JP2004061192A - 原子力発電設備 - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明は、原子炉廻りの工学的安全施設のシステム構成を、プラント安全性および信頼性を損なうことなく、簡素化し、経済性を向上させた原子力発電設備である。
【解決手段】原子力発電設備20は、原子炉廻りを2つの安全区分I,IIに区分けするとともにシビアアクシデント対策設備34を備えた工学的安全施設30を設け、各安全区分I,IIに設計想定事象に対応する自動減圧系37と低圧注水系36、残留熱除去系44を備えた安全系システム35を配設する。シビアアクシデント対策設備34は原子炉圧力を減圧可能な減圧弁50と、均圧炉心冷却系51あるいはドライウェル均圧炉心冷却系と、静的格納容器冷却系52とを備えたものである。
【選択図】 図1
【解決手段】原子力発電設備20は、原子炉廻りを2つの安全区分I,IIに区分けするとともにシビアアクシデント対策設備34を備えた工学的安全施設30を設け、各安全区分I,IIに設計想定事象に対応する自動減圧系37と低圧注水系36、残留熱除去系44を備えた安全系システム35を配設する。シビアアクシデント対策設備34は原子炉圧力を減圧可能な減圧弁50と、均圧炉心冷却系51あるいはドライウェル均圧炉心冷却系と、静的格納容器冷却系52とを備えたものである。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、工学的安全施設を備えた原子力発電設備に係り、特に原子炉廻りに安全系システムとシビアアクシデント対策設備を備えた原子力発電設備に関する。
【0002】
【従来の技術】
原子力発電設備の安全性確保の基本は、その寿命中を通じて一般公衆および運転従事者の健康と安全を損なうことなく運転、停止、点検などが実施できるように設計、製造、建設および運転において万全を期すことである。
【0003】
このため、原子力発電設備には、通常運転時のみならず、万一の事故時でも放射性物質を環境に拡散して公衆に被害を与えることがないように多重の工学的安全施設が備えられる。
【0004】
従来の改良型沸騰水型原子炉(以下、ABWRという。)の工学的安全施設1は、図17に概略的に示すシステム構成を備える。この原子力発電設備の工学的安全施設1は、原子炉2廻りを独立した3つの安全区分I,II,IIIに分けるとともにシビアアクシデント対策設備3を備え、万一の事故発生時にも自動的に事故を検知して作動し、異常事象を収束させる構成となっており、信頼性を向上させている。
【0005】
各安全区分I,II,IIIには、高圧注水系4、低圧注水系5、自動減圧系(ADS)6および非常用ディーゼル発電設備7がそれぞれ備えられ、各安全区分I,II,III毎に独立して作動できるように多重性、独立性を有する設計となっている。このうち、高圧注水系4は高圧炉心注水系(HPCF)9を備える一方、低圧注水系5は、原子炉圧力容器内への低圧炉心注水系(LPFL)10、残留熱除去系(RHR)11および原子炉格納容器(PCV)スプレイ系を有する。
【0006】
また、シビアアクシデント対策設備3は図示しない復水貯蔵タンク内の復水を原子炉圧力容器(RPV)2内に供給する補給水系(MUW)12および消火系(FP)13を備える。
【0007】
原子力発電設備は、設計、製作、据付および運転のあらゆる段階で適切な規格・基準を適用し、事故のポテンシャルを排除しているので、原子炉一次系配管が破断するような重大事象発生の確率は極めて小さく、高圧注水系や低圧注水系の配管破断等の設計想定事象が発生することは殆どない。
【0008】
しかし、万一、原子力発電設備において、設計想定事象(DBA)および炉心溶融事故等のシビアアクシデントが生じた場合、高圧注水系4、低圧注水系5および自動減圧系6等の安全系システムを連係作動させて原子炉圧力容器2に注水して炉心14を冷却した状態で原子炉格納容器15に冷却水を循環させながら除熱することで、異常事象を収束させる構成としている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
従来のABWRの工学的安全施設1においては、原子炉廻りを3つの安全区分I,II,IIIに分ける一方、各安全区分I,II,IIIにそれぞれ高圧注水系4と低圧注水系5と自動減圧系6等を備え、かつシビアアクシデント対策設備3に常用の補給水系12および消火系(FP)13を備える構成となっている。
【0010】
原子炉廻りの工学的安全施設1は、3つの安全区分I,II,IIIをそれぞれ独立して備え、さらに安全区分に配設される各系統が安全区分I,II,III毎に独立性・多重性を有する設計となっている。このため、工学的安全施設1の全体系統数が多く、必然的に構成機器数も多くなって複雑化し、原子炉廻りの配管施設や構成機器の設置に時間と労力を要する一方、工学的安全施設1の保守・管理も複雑となり、メンテナンス性が劣る等の問題があった。
【0011】
また、原子力発電プラントの小型化の要請も存在するが、工学的安全施設が複雑なシステム構成のために、プラント小型化がネットとなっており、スケールデメリットが大きく、経済性を損ねる問題があった。
【0012】
さらに、工学的安全施設1の各安全区分I,II,IIIに配設される非常用発電設備7は一種類のディーゼル発電設備で形態を同じく構成されるために、所要の条件下で同じようなトラブルが発生し易い問題があった。
【0013】
本発明は、上述した事情を考慮してなされたもので、原子炉廻りの工学的安全施設のシステム構成を、プラント安全性および信頼性を損なうことなく、簡素化し、経済性を向上させた原子力発電設備を提供することを目的とする。
【0014】
本発明の他の目的は、工学的安全施設の安全区分を2区分とする一方、各安全区分に高圧注水系を不要としてシステム構成を簡素化し、小型の原子力発電プラントに適した経済的な原子力発電設備を提供するにある。
【0015】
本発明の別の目的は、工学的安全施設の安全区分に備えられる系統数・構成機器を減少させてシステム構成を簡素化するとともに、構成機器の共通化を図って構成機器数を減少させ、経済性やメンテナンス性を向上させた工学的安全施設を備えた原子力発電設備を提供することにある。
【0016】
本発明のさらに別の目的は、工学的安全施設の各安全区分にそれぞれ配設される非常用発電機の形態を安全区分毎に異にし、各非常用発電機のトラブルが同時に生じない構成とし、信頼性を向上させた原子力発電設備を提供するにある。
【0017】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る原子力発電設備は、上述した課題を解決するために、請求項1に記載したように、原子炉廻りを2つの安全区分に区分けするとともにシビアアクシデント対策設備を備えた工学的安全施設を設け、前記各安全区分に設計想定事象に対応する自動減圧系と低圧注水系、残留熱除去系を備えた安全系システムを配設し、前記シビアアクシデント対策設備は原子炉圧力を減圧可能な減圧弁と均圧炉心冷却系あるいはドライウェル均圧炉心冷却系と静的格納容器冷却系とを備えたものである。
【0018】
また、上述した課題を解決するために、本発明に係る原子力発電設備は、請求項2に記載したように、前記シビアアクシデント対策設備は、設計想定事象に対応する設計想定事象設備を兼ねる一方、前記各安全区分に配置される非常用電源設備に、非常用ディーゼル発電設備および非常用ガスタービン発電設備が選択的に用いられたものであり、さらに、請求項3に記載したように、前記低圧注水系は注入側配管を分岐させて複数の原子炉戻り配管にそれぞれ接続されるとともに、注入側配管の分岐側に配管破断を検出して破断側配管を自動閉塞させる注入隔離弁をそれぞれ設け、健全側配管で原子炉圧力容器への注水流量を確保可能に構成したものである。
【0019】
さらに、上述した課題を解決するために、本発明に係る原子力発電設備は、請求項4に記載したように、前記減圧弁は、原子炉内水位高のとき、原子炉圧力容器への注入水を原子炉圧力容器外へ排水して原子炉格納容器内蒸気を凝縮させるように開放させ、原子炉格納容器内の圧力および温度を低減させるように構成したものである。
【0020】
一方、上述した課題を解決するために、本発明に係る原子力発電設備は、請求項5に記載したように、前記低圧注水系に原子炉格納容器スプレイ系を設ける一方、原子炉格納容器内にはドライウェルとサプレッションプールを仕切る仕切壁が設けられ、この仕切壁に連通口を設けてドローダウン水リターンラインを構成し、原子炉格納容器内水位がサプレッションプールに連通するドローダウン水リターンライン水位となったとき、均圧炉心冷却系を開放し、低圧注水系をLPFL機能からPCVスプレイ機能に切り換えるように構成したものであり、また、請求項6に記載したように、前記低圧注水系は原子炉格納容器スプレイ系を設ける一方、前記ドライウェル均圧炉心冷却系は、原子炉格納容器内水位が原子炉圧力容器内の燃料有効長上端水位を上廻ったとき開放され、低圧注水系のLPFL機能をPCVスプレイ機能に切り換えるように構成したものである。
【0021】
他方、上述した課題を解決するために、本発明に係る原子力発電設備は、請求項7に記載したように、前記減圧弁の下流側を、ドライウェルとサプレッションプールとを連通するベント管内に延設し、原子炉圧力容器からの排水をベント管を通してサプレッションプール内に案内するようにしたものであり、また、請求項8に記載したように、前記工学的安全施設は、原子炉復水・給水系と原子炉圧力容器とを連絡するアイソレーションコンデンサ設備を備え、このアイソレーションコンデンサ設備で給水を冷却して原子炉圧力容器内に注入し、原子炉圧力容器内の温度および圧力上昇を抑制したものである。
【0022】
また、上述した課題を解決するために、本発明に係る原子力発電設備は、請求項9に記載したように、前記静的格納容器冷却系に備えられる熱交換器を燃料プール浄化系に備えられる熱交換器と共用させたものであり、さらに、請求項10に記載したように、前記静的格納容器冷却系と燃料プール浄化系に共用される熱交換器を原子炉補機冷却系のサージタンク内に設けたものである。
【0023】
さらに、上述した課題を解決するために、本発明に係る原子力発電設備は、請求項11に記載したように、前記残留熱除去系に備えられる熱交換器とアイソレーションコンデンサ設備に備えられる熱交換器とを共用させたものであり、また、請求項12に記載したように、前記シビアアクシデント対策設備はサプレッションプール浄化系を備え、このサプレッションプール浄化系は原子炉圧力容器への戻りラインに接続され、かつ専用の電源設備を備えて独立したものである。
【0024】
【発明の実施の形態】
本発明に係る原子力発電設備の実施の形態について添付図面を参照して説明する。
【0025】
(第1の実施形態)
図1は、本発明に係る原子力発電設備の第1実施形態を概略的に示すシステム構成図である。
【0026】
この原子力発電設備20は、原子炉格納容器21内に原子炉圧力容器22が格納される一方、原子炉格納容器21内はサプレッションプール23とドライウェル24とに仕切壁25により区画される。原子炉圧力容器22はドライウェル24内に配設される。ドライウェル24はベント管27を介してサプレッションプール23に連通している。
【0027】
原子炉圧力容器22内には炉心28が収容される。この炉心28は炉水である冷却材29で冠水されており、この炉心28の上面よりサプレッションプール23のプール水の水位が上方に位置するように設けられる。原子力発電設備20の原子炉廻りには工学的安全施設30が設けられる。図1には、工学的安全施設30の配管上の関係からサプレッションプール23は左右で非対称をとるように図示されているが、実際にはサプレッションプール23はその水位が左右で非対称となることは殆どない。サプレッションプール23は原子炉圧力容器22の周り、少なくとも原子炉圧力容器22の下部廻りに配置され、原子炉圧力容器22の下部がサプレッションプール23のプール水位より下方に位置される構成をとる。
【0028】
原子炉圧力容器22には炉心28で発生した蒸気が案内される主蒸気系32が設けられる。炉心28で発生した蒸気は気液分離され、乾燥された後、主蒸気系32の配管を通って図示しない蒸気タービンに導かれ、発電機を駆動させて仕事をする。蒸気タービンで仕事をした蒸気は復水器(図示せず)で冷却され、復水となった後、原子炉復水・給水系33を通って原子炉圧力容器22内に給水され、還流される。
【0029】
一方、原子力発電設備20の原子炉(原子炉圧力容器22)の廻りに設けられた工学的安全施設30は、通常運転時のみならず、万一の事故時でも放射性物質を環境に拡散することがないように、多重の安全性が配慮されている。
【0030】
原子力発電設備20では、原子炉廻りを2つの安全区分I,IIに区分けする一方、シビアアクシデント対策設備34が備えられる。各安全区分I,IIには、配管破断事故等の設計想定事象(DBA)に対応する安全系システム35が設けられ、この安全系システム35は低圧注水系36と自動減圧系37とから構成される。安全系システム35には多くの動的機器が設けられる。
【0031】
