JP2004061161A - 熱式流量センサ - Google Patents
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Abstract
【課題】流体温度の変動による影響を抑えて、安定かつ正確な流量測定を行うことが可能な熱式流量センサを提供する。
【解決手段】基端側及び先端側ディバイス16A,16BはそれぞれU字形流路11の往路11A及び復路11Bを跨ぐように配置され、基端側トランジスタ42Aは最高温の測定箇所Aと最低温の測定箇所Bとの平均温度に応じた温度特性を示しこれに応じた位相で発振回路Aが発振する。先端側トランジスタ42Bは、中間温度の測定箇所B,Cの平均温度に応じた温度特性を示しこれに応じた位相で発振回路Bが発振する。これらの平均温度は、加熱用トランジスタ43Bによる加熱がなければ流体温度が変動してもほぼ一致した温度で推移する。従って、CMOSゲート56から出力される信号の反転する間隔として現れる加熱用トランジスタの加熱時間は、この反転間隔が流体の流量に比例することになり、流体温度の変動による影響を抑制して安定かつ正確な流量測定が可能になる。
【選択図】 図1
【解決手段】基端側及び先端側ディバイス16A,16BはそれぞれU字形流路11の往路11A及び復路11Bを跨ぐように配置され、基端側トランジスタ42Aは最高温の測定箇所Aと最低温の測定箇所Bとの平均温度に応じた温度特性を示しこれに応じた位相で発振回路Aが発振する。先端側トランジスタ42Bは、中間温度の測定箇所B,Cの平均温度に応じた温度特性を示しこれに応じた位相で発振回路Bが発振する。これらの平均温度は、加熱用トランジスタ43Bによる加熱がなければ流体温度が変動してもほぼ一致した温度で推移する。従って、CMOSゲート56から出力される信号の反転する間隔として現れる加熱用トランジスタの加熱時間は、この反転間隔が流体の流量に比例することになり、流体温度の変動による影響を抑制して安定かつ正確な流量測定が可能になる。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
【0002】
本発明は、温度に応じた出力信号を出力する一対の温度測定素子を流体に対して伝熱的に配置して、それらの温度測定素子の温度差が一定となるように、流体を加熱し、その加熱量から流量を求める熱式流量センサに関する。
【0003】
【従来の技術】
この種の熱式流量センサは、図7(A)に示すように、管路1に直線状に貫通形成された流路2に沿って、上流側及び下流側にそれぞれサーミスタ(以下、それぞれ「上流側サーミスタ3」、「下流側サーミスタ4」という)を配置し、さらに、下流側サーミスタ4の近傍にヒータ5を設け、例えば上流側サーミスタ3より下流側サーミスタ4の測定温度が所定値だけ高くなるように、ヒータ5の発熱量を制御してしている。このような制御によって、例えば流体の流量が多くなれば流体に奪われる熱量が多くなるので、ヒータ5は、その奪われた熱量分を補充すべく発熱量を増加させるように制御される。一方、流体の流量が少なくなれば流体に奪われる熱量が少なくなるので、ヒータ5は発熱量を減少させるように制御される。従って、ヒータ5による発熱量変化を検出すれば流体の流量を測定することが可能になる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、上述の流路2が直線状の構成では、流体温度と周囲温度との差が微小であれば、ヒータ5により加熱しない場合における上流側及び下流側でのそれぞれの流体温度は変動することなくほぼ一定に保たれるので、流体の流量とヒータ5による発熱量とを比例させることができ正確な流量測定が可能になるが、流体温度と周囲温度との差が大きい場合には流体温度が周囲温度変化に影響されて測定誤差が生じてしまう。
【0005】
具体的には、流体温度と周囲温度との差が大きいと、流路1上で流体温度が周囲へ拡散するために上流側の流体温度に対して下流側の流体温度が低下すると共に周囲温度変化に応じて流体温度が変動してしまう(図7(B)参照)。つまり、ヒータ5により加熱しない場合において、下流側サーミスタ4の測定温度と上流側サーミスタ3と測定温度との温度差が周囲温度変化に応じて変動しまうのである。そうすると、ヒータ5は、流体に奪われる熱量に加えて周囲温度変化に伴う両サーミスタ3,4の温度差による変動に応じた発熱量で制御されることになる。このことは、流体の流量とヒータ5による発熱量との比例関係が崩れ、ヒータ5の発熱量に基づいて流体の流量を正確に測定することができないことを意味する。
【0006】
また、流体温度が急激に高くなる場合には、上流側の流体温度に対して下流側の流体温度が遅れて上昇し、下流側サーミスタ4に対して上流側サーミスタ3の測定温度が一時的に著しく上昇する。そうすると、ヒータ5は、下流側サーミスタ4の測定温度を上流側サーミスタ3より所定値だけ高い温度に維持するため流体に奪われる熱量以上の発熱量で制御されることになり、その後、高温の流体が下流側に至るとヒータ5は発熱量を急激に低下させるように制御されることになりやはり正確で安定した流量測定が行えなくなるという問題が生じる。
【0007】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、流体温度の変動による影響を抑えて、安定かつ正確な流量測定を行うことが可能な熱式流量センサの提供を目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、請求項1の発明に係る熱式流量センサは、温度に応じた出力信号を出力する一対の温度測定素子を流路に流れる流体に対して伝熱的に配置すると共に、加熱手段によって温度測定素子の一方を加熱し、一対の温度測定素子からの出力信号に基づいて両温度測定素子の温度が所定の関係となるように加熱手段における発熱量を制御し、その発熱量に基づいて流体の流量を測定するようにした熱式流量センサにおいて、流路はU字状に折り返された形状をなし、各温度測定素子は、流路のうち互いに並行した両直線部分に流れる流体に対して伝熱的に配置されているところに特徴を有する。
【0009】
