JP2004060927A - 流動焼却炉を用いた汚泥の焼却方法および焼却設備 - Google Patents

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Masaki Kataoka
片岡 正樹
Takahisa Watanabe
渡辺 孝久
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Abstract

【課題】可燃分当たりの固定炭素分が少ない下水汚泥等の汚泥を流動焼却炉によって確実かつ効率的に、しかも経済的に焼却して処理するための流動焼却炉を用いた汚泥の焼却方法および焼却設備を提供する。
【解決手段】流動層5により汚泥Mを流動しつつ焼却する流動焼却炉1を備えて、この流動焼却炉1に、固形可燃物Pを供給する供給手段12を備えるなどして、流動焼却炉1に汚泥Mを供給して流動させつつ焼却させる流動焼却炉1を用いた汚泥Mの焼却方法において、汚泥Mとともに、この汚泥Mよりも可燃分当たりの固定炭素分が多い固形可燃物Pを供給して焼却する。
【選択図】    図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、特に可燃分当たりの固定炭素分が低い下水汚泥等の汚泥を流動焼却炉によって焼却して処理するための流動焼却炉を用いた汚泥の焼却方法および焼却設備に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
流動焼却炉において炉内に供給された物質は、炉内に形成された流動層のうち下部の流動媒体が比較的高い濃度で激しく流動する濃厚層(デンスベッド)部において流動媒体中に分散されて加熱されることにより、まず水分が蒸発させられ、次いでその有機分が熱分解させられ、さらにこの熱分解によって生成された熱分解生成物が燃焼させられて焼却される。このうち、熱分解生成物の燃焼以外の反応はすべて吸熱反応であり、特に水分の多い汚泥の焼却においては、水分の蒸発に費やされる熱量が大きな値となるので、このような水分の蒸発とその後の有機分の熱分解とを確実に進行させるためには、上記濃厚層部における流動媒体の温度を所定の高温度に安定的に維持しなければならず、このように流動媒体の温度を維持するには、唯一の発熱反応である熱分解生成物の燃焼が十分に行われなければならない。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ここで、本発明の発明者が鋭意研究を重ねた結果、このような流動層の濃厚層部において流動媒体の温度を維持するために該流動媒体に与えられる上記熱分解生成物の単位流動媒体体積当たりの燃焼熱量は、この流動層に供給される物質の可燃分当たりの固定炭素分と正の相関があるという知見を得るに至った。すなわち、上記熱分解生成物には、この固定炭素分に由来するチャーと呼ばれる炭素を主成分とする固体のものと、分解ガスと呼ばれる可燃性ガスとがあり、流動焼却炉を適切な流動速度で運転すると、固体のチャーは濃厚層部において流動媒体中に分散されて大部分がこの流動媒体中で燃焼させられるために燃焼熱は流動媒体に伝えられるが、熱分解ガスは気体であって濃厚層部の流動媒体中には短時間しか滞留せず、その大部分が流動層上部の流動媒体濃度が希薄なフリーボード部で燃焼することとなる。しかるに、このフリーボード部で熱分解ガスが燃焼した燃焼熱も輻射伝熱により濃厚層部の流動媒体を加熱しはするが、通常は濃厚層部とフリーボード部との温度差が小さいことから輻射伝熱量も小さい値となるため、この熱分解ガスの燃焼熱が濃厚層部の流動媒体の温度維持に大きく寄与することはなく、この流動媒体の温度維持は専ら上記チャーの燃焼熱によって賄われることとなり、このチャーを生成する可燃分当たりの固定炭素分によって、濃厚層部における流動媒体温度を維持するための単位流動媒体体積当たりの燃焼熱量が決定されるのである。
