JP2004063908A - 多層フレキシブル配線板及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】確実に層間接続を達成でき、かつ信頼性が高く、外層配線板を積層することができる多層フレキシブル配線板を提供すること。
【解決手段】絶縁材からなる支持基材の片側に配線パターンと、配線パターンから支持基材の配線パターンとは反対側の片面に突出した銅と金属または銅と合金からなる導体2層ポストとを有し、多層部320に必要な大きさに切断された個片である片面配線板120、少なくとも片面に該導体2層ポストと接続するための厚みが5μm以上の金属または合金の被覆を施したパッドを有する配線パターンで構成されたフレキシブル配線板220、及びフラックス機能付き接着剤層とを有し、フラックス機能付き接着剤層を介して片面配線板とフレキシブル配線板を接着し、導体2層ポストとパット゛とを金属又は合金で接合した構造を有する多層フレキシブル配線板310。
【選択図】 図3
【解決手段】絶縁材からなる支持基材の片側に配線パターンと、配線パターンから支持基材の配線パターンとは反対側の片面に突出した銅と金属または銅と合金からなる導体2層ポストとを有し、多層部320に必要な大きさに切断された個片である片面配線板120、少なくとも片面に該導体2層ポストと接続するための厚みが5μm以上の金属または合金の被覆を施したパッドを有する配線パターンで構成されたフレキシブル配線板220、及びフラックス機能付き接着剤層とを有し、フラックス機能付き接着剤層を介して片面配線板とフレキシブル配線板を接着し、導体2層ポストとパット゛とを金属又は合金で接合した構造を有する多層フレキシブル配線板310。
【選択図】 図3
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子機器の部品として用いられる多層フレキシブル配線板及びその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年の電子機器の高密度化に伴い、これに用いられるプリント配線板の多層化が進んでおり、フレキシブル配線板も多層構造のものが多用されている。このプリント配線板はフレキシブル配線板とリジッド配線板との複合基板であるリジッドフレックス配線板であり、用途が拡大している。
【0003】
従来の多層フレキシブル配線板やリジッドフレックス配線板の製造方法は、多層リジッド配線板の製造方法と類似している。即ち、パターニングされた銅箔と絶縁層を交互に複数積み重ねた積層板を形成し、該積層板に層間接続用の貫通孔をあけ、該貫通孔に層間接続用メッキを施した後、最外層の回路等の加工を行う方法が主流であった。しかし、更なる搭載部品の小型化・高密度化が進み、全層を通して同一の個所に各層の接続ランド及び貫通穴をあける従来の技術では、設計上配線密度が不足して、部品の搭載に問題が生じるようになってきている。
【0004】
このような背景により、近年多層リジッド配線板では、新しい積層技術としてビルドアップ法が採用されている。ビルドアップ法とは、樹脂のみで構成される絶縁層と導体とを積み重ねながら、単層間で層間接続をする方法である。層間接続方法としては、従来のドリル加工に代わって、レーザー法、プラズマ法やフォト法など、多岐にわたり、小径のビアホールを自由に配置することで高密度化を達成するものである。
【0005】
ビルドアップ法は、絶縁層にビアを形成してから層間接続する方法と、層間接続部を形成してから絶縁層を積層する方法とに大別される。又層間接続部は、ビアホールをメッキで形成する場合と、導電性ペーストなどで形成する場合とに分けられ、使用される絶縁材料やビア形成方法により、更に細分化される。
【0006】
その中でも、絶縁層に層間接続用の微細ビアをレーザーで形成し、ビアホールを銅ペースト等の導電性接着剤で穴埋めし、この導電性接着剤により電気的接続を得る方法では、ビアの上にビアを形成するスタックドビアが可能なため、高密度化はもちろんのこと、配線設計も簡易化することができる。しかし、この方法では、層間の電気的接続を導電性接着剤で行っているため、信頼性が十分ではない。又、微細なビアに導電性接着剤を埋め込む高度な技術も必要となり、更なる微細化に対応することが困難である。又、配線パターン上に金属からなる突起物を形成し、積層により絶縁層をこの突起物が貫通し、厚み方向に隣り合った層の配線パターンと接触させ、層間接続する方法もある。しかし、この方法では、層間接続が物理的接触のみであり、その接触を維持する手段がなく、信頼性が低いと考えられる。そこで、信頼性の改善策として、金属突起物上に絶縁樹脂の硬化温度より高い熔融温度を有する半田層を形成し、積層により未硬化の絶縁層を貫通し、更に半田層を熔融・冷却することで半田接合を形成する方法もある。しかし、突起先端の半田層と導電体回路層の表面が十分に清浄化、即ち表面酸化物の除去や還元がされていないと、半田が濡れ広がることができないため、半田接合が不十分となり、この方法でも信頼性が低いと考えられる。
また、多層フレキシブル配線板は層間接着するために熱硬化型接着剤を使用しているが、これまでの技術では単純にポスト部分が接着剤を物理的に排除し接続パッド上まで達し接続する等の方法もあるが、これでも完全に接続ポストとパッド間の接着剤を除去することは難しく、信頼性が低いと考えられる。さらに、接続ポストを形成するための方法としてメッキを用いた場合、このポストは片面配線板の基材厚みに接続させるパッドを有するフレキシブル配線板の表面被覆材の厚みにさらに、層間の接着剤厚を加えたメッキ厚をつけなくてはならず、このポスト形成のメッキ工程は長時間にわたる効率の悪い工程となる。
【0007】
又、前記した層間接続を形成する場合は、通常、貫通孔又はビアホールに銅メッキを施す。しかし、層間接続を樹脂のみで形成する絶縁層の素材は、熱により厚みが変化し銅メッキでは耐えられなくなり、接続が断裂して、信頼性が低下する場合がある。又、貫通孔或いはビアホールを形成する際に発生する樹脂の染み出しなどが原因であるスミアが障害となり、層間接続が十分に取れず、信頼性が低下する。
【0008】
多層フレキシブル配線板やリジッドフレックス配線板と、多層リジッド配線板との最大の相違点は、フレキシブルな部分の有無である。このフレキシブルな部分は、自由に可撓できるように、層数を少なくする必要がある。このフレキシブルな部分の作製では、フレキシブルな部分が積層されないように外層を除くか、或いは積層後外層を除かなければならない。どちらにしても、フレキシブルな部分の外層は不要となり、多層フレキシブル配線板内のフレキシブル部分の占める割合が多くなるにつれて除去される多層部面積は増加し、コストアップにつながり、不経済となる。
【0009】
フレキシブル配線板を安価に製造するために、複数のパターンを1枚のシートに配置して作成する。そのため、多層フレキシブル配線板も同様の製造方法を経ることで、安価に製造することができる。しかし、現状の製造方法では、特に一般的に用いられる層間の接続方法としては、スルーホールが全層を貫く形で各層間を接続する手法が用いられる。しかし、この接続方法では、加工方法が簡単ではあるが回路の設計上非常に制約が多くなる。また最も劣る点としては、スルーホールで全層を接続するため、最外層はスルーホールが多くなりまたスルーホールランドが占める面積割合も増えるため、部品の実装、回路のパターンに致命的となる回路密度を上げることができない。また、今後の市場要求が高まる高密度実装、高密度パターンの作製が困難な仕様となる。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記の問題を解決させるため、確実に層間接続を達成でき、かつ信頼性が高く外層配線板を積層することができる多層フレキシブル配線板及びその製造方法を提供するものである。
【0011】
【課題を解決させるための手段】
本発明は、
[1] 絶縁材からなる支持基材の片側に配線パターンと、該配線パターンから該支持基材の該配線パターンとは反対側の片面に突出した銅と金属または銅と合金からなる導体2層ポストとを有し、多層部に必要な大きさに切断された個片である片面配線板、少なくとも片面に該導体2層ポストと接続するための厚みが5μm以上の金属または合金の被覆を施したパッドを有する配線パターンで構成されたフレキシブル配線板、及びフラックス機能付き接着剤層とを有し、該フラックス機能付き接着剤層を介して片面配線板とフレキシブル配線板を接着し、該導体2層ポストと該パッドを金属又は合金で接合した構造を有することを特徴とする多層フレキシブル配線板、
[2] 前記フレキシブル配線板が、切断された個片である第1項に記載の多層フレキシブル配線板、
[3] 前記フレキシブル配線板が、前記導体2層ポストと接続するためのパッド上に開口部を有する表面被覆材が構成されている第1又は2項記載の多層フレキシブルプリント配線板、
