JP2004063324A - 端子金具 - Google Patents
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Abstract
【課題】本体部を所定形状に保つ。
【解決手段】本体部31は、金属母材を所定形状に打ち抜いたものを長さ方向に沿って折り曲げることで略角筒状に成形されている。本体部31において互いに突き合わされる外壁37の前部37aと側壁34のうち、外壁37の前部37aには、側壁34の内側に重なる前部保持片50が突設されている。前部保持片50が側壁34に係止することで、外壁37の前部37aが外側に開くのを規制可能となっている。
【選択図】 図7
【解決手段】本体部31は、金属母材を所定形状に打ち抜いたものを長さ方向に沿って折り曲げることで略角筒状に成形されている。本体部31において互いに突き合わされる外壁37の前部37aと側壁34のうち、外壁37の前部37aには、側壁34の内側に重なる前部保持片50が突設されている。前部保持片50が側壁34に係止することで、外壁37の前部37aが外側に開くのを規制可能となっている。
【選択図】 図7
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、端子金具に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、角筒状をなす本体部を備えた端子金具の一例として特開平4−209471号公報に記載されたものが知られている。このものは、図11に示すように、前後に細長い底壁1と、底壁1の両側縁から立ち上がる一対の側壁2,3と、図示右側の側壁2の立ち上がり端から突設されるとともに底壁1に対向する天井壁4と、左側の側壁3から突設されるとともに天井壁4の外側に重ね合わされてその突出端を右側の側壁2の立ち上がり端に突き合わせた外壁5とから構成される本体部6を備えている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、外壁5は、左側の側壁3から片持ち状に突出する形態となっている。従って、この外壁5に対して何らかの外力が作用すると、例えば外壁5が外側へ開くようにして変形することがあり、そうなると本体部6を角筒状に保つことができなくなってしまう。
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、本体部を所定形状に保つことを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するための手段として、請求項1の発明は、基材を長さ方向に沿って折り曲げることで略角筒状に成形される本体部を備えたものであって、本体部において互いに突き合わせられる一対の壁のうち、一方の壁には、他方の壁に重なる保持片が突設され、この保持片が前記他方の壁に係止することで、前記一方の壁が外側に開くのを規制可能となっている構成としたところに特徴を有する。
【0005】
請求項2の発明は、請求項1に記載のものにおいて、前記他方の壁には、前記保持片の外側に重なる押さえ部が設けられ、前記保持片が押さえ部に当接することで、前記一方の壁が外側に開くのを規制可能となっているところに特徴を有する。
請求項3の発明は、請求項1または請求項2に記載のものにおいて、前記保持片には、被掛止部が設けられ、前記他方の壁には、被掛止部が引っ掛かることで前記一方の壁が外側へ開くのを規制可能な掛止部が設けられているところに特徴を有する。
【0006】
請求項4の発明は、請求項1ないし請求項3のいずれかに記載のものにおいて、前記一方の壁には、当該端子金具をコネクタハウジング内に後方から挿入したときにその内部に備えられた抜け止め部が係止されることで当該端子金具を抜け止め可能となっているものにおいて、前記他方の壁が、前記保持片に対してその後端側に係止可能となっているところに特徴を有する。
請求項5の発明は、請求項4に記載のものにおいて、前記一方の壁には、前記抜け止め部が進入するのを許容する切欠部が設けられ、この切欠部の前側の切断端面に対して抜け止め部が係止可能とされ、且つ前記一方の壁が前記切欠部によって前後に分断して形成されているものにおいて、前記保持片は、前記一方の壁のうち、前記抜け止め部が係止される前部側に設けられているところに特徴を有する。
【0007】
【発明の作用及び効果】
<請求項1の発明>
本体部に対して何らかの外力が作用した場合でも、保持片が他方の壁に係止することで、一方の壁が外側に開くのを規制することができる。これにより、本体部の形状を略角筒状に保つことができる。
【0008】
<請求項2の発明>
保持片がその外側に重なる押さえ部に当接することで、一方の壁が開き変形するのを規制することができる。
<請求項3の発明>
被掛止部が掛止部に引っ掛かることで、一方の壁が開き変形するのを規制することができる。
【0009】
<請求項4の発明>
一方の壁に対してコネクタハウジング内に備えられた抜け止め部が係止された状態で、端子金具に対して後方へ引っ張るような力が作用した場合には、一方の壁には前端側を支点として後端側が捲れるような力が作用するおそれがある。その場合でも、他方の壁が保持片の後端側に係止されるから、一方の壁が捲れるようにして変位するのを有効に規制することができる。これにより、抜け止め部によって端子金具を安定した状態で抜け止め保持することができる。
【0010】
<請求項5の発明>
切欠部内に進入した抜け止め部が切欠部における前側の切断端面に係止されることで端子金具の抜け止めが図られる。切欠部が一方の壁を前後に分断するような範囲に形成されているから、抜け止め部の係止面積を大きく確保することができ、端子金具が小型であっても抜け止め力を十分に得ることができる。
このように一方の壁が切欠部によって前後に分断されたものでは、強度的に不利となるために抜け止め部が係止される前部側が捲れ易くなるものの、前部側に設けた保持片が他方の壁に係止することで、そのような事態を防ぐことができる。つまり、本発明によれば小型化に好適な端子金具を提供することができる。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明の一実施形態を図1ないし図10によって説明する。本実施形態では、雌コネクタハウジング10(以下、単に雌ハウジング10という)内に挿入可能な雌端子金具30を示す。この雌端子金具30は、雌ハウジング10内に収容された状態で、雌ハウジング10に対して嵌合される相手の雄ハウジング内に収容された雄端子金具(雄ハウジング共々図示せず)と導通接続可能とされている。なお以下では、雌ハウジング10に対する雌端子金具30の挿入方向を前方とし、逆の抜き取り方向を後方とし、また上下方向の記載は図5などを基準として説明する。
【0012】
雌ハウジング10は、図1及び図5に示すように、内部には後方から雌端子金具30を挿入可能なキャビティ11が上下2段、幅方向に複数室並んで配設されている。キャビティ11内に挿入される雌端子金具30は、キャビティ11の下壁12から突設されたランス13により弾性的に抜け止め可能とされるとともに、雌ハウジング10の前壁14によって前止まり状態に支持されるようになっている。この雌ハウジング10の前壁14には、相手の雄端子金具のタブがキャビティ11内に前方から進入するのを許容するタブ挿通孔15が穿設されており、その前側の孔縁には、全周にわたって略擂鉢状をなす誘導面16が形成されることで、タブの進入動作が円滑に誘導されるようになっている。雌ハウジング10の前壁14のうちタブ挿通孔15よりも下方位置(タブ挿通孔15とはランス13の撓み方向にずれた位置)には、雌ハウジング10の成形時にランス13を成形する前側の金型を前方へ型抜きするために型抜き孔17が穿設されている。前壁14における型抜き孔17の孔縁上部幅方向中央には、下方へ突き出る略三角形状の突出部18が設けられ、この突出部18にも上記誘導面16が連続して形成されている。