【0004】
しかしながら、下水汚泥等の汚泥は、その大部分(例えば80wt%)が上述のように水分である上、この可燃分当たりの固形炭素分も例えば3〜10wt%程度と少なく、下水汚泥の流動焼却炉における単位流動媒体当たりの燃焼熱量は0.6〜1.9GJ/m程度でしかない。一方、都市ゴミや石炭等の流動焼却炉における燃焼熱量は8GJ/m以上であり、従って、下水汚泥の流動焼却炉において都市ゴミや石炭等の流動焼却炉と同等の燃焼熱量を得ようとすると流動媒体の量は4〜15倍ほど必要となり、流動媒体の高さを同一とした場合には流動層床面積が4〜15倍となるため、流動焼却炉が大型化して広大な設置面積が必要となり、経済的ではない。また、このような燃焼熱量の不足を補うために、流動焼却炉に例えば都市ガスのようなガス燃料や重油、灯油のような液体燃料を供給して燃焼させることも行われているが、ガス燃料は上記可燃性ガスと同様に濃厚層部には滞留せずにその大部分がフリーボード部で燃焼させられることとなり、また液体燃料を供給しても即座に気化してやはりその大半がフリーボード部で燃焼してしまうため、濃厚層部における流動媒体の温度維持に効果的に寄与せしめることは困難であり、しかも燃料自体が比較的高価であるので非経済的でもある。
【0005】
本発明は、このような背景の下になされたもので、特に上述のように可燃分当たりの固定炭素分が少ない下水汚泥等の汚泥を流動焼却炉によって確実かつ効率的に、しかも経済的に焼却して処理するための流動焼却炉を用いた汚泥の焼却方法および焼却設備を提供することを目的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決して、このような目的を達成するために、本発明の焼却方法は、流動焼却炉に汚泥を供給して流動させつつ焼却させる流動焼却炉を用いた汚泥の焼却方法であって、上記汚泥とともに、該汚泥よりも可燃分当たりの固定炭素分が多い固形可燃物を供給して焼却することを特徴とし、また本発明の焼却設備は、このような焼却方法に使用される焼却設備であって、流動層により上記汚泥を流動しつつ焼却する上記流動焼却炉を備え、この流動焼却炉に、上記固形可燃物を供給する供給手段を備えたことを特徴とする。従って、このような焼却方法および焼却設備においては、こうして流動焼却炉に供給手段を備えたりすることによって、汚泥とともに、該汚泥よりも可燃分当たりの固定炭素分が多い固形可燃物を供給することにより、汚泥だけではまかなえない流動層濃厚層部における流動媒体の温度維持のための燃焼熱量を十分に確保することができ、しかもこの可燃物は固形物であるので、即座にフリーボード部に上昇したりすることなく、濃厚層部の流動媒体中に長く滞留して分散され、燃焼させられるため、確実かつ効率的にその燃焼熱を流動媒体に伝えることができる。
【0007】
ここで、本発明の焼却方法においては、上記固形可燃物の可燃分当たりの固定炭素分は20wt%以上であるのが望ましく、すなわちこの固形炭素分が少なすぎると濃厚層部の流動媒体の温度維持が十分に図られなくなるおそれがある。なお、この固形可燃物の可燃分当たりの固定炭素分は多いほど望ましく、可燃分100wt%が固定炭素分であっても構わない。また、本発明は、例えば工場排水の汚泥などの焼却にも適用可能であるが、固形可燃物の可燃分当たりの固定炭素分が少ない下水汚泥に適用して特に効果的である。さらに、汚泥とともに流動焼却炉に供給される上記固形可燃物としては、可燃分当たりの固定炭素分が上述の20wt%を上回るとともに比較的安価でもある石炭、コークス、おがくず、バーク、および籾殻のうちの少なくとも1種を用いることが、効率的かつ経済的であって望ましく、特におがくず、バーク、籾殻のような廃棄物を用いることは廃棄物処理にもなって一層経済的である。
【0008】
