JP2004060402A - レーザーマーキングシステム及び鋼管打設方法 - Google Patents
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Abstract
【目的】注入式長尺先受工法における鋼管打設作業に適用して、その作業を正確且つ迅速に実行できるレーザーマーキングシステムを提供する。
【構成】可視レーザー光を用いて測距及び測角を行うと共に、該可視レーザー光によりマーキングを行うレーザー測量機器10に、内蔵コンピュータからなる制御機器を組み合わせる。制御機器は、注入式長尺先受工法におけるトンネル切羽面Aへの鋼管打設を行うに当たり、予め記憶したトンネル設計データに基づいてトンネル切羽面Aに鋼管打設予定位置a1,a2・・を可視レーザー光により照射表示するべくレーザー測量機器10を制御する。また、照射表示された鋼管打設予定位置a1,a2・・に鋼管40を所定の向きで対向させたときの該鋼管40の特定部分又はその近傍の特定部分の位置座標を前記トンネル設計データに基づいて演算し、演算された座標位置に可視レーザー光を照射させるべくレーザー測量機器10を制御する。その照射光が鋼管40の特定部分又はその近傍の特定部分に当たるように鋼管40を操作することにより、鋼管40の向きが決定される。
【選択図】 図1
【構成】可視レーザー光を用いて測距及び測角を行うと共に、該可視レーザー光によりマーキングを行うレーザー測量機器10に、内蔵コンピュータからなる制御機器を組み合わせる。制御機器は、注入式長尺先受工法におけるトンネル切羽面Aへの鋼管打設を行うに当たり、予め記憶したトンネル設計データに基づいてトンネル切羽面Aに鋼管打設予定位置a1,a2・・を可視レーザー光により照射表示するべくレーザー測量機器10を制御する。また、照射表示された鋼管打設予定位置a1,a2・・に鋼管40を所定の向きで対向させたときの該鋼管40の特定部分又はその近傍の特定部分の位置座標を前記トンネル設計データに基づいて演算し、演算された座標位置に可視レーザー光を照射させるべくレーザー測量機器10を制御する。その照射光が鋼管40の特定部分又はその近傍の特定部分に当たるように鋼管40を操作することにより、鋼管40の向きが決定される。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、トンネル掘削工事、特に注入式長尺先受工法での鋼管打設作業に好適に用いられるレーザーマーキングシステム、及びそのレーザーマーキングシステムを用いた注入式長尺先受工法での鋼管打設方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
トンネル掘削工事に用いられる工法の一つとして注入式長尺先受工法がある。この工法は、図7及び図8に示すように、トンネル切羽面Aの外周縁部に複数本の鋼管40,40・・を周方向に所定ピッチで打設することにより、切羽面Aの前方に限定地山改良ゾーンを形成する工法である。
【0003】
具体的に説明すると、切羽面Aに打設される複数本の鋼管40,40・・は、先に打設された複数本の鋼管40,40・・と部分的にラップするように先広がり状に打設される。鋼管の打設形態にちなんで、この工法はアンブレラ工法とも呼ばれている。複数本の鋼管40,40・・の打設には、通常のトンネル掘削工事で多用されるドリルジャンボと呼ばれる重機が使用される。
【0004】
複数本の鋼管40,40・・の打設が終わると、各鋼管40をとおして各鋼管40にあけた孔から鋼管40の周辺に注入材を注入する。これにより、掘削線の外周部に鋼管40がはいった限定地山改良ゾーンが形成される。この切羽前方に構築された地山改良ゾーンにより、地山の先行変位が抑制される。また、地山の緩み防止及び施工の安全が図られる。
【0005】
注入式長尺先受工法を含め、各種のトンネル掘削工事においては、切羽面にトンネル断面形状や発破装填用の穿孔パターンなどの各種のトンネル施工情報をマーキングすることを目的として、可視レーザー光を用いたレーザーマーキングシステムが広く使用されている。
【0006】
このレーザーマーキングシステムは、可視レーザー光を用いて測距及び測角を行うと共に、該可視レーザー光によりマーキングを行うレーザー測量機器と、各種のトンネル施工情報を可視レーザー光で照射表示するべく、予め記憶したトンネル設計データに基づいてレーザー測量機器を操作する制御機器とにより構成されている。そして、前述した注入式長尺先受工法における鋼管打設作業にも、このレーザーマーキングシステムは使用されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
従来のレーザーマーキングシステムによると、注入式長尺先受工法における鋼管打設予定位置が正確かつ迅速に照射表示される。即ち、トンネル設計情報の特に先受設計情報とトンネル切羽面の位置情報とに基づいて、トンネル切羽面の外周縁部における鋼管打設予定位置が順次演算され、可視レーザー光により自動的に照射表示される。
【0008】
各表示位置にマーキングを終えた後の鋼管打設作業では、前述したように、ドリルジャンボに鋼管40をセットし、鋼管40に所定の向きを与えるべくドリルジャンボを予備操作した後、ドリルジャンボを本操作して鋼管打設予定位置に鋼管40を打設するが、鋼管40は円弧状に湾曲したトンネル切羽面Aの外周縁部に先広がり状に打設されるため、鋼管40の向きは打設位置によって全て異なるものとなる。このため、鋼管40に所定の向きを与えるためのドリルジャンボの予備操作が非常に複雑になり、このことが打設作業における能率低下の大きな原因になっている。
【0009】
本発明はかかる事情に鑑みて創案されたものであり、注入式長尺先受工法における鋼管打設作業に適用して、その作業を正確且つ迅速に実行できるレーザーマーキングシステム及びそのレーザーマーキングシステムを用いた能率的な鋼管打設方法を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明に係るレーザーマーキングシステムは、測距及び測角並びに可視レーザー光によるマーキングを行うレーザー測量機器と、注入式長尺先受工法によってトンネル掘削を行うための各種のトンネル設計データを記憶しており、トンネル切羽面へ鋼管を打設するに当たって、予め表示された鋼管打設予定位置に鋼管を所定の向きで対向させたときの該鋼管の特定部分又はその近傍の特定部分の位置座標に可視レーザー光が照射されるように前記レーザー測量機器を制御する制御機器とを備えている。