[4] 金属が金、銀、ニッケル、錫、鉛、亜鉛、ビスマス、アンチモン、銅の少なくとも1種類からなる第1乃至3項いずれか記載の多層フレキシブルプリント配線板。
[5] 合金が、錫、鉛、銀、亜鉛、ビスマス、アンチモン、銅の少なくとも2種類からなる第1乃至4項いずれか記載の多層フレキシブルプリント配線板、
[6] 絶縁材からなる支持基材の片側に配線パターンを形成する工程、前記支持基材を穴あけした後、配線パターンの反対側の片面に突出した銅と金属または銅と合金からなる導体2層ポストを形成する工程、前記支持基材の前記導体2層ポストが突出した全面に、フラックス機能付き接着剤層を形成する工程、前記支持基材を多層部に必要な大きさに切断し、片面配線板を形成する工程、少なくとも片面に前記導体2層ポストと接合するための厚みが5μm以上の金属又は合金で被覆されたパッドを有する配線パターンからなるフレキシブル配線板を形成する工程、前記導体2層ポストと前記パッドとを前記フラックス機能付き接着剤層を介して熱圧着する工程を含むことを特徴とする多層フレキシブル配線板の製造方法、
[7] 絶縁材からなる支持基材の片側に配線パターンを形成する工程、前記支持基材を穴あけした後、配線パターンの反対側の片面に突出した銅と金属または銅と合金からなる導体2層ポストを形成する工程、前記支持基材を多層部に必要な大きさに切断し、片面配線板を形成する工程、少なくとも片面に前記導体2層ポストと接合するための金属又は合金被覆されたパッドを有する配線パターンからなるフレキシブル配線板を形成する工程、このフレキシブル配線板のパッドを有する配線パターン側にフラックス機能付き接着剤層を全面に形成する工程、前記導体2層ポストと前記パッドとを前記フラックス機能付き接着剤層を介して熱圧着する工程を含むことを特徴とする多層フレキシブル配線板の製造方法、
[8] 第6又は7項記載の製造方法により得られることを特徴とする多層フレキシブル配線板、
である。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、図面に基づき本発明の実施形態について説明するが、本発明はこれに何ら限定されるものではない。
【0013】
図1〜図5は、本発明の実施形態である多層フレキシブル配線板及びその製造方法の例を説明する図であり、図3(b)は、多層部320とフレキシブル部330を併せ持つ4層の多層フレキシブル配線板310であり、図5(b)は多層部520とフレキシブル部530を併せ持つ6層の多層フレキシブル配線板510である本発明で得られる多層フレキシブル配線板の構造を示す断面図である。本発明の多層フレキシブル配線板の製造方法として、先ず、4層フレキシブル配線板の一例を説明する。ステップA(図1)として、外層片面配線板120を形成する。続いて、ステップB(図2)として内層フレキシブル配線板220を形成する。最後に、ステップC(図3)として、内層フレキシブル配線板220に外層片面配線板120を積層し、多層フレキシブル配線板310を形成する。以上、3ステップに分けることができる。
5層以上の場合前記ステップAで作成した片面配線板120を最外層の配線板として用いる。外側から第2層以降から中心層の両面板間まではステップD(図4)として内層フレキシブル配線板420を形成し用い、前記ステップBで形成した内層フレキシブル配線板220を中心層の配線板として用いる。これらをステップEとして、内層フレキシブル配線板220を中心層に内層フレキシブル配線板420と最外層に片面配線板120を積層し、多層フレキシブル配線板510を形成する。5層以上の場合、最外層となる片面配線板120と中心層となる内層フレキシブル配線板220の間に内層フレキシブル配線板420を所望する層数、積層すれば良い。
【0014】
ステップAの外層片面配線板120を加工する方法として、ポリイミド樹脂、エポキシ樹脂などの樹脂を硬化させた絶縁材からなる支持基材102の片面に銅箔101が付いた片面積層板110を準備する (図1(a))。この際、支持基材と銅箔との間には、導体接続の妨げとなるスミアの発生を防ぐため、銅箔と支持基材を貼り合わせるための接着剤層は存在しない方が好ましいが、接着剤を使い貼りあわせたものでもよい。この支持基材102の片面にある銅箔101をエッチングにより配線パターン103を形成し(図1(b))、配線パターンに表面被覆104を施す(図1(c))。この表面被覆104は絶縁樹脂に接着剤を塗布したオーバーレイフィルムを貼付または、インクを直接支持基材に印刷する方法などがある。この表面被覆104にはメッキなどの表面処理用に表面被覆開口部105を設けてもよい。次いで、支持基材102側の面から、配線パターン103が露出するまで、支持基材開口部106を形成する (図1(d))。
【0015】
この際、レーザー法を用いると開口部を容易に形成することができ、かつ小径もあけることができる。更に、過マンガン酸カリウム水溶液によるウェットデスミア又はプラズマによるドライデスミアなどの方法により、支持基材開口部106内に残存している樹脂を除去すると層間接続の信頼性が向上し好ましい。この支持基材開口部106内に導体2層ポスト107が支持基材102の面から突出するまで形成する(図1(f))。導体2層ポスト107の形成方法としては、ペースト又はメッキ法などで、銅ポスト108を形成後(図1(e))、金属又は合金にて被覆する。金属としては、金、銀、ニッケル、錫、鉛、亜鉛、ビスマス、アンチモン、の少なくとも1種類からなり、単層又は2層以上であってもよい。合金としては錫、鉛、銀、亜鉛、ビスマス、アンチモン、銅から選ばれた少なくとも2種類以上の金属で構成される半田である。例えば錫−鉛系、錫−銀系、錫−亜鉛系、錫−ビスマス系、錫−アンチモン、錫−銀−ビスマス系、錫−銅系等があるが、半田の金属組合せや組成に限定されず、最適なものを選択すればよい。厚みは0.05μm以上好ましくは0.5μm以上である。この時同時に表面被覆開口部105の表面にも前記同様の半田又は金属や合金により表面処理109してもよい。次に、支持基材102の導体2層ポスト107が突出した面にフラックス機能付き接着剤層111を形成する(図1(g))。このフラックス機能付き接着剤層はポストと接続するためのパッドを有する内層フレキシブル配線板220(図2(d))に形成しても差し支えはない。このフラックス機能付き接着剤層は印刷法により支持基材102にフラックス機能付き接着剤を塗布する方法などがあるが、シート状になった接着剤を支持基材102にラミネートする方法が簡便である。最後に、多層部のサイズに応じて切断し、個片の外層片面配線板120を得る(図1(g))。
また、この外層片面配線板120の製法としては片面積層板110に先に支持基材開口部106を形成し、導体2層ポスト107を形成後、配線パターン103を形成し、配線パターンに表面被覆104を施してもよい。
【0016】
本発明に用いるフラックス機能付き接着剤は、金属表面の清浄化機能、例えば、金属表面に存在する酸化膜の除去機能や、酸化膜の還元機能を有した接着剤であり、第1の好ましい接着剤の構成としては、フェノール性水酸基を有するフェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、アルキルフェノールノボラック樹脂、レゾール樹脂、ポリビニルフェノール樹脂などの樹脂(A)と、前記樹脂の硬化剤(B)を含むものである。硬化剤としては、ビスフェノール系、フェノールノボラック系、アルキルフェノールノボラック系、ビフェノール系、ナフトール系、レゾルシノール系などのフェノールベースや、脂肪族、環状脂肪族や不飽和脂肪族などの骨格をベースとしてエポキシ化されたエポキシ樹脂やイソシアネート化合物が挙げられる。
【0017】
フェノール性水酸基を有する樹脂の配合量は、全接着剤中20重量%以上〜80重量%以下が好ましく、20重量%未満だと金属表面を清浄化する作用が低下し、80重量%を越えると十分な硬化物を得られず、その結果として接合強度と信頼性が低下するおそれがあり好ましくない。一方、硬化剤として作用する樹脂或いは化合物は、全接着剤中20重量%以上〜80重量%以下が好ましい。接着剤には、必要に応じて着色剤、無機充填材、各種のカップリング剤、溶媒などを添加してもよい。
【0018】
第2の好ましい接着剤の構成としては、ビスフェノール系、フェノールノボラック系、アルキルフェノールノボラック系、ビフェノール系、ナフトール系、レゾルシノール系などのフェノールベースや、脂肪族、環状脂肪族や不飽和脂肪族などの骨格をベースとしてエポキシ化されたエポキシ樹脂(C)と、イミダゾール環を有し、かつ前記エポキシ樹脂の硬化剤(D)を含むものである。イミダゾール環を有する硬化剤としては、イミダゾール、2−メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、1−ベンジル−2−メチルイミダゾール、2−ウンデシルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、ビス(2−エチル−4−メチル−イミダゾール)などが挙げられる。