【0013】
各キャビティ11の下壁12は、前側の約1/4部分が一段低く形成されるとともにその段差部分から片持ち状のランス13が前方へ突出して形成されている。このランス13は、全体としては前端側にかけて次第に上方、すなわちキャビティ11内に張り出すよう、前方へ向かって上り勾配をなす傾斜状に形成されており、キャビティ11内への張出部分が挿入される雌端子金具30により押圧されることで突出基端(後端)を支点として下方(雌端子金具30の挿抜方向と交差する方向)へ撓み変形可能とされている。この撓み時にランス13は、下壁12の低位部分12aとの間に確保された撓み空間内に退避するようになっている。このランス13の前方に確保された空間内には、雌端子金具30の係止突部52が進入可能とされている。ランス13の下方に対向する下壁12の低位部分12aは、ランス13がその弾性限度を超えて撓み変形する手前の段階でランス13の下面に係合することで、その過度撓み変形を規制できるようになっている。またランス13は、前壁14に連結された下壁12の低位部分12aにより、全幅にわたって下方のキャビティ11または下方外部に露出することなく覆われており、もってランス13の保護が図られている。
【0014】
キャビティ11の内周面には、雌端子金具30の形状に合わせて複数の溝が後方へ開口する形態で形成されている。すなわち、キャビティ11の下面(下壁12)のうち幅方向略中央には、図2に示すように、雌端子金具30の係止突部52及び突部49を挿通可能な突部挿通溝19が形成されており、この突部挿通溝19の図2の右隣り位置には、雌端子金具30のスタビライザ47を挿通可能とされ、且つ突部挿通溝19よりも深いスタビライザ挿通溝20が形成されている。さらには、キャビティ11における図2の右側面には、雌端子金具30の押さえ部53(詳細は後述する)を挿通可能な押さえ部挿通溝21が形成されている。突部挿通溝19は、ランス13の前端にまで連続して形成されるのに対し、スタビライザ挿通溝20は、前端位置がランス13よりも少し後方に設定されている。押さえ部挿通溝21は、その前端位置がキャビティ11の前端よりも少し後側に設定されている。
【0015】
ランス13の前端両側部の下側約3/5部分には、図1に示すように、ランス13を強制的に撓み変形させるための解除治具(図示せず)によって操作可能とされる一対の操作凹部24が前方に開口して形成されている。両操作凹部24は、雌端子金具30がランス13に係止した状態でも前方外部に露出するように配置されており、前方から型抜き孔17を通して挿入される解除治具により下方へ押圧操作可能とされている。操作凹部24は、ランス13を側方から見て略三角形状に切欠して形成され、その上面がほぼ水平をなすのに対し、下面が後方へ向かって上り勾配をなすテーパ状をなしている。
【0016】
雌端子金具30は、金属母材を所定形状に打ち抜いたものに叩き加工や曲げ加工などを施すことで所望の形状に成形されている。この雌端子金具30は、図4及び図5に示すように、大まかには略角筒状をなす本体部31と、電線Wの端末に圧着接続可能なバレル部32とを前後に繋げた構成となっている。このうち、バレル部32は、前後に一対ずつのかしめ片32a,32bを備え、前側の両かしめ片32aが電線Wの芯線部分Waにかしめ付けられるのに対し、後側の両かしめ片32bが電線Wの被覆部分Wbにかしめ付けられるようになっている。
【0017】
本体部31は、金属母材を所定形状に打ち抜いたもの(特許請求の範囲に記載した基材に相当する)を長さ方向に沿って折り曲げることで、図3に示すように、略角筒状に成形されている。本体部31は、前後に延出する底壁33と、底壁33の両側縁から立ち上がる一対の側壁34,35と、図3の左側の側壁34の突出端から底壁33と対向するよう突出する天井壁36と、図3の右側の側壁35の突出端から突出するとともに天井壁36の外側に重ね合わせられる外壁37とから構成されている。この外壁37は、その突出端部が側壁34の下端部に突き合わせられている。
【0018】
底壁33は、図3及び図5に示すように、他の壁34,35,36,37と比較して前端が後方へ引っ込んだ位置に配されており、この前端から弾性接触片38が突設されている。弾性接触片38は、底壁33の前端から前方へ突出する舌片を後方へ向けて折り返すことで、略山形をなす片持ち状に形成されている。この弾性接触片38は、本体部31内に前方から挿入される相手の雄端子金具のタブに対して弾性接触可能とされている。また弾性接触片38に対向する天井壁36には、タブを弾性接触片38との間で挟圧状態に保持可能な受け部43が内側に張り出して設けられている。これら弾性接触片38と受け部43との間には、タブを収容可能なタブ収容空間39が確保されている。また底壁33には、弾性接触片38が弾性限度を超えて変形する手前の段階で弾性接触片38に係合することで、弾性接触片38の過度撓みを規制可能な過度撓み規制部(図示せず)が内側に叩き出して設けられている。
【0019】
外壁37は、図4及び図5に示すように、その長さ方向略中央部分に切欠部44が全幅にわたって形成されることで、前部37aと後部37bとに分断されている。この切欠部44内には、雌端子金具30がキャビティ11内に挿入されると、ランス13が進入可能とされ、切欠部44の前側の切断端面44a(前部37aの後端面)に対してランス13が係止可能とされている。ランス13に対する係止面である切欠部44における前側の切断端面44aは、全域にわたって内側に傾斜して形成されている。この切欠部44は、外壁37の半分弱の長さを有するとともに図4の手前側の側壁35の上端部にまで形成されている。この側壁35の上端面(切欠部44における側方の切断端面)には、天井壁36の突出端から突設された張出片45が当接されることで、天井壁36をほぼ水平な姿勢に支持できるようになっている。天井壁36のうち、受け部43を有する前半部分には、後半部分よりも僅かに低くなるよう凹部55が張出片45における側壁35との当接部分を含めた全域にわたって形成されており、その分だけランス13の係止深さを稼ぐことができるようになっている。また外壁37の前部37aは、前後長さが後部37bよりも少し短く設定されている。
【0020】
外壁37の後部37bにおける突出端からは、図5に示すように、底壁33側へ屈曲される後部保持片46と、その反対側(外方)へ屈曲されるスタビライザ47とが前後に設けられている。後部保持片46は、図5の紙面手前側の側壁34に切欠形成された後部保持溝48内に嵌合されることで、後部37bが前後に遊動するのを規制した状態に保持できるようになっている。スタビライザ47は、キャビティ11内のスタビライザ挿通溝20内に挿通されることで、雌端子金具30の挿入動作を案内可能となっている。また後部保持片46の前端が後部37bの前端と、スタビライザ47の後端が後部37bの後端と、それぞれ揃えられている。後部37bのうち後端部の幅方向中央には、スタビライザ47とほぼ同じ長さを有する突部49が外方へ突出するよう叩き出して形成されている。この突部49は、雌端子金具30がキャビティ11内に挿入されると、キャビティ11の下面(突部挿通溝19の上面)に当接可能とされている。
【0021】
外壁37の前部37aにおける幅方向に沿った後端縁部(切欠部44の前側の切断端部)の略中央(正確には中央よりも僅かに図2の左側にずれた位置)には、ランス13が係止可能とされる係止突部52が外側へ突出するよう叩き出して形成されている。係止突部52は、図4及び図5に示すように、全体としては前端を頂点とする略角錐状をなすとともに後方へ開口している。この係止突部52は、前端側にかけて幅寸法及び高さ寸法が減少する先細り状をなすとともに3つの斜面により構成される角錐部52aと、幅寸法及び高さ寸法が一定とされるとともに3つの側面により構成される角筒部52bとを前後に繋げた構成となっている。係止突部52の角錐部52aは、先細り状とされ、且つその前端部がやや丸みを帯びた形状に形成されることで、キャビティ11内に雌端子金具30が挿入される過程において突部挿通溝19内での挿通動作を円滑にできるようになっている。係止突部52の角筒部52bは、切欠部44の前側の切断端面44aの傾斜に沿って後方へオーバーハング状に突出して形成され、外壁37の前部37aよりも後方に突出している。