低圧注水系36は、原子炉格納容器21と原子炉圧力容器22との差圧が所定圧力以下、例えば数kg/cm2あるいは10数kg/cm2まで低下すると、冷却材を炉心28に注水する能力を有する。
【0032】
低圧注水系36は、サプレッションプール23のプール水を原子炉圧力容器22内あるいは炉心28内に注水させる低圧炉心注水系(LPFL)あるいは低圧炉心スプレイ系(LPCS)38と、原子炉圧力容器22内の崩壊熱を系外に除去する残留熱除去系(RHR)44と、RHR熱交換器41で冷却されたサプレッションプール水を原子炉格納容器21内に供給する原子炉格納容器(PCV)スプレイ系45とを有する。残留熱除去系44はサプレッションプール水を非常用発電設備39で駆動される低圧注水ポンプ40でポンプアップし、RHR熱交換器41で冷却した後、原子炉圧力容器22内に注水するようになっている。
【0033】
低圧注水系36は、原子炉停止時の崩壊熱の除去を目的とする残留熱除去系(RHR)44により、炉心水位が回復し、回復した炉水位の上昇で炉心冠水後には、残留熱除去系(RHR)44はPCVスプレイ系45による原子炉格納容器21内の冷却に切り換えられる。
【0034】
また、自動減圧系37は、低圧注水系36と連係して作動し、炉心を冷却する機能を有する。自動減圧系37は安全弁46を備え、原子炉事故時に、原子炉圧力容器22内の蒸気をサプレッションプール23に逃し、原子炉圧力容器22内の圧力を速やかに低下させている。この原子炉圧力低下により低圧注水系36からの注水が可能となり、炉心冷却を行なうことができるようになっている。
【0035】
さらに、原子力発電設備20の工学的安全施設30には、シビアアクシデント対策設備34として、常閉の減圧弁50、均圧炉心冷却系51および静的格納容器冷却系52が備えられる。減圧弁50および均圧炉心冷却系51に代えて従来のABWRで用いられている補給水系(MUW)および消火系(FP)を設けてもよい。シビアアクシデント対策設備34にはできるだけ動的機器を備えない構成となっている。
【0036】
シビアアクシデント対策設備34の減圧弁50は原子炉圧力容器22内の気相部を原子炉格納容器21のドライウェル24に連通可能に設けられており、原子炉の過酷事故(シビアアクシデント)時に減圧弁50が開き、原子炉内の蒸気をドライウェル24内に逃し、原子炉圧力容器22内の異常圧力を迅速かつ緊急に低下させるようになっている。
【0037】
また、均圧炉心冷却系51は、サプレッションプール23のプール水を原子炉圧力容器22内に注水ポンプ等の動的機器を使用することなく注水できるように、均圧注水配管53に注水弁54が開閉自在に設けられる。
【0038】
原子炉に配管破断事故等の設定想定事象(DBA)が発生した場合、原子力発電設備20に高圧注水系(RCIC)が設置されていないので、自動減圧系(ADS)37の安全弁46を開放して原子炉圧力容器22内の蒸気を主蒸気系32から自動減圧系37の配管を通してサプレッションプール23内に案内して原子炉圧力容器22内の炉内圧力を減圧させ、安全系システム35の低圧注水系36により原子炉圧力容器22への注水を実施する。
【0039】
しかし、低圧注水系36の設備が使用できないことを想定したシビアアクシデント(SA)時には、均圧炉心冷却系51を作動させるために、原子炉圧力容器22内の炉圧力を急速に減圧させる減圧弁(DVP)50を開放させる。この減圧弁50の開放により原子炉圧力容器22内の蒸気が原子炉格納容器21のドライウェル24内、好ましくはベント管27を通してサプレッションプール23内に放出され、原子炉内圧力を低下させる。
【0040】
原子炉内圧力の低下により、原子炉圧力容器22とサプレッションプール23との圧力差が解消され、所定の圧力差以下になると均圧注水弁54の開放により、サプレッションプール23のプール水を均圧炉心冷却系51を通して原子炉圧力容器22内に注水し、冷却することが可能となる。
【0041】
均圧炉心注水系51を用いてサプレッションプール23のプール水を原子炉圧力容器22内に注水が可能となるためには、ドローダウン後、サプレッションプール23のプール水位が原子炉圧力容器22の炉心28より上方、具体的には炉心28に装架される原子炉燃料の燃料有効長(TAF)以上であることが前提となる。
【0042】
また、工学的安全施設30のシビアアクシデント対策設備34には静的格納容器冷却系(PCCS)52が追設される。この静的格納容器冷却系52は、この冷却配管55が原子炉格納容器21のドライウェル24、例えばドライウェル24頂部から引き出され、途中にPCCS熱交換器56を備えてサプレッションプール23のプール水内に追設されて終端し、開放される。
【0043】
静的格納容器冷却系(PCCS)52は、シビアアクシデント時に常閉の弁57,57が開放され、原子炉圧力容器22内の蒸気を冷却配管55内に逃してやり、冷却配管55に案内される蒸気をPCCS熱交換器56にて冷却し、凝縮水としてサプレッションプール23へ移送しており、原子炉格納容器21内を冷却し、内部圧力を低下させるようになっている。
【0044】
図1に示された原子力発電設備20においては、原子炉廻りの工学的安全施設30を2つの安全区分I,IIに区画する一方、各安全区分I,IIに安全系システム35として低圧注水系36と自動減圧系37とを備えるだけでよく、高圧注水系(RCIC)を備える必要がない。このため、原子炉廻りの工学的安全施設30のシステム構成を、安全区分数の減少とともにより一層簡素化することができる。
【0045】
また、工学的安全施設30に高圧注水系(RCIC)を備えなくても、設計想定事象(DPA)時には、2つの安全区分I,IIのうちの一方の安全系システム35の作動で設計想定事象事故に対応できるように設計されている。また、シビアアクシデント時には、安全系システム35の低圧注水系36と自動減圧系37とともにシビアアクシデント対策設備34を利用することにより、異常事象を収束させることができ、安全性を確保することができる。
【0046】
原子力発電設備20に備えられる工学的安全施設30はシステム構成を簡素化し、単純化することができるので、安全系システム35の系統数を減少させ、構成機器数を大幅に減少させることができ、安全機能を維持した上で経済性の高い原子力発電設備20を提供できる。工学的安全施設30のシステム構成の簡素化により、構成機器数が減少し、安全系システム35の系統施設を簡単かつ容易に行なうことができ、信頼性やメンテナンス性の向上を図ることができる。
【0047】
また、原子力発電設備20に敷設される工学的安全施設30はシビアアクシデント対策設備34に駆動モータやポンプ等の動的機器の設置が不要となるので、シビアアクシデント対策設備34のメンテナンスフリー化が図れ、信頼性が向上する。
【0048】
さらに、工学的安全施設30のシビアアクシデント対策設備34は、シビアアクシデント(SA)時に利用されるが、設計想定事象(DBA)を対象とした事故時にも、安全系システム35、低圧注水系36や自動減圧系37とともに使用することが可能である。
【0049】
この原子力発電設備20の工学的安全施設30は、BWRプラントの全般に適用することが可能であるが、特に工学的安全施設30のプラント構成の簡素化から小型のBWRプラント、例えば20万kW/時〜50万kW/時程度のプラントへの適用に好適である。この工学的安全施設30は、BWRプラントとしての最終的安全機能を従来のBWRプラントと同等程度に維持できる一方、安全機能を充分に維持しても、設計想定事象設備である工学的安全施設30のシステム構成を簡素化し、経済性を向上させたものである。
【0050】
この原子力発電設備20は小型BWRプラントであっても、プラント設計段階からシビアアクシデント対策設備34を考慮し、システム構成の簡素化により適用可能な設計とし、設計想定事象事故時やシビアアクシデント時にも安全機能の維持が図れるようにしたものである。
【0051】
図1に示された原子力発電設備20は、高圧注水系(RCIC)および安全区分削減に伴う一系統分の安全系システム36の配管、弁、制御設備、補助設備の簡素化を図ることができ、スケールデメリットを解消し、発電プラントの小型化に際して経済性を向上させることができる。
【0052】
図2は本発明に係る原子力発電設備の第1実施形態における変形例を示すものである。
【0053】
この変形例に示された原子力発電設備20Aには、図1に示された原子力発電設備20に補給水系(MUW)として自己発電型原子炉隔離時冷却系(ARCIC)60、原子炉隔離時冷却系(RCIC)61を備えた構成を基本的に異にし、他の構成は減圧弁50の下流側を自動減圧系37の安全弁46下流側に接続した構成を除いて実質的に異ならないので、同じ構成には同一符号を付して説明を省略する。
【0054】
図2に示された原子力発電設備20Aは、原子炉廻りに設けられる工学的安全施設30に、原子炉隔離時の原子炉水位維持および過渡事象時や小口径配管破断時の原子炉水位維持のために、自己発電型原子炉隔離時冷却系(ARCIC)60または原子炉隔離時冷却系(RCIC)61を設けたものである。ARCIC60やRCIC61は非常用発電設備で駆動されるRCICポンプ62を備え、、原子炉隔離時、過渡事象時あるいは配管破断時に原子炉水位を維持するために、サプレッションプール23のプール水を原子炉圧力容器22内に注入し、原子炉圧力容器22内の水位維持や炉心冷却を図っている。RCIC61は非常用発電設備としてDCバッテリによりRCICポンプ62が作動可能に構成される。RCICポンプ62は原子炉隔離時冷却系(RCIC)61の補助設備を構成している。
【0055】
原子炉隔離時に原子炉水位を維持するARCIC60やRCIC61は、安全区分I,IIの少なくとも一方に配置される。この場合、ARCIC60やRCIC61は高圧注水系を構成し、原子炉隔離時等にサプレッションプール23内のプール水を原子炉圧力容器22内に強制的に注入し、原子炉圧力容器22内の炉水位維持と炉心冷却を積極的に行なうようになっている。
【0056】
この原子力発電設備20Aの作用は図1に示された原子力発電設備20と異ならないので、説明を省略する。
【0057】
図3は、本発明に係る原子力発電設備の安全区分に備えられる非常用電源設備のシステム構成例を示すものである。
【0058】
本発明に係る原子力発電設備20,20Aは、図1および図2に示すように、原子炉廻りに2つの安全区分I,IIに区分されており、図3は各安全区分I,IIに備えられる工学的安全施設30の非常用電源設備39の組合せ例を示している。
【0059】
原子力発電設備20Aの工学的安全施設30に備えられる非常用電源設備39は、安全区分IおよびIIに非常用ディーゼル発電設備(DG)同士、非常用ガスタービン発電設備(GTG)同士あるいは非常用ディーゼル発電設備(DG)と非常用ガスタービン発電設備(GTG)を組み合せた4つの態様のシステム構成例を示している。
【0060】
このうち、安全区分IおよびIIに備えられる非常用電源設備39として非常用ディーゼル発電設備(DG)と非常用ガスタービン発電設備(GTG)を組み合せたシステム構成例を採用すると、故障形態の分散化を図ることができ、故障発生要因を分散化できるので、同種の非常用電源設備を用いた例より、非常用電源設備39ひいては安全系システム35の信頼性を確保し、向上させることができる。
【0061】
(第2の実施形態)
図4は、本発明に係る原子力発電設備の第2実施形態を示すものである。
【0062】
この実施形態に示された原子力発電設備20Bは、各安全区分I,IIに配設される安全系システム35の低圧注水系36をRHR熱交換器41下流側から分岐させ、分岐された一方の配管65aを、給水スパージャに接続する原子炉復水・給水系33の給水配管66に、他方の配管65bを低圧注水配管67にそれぞれ接続するとともに、低圧注水系36の分岐後配管65a,65bに注入隔離弁68,68を備えたものである。給水配管66および低圧注水配管67は原子炉圧力容器22への戻り水ラインを構成している。
【0063】
注入隔離弁68,68は、注水先の配管破断を検出する破断検出器69,69により自動的に開閉制御される。破断検出器69,69は給水配管66や低圧注水配管67にそれぞれ接続される一方、他の安全区分II(またはI)の給水配管や低圧注水配管に接続されて、両安全区分I,II間の差圧確認を行なっており、この破断検出器69,69による差圧確認等により注入隔離弁68,68を自動開閉するようになっている。
【0064】
この原子力発電設備20Bでは、設計想定事象(DBA)において、原子炉復水・給水系33の給水配管66または低圧注水配管67の配管破断を仮定した場合、低圧注水系36ひいては残留熱除去系44の注水先を2箇所に分岐させることで、配管破断時に健全側配管からの原子炉圧力容器22内に充分な注水量の注水を可能とし、低圧注水系36の信頼性を一層向上させたものである。
【0065】
原子炉発電設備20Bにおける工学的安全施設30の低圧注水系36は、低圧注水系36の注水先を2箇所に分岐させることで、設計想定事象(DBA)における同一安全区分IまたはII内の配管破断によっても、炉心冷却系が冷却材の喪失を未然にかつ確実に防止できる。この低圧注水系36は両安全区分I,II間の対応する配管間の差圧等を破断検出器69,69で検出することにより、配管破断の有無を事前に検出でき、配管破断側の注入隔離弁68を自動的に閉じることで、同一安全区分内の健全側配管(給水配管66あるいは低圧注水配管67)で注水流量を確保することができる。