請求項2の発明は、請求項1に記載の熱式流量センサにおいて、流路には、折り返し部分と反対側の両端部が折り返されて、直線部分のそれぞれに沿わせるように配される補助流路部が設けられているところに特徴を有する。
【0010】
【発明の作用及び効果】
<請求項1の発明>
請求項1の構成によれば、一対の温度測定素子は、流路のU字部のうち両直線部分に流れる流体に対して伝熱的に配置されている。従って、各温度測定素子からは、両直線部分の対向部分を流れる両流体の略平均温度に応じた出力信号が出力されることになる。そして、これら各温度測定素子からの出力された出力信号に基づいて両温度測定素子が所定の温度差になるように加熱手段による発熱量が制御される。
【0011】
ここで、流体温度と周囲温度との差が微小である場合には、流体温度は変動することなくほぼ一定に保たれ、加熱手段が流量変化にほぼ比例した発熱量となるよう制御され、従来構成と同様に、加熱手段による発熱量に基づいて流体の流量を測定することが可能になる。
【0012】
これに対して、流体温度と周囲温度との差が大きい場合には、やはり流路のU字部の上流側と下流側とで流体温度の差が生じ、周囲温度変化によって流体温度が変動してしまう。具体的には、図1に示すように、流路11において上流側から下流側に向うに連れて流体温度が拡散し測定箇所A,B,C,Dの順に流体温度が低下する。
【0013】
ところが、本発明では、一対の温度測定素子のうち、一方の温度測定素子16A(同図で2点破線で表示)を最高温の測定箇所Aと最低温の測定箇所Dで流体に対して伝熱的に配置してそれら測定箇所A及びDの平均温度に応じた出力信号を出力させるようにし、他方の温度測定素子16Bを中間温度の測定箇所B,Cで流体に対して伝熱的に配置してそれら測定箇所B及びCの平均温度に応じた出力信号を出力させるよう構成されている。これにより、加熱手段による加熱がない場合において、たとえ流体温度が変動しても両温度測定素子16A,16Bからの両出力信号をほぼ同レベルに維持させることができる。換言すれば、両温度測定素子16A,16Bからの両出力信号レベルに対して、上流側及び下流側の流体温度の変動による影響を抑制することができるのである。
【0014】
従って、両温度測定素子からの出力信号に基づき両温度測定素子が所定の温度差になるように加熱手段による発熱量を制御すれば、その発熱量と流体の流量との比例関係が維持され、流体温度の変動があっても安定かつ正確な流体の流量測定を行うことができるようになる。なお、上述したような流路に高温或いは低温の流体が流れ込む場合であっても同様の作用効果を得ることができる。
【0015】
<請求項2の発明>
請求項2の構成によれば、流路には、折り返し部分と反対側の両端部が折り返されて直線部分のそれぞれに沿わせるように配される補助流路部が設けられている。従って、両温度測定素子が配されるU字部分の周囲温度は、補助流路部に流れる流体温度に維持され、周囲温度変化による両温度測定素子における温度変動をより確実に軽減することができる。
【0016】
【発明の実施の形態】
<第1実施形態>
本発明の第1実施形態を図1ないし図5によって説明する。
図1は本実施形態に係る熱式流量センサ9の平断面図であって、図2は横断面図である。このうち符号10は管路であって、例えば金属ブロックに図1に示すようなU字形に折り返された流路(以下、「U字形流路11」という)が貫通形成されている。そして、そのU字形流路11の両端(上流側及び下流側)に備えた連結部12,12(図2において管路10の左端に位置する)を配管13,13に連結して、それら配管13と前記U字形流路11とが連通した状態に取り付けられてる。なお、図2ではU字形流路11の後述する復路11B(図1ではU字形流路11のうち下側の直線部分)の断面のみが示されている。
【0017】
また、管路10の上面にはU字形流路11まで達している陥没部10Aが形成されており、本実施形態に係る熱式流量センサ9は、U字形流路11の上側を覆うように管路10の陥没部10A内に設置される。
【0018】
熱式流量センサ9は、管路10の陥没部10A内に嵌め込まれ、上面にやはり陥没部17Aが形成されたセンサ本体部17と、図示しない外部機器と接続される信号ケーブル18Aが上面から導出された蓋部18とからなり、センサ本体部17の陥没部17Aの開放部分を回路基板20で覆った状態にして、その上から蓋部18が嵌め込まれている。センサ本体部17の陥没部17Aの底部には、一対の凹所14,15がU字形流路11の長手方向に沿って並べて形成されている。
【0019】
U字形流路11の先端側に位置する凹所15は、図3に拡大して示すように、上側半分の内壁面にねじ溝が形成されている。ここで、凹所15の底部はU字形流路11のうち並行する両直線部分(以下、「往路11A」、「復路11B」)に達しており、そこに例えば円盤状のセラミックディバイス(以下「先端側ディバイス16B」)を埋め込んでU字形流路11との間を閉塞してある。従って、先端側ディバイス16Bは往路11A及び復路11Bを跨ぐような位置関係でそれらに流れる流体に対して伝熱的に配置されることになる。そして、その先端側ディバイス16Bの周縁部分に防水用のOリング32を配して、その上方から例えばコンプレッションリング33を介して凹所15のねじ溝にセットねじ34を螺合することでU字形流路11に対して密閉状態を保っている。なお、コンプレッションリング33は、セットねじ34螺合の際、セットねじ34との接触によりOリング32が劣化するのを防ぐためのものである。
【0020】
また、先端側ディバイス16Bは、図4(A)に示すようにU字形流路11を流れる流体に接触するセラミック基板35Bと、その上に形成された導体パターン36Bとチップ部品37Bとからなり、そのチップ部品37B内には相似性の高いペアトランジスタ41Bが封入されている。そして、これらは例えば前記Oリング32、コンプレッションリング33及びセットねじ34内に通された図示しないリード線を介して、回路基板20に接続されている。以上、凹所15側について説明したが、U字形流路11の基端側に位置する凹所14及びそこに埋め込まれるセラミックディバイス(以下「基端側ディバイス16A」)についても同様の構造であり説明を省略する。
【0021】