【0019】
エポキシ樹脂の配合量は、全接着剤中30重量%以上〜99重量%以下が好ましく、30重量未満だと十分な硬化物が得られないおそれがあり好ましくない。上記2成分以外に、シアネート樹脂、アクリル酸樹脂、メタクリル酸樹脂、マレイミド樹脂などの熱硬化性樹脂や熱可塑性樹脂を配合してもよい。又、必要に応じて着色剤、無機充填材、各種のカップリング剤、溶媒などを添加してもよい。イミダゾール環を有し、かつ前記エポキシ樹脂の硬化剤となるものの配合量としては、全接着剤中1重量%以上〜10重量%以下が好ましく、1重量%未満だと金属表面を清浄化する作用が低下し、エポキシ樹脂を十分に硬化させないおそれがあり好ましくない。10重量%を越えると硬化反応が急激に進行し、接着剤層の流動性が劣るおそれがあり好ましくない。
【0020】
接着剤の調整方法は、例えば固形のフェノール性水酸基を有する樹脂(A)と、固形の硬化剤として作用する樹脂(B)を溶媒に溶解して調整する方法、固形のフェノール性水酸基を有する樹脂(A)を液状の硬化剤として作用する樹脂(B)に溶解して調整する方法、固形の硬化剤として作用する樹脂(B)を液状のフェノール性水酸基を有する樹脂(B)に溶解して調整する方法、又固形のエポキシ樹脂(C)を溶媒に溶解した溶液に、イミダゾール環を有し、かつエポキシ樹脂の硬化剤として作用する化合物(D)を分散もしくは溶解する方法などが挙げられる。使用する溶媒としては、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサン、トルエン、ブチルセルソブル、エチルセロソブル、N−メチルピロリドン、γ−ブチルラクトンなどが挙げられる。好ましくは沸点が200℃以下の溶媒である。
【0021】
ステップBの内層フレキシブル配線板220を加工する方法としては、ポリイミドなどの、通常フレキシブル配線板に用いられる耐熱性樹脂202と銅箔201からなる両面板210を準備する(図2(a))。両面板210は、フレキシブル部の素材となり、銅箔201と耐熱性樹脂202の間には、屈曲性・折り曲げ性を高めるために接着剤層は存在しない方が好ましいが存在しても構わない。この両面板210にスルーホール203にて表裏の電気的導通を形成した(図2(b))後、エッチングにより、配線パターン204及び導体2層ポスト107を受けることができるパッド205を形成する(図2(c))。その後、フレキシブル部330に相当する部分の配線パターン203にポリイミドなどからなる表面被覆206(図2(d))を施し、内層フレキシブル配線板を形成する。表面被覆206にはパッド205上に表面被覆開口部207を形成する。さらに、開口部分には半田メッキ又は半田ペースト、半田ボールにより表面処理208を実施する(図2(e))。このメッキの厚みは5μm以上、好ましくは表面被覆205高さと比べ同じもしくは2μmほど低くつけることが好ましい。表面処理は、金属又は合金で行なう。金属としては、特に限定しないが、錫が融点が低いため好ましい。合金としては、錫、鉛、銀、亜鉛、ビスマス、アンチモン、銅から選ばれた少なくとも2種類以上の金属で構成される半田である。例えば錫−鉛系、錫−銀系、錫−亜鉛系、錫−ビスマス系、錫−アンチモン、錫−銀−ビスマス系、錫−銅系等があるが、半田の金属組合せや組成に限定されず、最適なものを選択すればよい。この表面処理を厚くすることで2層ポストの高さを低くすることができ、かつ接続時に熔融した表面処理部208に2層ポスト107が進入、浸漬され接続することができるため、2層ポストを作製する工程を短縮することができ、かつ2層ポストの高さにばらつきがあっても、この表面処理208の厚みにより緩衝させることができ、接続信頼性が向上する。
又、積層前に内層フレキシブル配線板を個片に裁断しても問題はない。
【0022】
ステップCの多層フレキシブル配線板310を形成する方法としては、個片の外層片面配線板120を内層フレキシブル配線板220にレイアップする。その際の位置合わせは、各層の配線パターンに予め形成されている位置決めマークを画像認識装置により読み取り位置合わせする方法、位置合わせ用のピンで位置合わせする方法を用いることができる。その後、半田接合が可能な温度に加熱して、導体2層ポスト107が、フラックス機能付き接着剤層111を介して、導体2層ポスト107と内層フレキシブル配線板220のパッド部分205の半田208が熔融接合するまで熱圧着し、次に半田の熔融しない温度で再加熱してフラックス機能付き接着剤層111を硬化させて層間を接着させることにより、外層片面配線板120及び内層フレキシブル配線板220を積層する(図3(b))。各層を積層する方法として、真空プレス又は熱ラミネートとベーキングを併用する方法等を用いることができる。
【0023】
以上図1〜図3を用いて、多層部が4層の構成について説明したが、本発明には内層フレキシブル配線板の片面のみにパッドを設け、該パッド上に外層片面配線板の個片を1個レイアップした内層フレキシブル配線板を片面とした場合の2層の構成や内層フレキシブル配線板を両面とした3層の構成のもの、また、片面配線板の個片を順次レイアップした3層以上の多層フレキシブル配線板も含まれる。次に多層部が6層の場合を説明する。
【0024】
ステップA、ステップBにより得られる6層の場合最外層となる片面積層板110と中心層になる内層フレキシブル配線板220とは4層で使用するものと同じものを用いるが、最外層と中心層の間にくる層はステップD(図4)として内層フレキシブル配線板420を形成する。
【0025】
ステップDの内層フレキシブル配線板420を加工する方法としては、ポリイミド樹脂、エポキシ樹脂などの樹脂を硬化させた絶縁材からなる支持基材402の片面に銅箔401が付いた片面積層板410を準備する(図4(a)) 。この際、支持基材と銅箔との間には、導体接続の妨げとなるスミアの発生を防ぐため、銅箔と支持基材を貼り合わせるための接着剤層は存在しない方が好ましいが、接着剤を使い貼りあわせたものでも問題はない。この支持基材402の片面にある銅箔401をエッチングにより配線パターン403及び導体2層ポスト107を受けることができるパッド404を形成する(図4(b))。配線パターンに表面被覆405を施す。この表面被覆405は絶縁樹脂に接着剤を塗布したオーバーレイフィルムを貼り付ける。この表面被覆405には2層ポスト107を受けることができる表面被覆開口部406を形成する(図4(c))。次いで、支持基材402側の面から、配線パターン403が露出するまで、支持基材開口部407を形成する (図4(d))。
【0026】
この際、レーザー法を用いると開口部を容易に形成することができ、かつ小径もあけることができる。更に、過マンガン酸カリウム水溶液によるウェットデスミア又はプラズマによるドライデスミアなどの方法により、支持基材開口部407内に残存している樹脂を除去すると、層間接続の信頼性が向上し好ましい。この支持基材開口部407内に導体2層ポスト408が支持基材402の面から突出するまで形成する(図4 (f))。導体2層ポスト408の形成方法としては、ペースト又はメッキ法などで、銅ポスト409を形成(図4(e))し、金属又は合金にて被覆する(図4 (f))。金属としては、金、銀、ニッケル、錫、鉛、亜鉛、ビスマス、アンチモンの少なくとも1種類からなり、単層又は2層以上であってもよい。合金としては錫、鉛、銀、亜鉛、ビスマス、アンチモン、銅から選ばれた少なくとも2種類以上の金属で構成される半田である。例えば錫−鉛系、錫−銀系、錫−亜鉛系、錫−ビスマス系、錫−アンチモン、錫−銀−ビスマス系、錫−銅系等があるが、半田の金属組合せや組成に限定されず、最適なものを選択すればよい。厚みは0.05μm以上好ましくは0.5μm以上あればよい。表面被覆開口部406には半田メッキ又は半田ペースト、半田ボールにより表面処理411を実施する(図4(f))。この表面処理の厚みは5μm以上、好ましくは表面被覆405高さと比べ同じもしくは2μmほど低くつけることが好ましい。表面処理は、金属又は合金で行なう。金属としては、特に限定しないが、錫が融点が低いため好ましい。合金としては、錫、鉛、銀、亜鉛、ビスマス、アンチモン、銅から選ばれた少なくとも2種類以上の金属で構成される半田である。例えば錫−鉛系、錫−銀系、錫−亜鉛系、錫−ビスマス系、錫−アンチモン、錫−銀−ビスマス系、錫−銅系等があるが、半田の金属組合せや組成に限定されず、最適なものを選択すればよい。
