JP2004059952A - フレキシブル多層配線基板の電解めっき方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】電解めっき槽203間の給電部202に、電解銅めっきの添加剤成分であるブライトナー成分、ポリマー成分、レベラー成分のうち少なくとも1種類を含む液を供給し、基板206表面に添加剤成分を付着させること。液中の添加剤濃度が、電解めっき液中の添加剤濃度と同濃度であること。
【選択図】図2
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ポリイミド等の樹脂からなる絶縁層と導体配線層が交互に積層してなる多層構造を有するフレキシブル多層配線基板の製造方法に関するものであり、特に、半導体素子搭載用インターポーザに用いられ、微小径ビアホールをリールトゥリール連続電解めっきにて形成するフレキシブル多層配線基板の電解めっき方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、大規模集積回路(LSI)等の半導体素子ではトランジスターの集積度が高まり、その動作速度はクロック周波数で1GHzに達するものが、また、入出力端子数では1000を越えるものが出現するに至っている。
【0003】
半導体素子をプリント配線基板に実装するために、BGAやCSP等のインターポーザが開発され、実用化されている。
【0004】
このようなパッケージの基板として用いられる多層配線基板は、銅貼基板やセラミック基板上に絶縁樹脂層と導体配線層を交互に積み上げて形成される。この工法にて作製された多層配線基板の絶縁層は、ポリイミド等の樹脂を塗布することにより形成し、薄膜化することができる。また、導体配線層はめっきで形成でき、微細配線が可能となる。
一方、上下の導体配線層を接続するビアは、レーザ加工等にてビアホールを形成し内部をめっきで埋めることにより形成できる。
【0005】
また、これとは別に、従来の多層プリント配線基板に銅箔付ポリイミドフィルムを接着剤で貼り合わせた構成のものも提案されている。この構成においても、銅箔の薄さから微細配線を形成することが可能となり、同様に高配線密度化、薄膜化、小型化を図ることができる。
さらに、テープ状のフィルムを用いることによりリールトゥリールでの処理が可能となり従来の枚葉処理とは異なり生産効率の向上も可能となる。
【0006】
一方、上下の導体配線層を接続するためのビアホールの加工には、エキシマーレーザやYAG第3高調波、第4高調波を用いたレーザ加工機の導入が盛んになり、微小径のビアホール形成が行われている。
上下の導体配線層を接続するためのビアホールは、導体材料、有機絶縁材料の順にレーザで形成して、下部の導体配線層表面を露出させた後、ビアホール下部の配線層に堆積した有機絶縁材の残さを除去し、無電解めっき等で電解めっきのシード層を形成し、このシード層を電極にして孔内部の側面や底部に一定厚のめっきを析出させ形成する。
【0007】
この、孔内部の側面や底部に一定厚のめっき析出を行う電解めっき工程では、近年、高速信号を通すため、或いは配線の自由度を上げる目的で孔内部をめっき金属で埋めてフィルドビアを形成し、ビア直上へビアを形成する方法が盛んに用いられている。
【0008】
このフィルドビアめっきは、種々のポリマー、ブライトナー、レベラ−と称する添加剤によって選択的に孔内部にめっき金属を析出させる手法をとっている。このフィルドビアめっきを銅箔付ポリイミドフィルムなどのテープ状の基板に行う場合は、リールトゥリールで連続処理を行う電解めっき装置が必要となる。
【0009】
このリールトゥリールで連続処理を行う電解めっき装置は、電解めっき槽のなかに給電部があると給電部にもめっきが析出してしまい、搬送に支障が出る為、通常は電解めっき槽の外のめっき液が無い部分に給電部を設置する。
また、連続電解めっき装置の場合、めっき時間と搬送速度に応じて電解めっき槽の長さが決定されるが、1基の長い電解めっき槽の両端に給電部を設けたものでは、給電が出来なくなる場合があるため複数の電解めっき槽とし、その電解めっき槽間に給電部を配置する場合が多い。
