーブカード62以外のすべてのバススレーブカード62から,監視カード63に対して監視データを送信する。監視データは,あらかじめ監視カード63から送信され各バススレーブカード62に保存しているものである。監視カード63では,監視データを受信し,自身に保存している元の監視データと比較する。受信したすべての監視データが元の監視データと同一であれば,監視データを送信したすべてのバススレーブカード62が正常であると考えられる。そうでなかった場合には,監視データを送信したバススレーブカード62中に故障しているものがあると考えられる。
【0008】
そこで,別のある1つのバススレーブカード62についてそのアナログスイッチ66を開き,残りのすべてのバススレーブカード62についてそのアナログスイッチ66を閉じる。この状態で再び監視データの送受信を行う。さらにこれを繰り返し,アナログスイッチ66を開いた状態を,すべてのバススレーブカード62に1巡させる。これにより,故障しているバススレーブカード62がどれであるかを特定することができる。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら,前記した従来の技術には,次のような問題点があった。すなわち,故障したバススレーブカード62を特定するために必要な監視データの総数が多く,監視サイクルがその分長い。バススレーブカード62の個数をNとすると,そのデータ数は(N−1)×N個にも達する。Nの値が10ないし20程度であれば,データ数は100近くもしくはそれ以上となる。このように監視データの送受信にバス帯域が使用されてしまうのである。このため,通常データの送受信に使用できるバス帯域がその分限られてしまうのである。
【0010】
本発明は,前記した従来のデータ送受信システムが有する問題点を解決するためになされたものである。すなわちその課題とするところは,少ないデータ量で故障の監視をすることができ,バス帯域を有効に通常データの送受信に使用できるデータ送受信システム,そのシステムにおけるデータ送受信装置,故障監視装置,データ通信線,および故障監視方法を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
この課題の解決を目的としてなされた本発明のデータ送受信システムは,データ通信線を介して複数のデータ送受信装置間でデータの送受信を行うシステムであって,各データ送受信装置とともにデータ通信線に接続された故障監視装置を有し,データ通信線は,データの送受信の時間単位であるフレーム周期を示す基本フレーム信号を供給する基本フレーム信号線と,基本フレーム信号に同期するとともにフレーム周期の整数倍の周期を持つ監視フレーム信号を供給する監視フレーム信号線と,複数のデータ送受信装置および故障監視装置間で送受信されるデータを伝達するデータ信号線とを有し,監視フレーム信号の各周期では各データ送受信装置を1つずつ順に監視対象とし,基本フレーム信号の各周期は,故障の有無の判定動作を行う監視フレームとデータ送受信を行う通常動作フレームとからなり,監視フレーム内で,故障監視装置は,監視対象のデータ送受信装置へデータ信号線を介して監視データを送信し,監視対象のデータ送受信装置は,故障監視装置へ前記データ信号線を介して監視データを返信し,故障監視装置で,送信した監視データと返信された監視データとを比較することにより,故障の有無を判定するシステムである。
【0012】
また,本発明の故障監視方法では,データ通信線を介して複数のデータ送受信装置間でデータの送受信を行うデータ送受信システムにおいて,データ通信線に接続された故障監視装置により各データ送受信装置の故障の有無を監視するに際し,データ通信線に,データの送受信の時間単位であるフレーム周期を示す基本フレーム信号と,基本フレーム信号に同期するとともにフレーム周期の整数倍の周期を持つ監視フレーム信号とを供給し,故障監視装置および複数のデータ送受信装置はそれぞれ,監視フレーム信号の各周期では各データ送受信装置を1つずつ順に監視対象とし,基本フレーム信号の各周期は,故障の有無の判定動作を行う監視フレームとデータ送受信を行う通常動作フレームとからなり,監視フレーム内で,故障監視装置から監視対象のデータ送受信装置へデータ通信線を介して監視データを送信し,監視対象のデータ送受信装置から故障監視装置へデータ通信線を介して監視データを返信し,故障監視装置で,保存している監視データと返信された監視データとを比較することにより,故障の有無を判定する。
【0013】
そして,本発明のデータ通信線は,複数のデータ送受信装置および故障監視装置を接続し,各装置間でデータの送受信を行わせるものであって,通常のデータ信号線の他に,データの送受信の時間単位であるフレーム周期を示す基本フレーム信号を供給する基本フレーム信号線と,基本フレーム信号に同期するとともにフレーム周期の整数倍の周期を持つ監視フレーム信号を供給する監視フレーム信号線とを有するものであることが望ましい。ここで基本フレーム信号は,故障の有無の判定動作を行う監視フレームとデータ送受信を行う通常動作フレームとの識別を各装置に行わせる信号である。監視フレーム信号は,どのデータ送受信装置が監視対象であるかについての認識を各装置に行わせる信号である。
【0014】
本発明では,監視フレーム信号の各周期では各データ送受信装置が1つずつ順に監視対象とされる。また,基本フレーム信号の各周期は,故障の有無の判定動作を行う監視フレームとデータ送受信を行う通常動作フレームとからなる。そして,監視フレームには,故障監視装置と監視対象のデータ送受信装置との間で監視データのやりとりが行われる。そして,故障監視装置から送信した監視データと,監視対象のデータ送受信装置を経て戻ってきた監視データとが対比される。これにより,故障の有無が判定される。すなわち,両者が一致すれば,当該データ送受信装置および故障監視装置には故障がないものと考えられる。一方,両者に相違があれば,当該データ送受信装置もしくは故障監視装置が故障している可能性がある。このようにして故障の判定をするので,データ送受信装置と故障監視装置との間で送受信される監視データのN数は,データ送受信装置の個数の2倍で済む。このため,監視データの送受信のためにデータ通信線の送受信帯域を過度に占有してしまうことがない。
【0015】
ここにおいて,故障監視装置および複数のデータ送受信装置はそれぞれ,監視フレーム信号をカウントすることにより,監視フレーム信号の各周期に各データ送受信装置を1つずつ順に監視対象とし,基本フレーム信号を監視フレーム信号の周期ごとにカウントすることにより,基本フレーム信号の各周期が,故障の有無の判定動作を行う監視フレームと通常のデータ送受信を行う通常動作フレームとのいずれであるかを識別することが望ましい。
【0016】
本発明において,故障監視装置は,送信するデータをデータ信号線に送出するとともに,受信するデータをデータ信号線から取り込むデータ送受信回路と,監視データを監視対象のデータ送受信装置宛てにデータ送受信回路を介してデータ信号線へ送出し,自己宛の監視データをデータ送受信回路を介してデータ信号線から取り込み,送出した監視データと返信された監視データとを比較することにより故障の有無を判定する監視データ比較回路と,データ送受信回路とデータ信号線との間に設けられたスイッチング素子と,スイッチング素子を制御するゲート制御回路と,監視フレーム信号をカウントする監視フレーム信号カウンタとを有し,ゲート制御回路は,基本フレーム信号を監視フレーム信号の周期ごとにカウントする基本フレーム信号カウンタを有し,基本フレーム信号カウンタのカウント値により,故障の有無の判定動作を行う監視フレームとデータ送受信を行う通常動作フレームとを識別し,監視データ比較回路は,監視フレーム信号カウンタのカウント値により,どのデータ送受信装置が監視対象であるかを認識するものであることが望ましい。
【0017】
また,データ送受信装置は,送信するデータをデータ信号線に送出するとともに,受信するデータをデータ信号線から取り込むデータ送受信回路と,自己宛ての監視データをデータ送受信回路を介してデータ信号線から取り込むとともに,その監視データをデータ送受信回路を介して故障監視装置宛てにデータ信号線へ送出する折り返し回路と,データ送受信回路とデータ信号線との間に設けられたスイッチング素子と,スイッチング素子を制御するゲート制御回路とを有し,ゲート制御回路は,監視フレーム信号を受信してカウントする監視フレーム信号カウンタと,基本フレーム信号を受信して監視フレーム信号の周期ごとにカウントする基本フレーム信号カウンタとを有し,監視フレーム信号カウンタのカウント値により,自己が監視対象であるか否かを認識し,基本フレーム信号カウンタのカウント値により,監視動作を行う監視フレームとデータ送受信を行う通常動作フレームとを識別するものであることが望ましい。