次に内層フレキシブル配線板は積層前に個片に裁断しても問題はない。
【0027】
次いで支持基材402の導体2層ポスト408が突出した面にフラックス機能付き接着剤層412を形成する(図4(g))。このフラックス機能付き接着剤層は状況に応じポストと接続するためのパッドを有する側に形成しても差し支えはない。各層間の接続に1層これが入ればよい。このフラックス機能付き接着剤層は印刷法により支持基材402にフラックス機能付き接着剤を塗布する方法などがあるが、シート状になった接着剤を支持基材402にラミネートする方法が簡便である。最後に、多層部のサイズに応じて切断し、個片の外層片面配線板420を得る(図4(g))。
また、この内層フレキシブル配線板420の製法としては片面積層板410に先に支持基材開口部407を形成し、導体2層ポスト408を形成後、配線パターン403を形成し、配線パターンに表面被覆405を施してもよい。
【0028】
ステップEの多層フレキシブル配線板510を形成する方法としては、中心層の内層フレキシブル配線板220に内層フレキシブル配線板420をレイアップし、さらにその外側に最外層となる片面配線板120をレイアップする。
7層以上の場合は、この内層フレキシブル配線板420を所望する枚数積層させればよい。
多層化の熱圧着方法については、特に限定しないが中心層になる内層フレキシブル配線板の個片をレイアップするごとに熱圧着してもよいし、全ての外層片面配線板の個片をレイアップした後、一括して熱圧着してもよい。また、レイアップの仮接着時に、半田の融点を越える熱を加えることにより、2層ポストと接続されるパッド部の半田が熔融し接合させた後、融点以下の温度によりこの層間接着剤を硬化させ、積層させることもできる。
【0029】
実施例1
[外層片面板の作成]
厚み60μmのエポキシ樹脂を硬化させた絶縁材からなる支持基材102(住友ベークライト製 スミライトAPL−4001)上に厚み12μmの銅箔101が付いた片面積層板110をエッチングし、配線パターン103を形成し、液状レジスト(日立化成製 SR9000W)を印刷し、表面被膜104を施す。次いで、支持基材102側の面から、CO2レーザーにより100μm径の支持基材開口部106を形成し、過マンガン酸カリウム水溶液によるデスミアを施す。この支持基材開口部106内に電解銅メッキを施し高さ100μmとした後、半田メッキ厚み10μmを施し、導体2層ポスト107を形成する。次に、支持基材102の導体2層ポスト107が突出した面に厚み20μmの熱硬化性のフラックス機能付き接着剤シート(住友ベークライト製 層間接着シート RCF)をラミネートし、フラックス機能付き接着剤層111を形成する。最後に、積層部のサイズに外形加工し、外層片面配線板120を得た。
【0030】
[内層フレキシブル配線板の作成]
銅箔201が18μm、支持基材202がポリイミドフィルム厚み25μmの2層両面板210(新日鐵化学製 エスパネックス SB−18−25−18FR)を、ドリルによる穴明け後、ダイレクトメッキし、電解銅メッキによりスルーホール203を形成し表裏の電気的導通を形成した後、エッチングにより、配線パターン204及び導体2層ポスト107を受けることができるパッド205を形成する。その後、配線パターン203に、厚み25μmのポリイミド(鐘淵化学工業製 アピカルNPI)に厚み25μmの熱硬化性接着剤(自社開発材料)により表面被覆206を形成する。次にパッド205を開口するためCO2レーザーにて孔明けし、デスミアを行い、表面被覆開口部207を作製する。次いでこの開口部に表面処理208として厚み45μmの半田メッキを形成し、シートに面付けされた内層フレキシブル配線板220を形成する。
【0031】
[多層フレキシブル配線板の作成]
外層片面配線板120を内層フレキシブル配線板220に、位置合わせ用のピンガイド付き治具を用いてレイアップした。その後、真空式加圧ラミネーターで130℃、0.6MPa、30秒で仮接着した後、油圧式プレスで250℃、1.0MPaで3分間プレスし、フラックス機能付き接着剤層111を介して、導体2層ポスト107が、内層フレキシブル配線板220のパッド205部の表面処理208の半田と熔融接合し金属接合を形成し、次いで温度を150℃、2MPa、60分間加熱し、層間を積層した多層フレキシブル配線板310を得た。
【0032】
実施例2
外層片面配線板作製の際、支持基材開口部106の径を最小50μmまで変化させて、導体2層ポスト107を形成した以外は、実施例1と同様の方法で得られた多層フレキシブル配線板。
【0033】
実施例3
外層片面配線板作製の際、銅ポスト108を形成する工程で無電解銅メッキを施した後、電解銅メッキを行い、更に半田メッキにより導体2層ポストを形成した以外は、実施例1と同様の方法で得られた多層フレキシブル配線板。
【0034】
実施例4
内層フレキシブル配線板作製の際、パッド205上に表面被覆開口部207が一致するようにあらかじめ金型にて打抜き加工し穴あけをしたカバーレイにより、全面に表面被覆206を形成した以外、実施例1と同様の方法で得られた多層フレキシブル配線板。
【0035】
実施例5
多層フレキシブル配線板作成のため積層する際、仮接着を0.3MPaで行った以外、実施例1と同様の方法で得られた多層フレキシブル配線板。
【0036】
比較例1
外層片面板120のフラックス機能付接着剤シート111をフラックス機能のない一般的な接着剤シート(デュポン製 パイララックスLF100)に変更した以外、実施例1と同様の方法で得られた多層フレキシブル配線板。
【0037】
比較例2
内層両面板220のパッド部205上の半田メッキ208を3μmとした以外、実施例1と同様の方法で得られた多層フレキシブル配線板。
【0038】
実施例1〜5の多層フレキシブル配線板は、金属同士で層間接続部が確実に金属接合されており、温度サイクル試験では、断線不良の発生がなく、金属接合部の接合状態も良好で、絶縁抵抗試験でも絶縁抵抗が上昇しなかった。又外層片面配線板を個片に裁断することにより、シート状で積層した場合よりも積層の位置精度が上がり、歩留が向上した。しかし、比較例1の場合、2層ポストと受けパッドとが金属接合がなされなかった。また、比較例2は2層ポストとパッドの接続部分が初期においてはなされたが、温度サイクル試験(高温150℃1時間処理後、低温―40℃1時間処理を交互に繰り返し100サイクル行った)で抵抗値の上昇及び断線が発生した。
【0039】
【発明の効果】
本発明に従うと、金属表面の清浄化機能を有した層間接着剤を用いることで配線板の積層における金属接合部を信頼性高く接続することができ、外層片面配線板表面上にはスルーホール等接続用の穴がないため高密度の回路配線や高密度に部品を実装することができ、更に個片の配線板を積層することにより良品のみを積層することができるため歩留よく多層フレキシブル配線板を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の片面配線板とその製造方法を説明するための断面図。
【図2】本発明のフレキシブル配線板とその製造方法を説明するための断面図。
【図3】本発明の4層構成の多層フレキシブル配線板とその製造方法を説明するための断面図。
【図4】本発明の片面配線板とその製造方法を説明するための断面図。
【図5】本発明の6層構成の多層フレキシブル配線板とその製造方法を説明するための断面図。
【符号の説明】
101、201、401:銅箔
102、202、402:支持基材
103、204、403:配線パターン
104、206、405:表面被覆
105、207、406:表面被覆開口部
106、407:支持基材開口部
107、408:導体2層ポスト
108、409:銅ポスト
109、208、411:表面処理
110:片面積層板
111、412:フラックス機能付き接着剤層
120:外層片面配線板
203:スルーホール
205、404:パッド
210:両面板
220:内層フレキシブル配線板
310:多層フレキシブル配線板(4層)
320、520:多層部
330、530:フレキシブル部
410:片面積層板
420:内層フレキシブル配線板
510:多層フレキシブル配線板(6層)
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子機器の部品として用いられる多層フレキシブル配線板及びその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年の電子機器の高密度化に伴い、これに用いられるプリント配線板の多層化が進んでおり、フレキシブル配線板も多層構造のものが多用されている。このプリント配線板はフレキシブル配線板とリジッド配線板との複合基板であるリジッドフレックス配線板であり、用途が拡大している。
【0003】
