JP2004062025A - 立体投影装置とこの装置に用いるスクリーン、並びに、投影方法 - Google Patents

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Abstract

【課  題】地形や商品などにおける起伏や凹凸形態などの三次元情報を、よりリアルに立体的に表現することによって、その表示自体を実際の地形や商品などに近い状態でスクリーンに表示し、その表示に訴求力などを持たせることを可能にした立体投影装置を提供すること。
【解決手段】地形の起伏や商品の形状などを立体的に表現した立体スクリーンSを形成し、該立体スクリーンSに、前記地形や前記商品の画像を投影するようにしたこと。
【選択図】  図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、地形の起伏、商品や人体などの三次元形状を立体的に表現した投影スクリーンに、前記地形、或は、前記商品や人体などの視覚的情報(画像)を投影することにより、前記スクリーンに投影される前記地形、或は、商品や人体等を立体的に表示することを可能にした立体投影装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より地形や商品などに関する様々な視覚的情報を普通の平坦面のスクリーンに静止画、或は、動画の画像として投影することは、ごく当り前に行われている。しかし、このような平坦面のスクリーンへの地形や商品などの画像が投影されても、投影された画像を、その画像を観る者全員に均質な三次元の画像情報として把握させることは、投影された画像がフラットであること、或は、観る者の感性や審美感などに個人差があることなどの要因により相当困難であった。
【0003】
例えば、地形に関する航空写真や衛星写真は、それがフルカラーで撮影されたものであっても、例えば、多少の濃淡があっても緑一色に現れる緑地が平坦なスクリーンに投影されただけでは、実際の地形の起伏をその写真から把握することは不可能である。この点は、表面の凹凸形態などが複雑な商品を陰影を強調するなどの手法で撮影して立体的に見せようとしても、その商品の実際の凹凸形態の細部までは把握しにくいのと同様である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記のような従来の投影手法では、スクリーンに投影された地形や商品などの起伏や凹凸形態などの三次元情報を視覚的に把握することは困難であることに鑑み、地形や商品などにおける起伏や凹凸形態などの三次元情報を、よりリアルに立体的に表現することによって、その表示自体を実際の地形や商品などに近い状態でスクリーンに表示し、その表示に訴求力などを持たせることを可能にした立体投影装置を提供することを、その課題とするものである。
【0005】
本発明は、上記課題を解決するための立体投影装置のほか、その投影装置に使用する立体スクリーン、並びに、この立体スクリーンに映像を投影する際の投影方法についても、新しい技術を提供することを課題としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決することを目的としてなされた本発明立体投影装置の構成は、地形の起伏や商品の形状などを立体的に表現した立体スクリーンを形成し、該立体スクリーンに、前記地形や前記商品の画像を投影するようにしたことを特徴とするものである。
【0007】
本発明において、上記の立体スクリーンは、一枚に形成されたタイプ、或は、複数枚を集合したタイプのいずれであってもよい。また、前記立体スクリーンに投影される画像は、一台の画像投影手段、又は、複数台の投影手段から投影することができる。
【0008】
更に、本発明における前記画像の投影は、立体スクリーンの表面側或は裏面側のいずれ側から行ってもよい。また、立体スクリーンに投影する画像は、静止画像に限られるものではなく動画像であってもよい。動画像は、例えば、同一の地形に在る火山の噴火、それによる火砕流や土砂流の流れの状況、或は、河川の氾濫の様子を撮影した動画像を前記地形の画像の上に重ねて投影することにより、前記噴火などの発生状況などを、立体スクリーンに投影されている地形の中にある当該火山や河川の上に再現する場合などに用いる。
【0009】
更には、画像が投影される立体スクリーンをコンピュータに接続してそのスクリーン上にマウス・ポインタやカーソルを投影させ、前記ポインタやカーソルを地形上を走査させることにより、上記の河川氾濫を防ぐための堤防の設置や土石流などに対する砂防ダムの設置をシミュレーションできるように形成することもできる。
【0010】
本発明において、上記のような画像が投影される立体スクリーンは、例えば、地形などの立体形状をNC制御などにより制御される切削機械により加工して金型を形成し、この金型を用いた真空成形によって薄い合成樹脂板などの板状素材に前記地形などの立体形状を成形した立体スクリーンを得る。この板状素材は白色や半透明或は透明であることが望ましいが、それに限られるものではない。また、立体スクリーンは、透明な合成樹脂素材を上記と同様の切削機械により地形などの立体形状に切削加工して形成したものでもよい。
