JP2004059912A - イソチアゾロンを含有する安定化されたコーティング組成物 - Google Patents
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Abstract
【課題】低いレベルの銅の添加によって3−イソチアゾロンの分解に対して安定化された3−イゾチアゾロン殺微生物剤を含有する高pH水性コーティング組成物を開示する。
【解決手段】3−イゾチアゾロンを含有し、アクリルポリマー、ポリ酢酸ビニルポリマー、ポリ塩化ビニルポリマーおよびスチレン−アクリルポリマーよりなる群の1以上から選択されるフィルム形成性ポリマーコーティング組成物であって、特に、pHが9.5を超えるpH調整アミン化合物を含有する水性塗料組成物は、3−イソチアゾロンを他の塗料成分と合わせる前に1〜200ppmの銅イオンを塗料組成物に添加する場合、または銅イオンを3−イソチアゾロンと共に残りの塗料成分に添加すれば、または銅イオンを組成物に添加する1時間以下前に3−イソチアゾロンを添加すれば効果的に安定化される。
【選択図】 なし
【解決手段】3−イゾチアゾロンを含有し、アクリルポリマー、ポリ酢酸ビニルポリマー、ポリ塩化ビニルポリマーおよびスチレン−アクリルポリマーよりなる群の1以上から選択されるフィルム形成性ポリマーコーティング組成物であって、特に、pHが9.5を超えるpH調整アミン化合物を含有する水性塗料組成物は、3−イソチアゾロンを他の塗料成分と合わせる前に1〜200ppmの銅イオンを塗料組成物に添加する場合、または銅イオンを3−イソチアゾロンと共に残りの塗料成分に添加すれば、または銅イオンを組成物に添加する1時間以下前に3−イソチアゾロンを添加すれば効果的に安定化される。
【選択図】 なし
Description
【0001】
(背景)
本発明は、イソチアゾロン化合物を含むカビ抵抗性の水系コーティング組成物に関する。特に、本発明は安定な組成物を提供し、水性組成物が9.5を超えるpHを有するイソチアゾロン殺微生物剤を含有するコーティング組成物、特に塗料からの臭いの発生を防止する。
【0002】
イソチアゾロンは、フィルム形成性組成物に対するよく知られた殺カビ剤であり、一般に、特定のイソチアゾロンおよび周囲の環境に応じて、安定化剤の添加がなければ不安定である。水性塗料処方物においては、硝酸銅を含めた硝酸塩はイソチアゾロンに対する公知の安定化剤である(米国特許第3,870,795号および第4,067,878号参照)。
【0003】
塗料組成物におけるイソチアゾロンに対する安定化剤としての種々の銅および亜鉛塩の使用は米国特許第5,073,582号および第5,208,272号に開示されている。典型的には、塗料組成物が酸化亜鉛を含有する場合、イソチアゾロンに対する安定化剤として銅塩は必要とされない。例えば、2−n−オクチル−3−イソチアゾロン殺微生物剤を含有する塗料組成物は、適当なレベルの酸化亜鉛と共に、9.5未満のpH値で用いるのに推奨される(ローム・アンド・ハース社(Rohm and Haas)の技術報告 #81A104、1995年7月「Skane(登録商標)M−8 殺カビ剤」参照)。しかしながら、pHが9.5より大であるある種の塗料組成物においては、酸化亜鉛の存在はイソチアゾロン成分の安定性を維持するのに十分ではなく、イソチアゾロンの分解が起こりかねず、その結果、特に湿潤または温暖温度条件下で、乾燥した塗料フィルムにおいて望ましくない臭いが発生する。
【0004】
本発明が解決しようとする問題は、9.5を超えるpH値で処方した場合に、イソチアゾロン殺微生物剤成分が亜鉛塩の存在下においてでも分解される現在のコーティング組成物の欠陥を克服することである。
【0005】
(発明の陳述)
本発明は、(a)アクリルポリマー、ポリ酢酸ビニルポリマー、ポリ塩化ビニルポリマーおよびスチレン−アクリルポリマーよりなる群の1以上から選択されるフィルム形成性ポリマーコーティング組成物、
(b)式I:
【化3】
[式中、Yは非置換または置換(C1−C18)アルキル基、非置換または置換(C2−C18)アルケニルもしくはアルキニル基、非置換または置換(C6−C12)シクロアルキル基、非置換または置換(C7−C10)アルアルキル基または置換(C7−C10)アリール基であり、
RおよびR1は、独立して、水素、ハロゲンまたは(C1−C4)アルキル基であるか、あるいは
RおよびR1はイソチアゾロン環のC=C二重結合と一緒になって、非置換または置換ベンゼン環を形成することができる]
によって表される3−イソチアゾロン化合物、
(c)9.0を超えるpKaを有するアンモニアおよび有機アミンの1以上から選択されるpH調整化合物、
(d)前記組成物の重量に基づき1〜200ppmの銅イオン、および
(e)水、
を含み、前記水性組成物は9.5を超えるpHを有することを特徴とする水性コーティング組成物を提供する。
【0006】
もう1つの実施形態において、本発明は、含有する3−イソチアゾロン化合物の分解に対して水性コーティング組成物を安定化させる方法であって、(a)アクリルポリマー、ポリ酢酸ビニルポリマー、ポリ塩化ビニルポリマー、およびスチレン−アクリルポリマーよりなる群の1以上から選択されるフィルム形成性ポリマーコーティング組成物、(b)9.0を超えるpKaを有するアンモニアおよび有機アミンの1以上から選択されるpH調整化合物、および(c)水の混合物に、前記水性コーティング組成物の重量に基づいて1〜200ppmの銅イオンを添加することを含み、前記コーティング組成物のpHは9.5より大であり、成分(a)、(b)、(c)および銅化合物は任意の順序で合わせることができ、銅化合物の添加前1時間よりも以降の時点で3−イソチアゾロン化合物が添加される方法を提供する。
