JP2004060640A - バルブ構造およびこれを用いた容積型ポンプ - Google Patents
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Abstract
【課題】流路抵抗を低減し、ポンプの効率を上げることのできるバルブ構造および容積型ポンプを提供することを目的とする。
【解決手段】容積型ポンプに用いられるバルブであって、ポンプ室26へ流体が吸引されるときには開き、ポンプ室26から流体が送出される際には閉じる吸引用バルブ41、またはポンプ室26へ流体が吸引されるときには閉じ、ポンプ室26から流体が送出される際には開く送出用バルブ42のバルブ構造において、流路25、38を開閉する弁体27、39を備え、該弁体27、39は、弁座43への当接状態において、流路25、38に対して傾斜して配設されていることを特徴とする。
【選択図】 図9
【解決手段】容積型ポンプに用いられるバルブであって、ポンプ室26へ流体が吸引されるときには開き、ポンプ室26から流体が送出される際には閉じる吸引用バルブ41、またはポンプ室26へ流体が吸引されるときには閉じ、ポンプ室26から流体が送出される際には開く送出用バルブ42のバルブ構造において、流路25、38を開閉する弁体27、39を備え、該弁体27、39は、弁座43への当接状態において、流路25、38に対して傾斜して配設されていることを特徴とする。
【選択図】 図9
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は容積型ポンプに用いるバルブ構造およびこれを用いた容積型ポンプに関する。
【0002】
【従来の技術】
容積型ポンプの一種であるダイアフラムポンプは、ダイアフラムを往復駆動させることによりダイアフラム室(ポンプ室)を容積変化させ、これにともなって空気等の流体の吸排を可能にする装置である。一般的なダイアフラムポンプはダイアフラムを機械的に往復駆動してダイアフラム室を容積変化させるものである。
図12は、ダイアフラムを駆動する駆動力に電磁力を利用する従来例(特開2001−50165)を示す。同図で、10a、10bは対向して配置したポンプ室であり、各々のポンプ室10a、10bは、弾性を有するダイアフラム12により2つのダイアフラム室に仕切られている。14は各々のダイアフラム12の面内の中央部に固定した永久磁石であり、16はポンプ室10a、10bの中間に配置した電磁石である。
【0003】
電磁石16はコイルに交流電源を通電することにより、磁石の両端の極性をN極とS極に交互に変化させ、電磁石16とダイアフラム12に固定された永久磁石14との間で生じる磁力によりダイアフラム12を互いに反発させあるいは吸引させる。ダイアフラム12によって仕切られた各々のダイアフラム室には吸気弁18と排気弁19が設けられており、ダイアフラム12が駆動されることによってダイアフラム室に空気が吸引され排気されて所要のポンプ作用をなす。
【0004】
上記吸気弁18の構造は図13に示すものが考えられる。
11は、流路13中に介挿され、一端の回動軸11aを中心として回動自在に設けられた弁体である。15はストッパ、17は弁座である。
弁体11は、弁座17に当接する、流路13に直交する位置(実線位置)から、ストッパ15に当接する、流路13に対してほぼ45°の角度で傾斜する位置(破線位置)まで、回転軸11aを中心として回動する。
空気が矢印の方向に吸引される際には、負圧により、弁体11は破線位置まで回動して流路13を開き、これにより空気がダイアフラム室に吸引される。このとき排気弁19は閉じられる。
空気がダイアフラム室から排気される際には、正圧により、弁体13が実線位置まで回動して弁座17に当接し、流路13を遮断する。このとき排気弁19が開き、空気が排出され、ポンプ作用がなされる。排気弁19も吸気弁18と同様の構造に形成されている。
【0005】
【特許文献1】
特開2001−50165
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記容積ポンプのバルブ構造には次のような課題がある。
すなわち、空気(流体)が吸引(あるいは排気、送出)される際、弁体11が押し開かれるのであるが、弁体11が流路13に直交して設けられているため、特に弁体11が流路13を開放する初期の状態において、弁体11を押し開くために大きな力を要し、圧力損失が大きくなり、ポンプ効率が悪いという課題がある。また、弁体11の応答速度も遅いという課題がある。
また、弁体11がストッパ15に当接して、流路13を開放した場合にあっても、弁体11が流路13に約45°の角度をなし、流路が大きく曲がる状況となるため、流路抵抗が高いという課題があった。
【0007】
そこで、本発明はこれらの課題を解決すべくなされたものであり、流路抵抗を低減し、ポンプの効率を上げることのできるバルブ構造および容積型ポンプを提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記目的を達成するため、次の構成を備える。
すなわち、本発明に係るバルブ構造は、容積型ポンプに用いられるバルブであって、ポンプ室へ流体が吸引されるときには開き、ポンプ室から流体が送出される際には閉じる吸引用バルブ、またはポンプ室へ流体が吸引されるときには閉じ、ポンプ室から流体が送出される際には開く送出用バルブのバルブ構造において、流路を開閉する弁体を備え、該弁体は、弁座への当接位置において、前記流路に対して傾斜して配設されていることを特徴とする。
また、前記弁体が、前記流路に対して30°以上傾斜するように配設されていることを特徴とする。
【0009】
また、前記弁体は、一端側に設けた回動軸を中心に回動して前記流路を開閉する弁体に形成され、該弁体が、弁座への当接状態において、前記回動軸が設けられた一端側とは反対側となる他端側が該一端側に対して、流体の流れ方向後方側に位置するように傾斜して配設されていることを特徴とする。
【0010】
また、前記弁体が流体の流れ込み方向に所要角度回動した際、該弁体のそれ以上の回動を規制するストッパを設けると好適である。
この場合に、前記ストッパを、前記弁体が、前記流路に直交する位置よりも流体の流れ込み方向後方側に45°以上開いた位置で回動を規制するように設定すると好適である。
また、前記ストッパを、前記弁体が最大に開いたときに流路方向から見た弁体の投影エリア内に位置するように設けると、流路抵抗を減じることができ、好適である。
【0011】
また、前記弁体の、前記回動軸とその軸受との間に、前記回動軸が回動軸の軸線と交差する方向に揺動して前記弁体が前記弁座に密接可能なように所要のクリアランスを設けるようにすると好適である。
この場合、前記回動軸を軸受の軸線に対して2°以上揺動可能なクリアランスに設定すると好適である。
【0012】
また、本発明に係る容積型ポンプは、ポンプ室へ流体が吸引されるときには開き、ポンプ室から流体が送出される際には閉じる吸引用バルブと、ポンプ室へ流体が吸引されるときには閉じ、ポンプ室から流体が送出される際には開く送出用バルブとを有する容積型ポンプにおいて、前記吸引用バルブもしくは前記送出用バルブ、または前記吸引用バルブおよび前記送出用バルブの双方に、上記いずれかのバルブ構造を用いたことを特徴とする。
【0013】
さらに、本発明に係るダイアフラムポンプは、外周縁部をフレーム体に固定して、フレーム体にダイアフラムを取り付けることにより該ダイアフラムとフレーム体との間にダイアフラム室を設け、該ダイアフラム室に連通して吸引用バルブと送出用バルブとを設け、 前記ダイアフラムを駆動する駆動手段を設けたダイアフラムポンプにおいて、前記吸引用バルブもしくは前記送出用バルブ、または前記吸引用バルブおよび前記送出用バルブの双方に、上記いずれかのバルブ構造を用いたことを特徴とする。
【0014】
この場合に、前記駆動手段を、前記ダイアフラムの外面に取り付けられた永久磁石と、該永久磁石に対向し、前記ダイアフラムを挟んで前記永久磁石とは反対側となる前記フレーム体の外面に設けられた電磁力の発生手段とで構成できる。あるいは、前記駆動手段を、前記ダイアフラムの外面に取り付けられた電磁力の発生手段と、該電磁力の発生手段に対向し、前記ダイアフラムを挟んで前記電磁力の発生手段とは反対側となる前記フレーム体の外面に設けられた永久磁石とで構成することができる。
また、前記電磁力の発生手段を、空芯の通電コイルあるいは空芯の鉄心を有する通電コイルで構成できる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好適な実施の形態について添付図面とともに詳細に説明する。図1、2は、容積型ポンプの一例である電磁式のダイアフラムポンプの実施形態の構成を示す断面図であり、図1はダイアフラム20が上位置(吸気状態)にある状態、図2はダイアフラム20が下位置(排気状態)にある状態を示す。