【0066】
この工学的安全施設30は、設計想定事象(DBA)における配管破断発生時に、他の安全区分の非常用電源設備の故障を仮定しても、低圧注水系36の1つの注水ラインにて必要量の低圧注水流量を確保することができるシステム設計となっている。低圧注水系36の健全側注水ラインからの注水により、原子炉圧力容器22内の炉水位が回復した後は、低圧注水系36から分岐されるPCVスプレイ系45の隔離弁70を開放させて原子炉格納容器21内にRHR熱交換器41で冷却された冷却水をスプレイさせることで、原子炉格納容器21内の減圧・冷却を並行して行なうことができる。
【0067】
図5は、本発明に係る原子力発電設備の第2実施形態における変形例を示すものである。
【0068】
この変形例に示された原子力発電設備20Cは、RHR熱交換器41の下流側から分岐される低圧注水系36ひいては残留熱除去系44の接続先を図4に示した原子力発電設備20Bとは異にしたものであり、それ以外の構成および作用は、原子力発電設備20Bと異ならないので、同一符号を付して説明を省略する。
【0069】
図5に示された原子力発電設備20Cは、原子炉復水・給水系33の給水配管66を分岐させ、各分岐給水配管66a,66bを原子炉圧力容器22内の給水スパージャ(図示せず)に接続する一方、低圧給水系36をRHR熱交換器41下流側で分岐させ、分岐された一方の配管65aを分岐給水配管66a,66bの一方66a,66bに、他方の配管65bを分岐給水配管66a,66bの他方にそれぞれ接続したものである。原子炉復水・給水系33の各分岐給水配管66a,66bは原子炉圧力容器22への戻り水ラインを構成している。
【0070】
低圧給水系36の分岐配管65a,65bには注水隔離弁68,68が設けられ、この注水隔離弁68,68を両安全区分I,II間の差圧確認等を行なう破断検出器69,69により自動開閉制御する構成は、図4に示された低圧注水系と同様である。
【0071】
この場合にも、設計想定事象(DBA)において、万一配管破断が生じても、健全側配管から冷却水を原子炉圧力容器22内に注入可能とすることができ、低圧注水系36の信頼性が維持できる。
【0072】
(第3の実施形態)
図6は、本発明に係る原子力発電設備の第3実施形態を示す概略的なシステム構成図である。
【0073】
第3実施形態に示された原子力発電設備20Dは、原子炉廻りの2つの安全区分I,IIに設けられる工学的安全施設30の低圧注水系36に、PCVスプレイ系の設置を不要とし、このPCVスプレイ系をシビアアクシデント対策設備34の減圧弁50で代用させたものである。他の構成および作用は図1に示された原子力発電設備20と異ならないので、同一符号を付して説明を省略する。
【0074】
図6に示された原子力発電設備20Dは、低圧注水系36ひいては残留熱除去系44にPCVスプレイ系を設けることなく、低圧注水系36のPCVスプレイ機能を削除し、シビアアクシデント対策設備34の減圧弁50で代用したものである。
【0075】
減圧弁50を開放して原子炉圧力容器22への注入水を原子炉圧力容器22から排水させることで、従来のPCVスプレイ機能と同等に、原子炉格納容器21内の蒸気凝縮による原子炉格納容器21内の圧力、温度を低減可能としたものである。
【0076】
図6に示された原子力発電設備20Cは、PCVスプレイ系を削除する一方、減圧弁50を開放させることで、原子炉圧力容器22への注入水を原子炉圧力容器22から排水させ、原子炉格納容器21内の蒸気を凝縮させ、原子炉格納容器21内の減圧冷却を可能としたものである。
【0077】
(第4の実施形態)
図7は、本発明に係る原子力発電設備の第4実施形態を示す概略的にシステム構成図である。
【0078】
この実施形態に示された原子力発電設備20Eは、原子炉格納容器21内をサプレッションプール23とドライウェル24に仕切る仕切壁25に連通口としてドローダウン口73を開口させ、このブローダウン口73により、ドローダウン水リターンラインを構成したものである。ドローダウン口73の開口位置は炉心28上端より上方に位置される。他の構成および作用は、図1に示された原子力発電設備20と実質的に異ならないので同一符号を付して説明を省略する。
【0079】
図7に示された原子力発電設備20Eは、原子炉圧力容器21への注入水を減圧弁50の開放により排水され、この排水の実施により、原子炉格納容器21内の水位が上昇し、サプレッションプール23に連通するドローダウン水リターンラインとなったとき、例えばドローダウン口73位置まで達すると、低圧注水系36の運転条件が成立する。この低圧注水系36の運転条件が成立することで、均圧炉心冷却系51の均圧注水弁54を開放させる一方、低圧注水系36のLPFL(低圧炉心給水系)38の弁を閉じてPCVスプレイ系45の隔離弁70を開放させる。これにより、低圧注水系36のLPFL機能がPCVスプレイ機能に切り換えられる。
【0080】
この原子力発電設備20Eにおいては、原子炉格納容器21内の水位が確保された後、均圧炉心冷却系(EQCS)51により原子炉圧力容器22内に注水する一方、原子炉圧力容器22に注水していた低圧注水系36のLPFL機能(LPCL機能)をPCVスプレイ機能に切り換えて原子炉格納容器21内を冷却し、減圧させるようにしている。
【0081】
このため、原子炉格納容器21内の水位が確保された後、原子炉圧力容器22内への注水は低圧注水系36のLPFL38に代って均圧炉心冷却系51により行なわれ、低圧注水系36のLPFL機能(LPCL機能)に代ってPCVスプレイ系45によるPCVスプレイ機能により、原子炉格納容器21内を減圧冷却させることができる。
【0082】
(第5の実施形態)
図8は本発明に係る原子力発電設備の第5実施形態を示すものである。
【0083】
この実施形態に示された原子力発電設備20Fは、原子炉廻りの工学的安全施設30にドローダウン水リターンラインを構成するドローダウン口73を設けるとともに、ドライウェル均圧炉心冷却系75を追設した構成が、第1実施形態に示された原子力発電設備20と基本的に相違する。他の構成および作用は第1実施形態の原子力発電設備20と実質的に異ならないので、同一符号を付して説明を省略する。
【0084】
図8に示された原子力発電設備20Fにおいて、原子炉格納容器21内をドライウェル24とサプレッションプール23に仕切る仕切壁にドローダウン水リターンラインを構成するドローダウン口73を連通口として設けた構成は、図7に示した原子力発電設備20Eと同様である。
【0085】
図8に示された原子力発電設備20Fは、原子炉圧力容器22に均圧炉心冷却系(EQCS)に代えてあるいは均圧炉心冷却系(EQCS)とともにドライウェル均圧炉心冷却系(DWEQCS)75を備える。このドライウェル均圧炉心冷却系75はその配管の途中にドライウェル隔離弁76が設けられる。
【0086】
ドライウェル均圧炉心冷却系75のドライウェル隔離弁76は(原子炉格納容器21内水位)>(原子炉圧力容器22内燃料の有効長上端(TAF)水位)の条件が成立した場合に開放される。ドライウェル均圧炉心冷却系75のドライウェル隔離弁76の開放により、ドライウェル76内の冷却水が原子炉圧力容器22内に注入され、炉内水位が維持される。
【0087】
また、このときには、低圧注水系36からの原子炉圧力容器22内への冷却水の注入が停止され、代りに低圧注水系36からの冷却水はPCVスプレイ系45により原子炉格納容器21内にスプレイされて原子炉格納容器21内の蒸気が冷却凝縮され、原子炉格納容器21内が減圧される。
【0088】
図8に示された原子力発電設備20Fの工学的安全施設30においては、図1および図2に示された工学的安全施設30と同様に、減圧弁50が開放されて原子炉圧力容器22への注入水が原子炉圧力容器22からドライウェル24に放出されると、ドライウェル24内の水位が上昇していく。
【0089】
ドライウェル24内の水位が上昇していき、(原子炉格納容器21内の水位)>(原子炉圧力容器内の燃料有効長上端(TAF)水位)の条件が成立した場合に、ドライウェル均圧炉心冷却系(DWEQCS)75の隔離弁76が開放され、ドライウェル24内の冷却水が原子炉圧力容器22内に注入される。この冷却水の注入により低圧注水系36を通る冷却水はLPFL機能からPCVスプレイ機能に切り換えられ、原子炉格納容器21内を冷却し、減圧させている。
【0090】
この原子力発電設備20Fの工学的安全施設30では、減圧注水系36からの注水により原子炉圧力容器22内水位が確保された後に、低圧弁50の開放により原子炉圧力容器22内に注入された注入水が排出される。原子炉圧力容器22からの排水により原子炉格納容器21内が所要の水位まで上昇すると、ドライウェル均圧炉心冷却系(DWEQCS)75が作動して原子炉格納容器21と原子炉圧力容器22内の水位をほぼ均一化させることができる。この水位均一化により、低圧注水系36のLPFL機能がPCVスプレイ機能に切り換えられる。PCVスプレイ機能により原子炉圧力容器22および原子炉格納容器21を同時に冷却させることが可能となり、原子炉格納容器21内の蒸気が冷却凝縮され、減圧され、異常事象が収束方向に納まるようになっている。
【0091】
図9は本発明に係る原子力発電設備の第5実施形態における変形例を示す概略的なシステム構成図である。
【0092】
この変形例に示された原子力発電設備20Gは、工学的安全施設30の低圧注水系36の冷却水源としてサプレッションプール23だけでなく、原子炉格納容器21のドライウェル24側も冷却水源としたものである。他の構成および作用は図8に示された原子力発電設備20Fと異ならないので同じ構成には同一符号を付して説明を省略する。
【0093】
この原子力発電設備20Gは、低圧注水系36の冷却水源をサプレッションプール23と原子炉格納容器21内のドライウェル24側との双方とし、いずれかの冷却水源を切換弁78,78の開閉により選択的に使用できるようにしたものである。
【0094】
原子炉格納容器21のドライウェル24側からの冷却水源はPCVスプレイ系45の作動に伴って使用される。PCVスプレイ系45の作動時にはサプレッションプール23から原子炉格納容器21側に切り換えることで、ドライウェル24側の冷却水源が用いられる。この場合、除熱ループを原子炉格納容器21内での循環のみで構成される。
【0095】
図9に示された原子力発電設備20Gの工学的安全施設30においては、低圧注水系36からのサプレッションプール水を原子炉圧力容器22内に注入し、原子炉圧力容器22内の水位が確保された後に原子炉格納容器21と原子炉圧力容器22の水位を均一化し、原子炉圧力容器22に注水していた低圧注水系36のLPFL機能をPCVスプレイ系45のPCVスプレイ機能に切り換え、原子炉圧力容器22および原子炉格納容器21を同時に冷却することができるようにしたものである。
【0096】
(第6の実施形態)
図10は本発明に係る原子力発電設備の第6実施形態を示す概略的なシステム構成図である。
【0097】
この実施形態に示された原子力発電設備20Hは、工学的安全施設30に備えられる減圧弁50の下流側をベント管27内に挿入し、原子炉圧力容器22への注入水の排水をベント管27を介してサプレッションプール23内に行なうようにしたものである。他の構成および作用は図1に示された原子力発電設備と実質的に異ならないので同じ構成には同一符号を付して説明を省略する。
【0098】
図10に示された原子力発電設備20Hは、減圧弁50からの原子炉圧力容器22内の排水をベント管27を通してサプレッションプール23内に行なうシステム構成が採用されている。
【0099】
原子炉圧力容器22からの排水を減圧弁50からベント管27に案内することで、原子炉圧力容器22からの高温水をドライウェル24内に放出せず、サプレッションプール23内に排出している。
【0100】
その際、原子炉圧力容器22には低圧注水系36のRHR熱交換器41で冷却した冷却水を注水している。このため、原子炉圧力容器22からの高温水をサプレッションプール23に排出し、サプレッションプール23から低圧注水系36のRHR熱交換器41で冷却した水を再び原子炉圧力容器22内に注水することが可能となり、原子炉圧力容器22内を冷却させることができる。
【0101】
(第7の実施形態)
図11は、本発明に係る原子力発電設備の第7実施形態を示す概略的なシステム構成図である。
【0102】
この実施形態に示された原子力発電設備20Iは工学的安全施設30にアイソレーションコンデンサ設備80を追設したものである。他の構成および作用は図1あるいは図2に示された原子力発電設備20,20Aと異ならないので同じ構成には同一符号を付して説明を省略する。
【0103】
アイソレーションコンデンサ設備80は原子炉圧力容器22から連絡配管81を取り出し、取り出された連絡配管81の途中にアイソレーションコンデンサ(IC)82を設け、このIC82の下流側を原子炉圧力容器22への戻り水ラインである給水配管66に接続したものである。他の構成および作用は図1あるいは図2に示された原子力発電設備20,20Aと異ならないので、同じ構成には同一符号を付して説明を省略する。