【0018】
これらの故障監視装置およびデータ送受信装置では,まず,故障監視装置の監視データ比較回路が,データ送受信回路を介して,監視データをデータ信号線に送出する。その監視データの宛先は,現在の監視対象のデータ送受信装置である。すると,データ信号線に接続されているデータ送受信装置のうち現在監視対象となっているものが,その監視データを自己のデータ送受信回路を介してデータ信号線から自己の折り返し回路に取り込む。そしてそのデータ送受信装置では,その折り返し回路が,取り込んだ監視データを,自己のデータ送受信回路を介してデータ信号線に送出する。すると,故障監視装置が,その監視データを自己のデータ送受信回路を介してデータ信号線から監視データ比較回路に取り込む。そして監視データ比較回路では,送出した監視データと返信された監視データとを比較する。これにより,故障の有無の判定がなされる。
【0019】
そして,本発明の故障監視装置および各データ送受信装置ではそれぞれ,監視フレーム信号カウンタのカウント値により,どのデータ送受信装置が監視対象であるかについて認識する。具体的には,故障監視装置は,監視対象のデータ送受信装置がどれであるかを認識する。各データ送受信装置は,自己が監視対象であるか否かを認識する。また,本発明の故障監視装置および各データ送受信装置ではそれぞれ,基本フレーム信号カウンタのカウント値により,故障の有無の判定動作を行う監視フレームと通常のデータ送受信を行う通常動作フレームとを識別する。
【0020】
本発明における故障監視装置のゲート制御回路は,データ送受信動作時にはスイッチング素子を開き,監視動作時にはスイッチング素子を閉じる制御を行うのである。一方,データ送受信装置のゲート制御回路は,通常のデータ送受信動作時にはスイッチング素子を閉じ,監視動作時には,自己が監視対象である場合に限りスイッチング素子を閉じ,自己が監視対象でない場合にはスイッチング素子を開く制御を行うのである。
【0021】
このようにすると,監視動作と通常のデータ送受信動作とをともに適切に行うことができる。まず,通常のデータ送受信動作時を考える。この場合,故障監視装置のスイッチング素子は開かれており,各データ送受信装置のスイッチング素子は閉じられている。すなわち通常のデータ送受信動作時には,故障監視装置はデータ信号線から切り離されており,各データ送受信装置はデータ信号線に繋がっている。そのため,故障監視装置が余計な動作をすることなく,各データ送受信装置間でのデータの送受信を適切に行うことができる。次に,監視動作時を考える。この場合,故障監視装置のスイッチング素子は閉じられている。各データ送受信装置については,監視対象であるもののスイッチング素子のみが閉じられ,他のもののスイッチング素子は開かれている。すなわち監視動作時には,故障監視装置と監視対象のデータ送受信装置のみがデータ信号線に繋がっており,他のデータ送受信装置はすべてデータ信号線から切り離されている。そのため,他のデータ送受信装置が余計な動作をすることなく,故障監視装置と監視対象のデータ送受信装置との間で監視データの送返信を適切に行うことができる。したがって,1往復の監視データの送返信で故障が検知された場合,故障している可能性があるのは,故障監視装置か監視対象のデータ送受信装置かのいずれかである。このため,故障した装置を少ないデータ量で効率よく特定できるのである。
【0022】
本発明ではさらに,データ通信線が,基本フレーム信号に同期するとともに監視フレーム信号の周期の整数倍の周期を持つ監視マルチフレーム信号を供給する監視マルチフレーム信号線を有し,故障監視装置および複数のデータ送受信装置はそれぞれ,監視マルチフレーム信号の周期により,監視フレーム信号カウンタのカウント値がリセットされるものであるとよりよい。このようにすると,定期的に監視フレーム信号のカウント値がリセットされる。これにより,各データ送受信装置が再び順に1つずつ監視対象となる。そしてこれが反復される。このため,システムが稼働している限り監視動作が行われる。
【0023】
本発明ではまた,データ通信線が,故障監視装置から故障したデータ送受信装置へ切り離し信号を伝達する切り離し信号線を有し,故障監視装置は,故障したデータ送受信装置が特定された場合には,そのデータ送受信装置が監視対象となる監視フレーム中に切り離し信号線に切り離し信号を出力し,各データ送受信装置は,自己が監視対象である監視フレーム中に切り離し信号線に切り離し信号が出力されると,以後,スイッチング素子を開いたままとするものであるとよりよい。このようにすると,故障が判明したデータ送受信装置はシステムから切り離される。したがってその後,残ったデータ送受信装置により通常と同様にデータの送受信がなされる。
【0024】
本発明ではまた,故障監視装置が,自己が故障したと判定した場合には,以後,スイッチング素子を開いたままとすることが望ましい。故障した故障監視装置により故障監視動作を行っても意味がないからである。この後,残ったデータ送受信装置に1つも故障が発生しない限り,通常と同様にデータの送受信がなされる。
【0025】
【発明の実施の形態】
以下,本発明を具体化した実施の形態を,添付図面を参照しつつ詳細に説明する。本実施の形態は,携帯電話の無線基地局に本発明を適用したものである。無線基地局102は,図1に示す概略構成を有している。無線基地局102は,送受信増幅部103,無線制御部104の他,棚100,棚101を有している。ここで棚と呼んでいるものは,多数のドーターボードを搭載したマザーボードである。棚100には,ドーターボードとして,バス中継部,監視カード,多数の変復調カードが搭載されている。これらは,棚100の棚内バスにより互いに接続されている。棚101には,ドーターボードとして,バス中継部,監視カード,多数の制御部および有線I/F(インターフェース)カードが搭載されている。これらは,棚101の棚内バスにより互いに接続されている。また,棚100のバス中継部と棚101のバス中継部とは,棚間バスにより接続されている。また,棚101の有線I/Fカードは交換局に接続されている。この無線基地局102は,高い信頼性が要求される装置であり,万一内部に故障が起こった場合にはその故障個所を早期に特定する必要がある。その一方で取り扱うデータ量が多いので,故障の監視動作にあまり多くの負荷をかけることは好ましくない。
【0026】
上記の無線基地局102において,本発明が適用されるのは,棚100,棚101のそれぞれにおける,棚内バスを介しての各ドーターボード間のデータ送受信システムである。さらには,棚間バスによる各棚間のデータ送受信システムである。
【0027】
そこで,棚100の棚内システムを例として,本実施の形態に係るデータ送受信システムを説明する。本実施の形態に係るデータ送受信システムは,図2に示すように構成されている。すなわち,図2のデータ送受信システムは,バス10に,複数のバススレーブカード12−1,12−2,12−3……(以下,総称して単に「バススレーブカード12」という場合がある)と,バスマスタカード11と,監視カード13とを接続して構成されている。各バススレーブカード12は,バス10を介して互いにデータを送受信するものである。バスマスタカード11は,各バススレーブカード12によるバス10の使用権を調整するものである。監視カード13は,バススレーブカード12の故障状況を監視するものである。バス10には,データ信号線の他,バス要求/許可信号線,監視マルチフレーム信号線,監視フレーム信号線,基本フレーム信号線,およびクロック信号線が含まれている。このデータ送受信システムでは,バススレーブカード12間で送受信されるデータは,固定長のデータである。
【0028】
図2のデータ送受信システムと図1中の棚100との対応関係は,以下の通りである。図2中のバス10は,棚100の棚内バスに相当する。図2中のバススレーブカード12−1,12−2,12−3……は,棚100の多数の「変復調カード」に相当する。図2中のバスマスタカード11は,棚100の「バス中継部」に相当する。図2中の監視カード13は,棚100の「監視カード」に相当する。
