JP2004061334A - 共焦点走査型顕微鏡、高さ測定方法、プログラム及び記憶媒体 - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明は、Z方向の移動ステップ量を大きくしても、ばらつきを抑えることができる共焦点走査型顕微鏡を提供することを課題とする。
【解決手段】共焦点画像を撮影後、測定結果を用いて複数の高さ推定方法を用いて複数の推定値を求める。そしてこの複数の推定方法それぞれの結果を、用いて高さの測定値を求める。
【選択図】 図4
【解決手段】共焦点画像を撮影後、測定結果を用いて複数の高さ推定方法を用いて複数の推定値を求める。そしてこの複数の推定方法それぞれの結果を、用いて高さの測定値を求める。
【選択図】 図4
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、光学系を介して試料を光で走査することにより試料の表面情報を測定する光学顕微鏡及びその測定方法に係り、特に共焦点走査型顕微鏡による測定方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
共焦点走査型顕微鏡は、点光源を用いて試料面を走査すると共に、試料面からの反射光のうちピンホールを通過した光のみを光検出器により電気信号に変換することによって、試料面の3次元情報を得るようにしたものである。
【0003】
このような共焦点走査型顕微鏡は、レーザ光などの点光源とピンホールを組み合わせた光源からの光束によって、試料面をピンポイントで照明し、また、光検出器の前面に空間フィルタとしてのピンホールを配置して測定点と同一面内にあるノイズ光をピンホール周辺に結像させている。そして、光軸方向にずれた面からの光を対物レンズによってピンホールの前で広げてピンホールを通過する光を抑制することにより、測定点以外からの散乱光を抑制して、3次元空間中の一点からの反射光の強度を測定できるようにしている。
【0004】
一方、共焦点走査型顕微鏡は、光軸方向に分解能を持つことも知られている。つまり、照射された試料面が光軸上で焦点の合った位置にあるときに光検出器に入力される光の強度が増大し、焦点から外れた位置では光強度がほぼゼロになることから、試料面をスポット光で二次元走査し、各位置で試料と対物レンズの距離を所定の移動量で離散的に移動して光軸方向に焦点を移動し、各位置で光強度を検出することによって、3次元空間のスライス像が得られることになる。
【0005】
半導体基板など表面を光源からの光が通過しないような試料については、光強度が最大となる光軸方向の位置が試料表面に焦点が合っている位置と考えられるので、複数枚のスライス像の中で光軸方向の最大の光強度を与える高さから、その試料の表面とした3次元の表面形状画像が得られる。
【0006】
この3次元の表面形状画像は、光軸方向(Z方向)の移動量を小さくして測定を行えば、それだけ高分解能の画像を得ることができるが、その分測定時間が大きくなってしまう。
ここで、Z方向の移動量を大きくすることによって高さ測定のスループットを向上させると共に高い分解能を得る方法として、表面形状の測定再現性を改善する方法、例えば特開平9−68413号公報に開示されている方法が応用できる。
【0007】
上記公報に開示されている方法では、対物レンズの集束位置と前記試料との相対位置を光軸方向となるZ方向に離散的に変化させ、各相対位置において、光源からの出射光を光学顕微鏡の対物レンズを通して試料に入射し、各位置における試料からの反射光の光強度を検出した後、最大の光強度検出値を含む複数の検出値に基づいて光強度が示す変化曲線を求める。そしてこの変化曲線上において最大値を与える相対位置を推定し、その推定した相対位置を高さ情報とする高さ測定する。
【0008】
具体的には、最大の光強度を検出したZ方向の位置及びその前後のZ方向の位置の計3点の共焦点画像を用いて、光強度が示す変化曲線を2次曲線で近似することによって、光強度が最大となる高さ位置を推定する。
この方法によりZ方向の走査において1回に移動する移動量を大きくして高さ測定することで、移動回数を減少させ、高さ測定のスループットを向上させている。
【0009】
また、その他の高さの推定方法には、最大の光強度を挟む前後の2点のZ位置の共焦点画像で、対応する各画素毎に、光強度検出値の差/和を計算し、この計算値に所定の係数を乗ずることによって高さ位置を推定する方法などがある。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
上記した方法では、光軸方向の移動誤差や装置の振動等の影響から、推定した高さ位置にばらつきが生じる。そしてこのばらつきは、移動量を大きくすればするほど大きくなる。
【0011】
よって高さ測定のスループットを向上するために、光軸方向の1回の移動量を大きくすると、得られた高さデータは真の高さからかけ離れたデータになっていることがある。
例えば、共焦点走査型顕微鏡に試料として鏡を斜めに設置し、これを次の2つの方法で高さ測定したとする。
(方法1)光軸方向に離散的に位置を変化させて得られた複数の共焦点画像の中から、対応する画素毎に、最大の光強度検出値を示す画素と、Z方向の位置がその1つ前の位置及び1つ後の位置での光強度用いて、光強度が示す変化曲線を2次関数で近似して光強度が最大となる高さ位置を推定する。
(方法2)光軸方向に離散的に位置を変化させて得られた複数の共焦点画像の中から、対応する画素毎に、最大の光強度検出値を示す画索に対して、Z位置が1つ前の画索及び1つ後の画素を用いて、差/和を計算し、この計算値に所定の係数を乗じて高さ位置を推定する。
【0012】
図8(a)に方法1による測定結果、同図(b)に方法2による測定結果を示す。同図において縦軸はZ方向の位置、横軸は光軸に対して垂直なX−Y方向のうちのX方向の位置を示している。
斜めに置いた鏡を試料として測定しているので、測定結果は本来直線となるはずだが、図8(a)に示すように、方法1による測定結果には本来ないはずの微小なうねりが生じている。また図8(b)に示すように方法2による測定結果には、本来ないはずの微小な段差が生じている。
【0013】
本発明は、上記従来の課題に鑑みてなされたもので、高さ方向の移動量を大きくすることによって高さ測定のスループットを向上させると共に高い分解能を得ることが出来、また高さ位置の測定結果にばらつきが生じるのを抑えることを可能にする高さ測定方法及び共焦点走査型顕微鏡、プログラム及び記憶媒体を提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】
上記問題点を解決する為、本発明による、共焦点走査型顕微鏡による高さ測定方法は、試料と対物レンズとの距離を変化させて、該試料の表面を光源からの出射光によって走査し、該試料の表面からの反射光の強度から共焦点画像を測定し、複数の推定方法を用いて、上記複数の共焦点画像から、試料の高さの推定値を求め、上記複数の推定方法それぞれによって求めた複数の推定値を用いて、例えば上記第1の推定方法による推定値と、上記第2の推定方法による推定値を加算平均して上記高さ情報を求める。
【0015】
これにより1つの推定方法による高さの推定値が含む誤差を他の推定値によって、誤差の大きさを小さくすることができる。
上記複数の推定方法としては、例えば、第1の推定方法と、該第1の推定方法と逆の誤差を生じる第2の推定方法とを用いて、上記高さの推定値を求める。これによって、第1の推定方法による誤差と第2の推定方法による誤差が相殺される。
【0016】
上記第1の推定方法としては、例えば各画素毎に、上記強度が最も大きい位置及びその強度を示す値と、当該位置の前後の位置による上記強度を示す値とを用いて上記強度が示す変化曲線を近似し、該変化曲線に基づいて上記高さの推定値を求める方法が、また上記第2の推定方法は、各画素毎に、上記強度に基いた値の差/和を計算し、当該差/和の値に基いて上記高さの推定値を求める方法が用いられる。
【0017】
また本発明による共焦点走査型顕微鏡は、試料と対物レンズとの距離を変化させて、該試料の表面を光源からの出射光によって走査して複数の共焦点画像を測定する測定手段と、複数の推定方法を用いて、上記複数の共焦点画像から、試料の高さの推定値を求める高さ推定手段と、上記複数の推定方法それぞれによって求めた複数の推定値を用いて、上記試料表面の高さを示す高さ情報を求める高さ情報算出手段とを備える。
