JP2004060030A - エッチング保護シートおよび回路の形成方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明は、アルカリ現像、エッチング、レジスト除去を経過しても、金属べた部や回路部がエッチングで腐食しないように保護することが可能で、露光時の異物の影響をなくし、全面露光や物理的剥離の手間のないエッチング保護シートを提供することを課題とする。
【解決手段】(C)レジスト除去液に溶解し且つ粘着性を有する層上に、少なくとも(A)エッチング液に溶解する層と(B)レジスト除去液に溶解し且つアルカリ現像液に溶解しない層の何れか1層が積層されてなることを特徴とするエッチング保護シートを、基板上のエッチングを行わない予定の領域に貼り付けてエッチング液から保護する回路の形成方法。
【選択図】 なし
【解決手段】(C)レジスト除去液に溶解し且つ粘着性を有する層上に、少なくとも(A)エッチング液に溶解する層と(B)レジスト除去液に溶解し且つアルカリ現像液に溶解しない層の何れか1層が積層されてなることを特徴とするエッチング保護シートを、基板上のエッチングを行わない予定の領域に貼り付けてエッチング液から保護する回路の形成方法。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、プリント配線板、リードフレーム、シャドウマスク等に用いられるエッチング保護シートおよび回路の形成方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
プリント配線板等の回路を形成する方法は、まず、前処理した基板上に感光性樹脂膜を形成し、次いでフォトマスクを介して回路パターンの露光を行い回路パターン状に硬化させた後、1.0質量%の炭酸ナトリウム水溶液等の弱アルカリ水溶液を用いて未硬化部を現像し、基板上にレジストパターンを形成する。次いで、レジスト画像部以外の露出した金属層をエッチング液でエッチング除去した後、3.0質量%の水酸化ナトリウム水溶液等の強アルカリ水溶液を用いてレジスト画像を除去することにより形成される。
【0003】
このようにして回路が形成されるプリント配線板は、従来基板の両面にまたは片面のみに回路を形成したものが主流であったが、近年プリント配線板の高密度化、多層化に伴い、多層プリント配線板作製において、銅張積層板の片面に回路を形成し、もう一方の面はほぼ全面に金属層を残す要求がある。この要求に対して、アルカリ現像およびエッチング液に溶解せずレジスト除去液で溶解する特性を有する硬化したレジストフィルムを利用している。つまり、まず基板の両面にレジストフィルムを貼り付ける。次に、回路を形成する面には回路パターンを露光し、一方金属層を残す面には全面露光を実施して硬化させる。次に、アルカリ現像を実施してレジストパターンを形成して、エッチングを実施して金属パターンを形成し、レジスト除去を実施して両面のレジストフィルムを基板上から除去することで、回路形成をすると同時に片面のほぼ全領域に金属層を残していた。
【0004】
また、近年のリジッド−フレックス型のプリント配線板であったら、フレキシブル配線板にあらかじめ回路形成を行い、スクリーン印刷によってカバーレイフィルムを作製し、積層したのちリジッド部に再度回路を形成する作製方法が行われている。リジッド部に再度回路を形成する際に、アルカリ現像、エッチング、レジスト除去処理が施されるため、回路形成がすでに終了しているフレキシブル配線板上の回路部を保護する必要があり、保護すべき領域に強アルカリ且つエッチング液に溶解しないマスキングテープ等が貼り付けられている。
【0005】
このように、アルカリ現像、エッチング、レジスト除去の工程で基板を処理する際に、特定の金属べた部や回路部をエッチングの腐食から保護する要求が、プリント配線板、リードフレーム、シャドウマスク等の金属部をエッチングして回路形成する分野では多々あり、その要求に対して上記のように、硬化したレジストフィルムやマスキングテープが使用されている。
【0006】
しかし、硬化したレジストフィルムを使用する方法では、フィルム上に異物が存在すると異物存在部は露光されず未硬化となり、この未硬化部はアルカリ現像によって除去されるためエッチングでその部分の金属層がエッチングされピンホールが発生する問題がある。そしてまた、全面露光を行う手間があった。また、マスキングテープを使用する方法では、マスキングテープを剥がした後に粘着物が基板上に残存したり、マスキングテープを物理的に剥離する手間があった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、前記した問題点を解決するもので、アルカリ現像、エッチング、レジスト除去を経過しても、金属べた部や回路部がエッチングで腐食しないように保護することが可能で、露光時の異物の影響をなくし、全面露光や物理的剥離の手間のないエッチング保護シートを提供するものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者は上記問題点を解決するため鋭意検討した結果、(A)エッチング液に溶解する層と、(C)レジスト除去液に溶解し且つ粘着性を有する層が、積層されてなることを特徴とするエッチング保護シートによって上記課題を解決することを見いだした。
【0009】
また、(B)レジスト除去液に溶解し且つアルカリ現像液に溶解しない層と、(C)レジスト除去液に溶解し且つ粘着性を有する層が、積層されてなることを特徴とするエッチング保護シートによっても上記課題を解決することを見いだした。
【0010】
また、(A)エッチング液に溶解する層と、(B)レジスト除去液に溶解し且つアルカリ現像液に溶解しない層と、(C)レジスト除去液に溶解し且つ粘着性を有する層が、この順に積層されてなることを特徴とするエッチング保護シートによっても上記課題を解決することを見いだした。
【0011】
このようなエッチング保護シートの使用方法は、基板上のエッチングを行わない予定の領域(ほぼ片側全面や部分的にエッチング液に腐食しないで保護したい領域)にエッチング保護シートを(C)レジスト除去液に溶解し且つ粘着性を有する層が接するように貼り付けて、さらに基板上の回路形成を予定する領域に感光性樹脂膜を形成し回路パターンを露光し、アルカリ現像、エッチングを行い、基板上の回路形成を予定する領域に回路を形成し、レジスト除去を行って残存した回路形成に用いた感光性樹脂とエッチング保護シートをすべて除去して回路を形成することに使用する。
