JP2004063427A - 除電装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】正負のイオン生成量のバランスを調整できるものであって、かつ、小型化を図ることができる除電装置を提供する。
【解決手段】倍電圧整流回路6の出力端子62とグランドラインとの間に、抵抗71aと可変電圧源71bを備えるNチャネル型のパワーMOSFET71cとの直列回路に抵抗71dをFET71cに並列接続した放電回路7を設ける。そして、放電針2から所定間隔離れた位置に電極板81を備えると共に、これに抵抗82を接続し、イオン電流に応じて抵抗82に発生した電圧(サンプリング電圧Vs)が制御回路83に出力する。制御回路83はサンプリング電圧Vsをサンプリングしつつ、この電圧と内部に設定されている基準電圧Vrefとを比較し、この基準電圧Vrefとの差に応じた制御信号をFET71cのゲート電圧を供給する可変電圧源71bに出力する。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、除電装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の直流方式の除電装置においては、交流電源と昇圧トランスとからなる2つの電源回路が設けられ、それぞれの電源回路のトランスに接続された高電圧発生回路からの高電圧を2つの放電電極にそれぞれ印加することによりコロナ放電を起こして正負のイオンを生成するという構成が知られている。
【0003】
ところで、それぞれの放電電極から生成される正負のイオン量は放電電極周囲の温度や被除電対象物までの距離等の条件により、同一の電圧を印加した場合であっても微妙に差が生じる。正負のイオン生成量に差が生じると、例えば、被除電対象物が正負どちらかに帯電するおそれがあり、除電装置としての効果が薄れてしまうから、生成される正負のイオン量が均等になるようにイオンバランスを調整することが望ましい。
【0004】
そこで、上記従来の除電装置では、一方の電源回路の交流電源をその出力電圧値を一定とする固定交流電源とすると共に、他方の電源回路の交流電源をその出力電圧値を増減可能な可変交流電源としており、イオンバランスが崩れたときには、正負のイオン生成量が均等となるように、可変交流電源の出力電圧値を加減する構成とされている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記構成では、固定交流電源と可変交流電源との2種の交流電源を設けなければならないから、除電装置が大型化するという欠点がある。また、このように2種の交流電源を設けた構成では、交流電源の出力電圧を昇圧する場合には、個別にトランスが必要となり、一層大型化してしまうという欠点もある。
【0006】
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、正負イオンのイオンバランスを調整できるものであって、かつ、小型化が可能な除電装置を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するための手段として、請求項1の発明は、交流電源に接続されて共通ラインとの間に正極性の直流高電圧と負極性の直流高電圧とをを発生する2つの高電圧発生回路が備えられ、各高電圧発生回路の出力端子と前記共通ラインとの間に接続された放電電極間で放電させて正負のイオンを発生させることで被対象物の除電を行う除電装置において、前記各高電圧発生回路は共通の交流電源に接続され、少なくともどちらか一方の前記高電圧発生回路にはその高電圧発生回路の直流出力電圧を調整する電圧調整手段が設けられているところに特徴を有する。
【0008】
請求項2の発明は、請求項1に記載のものにおいて、前記高電圧発生回路は前記出力端子と前記共通ラインとの間にコンデンサを備えているものであって、前記電圧調整手段は、前記コンデンサと一方の出力端子間に接続され、互いに直列接続される抵抗素子及びMOSFETからなる放電回路と、前記放電電極のイオン発生量に基づいて前記MOSFETのゲート電圧を制御する制御回路とからなるところに特徴を有する。
【0009】
請求項3の発明は、請求項1に記載のものにおいて、前記電圧調整手段は、前記出力端子間に接続され、互いに直列接続される抵抗素子及びMOSFETからなる分圧回路と、前記放電電極のイオン発生量に基づいて前記MOSFETのゲート電圧を制御する制御回路とからなり、前記放電電極は前記MOSFETと前記抵抗との共通接続点に接続されてなるところに特徴を有する。
【0010】
【発明の作用及び効果】
<請求項1の発明>