【0018】
また本発明は、コンピュータによって実行されるプログラムや、コンピュータが読み出し可能な可搬記憶媒体もその範囲として含む。
本発明によれば、試料と対物レンズとの距離を変化させる変化幅を大きく取っても、精度の高い高さ測定を行うことが出来る。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態を図面を参照して説明する。
本実施形態における共焦点走査型顕微鏡では、光学系を使用して試料を2次元走査することにより表面情報を取得し、その結果を元に複数の方法を用いて高さの推定を行う。そしてこの複数の方法によって得られた複数の推定結果を用いて、高さ情報を求める。
【0020】
以下の例では、高さの推定には次の2つの方法を用いるものとする。尚本実施形態で用いられる高さの推定方法は、この2つに限られるものではない。
(方法1)光軸方向(Z方向)に離散的に位置を変化させて得られた複数の共焦点画像の中から、対応する画素毎に、最大の光強度検出値を示す画素と、Z位置がその1つ前の画素及び1つ後の画素を用いて、光強度が示す変化曲線を2次関数で近似して光強度が最大となる高さ位置を推定する。
(方法2)光軸方向に離散的に位置を変化させて得られた複数の共焦点画像の中から、対応する画素毎に、最大の光強度検出値を示す画素に対して、Z位置が1つ前の画素及び1つ後の画素を用いて、差/和を計算し、この計算値に所定の係数を乗じて高さ位置を推定する。
【0021】
まず、方法1による推定方法について説明する。
共焦点走査型顕微鏡において、対物レンズと試料の相対位置を連続的に変化させた場合の光強度の変化は、例えば、THEORY AND PRACTICE OF SCANNING OPTICAL MICROSCOPY P126に開示されているように以下のように理論的に求められる。
【0022】
I(Z)={sin(u/2)/(u/2)}2 ・・・▲1▼
u=8πZ・sin2 (θ/2)/λ
NA=sinθ
Z:焦点からの距離
I(Z):位置Zでの光強度
NA:対物レンズの開口数
λ:光の波長
▲1▼式によれば、Z=0すなわち、試料が光学系の焦点位置にあるとき、試料からの反射強度I(Z)が最大となる。前述の▲1▼式をZの2次関数で近似すると、I(Z)=αZ2 +βZ+γ・・・▲2▼
と表される。
【0023】
図1は方法1による高さの推定方法の説明図である。
同図はX,Y方向に位置を固定し、Z方向に離散的に位置を移動した場合のZ方向の位置Zと光検出器6による出力Iの関係を示したもので、同図中○で示してある位置で測定を行っている。
【0024】
同図に示すように、複数回測定を行った中で、光検出器6の出力値Iが最大となった位置をZm 、Zm に対して1つ前に測定を行った位置をZm−1 、1つ後に測定を行った位置をZm+1 とすると、それぞれの位置での出力値I(Z)の値をIm 、Im−1 、Im+1 として、▲2▼式に代入すると、
Im =αZm2 +βZm +γ・・・▲3▼
Im−1 =αZm−12 +βZm−1 +γ
Im+1 =αZm+12 +βZm+1 +γ
となる。
【0025】
ここで、対物レンズと試料の相対位置を離散的に移動させた時のZ方向の移動開始位置をZ0 、1回あたりのZ方向の移動量を△Z、光検出器の出力が最大の位置となった時のZ方向の移動回数をmとすると、
Zm =Z0 +△Z・m・・・▲4▼
Zm−1 =Zm −△Z
Zm+1 =Zm +△Z
となる。よって、▲3▼、▲4▼式からαを求めると、
α={(Im−1 −Im )+(Im+1 −Im )}/(2・△Z2 )・・・▲5▼
となる。
【0026】
ここで、Im は光検出器6の出力Iの最大値であるから、Im >Im−1 、Im >Im+1 の関係になり、よって▲5▼式からα<0となるので、Z=−β/2αのときにI(Z)が最大となる。ゆえに、光強度が最大となる位置Zt は、
となる。
【0027】
よって、Im 、Im−1 、Im+1 、m、Z0 、及び△Zから、▲6▼式に基づいて真に光強度が最大となる対物レンズ3と試料4の相対位置Ztを求めることができる。
【0028】
次に方法2による推定方法について説明する。
図2に示すように測定対象となる試料Sの表面Ssを挟むような位置関係にあるZa 、Zb の高さが共焦点位置となるようなZ方向の位置で共焦点画像を得たとする。
【0029】
図3(a)にこの時の試料SのZ方向の位置と、光検出器6の出力との関係を示す。同図中曲線Ia は図2のZa が共焦点位置となるように試料と対物レンズの位置関係の位置を設定した場合、曲線Ib は、図2のZb が共焦点位置となる位置に設定した場合の、試料Sの高さ(Z方向の位置)と光検出器6の出力Iとの関係を示している。
【0030】
同図において、試料Sの高さと光検出器6の出力Iとの関係Ia 及びIb は、図3(a)に示すように、それぞれ、共焦点位置Za 及びZb で出力Iが最も大きくなり、そこから離れるとだんだん小さくなる曲線となる。
ここでZa 、Zb で共焦点となる位置での光検出器6の出力を示すIa ,Ib に対して、差/和(Ia −Ib )/(Ia +Ib )を計算すると、試料Sの各高さに対して図3(b)に示す関係が得られる。
【0031】
図3(b)に示すように、光検出器6の出力の差/和はZa とZb の中点で0となり、その近傍では試料の高さにほぼ比例して単調増加する。そこで、この差/和の曲線から得られる値にZa とZb の間隔で決まる所定の値を乗ずることにより試料Sの高さを推定値として得ることができる。
【0032】
次にこの方法1及び方法2を用いて得られた高さの推定値を用いて、例えば加算平均等の方法によって高さを求める。これにより各推定値に含まれている誤差による影響を小さくすることが出来る。
図8(a)及び(b)を見ると、X方向(およびY方向)において同じ位置において、方法1による高さの推定値が実際の値より大きな値となる誤差を生じている時、方法2による高さの推定値は実際の値より小さな値となる誤差を誤差を生じている。また逆に、同一画素において、方法1による高さの推定値が実際の値より小さな値となる誤差を生じている時、方法2による高さの推定値は実際の値より大きな値となる誤差を生じている。
【0033】
本実施形態で用いる高さの推定方法は、この方法1及び方法2に限定されるものではないが、上述したように方法1と方法2による高さの推定値が、同一画素において、逆の方向に誤差が生じることが経験的に知られており、この2つの方法による推定値を加算平均すると、各方法による誤差が相殺されるので他の方法と組み合わせるより、より精度の高い結果を得る事が出来る。
【0034】
図4は、本実施形態における共焦点走査型顕微鏡の概略構成を示す図である。
同図に示す共焦点走査型顕微鏡の構成は、レーザ光などの点光源からなる光源1から出射されたスポット光は二次元走査スキャナ2に導かれている。
二次元走査スキャナ2は、試料4に対して、入射光を光軸に対して垂直な方向(X方向、Y方向)に2次元走査するものである。二次元走査スキャナ2は、例えばX方向走査用のガルバノミラー又はレゾナントスキャナ(Xスキャナ)とY方向走査用のガルバノミラー(Yスキャナ)を有し、これらXスキャナとYスキャナによって光源1からのスポット光をX方向及びY方向に振ることでスポット光を試料4上でXY方向に2次元走査して出力し、対物レンズ3へと導く。対物レンズ3へ入射した光束は収束光となり試料4に照射され、二次元走査スキャナ2によってX,Y方向に試料4の表面上を2次元走査される。
【0035】
試料4はZステージ5上に載置され、Zステージ5は移動駆動部8によって光軸方向(Z方向)に移動可能になっており、コンピュータ14の制御に基いて試料4の表面と対物レンズ3の焦点位置の距離が変化する。
試料4からの反射光は、対物レンズ3を通して二次元走査スキャナ2に戻り、この二次元走査スキャナ2から光検出器6に導かれる。光検出器6は、受光面の前面に図示しないピンホールを有し、このピンホールを介して光検出器6に入力される光は、集光点以外からの反射光がカットされている。そして光検出器6は、検出した光の強度に応じた電気信号を出力する。
【0036】
光検出器6からの出力は、A/D変換器7によってデジタル値に変換され、コンピュータ14に入力される。