【0104】
この原子力発電設備20Iの工学的安全施設30においては、原子炉復水・給水系33の給水配管66と原子炉圧力容器22とを接続するアイソレーションコンデンサ設備80を設けたので、シビアアクシデント(過酷事故:SA)のみならず、設計想定事象(DBA)においても、アイソレーションコンデンサ(IC)82にて原子炉内蒸気を積極的に冷却し、冷却された水を原子炉圧力容器22内に注入させることができる。このため、原子炉圧力容器22内の温度・圧力上昇を抑制することが可能となり、安全系システム35の信頼性を向上させることができる。
【0105】
(第8の実施形態)
図12は本発明に係る原子力発電設備の第8実施形態を示す概略的なシステム構成図である。
【0106】
この実施形態に示された原子力発電設備20Jは工学的安全施設30に備えられるシビアアクシデント対策設備34を改良したものであり、他の構成および作用は、図1または図5に示された原子力発電設備20Cと実質的に異ならないので、同じ構成には同一符号を付して説明を省略する。
【0107】
図12に示された原子力発電設備20Jは、特に、シビアアクシデント対策設備34の静的格納容器冷却系52を改良したものである。この静的格納容器冷却系(PCCS)52は原子炉格納容器21内をサプレッションプール23に連絡する冷却配管55にPCCS熱交換器56が設けられるが、この熱交換器56を燃料プール冷却浄化系(FPC)85のFPC熱交換器と共用させ、共通化、簡素化を図ったものである。
【0108】
静的格納容器冷却系52と燃料プール冷却浄化系85の熱交換器を共用させ、共通化させることにより、設置スペースの大きな熱交換器56の設置台数を節約することができる。
【0109】
静的格納容器冷却系(PCCS)52と燃料プール冷却浄化系(FPC)85の熱交換器56を共用化させることで、設備減圧効果が期待でき、システム構成の簡素化を図ることができる。
【0110】
(第9の実施形態)
図13は本発明に係る原子力発電設備の第9実施形態を示す概略的なシステム構成図である。
【0111】
この実施形態に示された原子力発電設備20Kは原子炉廻りに敷設される工学的安全施設30のシビアアクシデント対策設備34を改良したものである。他の構成および作用は図1および図5に示された原子力発電設備20,20Cと実質的に異ならないので、同じ構成には同一符号を付して説明を省略する。
【0112】
図13に示された工学的安全施設30のシビアアクシデント対策設備34は、図12に示された静的格納容器冷却系(PCCS)52と燃料プール冷却浄化系85の共用熱交換器56を原子炉補機冷却系(RCW)87のサージタンク88内に共用して設置したシステム構成を用いたものである。
【0113】
この原子力発電設備20Kにおいては、静的格納容器冷却系(PCCS)52と燃料プール冷却浄化系(FPC)85で共用する熱交換器56を原子炉補機冷却系(RCW)87のサージタンク88内に設置することで、熱交換器胴体をサージタンク88内に納めて削除可能となり、設備低減効果が期待でき、経済性の向上につながる。
【0114】
すなわち、熱交換器胴体を構成する熱交換器56の細管(熱交換管)をサージタンク88内に直接設置することで、熱交換器本体をサージタンク88内に格納することができ、熱交換器本体の外部露出を確実に防止でき、設備低減効果が期待できる。
【0115】
(第10の実施形態)
図14は本発明に係る原子力発電設備の第10実施形態を概略的に示すシステム構成図である。
【0116】
この実施形態に示された原子力発電設備21Lは、工学的安全施設30の残留熱除去系44の熱交換器41を利用してアイソレーションコンデンサ設備90を追設したものである。他の構成および作用は図1もしくは図5に示された原子力発電設備20,20Cと基本的に異ならないので、同じ構成には同一符号を付して説明を省略する。
【0117】
図14に示されたアイソレーションコンデンサ設備90は原子炉復水・給水系33の給水配管66または分岐給水配管66aと原子炉圧力容器22内とが冷却配管91で接続される一方、この冷却配管91の途中にアイソレーションコンデンサ(IC)が設けられる。このアイソレーションコンデンサ(IC)を残留熱除去系44の熱交換器41と共用させたものである。
【0118】
アイソレーションコンデンサ(IC)設備90と残留熱除去系(RHR)の熱交換器44を共用させ、共通化を図ることで、設備低減効果が期待でき、経済性を向上させることができる。
【0119】
(第11実施形態)
図15は、本発明に係る原子力発電設備の第11実施形態を概略的に示すシステム構成図である。
【0120】
この実施形態に示された原子力発電設備20Mは、図14に示された原子力発電設備20Lに、サプレッションプール浄化系(SPCU)93を追設したものである。他の構成および作用は、図14に示された原子力発電設備20Lと異ならないので、同じ構成には同一符号を付して説明を省略する。
【0121】
サプレッションプール浄化系93は工学的安全施設30にシビアアクシデント(SA)対策設備34として備えられる。サプレッションプール浄化系93はサプレッションプール23から引き出された浄化系注水ライン94を原子炉圧力容器22に戻す原子炉復水・給水系33に接続したものである。
【0122】
具体的には、サプレッションプール浄化系93の浄化系ライン94を原子炉復水・給水系33の分岐給水配管66bあるいは給水配管66に接続し、サプレッションプール23内の清浄なプール水を原子炉復水・給水系33に導いて原子炉内に注水させるようになっている。
【0123】
図15に示された原子力発電設備20Mにおいては、工学的安全施設30にサプレッションプール浄化系93を追設し、浄化注水系ライン94に備えられる注水ポンプ95を専用の電源設備96でポンプ駆動させるようにした独立した原子炉注水系を有する構成としたものである。
【0124】
この原子力発電設備20Mは、工学的安全施設30に独立駆動の原子炉注水系を構成するサプレッションプール浄化系(SPCU)93を設け、サプレッションプール浄化系93の浄化注水系ライン94を原子炉圧力容器22への給水ラインに接続し、サプレッションプール浄化系(SPCU)93の注水ポンプ95駆動用の専用電源設備27を有することで、独立した原子炉注水設備を追設でき、シビアアクシデント(SA)対策設備30としてのみならず設計想定事象(DBA)設備としても機能するので、さらなる安全性向上を図ることができる。
【0125】
なお、サプレッションプール浄化系93は、浄化系注水ライン94を原子炉へ冷却水を戻すラインに接続すればよく、原子炉給水ラインへの接続が必須ではない。このサプレッションプール浄化系93は、専用の電源設備96を備えることで、独立した原子炉注水系を構成でき、シビアアクシデント対策設備や設計想定事象(DBA)設備としても優れた安全機能を備えるので、安全性向上を図ることができる。
【0126】
図16は本発明に係る原子力発電設備の第11実施形態の変形例を概略的に示すシステム構成図である。
【0127】
この変形例に示された原子力発電設備20Nは、工学的安全施設30に追設されるサプレッションプール浄化系93を改良したものであり、他の構成および作用は図15に示された原子力発電設備20Mと異ならないので、同じ構成は同一符号を付して説明を省略する。
【0128】
工学的安全施設30にシビアアクシデント対策設備34として追設されるサプレッションプール浄化系93は注水ポンプ97を直動式ポンプとして付属設備に給電可能な独立原子炉注水系を構成したものである。
【0129】
このサプレッションプール浄化系93においても、独立した原子炉注水系とすることで、シビアアクシデント対策設備や設計想定事象(DBA)設備としても優れた安全機能を備えている。
【0130】
【発明の効果】
本発明に係る原子力発電設備は、原子炉廻りの安全区分を2区分として工学的安全施設のシステム構成を簡素化し、プラント安全性および信頼性を損なうことなく、レイアウト構成を簡単かつ単純化し、経済性を向上させることができる。
【0131】
また、原子力発電設備は、工学的安全施設の安全区分を2区分とし、各安全区分に高圧注水系を不要としてシステム構成を簡素化でき、小型の原子力発電プラントに適した発電設備を提供できる。
【0132】
さらに、この原子力発電設備は、システム構成を簡素化させたり、構成機器の共通化により系統数や構成機器数を減少させ、経済性や保守・メンテナンス性を向上させることができる。
【0133】
さらにまた、原子力発電設備は、各安全区分毎に形態の異なる非常用発電機を配設して故障形態に幅を持たせ、各非常用発電機のトラブルが同時に生じない構成とし、信頼性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る原子力発電設備の第1実施形態を概略的に示すシステム構成図。
【図2】本発明に係る原子力発電設備の第1実施形態の変形例を概略的に示すシステム構成図。
【図3】本発明に係る原子力発電設備の各安全区分に設置される非常用発電設備の組合せ例を示す図。
【図4】本発明に係る原子力発電設備の第2実施形態を概略的に示すシステム構成図。
【図5】本発明に係る原子力発電設備の第2実施形態の変形例を概略的に示すシステム構成図。
【図6】本発明に係る原子力発電設備の第3実施形態を概略的に示すシステム構成図。
【図7】本発明に係る原子力発電設備の第4実施形態を概略的に示すシステム構成図。
【図8】本発明に係る原子力発電設備の第5実施形態を概略的に示すシステム構成図。
【図9】本発明に係る原子力発電設備の第6実施形態を概略的に示すシステム構成図。
【図10】本発明に係る原子力発電設備の第7実施形態を概略的に示すシステム構成図。
【図11】本発明に係る原子力発電設備の第8実施形態を概略的に示すシステム構成図。
【図12】本発明に係る原子力発電設備の第9実施形態を概略的に示すシステム構成図。
【図13】本発明に係る原子力発電設備の第10実施形態を概略的に示すシステム構成図。
【図14】本発明に係る原子力発電設備の第11実施形態を概略的に示すシステム構成図。
【図15】本発明に係る原子力発電設備の第12実施形態を概略的に示すシステム構成図。
【図16】本発明に係る原子力発電設備の第12実施形態の変形例を概略的に示すシステム構成図。
【図17】従来のBWRおよびABWRプラントを概略的に示すシステム構成図。
【符号の説明】
20,20A,20B…原子力発電設備、21…原子炉格納容器、22…原子炉圧力容器、23…サプレッションプール、24…ドライウェル、25…仕切壁、27…ベント管、28…炉心、29…冷却材、30…工学的安全施設、32…主蒸気系、33…原子炉復水・給水系、34…シビアアクシデント対策設備(過酷事故対策設備)、35…安全系システム、36…低圧注水系、37…自動減圧系(ADS)、38…低圧給水系(LPFL)あるいは低圧炉心スプレイ系(LPCS)、39…非常用発電設備、40…低圧注水ポンプ、41…RHR熱交換器、44…残留熱除去系、45…原子炉格納容器(PCV)スプレイ系、46…安全弁、50…減圧弁、51…均圧炉心冷却系、52…静的格納容器冷却系(PCCS)、53…均圧注水配管、54…均圧注水弁、55…PCCS冷却配管、56…PCCS熱交換器、57…弁、60…自己発電型原子炉隔離時冷却系(ARCIC)、61…原子炉隔離時冷却系(RCIC)、62…RCICポンプ、65a,65b…分岐配管、66…給水配管、67…低圧注水配管、68…注入隔離弁、69…破断検出器、70…隔離弁、73…ドローダウン口(ドローダウン水リターンライン)、75…ドライウェル均圧炉心冷却系、76…ドライウェル隔離弁、80…アイソレーションコンデンサ設備、81…連絡配管、82…アイソレーションコンデンサ(IC)、85…燃料プール冷却浄化系(EPC)、87…原子炉補機冷却系(RCW)、88…サージタンク、90…アイソレーションコンデンサ設備、91…冷却管、93…サプレッションプール浄化系、94…浄化注水系ライン、95…注水ポンプ、96…電源設備、97…注水ポンプ。
【発明の属する技術分野】
本発明は、工学的安全施設を備えた原子力発電設備に係り、特に原子炉廻りに安全系システムとシビアアクシデント対策設備を備えた原子力発電設備に関する。
【0002】
【従来の技術】
原子力発電設備の安全性確保の基本は、その寿命中を通じて一般公衆および運転従事者の健康と安全を損なうことなく運転、停止、点検などが実施できるように設計、製造、建設および運転において万全を期すことである。
【0003】
このため、原子力発電設備には、通常運転時のみならず、万一の事故時でも放射性物質を環境に拡散して公衆に被害を与えることがないように多重の工学的安全施設が備えられる。
【0004】
従来の改良型沸騰水型原子炉(以下、ABWRという。)の工学的安全施設1は、図17に概略的に示すシステム構成を備える。この原子力発電設備の工学的安全施設1は、原子炉2廻りを独立した3つの安全区分I,II,IIIに分けるとともにシビアアクシデント対策設備3を備え、万一の事故発生時にも自動的に事故を検知して作動し、異常事象を収束させる構成となっており、信頼性を向上させている。
