JP2004061147A - 輝尽性蛍光体パネルの製造方法 - Google Patents

輝尽性蛍光体パネルの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】吸湿による特性低下の無い、高品質な輝尽性蛍光体パネルを安定して製造できる輝尽性蛍光体パネルの製造方法を提供する。
【解決手段】真空成膜法によって輝尽性蛍光体膜を形成した後、防湿部材で少なくとも前記輝尽性蛍光体膜を封止する輝尽性蛍光体パネルの製造において、露点0℃以下の環境下を第1条件、輝尽性蛍光体膜の温度が100℃以上の状態を第2条件とした際に、真空成膜法による輝尽性蛍光体膜の形成を終了した後、防湿部材による封止を終了するまでを、第1条件および第2条件の少なくとも一方を満たした状態とすることにより、前記課題を解決する。
【選択図】なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、輝尽性蛍光体パネル製造の技術分野に属し、詳しくは、吸湿による輝尽性蛍光体膜の特性劣化を無くして、高品質な輝尽性蛍光体パネルを安定して製造できる輝尽性蛍光体パネルの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
放射線(X線、α線、β線、γ線、電子線、紫外線等)の照射を受けると、この放射線エネルギーの一部を蓄積し、その後、可視光等の励起光の照射を受けると、蓄積されたエネルギーに応じた輝尽発光を示す蛍光体が知られている。この蛍光体は、輝尽性蛍光体(蓄積性蛍光体)と呼ばれ、医療用途などの各種の用途に利用されている。
【0003】
一例として、この輝尽性蛍光体の膜(以下、蛍光体膜とする)を有する輝尽性蛍光体パネル(以下、蛍光体パネルとする(放射線像変換シートとも呼ばれている))を利用する、放射線画像情報記録再生システムが知られており、例えば、富士写真フイルム社製のFCR(Fuji Computed Radiography)等として実用化されている。
このシステムでは、人体などの被写体を介してX線等を照射することにより、蛍光体パネル(蛍光体膜)に被写体の放射線画像情報を記録する。記録後に、蛍光体パネルをレーザ光等の励起光で2次元的に走査して輝尽発光を生ぜしめ、この輝尽発光光を光電的に読み取って画像信号を得、この画像信号に基づいて再生した画像を、CRTなどの表示装置や、写真感光材料などの記録材料等に、被写体の放射線画像として出力する。
【0004】
蛍光体パネルは、通常、輝尽性蛍光体の粉末をバインダ等を含む溶媒に分散してなる塗料を調製して、この塗料をガラスや樹脂製のパネル状の支持体に塗布し、乾燥することによって、作成される。
これに対し、真空蒸着やスパッタリング等の真空成膜法(気相成膜法)によって、支持体に蛍光体膜を形成してなる蛍光体パネルも知られている(特許第2789194号、特開平5−249299号等の各公報参照)。真空成膜法による蛍光体膜は、真空中で形成されるので不純物が少なく、また、輝尽性蛍光体以外のバインダなどの成分が殆ど含まれないので、性能のバラツキが少なく、しかも発光効率が非常に良好であるという、優れた特性を有している。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
このような蛍光体パネルの特性を劣化させる要因の1つとして、輝尽性蛍光体膜の吸湿が挙げられる。
輝尽性蛍光体膜、特に、良好な特性を有する真空成膜法で形成されたアルカリハライド系の輝尽性蛍光体膜は、吸湿性が高く、通常(常温/常湿)の環境下であっても、容易に吸湿する。その結果、輝尽発光特性すなわち感度の低下や、輝尽性蛍光体の結晶性の低下(例えば、アルカリハライド系の輝尽性蛍光体であれば、結晶の柱状性の崩壊)による再生画像の鮮鋭性の低下等を生じてしまう。
【0006】
このような問題点を解決するために、蛍光体膜を防湿性の部材で封止することが行われている。