コンピュータ14は、CPU9、メモリ10、フレームメモリ11、表示部12及び記憶装置13を備えており、2次元走査用スキャナ2、Zステージ5及び光検出器6を制御している。コンピュータ14は、Zステージ5によってZ方向に試料4を移動した後、2次元走査用スキャナ2によってX、Y方向に試料4の表面を走査して、X、Y、Zの各値とその時の光検出器6の出力値を対応付けて記憶してゆく。
【0037】
CPU9はメモリ10若しくは記憶装置13上のプログラムに基いて、コンピュータ14に接続されている共焦点走査型顕微鏡の2次元走査用スキャナ2、Zステージ5及び光検出器6等に制御命令を出し、A/D変換器7を介して得られる光検出器6からの出力値を用いて表面形状画像を求める。例えば、二次元走査スキャナ2に対しレーザビーム走査の開始やZステージ5のZ方向(高さ)の走査を指示すると共に、光検出器6より検出される試料4からの反射光の強度の検出値から、その画素において検出された光強度の最大検出値、その位置情報(Z方向)、またその前後のZ方向の位置における光強度の検出値を求め、これより3次元の表面形状画像を生成する。即ち、光強度が最大となる高さ位置からの推定と、推定された複数の位置情報から表面形状画像を生成している。そしてこの表面形状画像をメモリ10の画像メモリPa、Pb及びPcの領域に記憶する。
【0038】
メモリ10は、CPU9で決定される検出値が最大の光強度とその位置情報、またその前後の高さ位置の光強度の検出値、CPU9で生成される表面形状情報等を記憶する。またCPU9が実行するプログラム記憶装置13からダウンロードされたり、ワークメモリとして用いられる。
【0039】
表示部12は、CPU9で生成された3次元の表面形状画像を、フレームメモリ11を介して表示する。
コンピュータ14は、専用のコンピュータを用いても汎用のコンピュータを利用しても良い。またこの専用のコンピュータとしては、CPU9及びメモリ10を共焦点走査型顕微鏡内に組み込む形とし、表示部12や記憶装置13を共焦点走査型顕微鏡に設けたインタフェースによって接続する構成としても良い。
【0040】
また、後述する図5にフローチャートで示す処理はコンピュータプログラムによって処理可能で、その処理プログラムはCD−ROM等の可搬記録媒体に記録させておくことが出来る。そして必要に応じてコンピュータ14のメモリ上にこのプログラムを読み出し、CPU9により実行してコンピュータ14に接続されている各装置を制御することが出来る。
【0041】
図5は、図4に示した本実施形態における共焦点走査型顕微鏡による高さ測定の動作処理を示すフローチャートである。
なお、図5中で用いている記号は、
i,j:画素のX方向、Y方向の座標(X,Y座標)(i=1,2,3,・・・,Ni、j=1,2,3,・・・,Nj)
k:Zステージの移動回数(k=0,1,2,3,・・・,Nk)
I(i,j,k):スライス像のデータ
Io (i,j,k):Z位置が1つ前のスライス像のデータ
Pc (i,j):光強度の最大検出値
Pa (i,j):光強度の検出値が最大を示した位置に対し、Z方向に1つ前の位置での光強度検出値
Pb (i,j):光強度が最大検出値を示したZ方向の位置に対し、位置に対し、Z方向に1つ後の位置での光強度検出値
H(i,j):光強度の検出値が最大の時のZステージの移動回数
Z(i,j):表面形状画像
を示している。
【0042】
同図において、まずステップS1としてI(i,j,0)、Io (i,j,0)、Pc (i,j)、Pa (i,j)、Pb (i,j)、H(i,j)、Z(i,j)(i=1〜Ni、j=1〜Nj)にそれぞれの初期値として0を入力する。またこの時、Zステージ5の高さを最も低い位置に移動し、Zステージの移動回数kに0をセットする。
【0043】
次にステップS2としてこのZステージ5の高さ位置Z=kにおいて、2次元走査用スキャナ2によって、X、Y方向に2次元走査して(i=1,2,3,・・・,Ni、j=1,2,3,・・・,Nj)スライス像データI(i,j,k)を測定する。
【0044】
そしてステップS3として、i=1〜Ni、j=1〜Njの範囲で変化させて各画素毎に、このスライス画像データI(i,j,k)と最大の光強度検出値Pc(i,j)を比較し、I(i,j,k)>Pc(i,j)ならば(ステップS
3、Yes)、ステップS4として、Z位置が1つ前の光強度検出値データPa (i,j)に1つ前のスライス像データIo (i,j,k)を、最大の光強度検出値Pc(i,j)にスライス像データI(i,j,k)を、光強度検出値が最大の時のZステージ5の移動回数H(i,j)にZステージの移動回数kをそれぞれ格納して更新した後、ステップS5に処理を進める。また、ステップS3でI(i,j,k)>Pc(i,j)でなければ(ステップS3、No)、そのまま最大の光強度検出値Pc(i,j)を更新せずに、ステップS5に処理を進める。
【0045】
次にステップS5として高さ位置kが光強度検出値が最大の時のZステージ5の移動回数H(i,j)+1であるかどうか、即ち1つ前の測定時に光強度の最大値が更新されたかどうかを判断する。
前回の測定値が最大値でなかった場合(ステップS5、No)、最大値を示した位置の1つ後の光強度検出値データPb は更新されないので、ステップS7にスキップする。また前回の測定値が最大値を示し、ステップS4の処理が行われて最大の光強度検出値Pc(i,j)が更新された場合、即ちk=H(i,j)+1のときに(ステップS5、Yes)、スライス像データI(i,j,k)をZ位置が1つ後の光強度検出値データPb (i,j)に格納する(ステップS6)。
【0046】
続いて、ステップS7として1つ前のスライス像データIo (i,j,k)を更新、すなわち1つ前のスライス像データIo (i,j,k)にスライス像データI(i,j,k)を格納する。
次にステップS8としてZステージ5の高さが最大位置かどうか、つまりk=Nk かどうかを判定する。ここでZステージ5の高さ位置k≠Nk の場合(ステップS8、NO)、ステップS9としてZステージの高さ位置を更新、即ちk=k+1とすると共にZステージ5を対応する位置に移動するように移動駆動部8に指示し、ステップS2のスライス像データI(i,j,k)の測定処理に戻る。またステップS8で、k=NkでZステージが最大位置であったなら(ステップS8、Yes)、これまでの測定結果から、真に光強度が最大となる対物レンズと試料の相対位置Ztを求める。
【0047】
ステップS10として、方法1によって高さを推定する。この方法1による高さ推定ではコンピュータ14内でCPU9が、メモリ10上の、最大の光強度検出値データPc(i,j)、Z位置が1つ前の光強度検出値データPa (i,j)、Z位置が1つ後の光強度検出値データPb (i,j)、光強度検出値が最大の時のZステージの移動回数H(i,j)を用いて推定値Z1(i,j)を求める。
【0048】
次にステップS11として方法2によって高さを推定を行う。方法2による高さ推定では、コンピュータ14内でCPU9が、メモリ10上の、Z位置が1つ前の光強度検出値データPa (i,j)、Z位置が1つ後の光強度検出値データPb (i,j)、光強度検出値が最大の時のZステージの移動回数H(i,j)を用いて高さ推定値Z2(i,j)を求める。
【0049】
そしてステップS12としてステップS10で求めた方法1による高さの推定値Z1(i,j)と、ステップS11で求めた方法2による高さの推定値Z2(i,j)とを用いて、例えば加算平均等の方法によって高さZ(i,j)を求め、表面形状画像を生成して処理を終了する。
【0050】
本実施形態による共焦点走査型顕微鏡を用いて、鏡を斜めに設置したものを試料としてときの高さ計測結果を図8(c)に示す。
図8(c)にあるように、同図(a)の方法1による測定結果に見られた微小なうねりや、同図(b)に示す方法2による測定結果に見られた微小な段差が発生せず、ほぼ直線となっている。
【0051】
このように本実施形態に拠れば、Z方向の移動量を大きくとることができ、結果として測定に要する時間を減縮することが出来ると共に、これまでの方法で生じていた、高さ位置の測定結果のばらつきを抑えることが出来る。
図6は、コンピュータ14を汎用のコンピュータとして実現した場合のシステム環境図である。
【0052】