【0007】
もう1つの実施形態において、本発明は、含有する3−イソチアゾロン化合物の分解に対して水性コーティング組成物を安定化させる方法であって、(a)前記水性コーティング組成物の重量に基づいて1〜200ppmの銅化合物を3−イソチアゾロン化合物と合わせて、第1の混合物を形成させ、次いで、(b)前記第1の混合物を第2の混合物に添加して、水性コーティング組成物を形成させることを含み、前記第2の混合物は9.5を超えるpHを有し、かつ(i)アクリルポリマー、ポリ酢酸ビニルポリマー、ポリ塩化ビニルポリマーおよびスチレンアクリルポリマーよりなる群の1以上から選択されるフィルム形成性ポリマーコーティング組成物、(ii)9.0を超えるpKaを有するアンモニアおよび有機アミンの1以上から選択されるpH調整化合物、および(iii)水を含む方法を提供する。
【0008】
(詳細な記載)
本発明者らは、9.0を超えるpKa値を有し、pHは9.5を超える、pH−調整アミン化合物を含有する水性コーティング組成物、特に塗料組成物が、もし3−イソチアゾロンを他の塗料成分と合わせる前に1〜200ppmの銅イオンが処方物に添加されれば、または銅化合物が3−イソチアゾロン成分と共に処方物に添加されれば、またはもし銅イオンが処方物に添加される前1時間よりも以降に3−イソチアゾロンが添加されれば、コーティング組成物中の3−イソチアゾロン殺微生物成分の分解に対して安定化され得ることを発見した。
【0009】
本明細書で用いるように、以下の用語は、文脈が明らかに他のことを示さない限り、指定された定義を有する。用語「(メタ)アクリル酸アルキル」とは、対応するアクリレートまたはメタクリレートエステルのいずれかをいう。同様に、用語「(メタ)アクリル」とは、アクリル酸またはメタクリル酸のいずれか、およびエステルまたはアミドのような対応する誘導体を言う。言及する全てのパーセントは、特記しない限り、関係するポリマーまたは組成物の全重量に基づいた重量パーセント(%)で表す。用語「コポリマー」または「ポリマー」とは、(アクリル「ホモポリマー」のように)特記しない限り、2以上の異なるモノマーの単位を含むポリマー組成物をいう。以下の略語を本明細書中で用いる:g=グラム、ppm=100万分の1。特記しない限り、記載した範囲は両端の値を含み、かつ組み合わせ可能なものと読まれるべきであり、温度は摂氏度(℃)で表す。
【0010】
水性塗料組成物における安定化剤として用いるのに適した3−イソチアゾロンは式(I):
【化4】
によって既に表されたものを含む。
【0011】
「置換アルキル基」とは、1以上の水素がもう1つの置換基によって置換されたアルキル基を意味し、その例にはヒドロキシアルキル、ハロアルキルおよびアルキルアミノが含まれる。「置換アルアルキル基」とは、アリール環またはアルキル鎖いずれか上の1以上の水素がもう1つの置換基によって置換されたアルアルキル基を意味し、その例にはハロ、(C1−C4)アルキル、ハロ−(C1−C4)アルコキシおよび(C1−C4)アルコキシが含まれる。「置換アリール基」とは、アリール環上の1以上の水素がもう1つの置換基によって置換されたフェニル、ナフチルまたはピリジル基のようなアリール基を意味し、その例にはハロ、ニトロ、(C1−C4)アルキル、ハロ−(C1−C4)アルコキシおよび(C1−C4)アルコキシが含まれる。
【0012】
適当な3−イソチアゾロン化合物は、例えば、2−メチル−3−イソチアゾロン、2−メチル−5−クロロ−3−イソチアゾロンおよび他の2−(C1−C5)アルキル−3−イソチアゾロン誘導体を含む。好ましくは、3−イソチアゾロン化合物は式Iの3−イソチアゾロンであり、ここに、Yは非置換または置換(C6−C18)アルキル基、または非置換または置換(C6−C18)アルケニルもしくはアルキニル基である。典型的には、3−イソチアゾロンは2−n−オクチル−3−イソチアゾロン(OIT)、4,5−ジクロロ−2−n−オクチル−3−イソチアゾロン(DCOIT)、4,5−ジクロロ−2−ベンジル−3−イソチアゾロン、2−シクロヘキシル−3−イソチアゾロン、2−ベンジル−3−イソチアゾロン、5−クロロ−2−(2−(4−クロロフェニル)エチル)−3−イソチアゾロン、5−クロロ−2−(2−フェニルエチル)−3−イソチアゾロン、5−クロロ−2−(4’−クロロベンジル)−3−イソチアゾロンおよび2−ハロアルコキシアリール−3−イソチアゾロン(例えば、2−(4−トリフルオロメトキシフェニル)−3−イソチアゾロン、2−(4−トリフルオロメトキシフェニル)−5−クロロ−3−イソチアゾロンおよび2−(4−トリフルオロメトキシフェニル)−4,5−ジクロロ−3−イソチアゾロン)から選択される。より好ましくは、3−イソチアゾロンは2−n−オクチル−3−イソチアゾロンおよび4,5−ジクロロ−2−n−オクチル−3−イソチアゾロンよりなる群の1以上から選択される。コーティング組成物における3−イソチアゾロン殺微生物剤の使用レベルは、好ましくは、当該量が水性媒体中の微生物の増殖を阻害するのに効果的なように、コーティング組成物の全重量に基づき、0.02〜0.2%、好ましくは0.04〜0.13%、より好ましくは0.05〜0.1%である。
【0013】
