JP2004062142A - ポジ型感光性樹脂組成物、パターンの製造方法及び電子部品 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】(A)分子末端に熱で重合しうる官能基を持つ有機基を有するポリオキサゾール前駆体又はポリイミド前駆体から選ばれるポリマー前駆体、(B)活性光線照射により酸を発生する化合物、(C)酸触媒作用で分解し水素原子に変換し得る有機基を有する化合物を含有してなるポジ型感光性樹脂組成物。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は感光性を有するポリイミド前駆体又はポリオキサゾール前駆体を含有する耐熱性ポジ型感光性樹脂組成物、これを用いたパターンの製造方法及び電子部品に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、半導体素子の表面保護膜、層間絶縁膜には優れた耐熱性と電気特性、機械特性などを併せ持つポリイミド樹脂が用いられている。しかし近年半導体素子の高集積化、大型化が進む中、封止樹脂パッケージの薄型化小型化の要求があり、LOC(リード・オン・チップ)や半田リフローによる表面実装などの方式が取られてきており、これまで以上に機械特性、耐熱性等に優れたポリイミド樹脂が必要とされるようになってきた。
【0003】
一方、ポリイミド樹脂自身に感光特性を付与した感光性ポリイミドが用いられてきているが、これを用いるとパターン作成工程が簡略化でき、煩雑な製造工程の短縮が行えるという特徴を有する。従来の感光性ポリイミド又はその前駆体を用いてなる耐熱性フォトレジストや、その用途については良く知られている。ネガ型では、ポリイミド前駆体にエステル結合又はイオン結合を介してメタクリロイル基を導入する方法(例えば、特許文献1〜4参照)、光重合性オレフィンを有する可溶性ポリイミド(例えば、特許文献5〜10参照)、ベンゾフェノン骨格を有し、かつ窒素原子が結合する芳香環のオルソ位にアルキル基を有する自己増感型ポリイミド(例えば、特許文献11、12参照)などがある。
【0004】
前記のネガ型では、現像の際にN−メチルピロリドンなどの有機溶剤を必要とするため、最近では、アルカリ水溶液で現像ができるポジ型の感光性樹脂の提案がなされている。ポジ型ではポリイミド前駆体にエステル結合を介してo−ニトロベンジル基を導入する方法(例えば、非特許文献1参照)、可溶性ヒドロキシルイミドまたはポリオキサゾール前駆体にナフトキノンジアジド化合物を混合する方法(例えば、特許文献13、14参照)、可溶性ポリイミドにエステル結合を介してナフトキノンジアジドを導入する方法(例えば、非特許文献2参照)、ポリイミド前駆体にナフトキノンジアジドを混合するもの(例えば、特許文献15参照)などがある。
【0005】
しかしながら、前記のネガ型ではその機能上、解像度に問題があったり、用途によっては製造時の歩留まり低下を招くなどの問題がある。また、前記のネガ型では用いるポリマーの構造が限定されるために、最終的に得られる被膜の物性が限定されてしまい多目的用途には不向きなものである。一方、ポジ型においても前記のように感光剤の吸収波長に伴う問題から感度や解像度が低かったり、構造が限定され、同様の問題を有する。
【0006】
また、ポリベンゾオキサゾール前駆体にジアゾナフトキノン化合物を混合したもの(例えば、特許文献16参照)や、ポリアミド酸にエステル結合を介してフェノール部位を導入したもの(例えば、特許文献17参照)などカルボン酸の代わりにフェノール性水酸基を導入したものがあるが、これらのものは現像性が不十分であり未露光部の膜減りや樹脂の基材からの剥離が起こる。また、こうした現像性や接着の改良を目的に、シロキサン部位をポリマー骨格中に有するポリアミド酸を混合したもの(例えば、特許文献18、19参照)が提案されているが、上述のごとくポリアミド酸を用いるため保存安定性が悪化する。加えて保存安定性や接着の改良を目的に、アミン末端基を重合性基で封止したもの(例えば、特許文献20〜22参照)も提案されているが、これらのものは、酸発生剤として芳香環を多数含むジアゾキノン化合物を用いるため、熱硬化後の機械物性を著しく低下させるうえ、感度が低いと言う問題があり、実用レベルの材料とは言い難いものである。
【0007】
前記ジアゾキノン化合物の問題点の改良を目的に種々の化学増幅システムを適用したものも提案されている。化学増幅型のポリイミド(例えば、特許文献23参照)、化学増幅型のポリイミドあるいはポリベンゾオキサゾール前駆体(例えば、特許文献24〜29参照)が挙げられるが、これらは高感度のものは低分子量が招く膜特性の低下が、膜特性に優れるものは高分子量が招く溶解性不十分による感度の低下が見られ、いずれも実用レベルの材料とは言い難いものである。従って、いずれも未だ実用化レベルで充分なものはないのが実状である。
【0008】
【特許文献1】
特開昭49−11541号公報
【特許文献2】
特開昭50−40922号公報
【特許文献3】
特開昭54−145794号公報
【特許文献4】
特開昭56−38038号公報等
【特許文献5】
特開昭59−108031号公報
【特許文献6】
特開昭59−220730号公報
【特許文献7】
特開昭59−232122号公報
【特許文献8】
特開昭60−6729号公報
【特許文献9】
特開昭60−72925号公報
【特許文献10】
特開昭61−57620号公報等
【特許文献11】
特開昭59−219330号公報
【特許文献12】