【0012】
そのため、上記(A)エッチング液に溶解する層が、金属からなること、さらには銅、リードフレーム用合金からなることで、アルカリ現像液が(C)レジスト除去液に溶解し且つ粘着性を有する層に浸食することを防ぎ、エッチングの際に容易に溶解することから(C)レジスト除去液に溶解し且つ粘着性を有する層が露出し、レジスト除去の工程でエッチング保護シートがすべて除去できるため、非常に良好に回路形成が可能となる。
【0013】
また、上記(A)エッチング液に溶解する層の材質を、基板上の回路形成を予定する領域のエッチングによって除去される材質と同一にすることで、基板上の回路形成をする領域と同条件でアルカリ現像、エッチング、レジスト除去を処理できるため、処理液や処理条件を調整するのが容易となって良い。
【0014】
上記(B)レジスト除去液に溶解し且つアルカリ現像液に溶解しない層は、硬化したレジストフィルムまたはアクリル樹脂であることで、アルカリ現像液が(C)レジスト除去液に溶解し且つ粘着性を有する層に浸食することを防ぎ、エッチング液に対しても溶解せず、後のレジスト除去の工程でエッチング保護シートがすべて除去できるため、非常に良好に回路形成が可能となる。
【0015】
また、上記(B)レジスト除去液に溶解し且つアルカリ現像液に溶解しない層が、基板上の回路形成を予定する領域に使用するレジストフィルムと同じ種類のレジストフィルムを硬化したものであることで、前記と同様に、基板上の回路形成をする領域と同条件でアルカリ現像、エッチング、レジスト除去を処理できるため、処理液や処理条件を調整するのが容易となって良い。
【0016】
上記(C)レジスト除去液に溶解し且つ粘着性を有する層は、未硬化のレジストフィルムまたはアクリル樹脂であることで、レジスト除去が容易で基板上から残存物なく除去できるので好適に適用できる。
【0017】
また、上記(C)レジスト除去液に溶解し且つ粘着性を有する層が、基板上の回路形成を予定する領域のレジストフィルムと同じ種類のレジストフィルムであることで、前記と同様に、基板上の回路形成をする領域と同条件でレジスト除去を処理できるため、処理液や処理条件を調整するのが容易となって良い。
【0018】
また、基板上のエッチングを行わない予定の領域に上記エッチング保護シートを(C)レジスト除去液に溶解し且つ粘着性を有する層が接するように貼り付けて、さらに基板上の回路形成を予定する領域に感光性樹脂膜を形成し回路パターンを露光し、アルカリ現像、エッチングを行い、基板上の回路を形成する予定の領域に回路を形成し、レジスト除去を行って残存した回路形成に用いた感光性樹脂とエッチング保護シートを除去することで良好な回路を形成することができる。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明のエッチング保護シートおよび回路の形成方法について詳細に説明する。なお以下、(A)エッチング液に溶解する層を「(A)エッチング溶解層」と略し、(B)レジスト除去液に溶解し且つアルカリ現像液に溶解しない層を「(B)耐アルカリ現像層」と略し、(C)レジスト除去液に溶解し且つ粘着性を有する層を「(C)粘着性層」と略す。
【0020】
本発明に係わる(A)エッチング溶解層は、エッチング液に対して速やかに溶解または膨潤する性質を有し、エッチング部を通過するまでにすべて溶解除去でき、アルカリ現像液によって溶解しなれば何れであってもよい。例えば、銅、銀、アルミニウム、ステンレス、ニクロム、鉄、及びタングステン等の金属材料、銅、鉄、クロム、亜鉛、スズ等からなる合金等が挙げられる。さらに良好にエッチングを行うためには、エッチングする基板によって材質や厚みを設定することが望ましい。例えば、18μmの銅箔の銅張積層板を用いる場合には、18μm厚の銅箔もしくはそれ以下の厚さの銅箔が好適に使用できる。また、使用する基板がリードフレームであったら、リードフレーム用合金を用いることが好ましい。
【0021】
本発明に係わる(B)耐アルカリ現像層は、アルカリ現像液に対して溶解または膨潤せず、エッチング液に対して溶解または膨潤せず、レジスト除去液には溶解または膨潤する性質をもっていれば何れであってもよい。例えば、熱もしくは紫外線照射によって硬化させたレジストフィルム、液状フォトレジストを塗布および乾燥後、熱もしくは紫外線照射によって硬化させたフィルム等が挙げられる。硬化させる場合は、クリーンルームや拡散光を利用したり、通常回路を形成する条件よりも多く露光するこすることで、ゴミの影響はなくなり、ピンホールは発生しない。また、カルボン酸基、フェノール性水酸基、スルホン酸基、スルホンアミド基、スルホンイミド基、ホスホン酸基を有する、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂等からなる強アルカリに溶解するフィルムやポリビニルアルコール等が挙げられる。また、基板上の回路形成を予定する領域に使用するレジストフィルムと同じ種類のレジストフィルムを硬化したものであることで基板上の回路形成をする領域と同条件でアルカリ現像、エッチング、レジスト除去を処理できるため、処理液や処理条件を調整するのが容易となって良い。
【0022】
本発明に係わる(C)粘着性層は、基板にエッチング保護シートを接着できる粘着性を有し、レジスト除去液に溶解または膨潤して、レジスト除去の際に速やかに基板から除去できればよい。必要であれば、加熱することで粘着性を増加させてもよい。例えばアクリル樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂等を主成分とする粘着樹脂が挙げられる。それらの粘着樹脂には、レジスト除去液に溶解または膨潤する必要があるため、カルボン酸基、フェノール性水酸基、スルホン酸基、スルホンアミド基、スルホンイミド基、ホスホン酸基を有するモノマーを含有する。