【0011】
前記制御機器は、注入式長尺先受工法におけるトンネル切羽面への鋼管打設を行うに当たり、予め記憶したトンネル設計データに基づいてトンネル切羽面に鋼管打設予定位置を可視レーザー光により照射表示させると共に、照射表示された鋼管打設予定位置に鋼管を所定の向きで対向させたときの該鋼管の特定部分又はその近傍の特定部分の位置座標に前記可視レーザー光を照射させるべく前記レーザー測量機器を制御する構成が好ましい。
【0012】
鋼管打設予定位置に鋼管を所定の向きで対向させたときの該鋼管の特定部分又はその近傍の特定部分の位置座標は、前記制御機器に対して予め入力しておくことができる。また、前記制御機器において前記トンネル設計データに基づいて逐次演算することができる。
【0013】
また、本発明に係る鋼管打設方法は、前記レーザーマーキングシステムを用いて注入式長尺先受工法における鋼管打設を行う方法であって、前記レーザーマーキングシステムを用いてトンネル切羽面に鋼管打設予定位置を照射表示する工程と、照射表示された鋼管打設予定位置に鋼管を打設する際に、鋼管を対応する鋼管打設予定位置に対向させた状態で前記レーザーマーキングシステムが指示する座標位置に可視レーザー光を照射する工程と、その照射光が前記鋼管の特定部分又はその近傍の特定部分に当たるように前記鋼管を操作して鋼管の向きを決定する工程と、向きを決定された鋼管を、その向きを維持しつつ前記切羽面に打設する工程とを含んでいる。
【0014】
また、本発明に係る別の鋼管打設方法は、前記レーザーマーキングシステムを用いて注入式長尺先受工法における鋼管打設を行う方法であって、前記レーザーマーキングシステムを用いてトンネル切羽面に鋼管打設予定位置を照射表示する工程と、照射表示された鋼管打設予定位置に鋼管を打設する際に、前記トンネル切羽面から所定の水平距離はなれた想定面上で、前記レーザーマーキングシステムが指示する座標位置に可視レーザー光を照射して、前記想定面上でのトンネル天井面又は壁面からレーザー照射点までの離間距離を測定する工程と、鋼管を対応する鋼管打設予定位置に対向させ、前記想定面上でトンネル天井面又は壁面からの離間距離が前記測定値となる位置を前記鋼管の特定部分又はその近傍の特定部分が交差するように前記鋼管を操作して鋼管の向きを決定する工程と、向きを決定された鋼管を、その向きを維持しつつ前記切羽面に打設する工程とを含んでいる。
【0015】
本発明によると、注入式長尺先受工法においてトンネル切羽面に鋼管を打設する際に、トンネル切羽面における鋼管打設予定位置のみならず、鋼管打設予定位置に対応する鋼管の向きがレーザーマーキングにより指示される。このため、鋼管打設予定位置ごとに鋼管の向きが変わるにもかかわらず、その向きを決定するための操作が簡単になり、鋼管打設作業における作業能率が向上する。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。図1は本発明の第1実施形態を示す施工フロー図、図2は同施工で重要な打設鋼管の向きを指定する工程の概念図、図3は同工程のフローチャート、図4は打設鋼管の向きを指定するためのレーザー照射位置座標の求めかたを説明するための側面図及び正面図である。
【0017】
本実施形態は、注入式長尺先受工法における鋼管打設作業をレーザーマーキングシステムを用いて行うものである。レーザーマーキングシステムは、図1及び図2に示すように、トータルステーションと呼ばれるレーザー測量機器10を備えており、レーザー測量機器10は制御機器としての内蔵コンピュータを装備している。
【0018】
レーザー測量機器10は、レーザーマーキング機能の他に、基準点測量、天端沈下・内空変位計測、定点観測、計測データ・切羽情報管理、あたり検測、杭打ち・現況測量といった機能を有している。内蔵コンピュータは、注入式長尺先受工法における鋼管配置情報を含む各種のトンネル設計情報を記憶しており、レーザーマーキングでは、切羽面におけるトンネル断面形状、発破装填用の穿孔パターンといった各種のトンネル施工情報を可視レーザー光により照射表示するべく、前記トンネル設計情報に基づいてレーザー測量機器10を制御する。そして、鋼管打設作業に関連するレーザーマーキング機能として、トンネル切羽面に鋼管打設予定位置を照射表示させる機能と、照射表示された鋼管打設予定位置ごとに鋼管の向きを指定する機能とを有している。
【0019】
注入式長尺先受工法における鋼管打設作業では、まず、図1(a)に示すように、トンネル内の切羽面Aの近傍にレーザー測量機器10をセットする。トンネル壁面に設定された2つの既知点を測距及び測角することにより、レーザー測量機器10の自位置を求める。この作業は、レーザー測量機器10がもつ自動視準機能によりレーザー測量機器10を大まかな方向に向けるだけで完了する。
【0020】
レーザー測量機器10のセット及び自位置の測定が終わると、レーザー測量機器10により切羽面Aを測距及び測角する。この測量データは、内蔵コンピュータに格納されているトンネル設計情報と照合される。これにより、切羽面Aの位置が計算され、同時に、その切羽面Aにおける鋼管打設予定位置a1,a2,a3・・・が計算される。鋼管打設予定位置a1,a2,a3・・・が求まると、内蔵コンピュータからの指示により、レーザー測量機器10は鋼管打設予定位置a1,a2,a3・・・を可視レーザー光により順番に照射表示する。照射表示された位置は順番にスプレー等でマーキングすることにより保存される。
【0021】
鋼管打設予定位置a1,a2,a3・・・のマーキングが終わると、図1(b)に示すように、重機の一種であるドリルジャンボ30を用いて、鋼管打設予定位置a1,a2,a3・・・に鋼管40を順番に打設する。ドリルジャンボ30は、自走式の車両部31と、車両部31に自在アーム32を介して取り付けられた削孔挿入ヘッド33とを備えている。