本発明のコーティング組成物を処方するのに有用な適当なフィルム形成性ポリマー組成物は、例えば、アクリルポリマー、ポリ酢酸ビニルポリマー、ポリ塩化ビニルポリマーおよびスチレン−アクリルポリマーよりなる群の1以上から選択されるポリマーを含む。「バインダー」ともいう、フィルム形成性ポリマーは、塗料のような、水系コーティングを処方するのに用いられる慣用的なラテックスまたはエマルジョンポリマーのいずれでもあり得る。典型的には、アクリルポリマーは、例えばメタクリル酸メチルおよびアクリル酸ブチルのような、(メタ)アクリル酸アルキル、例えばアクリル酸、メタクリル酸およびメチルメタクリルアミドのような、他の(メタ)アクリル酸誘導体および、所望により、スチレンおよびビニルトルエンのような、ビニル芳香族モノマーに基づくコポリマーを含む。同様に、ポリ酢酸ビニルポリマーは、酢酸ビニルモノマー、および(メタ)アクリル酸アルキルおよびビニル芳香族モノマーのような一定範囲の他のコモノマーに基づくコポリマーを含む。ポリ塩化ビニルポリマーは、塩化ビニルモノマー、および(メタ)アクリル酸アルキル、酢酸ビニルおよびビニル芳香族モノマーのような一定範囲の他のコモノマーに基づくコポリマーを含む。加えて、フィルム形成性ポリマー組成物は、後架橋剤、例えば、エポキシ化合物のような反応性添加剤を含むことに基づく前記ポリマーの常法により改質された誘導体であってもよい。
【0014】
コーティング組成物におけるフィルム形成性ポリマー組成物の使用レベルは、典型的には、組成物の全重量に基づき、1〜75%、好ましくは5〜70%、より好ましくは10〜60%である。典型的には、フィルム形成性ポリマーは、適用される基材表面に対して浸透性または非浸透性であってもよい。
【0015】
本発明の水性コーティング組成物において銅イオンを供するのに有用な銅化合物は、例えば、硝酸銅、硫酸銅、塩化銅、臭化銅、(酢酸銅、クエン酸銅およびプロピオン酸銅のような)有機カルボン酸の銅塩および、アミンおよびアミノカルボキシレート錯体のような錯体化またはキレート化銅塩を含む。
【0016】
銅キレート化剤で用いるのに適した代表的なアミンは、例えば、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、1,2−プロパンジアミン、1,3−プロパンジアミン、N,N−ジメチルエチレンジアミンおよびN,N−ジエチルエチレンジアミンのようなポリアミンを含む。銅キレート化剤または錯体として適当な代表的なアミノポリカルボキシレートは、例えば、ニトリロトリアセテート(NTA)、エチレンジアミンテトラアセテート(EDTA)、N−ヒドロキシエチルエチレンジアミントリアセテート、ジエチレントリアミンペンタアセテート、エチレンジアミンジスクシネート(EDDS)、2−ヒドロキシプロピレンジアミンジスクシネート、エチレンジアミンジグルタレート、エチレンジアミンテトラプロピオネート、トリエチレンテトラアミンヘキサアセテート、エタノールジグリシン、プロピレンジアミンテトラアセテートおよびメチルグリシンジアセテートを含む。
【0017】
他の適当な銅塩は銅アルカノエート((C7−C13)アルキルカルボキシレートの混合物)ならびに銅ヘキサノエート、銅ヘプタノエート、銅デカノエート、銅ドデカノエート、銅ドデセノエート、銅シクロヘキシルカルボキシレート、銅テトラヒドロベンゾエート、銅ナフテネート、「オクトエート」としても知られている銅2−エチルヘキサノエート、銅ネオデカノエート、銅オレエート、銅ベンゾノエート、不均化ロジン酸の銅塩、銅2−フェニルエタノエート、銅ドデシルベンゼンスルホネート、銅ジオクチルスルホスクシネートおよび銅ペトロリウムスルホネートを含む。好ましくは、銅化合物は硝酸塩、塩化物、酢酸塩および有機酸カルボキシレート塩の1以上から選択され、より好ましくは、銅化合物は硝酸銅である。
【0018】
コーティング組成物における銅イオンの使用レベルは、好ましくは、当該量が分解に対して3−イソチアゾロン成分を安定化させるのに効果的なように、組成物の全重量に基づき、0.0001〜0.02%(1〜200ppm)、好ましくは0.0005〜0.01%(5〜100ppm)、より好ましくは0.001〜0.005%(10〜50ppm)、最も好ましくは0.0015〜0.003%(15〜30ppm)である。約100ppm(0.01%)を超える銅イオンのレベルは、一般的には、組成物に対する潜在的色寄与のため望ましくなく、いくつかの塗料処方物で引き続いて使用することを妨げる。
【0019】
本発明のコーティング組成物で有用なpH調整化合物は、9.0を超える(5未満のpKb)、典型的には9〜11、好ましくは9.2〜10のpKa値を有するアンモニアおよび有機アミンを含む。そのような有機アミンは、例えば、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール(AMP)、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノイソプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミン、モルフォリン、1−アミン−2−プロパノール、2−アミノ−2−メチル−1,3−プロパンジオールおよびN,N−ジメチル−2−アミノ−2−メチル−1−プロパノールを含む。pKaの値は塩基としてのアミンの強度を示し、pKaは水中でのプロトン化アミンの解離定数の対数の負数であり、定義により、pKa+pKb=14(より強い塩基はより小さなpKb値を有し、結果的に、より大きなpKa値を有する)であり、「a」および「b」添字は、各々、酸性度および塩基性度をいう。
【0020】