【0011】
なお、白色系の板状素材を上記の真空成形によって立体スクリーンに成形すると、その板材は金型の凹凸に沿った形態に部分的な伸びを伴い乍ら成形されるので、白色系の板状素材を本発明立体スクリーンに成形加工すると厚さが不均一になり、それが外見上判別できるため見映えが良好でない。そこで本発明では、透明な板状素材を真空成形によって立体スクリーンに形成し、その後、当該スクリーンの表面又は/及び裏面を、光を拡散させることを目的として、サンドブラスト加工や白色塗料の塗布を施し、これによってスクリーン全体をほぼ均一な状態の不透明乃至半透明にする。
【0012】
上記の本発明立体スクリーンは、マーカペンなどによって任意に書込みやその消去が可能であり、また、地形用の立体スクリーンでは、県境や道路,鉄道,河川などの基本的な地図情報を、印刷などにより予め書き込んでおく場合がある。
更には、同じ立体パターンの透明な立体スクリーンを複数枚作製しておき、各スクリーンの個々に、前記の道路などの基本的な地図情報を個別に書き込み、必要な情報が書き込まれた立体スクリーンを、地形画像のみを投影する立体スクリーンに重ねて使用するという利用形態を採ることもできる。また、地形画像の投影した立体スクリーンに、種々の地図情報の一つ乃至は二つ以上の画像を重ねて投影する態様も採ることができる。このようにして利用できる情報としては、上記例のほか、土地の利用形態に関する情報、気温の分布状態、稀少生物等の分布状態、計画道路図などがある。更に、上記の使用形態をする立体スクリーンに投影する画像は、前記例の地形や地図情報に限られるものではなく、商品や人体、或は、その他のものであってもよい。
【0013】
本発明の立体投影装置では、例えば地形の凹凸を表現した立体スクリーンに、当該凹凸に対応した地形の画像をそのまま投影した場合、スクリーン上の凹凸部と画像の凹凸部が微妙にズレることがある。これは、スクリーンに表現された拡大された三次元の凹凸面に対し、その凹凸に対応した部分の縮尺画像が点光源により投影されるとき、スクリーンの凹凸面に投写される画像光線が平行光ではないことにより生じる。そこで、本発明では、フィルム面の縮尺画像と光源(点)とスクリーン面との位置関係に基づいてズレが生じないようにフィルム面の画像を予め補正しておき、その補正画像を立体をスクリーンに投影することにより、上記のズレを防止するようにしている。なお、スクリーン面の凹凸(起伏)が小さい場合には、上記のズレが小さくなり、そのような場合には、画像の補正をしないことがある。
【0014】
【発明の実施の形態】
次に、本発明立体投影装置の実施の形態例について、図を参照しつつ説明する。図1は本発明立体投影装置の原理的構成を模式的に例示した斜視図、図2〜図5は、本発明立体投影装置における立体スクリーンと投影手段の配置関係の例を説明するための側面図、図6は立体スクリーンに投影されるフィルム上の画面と当該スクリーンの凹凸部のズレの発生を説明するための模式図、図7は地形を表わした金型の一例の断面図、図8はこの金型を使用して立体スクリーンを作製する状態の断面図、図9は立体スクリーンの一例の断面図である。
【0015】
図7の地形を表わした金型Dは、或る地域の地形に関する情報を数値制御データのベースとするNC制御により制御される例えばフライス盤によって木製又は合成樹脂製若しくは金属製などの板材1の表面に、前記地形の立体形状2を彫刻(切削)することにより形成されている。この地形の立体形状2を表現した金型Dは、その上に立体スクリーンSに形成される合成樹脂製薄板3をクランプCLなどに支持させて対面させて配置し、この薄板3の上に面状ヒータ4を配置してそのヒータ4を駆動することにより、前記薄板3の全面を軟化させて金型Dの立体形状2の表面に当該軟化薄板3の下面を重複させ、この状態で前記薄板3の下面と金型Dの立体形状2の表面の間に残留している空気を真空ポンプなどで吸引することにより、前記立体形状2の表面に軟化薄板3を全面密着させ、この後、薄板3を冷却すると、図9の断面形状で、立体形状2が転写立体形状2′に形成された立体スクリーンSが得られる。
【0016】
本発明における立体スクリーンSは、上記の真空成型法によらず、例えば透明な合成樹脂製板に、直接、上記の立体形状2を彫り込んだ形態に形成し、それを立体スクリーンSとすることもできる。また、上記金型Dの彫刻は商品や地形等の形態を精密に再現したものではなく、大まかな簡易的に表現される三次元形態(立体)による彫刻で足り、この金型Dにより形成される立体スクリーンSであっても、投影される画像は十分にリアリティを持った立体画像として表現される。
【0017】