【0022】
この係止突部52は、上記突部49とほぼ同じ高さ位置まで突出するよう設定され、突部49と同様にキャビティ11の突部挿通溝19内に挿通可能とされている。係止突部52のうちランス13に対する係止面である後端面は、切欠部44の前側の切断端面44aにより構成されており、内側に傾斜したテーパ状に形成されている。外壁37の前部37aのうち係止突部52に対する両側方部分の後端面についても、内側に傾斜したテーパ状をなす切欠部44の前側の切断端面44aにより構成され、ランス13が係止可能とされている。
【0023】
さて、外壁37の前部37aにおける突出端部(側壁34との突き合わせ端部)からは、図5及び図7に示すように、底壁33側へ屈曲される前部保持片50が設けられている。これに対して図5の紙面手前側の側壁34における下端部(外壁37の前部37aとの突き合わせ端部)には、下方及び側方へ開口する前部保持溝51が切欠形成されており、ここに前部保持片50が下方から差し込まれている。そして、前部保持溝51の上側には、差し込まれる前部保持片50の外側に部分的に重ね合わせられる押さえ部53が側壁34の一部を外側に叩き出すことで形成されている。この押さえ部53は、雌端子金具30をキャビティ11内に挿入するときに押さえ部挿通溝21内に挿通可能とされている。
【0024】
前部保持片50は、側壁34と前後に重なるように前部保持溝51内に差し込まれている。前部保持片50は、外壁37の前部37aよりも後方へ突出して形成されており、その根元部分には、上記切欠部44が拡張して形成され、その切断端面44aが既述した通り内側に傾斜して形成されるとともに、ここにランス13の側端部が係止可能とされている。この前部保持片50のうち押さえ部53と重なる領域の略中央位置の外面には、被掛止部54が内側に凹んで形成されている。この被掛止部54は、前部保持片50を部分的に薄肉にするよう叩き加工により形成されており、その上面54aが水平方向に沿った真直面とされるのに対し、下面54bが下り勾配をなす傾斜面とされている。また前部保持片50における突出端部の内縁には、面取りが施されている。
【0025】
前部保持溝51は、側壁34において前部保持片50よりも後方へ少し長い範囲に形成されている。前部保持溝51は、前側1/4部分のみが前部保持片50の突出端よりも高い位置に達するよう部分的に深く形成されており、これにより押さえ部53の前端側が側壁34から接離されている。この前部保持溝51の前面は、上下方向に沿った真直面とされ、ここに前部保持片50の前面が当接可能とされており、これにより前部保持片50が前方へ遊動するのを規制できるようになっている。
【0026】
押さえ部53は、上端側と図5の左端側とが側壁34に繋げられており、両繋ぎ部分に隣り合う左上角部分には、成形時に側壁34から押さえ部53を叩き出し易くするための角孔55が穿設されている。なお押さえ部53における側壁34との両繋ぎ部分は、側壁34の板面に対してそれぞれ斜めに形成されている。押さえ部53は、高さ方向について前部保持片50の上半分を、前後方向について前部保持片50の後側3/4部分を覆うような範囲に設けられている。つまり、押さえ部53によって前部保持片50のうち突出端寄りの後端部及び後端寄りの突出端部を外側から押さえることができるようになっている。この押さえ部53における側壁34からの外方への張り出し寸法が前部保持片50の厚み寸法分とほぼ同じとなっているとともに、その内側の空間が前部保持溝51に連続していることで、前部保持片50を本体部31内のタブ収容空間39側に突出させることなく収容できるようになっている。言い換えると、押さえ部53を外側に張り出して設けることで、前部保持片50の収容するための空間をタブ収容空間39の外側に配している。押さえ部53のうち側壁34から接離された前面及び下面53aは、前部保持溝51を成形するのに伴う切断端面となっており、このうち下面53aが雌端子金具30をキャビティ11内に挿入したときに押さえ部挿通溝21の下面21aに当接可能とされている。この押さえ部53の下面53aは、押さえ部挿通溝21の下面21aと平行になるよう水平方向に沿った真直面となっている。
【0027】
この押さえ部53の内面には、内側に重ねられる前部保持片50の外面が当接されており、これにより前部保持片50及び外壁37の前部37aが外側に開き変形するのを規制できるようになっている。この押さえ部53には、前部保持片50の外面に凹設された被掛止部54内に嵌合可能な掛止部56が内方へ突出して設けられている。この掛止部56は、押さえ部53のうち被掛止部54と重なる部分を内方へ叩き出すことで形成されており、その上面56aが水平方向に沿った真直面とされるとともに、被掛止部54の上面54aに対して引っ掛かるようになっている。これにより、前部保持片50及び外壁37の前部37aが外側に開き変形するのを規制できるようになっている。掛止部56の下面56bは、被掛止部54の下面54bに沿う傾斜面となっている。
【0028】
なお、雌端子金具30を成形するにあたっては、先に押さえ部53を側壁34から叩き出して形成する一方、外壁37の前部37aから前部保持片50を折り曲げておき、その後に外壁37の前部37aを側壁35から折り曲げるとともに、前部保持片50を前部保持溝51(押さえ部53)内に差し込んで、掛止部56を被掛止部54内に嵌合させるようにしている。このうち前部保持片50が前部保持溝51内に差し込まれる過程では、前部保持片50の突出端部が掛止部56の下面56bに摺接されることで、その差し込み動作が円滑に案内されるようになっている。
【0029】
本実施形態は以上のような構造であり、続いてその作用について説明する。図5及び図6に示すように、雌端子金具30のバレル部32に電線Wを圧着接続した後に、雌端子金具30をキャビティ11内に後方から挿入する。雌端子金具30をキャビティ11内に挿入すると、係止突部52が突部挿通溝19内に、押さえ部53が押さえ部挿通溝21内に順次に挿通される。その後、突部49が突部挿通溝19内に、スタビライザ47がスタビライザ挿通溝20内にそれぞれ挿通されることで、雌端子金具30が上下左右にがたつくのが規制されつつ円滑に挿入される。そして、雌端子金具30が所定深さまで挿入されると、係止突部52によってランス13が押圧されて下方へ撓み変形される。この過程では、係止突部52が前端を頂点とする略角錐状に形成されていることで、突部挿通溝19内での挿通動作が円滑となり、且つランス13をスムーズに押圧できるようになっている。
【0030】
雌端子金具30がキャビティ11内に正規深さまで挿入されるのに伴って、係止突部52がランス13を乗り越えるとともに、ランス13は、図8及び図9に示すように、弾性復帰して切欠部44内に進入しつつ雌端子金具30に対して弾性的に係止される。この状態では、図10に示すように、押さえ部53の下面53aが押さえ部挿通溝21の下面21aに当接可能となっている。これにより、例えば電線Wに引っ張り力が作用するなどして、雌端子金具30がその前端側を下方へ変位させつつ傾動しようとしても、その傾動動作を規制することができる。
【0031】