次に、本実施形態の回路構成について説明する。図5において、符号41Aは上述した基端側ディバイス16Aに搭載されたペアトランジスタ(以下「基端側ペアトランジスタ41A」という)、符号41Bは、先端側ディバイス16Bに搭載されたペアトランジスタ(以下「先端側ペアトランジスタ41B」という)である。基端側ペアトランジスタ41Aのうち一方のトランジスタ(以下「基端側トランジスタ42A」という)は、シュミットインバーターのCMOSゲート47Aと、トランジスタ44Aと、抵抗45A及びコンデンサ46Aが直列接続されて構成された時定数回路と共に発振回路Aを構成している。より詳しくは、トランジスタ44Aは、制御入力端子がCMOSゲート47Aの出力側に接続されると共に、コレクタ側が電源ラインVccに接続され、CMOSゲート47Aからの出力信号レベルに応じてスイッチング動作を行う。
【0022】
時定数回路は抵抗45Aの一端側がトランジスタ44Aのエミッタ側に接続され、トランジスタ44Aのスイッチング動作によってその出力電流が流れ込みコンデンサ44に充電される。また、抵抗45Aとコンデンサ46Aとの接続部には、CMOSゲート47Aの入力側及び基端側トランジスタ42Aのエミッタ側が接続されている。コンデンサ46Aへの充電によりコンデンサ46Aの分圧電位が所定値以上になったときには、CMOSゲート47Aの出力が反転し、トランジスタ44Aが停止状態になる。これにより、コンデンサ46Aは充電状態から放電状態に切替り基端側トランジスタ42Aにコレクタ電流が流れる。
【0023】
なお、基端側トランジスタ42Aのベース側の電位は、抵抗50,51で構成された分圧回路により所定値に維持されており、これにより基端側トランジスタ42Aと抵抗48Aとで、時定数回路Aに対して定電流放電回路として働くことになる。そして、コンデンサ46Aの放電によりその分圧電位が所定値以下になったときに、再びCMOSゲート47Aの出力が反転してコンデンサ46Aへの充電が開始される。このように、発振回路Aはコンデンサ46Aへの充放電を繰り返すことによりCMOSゲート47Aから発振信号が出力されてもって発振回路として機能する。
【0024】
先端側ペアトランジスタ41Bのうち一方のトランジスタ(以下「先端側トランジスタ42B」という)も、シュミットインバーターのCMOSゲート47Bと、トランジスタ44Bと、抵抗45B及びコンデンサ46Bが直列接続されて構成された時定数回路と共に発振回路Bを構成し、やはり発振回路Aと同様にコンデンサ46Bへの充放電を繰り返すことによりCMOSゲート47Bから発振信号が出力されてもって発振回路として機能する。なお、発振回路A及び発振回路Bの発振信号の特性は、それぞれ流路11近傍に配される基端側トランジスタ42A及び先端側トランジスタ42Bの温度特性に依存することになり、それらのトランジスタ42A,42Bが所定の温度差のときに位相が一致するようにそれぞれの時定数を調整してある。
【0025】
そして、発振回路Aからの発振信号は、位相差検出手段として機能するDフリップフロップ回路55のCLK端子、発振回路Bの発振信号は、D端子にそれぞれ与えられる。また、Q端子はCMOSゲート56の入力側に接続され、QBAR端子が先端側ペアトランジスタ41Bの加熱用トランジスタ43Bのベースに接続されている。なお、抵抗57及びコンデンサ58は、Dフリップフロップ55のパワーオンリセットである。
【0026】
また、本発明の「加熱手段」に相当する加熱用トランジスタ43Bと、基端側ペアトランジスタ41Aのトランジスタ43Aとはカレントミラー接続されている。これにより、抵抗49に流れる電流にトランジスタ43Aのエミッタ抵抗53Aの抵抗値と加熱用トランジスタ43Bのエミッタ抵抗53Bの抵抗値との比を乗じた値の定電流が、加熱用トランジスタ43Bに流れることになる。
【0027】
次いでこの回路の動作について説明する。
熱式流量センサ9の電源をオンすると、当初は、基端側及び先端側トランジスタ42A,42Bは共に同じ温度であるため、発振回路Aの位相に対して発振回路Bの位相が遅れ、当初リセット状態にあるDフリップフロップ55はそのままリセット状態を保持する。即ち、加熱用トランジスタ43Bの制御入力端子にはQBAR端子からHiレベルの出力信号が与えられ、加熱用トランジスタ43Bのコレクタ損失により発熱し流路11内の流体を加熱すると共にペアをなす先端側トランジスタ42Bをも加熱する。そして、次第に先端側トランジスタ42Bの温度が上昇して、基端側トランジスタ42Aとの温度差が所定値になったときに、両発振回路A,Bの位相が一致する。
【0028】
そして、さらに先端側トランジスタ42Bの温度が上昇して温度差が所定値以上になると、今度は発振回路Aの位相が発振回路Bに対して遅れて、Dフリップフロップ55がリセット状態から反転しQ端子からHiレベル、QBAR端子からLowレベルが出力されることになる。これにより加熱用トランジスタ43Bによる加熱動作が停止する。その後、先端側トランジスタ42Bの温度が低下して、基端側トランジスタ42Aとの温度差が所定値以下となったときには、再度加熱動作が行われもって基端側及び先端側の両トランジスタ42A,42Bの温度差が所定値となるように加熱用トランジスタ43Bの加熱動作が制御されることになる。
【0029】
ここで、流量が多いときには、多くの発熱量が流体に与えられ、流量が少ないときには少ない発熱量が流体に与えられるから、流体の流量と、加熱用トランジスタ43Bの加熱動作時間は連動することになる。即ち、加熱用トランジスタの加熱時間は、CMOSゲート56から出力される信号の反転する間隔として現れ、この反転間隔が流体の流量に比例することになる。本実施形態では、例えばCMOSゲート56からの出力信号を信号ケーブルを介して図示しない数値計測処理部に与えて、その数値計測処理部でHiが継続した時間を積算することで供給した熱量に比例する数値が得られ、もって流量を検出することが可能になる。
【0030】