例えば、特許第2677822号公報には、支持体と保護膜との間に蛍光体膜を有する蛍光体パネルにおいて、蛍光体膜の周りに封着部材を設け、支持体、保護膜および付着部材によって形成される空間内に、乾燥ガスを封入することにより、湿度による特性低下を防止した蛍光体パネルが開示されている。
【0007】
この蛍光体パネルによれば、蛍光体膜の吸湿に起因する特性劣化を防止して、初期性能を維持することはできる。
しかしながら、本発明者の検討によれば、防湿性を有する部材で蛍光体膜を封止しただけでは、高い感度や、鮮鋭性の良好な再生画像を得られる、優れた特性を有する蛍光体パネルを得るには、未だ不十分である。
【0008】
本発明の目的は、前記従来技術の問題点を解決することにあり、輝尽性蛍光体膜の吸湿による特性低下の無い、高品質な輝尽性蛍光体パネルを安定して製造することができる輝尽性蛍光体パネルの製造方法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するために、本発明は、真空成膜法によって輝尽性蛍光体膜を形成した後、防湿部材で少なくとも前記輝尽性蛍光体膜を封止する輝尽性蛍光体パネルの製造において、輝尽性蛍光体膜の存在環境が露点0℃以下であることを第1条件、輝尽性蛍光体膜の温度が100℃以上の状態を第2条件とした際に、真空成膜法による輝尽性蛍光体膜の形成を終了した後、前記防湿部材による封止を終了するまでを、前記第1条件および第2条件の少なくとも一方を満たした状態で行うことを特徴とする輝尽性蛍光体パネルの製造方法を提供する。
【0010】
このような本発明の輝尽性蛍光体パネルの製造方法において、前記第1条件を、露点−10℃以下とするのが好ましい。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の輝尽性蛍光体パネルの製造方法について、詳細に説明する。
【0012】
本発明の輝尽性蛍光体パネル(以下、蛍光体パネルとする)の製造方法は、基板に、真空成膜法によって輝尽性蛍光体の膜(輝尽性蛍光体膜 以下、蛍光体膜とする)を形成した後、蛍光体膜を防湿部材で封止する蛍光体パネルの製造において、蛍光体膜を形成した後、防湿部材による封止が終了するまで、各工程のみならず、各工程間における移動(ハンドリング)も含めて、蛍光体膜が存在する環境の露点が0℃以下、および、蛍光体膜の温度が100℃以上の、少なくとも一方の条件を満たすものである。
このような本発明の製造方法においては、上記条件が満たされていれば、製造する蛍光体パネルの構成(層構成など)、蛍光体膜の形成方法および防湿部材による封止方法、蛍光体膜の形成から防湿部材による封止までの間に入る工程、さらには、蛍光体膜の成膜前における工程には、限定はなく、基本的に、通常の蛍光体パネルの製造と同様に行えばよい。
【0013】
まず、本発明の製造方法で製造する蛍光体パネルにおいて、基板には特に限定はなく、蛍光体パネルで使用されている各種のものが利用可能である。
一例として、セルロースアセテートフィルム、ポリエステルフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリアミドフィルム、ポリイミドフィルム、トリアセテートフィルム、ポリカーボネートフィルムなどのプラスチックフィルム; 石英ガラス、無アルカリガラス、ソーダガラス、耐熱ガラス(パイレックスTM等)などから形成されるガラス板; アルミニウムシート、鉄シート、銅シート、クロムシートなどの金属シートあるいは金属酸化物の被服層を有する金属シート; 等が例示される。
【0014】
本発明の製造方法においては、このような基板の表面に、真空成膜法によって蛍光体膜を形成する。
なお、本発明においては、例えば、基板の表面に輝尽発光光をするための反射膜、あるいはさらに、反射膜の上に反射膜を保護するためのバリア膜等を形成し、その上に、蛍光体膜を形成してもよい。