ここで、ランス13に対する係止面である切欠部44の前側の切断端面44aは、係止突部52を含めた外壁37の前部37a及び前部保持片50に至るまで、すなわち雌端子金具30のほぼ全幅領域にわたって形成されているので、雌端子金具30は、強固な抜け止め力でもってキャビティ11内から抜け止め状態に保持される(図9)。しかも、切欠部44の前側の切断端面44aは、内側に傾斜したテーパ状に形成されているので、抜け止め力がより強固なものとなっている。
【0032】
上記のような係止状態から、電線Wを介して雌端子金具30に対して後方へ引っ張るような力が作用する場合がある。その場合、ランス13が直接に係止する外壁37の前部37aには、全体を前方へ変位させるような力や、前端側を支点として後端側を下方へ捲るような力や、側壁35に繋げられた側を支点として、突出端側を下方へ捲るような力が作用することになる。このとき、外壁37の前部37aの突出端から設けられた前部保持片50には、図7の矢線X方向や図8の矢線Y方向や矢線Z方向へ遊動させようとする力が作用する。ところが、この前部保持片50は、前部保持溝51内に差し込まれてその外側に重なる押さえ部53によって押さ込まれているから、図7の矢線X方向へ遊動するのが規制される。しかも、前部保持片50は、掛止部56の上面56aが被掛止部54の上面54aに引っ掛かることで、図7の矢線X方向や図8の矢線Y方向へ遊動するのが規制される。さらには、前部保持片50は、その前面が前部保持溝51の前面に当接することで、図8の矢線Z方向へ遊動するのが規制される。以上のように前部保持片50が上記各方向への遊動が規制されることにより、外壁37の前部37aが外側へ捲れ(開き)変形するのを規制することができる。
【0033】
以上説明したように本実施形態によれば、本体部31に対して何らかの外力が作用した場合でも、前部保持片50が外壁37の前部37aと突き合わせられる側壁34に係止することで、外壁37の前部37aが外側に開くのを規制することができる。これにより、本体部31の形状を略角筒状に保つことができる。
【0034】
前部保持片50を側壁34に係止させるには、前部保持片50をその外側に重なる押さえ部53に当接させるとともに、押さえ部53に設けた掛止部56を前部保持片50に設けた被掛止部54に引っ掛けるようにしているから、外壁37の前部37aが外側に開くのを二重に規制することができる。
【0035】
ところで、雌端子金具30をキャビティ11内に挿入して、外壁37の前部37aに対してランス13に係止した状態から雌端子金具30を後方へ引っ張るような力が作用した場合、外壁37の前部37aには、前端側を支点として後端側が捲れるような力が作用するおそれがある。その場合でも、押さえ部53が前部保持片50の後端側を押さえるとともに、前部保持片50の後端側に設けた被掛止部54に掛止部56が引っ掛かっているから、外壁37の前部37aが捲れるようにして変位するのを有効に規制することができる。これにより、ランス13によって雌端子金具30を安定した状態で抜け止め保持することができる。
【0036】
しかも、切欠部44が外壁37を前後に分断するような範囲に形成されているから、ランス13の係止面積を大きく確保することができ、雌端子金具30が小型であっても抜け止め力を十分に得ることができる。このように外壁37が切欠部44によって前後に分断されたものでは、強度的に不利となるためにランス13が係止される前部37aが捲れ易くなるものの、前部37aに設けた前部保持片50が押さえ部53により押さえられるとともに、被掛止部54に掛止部56が引っ掛かることで、そのような事態を回避することができる。つまり、本実施形態によれば小型化に好適な雌端子金具30を提供することができる。
【0037】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれ、さらに、下記以外にも要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施することができる。
(1)上記した実施形態では、被掛止部54が前部保持片50の外面において内側に凹んで形成され、掛止部56が押さえ部53の内面から内側に突出して形成されるものを示したが、例えば被掛止部が前部保持片の外面から外側に突出して形成され、掛止部が押さえ部の内面において外側に凹んで形成されるものも本発明に含まれる。
【0038】
(2)上記した実施形態では、前部保持片50を側壁34に係止させるにあたり、押さえ部53を前部保持片50に当接させるとともに、掛止部56を被掛止部54に引っ掛けるようにしたものを示したが、掛止部や被掛止部を省略したり、或いは押さえ部を省略してもよく、そのようなものも本発明に含まれる。
(3)上記した実施形態では、側壁34から押さえ部53を外側へ張り出させてその内側に前部保持片50を収容したものを示したが、本体部内に前部保持片を収容するスペースを確保できるのであれば、押さえ部を側壁と平行に形成し、その内側に内向きに屈曲させた前部保持片を収容するようにしてもよい。このようにすれば、本体部の外形を小さく保つことができ、且つキャビティの内側面に設けていた押さえ部挿通溝を省略することが可能となる。
【0039】
(4)上記した実施形態では、前部保持片の外側に重なるように押さえ部を設けたものを示したが、例えば押さえ部を省略するとともに、前部保持片が側壁の外側に重なるように形成し、且つ前部保持片に設けた掛止部を側壁に設けた被掛止部に引っ掛けることで、外壁の前部の開き変形を規制するようにしてもよく、そのようなものも本発明に含まれる。
(5)上記した実施形態では、ランスに係止される外壁の前部について開き変形を規制するようにしたものを示したが、外壁の後部の開き変形を規制すべく、後部保持片を側壁に係止させるようにしたものも本発明に含まれる。
【0040】
(6)上記した実施形態では、本体部が外壁の内側に天井壁を有する構造のものを示したが、天井壁を省略したものにも本発明は適用可能である。
(7)上記した実施形態では、雌端子金具について例示したが、雄端子金具についても本発明は適用可能である。
(8)上記した実施形態では、抜け止め部として雌ハウジング内に一体形成されたランスを例示したが、例えば雌ハウジングとは別体とされ、雌ハウジングに対して装着されることで、雌端子金具を抜け止め保持可能なリテーナを抜け止め部としたものも本発明に含まれる。また上記した実施形態のように片持ち状のランス以外にも両持ち状のランスを抜け止め部としたものも本発明に含まれる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係る雌ハウジングの正面図
【図2】雌ハウジングの背面図
【図3】雌端子金具の正面図
【図4】雌端子金具の底面図
【図5】雌ハウジング内に雌端子金具を挿入する前の状態を示す側断面図(雌ハウジングが図1のA−A線断面図、雌端子金具が左側面図)
【図6】雌ハウジング内に雌端子金具を挿入する前の状態を示す平断面図(雌ハウジングが図1のB−B線断面図、雌端子金具が平面図)
【図7】雌端子金具における図5のC−C線断面図
【図8】雌ハウジング内に雌端子金具を挿入した状態を示す側断面図(雌ハウジングが図1のA−A線断面図、雌端子金具が左側面図)
【図9】雌ハウジング内に雌端子金具を挿入した状態を示す平断面図(雌ハウジングが図1のB−B線断面図、雌端子金具が平面図)
【図10】雌端子金具を挿入した状態を示すキャビティの背面図
【図11】従来例の斜視図
【符号の説明】
10…雌ハウジング(コネクタハウジング)
13…ランス(抜け止め部)
30…雌端子金具(端子金具)
31…本体部
34…側壁(他方の壁)
37…外壁(一方の壁)
37a…前部
44…切欠部
44a…切断端面
50…前部保持片(保持片)
53…押さえ部
54…被掛止部
56…掛止部
【発明の属する技術分野】