なお、容積型ポンプは電磁式ダイアフラムポンプに限られず、駆動モータによって偏心駆動される偏心カムにダイアフラムを連結するなどして、ダイアフラムを機械的に往復駆動するようにしてもよい(図示せず)。以下では電磁式のもので説明する。
【0016】
本実施形態の電磁式ダイアフラムポンプは、第1のフレーム体22aと第2のフレーム体22bとから成る本体(フレーム体)22内にダイアフラム20を可動に収納する収納空間を設けて組み立てられている。すなわち、第1のフレーム体22aと第2のフレーム体22bの対向面には、ダイアフラム20を収納するための凹部23a、23bが各々設けられ、ダイアフラム20はこの凹部23a、23bによって形成された空間内で本体22の厚さ方向に可動に支持されている。
【0017】
20aはダイアフラム20の外周縁に沿って所定幅で設けられたクランプ部である。
図3に第1のフレーム体22aにダイアフラム20をセットした状態の平面図を示す。図のように、ダイアフラム20は円形状に形成した部材であり、クランプ部(外周縁部)20aはダイアフラム20の外周縁部の全周にわたって設けられている。すなわち、ダイアフラム20は、第1のフレーム体22aと第2のフレーム体22bの凹部23a、23bの開口縁部に沿って、その外周縁部の全周が第1のフレーム体22aと第2のフレーム体22bによって挟圧されて支持される。24がダイアフラム20を挟圧した状態で、第1のフレーム体22aと第2のフレーム体22bとを挟圧して固定する固定ねじである。
【0018】
図1で、ダイアフラム20とダイアフラム20に対向して配置される第1のフレーム体22aとがダイアフラム室26を構成し、第1のフレーム体22aが固定壁、ダイアフラム20が可動壁に相当する。25は第1のフレーム体22aの中央部に開口して設けた吸気孔(流路)、27は吸気孔25とダイアフラム室26との連通を制御する弁体である。吸気孔(流路)25、弁体27等で吸引用バルブ41を構成する。弁体27は外気が吸気孔25からダイアフラム室26内に流入する際に吸気孔25を開放し、逆に、ダイアフラム室26から空気が外部に流出する際には吸気孔25を閉塞して空気の流れを遮断するように作用する。
一方、第2のフレーム体22bは中央部に開口部28が設けられ、開口部28を介して第2のフレーム体22bの内外で空気が流通可能に設けられている。
【0019】
ダイアフラム20は第1のフレーム体22aと第2のフレーム体22bとにより外周縁部がクランプされた状態で本体(フレーム体)22の厚さ方向に往復動するものであり、ゴム等の一定の弾性と耐久性を有する素材によって形成される。ダイアフラム20の材質にはEPDM等のゴムが好適であるが、所要の柔軟性、耐久性を有する素材であればとくに材質が限定されるものではない。
本実施形態の電磁式ダイアフラムポンプでは、ダイアフラム室26の外部となるダイアフラム20の外面に永久磁石30を取り付ける。本実施形態では、図3に示すように、矩形の平板状に形成した永久磁石30を使用しているが、円形等の適宜形状の永久磁石を使用することができる。永久磁石30はダイアフラム20の中央に固定する。永久磁石30は厚さ方向に磁化しており、N−S極の極性はどちらでもかまわない。
【0020】
32はダイアフラム20の外面に固定して設けた支持プレートである。永久磁石30はこの支持プレート32の中央に設けた開口部内に固定して取り付けられる。
支持プレート32はダイアフラム20のクランプ部(外周縁部)20aとの間(外周縁部の内側)に所定幅のリング状部(可動部)20bを残して、ダイアフラム20の外面を覆うように設けられる。支持プレート32はダイアフラム20が平坦面を保持して本体22の厚さ方向に平行に駆動されるようにダイアフラム20を支持する作用をなす。こうして、ダイアフラム20は支持プレート32とクランプ部20aとで挟まれたリング状部20bの部分のみ変形して押動されることになる。
【0021】
このようにダイアフラム20の全体を変形させず、ダイアフラム20のクランプ部20aに沿ったリング状部20bのみを変形させる構成とすることでダイアフラム20の耐久性が向上し長寿命化を図ることができる。本実施形態では、リング状20bをダイアフラム20の他の部位よりも若干薄厚に形成してダイアフラム20の応答性を良好にし、また、ダイアフラム20が下位置に移動した際に、第1のフレーム体22aに設けた凹部23aの内面(テーパ面)との間が若干離間して流通空間が形成されるようにしている。
【0022】
支持プレート32には所定配置で貫通孔32aが設けられ、この貫通孔32aにダイアフラム20の外面に、ダイアフラム20と一体に形成されたストッパー突起20cが嵌入する。ストッパー突起20cは、ダイアフラム20が第2のフレーム体22bの内面に衝突する際にダイアフラム20の衝撃を緩衝させるために設けたものであり、図1に示すように、支持プレート32の外面よりも端面が突出するように設けられている。本実施形態では、ストッパー突起20cを、図3に示すように、周方向に均等間隔となる4個所に設けているが、ストッパー突起20cの配置数等は適宜選択可能である。
【0023】
図1で、34は永久磁石の背面に設けたバックヨークである。このバックヨーク34は永久磁石に磁界が効率的に作用するように設けたもので、鉄等の磁性体によって形成される。本実施形態では、永久磁石30と同形の平板状にバックヨーク34を形成し、永久磁石30に重ねてバックヨーク34を取り付けている。
【0024】
また、図1において、40は第1のフレーム体22aの外面に取り付けた通電コイルである。この通電コイル40は永久磁石30に磁力を作用させてダイアフラム20を駆動するためのものである。図のように、通電コイル40は第1のフレーム体22aの中央に配置した吸気バルブ27の周囲を巻回するように設ける。こうして、通電コイル40はダイアフラム20に対向する配置で第1のフレーム体22aに取り付けられる。なお、通電コイル40は第1のフレーム体22aに収納できるように、できるだけ巻き線の厚さが薄くなるようにするのがよい。図4に、第1のフレーム体22aを下面側から見た状態を示す。第1のフレーム体22aの中央に吸気孔(流路)25が開口し、吸引用バルブ41の周囲に通電コイル40が配置されている。
【0025】
なお、本実施形態においては永久磁石30に電磁力を作用させる電磁力の発生手段として空芯の通電コイル40を使用したが、電磁力の発生手段は必ずしも空芯の通電コイル40に限定されるものではない。鉄心を備えた通電のコイルであっても空芯の鉄心を使用することで本実施形態と同様な配置とすることができる。また、本実施形態では通電コイル40の巻線領域内の中央に吸引用バルブ41を配置したが、吸引用バルブ41を配置する位置も通電コイル40の巻線領域内に限らず、第1のフレーム体22aで適宜位置を選択することができる。
【0026】
36は第1のフレーム体22aの下面に取り付けた制御用基板である。本実施形態では、第1のフレーム体22aの下面で通電コイル40が配置されている領域を除いた一半部に制御用基板36を取り付けている。制御用基板36は通電コイル40に通電する時間、極性等を制御する駆動回路を搭載したものであり、これによって電磁式ダイアフラムポンプをモジュール化したユニットとして適宜商品に搭載することが可能となる。図1に示すように、制御用基板36も第1のフレーム体22aの厚さ内に収納することによって、ダイアフラムポンプを駆動する所要のモジュールがすべて本体22内に収納され、きわめてコンパクトな電磁式ダイアフラムポンプが構成される。
【0027】
なお、上記実施の形態とは逆に、永久磁石30を第1のフレーム体22aの外面に、通電コイル40をダイアフラム20の外面に取り付けるようにしてもよい(図示せず)。この場合、通電コイル40はダイアフラム20と共に動くので、制御用基板と通電コイル40との間はフレキシブルなワイヤによって電気的に接続するようにする(図示せず)。
【0028】
図4において、38は第1のフレーム体22aから延設した排気管(流路)を示す。第1のフレーム体22aの内部には排気管38とダイアフラム室26とを連通する流路38aが設けられている。
図5に第1のフレーム体22aの内部に設けられている流路38aを示す。流路38aの端部は、第1のフレーム体22aに形成された凹部23aの周縁部に設けられているテーパ面内で開口する。これによって、流路38aがダイアフラム室26に連通するとともに、ダイアフラム20が下位置にまで移動した際においてもダイアフラム室26と流路38aとの連通が維持される。
【0029】
排気管38と流路38aとの中途には弁体39が取り付けられている。この弁体39はダイアフラム室26から外部に空気が流出する際には開放し、逆に、排気管38からダイアフラム室26に空気が流入する際には空気の流れを遮断する作用をなす。流路38、38a、弁体39等で送出用バルブ42を構成する。
【0030】