【0005】
各安全区分I,II,IIIには、高圧注水系4、低圧注水系5、自動減圧系(ADS)6および非常用ディーゼル発電設備7がそれぞれ備えられ、各安全区分I,II,III毎に独立して作動できるように多重性、独立性を有する設計となっている。このうち、高圧注水系4は高圧炉心注水系(HPCF)9を備える一方、低圧注水系5は、原子炉圧力容器内への低圧炉心注水系(LPFL)10、残留熱除去系(RHR)11および原子炉格納容器(PCV)スプレイ系を有する。
【0006】
また、シビアアクシデント対策設備3は図示しない復水貯蔵タンク内の復水を原子炉圧力容器(RPV)2内に供給する補給水系(MUW)12および消火系(FP)13を備える。
【0007】
原子力発電設備は、設計、製作、据付および運転のあらゆる段階で適切な規格・基準を適用し、事故のポテンシャルを排除しているので、原子炉一次系配管が破断するような重大事象発生の確率は極めて小さく、高圧注水系や低圧注水系の配管破断等の設計想定事象が発生することは殆どない。
【0008】
しかし、万一、原子力発電設備において、設計想定事象(DBA)および炉心溶融事故等のシビアアクシデントが生じた場合、高圧注水系4、低圧注水系5および自動減圧系6等の安全系システムを連係作動させて原子炉圧力容器2に注水して炉心14を冷却した状態で原子炉格納容器15に冷却水を循環させながら除熱することで、異常事象を収束させる構成としている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
従来のABWRの工学的安全施設1においては、原子炉廻りを3つの安全区分I,II,IIIに分ける一方、各安全区分I,II,IIIにそれぞれ高圧注水系4と低圧注水系5と自動減圧系6等を備え、かつシビアアクシデント対策設備3に常用の補給水系12および消火系(FP)13を備える構成となっている。
【0010】
原子炉廻りの工学的安全施設1は、3つの安全区分I,II,IIIをそれぞれ独立して備え、さらに安全区分に配設される各系統が安全区分I,II,III毎に独立性・多重性を有する設計となっている。このため、工学的安全施設1の全体系統数が多く、必然的に構成機器数も多くなって複雑化し、原子炉廻りの配管施設や構成機器の設置に時間と労力を要する一方、工学的安全施設1の保守・管理も複雑となり、メンテナンス性が劣る等の問題があった。
【0011】
また、原子力発電プラントの小型化の要請も存在するが、工学的安全施設が複雑なシステム構成のために、プラント小型化がネットとなっており、スケールデメリットが大きく、経済性を損ねる問題があった。
【0012】
さらに、工学的安全施設1の各安全区分I,II,IIIに配設される非常用発電設備7は一種類のディーゼル発電設備で形態を同じく構成されるために、所要の条件下で同じようなトラブルが発生し易い問題があった。
【0013】
本発明は、上述した事情を考慮してなされたもので、原子炉廻りの工学的安全施設のシステム構成を、プラント安全性および信頼性を損なうことなく、簡素化し、経済性を向上させた原子力発電設備を提供することを目的とする。
【0014】
本発明の他の目的は、工学的安全施設の安全区分を2区分とする一方、各安全区分に高圧注水系を不要としてシステム構成を簡素化し、小型の原子力発電プラントに適した経済的な原子力発電設備を提供するにある。
【0015】
本発明の別の目的は、工学的安全施設の安全区分に備えられる系統数・構成機器を減少させてシステム構成を簡素化するとともに、構成機器の共通化を図って構成機器数を減少させ、経済性やメンテナンス性を向上させた工学的安全施設を備えた原子力発電設備を提供することにある。
【0016】
本発明のさらに別の目的は、工学的安全施設の各安全区分にそれぞれ配設される非常用発電機の形態を安全区分毎に異にし、各非常用発電機のトラブルが同時に生じない構成とし、信頼性を向上させた原子力発電設備を提供するにある。
【0017】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る原子力発電設備は、上述した課題を解決するために、請求項1に記載したように、原子炉廻りを2つの安全区分に区分けするとともにシビアアクシデント対策設備を備えた工学的安全施設を設け、前記各安全区分に設計想定事象に対応する自動減圧系と低圧注水系、残留熱除去系を備えた安全系システムを配設し、前記シビアアクシデント対策設備は原子炉圧力を減圧可能な減圧弁と均圧炉心冷却系あるいはドライウェル均圧炉心冷却系と静的格納容器冷却系とを備えたものである。
【0018】
また、上述した課題を解決するために、本発明に係る原子力発電設備は、請求項2に記載したように、前記シビアアクシデント対策設備は、設計想定事象に対応する設計想定事象設備を兼ねる一方、前記各安全区分に配置される非常用電源設備に、非常用ディーゼル発電設備および非常用ガスタービン発電設備が選択的に用いられたものであり、さらに、請求項3に記載したように、前記低圧注水系は注入側配管を分岐させて複数の原子炉戻り配管にそれぞれ接続されるとともに、注入側配管の分岐側に配管破断を検出して破断側配管を自動閉塞させる注入隔離弁をそれぞれ設け、健全側配管で原子炉圧力容器への注水流量を確保可能に構成したものである。
【0019】
さらに、上述した課題を解決するために、本発明に係る原子力発電設備は、請求項4に記載したように、前記減圧弁は、原子炉内水位高のとき、原子炉圧力容器への注入水を原子炉圧力容器外へ排水して原子炉格納容器内蒸気を凝縮させるように開放させ、原子炉格納容器内の圧力および温度を低減させるように構成したものである。
【0020】
一方、上述した課題を解決するために、本発明に係る原子力発電設備は、請求項5に記載したように、前記低圧注水系に原子炉格納容器スプレイ系を設ける一方、原子炉格納容器内にはドライウェルとサプレッションプールを仕切る仕切壁が設けられ、この仕切壁に連通口を設けてドローダウン水リターンラインを構成し、原子炉格納容器内水位がサプレッションプールに連通するドローダウン水リターンライン水位となったとき、均圧炉心冷却系を開放し、低圧注水系をLPFL機能からPCVスプレイ機能に切り換えるように構成したものであり、また、請求項6に記載したように、前記低圧注水系は原子炉格納容器スプレイ系を設ける一方、前記ドライウェル均圧炉心冷却系は、原子炉格納容器内水位が原子炉圧力容器内の燃料有効長上端水位を上廻ったとき開放され、低圧注水系のLPFL機能をPCVスプレイ機能に切り換えるように構成したものである。
【0021】
他方、上述した課題を解決するために、本発明に係る原子力発電設備は、請求項7に記載したように、前記減圧弁の下流側を、ドライウェルとサプレッションプールとを連通するベント管内に延設し、原子炉圧力容器からの排水をベント管を通してサプレッションプール内に案内するようにしたものであり、また、請求項8に記載したように、前記工学的安全施設は、原子炉復水・給水系と原子炉圧力容器とを連絡するアイソレーションコンデンサ設備を備え、このアイソレーションコンデンサ設備で給水を冷却して原子炉圧力容器内に注入し、原子炉圧力容器内の温度および圧力上昇を抑制したものである。
【0022】
また、上述した課題を解決するために、本発明に係る原子力発電設備は、請求項9に記載したように、前記静的格納容器冷却系に備えられる熱交換器を燃料プール浄化系に備えられる熱交換器と共用させたものであり、さらに、請求項10に記載したように、前記静的格納容器冷却系と燃料プール浄化系に共用される熱交換器を原子炉補機冷却系のサージタンク内に設けたものである。
【0023】
さらに、上述した課題を解決するために、本発明に係る原子力発電設備は、請求項11に記載したように、前記残留熱除去系に備えられる熱交換器とアイソレーションコンデンサ設備に備えられる熱交換器とを共用させたものであり、また、請求項12に記載したように、前記シビアアクシデント対策設備はサプレッションプール浄化系を備え、このサプレッションプール浄化系は原子炉圧力容器への戻りラインに接続され、かつ専用の電源設備を備えて独立したものである。
【0024】
【発明の実施の形態】
本発明に係る原子力発電設備の実施の形態について添付図面を参照して説明する。
【0025】
(第1の実施形態)
図1は、本発明に係る原子力発電設備の第1実施形態を概略的に示すシステム構成図である。
【0026】
この原子力発電設備20は、原子炉格納容器21内に原子炉圧力容器22が格納される一方、原子炉格納容器21内はサプレッションプール23とドライウェル24とに仕切壁25により区画される。原子炉圧力容器22はドライウェル24内に配設される。ドライウェル24はベント管27を介してサプレッションプール23に連通している。
【0027】
原子炉圧力容器22内には炉心28が収容される。この炉心28は炉水である冷却材29で冠水されており、この炉心28の上面よりサプレッションプール23のプール水の水位が上方に位置するように設けられる。原子力発電設備20の原子炉廻りには工学的安全施設30が設けられる。図1には、工学的安全施設30の配管上の関係からサプレッションプール23は左右で非対称をとるように図示されているが、実際にはサプレッションプール23はその水位が左右で非対称となることは殆どない。サプレッションプール23は原子炉圧力容器22の周り、少なくとも原子炉圧力容器22の下部廻りに配置され、原子炉圧力容器22の下部がサプレッションプール23のプール水位より下方に位置される構成をとる。
【0028】
原子炉圧力容器22には炉心28で発生した蒸気が案内される主蒸気系32が設けられる。炉心28で発生した蒸気は気液分離され、乾燥された後、主蒸気系32の配管を通って図示しない蒸気タービンに導かれ、発電機を駆動させて仕事をする。蒸気タービンで仕事をした蒸気は復水器(図示せず)で冷却され、復水となった後、原子炉復水・給水系33を通って原子炉圧力容器22内に給水され、還流される。
【0029】
一方、原子力発電設備20の原子炉(原子炉圧力容器22)の廻りに設けられた工学的安全施設30は、通常運転時のみならず、万一の事故時でも放射性物質を環境に拡散することがないように、多重の安全性が配慮されている。
【0030】
原子力発電設備20では、原子炉廻りを2つの安全区分I,IIに区分けする一方、シビアアクシデント対策設備34が備えられる。各安全区分I,IIには、配管破断事故等の設計想定事象(DBA)に対応する安全系システム35が設けられ、この安全系システム35は低圧注水系36と自動減圧系37とから構成される。安全系システム35には多くの動的機器が設けられる。
【0031】
低圧注水系36は、原子炉格納容器21と原子炉圧力容器22との差圧が所定圧力以下、例えば数kg/cm2あるいは10数kg/cm2まで低下すると、冷却材を炉心28に注水する能力を有する。
【0032】
低圧注水系36は、サプレッションプール23のプール水を原子炉圧力容器22内あるいは炉心28内に注水させる低圧炉心注水系(LPFL)あるいは低圧炉心スプレイ系(LPCS)38と、原子炉圧力容器22内の崩壊熱を系外に除去する残留熱除去系(RHR)44と、RHR熱交換器41で冷却されたサプレッションプール水を原子炉格納容器21内に供給する原子炉格納容器(PCV)スプレイ系45とを有する。残留熱除去系44はサプレッションプール水を非常用発電設備39で駆動される低圧注水ポンプ40でポンプアップし、RHR熱交換器41で冷却した後、原子炉圧力容器22内に注水するようになっている。
【0033】
低圧注水系36は、原子炉停止時の崩壊熱の除去を目的とする残留熱除去系(RHR)44により、炉心水位が回復し、回復した炉水位の上昇で炉心冠水後には、残留熱除去系(RHR)44はPCVスプレイ系45による原子炉格納容器21内の冷却に切り換えられる。
【0034】
また、自動減圧系37は、低圧注水系36と連係して作動し、炉心を冷却する機能を有する。自動減圧系37は安全弁46を備え、原子炉事故時に、原子炉圧力容器22内の蒸気をサプレッションプール23に逃し、原子炉圧力容器22内の圧力を速やかに低下させている。この原子炉圧力低下により低圧注水系36からの注水が可能となり、炉心冷却を行なうことができるようになっている。
【0035】
さらに、原子力発電設備20の工学的安全施設30には、シビアアクシデント対策設備34として、常閉の減圧弁50、均圧炉心冷却系51および静的格納容器冷却系52が備えられる。減圧弁50および均圧炉心冷却系51に代えて従来のABWRで用いられている補給水系(MUW)および消火系(FP)を設けてもよい。シビアアクシデント対策設備34にはできるだけ動的機器を備えない構成となっている。
【0036】
シビアアクシデント対策設備34の減圧弁50は原子炉圧力容器22内の気相部を原子炉格納容器21のドライウェル24に連通可能に設けられており、原子炉の過酷事故(シビアアクシデント)時に減圧弁50が開き、原子炉内の蒸気をドライウェル24内に逃し、原子炉圧力容器22内の異常圧力を迅速かつ緊急に低下させるようになっている。
【0037】