一方、本発明の焼却設備においては、上記供給手段が、汚泥と上記固形可燃物とを混合して流動焼却炉に供給可能とされたものでもよく、上記固形可燃物を汚泥とは独立して流動焼却炉に供給可能とされたものでもよい。すなわち、前者のように汚泥と固形可燃物とを混合して流動焼却炉に供給すれば、固形可燃物を汚泥と均一に燃焼させて該汚泥の確実な焼却を図ることが可能であるが、このように汚泥と混合して流動焼却炉に供給可能な固形可燃物はその粒子の比較的小さいものに限られ、例えば上述の固形可燃物のうち微粉炭を除く石炭やコークス、バーク(樹皮)などは供給手段に詰まりを起こしたりするおそれがあるので、そのような固形可燃物を供給する場合には後者のように汚泥と独立して別に流動焼却炉に供給すればよい。また、上記流動焼却炉に炉内温度を検出する温度検出手段を備え、この温度検出手段による検出結果に基づいて上記供給手段を制御可能とすれば、一層確実かつ安定して上記濃厚層部における流動媒体の温度維持を図ることが可能となる。
【0009】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明の流動焼却炉を用いた汚泥の焼却設備の一実施形態を示すものであり、以下この実施形態の焼却設備について説明しながら、本発明の流動焼却炉を用いた汚泥の焼却方法の一実施形態についても説明する。この図1において符号1で示すのは流動焼却炉であって、この流動焼却炉1の炉内は、その底部が、多数の孔が開けられたガス分散板2によって仕切られて風箱3とされ、この風箱3に流動ガス供給口4から流動ガス(本実施形態では空気)が供給されてガス分散板2の上記多数の孔から炉内上部に噴出させられる。なお、このようなガス分散板2および風箱3に代えて、流動焼却炉の炉内底部に多数の孔を開けたガス分散パイプを配設し、このガス分散パイプに流動ガスを供給して上記孔から噴出させるようにしてもよい。
【0010】
また、上記ガス分散板2またはガス分散パイプよりも上方の流動焼却炉1内には流動媒体Sが充填されており、この流動媒体Sが上記流動ガスによって流動させられることにより、この流動焼却炉1内には流動層5が形成される。そして、この流動層5は、上述のようにその下部が、流動媒体Sが比較的高い濃度で流動する濃厚層部6とされるとともに、これよりも上部が流動媒体Sの濃度の低いフリーボード部7とされる。なお、流動媒体Sとしては通常硅砂が用いられ、また本実施形態のような汚泥の焼却設備の流動焼却炉1における流動媒体Sの充填高さは1〜1.5m程度である。
【0011】
さらに、この流動焼却炉1の炉頂部には排ガス出口8が設けられていて、流動焼却炉1内での焼却によって発生した燃焼排ガスは、この排ガス出口8から排出されて空気予熱器9に供給され、さらに図示されない排ガス処理設備で集塵や脱臭等の清浄化処理がなされた後、大気に排出される。また、この空気予熱器9には流動ブロア10で昇圧させられた空気Aが供給可能とされていて、該空気加熱器9に供給された高温の上記燃焼排ガスによって加熱された上で、上記流動ガスとして流動焼却炉1の風箱3に供給されるようになされている。
【0012】
一方、流動焼却炉1には、その炉内に形成される上記流動層5のフリーボード部7に当たる高さに位置するように供給口11が設けられており、本実施形態の焼却方法および焼却設備において流動焼却炉1を用いて焼却される汚泥Mは、この供給口11から炉内に供給される。そして、この供給口11には、本実施形態では上記汚泥Mを固形可燃物Pと混合して供給可能な供給手段12が接続されており、この供給口11より、汚泥Mとともに、該汚泥Mよりも可燃分当たりの固定炭素分の多い上記固形可燃物Pが流動焼却炉1に供給されて焼却可能とされている。
【0013】