本発明は、端子金具に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、角筒状をなす本体部を備えた端子金具の一例として特開平4−209471号公報に記載されたものが知られている。このものは、図11に示すように、前後に細長い底壁1と、底壁1の両側縁から立ち上がる一対の側壁2,3と、図示右側の側壁2の立ち上がり端から突設されるとともに底壁1に対向する天井壁4と、左側の側壁3から突設されるとともに天井壁4の外側に重ね合わされてその突出端を右側の側壁2の立ち上がり端に突き合わせた外壁5とから構成される本体部6を備えている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、外壁5は、左側の側壁3から片持ち状に突出する形態となっている。従って、この外壁5に対して何らかの外力が作用すると、例えば外壁5が外側へ開くようにして変形することがあり、そうなると本体部6を角筒状に保つことができなくなってしまう。
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、本体部を所定形状に保つことを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するための手段として、請求項1の発明は、基材を長さ方向に沿って折り曲げることで略角筒状に成形される本体部を備えたものであって、本体部において互いに突き合わせられる一対の壁のうち、一方の壁には、他方の壁に重なる保持片が突設され、この保持片が前記他方の壁に係止することで、前記一方の壁が外側に開くのを規制可能となっている構成としたところに特徴を有する。
【0005】
請求項2の発明は、請求項1に記載のものにおいて、前記他方の壁には、前記保持片の外側に重なる押さえ部が設けられ、前記保持片が押さえ部に当接することで、前記一方の壁が外側に開くのを規制可能となっているところに特徴を有する。
請求項3の発明は、請求項1または請求項2に記載のものにおいて、前記保持片には、被掛止部が設けられ、前記他方の壁には、被掛止部が引っ掛かることで前記一方の壁が外側へ開くのを規制可能な掛止部が設けられているところに特徴を有する。
【0006】
請求項4の発明は、請求項1ないし請求項3のいずれかに記載のものにおいて、前記一方の壁には、当該端子金具をコネクタハウジング内に後方から挿入したときにその内部に備えられた抜け止め部が係止されることで当該端子金具を抜け止め可能となっているものにおいて、前記他方の壁が、前記保持片に対してその後端側に係止可能となっているところに特徴を有する。
請求項5の発明は、請求項4に記載のものにおいて、前記一方の壁には、前記抜け止め部が進入するのを許容する切欠部が設けられ、この切欠部の前側の切断端面に対して抜け止め部が係止可能とされ、且つ前記一方の壁が前記切欠部によって前後に分断して形成されているものにおいて、前記保持片は、前記一方の壁のうち、前記抜け止め部が係止される前部側に設けられているところに特徴を有する。
【0007】
【発明の作用及び効果】
<請求項1の発明>
本体部に対して何らかの外力が作用した場合でも、保持片が他方の壁に係止することで、一方の壁が外側に開くのを規制することができる。これにより、本体部の形状を略角筒状に保つことができる。
【0008】
<請求項2の発明>
保持片がその外側に重なる押さえ部に当接することで、一方の壁が開き変形するのを規制することができる。
<請求項3の発明>
被掛止部が掛止部に引っ掛かることで、一方の壁が開き変形するのを規制することができる。
【0009】
<請求項4の発明>
一方の壁に対してコネクタハウジング内に備えられた抜け止め部が係止された状態で、端子金具に対して後方へ引っ張るような力が作用した場合には、一方の壁には前端側を支点として後端側が捲れるような力が作用するおそれがある。その場合でも、他方の壁が保持片の後端側に係止されるから、一方の壁が捲れるようにして変位するのを有効に規制することができる。これにより、抜け止め部によって端子金具を安定した状態で抜け止め保持することができる。
【0010】
<請求項5の発明>
切欠部内に進入した抜け止め部が切欠部における前側の切断端面に係止されることで端子金具の抜け止めが図られる。切欠部が一方の壁を前後に分断するような範囲に形成されているから、抜け止め部の係止面積を大きく確保することができ、端子金具が小型であっても抜け止め力を十分に得ることができる。
このように一方の壁が切欠部によって前後に分断されたものでは、強度的に不利となるために抜け止め部が係止される前部側が捲れ易くなるものの、前部側に設けた保持片が他方の壁に係止することで、そのような事態を防ぐことができる。つまり、本発明によれば小型化に好適な端子金具を提供することができる。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明の一実施形態を図1ないし図10によって説明する。本実施形態では、雌コネクタハウジング10(以下、単に雌ハウジング10という)内に挿入可能な雌端子金具30を示す。この雌端子金具30は、雌ハウジング10内に収容された状態で、雌ハウジング10に対して嵌合される相手の雄ハウジング内に収容された雄端子金具(雄ハウジング共々図示せず)と導通接続可能とされている。なお以下では、雌ハウジング10に対する雌端子金具30の挿入方向を前方とし、逆の抜き取り方向を後方とし、また上下方向の記載は図5などを基準として説明する。
【0012】
雌ハウジング10は、図1及び図5に示すように、内部には後方から雌端子金具30を挿入可能なキャビティ11が上下2段、幅方向に複数室並んで配設されている。キャビティ11内に挿入される雌端子金具30は、キャビティ11の下壁12から突設されたランス13により弾性的に抜け止め可能とされるとともに、雌ハウジング10の前壁14によって前止まり状態に支持されるようになっている。この雌ハウジング10の前壁14には、相手の雄端子金具のタブがキャビティ11内に前方から進入するのを許容するタブ挿通孔15が穿設されており、その前側の孔縁には、全周にわたって略擂鉢状をなす誘導面16が形成されることで、タブの進入動作が円滑に誘導されるようになっている。雌ハウジング10の前壁14のうちタブ挿通孔15よりも下方位置(タブ挿通孔15とはランス13の撓み方向にずれた位置)には、雌ハウジング10の成形時にランス13を成形する前側の金型を前方へ型抜きするために型抜き孔17が穿設されている。前壁14における型抜き孔17の孔縁上部幅方向中央には、下方へ突き出る略三角形状の突出部18が設けられ、この突出部18にも上記誘導面16が連続して形成されている。
【0013】
各キャビティ11の下壁12は、前側の約1/4部分が一段低く形成されるとともにその段差部分から片持ち状のランス13が前方へ突出して形成されている。このランス13は、全体としては前端側にかけて次第に上方、すなわちキャビティ11内に張り出すよう、前方へ向かって上り勾配をなす傾斜状に形成されており、キャビティ11内への張出部分が挿入される雌端子金具30により押圧されることで突出基端(後端)を支点として下方(雌端子金具30の挿抜方向と交差する方向)へ撓み変形可能とされている。この撓み時にランス13は、下壁12の低位部分12aとの間に確保された撓み空間内に退避するようになっている。このランス13の前方に確保された空間内には、雌端子金具30の係止突部52が進入可能とされている。ランス13の下方に対向する下壁12の低位部分12aは、ランス13がその弾性限度を超えて撓み変形する手前の段階でランス13の下面に係合することで、その過度撓み変形を規制できるようになっている。またランス13は、前壁14に連結された下壁12の低位部分12aにより、全幅にわたって下方のキャビティ11または下方外部に露出することなく覆われており、もってランス13の保護が図られている。
【0014】