【0029】
バス10の監視マルチフレーム信号線,監視フレーム信号線,基本フレーム信号線,およびクロック信号線はそれぞれ,各バススレーブカード12に,監視マルチフレーム信号,監視フレーム信号,基本フレーム信号,そしてクロック信号を供給する信号線である(図3)。これらの各信号は,監視カード13が出力制御している。監視カード13は,自らもこれらの信号を利用する。また,バス10の切り離し信号線は,バススレーブカード12に,監視カード13から切り離し信号を供給する信号線である。
【0030】
クロック信号は,図2のデータ送受信システムで送受信されるすべての信号の動作単位となる信号である。基本フレーム信号は,バス要求/許可やデータ転送の周期(フレーム)を示す信号である。基本フレーム信号はクロック信号に同期しており,その1周期は15クロックに相当する。監視フレーム信号は,基本フレーム信号により示されるフレームが,監視動作のための監視フレームであるか,あるいは,通常動作,すなわちバススレーブカード12間でのデータの送受信のための通常動作フレームであるかの区別を示す信号である。監視フレーム信号は,基本フレーム信号に同期しており,その1周期は,基本フレーム信号の周期(フレーム)の10〜20程度の整数倍である。ただし,システム設計により,これより大きくてもよく,逆に小さくてもよい。監視フレーム信号のパルスにより,2フレームからなる監視フレームが開始される。その1フレーム目は,監視カード13から監視対象のバススレーブカード12への往信フレームである。2フレーム目は,監視対象のバススレーブカード12から監視カード13への復信フレームである。残りのフレームは,通常動作フレームである。
【0031】
監視マルチフレーム信号は,監視対象とするバススレーブカード12の周期を規定するための信号である。監視マルチフレーム信号は,監視フレーム信号に同期している。バススレーブカード12の個数をNとすると,監視マルチフレーム信号の1周期は,監視フレーム信号の1周期のN(もしくはそれ以上の整数)倍である。そして,監視マルチフレーム信号のパルスの直後の監視フレーム信号周期中の監視フレームでは,バススレーブカード12−1が監視対象とされる。以下,監視フレーム信号周期ごとに順に各バススレーブカード12が監視対象とされる。監視マルチフレーム信号の1周期中における監視フレーム信号の周期数がバススレーブカード12の個数Nより多い場合には,N+1番目およびそれ以降の監視フレーム信号周期では,監視フレームであっても監視動作は行われない。この場合にこのような監視フレームを通常動作フレームとして取り扱うようにしてもよい。
【0032】
各バススレーブカード12は,図4に示すブロック構成を有するものである。すなわち,バススレーブカード12には,折り返し回路15と,データ送受信回路14と,ゲート制御回路17と,バスドライバ18と,アナログスイッチ16とが実装されている。折り返し回路15は,後述する監視動作において,監視カード13から送信された監視データを折り返して,監視カード13へ返送するための回路である。折り返し回路15は,監視データの本体部分である監視用テストパターンはそのまま返信し,ヘッダ部分の宛先を監視カード13の宛先に変更する。データ送受信回路14は,バス10のデータ信号線に対するデータの送受信動作を行う回路である。バスドライバ18およびアナログスイッチ16は,データ送受信回路14とバス10のデータ信号線との間に位置している。ゲート制御回路17の制御下にあるアナログスイッチ16により,バスドライバ18とバス10のデータ信号線との間の接続/非接続を切り替えることができるようになっている。なお,監視カード13による故障監視の対象となるのは,図4中のバスドライバ18である。バスドライバ18が故障していると,バス10のデータ信号線の信号レベルは,システムで設定されたレベルに固定されてしまう。あるいはハイインピーダンスの状態となる。なお,データ送受信回路14,折り返し回路15が故障した場合もバスドライバ18の故障として検出される。
【0033】
ゲート制御回路17の回路構成を,図5のブロック図により説明する。ゲート制御回路17は,2つのカウンタ171,172と,3つの比較回路173〜175と,NORゲート176と,ORゲート177と,NANDゲート178と,ラッチ179と,NANDゲート180とを有している。
【0034】
カウンタ171,172はともに,クロック信号の立ち上がりをカウントするものである。ただしそのカウントは,イネーブル信号がHigh(以下,単に「H」という)レベルであるときに限り行われるようになっている。また,クロック信号の立ち上がりの際にリセット信号がLow(以下,単に「L」という)レベルであった場合には,カウントアップでなくカウンタ値をゼロにリセットするようになっている。カウンタ171は,イネーブル信号として監視フレーム信号の反転信号を受け,リセット信号として監視マルチフレーム信号を受けるように構成されている。このことと図3に示した各信号の内容とによりカウンタ171は,監視フレーム信号のパルスを受けるとカウントアップし,監視マルチフレーム信号のパルスを受けるとカウンタ値をクリアするのである。カウンタ172は,イネーブル信号として基本フレーム信号の反転信号を受け,リセット信号として監視フレーム信号を受けるように構成されている。このことと図3に示した各信号の内容とによりカウンタ172は,基本フレーム信号のパルスを受けるとカウントアップし,監視フレーム信号のパルスを受けるとカウンタ値をクリアするのである。
【0035】
比較回路173〜175はいずれも,2つの入力値が等しい場合にのみ出力を「H」レベルにし,2つの入力値が異なる場合には出力を「L」レベルにするものである。比較回路173は,自カード番号と,カウンタ171の出力値とを受けるようにされている。これにより比較回路173は,監視マルチフレーム信号のパルスが発生してからの監視フレーム信号のパルス数が自カード番号に等しい場合にのみ,出力を「H」レベルにするようになっている。自カード番号(図2中の各バススレーブカード12の番号から1を引いたもの)は,バススレーブカード12上のディップスイッチ(図示せず)あるいは外部から遠隔操作で設定されるレジスタ(図示せず)等の適当な設定手段で設定されるものである。自カード番号は,例えば図2のデータ送受信システム中のバススレーブカード12全体で連番をなすように設定される。比較回路174は,カウンタ172の出力値と,固定値「0」とを受けるように構成されている。これにより比較回路174は,監視フレーム信号のパルスが発生してからの基本フレーム信号のパルス数が0である場合にのみ,出力を「H」レベルにするようになっている。比較回路175は,カウンタ172の出力値と,固定値「1」とを受けるように構成されている。これにより比較回路175は,監視フレーム信号のパルスが発生してからの基本フレーム信号のパルス数が1である場合にのみ,出力を「H」レベルにするようになっている。
【0036】
ORゲート177は,比較回路174の出力と比較回路175の出力とを受けるように構成されている。これによりORゲート177は,監視フレーム信号のパルスが発生してからの基本フレーム信号のパルス数が0または1である場合にのみ,出力を「H」レベルにするようになっている。NORゲート176は,比較回路173の出力とORゲート177の出力の反転信号とを受けるように構成されている。これによりNORゲート176は,比較回路173の出力が「L」レベルでかつORゲート177の出力が「H」レベルである場合にのみ,出力を「H」レベルにするようになっている。
【0037】
NANDゲート178は,比較回路173の出力と,切り離し信号の反転信号を受けるようになっている。切り離し信号は,通常では常時「H」レベルである。そして,バススレーブカード12の故障が判明すると,その後最初にそのバススレーブカード12が監視対象となる監視フレーム信号周期の間のみ「L」レベルとなる。その後は再び「H」レベルとなる。これにより,NANDゲート178の出力は,通常の状況では常時「H」レベルである。そして,自己が監視対象である監視フレーム信号周期中に切り離し信号がローダウンすると,そのときだけ「L」レベルとなる。そして,NANDゲート178の出力は,ラッチ179に入力されている。ラッチ179は,通常の状況,すなわちNANDゲート178の出力が「H」レベルであり続けている間は「H」レベルを出力し続ける。そして,NANDゲート178の出力が「L」レベルになると,ラッチ179の出力も「L」レベルになる。そして,一旦こうなると,その後はNANDゲート178の出力に関わらず,ラッチ179の出力は「H」レベルに戻らず「L」レベルに固定される。