粘着樹脂の具体例としては、スチレン/マレイン酸モノアルキルエステル共重合体、メタクリル酸/メタクリル酸エステル共重合体、スチレン/メタクリル酸/メタクリル酸エステル共重合体、アクリル酸/メタクリル酸エステル共重合体、メタクリル酸/メタクリル酸エステル/アクリル酸エステル共重合体、スチレン/メタクリル酸/アクリル酸エステル共重合体、スチレン/アクリル酸/メタクリル酸エステル共重合体、酢酸ビニル/クロトン酸共重合体、酢酸ビニル/クロトン酸/メタクリル酸エステル共重合体、安息香酸ビニル/アクリル酸/メタクリル酸エステル共重合体等のスチレン、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、酢酸ビニル、安息香酸ビニル等とカルボン酸含有単量体との共重合体等が挙げられる。また、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ジエチルフタレート、o−トルエンスルホン酸アミド、p−トルエンスルホン酸アミド、クエン酸トリブチル、クエン酸トリエチル、アセチルクエン酸トリエチル等の添加剤が含有してもよい。また、視認性を向上させるため、染料や顔料を含有してもよい。また、未硬化のレジストフィルムを使用しても良い。一般的なレジストフィルムとしては例えばデュポンMRCドライフィルム株式会社のリストン、日立化成工業株式会社のフォテック、旭化成株式会社のサンフォート等を使用することができる。基板上の回路形成を予定する領域に使用するレジストフィルムと同じ種類のレジストフィルムであることで基板上の回路形成をする領域と同条件でアルカリ現像、エッチング、レジスト除去を処理できるため、処理液や処理条件を調整するのが容易となって良い。なお、本発明に係わるレジストフィルムとは、保護フィルムとマイラーフィルムを剥がしたものである。
【0023】
次に、本発明のエッチング保護シートを用いて回路を形成する方法を詳細に説明する。なお、この例は片面が回路形成を予定する面で、もう片面がほぼ全面に銅箔を残す仕様のプリント配線板の作製するものである。
【0024】
まず、基板として両面に銅箔を有する両面銅張積層板を使用して、ほぼ全面に銅箔を残す面に、本発明のエッチング保護シートを(C)粘着性層を基板に接する向きで、圧着することでラミネートする。(C)粘着性層が室温で基板に貼り付かない場合は加熱することで粘着性をあげてからラミネートを行う。基板の回路形成を予定する面には、従来よりプリント配線板に用いられているレジストフィルムを前記ラミネートと同様の方法によりラミネートして感光性樹脂膜を形成するか、液状のエッチングレジストを塗布することによって感光性樹脂膜を形成する。次いで、回路形成を予定する面にフォトツールを通して紫外線を照射して、回路パターンを露光する。次に、1.0質量%炭酸ナトリウム水溶液等のアルカリ現像液を用いて、スプレー等により、回路形成を予定する面にレジストパターンを形成する。このとき、ほぼ全面に銅箔を残す面のエッチング保護シートは、アルカリ現像液によって剥がれたり溶解したりせず、ラミネートした後の状態のまま銅箔のほぼ全面を覆ったまま現像されることなく残る。
【0025】
次に、回路形成を予定する面のレジストパターンの存在しない露出した銅部分がエッチング液で除去される。エッチング液は一般的に、塩化第二鉄、塩化第二銅が使用され、スプレーされる。エッチング保護シートに(A)エッチング溶解層が有る場合には、エッチング液によって速やかに溶解除去され、それによって(B)耐アルカリ現像層または(C)粘着性層が向きだしになる。(A)エッチング溶解層が無い場合には、(B)耐アルカリ現像層があるため、(C)粘着性層の粘着性がエッチング部で搬送ロールの汚染等に悪さをしない。何れの場合であっても、エッチングの際に、銅箔を残す面にエッチング保護シートがあるためエッチング液から銅箔が保護される。
【0026】
次に、不要となったレジストパターンがレジスト除去液によって除去される。レジスト除去液は一般的に、3.0質量%水酸化ナトリウム水溶液が使用され、スプレーされる。また、レジスト除去液によって、エッチング保護シートの(C)粘着性層と(B)耐アルカリ現像層がある場合にはそれも除去され、基板の両面から不要物がすべて除去される。
【0027】
ここでは、片面が回路形成を予定する面で、もう片面がほぼ全面に銅箔を残す仕様のプリント配線板の作製する方法を詳説したが、部分的に銅箔を残す際にも、銅箔を残す予定の領域に本発明のエッチング保護シートをラミネートし、上記と同様にアルカリ現像、エッチング、レジスト除去を行うことで達成できる。また、一度回路形成を終了した基板上の回路部を、アルカリ現像、エッチングから保護する要求がある場合においても、保護する予定の回路部に本発明のエッチング保護シートをラミネートすることで回路部保護が達成できる。例えば、リジッド−フレックス基板を作製する方法が挙げられる。まず、フレキシブル基板の銅箔をエッチング加工して回路を形成し、スクリーン印刷によってカバーレイフィルムを形成し、次いで次回エッチングする際に保護する予定の露出した回路部に本発明のエッチング保護シートを貼り付ける。次に、リッジッド部となるところに積層を行い、リッジッド部に回路形成用の感光性樹脂膜を形成し、露光、アルカリ現像、エッチング、レジスト除去が実施されることで、リジッド−フレックス基板が作製される。
【0028】
本発明に係わる基板とは、金属層を有し、アルカリ現像、エッチング、レジスト除去の工程を経過して、回路が形成されるものであれば、何れの基板を使用することができる。例えば、プリント基板、リードフレーム用基板、シャドウマスク用基板が挙げられる。プリント基板であれば、フレキシブル基板、リジッド基板、リジッド−フレックス基板等がある。フレキシブル基板は通常がポリエステルやポリイミドが絶縁材料として用いられ、その他にもアラミド、ポリエステル−エポキシベースが用いられている。フレキシブル基板の絶縁層の厚さは13μm〜125μm程度で、その両面もしくは片面に1〜35μm程度の銅箔が設けられており、非常に可撓性があるためエッチングの際にたわみが多く、本発明のエッチング方法が好適に使用される。また、リジッド基板であったら、紙基材またはガラス基材にエポキシ樹脂またはフェノール樹脂等を浸漬させた絶縁性基板を必要枚数重ね、その片面もしくは両面に金属箔を載せ、加熱、加圧して積層されたものが挙げられる。また、内層配線パターン加工後、プリプレグ、金属箔等を積層して作製する多層用のシールド板、またスルーホールやビアホールを有する多層板も挙げられる。厚さは60μmから3.2mm程度であり、プリント基板としての最終使用形態により、その材質と厚さが選定される。これらプリント基板は、例えば「プリント回路技術便覧−第二版−」((社)プリント回路学会編、日刊工業新聞社発刊)や「多層プリント回路ハンドブック」(J.A.スカーレット編、(株)近代化学社発刊)に記載されているものを使用することができる。リードフレーム用基板であれば、銅、鉄、クロム、亜鉛、スズ等からなる合金板等が挙げられる。シャドウマスク用基板であれば、鉄、ニッケル、コバルト等からなるインバー合金等が挙げられる。