図9〜図11に、上記吸引用バルブ41と送出用バルブ42のバルブ機構の一例をさらに詳細に示す。なお、両バルブは同一の構成をなすので、吸引用バルブ41を例として説明する。
25は前記の吸気孔(流路)であり、下流側でダイアフラム室26に通じている。吸気孔25内に弁座43が形成されている。この弁座43の、弁体27が当接する弁座面は図示のように吸気孔(流路)25に対して傾斜して設けられている。
弁体27は、一端側に設けた回動軸27aを中心に回動して、弁座43に当接し、吸気孔(流路)25を開閉する。
【0031】
弁体27は、その可動部側(回動軸27aと反対側)が、弁座43への当接位置において、回動軸27a側よりも空気(流体)の流れ込み方向後方側に位置するように傾斜して配設されている。
上記弁体27の傾斜角度は、流路25に対して10°〜80°、好ましくは30°以上傾斜する角度に設定するとよい。
【0032】
44はストッパであり、空気(流体)の吸引時、弁体27が流体の流れ込み方向に所要角度回動した際、弁体27のそれ以上の回動を規制する。ストッパ44は、弁体27が、流路25に直交する位置よりも流体の流れ込み方向後方側に45°以上開いた位置で回動を規制するようにすると好適である。
また、図10に示すように、ストッパ44を、弁体27が最大に開いたときに流路方向から見た弁体27の投影エリア内に位置するように設けると好適である。これにより、ストッパ44に起因する流路抵抗の上昇を防止できる。
【0033】
弁体27の回動軸27aは、図示のように円柱状に形成され、この回動軸27aが、弁座43の基部側に設けた軸受孔45に回動自在に嵌入されている。そして弁体27は、回動軸27aとその軸受45との間に、回動軸27aが回動軸27aの軸線と交差する方向に揺動して弁体27が弁座(面)43に密接可能なように所要のクリアランスが設けられている。本実施の形態では、軸受孔45を回動軸27aの径よりも大きな孔径にすることで、回動軸27aが軸受孔45内で揺動可能にしている。これにより、弁体27の製造上、回動軸27aと弁体面(弁座への当接面)との間に捩れが生じていても、弁体27が確実に弁座(面)43に当接するので、逆止時における流体の漏れを防止でき、ポンプ効率を向上させ得る。
上記クリアランスは、回動軸27aが軸受孔45の軸線に対して2°以上揺動可能にすると好適である。なお、回動軸27aと軸受45の構造は上記例に限定されない。例えば、軸受側をピンにし、回動軸はこのピンが進入する軸孔であってもよい。
【0034】
なお、上記実施の形態では、弁体27を、回動軸27aを中心として回動するように構成したが、弁体27を、弁座に対して平行移動して流路を開閉するように構成してもよい(図示せず)。この場合にあっても、弁体27を弁座に当接した状態において、流路に対して傾斜するように配設するのである。
【0035】
続いて、上記実施形態の電磁式ダイアフラムポンプの作用について説明する。図1は、ダイアフラム20が上位置にある状態で、ダイアフラム室26に吸気された状態である。すなわち、通電コイル40に永久磁石30を反発させる向きの電流が通電されると、磁力によって永久磁石30が反発し、ダイアフラム20が第2のフレーム体22bに向けて移動開始する。この動作は吸気操作であり、弁体39が排気管(流路)38を閉じ、弁体27が吸気孔(流路)25を開放してダイアフラム室26に外気が流入しはじめる。そして、通電コイル40に対する通電が継続することによりダイアフラム20は第2のフレーム体22bの内面に当接するまで移動し、ダイアフラム室26に外気が導入される。
【0036】
弁体27が吸気孔(流路)を開放する動作は、弁体27が、上記のように、吸気孔(流路)25に対して傾斜して配設されているので、弁体27による流路の開放初期の段階から流体(空気)が流路に対し斜め(図示の例では流路に対してほぼ30°)に曲折して進入するので、流路抵抗がそれ程大きくなく、圧力損失が少なくなり、それだけポンプ効率を高めることができる。また、流路開閉の応答性もよい。因みに、弁体が流路に直交して流路を閉塞している従来タイプでは、弁体による流路の開放初期の段階では、流体が流路に対してほぼ直角に曲げられるから、流路抵抗が極めて大きくなり、圧力損失もそれだけ大きくなる。また流路開閉の応答性もよくない。
【0037】
ダイアフラム20はストッパー突起20cの端面が第2のフレーム体22bの内面に当接することによって停止する。ダイアフラム20の動作は制御用基板36に搭載されている駆動回路によって制御され、ダイアフラム20の移動ストローク量を考慮して、実際にはダイアフラム20が高速で第2のフレーム体22bの内面に衝突したりしないように制御されるが、本実施形態の電磁式ダイアフラムポンプでは、ストッパー突起20cを第2のフレーム体22bの内面に当接させるようにすることで騒音の発生を防止している。ストッパー突起20cはゴム等の柔軟性を有するダイアフラム20と一体に形成されているから、第2のフレーム体22bと当接した際の騒音は小さくなる。なお、静音化を図るためにストッパー突起20cに緩衝性の高い別部材を取り付けることも可能である。
【0038】
次いで、通電コイル40に逆向きの電流が通電開始されると、永久磁石30が通電コイル40側に吸引され、ダイアフラム20が第1のフレーム体22aに向けて移動開始する。この動作が排気操作であり、このときは弁体27により吸気孔25が遮断され、弁体39が排気管(流路)38を開放して、ダイアフラム室26内の空気が排気管38から排出されはじめる。
この時の、弁体39による排気管38の開放動作も、弁体39が流路に対して傾斜して配設されていることから、応答性よくスムーズになされ、また圧力損失も低減でき、ポンプ効率を高めることができる。
【0039】
図2は、ダイアフラム20が第1のフレーム体22aに近接する向きに移動して、最終的にダイアフラム20が第1のフレーム体22aの内面に当接した状態である。ダイアフラム20が第1のフレーム体22aに当接する際には、ダイアフラム20自体が第1のフレーム体22aに当接するから騒音の問題は回避される。通電コイル40の電磁的な吸引力と支持プレート32によってダイアフラム20が平坦状に支持されていることから、ダイアフラム室26に導入された空気が効率的に流路38aを経由して排気管38から排出される。
【0040】
とくに、本実施形態の電磁式ダイアフラムポンプでは、ダイアフラム20の外面に永久磁石30を配置する構成としているから、ダイアフラム20を完全に第1のフレーム体22aの内面に当接する位置まで移動させることができ、これによってダイアフラム室26に導入された空気をほぼ完全に排出させることができる。
また、ダイアフラム室26の空気を排出する際に、もっとも大きな排出力を要するのはダイアフラム室26に残っている空気を最後に排出する時であるが、本実施形態の電磁式ダイアフラムポンプの場合は、ダイアフラム20が第1のフレーム体22aの内面に当接した時点が、ダイアフラム20に取り付けた永久磁石30と通電コイル40とが最も接近して磁力がもっとも強くなる時点であり、ダイアフラム室26のエアの排出操作として最も効率的な配置になっている。
【0041】
ダイアフラム室26から空気を排出した後は、再度、通電コイル40に対する通電方向を逆にすることによって、吸気操作に移る。こうして、通電コイル40に対する通電を制御することにより、ダイアフラム20による吸排気操作を連続的に行うことが可能になる。実際には、通電コイルに通電する電流、周波数等を適宜制御することによってダイアフラム20を駆動制御する。
【0042】
図6、7および8に電磁式ダイアフラムポンプを駆動する駆動回路の例を示す。図6に示す駆動回路50は、制御回路52に駆動指令信号と電流遮断信号とを入力し、駆動指令信号が入力された際に通電コイル40に通電してダイアフラム20を駆動するように構成した例である。この場合、ダイアフラム20は吸気あるいは排気の一方の位置に自動復帰するように構成され、通電コイル40に通電された際に、電磁力が永久磁石30に作用して他方の位置に移動するように制御される。ダイアフラム20に復帰用のスプリングを装着する等により、ダイアフラム20が一方の位置に自動復帰するように構成することができる。
【0043】
図7に示す駆動回路50は、制御回路52に入力される駆動指令信号と電流遮断指令信号にしたがって、通電コイル40に正方向と逆方向に通電させ、永久磁石30との間で吸引力と反発力を交互に発生させて駆動するように構成した例である。通電コイル40には交流電流あるいはパルス電流を通電させて制御することができる。