【0038】
NANDゲート180は,NORゲート176の出力の反転信号とラッチ179の出力とを受けるように構成されている。これによりNANDゲート180は,通常の状況,すなわちラッチ179の出力が「H」レベルであり続けている間は,NORゲート176の出力をそのまま出力するのである。そして,ラッチ179の出力が「L」レベルに固定されると,その後はNANDゲート180の出力は,「H」レベルに固定される。そして,NANDゲート180の出力信号が,アナログスイッチ16への制御信号である。この制御信号が「L」レベルであればアナログスイッチ16が閉じ,「H」レベルであればアナログスイッチ16が開くように構成されている。
【0039】
したがってアナログスイッチ16は,自カードが監視対象である間に切り離し信号が入力されない限り,次の(1),(2)のいずれかに該当する場合には閉じられ,いずれにも該当しない場合には開かれる。
(1)監視マルチフレーム信号のパルスが発生してからの監視フレーム信号のパルス数が自カード番号に等しい場合
(2)監視フレーム信号のパルスが発生してからの基本フレーム信号のパルス数が2以上である場合
(1)は,監視フレーム信号の周期により,自己が監視対象であると認識される場合である。(2)は,監視フレーム信号の周期中,基本フレーム信号の第3フレーム以降,すなわち通常動作フレームの場合である。これより,監視フレームにおいて,監視対象のバススレーブカード12のアナログスイッチ16は閉じられ,他のすべてのバススレーブカード12のアナログスイッチ16は開かれる。通常動作フレームにおいては,すべてのバススレーブカード12のアナログスイッチ16が閉じられる。
【0040】
そして,自カードが監視対象である間に切り離し信号が入力されると,以後,当該バススレーブカード12のアナログスイッチ16は開いたままとなる。すなわち,当該バススレーブカード12はバス10から切り離された状態におかれる。
【0041】
監視カード13は,図6に示すブロック構成を有するものである。すなわち,監視カード13には,監視データ比較回路25と,データ送受信回路24と,ゲート制御回路27と,バスドライバ28と,アナログスイッチ26とが実装されている。監視データ比較回路25は,後述する監視動作において,監視対象であるバススレーブカード12へ送信した監視データと,そのバススレーブカード12から返送された監視データとを比較する回路である。データ送受信回路24は,バス10のデータ信号線に対するデータの送受信動作を行う回路である。バスドライバ28およびアナログスイッチ26は,データ送受信回路24とバス10のデータ信号線との間に位置している。ゲート制御回路27の制御下にあるアナログスイッチ26により,バスドライバ28とバス10のデータ信号線との間の接続/非接続を切り替えることができるようになっている。
【0042】
ゲート制御回路27の回路構成を,図7のブロック図により説明する。ゲート制御回路27は,カウンタ272と,2つの比較回路274,275と,ORゲート277とを有している。
【0043】
カウンタ272は,クロック信号の立ち上がりをカウントするものである。ただしそのカウントは,イネーブル信号が「H」であるときに限り行われるようになっている。また,クロック信号の立ち上がりの際にリセット信号が「L」であった場合には,カウントアップでなくカウンタ値をゼロにリセットするようになっている。カウンタ272は,イネーブル信号として基本フレーム信号の反転信号を受け,リセット信号として監視フレーム信号を受けるように構成されている。すなわちカウンタ272は,図5に示したバススレーブカード12中のゲート制御回路17におけるカウンタ172に相当するものである。
【0044】
比較回路274,275はいずれも,2つの入力値が等しい場合にのみ出力を「H」レベルにし,2つの入力値が異なる場合には出力を「L」レベルにするものである。比較回路274は,カウンタ272の出力値と,固定値「0」とを受けるように構成されている。すなわち比較回路274は,図5に示したバススレーブカード12中のゲート制御回路17における比較回路174に相当するものである。比較回路275は,カウンタ272の出力値と,固定値「1」とを受けるように構成されている。すなわち比較回路275は,図5に示したバススレーブカード12中のゲート制御回路17における比較回路175に相当するものである。
【0045】
ORゲート277は,比較回路274の出力と比較回路275の出力とを受けるように構成されている。すなわちORゲート277は,図5に示したバススレーブカード12中のゲート制御回路17におけるORゲート177に相当するものである。そして,ORゲート277の出力信号の反転信号が,アナログスイッチ26への制御信号である。この制御信号が「L」レベルであればアナログスイッチ26が閉じ,「H」レベルであればアナログスイッチ26が開くように構成されている。したがってアナログスイッチ26は,監視フレーム信号の周期中,基本フレーム信号のパルス数が2未満である場合に閉じられ,2以上である場合には開かれる。すなわちアナログスイッチ26は,監視フレームにおいては閉じられ,通常動作フレームにおいては開かれるのである。
【0046】
監視データ比較回路25には,図8に示すように,カウンタ251が含まれている。カウンタ251は,クロック信号の立ち上がりをカウントするものである。ただしそのカウントは,イネーブル信号が「H」であるときに限り行われるようになっている。また,クロック信号の立ち上がりの際にリセット信号が「L」であった場合には,カウントアップでなくカウンタ値をゼロにリセットするようになっている。カウンタ251は,イネーブル信号として監視フレーム信号の反転信号を受け,リセット信号として監視マルチフレーム信号を受けるように構成されている。すなわちカウンタ251は,図5に示したバススレーブカード12中のゲート制御回路17におけるカウンタ171に相当するものである。これにより監視データ比較回路25では,どのバススレーブカード12が監視対象であるかを認識できるのである。
【0047】
このデータ送受信システムでは,通常動作は,従来技術で説明したものと同様に行われる。すなわち,通常動作フレームにおいて,データを送信したいバススレーブカード12により,バス10のバス要求/許可信号線を介して,バスマスタカード11に対してバス要求信号が出力される(図9中の▲1▼の「REQ」)。そしてバスマスタカード11により,すべてのバス要求信号の中から1つが選択され,そのバススレーブカード12に対してバス許可信号が出力される(図9中の▲2▼の「GRANT」)。選択の方法も前述と同様であるが,これらに限定されるものではない。これにより,そのバススレーブカード12が,バス10のデータ信号線の使用権を取得する。ここまでの動作が,基本フレームの1フレームの間に行われる。
【0048】
そして,そのバススレーブカード12は,次の1フレームに,バス10のデータ信号線に対して,送信データを出力する(図9中の▲3▼の「データ」)。ここで送受信されるデータは,図10のフォーマット図に示すように,固定長のデータであり,送信データそのものの前に,ヘッダ部分が付されている。ヘッダ部分には,宛先のバススレーブカード12を示すコードが含まれている。データを受信した他のバススレーブカード12は,そのヘッダ部分により,データの宛先が自己であるか否かを判断し,自己宛てであればデータ全体を受信する。以上の動作が,通常動作フレームの2フレームを使用して行われる。なお,このうちの2フレーム目では,バス10のデータ信号線の使用権を取得したバススレーブカード12によるデータの送信と並行して,バスマスタカード11による次の基本フレームのバス10のデータ信号線の使用権の割り振りが行われている。ここにおいて,監視カード13は動作に関与しない。通常動作フレーム中はアナログスイッチ26が開かれ,バス10のデータ信号線から切り離されているからである。なお,ここで示したフォーマットは一例であり,ビット幅,データ長はこれに限定されない。また,ヘッダ宛先,送信データ以外のデータが付加されてもかまわない。