【0015】
蛍光体膜を形成する輝尽性蛍光体としては、各種のものが利用可能であるが、一例として、下記の輝尽性蛍光体が好ましく例示される。
米国特許第3,859,527号明細書に記載されている輝尽性蛍光体である、「SrS:Ce,Sm」、「SrS:Eu,Sm」、「ThO2 :Er」、および、「La2 2 S:Eu,Sm」。
【0016】
特開昭55−12142号公報に開示される、「ZnS:Cu,Pb」、「BaO・xAl2 3 :Eu(但し、0.8≦x≦10)」、および、一般式「MIIO・xSiO2 :A」で示される輝尽性蛍光体。
(上記式において、MIIは、Mg,Ca,Sr,Zn,CdおよびBaからなる群より選択される少なくとも一種であり、Aは、Ce,Tb,Eu,Tm,Pb,Tl,BiおよびMnからなる群より選択される少なくとも一種である。また、0.5≦x≦2.5である。)
【0017】
特開昭55−12144号公報に開示される、一般式「LnOX:xA」で示される輝尽性蛍光体。
(上記式において、Lnは、La,Y,GdおよびLuからなる群より選択される少なくとも一種であり、Xは、ClおよびBrの少なくとも一種であり、Aは、CeおよびTbの少なくとも一種である。また、0≦x≦0.1である。)
【0018】
特開昭55−12145号公報に開示される、一般式「(Ba1−x ,M2+ x )FX:yA」で示される輝尽性蛍光体。
(上記式において、M2+は、Mg,Ca,Sr,ZnおよびCdからなる群より選択される少なくとも一種であり、Xは、Cl,BrおよびIからなる群より選択される少なくとも一種であり、Aは、Eu,Tb,Ce,Tm,Dy,Pr,Ho,Nd,YbおよびErからなる群より選択される少なくとも一種である。また、0≦x≦0.6であり、0≦y≦0.2である。)
【0019】
特開昭57−148285号公報に開示される、下記のいずれかの輝尽性蛍光体。
すなわち、一般式「xM3 (PO4 2 ・NX2 :yA」または「M3 (PO4 2 ・yA」で示される輝尽性蛍光体;
(上記式において、MおよびNは、それぞれ、Mg,Ca,Sr,Ba,ZnおよびCdからなる群より選択される少なくとも一種であり、Xは、F,Cl,BrおよびIからなる群より選択される少なくとも一種であり、Aは、Eu,Tb,Ce,Tm,Dy,Pr,Ho,Nd,Yb,Er,Sb,Tl,MnおよびSnからなる群より選択される少なくとも一種である。また、0≦x≦6、0≦y≦1である。)
【0020】
一般式「nReX3 ・mAX’2 :xEu」または「nReX3 ・mAX’2 :xEu,ySm」で示される輝尽性蛍光体;
(上記式において、Reは、La,Gd,YおよびLuからなる群より選択される少なくとも一種であり、Aは、Ba,SrおよびCaからなる群より選択される少なくとも一種であり、XおよびX’は、それぞれ、F,Cl,およびBrからなる群より選択される少なくとも一種である。また、1×10−4<x<3×10−1であり、1×10−4<y<1×10−1であり、さらに、1×10−3<n/m<7×10−1である。)
【0021】
および、一般式「MI X・aMIIX’2 ・bMIII X’’3 :cA」で示されるアルカリハライド系輝尽性蛍光体。
(上記式において、MI は、Li,Na,K,RbおよびCsからなる群より選択される少なくとも一種であり、MIIは、Be,Mg,Ca,Sr,Ba,Zn,Cd,CuおよびNiからなる群より選択される少なくとも一種の二価の金属であり、MIII は、Sc,Y,La,Ce,Pr,Nd,Pm,Sm,Eu,Gd,Tb,Dy,Ho,Er,Tm,Yb,Lu,Al,GaおよびInからなる群より選択される少なくとも一種の三価の金属であり、X、X’およびX’’は、F,Cl,BrおよびIからなる群より選択される少なくとも一種であり、Aは、Eu,Tb,Ce,Tm,Dy,Pr,Ho,Nd,Yb,Er,Gd,Lu,Sm,Y,Tl,Na,Ag,Cu,BiおよびMgからなる群より選択される少なくとも一種である。また、0≦a<0.5であり、0≦b<0.5であり、0≦c<0.2である。)