特開昭231533号公報
【特許文献13】
特公昭64−60630号公報
【特許文献14】
米国特許4395482号明細書
【特許文献15】
特開昭52−13315号公報
【特許文献16】
特開平1−46862号公報
【特許文献17】
特開平10−307393号公報
【特許文献18】
特開平4−31861号公報
【特許文献19】
特開平4−46345号公報
【特許文献20】
特開平5−197153号公報
【特許文献21】
特開平9−183846号公報
【特許文献22】
特開2001−183835号公報
【特許文献23】
特開平3−763号公報
【特許文献24】
特開平7−219228号公報
【特許文献25】
特開平10−186664号公報
【特許文献26】
特開平11−202489号公報
【特許文献27】
特開2000−56559号公報
【特許文献28】
特開2001−194791号公報
【特許文献29】
特表2002−526793公報
【非特許文献1】
J. Macromol. Sci. Chem., A24, 10, 1407, 1987
【非特許文献2】
Macromolecules, 23, 1990
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、酸条件下で脱離可能な保護基にてアルカリ可溶性基を保護した溶解性変換剤を用いることで、感度、解像度に優れるうえ、感光性を付与するポリベンゾオキサゾール前駆体又はポリイミド前駆体がいかなる構造であっても充分に対応でき、かつ分子末端に熱重合性の官能基を持つ有機基を持つポリオキサゾール前駆体又はポリイミド前駆体に、活性光線の照射により上記、溶解性変換剤中の保護基の脱離反応を誘発できる化合物を配合することによって、従来からのフォトレジストが有する前記問題を解決し、しかも接着性、耐熱性に富んだポジ型感光性樹脂組成物を提供するものである。
【0010】
また本発明は、前記組成物の使用により、アルカリ水溶液で現像可能であり、感度、解像度および耐熱性に優れ、良好な形状のパターンが得られるパターンの製造方法を提供するものである。また、本発明は、良好な形状と特性のパターンを有することにより、信頼性の高い電子部品を提供するものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明は、次のものに関する。
[1] (A)分子末端に熱で重合しうる官能基を持つ有機基を有するポリオキサゾール前駆体又はポリイミド前駆体から選ばれるポリマー前駆体、(B)活性光線照射により酸を発生する化合物、(C)酸触媒作用で分解し水素原子に変換し得る有機基を有する化合物を含有してなるポジ型感光性樹脂組成物。
[2] 前記(A)成分が、一般式(1)
【化7】
(式中、R1は二価の有機基、R2は四価の有機基、E1は熱で重合しうる官能基を持つ一価又は二価の有機基を示し、いずれも複数ある場合は同一でも異なっていてもよく、nは繰り返し数を示す整数である)で表されるポリベンゾキサゾール前駆体であることを特徴とする[1]に記載のポジ型感光性樹脂組成物。
[3] 前記(A)成分が、一般式(2)
【化8】
(式中、R1、R2は一般式(1)における定義に同じであり、E2は熱で重合しうる官能基を持つ一価の有機基を示し、いずれも複数ある場合は同一でも異なっていてもよく、nは繰り返し数を示す整数である)で表されるポリオキサゾール前駆体であることを特徴とする[1]に記載のポジ型感光性樹脂組成物。
[4] 前記ポリオキサゾール前駆体100重量部に対して、前記活性光線照射により酸を発生する化合物0.01〜50重量部を含有する[2]又は[3]に記載のポジ型感光性樹脂組成物。
[5] 前記(A)成分が、一般式(3)
【化9】
(式中、R1は四価の有機基、R2は二価の有機基、E1は熱で重合しうる官能基を持つ一価又は二価の有機基を示し、いずれも複数ある場合は同一でも異なっていてもよく、nは繰り返し数を示す整数を示す)で表されるポリイミド前駆体であることを特徴とする[1]に記載のポジ型感光性樹脂組成物。
[6] 前記(A)成分が、一般式(4)
【化10】
(式中、R1、R2は一般式(3)における定義に同じであり、E2は熱で重合しうる官能基を持つ一価の有機基を示し、いずれも複数ある場合は同一でも異なっていてもよく、nは繰り返し数を示す整数を示す)で表されるポリイミド前駆体であることを特徴とする[1]に記載のポジ型感光性樹脂組成物。
[7] 前記ポリイミド前駆体100重量部に対して、前記活性光線照射により酸を発生する化合物0.01〜50重量部を含有することを特徴とする[5]又は[6]に記載のポジ型感光性樹脂組成物。
[8] 前記(C)成分が、分子中に、芳香環に結合しかつ−OR(但しRは酸の作用で分解し水素原子に変換し得る一価の有機基を示す)で示される基、または−COOR(但しRは酸の作用で分解し水素原子に変換し得る一価の有機基を示す)で示される基を有する化合物であることを特徴とする[1]〜[7]の何れかに記載のポジ型感光性樹脂組成物。
[9] 前記(C)成分が、一般式(5)
【化11】
(式中、Xは有機基、Rは酸の作用で分解し水素原子に変換し得る一価の有機基、Eは熱で重合しうる官能基を持つ一価又は二価の有機基を示し、いずれも複数ある場合は同一でも異なっていてもよく、a、bはそれぞれ0以上の、pは1以上の整数を示す)で表される化合物であることを特徴とする[8]に記載のポジ型感光性樹脂組成物。
[10] 前記(C)成分が、一般式(6)
【化12】