同図のコンピュータは、CPU21、各プログラムのワークエリアとなる主記憶装置22、各プログラムやデータベースが記録されるハードディスク等の補助記憶装置23、ディスプレイ、キーボード等の入出力装置(I/O)24、モデムや共焦点顕微鏡とのインタフェース等のネットワーク接続装置25及びディスク、磁気テープなどの可搬記憶媒体から記憶内容を読み出す媒体読取り装置26を有し、これらが互いにバス28により接続される構成を備えている。
【0053】
上記した各実施形態による高さ情報の算出やコンピュータ14に接続された各装置の制御をソフトウエアによって実現した場合、CPU21がプログラムに基いて、主記憶装置22をワークエリアとして、主記憶装置22若しくは補助記憶装置23内に記憶された、撮影した共焦点画像のデータ等を用いて実現する。
【0054】
図6のコンピュータでは、媒体読取り装置26により磁気テープ、フレキシブルディスク、CD−ROM、MO等の記憶媒体27に記憶されているプログラム、データを読み出し、これを主記憶装置22または補助記憶装置23にダウンロードする。そして本実施形態による各処理は、CPU21がこのプログラムやデータを実行することにより、ソフトウエア的に実現させることが出来る。
【0055】
また、図6のコンピュータでは、フレキシブルディスク等の記憶媒体27を用いてアプリケーションソフトの交換が行われる場合がある。よって、本発明は、共焦点顕微鏡やその高さ測定方法に限らず、コンピュータにより使用されたときに、上述した本発明の実施形態の機能をコンピュータに行わせるためのプログラムやコンピュータ読み出し可能な記憶媒体27として構成することもできる。
【0056】
この場合、「記憶媒体」には、例えば図7に示されるように、CD−ROM、フレキシブルディスク(あるいはMO、DVD、リムーバブルハードディスク等であってもよい)等の媒体駆動装置37に脱着可能な可搬記憶媒体36や、ネットワーク回線33経由で送信される外部の装置(サーバ等)内の記憶手段(データベース等)32、あるいはコンピュータ31の本体34内のメモリ(RAM又はハードディスク等)35等が含まれる。可搬記憶媒体36や記憶手段(データベース等)32に記憶されているプログラムは、本体34内のメモリ(RAM又はハードディスク等)35にロードされて、実行される。
【0057】
尚、これまで説明してきた例では、高さ推定方法として、(方法1)(方法2)の2つの方法を用いてきたが、この限りではなく、他の方法、例えば方法1による最大値を求める際、2次関数ではなく、ガウス関数による近似、多次元式による近似などを用いる方法を用いても良い。
【0058】
また、表面形状画像を生成するときに2種類の方法による高さ推定の結果を用いたが、3種類以上の手法の結果を用いてもよい。また、複数の高さ推定の結果を用いる際、それぞれの結果を加算平均しているが、この限りではなく、中央値や、中央付近の数データの平均などの一般的な統計手法を用いてもよい。
【0059】
更に、高さ推定方法の元データとして、2個または3個のデータを用いたが、この限りではなく、4個以上のデータを用いても良い。また、光強度検出値が最大のZ位置の前後でなくともよい。
また、高さの推定をZ方向への移動が終了してから実施しているが、最大の光強度検出値を更新する度に実施しても良い。また、最大の光強度検出値の更新を画像取得時に実施しているが、Z移動した時のすべての画像を保持し、Z移動が終了してから最大の光強度検出値の検索と高さの推定を実施してもよい。
【0060】
更に図4の共焦点走査型顕微鏡は、Zステージ5を移動して試料4の表面と対物レンズ3の焦光位置との距離を移動しているが、Zステージ5を移動させるのではなく、対物レンズ3を移動させる構成としても良い。
本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々変形実施可能である。
【0061】
また、本発明は共焦点走査型顕微鏡の基本的なシステム構成は変更せずに、高さ推定処理を行うソフトウエアのみを変更することによっても実現することができる。
【0062】
【発明の効果】
本発明によれば、Z方向の移動ステップ量を大きくしても、ばらつきを抑えることができる。従って本発明によれば、Z方向の移動量を大きくとることができ、結果として測定に要する時間を減縮することが出来ると共に、これまでの方法で生じていた高さ位置の測定結果のばらつきを抑え、精度を向上することが出来る。
【0063】
また、本発明はシステム構成を変更せずともソフトウエアの変更のみによって実現することも出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】方法1による高さの推定方法の説明図である。
【図2】方法2による高さの推定方法の説明図(その1)である。
【図3】方法2による高さの推定方法の説明図(その2)である。
【図4】本実施形態における共焦点走査型顕微鏡の概略構成を示す図である。
【図5】本実施形態における共焦点走査型顕微鏡による高さ測定の動作処理を示すフローチャートである。
【図6】本実施形態におけるコンピュータのシステム環境図である。
【図7】媒体例を示す図である。
【図8】(a)は方法1による、(b)は方法2による、(c)は本実施形態による高さ測定の結果を示す図である。
【符号の説明】
1 光源
2 二次元走査スキャナ
3 対物レンズ
4 試料
5 ステージ
6 光検出器
7 A/D変換器
8 移動駆動部
9 CPU
10 メモリ
11 フレームメモリ
12 表示部
13 記憶装置
14 コンピュータ
【発明の属する技術分野】
本発明は、光学系を介して試料を光で走査することにより試料の表面情報を測定する光学顕微鏡及びその測定方法に係り、特に共焦点走査型顕微鏡による測定方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
共焦点走査型顕微鏡は、点光源を用いて試料面を走査すると共に、試料面からの反射光のうちピンホールを通過した光のみを光検出器により電気信号に変換することによって、試料面の3次元情報を得るようにしたものである。
【0003】
このような共焦点走査型顕微鏡は、レーザ光などの点光源とピンホールを組み合わせた光源からの光束によって、試料面をピンポイントで照明し、また、光検出器の前面に空間フィルタとしてのピンホールを配置して測定点と同一面内にあるノイズ光をピンホール周辺に結像させている。そして、光軸方向にずれた面からの光を対物レンズによってピンホールの前で広げてピンホールを通過する光を抑制することにより、測定点以外からの散乱光を抑制して、3次元空間中の一点からの反射光の強度を測定できるようにしている。
【0004】
一方、共焦点走査型顕微鏡は、光軸方向に分解能を持つことも知られている。つまり、照射された試料面が光軸上で焦点の合った位置にあるときに光検出器に入力される光の強度が増大し、焦点から外れた位置では光強度がほぼゼロになることから、試料面をスポット光で二次元走査し、各位置で試料と対物レンズの距離を所定の移動量で離散的に移動して光軸方向に焦点を移動し、各位置で光強度を検出することによって、3次元空間のスライス像が得られることになる。
【0005】
半導体基板など表面を光源からの光が通過しないような試料については、光強度が最大となる光軸方向の位置が試料表面に焦点が合っている位置と考えられるので、複数枚のスライス像の中で光軸方向の最大の光強度を与える高さから、その試料の表面とした3次元の表面形状画像が得られる。
【0006】
この3次元の表面形状画像は、光軸方向(Z方向)の移動量を小さくして測定を行えば、それだけ高分解能の画像を得ることができるが、その分測定時間が大きくなってしまう。
ここで、Z方向の移動量を大きくすることによって高さ測定のスループットを向上させると共に高い分解能を得る方法として、表面形状の測定再現性を改善する方法、例えば特開平9−68413号公報に開示されている方法が応用できる。
【0007】
上記公報に開示されている方法では、対物レンズの集束位置と前記試料との相対位置を光軸方向となるZ方向に離散的に変化させ、各相対位置において、光源からの出射光を光学顕微鏡の対物レンズを通して試料に入射し、各位置における試料からの反射光の光強度を検出した後、最大の光強度検出値を含む複数の検出値に基づいて光強度が示す変化曲線を求める。そしてこの変化曲線上において最大値を与える相対位置を推定し、その推定した相対位置を高さ情報とする高さ測定する。
【0008】