【0022】
特開昭56−116777号公報に開示される、一般式「(Ba1−X ,MII X )F2 ・aBaX2 :yEu,zA」で示される輝尽性蛍光体。
(上記式において、MIIは、Be,Mg,Ca,Sr,ZnおよびCdからなる群より選択される少なくとも一種であり、Xは、Cl,BrおよびIからなる群より選択される少なくとも一種であり、Aは、ZrおよびScの少なくとも一種である。また、0.5≦a≦1.25であり、0≦x≦1であり、1×10−6≦y≦2×10−1であり、0<z≦1×10−2である。)
【0023】
特開昭58−69281号公報に開示される、一般式「MIII OX:xCe」で示される輝尽性蛍光体。
(上記式において、MIII は、Pr,Nd,Pm,Sm,Eu,Tb,Dy,Ho,Er,Tm,YbおよびBiからなる群より選択される少なくとも一種の三価の金属であり、Xは、ClおよびBrの少なくとも一種である。また、0≦x≦0.1である。)
【0024】
特開昭58−206678号公報に開示される、一般式「Ba1−x a a FX:yEu2+」で示される輝尽性蛍光体。
(上記式において、Mは、Li,Na,K,RbおよびCsからなる群より選択される少なくとも一種であり、Lは、Sc,Y,La,Ce,Pr,Nd,Pm,Sm,Gd,Tb,Tb,Dy,Ho,Er,Tm,Yb,Lu,Al,Ga,InおよびTlからなる群より選択される少なくとも一種の三価の金属であり、Xは、Cl,BrおよびIからなる群より選択される少なくとも一種である。また、1×10−2≦x≦0.5であり、0≦y≦0.1であり、さらに、aはx/2である。)
【0025】
特開平59−75200号公報に開示される、一般式「MIIFX・aMI X’・bM’IIX’’2 ・cMIII 3 ・xA:yEu2+」で示される輝尽性蛍光体。(上記式において、MIIは、Ba,SrおよびCaからなる群より選択される少なくとも1種であり、MI は、Li,Na,K,RbおよびCsからなる群より選択される少なくとも一種であり、M’IIは、BeおよびMgの少なくとも一方の二価の金属であり、MIII は、Al,Ga,In、およびTlからなる群より選択される少なくとも一種の三価の金属であり、Aは、金属酸化物であり、X、X’およびX’’は、それぞれ、F,Cl,Br,およびIからなる群より選択される少なくとも一種である。また、0≦a≦2であり、0≦b≦1×10−2であり、0≦c≦1×10−2であり、かつ、a+b+c≧10−6であり、さらに、0<x≦0.5であり、0<y≦0.2である。)
【0026】
特に、特開昭57−148285号公報に開示されるアルカリハライド系輝尽性蛍光体は好ましく例示され、中でも特に、MI が、少なくともCsを含み、Xが、少なくともBrを含み、さらに、Aが、EuまたはBiであるアルカリハライド系輝尽性蛍光体は好ましく、その中でも特に「CsBr:Eu」が、好ましい。
【0027】
このような輝尽性蛍光体からなる蛍光体膜の形成方法には、特に限定はなく、真空蒸着、スパッタリング、CVD(Chemical Vapor Deposition)等の各種の真空成膜法が利用可能である。
中でも、生産性等の点で真空蒸着が好ましく、特に、母体成分の材料と、付活剤(賦活剤:activator)成分の材料とを別々に加熱蒸発させる、多元の真空蒸着が好ましい。例えば、前記「CsBr:Eu」の蛍光体膜であれば、母体成分の材料として臭化セシウム(CsBr)を、付活剤成分の材料として臭化ユーロピウム(EuBrx (xは、通常、2〜3))を、それぞれ用いて、別々に加熱蒸発させる、多元の真空蒸着が好ましい。