(式中、Xは有機基、Rは酸の作用で分解し水素原子に変換し得る一価の有機基を示し、いずれも複数ある場合は同一でも異なっていてもよく、a、bはそれぞれ0以上の、pは1以上の整数を示す)で表される化合物であることを特徴とする[8]に記載のポジ型感光性樹脂組成物。
[11] 前記(C)成分が、分子中に−COOR(但しRは酸の作用で分解し水素原子に変換し得る一価の有機基を示す)で示される基を有する化合物であり、かつ前記(B)成分が、オニウム塩であることを特徴とする[1]〜[7]の何れかに記載のポジ型感光性樹脂組成物。
[12] [1]〜[11]のいずれかに記載のポジ型感光性樹脂組成物を支持基板上に塗布し乾燥する工程、前記乾燥後のポジ型感光性樹脂膜を露光する工程、前記露光後のポジ型感光性樹脂膜を加熱する工程、前記加熱後のポジ型感光性樹脂膜をアルカリ水溶液を用いて現像する工程、及び前記現像後のポジ型感光性樹脂膜を加熱処理する工程を含むレリーフパターンの製造方法。
[13] [12]に記載の製造方法により得られるパターンの層を有してなる電子デバイスを有する電子部品であって、前記電子デバイス中に前記パターンの層が層間絶縁膜層又は表面保護膜層として設けられることを特徴とする電子部品。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明において、(A)成分は、ポリオキサゾール前駆体又はポリイミド前駆体であるが、分子末端に熱で重合しうる官能基を持つ有機基を有することが必要である。これにより、パターン形成時においては、本発明の組成物に適度な溶解速度、露光感度を与えると同時に、パターン形成後の加熱キュア工程において架橋反応を起こし、本発明の組成物に適度な耐熱性を与えることになる。
【0013】
この末端基としてはカルボン酸末端に存在するものと、アミン末端に存在するものがあるが、いずれの末端基も不飽和結合を有する1価あるいは2価の有機基であることが好ましい。不飽和結合としては、炭素−炭素不飽和二重結合や炭素−炭素不飽和三重結合が挙げられる。中でも好ましい熱で重合する官能基として以下の構造を含むものが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0014】
【化13】
(式中、Zは炭素数1〜20の一価の有機基、Z’は水素、カルボキシル基または炭素数1〜15の一価の有機基を示す。)
【0015】
なお、前記4つの例示のうち、左の2つが1価の有機基、右の2つが2価の有機基の例である。右の2つでは、一般式(1)及び(3)において、E1に隣接するNを含む形で表記されている。
【0016】
前記(A)成分がポリオキサゾール前駆体の場合、その構造としては特に制限はないが、前記一般式(1)または(2)にて示される構造を有するポリオキサゾール前駆体は、i線領域の透明性、露光部のアルカリ現像液への溶解性、基板との密着性に優れるので好ましい。また前記(A)成分がポリイミド前駆体の場合、その構造としては特に制限はないが、前記一般式(3)または(4)にて示される構造を有するポリイミド前駆体は、i線領域の透明性、露光部のアルカリ現像液への溶解性、基板との密着性に優れるので好ましい。
【0017】
以下に、まず、ポリオキサゾール前駆体について詳述する。ポリオキサゾール前駆体において、前記一般式(1)又は(2)にて示される構造中のR1は、具体的にはベンゼン、ナフタレン、ペリレン、ビフェニル、ジフェニルエーテル、ジフェニルスルホン、ジフェニルプロパン、ジフェニルヘキサフルオロプロパン、ベンゾフェノンなどの骨格を有する二価の芳香族炭化水素残基、又は、ブタン、シクロブタン、シクロヘキサン、アダマンタンなどの骨格を有する二価の脂肪族炭化水素残基が典型的な例として例示されるが、これらに限定されるものではない。炭素原子数としては、4〜30が好ましい。好ましい基としては、フェニル、ビフェニル、ジフェニルエーテル、ジフェニルヘキサフルオロプロパン、シクロヘキサン、アダマンタンを挙げることができる。なお、必要に応じて、ポリアミド誘導体の分子中に、R1として前記にて例示した基の二種類以上を含有させることもできる。
【0018】
前記一般式(1)又は(2)にて示される構造中のR2は、具体的にはジフェニル、ジフェニルエーテル、ジフェニルチオエーテル、ベンゾフェノン、ジフェニルメタン、ジフェニルプロパン、ジフェニルヘキサフルオロプロパン、ジフェニルスルホキシド、ジフェニルスルホン、ビフェニル、ベンゼンなどの骨格を有する四価の芳香族炭化水素残基が典型的な例として例示されるが、これらに限定されるものではない。炭素原子数としては、6〜30が好ましい。好ましい基としては、ジフェニルヘキサフルオロプロパン、ジフェニルイソプロピリデン、ジフェニルエーテル、ビフェニルを挙げることができる。なお、必要に応じてR2として上記にて例示した基の二種類以上を含有させることもできる。
【0019】
また本発明において、前記ポリオキサゾール前駆体は、下記一般式(7)で示されるジカルボン酸、下記一般式(8)で示されるジアミノ化合物を原料の一部として用いることにより製造される。
【0020】
【化14】
(式中、R1は一般式(1)又は(2)と同じ)
【0021】
【化15】
(式中、R2は一般式(1)又は(2)と同じ)
【0022】