【0022】
削孔挿入ヘッド33は、図2に示すように、自在アーム32により操作される直線状のベース33aと、ベース33aの後端部に取り付けられたドリフター33bとを備えている。ベース33aは鋼管40をスライド自在に支持する。ドリフター33bは、ベース33a上にセットされた鋼管40の後方に位置し、鋼管40を貫通するロッドの先端に取り付けられたビット33cを回転駆動しつつ、ベース33a上をスライド駆動されることにより、切羽面Aを削孔しながらその孔に鋼管40を挿入する。即ち、削孔と管挿入を同時に行い、打設能率を高める。
【0023】
ここで、重要なのは、削孔挿入ヘッド33のベース33a上にセットされた鋼管40の向きを決定する操作である。なぜなら、鋼管40の向きは、鋼管打設予定位置a1,a2,a3・・・によって全て相違するからである。そこで、本実施形態では、内蔵コンピュータ上で操作モードを、鋼管打設予定位置a1,a2,a3・・・を照射表示する第1のマーキングモードから、鋼管40の向きを指定する第2のマーキングモードに切り替える(図3中のS1)。
【0024】
モードの切り替えが終わると、鋼管打設予定位置a1,a2,a3・・・の番号を内蔵コンピュータに入力する。この入力データに基づいて、内蔵コンピュータは、入力された鋼管打設予定位置に対応する鋼管40の後端近傍の定位置、ここではドリフター33bの後部に取り付けられたターゲットの座標(Xb,Yb,Zb)をメモリから呼び出す(図3中のS2)。
【0025】
具体的に説明すると、鋼管40の先端を切羽面Aの対応する鋼管打設予定位置に突き当て、その鋼管40に所定の向きを与えたときに、ドリフター33bの後部に取り付けられたターゲットが位置する座標(Xb,Yb,Zb)が、予めCADによって求められ、内蔵コンピュータ内のメモリに格納されている。ドリフタ座標(Xb,Yb,Zb)の求め方を図4により説明する。
【0026】
鋼管40は基本的に切羽面Aから遠く離れた1点から放射状に打設される。このため個々の鋼管40の向きが異なることになるが、ドリフター33bの後部に取り付けられたターゲットは、切羽面Aから所定の水平距離Lに位置する平行平面B(想定面)上にのる。そして、この平行平面B(想定面)上でターゲットが位置する座標(Xb,Yb,Zb)は、切羽面A上の鋼管打設予定位置の座標(Xa,Ya,Za)から相似的に求まる。即ち、平行平面B(想定面)上で座標(Xb,Yb,Zb)を繋いで形成される円弧は、切羽面A上で座標(Xa,Ya,Za)を繋いで形成される円弧の相似形となる。したがって、ターゲットが位置する座標(Xb,Yb,Zb)は、鋼管打設予定位置の座標(Xa,Ya,Za)から簡単に求まる。実際の作業では、ターゲットが位置する座標(Xb,Yb,Zb)はCAD上で簡単にピックアップされる。水平距離Lを変更すれば、座標(Xb,Yb,Zb)が平行移動し、鋼管40の傾きのみを変更することができる。
【0027】
ドリフター後部のターゲットが位置すべき座標(Xb,Yb,Zb)がメモリから呼び出されると、内蔵コンピュータはレーザー測量機器10に指示を与えて座標(Xb,Yb,Zb)の位置に向けて可視レーザー光を出射する(図3中のS3)。作業者は、その可視レーザー光がドリフター後部のターゲットに当たるように、削孔挿入ヘッド33を操作する。これにより、鋼管40の向きが決定され、この状態でドリフター33bを駆動することにより、鋼管40が対応する鋼管打設予定位置に所定の正しい向きで打設される(図3中のS4)。
【0028】
鋼管打設予定位置a1,a2,a3・・・の全てに対してこの操作を行うことにより、鋼管打設予定位置a1,a2,a3・・・に各対応する鋼管40の向きが打設前に簡単かつ正確に決定され、鋼管打設作業における作業能率が著しく向上する。また、各鋼管40の向きの正確度も高まり、鋼管打設作業における作業精度が向上する。
【0029】
鋼管40の向きを決定するときにレーザー光を照射する位置は、上記実施形態ではドリフター33bの後部としたが、鋼管40の後端部や、その後端部に対して位置関係が変化しない削孔挿入ヘッド33の後部、例えばドリフター33bの後部以外の一部分等でもよく、ドリフター33bの後部に限定するものではない。
【0030】
図5は本発明の第2実施形態を示すフローチャート、図6は同形態で重要な打設鋼管の向きを指定する工程の概念図である。
【0031】
本実施形態では、トンネル内の切羽面Aに対して鋼管打設予定位置a1,a2,a3・・・のマーキングが終わると、各位置に対して次の次の操作を行う。
【0032】
まず、切羽面Aから所定の水平距離Lo離れた想定面Bに距離測定用ターゲット20をセットする。距離測定用ターゲット20は、トンネルの天井面又は壁面(支保工面)に直角に当接させ、この状態でレーザー光を照射されることにより、想定面B上での天井面又は壁面(支保工面)から鋼管40の一部分までの離間距離Dを測定するのに使用される治具である。
【0033】
具体的に説明すると、内蔵コンピュータは、切羽面Aからの水平距離がLoの位置にある平行平面B(想定面)と交差する鋼管40の座標(Xc,Yc,Zc)を記憶している。より具体的には、鋼管40の先端を切羽面Aの対応する鋼管打設予定位置に突き当て、その鋼管40に所定の向きを与えたときに、その鋼管40が平行平面B(想定面)と交差する点の座標(Xc,Yc,Zc)を記憶している。この座標(Xc,Yc,Zc)は、前述した座標(Xb,Yb,Zb)と同様に、座標(Xa,Ya,Za)及び切羽面Aからの水平距離Loに基づいて簡単に求まる。
【0034】
内蔵コンピュータは、レーザー測量機器10に与えられる指示に基づいて座標(Xc,Yc,Zc)を呼び出し、この座標位置に向けて可視レーザー光を出射する。この出射レーザー光は、トンネルの天井面又は壁面(支保工面)に直角に当接させた距離測定用ターゲット20に当たる(図5中のS11〜S15)。作業者は、天井面又は壁面(支保工面)から距離測定用ターゲット20上のレーザー照射点までの離間距離Dを測定し記録する(図5中のS16)。