ここで、本実施形態における供給手段12は、汚泥Mを受け入れて収容する受入ホッパー13の下部にこの受入ホッパー13内の汚泥Mを所定量ずつ切り出して供給するスクリュウコンベア等の切り出しコンベア14が設けられた汚泥供給機15と、同じように固形可燃物Pを受け入れて収容する受入ホッパー16の下部に該受入ホッパー16内の固形可燃物Pを所定量ずつ切り出して供給するスクリュウコンベア等の切り出しコンベア17が設けられた可燃物供給機18と、これら汚泥供給機15および可燃物供給機18から供給された汚泥Mと固形可燃物Pとを混合するパドル式等の混合機19、およびこの混合機19で混合された汚泥Mと固形可燃物Pとの混合物を上記供給口11から流動焼却炉1内に供給する供給ポンプ20とから概略構成されている。また、上記流動焼却炉1には、その炉内に形成される上記流動層5の濃厚層部6に当たる高さに位置するようにして炉内温度を検出する熱電対温度計等の温度検出手段21が備えられており、この温度検出手段21は図示されないコンピュータ等の演算制御手段を介して上記可燃物供給機18の切り出しコンベア17に接続されていて、この可燃物供給機18による混合機19への固形可燃物Pの供給量が、温度検出手段21による検出結果に基づいて制御可能とされている。
【0014】
さらに、本実施形態では、上記汚泥Mとして下水汚泥が供給されて流動焼却炉1により焼却させられる。また、上記固形可燃物Pとしては、その可燃分当たりの固定炭素分が20wt%以上のものが供給され、具体的には石炭、コークス、おがくず、バーク、および籾殻のうちの少なくとも1種が挙げられるが、本実施形態の供給手段12のように、固形可燃物Pを可燃物供給機18においてスクリュウコンベア等の切り出しコンベア17によって切り出し、さらに混合機19において汚泥Mと混合して供給ポンプ20によって流動焼却炉1に供給する場合には、この固形可燃物Pが塊状の石炭やコークス、あるいはバークであったりすると、切り出しコンベア17や混合機19、供給ポンプ20において詰まりを生じたりするおそれがあるので、石炭やコークスのうちでも微粉炭のように粒子の細かいものや、おがくず、籾殻などを供給するのが望ましい。
【0015】
従って、このように構成された焼却設備、および該焼却設備による流動焼却炉1を用いた汚泥Mの焼却方法においては、特に下水汚泥のように水分が多くて可燃分当たりの固定炭素分の少ない汚泥Mを焼却する場合でも、上記供給手段12により該汚泥Mより可燃分当たりの固定炭素分の多い固形可燃物Pが汚泥Mとともに流動焼却炉1に供給されて燃焼、焼却させられるので、この燃焼による流動層5の濃厚層部6においての流動媒体Sの単位体積当たりの燃焼熱量を上昇させることができ、濃厚層部6における流動媒体Sの温度を高温かつ安定的に維持することができる。しかも、汚泥Mとともに供給される固形可燃物Pは固形物であるため、ガスや液体燃料のように流動層5のフリーボード部7に上昇して燃焼することがなく、長く濃厚層部6に滞留して燃焼させられるため、この濃厚層部6における流動媒体Sの温度維持に効果的に寄与する。このため、上記構成の焼却方法および焼却設備によれば、流動焼却炉1による汚泥Mの処理能力の向上を図ることができ、また処理能力を同じとした場合には必要とされる流動媒体Sの量が少なくて済むので、流動焼却炉1のコンパクト化を図ることができ、いずれにしても確実かつ効率的で、しかも経済的な汚泥Mの焼却処理を促すことが可能となる。
【0016】
また、本実施形態の焼却方法においては、上記固形可燃物Pの可燃分当たりの固定炭素分が20wt%以上とされていて、可燃分当たりの固形炭素分が3〜10wt%程度の汚泥Mの倍以上とされており、一層確実かつ効率的な汚泥Mの焼却を促すことができる。すなわち、こうして固形可燃物Pを汚泥Mとともに流動焼却炉1に供給しても、その可燃分当たりの固定炭素分が少ないと濃厚層部6における燃焼熱量の上昇が望めず、流動媒体Sの十分な温度維持が図られなくなるおそれが生じる。
【0017】