前記ポリオキサゾール前駆体は、例えば以下の方法で得ることができる。前記一般式(7)にて示されるジカルボン酸をN−メチルピロリドン、γ−ブチロラクトン、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシドなどの有機溶媒中にて塩化チオニルなどのハロゲン化剤を用いてハロゲン化した後に、前記一般式(8)にて示されるジアミノ化合物とピリジンなどの適当な触媒の存在下で、前記と同様の有機溶媒中で反応させる。このとき用いるジアミノ化合物の一部あるいはジカルボン酸の一部は前述した熱重合性末端基であらかじめ一方の官能基(アミノ基あるいはカルボキシル基)を封止しておく。反応溶液を、水、メタノール、エタノール、プロピルアルコール、アセトンなどの貧溶媒中に注ぎ結晶化させ、ろ別、乾燥することで、前記一般式(1)又は(2)で示される構造単位を有するポリオキサゾール前駆体を得ることができる。
【0023】
本発明の前記一般式(1)又は(2)で示される構造を有するポリオキサゾール前駆体においては、その一部に前記一般式(1)又は(2)で示される構造中の繰り返し単位以外の繰り返し単位を有していてもよい。この場合、その割合は全繰り返し単位中50%以下であることが好ましい。
【0024】
前記(A)成分のポリオキサゾール前駆体の分子量に特に制限はないが、一般に平均分子量で4,000〜200,000であることが好ましい。なお、分子量は、GPC(ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー)で測定し、ポリスチレン換算で算出することができる。
【0025】
次にポリイミド前駆体について詳述する。ポリイミド前駆体が、前記一般式(3)又は(4)にて示される構造中のR1は、具体的にはベンゼン、ナフタレン、ペリレン、ビフェニル、ジフェニルエーテル、ジフェニルスルホン、ジフェニルプロパン、ジフェニルヘキサフルオロプロパン、ベンゾフェノンなどの骨格を有する四価の芳香族炭化水素残基、又は、ブタン、シクロブタン、シクロヘキサンなどの骨格を有する四価の脂肪族炭化水素残基が典型的な例として例示されるが、これらに限定されるものではない。炭素原子数としては、4〜30が好ましい。好ましい基としては、フェニル、ビフェニル、ジフェニルエーテル、ジフェニルヘキサフルオロプロパン、シクロブタン、シクロヘキサン、アダマンタンを挙げることができる。なお、必要に応じて、ポリアミド酸誘導体の分子中に、R1として上記にて例示した基の二種類以上を含有させることもできる。
【0026】
前記一般式(3)又は(4)にて示される構造単位中のR2は、具体的にはジフェニル、ジフェニルエーテル、ジフェニルチオエーテル、ベンゾフェノン、ジフェニルメタン、ジフェニルプロパン、ジフェニルヘキサフルオロプロパン、ジフェニルスルホキシド、ジフェニルスルホン、ビフェニル、ベンゼンなどの骨格を有する四価の芳香族炭化水素残基が典型的な例として例示されるが、これらに限定されるものではない。炭素原子数としては、6〜30が好ましい。好ましい基としては、ジフェニルヘキサフルオロプロパン、ジフェニルプロパン、ジフェニルエーテル、ビフェニルを挙げることができる。なお、必要に応じてR2として前記にて例示した基の二種類以上を含有させることもできる。
【0027】
本発明において、上記一般式(3)、(4)で示されるポリイミド前駆体は、下記一般式(9)で示されるテトラカルボン酸二無水物、下記一般式(10)で示されるジアミノ化合物を原料の一部として用いることにより製造できる。
【0028】
【化16】
(式中、R1は一般式(3)又は(4)と同じ)
【0029】
【化17】
(式中、R2は一般式(3)又は(4)と同じ)
【0030】
前記ポリイミド前駆体は、例えば以下の方法で得ることができる。即ち、前記一般式(9)で示されるテトラカルボン酸二無水物をN−メチルピロリドン、γ−ブチロラクトン、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシドなどの溶媒中にて、前記一般式(10)にて示されるジアミノ化合物と反応させる。このとき用いるジアミノ化合物の一部あるいはテトラカルボン酸二無水物の一部は前述した熱重合性末端基であらかじめ一方の官能基(アミノ基あるいはカルボキシル基)を封止しておく。反応溶液を、水、メタノール、エタノール、プロピルアルコール、アセトンなどの貧溶媒中に注ぎ結晶化させ、ろ別、乾燥することで前記一般式(3)又は(4)で示される構造を有するポリイミド前駆体を得ることができる。
【0031】
本発明の前記一般式(3)又は(4)で示される構造を有するポリイミド前駆体においては、その一部に前記一般式(3)又は(4)で示される構造中の繰り返し単位以外の繰り返し単位を本発明の効果を損なわない程度有していてもよい。
【0032】
前記(A)成分のポリイミド前駆体の分子量に特に制限はないが、一般に重量平均分子量で、4,000〜200,000であることが好ましい。なお、分子量は、GPC(ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー)で測定し、ポリスチレン換算で算出することができる。
【0033】
前記一般式(1)〜(4)においてE1あるいはE2にて示される置換基は、前述した不飽和結合を有する1価または2価の有機基が好ましいが、一般に、アミノ基の末端であるか、カルボン酸の末端であるかによって構造は異なるが、熱重合性の官能基部分としてはE1、E2とも同じものを用いることが好ましい。
【0034】
本発明の(A)成分としては、前記ポリオキサゾール前駆体及びポリイミド前駆体を混合して使用しても良い。さらに前記以外のポリオキサゾール前駆体又はポリイミド前駆体を混合して使用しても良い。
【0035】