キャビティ11の内周面には、雌端子金具30の形状に合わせて複数の溝が後方へ開口する形態で形成されている。すなわち、キャビティ11の下面(下壁12)のうち幅方向略中央には、図2に示すように、雌端子金具30の係止突部52及び突部49を挿通可能な突部挿通溝19が形成されており、この突部挿通溝19の図2の右隣り位置には、雌端子金具30のスタビライザ47を挿通可能とされ、且つ突部挿通溝19よりも深いスタビライザ挿通溝20が形成されている。さらには、キャビティ11における図2の右側面には、雌端子金具30の押さえ部53(詳細は後述する)を挿通可能な押さえ部挿通溝21が形成されている。突部挿通溝19は、ランス13の前端にまで連続して形成されるのに対し、スタビライザ挿通溝20は、前端位置がランス13よりも少し後方に設定されている。押さえ部挿通溝21は、その前端位置がキャビティ11の前端よりも少し後側に設定されている。
【0015】
ランス13の前端両側部の下側約3/5部分には、図1に示すように、ランス13を強制的に撓み変形させるための解除治具(図示せず)によって操作可能とされる一対の操作凹部24が前方に開口して形成されている。両操作凹部24は、雌端子金具30がランス13に係止した状態でも前方外部に露出するように配置されており、前方から型抜き孔17を通して挿入される解除治具により下方へ押圧操作可能とされている。操作凹部24は、ランス13を側方から見て略三角形状に切欠して形成され、その上面がほぼ水平をなすのに対し、下面が後方へ向かって上り勾配をなすテーパ状をなしている。
【0016】
雌端子金具30は、金属母材を所定形状に打ち抜いたものに叩き加工や曲げ加工などを施すことで所望の形状に成形されている。この雌端子金具30は、図4及び図5に示すように、大まかには略角筒状をなす本体部31と、電線Wの端末に圧着接続可能なバレル部32とを前後に繋げた構成となっている。このうち、バレル部32は、前後に一対ずつのかしめ片32a,32bを備え、前側の両かしめ片32aが電線Wの芯線部分Waにかしめ付けられるのに対し、後側の両かしめ片32bが電線Wの被覆部分Wbにかしめ付けられるようになっている。
【0017】
本体部31は、金属母材を所定形状に打ち抜いたもの(特許請求の範囲に記載した基材に相当する)を長さ方向に沿って折り曲げることで、図3に示すように、略角筒状に成形されている。本体部31は、前後に延出する底壁33と、底壁33の両側縁から立ち上がる一対の側壁34,35と、図3の左側の側壁34の突出端から底壁33と対向するよう突出する天井壁36と、図3の右側の側壁35の突出端から突出するとともに天井壁36の外側に重ね合わせられる外壁37とから構成されている。この外壁37は、その突出端部が側壁34の下端部に突き合わせられている。
【0018】
底壁33は、図3及び図5に示すように、他の壁34,35,36,37と比較して前端が後方へ引っ込んだ位置に配されており、この前端から弾性接触片38が突設されている。弾性接触片38は、底壁33の前端から前方へ突出する舌片を後方へ向けて折り返すことで、略山形をなす片持ち状に形成されている。この弾性接触片38は、本体部31内に前方から挿入される相手の雄端子金具のタブに対して弾性接触可能とされている。また弾性接触片38に対向する天井壁36には、タブを弾性接触片38との間で挟圧状態に保持可能な受け部43が内側に張り出して設けられている。これら弾性接触片38と受け部43との間には、タブを収容可能なタブ収容空間39が確保されている。また底壁33には、弾性接触片38が弾性限度を超えて変形する手前の段階で弾性接触片38に係合することで、弾性接触片38の過度撓みを規制可能な過度撓み規制部(図示せず)が内側に叩き出して設けられている。
【0019】
外壁37は、図4及び図5に示すように、その長さ方向略中央部分に切欠部44が全幅にわたって形成されることで、前部37aと後部37bとに分断されている。この切欠部44内には、雌端子金具30がキャビティ11内に挿入されると、ランス13が進入可能とされ、切欠部44の前側の切断端面44a(前部37aの後端面)に対してランス13が係止可能とされている。ランス13に対する係止面である切欠部44における前側の切断端面44aは、全域にわたって内側に傾斜して形成されている。この切欠部44は、外壁37の半分弱の長さを有するとともに図4の手前側の側壁35の上端部にまで形成されている。この側壁35の上端面(切欠部44における側方の切断端面)には、天井壁36の突出端から突設された張出片45が当接されることで、天井壁36をほぼ水平な姿勢に支持できるようになっている。天井壁36のうち、受け部43を有する前半部分には、後半部分よりも僅かに低くなるよう凹部55が張出片45における側壁35との当接部分を含めた全域にわたって形成されており、その分だけランス13の係止深さを稼ぐことができるようになっている。また外壁37の前部37aは、前後長さが後部37bよりも少し短く設定されている。
【0020】
外壁37の後部37bにおける突出端からは、図5に示すように、底壁33側へ屈曲される後部保持片46と、その反対側(外方)へ屈曲されるスタビライザ47とが前後に設けられている。後部保持片46は、図5の紙面手前側の側壁34に切欠形成された後部保持溝48内に嵌合されることで、後部37bが前後に遊動するのを規制した状態に保持できるようになっている。スタビライザ47は、キャビティ11内のスタビライザ挿通溝20内に挿通されることで、雌端子金具30の挿入動作を案内可能となっている。また後部保持片46の前端が後部37bの前端と、スタビライザ47の後端が後部37bの後端と、それぞれ揃えられている。後部37bのうち後端部の幅方向中央には、スタビライザ47とほぼ同じ長さを有する突部49が外方へ突出するよう叩き出して形成されている。この突部49は、雌端子金具30がキャビティ11内に挿入されると、キャビティ11の下面(突部挿通溝19の上面)に当接可能とされている。
【0021】
外壁37の前部37aにおける幅方向に沿った後端縁部(切欠部44の前側の切断端部)の略中央(正確には中央よりも僅かに図2の左側にずれた位置)には、ランス13が係止可能とされる係止突部52が外側へ突出するよう叩き出して形成されている。係止突部52は、図4及び図5に示すように、全体としては前端を頂点とする略角錐状をなすとともに後方へ開口している。この係止突部52は、前端側にかけて幅寸法及び高さ寸法が減少する先細り状をなすとともに3つの斜面により構成される角錐部52aと、幅寸法及び高さ寸法が一定とされるとともに3つの側面により構成される角筒部52bとを前後に繋げた構成となっている。係止突部52の角錐部52aは、先細り状とされ、且つその前端部がやや丸みを帯びた形状に形成されることで、キャビティ11内に雌端子金具30が挿入される過程において突部挿通溝19内での挿通動作を円滑にできるようになっている。係止突部52の角筒部52bは、切欠部44の前側の切断端面44aの傾斜に沿って後方へオーバーハング状に突出して形成され、外壁37の前部37aよりも後方に突出している。
【0022】
この係止突部52は、上記突部49とほぼ同じ高さ位置まで突出するよう設定され、突部49と同様にキャビティ11の突部挿通溝19内に挿通可能とされている。係止突部52のうちランス13に対する係止面である後端面は、切欠部44の前側の切断端面44aにより構成されており、内側に傾斜したテーパ状に形成されている。外壁37の前部37aのうち係止突部52に対する両側方部分の後端面についても、内側に傾斜したテーパ状をなす切欠部44の前側の切断端面44aにより構成され、ランス13が係止可能とされている。
【0023】
さて、外壁37の前部37aにおける突出端部(側壁34との突き合わせ端部)からは、図5及び図7に示すように、底壁33側へ屈曲される前部保持片50が設けられている。これに対して図5の紙面手前側の側壁34における下端部(外壁37の前部37aとの突き合わせ端部)には、下方及び側方へ開口する前部保持溝51が切欠形成されており、ここに前部保持片50が下方から差し込まれている。そして、前部保持溝51の上側には、差し込まれる前部保持片50の外側に部分的に重ね合わせられる押さえ部53が側壁34の一部を外側に叩き出すことで形成されている。この押さえ部53は、雌端子金具30をキャビティ11内に挿入するときに押さえ部挿通溝21内に挿通可能とされている。