具体的には、最大の光強度を検出したZ方向の位置及びその前後のZ方向の位置の計3点の共焦点画像を用いて、光強度が示す変化曲線を2次曲線で近似することによって、光強度が最大となる高さ位置を推定する。
この方法によりZ方向の走査において1回に移動する移動量を大きくして高さ測定することで、移動回数を減少させ、高さ測定のスループットを向上させている。
【0009】
また、その他の高さの推定方法には、最大の光強度を挟む前後の2点のZ位置の共焦点画像で、対応する各画素毎に、光強度検出値の差/和を計算し、この計算値に所定の係数を乗ずることによって高さ位置を推定する方法などがある。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
上記した方法では、光軸方向の移動誤差や装置の振動等の影響から、推定した高さ位置にばらつきが生じる。そしてこのばらつきは、移動量を大きくすればするほど大きくなる。
【0011】
よって高さ測定のスループットを向上するために、光軸方向の1回の移動量を大きくすると、得られた高さデータは真の高さからかけ離れたデータになっていることがある。
例えば、共焦点走査型顕微鏡に試料として鏡を斜めに設置し、これを次の2つの方法で高さ測定したとする。
(方法1)光軸方向に離散的に位置を変化させて得られた複数の共焦点画像の中から、対応する画素毎に、最大の光強度検出値を示す画素と、Z方向の位置がその1つ前の位置及び1つ後の位置での光強度用いて、光強度が示す変化曲線を2次関数で近似して光強度が最大となる高さ位置を推定する。
(方法2)光軸方向に離散的に位置を変化させて得られた複数の共焦点画像の中から、対応する画素毎に、最大の光強度検出値を示す画索に対して、Z位置が1つ前の画索及び1つ後の画素を用いて、差/和を計算し、この計算値に所定の係数を乗じて高さ位置を推定する。
【0012】
図8(a)に方法1による測定結果、同図(b)に方法2による測定結果を示す。同図において縦軸はZ方向の位置、横軸は光軸に対して垂直なX−Y方向のうちのX方向の位置を示している。
斜めに置いた鏡を試料として測定しているので、測定結果は本来直線となるはずだが、図8(a)に示すように、方法1による測定結果には本来ないはずの微小なうねりが生じている。また図8(b)に示すように方法2による測定結果には、本来ないはずの微小な段差が生じている。
【0013】
本発明は、上記従来の課題に鑑みてなされたもので、高さ方向の移動量を大きくすることによって高さ測定のスループットを向上させると共に高い分解能を得ることが出来、また高さ位置の測定結果にばらつきが生じるのを抑えることを可能にする高さ測定方法及び共焦点走査型顕微鏡、プログラム及び記憶媒体を提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】
上記問題点を解決する為、本発明による、共焦点走査型顕微鏡による高さ測定方法は、試料と対物レンズとの距離を変化させて、該試料の表面を光源からの出射光によって走査し、該試料の表面からの反射光の強度から共焦点画像を測定し、複数の推定方法を用いて、上記複数の共焦点画像から、試料の高さの推定値を求め、上記複数の推定方法それぞれによって求めた複数の推定値を用いて、例えば上記第1の推定方法による推定値と、上記第2の推定方法による推定値を加算平均して上記高さ情報を求める。
【0015】
これにより1つの推定方法による高さの推定値が含む誤差を他の推定値によって、誤差の大きさを小さくすることができる。
上記複数の推定方法としては、例えば、第1の推定方法と、該第1の推定方法と逆の誤差を生じる第2の推定方法とを用いて、上記高さの推定値を求める。これによって、第1の推定方法による誤差と第2の推定方法による誤差が相殺される。
【0016】
上記第1の推定方法としては、例えば各画素毎に、上記強度が最も大きい位置及びその強度を示す値と、当該位置の前後の位置による上記強度を示す値とを用いて上記強度が示す変化曲線を近似し、該変化曲線に基づいて上記高さの推定値を求める方法が、また上記第2の推定方法は、各画素毎に、上記強度に基いた値の差/和を計算し、当該差/和の値に基いて上記高さの推定値を求める方法が用いられる。
【0017】
また本発明による共焦点走査型顕微鏡は、試料と対物レンズとの距離を変化させて、該試料の表面を光源からの出射光によって走査して複数の共焦点画像を測定する測定手段と、複数の推定方法を用いて、上記複数の共焦点画像から、試料の高さの推定値を求める高さ推定手段と、上記複数の推定方法それぞれによって求めた複数の推定値を用いて、上記試料表面の高さを示す高さ情報を求める高さ情報算出手段とを備える。
【0018】
また本発明は、コンピュータによって実行されるプログラムや、コンピュータが読み出し可能な可搬記憶媒体もその範囲として含む。
本発明によれば、試料と対物レンズとの距離を変化させる変化幅を大きく取っても、精度の高い高さ測定を行うことが出来る。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態を図面を参照して説明する。
本実施形態における共焦点走査型顕微鏡では、光学系を使用して試料を2次元走査することにより表面情報を取得し、その結果を元に複数の方法を用いて高さの推定を行う。そしてこの複数の方法によって得られた複数の推定結果を用いて、高さ情報を求める。
【0020】
以下の例では、高さの推定には次の2つの方法を用いるものとする。尚本実施形態で用いられる高さの推定方法は、この2つに限られるものではない。
(方法1)光軸方向(Z方向)に離散的に位置を変化させて得られた複数の共焦点画像の中から、対応する画素毎に、最大の光強度検出値を示す画素と、Z位置がその1つ前の画素及び1つ後の画素を用いて、光強度が示す変化曲線を2次関数で近似して光強度が最大となる高さ位置を推定する。
(方法2)光軸方向に離散的に位置を変化させて得られた複数の共焦点画像の中から、対応する画素毎に、最大の光強度検出値を示す画素に対して、Z位置が1つ前の画素及び1つ後の画素を用いて、差/和を計算し、この計算値に所定の係数を乗じて高さ位置を推定する。
【0021】
まず、方法1による推定方法について説明する。
共焦点走査型顕微鏡において、対物レンズと試料の相対位置を連続的に変化させた場合の光強度の変化は、例えば、THEORY AND PRACTICE OF SCANNING OPTICAL MICROSCOPY P126に開示されているように以下のように理論的に求められる。
【0022】
I(Z)={sin(u/2)/(u/2)}2 ・・・▲1▼
u=8πZ・sin2 (θ/2)/λ
NA=sinθ
Z:焦点からの距離
I(Z):位置Zでの光強度
NA:対物レンズの開口数
λ:光の波長
▲1▼式によれば、Z=0すなわち、試料が光学系の焦点位置にあるとき、試料からの反射強度I(Z)が最大となる。前述の▲1▼式をZの2次関数で近似すると、I(Z)=αZ2 +βZ+γ・・・▲2▼
と表される。
【0023】
図1は方法1による高さの推定方法の説明図である。
同図はX,Y方向に位置を固定し、Z方向に離散的に位置を移動した場合のZ方向の位置Zと光検出器6による出力Iの関係を示したもので、同図中○で示してある位置で測定を行っている。
【0024】
同図に示すように、複数回測定を行った中で、光検出器6の出力値Iが最大となった位置をZm 、Zm に対して1つ前に測定を行った位置をZm−1 、1つ後に測定を行った位置をZm+1 とすると、それぞれの位置での出力値I(Z)の値をIm 、Im−1 、Im+1 として、▲2▼式に代入すると、
Im =αZm2 +βZm +γ・・・▲3▼
Im−1 =αZm−12 +βZm−1 +γ
Im+1 =αZm+12 +βZm+1 +γ
となる。
【0025】
ここで、対物レンズと試料の相対位置を離散的に移動させた時のZ方向の移動開始位置をZ0 、1回あたりのZ方向の移動量を△Z、光検出器の出力が最大の位置となった時のZ方向の移動回数をmとすると、
Zm =Z0 +△Z・m・・・▲4▼
Zm−1 =Zm −△Z
Zm+1 =Zm +△Z
となる。よって、▲3▼、▲4▼式からαを求めると、
α={(Im−1 −Im )+(Im+1 −Im )}/(2・△Z2 )・・・▲5▼
となる。
【0026】
ここで、Im は光検出器6の出力Iの最大値であるから、Im >Im−1 、Im >Im+1 の関係になり、よって▲5▼式からα<0となるので、Z=−β/2αのときにI(Z)が最大となる。ゆえに、光強度が最大となる位置Zt は、