【0010】
この給電部は各電解めっき層の両端に配置され、めっき液には浸漬されずに気中に存在し、基板と給電部分の接触不良により充分な給電が出来なくなるのを防止する為に、水等の液体を供給している。しかし、フィルドビアめっきを行う場合、この給電部の水供給、および給電部が気中であるために添加剤の消失、基板の酸化、ビア内の銅濃度の低下等の問題により、フィルドビアめっきが通常のめっき時間よりも長くかかる、つまりビアフィリングが遅れるという問題があった。
図3は、給電部に水供給をし、通常の時間でめっきを行ったフィルドビアめっきの一例の断面図であるが、図3に示すように、通常のめっき時間ではビアホールの孔埋めが十分に行われずに、電解めっき層(106)上に凹部ができてしまう。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、係る従来技術の問題点に鑑みてなされたものであり、電解めっき槽間に給電部を有する連続電解めっき装置を用い、リールトゥリールの連続処理でフレキシブル多層配線基板の絶縁層を介した上下の配線層間に予め設けられたビアホールに、電解めっきによってフィルドビアを形成する場合に、ビアフィリングに時間がかかることなく電解めっきをすることが可能な電解めっき方法を提供することを課題とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明は、連なった複数の電解めっき槽で構成されたリールトゥリール連続電解めっき装置を用い、フレキシブル多層配線基板の絶縁層を介した上下の配線層間に予め設けられたビアホールに、電解めっきによってフィルドビアを形成する電解銅めっき方法において、隣接する電解めっき槽間の給電部に、電解銅めっきの添加剤成分であるブライトナー成分、ポリマー成分、レベラー成分のうち少なくとも1種類を含む液を供給し、基板表面に添加剤成分を付着させることを特徴とするフレキシブル多層配線基板の電解めっき方法である。
【0013】
また、本発明は、上記発明によるフレキシブル多層配線基板の電解めっき方法において、前記液中の添加剤濃度が、電解めっき液中の添加剤濃度と同濃度であることを特徴とするフレキシブル多層配線基板の電解めっき方法である。
【0014】
また、本発明は、上記発明によるフレキシブル多層配線基板の電解めっき方法において、前記フレキシブル多層配線基板の巾方向を垂直にして搬送しながら電解めっきすることを特徴とするフレキシブル多層配線基板の電解めっき方法である。
【0015】
また、本発明は、上記発明によるフレキシブル多層配線基板の電解めっき方法において、前記フレキシブル多層配線基板に使用する基材が、両面又は片面銅箔付ポリイミドフィルムであることを特徴とするフレキシブル多層配線基板の電解めっき方法である。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の実施の形態を詳細に説明する。
図1(a)〜(f)は、本発明によるフレキシブル多層配線基板の電解めっき方法の一実施例を断面で示す工程図である。図1(a)〜(f)は、フレキシブル多層配線基板のビアホール部分を拡大して示したものである。
【0017】
図1(a)〜(b)に示すように、有機絶縁材からなる絶縁層(102)と導体材料からなる配線層(101)が交互に積層してなる多層構造を有するフレキシブル多層配線基板に、上下の配線層を接続するビアホールを形成する。なおフレキシブル多層配線基板に使用する基材は、リールトゥリール処理が出来るものであれば各種基材が使用できるが、絶縁材料にポリイミド、導体材料に銅箔を使用した銅箔付きポリイミドフィルムがより好ましい。
銅箔付きポリイミドフィルムを推奨する理由として、リールトゥリール処理ができる絶縁層には液晶ポリマー、ポリイミド樹脂、ポリオレフィン樹脂等が挙げられるが、耐熱性、可撓性、平滑性、低吸水率を満足するものとしてポリイミド樹脂を推奨する。また配線層には金属から成り、導電性のよいものであれば構わないが、コストおよび導電性から一般的に銅が好ましく、電解銅箔、圧延銅箔等の平滑性の良い銅箔がより好ましい。