従来の多層フレキシブル配線板やリジッドフレックス配線板の製造方法は、多層リジッド配線板の製造方法と類似している。即ち、パターニングされた銅箔と絶縁層を交互に複数積み重ねた積層板を形成し、該積層板に層間接続用の貫通孔をあけ、該貫通孔に層間接続用メッキを施した後、最外層の回路等の加工を行う方法が主流であった。しかし、更なる搭載部品の小型化・高密度化が進み、全層を通して同一の個所に各層の接続ランド及び貫通穴をあける従来の技術では、設計上配線密度が不足して、部品の搭載に問題が生じるようになってきている。
【0004】
このような背景により、近年多層リジッド配線板では、新しい積層技術としてビルドアップ法が採用されている。ビルドアップ法とは、樹脂のみで構成される絶縁層と導体とを積み重ねながら、単層間で層間接続をする方法である。層間接続方法としては、従来のドリル加工に代わって、レーザー法、プラズマ法やフォト法など、多岐にわたり、小径のビアホールを自由に配置することで高密度化を達成するものである。
【0005】
ビルドアップ法は、絶縁層にビアを形成してから層間接続する方法と、層間接続部を形成してから絶縁層を積層する方法とに大別される。又層間接続部は、ビアホールをメッキで形成する場合と、導電性ペーストなどで形成する場合とに分けられ、使用される絶縁材料やビア形成方法により、更に細分化される。
【0006】
その中でも、絶縁層に層間接続用の微細ビアをレーザーで形成し、ビアホールを銅ペースト等の導電性接着剤で穴埋めし、この導電性接着剤により電気的接続を得る方法では、ビアの上にビアを形成するスタックドビアが可能なため、高密度化はもちろんのこと、配線設計も簡易化することができる。しかし、この方法では、層間の電気的接続を導電性接着剤で行っているため、信頼性が十分ではない。又、微細なビアに導電性接着剤を埋め込む高度な技術も必要となり、更なる微細化に対応することが困難である。又、配線パターン上に金属からなる突起物を形成し、積層により絶縁層をこの突起物が貫通し、厚み方向に隣り合った層の配線パターンと接触させ、層間接続する方法もある。しかし、この方法では、層間接続が物理的接触のみであり、その接触を維持する手段がなく、信頼性が低いと考えられる。そこで、信頼性の改善策として、金属突起物上に絶縁樹脂の硬化温度より高い熔融温度を有する半田層を形成し、積層により未硬化の絶縁層を貫通し、更に半田層を熔融・冷却することで半田接合を形成する方法もある。しかし、突起先端の半田層と導電体回路層の表面が十分に清浄化、即ち表面酸化物の除去や還元がされていないと、半田が濡れ広がることができないため、半田接合が不十分となり、この方法でも信頼性が低いと考えられる。
また、多層フレキシブル配線板は層間接着するために熱硬化型接着剤を使用しているが、これまでの技術では単純にポスト部分が接着剤を物理的に排除し接続パッド上まで達し接続する等の方法もあるが、これでも完全に接続ポストとパッド間の接着剤を除去することは難しく、信頼性が低いと考えられる。さらに、接続ポストを形成するための方法としてメッキを用いた場合、このポストは片面配線板の基材厚みに接続させるパッドを有するフレキシブル配線板の表面被覆材の厚みにさらに、層間の接着剤厚を加えたメッキ厚をつけなくてはならず、このポスト形成のメッキ工程は長時間にわたる効率の悪い工程となる。
【0007】
又、前記した層間接続を形成する場合は、通常、貫通孔又はビアホールに銅メッキを施す。しかし、層間接続を樹脂のみで形成する絶縁層の素材は、熱により厚みが変化し銅メッキでは耐えられなくなり、接続が断裂して、信頼性が低下する場合がある。又、貫通孔或いはビアホールを形成する際に発生する樹脂の染み出しなどが原因であるスミアが障害となり、層間接続が十分に取れず、信頼性が低下する。
【0008】
多層フレキシブル配線板やリジッドフレックス配線板と、多層リジッド配線板との最大の相違点は、フレキシブルな部分の有無である。このフレキシブルな部分は、自由に可撓できるように、層数を少なくする必要がある。このフレキシブルな部分の作製では、フレキシブルな部分が積層されないように外層を除くか、或いは積層後外層を除かなければならない。どちらにしても、フレキシブルな部分の外層は不要となり、多層フレキシブル配線板内のフレキシブル部分の占める割合が多くなるにつれて除去される多層部面積は増加し、コストアップにつながり、不経済となる。
【0009】
フレキシブル配線板を安価に製造するために、複数のパターンを1枚のシートに配置して作成する。そのため、多層フレキシブル配線板も同様の製造方法を経ることで、安価に製造することができる。しかし、現状の製造方法では、特に一般的に用いられる層間の接続方法としては、スルーホールが全層を貫く形で各層間を接続する手法が用いられる。しかし、この接続方法では、加工方法が簡単ではあるが回路の設計上非常に制約が多くなる。また最も劣る点としては、スルーホールで全層を接続するため、最外層はスルーホールが多くなりまたスルーホールランドが占める面積割合も増えるため、部品の実装、回路のパターンに致命的となる回路密度を上げることができない。また、今後の市場要求が高まる高密度実装、高密度パターンの作製が困難な仕様となる。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記の問題を解決させるため、確実に層間接続を達成でき、かつ信頼性が高く外層配線板を積層することができる多層フレキシブル配線板及びその製造方法を提供するものである。
【0011】
【課題を解決させるための手段】
本発明は、
[1] 絶縁材からなる支持基材の片側に配線パターンと、該配線パターンから該支持基材の該配線パターンとは反対側の片面に突出した銅と金属または銅と合金からなる導体2層ポストとを有し、多層部に必要な大きさに切断された個片である片面配線板、少なくとも片面に該導体2層ポストと接続するための厚みが5μm以上の金属または合金の被覆を施したパッドを有する配線パターンで構成されたフレキシブル配線板、及びフラックス機能付き接着剤層とを有し、該フラックス機能付き接着剤層を介して片面配線板とフレキシブル配線板を接着し、該導体2層ポストと該パッドを金属又は合金で接合した構造を有することを特徴とする多層フレキシブル配線板、
[2] 前記フレキシブル配線板が、切断された個片である第1項に記載の多層フレキシブル配線板、
[3] 前記フレキシブル配線板が、前記導体2層ポストと接続するためのパッド上に開口部を有する表面被覆材が構成されている第1又は2項記載の多層フレキシブルプリント配線板、
[4] 金属が金、銀、ニッケル、錫、鉛、亜鉛、ビスマス、アンチモン、銅の少なくとも1種類からなる第1乃至3項いずれか記載の多層フレキシブルプリント配線板。
[5] 合金が、錫、鉛、銀、亜鉛、ビスマス、アンチモン、銅の少なくとも2種類からなる第1乃至4項いずれか記載の多層フレキシブルプリント配線板、
[6] 絶縁材からなる支持基材の片側に配線パターンを形成する工程、前記支持基材を穴あけした後、配線パターンの反対側の片面に突出した銅と金属または銅と合金からなる導体2層ポストを形成する工程、前記支持基材の前記導体2層ポストが突出した全面に、フラックス機能付き接着剤層を形成する工程、前記支持基材を多層部に必要な大きさに切断し、片面配線板を形成する工程、少なくとも片面に前記導体2層ポストと接合するための厚みが5μm以上の金属又は合金で被覆されたパッドを有する配線パターンからなるフレキシブル配線板を形成する工程、前記導体2層ポストと前記パッドとを前記フラックス機能付き接着剤層を介して熱圧着する工程を含むことを特徴とする多層フレキシブル配線板の製造方法、
[7] 絶縁材からなる支持基材の片側に配線パターンを形成する工程、前記支持基材を穴あけした後、配線パターンの反対側の片面に突出した銅と金属または銅と合金からなる導体2層ポストを形成する工程、前記支持基材を多層部に必要な大きさに切断し、片面配線板を形成する工程、少なくとも片面に前記導体2層ポストと接合するための金属又は合金被覆されたパッドを有する配線パターンからなるフレキシブル配線板を形成する工程、このフレキシブル配線板のパッドを有する配線パターン側にフラックス機能付き接着剤層を全面に形成する工程、前記導体2層ポストと前記パッドとを前記フラックス機能付き接着剤層を介して熱圧着する工程を含むことを特徴とする多層フレキシブル配線板の製造方法、
[8] 第6又は7項記載の製造方法により得られることを特徴とする多層フレキシブル配線板、
である。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、図面に基づき本発明の実施形態について説明するが、本発明はこれに何ら限定されるものではない。
【0013】