となる。
【0027】
よって、Im 、Im−1 、Im+1 、m、Z0 、及び△Zから、▲6▼式に基づいて真に光強度が最大となる対物レンズ3と試料4の相対位置Ztを求めることができる。
【0028】
次に方法2による推定方法について説明する。
図2に示すように測定対象となる試料Sの表面Ssを挟むような位置関係にあるZa 、Zb の高さが共焦点位置となるようなZ方向の位置で共焦点画像を得たとする。
【0029】
図3(a)にこの時の試料SのZ方向の位置と、光検出器6の出力との関係を示す。同図中曲線Ia は図2のZa が共焦点位置となるように試料と対物レンズの位置関係の位置を設定した場合、曲線Ib は、図2のZb が共焦点位置となる位置に設定した場合の、試料Sの高さ(Z方向の位置)と光検出器6の出力Iとの関係を示している。
【0030】
同図において、試料Sの高さと光検出器6の出力Iとの関係Ia 及びIb は、図3(a)に示すように、それぞれ、共焦点位置Za 及びZb で出力Iが最も大きくなり、そこから離れるとだんだん小さくなる曲線となる。
ここでZa 、Zb で共焦点となる位置での光検出器6の出力を示すIa ,Ib に対して、差/和(Ia −Ib )/(Ia +Ib )を計算すると、試料Sの各高さに対して図3(b)に示す関係が得られる。
【0031】
図3(b)に示すように、光検出器6の出力の差/和はZa とZb の中点で0となり、その近傍では試料の高さにほぼ比例して単調増加する。そこで、この差/和の曲線から得られる値にZa とZb の間隔で決まる所定の値を乗ずることにより試料Sの高さを推定値として得ることができる。
【0032】
次にこの方法1及び方法2を用いて得られた高さの推定値を用いて、例えば加算平均等の方法によって高さを求める。これにより各推定値に含まれている誤差による影響を小さくすることが出来る。
図8(a)及び(b)を見ると、X方向(およびY方向)において同じ位置において、方法1による高さの推定値が実際の値より大きな値となる誤差を生じている時、方法2による高さの推定値は実際の値より小さな値となる誤差を誤差を生じている。また逆に、同一画素において、方法1による高さの推定値が実際の値より小さな値となる誤差を生じている時、方法2による高さの推定値は実際の値より大きな値となる誤差を生じている。
【0033】
本実施形態で用いる高さの推定方法は、この方法1及び方法2に限定されるものではないが、上述したように方法1と方法2による高さの推定値が、同一画素において、逆の方向に誤差が生じることが経験的に知られており、この2つの方法による推定値を加算平均すると、各方法による誤差が相殺されるので他の方法と組み合わせるより、より精度の高い結果を得る事が出来る。
【0034】
図4は、本実施形態における共焦点走査型顕微鏡の概略構成を示す図である。
同図に示す共焦点走査型顕微鏡の構成は、レーザ光などの点光源からなる光源1から出射されたスポット光は二次元走査スキャナ2に導かれている。
二次元走査スキャナ2は、試料4に対して、入射光を光軸に対して垂直な方向(X方向、Y方向)に2次元走査するものである。二次元走査スキャナ2は、例えばX方向走査用のガルバノミラー又はレゾナントスキャナ(Xスキャナ)とY方向走査用のガルバノミラー(Yスキャナ)を有し、これらXスキャナとYスキャナによって光源1からのスポット光をX方向及びY方向に振ることでスポット光を試料4上でXY方向に2次元走査して出力し、対物レンズ3へと導く。対物レンズ3へ入射した光束は収束光となり試料4に照射され、二次元走査スキャナ2によってX,Y方向に試料4の表面上を2次元走査される。
【0035】
試料4はZステージ5上に載置され、Zステージ5は移動駆動部8によって光軸方向(Z方向)に移動可能になっており、コンピュータ14の制御に基いて試料4の表面と対物レンズ3の焦点位置の距離が変化する。
試料4からの反射光は、対物レンズ3を通して二次元走査スキャナ2に戻り、この二次元走査スキャナ2から光検出器6に導かれる。光検出器6は、受光面の前面に図示しないピンホールを有し、このピンホールを介して光検出器6に入力される光は、集光点以外からの反射光がカットされている。そして光検出器6は、検出した光の強度に応じた電気信号を出力する。
【0036】
光検出器6からの出力は、A/D変換器7によってデジタル値に変換され、コンピュータ14に入力される。
コンピュータ14は、CPU9、メモリ10、フレームメモリ11、表示部12及び記憶装置13を備えており、2次元走査用スキャナ2、Zステージ5及び光検出器6を制御している。コンピュータ14は、Zステージ5によってZ方向に試料4を移動した後、2次元走査用スキャナ2によってX、Y方向に試料4の表面を走査して、X、Y、Zの各値とその時の光検出器6の出力値を対応付けて記憶してゆく。
【0037】
CPU9はメモリ10若しくは記憶装置13上のプログラムに基いて、コンピュータ14に接続されている共焦点走査型顕微鏡の2次元走査用スキャナ2、Zステージ5及び光検出器6等に制御命令を出し、A/D変換器7を介して得られる光検出器6からの出力値を用いて表面形状画像を求める。例えば、二次元走査スキャナ2に対しレーザビーム走査の開始やZステージ5のZ方向(高さ)の走査を指示すると共に、光検出器6より検出される試料4からの反射光の強度の検出値から、その画素において検出された光強度の最大検出値、その位置情報(Z方向)、またその前後のZ方向の位置における光強度の検出値を求め、これより3次元の表面形状画像を生成する。即ち、光強度が最大となる高さ位置からの推定と、推定された複数の位置情報から表面形状画像を生成している。そしてこの表面形状画像をメモリ10の画像メモリPa、Pb及びPcの領域に記憶する。
【0038】
メモリ10は、CPU9で決定される検出値が最大の光強度とその位置情報、またその前後の高さ位置の光強度の検出値、CPU9で生成される表面形状情報等を記憶する。またCPU9が実行するプログラム記憶装置13からダウンロードされたり、ワークメモリとして用いられる。
【0039】
表示部12は、CPU9で生成された3次元の表面形状画像を、フレームメモリ11を介して表示する。
コンピュータ14は、専用のコンピュータを用いても汎用のコンピュータを利用しても良い。またこの専用のコンピュータとしては、CPU9及びメモリ10を共焦点走査型顕微鏡内に組み込む形とし、表示部12や記憶装置13を共焦点走査型顕微鏡に設けたインタフェースによって接続する構成としても良い。
【0040】
また、後述する図5にフローチャートで示す処理はコンピュータプログラムによって処理可能で、その処理プログラムはCD−ROM等の可搬記録媒体に記録させておくことが出来る。そして必要に応じてコンピュータ14のメモリ上にこのプログラムを読み出し、CPU9により実行してコンピュータ14に接続されている各装置を制御することが出来る。
【0041】
図5は、図4に示した本実施形態における共焦点走査型顕微鏡による高さ測定の動作処理を示すフローチャートである。
なお、図5中で用いている記号は、
i,j:画素のX方向、Y方向の座標(X,Y座標)(i=1,2,3,・・・,Ni、j=1,2,3,・・・,Nj)
k:Zステージの移動回数(k=0,1,2,3,・・・,Nk)
I(i,j,k):スライス像のデータ
Io (i,j,k):Z位置が1つ前のスライス像のデータ
Pc (i,j):光強度の最大検出値
Pa (i,j):光強度の検出値が最大を示した位置に対し、Z方向に1つ前の位置での光強度検出値
Pb (i,j):光強度が最大検出値を示したZ方向の位置に対し、位置に対し、Z方向に1つ後の位置での光強度検出値
H(i,j):光強度の検出値が最大の時のZステージの移動回数
Z(i,j):表面形状画像
を示している。
【0042】
同図において、まずステップS1としてI(i,j,0)、Io (i,j,0)、Pc (i,j)、Pa (i,j)、Pb (i,j)、H(i,j)、Z(i,j)(i=1〜Ni、j=1〜Nj)にそれぞれの初期値として0を入力する。またこの時、Zステージ5の高さを最も低い位置に移動し、Zステージの移動回数kに0をセットする。
【0043】
次にステップS2としてこのZステージ5の高さ位置Z=kにおいて、2次元走査用スキャナ2によって、X、Y方向に2次元走査して(i=1,2,3,・・・,Ni、j=1,2,3,・・・,Nj)スライス像データI(i,j,k)を測定する。