【0029】
【実施例】
以下本発明を実施例により詳説するが、本発明はその主旨を超えない限り、下記実施例に限定されるものではない。
【0030】
エッチング保護シートの作製
実施例1
18μm銅箔((株)日鉱マテリアルズ製)にレジストフィルム(日立化成工業(株)製、38μm厚)を貼り合わせて、銅層とレジストフィルムの2層からなるエッチング保護シートを作製した。
【0031】
実施例2
紫外線を照射して硬化させたレジストフィルム(日立化成工業(株)製、38μm厚)に、未硬化のレジストフィルム(日立化成工業(株)製、38μm厚)を貼り合わせて、硬化したレジストフィルムと未硬化のレジストフィルムの2層からなるエッチング保護シートを作製した。
【0032】
実施例3
12μm銅箔((株)日鉱マテリアルズ製)に、レジストフィルム(日立化成工業(株)製、38μm厚)を貼り付け、紫外線を照射したのち、再びレジストフィルム(日立化成工業(株)製、38μm厚)を貼り付け、銅層と硬化したレジストフィルムと未硬化のレジストフィルムがこの順で積層した3層からなるエッチング保護シートを作製した。
【0033】
実施例4
18μm銅箔((株)日鉱マテリアルズ製)に、2−エチルへキシルアクリレート/メタアクリル酸共重合体(質量比:8/2、プロピレングリコールモノメチルエーテル溶剤、固形分35質量%)を塗布および乾燥を行い、銅層とアクリル樹脂の2層からなるエッチング保護シートを作製した。
【0034】
エッチング保護シートを用いた回路形成
4枚の両面銅張積層板(面積340mm×510mm、銅箔厚18μm、基材厚み0.2mm)の片面に実施例1〜4で作製したエッチング保護シートをそれぞれラミネートした。エッチング保護シートを貼り付けた逆の面に回路形成用のレジストフィルム(日立化成工業(株)製、38μm厚)を貼り付け、回路パターンを露光し、次に、1.0質量%炭酸ナトリウム水溶液にて60秒スプレー現像し、塩化第二銅エッチング液にて200秒スプレーエッチングした。その後3.0質量%水酸化ナトリウム水溶液にて100秒スプレーし、レジストを除去した。その結果、4種類すべての場合において、エッチング保護シートをラミネートした領域の銅箔はピンホール等侵されることなく銅箔が残っており、またエッチング保護シートの残存物はみつからなかった。回路形成した面では良好な回路を形成することができた。
【0035】
エッチング保護シートを用いた回路形成
4枚の両面銅張積層板(面積340mm×510mm、銅箔厚18μm、基材厚み0.1mm)にエッチング加工を施し、回路形成を行った。回路上にスクリーン印刷を実施して、回路保護膜を作製し、保護膜から露出している領域に実施例1〜4で作製したエッチング保護シートをそれぞれラミネートした。次に、1.0質量%炭酸ナトリウム水溶液にて60秒スプレー現像し、塩化第二銅エッチング液にて200秒スプレーエッチングした。その後3.0質量%水酸化ナトリウム水溶液にて100秒スプレーし、レジストを除去した。その結果、4種類すべての場合において、エッチング保護シートをラミネートした領域の回路はエッチング液に侵されることなく、またエッチング保護シートの残存物はみつからなかった。結果、保護膜付きで回路が部分的に露出している回路が形成できた。
【0036】
比較例1
両面銅張積層板(面積340mm×510mm、銅箔厚18μm、基材厚み0.2mm)の両面に回路形成用のレジストフィルムをラミネートし、回路形成を予定する面に回路パターンの露光を実施し、その逆の面で全面銅箔を残したい面に全面露光を実施した。次に、1.0質量%炭酸ナトリウム水溶液にて60秒スプレー現像し、塩化第二銅エッチング液にて200秒スプレーエッチングした。その後3.0質量%水酸化ナトリウム水溶液にて100秒スプレーし、レジストを除去した。その結果、全面銅箔を残したい面の銅箔には、露光時の異物による露光不良によるピンホールが10カ所確認され良好な全面銅箔が得られなかった。
【0037】
比較例2
アルカリ現像液に対して溶解しないマスキングテープを市販のもので数種類用意した。一方、両面銅張積層板(面積340mm×510mm、銅箔厚18μm、基材厚み0.1mm)に回路形成を行い、エッチングから保護したい部分にマスキングテープを貼り付けた。次に、1.0質量%炭酸ナトリウム水溶液にて60秒スプレー現像し、塩化第二銅エッチング液にて200秒スプレーエッチングし、3.0質量%水酸化ナトリウム水溶液にて100秒スプレーし、レジストを除去した。その結果、マスキングテープを貼り付けた部分の回路がエッチングの液に侵されることはなかったが、レジスト除去後においてもマスキングテープが溶解除去されずに残存しているため、マスキングテープを剥がす手間がかかり、また使うテープの種類によっては、粘着物が銅の上に残存し不良になった。
【0038】
【発明の効果】
以上説明したごとく、本発明のエッチング保護シートによって、露光時の異物の影響をなくし、全面露光や物理的剥離の手間をなくし、金属べた部や回路部がエッチングで腐食しないように保護することが可能となり、回路の形成を行うことができる。
【発明の属する技術分野】
本発明は、プリント配線板、リードフレーム、シャドウマスク等に用いられるエッチング保護シートおよび回路の形成方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
プリント配線板等の回路を形成する方法は、まず、前処理した基板上に感光性樹脂膜を形成し、次いでフォトマスクを介して回路パターンの露光を行い回路パターン状に硬化させた後、1.0質量%の炭酸ナトリウム水溶液等の弱アルカリ水溶液を用いて未硬化部を現像し、基板上にレジストパターンを形成する。次いで、レジスト画像部以外の露出した金属層をエッチング液でエッチング除去した後、3.0質量%の水酸化ナトリウム水溶液等の強アルカリ水溶液を用いてレジスト画像を除去することにより形成される。
【0003】
