JP2004055233A - コネクタ - Google Patents
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Abstract
【課題】小型化に好適なコネクタを提供する。
【解決手段】雌ハウジング10に設けられたキャビティ11内には、後方から雌端子金具30が挿入可能とされている。キャビティ11内には、挿入される雌端子金具30によって一旦撓み変形させられた後に復帰して雌端子金具30に対して弾性的に係止可能なランス13が設けられている。ランス13のうち雌端子金具30との係止面である前面13dには、前方へ突出する撓み規制部27が設けられている。撓み規制部27は、雌端子金具30にランス13が係止した状態では、雌端子金具30の係止突部52内に進入してその内面52cに係合することで、ランス13が撓み変形するのを規制可能とされている。
【選択図】 図16
【解決手段】雌ハウジング10に設けられたキャビティ11内には、後方から雌端子金具30が挿入可能とされている。キャビティ11内には、挿入される雌端子金具30によって一旦撓み変形させられた後に復帰して雌端子金具30に対して弾性的に係止可能なランス13が設けられている。ランス13のうち雌端子金具30との係止面である前面13dには、前方へ突出する撓み規制部27が設けられている。撓み規制部27は、雌端子金具30にランス13が係止した状態では、雌端子金具30の係止突部52内に進入してその内面52cに係合することで、ランス13が撓み変形するのを規制可能とされている。
【選択図】 図16
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、コネクタに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、コネクタの一例として特開平4−115475号公報に記載されたものが知られている。このものは、コネクタハウジングと、コネクタハウジング内に挿入可能な端子金具とを備え、端子金具がコネクタハウジングのキャビティ内に挿入されると、キャビティの内面から突設されたランスが弾性的に係止することで、端子金具の抜け止めが図られるようになっている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、コネクタを小型化するよう要請があった場合には、キャビティ、ランス及び端子金具を共に小さくする必要がある。このうち、ランスは、樹脂製であるため、金属製の端子金具と比較すると、小型化に伴い強度が不足し勝ちとなる。従って、小型のコネクタでは、ランスが端子金具に係止した状態から過大な力でもって端子金具を後方へ引っ張った場合には、ランスが無理に解除方向へ撓み変形させられて、その係止状態が解除される可能性があった。
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、小型化に好適なコネクタを提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するための手段として、請求項1の発明は、コネクタハウジングに設けられたキャビティ内に後方から端子金具を挿入すると、キャビティ内に設けられたランスが一旦撓み変形された後に復帰して端子金具に対して弾性的に係止されるものにおいて、前記ランスと前記端子金具との少なくともいずれか一方には、相手側との係止面よりも前方または後方へ突出するとともに、端子金具にランスが係止した状態では、相手側に係合することでランスが撓み変形するのを規制可能な撓み規制部が設けられている構成としたところに特徴を有する。請求項2の発明は、請求項1に記載のものにおいて、前記端子金具の外壁には、後方へ開口するよう外方へ叩き出すことでその後縁に前記ランスが係止可能とされる係止突部が設けられており、前記撓み規制部は、前記ランスからその係止面よりも前方へ突出して設けられるとともに前記係止突部内に進入してその内面に係合可能となっているところに特徴を有する。
【0005】
【発明の作用及び効果】
<請求項1の発明>
ランスが端子金具に係止した状態から、端子金具を過大な力でもって後方へ引っ張ったとしても、相手側との係止面よりも前方または後方へ突出する撓み規制部が相手側に係合することで、ランスが撓み変形させられるのが規制され、もって端子金具に対する係止状態が解除されるのを防ぐことができる。従って、小型化に伴ってランスの強度が不足し勝ちとなっても、端子金具を確実に抜け止め状態に保つことができ、もって小型化に好適なコネクタを提供することができる。
【0006】
<請求項2の発明>
係止突部は、外壁において後方へ開口するよう外方へ叩き出して形成されているから、ランスの係止深さが大きくなり、従って端子金具の抜け止め力を大きくすることができる。さらに撓み規制部は、ランスからその係止面よりも前方へ突出して設けられるとともに係止突部内に進入してその内面に係合可能となっているから、例えば係止突部からさらに外方及び後方へ突出するとともにランスに対して係合可能な撓み規制部を設けたものと比較すると、コネクタを小型に保つことができる。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明の一実施形態を図1ないし図16によって説明する。本実施形態では、雌コネクタハウジング10(以下、単に雌ハウジング10という)内に雌端子金具30が挿入されてなる雌コネクタを示す。この雌端子金具30は、雌ハウジング10内に収容された状態で、雌ハウジング10に対して嵌合される相手の雄ハウジング内に収容された雄端子金具(雄ハウジング共々図示せず)と導通接続可能とされている。なお以下では、雌ハウジング10に対する雌端子金具30の挿入方向を前方とし、逆の抜き取り方向を後方とし、また上下方向の記載は図7などを基準として説明する。
【0008】
雌ハウジング10は、前後方向(雌端子金具30の挿抜方向)に沿って型閉じ・型開きする前後一対の金型によって樹脂成形されている。この雌ハウジング10は、図1及び図7に示すように、内部には後方から雌端子金具30を挿入可能なキャビティ11が上下2段、幅方向に複数室並んで配設されている。キャビティ11内に挿入される雌端子金具30は、キャビティ11の下壁12から突設されたランス13により弾性的に抜け止め可能とされるとともに、雌ハウジング10の前壁14によって前止まり状態に支持されるようになっている。この雌ハウジング10の前壁14には、相手の雄端子金具のタブがキャビティ11内に前方から進入するのを許容するタブ挿通孔15が穿設されており、その前側の孔縁には、全周にわたって略擂鉢状をなす誘導面16が形成されることで、タブの進入動作が円滑に誘導されるようになっている。雌ハウジング10の前壁14のうちタブ挿通孔15よりも下方位置(タブ挿通孔15とはランス13の撓み方向にずれた位置)には、雌ハウジング10の成形時にランス13を成形する前側の金型を前方へ型抜きするために型抜き孔17が穿設されている。前壁14における型抜き孔17の孔縁上部幅方向中央には、下方へ突き出る略三角形状の突出部18が設けられ、この突出部18にも上記誘導面16が連続して形成されている。
【0009】
各キャビティ11の下壁12は、前側の約1/4部分が一段低く形成されるとともにその段差部分から片持ち状のランス13が前方へ突出して形成されている。このランス13は、全体としては前端側にかけて次第に上方、すなわちキャビティ11内に張り出すよう、前方へ向かって上り勾配をなす傾斜状に形成されており、キャビティ11内への張出部分が挿入される雌端子金具30により押圧されることで突出基端(後端)を支点として下方(雌端子金具30の挿抜方向と交差する方向)へ撓み変形可能とされている。この撓み時にランス13は、下壁12の低位部分12aとの間に確保された撓み空間内に退避するようになっている。このランス13の前方に確保された空間内には、雌端子金具30の係止突部52が進入可能とされている。ランス13の下方に対向する下壁12の低位部分12aは、ランス13がその弾性限度を超えて撓み変形する手前の段階でランス13の下面に係合することで、その過度撓み変形を規制できるようになっている。またランス13は、前壁14に連結された下壁12の低位部分12aにより、全幅にわたって下方のキャビティ11または下方外部に露出することなく覆われており、もってランス13の保護が図られている。