図8に示す駆動回路50は、通電コイル40に通電して電磁力によりダイアフラム20を駆動する際に、ダイアフラムの位置検出素子54によってダイアフラム20の移動位置を検知してダイアフラム20を駆動制御する例である。図1に、ダイアフラム20の位置検出素子54として、第1のフレーム体22aに反射式光センサー56aを設け、反射式光センサー56aに対向するダイアフラム20の内面に光反射用コーティング56bを設けた例を示す。この場合、ダイアフラム20の移動位置を光学的に検知するため、第1のフレーム体22aは透光性材料によって形成する必要がある。図2は、ダイアフラムの位置検出素子54として、第1のフレーム体22aに磁気検出センサー57aを設け、磁気検出センサー57aに対向してダイアフラム20の外面に位置検出用マグネット57bを取り付けた例である。
【0044】
図8に示す駆動回路50では、位置検出素子54によりダイアフラム20の移動位置を常時検知し、位置検出素子54の検知信号に基づいて通電コイル40に対する電流および周波数を制御することによって、ダイアフラム20の動作を精度よく制御することが可能である。たとえば、ダイアフラム20が第1のフレーム体22aあるいは第2のフレーム体22bの内面に衝突する際の衝撃力を和らげ、騒音の発生を抑え、ダイアフラム20を長寿命とするといった制御が可能である。
電流検出素子58は通電コイル40に流れる電流をモニターすることにより、駆動指令信号に対してダイアフラム20の動きにずれが生じた際に、駆動回路から通電コイル40に供給する電流を調整し、的確にずれを補正するために用いられる。電流制御によることから応答性が良く、高精度の制御が可能となる。
【0045】
本実施形態の電磁式ダイアフラムポンプは、上述したように、第1のフレーム体22aと第2のフレーム体22bとからなる本体(フレーム体)22にダイアフラム20を収納してダイアフラム室26を形成し、電磁力を利用して吸排気操作をなすように構成したものである。図1、2に示すようにダイアフラムポンプの主要部の構成はきわめて簡素であり、薄型にきわめてコンパクトに形成されるという特徴がある。また、ダイアフラム20は薄型に形成された本体22内で大きな可動領域(容積)を占有するように設計されているから、装置全体をコンパクトに形成し、かつ効率的な吸排気作用がなされるように構成されているという特徴がある。
【0046】
本体22を構成する第1のフレーム体22aと第2のフレーム体22bは、所定の強度を有するものであれば、非磁性金属に限らず、樹脂等によって形成することももちろん可能である。なお、本実施形態の電磁式ダイアフラムポンプは、第1のフレーム体22aにじかに通電コイル40を取り付けた構成としているから、通電コイル40から発生する熱が第1のフレーム体22aと第2のフレーム体22bに効率的に伝達される。したがって、第1のフレーム体22aと第2のフレーム体22bとを熱伝導の良好な材料によって形成することで、ダイアフラム室26に導入された空気(流体)を暖めて排出することが可能になる。
【0047】
本実施形態の電磁式ダイアフラムポンプは、きわめて小型に形成できるから、ノートパソコンの冷却用、燃料電池の空気や燃料を供給する装置、医療器具等の種々の用途に利用することができる。燃料電池では空気を温めて供給することによって電池の反応を促進させることができるという利点がある。また、医療用機器等に使用する際にも流体を温めて供給することで使いやすいポンプとして利用することが可能になる。
【0048】
また、本実施形態の電磁式ダイアフラムポンプでは、ダイアフラム室26の外部となるダイアフラム20の外面に永久磁石30を取り付けたことによって、ダイアフラム室26の内部には永久磁石30を取り付けるための留め金具や接着剤がなく、したがって、ダイアフラム室26に吸引された空気、燃料、血液を汚染することがなく、清浄状態のまま供給することができる。とくに、永久磁石や、留め具、接着剤等から発生する塵やガスは、燃料電池に使用されている触媒を被毒し、燃料電池の機能低下をひきおこす金属イオン等を含む可能性が高い。したがって、ダイアフラム室26内に永久磁石30を設置しない構成とした電磁式ダイアフラムポンプを燃料電池に好適に利用することが可能となる。
【0049】
なお、上記実施形態においては、空気の吸排気を例に説明したが、本発明に係るダイアフラムポンプは空気等の気体に限らず、液体等の流体の給排にも利用することができる。また、上記実施形態においては、第1のフレーム体22aの正面から吸気して本体22の側面(第1のフレーム体22aの側面あるいはダイアフラム室26の側面)から排気する構成としたが、これとは逆に、本体22の側面から吸気して第1のフレーム体22aから排気する構成とすることも可能である。
なお、フレーム体22をさらに薄く形成するには、フレーム体22の側方から吸排気するようにバルブ機構を配設するようにするとよい。
【0050】
【発明の効果】
上記のように、本発明に係るバルブ構造および容積型ポンプによれば、弁体を流路に対して傾斜して設けているので、特に弁体による流路の開放初期の段階において、流体を流路に対して斜めに曲げて進入させることができ、直角に曲げられて進入するのに比し、流路抵抗を減じ、圧力損失を低減できて、ポンプ効率をそれだけ高めることができる。また流路開閉の応答性にも優れる。
また、ダイアフラムポンプの場合、上記のように、ダイアフラムを挟んで永久磁石と通電コイルとを反対側に設けることによって、ダイアフラムポンプの小型化、薄型化を好適に図ることができ、ノートパソコン等の小型機器に容易に搭載して使用することが可能となる。また、永久磁石あるいは通電コイルをダイアフラム室の外面に取り付ける構成とすることにより、ダイアフラム室内が常時、清浄空間に保持され、ダイアフラム室から供給される空気や燃料、血液が汚染されず、燃料電池、医療用機器等に好適に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るダイアフラムポンプの内部構成を示す断面図(ダイアフラム上位置)である。
【図2】本発明に係るダイアフラムポンプの内部構成を示す断面図(ダイアフラム下位置)である。
【図3】ダイアフラムポンプの第2のフレーム体を外した状態での上面図である。
【図4】ダイアフラムポンプの底面図である。
【図5】ダイアフラムポンプの排気部分の構成を示す断面図である。
【図6】実施形態のダイアフラム式ポンプを駆動する駆動回路の例を示すブロック図である。
【図7】駆動回路の他の例を示すブロック図である。
【図8】駆動回路のさらに他の例を示すブロック図である。
【図9】吸引バルブの構造を示す説明図である。
【図10】図9の吸引バルブにおける流路開放時の状態を示す説明図である。
【図11】図10の吸引バルブを流路側から見た説明図である。
【図12】電磁式ダイアフラムポンプの従来例を示す説明図である。
【図13】従来の吸気弁の一例を示す説明図である。
【符号の説明】
10a、10b ポンプ室
12 ダイアフラム
14 永久磁石
20 ダイアフラム
20a クランプ部
20b リング状部(可動部)
20c ストッパー突起
22 本体
22a 第1のフレーム体
22b 第2のフレーム体
23a、23b 凹部
25 吸気孔(流路)
26 ダイアフラム室
27 弁体
27a 回動軸
28 開口部
30 永久磁石
32 支持プレート
32a 貫通孔
34 バックヨーク
36 制御用基板
38 排気管(流路)
39 弁体
40 通電コイル
41 吸引用バルブ
42 送出用バルブ
43 弁座
44 ストッパ
45 軸受孔
【発明の属する技術分野】
本発明は容積型ポンプに用いるバルブ構造およびこれを用いた容積型ポンプに関する。
【0002】
【従来の技術】
容積型ポンプの一種であるダイアフラムポンプは、ダイアフラムを往復駆動させることによりダイアフラム室(ポンプ室)を容積変化させ、これにともなって空気等の流体の吸排を可能にする装置である。一般的なダイアフラムポンプはダイアフラムを機械的に往復駆動してダイアフラム室を容積変化させるものである。
図12は、ダイアフラムを駆動する駆動力に電磁力を利用する従来例(特開2001−50165)を示す。同図で、10a、10bは対向して配置したポンプ室であり、各々のポンプ室10a、10bは、弾性を有するダイアフラム12により2つのダイアフラム室に仕切られている。14は各々のダイアフラム12の面内の中央部に固定した永久磁石であり、16はポンプ室10a、10bの中間に配置した電磁石である。
【0003】
電磁石16はコイルに交流電源を通電することにより、磁石の両端の極性をN極とS極に交互に変化させ、電磁石16とダイアフラム12に固定された永久磁石14との間で生じる磁力によりダイアフラム12を互いに反発させあるいは吸引させる。ダイアフラム12によって仕切られた各々のダイアフラム室には吸気弁18と排気弁19が設けられており、ダイアフラム12が駆動されることによってダイアフラム室に空気が吸引され排気されて所要のポンプ作用をなす。
【0004】
上記吸気弁18の構造は図13に示すものが考えられる。
11は、流路13中に介挿され、一端の回動軸11aを中心として回動自在に設けられた弁体である。15はストッパ、17は弁座である。