さらに、上記固形可燃物Pとして石炭、コークス、おがくず、バーク、および籾殻のうちの少なくとも1種を用いた場合には、都市ガス等のガス燃料や重油、灯油等の液体燃料を用いる場合に比べて経済的である。また、このうち特に石炭やコークスは可燃分当たりの固定炭素分がより多く、さらに一層確実かつ効率的な焼却処理を図ることができる。その一方で、おがくずやバーク、籾殻は廃棄物であるので、これらを用いれば、このような廃棄物を利用して、しかも同じ廃棄物である汚泥Mの焼却と同時にこれらの廃棄物の焼却処理をも行うこともでき、さらに効率的かつ経済的である。加えて、これらの固形可燃物Pは、焼却後の灰分に重金属等の有害物質が含まれることがなく、汚泥Mとして下水汚泥を焼却する場合にはその灰分にも重金属等の有害物質が含まれることが少ないため、焼却灰の処理が容易になるという利点も得られる。
【0018】
なお、流動焼却炉1内に形成される流動層5の濃厚層部6において維持すべき流動媒体Sの温度にもよるが、固形可燃物Pとしてこのような石炭、コークス、おがくず、バーク、および籾殻をそれぞれ単独で用いるようにした場合、汚泥Mの供給量に対する各固形可燃物Pの好適な供給量は、例えば汚泥Mとして水分80wt%の下水汚泥を100t/日(4167kg/h)で供給したとすると、固形可燃物Pが石炭のときは210kg/h、コークスのときは200kg/h、おがくず(水分45wt%)のときは550kg/h、バーク(水分50wt%)のときは650kg/h、籾殻(水分30wt%)のときは710kg/hであった。勿論、これら各種の固形可燃物Pのうちの2種以上を流動焼却炉1に供給するようにしてもよい。また、上記おがくずとしては、例えばきのこ栽培に使用したおがくずなども利用可能である。
【0019】
一方、本実施形態の焼却設備においては、流動焼却炉1に上述のような固形可燃物Pを供給する供給手段12が、混合機19によって汚泥Mと固形可燃物Pとを混合して流動焼却炉1に供給可能とされており、従って流動層5の濃厚層部6において部分的に汚泥Mが多く供給されて流動媒体Sの温度が低下したり、逆に部分的に固形可燃物Pが多く供給されて流動媒体Sの温度が上昇したりするような事態を防止することができ、濃厚層部6の全体に亙って均一な流動媒体Sの温度維持を図ることが可能となる。ただし、このように汚泥Mと固形可燃物Pとを混合して供給する場合において、本実施形態の供給手段12のように、可燃物供給機18がスクリュウコンベア等の切り出しコンベア17を備えていたり、混合機19において混合した汚泥Mと固形可燃物Pとを供給ポンプ20によって流動焼却炉1に供給するようにしていたりする場合には、上述のようにこの固形可燃物Pが塊状の石炭やコークス、バークであると、切り出しコンベア17や混合機19、供給ポンプ20において詰まりを生じたりするおそれがあるので、このような場合に汚泥Mと混合されて供給される固形可燃物Pとしては、石炭やコークスの微粉炭や、おがくず、籾殻などの粒径の細かいものが選択されるのが望ましい。
【0020】
また、本実施形態ではこのように固形可燃物Pと汚泥Mとを混合してその混合物を流動焼却炉1に供給するようにしているが、固形可燃物Pとして上述のような塊状の石炭、コークス、バークのように詰まりを生じたりして供給に支障を来すおそれがあるものを用いる場合には、例えば供給手段として流動焼却炉1にこのような固形可燃物Pを図1に鎖線で示すように直接的に供給可能な可燃物供給口22を設けるなどして、固形可燃物Pを汚泥Mとは独立して上記流動焼却炉1に供給可能としてもよい。なお、このように固形可燃物Pを汚泥Mと独立して別々に流動焼却炉1に供給する場合には、上記供給手段12における混合機19は省略可能である。また、石炭やコークスの微粉炭やおがくず、籾殻等の粒径の細かい固形可燃物Pでもこのように汚泥Mと独立して流動焼却炉1に供給するようにしてもよく、さらに上述のように各種の固形可燃物Pのうちの2種以上を流動焼却炉1に供給するようにした場合において、粒径の細かい固形可燃物Pは上記供給手段12によって汚泥Mと混合して供給するとともに、塊状の固形可燃物Pは汚泥Mと独立して直接流動焼却炉1に供給するようにしてもよい。