請求項1の発明によれば、高電圧発生回路を共通の交流電源に接続すると共に、少なくとも一方の高電圧発生回路にその直流電圧を調整する電圧調整手段を設ける構成としているから、イオンバランスを調整可能としつつ、交流電源を1つとすることができ、もって、小型化を図ることができる。しかも、トランスにより交流電源の出力電圧を昇圧したいときには、トランスを1つ設けるだけで良いから、従来の除電装置に比べて一層小型化することができる。
【0011】
<請求項2の発明>
請求項2の発明によれば、MOSFETのゲート電圧を制御によりその抵抗値を変化させており、これによって、コンデンサに流入する充電電流を変化させて、その充電電圧を制御している。
本発明では、MOSFETにより、放電回路に流れる電流を変化させているのであるが、このMOSFETは非飽和領域においては、ゲート電圧とドレイン電流とが比例の関係にあるから、所定のドレイン電流に制御する際のゲート電圧の調整が容易に行なえるという利点がある。
【0012】
<請求項3の発明>
請求項3の発明によれば、請求項2の発明の効果に加え、MOSFETのゲート電圧の制御によりこの抵抗値を変化させて、抵抗素子の分担電圧を制御することにより、放電電極の印加電圧を高精度に制御することができる。
【0013】
【発明の実施の形態】
<第1実施形態>
本発明に係る除電装置の第1実施形態を図1を参照して説明する。本実施形態の除電装置は直流方式のもので、正負のイオンをそれぞれ発生する放電針1,2を備えている。
【0014】
商用の交流電源3にはトランス4が接続されており、その二次側には第1のコンデンサ51(以下、コンデンサ51と称する)と第2のコンデンサ52(以下、コンデンサ52と称する)とを備えたコッククロフト型の倍電圧整流回路5,6(請求項に記載の「高電圧発生回路」に相当)と、同じく第1及び第2のコンデンサ61,62を備えた倍電圧整流回路6とが共通に接続されている。このうち、コンデンサ52はその負極側が出力端子53に接続されており、コンデンサ62はその正極側が出力端子63に接続されている。そして、出力端子53,63には放電針1,2が接続されている。また、それぞれの倍電圧整流回路5,6の他方の出力端子(図示せず)はグランドラインGND(請求項に記載の「共通ライン」に相当)に接続されている。
【0015】
このうち、倍電圧整流回路6の出力端子63とグランドラインとの間には、抵抗71aと可変電圧源71bを備えるNチャネル型のパワーMOSFET71c(以下、FET71cと称する)との直列回路に抵抗71dをFET71cに並列接続した放電回路7が設けられている。これは、可変電圧源71bによりFET71cのゲート電圧を変化させてその抵抗値を変えることにより、放電回路7に流れるコンデンサ62の充電電流を調整するようになっている。尚、FET71cは非飽和領域で動作させるようになっている。
【0016】
さて、放電針2から所定間隔離れた位置には電極板81が備えられると共に、これに抵抗82が接続されており、イオン電流に応じて抵抗82に発生した電圧(サンプリング電圧Vs)が制御回路83に出力される。
【0017】
制御回路83は所定周期で抵抗82に発生した電圧(サンプリング電圧Vs)をサンプリングしつつ、この電圧と内部に設定されている基準電圧Vrefとを比較し、この基準電圧Vref(放電針2からのイオン生成量が放電針1からのイオン生成量と同量であるときのサンプリング電圧Vs)との差に応じた制御信号を可変電圧源71bに出力する。これにより、放電回路7、電極板81、抵抗82、制御回路83により請求項に記載の電圧調整手段を構成している。
【0018】
以下、上記構成に係る除電装置の作用について説明する。
交流電源3からの電圧はトランス4にて昇圧され、さらに倍電圧整流回路5,6のコンデンサ52,62を充電することにより直流高電圧が生成され、この出力電圧が放電針1,2に印加される。これにより、放電針1,2でコロナ放電が起こり、放電針1からは負のイオンが、放電針2からは正のイオンが生成される。
【0019】
このとき、例えば正のイオン生成量が負のイオン生成量よりも多くなることにより、サンプリング電圧Vsが基準電圧Vrefよりも高くなると、制御回路83は可変電圧源71bの電圧を引き上げるように制御して、FET71cのゲート電圧を上昇させることによりその抵抗値を下げる。すると、コンデンサ62への充電電流が放電回路7に流れることにより、コンデンサ62の充電電圧が低下して、倍電圧整流回路6の出力電圧が所定電圧に近づく。