弁体11は、弁座17に当接する、流路13に直交する位置(実線位置)から、ストッパ15に当接する、流路13に対してほぼ45°の角度で傾斜する位置(破線位置)まで、回転軸11aを中心として回動する。
空気が矢印の方向に吸引される際には、負圧により、弁体11は破線位置まで回動して流路13を開き、これにより空気がダイアフラム室に吸引される。このとき排気弁19は閉じられる。
空気がダイアフラム室から排気される際には、正圧により、弁体13が実線位置まで回動して弁座17に当接し、流路13を遮断する。このとき排気弁19が開き、空気が排出され、ポンプ作用がなされる。排気弁19も吸気弁18と同様の構造に形成されている。
【0005】
【特許文献1】
特開2001−50165
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記容積ポンプのバルブ構造には次のような課題がある。
すなわち、空気(流体)が吸引(あるいは排気、送出)される際、弁体11が押し開かれるのであるが、弁体11が流路13に直交して設けられているため、特に弁体11が流路13を開放する初期の状態において、弁体11を押し開くために大きな力を要し、圧力損失が大きくなり、ポンプ効率が悪いという課題がある。また、弁体11の応答速度も遅いという課題がある。
また、弁体11がストッパ15に当接して、流路13を開放した場合にあっても、弁体11が流路13に約45°の角度をなし、流路が大きく曲がる状況となるため、流路抵抗が高いという課題があった。
【0007】
そこで、本発明はこれらの課題を解決すべくなされたものであり、流路抵抗を低減し、ポンプの効率を上げることのできるバルブ構造および容積型ポンプを提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記目的を達成するため、次の構成を備える。
すなわち、本発明に係るバルブ構造は、容積型ポンプに用いられるバルブであって、ポンプ室へ流体が吸引されるときには開き、ポンプ室から流体が送出される際には閉じる吸引用バルブ、またはポンプ室へ流体が吸引されるときには閉じ、ポンプ室から流体が送出される際には開く送出用バルブのバルブ構造において、流路を開閉する弁体を備え、該弁体は、弁座への当接位置において、前記流路に対して傾斜して配設されていることを特徴とする。
また、前記弁体が、前記流路に対して30°以上傾斜するように配設されていることを特徴とする。
【0009】
また、前記弁体は、一端側に設けた回動軸を中心に回動して前記流路を開閉する弁体に形成され、該弁体が、弁座への当接状態において、前記回動軸が設けられた一端側とは反対側となる他端側が該一端側に対して、流体の流れ方向後方側に位置するように傾斜して配設されていることを特徴とする。
【0010】
また、前記弁体が流体の流れ込み方向に所要角度回動した際、該弁体のそれ以上の回動を規制するストッパを設けると好適である。
この場合に、前記ストッパを、前記弁体が、前記流路に直交する位置よりも流体の流れ込み方向後方側に45°以上開いた位置で回動を規制するように設定すると好適である。
また、前記ストッパを、前記弁体が最大に開いたときに流路方向から見た弁体の投影エリア内に位置するように設けると、流路抵抗を減じることができ、好適である。
【0011】
また、前記弁体の、前記回動軸とその軸受との間に、前記回動軸が回動軸の軸線と交差する方向に揺動して前記弁体が前記弁座に密接可能なように所要のクリアランスを設けるようにすると好適である。
この場合、前記回動軸を軸受の軸線に対して2°以上揺動可能なクリアランスに設定すると好適である。
【0012】
また、本発明に係る容積型ポンプは、ポンプ室へ流体が吸引されるときには開き、ポンプ室から流体が送出される際には閉じる吸引用バルブと、ポンプ室へ流体が吸引されるときには閉じ、ポンプ室から流体が送出される際には開く送出用バルブとを有する容積型ポンプにおいて、前記吸引用バルブもしくは前記送出用バルブ、または前記吸引用バルブおよび前記送出用バルブの双方に、上記いずれかのバルブ構造を用いたことを特徴とする。
【0013】
さらに、本発明に係るダイアフラムポンプは、外周縁部をフレーム体に固定して、フレーム体にダイアフラムを取り付けることにより該ダイアフラムとフレーム体との間にダイアフラム室を設け、該ダイアフラム室に連通して吸引用バルブと送出用バルブとを設け、 前記ダイアフラムを駆動する駆動手段を設けたダイアフラムポンプにおいて、前記吸引用バルブもしくは前記送出用バルブ、または前記吸引用バルブおよび前記送出用バルブの双方に、上記いずれかのバルブ構造を用いたことを特徴とする。
【0014】
この場合に、前記駆動手段を、前記ダイアフラムの外面に取り付けられた永久磁石と、該永久磁石に対向し、前記ダイアフラムを挟んで前記永久磁石とは反対側となる前記フレーム体の外面に設けられた電磁力の発生手段とで構成できる。あるいは、前記駆動手段を、前記ダイアフラムの外面に取り付けられた電磁力の発生手段と、該電磁力の発生手段に対向し、前記ダイアフラムを挟んで前記電磁力の発生手段とは反対側となる前記フレーム体の外面に設けられた永久磁石とで構成することができる。
また、前記電磁力の発生手段を、空芯の通電コイルあるいは空芯の鉄心を有する通電コイルで構成できる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好適な実施の形態について添付図面とともに詳細に説明する。図1、2は、容積型ポンプの一例である電磁式のダイアフラムポンプの実施形態の構成を示す断面図であり、図1はダイアフラム20が上位置(吸気状態)にある状態、図2はダイアフラム20が下位置(排気状態)にある状態を示す。
なお、容積型ポンプは電磁式ダイアフラムポンプに限られず、駆動モータによって偏心駆動される偏心カムにダイアフラムを連結するなどして、ダイアフラムを機械的に往復駆動するようにしてもよい(図示せず)。以下では電磁式のもので説明する。
【0016】
本実施形態の電磁式ダイアフラムポンプは、第1のフレーム体22aと第2のフレーム体22bとから成る本体(フレーム体)22内にダイアフラム20を可動に収納する収納空間を設けて組み立てられている。すなわち、第1のフレーム体22aと第2のフレーム体22bの対向面には、ダイアフラム20を収納するための凹部23a、23bが各々設けられ、ダイアフラム20はこの凹部23a、23bによって形成された空間内で本体22の厚さ方向に可動に支持されている。
【0017】
20aはダイアフラム20の外周縁に沿って所定幅で設けられたクランプ部である。
図3に第1のフレーム体22aにダイアフラム20をセットした状態の平面図を示す。図のように、ダイアフラム20は円形状に形成した部材であり、クランプ部(外周縁部)20aはダイアフラム20の外周縁部の全周にわたって設けられている。すなわち、ダイアフラム20は、第1のフレーム体22aと第2のフレーム体22bの凹部23a、23bの開口縁部に沿って、その外周縁部の全周が第1のフレーム体22aと第2のフレーム体22bによって挟圧されて支持される。24がダイアフラム20を挟圧した状態で、第1のフレーム体22aと第2のフレーム体22bとを挟圧して固定する固定ねじである。
【0018】
図1で、ダイアフラム20とダイアフラム20に対向して配置される第1のフレーム体22aとがダイアフラム室26を構成し、第1のフレーム体22aが固定壁、ダイアフラム20が可動壁に相当する。25は第1のフレーム体22aの中央部に開口して設けた吸気孔(流路)、27は吸気孔25とダイアフラム室26との連通を制御する弁体である。吸気孔(流路)25、弁体27等で吸引用バルブ41を構成する。弁体27は外気が吸気孔25からダイアフラム室26内に流入する際に吸気孔25を開放し、逆に、ダイアフラム室26から空気が外部に流出する際には吸気孔25を閉塞して空気の流れを遮断するように作用する。
一方、第2のフレーム体22bは中央部に開口部28が設けられ、開口部28を介して第2のフレーム体22bの内外で空気が流通可能に設けられている。
【0019】
ダイアフラム20は第1のフレーム体22aと第2のフレーム体22bとにより外周縁部がクランプされた状態で本体(フレーム体)22の厚さ方向に往復動するものであり、ゴム等の一定の弾性と耐久性を有する素材によって形成される。ダイアフラム20の材質にはEPDM等のゴムが好適であるが、所要の柔軟性、耐久性を有する素材であればとくに材質が限定されるものではない。
本実施形態の電磁式ダイアフラムポンプでは、ダイアフラム室26の外部となるダイアフラム20の外面に永久磁石30を取り付ける。本実施形態では、図3に示すように、矩形の平板状に形成した永久磁石30を使用しているが、円形等の適宜形状の永久磁石を使用することができる。永久磁石30はダイアフラム20の中央に固定する。永久磁石30は厚さ方向に磁化しており、N−S極の極性はどちらでもかまわない。
【0020】
32はダイアフラム20の外面に固定して設けた支持プレートである。永久磁石30はこの支持プレート32の中央に設けた開口部内に固定して取り付けられる。