図1〜図5は、本発明の実施形態である多層フレキシブル配線板及びその製造方法の例を説明する図であり、図3(b)は、多層部320とフレキシブル部330を併せ持つ4層の多層フレキシブル配線板310であり、図5(b)は多層部520とフレキシブル部530を併せ持つ6層の多層フレキシブル配線板510である本発明で得られる多層フレキシブル配線板の構造を示す断面図である。本発明の多層フレキシブル配線板の製造方法として、先ず、4層フレキシブル配線板の一例を説明する。ステップA(図1)として、外層片面配線板120を形成する。続いて、ステップB(図2)として内層フレキシブル配線板220を形成する。最後に、ステップC(図3)として、内層フレキシブル配線板220に外層片面配線板120を積層し、多層フレキシブル配線板310を形成する。以上、3ステップに分けることができる。
5層以上の場合前記ステップAで作成した片面配線板120を最外層の配線板として用いる。外側から第2層以降から中心層の両面板間まではステップD(図4)として内層フレキシブル配線板420を形成し用い、前記ステップBで形成した内層フレキシブル配線板220を中心層の配線板として用いる。これらをステップEとして、内層フレキシブル配線板220を中心層に内層フレキシブル配線板420と最外層に片面配線板120を積層し、多層フレキシブル配線板510を形成する。5層以上の場合、最外層となる片面配線板120と中心層となる内層フレキシブル配線板220の間に内層フレキシブル配線板420を所望する層数、積層すれば良い。
【0014】
ステップAの外層片面配線板120を加工する方法として、ポリイミド樹脂、エポキシ樹脂などの樹脂を硬化させた絶縁材からなる支持基材102の片面に銅箔101が付いた片面積層板110を準備する (図1(a))。この際、支持基材と銅箔との間には、導体接続の妨げとなるスミアの発生を防ぐため、銅箔と支持基材を貼り合わせるための接着剤層は存在しない方が好ましいが、接着剤を使い貼りあわせたものでもよい。この支持基材102の片面にある銅箔101をエッチングにより配線パターン103を形成し(図1(b))、配線パターンに表面被覆104を施す(図1(c))。この表面被覆104は絶縁樹脂に接着剤を塗布したオーバーレイフィルムを貼付または、インクを直接支持基材に印刷する方法などがある。この表面被覆104にはメッキなどの表面処理用に表面被覆開口部105を設けてもよい。次いで、支持基材102側の面から、配線パターン103が露出するまで、支持基材開口部106を形成する (図1(d))。
【0015】
この際、レーザー法を用いると開口部を容易に形成することができ、かつ小径もあけることができる。更に、過マンガン酸カリウム水溶液によるウェットデスミア又はプラズマによるドライデスミアなどの方法により、支持基材開口部106内に残存している樹脂を除去すると層間接続の信頼性が向上し好ましい。この支持基材開口部106内に導体2層ポスト107が支持基材102の面から突出するまで形成する(図1(f))。導体2層ポスト107の形成方法としては、ペースト又はメッキ法などで、銅ポスト108を形成後(図1(e))、金属又は合金にて被覆する。金属としては、金、銀、ニッケル、錫、鉛、亜鉛、ビスマス、アンチモン、の少なくとも1種類からなり、単層又は2層以上であってもよい。合金としては錫、鉛、銀、亜鉛、ビスマス、アンチモン、銅から選ばれた少なくとも2種類以上の金属で構成される半田である。例えば錫−鉛系、錫−銀系、錫−亜鉛系、錫−ビスマス系、錫−アンチモン、錫−銀−ビスマス系、錫−銅系等があるが、半田の金属組合せや組成に限定されず、最適なものを選択すればよい。厚みは0.05μm以上好ましくは0.5μm以上である。この時同時に表面被覆開口部105の表面にも前記同様の半田又は金属や合金により表面処理109してもよい。次に、支持基材102の導体2層ポスト107が突出した面にフラックス機能付き接着剤層111を形成する(図1(g))。このフラックス機能付き接着剤層はポストと接続するためのパッドを有する内層フレキシブル配線板220(図2(d))に形成しても差し支えはない。このフラックス機能付き接着剤層は印刷法により支持基材102にフラックス機能付き接着剤を塗布する方法などがあるが、シート状になった接着剤を支持基材102にラミネートする方法が簡便である。最後に、多層部のサイズに応じて切断し、個片の外層片面配線板120を得る(図1(g))。
また、この外層片面配線板120の製法としては片面積層板110に先に支持基材開口部106を形成し、導体2層ポスト107を形成後、配線パターン103を形成し、配線パターンに表面被覆104を施してもよい。
【0016】
本発明に用いるフラックス機能付き接着剤は、金属表面の清浄化機能、例えば、金属表面に存在する酸化膜の除去機能や、酸化膜の還元機能を有した接着剤であり、第1の好ましい接着剤の構成としては、フェノール性水酸基を有するフェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、アルキルフェノールノボラック樹脂、レゾール樹脂、ポリビニルフェノール樹脂などの樹脂(A)と、前記樹脂の硬化剤(B)を含むものである。硬化剤としては、ビスフェノール系、フェノールノボラック系、アルキルフェノールノボラック系、ビフェノール系、ナフトール系、レゾルシノール系などのフェノールベースや、脂肪族、環状脂肪族や不飽和脂肪族などの骨格をベースとしてエポキシ化されたエポキシ樹脂やイソシアネート化合物が挙げられる。
【0017】
フェノール性水酸基を有する樹脂の配合量は、全接着剤中20重量%以上〜80重量%以下が好ましく、20重量%未満だと金属表面を清浄化する作用が低下し、80重量%を越えると十分な硬化物を得られず、その結果として接合強度と信頼性が低下するおそれがあり好ましくない。一方、硬化剤として作用する樹脂或いは化合物は、全接着剤中20重量%以上〜80重量%以下が好ましい。接着剤には、必要に応じて着色剤、無機充填材、各種のカップリング剤、溶媒などを添加してもよい。
【0018】
第2の好ましい接着剤の構成としては、ビスフェノール系、フェノールノボラック系、アルキルフェノールノボラック系、ビフェノール系、ナフトール系、レゾルシノール系などのフェノールベースや、脂肪族、環状脂肪族や不飽和脂肪族などの骨格をベースとしてエポキシ化されたエポキシ樹脂(C)と、イミダゾール環を有し、かつ前記エポキシ樹脂の硬化剤(D)を含むものである。イミダゾール環を有する硬化剤としては、イミダゾール、2−メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、1−ベンジル−2−メチルイミダゾール、2−ウンデシルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、ビス(2−エチル−4−メチル−イミダゾール)などが挙げられる。
【0019】
エポキシ樹脂の配合量は、全接着剤中30重量%以上〜99重量%以下が好ましく、30重量未満だと十分な硬化物が得られないおそれがあり好ましくない。上記2成分以外に、シアネート樹脂、アクリル酸樹脂、メタクリル酸樹脂、マレイミド樹脂などの熱硬化性樹脂や熱可塑性樹脂を配合してもよい。又、必要に応じて着色剤、無機充填材、各種のカップリング剤、溶媒などを添加してもよい。イミダゾール環を有し、かつ前記エポキシ樹脂の硬化剤となるものの配合量としては、全接着剤中1重量%以上〜10重量%以下が好ましく、1重量%未満だと金属表面を清浄化する作用が低下し、エポキシ樹脂を十分に硬化させないおそれがあり好ましくない。10重量%を越えると硬化反応が急激に進行し、接着剤層の流動性が劣るおそれがあり好ましくない。
【0020】
接着剤の調整方法は、例えば固形のフェノール性水酸基を有する樹脂(A)と、固形の硬化剤として作用する樹脂(B)を溶媒に溶解して調整する方法、固形のフェノール性水酸基を有する樹脂(A)を液状の硬化剤として作用する樹脂(B)に溶解して調整する方法、固形の硬化剤として作用する樹脂(B)を液状のフェノール性水酸基を有する樹脂(B)に溶解して調整する方法、又固形のエポキシ樹脂(C)を溶媒に溶解した溶液に、イミダゾール環を有し、かつエポキシ樹脂の硬化剤として作用する化合物(D)を分散もしくは溶解する方法などが挙げられる。使用する溶媒としては、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサン、トルエン、ブチルセルソブル、エチルセロソブル、N−メチルピロリドン、γ−ブチルラクトンなどが挙げられる。好ましくは沸点が200℃以下の溶媒である。
【0021】