【0035】
この距離測定を鋼管打設予定位置a1,a2,a3・・・の全てに対して行った後、ドリルジャンボ30を用いて各位置に鋼管40を打設する際に、切羽面Aからの水平距離がLoとなる平行平面B上で、天井面又は壁面(支保工面)から鋼管40までの離間距離Dが上記測定記録値となるように、削孔挿入ヘッド33を操作する(図5中のS17)。
【0036】
これにより、鋼管40の向きが決定され、この状態でドリフター33bを駆動することにより、鋼管40が対応する鋼管打設予定位置に所定の正しい向きで打設される。
【0037】
このように、本発明に係るレーザーマーキングシステム及び鋼管打設方法では、鋼管40又はその近傍に直接レーザーマーキングを行うだけでなく、切羽面Aから水平距離がLoの位置にセットしたターゲット20へのレーザーマーキングにより、この位置での天井面から鋼管40までの離間距離Dを求め、この離間距離Dから鋼管40の向きを決定することもできる。
【0038】
切羽面Aから平行平面面Bまでの水平距離Loは、上記実施形態では、鋼管40の後部が到達する値に選択したが、鋼管40の後部以外の部分や、その鋼管40に対して位置関係が変化しない削孔挿入ヘッド33の特定部分等が到達する距離であってもよい。
【0039】
【発明の効果】
以上に説明したとおり、本発明に係るレーザーマーキングシステムは、測距及び測角並びに可視レーザー光によるマーキングを行うレーザー測量機器と、注入式長尺先受工法におけるトンネル切羽面への鋼管打設を行うに当たり、鋼管打設予定位置に鋼管を所定の向きで対向させたときの該鋼管の特定部分又は鋼管近傍の特定部分の位置座標に可視レーザー光を照射させるべく前記レーザー測量機器を制御する制御機器とを備えている。この構成により、鋼管の向きを決定する操作がレーザーマーキングを利用して正確かつ迅速に実行でき、鋼管打設作業における作業能率が向上する。
【0040】
前記制御機器が、注入式長尺先受工法におけるトンネル切羽面への鋼管打設を行うに当たり、予め記憶したトンネル設計データに基づいてトンネル切羽面に鋼管打設予定位置を可視レーザー光により照射表示させると共に、照射表示された鋼管打設予定位置に鋼管を所定の向きで対向させたときの該鋼管の特定部分又は鋼管近傍の特定部分の位置座標に前記可視レーザー光を照射させるべく前記レーザー測量機器を制御する構成の場合は、鋼管打設予定位置のマーキング作業も簡単になり、鋼管打設作業における作業能率が一層向上する。
【0041】
また、本発明に係る鋼管打設方法は、前記レーザーマーキングシステムを用いて注入式長尺先受工法における鋼管打設を行う方法であって、前記レーザーマーキングシステムを用いてトンネル切羽面に鋼管打設予定位置を照射表示する工程と、照射表示された鋼管打設予定位置に鋼管を打設する際に、鋼管を対応する鋼管打設予定位置に対向させた状態で前記レーザーマーキングシステムが指示する座標位置に可視レーザー光を照射する工程と、その照射光が前記鋼管の特定部分又は鋼管近傍の特定部分に当たるように前記鋼管を操作して鋼管の向きを決定する工程と、向きを決定された鋼管を、その向きを維持しつつ前記切羽面に打設する工程とを含んでいる。この構成により、トンネル切羽面における鋼管打設予定位置のみならず、鋼管打設予定位置に対応する鋼管の向きがレーザーマーキングにより指示される。このため、鋼管打設予定位置ごとに鋼管の向きが変わるにもかかわらず、その向きを決定するための操作が簡単になり、鋼管打設作業における作業能率が向上する。
【0042】
また、本発明に係る別の鋼管打設方法は、前記レーザーマーキングシステムを用いて注入式長尺先受工法における鋼管打設を行う方法であって、前記レーザーマーキングシステムを用いてトンネル切羽面に鋼管打設予定位置を照射表示する工程と、照射表示された鋼管打設予定位置に鋼管を打設する際に、前記トンネル切羽面から所定の水平距離はなれた想定面上で、前記レーザーマーキングシステムが指示する座標位置に可視レーザー光を照射して、前記想定面上でのトンネル天井面からレーザー照射点までの離間距離を測定する工程と、鋼管を対応する鋼管打設予定位置に対向させ、前記想定面上でトンネル天井面からの離間距離が前記測定値となる位置を前記鋼管の特定部分又はその近傍の特定部分が交差するように前記鋼管を操作して鋼管の向きを決定する工程と、向きを決定された鋼管を、その向きを維持しつつ前記切羽面に打設する工程とを含んでいる。この構成により、トンネル切羽面における鋼管打設予定位置のみならず、鋼管打設予定位置に対応する鋼管の向きがレーザーマーキングにより指示される。このため、鋼管打設予定位置ごとに鋼管の向きが変わるにもかかわらず、その向きを決定するための操作が簡単になり、鋼管打設作業における作業能率が向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態を示す施工フロー図である。
【図2】同施工で重要な打設鋼管の向きを指定する工程の概念図で、縦断面図ある。
【図3】同工程のフローチャートである。
【図4】打設鋼管の向きを指定するためのレーザー照射位置座標の求め方の説明図で、(a)は側面図、(b)は正面図である。
【図5】本発明の第2実施形態を示すフローチャートである。
【図6】同形態で重要な打設鋼管の向きを指定する工程の概念図で、(a)は横断面図、(b)は縦断面図である。
【図7】注入式長尺先受工法の説明図で、縦断面図である。
【図8】注入式長尺先受工法の説明図で、横断面図である。
【符号の説明】
10 レーザー測量機器
20 距離測定用ターゲット
30 ドリルジャンボ
40 鋼管
A トンネル切羽面
a1,a2・・ 鋼管打設予定位置
B 切羽面Aから所定距離はなれた平行平面
【発明の属する技術分野】
本発明は、トンネル掘削工事、特に注入式長尺先受工法での鋼管打設作業に好適に用いられるレーザーマーキングシステム、及びそのレーザーマーキングシステムを用いた注入式長尺先受工法での鋼管打設方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