支持プレート32はダイアフラム20のクランプ部(外周縁部)20aとの間(外周縁部の内側)に所定幅のリング状部(可動部)20bを残して、ダイアフラム20の外面を覆うように設けられる。支持プレート32はダイアフラム20が平坦面を保持して本体22の厚さ方向に平行に駆動されるようにダイアフラム20を支持する作用をなす。こうして、ダイアフラム20は支持プレート32とクランプ部20aとで挟まれたリング状部20bの部分のみ変形して押動されることになる。
【0021】
このようにダイアフラム20の全体を変形させず、ダイアフラム20のクランプ部20aに沿ったリング状部20bのみを変形させる構成とすることでダイアフラム20の耐久性が向上し長寿命化を図ることができる。本実施形態では、リング状20bをダイアフラム20の他の部位よりも若干薄厚に形成してダイアフラム20の応答性を良好にし、また、ダイアフラム20が下位置に移動した際に、第1のフレーム体22aに設けた凹部23aの内面(テーパ面)との間が若干離間して流通空間が形成されるようにしている。
【0022】
支持プレート32には所定配置で貫通孔32aが設けられ、この貫通孔32aにダイアフラム20の外面に、ダイアフラム20と一体に形成されたストッパー突起20cが嵌入する。ストッパー突起20cは、ダイアフラム20が第2のフレーム体22bの内面に衝突する際にダイアフラム20の衝撃を緩衝させるために設けたものであり、図1に示すように、支持プレート32の外面よりも端面が突出するように設けられている。本実施形態では、ストッパー突起20cを、図3に示すように、周方向に均等間隔となる4個所に設けているが、ストッパー突起20cの配置数等は適宜選択可能である。
【0023】
図1で、34は永久磁石の背面に設けたバックヨークである。このバックヨーク34は永久磁石に磁界が効率的に作用するように設けたもので、鉄等の磁性体によって形成される。本実施形態では、永久磁石30と同形の平板状にバックヨーク34を形成し、永久磁石30に重ねてバックヨーク34を取り付けている。
【0024】
また、図1において、40は第1のフレーム体22aの外面に取り付けた通電コイルである。この通電コイル40は永久磁石30に磁力を作用させてダイアフラム20を駆動するためのものである。図のように、通電コイル40は第1のフレーム体22aの中央に配置した吸気バルブ27の周囲を巻回するように設ける。こうして、通電コイル40はダイアフラム20に対向する配置で第1のフレーム体22aに取り付けられる。なお、通電コイル40は第1のフレーム体22aに収納できるように、できるだけ巻き線の厚さが薄くなるようにするのがよい。図4に、第1のフレーム体22aを下面側から見た状態を示す。第1のフレーム体22aの中央に吸気孔(流路)25が開口し、吸引用バルブ41の周囲に通電コイル40が配置されている。
【0025】
なお、本実施形態においては永久磁石30に電磁力を作用させる電磁力の発生手段として空芯の通電コイル40を使用したが、電磁力の発生手段は必ずしも空芯の通電コイル40に限定されるものではない。鉄心を備えた通電のコイルであっても空芯の鉄心を使用することで本実施形態と同様な配置とすることができる。また、本実施形態では通電コイル40の巻線領域内の中央に吸引用バルブ41を配置したが、吸引用バルブ41を配置する位置も通電コイル40の巻線領域内に限らず、第1のフレーム体22aで適宜位置を選択することができる。
【0026】
36は第1のフレーム体22aの下面に取り付けた制御用基板である。本実施形態では、第1のフレーム体22aの下面で通電コイル40が配置されている領域を除いた一半部に制御用基板36を取り付けている。制御用基板36は通電コイル40に通電する時間、極性等を制御する駆動回路を搭載したものであり、これによって電磁式ダイアフラムポンプをモジュール化したユニットとして適宜商品に搭載することが可能となる。図1に示すように、制御用基板36も第1のフレーム体22aの厚さ内に収納することによって、ダイアフラムポンプを駆動する所要のモジュールがすべて本体22内に収納され、きわめてコンパクトな電磁式ダイアフラムポンプが構成される。
【0027】
なお、上記実施の形態とは逆に、永久磁石30を第1のフレーム体22aの外面に、通電コイル40をダイアフラム20の外面に取り付けるようにしてもよい(図示せず)。この場合、通電コイル40はダイアフラム20と共に動くので、制御用基板と通電コイル40との間はフレキシブルなワイヤによって電気的に接続するようにする(図示せず)。
【0028】
図4において、38は第1のフレーム体22aから延設した排気管(流路)を示す。第1のフレーム体22aの内部には排気管38とダイアフラム室26とを連通する流路38aが設けられている。
図5に第1のフレーム体22aの内部に設けられている流路38aを示す。流路38aの端部は、第1のフレーム体22aに形成された凹部23aの周縁部に設けられているテーパ面内で開口する。これによって、流路38aがダイアフラム室26に連通するとともに、ダイアフラム20が下位置にまで移動した際においてもダイアフラム室26と流路38aとの連通が維持される。
【0029】
排気管38と流路38aとの中途には弁体39が取り付けられている。この弁体39はダイアフラム室26から外部に空気が流出する際には開放し、逆に、排気管38からダイアフラム室26に空気が流入する際には空気の流れを遮断する作用をなす。流路38、38a、弁体39等で送出用バルブ42を構成する。
【0030】
図9〜図11に、上記吸引用バルブ41と送出用バルブ42のバルブ機構の一例をさらに詳細に示す。なお、両バルブは同一の構成をなすので、吸引用バルブ41を例として説明する。
25は前記の吸気孔(流路)であり、下流側でダイアフラム室26に通じている。吸気孔25内に弁座43が形成されている。この弁座43の、弁体27が当接する弁座面は図示のように吸気孔(流路)25に対して傾斜して設けられている。
弁体27は、一端側に設けた回動軸27aを中心に回動して、弁座43に当接し、吸気孔(流路)25を開閉する。
【0031】
弁体27は、その可動部側(回動軸27aと反対側)が、弁座43への当接位置において、回動軸27a側よりも空気(流体)の流れ込み方向後方側に位置するように傾斜して配設されている。
上記弁体27の傾斜角度は、流路25に対して10°〜80°、好ましくは30°以上傾斜する角度に設定するとよい。
【0032】
44はストッパであり、空気(流体)の吸引時、弁体27が流体の流れ込み方向に所要角度回動した際、弁体27のそれ以上の回動を規制する。ストッパ44は、弁体27が、流路25に直交する位置よりも流体の流れ込み方向後方側に45°以上開いた位置で回動を規制するようにすると好適である。
また、図10に示すように、ストッパ44を、弁体27が最大に開いたときに流路方向から見た弁体27の投影エリア内に位置するように設けると好適である。これにより、ストッパ44に起因する流路抵抗の上昇を防止できる。
【0033】
弁体27の回動軸27aは、図示のように円柱状に形成され、この回動軸27aが、弁座43の基部側に設けた軸受孔45に回動自在に嵌入されている。そして弁体27は、回動軸27aとその軸受45との間に、回動軸27aが回動軸27aの軸線と交差する方向に揺動して弁体27が弁座(面)43に密接可能なように所要のクリアランスが設けられている。本実施の形態では、軸受孔45を回動軸27aの径よりも大きな孔径にすることで、回動軸27aが軸受孔45内で揺動可能にしている。これにより、弁体27の製造上、回動軸27aと弁体面(弁座への当接面)との間に捩れが生じていても、弁体27が確実に弁座(面)43に当接するので、逆止時における流体の漏れを防止でき、ポンプ効率を向上させ得る。
上記クリアランスは、回動軸27aが軸受孔45の軸線に対して2°以上揺動可能にすると好適である。なお、回動軸27aと軸受45の構造は上記例に限定されない。例えば、軸受側をピンにし、回動軸はこのピンが進入する軸孔であってもよい。
【0034】
なお、上記実施の形態では、弁体27を、回動軸27aを中心として回動するように構成したが、弁体27を、弁座に対して平行移動して流路を開閉するように構成してもよい(図示せず)。この場合にあっても、弁体27を弁座に当接した状態において、流路に対して傾斜するように配設するのである。
【0035】
続いて、上記実施形態の電磁式ダイアフラムポンプの作用について説明する。図1は、ダイアフラム20が上位置にある状態で、ダイアフラム室26に吸気された状態である。すなわち、通電コイル40に永久磁石30を反発させる向きの電流が通電されると、磁力によって永久磁石30が反発し、ダイアフラム20が第2のフレーム体22bに向けて移動開始する。この動作は吸気操作であり、弁体39が排気管(流路)38を閉じ、弁体27が吸気孔(流路)25を開放してダイアフラム室26に外気が流入しはじめる。そして、通電コイル40に対する通電が継続することによりダイアフラム20は第2のフレーム体22bの内面に当接するまで移動し、ダイアフラム室26に外気が導入される。