なお、上記構成による効果としては、加熱用トランジスタ43Bは、先端側トランジスタ42Bとペアトランジスタとして同一チップで構成されているので、上述した一連の制御及び検出動作において、両トランジスタ42B,43Bはほぼ同一の温度変化に基づいて動作することになり、もって流量の検出精度が向上する。また、基端側及び先端側のトランジスタ42A,42Bを含んだ両発振回路A,Bの発振位相のずれに基づいて流量を検出するようにしたから、周波数差に基づいて流量を検出するものに比べて、微小な温度変化も検出することが可能で、それによってわずかな流量の変化も検出することができるようになる。
【0031】
更に、加熱用トランジスタ43Bと、トランジスタ43Aとをカレントミラー接続したことで、加熱用トランジスタは流体の温度変化にかかわらず単位時間当たりほぼ一定の発熱量で加熱動作を行うことになり、これにより流体の温度変化に影響されることなく、正確な流量を測定することができる。
【0032】
さて、上述した構成において、例えば流体温度と周囲温度との差が大きい場合や高温或いは低温の流体がU字形流路11に流れ込む場合には、やはり上流側及び下流側での流体温度に差が生じると共に基端側及び先端側ディバイス16A,16Bの測定箇所A,B,C,Dにおける各流体温度が変動してしまう。しかしながら、本実施形態では、上述したように基端側及び先端側ディバイス16A,16BはそれぞれU字形流路11の往路11A及び復路11Bを跨ぐように配置されている。従って、基端側トランジスタ42Aは、上記測定箇所A〜Dのうち最高温の測定箇所Aと最低温の測定箇所Bとの平均温度に応じた温度特性を示しこれに応じた位相で発振回路Aが発振することになる。また、先端側トランジスタ42Bは、上記測定箇所A〜Dのうち中間温度の測定箇所B,Cの平均温度に応じた温度特性を示しこれに応じた位相で発振回路Bが発振することになる。これらの平均温度は、加熱用トランジスタ43Bによる加熱がなければ、たとえ流体温度が変動してもほぼ一致した温度で推移する。
【0033】
従って、CMOSゲート56から出力される信号の反転する間隔として現れる加熱用トランジスタの加熱時間は、やはりこの反転間隔が流体の流量に比例することになり、もって流体温度の変動による影響を抑制して安定かつ正確な流量測定が可能になる。また、直線型流路を用いた従来のものでは、上流側の温度測定素子を加熱する構成と、下流側の温度測定素子を加熱する構成とでは、流量変化に伴う両温度測定素子の温度特性が異なり、これを考慮して設計する必要があった。しなしながら、本実施形態に係る熱式流量センサには、上述したように温度測定素子である基端側及び先端側トランジスタ42A,42Bにより最上流箇所A及び最下流箇所Dとの平均温度と、それらの中間箇所B,Cの平均温度とをそれぞれ測定する構成としたので、どちらの温度測定素子を加熱する構成であっても流量変化に伴う温度特性はほとんど異なることがない。従って、温度特性の相違を考慮することなくいずれの温度測定素子を加熱するかを定めることができる。
【0034】
また、図1と図7(従来の構成)とを比較してわかるように、本実施形態の構成であれば、従来構成のものに対して、温度測定素子としての基端側及び先端側ディバイス16A,16BのU字形流路11に対する接触面積を減らすことなく、流路の断面積を略半分にすることができる。つまり、温度測定の精度を低下させることなく、従来のものに比べて同一流量に対する流速を速くすることができ、もって低流量時であってもその測定がより行い易くなる。また、流路の断面積を小さくして流速を早くすることができることにより、例えばU字形流路内を流体が間欠的に流れる場合であっても前記発振回路A,Bにおける立上がり応答性を速くすることができる。
【0035】
<第2実施形態>
図6は(請求項2の発明に対応する)第2実施形態を示す。前記実施形態との相違は、管路10に貫通形成した流路の形状にあり、その他の点は前記第1実施形態と同様である。従って、第1実施形態と同一符号を付して重複する説明を省略し、異なるところのみを次に説明する。
【0036】
図6に示すように、管路10には、上記第1実施形態に係るU字形流路11が複数段、互いの折り返し部を交互に反対側に向けつつ両端を連結してなる管路が形成されている。このうち本実施形態では、真中に位置するU字形流路部分61に前記基端側及び先端側ディバイス16A,16Bが配されている。従って、測定対象となるU字形流路部分61は隣接する他のU字形流路部分63(請求項2の「補助流路部」に相当)に挟まれることになり、U字形流路部分61の周囲温度がU字形流路部分63に流れる流体の温度に保持され管路10の周囲温度変化による影響を受け難くすることができる。
【0037】
<他の実施形態>
本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、例えば、以下に説明するような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれ、さらに、下記以外にも要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施することができる。
(1)上記各実施形態では、一対の温度測定素子をそれぞれ含む一対の発振回路A,Bにおける発振位相のずれ時間に基づき加熱制御を行う構成としたが、これに限らず単に一対の温度測定素子(例えばサーミスタ)からの出力信号差に基づき加熱制御を行う構成であっても良い。
【0038】
(2)上記各実施形態では、加熱手段としての加熱用トランジスタ43Bを先端側ディバイス16Bに配して加熱する構成を説明したが、これには逆に、加熱用トランジスタ43Bを基端側ディバイス16A側に配して加熱する構成であっても良い。
【0039】
(3)上記各実施形態において、各温度測定素子(基端側トランジスタ42A,先端側トランジスタ42B)は、U字形流路11の往路11A及び復路11Bを跨ぐように配置した構成を説明したが、これに限らず、請求項1に記載したように「両直線部分に流れる流体に対して伝熱的に配置」、換言すれば熱交換可能に配置されていれば両直線部分の流体の平均温度を測定することが可能であり、例えばU字形流路11の往路11A及び復路11Bの間に挟み込むように配置した構成であっても良い。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態に係る熱式流量センサの平断面図
【図2】その部分的横断面図
【図3】凹所周辺の拡大断面図
【図4】セラミックディバイスの平面図及び側面図