本発明の組成物において、(A)成分として用いるポリイミド前駆体又はポリオキサゾール前駆体とともに、(B)成分として活性光線照射により酸を発生する化合物(以下、酸発生剤とする)を用いる。この量は、感光時の感度、解像度を良好とするために、前記(A)成分100重量部に対して、0.01〜50重量部とすることが好ましく、0.01〜20重量部とすることがより好ましく、0.5〜15重量部とすることがさらに好ましい。
【0036】
本発明に使用する前記酸発生剤(B)は、紫外線の如き活性光線の照射によって酸性を呈すると共に、(C)成分である酸触媒作用で分解し水素原子に変換し得る有機基を有する化合物(具体的には溶解性変換剤)の前記変換(具体的には保護基Rを脱離させる)作用を有する。このような(B)成分の化合物としては、具体的にはジアリールスルホニウム塩、トリアリールスルホニウム塩、ジアルキルフェナシルスルホニウム塩、ジアリールヨードニウム塩、アリールジアゾニウム塩、芳香族テトラカルボン酸エステル、芳香族スルホン酸エステル、ニトロベンジルエステル、芳香族N−オキシイミドスルフォネート、芳香族スルファミド、ナフトキノンジアジド−4−スルホン酸エステルなどが用いられる。このような化合物は必要に応じて2種類以上併用したり、他の増感剤と組合せて使用することができる。なかでも芳香族N−オキシイミドスルフォネートは高感度が、ジアリールヨードニウム塩、トリアリールスルホニウム塩は、未露光部に適度な溶解阻止効果が期待できるので好ましい。
【0037】
本発明に使用する前記(C)成分は、酸触媒作用で分解し水素原子に変換し得る有機基を有する必要がある。これにより未露光部では溶解抑止効果が、露光部においては溶解促進効果が期待され、適切なコントラストを発現することができる。また本発明に使用する前記(C)成分は、その構造としては特に制限はないが、前記一般式(5)又は(6)にて示される構造を有するものが感度、解像度に優れるのに加えて、加熱硬化過程においてベース樹脂と反応し耐熱性の向上に寄与するので好ましい。
【0038】
この酸触媒作用で分解し水素原子に変換し得る一価の基としては、例えば次の構造を有するアセタール若しくはケタールを構成するものが好ましいものとして挙げられる。
【0039】
【化18】
(式中、R’、R”及びR’’’は各々独立に炭素数5以下のアルキル基であり、Xは炭素数3以上(好ましくは20以下)の2価のアルキレン基(側鎖を有していてもよい)を示す)
【0040】
具体的には、テトラヒドロピラニル基、テトラヒドロフラニル基、アルキル置換テトラヒドロピラニル基、アルキル置換テトラヒドロフラニル基、アルコキシ置換テトラヒドロピラニル基、アルコキシ置換テトラヒドロフラニル基などが典型的な例として例示されるが、これらに限定されるものではない。最も好ましい基はテトラヒドロピラニル基である。
【0041】
また酸の作用で分解し水素原子に変換し得る一価の基として、一価のアルコキシアルキル基又はアルキルシリル基、アルコキシカルボニル基なども挙げられる。これらに特に制限はないが、好ましい炭素数としてはアルコキシアルキル基2〜5、アルキルシリル基1〜20、アルコキシカルボニル基2〜15である。
【0042】
具体的には、メトキシメチル基、エトキシメチル基、イソプロポキシメチル基、tert−ブトキシメチル基、エトキシエチル基、メチルシリル基、エチルシリル基、tert−ブチルジメチルシリル基、tert−ブトキシカルボニル基などが典型的な例として例示されるが、これらに限定されるものではない。好ましい基はメトキシメチル基、1−エトキシメチル基、tert−ブチルジメチルシリル基、tert−ブトキシカルボニル基である。
【0043】
また、前記−COORで示される基中のRに関しては一価のアルキル基を用いることもできる。これらに特に制限はないが、好ましい炭素数としては1〜10である。
【0044】
具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、tert−ブチル基、アミル基などが典型的な例として例示されるが、これらに限定されるものではない。最も好ましい基はエチル基、イソプロピル基、tert−ブチル基である。
【0045】
本発明において、前記一般式(5)で示される構造中のEは、不飽和結合を有する1価あるいは2価の有機基であることが好ましい。不飽和結合としては、炭素−炭素不飽和二重結合や炭素−炭素不飽和三重結合が挙げられる。中でも好ましい熱で重合する官能基として以下の構造を含むものが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0046】
【化19】
(式中、Zは炭素数1〜20の一価の有機基、Z’は水素、カルボキシル基または炭素数1〜15の一価の有機基を示す)加えて、熱重合性の官能基部分としては前述した一般式(1)〜(4)中のE1、E2とも同じものを用いることが好ましい。
【0047】
本発明において、前記一般式(5)、(6)で示される構造中のXは、具体的にはジフェニル、ジフェニルエーテル、ジフェニルチオエーテル、ベンゾフェノン、ジフェニルメタン、ジフェニルプロパン、ジフェニルヘキサフルオロプロパン、ジフェニルスルホキシド、ジフェニルスルホン、ベンゼン、ナフタレン、ペリレンなどの骨格を有する芳香族炭化水素残基や、ブタン、シクロブタン、シクロヘキサン、アダマンタンなどの骨格を有する脂肪族炭化水素残基、あるいは次の構造を有するものが挙げられる。
【0048】
【化20】
(式中、Y、Y’は炭素数1〜20の有機基を示す)
【0049】
【化21】