【0036】
弁体27が吸気孔(流路)を開放する動作は、弁体27が、上記のように、吸気孔(流路)25に対して傾斜して配設されているので、弁体27による流路の開放初期の段階から流体(空気)が流路に対し斜め(図示の例では流路に対してほぼ30°)に曲折して進入するので、流路抵抗がそれ程大きくなく、圧力損失が少なくなり、それだけポンプ効率を高めることができる。また、流路開閉の応答性もよい。因みに、弁体が流路に直交して流路を閉塞している従来タイプでは、弁体による流路の開放初期の段階では、流体が流路に対してほぼ直角に曲げられるから、流路抵抗が極めて大きくなり、圧力損失もそれだけ大きくなる。また流路開閉の応答性もよくない。
【0037】
ダイアフラム20はストッパー突起20cの端面が第2のフレーム体22bの内面に当接することによって停止する。ダイアフラム20の動作は制御用基板36に搭載されている駆動回路によって制御され、ダイアフラム20の移動ストローク量を考慮して、実際にはダイアフラム20が高速で第2のフレーム体22bの内面に衝突したりしないように制御されるが、本実施形態の電磁式ダイアフラムポンプでは、ストッパー突起20cを第2のフレーム体22bの内面に当接させるようにすることで騒音の発生を防止している。ストッパー突起20cはゴム等の柔軟性を有するダイアフラム20と一体に形成されているから、第2のフレーム体22bと当接した際の騒音は小さくなる。なお、静音化を図るためにストッパー突起20cに緩衝性の高い別部材を取り付けることも可能である。
【0038】
次いで、通電コイル40に逆向きの電流が通電開始されると、永久磁石30が通電コイル40側に吸引され、ダイアフラム20が第1のフレーム体22aに向けて移動開始する。この動作が排気操作であり、このときは弁体27により吸気孔25が遮断され、弁体39が排気管(流路)38を開放して、ダイアフラム室26内の空気が排気管38から排出されはじめる。
この時の、弁体39による排気管38の開放動作も、弁体39が流路に対して傾斜して配設されていることから、応答性よくスムーズになされ、また圧力損失も低減でき、ポンプ効率を高めることができる。
【0039】
図2は、ダイアフラム20が第1のフレーム体22aに近接する向きに移動して、最終的にダイアフラム20が第1のフレーム体22aの内面に当接した状態である。ダイアフラム20が第1のフレーム体22aに当接する際には、ダイアフラム20自体が第1のフレーム体22aに当接するから騒音の問題は回避される。通電コイル40の電磁的な吸引力と支持プレート32によってダイアフラム20が平坦状に支持されていることから、ダイアフラム室26に導入された空気が効率的に流路38aを経由して排気管38から排出される。
【0040】
とくに、本実施形態の電磁式ダイアフラムポンプでは、ダイアフラム20の外面に永久磁石30を配置する構成としているから、ダイアフラム20を完全に第1のフレーム体22aの内面に当接する位置まで移動させることができ、これによってダイアフラム室26に導入された空気をほぼ完全に排出させることができる。
また、ダイアフラム室26の空気を排出する際に、もっとも大きな排出力を要するのはダイアフラム室26に残っている空気を最後に排出する時であるが、本実施形態の電磁式ダイアフラムポンプの場合は、ダイアフラム20が第1のフレーム体22aの内面に当接した時点が、ダイアフラム20に取り付けた永久磁石30と通電コイル40とが最も接近して磁力がもっとも強くなる時点であり、ダイアフラム室26のエアの排出操作として最も効率的な配置になっている。
【0041】
ダイアフラム室26から空気を排出した後は、再度、通電コイル40に対する通電方向を逆にすることによって、吸気操作に移る。こうして、通電コイル40に対する通電を制御することにより、ダイアフラム20による吸排気操作を連続的に行うことが可能になる。実際には、通電コイルに通電する電流、周波数等を適宜制御することによってダイアフラム20を駆動制御する。
【0042】
図6、7および8に電磁式ダイアフラムポンプを駆動する駆動回路の例を示す。図6に示す駆動回路50は、制御回路52に駆動指令信号と電流遮断信号とを入力し、駆動指令信号が入力された際に通電コイル40に通電してダイアフラム20を駆動するように構成した例である。この場合、ダイアフラム20は吸気あるいは排気の一方の位置に自動復帰するように構成され、通電コイル40に通電された際に、電磁力が永久磁石30に作用して他方の位置に移動するように制御される。ダイアフラム20に復帰用のスプリングを装着する等により、ダイアフラム20が一方の位置に自動復帰するように構成することができる。
【0043】
図7に示す駆動回路50は、制御回路52に入力される駆動指令信号と電流遮断指令信号にしたがって、通電コイル40に正方向と逆方向に通電させ、永久磁石30との間で吸引力と反発力を交互に発生させて駆動するように構成した例である。通電コイル40には交流電流あるいはパルス電流を通電させて制御することができる。
図8に示す駆動回路50は、通電コイル40に通電して電磁力によりダイアフラム20を駆動する際に、ダイアフラムの位置検出素子54によってダイアフラム20の移動位置を検知してダイアフラム20を駆動制御する例である。図1に、ダイアフラム20の位置検出素子54として、第1のフレーム体22aに反射式光センサー56aを設け、反射式光センサー56aに対向するダイアフラム20の内面に光反射用コーティング56bを設けた例を示す。この場合、ダイアフラム20の移動位置を光学的に検知するため、第1のフレーム体22aは透光性材料によって形成する必要がある。図2は、ダイアフラムの位置検出素子54として、第1のフレーム体22aに磁気検出センサー57aを設け、磁気検出センサー57aに対向してダイアフラム20の外面に位置検出用マグネット57bを取り付けた例である。
【0044】
図8に示す駆動回路50では、位置検出素子54によりダイアフラム20の移動位置を常時検知し、位置検出素子54の検知信号に基づいて通電コイル40に対する電流および周波数を制御することによって、ダイアフラム20の動作を精度よく制御することが可能である。たとえば、ダイアフラム20が第1のフレーム体22aあるいは第2のフレーム体22bの内面に衝突する際の衝撃力を和らげ、騒音の発生を抑え、ダイアフラム20を長寿命とするといった制御が可能である。
電流検出素子58は通電コイル40に流れる電流をモニターすることにより、駆動指令信号に対してダイアフラム20の動きにずれが生じた際に、駆動回路から通電コイル40に供給する電流を調整し、的確にずれを補正するために用いられる。電流制御によることから応答性が良く、高精度の制御が可能となる。
【0045】
本実施形態の電磁式ダイアフラムポンプは、上述したように、第1のフレーム体22aと第2のフレーム体22bとからなる本体(フレーム体)22にダイアフラム20を収納してダイアフラム室26を形成し、電磁力を利用して吸排気操作をなすように構成したものである。図1、2に示すようにダイアフラムポンプの主要部の構成はきわめて簡素であり、薄型にきわめてコンパクトに形成されるという特徴がある。また、ダイアフラム20は薄型に形成された本体22内で大きな可動領域(容積)を占有するように設計されているから、装置全体をコンパクトに形成し、かつ効率的な吸排気作用がなされるように構成されているという特徴がある。
【0046】
本体22を構成する第1のフレーム体22aと第2のフレーム体22bは、所定の強度を有するものであれば、非磁性金属に限らず、樹脂等によって形成することももちろん可能である。なお、本実施形態の電磁式ダイアフラムポンプは、第1のフレーム体22aにじかに通電コイル40を取り付けた構成としているから、通電コイル40から発生する熱が第1のフレーム体22aと第2のフレーム体22bに効率的に伝達される。したがって、第1のフレーム体22aと第2のフレーム体22bとを熱伝導の良好な材料によって形成することで、ダイアフラム室26に導入された空気(流体)を暖めて排出することが可能になる。
【0047】
本実施形態の電磁式ダイアフラムポンプは、きわめて小型に形成できるから、ノートパソコンの冷却用、燃料電池の空気や燃料を供給する装置、医療器具等の種々の用途に利用することができる。燃料電池では空気を温めて供給することによって電池の反応を促進させることができるという利点がある。また、医療用機器等に使用する際にも流体を温めて供給することで使いやすいポンプとして利用することが可能になる。
【0048】