【図5】熱式流量センサの回路構成図
【図6】本発明の第2実施形態に係る熱式流量センサの平断面図
【図7】従来の熱式流量センサの平断面図及びその温度分布図
【符号の説明】
9…熱式流量センサ
11…U字形流路
11A…往路(流路の直線部分)
11B…復路(流路の直線部分)
42A…基端側トランジスタ(温度測定素子)
42B…先端側トランジスタ(温度測定素子)
43B…加熱用トランジスタ(加熱手段)
61…字形流路部分
63…字形流路部分(補助流路部)
【発明の属する技術分野】
【0002】
本発明は、温度に応じた出力信号を出力する一対の温度測定素子を流体に対して伝熱的に配置して、それらの温度測定素子の温度差が一定となるように、流体を加熱し、その加熱量から流量を求める熱式流量センサに関する。
【0003】
【従来の技術】
この種の熱式流量センサは、図7(A)に示すように、管路1に直線状に貫通形成された流路2に沿って、上流側及び下流側にそれぞれサーミスタ(以下、それぞれ「上流側サーミスタ3」、「下流側サーミスタ4」という)を配置し、さらに、下流側サーミスタ4の近傍にヒータ5を設け、例えば上流側サーミスタ3より下流側サーミスタ4の測定温度が所定値だけ高くなるように、ヒータ5の発熱量を制御してしている。このような制御によって、例えば流体の流量が多くなれば流体に奪われる熱量が多くなるので、ヒータ5は、その奪われた熱量分を補充すべく発熱量を増加させるように制御される。一方、流体の流量が少なくなれば流体に奪われる熱量が少なくなるので、ヒータ5は発熱量を減少させるように制御される。従って、ヒータ5による発熱量変化を検出すれば流体の流量を測定することが可能になる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、上述の流路2が直線状の構成では、流体温度と周囲温度との差が微小であれば、ヒータ5により加熱しない場合における上流側及び下流側でのそれぞれの流体温度は変動することなくほぼ一定に保たれるので、流体の流量とヒータ5による発熱量とを比例させることができ正確な流量測定が可能になるが、流体温度と周囲温度との差が大きい場合には流体温度が周囲温度変化に影響されて測定誤差が生じてしまう。
【0005】
具体的には、流体温度と周囲温度との差が大きいと、流路1上で流体温度が周囲へ拡散するために上流側の流体温度に対して下流側の流体温度が低下すると共に周囲温度変化に応じて流体温度が変動してしまう(図7(B)参照)。つまり、ヒータ5により加熱しない場合において、下流側サーミスタ4の測定温度と上流側サーミスタ3と測定温度との温度差が周囲温度変化に応じて変動しまうのである。そうすると、ヒータ5は、流体に奪われる熱量に加えて周囲温度変化に伴う両サーミスタ3,4の温度差による変動に応じた発熱量で制御されることになる。このことは、流体の流量とヒータ5による発熱量との比例関係が崩れ、ヒータ5の発熱量に基づいて流体の流量を正確に測定することができないことを意味する。
【0006】
また、流体温度が急激に高くなる場合には、上流側の流体温度に対して下流側の流体温度が遅れて上昇し、下流側サーミスタ4に対して上流側サーミスタ3の測定温度が一時的に著しく上昇する。そうすると、ヒータ5は、下流側サーミスタ4の測定温度を上流側サーミスタ3より所定値だけ高い温度に維持するため流体に奪われる熱量以上の発熱量で制御されることになり、その後、高温の流体が下流側に至るとヒータ5は発熱量を急激に低下させるように制御されることになりやはり正確で安定した流量測定が行えなくなるという問題が生じる。
【0007】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、流体温度の変動による影響を抑えて、安定かつ正確な流量測定を行うことが可能な熱式流量センサの提供を目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、請求項1の発明に係る熱式流量センサは、温度に応じた出力信号を出力する一対の温度測定素子を流路に流れる流体に対して伝熱的に配置すると共に、加熱手段によって温度測定素子の一方を加熱し、一対の温度測定素子からの出力信号に基づいて両温度測定素子の温度が所定の関係となるように加熱手段における発熱量を制御し、その発熱量に基づいて流体の流量を測定するようにした熱式流量センサにおいて、流路はU字状に折り返された形状をなし、各温度測定素子は、流路のうち互いに並行した両直線部分に流れる流体に対して伝熱的に配置されているところに特徴を有する。
【0009】
請求項2の発明は、請求項1に記載の熱式流量センサにおいて、流路には、折り返し部分と反対側の両端部が折り返されて、直線部分のそれぞれに沿わせるように配される補助流路部が設けられているところに特徴を有する。
【0010】
【発明の作用及び効果】
<請求項1の発明>
請求項1の構成によれば、一対の温度測定素子は、流路のU字部のうち両直線部分に流れる流体に対して伝熱的に配置されている。従って、各温度測定素子からは、両直線部分の対向部分を流れる両流体の略平均温度に応じた出力信号が出力されることになる。そして、これら各温度測定素子からの出力された出力信号に基づいて両温度測定素子が所定の温度差になるように加熱手段による発熱量が制御される。
【0011】
ここで、流体温度と周囲温度との差が微小である場合には、流体温度は変動することなくほぼ一定に保たれ、加熱手段が流量変化にほぼ比例した発熱量となるよう制御され、従来構成と同様に、加熱手段による発熱量に基づいて流体の流量を測定することが可能になる。
【0012】
これに対して、流体温度と周囲温度との差が大きい場合には、やはり流路のU字部の上流側と下流側とで流体温度の差が生じ、周囲温度変化によって流体温度が変動してしまう。具体的には、図1に示すように、流路11において上流側から下流側に向うに連れて流体温度が拡散し測定箇所A,B,C,Dの順に流体温度が低下する。
【0013】