【0010】
キャビティ11の下壁12のうちランス13よりも後側部分には、図2及び図7に示すように、雌端子金具30の形状に合わせて溝が形成されている。すなわち、下壁12のうち幅方向略中央には、雌端子金具30の係止突部52及び突部49を挿通可能な突部挿通溝19が形成されており、この突部挿通溝19の図2に示す右側方には、雌端子金具30のスタビライザ47を挿通可能とされ、且つ突部挿通溝19よりもさらに低いスタビライザ挿通溝20が形成されている。この突部挿通溝19は、後述するようにランス13側に連続して形成されるのに対し、スタビライザ挿通溝20は、前端位置がランス13よりも少し後方に設定されている。
【0011】
キャビティ11の上面(ランス13との対向面)における前端部には、全幅にわたって内方(ランス13側)へテーパ状に張り出す張出部21が設けられており、この張出部21によってキャビティ11内に挿入される雌端子金具30の前端部をランス13側へ押し出すことで、ランス13の係止深さが増加できるようになっている。キャビティ11の後端周縁は、一部を除いてほぼ全周にわたり雌端子金具30を誘い込むことができるようテーパ状に形成されている。キャビティ11の後端周縁のうち、図2の左上位置には、雌端子金具30の挿抜方向と直交する切り立った端面をなす規制部22が設けられており、この規制部22には、雌端子金具30がキャビティ11に対して正規の挿入姿勢とは上下反転した不正な姿勢とされたときに、スタビライザ47が突き当たることで挿入動作を規制可能とされている。またキャビティ11は、図10に示すように、前半部分が後半部分よりも幅狭になるように、両側壁23が内方へテーパ状に張り出して形成されている。
【0012】
ランス13の構造を詳細に説明する。ランス13は、図3に示すように、下面が全長にわたって前方に向かって緩やかな上り勾配をなす傾斜面とされるのに対し、上面が、ランス13の後部13bにおいては下面と同様の傾斜面(但し、下面よりはやや急な勾配をなす)とされ、ランス13の前部13aにおいてはほぼ水平に形成されている。ランス13の上面は、下壁12の後部側から連続して形成された突部挿通溝19により幅方向中央が全長にわたって凹んだ形状となっている。突部挿通溝19は、ランス13の後部13bにおいては、全体として前側にかけて次第に溝幅が狭くなるよう形成されており、底面19aと、上下方向に沿って略真直な一対の側面19bと、両側面19bと底面19aとを繋ぐとともに内傾した一対の斜面19cとにより構成されている。突部挿通溝19は、ランス13の前部13aにおいては、溝幅が全長にわたって一定とされるとともに、その深さが後部13b側よりも浅く(後述する突き出し部25の上部25bの上半分を切り欠く程度)なっており、緩やかな円弧面19dによって構成されている。またランス13の下面のうち幅方向中央部分は、全長にわたって突部挿通溝19の円弧面19dに概ね沿うような円弧面13cとなっており、下壁12の低位部分12aについても同様の円弧面12bが形成されている。
【0013】
ランス13は、キャビティ11にほぼ匹敵する幅寸法(キャビティ11よりも僅かに小さい程度)を有し、全長にわたって一定幅に形成されている。このランス13の型抜き孔17は、雌ハウジング10の前壁14においてキャビティ11よりも大きな幅領域にわたって形成されており、従ってランス13の両側方に対向するキャビティ11の両側壁23には、所定幅ずつの切り欠き17aが形成されている。この切り欠き17aの幅寸法分だけ、ランス13を成形する金型の厚み寸法を大きく確保することができ、金型の強度が必要なだけ得られるようになっており、逆に言うとランス13の幅寸法が大きく確保され、ランス13の強度が高められている。
【0014】
ランス13の前端両側部の下側約3/5部分には、ランス13を強制的に撓み変形させるための治具(図示せず)によって操作可能とされる一対の操作凹部24が前方に開口して形成されている。両操作凹部24は、雌端子金具30がランス13に係止した状態でも前方外部に露出するように配置されており(図15)、前方から型抜き孔17を通して挿入される治具により下方へ押圧操作可能とされている。操作凹部24は、ランス13を側方から見て略三角形状に切欠して形成され、その上面がほぼ水平をなすのに対し、下面が後方へ向かって上り勾配をなすテーパ状をなしている。
【0015】
ランス13の前端部における上側約2/3部分には、さらに前方へ突出する突き出し部25が全幅にわたって設けられている。この突き出し部25は、雌端子金具30に対してランス13が係止した状態で、係止突部52の内側に進入可能とされている。突き出し部25は、下部25aがその上端側にかけて次第に突出長さが大きくなるよう形成され、上部25b(両操作凹部24よりも上側部分)が一定の突出長さを有している。別言すると、突き出し部25の下部25aの前端面は、前方へ向かって上り勾配をなすテーパ状に形成されており、上部25bの前端面は、切り立った端面となっている。
【0016】
キャビティ11内の前端位置の角部には、図2及び図9に示すように、雌端子金具30に設けられた被支持溝部53内に嵌合することで、雌端子金具30が上下方向(ランス13の撓み方向)に傾動するのを規制可能な支持突部26が内方に突出して設けられている。この支持突部26は、略ブロック状に形成されるとともに、雌ハウジング10の前壁14(キャビティ11の前面)とキャビティ11の図2の左側の側壁23(キャビティ11の図2の右側内側面)との双方に連結されることで、強度が高められている。この支持突部26は、ランス13に対して上方(ランス13の撓み方向)にずれた位置で、且つその下面が型抜き孔17に臨むような位置に配されている。
【0017】
雌端子金具30は、金属母材を所定形状に打ち抜いたものに叩き加工や曲げ加工などを施すことで所望の形状に成形されている。この雌端子金具30は、図5及び図7に示すように、大まかには前後に開口する略箱型をなす本体部31と、電線Wの端末に圧着接続可能なバレル部32とを前後に繋げた構成となっている。このうち、バレル部32は、前後に一対ずつのかしめ片32a,32bを備え、前側の両かしめ片32aが電線Wの芯線部分Waにかしめ付けられるのに対し、後側の両かしめ片32bが電線Wの被覆部分Wbにかしめ付けられるようになっている。
【0018】
本体部31は、前後に延出する底壁33と、底壁33の両側縁から立ち上がる一対の側壁34,35と、図4の左側の側壁34の突出端から底壁33と対向するよう突出する天井壁36と、図4の右側の側壁35の突出端から突出するとともに天井壁36の外側に重ね合わせられる外壁37とから構成されている。
【0019】
底壁33は、図7に示すように、他の壁34,35,36,37と比較して前端が後方へ引っ込んだ位置に配されており、この前端から弾性接触片38が突設されている。弾性接触片38は、底壁33の前端から前方へ突出する舌片を後方へ向けて折り返すことで、底壁33及び天井壁36に対向するとともに全体として略山形をなす片持ち状に形成されている。この弾性接触片38は、略U字型をなす折返部の後側に前傾部分と後傾部分とを順次に繋げた構成とされ、その前傾部分と後傾部分とにまたがる領域には、前後に細長い略長円形状をなす膨出部39が天井壁36側へ叩き出して形成されている。この膨出部39における頂点部分が、相手の雄側端子金具のタブと接触可能な接点部40とされている。この接点部40が雄側端子金具のタブによって押圧されるのに伴って、弾性接触片38は、折返部を撓み支点として底壁33側へ接近するよう撓み変形可能とされている。撓み変形時には、弾性接触片38の後端部が底壁33の内面に当接可能とされ、この部分には弾性接触片38の撓み代を稼ぐとともに、撓んだ弾性接触片38を幅方向についてずれ止め可能な凹部41が所定長さにわたって凹み形成されている。
【0020】