上記のようにして作製される立体スクリーンSは、図1に例示するように本発明投影装置の一部を構成する例えば筺体Bの上面開口部に配置し、該筺体Bの内部に収装した、上記スクリーンSに形成された転写立体形状2′に対応する画像を当該スクリーンSに投影するための、一例として高輝度,高精細度プロジェクタなどによる投影手段Pから画像が投影されることにより、この立体スクリーンSに表現された立体地形に合致する当該地形の画像をこのスクリーンSの上に見ることができる。図1では、前記投影手段Pに、前記地形の地図情報を格納したパソコンPCが接続され、当該パソコンPCからの地図情報を投影手段Pから立体スクリーンSの地形に投影できるように構成している。
【0018】
これにより、前記スクリーンSの立体形状2′は、投影手段Pから投影される画像を写し出すことにより、その地形がすこぶるリアリティのある実在感を発揮することになり、これを観る者は、地形などを視覚的な立体感をもって把握することができることとなる。
【0019】
上記の説明は、地形についての例であるが、本発明における投影対象は、市場にある様々な三次元形態を持つ生物を含む商品や製品、或は、身体やその一部(顔,頭,手など)などであってもよい。また、本発明立体投影装置は、図2〜図5に例示する態様で立体スクリーンSと投影手段Pとの配置形態をとることができる。図2〜図5において、図1と同一符号は同一部材を示すが、Fは床、Wは壁である。
【0020】
本発明立体投影装置による立体形状の投影においては、図6に例示したように、立体スクリーンSに表現された凹凸の地形21と、この凹凸地形21に対応するフィルム面Fの画像22が光源Aの光によりスクリーンSに投影される凹凸画像22′との間にズレが生じることがある(図2参照)。これは、立体スクリーンSの凹凸地形21に対してフィルム面Fを通る光源Aの光がそのスクリーンSに平行光により到達しないため、投影される前記凹凸地形部分の画像22′とそのスクリーンSに形成されている前記地形21の凹凸とが一致しないことに起因するものである。
【0021】
そこで本発明では上記不都合を解消するため、フィルム面Fの二次元画像22を画像処理技術によって予め補正した画像に形成しておき、投影面の画像22′がスクリーンSの凹凸地形21とズレないかそのズレを無視できる程度になるようにする。
【0022】
【発明の効果】
本発明は以上の通りであって、地形の起伏や商品の形状などを立体的に表現した立体スクリーンを形成し、該立体スクリーンに、前記地形や前記商品の画像を投影することができるように立体投影装置を構成したから、地形や様々な商品、或は、人の身体やその一部などの画像を立体的表現を以てスクリーン上に表現することができるという効果がある。
【0023】
本発明によれば、立体スクリーンに地形や商品或は人などを、実際のものの凹凸形状などの三次元形態を伴って立体的に表現できることにより、例えば立体地形図の上での様々な自然現象などのシミュレーション、商品の立体投影図の上でのデザインや着彩などの検討、身体やその一部の立体投影図の上での化粧などのシミュレーションなどを効果的に行うことが可能になるなど、スクリーンに投影した画像の利用形態を利便性やリアリティーを伴って拡張することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明立体投影装置の原理的構成を模式的に例示した斜視図
【図2】本発明立体投影装置における立体スクリーンと投影手段の配置関係の第一例を説明するための側面図
【図3】本発明立体投影装置における立体スクリーンと投影手段の配置関係の第二例を説明するための側面図
【図4】本発明立体投影装置における立体スクリーンと投影手段の配置関係の第三例を説明するための側面図
【図5】本発明立体投影装置における立体スクリーンと投影手段の配置関係の第四例を説明するための側面図
【図6】立体スクリーンに投影されるフィルム上の画面と当該スクリーンの凹凸部のズレの発生を説明するための模式図
【図7】地形を表わした金型の一例の断面図
【図8】この金型を使用して立体スクリーンを作製する状態の断面図
【図9】立体スクリーンの一例の断面図
【符号の説明】
S  立体スクリーン
B  筺体
P  投影手段
D  金型
1  木板
2  立体形状
2′  転写立体形状
3  合成樹脂製薄板
4  ヒータ

Claims (4)

  1. 地形の起伏や商品の形状などを立体的に表現した立体スクリーンを形成し、該立体スクリーンに、前記地形や前記商品の画像を投影するようにしたことを特徴とする立体投影装置。
  2. 地形などの立体形状をNC制御などにより制御される切削機械により加工して金型を形成し、この金型を用いた真空成形によって薄い合成樹脂板などの板状素材に前記立体形状を成形した立体投影装置のスクリーン。
  3. 透明な合成樹脂素材を切削機械により切削加工して地形などの立体形状を形成した立体投影装置のスクリーン。
  4. フィルム面の画像を立体スクリーンに投影する際、立体スクリーンに形成された立体形状の凹凸部と投影されるフィルム面の前記凹凸部に対応した画像のズレを防ぐため、前記フィルム面の画像を予め補正してスクリーンに投影する立体投影方法。
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