【0049】
このデータ送受信システムにおける監視動作は,次のようにして行われる。監視フレーム信号のパルスが発生すると(図3参照),各バススレーブカード12および監視カード13において,次の(1)および(2)が起こる。
(1)各バススレーブカード12のゲート制御回路17のカウンタ172および,監視カード13のゲート制御回路27のカウンタ272のカウンタ値がクリアされ「0」となる。なお,監視フレーム信号のパルスと同時に基本フレーム信号のパルスも発生しているが(図3参照),前述のように監視フレーム信号のパルスによる動作が優先する。このため,監視フレームの1フレーム目,すなわち監視データ往信フレームにはいる。
(2)各バススレーブカード12のゲート制御回路17のカウンタ171および,監視カード13の監視データ比較回路25のカウンタ251のカウンタ値が,1カウント増加する。これにより,監視対象のバススレーブカード12が次の番号のものに移る。
【0050】
このとき,図11に示すように,バススレーブカード12のうち監視対象となった1つ(図11中では12−2)と監視カード13においてのみ,アナログスイッチ16,26が閉じられ,他のバススレーブカード12ではアナログスイッチ16が開かれた状態となる。そこで監視カード13は,監視データ比較回路25が監視データを作成する。作成される監視データは,図12のフォーマット図に示すように,監視用テストパターンの前に,ヘッダ部分を付したものである。監視用テストパターンは,あらかじめ内部メモリ(図示せず)に用意されている。ヘッダ部分には,監視対象のバススレーブカード12を示す宛先コードが含まれている。監視対象のバススレーブカード12がどれであるかは,カウンタ251のカウンタ値により認識される。監視用テストパターンとしては一般的には,データ信号線の全ビットが「0」と「1」とをとるようなパターン(16進数の55h,AAhの繰り返し等)が使用されるが,対象システムに適した他のパターンであってもよい。作成された監視データは,監視データ往信フレームに,データ送受信回路24からバスドライバ28およびアナログスイッチ26を介して,バス10のデータ信号線に送出される。この送出は,前述の通常動作の説明で述べた,バスマスタカード11によるバス10のデータ信号線の使用権の選択手順を踏まずに行われる。
【0051】
すると,監視対象のバススレーブカード12(ここでは12−2)は,アナログスイッチ16およびバスドライバ18を介してデータ送受信回路14がその監視データを取り込む。取り込まれた監視データは,折り返し回路15に送られる。すると折り返し回路15では返送用監視データを作成する。返送用監視データは,取り込まれた監視データ(図12)のヘッダ部分中の宛先コードを,監視カード13を示すものに変更したデータである(図13)。監視カード13を示す宛先コードは,前述した自カード番号の設定と同様にあらかじめ設定されている。あるいは内部メモリ(図示せず)に用意しておいてもよい。
【0052】
そして,監視フレーム信号のパルスの後の最初の基本フレーム信号のパルスが発生すると(図3参照),各バススレーブカード12および監視カード13において,各バススレーブカード12のゲート制御回路17のカウンタ172および,監視カード13のゲート制御回路27のカウンタ272のカウンタ値が「1」となる。このため,監視フレームの2フレーム目,すなわち監視データ復信フレームにはいる。なお,監視対象のバススレーブカード12は変更されない。すなわち,各バススレーブカード12および監視カード13におけるアナログスイッチ16,26の開閉状況はそのままである。
【0053】
監視データ復信フレームでは,監視対象のバススレーブカード12(ここでは12−2)により,監視データの返送が行われる。すなわち,データ送受信回路14がバスドライバ18およびアナログスイッチ16を介して,返送用監視データ(図13)をバス10のデータ信号線に送出する。この送出も,バスマスタカード11によるバス10のデータ信号線の使用権の選択手順を踏まずに行われる。すると監視カード13では,アナログスイッチ26およびバスドライバ28を介して,データ送受信回路14がその監視データを取り込む。取り込まれた監視データは,監視データ比較回路25に送られる。そこで監視データ比較回路25では,内部メモリ(図示せず)に用意されている元の監視用テストパターンと返信された監視データ(図13)の監視用テストパターンとを比較する。ここで,監視対象のバススレーブカード12と監視カード13とのいずれにも故障がなければ,両監視データの監視用テストパターンの部分は互いに同一であるはずである。しかし,いずれか(バスドライバ18もしくはバスドライバ28)に故障があれば,監視データの返信がされなかったり,仮に返信されたとしても,返信された監視データでは,パターンがすべてローレベルになってしまっている等の相違があることになる。そこで,両監視データの監視用テストパターンの部分が互いに同一であるか否かを判定する。
【0054】
両者の監視用テストパターンの部分が同一であった場合には,監視対象のバススレーブカード12および監視カード13のいずれもが正常であるものと考えられる。もし,2つの監視データが一致しなければ,監視対象のバススレーブカード12と監視カード13とのいずれかに故障(バスドライバ18もしくはバスドライバ28)が発生しているものと考えられる。以上で,監視フレーム1回分の動作が終了する。なお,以上の監視動作において,監視対象以外のバススレーブカード12は動作に関与しない。監視フレーム中はそれらのバススレーブカード12のアナログスイッチ16が開かれ,バス10のデータ信号線から切り離されているからである。よって,他のバススレーブカード12に故障しているものがあったとしても,その影響を受けることはない。
【0055】
基本フレーム信号の次のパルスが発生すると(図3参照),各バススレーブカード12および監視カード13において,各バススレーブカード12のゲート制御回路17のカウンタ172および,監視カード13のゲート制御回路27のカウンタ272のカウンタ値が「2」となる。このため,監視フレームを終えて通常動作フレームにはいる。すなわち,監視カード13のアナログスイッチ26が開かれる。そして,すべてのバススレーブカード12のアナログスイッチ16が閉じられる。この状態で,前述の通常動作が行われるのである。
【0056】
監視フレーム信号の次のパルスが発生すると,再び監視フレームにはいる。ただし,監視対象のバススレーブカード12は,前回の監視対象の次の番号を有するものである。このため,新たに監視対象となったバススレーブカード12について,前述と同じく監視データの往復により,監視動作が行われる。かくして,監視フレーム信号のパルスが発生するたびに監視対象のバススレーブカード12が1番ずつずれていく。そして,すべてのバススレーブカード12について監視動作が1回ずつ行われると,故障状況の最終判定がなされる。
【0057】
すなわち,どのバススレーブカード12についても,往復信の監視用テストパターンが一致していた場合には,すべてのバススレーブカード12および監視カード13のいずれもが正常であり故障はないものと判定される。ある1つのバススレーブカード12についてのみ復信の監視用テストパターンに不一致が見られ,他のすべてのバススレーブカード12について一致していた場合には,当該不一致が見られたバススレーブカード12に故障が発生しているものと判定される。どのバススレーブカード12についても,復信の監視用テストパターンが不一致であった場合には,監視カード13に故障が発生しているものと判定される。そして,監視マルチフレーム信号のパルスが発生すると(図3参照),各バススレーブカード12のゲート制御回路17のカウンタ171および,監視カード13の監視データ比較回路25のカウンタ251のカウンタ値がクリアされる。これにより,再び1番のバススレーブカード12から順に監視動作が行われる。
【0058】
ここにおいて,あるバススレーブカード12について復信の監視用テストパターンに不一致があった場合には,その後,故障したカードが特定されるまで,監視フレーム信号および監視マルチフレーム信号の周期を短くするようにしてもよい。このようにすると,故障したカードの特定までの所要時間が短くて済むので有利である。例えば,監視フレーム信号の周期を基本フレーム信号の周期の2倍とすると,基本フレームの1周期目と2周期目は監視フレームなので,すべてのバススレーブカード12の監視動作が連続して行われる。これにより,故障したカードを早期に特定できる。