また底壁33のうち接点部40に対向する位置には、過度撓み規制突部42が接点部40側へ突出するよう叩き出して設けられている。この過度撓み規制突部42に対して弾性接触片38が係合することで、弾性接触片38が弾性限度を越えて過度に撓み変形するのを規制できるようになっている。また天井壁36のうち膨出部39及び係止突部52と対向する位置には、受け部43が内側(弾性接触片38側)に張り出して設けられている。この受け部43と弾性接触片38との間で雄側端子金具のタブを挟圧状態に保持できるようになっている。
【0021】
外壁37は、図5及び図7に示すように、その長さ方向略中央部分に切欠部44が全幅にわたって形成されることで、前部37aと後部37bとに分断されている。この切欠部44内には、雌端子金具30がキャビティ11内に挿入されると、ランス13が全長にわたって進入可能とされ、切欠部44の前側の切断端面44aに対してランス13が係止可能とされている。ランス13に対する係止面である切欠部44における前側の切断端面44aは、全域にわたって内側に傾斜するテーパ状に形成されている。この切欠部44は、外壁37の半分弱の長さを有するとともに図5の奥側の側壁35の上端部にまで形成されている。この側壁35の上端面(切欠部44における側方の切断端面)には、天井壁36の突出端から突設された張出片45が当接されることで、天井壁36をほぼ水平な姿勢に支持できるようになっている。天井壁36のうち、受け部43を有する前半部分には、後半部分よりも僅かに低くなるよう凹部が張出片45における側壁35との当接部分を除いた全域にわたって形成されており、その分だけランス13の係止深さを稼ぐことができるようになっている。また外壁37の前部37aは、前後長さが後部37bよりも少し短く設定されている。
【0022】
外壁37の後部37bにおける突出端からは、図5及び図6に示すように、底壁33側へ屈曲される後部保持片46と、その反対側(外方)へ屈曲されるスタビライザ47とが前後に設けられている。後部保持片46は、図6の紙面手前側の側壁34に切欠形成された後部保持溝48内に嵌合されることで、後部37bが前後に遊動するのを規制した状態に保持できるようになっている。スタビライザ47は、キャビティ11内のスタビライザ挿通溝20内に挿通されることで、雌端子金具30の挿入動作を案内可能となっている。また後部保持片46の前端が後部37bの前端と、スタビライザ47の後端が後部37bの後端と、それぞれ揃えられている。後部37bのうち後端部の幅方向中央には、スタビライザ47とほぼ同じ長さを有する突部49が外方へ突出するよう叩き出して形成されている。この突部49は、雌端子金具30がキャビティ11内に挿入されると、キャビティ11の下面(突部挿通溝19の上面)に当接可能とされている。
【0023】
外壁37の前部37aにおける突出端からは、底壁33側へ屈曲される前部保持片50が設けられている。前部保持片50は、図6の紙面手前側の側壁34に切欠形成された前部保持溝51内に嵌合されることで、前部37aが前後に遊動するのを規制した状態に保持できるようになっている。この前部保持片50は、外壁37の前部37aよりも後方へ突出して形成されている。そして、前部保持片50の根元部分には、上記切欠部44が拡張して形成され、その切断端面44aが既述したように内側に傾斜したテーパ状に形成されており、ここにランス13の側端部が係止可能とされている。
【0024】
外壁37の前部37aにおける後端部(切欠部44の前側の切断端部)の幅方向略中央(正確には中央よりも僅かに図4の左側にずれた位置)には、ランス13が係止可能とされる係止突部52が外方へ叩き出して形成されている。係止突部52は、図5及び図6に示すように、全体としては前端を頂点とする略角錐状をなすとともに後方へ開口している。この係止突部52は、前端側にかけて幅寸法及び高さ寸法が減少する先細り状をなすとともに3つの斜面により構成される角錐部52aと、幅寸法及び高さ寸法が一定とされるとともに3つの側面により構成される角筒部52bとを前後に繋げた構成となっている。係止突部52の角錐部52aは、先細り状とされ、且つその前端部がやや丸みを帯びた形状に形成されることで、キャビティ11内に雌端子金具30が挿入される過程において突部挿通溝19内での挿通動作を円滑にできるようになっている。係止突部52の角筒部52bは、切欠部44の前側の切断端面44aの傾斜に沿って後方へオーバーハング状に突出して形成され、外壁37の前部37aよりも後方に突出している。
【0025】
この係止突部52は、上記突部49とほぼ同じ高さ位置まで突出するよう設定され、突部49と同様にキャビティ11の突部挿通溝19内に挿通可能とされている。この係止突部52の角筒部52bにおける外側への突出先端は、ランス13のうち突き出し部25よりも下側部分に達するように設定されており、もってランス13の係止深さが十分に確保されている。係止突部52のうちランス13に対する係止面である後縁44a1は、切欠部44の前側の切断端面44aにより構成されており、内側に傾斜したテーパ状に形成されている。外壁37の前部37aのうち係止突部52に対する両側方部分の後端面についても、図8に示すように、内側に傾斜したテーパ状をなす切欠部44の前側の切断端面44aにより構成され、ランス13が係止可能とされている。
【0026】
外壁37の前部37aと図4の右側の側壁35とに跨る角部(弾性接触片38を設けた底壁33とは高さ方向について反対側の外壁37における角部であり、且つ前部保持片50とは幅方向について反対側の部分)には、被支持溝部53が前方へ開放するよう切り欠いて形成されている。この被支持溝部53には、雌端子金具30がキャビティ11内に挿入されるのに伴って、キャビティ11の前端位置に設けられた支持突部26が係止可能とされ、もって雌端子金具30が上下方向(雌端子金具30の挿抜方向と交差する方向、ランス13の撓み方向)に遊動不能に支持されるようになっている。
【0027】
さて、上記したランス13の前面13d、すなわち雌端子金具30に対する係止面からは、図1、図3及び図7に示すように、雌端子金具30に係止した状態において、ランス13が下方(係止解除方向)へ撓み変形するのを規制するための撓み規制部27が部分的に前方へ突出して設けられている。言い換えると、撓み規制部27は、ランス13の前面13dの一部を局所的に前方へ膨出させることで形成されている。詳しくは、撓み規制部27は、幅方向に沿って細長い形状をなし、ランス13のうち突き出し部25の上部25bにおける幅方向略中央位置(突部挿通溝19の円弧面19dの真下位置)から前方へ突出して設けられている。このため、挿入過程において雌端子金具30の係止突部52と干渉されるようになっている。この撓み規制部27の突出長さは、雌端子金具30がキャビティ11内に正規深さまで挿入されたときに係止突部52よりも後方に引っ込むような大きさに設定されることで、ランス13の復帰動作が許容されるようになっている(図11)。
【0028】
そして、この撓み規制部27は、キャビティ11内に正規深さまで挿入された雌端子金具30が後退したときに係止突部52の内側に進入可能となっている。撓み規制部27が係止突部52内に進入した状態では、撓み規制部27の下面27aと、係止突部52の後部52bのうち立ち上がり部分同士を繋ぐ部分の内面52cとが上下に対向して配されるようになっており(図16)、この状態からランス13が下方へ撓み変形しようとした場合には、両面27a,52cが互いに係合することで、ランス13の下方への撓み変形が規制されるようになっている。両面27a,52cは、共に略水平な面、すなわちランス13の撓み方向に対して略直交する面となっている。
【0029】
本実施形態は以上のような構造であり、続いてその作用について説明する。図7ないし図10に示すように、雌端子金具30のバレル部32に電線Wを圧着接続した後に、雌端子金具30をキャビティ11内に後方から挿入する。このとき、スタビライザ47を下方へ向けた正規の挿入姿勢とは上下反転した不正な姿勢で雌端子金具30を挿入しようとした場合には、上方を向いたスタビライザ47の前端面がキャビティ11の後端周縁に形成された規制部22に突き当たることで挿入動作が規制される。これにより、雌端子金具30の逆挿入が確実に防止される。
【0030】