【0018】
ビアホールを形成する方法はレーザ加工が好ましい。レーザについては炭酸ガスレーザ、YAG(基本波、第2高調波、第3高調波、第4高調波)レーザ、エキシマーレーザ等があるが、導体層、絶縁層共に加工を行う為、両者を同時に加工することの出来る400nm以下の短波長レーザであるYAG第3高調波、第4高調波ならびにエキシマーレーザがより好ましい。
【0019】
次に、図1(c)に示すように、ビアホールを導体材料、有機絶縁材料の順にレーザで形成した際に発生する導体材料によるドロス(103)を物理研磨もしくは化学研磨により除去する。
次に、図1(d)に示すように、ビアホール下層に堆積した有機絶縁材料の残さ(104)を過マンガン酸カリウムと水酸化ナトリウムの混合液等の液中に基板を浸漬させ、デスミア処理を行い、続いて、図1(e)に示すように、樹脂面に電解めっきのシード層を形成する為、無電解めっきまたはダイレクトプレーティングを行いシード層(105)を形成する。
【0020】
電解めっきは、巻き出しリール(201)と巻取りリール(205)を備え、フレキシブル多層配線基板の巾方向を垂直にして搬送するリールトゥリール連続電解めっき装置で行う。図2に、その一例を模式的に示す。
リールトゥリール連続電解めっき装置は、電解めっき槽(203)を連ねて複数設け、その間に給電部(202)を配置してある。電解めっき槽にはフレキシブル多層配線基板(206)が通る両側にアノード(204)が配置してある。搬送方式は、フレキシブル多層配線基板の巾方向を水平にした水平搬送でもかまわないが、水平搬送で両面めっきの場合、下側にもアノードが存在し、メンテナンス性に問題があるため、垂直搬送が好ましい。
【0021】
給電部に供給する液は、フィルドビアめっきの電解めっき液の添加剤成分であるブライトナー、ポリマー、レベラ−の少なくともいずれかひとつを含有した液とする。これにより従来、電解めっき槽間の水洗により添加剤が流されてしまい、次の槽でまた添加剤の吸着からやり直す為フィリングが遅れていたが(図3)、水に添加剤成分を含有させておくことにより、電解めっき槽間の給電部においても添加剤の吸着を行うことが可能となり、図1(f)に示すように、フィリングか遅れてしまうということが無くなる。
【0022】
なお、給電部分に含有させる添加剤の濃度は特に規定しないが、添加剤成分が過剰でも過少でもビアフィリングに影響する為、電解めっき液中に含まれる添加剤濃度と同濃度であることが好ましい。
【0023】
このようにして形成したフレキシブル多層配線基板は、ビアホールを適切なめっき時間でビアフィリングすることが可能で、接続信頼性の高いフィルドビアめっきを有するフレキシブル多層配線基板である。
【0024】
【実施例】
以下に、具体的な実施例により詳細に説明する。
<実施例1>
基材(コア部)として、両面銅箔付ポリイミドテープ(三井化学(株)製:ネオフレックス(商品名)、Cu/PI/Cu=9μm/30μm/9μm)を使用した。この基材にビアホールを加工する為に、波長355nmの紫外線レーザを使用しビアホール加工を行った。
加工したビアホール径は30μmであった。加工したビアホールを光学顕微鏡にて観察したところ、ビアホール開口端部にビア加工によるドロスが発生していることを確認した。そこでドロス部分を除去する為に物理研磨を行った。
【0025】
その後、ビアホール底部に堆積した樹脂残さを除去する為に、過マンガン酸カリウムと水酸化ナトリウムを3対2の割合でイオン交換水に溶解させ、約50℃に加熱した。この混合液中に基材を浸漬させ、樹脂残さを除去した。
次いで、電解めっきのシード層を形成する為に無電解銅めっき処理を行った。
【0026】
電解めっきは、垂直搬送のリールトゥリール連続電解めっき装置で行った。電解めっき液は硫酸銅めっき液で行い、給電部には水にめっき添加剤のブライトナー成分を電解めっき液中と同濃度添加したものを供給した。