【0059】
監視カード13またはバススレーブカード12に故障が発生しているものと判定されたら,アラームを発してシステム管理者に報知する。これによりシステム管理者は,故障したカードを正常に動作するカードに交換する手配を行うことができる。そして監視カード13では,次のような措置が執られる。
【0060】
まず,故障したのがバススレーブカード12であった場合の措置を説明する。この場合には,故障したバススレーブカード12をバス10の信号線から切り離す必要がある。このため監視カード13では,故障したバススレーブカード12が特定された後,最初にそのバススレーブカード12が監視対象となる監視フレーム信号周期(一般的には,故障したバススレーブカード12が特定された後の最初の監視フレーム信号周期がこれである)に,切り離し信号線に「L」レベルを出力する。すると,監視対象の,すなわち故障しているバススレーブカード12では,図5中のNANDゲート178の出力が「L」レベルとなる。これがラッチ179によりラッチされる。したがってこれ以後,NANDゲート180の出力が,「H」レベルに固定されることとなる。このため,アナログスイッチ16はその後開いたままとなる。このように,故障したバススレーブカード12に対してバス10の信号線を介さずに切り離し信号が伝達される。これにより,そのバススレーブカード12はバス10の信号線から切り離されるのである。なお,他のバススレーブカード12においては,比較回路173の出力が「L」レベルであるため,NANDゲート178の出力が「L」レベルになることはない。したがってラッチ179は作動せず,通常の状態がそのまま維持される。よってその後,残りのバススレーブカード12による通常動作は支障なく行われる。
【0061】
次に,故障したのが監視カード13自身であった場合の措置を説明する。この場合には,監視カード13をバス10の信号線から切り離す必要がある。もはや監視動作をしても意味がないからである。このため,強制的にアナログスイッチ26を開き,その状態で固定する。そして,監視フレーム信号および監視マルチフレーム信号の出力を停止する。これにより,その後監視動作は行われずすべての基本フレームが通常動作フレームとなる。この状態で,バススレーブカード12に1つも故障が発生しない限り,通常動作は支障なく行われる。
【0062】
以上詳細に説明したように本実施の形態に係るデータ送受信システムでは,バス10に,データ信号線や基本フレーム信号線などの他,監視フレーム信号線と監視マルチフレーム信号線とを備えている。そして,これらに対してバスマスタカード11からそれぞれ,基本フレーム信号に同期する監視フレーム信号と,監視フレーム信号に同期する監視マルチフレーム信号とを供給するようにしている。一方,各バススレーブカード12および監視カード13にはそれぞれ,監視フレーム信号の周期中における基本フレーム信号のパルス数をカウントするカウンタ172およびカウンタ272が備えられている。これにより,各バススレーブカード12および監視カード13において,監視フレームと通常動作フレームとを区別できるようにしている。さらに,各バススレーブカード12および監視カード13にはそれぞれ,監視マルチフレーム信号の周期中における監視フレーム信号のパルス数をカウントするカウンタ171およびカウンタ251が備えられている。これにより,各バススレーブカード12において,自己が監視対象であるか否かを認識できるようにしている。同様に監視カード13において,どのバススレーブカード12が監視対象であるかを認識できるようにしている。
【0063】
そして,各バススレーブカード12では,ゲート制御回路17により,通常動作フレームにおいては必ず,監視フレームにおいては自己が監視対象である場合に限り,アナログスイッチ16を閉じるようにしている。また,監視カード13では,ゲート制御回路27により,通常動作フレームにおいてはアナログスイッチ26を開き,監視フレームにおいてはアナログスイッチ26を閉じるようにしている。これにより,監視フレームにおいて,監視カード13と監視対象である1つのバススレーブカード12との間で監視データを往復させる監視動作を,バスマスタカード11の介在なしに行うことができるようにしている。もちろん,各バススレーブカード12間での通常のデータ送受信も可能である。
【0064】
また,各バススレーブカード12には,自己が監視対象である監視フレームにおいて監視カード13から受信した監視データの宛先コードを,監視カード13宛てのコードに変換する折り返し回路15を備えている。また,監視カード13には,監視対象のバススレーブカード12に送信した監視データの監視用テストパターンと,監視対象のバススレーブカード12から返信された監視データの監視用テストパターンとを比較する監視データ比較回路25を備えている。このため,監視カード13と監視対象のバススレーブカード12との間で監視データを往復させる監視動作を行うことにより,他のバススレーブカード12と無関係な故障情報を得ることができるのである。したがって,データ送受信システム全体についての故障判定に必要な監視データの送受信量が,バススレーブカード12の個数の2倍で済む。よって,監視動作のために大量の監視データでバス10のデータ信号線の通信帯域を過度に占有してしまうことがない。このため,バス10のデータ信号線の通信帯域を,バススレーブカード12間の通常のデータの送受信のために有効に利用できるのである。
【0065】
また,監視カード13では,故障したバススレーブカード12が特定されると,そのバススレーブカード12が監視対象となる監視フレーム信号周期に,バス10の切り離し信号線に切り離し信号を出力することとしている。一方,バススレーブカード12では,自己が監視対象であるときにバス10の切り離し信号線に切り離し信号が出力されると,そのことをラッチ179でラッチすることとしている。このため,そのバススレーブカード12は,以後,アナログスイッチ16が開いたままとなり,バス10のデータ信号線から切り離される。したがって,バススレーブカード12に故障が発生しても,残ったバススレーブカード12により通常動作が支障なく行われる。また,監視カード13は,自身が故障した場合には,自身のアナログスイッチ26を強制的に開き,以後,バス10のデータ信号線から切り離された状態とする。これにより,故障した監視カード13による無意味な監視動作を行うことがない。
【0066】
なお,本実施の形態は単なる例示にすぎず,本発明を何ら限定するものではない。したがって本発明は当然に,その要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良,変形が可能である。例えば,本実施の形態では,バスマスタカード11と監視カード13とを別々のカードとしたが,1枚のカードでこれらの機能を兼ねるようにしてもよい。別々のカードの場合でも,監視マルチフレーム信号,監視フレーム信号,基本フレーム信号,そしてクロック信号の出力元はバスマスタカード11と監視カード13とのどちらでもよい。また,バスドライバ18,28とバス10との間のスイッチング素子は,アナログスイッチに限らず,MOSスイッチやリレー等により構成してもよい。
【0067】
また,本実施の形態では,監視対象のバススレーブカード12の番号を,監視マルチフレーム信号によりリセットすることとしているが,これに限るものではない。システム中のバススレーブカード12の個数は既知であるから,カウンタ171,251のカウンタ値がその値に達したら自動的にリセットするようにしてもよい。そのためには,システム中のバススレーブカード12の個数をあらかじめ各カードに用意しておけばよい。
【0068】
また,本実施の形態では,監視データについても通常動作の送受信データと同じく,ヘッダ部分に宛先コードを付している。そして,受信側ではまずヘッダ部分を確認してから取り込むこととしている。しかし監視フレームでは,バス10の信号線に繋がっているのは,監視カード13と監視対象のバススレーブカード12との2つだけである。よって,データの本体部分である監視用テストパターンのみをヘッダなしで送受信することも可能である。ただし,通常動作と同様にヘッダ部分を使用することにより,宛先の認識および付加機能をも含めてより良好に故障の検出ができるのである。また,本実施の形態では,データの受信の際,まずヘッダの宛先のみを受信して自己宛てか否かを判断しているが,データ全体を取り込んでから判断してもよい。なお,本実施の形態では,データ送受信装置(バススレーブカード12)や故障監視装置(監視カード13)をハードウェアで実現しているが,ソフトウェアで実現することも可能である。以下,その他の種々の変形例について説明する。