好ましくは、pH調整化合物はアンモニアおよび2−アミノ−2−メチルプロパノールの1以上から選択される。コーティング組成物におけるpH調整化合物の使用レベルは、当該量が所望の全pH、すなわち、9.5を超えるpHを提供するのに有効な限り、組成物の全質量に基づき、典型的には0.02〜1%、好ましくは0.05〜0.5%、より好ましくは0.1〜0.4%である。典型的には、pHは9.5を超え12まで、好ましくは9.6〜11、より好ましくは9.7〜10.5である。所望により、本発明で必要なpH調整アミン化合物の使用に加えて、KOHまたはNaOHのような無機塩基でpHをさらに調整することができる。
【0021】
所望により、溶媒を用いて3−イソチアゾロンを溶解させることができ、溶媒は、3−イソチアゾロンと混和性であり、提案された目的使用に適合し、3−イソチアゾロンを非安定化せず、かつ銅化合物と反応してその安定化作用を排除しないいずれの有機溶媒であってもよい。ヒドロキシ溶媒、例えば、グリコールのようなポリオール、グリコールのモノエーテルおよびアルコールを用いることができる。トリメチル−1,3−ペンタンジオールモノイソブチレートのようなヒドロキシ融合剤も用いることができる。ある処方物では、脂肪族または芳香族のいずれかの炭化水素は有用な溶媒である。典型的な溶媒はエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ジプロピレングリコール、モノエチルエーテル、キシレンおよびミネラルスピリットである。銅塩が可溶性であるか、テスト処方物に適当に、かつ均一に添加されるのに十分に分散される限り、溶媒は混合物として用いることができる。
【0022】
所望により、本発明のコーティング組成物にアジュバントを含ませることができる。例えば、塗料組成物が以下の任意の成分:酸化亜鉛および有機カルボン酸の亜鉛塩、例えば、亜鉛オクトエートのような亜鉛化合物、融合剤、無機顔料、有機顔料または染料のような顔料、分散剤、表面活性剤およびヒドロキシエチルセルロースおよびポリエーテルウレタンのようなレオロジー改質剤または増粘剤を含むことができる。用いる場合、これらのアジュバントは組成物の全重量に基づき、0.5〜75%のレベルで存在させることができる。
【0023】
3−イソチアゾロンの添加前、あるいは3−イソチアゾロンと他のコーティング組成物の成分との接触の1時間以内に、銅化合物を処方物に添加する限り、3−イソチアゾロンおよび銅化合物は安定化すべきコーティング組成物に別々に混合することができる。典型的には、銅化合物の添加後の時点に、好ましくは銅化合物の添加後3時間以内、より好ましくは1時間以内、最も好ましくは30分以内に3−イソチアゾロン化合物を処方物に添加する。
【0024】
好ましくは、有機共溶媒と共にまたはそれなしで、3−イソチアゾロンおよび銅化合物を、安定化すべきコーティング組成物に添加する前に、単一パッケージまたは溶液に予め組み合わせることができる。3−イソチアゾロン、銅化合物および任意の有機溶媒の単一パッケージ組み合わせは、塗料のようなコーティング組成物に添加される銅化合物に対する3−イソチアゾロンの比率の改良された制御という利点を供する。というのは、各成分を別々に添加する場合、複数の工程ではなく、単一操作で行われるからである。加えて、もし各成分が別々に供給される場合に必要とされる複数ではなく、単一パッケージ処方物用の1つの貯蔵容器を必要とするにすぎず、また、こぼしたり失敗したりする機会となる、各成分を別々に添加する多工程プロセスよりも1工程操作は元々単純である。
【0025】
典型的には、本発明のコーティング組成物は、1〜75部のポリマーコーティング組成物(a)、0.02〜0.2部の3−イソチアゾロン(b)、0.02〜1部のpH調整化合物(c)、0.0001〜0.02部の銅イオン(d)、25〜99部の水(e)を含み、さらに、0から10部までの、脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素、二価アルコールおよび二価アルコールのモノアルキルエーテルよりなる群の1以上から選択される溶媒を含む。(a)、(b)および(c)の部は全水性組成物の100部当たりで表す。本発明の好ましい実施形態において、該組成物は0.05〜0.1部の3−イソチアゾロン(b)および0.001〜0.005部の銅イオン(d)を含む。
【0026】
理論に拘束されるものではないが、本発明者らは、もし水性環境のpHがpH調整化合物として用いるアミンのpKaよりも幾分高ければ、アミンの求核性は、pHがアミンのpKaよりも幾分低い同環境におけるそれと比較して非常に高く、より低いpHでは、アミンのいくらかの部分はプロトン化された状態、すなわち、求核性はかなり低いと考える。アミンの求核性が大きくなれば、開環攻撃が3−イソチアゾロン化合物で起こり得る確率は大きくなり、潜在的に悪臭を有する硫黄副産物の分解および生成に至る。コーティング組成物のpHが約9.5を下回れば、銅化合物安定化剤の不存在下、または常法による亜鉛化合物の存在下いずれかにおいて、3−イソチアゾロンからの非安定化または臭いの発生はない。しかしながら、約9.5pHを超えれば、亜鉛化合物の存在さえが、3−イソチアゾロンの分解を妨げるのに効果的ではなく、驚くべきことに本発明者らは、これらの条件下にて、分解に対して3−イソチアゾロン化合物を保護するのに銅イオンが効果的であることを見出した。加えて本発明者らは、アミンの不存在下にて、2−n−オクチル−3−イソチアゾロンが10もの高いpH値にて安定であることを見出した(実施例5参照)。アミンが存在する場合、pH単独の効果は、3−イソチアゾロンの潜在的分解の点で「求核性」の効果によって低められる。
【0027】
本発明のいくつかの実施形態を以下の実施例で詳細に記載する。全ての比率、部およびパーセントは、特記しない限り、重量によって表し、用いる全ての試薬は、特記しない限り、良好な商業的品質のものである。