また、正のイオン生成量が負のイオン生成量よりも少なくなることにより、サンプリング電圧Vsが基準電圧Vrefよりも低くなると、制御回路83は可変電圧源84の電圧を引き下げるように制御して、FET71cのゲート電圧を低下させることによりその抵抗値を上げる。すると、放電回路7に流れるコンデンサ62の充電電流が規制されることにより、コンデンサ62の充電電圧が上昇して、倍電圧整流回路6の出力電圧が所定電圧に近づく。このようにすることで、放電針1,2から生成される正負イオンのイオンバランスが保たれる。
【0020】
本実施形態の除電装置によれば、倍電圧整流回路6の出力電圧を制御しつつ、2つの倍電圧整流回路5,6を共通のトランス4に接続した構成としているから、除電装置の小型化を図りつつ、イオンバランスの調整を行なうことが可能となる。
また、本実施形態では、FET71cの抵抗値を変えることにより、放電回路7に流れる電流を変化させているのであるが、このFET71cは非飽和領域においては、ゲート電圧と抵抗値とが比例の関係にある。従って、所定の抵抗値に設定する際のゲート電圧の調整が容易に行なえるという利点がある。
【0021】
<第2実施形態>
次に、本発明の第2実施形態を図2を参照して説明する。尚、第1実施形態と同一の部分には同一符号を付して重複する説明を省略する。
本実施形態では、倍電圧整流回路6の出力端子63とグランドラインGNDとの間に抵抗91aと可変電圧源91bを備えるFET91cとの直列回路と、このFET91cに並列接続される抵抗91dとからなる分圧回路9が設けられており、抵抗91aとFET91cの共通接続点に放電針2が接続されているところが第1実施形態と異なっている。
【0022】
また、制御回路83はサンプリング電圧Vsが基準電圧Vrefよりも高い場合には、可変電圧源91bの電圧を引き下げるように制御し、逆にサンプリング電圧Vsが基準電圧Vrefよりも低い場合には、可変電圧源91bの電圧を引き上げるように制御する。
【0023】
以下、本実施形態の作用について説明する。
交流電源3からの電圧はトランス4にて昇圧され、さらに倍電圧整流回路5,6のコンデンサ52,62を充電することにより直流高電圧が出力される。放電針1には倍電圧整流回路5の出力電圧が印加されると共に、放電針2には、抵抗91dの分担電圧に相当する電圧が印加される。これにより、放電針1,2でコロナ放電が起こり、放電針1からは負のイオンが、放電針2からは正のイオンが生成される。
【0024】
例えば、正のイオン生成量が負のイオン生成量よりも多くなることにより、サンプリング電圧Vsが基準電圧Vrefよりも高くなると、制御回路83は可変電圧源91bの電圧を引き下げるように制御して、FET91cのゲート電圧を低下させることによりその抵抗値を上げる。すると、抵抗91aの分担電圧が低下して、放電針2の印加電圧が所定の電圧に近づく。
また、正のイオン生成量が負のイオン生成量よりも少なくなることにより、減少してサンプリング電圧Vsが基準電圧Vrefよりも低くなると、制御回路83は可変電圧源84の電圧を引き上げるように制御して、FET91bのゲート電圧を上昇させることによりその抵抗値を下げる。すると、抵抗91aの分担電圧が上昇して、、放電針2の印加電圧が所定の電圧に近づく。
【0025】
以上、本実施形態の除電装置によれば、放電針2に印加される抵抗91aの分担電圧を変化させるように制御しているから、放電針2への印加電圧を高精度に制御することができる。
【0026】
<第3実施形態>
本発明の第3実施形態を図3を参照して説明する。尚、上記実施形態と同一の部分には同一の符号を付して重複する説明を省略する。
本実施形態では倍電圧整流回路5,6のコンデンサが3段に構成されており、1段目(図面左側)にあるコンデンサ51,61を除く他の(2段目、3段目にある)コンデンサ51,52,61,62の充電電圧を出力電圧として取り出しているところと、放電回路7が2段目にある第2のコンデンサ62の正極側に接続されているところが第1実施形態と異なっている。
【0027】
本実施形態では、例えば正のイオン生成量が負のイオン生成量よりも多くなることにより、サンプリング電圧Vsが基準電圧Vrefよりも高くなると、制御回路83は可変電圧源71bの電圧を引き上げるように制御して、FET71cのゲート電圧を上昇させることによりその抵抗値を下げる。すると、コンデンサ62への充電電流が放電回路7に流れることにより、コンデンサ62の充電電圧が低下する。この後、2段目及び3段目のコンデンサ61,62は全て、このコンデンサ62の充電電圧と同一の充電電圧にまで低下し、倍電圧整流回路6の出力電圧が所定電圧に近づく。