【0021】
さらにまた、本実施形態の焼却設備においては、上記流動焼却炉1に炉内温度を検出する温度検出手段21が備えられており、この温度検出手段21による検出結果に基づいて上記供給手段12が制御可能とされている。すなわち、この流動焼却炉1内に形成される流動層5の濃厚層部6の温度がこの温度検出手段21によって検出されて、その検出結果に基づき、供給手段12の可燃物供給機18におけるスクリュウコンベア等の切り出しコンベア17が制御されて混合機19に供給される固形可燃物Pの供給量が調節され、従って流動焼却炉1への固形可燃物Pの供給量も調整されるので、例えば下水汚泥Mの供給量やその水分が増大したりして炉内温度が低下した場合には、上記演算制御手段による自動制御などによって固形可燃物Pの供給量も増大させるように供給手段12を制御し、逆に炉内温度が上昇しすぎた場合には固形可燃物Pの供給量を減らすように供給手段12を制御することにより、さらに一層確実かつ安定的な濃厚層部6における流動媒体Sの温度維持を図ることが可能となる。
【0022】
【実施例】
次に、上記実施形態の焼却方法および焼却設備に基づく本発明の実施例を挙げて、上述の効果を説明する。本実施例では、内径400mmの円筒状をなす流動焼却炉1に、流動速度を速くしても流動媒体Sが飛散しないように比較的粒径の大きい(平均粒径980μm)の硅砂を流動媒体Sとして充填高さ1mで張り込み、流動ガスを供給して流動層5を形成するとともに、この流動層5の濃厚層部における流動媒体Sの温度を、図1には示されていない昇温用バーナーによって850℃に昇温した。そして、このように流動層5が形成された流動焼却炉1に、水分78wt%、可燃分当たりの固定炭素分5.2%、固形分発熱量17MJ/kgの下水汚泥を汚泥Mとして、また水分47wt%、可燃分当たりの固定炭素分27%、固形分発熱量20MJ/kgのきのこ栽培後の廃棄おがくずを固形可燃物Pとして、これらを供給手段12によって混合して供給し、汚泥Mの焼却を行った。このとき、汚泥Mの供給量を130kg/hとし、固形可燃物Pの供給量を70kg/hとして、合計200kg/hの汚泥Mと固形可燃物Pとの混合物を流動焼却炉1に供給したところ、濃厚層部6における流動媒体Sの温度は850℃、フリーボード部7の温度は845℃となって安定した流動焼却炉1の運転および汚泥Mの焼却が可能であった。なお、この安定運転中は、上記昇温用バーナーの操作は勿論、他の燃料の供給は行われていない。従って、この実施例による流動焼却炉1の処理能力は130kg/h以上であることが判った。
【0023】
一方、この実施例に対する比較例として、固形可燃物Pの供給を行わずに、汚泥Mとして実施例と同じ下水汚泥のみを供給手段12から流動焼却炉1に供給する一方、この汚泥Mの供給後は上記昇温用バーナーに代えて、やはり図示されていないガスバーナーから都市ガス(13A)を流動層5の濃厚層部6に供給し、汚泥Mの供給量を徐々に増加させつつ、この濃厚層部6の流動媒体Sの温度が極力当初の850℃を維持するように都市ガスの供給量を調整して焼却を行った。なお、このときの流動媒体Sとしては平均粒径が80μmの硅砂を用いた。しかるに、この比較例では、汚泥Mの供給量が50kg/h程度までは13mN/hの都市ガスを供給することにより流動媒体Sに温度維持が可能であったものの、50kg/hを越えた当たりから、流動層5の濃厚層部6の温度が低下し始める一方、フリーボード部7の温度は逆に上昇し始め、汚泥Mの供給量を70kg/hにまで増加させると、濃厚層部6の流動媒体Sの温度は450℃まで低下し、フリーボード部7の温度は970℃まで上昇してしまった。このことから、この比較例による流動焼却炉1の処理能力は50kg/h程度であることが判り、これに対して上記実施例による処理能力は2倍以上であって、本発明により流動焼却炉1の処理能力が向上したことが認められ、逆に処理能力を同じとした場合には流動焼却炉1のコンパクト化を図ることが可能であることが判る。