【0028】
実施例および表で用いる略語を対応する記載と共に以下に列挙する。
OIT=2−n−オクチル−3−イソチアゾロン
AMP=2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール
NH3=アンモニア
AA=アクリル酸
BA=アクリル酸ブチル
MMA=メタクリル酸メチル
アクリル=52/47/1 BA/MMA/AAエマルジョンポリマー、60%ポリマー固形物
NA=分析せずまたは適用不能
【0029】
実施例1
種々のシミュレートしたコーティング組成物を以下のように調製した(実施例2〜4で使用)。実施例2に記載した実験では、ほぼ0.3gのSkane(登録商標)M−8 殺カビ剤(45〜47%、2−n−オクチル−3−イソチアゾロン(OIT)、48〜50%プロピレングリコール、3〜5%水)の形態の3−イソチアゾロン殺微生物剤を、ほぼ70gのフィルム形成性ポリマーエマルジョンおよび0.2〜0.3gのpH調整アミン化合物を含有するシュミレートした塗料処方物に添加した。実施例3および4に記載した実験では、ほぼ0.2gのSkane(登録商標)M−8 殺カビ剤(45〜47%2−n−オクチル−3−イソチアゾロン(OIT)、48〜50%プロピレングリコール、3〜5%水)の形態の3−イソチアゾロン殺微生物剤を、ほぼ50gのフィルム形生性ポリマーエマルジョン、0.1〜0.3gのpH調整アミン化合物、0.0〜0.11gの亜鉛オクトエート(18%水性溶液)および0.0〜0.017gの(Cu(NO3)2・1.5H2Oまたは23%水性溶液としての)硝酸銅を含有するシュミレートした塗料処方物に添加した。次いで、処方した試料を60℃のオーブンに入れ、残存するOITの分析のため、種々の時点においてアリコートを採取した。全ての場合において、テスト試料におけるOITの初期濃度はほぼ2000ppmの有効成分であった。pH調整アミン化合物はAMP(2−アミノ−2−メチルプロパノール)または(29%NH4OHとして添加した)アンモニアのいずれかであった。
【0030】
実施例2
表1は、銅または亜鉛イオンの不存在下における、シミュレートしたコーティング組成物でのOITの安定性に対するpHの効果をまとめた(試料のいずれも亜鉛オクトエートまたは銅塩を含有しなかった)。全ての試料のpHは10%HClまたは10%NaOHで調整して、各々、pHを低下または上昇させた。試料2−A−1および2−B−1のpHは3日後には9.6まで下降した。9.5未満のpHでは、全ての処方物はOIT含有量に関して安定であり(約2ヶ月後に>90%保持)、9.5を超えるpHでは、最初の数日以内にOIT安定性は迅速に劣化した(3日後に<75%保持)。
【0031】
【表1】
【0032】
実施例3
表2は、高いpH条件(9.8〜9.9)での、シミュレートされたコーティング処方物における、OITの安定性に対する亜鉛オクトエートとしての亜鉛イオンまたは硝酸銅としての銅イオンの効果をまとめた。全ての試料のpHは10%NaOHで調整して、最終の所望のpHを達成した。亜鉛イオン(Zn2+=400ppm)単独を含有する処方物において、OITの安定性は最初の数日以内に迅速に劣化し(5日後に<50%保持)、他方、銅イオン(Cu2+=50ppm)を処方物に添加した場合、攻撃的な高いpH条件においてさえ、OITの安定性は大いに増強された(2ヶ月後に>90%保持)。
【0033】
【表2】
【0034】
実施例4
表3は、高いpH条件(9.9〜10.0)におけるシュミレートされたコーティング処方物での、OITの安定性に対する、
(1)銅単独(Cu2+=50ppm、亜鉛オクトエートの不存在下)および(2)400ppm亜鉛イオンの存在下における種々のレベルの銅(Cu2+=10または30ppm)
の効果をまとめた。全ての試料のpHを10%NaOHで調整して、最終の所望のpHを達成した。銅イオン単独(Cu2+=50ppm)を含有する処方物において、OIT安定性は優れており、亜鉛イオンが存在する場合、10ppmもの低い銅レベルも効果的であるが、高いpH条件では、これらのレベルにおける亜鉛イオン単独はOITを安定化させるのに効果的でないことが示された(表2、試料3−Aおよび3−B参照)。
【0035】
【表3】
【0036】
実施例5
本実施例は、9.0を超えるpKaを有するアミン化合物の不存在下における高いpH条件での2−n−オクチル−3−イソチアゾロンの安定性を証明する。2−n−オクチル−3−イソチアゾロン溶液(1%)は95%プロピレングリコール/5%水中で調製し、pHはNaOHで10.0〜10.1に調整し、金属塩安定化剤は混合物に添加しなかった。次いで、この混合物の試料を雰囲気温度(ほぼ25℃)で、および40℃のオーブン中で貯蔵した。14日後、25℃または40℃いずれかで貯蔵した試料につき、2−n−オクチル−3−イソチアゾロン有効成分の喪失はなかった(100%保持)。
(背景)
本発明は、イソチアゾロン化合物を含むカビ抵抗性の水系コーティング組成物に関する。特に、本発明は安定な組成物を提供し、水性組成物が9.5を超えるpHを有するイソチアゾロン殺微生物剤を含有するコーティング組成物、特に塗料からの臭いの発生を防止する。
【0002】
イソチアゾロンは、フィルム形成性組成物に対するよく知られた殺カビ剤であり、一般に、特定のイソチアゾロンおよび周囲の環境に応じて、安定化剤の添加がなければ不安定である。水性塗料処方物においては、硝酸銅を含めた硝酸塩はイソチアゾロンに対する公知の安定化剤である(米国特許第3,870,795号および第4,067,878号参照)。