めっきの電流密度とめっき時間は枚葉処理でビアフィリングが可能な1A/dm2 、30分で行った。
【0027】
次に,両面ni線パターンを形成するために、配線形成用のドライフィルムレジストをラミネーターにより加熱加圧し張り合わせレジスト層を形成した。
次いで、所定のパターンを形成したフォトマスクを用いて超高圧水銀ランプを光源とした平行光にて露光し、1%炭酸ナトリウム水溶液にて現像を行い、所望のレジスト形状を得た。
銅のエッチングは比重1.50の塩化第二鉄にてエッチングを行い、その後、レジストを3%水酸化ナトリウム水溶液にて剥離を行い回路パターンを形成した。
【0028】
その後、両面に接着剤を介して片面銅箔付きポリイミド(三井化学(株)製、商品名:ネオフレックス)をロールラミネーターにて張り合わせ、同様にビア形成、回路形成を行った。
次いで、外層部分にソルダーレジストによりパターンを形成し、開口部にニッケル金めっき処理を行い、フレキシブル多層配線基板を得た。
【0029】
その後、フレキシブル多層配線基板の断面観察を行い、銅の充填不良をビアホール1250個調査したが、ビアフィリングが完了していない不良部分は0個であった。
また、比較として給電部は通常の水で、同様に1A/dm2 で30分間電解めっきしたものについても調査を行ったが、すべてのビアにおいてビアの中央部分に凹部がありビアフィリングが完全でなく途中の状態であった。
【0030】
【発明の効果】
本発明のフレキシブル多層配線基板の電解めっき方法によれば、リールトゥリール連続電解めっき装置にてフィルドビアめっきを行う際のめっき時間が長時間化することなくフィルドビアめっきが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)〜(f)は、本発明によるフレキシブル多層配線基板の電解めっき方法の一実施例を断面で示す工程図である。
【図2】リールトゥリール連続電解めっき装置の一例を模式的に示す説明図である。
【図3】通常の時間でめっきを行ったフィルドビアめっきの一例の断面図である。
【符号の説明】
101…配線層
102…絶縁層
103…ドロス
104…有機絶縁材料残さ
105…無電解めっき層
106…電解めっき層
201…巻き出しリール
202…給電部
203…電解めっき槽
204…アノード
205…巻取りリール
206…フレキシブル多層配線基板
Claims (4)
- 連なった複数の電解めっき槽で構成されたリールトゥリール連続電解めっき装置を用い、フレキシブル多層配線基板の絶縁層を介した上下の配線層間に予め設けられたビアホールに、電解めっきによってフィルドビアを形成する電解銅めっき方法において、隣接する電解めっき槽間の給電部に、電解銅めっきの添加剤成分であるブライトナー成分、ポリマー成分、レベラー成分のうち少なくとも1種類を含む液を供給し、基板表面に添加剤成分を付着させることを特徴とするフレキシブル多層配線基板の電解めっき方法。
- 前記液中の添加剤濃度が、電解めっき液中の添加剤濃度と同濃度であることを特徴とする請求項1記載のフレキシブル多層配線基板の電解めっき方法。
- 前記フレキシブル多層配線基板の巾方向を垂直にして搬送しながら電解めっきすることを特徴とする請求項1、又は請求項2記載のフレキシブル多層配線基板の電解めっき方法。
- 前記フレキシブル多層配線基板に使用する基材が、両面又は片面銅箔付ポリイミドフィルムであることを特徴とする請求項1、請求項2、又は請求項3記載のフレキシブル多層配線基板の電解めっき方法。
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2002
- 2002-07-25 JP JP2002216407A patent/JP2004059952A/ja active Pending
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