トンネル掘削工事に用いられる工法の一つとして注入式長尺先受工法がある。この工法は、図7及び図8に示すように、トンネル切羽面Aの外周縁部に複数本の鋼管40,40・・を周方向に所定ピッチで打設することにより、切羽面Aの前方に限定地山改良ゾーンを形成する工法である。
【0003】
具体的に説明すると、切羽面Aに打設される複数本の鋼管40,40・・は、先に打設された複数本の鋼管40,40・・と部分的にラップするように先広がり状に打設される。鋼管の打設形態にちなんで、この工法はアンブレラ工法とも呼ばれている。複数本の鋼管40,40・・の打設には、通常のトンネル掘削工事で多用されるドリルジャンボと呼ばれる重機が使用される。
【0004】
複数本の鋼管40,40・・の打設が終わると、各鋼管40をとおして各鋼管40にあけた孔から鋼管40の周辺に注入材を注入する。これにより、掘削線の外周部に鋼管40がはいった限定地山改良ゾーンが形成される。この切羽前方に構築された地山改良ゾーンにより、地山の先行変位が抑制される。また、地山の緩み防止及び施工の安全が図られる。
【0005】
注入式長尺先受工法を含め、各種のトンネル掘削工事においては、切羽面にトンネル断面形状や発破装填用の穿孔パターンなどの各種のトンネル施工情報をマーキングすることを目的として、可視レーザー光を用いたレーザーマーキングシステムが広く使用されている。
【0006】
このレーザーマーキングシステムは、可視レーザー光を用いて測距及び測角を行うと共に、該可視レーザー光によりマーキングを行うレーザー測量機器と、各種のトンネル施工情報を可視レーザー光で照射表示するべく、予め記憶したトンネル設計データに基づいてレーザー測量機器を操作する制御機器とにより構成されている。そして、前述した注入式長尺先受工法における鋼管打設作業にも、このレーザーマーキングシステムは使用されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
従来のレーザーマーキングシステムによると、注入式長尺先受工法における鋼管打設予定位置が正確かつ迅速に照射表示される。即ち、トンネル設計情報の特に先受設計情報とトンネル切羽面の位置情報とに基づいて、トンネル切羽面の外周縁部における鋼管打設予定位置が順次演算され、可視レーザー光により自動的に照射表示される。
【0008】
各表示位置にマーキングを終えた後の鋼管打設作業では、前述したように、ドリルジャンボに鋼管40をセットし、鋼管40に所定の向きを与えるべくドリルジャンボを予備操作した後、ドリルジャンボを本操作して鋼管打設予定位置に鋼管40を打設するが、鋼管40は円弧状に湾曲したトンネル切羽面Aの外周縁部に先広がり状に打設されるため、鋼管40の向きは打設位置によって全て異なるものとなる。このため、鋼管40に所定の向きを与えるためのドリルジャンボの予備操作が非常に複雑になり、このことが打設作業における能率低下の大きな原因になっている。
【0009】
本発明はかかる事情に鑑みて創案されたものであり、注入式長尺先受工法における鋼管打設作業に適用して、その作業を正確且つ迅速に実行できるレーザーマーキングシステム及びそのレーザーマーキングシステムを用いた能率的な鋼管打設方法を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明に係るレーザーマーキングシステムは、測距及び測角並びに可視レーザー光によるマーキングを行うレーザー測量機器と、注入式長尺先受工法によってトンネル掘削を行うための各種のトンネル設計データを記憶しており、トンネル切羽面へ鋼管を打設するに当たって、予め表示された鋼管打設予定位置に鋼管を所定の向きで対向させたときの該鋼管の特定部分又はその近傍の特定部分の位置座標に可視レーザー光が照射されるように前記レーザー測量機器を制御する制御機器とを備えている。
【0011】
前記制御機器は、注入式長尺先受工法におけるトンネル切羽面への鋼管打設を行うに当たり、予め記憶したトンネル設計データに基づいてトンネル切羽面に鋼管打設予定位置を可視レーザー光により照射表示させると共に、照射表示された鋼管打設予定位置に鋼管を所定の向きで対向させたときの該鋼管の特定部分又はその近傍の特定部分の位置座標に前記可視レーザー光を照射させるべく前記レーザー測量機器を制御する構成が好ましい。
【0012】
鋼管打設予定位置に鋼管を所定の向きで対向させたときの該鋼管の特定部分又はその近傍の特定部分の位置座標は、前記制御機器に対して予め入力しておくことができる。また、前記制御機器において前記トンネル設計データに基づいて逐次演算することができる。
【0013】
また、本発明に係る鋼管打設方法は、前記レーザーマーキングシステムを用いて注入式長尺先受工法における鋼管打設を行う方法であって、前記レーザーマーキングシステムを用いてトンネル切羽面に鋼管打設予定位置を照射表示する工程と、照射表示された鋼管打設予定位置に鋼管を打設する際に、鋼管を対応する鋼管打設予定位置に対向させた状態で前記レーザーマーキングシステムが指示する座標位置に可視レーザー光を照射する工程と、その照射光が前記鋼管の特定部分又はその近傍の特定部分に当たるように前記鋼管を操作して鋼管の向きを決定する工程と、向きを決定された鋼管を、その向きを維持しつつ前記切羽面に打設する工程とを含んでいる。
【0014】
また、本発明に係る別の鋼管打設方法は、前記レーザーマーキングシステムを用いて注入式長尺先受工法における鋼管打設を行う方法であって、前記レーザーマーキングシステムを用いてトンネル切羽面に鋼管打設予定位置を照射表示する工程と、照射表示された鋼管打設予定位置に鋼管を打設する際に、前記トンネル切羽面から所定の水平距離はなれた想定面上で、前記レーザーマーキングシステムが指示する座標位置に可視レーザー光を照射して、前記想定面上でのトンネル天井面又は壁面からレーザー照射点までの離間距離を測定する工程と、鋼管を対応する鋼管打設予定位置に対向させ、前記想定面上でトンネル天井面又は壁面からの離間距離が前記測定値となる位置を前記鋼管の特定部分又はその近傍の特定部分が交差するように前記鋼管を操作して鋼管の向きを決定する工程と、向きを決定された鋼管を、その向きを維持しつつ前記切羽面に打設する工程とを含んでいる。