【0069】
まず,本発明の適用対象箇所について説明する。前述の実施の形態は,本発明を,図1の無線基地局102中の棚100内の送受信システムに適用したものである。しかしこれに限らず,図1の無線基地局102中の棚101内の送受信システムに適用することも可能である。その場合には,棚101中の「制御部」および「有線I/Fカード」がともに,図2中のバススレーブカード12−1,12−2,12−3……に相当する。すなわち,本発明の送受信システムにおいては,複数のデータ送受信装置に,異なる種類のものが含まれていてもよいのである。その場合でも,監視動作の内容には何ら異なるところはない。
【0070】
また,図1の無線基地局102中の棚内の送受信システムに限らず,棚間バスによる送受信システムに本発明を適用することもできる。その一例として,棚間バスに監視装置を備え,その監視装置により各棚の「バス中継部」を監視するシステムが考えられる。むろん,棚の数はもっと多くてもよい。
【0071】
別の例として,図14に示すような送受信システムも考えられる。図14に示す送受信システムは,3本のバス30,40,50にそれぞれ,1つずつのバスマスタカード31,41,51と,多数のバススレーブカード32−1,32−2,32−3,……,42−1,42−2,42−3,……,52−1,52−2,52−3,……,とを接続し,さらに,共通の監視カード33を設けたものである。図14中のバス30,40,50は,単一の線であるかのように描かれているが,実際には図2等に示したバス10のように,多種類の信号線からなっている。図14の送受信システムでは,バス30,40,50のそれぞれが図1中の棚内バスに相当する。そして,複数の棚内システムに対する監視動作を1つの監視カード33で行うようにしたものである。バス30,40,50のそれぞれにおける通常動作や,監視動作は,前述と同様である。
【0072】
図14の送受信システムでは,監視カード33の稼働効率が高いという利点がある。すなわち,前述の実施の形態で説明したシステムでは,通常動作フレーム中には監視カード13は事実上休止状態であった。これに対し図14の送受信システムでは,バス30,40,50のそれぞれのシステム間で監視フレームが時間的にずれるようにしておくことにより,監視カード33の稼働効率を高められるのである。なお,図14の送受信システム中の監視カード33では,監視対象を認識するためのカウンタ(図8中のカウンタ251に相当するもの)を,バス30,40,50ごとに備える必要がある。また,図14中の監視カード33は,図1中の棚間バスの役割を兼ねるものではない。
【0073】
さらに,本発明の適用対象は,図1に示したような無線基地局102に限られるわけではない。多数のデータ送受信装置をバスで接続して互いにデータのやりとりを行うあらゆるシステムに適用可能である。また,前述の実施の形態では,各バススレーブカード12や監視カード13等は,必要な回路や部品を基板に実装したドーターボードであったが,このような形態に限られない。独立した外形を持つデータ送受信装置や監視装置をバスで接続したシステムであってもよい。あるいは,データ送受信装置や監視装置をそれぞれ1つの集積回路装置とし,基板上に装着してそのバスに接続したシステムであってもよい。
【0074】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように本発明によれば,故障の監視のための監視データの送受信量が,データ送受信装置の個数の2倍で済むデータ送受信システム,そのシステムにおけるデータ送受信装置,故障監視装置,データ通信線,および故障監視方法が提供されている。これにより,バス帯域を故障の監視のための監視データの送受信で過度に占有してしまうことがなく,有効に通常データの送受信に使用できるようにしている。また,故障が判明したデータ送受信装置はその後データ通信線から切り離されるようにしている。これにより,残ったデータ送受信装置により,通常と同様のデータ送受信を続行できる。また,故障監視装置が故障した場合には,故障監視装置がデータ通信線から切り離されるようにしている。これによりその後も,データ送受信装置に1つも故障が発生しない限り,通常と同様のデータ送受信を続行できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の適用対象の一例である無線基地局の概略構成を示すブロック図である。
【図2】本実施の形態に係るデータ送受信システムの構成を示すブロック図である。
【図3】各バススレーブカードおよび監視カードに供給される各種信号を示すタイミングチャートである。
【図4】本実施の形態に係るバススレーブカードの構成を示すブロック図である。
【図5】本実施の形態に係るバススレーブカード中のゲート制御回路の構成を示すブロック図である。
【図6】本実施の形態に係る監視カードの構成を示すブロック図である。
【図7】本実施の形態に係る監視カード中のゲート制御回路の構成を示すブロック図である。
【図8】本実施の形態に係る監視カード中の監視データ比較回路に含まれるカウンタを示すブロック図である。
【図9】本実施の形態に係るデータ送受信システムにおける通常動作を説明するタイミングチャートである。
【図10】本実施の形態に係るデータ送受信システムにおいて送受信されるデータの構造を示すフォーマット図である。
【図11】本実施の形態に係るデータ送受信システムにおける監視動作を示すブロック図である。
【図12】本実施の形態に係るデータ送受信システムにおいて監視カードから送信される監視データの構造を示すフォーマット図である。
【図13】本実施の形態に係るデータ送受信システムにおいて監視カードへ返信される監視データの構造を示すフォーマット図である。
【図14】本発明に係るデータ送受信システムの他の構成例を示すブロック図である。
【図15】従来のデータ送受信システムの構成を示すブロック図である。
【図16】従来のバススレーブカードおよび監視カードの構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
10,30,40,50 バス
12,32,42,52 バススレーブカード(データ送受信装置)
13,33 監視カード(故障監視装置)
14,24 データ送受信回路
15 折り返し回路
25 監視データ比較回路
16,26 アナログスイッチ
17,27 ゲート制御回路
171,251 監視フレーム信号カウンタ
172,272 基本フレーム信号カウンタ
100,101 棚(データ送受信システム)
Claims (17)
- データ通信線を介して複数のデータ送受信装置間でデータの送受信を行うデータ送受信システムにおいて,
各データ送受信装置とともに前記データ通信線に接続された故障監視装置を有し,
前記データ通信線は,
データの送受信の時間単位であるフレーム周期を示す基本フレーム信号を供給する基本フレーム信号線と,
基本フレーム信号に同期するとともにフレーム周期の整数倍の周期を持つ監視フレーム信号を供給する監視フレーム信号線と,
前記複数のデータ送受信装置および前記故障監視装置間で送受信されるデータを伝達するデータ信号線とを有し,
監視フレーム信号の各周期では各データ送受信装置を1つずつ順に監視対象とし,
基本フレーム信号の各周期は,故障の有無の判定動作を行う監視フレームとデータ送受信を行う通常動作フレームとからなり,
監視フレーム内で,
前記故障監視装置は,監視対象のデータ送受信装置へ前記データ信号線を介して監視データを送信し,
監視対象のデータ送受信装置は,前記故障監視装置へ前記データ信号線を介して監視データを返信し,
前記故障監視装置で,送信した監視データと返信された監視データとを比較することにより,故障の有無を判定することを特徴とするデータ送受信システム。 - 請求項1に記載するデータ送受信システムにおいて,
前記故障監視装置および前記複数のデータ送受信装置はそれぞれ,
監視フレーム信号をカウントすることにより,監視フレーム信号の各周期に各データ送受信装置を1つずつ順に監視対象とし,