【0003】
塗料組成物におけるイソチアゾロンに対する安定化剤としての種々の銅および亜鉛塩の使用は米国特許第5,073,582号および第5,208,272号に開示されている。典型的には、塗料組成物が酸化亜鉛を含有する場合、イソチアゾロンに対する安定化剤として銅塩は必要とされない。例えば、2−n−オクチル−3−イソチアゾロン殺微生物剤を含有する塗料組成物は、適当なレベルの酸化亜鉛と共に、9.5未満のpH値で用いるのに推奨される(ローム・アンド・ハース社(Rohm and Haas)の技術報告 #81A104、1995年7月「Skane(登録商標)M−8 殺カビ剤」参照)。しかしながら、pHが9.5より大であるある種の塗料組成物においては、酸化亜鉛の存在はイソチアゾロン成分の安定性を維持するのに十分ではなく、イソチアゾロンの分解が起こりかねず、その結果、特に湿潤または温暖温度条件下で、乾燥した塗料フィルムにおいて望ましくない臭いが発生する。
【0004】
本発明が解決しようとする問題は、9.5を超えるpH値で処方した場合に、イソチアゾロン殺微生物剤成分が亜鉛塩の存在下においてでも分解される現在のコーティング組成物の欠陥を克服することである。
【0005】
(発明の陳述)
本発明は、(a)アクリルポリマー、ポリ酢酸ビニルポリマー、ポリ塩化ビニルポリマーおよびスチレン−アクリルポリマーよりなる群の1以上から選択されるフィルム形成性ポリマーコーティング組成物、
(b)式I:
【化3】
[式中、Yは非置換または置換(C1−C18)アルキル基、非置換または置換(C2−C18)アルケニルもしくはアルキニル基、非置換または置換(C6−C12)シクロアルキル基、非置換または置換(C7−C10)アルアルキル基または置換(C7−C10)アリール基であり、
RおよびR1は、独立して、水素、ハロゲンまたは(C1−C4)アルキル基であるか、あるいは
RおよびR1はイソチアゾロン環のC=C二重結合と一緒になって、非置換または置換ベンゼン環を形成することができる]
によって表される3−イソチアゾロン化合物、
(c)9.0を超えるpKaを有するアンモニアおよび有機アミンの1以上から選択されるpH調整化合物、
(d)前記組成物の重量に基づき1〜200ppmの銅イオン、および
(e)水、
を含み、前記水性組成物は9.5を超えるpHを有することを特徴とする水性コーティング組成物を提供する。
【0006】
もう1つの実施形態において、本発明は、含有する3−イソチアゾロン化合物の分解に対して水性コーティング組成物を安定化させる方法であって、(a)アクリルポリマー、ポリ酢酸ビニルポリマー、ポリ塩化ビニルポリマー、およびスチレン−アクリルポリマーよりなる群の1以上から選択されるフィルム形成性ポリマーコーティング組成物、(b)9.0を超えるpKaを有するアンモニアおよび有機アミンの1以上から選択されるpH調整化合物、および(c)水の混合物に、前記水性コーティング組成物の重量に基づいて1〜200ppmの銅イオンを添加することを含み、前記コーティング組成物のpHは9.5より大であり、成分(a)、(b)、(c)および銅化合物は任意の順序で合わせることができ、銅化合物の添加前1時間よりも以降の時点で3−イソチアゾロン化合物が添加される方法を提供する。
【0007】
もう1つの実施形態において、本発明は、含有する3−イソチアゾロン化合物の分解に対して水性コーティング組成物を安定化させる方法であって、(a)前記水性コーティング組成物の重量に基づいて1〜200ppmの銅化合物を3−イソチアゾロン化合物と合わせて、第1の混合物を形成させ、次いで、(b)前記第1の混合物を第2の混合物に添加して、水性コーティング組成物を形成させることを含み、前記第2の混合物は9.5を超えるpHを有し、かつ(i)アクリルポリマー、ポリ酢酸ビニルポリマー、ポリ塩化ビニルポリマーおよびスチレンアクリルポリマーよりなる群の1以上から選択されるフィルム形成性ポリマーコーティング組成物、(ii)9.0を超えるpKaを有するアンモニアおよび有機アミンの1以上から選択されるpH調整化合物、および(iii)水を含む方法を提供する。
【0008】
(詳細な記載)
本発明者らは、9.0を超えるpKa値を有し、pHは9.5を超える、pH−調整アミン化合物を含有する水性コーティング組成物、特に塗料組成物が、もし3−イソチアゾロンを他の塗料成分と合わせる前に1〜200ppmの銅イオンが処方物に添加されれば、または銅化合物が3−イソチアゾロン成分と共に処方物に添加されれば、またはもし銅イオンが処方物に添加される前1時間よりも以降に3−イソチアゾロンが添加されれば、コーティング組成物中の3−イソチアゾロン殺微生物成分の分解に対して安定化され得ることを発見した。
【0009】
本明細書で用いるように、以下の用語は、文脈が明らかに他のことを示さない限り、指定された定義を有する。用語「(メタ)アクリル酸アルキル」とは、対応するアクリレートまたはメタクリレートエステルのいずれかをいう。同様に、用語「(メタ)アクリル」とは、アクリル酸またはメタクリル酸のいずれか、およびエステルまたはアミドのような対応する誘導体を言う。言及する全てのパーセントは、特記しない限り、関係するポリマーまたは組成物の全重量に基づいた重量パーセント(%)で表す。用語「コポリマー」または「ポリマー」とは、(アクリル「ホモポリマー」のように)特記しない限り、2以上の異なるモノマーの単位を含むポリマー組成物をいう。以下の略語を本明細書中で用いる:g=グラム、ppm=100万分の1。特記しない限り、記載した範囲は両端の値を含み、かつ組み合わせ可能なものと読まれるべきであり、温度は摂氏度(℃)で表す。