また、正のイオン生成量が負のイオン生成量よりも少なくなることにより、サンプリング電圧Vsが基準電圧Vrefよりも低くなると、制御回路83は可変電圧源84の電圧を引き下げるように制御して、FET71cのゲート電圧を低下させることによりその抵抗値を上げる。すると、放電回路7に流れるコンデンサ62の充電電流が規制されることにより、コンデンサ62の充電電圧が上昇する。この後、2段目及び3段目のコンデンサ61,62は全て、このコンデンサ62の充電電圧と同一の充電電圧にまで上昇し、倍電圧整流回路の出力電圧が所定電圧に近づく。
【0028】
ここで、倍電圧整流回路6の出力電圧の変動幅を小さくしたいときには、電圧調整回路7を後段側のコンデンサ61,62に接続すれば良い。例えば、最後段にあるコンデンサ62に接続すれば、このコンデンサ62の充電電圧のみが制御され、他のコンデンサ61,62の充電電圧は、常に、最前段にあるコンデンサ61の充電電圧の2倍の電圧に充電される。
【0029】
このように、本実施形態では、前段側のコンデンサ61,62の充電電圧を変化させることにより、後段側のコンデンサ61,62の充電電圧も変化させられるから、出力電圧の変動幅を変えたい場合には好適である。
【0030】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれ、さらに、下記以外にも要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施することができる。
(1)上記実施形態では、倍電圧整流回路6に放電回路7、電極板81、抵抗82及び制御回路83を設けた構成を示したが、双方の倍電圧整流回路5,6にこれらを設け、それぞれの出力電圧を制御する構成としても良い。
(2)また、放電針1に対応する電極板81と抵抗82とを設け、この抵抗に発生する電圧を制御回路83の基準電圧VrefとしてFET71cのゲート電圧を制御する構成としても良い。
【0031】
(3)また、上記実施形態ではNチャネル型のMOSFET71cを用いた構成を示したが、Pチャネル型のMOSFETを用いた構成としても良い。
【0032】
(4)また、上記実施形態では、コンデンサ62の正極側に放電回路7あるいは分圧回路を接続した構成を示したが、負極側にこれらを接続する構成としても良い。
【0033】
(5)上記実施形態では、トランス4の一次側に商用の交流電源3を接続した例を示したが、これに限らず、例えば、直流電源とスイッチング用のトランジスタとの直列回路をトランス4の一次巻線に接続し、トランジスタのスイッチング動作によってトランス4の二次側に交流電圧を生成する構成としても良い。この場合、直流電源、トランジスタ及びトランスが交流電源を構成する。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1実施形態に係る除電装置の電気的構成を示す回路図
【図2】第2実施形態に係る除電装置の電気的構成を示す回路図
【図3】第3実施形態に係る除電装置の電気的構成を示す回路図
【符号の説明】
1,2…放電針
4…トランス
5,6…倍電圧整流回路(高電圧発生回路)
51,52,61,62…コンデンサ
71a,71d,82…抵抗
71b…可変電圧源
71c…FET
81…電極板
83…制御回路

Claims (3)

  1. 交流電源に接続されて共通ラインとの間に正極性の直流高電圧と負極性の直流高電圧とを発生する2つの高電圧発生回路が備えられ、各高電圧発生回路の出力端子と前記共通ラインとの間に接続された放電電極間で放電させて正負のイオンを発生させることで被対象物の除電を行う除電装置において、前記各高電圧発生回路は共通の交流電源に接続され、少なくともどちらか一方の前記高電圧発生回路にはその高電圧発生回路の直流出力電圧を調整する電圧調整手段が設けられていることを特徴とする除電装置。
  2. 前記高電圧発生回路は前記出力端子と前記共通ラインとの間にコンデンサを備えているものであって、
    前記電圧調整手段は、
    前記コンデンサと一方の出力端子間に接続され、互いに直列接続される抵抗素子及びMOSFETからなる放電回路と、
    前記放電電極のイオン発生量に基づいて前記MOSFETのゲート電圧を制御する制御回路とからなることを特徴とする請求項1に記載の除電装置。
  3. 前記電圧調整手段は、
    前記出力端子間に接続され、互いに直列接続される抵抗素子及びMOSFETからなる分圧回路と、
    前記放電電極のイオン発生量に基づいて前記MOSFETのゲート電圧を制御する制御回路とからなり、
    前記放電電極は前記MOSFETと前記抵抗との共通接続点に接続されてなることを特徴とする請求項1に記載の除電装置。
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