正規の挿入姿勢としつつ雌端子金具30をキャビティ11内に挿入すると、先に係止突部52が突部挿通溝19内に挿通され、その後、突部49が突部挿通溝19内に、スタビライザ47がスタビライザ挿通溝20内にそれぞれ挿通されることで、雌端子金具30が上下左右にがたつくのが抑制されつつ円滑に挿入される。そして、雌端子金具30が所定深さまで挿入されると、係止突部52によってランス13が押圧されて下方へ撓み変形される。このとき、ランス13は、前部13aが係止突部52により押圧されるときに最も大きく撓まされる。この過程では、係止突部52が前端を頂点とする略角錐状に形成されていることで、突部挿通溝19内での挿通動作が円滑になり、且つランス13をスムーズに押圧できるようになっている。
【0031】
雌端子金具30がキャビティ11内に正規深さまで挿入されるのに伴って、係止突部52が撓み規制部27を乗り越えるとともにランス13が弾性復帰して、図11ないし図14に示すように、切欠部44内に進入しつつ雌端子金具30に対して弾性的に係止される。この状態では、係止突部52の後縁44a1と、ランス13の前面13dとの間には、ランス13の復帰に伴う所定長さのクリアランスが空いており、その長さ分だけ雌端子金具30が後退可能とされる。この過程では、本体部31の前端部がキャビティ11の上面の張出部21により押し下げられてランス13側に接近するよう変位するから、ランス13の雌端子金具30に対する係止深さが大きくなっている。しかも、このとき雌端子金具30は、図13に示すように、被支持溝部53内に支持突部26が嵌合して係止されることで、上下方向(ランス13の撓み方向)に傾動するのが規制される。また係止突部52は、図15に示すように、ランス13の両操作凹部24とは幅方向にずれた位置に配されており、両操作凹部24と共に前方外部に露出している。
【0032】
ここで、ランス13に対する係止面である切欠部44の前側の切断端面44aは、図11ないし図14に示すように、係止突部52を含めた外壁37の前部37a及び前部保持片50に至るまで、すなわち雌端子金具30のほぼ全幅領域にわたって形成されているので、雌端子金具30は、強固な抜け止め力でもってキャビティ11内から抜け止め状態に保持される。しかも、切欠部44の前側の切断端面44a(係止突部52の後縁44a1を含む)は、内側に傾斜したテーパ状に形成されているので、抜け止め力がより強固なものとなっている。
【0033】
ところで、上記のように雌端子金具30がキャビティ11内に正規深さまで挿入された状態から、電線Wを介して雌端子金具30に対して後方へ引っ張るような力が作用する場合がある。その場合、雌端子金具30は、正規の挿入位置(図11)から係止突部52とランス13との間に空けられたクリアランス分だけ後退され、図16に示すように、係止突部52の後縁44a1がランス13の前面13dに当接する位置に達したところで、それ以上の後退が規制される。この係止状態では、撓み規制部27は、係止突部52内の空間に進入するとともに、その下面27aが係止突部52の内面52cと対向して配される。ここで、電線Wを後方へ引っ張る力が過大だった場合には、係止突部52によりランス13が過大な力で押圧されることで、ランス13が無理に下方へ撓み変形させられる可能性がある。ところが、そのような場合でも、撓み規制部27の下面27aが係止突部52の内面52cに係合することで、ランス13が下方へ撓み変形させられるのが規制される。これにより、ランス13の雌端子金具30に対する係止状態が解除されることが防止され、もって雌端子金具30が不用意に抜き取られる事態を回避することができる。
【0034】
以上説明したように本実施形態によれば、ランス13のうち雌端子金具30との係止面である前面13dには、前方へ突出する撓み規制部27が設けられているから、ランス13が雌端子金具30に係止した状態から、雌端子金具30を過大な力でもって後方へ引っ張ったとしても、撓み規制部27が雌端子金具30側に係合することで、ランス13が撓み変形させられるのが規制され、もって雌端子金具30に対する係止状態が解除されるのを防ぐことができる。従って、小型化に伴ってランス13の強度が不足し勝ちとなっても、雌端子金具30を確実に抜け止め状態に保つことができ、もって小型化に好適な雌コネクタを提供することができる。
【0035】
しかも、雌端子金具30のうち外壁37の前部37aには、後方へ開口するよう外方へ叩き出すことでその後縁44a1にランス13が係止可能とされる係止突部52が設けられているから、ランス13の係止深さが大きくなり、従って雌端子金具30の抜け止め力を大きくすることができ、小型化に好適となる。さらに撓み規制部27は、係止突部52内に進入してその内面52cに係合可能となっている、すなわち係止突部52における外方への突出寸法内に収められているから、例えば係止突部から下方(外方)及び後方へ突出するとともにランスの下面に対して係合可能な撓み規制部を設けたものと比較すると、雌コネクタを小型に保つことができる。
【0036】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれ、さらに、下記以外にも要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施することができる。
(1)上記した実施形態では、撓み規制部がランスの前面に設けられた場合を示したが、ランスの前面よりの前方へ突出するのであれば、例えばランスの両側面や上下面に設けるようにしてもよく、そのようなものも本発明に含まれる。
(2)上記した実施形態では、雌端子金具が係止突部を有しているものを示したが、係止突部を有さない端子金具を備えたコネクタについても本発明は適用可能である。
(3)上記した実施形態では、撓み規制部をランスに設けたものを示したが、例えば雌端子金具において係止突部の後縁(ランスに対する係止面)よりも後方へ突出するとともに、ランスの下面に対して係合可能な撓み規制部を設けるようにしたものも本発明に含まれる。またランス側と雌端子金具側との双方から撓み規制部を設けるようにしたものも本発明に含まれる。
(4)上記した実施形態では、雌端子金具を備えた雌コネクタについて例示したが、雌端子金具に対して接続可能なタブを有する雄端子金具を備えた雄コネクタについても本発明は同様に適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係る雌ハウジングの正面図
【図2】雌ハウジングの背面図
【図3】雌ハウジングの部分切欠斜視図
【図4】雌端子金具の正面図
【図5】雌端子金具の底面図
【図6】雌端子金具の左側面図
【図7】雌ハウジング内に雌端子金具を挿入する前の状態を示す側断面図(雌ハウジングが図1のA−A線断面図、雌端子金具が図4のE−E線断面図)
【図8】雌ハウジング内に雌端子金具を挿入する前の状態を示す側断面図(雌ハウジングが図1のB−B線断面図、雌端子金具が図4のF−F線断面図)
【図9】雌ハウジング内に雌端子金具を挿入する前の状態を示す側断面図(雌ハウジングが図1のC−C線断面図、雌端子金具が右側面図)
【図10】雌ハウジング内に雌端子金具を挿入する前の状態を示す平断面図(雌ハウジングが図1のD−D線断面図、雌端子金具が平面図)
【図11】雌ハウジング内に雌端子金具を正規深さまで挿入した状態を示す側断面図(雌ハウジングが図1のA−A線断面図、雌端子金具が図4のE−E線断面図)
【図12】雌ハウジング内に雌端子金具を正規深さまで挿入した状態を示す側断面図(雌ハウジングが図1のB−B線断面図、雌端子金具が図4のF−F線断面図)
【図13】雌ハウジング内に雌端子金具を正規深さまで挿入した状態を示す側断面図(雌ハウジングが図1のC−C線断面図、雌端子金具が右側面図)
【図14】雌ハウジング内に雌端子金具を正規深さまで挿入した状態を示す平断面図(雌ハウジングが図1のD−D線断面図、雌端子金具が平面図)
【図15】雌ハウジング内に雌端子金具を挿入した状態を示す正面図
【図16】正規深さまで挿入した雌端子金具を後退させた状態を示す側断面図(雌ハウジングが図1のA−A線断面図、雌端子金具が図4のE−E線断面図)
【符号の説明】
10…雌ハウジング(コネクタハウジング)
11…キャビティ
13…ランス