このようにして回路が形成されるプリント配線板は、従来基板の両面にまたは片面のみに回路を形成したものが主流であったが、近年プリント配線板の高密度化、多層化に伴い、多層プリント配線板作製において、銅張積層板の片面に回路を形成し、もう一方の面はほぼ全面に金属層を残す要求がある。この要求に対して、アルカリ現像およびエッチング液に溶解せずレジスト除去液で溶解する特性を有する硬化したレジストフィルムを利用している。つまり、まず基板の両面にレジストフィルムを貼り付ける。次に、回路を形成する面には回路パターンを露光し、一方金属層を残す面には全面露光を実施して硬化させる。次に、アルカリ現像を実施してレジストパターンを形成して、エッチングを実施して金属パターンを形成し、レジスト除去を実施して両面のレジストフィルムを基板上から除去することで、回路形成をすると同時に片面のほぼ全領域に金属層を残していた。
【0004】
また、近年のリジッド−フレックス型のプリント配線板であったら、フレキシブル配線板にあらかじめ回路形成を行い、スクリーン印刷によってカバーレイフィルムを作製し、積層したのちリジッド部に再度回路を形成する作製方法が行われている。リジッド部に再度回路を形成する際に、アルカリ現像、エッチング、レジスト除去処理が施されるため、回路形成がすでに終了しているフレキシブル配線板上の回路部を保護する必要があり、保護すべき領域に強アルカリ且つエッチング液に溶解しないマスキングテープ等が貼り付けられている。
【0005】
このように、アルカリ現像、エッチング、レジスト除去の工程で基板を処理する際に、特定の金属べた部や回路部をエッチングの腐食から保護する要求が、プリント配線板、リードフレーム、シャドウマスク等の金属部をエッチングして回路形成する分野では多々あり、その要求に対して上記のように、硬化したレジストフィルムやマスキングテープが使用されている。
【0006】
しかし、硬化したレジストフィルムを使用する方法では、フィルム上に異物が存在すると異物存在部は露光されず未硬化となり、この未硬化部はアルカリ現像によって除去されるためエッチングでその部分の金属層がエッチングされピンホールが発生する問題がある。そしてまた、全面露光を行う手間があった。また、マスキングテープを使用する方法では、マスキングテープを剥がした後に粘着物が基板上に残存したり、マスキングテープを物理的に剥離する手間があった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、前記した問題点を解決するもので、アルカリ現像、エッチング、レジスト除去を経過しても、金属べた部や回路部がエッチングで腐食しないように保護することが可能で、露光時の異物の影響をなくし、全面露光や物理的剥離の手間のないエッチング保護シートを提供するものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者は上記問題点を解決するため鋭意検討した結果、(A)エッチング液に溶解する層と、(C)レジスト除去液に溶解し且つ粘着性を有する層が、積層されてなることを特徴とするエッチング保護シートによって上記課題を解決することを見いだした。
【0009】
また、(B)レジスト除去液に溶解し且つアルカリ現像液に溶解しない層と、(C)レジスト除去液に溶解し且つ粘着性を有する層が、積層されてなることを特徴とするエッチング保護シートによっても上記課題を解決することを見いだした。
【0010】
また、(A)エッチング液に溶解する層と、(B)レジスト除去液に溶解し且つアルカリ現像液に溶解しない層と、(C)レジスト除去液に溶解し且つ粘着性を有する層が、この順に積層されてなることを特徴とするエッチング保護シートによっても上記課題を解決することを見いだした。
【0011】
このようなエッチング保護シートの使用方法は、基板上のエッチングを行わない予定の領域(ほぼ片側全面や部分的にエッチング液に腐食しないで保護したい領域)にエッチング保護シートを(C)レジスト除去液に溶解し且つ粘着性を有する層が接するように貼り付けて、さらに基板上の回路形成を予定する領域に感光性樹脂膜を形成し回路パターンを露光し、アルカリ現像、エッチングを行い、基板上の回路形成を予定する領域に回路を形成し、レジスト除去を行って残存した回路形成に用いた感光性樹脂とエッチング保護シートをすべて除去して回路を形成することに使用する。
【0012】
そのため、上記(A)エッチング液に溶解する層が、金属からなること、さらには銅、リードフレーム用合金からなることで、アルカリ現像液が(C)レジスト除去液に溶解し且つ粘着性を有する層に浸食することを防ぎ、エッチングの際に容易に溶解することから(C)レジスト除去液に溶解し且つ粘着性を有する層が露出し、レジスト除去の工程でエッチング保護シートがすべて除去できるため、非常に良好に回路形成が可能となる。
【0013】
また、上記(A)エッチング液に溶解する層の材質を、基板上の回路形成を予定する領域のエッチングによって除去される材質と同一にすることで、基板上の回路形成をする領域と同条件でアルカリ現像、エッチング、レジスト除去を処理できるため、処理液や処理条件を調整するのが容易となって良い。
【0014】
上記(B)レジスト除去液に溶解し且つアルカリ現像液に溶解しない層は、硬化したレジストフィルムまたはアクリル樹脂であることで、アルカリ現像液が(C)レジスト除去液に溶解し且つ粘着性を有する層に浸食することを防ぎ、エッチング液に対しても溶解せず、後のレジスト除去の工程でエッチング保護シートがすべて除去できるため、非常に良好に回路形成が可能となる。
【0015】
また、上記(B)レジスト除去液に溶解し且つアルカリ現像液に溶解しない層が、基板上の回路形成を予定する領域に使用するレジストフィルムと同じ種類のレジストフィルムを硬化したものであることで、前記と同様に、基板上の回路形成をする領域と同条件でアルカリ現像、エッチング、レジスト除去を処理できるため、処理液や処理条件を調整するのが容易となって良い。
【0016】
上記(C)レジスト除去液に溶解し且つ粘着性を有する層は、未硬化のレジストフィルムまたはアクリル樹脂であることで、レジスト除去が容易で基板上から残存物なく除去できるので好適に適用できる。
【0017】
また、上記(C)レジスト除去液に溶解し且つ粘着性を有する層が、基板上の回路形成を予定する領域のレジストフィルムと同じ種類のレジストフィルムであることで、前記と同様に、基板上の回路形成をする領域と同条件でレジスト除去を処理できるため、処理液や処理条件を調整するのが容易となって良い。