ステップBの内層フレキシブル配線板220を加工する方法としては、ポリイミドなどの、通常フレキシブル配線板に用いられる耐熱性樹脂202と銅箔201からなる両面板210を準備する(図2(a))。両面板210は、フレキシブル部の素材となり、銅箔201と耐熱性樹脂202の間には、屈曲性・折り曲げ性を高めるために接着剤層は存在しない方が好ましいが存在しても構わない。この両面板210にスルーホール203にて表裏の電気的導通を形成した(図2(b))後、エッチングにより、配線パターン204及び導体2層ポスト107を受けることができるパッド205を形成する(図2(c))。その後、フレキシブル部330に相当する部分の配線パターン203にポリイミドなどからなる表面被覆206(図2(d))を施し、内層フレキシブル配線板を形成する。表面被覆206にはパッド205上に表面被覆開口部207を形成する。さらに、開口部分には半田メッキ又は半田ペースト、半田ボールにより表面処理208を実施する(図2(e))。このメッキの厚みは5μm以上、好ましくは表面被覆205高さと比べ同じもしくは2μmほど低くつけることが好ましい。表面処理は、金属又は合金で行なう。金属としては、特に限定しないが、錫が融点が低いため好ましい。合金としては、錫、鉛、銀、亜鉛、ビスマス、アンチモン、銅から選ばれた少なくとも2種類以上の金属で構成される半田である。例えば錫−鉛系、錫−銀系、錫−亜鉛系、錫−ビスマス系、錫−アンチモン、錫−銀−ビスマス系、錫−銅系等があるが、半田の金属組合せや組成に限定されず、最適なものを選択すればよい。この表面処理を厚くすることで2層ポストの高さを低くすることができ、かつ接続時に熔融した表面処理部208に2層ポスト107が進入、浸漬され接続することができるため、2層ポストを作製する工程を短縮することができ、かつ2層ポストの高さにばらつきがあっても、この表面処理208の厚みにより緩衝させることができ、接続信頼性が向上する。
又、積層前に内層フレキシブル配線板を個片に裁断しても問題はない。
【0022】
ステップCの多層フレキシブル配線板310を形成する方法としては、個片の外層片面配線板120を内層フレキシブル配線板220にレイアップする。その際の位置合わせは、各層の配線パターンに予め形成されている位置決めマークを画像認識装置により読み取り位置合わせする方法、位置合わせ用のピンで位置合わせする方法を用いることができる。その後、半田接合が可能な温度に加熱して、導体2層ポスト107が、フラックス機能付き接着剤層111を介して、導体2層ポスト107と内層フレキシブル配線板220のパッド部分205の半田208が熔融接合するまで熱圧着し、次に半田の熔融しない温度で再加熱してフラックス機能付き接着剤層111を硬化させて層間を接着させることにより、外層片面配線板120及び内層フレキシブル配線板220を積層する(図3(b))。各層を積層する方法として、真空プレス又は熱ラミネートとベーキングを併用する方法等を用いることができる。
【0023】
以上図1〜図3を用いて、多層部が4層の構成について説明したが、本発明には内層フレキシブル配線板の片面のみにパッドを設け、該パッド上に外層片面配線板の個片を1個レイアップした内層フレキシブル配線板を片面とした場合の2層の構成や内層フレキシブル配線板を両面とした3層の構成のもの、また、片面配線板の個片を順次レイアップした3層以上の多層フレキシブル配線板も含まれる。次に多層部が6層の場合を説明する。
【0024】
ステップA、ステップBにより得られる6層の場合最外層となる片面積層板110と中心層になる内層フレキシブル配線板220とは4層で使用するものと同じものを用いるが、最外層と中心層の間にくる層はステップD(図4)として内層フレキシブル配線板420を形成する。
【0025】
ステップDの内層フレキシブル配線板420を加工する方法としては、ポリイミド樹脂、エポキシ樹脂などの樹脂を硬化させた絶縁材からなる支持基材402の片面に銅箔401が付いた片面積層板410を準備する(図4(a)) 。この際、支持基材と銅箔との間には、導体接続の妨げとなるスミアの発生を防ぐため、銅箔と支持基材を貼り合わせるための接着剤層は存在しない方が好ましいが、接着剤を使い貼りあわせたものでも問題はない。この支持基材402の片面にある銅箔401をエッチングにより配線パターン403及び導体2層ポスト107を受けることができるパッド404を形成する(図4(b))。配線パターンに表面被覆405を施す。この表面被覆405は絶縁樹脂に接着剤を塗布したオーバーレイフィルムを貼り付ける。この表面被覆405には2層ポスト107を受けることができる表面被覆開口部406を形成する(図4(c))。次いで、支持基材402側の面から、配線パターン403が露出するまで、支持基材開口部407を形成する (図4(d))。
【0026】
この際、レーザー法を用いると開口部を容易に形成することができ、かつ小径もあけることができる。更に、過マンガン酸カリウム水溶液によるウェットデスミア又はプラズマによるドライデスミアなどの方法により、支持基材開口部407内に残存している樹脂を除去すると、層間接続の信頼性が向上し好ましい。この支持基材開口部407内に導体2層ポスト408が支持基材402の面から突出するまで形成する(図4 (f))。導体2層ポスト408の形成方法としては、ペースト又はメッキ法などで、銅ポスト409を形成(図4(e))し、金属又は合金にて被覆する(図4 (f))。金属としては、金、銀、ニッケル、錫、鉛、亜鉛、ビスマス、アンチモンの少なくとも1種類からなり、単層又は2層以上であってもよい。合金としては錫、鉛、銀、亜鉛、ビスマス、アンチモン、銅から選ばれた少なくとも2種類以上の金属で構成される半田である。例えば錫−鉛系、錫−銀系、錫−亜鉛系、錫−ビスマス系、錫−アンチモン、錫−銀−ビスマス系、錫−銅系等があるが、半田の金属組合せや組成に限定されず、最適なものを選択すればよい。厚みは0.05μm以上好ましくは0.5μm以上あればよい。表面被覆開口部406には半田メッキ又は半田ペースト、半田ボールにより表面処理411を実施する(図4(f))。この表面処理の厚みは5μm以上、好ましくは表面被覆405高さと比べ同じもしくは2μmほど低くつけることが好ましい。表面処理は、金属又は合金で行なう。金属としては、特に限定しないが、錫が融点が低いため好ましい。合金としては、錫、鉛、銀、亜鉛、ビスマス、アンチモン、銅から選ばれた少なくとも2種類以上の金属で構成される半田である。例えば錫−鉛系、錫−銀系、錫−亜鉛系、錫−ビスマス系、錫−アンチモン、錫−銀−ビスマス系、錫−銅系等があるが、半田の金属組合せや組成に限定されず、最適なものを選択すればよい。
次に内層フレキシブル配線板は積層前に個片に裁断しても問題はない。
【0027】
次いで支持基材402の導体2層ポスト408が突出した面にフラックス機能付き接着剤層412を形成する(図4(g))。このフラックス機能付き接着剤層は状況に応じポストと接続するためのパッドを有する側に形成しても差し支えはない。各層間の接続に1層これが入ればよい。このフラックス機能付き接着剤層は印刷法により支持基材402にフラックス機能付き接着剤を塗布する方法などがあるが、シート状になった接着剤を支持基材402にラミネートする方法が簡便である。最後に、多層部のサイズに応じて切断し、個片の外層片面配線板420を得る(図4(g))。
また、この内層フレキシブル配線板420の製法としては片面積層板410に先に支持基材開口部407を形成し、導体2層ポスト408を形成後、配線パターン403を形成し、配線パターンに表面被覆405を施してもよい。
【0028】
ステップEの多層フレキシブル配線板510を形成する方法としては、中心層の内層フレキシブル配線板220に内層フレキシブル配線板420をレイアップし、さらにその外側に最外層となる片面配線板120をレイアップする。
7層以上の場合は、この内層フレキシブル配線板420を所望する枚数積層させればよい。
多層化の熱圧着方法については、特に限定しないが中心層になる内層フレキシブル配線板の個片をレイアップするごとに熱圧着してもよいし、全ての外層片面配線板の個片をレイアップした後、一括して熱圧着してもよい。また、レイアップの仮接着時に、半田の融点を越える熱を加えることにより、2層ポストと接続されるパッド部の半田が熔融し接合させた後、融点以下の温度によりこの層間接着剤を硬化させ、積層させることもできる。
【0029】
実施例1
[外層片面板の作成]
厚み60μmのエポキシ樹脂を硬化させた絶縁材からなる支持基材102(住友ベークライト製 スミライトAPL−4001)上に厚み12μmの銅箔101が付いた片面積層板110をエッチングし、配線パターン103を形成し、液状レジスト(日立化成製 SR9000W)を印刷し、表面被膜104を施す。次いで、支持基材102側の面から、CO2レーザーにより100μm径の支持基材開口部106を形成し、過マンガン酸カリウム水溶液によるデスミアを施す。この支持基材開口部106内に電解銅メッキを施し高さ100μmとした後、半田メッキ厚み10μmを施し、導体2層ポスト107を形成する。次に、支持基材102の導体2層ポスト107が突出した面に厚み20μmの熱硬化性のフラックス機能付き接着剤シート(住友ベークライト製 層間接着シート RCF)をラミネートし、フラックス機能付き接着剤層111を形成する。最後に、積層部のサイズに外形加工し、外層片面配線板120を得た。