(式中、Z、Z’はアルキル基あるいはアルキル置換または無置換のヘテロ原子を示す)
【0050】
溶解性変換剤(C)として好ましいものは
【化22】
(式中、Yは炭素数1〜20の有機基を示し、E、Rは前記同様、熱重合成基を含む有機基、酸酸触媒作用で分解し水素原子に変換し得る有機基を示す。いずれも同一分子に複数あるときは同じでも異なっていても良い。pは1以上の整数である。)である。ポリマーの場合には分子量は重量平均分子量で1000〜30000のものが好ましい。
【0051】
前記(C)成分の量は、感度と硬化後の膜質の観点から、前記(C)成分がオリゴマーあるいはポリマーの場合に、前記(A)成分100重量部に対して1〜100重量部とすることが好ましく、10〜100重量部とすることがより好ましい。それ以外の場合は前記(A)成分100重量部に対して1〜50重量部とすることが好ましく、1〜25重量部とすることがより好ましい。
【0052】
前記(B)成分と前記(C)成分の組み合わせとしては、前記(B)成分にジアリールスルホニウム塩、トリアリールスルホニウム塩、ジアリールヨードニウム塩などのオニウム塩を用い、前記(C)成分に酸の作用にてカルボキシル基を生ずるものを組合せるのが好ましい。
【0053】
本発明におけるポジ型感光性樹脂組成物には、必要により密着性付与のための有機ケイ素化合物、シランカップリング剤、レベリング剤等の密着性付与剤を添加してもよい。これらの例としては、例えば、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、尿素プロピルトリエトキシシラン、トリス(アセチルアセトネート)アルミニウム、アセチルアセテートアルミニウムジイソプロピレートなどが挙げられる。密着性付与剤を用いる場合は、ポリイミド前駆体又はポリオキサゾール前駆体100重量部に対して、0.1〜20重量部が好ましく、0.5〜10重量部がより好ましい。
【0054】
本発明においてはこれらの成分を溶剤に溶解し、ワニス状にして使用することができる。溶剤としては、N−メチル−2−ピロリドン、γ−ブチロラクトン、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、2−メトキシエタノール、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸ブチル、メチル−1,3−ブチレングリコールアセテート、1,3−ブチレングリコールアセテート、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、テトラヒドロフランなどがあり、単独でも混合して用いても良い。溶剤の量に特に制限はないが、一般に組成物中溶剤の割合が40〜75重量%となるように用いられる。
【0055】
本発明のポジ型感光性樹脂組成物を使用し、パターンを製造する方法は、まず該組成物を適当な支持体、例えば、シリコンウエハ、セラミック、アルミ基板などに塗布する。塗布方法としてはスピンナーを用いた回転塗布、スプレーコータを用いた噴霧塗布、浸漬、印刷、ロールコーティングなどが挙げられる。次に好ましくは60〜120℃でプリベークして塗膜を乾燥後、所望のパターン形状に放射線、化学線などの活性光線を照射することができる。放射線、化学線としてはX線、電子線、紫外線、可視光線などが使用できるが、200nm〜500nmの波長のものが好ましい。g線、i線などの単色光を用いることもできる。次に好ましくは50〜150℃で加熱を行い、照射部表層部に発生した酸を底部にまで拡散させることが好ましい。次に現像して照射部を溶解除去することによりパターンを得ることができる。
【0056】
現像液としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、珪酸ナトリウム、メタ珪酸ナトリウム、アンモニアなどの無機アルカリ類、エチルアミン、n−プロピルアミンなどの一級アミン類、ジエチルアミン、ジ−n−プロピルアミンなどの二級アミン類、トリエチルアミン、メチルジエチルアミンなどの三級アミン類、ジメチルエタノールアミン、トリエタノールアミンなどのアルコールアミン類、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシドなどの、四級アンモニウム塩などのアルカリ水溶液、及び、これに水溶性有機溶媒や界面活性剤を適当量添加した水溶液を好適に使用することができる。
【0057】
現像方法としてはスプレー、パドル、浸漬、超音波などの方式が可能である。次に現像によって形成したパターンをリンスすることができる。リンス液としては蒸留水を使用することができる。次に加熱処理を行い、耐熱性に富む最終パターンを得ることができる。加熱温度は一般に150〜450℃とされる。
【0058】
本発明の感光性樹脂組成物は、半導体装置や多層配線板などの電子部品に使用することができ、具体的には、半導体装置の表面保護膜や層間絶縁膜、多層配線板の層間絶縁膜などの形成に使用することができる。本発明の半導体装置は、前記組成物を用いて形成される表面保護膜や層間絶縁膜を有すること以外は特に制限されず、様々な構造をとることができる。
【0059】
本発明の半導体装置製造工程の一例を以下に説明する。図1は多層配線構造の半導体装置の製造工程図である。図において、回路素子を有するSi基板などの半導体基板1は、回路素子の所定部分を除いてシリコン酸化膜などの保護膜2などで被覆され、露出した回路素子上に第一導体層が形成されている。前記半導体基板上にスピンコート法などで層間絶縁膜4が形成される(工程(a))。