【0018】
また、基板上のエッチングを行わない予定の領域に上記エッチング保護シートを(C)レジスト除去液に溶解し且つ粘着性を有する層が接するように貼り付けて、さらに基板上の回路形成を予定する領域に感光性樹脂膜を形成し回路パターンを露光し、アルカリ現像、エッチングを行い、基板上の回路を形成する予定の領域に回路を形成し、レジスト除去を行って残存した回路形成に用いた感光性樹脂とエッチング保護シートを除去することで良好な回路を形成することができる。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明のエッチング保護シートおよび回路の形成方法について詳細に説明する。なお以下、(A)エッチング液に溶解する層を「(A)エッチング溶解層」と略し、(B)レジスト除去液に溶解し且つアルカリ現像液に溶解しない層を「(B)耐アルカリ現像層」と略し、(C)レジスト除去液に溶解し且つ粘着性を有する層を「(C)粘着性層」と略す。
【0020】
本発明に係わる(A)エッチング溶解層は、エッチング液に対して速やかに溶解または膨潤する性質を有し、エッチング部を通過するまでにすべて溶解除去でき、アルカリ現像液によって溶解しなれば何れであってもよい。例えば、銅、銀、アルミニウム、ステンレス、ニクロム、鉄、及びタングステン等の金属材料、銅、鉄、クロム、亜鉛、スズ等からなる合金等が挙げられる。さらに良好にエッチングを行うためには、エッチングする基板によって材質や厚みを設定することが望ましい。例えば、18μmの銅箔の銅張積層板を用いる場合には、18μm厚の銅箔もしくはそれ以下の厚さの銅箔が好適に使用できる。また、使用する基板がリードフレームであったら、リードフレーム用合金を用いることが好ましい。
【0021】
本発明に係わる(B)耐アルカリ現像層は、アルカリ現像液に対して溶解または膨潤せず、エッチング液に対して溶解または膨潤せず、レジスト除去液には溶解または膨潤する性質をもっていれば何れであってもよい。例えば、熱もしくは紫外線照射によって硬化させたレジストフィルム、液状フォトレジストを塗布および乾燥後、熱もしくは紫外線照射によって硬化させたフィルム等が挙げられる。硬化させる場合は、クリーンルームや拡散光を利用したり、通常回路を形成する条件よりも多く露光するこすることで、ゴミの影響はなくなり、ピンホールは発生しない。また、カルボン酸基、フェノール性水酸基、スルホン酸基、スルホンアミド基、スルホンイミド基、ホスホン酸基を有する、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂等からなる強アルカリに溶解するフィルムやポリビニルアルコール等が挙げられる。また、基板上の回路形成を予定する領域に使用するレジストフィルムと同じ種類のレジストフィルムを硬化したものであることで基板上の回路形成をする領域と同条件でアルカリ現像、エッチング、レジスト除去を処理できるため、処理液や処理条件を調整するのが容易となって良い。
【0022】
本発明に係わる(C)粘着性層は、基板にエッチング保護シートを接着できる粘着性を有し、レジスト除去液に溶解または膨潤して、レジスト除去の際に速やかに基板から除去できればよい。必要であれば、加熱することで粘着性を増加させてもよい。例えばアクリル樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂等を主成分とする粘着樹脂が挙げられる。それらの粘着樹脂には、レジスト除去液に溶解または膨潤する必要があるため、カルボン酸基、フェノール性水酸基、スルホン酸基、スルホンアミド基、スルホンイミド基、ホスホン酸基を有するモノマーを含有する。粘着樹脂の具体例としては、スチレン/マレイン酸モノアルキルエステル共重合体、メタクリル酸/メタクリル酸エステル共重合体、スチレン/メタクリル酸/メタクリル酸エステル共重合体、アクリル酸/メタクリル酸エステル共重合体、メタクリル酸/メタクリル酸エステル/アクリル酸エステル共重合体、スチレン/メタクリル酸/アクリル酸エステル共重合体、スチレン/アクリル酸/メタクリル酸エステル共重合体、酢酸ビニル/クロトン酸共重合体、酢酸ビニル/クロトン酸/メタクリル酸エステル共重合体、安息香酸ビニル/アクリル酸/メタクリル酸エステル共重合体等のスチレン、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、酢酸ビニル、安息香酸ビニル等とカルボン酸含有単量体との共重合体等が挙げられる。また、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ジエチルフタレート、o−トルエンスルホン酸アミド、p−トルエンスルホン酸アミド、クエン酸トリブチル、クエン酸トリエチル、アセチルクエン酸トリエチル等の添加剤が含有してもよい。また、視認性を向上させるため、染料や顔料を含有してもよい。また、未硬化のレジストフィルムを使用しても良い。一般的なレジストフィルムとしては例えばデュポンMRCドライフィルム株式会社のリストン、日立化成工業株式会社のフォテック、旭化成株式会社のサンフォート等を使用することができる。基板上の回路形成を予定する領域に使用するレジストフィルムと同じ種類のレジストフィルムであることで基板上の回路形成をする領域と同条件でアルカリ現像、エッチング、レジスト除去を処理できるため、処理液や処理条件を調整するのが容易となって良い。なお、本発明に係わるレジストフィルムとは、保護フィルムとマイラーフィルムを剥がしたものである。
【0023】
次に、本発明のエッチング保護シートを用いて回路を形成する方法を詳細に説明する。なお、この例は片面が回路形成を予定する面で、もう片面がほぼ全面に銅箔を残す仕様のプリント配線板の作製するものである。
【0024】