また、均圧炉心冷却系51は、サプレッションプール23のプール水を原子炉圧力容器22内に注水ポンプ等の動的機器を使用することなく注水できるように、均圧注水配管53に注水弁54が開閉自在に設けられる。
【0038】
原子炉に配管破断事故等の設定想定事象(DBA)が発生した場合、原子力発電設備20に高圧注水系(RCIC)が設置されていないので、自動減圧系(ADS)37の安全弁46を開放して原子炉圧力容器22内の蒸気を主蒸気系32から自動減圧系37の配管を通してサプレッションプール23内に案内して原子炉圧力容器22内の炉内圧力を減圧させ、安全系システム35の低圧注水系36により原子炉圧力容器22への注水を実施する。
【0039】
しかし、低圧注水系36の設備が使用できないことを想定したシビアアクシデント(SA)時には、均圧炉心冷却系51を作動させるために、原子炉圧力容器22内の炉圧力を急速に減圧させる減圧弁(DVP)50を開放させる。この減圧弁50の開放により原子炉圧力容器22内の蒸気が原子炉格納容器21のドライウェル24内、好ましくはベント管27を通してサプレッションプール23内に放出され、原子炉内圧力を低下させる。
【0040】
原子炉内圧力の低下により、原子炉圧力容器22とサプレッションプール23との圧力差が解消され、所定の圧力差以下になると均圧注水弁54の開放により、サプレッションプール23のプール水を均圧炉心冷却系51を通して原子炉圧力容器22内に注水し、冷却することが可能となる。
【0041】
均圧炉心注水系51を用いてサプレッションプール23のプール水を原子炉圧力容器22内に注水が可能となるためには、ドローダウン後、サプレッションプール23のプール水位が原子炉圧力容器22の炉心28より上方、具体的には炉心28に装架される原子炉燃料の燃料有効長(TAF)以上であることが前提となる。
【0042】
また、工学的安全施設30のシビアアクシデント対策設備34には静的格納容器冷却系(PCCS)52が追設される。この静的格納容器冷却系52は、この冷却配管55が原子炉格納容器21のドライウェル24、例えばドライウェル24頂部から引き出され、途中にPCCS熱交換器56を備えてサプレッションプール23のプール水内に追設されて終端し、開放される。
【0043】
静的格納容器冷却系(PCCS)52は、シビアアクシデント時に常閉の弁57,57が開放され、原子炉圧力容器22内の蒸気を冷却配管55内に逃してやり、冷却配管55に案内される蒸気をPCCS熱交換器56にて冷却し、凝縮水としてサプレッションプール23へ移送しており、原子炉格納容器21内を冷却し、内部圧力を低下させるようになっている。
【0044】
図1に示された原子力発電設備20においては、原子炉廻りの工学的安全施設30を2つの安全区分I,IIに区画する一方、各安全区分I,IIに安全系システム35として低圧注水系36と自動減圧系37とを備えるだけでよく、高圧注水系(RCIC)を備える必要がない。このため、原子炉廻りの工学的安全施設30のシステム構成を、安全区分数の減少とともにより一層簡素化することができる。
【0045】
また、工学的安全施設30に高圧注水系(RCIC)を備えなくても、設計想定事象(DPA)時には、2つの安全区分I,IIのうちの一方の安全系システム35の作動で設計想定事象事故に対応できるように設計されている。また、シビアアクシデント時には、安全系システム35の低圧注水系36と自動減圧系37とともにシビアアクシデント対策設備34を利用することにより、異常事象を収束させることができ、安全性を確保することができる。
【0046】
原子力発電設備20に備えられる工学的安全施設30はシステム構成を簡素化し、単純化することができるので、安全系システム35の系統数を減少させ、構成機器数を大幅に減少させることができ、安全機能を維持した上で経済性の高い原子力発電設備20を提供できる。工学的安全施設30のシステム構成の簡素化により、構成機器数が減少し、安全系システム35の系統施設を簡単かつ容易に行なうことができ、信頼性やメンテナンス性の向上を図ることができる。
【0047】
また、原子力発電設備20に敷設される工学的安全施設30はシビアアクシデント対策設備34に駆動モータやポンプ等の動的機器の設置が不要となるので、シビアアクシデント対策設備34のメンテナンスフリー化が図れ、信頼性が向上する。
【0048】
さらに、工学的安全施設30のシビアアクシデント対策設備34は、シビアアクシデント(SA)時に利用されるが、設計想定事象(DBA)を対象とした事故時にも、安全系システム35、低圧注水系36や自動減圧系37とともに使用することが可能である。
【0049】
この原子力発電設備20の工学的安全施設30は、BWRプラントの全般に適用することが可能であるが、特に工学的安全施設30のプラント構成の簡素化から小型のBWRプラント、例えば20万kW/時〜50万kW/時程度のプラントへの適用に好適である。この工学的安全施設30は、BWRプラントとしての最終的安全機能を従来のBWRプラントと同等程度に維持できる一方、安全機能を充分に維持しても、設計想定事象設備である工学的安全施設30のシステム構成を簡素化し、経済性を向上させたものである。
【0050】
この原子力発電設備20は小型BWRプラントであっても、プラント設計段階からシビアアクシデント対策設備34を考慮し、システム構成の簡素化により適用可能な設計とし、設計想定事象事故時やシビアアクシデント時にも安全機能の維持が図れるようにしたものである。
【0051】
図1に示された原子力発電設備20は、高圧注水系(RCIC)および安全区分削減に伴う一系統分の安全系システム36の配管、弁、制御設備、補助設備の簡素化を図ることができ、スケールデメリットを解消し、発電プラントの小型化に際して経済性を向上させることができる。
【0052】
図2は本発明に係る原子力発電設備の第1実施形態における変形例を示すものである。
【0053】
この変形例に示された原子力発電設備20Aには、図1に示された原子力発電設備20に補給水系(MUW)として自己発電型原子炉隔離時冷却系(ARCIC)60、原子炉隔離時冷却系(RCIC)61を備えた構成を基本的に異にし、他の構成は減圧弁50の下流側を自動減圧系37の安全弁46下流側に接続した構成を除いて実質的に異ならないので、同じ構成には同一符号を付して説明を省略する。
【0054】
図2に示された原子力発電設備20Aは、原子炉廻りに設けられる工学的安全施設30に、原子炉隔離時の原子炉水位維持および過渡事象時や小口径配管破断時の原子炉水位維持のために、自己発電型原子炉隔離時冷却系(ARCIC)60または原子炉隔離時冷却系(RCIC)61を設けたものである。ARCIC60やRCIC61は非常用発電設備で駆動されるRCICポンプ62を備え、、原子炉隔離時、過渡事象時あるいは配管破断時に原子炉水位を維持するために、サプレッションプール23のプール水を原子炉圧力容器22内に注入し、原子炉圧力容器22内の水位維持や炉心冷却を図っている。RCIC61は非常用発電設備としてDCバッテリによりRCICポンプ62が作動可能に構成される。RCICポンプ62は原子炉隔離時冷却系(RCIC)61の補助設備を構成している。
【0055】
原子炉隔離時に原子炉水位を維持するARCIC60やRCIC61は、安全区分I,IIの少なくとも一方に配置される。この場合、ARCIC60やRCIC61は高圧注水系を構成し、原子炉隔離時等にサプレッションプール23内のプール水を原子炉圧力容器22内に強制的に注入し、原子炉圧力容器22内の炉水位維持と炉心冷却を積極的に行なうようになっている。
【0056】
この原子力発電設備20Aの作用は図1に示された原子力発電設備20と異ならないので、説明を省略する。
【0057】
図3は、本発明に係る原子力発電設備の安全区分に備えられる非常用電源設備のシステム構成例を示すものである。
【0058】
本発明に係る原子力発電設備20,20Aは、図1および図2に示すように、原子炉廻りに2つの安全区分I,IIに区分されており、図3は各安全区分I,IIに備えられる工学的安全施設30の非常用電源設備39の組合せ例を示している。
【0059】
原子力発電設備20Aの工学的安全施設30に備えられる非常用電源設備39は、安全区分IおよびIIに非常用ディーゼル発電設備(DG)同士、非常用ガスタービン発電設備(GTG)同士あるいは非常用ディーゼル発電設備(DG)と非常用ガスタービン発電設備(GTG)を組み合せた4つの態様のシステム構成例を示している。
【0060】
このうち、安全区分IおよびIIに備えられる非常用電源設備39として非常用ディーゼル発電設備(DG)と非常用ガスタービン発電設備(GTG)を組み合せたシステム構成例を採用すると、故障形態の分散化を図ることができ、故障発生要因を分散化できるので、同種の非常用電源設備を用いた例より、非常用電源設備39ひいては安全系システム35の信頼性を確保し、向上させることができる。
【0061】
(第2の実施形態)
図4は、本発明に係る原子力発電設備の第2実施形態を示すものである。
【0062】
この実施形態に示された原子力発電設備20Bは、各安全区分I,IIに配設される安全系システム35の低圧注水系36をRHR熱交換器41下流側から分岐させ、分岐された一方の配管65aを、給水スパージャに接続する原子炉復水・給水系33の給水配管66に、他方の配管65bを低圧注水配管67にそれぞれ接続するとともに、低圧注水系36の分岐後配管65a,65bに注入隔離弁68,68を備えたものである。給水配管66および低圧注水配管67は原子炉圧力容器22への戻り水ラインを構成している。
【0063】
注入隔離弁68,68は、注水先の配管破断を検出する破断検出器69,69により自動的に開閉制御される。破断検出器69,69は給水配管66や低圧注水配管67にそれぞれ接続される一方、他の安全区分II(またはI)の給水配管や低圧注水配管に接続されて、両安全区分I,II間の差圧確認を行なっており、この破断検出器69,69による差圧確認等により注入隔離弁68,68を自動開閉するようになっている。
【0064】
この原子力発電設備20Bでは、設計想定事象(DBA)において、原子炉復水・給水系33の給水配管66または低圧注水配管67の配管破断を仮定した場合、低圧注水系36ひいては残留熱除去系44の注水先を2箇所に分岐させることで、配管破断時に健全側配管からの原子炉圧力容器22内に充分な注水量の注水を可能とし、低圧注水系36の信頼性を一層向上させたものである。
【0065】
原子炉発電設備20Bにおける工学的安全施設30の低圧注水系36は、低圧注水系36の注水先を2箇所に分岐させることで、設計想定事象(DBA)における同一安全区分IまたはII内の配管破断によっても、炉心冷却系が冷却材の喪失を未然にかつ確実に防止できる。この低圧注水系36は両安全区分I,II間の対応する配管間の差圧等を破断検出器69,69で検出することにより、配管破断の有無を事前に検出でき、配管破断側の注入隔離弁68を自動的に閉じることで、同一安全区分内の健全側配管(給水配管66あるいは低圧注水配管67)で注水流量を確保することができる。
【0066】
この工学的安全施設30は、設計想定事象(DBA)における配管破断発生時に、他の安全区分の非常用電源設備の故障を仮定しても、低圧注水系36の1つの注水ラインにて必要量の低圧注水流量を確保することができるシステム設計となっている。低圧注水系36の健全側注水ラインからの注水により、原子炉圧力容器22内の炉水位が回復した後は、低圧注水系36から分岐されるPCVスプレイ系45の隔離弁70を開放させて原子炉格納容器21内にRHR熱交換器41で冷却された冷却水をスプレイさせることで、原子炉格納容器21内の減圧・冷却を並行して行なうことができる。
【0067】
図5は、本発明に係る原子力発電設備の第2実施形態における変形例を示すものである。
【0068】
この変形例に示された原子力発電設備20Cは、RHR熱交換器41の下流側から分岐される低圧注水系36ひいては残留熱除去系44の接続先を図4に示した原子力発電設備20Bとは異にしたものであり、それ以外の構成および作用は、原子力発電設備20Bと異ならないので、同一符号を付して説明を省略する。
【0069】
図5に示された原子力発電設備20Cは、原子炉復水・給水系33の給水配管66を分岐させ、各分岐給水配管66a,66bを原子炉圧力容器22内の給水スパージャ(図示せず)に接続する一方、低圧給水系36をRHR熱交換器41下流側で分岐させ、分岐された一方の配管65aを分岐給水配管66a,66bの一方66a,66bに、他方の配管65bを分岐給水配管66a,66bの他方にそれぞれ接続したものである。原子炉復水・給水系33の各分岐給水配管66a,66bは原子炉圧力容器22への戻り水ラインを構成している。
【0070】
低圧給水系36の分岐配管65a,65bには注水隔離弁68,68が設けられ、この注水隔離弁68,68を両安全区分I,II間の差圧確認等を行なう破断検出器69,69により自動開閉制御する構成は、図4に示された低圧注水系と同様である。
【0071】
この場合にも、設計想定事象(DBA)において、万一配管破断が生じても、健全側配管から冷却水を原子炉圧力容器22内に注入可能とすることができ、低圧注水系36の信頼性が維持できる。
【0072】
(第3の実施形態)