【0015】
本発明によると、注入式長尺先受工法においてトンネル切羽面に鋼管を打設する際に、トンネル切羽面における鋼管打設予定位置のみならず、鋼管打設予定位置に対応する鋼管の向きがレーザーマーキングにより指示される。このため、鋼管打設予定位置ごとに鋼管の向きが変わるにもかかわらず、その向きを決定するための操作が簡単になり、鋼管打設作業における作業能率が向上する。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。図1は本発明の第1実施形態を示す施工フロー図、図2は同施工で重要な打設鋼管の向きを指定する工程の概念図、図3は同工程のフローチャート、図4は打設鋼管の向きを指定するためのレーザー照射位置座標の求めかたを説明するための側面図及び正面図である。
【0017】
本実施形態は、注入式長尺先受工法における鋼管打設作業をレーザーマーキングシステムを用いて行うものである。レーザーマーキングシステムは、図1及び図2に示すように、トータルステーションと呼ばれるレーザー測量機器10を備えており、レーザー測量機器10は制御機器としての内蔵コンピュータを装備している。
【0018】
レーザー測量機器10は、レーザーマーキング機能の他に、基準点測量、天端沈下・内空変位計測、定点観測、計測データ・切羽情報管理、あたり検測、杭打ち・現況測量といった機能を有している。内蔵コンピュータは、注入式長尺先受工法における鋼管配置情報を含む各種のトンネル設計情報を記憶しており、レーザーマーキングでは、切羽面におけるトンネル断面形状、発破装填用の穿孔パターンといった各種のトンネル施工情報を可視レーザー光により照射表示するべく、前記トンネル設計情報に基づいてレーザー測量機器10を制御する。そして、鋼管打設作業に関連するレーザーマーキング機能として、トンネル切羽面に鋼管打設予定位置を照射表示させる機能と、照射表示された鋼管打設予定位置ごとに鋼管の向きを指定する機能とを有している。
【0019】
注入式長尺先受工法における鋼管打設作業では、まず、図1(a)に示すように、トンネル内の切羽面Aの近傍にレーザー測量機器10をセットする。トンネル壁面に設定された2つの既知点を測距及び測角することにより、レーザー測量機器10の自位置を求める。この作業は、レーザー測量機器10がもつ自動視準機能によりレーザー測量機器10を大まかな方向に向けるだけで完了する。
【0020】
レーザー測量機器10のセット及び自位置の測定が終わると、レーザー測量機器10により切羽面Aを測距及び測角する。この測量データは、内蔵コンピュータに格納されているトンネル設計情報と照合される。これにより、切羽面Aの位置が計算され、同時に、その切羽面Aにおける鋼管打設予定位置a1,a2,a3・・・が計算される。鋼管打設予定位置a1,a2,a3・・・が求まると、内蔵コンピュータからの指示により、レーザー測量機器10は鋼管打設予定位置a1,a2,a3・・・を可視レーザー光により順番に照射表示する。照射表示された位置は順番にスプレー等でマーキングすることにより保存される。
【0021】
鋼管打設予定位置a1,a2,a3・・・のマーキングが終わると、図1(b)に示すように、重機の一種であるドリルジャンボ30を用いて、鋼管打設予定位置a1,a2,a3・・・に鋼管40を順番に打設する。ドリルジャンボ30は、自走式の車両部31と、車両部31に自在アーム32を介して取り付けられた削孔挿入ヘッド33とを備えている。
【0022】
削孔挿入ヘッド33は、図2に示すように、自在アーム32により操作される直線状のベース33aと、ベース33aの後端部に取り付けられたドリフター33bとを備えている。ベース33aは鋼管40をスライド自在に支持する。ドリフター33bは、ベース33a上にセットされた鋼管40の後方に位置し、鋼管40を貫通するロッドの先端に取り付けられたビット33cを回転駆動しつつ、ベース33a上をスライド駆動されることにより、切羽面Aを削孔しながらその孔に鋼管40を挿入する。即ち、削孔と管挿入を同時に行い、打設能率を高める。
【0023】
ここで、重要なのは、削孔挿入ヘッド33のベース33a上にセットされた鋼管40の向きを決定する操作である。なぜなら、鋼管40の向きは、鋼管打設予定位置a1,a2,a3・・・によって全て相違するからである。そこで、本実施形態では、内蔵コンピュータ上で操作モードを、鋼管打設予定位置a1,a2,a3・・・を照射表示する第1のマーキングモードから、鋼管40の向きを指定する第2のマーキングモードに切り替える(図3中のS1)。
【0024】
モードの切り替えが終わると、鋼管打設予定位置a1,a2,a3・・・の番号を内蔵コンピュータに入力する。この入力データに基づいて、内蔵コンピュータは、入力された鋼管打設予定位置に対応する鋼管40の後端近傍の定位置、ここではドリフター33bの後部に取り付けられたターゲットの座標(Xb,Yb,Zb)をメモリから呼び出す(図3中のS2)。
【0025】
具体的に説明すると、鋼管40の先端を切羽面Aの対応する鋼管打設予定位置に突き当て、その鋼管40に所定の向きを与えたときに、ドリフター33bの後部に取り付けられたターゲットが位置する座標(Xb,Yb,Zb)が、予めCADによって求められ、内蔵コンピュータ内のメモリに格納されている。ドリフタ座標(Xb,Yb,Zb)の求め方を図4により説明する。
【0026】
鋼管40は基本的に切羽面Aから遠く離れた1点から放射状に打設される。このため個々の鋼管40の向きが異なることになるが、ドリフター33bの後部に取り付けられたターゲットは、切羽面Aから所定の水平距離Lに位置する平行平面B(想定面)上にのる。そして、この平行平面B(想定面)上でターゲットが位置する座標(Xb,Yb,Zb)は、切羽面A上の鋼管打設予定位置の座標(Xa,Ya,Za)から相似的に求まる。即ち、平行平面B(想定面)上で座標(Xb,Yb,Zb)を繋いで形成される円弧は、切羽面A上で座標(Xa,Ya,Za)を繋いで形成される円弧の相似形となる。したがって、ターゲットが位置する座標(Xb,Yb,Zb)は、鋼管打設予定位置の座標(Xa,Ya,Za)から簡単に求まる。実際の作業では、ターゲットが位置する座標(Xb,Yb,Zb)はCAD上で簡単にピックアップされる。水平距離Lを変更すれば、座標(Xb,Yb,Zb)が平行移動し、鋼管40の傾きのみを変更することができる。