また、本実施形態の電磁式ダイアフラムポンプでは、ダイアフラム室26の外部となるダイアフラム20の外面に永久磁石30を取り付けたことによって、ダイアフラム室26の内部には永久磁石30を取り付けるための留め金具や接着剤がなく、したがって、ダイアフラム室26に吸引された空気、燃料、血液を汚染することがなく、清浄状態のまま供給することができる。とくに、永久磁石や、留め具、接着剤等から発生する塵やガスは、燃料電池に使用されている触媒を被毒し、燃料電池の機能低下をひきおこす金属イオン等を含む可能性が高い。したがって、ダイアフラム室26内に永久磁石30を設置しない構成とした電磁式ダイアフラムポンプを燃料電池に好適に利用することが可能となる。
【0049】
なお、上記実施形態においては、空気の吸排気を例に説明したが、本発明に係るダイアフラムポンプは空気等の気体に限らず、液体等の流体の給排にも利用することができる。また、上記実施形態においては、第1のフレーム体22aの正面から吸気して本体22の側面(第1のフレーム体22aの側面あるいはダイアフラム室26の側面)から排気する構成としたが、これとは逆に、本体22の側面から吸気して第1のフレーム体22aから排気する構成とすることも可能である。
なお、フレーム体22をさらに薄く形成するには、フレーム体22の側方から吸排気するようにバルブ機構を配設するようにするとよい。
【0050】
【発明の効果】
上記のように、本発明に係るバルブ構造および容積型ポンプによれば、弁体を流路に対して傾斜して設けているので、特に弁体による流路の開放初期の段階において、流体を流路に対して斜めに曲げて進入させることができ、直角に曲げられて進入するのに比し、流路抵抗を減じ、圧力損失を低減できて、ポンプ効率をそれだけ高めることができる。また流路開閉の応答性にも優れる。
また、ダイアフラムポンプの場合、上記のように、ダイアフラムを挟んで永久磁石と通電コイルとを反対側に設けることによって、ダイアフラムポンプの小型化、薄型化を好適に図ることができ、ノートパソコン等の小型機器に容易に搭載して使用することが可能となる。また、永久磁石あるいは通電コイルをダイアフラム室の外面に取り付ける構成とすることにより、ダイアフラム室内が常時、清浄空間に保持され、ダイアフラム室から供給される空気や燃料、血液が汚染されず、燃料電池、医療用機器等に好適に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るダイアフラムポンプの内部構成を示す断面図(ダイアフラム上位置)である。
【図2】本発明に係るダイアフラムポンプの内部構成を示す断面図(ダイアフラム下位置)である。
【図3】ダイアフラムポンプの第2のフレーム体を外した状態での上面図である。
【図4】ダイアフラムポンプの底面図である。
【図5】ダイアフラムポンプの排気部分の構成を示す断面図である。
【図6】実施形態のダイアフラム式ポンプを駆動する駆動回路の例を示すブロック図である。
【図7】駆動回路の他の例を示すブロック図である。
【図8】駆動回路のさらに他の例を示すブロック図である。
【図9】吸引バルブの構造を示す説明図である。
【図10】図9の吸引バルブにおける流路開放時の状態を示す説明図である。
【図11】図10の吸引バルブを流路側から見た説明図である。
【図12】電磁式ダイアフラムポンプの従来例を示す説明図である。
【図13】従来の吸気弁の一例を示す説明図である。
【符号の説明】
10a、10b ポンプ室
12 ダイアフラム
14 永久磁石
20 ダイアフラム
20a クランプ部
20b リング状部(可動部)
20c ストッパー突起
22 本体
22a 第1のフレーム体
22b 第2のフレーム体
23a、23b 凹部
25 吸気孔(流路)
26 ダイアフラム室
27 弁体
27a 回動軸
28 開口部
30 永久磁石
32 支持プレート
32a 貫通孔
34 バックヨーク
36 制御用基板
38 排気管(流路)
39 弁体
40 通電コイル
41 吸引用バルブ
42 送出用バルブ
43 弁座
44 ストッパ
45 軸受孔
Claims (13)
- 容積型ポンプに用いられるバルブであって、ポンプ室へ流体が吸引されるときには開き、ポンプ室から流体が送出される際には閉じる吸引用バルブ、またはポンプ室へ流体が吸引されるときには閉じ、ポンプ室から流体が送出される際には開く送出用バルブのバルブ構造において、
流路を開閉する弁体を備え、
該弁体は、弁座への当接位置において、前記流路に対して傾斜して配設されていることを特徴とするバルブ構造。 - 前記弁体が、前記流路に対して30°以上傾斜するように配設されていることを特徴とする請求項1記載のバルブ構造。
- 前記弁体は、一端側に設けた回動軸を中心に回動して前記流路を開閉する弁体に形成され、
該弁体が、弁座への当接状態において、前記回動軸が設けられた一端側とは反対側となる他端側が該一端側に対して、流体の流れ方向後方側に位置するように傾斜して配設されていることを特徴とする請求項1または2記載のバルブ構造。 - 前記弁体が流体の流れ込み方向に所要角度回動した際、該弁体のそれ以上の回動を規制するストッパが設けられていることを特徴とする請求項3記載のバルブ構造。
- 前記ストッパは、前記弁体が、前記流路に直交する位置よりも流体の流れ込み方向後方側に45°以上開いた位置で回動を規制することを特徴とする請求項4記載のバルブ構造。
- 前記ストッパは、前記弁体が最大に開いたときに流路方向から見た弁体の投影エリア内に位置するように設けられていることを特徴とする請求項4または5記載のバルブ構造。
- 前記弁体は、前記回動軸とその軸受との間に、前記回動軸が回動軸の軸線と交差する方向に揺動して前記弁体が前記弁座に密接可能なように所要のクリアランスが設けられていることを特徴とする請求項3〜6いずれか1項記載のバルブ構造。
- 前記回動軸が軸受の軸線に対して2°以上揺動可能であることを特徴とする請求項7記載のバルブ構造。
- ポンプ室へ流体が吸引されるときには開き、ポンプ室から流体が送出される際には閉じる吸引用バルブと、ポンプ室へ流体が吸引されるときには閉じ、ポンプ室から流体が送出される際には開く送出用バルブとを有する容積型ポンプにおいて、
前記吸引用バルブもしくは前記送出用バルブ、または前記吸引用バルブおよび前記送出用バルブの双方に、請求項1〜8いずれか1項記載のバルブ構造を用いたことを特徴とする容積型ポンプ。 - 外周縁部をフレーム体に固定して、フレーム体にダイアフラムを取り付けることにより該ダイアフラムとフレーム体との間にダイアフラム室を設け、該ダイアフラム室に連通して吸引用バルブと送出用バルブとを設け、前記ダイアフラムを駆動する駆動手段を設けたダイアフラムポンプにおいて、
前記吸引用バルブもしくは前記送出用バルブ、または前記吸引用バルブおよび前記送出用バルブの双方に、請求項1〜8いずれか1項記載のバルブ構造を用いたことを特徴とするダイアフラムポンプ。 - 前記駆動手段が、
前記ダイアフラムの外面に取り付けられた永久磁石と、
該永久磁石に対向し、前記ダイアフラムを挟んで前記永久磁石とは反対側となる前記フレーム体の外面に設けられた電磁力の発生手段とを具備することを特徴とする請求項10記載のダイアフラムポンプ。 - 前記駆動手段が、
前記ダイアフラムの外面に取り付けられた電磁力の発生手段と、
該電磁力の発生手段に対向し、前記ダイアフラムを挟んで前記電磁力の発生手段とは反対側となる前記フレーム体の外面に設けられた永久磁石とを具備することを特徴とする請求項10記載のダイアフラムポンプ。 - 前記電磁力の発生手段が、空芯の通電コイルあるいは空芯の鉄心を有する通電コイルであることを特徴とする請求項11または12記載のダイアフラムポンプ。
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Cited By (2)
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JP2012517559A (ja) * | 2009-02-12 | 2012-08-02 | ザ・ボード・オブ・トラスティーズ・オブ・ザ・ユニバーシティ・オブ・イリノイ | 磁気的に駆動されるマイクロポンプ |
US8678781B2 (en) | 2009-03-27 | 2014-03-25 | Imagina Holdings Co., Ltd. | Angular oscillation centrifugal pump |
-
2003
- 2003-01-31 JP JP2003024864A patent/JP2004060640A/ja active Pending
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US8678781B2 (en) | 2009-03-27 | 2014-03-25 | Imagina Holdings Co., Ltd. | Angular oscillation centrifugal pump |
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