図6は、本発明に係る原子力発電設備の第3実施形態を示す概略的なシステム構成図である。
【0073】
第3実施形態に示された原子力発電設備20Dは、原子炉廻りの2つの安全区分I,IIに設けられる工学的安全施設30の低圧注水系36に、PCVスプレイ系の設置を不要とし、このPCVスプレイ系をシビアアクシデント対策設備34の減圧弁50で代用させたものである。他の構成および作用は図1に示された原子力発電設備20と異ならないので、同一符号を付して説明を省略する。
【0074】
図6に示された原子力発電設備20Dは、低圧注水系36ひいては残留熱除去系44にPCVスプレイ系を設けることなく、低圧注水系36のPCVスプレイ機能を削除し、シビアアクシデント対策設備34の減圧弁50で代用したものである。
【0075】
減圧弁50を開放して原子炉圧力容器22への注入水を原子炉圧力容器22から排水させることで、従来のPCVスプレイ機能と同等に、原子炉格納容器21内の蒸気凝縮による原子炉格納容器21内の圧力、温度を低減可能としたものである。
【0076】
図6に示された原子力発電設備20Cは、PCVスプレイ系を削除する一方、減圧弁50を開放させることで、原子炉圧力容器22への注入水を原子炉圧力容器22から排水させ、原子炉格納容器21内の蒸気を凝縮させ、原子炉格納容器21内の減圧冷却を可能としたものである。
【0077】
(第4の実施形態)
図7は、本発明に係る原子力発電設備の第4実施形態を示す概略的にシステム構成図である。
【0078】
この実施形態に示された原子力発電設備20Eは、原子炉格納容器21内をサプレッションプール23とドライウェル24に仕切る仕切壁25に連通口としてドローダウン口73を開口させ、このブローダウン口73により、ドローダウン水リターンラインを構成したものである。ドローダウン口73の開口位置は炉心28上端より上方に位置される。他の構成および作用は、図1に示された原子力発電設備20と実質的に異ならないので同一符号を付して説明を省略する。
【0079】
図7に示された原子力発電設備20Eは、原子炉圧力容器21への注入水を減圧弁50の開放により排水され、この排水の実施により、原子炉格納容器21内の水位が上昇し、サプレッションプール23に連通するドローダウン水リターンラインとなったとき、例えばドローダウン口73位置まで達すると、低圧注水系36の運転条件が成立する。この低圧注水系36の運転条件が成立することで、均圧炉心冷却系51の均圧注水弁54を開放させる一方、低圧注水系36のLPFL(低圧炉心給水系)38の弁を閉じてPCVスプレイ系45の隔離弁70を開放させる。これにより、低圧注水系36のLPFL機能がPCVスプレイ機能に切り換えられる。
【0080】
この原子力発電設備20Eにおいては、原子炉格納容器21内の水位が確保された後、均圧炉心冷却系(EQCS)51により原子炉圧力容器22内に注水する一方、原子炉圧力容器22に注水していた低圧注水系36のLPFL機能(LPCL機能)をPCVスプレイ機能に切り換えて原子炉格納容器21内を冷却し、減圧させるようにしている。
【0081】
このため、原子炉格納容器21内の水位が確保された後、原子炉圧力容器22内への注水は低圧注水系36のLPFL38に代って均圧炉心冷却系51により行なわれ、低圧注水系36のLPFL機能(LPCL機能)に代ってPCVスプレイ系45によるPCVスプレイ機能により、原子炉格納容器21内を減圧冷却させることができる。
【0082】
(第5の実施形態)
図8は本発明に係る原子力発電設備の第5実施形態を示すものである。
【0083】
この実施形態に示された原子力発電設備20Fは、原子炉廻りの工学的安全施設30にドローダウン水リターンラインを構成するドローダウン口73を設けるとともに、ドライウェル均圧炉心冷却系75を追設した構成が、第1実施形態に示された原子力発電設備20と基本的に相違する。他の構成および作用は第1実施形態の原子力発電設備20と実質的に異ならないので、同一符号を付して説明を省略する。
【0084】
図8に示された原子力発電設備20Fにおいて、原子炉格納容器21内をドライウェル24とサプレッションプール23に仕切る仕切壁にドローダウン水リターンラインを構成するドローダウン口73を連通口として設けた構成は、図7に示した原子力発電設備20Eと同様である。
【0085】
図8に示された原子力発電設備20Fは、原子炉圧力容器22に均圧炉心冷却系(EQCS)に代えてあるいは均圧炉心冷却系(EQCS)とともにドライウェル均圧炉心冷却系(DWEQCS)75を備える。このドライウェル均圧炉心冷却系75はその配管の途中にドライウェル隔離弁76が設けられる。
【0086】
ドライウェル均圧炉心冷却系75のドライウェル隔離弁76は(原子炉格納容器21内水位)>(原子炉圧力容器22内燃料の有効長上端(TAF)水位)の条件が成立した場合に開放される。ドライウェル均圧炉心冷却系75のドライウェル隔離弁76の開放により、ドライウェル76内の冷却水が原子炉圧力容器22内に注入され、炉内水位が維持される。
【0087】
また、このときには、低圧注水系36からの原子炉圧力容器22内への冷却水の注入が停止され、代りに低圧注水系36からの冷却水はPCVスプレイ系45により原子炉格納容器21内にスプレイされて原子炉格納容器21内の蒸気が冷却凝縮され、原子炉格納容器21内が減圧される。
【0088】
図8に示された原子力発電設備20Fの工学的安全施設30においては、図1および図2に示された工学的安全施設30と同様に、減圧弁50が開放されて原子炉圧力容器22への注入水が原子炉圧力容器22からドライウェル24に放出されると、ドライウェル24内の水位が上昇していく。
【0089】
ドライウェル24内の水位が上昇していき、(原子炉格納容器21内の水位)>(原子炉圧力容器内の燃料有効長上端(TAF)水位)の条件が成立した場合に、ドライウェル均圧炉心冷却系(DWEQCS)75の隔離弁76が開放され、ドライウェル24内の冷却水が原子炉圧力容器22内に注入される。この冷却水の注入により低圧注水系36を通る冷却水はLPFL機能からPCVスプレイ機能に切り換えられ、原子炉格納容器21内を冷却し、減圧させている。
【0090】
この原子力発電設備20Fの工学的安全施設30では、減圧注水系36からの注水により原子炉圧力容器22内水位が確保された後に、低圧弁50の開放により原子炉圧力容器22内に注入された注入水が排出される。原子炉圧力容器22からの排水により原子炉格納容器21内が所要の水位まで上昇すると、ドライウェル均圧炉心冷却系(DWEQCS)75が作動して原子炉格納容器21と原子炉圧力容器22内の水位をほぼ均一化させることができる。この水位均一化により、低圧注水系36のLPFL機能がPCVスプレイ機能に切り換えられる。PCVスプレイ機能により原子炉圧力容器22および原子炉格納容器21を同時に冷却させることが可能となり、原子炉格納容器21内の蒸気が冷却凝縮され、減圧され、異常事象が収束方向に納まるようになっている。
【0091】
図9は本発明に係る原子力発電設備の第5実施形態における変形例を示す概略的なシステム構成図である。
【0092】
この変形例に示された原子力発電設備20Gは、工学的安全施設30の低圧注水系36の冷却水源としてサプレッションプール23だけでなく、原子炉格納容器21のドライウェル24側も冷却水源としたものである。他の構成および作用は図8に示された原子力発電設備20Fと異ならないので同じ構成には同一符号を付して説明を省略する。
【0093】
この原子力発電設備20Gは、低圧注水系36の冷却水源をサプレッションプール23と原子炉格納容器21内のドライウェル24側との双方とし、いずれかの冷却水源を切換弁78,78の開閉により選択的に使用できるようにしたものである。
【0094】
原子炉格納容器21のドライウェル24側からの冷却水源はPCVスプレイ系45の作動に伴って使用される。PCVスプレイ系45の作動時にはサプレッションプール23から原子炉格納容器21側に切り換えることで、ドライウェル24側の冷却水源が用いられる。この場合、除熱ループを原子炉格納容器21内での循環のみで構成される。
【0095】
図9に示された原子力発電設備20Gの工学的安全施設30においては、低圧注水系36からのサプレッションプール水を原子炉圧力容器22内に注入し、原子炉圧力容器22内の水位が確保された後に原子炉格納容器21と原子炉圧力容器22の水位を均一化し、原子炉圧力容器22に注水していた低圧注水系36のLPFL機能をPCVスプレイ系45のPCVスプレイ機能に切り換え、原子炉圧力容器22および原子炉格納容器21を同時に冷却することができるようにしたものである。
【0096】
(第6の実施形態)
図10は本発明に係る原子力発電設備の第6実施形態を示す概略的なシステム構成図である。
【0097】
この実施形態に示された原子力発電設備20Hは、工学的安全施設30に備えられる減圧弁50の下流側をベント管27内に挿入し、原子炉圧力容器22への注入水の排水をベント管27を介してサプレッションプール23内に行なうようにしたものである。他の構成および作用は図1に示された原子力発電設備と実質的に異ならないので同じ構成には同一符号を付して説明を省略する。
【0098】
図10に示された原子力発電設備20Hは、減圧弁50からの原子炉圧力容器22内の排水をベント管27を通してサプレッションプール23内に行なうシステム構成が採用されている。
【0099】
原子炉圧力容器22からの排水を減圧弁50からベント管27に案内することで、原子炉圧力容器22からの高温水をドライウェル24内に放出せず、サプレッションプール23内に排出している。
【0100】
その際、原子炉圧力容器22には低圧注水系36のRHR熱交換器41で冷却した冷却水を注水している。このため、原子炉圧力容器22からの高温水をサプレッションプール23に排出し、サプレッションプール23から低圧注水系36のRHR熱交換器41で冷却した水を再び原子炉圧力容器22内に注水することが可能となり、原子炉圧力容器22内を冷却させることができる。
【0101】
(第7の実施形態)
図11は、本発明に係る原子力発電設備の第7実施形態を示す概略的なシステム構成図である。
【0102】
この実施形態に示された原子力発電設備20Iは工学的安全施設30にアイソレーションコンデンサ設備80を追設したものである。他の構成および作用は図1あるいは図2に示された原子力発電設備20,20Aと異ならないので同じ構成には同一符号を付して説明を省略する。
【0103】
アイソレーションコンデンサ設備80は原子炉圧力容器22から連絡配管81を取り出し、取り出された連絡配管81の途中にアイソレーションコンデンサ(IC)82を設け、このIC82の下流側を原子炉圧力容器22への戻り水ラインである給水配管66に接続したものである。他の構成および作用は図1あるいは図2に示された原子力発電設備20,20Aと異ならないので、同じ構成には同一符号を付して説明を省略する。
【0104】
この原子力発電設備20Iの工学的安全施設30においては、原子炉復水・給水系33の給水配管66と原子炉圧力容器22とを接続するアイソレーションコンデンサ設備80を設けたので、シビアアクシデント(過酷事故:SA)のみならず、設計想定事象(DBA)においても、アイソレーションコンデンサ(IC)82にて原子炉内蒸気を積極的に冷却し、冷却された水を原子炉圧力容器22内に注入させることができる。このため、原子炉圧力容器22内の温度・圧力上昇を抑制することが可能となり、安全系システム35の信頼性を向上させることができる。
【0105】
(第8の実施形態)
図12は本発明に係る原子力発電設備の第8実施形態を示す概略的なシステム構成図である。
【0106】
この実施形態に示された原子力発電設備20Jは工学的安全施設30に備えられるシビアアクシデント対策設備34を改良したものであり、他の構成および作用は、図1または図5に示された原子力発電設備20Cと実質的に異ならないので、同じ構成には同一符号を付して説明を省略する。
【0107】
図12に示された原子力発電設備20Jは、特に、シビアアクシデント対策設備34の静的格納容器冷却系52を改良したものである。この静的格納容器冷却系(PCCS)52は原子炉格納容器21内をサプレッションプール23に連絡する冷却配管55にPCCS熱交換器56が設けられるが、この熱交換器56を燃料プール冷却浄化系(FPC)85のFPC熱交換器と共用させ、共通化、簡素化を図ったものである。
【0108】
静的格納容器冷却系52と燃料プール冷却浄化系85の熱交換器を共用させ、共通化させることにより、設置スペースの大きな熱交換器56の設置台数を節約することができる。
【0109】
静的格納容器冷却系(PCCS)52と燃料プール冷却浄化系(FPC)85の熱交換器56を共用化させることで、設備減圧効果が期待でき、システム構成の簡素化を図ることができる。
【0110】
(第9の実施形態)
図13は本発明に係る原子力発電設備の第9実施形態を示す概略的なシステム構成図である。
【0111】
この実施形態に示された原子力発電設備20Kは原子炉廻りに敷設される工学的安全施設30のシビアアクシデント対策設備34を改良したものである。他の構成および作用は図1および図5に示された原子力発電設備20,20Cと実質的に異ならないので、同じ構成には同一符号を付して説明を省略する。