【0027】
ドリフター後部のターゲットが位置すべき座標(Xb,Yb,Zb)がメモリから呼び出されると、内蔵コンピュータはレーザー測量機器10に指示を与えて座標(Xb,Yb,Zb)の位置に向けて可視レーザー光を出射する(図3中のS3)。作業者は、その可視レーザー光がドリフター後部のターゲットに当たるように、削孔挿入ヘッド33を操作する。これにより、鋼管40の向きが決定され、この状態でドリフター33bを駆動することにより、鋼管40が対応する鋼管打設予定位置に所定の正しい向きで打設される(図3中のS4)。
【0028】
鋼管打設予定位置a1,a2,a3・・・の全てに対してこの操作を行うことにより、鋼管打設予定位置a1,a2,a3・・・に各対応する鋼管40の向きが打設前に簡単かつ正確に決定され、鋼管打設作業における作業能率が著しく向上する。また、各鋼管40の向きの正確度も高まり、鋼管打設作業における作業精度が向上する。
【0029】
鋼管40の向きを決定するときにレーザー光を照射する位置は、上記実施形態ではドリフター33bの後部としたが、鋼管40の後端部や、その後端部に対して位置関係が変化しない削孔挿入ヘッド33の後部、例えばドリフター33bの後部以外の一部分等でもよく、ドリフター33bの後部に限定するものではない。
【0030】
図5は本発明の第2実施形態を示すフローチャート、図6は同形態で重要な打設鋼管の向きを指定する工程の概念図である。
【0031】
本実施形態では、トンネル内の切羽面Aに対して鋼管打設予定位置a1,a2,a3・・・のマーキングが終わると、各位置に対して次の次の操作を行う。
【0032】
まず、切羽面Aから所定の水平距離Lo離れた想定面Bに距離測定用ターゲット20をセットする。距離測定用ターゲット20は、トンネルの天井面又は壁面(支保工面)に直角に当接させ、この状態でレーザー光を照射されることにより、想定面B上での天井面又は壁面(支保工面)から鋼管40の一部分までの離間距離Dを測定するのに使用される治具である。
【0033】
具体的に説明すると、内蔵コンピュータは、切羽面Aからの水平距離がLoの位置にある平行平面B(想定面)と交差する鋼管40の座標(Xc,Yc,Zc)を記憶している。より具体的には、鋼管40の先端を切羽面Aの対応する鋼管打設予定位置に突き当て、その鋼管40に所定の向きを与えたときに、その鋼管40が平行平面B(想定面)と交差する点の座標(Xc,Yc,Zc)を記憶している。この座標(Xc,Yc,Zc)は、前述した座標(Xb,Yb,Zb)と同様に、座標(Xa,Ya,Za)及び切羽面Aからの水平距離Loに基づいて簡単に求まる。
【0034】
内蔵コンピュータは、レーザー測量機器10に与えられる指示に基づいて座標(Xc,Yc,Zc)を呼び出し、この座標位置に向けて可視レーザー光を出射する。この出射レーザー光は、トンネルの天井面又は壁面(支保工面)に直角に当接させた距離測定用ターゲット20に当たる(図5中のS11〜S15)。作業者は、天井面又は壁面(支保工面)から距離測定用ターゲット20上のレーザー照射点までの離間距離Dを測定し記録する(図5中のS16)。
【0035】
この距離測定を鋼管打設予定位置a1,a2,a3・・・の全てに対して行った後、ドリルジャンボ30を用いて各位置に鋼管40を打設する際に、切羽面Aからの水平距離がLoとなる平行平面B上で、天井面又は壁面(支保工面)から鋼管40までの離間距離Dが上記測定記録値となるように、削孔挿入ヘッド33を操作する(図5中のS17)。
【0036】
これにより、鋼管40の向きが決定され、この状態でドリフター33bを駆動することにより、鋼管40が対応する鋼管打設予定位置に所定の正しい向きで打設される。
【0037】
このように、本発明に係るレーザーマーキングシステム及び鋼管打設方法では、鋼管40又はその近傍に直接レーザーマーキングを行うだけでなく、切羽面Aから水平距離がLoの位置にセットしたターゲット20へのレーザーマーキングにより、この位置での天井面から鋼管40までの離間距離Dを求め、この離間距離Dから鋼管40の向きを決定することもできる。
【0038】
切羽面Aから平行平面面Bまでの水平距離Loは、上記実施形態では、鋼管40の後部が到達する値に選択したが、鋼管40の後部以外の部分や、その鋼管40に対して位置関係が変化しない削孔挿入ヘッド33の特定部分等が到達する距離であってもよい。
【0039】
【発明の効果】
以上に説明したとおり、本発明に係るレーザーマーキングシステムは、測距及び測角並びに可視レーザー光によるマーキングを行うレーザー測量機器と、注入式長尺先受工法におけるトンネル切羽面への鋼管打設を行うに当たり、鋼管打設予定位置に鋼管を所定の向きで対向させたときの該鋼管の特定部分又は鋼管近傍の特定部分の位置座標に可視レーザー光を照射させるべく前記レーザー測量機器を制御する制御機器とを備えている。この構成により、鋼管の向きを決定する操作がレーザーマーキングを利用して正確かつ迅速に実行でき、鋼管打設作業における作業能率が向上する。
【0040】
前記制御機器が、注入式長尺先受工法におけるトンネル切羽面への鋼管打設を行うに当たり、予め記憶したトンネル設計データに基づいてトンネル切羽面に鋼管打設予定位置を可視レーザー光により照射表示させると共に、照射表示された鋼管打設予定位置に鋼管を所定の向きで対向させたときの該鋼管の特定部分又は鋼管近傍の特定部分の位置座標に前記可視レーザー光を照射させるべく前記レーザー測量機器を制御する構成の場合は、鋼管打設予定位置のマーキング作業も簡単になり、鋼管打設作業における作業能率が一層向上する。
【0041】