真空蒸着における加熱方法にも、特に限定はなく、例えば、電子銃等を用いる電子線加熱でも、抵抗加熱でもよい。さらに、多元の真空蒸着を行う場合には、全ての材料を同様の同じ加熱手段(例えば、電子線加熱)で加熱蒸発してもよく、あるいは、母体成分の材料は電子線加熱で、微量である付活剤成分の材料は抵抗加熱で、それぞれ加熱蒸発してもよい。
【0028】
成膜条件にも、特に限定はなく、成膜方法や形成する蛍光体膜の組成等に応じて、適宜、決定すればよい。一例として、真空蒸着であれば、1×10−5Pa〜1×10−2Paの真空度で、0.05μm/min〜300μm/minの成膜速度で成膜を行うのが好ましい。なお、多元の真空蒸着を行う際には、母体成分と付活剤成分の量比が目的範囲となるように、両材料の蒸発速度を制御する。
また、基板の加熱等によって、成膜中に、形成された蛍光体膜を50℃〜400℃で加熱してもよい。
さらに、形成する蛍光体膜の厚さにも、限定はないが、10μm〜1000μm、特に、20μm〜800μmが好ましい。
【0029】
本発明の製造方法においては、このようにして蛍光体膜を形成した後、輝尽発光特性の向上等を目的として、蛍光体膜の加熱処理(アニール処理)を行うのが好ましい。
加熱処理は、50℃〜600℃、特に、100℃〜300℃で、10分〜10時間、特に、30分〜3時間行うのが好ましい。
【0030】
加熱処理を終了したら、次いで、防湿部材による封止を行ってもよいが、封止に先立ち、検査工程を設けるのも、好ましい。
防湿部材による封止は、蛍光体パネル製造の中でも、比較的、多くのコストを占めるため、封止後に蛍光体シートが不適性品であることが分かると、生産コストに与える悪影響が大きい。そのため、封止工程に先立って検査を行い、この時点で、適正品と不適性品とを分別し、適正品のみを防湿部材による封止に供することにより、生産コストの向上等を図ることができる。
【0031】
防湿部材による封止に先立って実施する検査は、通常の蛍光体パネルの製造において行われている、各種の検査が実施可能である。一例として、画質特性(感度、鮮鋭度、粒状性など)、発光特性(消去特性、輝尽発光の残光特性など)、膜厚、画像欠陥等が例示される。また、これらの検査は、公知の方法で実施すればよい。
【0032】
本発明において、蛍光体膜の形成後、封止工程以前に実施する処理は、加熱処理や検査工程に限定はされず、例えば、蛍光体膜を保護するための保護膜の形成、光の散乱を抑えるための蛍光体膜などの着色等、各種の工程(処理)を実施してもよい。
【0033】
蛍光体膜の形成後、所定の工程を終了したら、防湿部材によって蛍光体膜を封止する。
防湿部材とは、光透過性で、かつ、非透湿性の部材であって、一例として、ガラス板、ポリエチレンテレフタレートやポリカーボネートなどの樹脂フィルム、樹脂フィルムにSiO2 、Al2 3 、SiCなどの無機物質を積層したもの等が例示される。
【0034】
封止方法には、特に限定はなく、各種の方法が利用可能である。好ましい一例として、蛍光体膜を形成した基板をガラス板で挟んで、淵(周辺部)を防湿性を有する樹脂等で封止する方法が例示される。
封止方法としては、これ以外にも、ガラス以外の非透湿性の板(シート材)で挟んで周辺を封止する方法、非透湿性のフィルムで蛍光体膜を覆う方法等が例示される。
【0035】
本発明の蛍光体パネルの製造方法においては、以上のような、蛍光体膜の形成終了から、防湿部材による封止終了までの間、蛍光体膜(蛍光体パネル)が存在する環境の露点が0℃以下、および、蛍光体膜の温度が100℃以上の、少なくとも一方の条件を満たす。
【0036】
輝尽性蛍光体、特に、アルカリハライド系の輝尽性蛍光体は、吸湿性を有し、通常の環境下でも、容易に吸湿して、その結果、感度や再生画像の鮮鋭性の低下等を生じてしまう。
このような不都合を防止するために、防湿部材による蛍光体膜の封止が行われているが、これだけでは、高い感度や、鮮鋭性の良好な再生画像を得られる、優れた特性を有する蛍光体パネルを得るには、不十分であるのは、前述のとおりである。