13d…前面(係止面)
27…撓み規制部
30…雌端子金具(端子金具)
37…外壁
44a1…後縁(係止面)
52…係止突部
52c…内面
【発明の属する技術分野】
本発明は、コネクタに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、コネクタの一例として特開平4−115475号公報に記載されたものが知られている。このものは、コネクタハウジングと、コネクタハウジング内に挿入可能な端子金具とを備え、端子金具がコネクタハウジングのキャビティ内に挿入されると、キャビティの内面から突設されたランスが弾性的に係止することで、端子金具の抜け止めが図られるようになっている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、コネクタを小型化するよう要請があった場合には、キャビティ、ランス及び端子金具を共に小さくする必要がある。このうち、ランスは、樹脂製であるため、金属製の端子金具と比較すると、小型化に伴い強度が不足し勝ちとなる。従って、小型のコネクタでは、ランスが端子金具に係止した状態から過大な力でもって端子金具を後方へ引っ張った場合には、ランスが無理に解除方向へ撓み変形させられて、その係止状態が解除される可能性があった。
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、小型化に好適なコネクタを提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するための手段として、請求項1の発明は、コネクタハウジングに設けられたキャビティ内に後方から端子金具を挿入すると、キャビティ内に設けられたランスが一旦撓み変形された後に復帰して端子金具に対して弾性的に係止されるものにおいて、前記ランスと前記端子金具との少なくともいずれか一方には、相手側との係止面よりも前方または後方へ突出するとともに、端子金具にランスが係止した状態では、相手側に係合することでランスが撓み変形するのを規制可能な撓み規制部が設けられている構成としたところに特徴を有する。請求項2の発明は、請求項1に記載のものにおいて、前記端子金具の外壁には、後方へ開口するよう外方へ叩き出すことでその後縁に前記ランスが係止可能とされる係止突部が設けられており、前記撓み規制部は、前記ランスからその係止面よりも前方へ突出して設けられるとともに前記係止突部内に進入してその内面に係合可能となっているところに特徴を有する。
【0005】
【発明の作用及び効果】
<請求項1の発明>
ランスが端子金具に係止した状態から、端子金具を過大な力でもって後方へ引っ張ったとしても、相手側との係止面よりも前方または後方へ突出する撓み規制部が相手側に係合することで、ランスが撓み変形させられるのが規制され、もって端子金具に対する係止状態が解除されるのを防ぐことができる。従って、小型化に伴ってランスの強度が不足し勝ちとなっても、端子金具を確実に抜け止め状態に保つことができ、もって小型化に好適なコネクタを提供することができる。
【0006】
<請求項2の発明>
係止突部は、外壁において後方へ開口するよう外方へ叩き出して形成されているから、ランスの係止深さが大きくなり、従って端子金具の抜け止め力を大きくすることができる。さらに撓み規制部は、ランスからその係止面よりも前方へ突出して設けられるとともに係止突部内に進入してその内面に係合可能となっているから、例えば係止突部からさらに外方及び後方へ突出するとともにランスに対して係合可能な撓み規制部を設けたものと比較すると、コネクタを小型に保つことができる。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明の一実施形態を図1ないし図16によって説明する。本実施形態では、雌コネクタハウジング10(以下、単に雌ハウジング10という)内に雌端子金具30が挿入されてなる雌コネクタを示す。この雌端子金具30は、雌ハウジング10内に収容された状態で、雌ハウジング10に対して嵌合される相手の雄ハウジング内に収容された雄端子金具(雄ハウジング共々図示せず)と導通接続可能とされている。なお以下では、雌ハウジング10に対する雌端子金具30の挿入方向を前方とし、逆の抜き取り方向を後方とし、また上下方向の記載は図7などを基準として説明する。
【0008】
雌ハウジング10は、前後方向(雌端子金具30の挿抜方向)に沿って型閉じ・型開きする前後一対の金型によって樹脂成形されている。この雌ハウジング10は、図1及び図7に示すように、内部には後方から雌端子金具30を挿入可能なキャビティ11が上下2段、幅方向に複数室並んで配設されている。キャビティ11内に挿入される雌端子金具30は、キャビティ11の下壁12から突設されたランス13により弾性的に抜け止め可能とされるとともに、雌ハウジング10の前壁14によって前止まり状態に支持されるようになっている。この雌ハウジング10の前壁14には、相手の雄端子金具のタブがキャビティ11内に前方から進入するのを許容するタブ挿通孔15が穿設されており、その前側の孔縁には、全周にわたって略擂鉢状をなす誘導面16が形成されることで、タブの進入動作が円滑に誘導されるようになっている。雌ハウジング10の前壁14のうちタブ挿通孔15よりも下方位置(タブ挿通孔15とはランス13の撓み方向にずれた位置)には、雌ハウジング10の成形時にランス13を成形する前側の金型を前方へ型抜きするために型抜き孔17が穿設されている。前壁14における型抜き孔17の孔縁上部幅方向中央には、下方へ突き出る略三角形状の突出部18が設けられ、この突出部18にも上記誘導面16が連続して形成されている。
【0009】
各キャビティ11の下壁12は、前側の約1/4部分が一段低く形成されるとともにその段差部分から片持ち状のランス13が前方へ突出して形成されている。このランス13は、全体としては前端側にかけて次第に上方、すなわちキャビティ11内に張り出すよう、前方へ向かって上り勾配をなす傾斜状に形成されており、キャビティ11内への張出部分が挿入される雌端子金具30により押圧されることで突出基端(後端)を支点として下方(雌端子金具30の挿抜方向と交差する方向)へ撓み変形可能とされている。この撓み時にランス13は、下壁12の低位部分12aとの間に確保された撓み空間内に退避するようになっている。このランス13の前方に確保された空間内には、雌端子金具30の係止突部52が進入可能とされている。ランス13の下方に対向する下壁12の低位部分12aは、ランス13がその弾性限度を超えて撓み変形する手前の段階でランス13の下面に係合することで、その過度撓み変形を規制できるようになっている。またランス13は、前壁14に連結された下壁12の低位部分12aにより、全幅にわたって下方のキャビティ11または下方外部に露出することなく覆われており、もってランス13の保護が図られている。
【0010】
キャビティ11の下壁12のうちランス13よりも後側部分には、図2及び図7に示すように、雌端子金具30の形状に合わせて溝が形成されている。すなわち、下壁12のうち幅方向略中央には、雌端子金具30の係止突部52及び突部49を挿通可能な突部挿通溝19が形成されており、この突部挿通溝19の図2に示す右側方には、雌端子金具30のスタビライザ47を挿通可能とされ、且つ突部挿通溝19よりもさらに低いスタビライザ挿通溝20が形成されている。この突部挿通溝19は、後述するようにランス13側に連続して形成されるのに対し、スタビライザ挿通溝20は、前端位置がランス13よりも少し後方に設定されている。
【0011】
キャビティ11の上面(ランス13との対向面)における前端部には、全幅にわたって内方(ランス13側)へテーパ状に張り出す張出部21が設けられており、この張出部21によってキャビティ11内に挿入される雌端子金具30の前端部をランス13側へ押し出すことで、ランス13の係止深さが増加できるようになっている。キャビティ11の後端周縁は、一部を除いてほぼ全周にわたり雌端子金具30を誘い込むことができるようテーパ状に形成されている。キャビティ11の後端周縁のうち、図2の左上位置には、雌端子金具30の挿抜方向と直交する切り立った端面をなす規制部22が設けられており、この規制部22には、雌端子金具30がキャビティ11に対して正規の挿入姿勢とは上下反転した不正な姿勢とされたときに、スタビライザ47が突き当たることで挿入動作を規制可能とされている。またキャビティ11は、図10に示すように、前半部分が後半部分よりも幅狭になるように、両側壁23が内方へテーパ状に張り出して形成されている。