また、本発明に係る鋼管打設方法は、前記レーザーマーキングシステムを用いて注入式長尺先受工法における鋼管打設を行う方法であって、前記レーザーマーキングシステムを用いてトンネル切羽面に鋼管打設予定位置を照射表示する工程と、照射表示された鋼管打設予定位置に鋼管を打設する際に、鋼管を対応する鋼管打設予定位置に対向させた状態で前記レーザーマーキングシステムが指示する座標位置に可視レーザー光を照射する工程と、その照射光が前記鋼管の特定部分又は鋼管近傍の特定部分に当たるように前記鋼管を操作して鋼管の向きを決定する工程と、向きを決定された鋼管を、その向きを維持しつつ前記切羽面に打設する工程とを含んでいる。この構成により、トンネル切羽面における鋼管打設予定位置のみならず、鋼管打設予定位置に対応する鋼管の向きがレーザーマーキングにより指示される。このため、鋼管打設予定位置ごとに鋼管の向きが変わるにもかかわらず、その向きを決定するための操作が簡単になり、鋼管打設作業における作業能率が向上する。
【0042】
また、本発明に係る別の鋼管打設方法は、前記レーザーマーキングシステムを用いて注入式長尺先受工法における鋼管打設を行う方法であって、前記レーザーマーキングシステムを用いてトンネル切羽面に鋼管打設予定位置を照射表示する工程と、照射表示された鋼管打設予定位置に鋼管を打設する際に、前記トンネル切羽面から所定の水平距離はなれた想定面上で、前記レーザーマーキングシステムが指示する座標位置に可視レーザー光を照射して、前記想定面上でのトンネル天井面からレーザー照射点までの離間距離を測定する工程と、鋼管を対応する鋼管打設予定位置に対向させ、前記想定面上でトンネル天井面からの離間距離が前記測定値となる位置を前記鋼管の特定部分又はその近傍の特定部分が交差するように前記鋼管を操作して鋼管の向きを決定する工程と、向きを決定された鋼管を、その向きを維持しつつ前記切羽面に打設する工程とを含んでいる。この構成により、トンネル切羽面における鋼管打設予定位置のみならず、鋼管打設予定位置に対応する鋼管の向きがレーザーマーキングにより指示される。このため、鋼管打設予定位置ごとに鋼管の向きが変わるにもかかわらず、その向きを決定するための操作が簡単になり、鋼管打設作業における作業能率が向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態を示す施工フロー図である。
【図2】同施工で重要な打設鋼管の向きを指定する工程の概念図で、縦断面図ある。
【図3】同工程のフローチャートである。
【図4】打設鋼管の向きを指定するためのレーザー照射位置座標の求め方の説明図で、(a)は側面図、(b)は正面図である。
【図5】本発明の第2実施形態を示すフローチャートである。
【図6】同形態で重要な打設鋼管の向きを指定する工程の概念図で、(a)は横断面図、(b)は縦断面図である。
【図7】注入式長尺先受工法の説明図で、縦断面図である。
【図8】注入式長尺先受工法の説明図で、横断面図である。
【符号の説明】
10 レーザー測量機器
20 距離測定用ターゲット
30 ドリルジャンボ
40 鋼管
A トンネル切羽面
a1,a2・・ 鋼管打設予定位置
B 切羽面Aから所定距離はなれた平行平面
Claims (6)
- 測距及び測角並びに可視レーザー光によるマーキングを行うレーザー測量機器と、注入式長尺先受工法によってトンネル掘削を行うための各種のトンネル設計データを記憶しており、トンネル切羽面へ鋼管を打設するに当たって、予め表示された鋼管打設予定位置に鋼管を所定の向きで対向させたときの該鋼管の特定部分又はその近傍の特定部分の位置座標に可視レーザー光が照射されるように前記レーザー測量機器を制御する制御機器とを備えたことを特徴とするレーザーマーキングシステム。
- 前記制御機器は、注入式長尺先受工法におけるトンネル切羽面への鋼管打設を行うに当たり、予め記憶したトンネル設計データに基づいてトンネル切羽面に鋼管打設予定位置を可視レーザー光により照射表示させると共に、照射表示された鋼管打設予定位置に鋼管を所定の向きで対向させたときの該鋼管の特定部分又はその近傍の特定部分の位置座標に前記可視レーザー光を照射させるべく前記レーザー測量機器を制御する請求項1に記載のレーザーマーキングシステム。
- 前記制御機器は、前記位置座標を予め入力されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のレーザーマーキングシステム。
- 前記制御機器は、前記位置座標を、前記トンネル設計データに基づいて演算することを特徴とする請求項1又は2に記載のレーザーマーキングシステム。
- 請求項1〜4の何れかに記載のレーザーマーキングシステムを用いて注入式長尺先受工法における鋼管打設を行う方法であって、前記レーザーマーキングシステムを用いてトンネル切羽面に鋼管打設予定位置を照射表示する工程と、照射表示された鋼管打設予定位置に鋼管を打設する際に、鋼管を対応する鋼管打設予定位置に対向させた状態で前記レーザーマーキングシステムが指示する座標位置に可視レーザー光を照射する工程と、その照射光が前記鋼管の特定部分又はその近傍の特定部分に当たるように前記鋼管を操作して鋼管の向きを決定する工程と、向きを決定された鋼管を、その向きを維持しつつ前記切羽面に打設する工程とを含むことを特徴とする鋼管打設方法。
- 請求項1〜4の何れかに記載のレーザーマーキングシステムを用いて注入式長尺先受工法における鋼管打設を行う方法であって、前記レーザーマーキングシステムを用いてトンネル切羽面に鋼管打設予定位置を照射表示する工程と、照射表示された鋼管打設予定位置に鋼管を打設する際に、前記トンネル切羽面から所定の水平距離はなれた想定面上で、前記レーザーマーキングシステムが指示する座標位置に可視レーザー光を照射して、前記想定面上でのトンネル天井面又は壁面からレーザー照射点までの離間距離を測定する工程と、鋼管を対応する鋼管打設予定位置に対向させ、前記想定面上でトンネル天井面又は壁面からの離間距離が前記測定値となる位置を前記鋼管の特定部分又はその近傍の特定部分が交差するように前記鋼管を操作して鋼管の向きを決定する工程と、向きを決定された鋼管を、その向きを維持しつつ前記切羽面に打設する工程とを含むことを特徴とする鋼管打設方法。
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