【0112】
図13に示された工学的安全施設30のシビアアクシデント対策設備34は、図12に示された静的格納容器冷却系(PCCS)52と燃料プール冷却浄化系85の共用熱交換器56を原子炉補機冷却系(RCW)87のサージタンク88内に共用して設置したシステム構成を用いたものである。
【0113】
この原子力発電設備20Kにおいては、静的格納容器冷却系(PCCS)52と燃料プール冷却浄化系(FPC)85で共用する熱交換器56を原子炉補機冷却系(RCW)87のサージタンク88内に設置することで、熱交換器胴体をサージタンク88内に納めて削除可能となり、設備低減効果が期待でき、経済性の向上につながる。
【0114】
すなわち、熱交換器胴体を構成する熱交換器56の細管(熱交換管)をサージタンク88内に直接設置することで、熱交換器本体をサージタンク88内に格納することができ、熱交換器本体の外部露出を確実に防止でき、設備低減効果が期待できる。
【0115】
(第10の実施形態)
図14は本発明に係る原子力発電設備の第10実施形態を概略的に示すシステム構成図である。
【0116】
この実施形態に示された原子力発電設備21Lは、工学的安全施設30の残留熱除去系44の熱交換器41を利用してアイソレーションコンデンサ設備90を追設したものである。他の構成および作用は図1もしくは図5に示された原子力発電設備20,20Cと基本的に異ならないので、同じ構成には同一符号を付して説明を省略する。
【0117】
図14に示されたアイソレーションコンデンサ設備90は原子炉復水・給水系33の給水配管66または分岐給水配管66aと原子炉圧力容器22内とが冷却配管91で接続される一方、この冷却配管91の途中にアイソレーションコンデンサ(IC)が設けられる。このアイソレーションコンデンサ(IC)を残留熱除去系44の熱交換器41と共用させたものである。
【0118】
アイソレーションコンデンサ(IC)設備90と残留熱除去系(RHR)の熱交換器44を共用させ、共通化を図ることで、設備低減効果が期待でき、経済性を向上させることができる。
【0119】
(第11実施形態)
図15は、本発明に係る原子力発電設備の第11実施形態を概略的に示すシステム構成図である。
【0120】
この実施形態に示された原子力発電設備20Mは、図14に示された原子力発電設備20Lに、サプレッションプール浄化系(SPCU)93を追設したものである。他の構成および作用は、図14に示された原子力発電設備20Lと異ならないので、同じ構成には同一符号を付して説明を省略する。
【0121】
サプレッションプール浄化系93は工学的安全施設30にシビアアクシデント(SA)対策設備34として備えられる。サプレッションプール浄化系93はサプレッションプール23から引き出された浄化系注水ライン94を原子炉圧力容器22に戻す原子炉復水・給水系33に接続したものである。
【0122】
具体的には、サプレッションプール浄化系93の浄化系ライン94を原子炉復水・給水系33の分岐給水配管66bあるいは給水配管66に接続し、サプレッションプール23内の清浄なプール水を原子炉復水・給水系33に導いて原子炉内に注水させるようになっている。
【0123】
図15に示された原子力発電設備20Mにおいては、工学的安全施設30にサプレッションプール浄化系93を追設し、浄化注水系ライン94に備えられる注水ポンプ95を専用の電源設備96でポンプ駆動させるようにした独立した原子炉注水系を有する構成としたものである。
【0124】
この原子力発電設備20Mは、工学的安全施設30に独立駆動の原子炉注水系を構成するサプレッションプール浄化系(SPCU)93を設け、サプレッションプール浄化系93の浄化注水系ライン94を原子炉圧力容器22への給水ラインに接続し、サプレッションプール浄化系(SPCU)93の注水ポンプ95駆動用の専用電源設備27を有することで、独立した原子炉注水設備を追設でき、シビアアクシデント(SA)対策設備30としてのみならず設計想定事象(DBA)設備としても機能するので、さらなる安全性向上を図ることができる。
【0125】
なお、サプレッションプール浄化系93は、浄化系注水ライン94を原子炉へ冷却水を戻すラインに接続すればよく、原子炉給水ラインへの接続が必須ではない。このサプレッションプール浄化系93は、専用の電源設備96を備えることで、独立した原子炉注水系を構成でき、シビアアクシデント対策設備や設計想定事象(DBA)設備としても優れた安全機能を備えるので、安全性向上を図ることができる。
【0126】
図16は本発明に係る原子力発電設備の第11実施形態の変形例を概略的に示すシステム構成図である。
【0127】
この変形例に示された原子力発電設備20Nは、工学的安全施設30に追設されるサプレッションプール浄化系93を改良したものであり、他の構成および作用は図15に示された原子力発電設備20Mと異ならないので、同じ構成は同一符号を付して説明を省略する。
【0128】
工学的安全施設30にシビアアクシデント対策設備34として追設されるサプレッションプール浄化系93は注水ポンプ97を直動式ポンプとして付属設備に給電可能な独立原子炉注水系を構成したものである。
【0129】
このサプレッションプール浄化系93においても、独立した原子炉注水系とすることで、シビアアクシデント対策設備や設計想定事象(DBA)設備としても優れた安全機能を備えている。
【0130】
【発明の効果】
本発明に係る原子力発電設備は、原子炉廻りの安全区分を2区分として工学的安全施設のシステム構成を簡素化し、プラント安全性および信頼性を損なうことなく、レイアウト構成を簡単かつ単純化し、経済性を向上させることができる。
【0131】
また、原子力発電設備は、工学的安全施設の安全区分を2区分とし、各安全区分に高圧注水系を不要としてシステム構成を簡素化でき、小型の原子力発電プラントに適した発電設備を提供できる。
【0132】
さらに、この原子力発電設備は、システム構成を簡素化させたり、構成機器の共通化により系統数や構成機器数を減少させ、経済性や保守・メンテナンス性を向上させることができる。
【0133】
さらにまた、原子力発電設備は、各安全区分毎に形態の異なる非常用発電機を配設して故障形態に幅を持たせ、各非常用発電機のトラブルが同時に生じない構成とし、信頼性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る原子力発電設備の第1実施形態を概略的に示すシステム構成図。
【図2】本発明に係る原子力発電設備の第1実施形態の変形例を概略的に示すシステム構成図。
【図3】本発明に係る原子力発電設備の各安全区分に設置される非常用発電設備の組合せ例を示す図。
【図4】本発明に係る原子力発電設備の第2実施形態を概略的に示すシステム構成図。
【図5】本発明に係る原子力発電設備の第2実施形態の変形例を概略的に示すシステム構成図。
【図6】本発明に係る原子力発電設備の第3実施形態を概略的に示すシステム構成図。
【図7】本発明に係る原子力発電設備の第4実施形態を概略的に示すシステム構成図。
【図8】本発明に係る原子力発電設備の第5実施形態を概略的に示すシステム構成図。
【図9】本発明に係る原子力発電設備の第6実施形態を概略的に示すシステム構成図。
【図10】本発明に係る原子力発電設備の第7実施形態を概略的に示すシステム構成図。
【図11】本発明に係る原子力発電設備の第8実施形態を概略的に示すシステム構成図。
【図12】本発明に係る原子力発電設備の第9実施形態を概略的に示すシステム構成図。
【図13】本発明に係る原子力発電設備の第10実施形態を概略的に示すシステム構成図。
【図14】本発明に係る原子力発電設備の第11実施形態を概略的に示すシステム構成図。
【図15】本発明に係る原子力発電設備の第12実施形態を概略的に示すシステム構成図。
【図16】本発明に係る原子力発電設備の第12実施形態の変形例を概略的に示すシステム構成図。
【図17】従来のBWRおよびABWRプラントを概略的に示すシステム構成図。
【符号の説明】
20,20A,20B…原子力発電設備、21…原子炉格納容器、22…原子炉圧力容器、23…サプレッションプール、24…ドライウェル、25…仕切壁、27…ベント管、28…炉心、29…冷却材、30…工学的安全施設、32…主蒸気系、33…原子炉復水・給水系、34…シビアアクシデント対策設備(過酷事故対策設備)、35…安全系システム、36…低圧注水系、37…自動減圧系(ADS)、38…低圧給水系(LPFL)あるいは低圧炉心スプレイ系(LPCS)、39…非常用発電設備、40…低圧注水ポンプ、41…RHR熱交換器、44…残留熱除去系、45…原子炉格納容器(PCV)スプレイ系、46…安全弁、50…減圧弁、51…均圧炉心冷却系、52…静的格納容器冷却系(PCCS)、53…均圧注水配管、54…均圧注水弁、55…PCCS冷却配管、56…PCCS熱交換器、57…弁、60…自己発電型原子炉隔離時冷却系(ARCIC)、61…原子炉隔離時冷却系(RCIC)、62…RCICポンプ、65a,65b…分岐配管、66…給水配管、67…低圧注水配管、68…注入隔離弁、69…破断検出器、70…隔離弁、73…ドローダウン口(ドローダウン水リターンライン)、75…ドライウェル均圧炉心冷却系、76…ドライウェル隔離弁、80…アイソレーションコンデンサ設備、81…連絡配管、82…アイソレーションコンデンサ(IC)、85…燃料プール冷却浄化系(EPC)、87…原子炉補機冷却系(RCW)、88…サージタンク、90…アイソレーションコンデンサ設備、91…冷却管、93…サプレッションプール浄化系、94…浄化注水系ライン、95…注水ポンプ、96…電源設備、97…注水ポンプ。
Claims (12)
- 原子炉廻りを2つの安全区分に区分けするとともにシビアアクシデント対策設備を備えた工学的安全施設を設け、
前記各安全区分に設計想定事象に対応する自動減圧系と低圧注水系、残留熱除去系を備えた安全系システムを配設し、前記シビアアクシデント対策設備は原子炉圧力を減圧可能な減圧弁と均圧炉心冷却系あるいはドライウェル均圧炉心冷却系と静的格納容器冷却系とを備えたことを特徴とする原子力発電設備。 - 前記シビアアクシデント対策設備は、設計想定事象に対応する設計想定事象設備を兼ねる一方、前記各安全区分に配置される非常用電源設備に、非常用ディーゼル発電設備および非常用ガスタービン発電設備が選択的に用いられた請求項1記載の原子力発電設備。
- 前記低圧注水系は注入側配管を分岐させて複数の原子炉戻り配管にそれぞれ接続されるとともに、注入側配管の分岐側に配管破断を検出して破断側配管を自動閉塞させる注入隔離弁をそれぞれ設け、健全側配管で原子炉圧力容器への注水流量を確保可能に構成した請求項1記載の原子力発電設備。
- 前記減圧弁は、原子炉内水位高のとき、原子炉圧力容器への注入水を原子炉圧力容器外へ排水して原子炉格納容器内蒸気を凝縮させるように開放させ、原子炉格納容器内の圧力および温度を低減させるように構成した請求項1記載の原子力発電設備。
- 前記低圧注水系に原子炉格納容器スプレイ系を設ける一方、原子炉格納容器内にはドライウェルとサプレッションプールを仕切る仕切壁が設けられ、この仕切壁に連通口を設けてドローダウン水リターンラインを構成し、原子炉格納容器内水位がサプレッションプールに連通するドローダウン水リターンライン水位となったとき、均圧炉心冷却系を開放し、低圧注水系をLPFL機能からPCVスプレイ機能に切り換えるように構成した請求項1記載の原子力発電設備。
- 前記低圧注水系は原子炉格納容器スプレイ系を設ける一方、前記ドライウェル均圧炉心冷却系は、原子炉格納容器内水位が原子炉圧力容器内の燃料有効長上端水位を上廻ったとき開放され、低圧注水系のLPFL機能をPCVスプレイ機能に切り換えるように構成した請求項1記載の原子力発電設備。
- 前記減圧弁の下流側を、ドライウェルとサプレッションプールとを連通するベント管内に延設し、原子炉圧力容器からの排水をベント管を通してサプレッションプール内に案内するようにした請求項1記載の原子力発電設備。
- 前記工学的安全施設は、原子炉復水・給水系と原子炉圧力容器とを連絡するアイソレーションコンデンサ設備を備え、このアイソレーションコンデンサ設備で給水を冷却して原子炉圧力容器内に注入し、原子炉圧力容器内の温度および圧力上昇を抑制した請求項1記載の原子力発電設備。
- 前記静的格納容器冷却系に備えられる熱交換器を燃料プール浄化系に備えられる熱交換器と共用させた請求項1記載の原子力発電設備。
- 前記静的格納容器冷却系と燃料プール浄化系に共用される熱交換器を原子炉補機冷却系のサージタンク内に設けた請求項9記載の原子力発電設備。
- 前記残留熱除去系に備えられる熱交換器とアイソレーションコンデンサ設備に備えられる熱交換器とを共用させた請求項1または8記載の原子力発電設備。
- 前記シビアアクシデント対策設備はサプレッションプール浄化系を備え、このサプレッションプール浄化系は原子炉圧力容器への戻りラインに接続され、かつ専用の電源設備を備えて独立した原子炉注水系を構成した請求項1記載の原子力発電設備。
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