【0024】
前部保持片50は、側壁34と前後に重なるように前部保持溝51内に差し込まれている。前部保持片50は、外壁37の前部37aよりも後方へ突出して形成されており、その根元部分には、上記切欠部44が拡張して形成され、その切断端面44aが既述した通り内側に傾斜して形成されるとともに、ここにランス13の側端部が係止可能とされている。この前部保持片50のうち押さえ部53と重なる領域の略中央位置の外面には、被掛止部54が内側に凹んで形成されている。この被掛止部54は、前部保持片50を部分的に薄肉にするよう叩き加工により形成されており、その上面54aが水平方向に沿った真直面とされるのに対し、下面54bが下り勾配をなす傾斜面とされている。また前部保持片50における突出端部の内縁には、面取りが施されている。
【0025】
前部保持溝51は、側壁34において前部保持片50よりも後方へ少し長い範囲に形成されている。前部保持溝51は、前側1/4部分のみが前部保持片50の突出端よりも高い位置に達するよう部分的に深く形成されており、これにより押さえ部53の前端側が側壁34から接離されている。この前部保持溝51の前面は、上下方向に沿った真直面とされ、ここに前部保持片50の前面が当接可能とされており、これにより前部保持片50が前方へ遊動するのを規制できるようになっている。
【0026】
押さえ部53は、上端側と図5の左端側とが側壁34に繋げられており、両繋ぎ部分に隣り合う左上角部分には、成形時に側壁34から押さえ部53を叩き出し易くするための角孔55が穿設されている。なお押さえ部53における側壁34との両繋ぎ部分は、側壁34の板面に対してそれぞれ斜めに形成されている。押さえ部53は、高さ方向について前部保持片50の上半分を、前後方向について前部保持片50の後側3/4部分を覆うような範囲に設けられている。つまり、押さえ部53によって前部保持片50のうち突出端寄りの後端部及び後端寄りの突出端部を外側から押さえることができるようになっている。この押さえ部53における側壁34からの外方への張り出し寸法が前部保持片50の厚み寸法分とほぼ同じとなっているとともに、その内側の空間が前部保持溝51に連続していることで、前部保持片50を本体部31内のタブ収容空間39側に突出させることなく収容できるようになっている。言い換えると、押さえ部53を外側に張り出して設けることで、前部保持片50の収容するための空間をタブ収容空間39の外側に配している。押さえ部53のうち側壁34から接離された前面及び下面53aは、前部保持溝51を成形するのに伴う切断端面となっており、このうち下面53aが雌端子金具30をキャビティ11内に挿入したときに押さえ部挿通溝21の下面21aに当接可能とされている。この押さえ部53の下面53aは、押さえ部挿通溝21の下面21aと平行になるよう水平方向に沿った真直面となっている。
【0027】
この押さえ部53の内面には、内側に重ねられる前部保持片50の外面が当接されており、これにより前部保持片50及び外壁37の前部37aが外側に開き変形するのを規制できるようになっている。この押さえ部53には、前部保持片50の外面に凹設された被掛止部54内に嵌合可能な掛止部56が内方へ突出して設けられている。この掛止部56は、押さえ部53のうち被掛止部54と重なる部分を内方へ叩き出すことで形成されており、その上面56aが水平方向に沿った真直面とされるとともに、被掛止部54の上面54aに対して引っ掛かるようになっている。これにより、前部保持片50及び外壁37の前部37aが外側に開き変形するのを規制できるようになっている。掛止部56の下面56bは、被掛止部54の下面54bに沿う傾斜面となっている。
【0028】
なお、雌端子金具30を成形するにあたっては、先に押さえ部53を側壁34から叩き出して形成する一方、外壁37の前部37aから前部保持片50を折り曲げておき、その後に外壁37の前部37aを側壁35から折り曲げるとともに、前部保持片50を前部保持溝51(押さえ部53)内に差し込んで、掛止部56を被掛止部54内に嵌合させるようにしている。このうち前部保持片50が前部保持溝51内に差し込まれる過程では、前部保持片50の突出端部が掛止部56の下面56bに摺接されることで、その差し込み動作が円滑に案内されるようになっている。
【0029】
本実施形態は以上のような構造であり、続いてその作用について説明する。図5及び図6に示すように、雌端子金具30のバレル部32に電線Wを圧着接続した後に、雌端子金具30をキャビティ11内に後方から挿入する。雌端子金具30をキャビティ11内に挿入すると、係止突部52が突部挿通溝19内に、押さえ部53が押さえ部挿通溝21内に順次に挿通される。その後、突部49が突部挿通溝19内に、スタビライザ47がスタビライザ挿通溝20内にそれぞれ挿通されることで、雌端子金具30が上下左右にがたつくのが規制されつつ円滑に挿入される。そして、雌端子金具30が所定深さまで挿入されると、係止突部52によってランス13が押圧されて下方へ撓み変形される。この過程では、係止突部52が前端を頂点とする略角錐状に形成されていることで、突部挿通溝19内での挿通動作が円滑となり、且つランス13をスムーズに押圧できるようになっている。
【0030】
雌端子金具30がキャビティ11内に正規深さまで挿入されるのに伴って、係止突部52がランス13を乗り越えるとともに、ランス13は、図8及び図9に示すように、弾性復帰して切欠部44内に進入しつつ雌端子金具30に対して弾性的に係止される。この状態では、図10に示すように、押さえ部53の下面53aが押さえ部挿通溝21の下面21aに当接可能となっている。これにより、例えば電線Wに引っ張り力が作用するなどして、雌端子金具30がその前端側を下方へ変位させつつ傾動しようとしても、その傾動動作を規制することができる。
【0031】
ここで、ランス13に対する係止面である切欠部44の前側の切断端面44aは、係止突部52を含めた外壁37の前部37a及び前部保持片50に至るまで、すなわち雌端子金具30のほぼ全幅領域にわたって形成されているので、雌端子金具30は、強固な抜け止め力でもってキャビティ11内から抜け止め状態に保持される(図9)。しかも、切欠部44の前側の切断端面44aは、内側に傾斜したテーパ状に形成されているので、抜け止め力がより強固なものとなっている。
【0032】
上記のような係止状態から、電線Wを介して雌端子金具30に対して後方へ引っ張るような力が作用する場合がある。その場合、ランス13が直接に係止する外壁37の前部37aには、全体を前方へ変位させるような力や、前端側を支点として後端側を下方へ捲るような力や、側壁35に繋げられた側を支点として、突出端側を下方へ捲るような力が作用することになる。このとき、外壁37の前部37aの突出端から設けられた前部保持片50には、図7の矢線X方向や図8の矢線Y方向や矢線Z方向へ遊動させようとする力が作用する。ところが、この前部保持片50は、前部保持溝51内に差し込まれてその外側に重なる押さえ部53によって押さ込まれているから、図7の矢線X方向へ遊動するのが規制される。しかも、前部保持片50は、掛止部56の上面56aが被掛止部54の上面54aに引っ掛かることで、図7の矢線X方向や図8の矢線Y方向へ遊動するのが規制される。さらには、前部保持片50は、その前面が前部保持溝51の前面に当接することで、図8の矢線Z方向へ遊動するのが規制される。以上のように前部保持片50が上記各方向への遊動が規制されることにより、外壁37の前部37aが外側へ捲れ(開き)変形するのを規制することができる。