ところが、本発明では、一対の温度測定素子のうち、一方の温度測定素子16A(同図で2点破線で表示)を最高温の測定箇所Aと最低温の測定箇所Dで流体に対して伝熱的に配置してそれら測定箇所A及びDの平均温度に応じた出力信号を出力させるようにし、他方の温度測定素子16Bを中間温度の測定箇所B,Cで流体に対して伝熱的に配置してそれら測定箇所B及びCの平均温度に応じた出力信号を出力させるよう構成されている。これにより、加熱手段による加熱がない場合において、たとえ流体温度が変動しても両温度測定素子16A,16Bからの両出力信号をほぼ同レベルに維持させることができる。換言すれば、両温度測定素子16A,16Bからの両出力信号レベルに対して、上流側及び下流側の流体温度の変動による影響を抑制することができるのである。
【0014】
従って、両温度測定素子からの出力信号に基づき両温度測定素子が所定の温度差になるように加熱手段による発熱量を制御すれば、その発熱量と流体の流量との比例関係が維持され、流体温度の変動があっても安定かつ正確な流体の流量測定を行うことができるようになる。なお、上述したような流路に高温或いは低温の流体が流れ込む場合であっても同様の作用効果を得ることができる。
【0015】
<請求項2の発明>
請求項2の構成によれば、流路には、折り返し部分と反対側の両端部が折り返されて直線部分のそれぞれに沿わせるように配される補助流路部が設けられている。従って、両温度測定素子が配されるU字部分の周囲温度は、補助流路部に流れる流体温度に維持され、周囲温度変化による両温度測定素子における温度変動をより確実に軽減することができる。
【0016】
【発明の実施の形態】
<第1実施形態>
本発明の第1実施形態を図1ないし図5によって説明する。
図1は本実施形態に係る熱式流量センサ9の平断面図であって、図2は横断面図である。このうち符号10は管路であって、例えば金属ブロックに図1に示すようなU字形に折り返された流路(以下、「U字形流路11」という)が貫通形成されている。そして、そのU字形流路11の両端(上流側及び下流側)に備えた連結部12,12(図2において管路10の左端に位置する)を配管13,13に連結して、それら配管13と前記U字形流路11とが連通した状態に取り付けられてる。なお、図2ではU字形流路11の後述する復路11B(図1ではU字形流路11のうち下側の直線部分)の断面のみが示されている。
【0017】
また、管路10の上面にはU字形流路11まで達している陥没部10Aが形成されており、本実施形態に係る熱式流量センサ9は、U字形流路11の上側を覆うように管路10の陥没部10A内に設置される。
【0018】
熱式流量センサ9は、管路10の陥没部10A内に嵌め込まれ、上面にやはり陥没部17Aが形成されたセンサ本体部17と、図示しない外部機器と接続される信号ケーブル18Aが上面から導出された蓋部18とからなり、センサ本体部17の陥没部17Aの開放部分を回路基板20で覆った状態にして、その上から蓋部18が嵌め込まれている。センサ本体部17の陥没部17Aの底部には、一対の凹所14,15がU字形流路11の長手方向に沿って並べて形成されている。
【0019】
U字形流路11の先端側に位置する凹所15は、図3に拡大して示すように、上側半分の内壁面にねじ溝が形成されている。ここで、凹所15の底部はU字形流路11のうち並行する両直線部分(以下、「往路11A」、「復路11B」)に達しており、そこに例えば円盤状のセラミックディバイス(以下「先端側ディバイス16B」)を埋め込んでU字形流路11との間を閉塞してある。従って、先端側ディバイス16Bは往路11A及び復路11Bを跨ぐような位置関係でそれらに流れる流体に対して伝熱的に配置されることになる。そして、その先端側ディバイス16Bの周縁部分に防水用のOリング32を配して、その上方から例えばコンプレッションリング33を介して凹所15のねじ溝にセットねじ34を螺合することでU字形流路11に対して密閉状態を保っている。なお、コンプレッションリング33は、セットねじ34螺合の際、セットねじ34との接触によりOリング32が劣化するのを防ぐためのものである。
【0020】
また、先端側ディバイス16Bは、図4(A)に示すようにU字形流路11を流れる流体に接触するセラミック基板35Bと、その上に形成された導体パターン36Bとチップ部品37Bとからなり、そのチップ部品37B内には相似性の高いペアトランジスタ41Bが封入されている。そして、これらは例えば前記Oリング32、コンプレッションリング33及びセットねじ34内に通された図示しないリード線を介して、回路基板20に接続されている。以上、凹所15側について説明したが、U字形流路11の基端側に位置する凹所14及びそこに埋め込まれるセラミックディバイス(以下「基端側ディバイス16A」)についても同様の構造であり説明を省略する。
【0021】
次に、本実施形態の回路構成について説明する。図5において、符号41Aは上述した基端側ディバイス16Aに搭載されたペアトランジスタ(以下「基端側ペアトランジスタ41A」という)、符号41Bは、先端側ディバイス16Bに搭載されたペアトランジスタ(以下「先端側ペアトランジスタ41B」という)である。基端側ペアトランジスタ41Aのうち一方のトランジスタ(以下「基端側トランジスタ42A」という)は、シュミットインバーターのCMOSゲート47Aと、トランジスタ44Aと、抵抗45A及びコンデンサ46Aが直列接続されて構成された時定数回路と共に発振回路Aを構成している。より詳しくは、トランジスタ44Aは、制御入力端子がCMOSゲート47Aの出力側に接続されると共に、コレクタ側が電源ラインVccに接続され、CMOSゲート47Aからの出力信号レベルに応じてスイッチング動作を行う。
【0022】
時定数回路は抵抗45Aの一端側がトランジスタ44Aのエミッタ側に接続され、トランジスタ44Aのスイッチング動作によってその出力電流が流れ込みコンデンサ44に充電される。また、抵抗45Aとコンデンサ46Aとの接続部には、CMOSゲート47Aの入力側及び基端側トランジスタ42Aのエミッタ側が接続されている。コンデンサ46Aへの充電によりコンデンサ46Aの分圧電位が所定値以上になったときには、CMOSゲート47Aの出力が反転し、トランジスタ44Aが停止状態になる。これにより、コンデンサ46Aは充電状態から放電状態に切替り基端側トランジスタ42Aにコレクタ電流が流れる。
【0023】