【0030】
[内層フレキシブル配線板の作成]
銅箔201が18μm、支持基材202がポリイミドフィルム厚み25μmの2層両面板210(新日鐵化学製 エスパネックス SB−18−25−18FR)を、ドリルによる穴明け後、ダイレクトメッキし、電解銅メッキによりスルーホール203を形成し表裏の電気的導通を形成した後、エッチングにより、配線パターン204及び導体2層ポスト107を受けることができるパッド205を形成する。その後、配線パターン203に、厚み25μmのポリイミド(鐘淵化学工業製 アピカルNPI)に厚み25μmの熱硬化性接着剤(自社開発材料)により表面被覆206を形成する。次にパッド205を開口するためCO2レーザーにて孔明けし、デスミアを行い、表面被覆開口部207を作製する。次いでこの開口部に表面処理208として厚み45μmの半田メッキを形成し、シートに面付けされた内層フレキシブル配線板220を形成する。
【0031】
[多層フレキシブル配線板の作成]
外層片面配線板120を内層フレキシブル配線板220に、位置合わせ用のピンガイド付き治具を用いてレイアップした。その後、真空式加圧ラミネーターで130℃、0.6MPa、30秒で仮接着した後、油圧式プレスで250℃、1.0MPaで3分間プレスし、フラックス機能付き接着剤層111を介して、導体2層ポスト107が、内層フレキシブル配線板220のパッド205部の表面処理208の半田と熔融接合し金属接合を形成し、次いで温度を150℃、2MPa、60分間加熱し、層間を積層した多層フレキシブル配線板310を得た。
【0032】
実施例2
外層片面配線板作製の際、支持基材開口部106の径を最小50μmまで変化させて、導体2層ポスト107を形成した以外は、実施例1と同様の方法で得られた多層フレキシブル配線板。
【0033】
実施例3
外層片面配線板作製の際、銅ポスト108を形成する工程で無電解銅メッキを施した後、電解銅メッキを行い、更に半田メッキにより導体2層ポストを形成した以外は、実施例1と同様の方法で得られた多層フレキシブル配線板。
【0034】
実施例4
内層フレキシブル配線板作製の際、パッド205上に表面被覆開口部207が一致するようにあらかじめ金型にて打抜き加工し穴あけをしたカバーレイにより、全面に表面被覆206を形成した以外、実施例1と同様の方法で得られた多層フレキシブル配線板。
【0035】
実施例5
多層フレキシブル配線板作成のため積層する際、仮接着を0.3MPaで行った以外、実施例1と同様の方法で得られた多層フレキシブル配線板。
【0036】
比較例1
外層片面板120のフラックス機能付接着剤シート111をフラックス機能のない一般的な接着剤シート(デュポン製 パイララックスLF100)に変更した以外、実施例1と同様の方法で得られた多層フレキシブル配線板。
【0037】
比較例2
内層両面板220のパッド部205上の半田メッキ208を3μmとした以外、実施例1と同様の方法で得られた多層フレキシブル配線板。
【0038】
実施例1〜5の多層フレキシブル配線板は、金属同士で層間接続部が確実に金属接合されており、温度サイクル試験では、断線不良の発生がなく、金属接合部の接合状態も良好で、絶縁抵抗試験でも絶縁抵抗が上昇しなかった。又外層片面配線板を個片に裁断することにより、シート状で積層した場合よりも積層の位置精度が上がり、歩留が向上した。しかし、比較例1の場合、2層ポストと受けパッドとが金属接合がなされなかった。また、比較例2は2層ポストとパッドの接続部分が初期においてはなされたが、温度サイクル試験(高温150℃1時間処理後、低温―40℃1時間処理を交互に繰り返し100サイクル行った)で抵抗値の上昇及び断線が発生した。
【0039】
【発明の効果】
本発明に従うと、金属表面の清浄化機能を有した層間接着剤を用いることで配線板の積層における金属接合部を信頼性高く接続することができ、外層片面配線板表面上にはスルーホール等接続用の穴がないため高密度の回路配線や高密度に部品を実装することができ、更に個片の配線板を積層することにより良品のみを積層することができるため歩留よく多層フレキシブル配線板を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の片面配線板とその製造方法を説明するための断面図。
【図2】本発明のフレキシブル配線板とその製造方法を説明するための断面図。
【図3】本発明の4層構成の多層フレキシブル配線板とその製造方法を説明するための断面図。
【図4】本発明の片面配線板とその製造方法を説明するための断面図。
【図5】本発明の6層構成の多層フレキシブル配線板とその製造方法を説明するための断面図。
【符号の説明】
101、201、401:銅箔
102、202、402:支持基材
103、204、403:配線パターン
104、206、405:表面被覆
105、207、406:表面被覆開口部
106、407:支持基材開口部
107、408:導体2層ポスト
108、409:銅ポスト
109、208、411:表面処理
110:片面積層板
111、412:フラックス機能付き接着剤層
120:外層片面配線板
203:スルーホール
205、404:パッド
210:両面板
220:内層フレキシブル配線板
310:多層フレキシブル配線板(4層)
320、520:多層部
330、530:フレキシブル部
410:片面積層板
420:内層フレキシブル配線板
510:多層フレキシブル配線板(6層)
Claims (8)
- 絶縁材からなる支持基材の片側に配線パターンと、該配線パターンから該支持基材の該配線パターンとは反対側の片面に突出した銅と金属または銅と合金からなる導体2層ポストとを有し、多層部に必要な大きさに切断された個片である片面配線板、少なくとも片面に該導体2層ポストと接続するための厚みが5μm以上の金属または合金の被覆を施したパッドを有する配線パターンで構成されたフレキシブル配線板、及びフラックス機能付き接着剤層とを有し、該フラックス機能付き接着剤層を介して片面配線板とフレキシブル配線板を接着し、該導体2層ポストと該パッドとを金属又は合金で接合した構造を有することを特徴とする多層フレキシブル配線板。
- 前記フレキシブル配線板が、切断された個片である請求項1に記載の多層フレキシブル配線板。
- 前記フレキシブル配線板が、前記導体2層ポストと接続するためのパッド上に開口部を有する表面被覆材が構成されている請求項1又は2記載の多層フレキシブルプリント配線板。
- 金属が金、銀、ニッケル、錫、鉛、亜鉛、ビスマス、アンチモン、銅の少なくとも1種類からなる請求項1乃至3いずれか記載の多層フレキシブルプリント配線板。
- 合金が、錫、鉛、銀、亜鉛、ビスマス、アンチモン、銅の少なくとも2種類からなる請求項1乃至4いずれか記載の多層フレキシブルプリント配線板。
- 絶縁材からなる支持基材の片側に配線パターンを形成する工程、前記支持基材を穴あけした後、配線パターンの反対側の片面に突出した銅と金属または銅と合金からなる導体2層ポストを形成する工程、前記支持基材の前記導体2層ポストが突出した全面に、フラックス機能付き接着剤層を形成する工程、前記支持基材を多層部に必要な大きさに切断し、片面配線板を形成する工程、少なくとも片面に前記導体2層ポストと接合するための厚みが5μm以上の金属又は合金で被覆されたパッドを有する配線パターンからなるフレキシブル配線板を形成する工程、前記導体2層ポストと前記パッドとを前記フラックス機能付き接着剤層を介して熱圧着する工程を含むことを特徴とする多層フレキシブル配線板の製造方法。
- 絶縁材からなる支持基材の片側に配線パターンを形成する工程、前記支持基材を穴あけした後、配線パターンの反対側の片面に突出した銅と金属または銅と合金からなる導体2層ポストを形成する工程、前記支持基材を多層部に必要な大きさに切断し、片面配線板を形成する工程、少なくとも片面に前記導体2層ポストと接合するための金属又は合金被覆されたパッドを有する配線パターンからなるフレキシブル配線板を形成する工程、このフレキシブル配線板のパッドを有する配線パターン側にフラックス機能付き接着剤層を全面に形成する工程、前記導体2層ポストと前記パッドとを前記フラックス機能付き接着剤層を介して熱圧着する工程を含むことを特徴とする多層フレキシブル配線板の製造方法。
- 請求項6又は7記載の製造方法により得られることを特徴とする多層フレキシブル配線板。
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