【0044】
そしてステップS3として、i=1〜Ni、j=1〜Njの範囲で変化させて各画素毎に、このスライス画像データI(i,j,k)と最大の光強度検出値Pc(i,j)を比較し、I(i,j,k)>Pc(i,j)ならば(ステップS
3、Yes)、ステップS4として、Z位置が1つ前の光強度検出値データPa (i,j)に1つ前のスライス像データIo (i,j,k)を、最大の光強度検出値Pc(i,j)にスライス像データI(i,j,k)を、光強度検出値が最大の時のZステージ5の移動回数H(i,j)にZステージの移動回数kをそれぞれ格納して更新した後、ステップS5に処理を進める。また、ステップS3でI(i,j,k)>Pc(i,j)でなければ(ステップS3、No)、そのまま最大の光強度検出値Pc(i,j)を更新せずに、ステップS5に処理を進める。
【0045】
次にステップS5として高さ位置kが光強度検出値が最大の時のZステージ5の移動回数H(i,j)+1であるかどうか、即ち1つ前の測定時に光強度の最大値が更新されたかどうかを判断する。
前回の測定値が最大値でなかった場合(ステップS5、No)、最大値を示した位置の1つ後の光強度検出値データPb は更新されないので、ステップS7にスキップする。また前回の測定値が最大値を示し、ステップS4の処理が行われて最大の光強度検出値Pc(i,j)が更新された場合、即ちk=H(i,j)+1のときに(ステップS5、Yes)、スライス像データI(i,j,k)をZ位置が1つ後の光強度検出値データPb (i,j)に格納する(ステップS6)。
【0046】
続いて、ステップS7として1つ前のスライス像データIo (i,j,k)を更新、すなわち1つ前のスライス像データIo (i,j,k)にスライス像データI(i,j,k)を格納する。
次にステップS8としてZステージ5の高さが最大位置かどうか、つまりk=Nk かどうかを判定する。ここでZステージ5の高さ位置k≠Nk の場合(ステップS8、NO)、ステップS9としてZステージの高さ位置を更新、即ちk=k+1とすると共にZステージ5を対応する位置に移動するように移動駆動部8に指示し、ステップS2のスライス像データI(i,j,k)の測定処理に戻る。またステップS8で、k=NkでZステージが最大位置であったなら(ステップS8、Yes)、これまでの測定結果から、真に光強度が最大となる対物レンズと試料の相対位置Ztを求める。
【0047】
ステップS10として、方法1によって高さを推定する。この方法1による高さ推定ではコンピュータ14内でCPU9が、メモリ10上の、最大の光強度検出値データPc(i,j)、Z位置が1つ前の光強度検出値データPa (i,j)、Z位置が1つ後の光強度検出値データPb (i,j)、光強度検出値が最大の時のZステージの移動回数H(i,j)を用いて推定値Z1(i,j)を求める。
【0048】
次にステップS11として方法2によって高さを推定を行う。方法2による高さ推定では、コンピュータ14内でCPU9が、メモリ10上の、Z位置が1つ前の光強度検出値データPa (i,j)、Z位置が1つ後の光強度検出値データPb (i,j)、光強度検出値が最大の時のZステージの移動回数H(i,j)を用いて高さ推定値Z2(i,j)を求める。
【0049】
そしてステップS12としてステップS10で求めた方法1による高さの推定値Z1(i,j)と、ステップS11で求めた方法2による高さの推定値Z2(i,j)とを用いて、例えば加算平均等の方法によって高さZ(i,j)を求め、表面形状画像を生成して処理を終了する。
【0050】
本実施形態による共焦点走査型顕微鏡を用いて、鏡を斜めに設置したものを試料としてときの高さ計測結果を図8(c)に示す。
図8(c)にあるように、同図(a)の方法1による測定結果に見られた微小なうねりや、同図(b)に示す方法2による測定結果に見られた微小な段差が発生せず、ほぼ直線となっている。
【0051】
このように本実施形態に拠れば、Z方向の移動量を大きくとることができ、結果として測定に要する時間を減縮することが出来ると共に、これまでの方法で生じていた、高さ位置の測定結果のばらつきを抑えることが出来る。
図6は、コンピュータ14を汎用のコンピュータとして実現した場合のシステム環境図である。
【0052】
同図のコンピュータは、CPU21、各プログラムのワークエリアとなる主記憶装置22、各プログラムやデータベースが記録されるハードディスク等の補助記憶装置23、ディスプレイ、キーボード等の入出力装置(I/O)24、モデムや共焦点顕微鏡とのインタフェース等のネットワーク接続装置25及びディスク、磁気テープなどの可搬記憶媒体から記憶内容を読み出す媒体読取り装置26を有し、これらが互いにバス28により接続される構成を備えている。
【0053】
上記した各実施形態による高さ情報の算出やコンピュータ14に接続された各装置の制御をソフトウエアによって実現した場合、CPU21がプログラムに基いて、主記憶装置22をワークエリアとして、主記憶装置22若しくは補助記憶装置23内に記憶された、撮影した共焦点画像のデータ等を用いて実現する。
【0054】
図6のコンピュータでは、媒体読取り装置26により磁気テープ、フレキシブルディスク、CD−ROM、MO等の記憶媒体27に記憶されているプログラム、データを読み出し、これを主記憶装置22または補助記憶装置23にダウンロードする。そして本実施形態による各処理は、CPU21がこのプログラムやデータを実行することにより、ソフトウエア的に実現させることが出来る。
【0055】
また、図6のコンピュータでは、フレキシブルディスク等の記憶媒体27を用いてアプリケーションソフトの交換が行われる場合がある。よって、本発明は、共焦点顕微鏡やその高さ測定方法に限らず、コンピュータにより使用されたときに、上述した本発明の実施形態の機能をコンピュータに行わせるためのプログラムやコンピュータ読み出し可能な記憶媒体27として構成することもできる。
【0056】
この場合、「記憶媒体」には、例えば図7に示されるように、CD−ROM、フレキシブルディスク(あるいはMO、DVD、リムーバブルハードディスク等であってもよい)等の媒体駆動装置37に脱着可能な可搬記憶媒体36や、ネットワーク回線33経由で送信される外部の装置(サーバ等)内の記憶手段(データベース等)32、あるいはコンピュータ31の本体34内のメモリ(RAM又はハードディスク等)35等が含まれる。可搬記憶媒体36や記憶手段(データベース等)32に記憶されているプログラムは、本体34内のメモリ(RAM又はハードディスク等)35にロードされて、実行される。
【0057】
尚、これまで説明してきた例では、高さ推定方法として、(方法1)(方法2)の2つの方法を用いてきたが、この限りではなく、他の方法、例えば方法1による最大値を求める際、2次関数ではなく、ガウス関数による近似、多次元式による近似などを用いる方法を用いても良い。
【0058】
また、表面形状画像を生成するときに2種類の方法による高さ推定の結果を用いたが、3種類以上の手法の結果を用いてもよい。また、複数の高さ推定の結果を用いる際、それぞれの結果を加算平均しているが、この限りではなく、中央値や、中央付近の数データの平均などの一般的な統計手法を用いてもよい。
【0059】
更に、高さ推定方法の元データとして、2個または3個のデータを用いたが、この限りではなく、4個以上のデータを用いても良い。また、光強度検出値が最大のZ位置の前後でなくともよい。
また、高さの推定をZ方向への移動が終了してから実施しているが、最大の光強度検出値を更新する度に実施しても良い。また、最大の光強度検出値の更新を画像取得時に実施しているが、Z移動した時のすべての画像を保持し、Z移動が終了してから最大の光強度検出値の検索と高さの推定を実施してもよい。
【0060】
更に図4の共焦点走査型顕微鏡は、Zステージ5を移動して試料4の表面と対物レンズ3の焦光位置との距離を移動しているが、Zステージ5を移動させるのではなく、対物レンズ3を移動させる構成としても良い。
本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々変形実施可能である。
【0061】
また、本発明は共焦点走査型顕微鏡の基本的なシステム構成は変更せずに、高さ推定処理を行うソフトウエアのみを変更することによっても実現することができる。