【0037】
このような問題点を解決するために、本発明者は、鋭意検討を行った結果、蛍光体膜の成膜から、防湿部材による封止が終了するまでの間の蛍光体膜の吸湿が、蛍光体パネルの特性低下に影響を与えていることを見出した。
さらに、検討を重ねた結果、蛍光体膜の形成終了から、防湿部材による封止終了までの間、各工程および工程間も含めて、蛍光体膜が存在する環境(雰囲気)の露点を0℃以下、好ましくは−10℃以下とすることにより、また、蛍光体膜の温度を100℃以上とすることにより、製造中における蛍光体膜の吸湿を防止して、優れた感度および再生画像の鮮鋭性を有する、高品質な蛍光体パネルを安定して製造できることを見出した。
【0038】
すなわち、環境の露点を0℃以下である低湿度下で蛍光体パネルを取り扱うことにより、蛍光体パネルの品質や性能に大きな悪影響を与えるような蛍光体膜の吸湿を防止できる。また、蛍光体膜の温度を100℃以上とすることにより、蛍光体膜への水分の付着を防止できる。
従って、蛍光体膜の形成後、封止終了までの蛍光体パネルの製造において、いずれか一方の条件を満たすことにより、高品質な蛍光体パネルを安定して製造できる。なお、蛍光体膜の形成後、封止終了までの間で、何れの条件を満たすかは、各工程や工程間の環境や状態等に応じて、適宜、決定すればよい。
【0039】
蛍光体膜が存在する環境の露点(雰囲気露点)を0℃以下にする方法には、特に限定はなく、生産ラインの構成や環境等に応じて、公知の方法が各種利用可能である。
一例として、蛍光体膜が存在する空間(環境内)にドライエアを流す方法や、エアコンディショナ等による除湿を行うことによって、環境の露点を0℃以下とする方法が例示される。また、例えば、蛍光体膜の形成工程と加熱工程とで場所が異なり、雰囲気の調整がされていない場所を移動する必要がある場合のように、露点が0℃を超える環境で蛍光体膜を形成した蛍光体パネルを移動する場合には、防湿性および密閉性を有するケースを用い、環境露点が0℃以下の場所で、内部の露点を0℃以下とした前記ケースに蛍光体パネルを収容して、移動する方法が例示される。
【0040】
また、蛍光体膜の温度を100℃以上にする方法にも、特に限定はなく、同様に、生産ラインの構成や環境等に応じて、公知の方法が各種利用可能である。
例えば、各工程間で、ヒータ等を用いて蛍光体パネルを加熱することにより、蛍光体膜の温度を100℃以上とする方法が例示される。
また、各工程において、基板や蛍光体膜の加熱を行う場合には、この熱を利用してもよい。前述のように、蛍光体パネルの製造において、蛍光体膜の成膜時には蛍光体膜を加熱してもよく、また、蛍光体膜を形成した後に加熱処理を行うのが好ましい。従って、この加熱温度が100℃以上である場合には、これを利用して、蛍光体膜を100℃以上とすればよく、例えば、蛍光体膜が100℃以下になる前に、露点が0℃以下の場所に蛍光体パネルを移動すればよい。
【0041】
以上、本発明の蛍光体パネルの製造方法について説明したが、本発明は上述の例に限定はされず、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、各種の改良や変更を行ってもよいのは、もちろんである。
【0042】
【実施例】
以下、本発明の具体的実施例を挙げ、本発明をより詳細に説明する。なお、本発明は、以下の実施例に限定されないのは言うまでもない。
【0043】
真空蒸着装置(真空チャンバ)内の基板ホルダに、厚さ0.7mm、面積10cm×10cmのガラス基板を装着した。また、別に準備した臭化セシウムのタブレット、および、臭化ユーロピウムのタブレットを、蒸着源(成膜材料)として、真空蒸着装置内の所定位置に装填した。
真空蒸着装置を閉塞した後、真空排気ポンプ(ロータリーポンプ+デヒュージョンポンプ)にコールドトラップを配した排気系によって真空蒸着装置内を真空排気し、8×10−4Paの真空度とした。次いで、基板ホルダに設置されたシースヒータにより、基板を蒸着面の反対側から200℃に加熱した。