【0060】
次に塩化ゴム系、フェノールノボラック系などの感光性樹脂層5が前記層間絶縁膜4上にスピンコート法で形成され、公知の写真食刻技術によって所定部分の層間絶縁膜4が露出する様に窓6Aが設けられている(工程(b))。前記窓6Aの層間絶縁膜4は、酸素、四フッ化炭素などのガスを用いるドライエッチング手段によって選択的にエッチングされ、窓6Bがあけられている。ついで窓6Bから露出した第一導体層3を腐食することなく、感光樹脂層5のみを腐食するようなエッチング溶液を用いて感光樹脂層5が完全に除去される(工程(c))。
【0061】
さらに公知の写真食刻技術を用いて、第二導体層7を形成させ、第一導体層3との電気的接続が完全に行われる(工程(d))。3層以上の多層配線構造を形成する場合には、前記の工程を繰り返して行い各層を形成することができる。
【0062】
次に表面保護膜8が形成される。この図の例では、この表面保護膜を前記感光性樹脂組成物をスピンコート法にて塗布、乾燥し、所定部分に窓6Cを形成するパターンを描いたマスク上から光を照射した後アルカリ水溶液にて現像してパターンを形成し、加熱して樹脂膜とする。この樹脂膜は、導体層を外部からの応力、α線などから保護するものであり、得られる半導体装置は信頼性に優れる。なお、前記例において、層間絶縁膜を本発明の感光性樹脂組成物を用いて形成することも可能である。
【0063】
【実施例】
以下、実施例により本発明を具体的に説明する。
実施例1 ポリベンゾオキサゾール前駆体の合成
ポリマー合成に先立ち2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン(APAF)14.6gと5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸無水物(NBDC)0.66gとをNMP中で反応させ、APAFの一部をNBDCでエンドキャップしておく。別な容器にて4,4’−ジカルボキシジフェニルエーテル(OBBA)9.79gをN,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)50gに溶解し、氷冷下で塩化チオニルを9.5g加えた後、そのまま氷冷下で2時間反応を行った。この反応溶液を前記一部エンドキャップを施したAPAFのNMP溶液にピリジン5.7gとともに氷冷下で加え、さらに氷冷下で30分撹拌した。この反応液を蒸留水に滴下し、沈殿物を濾別して集め、減圧乾燥することによってポリアミドを得た。重量平均分子量は14,500であった。
【0064】
感光特性評価
前記ポリベンゾオキサゾール前駆体100重量部に対し、前記酸発生剤、前記(c)成分、および必要に応じて増感剤を表1に示した所定量にて配合しγ−ブチロラクトンに溶解させた。
【0065】
前記溶液をシリコンウエハ上にスピンコートして、乾燥膜厚2〜6μmの塗膜を形成し、そののち干渉フィルターを介して、超高圧水銀灯を用いてi線(365nm)露光を行った。露光後、120℃で3分間加熱し、テトラメチルアンモニウムヒドロキシドの2.38%水溶液にて露光部のシリコンウエハが露出するまで現像した後、水でリンスしパターン形成に必要な最小露光量と解像度を求めた。結果を表2に記す。
【0066】
機械特性評価
前記乾燥塗膜を400℃で1時間加熱し、完全にベンゾオキサゾールへと環化させた。この硬化膜の機械特性をひっぱり試験により破断強度、及び破断伸びを求めた。結果を表2に記す。
【0067】
【表1】
【0068】
【化23】
【0069】
実施例2〜12
実施例1において配合を表1のように変え、以下同様に評価を行った。結果を表2にまとめて記す。
【0070】
【表2】
【0071】
比較例1
実施例1においてNBDCによるエンドキャップを行わずにポリアミドフェノールの合成を行い、得られたポリマーに対し以下同様に感光特性評価を行った。その結果、未露光部の膨潤による解像度の低下、はく離が見られ、また機械特性においても破断強度は82 MPa、破断伸びは6%と低い値であった。
【0072】
比較例2
実施例5においてNBDCによるエンドキャップを行わずにポリアミドフェノールの合成を行い、得られたポリマーに対し以下同様に感光特性評価を行った。その結果、未露光部の溶解速度が速く、良好なコントラストが得られずパターン形成が出来なかった。また機械特性においても破断強度は62 MPa、破断伸びは5%と低い値であった。
【0073】
比較例3
実施例6においてNBDCによるエンドキャップを行わずに合成を行い、得られたポリマーに対し以下同様に感光特性評価を行った。その結果、未露光部の膨潤による解像度の低下、はく離が見られ、また機械特性においても破断強度は86 MPa、破断伸びは6%と低い値であった。
【0074】
比較例4
実施例1においてC成分として保護基を導入していないイソフタル酸を用いて以下同様に感光特性評価を行った。その結果、機械特性においては破断強度は128 MPa、破断伸びは21%と良好であったがパターンは全く得られなかった。
【0075】
実施例13 ポリアミド酸の合成
3,3’,4,4’−ジフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物(ODPA)10.5gをN,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)45gに溶解し、DMAc 5gに溶かしたフェニルエチニルアニリン(PEA)1gを加え、室温下反応させた後、DMAc 25gに溶かしたジアミノジフェニルエーテル(DDE)10gを加え、室温下で一晩撹拌した。この反応液を蒸留水に滴下し、沈殿物を濾別して集め、減圧乾燥することによってポリアミド酸を得た。この重量平均分子量は16,000であった。