【0033】
以上説明したように本実施形態によれば、本体部31に対して何らかの外力が作用した場合でも、前部保持片50が外壁37の前部37aと突き合わせられる側壁34に係止することで、外壁37の前部37aが外側に開くのを規制することができる。これにより、本体部31の形状を略角筒状に保つことができる。
【0034】
前部保持片50を側壁34に係止させるには、前部保持片50をその外側に重なる押さえ部53に当接させるとともに、押さえ部53に設けた掛止部56を前部保持片50に設けた被掛止部54に引っ掛けるようにしているから、外壁37の前部37aが外側に開くのを二重に規制することができる。
【0035】
ところで、雌端子金具30をキャビティ11内に挿入して、外壁37の前部37aに対してランス13に係止した状態から雌端子金具30を後方へ引っ張るような力が作用した場合、外壁37の前部37aには、前端側を支点として後端側が捲れるような力が作用するおそれがある。その場合でも、押さえ部53が前部保持片50の後端側を押さえるとともに、前部保持片50の後端側に設けた被掛止部54に掛止部56が引っ掛かっているから、外壁37の前部37aが捲れるようにして変位するのを有効に規制することができる。これにより、ランス13によって雌端子金具30を安定した状態で抜け止め保持することができる。
【0036】
しかも、切欠部44が外壁37を前後に分断するような範囲に形成されているから、ランス13の係止面積を大きく確保することができ、雌端子金具30が小型であっても抜け止め力を十分に得ることができる。このように外壁37が切欠部44によって前後に分断されたものでは、強度的に不利となるためにランス13が係止される前部37aが捲れ易くなるものの、前部37aに設けた前部保持片50が押さえ部53により押さえられるとともに、被掛止部54に掛止部56が引っ掛かることで、そのような事態を回避することができる。つまり、本実施形態によれば小型化に好適な雌端子金具30を提供することができる。
【0037】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれ、さらに、下記以外にも要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施することができる。
(1)上記した実施形態では、被掛止部54が前部保持片50の外面において内側に凹んで形成され、掛止部56が押さえ部53の内面から内側に突出して形成されるものを示したが、例えば被掛止部が前部保持片の外面から外側に突出して形成され、掛止部が押さえ部の内面において外側に凹んで形成されるものも本発明に含まれる。
【0038】
(2)上記した実施形態では、前部保持片50を側壁34に係止させるにあたり、押さえ部53を前部保持片50に当接させるとともに、掛止部56を被掛止部54に引っ掛けるようにしたものを示したが、掛止部や被掛止部を省略したり、或いは押さえ部を省略してもよく、そのようなものも本発明に含まれる。
(3)上記した実施形態では、側壁34から押さえ部53を外側へ張り出させてその内側に前部保持片50を収容したものを示したが、本体部内に前部保持片を収容するスペースを確保できるのであれば、押さえ部を側壁と平行に形成し、その内側に内向きに屈曲させた前部保持片を収容するようにしてもよい。このようにすれば、本体部の外形を小さく保つことができ、且つキャビティの内側面に設けていた押さえ部挿通溝を省略することが可能となる。
【0039】
(4)上記した実施形態では、前部保持片の外側に重なるように押さえ部を設けたものを示したが、例えば押さえ部を省略するとともに、前部保持片が側壁の外側に重なるように形成し、且つ前部保持片に設けた掛止部を側壁に設けた被掛止部に引っ掛けることで、外壁の前部の開き変形を規制するようにしてもよく、そのようなものも本発明に含まれる。
(5)上記した実施形態では、ランスに係止される外壁の前部について開き変形を規制するようにしたものを示したが、外壁の後部の開き変形を規制すべく、後部保持片を側壁に係止させるようにしたものも本発明に含まれる。
【0040】
(6)上記した実施形態では、本体部が外壁の内側に天井壁を有する構造のものを示したが、天井壁を省略したものにも本発明は適用可能である。
(7)上記した実施形態では、雌端子金具について例示したが、雄端子金具についても本発明は適用可能である。
(8)上記した実施形態では、抜け止め部として雌ハウジング内に一体形成されたランスを例示したが、例えば雌ハウジングとは別体とされ、雌ハウジングに対して装着されることで、雌端子金具を抜け止め保持可能なリテーナを抜け止め部としたものも本発明に含まれる。また上記した実施形態のように片持ち状のランス以外にも両持ち状のランスを抜け止め部としたものも本発明に含まれる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係る雌ハウジングの正面図
【図2】雌ハウジングの背面図
【図3】雌端子金具の正面図
【図4】雌端子金具の底面図
【図5】雌ハウジング内に雌端子金具を挿入する前の状態を示す側断面図(雌ハウジングが図1のA−A線断面図、雌端子金具が左側面図)
【図6】雌ハウジング内に雌端子金具を挿入する前の状態を示す平断面図(雌ハウジングが図1のB−B線断面図、雌端子金具が平面図)
【図7】雌端子金具における図5のC−C線断面図
【図8】雌ハウジング内に雌端子金具を挿入した状態を示す側断面図(雌ハウジングが図1のA−A線断面図、雌端子金具が左側面図)
【図9】雌ハウジング内に雌端子金具を挿入した状態を示す平断面図(雌ハウジングが図1のB−B線断面図、雌端子金具が平面図)
【図10】雌端子金具を挿入した状態を示すキャビティの背面図
【図11】従来例の斜視図
【符号の説明】
10…雌ハウジング(コネクタハウジング)
13…ランス(抜け止め部)
30…雌端子金具(端子金具)
31…本体部
34…側壁(他方の壁)
37…外壁(一方の壁)
37a…前部
44…切欠部
44a…切断端面
50…前部保持片(保持片)
53…押さえ部
54…被掛止部
56…掛止部
Claims (5)
- 基材を長さ方向に沿って折り曲げることで略角筒状に成形される本体部を備えたものであって、
本体部において互いに突き合わせられる一対の壁のうち、一方の壁には、他方の壁に重なる保持片が突設され、この保持片が前記他方の壁に係止することで、前記一方の壁が外側に開くのを規制可能となっていることを特徴とする端子金具。 - 前記他方の壁には、前記保持片の外側に重なる押さえ部が設けられ、前記保持片が押さえ部に当接することで、前記一方の壁が外側に開くのを規制可能となっていることを特徴とする請求項1記載の端子金具。
- 前記保持片には、被掛止部が設けられ、前記他方の壁には、被掛止部が引っ掛かることで前記一方の壁が外側へ開くのを規制可能な掛止部が設けられていることを特徴とする請求項1または請求項2記載の端子金具。
- 前記一方の壁には、当該端子金具をコネクタハウジング内に後方から挿入したときにその内部に備えられた抜け止め部が係止されることで当該端子金具を抜け止め可能となっているものにおいて、
前記他方の壁が、前記保持片に対してその後端側に係止可能となっていることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の端子金具。 - 前記一方の壁には、前記抜け止め部が進入するのを許容する切欠部が設けられ、この切欠部の前側の切断端面に対して抜け止め部が係止可能とされ、且つ前記一方の壁が前記切欠部によって前後に分断して形成されているものにおいて、
前記保持片は、前記一方の壁のうち、前記抜け止め部が係止される前部側に設けられていることを特徴とする請求項4記載の端子金具。
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