なお、基端側トランジスタ42Aのベース側の電位は、抵抗50,51で構成された分圧回路により所定値に維持されており、これにより基端側トランジスタ42Aと抵抗48Aとで、時定数回路Aに対して定電流放電回路として働くことになる。そして、コンデンサ46Aの放電によりその分圧電位が所定値以下になったときに、再びCMOSゲート47Aの出力が反転してコンデンサ46Aへの充電が開始される。このように、発振回路Aはコンデンサ46Aへの充放電を繰り返すことによりCMOSゲート47Aから発振信号が出力されてもって発振回路として機能する。
【0024】
先端側ペアトランジスタ41Bのうち一方のトランジスタ(以下「先端側トランジスタ42B」という)も、シュミットインバーターのCMOSゲート47Bと、トランジスタ44Bと、抵抗45B及びコンデンサ46Bが直列接続されて構成された時定数回路と共に発振回路Bを構成し、やはり発振回路Aと同様にコンデンサ46Bへの充放電を繰り返すことによりCMOSゲート47Bから発振信号が出力されてもって発振回路として機能する。なお、発振回路A及び発振回路Bの発振信号の特性は、それぞれ流路11近傍に配される基端側トランジスタ42A及び先端側トランジスタ42Bの温度特性に依存することになり、それらのトランジスタ42A,42Bが所定の温度差のときに位相が一致するようにそれぞれの時定数を調整してある。
【0025】
そして、発振回路Aからの発振信号は、位相差検出手段として機能するDフリップフロップ回路55のCLK端子、発振回路Bの発振信号は、D端子にそれぞれ与えられる。また、Q端子はCMOSゲート56の入力側に接続され、QBAR端子が先端側ペアトランジスタ41Bの加熱用トランジスタ43Bのベースに接続されている。なお、抵抗57及びコンデンサ58は、Dフリップフロップ55のパワーオンリセットである。
【0026】
また、本発明の「加熱手段」に相当する加熱用トランジスタ43Bと、基端側ペアトランジスタ41Aのトランジスタ43Aとはカレントミラー接続されている。これにより、抵抗49に流れる電流にトランジスタ43Aのエミッタ抵抗53Aの抵抗値と加熱用トランジスタ43Bのエミッタ抵抗53Bの抵抗値との比を乗じた値の定電流が、加熱用トランジスタ43Bに流れることになる。
【0027】
次いでこの回路の動作について説明する。
熱式流量センサ9の電源をオンすると、当初は、基端側及び先端側トランジスタ42A,42Bは共に同じ温度であるため、発振回路Aの位相に対して発振回路Bの位相が遅れ、当初リセット状態にあるDフリップフロップ55はそのままリセット状態を保持する。即ち、加熱用トランジスタ43Bの制御入力端子にはQBAR端子からHiレベルの出力信号が与えられ、加熱用トランジスタ43Bのコレクタ損失により発熱し流路11内の流体を加熱すると共にペアをなす先端側トランジスタ42Bをも加熱する。そして、次第に先端側トランジスタ42Bの温度が上昇して、基端側トランジスタ42Aとの温度差が所定値になったときに、両発振回路A,Bの位相が一致する。
【0028】
そして、さらに先端側トランジスタ42Bの温度が上昇して温度差が所定値以上になると、今度は発振回路Aの位相が発振回路Bに対して遅れて、Dフリップフロップ55がリセット状態から反転しQ端子からHiレベル、QBAR端子からLowレベルが出力されることになる。これにより加熱用トランジスタ43Bによる加熱動作が停止する。その後、先端側トランジスタ42Bの温度が低下して、基端側トランジスタ42Aとの温度差が所定値以下となったときには、再度加熱動作が行われもって基端側及び先端側の両トランジスタ42A,42Bの温度差が所定値となるように加熱用トランジスタ43Bの加熱動作が制御されることになる。
【0029】
ここで、流量が多いときには、多くの発熱量が流体に与えられ、流量が少ないときには少ない発熱量が流体に与えられるから、流体の流量と、加熱用トランジスタ43Bの加熱動作時間は連動することになる。即ち、加熱用トランジスタの加熱時間は、CMOSゲート56から出力される信号の反転する間隔として現れ、この反転間隔が流体の流量に比例することになる。本実施形態では、例えばCMOSゲート56からの出力信号を信号ケーブルを介して図示しない数値計測処理部に与えて、その数値計測処理部でHiが継続した時間を積算することで供給した熱量に比例する数値が得られ、もって流量を検出することが可能になる。
【0030】
なお、上記構成による効果としては、加熱用トランジスタ43Bは、先端側トランジスタ42Bとペアトランジスタとして同一チップで構成されているので、上述した一連の制御及び検出動作において、両トランジスタ42B,43Bはほぼ同一の温度変化に基づいて動作することになり、もって流量の検出精度が向上する。また、基端側及び先端側のトランジスタ42A,42Bを含んだ両発振回路A,Bの発振位相のずれに基づいて流量を検出するようにしたから、周波数差に基づいて流量を検出するものに比べて、微小な温度変化も検出することが可能で、それによってわずかな流量の変化も検出することができるようになる。
【0031】
更に、加熱用トランジスタ43Bと、トランジスタ43Aとをカレントミラー接続したことで、加熱用トランジスタは流体の温度変化にかかわらず単位時間当たりほぼ一定の発熱量で加熱動作を行うことになり、これにより流体の温度変化に影響されることなく、正確な流量を測定することができる。
【0032】
さて、上述した構成において、例えば流体温度と周囲温度との差が大きい場合や高温或いは低温の流体がU字形流路11に流れ込む場合には、やはり上流側及び下流側での流体温度に差が生じると共に基端側及び先端側ディバイス16A,16Bの測定箇所A,B,C,Dにおける各流体温度が変動してしまう。しかしながら、本実施形態では、上述したように基端側及び先端側ディバイス16A,16BはそれぞれU字形流路11の往路11A及び復路11Bを跨ぐように配置されている。従って、基端側トランジスタ42Aは、上記測定箇所A〜Dのうち最高温の測定箇所Aと最低温の測定箇所Bとの平均温度に応じた温度特性を示しこれに応じた位相で発振回路Aが発振することになる。また、先端側トランジスタ42Bは、上記測定箇所A〜Dのうち中間温度の測定箇所B,Cの平均温度に応じた温度特性を示しこれに応じた位相で発振回路Bが発振することになる。これらの平均温度は、加熱用トランジスタ43Bによる加熱がなければ、たとえ流体温度が変動してもほぼ一致した温度で推移する。