【0010】
水性塗料組成物における安定化剤として用いるのに適した3−イソチアゾロンは式(I):
【化4】
によって既に表されたものを含む。
【0011】
「置換アルキル基」とは、1以上の水素がもう1つの置換基によって置換されたアルキル基を意味し、その例にはヒドロキシアルキル、ハロアルキルおよびアルキルアミノが含まれる。「置換アルアルキル基」とは、アリール環またはアルキル鎖いずれか上の1以上の水素がもう1つの置換基によって置換されたアルアルキル基を意味し、その例にはハロ、(C1−C4)アルキル、ハロ−(C1−C4)アルコキシおよび(C1−C4)アルコキシが含まれる。「置換アリール基」とは、アリール環上の1以上の水素がもう1つの置換基によって置換されたフェニル、ナフチルまたはピリジル基のようなアリール基を意味し、その例にはハロ、ニトロ、(C1−C4)アルキル、ハロ−(C1−C4)アルコキシおよび(C1−C4)アルコキシが含まれる。
【0012】
適当な3−イソチアゾロン化合物は、例えば、2−メチル−3−イソチアゾロン、2−メチル−5−クロロ−3−イソチアゾロンおよび他の2−(C1−C5)アルキル−3−イソチアゾロン誘導体を含む。好ましくは、3−イソチアゾロン化合物は式Iの3−イソチアゾロンであり、ここに、Yは非置換または置換(C6−C18)アルキル基、または非置換または置換(C6−C18)アルケニルもしくはアルキニル基である。典型的には、3−イソチアゾロンは2−n−オクチル−3−イソチアゾロン(OIT)、4,5−ジクロロ−2−n−オクチル−3−イソチアゾロン(DCOIT)、4,5−ジクロロ−2−ベンジル−3−イソチアゾロン、2−シクロヘキシル−3−イソチアゾロン、2−ベンジル−3−イソチアゾロン、5−クロロ−2−(2−(4−クロロフェニル)エチル)−3−イソチアゾロン、5−クロロ−2−(2−フェニルエチル)−3−イソチアゾロン、5−クロロ−2−(4’−クロロベンジル)−3−イソチアゾロンおよび2−ハロアルコキシアリール−3−イソチアゾロン(例えば、2−(4−トリフルオロメトキシフェニル)−3−イソチアゾロン、2−(4−トリフルオロメトキシフェニル)−5−クロロ−3−イソチアゾロンおよび2−(4−トリフルオロメトキシフェニル)−4,5−ジクロロ−3−イソチアゾロン)から選択される。より好ましくは、3−イソチアゾロンは2−n−オクチル−3−イソチアゾロンおよび4,5−ジクロロ−2−n−オクチル−3−イソチアゾロンよりなる群の1以上から選択される。コーティング組成物における3−イソチアゾロン殺微生物剤の使用レベルは、好ましくは、当該量が水性媒体中の微生物の増殖を阻害するのに効果的なように、コーティング組成物の全重量に基づき、0.02〜0.2%、好ましくは0.04〜0.13%、より好ましくは0.05〜0.1%である。
【0013】
本発明のコーティング組成物を処方するのに有用な適当なフィルム形成性ポリマー組成物は、例えば、アクリルポリマー、ポリ酢酸ビニルポリマー、ポリ塩化ビニルポリマーおよびスチレン−アクリルポリマーよりなる群の1以上から選択されるポリマーを含む。「バインダー」ともいう、フィルム形成性ポリマーは、塗料のような、水系コーティングを処方するのに用いられる慣用的なラテックスまたはエマルジョンポリマーのいずれでもあり得る。典型的には、アクリルポリマーは、例えばメタクリル酸メチルおよびアクリル酸ブチルのような、(メタ)アクリル酸アルキル、例えばアクリル酸、メタクリル酸およびメチルメタクリルアミドのような、他の(メタ)アクリル酸誘導体および、所望により、スチレンおよびビニルトルエンのような、ビニル芳香族モノマーに基づくコポリマーを含む。同様に、ポリ酢酸ビニルポリマーは、酢酸ビニルモノマー、および(メタ)アクリル酸アルキルおよびビニル芳香族モノマーのような一定範囲の他のコモノマーに基づくコポリマーを含む。ポリ塩化ビニルポリマーは、塩化ビニルモノマー、および(メタ)アクリル酸アルキル、酢酸ビニルおよびビニル芳香族モノマーのような一定範囲の他のコモノマーに基づくコポリマーを含む。加えて、フィルム形成性ポリマー組成物は、後架橋剤、例えば、エポキシ化合物のような反応性添加剤を含むことに基づく前記ポリマーの常法により改質された誘導体であってもよい。
【0014】
コーティング組成物におけるフィルム形成性ポリマー組成物の使用レベルは、典型的には、組成物の全重量に基づき、1〜75%、好ましくは5〜70%、より好ましくは10〜60%である。典型的には、フィルム形成性ポリマーは、適用される基材表面に対して浸透性または非浸透性であってもよい。
【0015】
本発明の水性コーティング組成物において銅イオンを供するのに有用な銅化合物は、例えば、硝酸銅、硫酸銅、塩化銅、臭化銅、(酢酸銅、クエン酸銅およびプロピオン酸銅のような)有機カルボン酸の銅塩および、アミンおよびアミノカルボキシレート錯体のような錯体化またはキレート化銅塩を含む。
【0016】
銅キレート化剤で用いるのに適した代表的なアミンは、例えば、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、1,2−プロパンジアミン、1,3−プロパンジアミン、N,N−ジメチルエチレンジアミンおよびN,N−ジエチルエチレンジアミンのようなポリアミンを含む。銅キレート化剤または錯体として適当な代表的なアミノポリカルボキシレートは、例えば、ニトリロトリアセテート(NTA)、エチレンジアミンテトラアセテート(EDTA)、N−ヒドロキシエチルエチレンジアミントリアセテート、ジエチレントリアミンペンタアセテート、エチレンジアミンジスクシネート(EDDS)、2−ヒドロキシプロピレンジアミンジスクシネート、エチレンジアミンジグルタレート、エチレンジアミンテトラプロピオネート、トリエチレンテトラアミンヘキサアセテート、エタノールジグリシン、プロピレンジアミンテトラアセテートおよびメチルグリシンジアセテートを含む。