【0012】
ランス13の構造を詳細に説明する。ランス13は、図3に示すように、下面が全長にわたって前方に向かって緩やかな上り勾配をなす傾斜面とされるのに対し、上面が、ランス13の後部13bにおいては下面と同様の傾斜面(但し、下面よりはやや急な勾配をなす)とされ、ランス13の前部13aにおいてはほぼ水平に形成されている。ランス13の上面は、下壁12の後部側から連続して形成された突部挿通溝19により幅方向中央が全長にわたって凹んだ形状となっている。突部挿通溝19は、ランス13の後部13bにおいては、全体として前側にかけて次第に溝幅が狭くなるよう形成されており、底面19aと、上下方向に沿って略真直な一対の側面19bと、両側面19bと底面19aとを繋ぐとともに内傾した一対の斜面19cとにより構成されている。突部挿通溝19は、ランス13の前部13aにおいては、溝幅が全長にわたって一定とされるとともに、その深さが後部13b側よりも浅く(後述する突き出し部25の上部25bの上半分を切り欠く程度)なっており、緩やかな円弧面19dによって構成されている。またランス13の下面のうち幅方向中央部分は、全長にわたって突部挿通溝19の円弧面19dに概ね沿うような円弧面13cとなっており、下壁12の低位部分12aについても同様の円弧面12bが形成されている。
【0013】
ランス13は、キャビティ11にほぼ匹敵する幅寸法(キャビティ11よりも僅かに小さい程度)を有し、全長にわたって一定幅に形成されている。このランス13の型抜き孔17は、雌ハウジング10の前壁14においてキャビティ11よりも大きな幅領域にわたって形成されており、従ってランス13の両側方に対向するキャビティ11の両側壁23には、所定幅ずつの切り欠き17aが形成されている。この切り欠き17aの幅寸法分だけ、ランス13を成形する金型の厚み寸法を大きく確保することができ、金型の強度が必要なだけ得られるようになっており、逆に言うとランス13の幅寸法が大きく確保され、ランス13の強度が高められている。
【0014】
ランス13の前端両側部の下側約3/5部分には、ランス13を強制的に撓み変形させるための治具(図示せず)によって操作可能とされる一対の操作凹部24が前方に開口して形成されている。両操作凹部24は、雌端子金具30がランス13に係止した状態でも前方外部に露出するように配置されており(図15)、前方から型抜き孔17を通して挿入される治具により下方へ押圧操作可能とされている。操作凹部24は、ランス13を側方から見て略三角形状に切欠して形成され、その上面がほぼ水平をなすのに対し、下面が後方へ向かって上り勾配をなすテーパ状をなしている。
【0015】
ランス13の前端部における上側約2/3部分には、さらに前方へ突出する突き出し部25が全幅にわたって設けられている。この突き出し部25は、雌端子金具30に対してランス13が係止した状態で、係止突部52の内側に進入可能とされている。突き出し部25は、下部25aがその上端側にかけて次第に突出長さが大きくなるよう形成され、上部25b(両操作凹部24よりも上側部分)が一定の突出長さを有している。別言すると、突き出し部25の下部25aの前端面は、前方へ向かって上り勾配をなすテーパ状に形成されており、上部25bの前端面は、切り立った端面となっている。
【0016】
キャビティ11内の前端位置の角部には、図2及び図9に示すように、雌端子金具30に設けられた被支持溝部53内に嵌合することで、雌端子金具30が上下方向(ランス13の撓み方向)に傾動するのを規制可能な支持突部26が内方に突出して設けられている。この支持突部26は、略ブロック状に形成されるとともに、雌ハウジング10の前壁14(キャビティ11の前面)とキャビティ11の図2の左側の側壁23(キャビティ11の図2の右側内側面)との双方に連結されることで、強度が高められている。この支持突部26は、ランス13に対して上方(ランス13の撓み方向)にずれた位置で、且つその下面が型抜き孔17に臨むような位置に配されている。
【0017】
雌端子金具30は、金属母材を所定形状に打ち抜いたものに叩き加工や曲げ加工などを施すことで所望の形状に成形されている。この雌端子金具30は、図5及び図7に示すように、大まかには前後に開口する略箱型をなす本体部31と、電線Wの端末に圧着接続可能なバレル部32とを前後に繋げた構成となっている。このうち、バレル部32は、前後に一対ずつのかしめ片32a,32bを備え、前側の両かしめ片32aが電線Wの芯線部分Waにかしめ付けられるのに対し、後側の両かしめ片32bが電線Wの被覆部分Wbにかしめ付けられるようになっている。
【0018】
本体部31は、前後に延出する底壁33と、底壁33の両側縁から立ち上がる一対の側壁34,35と、図4の左側の側壁34の突出端から底壁33と対向するよう突出する天井壁36と、図4の右側の側壁35の突出端から突出するとともに天井壁36の外側に重ね合わせられる外壁37とから構成されている。
【0019】
底壁33は、図7に示すように、他の壁34,35,36,37と比較して前端が後方へ引っ込んだ位置に配されており、この前端から弾性接触片38が突設されている。弾性接触片38は、底壁33の前端から前方へ突出する舌片を後方へ向けて折り返すことで、底壁33及び天井壁36に対向するとともに全体として略山形をなす片持ち状に形成されている。この弾性接触片38は、略U字型をなす折返部の後側に前傾部分と後傾部分とを順次に繋げた構成とされ、その前傾部分と後傾部分とにまたがる領域には、前後に細長い略長円形状をなす膨出部39が天井壁36側へ叩き出して形成されている。この膨出部39における頂点部分が、相手の雄側端子金具のタブと接触可能な接点部40とされている。この接点部40が雄側端子金具のタブによって押圧されるのに伴って、弾性接触片38は、折返部を撓み支点として底壁33側へ接近するよう撓み変形可能とされている。撓み変形時には、弾性接触片38の後端部が底壁33の内面に当接可能とされ、この部分には弾性接触片38の撓み代を稼ぐとともに、撓んだ弾性接触片38を幅方向についてずれ止め可能な凹部41が所定長さにわたって凹み形成されている。
【0020】
また底壁33のうち接点部40に対向する位置には、過度撓み規制突部42が接点部40側へ突出するよう叩き出して設けられている。この過度撓み規制突部42に対して弾性接触片38が係合することで、弾性接触片38が弾性限度を越えて過度に撓み変形するのを規制できるようになっている。また天井壁36のうち膨出部39及び係止突部52と対向する位置には、受け部43が内側(弾性接触片38側)に張り出して設けられている。この受け部43と弾性接触片38との間で雄側端子金具のタブを挟圧状態に保持できるようになっている。
【0021】
外壁37は、図5及び図7に示すように、その長さ方向略中央部分に切欠部44が全幅にわたって形成されることで、前部37aと後部37bとに分断されている。この切欠部44内には、雌端子金具30がキャビティ11内に挿入されると、ランス13が全長にわたって進入可能とされ、切欠部44の前側の切断端面44aに対してランス13が係止可能とされている。ランス13に対する係止面である切欠部44における前側の切断端面44aは、全域にわたって内側に傾斜するテーパ状に形成されている。この切欠部44は、外壁37の半分弱の長さを有するとともに図5の奥側の側壁35の上端部にまで形成されている。この側壁35の上端面(切欠部44における側方の切断端面)には、天井壁36の突出端から突設された張出片45が当接されることで、天井壁36をほぼ水平な姿勢に支持できるようになっている。天井壁36のうち、受け部43を有する前半部分には、後半部分よりも僅かに低くなるよう凹部が張出片45における側壁35との当接部分を除いた全域にわたって形成されており、その分だけランス13の係止深さを稼ぐことができるようになっている。また外壁37の前部37aは、前後長さが後部37bよりも少し短く設定されている。