基本フレーム信号を監視フレーム信号の周期ごとにカウントすることにより,基本フレーム信号の各周期が,故障の有無の判定動作を行う監視フレームと通常のデータ送受信を行う通常動作フレームとのいずれであるかを識別することを特徴とするデータ送受信システム。 - 請求項2に記載するデータ送受信システムにおいて,
前記データ通信線はさらに,
基本フレーム信号に同期するとともに監視フレーム信号の周期の整数倍の周期を持つ監視マルチフレーム信号を供給する監視マルチフレーム信号線を有し,
前記故障監視装置および前記複数のデータ送受信装置はそれぞれ,
監視マルチフレーム信号の周期により,監視フレーム信号のカウント値をリセットすることを特徴とするデータ送受信システム。 - 請求項1から請求項3までのいずれか1つに記載するデータ送受信システムにおいて,
前記データ通信線はさらに,
前記故障監視装置から故障したデータ送受信装置へ切り離し信号を伝達する切り離し信号線を有し,
前記故障監視装置は,
故障したデータ送受信装置が特定された場合には,そのデータ送受信装置が監視対象となる監視フレーム中に,前記切り離し信号線に切り離し信号を出力し, 各データ送受信装置は,
自己が監視対象である監視フレーム中に前記切り離し信号線に切り離し信号が出力されると,以後,前記データ信号線から自己を切り離すことを特徴とするデータ送受信システム。 - 請求項1から請求項4までのいずれか1つに記載するデータ送受信システムにおいて,
前記故障監視装置は,
自己が故障したと判定した場合には,以後,前記データ信号線から自己を切り離すことを特徴とするデータ送受信システム。 - データ信号線を介して他のデータ送受信装置との間でデータの送受信を行うデータ送受信装置において,
送信するデータをデータ信号線に送出するとともに,受信するデータをデータ信号線から取り込むデータ送受信回路と,
自己宛ての監視データを前記データ送受信回路を介してデータ信号線から取り込むとともに,その監視データを前記データ送受信回路を介して故障監視装置宛てにデータ信号線へ送出する折り返し回路と,
前記データ送受信回路とデータ信号線との間に設けられたスイッチング素子と,
前記スイッチング素子を制御するゲート制御回路とを有し,
前記ゲート制御回路は,
監視フレーム信号を受信してカウントする監視フレーム信号カウンタと,
基本フレーム信号を受信して監視フレーム信号の周期ごとにカウントする基本フレーム信号カウンタとを有し,
前記監視フレーム信号カウンタのカウント値により,自己が監視対象であるか否かを認識し,
前記基本フレーム信号カウンタのカウント値により,監視動作を行う監視フレームとデータ送受信を行う通常動作フレームとを識別することを特徴とするデータ送受信装置。 - 請求項6に記載するデータ送受信装置において,
前記ゲート制御回路は,
通常動作フレーム中には前記スイッチング素子を閉じ,
監視動作フレーム中には,自己が監視対象である場合に限り前記スイッチング素子を閉じ,自己が監視対象でない場合には前記スイッチング素子を開くことを特徴とするデータ送受信装置。 - 請求項6または請求項7に記載するデータ送受信装置において,
前記監視フレーム信号カウンタは,監視マルチフレーム信号を受信してその周期によりリセットされるものであることを特徴とするデータ送受信装置。 - 請求項6から請求項8までのいずれか1つに記載するデータ送受信装置において,
前記ゲート制御回路は,自己が監視対象であるときに,特定のデータ送受信装置に切り離し信号を伝達する切り離し信号線から切り離し信号の入力を受けると,以後,前記スイッチング素子を開いたままとすることを特徴とするデータ送受信装置。 - データ信号線を介して複数のデータ送受信装置の故障状況を監視する故障監視装置において,
送信するデータをデータ信号線に送出するとともに,受信するデータをデータ信号線から取り込むデータ送受信回路と,
監視データを監視対象のデータ送受信装置宛てに前記データ送受信回路を介してデータ信号線へ送出し,自己宛の監視データを前記データ送受信回路を介してデータ信号線から取り込み,送出した監視データと返信された監視データとを比較することにより故障の有無を判定する監視データ比較回路と,
前記データ送受信回路とデータ信号線との間に設けられたスイッチング素子と,
前記スイッチング素子を制御するゲート制御回路と,
監視フレーム信号をカウントする監視フレーム信号カウンタとを有し,
前記ゲート制御回路は,基本フレーム信号を監視フレーム信号の周期ごとにカウントする基本フレーム信号カウンタを有し,
前記基本フレーム信号カウンタのカウント値により,故障の有無の判定動作を行う監視フレームとデータ送受信を行う通常動作フレームとを識別し,
前記監視データ比較回路は,前記監視フレーム信号カウンタのカウント値により,どのデータ送受信装置が監視対象であるかを認識することを特徴とする故障監視装置。 - 請求項10に記載する故障監視装置において,
前記ゲート制御回路は,
通常動作フレーム中には前記スイッチング素子を開き,
監視動作フレーム中には前記スイッチング素子を閉じることを特徴とする故障監視装置。 - 請求項10または請求項11に記載する故障監視装置において,
前記監視フレーム信号カウンタは,監視マルチフレーム信号の周期によりリセットされるものであることを特徴とする故障監視装置。 - 請求項10から請求項12までのいずれか1つに記載する故障監視装置において,
前記ゲート制御回路は,前記監視データ比較回路により故障監視装置自身が故障していると判定されると,以後,前記スイッチング素子を開いたままとすることを特徴とする故障監視装置。 - 複数のデータ送受信装置および故障監視装置を接続し,各装置間でデータの送受信を行わせるデータ通信線において,
データの送受信の時間単位であるフレーム周期を示す基本フレーム信号を供給する基本フレーム信号線と,
基本フレーム信号に同期するとともにフレーム周期の整数倍の周期を持つ監視フレーム信号を供給する監視フレーム信号線と,
複数のデータ送受信装置および故障監視装置間で送受信されるデータを伝達するデータ信号線とを有し,
基本フレーム信号は,故障の有無の判定動作を行う監視フレームとデータ送受信を行う通常動作フレームとの識別を各装置に行わせる信号であり,
監視フレーム信号は,どのデータ送受信装置が監視対象であるかについての認識を各装置に行わせる信号であることを特徴とするデータ通信線。 - 請求項14に記載するデータ通信線において,
基本フレーム信号に同期するとともに監視フレーム信号の周期の整数倍の周期を持つ監視マルチフレーム信号を供給する監視マルチフレーム信号線を有し,
監視マルチフレーム信号は,各装置における監視フレーム信号による監視対象の認識をリセットさせる信号であることを特徴とするデータ通信線。 - 請求項14または請求項15に記載するデータ通信線において,
切り離し信号を伝達する切り離し信号線を有し,
切り離し信号は,
故障したデータ送受信装置が特定された場合に,そのデータ送受信装置が監視対象となる監視フレームに,故障監視装置から故障したデータ送受信装置宛てに出力される信号であることを特徴とするデータ通信線。 - データ通信線を介して複数のデータ送受信装置間でデータの送受信を行うデータ送受信システムにて前記データ通信線に接続された故障監視装置により各データ送受信装置の故障の有無を監視する故障監視方法において,
前記データ通信線に,
データの送受信の時間単位であるフレーム周期を示す基本フレーム信号と,
基本フレーム信号に同期するとともにフレーム周期の整数倍の周期を持つ監視フレーム信号とを供給し,
前記故障監視装置および前記複数のデータ送受信装置はそれぞれ,
監視フレーム信号の各周期では各データ送受信装置を1つずつ順に監視対象とし,
基本フレーム信号の各周期は,故障の有無の判定動作を行う監視フレームとデータ送受信を行う通常動作フレームとからなり,
監視フレーム内で,
前記故障監視装置から監視対象のデータ送受信装置へ前記データ通信線を介して監視データを送信し,
監視対象のデータ送受信装置から前記故障監視装置へ前記データ通信線を介して監視データを返信し,
前記故障監視装置で,保存している監視データと返信された監視データとを比較することにより,故障の有無を判定することを特徴とするデータ送受信システムにおける故障監視方法。
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