まず、基板として両面に銅箔を有する両面銅張積層板を使用して、ほぼ全面に銅箔を残す面に、本発明のエッチング保護シートを(C)粘着性層を基板に接する向きで、圧着することでラミネートする。(C)粘着性層が室温で基板に貼り付かない場合は加熱することで粘着性をあげてからラミネートを行う。基板の回路形成を予定する面には、従来よりプリント配線板に用いられているレジストフィルムを前記ラミネートと同様の方法によりラミネートして感光性樹脂膜を形成するか、液状のエッチングレジストを塗布することによって感光性樹脂膜を形成する。次いで、回路形成を予定する面にフォトツールを通して紫外線を照射して、回路パターンを露光する。次に、1.0質量%炭酸ナトリウム水溶液等のアルカリ現像液を用いて、スプレー等により、回路形成を予定する面にレジストパターンを形成する。このとき、ほぼ全面に銅箔を残す面のエッチング保護シートは、アルカリ現像液によって剥がれたり溶解したりせず、ラミネートした後の状態のまま銅箔のほぼ全面を覆ったまま現像されることなく残る。
【0025】
次に、回路形成を予定する面のレジストパターンの存在しない露出した銅部分がエッチング液で除去される。エッチング液は一般的に、塩化第二鉄、塩化第二銅が使用され、スプレーされる。エッチング保護シートに(A)エッチング溶解層が有る場合には、エッチング液によって速やかに溶解除去され、それによって(B)耐アルカリ現像層または(C)粘着性層が向きだしになる。(A)エッチング溶解層が無い場合には、(B)耐アルカリ現像層があるため、(C)粘着性層の粘着性がエッチング部で搬送ロールの汚染等に悪さをしない。何れの場合であっても、エッチングの際に、銅箔を残す面にエッチング保護シートがあるためエッチング液から銅箔が保護される。
【0026】
次に、不要となったレジストパターンがレジスト除去液によって除去される。レジスト除去液は一般的に、3.0質量%水酸化ナトリウム水溶液が使用され、スプレーされる。また、レジスト除去液によって、エッチング保護シートの(C)粘着性層と(B)耐アルカリ現像層がある場合にはそれも除去され、基板の両面から不要物がすべて除去される。
【0027】
ここでは、片面が回路形成を予定する面で、もう片面がほぼ全面に銅箔を残す仕様のプリント配線板の作製する方法を詳説したが、部分的に銅箔を残す際にも、銅箔を残す予定の領域に本発明のエッチング保護シートをラミネートし、上記と同様にアルカリ現像、エッチング、レジスト除去を行うことで達成できる。また、一度回路形成を終了した基板上の回路部を、アルカリ現像、エッチングから保護する要求がある場合においても、保護する予定の回路部に本発明のエッチング保護シートをラミネートすることで回路部保護が達成できる。例えば、リジッド−フレックス基板を作製する方法が挙げられる。まず、フレキシブル基板の銅箔をエッチング加工して回路を形成し、スクリーン印刷によってカバーレイフィルムを形成し、次いで次回エッチングする際に保護する予定の露出した回路部に本発明のエッチング保護シートを貼り付ける。次に、リッジッド部となるところに積層を行い、リッジッド部に回路形成用の感光性樹脂膜を形成し、露光、アルカリ現像、エッチング、レジスト除去が実施されることで、リジッド−フレックス基板が作製される。
【0028】
本発明に係わる基板とは、金属層を有し、アルカリ現像、エッチング、レジスト除去の工程を経過して、回路が形成されるものであれば、何れの基板を使用することができる。例えば、プリント基板、リードフレーム用基板、シャドウマスク用基板が挙げられる。プリント基板であれば、フレキシブル基板、リジッド基板、リジッド−フレックス基板等がある。フレキシブル基板は通常がポリエステルやポリイミドが絶縁材料として用いられ、その他にもアラミド、ポリエステル−エポキシベースが用いられている。フレキシブル基板の絶縁層の厚さは13μm〜125μm程度で、その両面もしくは片面に1〜35μm程度の銅箔が設けられており、非常に可撓性があるためエッチングの際にたわみが多く、本発明のエッチング方法が好適に使用される。また、リジッド基板であったら、紙基材またはガラス基材にエポキシ樹脂またはフェノール樹脂等を浸漬させた絶縁性基板を必要枚数重ね、その片面もしくは両面に金属箔を載せ、加熱、加圧して積層されたものが挙げられる。また、内層配線パターン加工後、プリプレグ、金属箔等を積層して作製する多層用のシールド板、またスルーホールやビアホールを有する多層板も挙げられる。厚さは60μmから3.2mm程度であり、プリント基板としての最終使用形態により、その材質と厚さが選定される。これらプリント基板は、例えば「プリント回路技術便覧−第二版−」((社)プリント回路学会編、日刊工業新聞社発刊)や「多層プリント回路ハンドブック」(J.A.スカーレット編、(株)近代化学社発刊)に記載されているものを使用することができる。リードフレーム用基板であれば、銅、鉄、クロム、亜鉛、スズ等からなる合金板等が挙げられる。シャドウマスク用基板であれば、鉄、ニッケル、コバルト等からなるインバー合金等が挙げられる。
【0029】
【実施例】
以下本発明を実施例により詳説するが、本発明はその主旨を超えない限り、下記実施例に限定されるものではない。
【0030】
エッチング保護シートの作製
実施例1
18μm銅箔((株)日鉱マテリアルズ製)にレジストフィルム(日立化成工業(株)製、38μm厚)を貼り合わせて、銅層とレジストフィルムの2層からなるエッチング保護シートを作製した。
【0031】
実施例2
紫外線を照射して硬化させたレジストフィルム(日立化成工業(株)製、38μm厚)に、未硬化のレジストフィルム(日立化成工業(株)製、38μm厚)を貼り合わせて、硬化したレジストフィルムと未硬化のレジストフィルムの2層からなるエッチング保護シートを作製した。
【0032】
実施例3
12μm銅箔((株)日鉱マテリアルズ製)に、レジストフィルム(日立化成工業(株)製、38μm厚)を貼り付け、紫外線を照射したのち、再びレジストフィルム(日立化成工業(株)製、38μm厚)を貼り付け、銅層と硬化したレジストフィルムと未硬化のレジストフィルムがこの順で積層した3層からなるエッチング保護シートを作製した。
【0033】
実施例4
18μm銅箔((株)日鉱マテリアルズ製)に、2−エチルへキシルアクリレート/メタアクリル酸共重合体(質量比:8/2、プロピレングリコールモノメチルエーテル溶剤、固形分35質量%)を塗布および乾燥を行い、銅層とアクリル樹脂の2層からなるエッチング保護シートを作製した。
【0034】
エッチング保護シートを用いた回路形成