【0022】
外壁37の後部37bにおける突出端からは、図5及び図6に示すように、底壁33側へ屈曲される後部保持片46と、その反対側(外方)へ屈曲されるスタビライザ47とが前後に設けられている。後部保持片46は、図6の紙面手前側の側壁34に切欠形成された後部保持溝48内に嵌合されることで、後部37bが前後に遊動するのを規制した状態に保持できるようになっている。スタビライザ47は、キャビティ11内のスタビライザ挿通溝20内に挿通されることで、雌端子金具30の挿入動作を案内可能となっている。また後部保持片46の前端が後部37bの前端と、スタビライザ47の後端が後部37bの後端と、それぞれ揃えられている。後部37bのうち後端部の幅方向中央には、スタビライザ47とほぼ同じ長さを有する突部49が外方へ突出するよう叩き出して形成されている。この突部49は、雌端子金具30がキャビティ11内に挿入されると、キャビティ11の下面(突部挿通溝19の上面)に当接可能とされている。
【0023】
外壁37の前部37aにおける突出端からは、底壁33側へ屈曲される前部保持片50が設けられている。前部保持片50は、図6の紙面手前側の側壁34に切欠形成された前部保持溝51内に嵌合されることで、前部37aが前後に遊動するのを規制した状態に保持できるようになっている。この前部保持片50は、外壁37の前部37aよりも後方へ突出して形成されている。そして、前部保持片50の根元部分には、上記切欠部44が拡張して形成され、その切断端面44aが既述したように内側に傾斜したテーパ状に形成されており、ここにランス13の側端部が係止可能とされている。
【0024】
外壁37の前部37aにおける後端部(切欠部44の前側の切断端部)の幅方向略中央(正確には中央よりも僅かに図4の左側にずれた位置)には、ランス13が係止可能とされる係止突部52が外方へ叩き出して形成されている。係止突部52は、図5及び図6に示すように、全体としては前端を頂点とする略角錐状をなすとともに後方へ開口している。この係止突部52は、前端側にかけて幅寸法及び高さ寸法が減少する先細り状をなすとともに3つの斜面により構成される角錐部52aと、幅寸法及び高さ寸法が一定とされるとともに3つの側面により構成される角筒部52bとを前後に繋げた構成となっている。係止突部52の角錐部52aは、先細り状とされ、且つその前端部がやや丸みを帯びた形状に形成されることで、キャビティ11内に雌端子金具30が挿入される過程において突部挿通溝19内での挿通動作を円滑にできるようになっている。係止突部52の角筒部52bは、切欠部44の前側の切断端面44aの傾斜に沿って後方へオーバーハング状に突出して形成され、外壁37の前部37aよりも後方に突出している。
【0025】
この係止突部52は、上記突部49とほぼ同じ高さ位置まで突出するよう設定され、突部49と同様にキャビティ11の突部挿通溝19内に挿通可能とされている。この係止突部52の角筒部52bにおける外側への突出先端は、ランス13のうち突き出し部25よりも下側部分に達するように設定されており、もってランス13の係止深さが十分に確保されている。係止突部52のうちランス13に対する係止面である後縁44a1は、切欠部44の前側の切断端面44aにより構成されており、内側に傾斜したテーパ状に形成されている。外壁37の前部37aのうち係止突部52に対する両側方部分の後端面についても、図8に示すように、内側に傾斜したテーパ状をなす切欠部44の前側の切断端面44aにより構成され、ランス13が係止可能とされている。
【0026】
外壁37の前部37aと図4の右側の側壁35とに跨る角部(弾性接触片38を設けた底壁33とは高さ方向について反対側の外壁37における角部であり、且つ前部保持片50とは幅方向について反対側の部分)には、被支持溝部53が前方へ開放するよう切り欠いて形成されている。この被支持溝部53には、雌端子金具30がキャビティ11内に挿入されるのに伴って、キャビティ11の前端位置に設けられた支持突部26が係止可能とされ、もって雌端子金具30が上下方向(雌端子金具30の挿抜方向と交差する方向、ランス13の撓み方向)に遊動不能に支持されるようになっている。
【0027】
さて、上記したランス13の前面13d、すなわち雌端子金具30に対する係止面からは、図1、図3及び図7に示すように、雌端子金具30に係止した状態において、ランス13が下方(係止解除方向)へ撓み変形するのを規制するための撓み規制部27が部分的に前方へ突出して設けられている。言い換えると、撓み規制部27は、ランス13の前面13dの一部を局所的に前方へ膨出させることで形成されている。詳しくは、撓み規制部27は、幅方向に沿って細長い形状をなし、ランス13のうち突き出し部25の上部25bにおける幅方向略中央位置(突部挿通溝19の円弧面19dの真下位置)から前方へ突出して設けられている。このため、挿入過程において雌端子金具30の係止突部52と干渉されるようになっている。この撓み規制部27の突出長さは、雌端子金具30がキャビティ11内に正規深さまで挿入されたときに係止突部52よりも後方に引っ込むような大きさに設定されることで、ランス13の復帰動作が許容されるようになっている(図11)。
【0028】
そして、この撓み規制部27は、キャビティ11内に正規深さまで挿入された雌端子金具30が後退したときに係止突部52の内側に進入可能となっている。撓み規制部27が係止突部52内に進入した状態では、撓み規制部27の下面27aと、係止突部52の後部52bのうち立ち上がり部分同士を繋ぐ部分の内面52cとが上下に対向して配されるようになっており(図16)、この状態からランス13が下方へ撓み変形しようとした場合には、両面27a,52cが互いに係合することで、ランス13の下方への撓み変形が規制されるようになっている。両面27a,52cは、共に略水平な面、すなわちランス13の撓み方向に対して略直交する面となっている。
【0029】
本実施形態は以上のような構造であり、続いてその作用について説明する。図7ないし図10に示すように、雌端子金具30のバレル部32に電線Wを圧着接続した後に、雌端子金具30をキャビティ11内に後方から挿入する。このとき、スタビライザ47を下方へ向けた正規の挿入姿勢とは上下反転した不正な姿勢で雌端子金具30を挿入しようとした場合には、上方を向いたスタビライザ47の前端面がキャビティ11の後端周縁に形成された規制部22に突き当たることで挿入動作が規制される。これにより、雌端子金具30の逆挿入が確実に防止される。
【0030】
正規の挿入姿勢としつつ雌端子金具30をキャビティ11内に挿入すると、先に係止突部52が突部挿通溝19内に挿通され、その後、突部49が突部挿通溝19内に、スタビライザ47がスタビライザ挿通溝20内にそれぞれ挿通されることで、雌端子金具30が上下左右にがたつくのが抑制されつつ円滑に挿入される。そして、雌端子金具30が所定深さまで挿入されると、係止突部52によってランス13が押圧されて下方へ撓み変形される。このとき、ランス13は、前部13aが係止突部52により押圧されるときに最も大きく撓まされる。この過程では、係止突部52が前端を頂点とする略角錐状に形成されていることで、突部挿通溝19内での挿通動作が円滑になり、且つランス13をスムーズに押圧できるようになっている。
【0031】
雌端子金具30がキャビティ11内に正規深さまで挿入されるのに伴って、係止突部52が撓み規制部27を乗り越えるとともにランス13が弾性復帰して、図11ないし図14に示すように、切欠部44内に進入しつつ雌端子金具30に対して弾性的に係止される。この状態では、係止突部52の後縁44a1と、ランス13の前面13dとの間には、ランス13の復帰に伴う所定長さのクリアランスが空いており、その長さ分だけ雌端子金具30が後退可能とされる。この過程では、本体部31の前端部がキャビティ11の上面の張出部21により押し下げられてランス13側に接近するよう変位するから、ランス13の雌端子金具30に対する係止深さが大きくなっている。しかも、このとき雌端子金具30は、図13に示すように、被支持溝部53内に支持突部26が嵌合して係止されることで、上下方向(ランス13の撓み方向)に傾動するのが規制される。また係止突部52は、図15に示すように、ランス13の両操作凹部24とは幅方向にずれた位置に配されており、両操作凹部24と共に前方外部に露出している。