【0062】
【発明の効果】
本発明によれば、Z方向の移動ステップ量を大きくしても、ばらつきを抑えることができる。従って本発明によれば、Z方向の移動量を大きくとることができ、結果として測定に要する時間を減縮することが出来ると共に、これまでの方法で生じていた高さ位置の測定結果のばらつきを抑え、精度を向上することが出来る。
【0063】
また、本発明はシステム構成を変更せずともソフトウエアの変更のみによって実現することも出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】方法1による高さの推定方法の説明図である。
【図2】方法2による高さの推定方法の説明図(その1)である。
【図3】方法2による高さの推定方法の説明図(その2)である。
【図4】本実施形態における共焦点走査型顕微鏡の概略構成を示す図である。
【図5】本実施形態における共焦点走査型顕微鏡による高さ測定の動作処理を示すフローチャートである。
【図6】本実施形態におけるコンピュータのシステム環境図である。
【図7】媒体例を示す図である。
【図8】(a)は方法1による、(b)は方法2による、(c)は本実施形態による高さ測定の結果を示す図である。
【符号の説明】
1 光源
2 二次元走査スキャナ
3 対物レンズ
4 試料
5 ステージ
6 光検出器
7 A/D変換器
8 移動駆動部
9 CPU
10 メモリ
11 フレームメモリ
12 表示部
13 記憶装置
14 コンピュータ
Claims (16)
- 共焦点走査型顕微鏡による高さ測定方法において
試料と対物レンズとの距離を変化させて、該試料の表面を光源からの出射光によって走査し、該試料の表面からの反射光の強度から共焦点画像を測定し、
複数の推定方法を用いて、前記複数の共焦点画像から、試料の高さの推定値を求め、
前記複数の推定方法それぞれによって求めた複数の推定値を用いて、前記試料表面の高さを示す高さ情報を求める
ことを特徴とする高さ測定方法。 - 前記複数の推定方法として、第1の推定方法と、該第1の推定方法と逆の誤差を生じる第2の推定方法とを用いて、前記高さの推定値を求めることを特徴とする請求項1に記載の高さ測定方法。
- 前記第1の推定方法による推定値と、前記第2の推定方法による推定値を加算平均して前記高さ情報を求めることを特徴とする請求項2に記載の高さ測定方法。
- 前記第1の推定方法は、各画素毎に、前記強度が最も大きい位置及びその強度を示す値と、当該位置の前後の位置による前記強度を示す値とを用いて前記強度が示す変化曲線を近似し、該変化曲線に基づいて前記高さの推定値を求め、前記第2の推定方法は、各画素毎に、前記強度に基いた値の差/和を計算し、当該差/和の値に基いて前記高さの推定値を求めることを特徴とする請求項2又は3に記載の高さ推定方法。
- 試料と対物レンズとの距離を変化させて、該試料の表面を光源からの出射光によって走査して複数の共焦点画像を測定する測定手段と、
複数の推定方法を用いて、前記複数の共焦点画像から、試料の高さの推定値を求める高さ推定手段と、
前記複数の推定方法それぞれによって求めた複数の推定値を用いて、前記試料表面の高さを示す高さ情報を求める高さ情報算出手段と、
を備えることを特徴とする共焦点走査型顕微鏡。 - 前記高さ推定手段は、第1の推定方法と、該第1の推定方法と逆の誤差を生じる第2の推定方法とを用いて、前記推定値を求めることを特徴とする請求項5に記載の共焦点走査型顕微鏡。
- 前記情報算出手段は、前記第1の推定方法による推定値と、前記第2の推定方法による推定値を加算平均して前記高さ情報を求めることを特徴とする請求項6に記載の共焦点走査型顕微鏡。
- 前記第1の推定方法は、各画素毎に、前記強度が最も大きい位置及びその強度を示す値と、当該位置の前後の位置による前記強度を示す値とを用いて前記強度が示す変化曲線を近似し、該変化曲線に基づいて前記高さの推定値を求め、前記第2の推定方法は、各画素毎に、前記強度に基いた値の差/和を計算し、当該差/和の値に基いて前記高さの推定値を求めることを特徴とする請求項8又は7に記載の高さ共焦点走査型顕微鏡。
- 試料を測定する共焦点顕微鏡を制御するコンピュータによって実行されるプログラムであって、
前記試料と対物レンズとの距離を変化させて、該試料の表面を光源からの出射光によって走査し、該試料の表面からの反射光の強度を測定し、
該測定結果に基いたデータをメモリに記憶し、
複数の推定方法を用いて、前記メモリ内のデータに基いて、試料の高さの推定値を求め、
前記複数の推定方法それぞれによって求めた複数の推定値を用いて、前記試料表面の高さを示す高さ情報を求める
ことを前記コンピュータに実行させるプログラム。 - 前記複数の推定方法として、第1の推定方法と、該第1の推定方法と逆の誤差を生じる第2の推定方法とを用いて、前記高さの推定値を求めることを前記コンピュータに実行させる請求項9に記載のプログラム。
- 前記第1の推定方法による推定値と、前記第2の推定方法による推定値を加算平均して前記高さ情報を求めることを前記コンピュータに実行させる請求項10に記載のプログラム。
- 前記第1の推定方法は、各画素毎に、前記強度が最も大きい位置及びその強度を示す値と、当該位置の前後の位置による前記強度を示す値とを用いて前記強度が示す変化曲線を近似し、該変化曲線に基づいて前記高さの推定値を求め、前記第2の推定方法は、各画素毎に、前記強度に基いた値の差/和を計算し、当該差/和の値に基いて前記高さの推定値を求めることを前記コンピュータに実行させる請求項10又は11に記載のプログラム。
- 試料を測定する共焦点顕微鏡を制御するコンピュータによって使用された時、
前記試料と対物レンズとの距離を変化させて、該試料の表面を光源からの出射光によって走査し、該試料の表面からの反射光の強度を測定し、
該測定結果に基いたデータをメモリに記憶し、
複数の推定方法を用いて、前記メモリ内のデータに基いて、試料の高さの推定値を求め、
前記複数の推定方法それぞれによって求めた複数の推定値を用いて、前記試料表面の高さを示す高さ情報を求める
ことを前記コンピュータに実行させるプログラムを記憶した前記コンピュータが読み出し可能な可搬記憶媒体。 - 前記複数の推定方法として、第1の推定方法と、該第1の推定方法と逆の誤差を生じる第2の推定方法とを用いて、前記高さの推定値を求めることを前記コンピュータに実行させるプログラムを記憶した請求項13に記載の可搬記憶媒体。
- 前記第1の推定方法による推定値と、前記第2の推定方法による推定値を加算平均して前記高さ情報を求めることを前記コンピュータに実行させるプログラムを記憶した請求項14に記載の可搬記憶媒体。
- 前記第1の推定方法は、各画素毎に、前記強度が最も大きい位置及びその強度を示す値と、当該位置の前後の位置による前記強度を示す値とを用いて前記強度が示す変化曲線を近似し、該変化曲線に基づいて前記高さの推定値を求め、前記第2の推定方法は、各画素毎に、前記強度に基いた値の差/和を計算し、当該差/和の値に基いて前記高さの推定値を求めることを前記コンピュータにプログラムを記憶した請求項14又は15に記載の可搬記憶媒体。
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JP2002220797A JP2004061334A (ja) | 2002-07-30 | 2002-07-30 | 共焦点走査型顕微鏡、高さ測定方法、プログラム及び記憶媒体 |
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JP2011004077A (ja) * | 2009-06-17 | 2011-01-06 | Sharp Corp | スピーカ位置検出システム及びスピーカ位置検出方法 |
JP2018519524A (ja) * | 2015-06-29 | 2018-07-19 | ケーエルエー−テンカー コーポレイション | 半導体ウェハ上の高さを測定するための方法および装置 |
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2002
- 2002-07-30 JP JP2002220797A patent/JP2004061334A/ja not_active Withdrawn
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