【0033】
従って、CMOSゲート56から出力される信号の反転する間隔として現れる加熱用トランジスタの加熱時間は、やはりこの反転間隔が流体の流量に比例することになり、もって流体温度の変動による影響を抑制して安定かつ正確な流量測定が可能になる。また、直線型流路を用いた従来のものでは、上流側の温度測定素子を加熱する構成と、下流側の温度測定素子を加熱する構成とでは、流量変化に伴う両温度測定素子の温度特性が異なり、これを考慮して設計する必要があった。しなしながら、本実施形態に係る熱式流量センサには、上述したように温度測定素子である基端側及び先端側トランジスタ42A,42Bにより最上流箇所A及び最下流箇所Dとの平均温度と、それらの中間箇所B,Cの平均温度とをそれぞれ測定する構成としたので、どちらの温度測定素子を加熱する構成であっても流量変化に伴う温度特性はほとんど異なることがない。従って、温度特性の相違を考慮することなくいずれの温度測定素子を加熱するかを定めることができる。
【0034】
また、図1と図7(従来の構成)とを比較してわかるように、本実施形態の構成であれば、従来構成のものに対して、温度測定素子としての基端側及び先端側ディバイス16A,16BのU字形流路11に対する接触面積を減らすことなく、流路の断面積を略半分にすることができる。つまり、温度測定の精度を低下させることなく、従来のものに比べて同一流量に対する流速を速くすることができ、もって低流量時であってもその測定がより行い易くなる。また、流路の断面積を小さくして流速を早くすることができることにより、例えばU字形流路内を流体が間欠的に流れる場合であっても前記発振回路A,Bにおける立上がり応答性を速くすることができる。
【0035】
<第2実施形態>
図6は(請求項2の発明に対応する)第2実施形態を示す。前記実施形態との相違は、管路10に貫通形成した流路の形状にあり、その他の点は前記第1実施形態と同様である。従って、第1実施形態と同一符号を付して重複する説明を省略し、異なるところのみを次に説明する。
【0036】
図6に示すように、管路10には、上記第1実施形態に係るU字形流路11が複数段、互いの折り返し部を交互に反対側に向けつつ両端を連結してなる管路が形成されている。このうち本実施形態では、真中に位置するU字形流路部分61に前記基端側及び先端側ディバイス16A,16Bが配されている。従って、測定対象となるU字形流路部分61は隣接する他のU字形流路部分63(請求項2の「補助流路部」に相当)に挟まれることになり、U字形流路部分61の周囲温度がU字形流路部分63に流れる流体の温度に保持され管路10の周囲温度変化による影響を受け難くすることができる。
【0037】
<他の実施形態>
本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、例えば、以下に説明するような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれ、さらに、下記以外にも要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施することができる。
(1)上記各実施形態では、一対の温度測定素子をそれぞれ含む一対の発振回路A,Bにおける発振位相のずれ時間に基づき加熱制御を行う構成としたが、これに限らず単に一対の温度測定素子(例えばサーミスタ)からの出力信号差に基づき加熱制御を行う構成であっても良い。
【0038】
(2)上記各実施形態では、加熱手段としての加熱用トランジスタ43Bを先端側ディバイス16Bに配して加熱する構成を説明したが、これには逆に、加熱用トランジスタ43Bを基端側ディバイス16A側に配して加熱する構成であっても良い。
【0039】
(3)上記各実施形態において、各温度測定素子(基端側トランジスタ42A,先端側トランジスタ42B)は、U字形流路11の往路11A及び復路11Bを跨ぐように配置した構成を説明したが、これに限らず、請求項1に記載したように「両直線部分に流れる流体に対して伝熱的に配置」、換言すれば熱交換可能に配置されていれば両直線部分の流体の平均温度を測定することが可能であり、例えばU字形流路11の往路11A及び復路11Bの間に挟み込むように配置した構成であっても良い。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態に係る熱式流量センサの平断面図
【図2】その部分的横断面図
【図3】凹所周辺の拡大断面図
【図4】セラミックディバイスの平面図及び側面図
【図5】熱式流量センサの回路構成図
【図6】本発明の第2実施形態に係る熱式流量センサの平断面図
【図7】従来の熱式流量センサの平断面図及びその温度分布図
【符号の説明】
9…熱式流量センサ
11…U字形流路
11A…往路(流路の直線部分)
11B…復路(流路の直線部分)
42A…基端側トランジスタ(温度測定素子)
42B…先端側トランジスタ(温度測定素子)
43B…加熱用トランジスタ(加熱手段)
61…字形流路部分
63…字形流路部分(補助流路部)
Claims (2)
- 温度に応じた出力信号を出力する一対の温度測定素子を流路に流れる流体に対して伝熱的に配置すると共に、加熱手段によって前記温度測定素子の一方を加熱し、前記一対の温度測定素子からの出力信号に基づいて前記両温度測定素子の温度が所定の関係となるように前記加熱手段における発熱量を制御し、その発熱量に基づいて前記流体の流量を測定するようにした熱式流量センサにおいて、
前記流路はU字状に折り返された形状をなし、
前記各温度測定素子は、前記流路のうち互いに並行した両直線部分に流れる前記流体に対して伝熱的に配置されていることを特徴とする熱式流量センサ。 - 前記流路には、折り返し部分と反対側の両端部が折り返されて前記直線部分のそれぞれに沿わせるように配される補助流路部が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の熱式流量センサ。
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