【0024】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の流動焼却炉を用いた汚泥の焼却方法および焼却設備によれば、可燃分当たりの固定炭素分が望ましくは20wt%以上と焼却する汚泥よりも多い、例えば石炭、コークス、おがくず、バーク、籾殻等の固形可燃物を、汚泥とともに流動焼却炉に供給して焼却することにより、この汚泥が下水汚泥であっても、流動層の濃厚層部における燃焼熱量を十分に確保することができて、この濃厚層部の流動媒体の温度を安定的に維持することが可能となり、これにより確実かつ効率的で、しかも経済的な汚泥の焼却を図ることができる。また、この固形可燃物を汚泥とを混合して流動焼却炉に供給すれば、流動媒体の温度を均一に安定化させることができる一方、固形可燃物の大きさ等によっては汚泥と独立して固形可燃物を供給することもできる。さらに、この固形可燃物を供給する供給手段を流動焼却炉の炉内温度に基づいて制御すれば、一層確実かつ安定して流動媒体の温度維持を図ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の流動焼却炉を用いた汚泥の焼却設備の一実施形態を示す図である。
【符号の説明】
1 流動焼却炉
5 流動層
6 濃厚層部
7 フリーボード部
12 供給手段
15 汚泥供給機
18 可燃物供給機
19 混合機
21 温度検出手段
M 汚泥
P 固形可燃物
S 流動媒体

Claims (8)

  1. 流動焼却炉に汚泥を供給して流動させつつ焼却させる流動焼却炉を用いた汚泥の焼却方法であって、上記汚泥とともに、該汚泥よりも可燃分当たりの固定炭素分が多い固形可燃物を供給して焼却することを特徴とする流動焼却炉を用いた汚泥の焼却方法。
  2. 上記固形可燃物の可燃分当たりの固定炭素分が20wt%以上であることを特徴とする請求項1に記載の流動焼却炉を用いた汚泥の焼却方法。
  3. 上記汚泥が下水汚泥であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の流動焼却炉を用いた汚泥の焼却方法。
  4. 上記固形可燃物が、石炭、コークス、おがくず、バーク、および籾殻のうちの少なくとも1種であることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の流動焼却炉を用いた汚泥の焼却方法。
  5. 請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の流動焼却炉を用いた汚泥の焼却方法に使用される焼却設備であって、流動層により上記汚泥を流動しつつ焼却する上記流動焼却炉を備え、この流動焼却炉には、上記固形可燃物を供給する供給手段が備えられていることを特徴とする流動焼却炉を用いた汚泥の焼却設備。
  6. 上記供給手段は、上記汚泥と上記固形可燃物とを混合して上記流動焼却炉に供給可能とされていることを特徴とする請求項5に記載の流動焼却炉を用いた汚泥の焼却設備。
  7. 上記供給手段は、上記固形可燃物を上記汚泥とは独立して上記流動焼却炉に供給可能とされていることを特徴とする請求項5に記載の流動焼却炉を用いた汚泥の焼却設備。
  8. 上記流動焼却炉には炉内温度を検出する温度検出手段が備えられており、この温度検出手段による検出結果に基づいて上記供給手段が制御可能とされていることを特徴とする請求項5ないし請求項7のいずれかに記載の流動焼却炉を用いた汚泥の焼却設備。
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