4枚の両面銅張積層板(面積340mm×510mm、銅箔厚18μm、基材厚み0.2mm)の片面に実施例1〜4で作製したエッチング保護シートをそれぞれラミネートした。エッチング保護シートを貼り付けた逆の面に回路形成用のレジストフィルム(日立化成工業(株)製、38μm厚)を貼り付け、回路パターンを露光し、次に、1.0質量%炭酸ナトリウム水溶液にて60秒スプレー現像し、塩化第二銅エッチング液にて200秒スプレーエッチングした。その後3.0質量%水酸化ナトリウム水溶液にて100秒スプレーし、レジストを除去した。その結果、4種類すべての場合において、エッチング保護シートをラミネートした領域の銅箔はピンホール等侵されることなく銅箔が残っており、またエッチング保護シートの残存物はみつからなかった。回路形成した面では良好な回路を形成することができた。
【0035】
エッチング保護シートを用いた回路形成
4枚の両面銅張積層板(面積340mm×510mm、銅箔厚18μm、基材厚み0.1mm)にエッチング加工を施し、回路形成を行った。回路上にスクリーン印刷を実施して、回路保護膜を作製し、保護膜から露出している領域に実施例1〜4で作製したエッチング保護シートをそれぞれラミネートした。次に、1.0質量%炭酸ナトリウム水溶液にて60秒スプレー現像し、塩化第二銅エッチング液にて200秒スプレーエッチングした。その後3.0質量%水酸化ナトリウム水溶液にて100秒スプレーし、レジストを除去した。その結果、4種類すべての場合において、エッチング保護シートをラミネートした領域の回路はエッチング液に侵されることなく、またエッチング保護シートの残存物はみつからなかった。結果、保護膜付きで回路が部分的に露出している回路が形成できた。
【0036】
比較例1
両面銅張積層板(面積340mm×510mm、銅箔厚18μm、基材厚み0.2mm)の両面に回路形成用のレジストフィルムをラミネートし、回路形成を予定する面に回路パターンの露光を実施し、その逆の面で全面銅箔を残したい面に全面露光を実施した。次に、1.0質量%炭酸ナトリウム水溶液にて60秒スプレー現像し、塩化第二銅エッチング液にて200秒スプレーエッチングした。その後3.0質量%水酸化ナトリウム水溶液にて100秒スプレーし、レジストを除去した。その結果、全面銅箔を残したい面の銅箔には、露光時の異物による露光不良によるピンホールが10カ所確認され良好な全面銅箔が得られなかった。
【0037】
比較例2
アルカリ現像液に対して溶解しないマスキングテープを市販のもので数種類用意した。一方、両面銅張積層板(面積340mm×510mm、銅箔厚18μm、基材厚み0.1mm)に回路形成を行い、エッチングから保護したい部分にマスキングテープを貼り付けた。次に、1.0質量%炭酸ナトリウム水溶液にて60秒スプレー現像し、塩化第二銅エッチング液にて200秒スプレーエッチングし、3.0質量%水酸化ナトリウム水溶液にて100秒スプレーし、レジストを除去した。その結果、マスキングテープを貼り付けた部分の回路がエッチングの液に侵されることはなかったが、レジスト除去後においてもマスキングテープが溶解除去されずに残存しているため、マスキングテープを剥がす手間がかかり、また使うテープの種類によっては、粘着物が銅の上に残存し不良になった。
【0038】
【発明の効果】
以上説明したごとく、本発明のエッチング保護シートによって、露光時の異物の影響をなくし、全面露光や物理的剥離の手間をなくし、金属べた部や回路部がエッチングで腐食しないように保護することが可能となり、回路の形成を行うことができる。
Claims (12)
- (C)レジスト除去液に溶解し且つ粘着性を有する層上に、少なくとも(A)エッチング液に溶解する層と(B)レジスト除去液に溶解し且つアルカリ現像液に溶解しない層の何れか1層が積層されてなることを特徴とするエッチング保護シート。
- 上記(A)エッチング液に溶解する層が、金属からなることを特徴とする請求項1に記載のエッチング保護シート。
- 上記(A)エッチング液に溶解する層が、銅からなることを特徴とする請求項1または2に記載のエッチング保護シート。
- 上記(A)エッチング液に溶解する層が、リードフレーム用合金からなることを特徴とする請求項1または2に記載のエッチング保護シート。
- 上記(A)エッチング液に溶解する層の材質を、基板上の回路形成を予定する領域のエッチングによって除去される材質と同一にすることを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載のエッチング保護シート。
- 上記(B)レジスト除去液に溶解し且つアルカリ現像液に溶解しない層が、硬化したレジストフィルムであることを特徴とする請求項1〜5の何れかに記載のエッチング保護シート。
- 上記(B)レジスト除去液に溶解し且つアルカリ現像液に溶解しない層が、基板上の回路形成を予定する領域に使用するレジストフィルムと同じ種類のレジストフィルムを硬化したものであることを特徴とする請求項1〜6の何れかに記載のエッチング保護シート。
- 上記(B)レジスト除去液に溶解し且つアルカリ現像液に溶解しない層が、アクリル樹脂からなることを特徴とする請求項1〜5の何れかに記載のエッチング保護シート。
- 上記(C)レジスト除去液に溶解し且つ粘着性を有する層が、未硬化のレジストフィルムであることを特徴とする請求項1〜8の何れかに記載のエッチング保護シート。
- 上記(C)レジスト除去液に溶解し且つ粘着性を有する層が、基板上の回路形成を予定する領域に使用するレジストフィルムと同じ種類のレジストフィルムであることを特徴とする請求項1〜9の何れかに記載のエッチング保護シート。
- 上記(C)レジスト除去液に溶解し且つ粘着性を有する層が、アクリル樹脂からなることを特徴とする請求項1〜8の何れかに記載のエッチング保護シート。
- 基板上のエッチングを行わない予定の領域に上記エッチング保護シートを(C)レジスト除去液に溶解し且つ粘着性を有する層が接するように貼り付けて、さらに基板上の回路形成を予定する領域に感光性樹脂膜を形成し回路パターンを露光し、アルカリ現像、エッチングを行い、基板上の回路を形成する予定の領域に回路を形成し、レジスト除去を行って残存した回路形成に用いた感光性樹脂とエッチング保護シートを除去することを特徴とする回路の形成方法。
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-
2002
- 2002-07-31 JP JP2002223624A patent/JP2004060030A/ja active Pending
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