この状態から、電子銃から出射した電子線を各蒸着源に照射して真空蒸着を行い、基板の全面に、CsBr:Eu輝尽性蛍光体からなる厚さ400μmの蛍光体膜を形成した。
その後、雰囲気制御機能を有する焼成炉によって、N2 雰囲気中で200℃の熱処理を2時間行い、蛍光体パネルを作製した。
【0044】
なお、真空蒸着の際に、各蒸着源に対応する電子銃のエミッション電流を調節することにより、Eu/Csモル濃度比を制御して、蛍光体膜(輝尽性蛍光体)におけるEu/Csモル濃度比が5×10−4と3×10−3の、2種の蛍光体パネルを作製した。
【0045】
恒温恒湿槽を用いて、25℃で種々の露点の環境に、作製した蛍光体パネルを置き、経時による蛍光体パネルの感度および鮮鋭度の変化を測定した。
感度および鮮鋭度の測定方法は、以下のとおりである。
【0046】
[感度測定]
蛍光体パネルに、80kVpのX線を100mR照射した。その後、660nmの半導体レーザを励起光量で20J/m2 となる強度および時間で照射し、その際の発光をバンドパスフィルタ(B−410)を通して光電子増倍管で電気信号に変換した。
各蛍光体パネルの電気信号強度について、熱処理→冷却直後(恒温恒湿槽での処理無し)の電気信号強度を100%とし、恒温恒湿槽での処理後における電気信号強度の割合を算出して、感度の低下を調べた。
結果を下記表1に示す。
【0047】
【表1】
Figure 2004061147
【0048】
[鮮鋭度測定]
蛍光体パネルの上に約半面を覆って鉛板を置き、80kVpのX線を100mR照射した。鉛板を外して、660nmの半導体レーザを搭載する放射線画像情報読取装置によって、この蛍光体パネルの画像読取を行い、鉛板がある領域と無い領域との境目のエッジプロファイルを相対比較した。熱処理→冷却直後(恒温恒湿槽での処理無し)の鮮鋭性に対して、
全く劣化が認められない場合を「◎」;
若干の劣化が認められるものの、全く問題がないレベルを「○」;
明確な劣化が認められるが、使用に耐えられるレベルを「△」;
明確な劣化が認められ、使用上問題があるレベルを「×」; とした。
結果を下記表2に示す。
【0049】
【表2】
Figure 2004061147
【0050】
表1および表2に示されるように、比較例である露点10℃の環境下に置いたた蛍光体パネルに比して、本発明の製造方法に対応する、露点0℃以下の環境下に置いた蛍光体パネルは、感度および鮮鋭性共に経時劣化が極めて少なく、特に、露点を−10℃以下とすることにより、感度および鮮鋭性の劣化を殆ど防止することができ、より好ましい結果を得ることができる。
すなわち、本発明によれば、湿度に起因する特性劣化の少ない、高品質な蛍光体パネルを安定して作製できる。
以上の結果より、本発明の効果は、明らかである。
【0051】
【発明の効果】
以上、詳細に説明したように、本発明の輝尽性蛍光体パネルの製造方法によれば、吸湿に起因する輝尽性蛍光体膜の特性劣化のない、高品質な輝尽性蛍光体パネルを、安定して製造することができる。

Claims (2)

  1. 真空成膜法によって輝尽性蛍光体膜を形成した後、防湿部材で少なくとも前記輝尽性蛍光体膜を封止する輝尽性蛍光体パネルの製造において、
    輝尽性蛍光体膜の存在環境が露点0℃以下であることを第1条件、輝尽性蛍光体膜の温度が100℃以上の状態を第2条件とした際に、真空成膜法による輝尽性蛍光体膜の形成を終了した後、前記防湿部材による封止を終了するまでを、前記第1条件および第2条件の少なくとも一方を満たした状態で行うことを特徴とする輝尽性蛍光体パネルの製造方法。
  2. 前記第1条件を、露点−10℃以下とする請求項1に記載の輝尽性蛍光体パネルの製造方法。
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