【0032】
ここで、ランス13に対する係止面である切欠部44の前側の切断端面44aは、図11ないし図14に示すように、係止突部52を含めた外壁37の前部37a及び前部保持片50に至るまで、すなわち雌端子金具30のほぼ全幅領域にわたって形成されているので、雌端子金具30は、強固な抜け止め力でもってキャビティ11内から抜け止め状態に保持される。しかも、切欠部44の前側の切断端面44a(係止突部52の後縁44a1を含む)は、内側に傾斜したテーパ状に形成されているので、抜け止め力がより強固なものとなっている。
【0033】
ところで、上記のように雌端子金具30がキャビティ11内に正規深さまで挿入された状態から、電線Wを介して雌端子金具30に対して後方へ引っ張るような力が作用する場合がある。その場合、雌端子金具30は、正規の挿入位置(図11)から係止突部52とランス13との間に空けられたクリアランス分だけ後退され、図16に示すように、係止突部52の後縁44a1がランス13の前面13dに当接する位置に達したところで、それ以上の後退が規制される。この係止状態では、撓み規制部27は、係止突部52内の空間に進入するとともに、その下面27aが係止突部52の内面52cと対向して配される。ここで、電線Wを後方へ引っ張る力が過大だった場合には、係止突部52によりランス13が過大な力で押圧されることで、ランス13が無理に下方へ撓み変形させられる可能性がある。ところが、そのような場合でも、撓み規制部27の下面27aが係止突部52の内面52cに係合することで、ランス13が下方へ撓み変形させられるのが規制される。これにより、ランス13の雌端子金具30に対する係止状態が解除されることが防止され、もって雌端子金具30が不用意に抜き取られる事態を回避することができる。
【0034】
以上説明したように本実施形態によれば、ランス13のうち雌端子金具30との係止面である前面13dには、前方へ突出する撓み規制部27が設けられているから、ランス13が雌端子金具30に係止した状態から、雌端子金具30を過大な力でもって後方へ引っ張ったとしても、撓み規制部27が雌端子金具30側に係合することで、ランス13が撓み変形させられるのが規制され、もって雌端子金具30に対する係止状態が解除されるのを防ぐことができる。従って、小型化に伴ってランス13の強度が不足し勝ちとなっても、雌端子金具30を確実に抜け止め状態に保つことができ、もって小型化に好適な雌コネクタを提供することができる。
【0035】
しかも、雌端子金具30のうち外壁37の前部37aには、後方へ開口するよう外方へ叩き出すことでその後縁44a1にランス13が係止可能とされる係止突部52が設けられているから、ランス13の係止深さが大きくなり、従って雌端子金具30の抜け止め力を大きくすることができ、小型化に好適となる。さらに撓み規制部27は、係止突部52内に進入してその内面52cに係合可能となっている、すなわち係止突部52における外方への突出寸法内に収められているから、例えば係止突部から下方(外方)及び後方へ突出するとともにランスの下面に対して係合可能な撓み規制部を設けたものと比較すると、雌コネクタを小型に保つことができる。
【0036】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれ、さらに、下記以外にも要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施することができる。
(1)上記した実施形態では、撓み規制部がランスの前面に設けられた場合を示したが、ランスの前面よりの前方へ突出するのであれば、例えばランスの両側面や上下面に設けるようにしてもよく、そのようなものも本発明に含まれる。
(2)上記した実施形態では、雌端子金具が係止突部を有しているものを示したが、係止突部を有さない端子金具を備えたコネクタについても本発明は適用可能である。
(3)上記した実施形態では、撓み規制部をランスに設けたものを示したが、例えば雌端子金具において係止突部の後縁(ランスに対する係止面)よりも後方へ突出するとともに、ランスの下面に対して係合可能な撓み規制部を設けるようにしたものも本発明に含まれる。またランス側と雌端子金具側との双方から撓み規制部を設けるようにしたものも本発明に含まれる。
(4)上記した実施形態では、雌端子金具を備えた雌コネクタについて例示したが、雌端子金具に対して接続可能なタブを有する雄端子金具を備えた雄コネクタについても本発明は同様に適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係る雌ハウジングの正面図
【図2】雌ハウジングの背面図
【図3】雌ハウジングの部分切欠斜視図
【図4】雌端子金具の正面図
【図5】雌端子金具の底面図
【図6】雌端子金具の左側面図
【図7】雌ハウジング内に雌端子金具を挿入する前の状態を示す側断面図(雌ハウジングが図1のA−A線断面図、雌端子金具が図4のE−E線断面図)
【図8】雌ハウジング内に雌端子金具を挿入する前の状態を示す側断面図(雌ハウジングが図1のB−B線断面図、雌端子金具が図4のF−F線断面図)
【図9】雌ハウジング内に雌端子金具を挿入する前の状態を示す側断面図(雌ハウジングが図1のC−C線断面図、雌端子金具が右側面図)
【図10】雌ハウジング内に雌端子金具を挿入する前の状態を示す平断面図(雌ハウジングが図1のD−D線断面図、雌端子金具が平面図)
【図11】雌ハウジング内に雌端子金具を正規深さまで挿入した状態を示す側断面図(雌ハウジングが図1のA−A線断面図、雌端子金具が図4のE−E線断面図)
【図12】雌ハウジング内に雌端子金具を正規深さまで挿入した状態を示す側断面図(雌ハウジングが図1のB−B線断面図、雌端子金具が図4のF−F線断面図)
【図13】雌ハウジング内に雌端子金具を正規深さまで挿入した状態を示す側断面図(雌ハウジングが図1のC−C線断面図、雌端子金具が右側面図)
【図14】雌ハウジング内に雌端子金具を正規深さまで挿入した状態を示す平断面図(雌ハウジングが図1のD−D線断面図、雌端子金具が平面図)
【図15】雌ハウジング内に雌端子金具を挿入した状態を示す正面図
【図16】正規深さまで挿入した雌端子金具を後退させた状態を示す側断面図(雌ハウジングが図1のA−A線断面図、雌端子金具が図4のE−E線断面図)
【符号の説明】
10…雌ハウジング(コネクタハウジング)
11…キャビティ
13…ランス
13d…前面(係止面)
27…撓み規制部
30…雌端子金具(端子金具)
37…外壁
44a1…後縁(係止面)
52…係止突部
52c…内面
Claims (2)
- コネクタハウジングに設けられたキャビティ内に後方から端子金具を挿入すると、キャビティ内に設けられたランスが一旦撓み変形された後に復帰して端子金具に対して弾性的に係止されるものにおいて、
前記ランスと前記端子金具との少なくともいずれか一方には、相手側との係止面よりも前方または後方へ突出するとともに、端子金具にランスが係止した状態では、相手側に係合することでランスが撓み変形するのを規制可能な撓み規制部が設けられていることを特徴とするコネクタ。 - 前記端子金具の外壁には、後方へ開口するよう外方へ叩き出すことでその後縁に前記ランスが係止可能とされる係止突部が設けられており、前記撓み規制部は、前記ランスからその係止面よりも前方へ突出して設けられるとともに前記係止突部内に進入してその内面に係合可能となっていることを特徴とする請求項1記載のコネクタ。
Priority Applications (1)
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2002
- 2002-07-17 JP JP2002208740A patent/JP2004055233A/ja active Pending
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