【0076】
感光特性評価
前記ポリイミド前駆体100重量部に対し、前記酸発生剤、前記(c)成分、及び必要に応じて増感剤を表3に示した所定量にて配合しγ−ブチロラクトンに溶解させた。
【0077】
前記溶液をシリコンウエハ上にスピンコートして、乾燥膜厚2〜6μmの塗膜を形成し、そののち干渉フィルターを介して、超高圧水銀灯を用いてi線(365nm)露光を行った。露光後、120℃で3分間加熱し、テトラメチルアンモニウムヒドロキシドの2.38%水溶液にて露光部のシリコンウエハが露出するまで現像した後、水でリンスしパターン形成に必要な最小露光量と解像度を求めた。結果を表4に記す。
【0078】
機械特性評価
前記、乾燥塗膜を400℃で1時間加熱し、完全にポリイミドへと環化させた。この硬化膜の機械特性をひっぱり試験により破断強度および、破断伸びを求めた。結果を表4に記す。
【0079】
【表3】
【0080】
【化24】
【0081】
実施例14−24
実施例13において配合を表3のように変え、以下同様に評価を行った。結果を表4にまとめて記す。
【0082】
【表4】
【0083】
比較例5
実施例13においてPEAによるエンドキャップを行わずに合成を行い、得られたポリマーに対し以下同様に感光特性評価を行った。その結果、未露光部の膨潤による解像度の低下、はく離が見られ、また機械特性においても破断強度は91 MPa、破断伸びは8%と低い値であった。
【0084】
比較例6
実施例17においてPEAによるエンドキャップを行わずに合成を行い、得られたポリマーに対し以下同様に感光特性評価を行った。その結果、未露光部の膨潤による解像度の低下、はく離が見られ、また機械特性においても破断強度は82 MPa、破断伸びは4%と低い値であった。
【0085】
比較例7
実施例18においてPEAによるエンドキャップを行わずに合成を行い、得られたポリマーに対し以下同様に感光特性評価を行った。その結果、未露光部の膨潤による解像度の低下、はく離が見られ、また機械特性においても破断強度は88 MPa、破断伸びは6%と低い値であった。
【0086】
比較例8
実施例13においてC成分として保護基を導入していないイソフタル酸を用いて以下同様に感光特性評価を行った。その結果、機械特性においては破断強度132 MPa、破断伸びは25%と良好であったがパターンは全く得られなかった。
【0087】
【発明の効果】
本発明のポジ型感光性樹脂組成物は、機械特性、感度、解像度および耐熱性に優れる。また本発明のパターンの製造方法によれば、前記組成物の使用により、機械特性、感度、解像度および耐熱性に優れ、良好な形状のパターンが得られる。また、本発明の電子部品は、良好な形状と特性のパターンを有することにより、信頼性の高いものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】多層配線構造の半導体装置の製造工程図である。
【符号の説明】
1…半導体基板、
2…保護膜、
3…第1導体層、
4…層間絶縁膜層、
5…感光樹脂層、
6A、6B、6C…窓、
7…第2導体層、
8…表面保護膜層
Claims (13)
- (A)分子末端に熱で重合しうる官能基を持つ有機基を有するポリオキサゾール前駆体又はポリイミド前駆体から選ばれるポリマー前駆体、(B)活性光線照射により酸を発生する化合物、(C)酸触媒作用で分解し水素原子に変換し得る有機基を有する化合物を含有してなるポジ型感光性樹脂組成物。
- 前記ポリオキサゾール前駆体100重量部に対して、前記活性光線照射により酸を発生する化合物0.01〜50重量部を含有する請求項2又は3に記載のポジ型感光性樹脂組成物。
- 前記ポリイミド前駆体100重量部に対して、前記活性光線照射により酸を発生する化合物0.01〜50重量部を含有することを特徴とする請求項5又は6に記載のポジ型感光性樹脂組成物。
- 前記(C)成分が、分子中に、芳香環に結合しかつ−OR(但しRは酸の作用で分解し水素原子に変換し得る一価の有機基を示す)で示される基、または−COOR(但しRは酸の作用で分解し水素原子に変換し得る一価の有機基を示す)で示される基を有する化合物であることを特徴とする請求項1〜7の何れかに記載のポジ型感光性樹脂組成物。
- 前記(C)成分が、分子中に−COOR(但しRは酸の作用で分解し水素原子に変換し得る一価の有機基を示す)で示される基を有する化合物であり、かつ前記(B)成分が、オニウム塩であることを特徴とする請求項1〜7の何れかに記載のポジ型感光性樹脂組成物。
- 請求項1〜11のいずれかに記載のポジ型感光性樹脂組成物を支持基板上に塗布し乾燥する工程、前記乾燥後のポジ型感光性樹脂膜を露光する工程、前記露光後のポジ型感光性樹脂膜を加熱する工程、前記加熱後のポジ型感光性樹脂膜をアルカリ水溶液を用いて現像する工程、及び前記現像後のポジ型感光性樹脂膜を加熱処理する工程を含むレリーフパターンの製造方法。
- 請求項12に記載の製造方法により得られるパターンの層を有してなる電子デバイスを有する電子部品であって、前記電子デバイス中に前記パターンの層が層間絶縁膜層又は表面保護膜層として設けられることを特徴とする電子部品。
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