【0017】
他の適当な銅塩は銅アルカノエート((C7−C13)アルキルカルボキシレートの混合物)ならびに銅ヘキサノエート、銅ヘプタノエート、銅デカノエート、銅ドデカノエート、銅ドデセノエート、銅シクロヘキシルカルボキシレート、銅テトラヒドロベンゾエート、銅ナフテネート、「オクトエート」としても知られている銅2−エチルヘキサノエート、銅ネオデカノエート、銅オレエート、銅ベンゾノエート、不均化ロジン酸の銅塩、銅2−フェニルエタノエート、銅ドデシルベンゼンスルホネート、銅ジオクチルスルホスクシネートおよび銅ペトロリウムスルホネートを含む。好ましくは、銅化合物は硝酸塩、塩化物、酢酸塩および有機酸カルボキシレート塩の1以上から選択され、より好ましくは、銅化合物は硝酸銅である。
【0018】
コーティング組成物における銅イオンの使用レベルは、好ましくは、当該量が分解に対して3−イソチアゾロン成分を安定化させるのに効果的なように、組成物の全重量に基づき、0.0001〜0.02%(1〜200ppm)、好ましくは0.0005〜0.01%(5〜100ppm)、より好ましくは0.001〜0.005%(10〜50ppm)、最も好ましくは0.0015〜0.003%(15〜30ppm)である。約100ppm(0.01%)を超える銅イオンのレベルは、一般的には、組成物に対する潜在的色寄与のため望ましくなく、いくつかの塗料処方物で引き続いて使用することを妨げる。
【0019】
本発明のコーティング組成物で有用なpH調整化合物は、9.0を超える(5未満のpKb)、典型的には9〜11、好ましくは9.2〜10のpKa値を有するアンモニアおよび有機アミンを含む。そのような有機アミンは、例えば、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール(AMP)、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノイソプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミン、モルフォリン、1−アミン−2−プロパノール、2−アミノ−2−メチル−1,3−プロパンジオールおよびN,N−ジメチル−2−アミノ−2−メチル−1−プロパノールを含む。pKaの値は塩基としてのアミンの強度を示し、pKaは水中でのプロトン化アミンの解離定数の対数の負数であり、定義により、pKa+pKb=14(より強い塩基はより小さなpKb値を有し、結果的に、より大きなpKa値を有する)であり、「a」および「b」添字は、各々、酸性度および塩基性度をいう。
【0020】
好ましくは、pH調整化合物はアンモニアおよび2−アミノ−2−メチルプロパノールの1以上から選択される。コーティング組成物におけるpH調整化合物の使用レベルは、当該量が所望の全pH、すなわち、9.5を超えるpHを提供するのに有効な限り、組成物の全質量に基づき、典型的には0.02〜1%、好ましくは0.05〜0.5%、より好ましくは0.1〜0.4%である。典型的には、pHは9.5を超え12まで、好ましくは9.6〜11、より好ましくは9.7〜10.5である。所望により、本発明で必要なpH調整アミン化合物の使用に加えて、KOHまたはNaOHのような無機塩基でpHをさらに調整することができる。
【0021】
所望により、溶媒を用いて3−イソチアゾロンを溶解させることができ、溶媒は、3−イソチアゾロンと混和性であり、提案された目的使用に適合し、3−イソチアゾロンを非安定化せず、かつ銅化合物と反応してその安定化作用を排除しないいずれの有機溶媒であってもよい。ヒドロキシ溶媒、例えば、グリコールのようなポリオール、グリコールのモノエーテルおよびアルコールを用いることができる。トリメチル−1,3−ペンタンジオールモノイソブチレートのようなヒドロキシ融合剤も用いることができる。ある処方物では、脂肪族または芳香族のいずれかの炭化水素は有用な溶媒である。典型的な溶媒はエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ジプロピレングリコール、モノエチルエーテル、キシレンおよびミネラルスピリットである。銅塩が可溶性であるか、テスト処方物に適当に、かつ均一に添加されるのに十分に分散される限り、溶媒は混合物として用いることができる。
【0022】
所望により、本発明のコーティング組成物にアジュバントを含ませることができる。例えば、塗料組成物が以下の任意の成分:酸化亜鉛および有機カルボン酸の亜鉛塩、例えば、亜鉛オクトエートのような亜鉛化合物、融合剤、無機顔料、有機顔料または染料のような顔料、分散剤、表面活性剤およびヒドロキシエチルセルロースおよびポリエーテルウレタンのようなレオロジー改質剤または増粘剤を含むことができる。用いる場合、これらのアジュバントは組成物の全重量に基づき、0.5〜75%のレベルで存在させることができる。
【0023】
3−イソチアゾロンの添加前、あるいは3−イソチアゾロンと他のコーティング組成物の成分との接触の1時間以内に、銅化合物を処方物に添加する限り、3−イソチアゾロンおよび銅化合物は安定化すべきコーティング組成物に別々に混合することができる。典型的には、銅化合物の添加後の時点に、好ましくは銅化合物の添加後3時間以内、より好ましくは1時間以内、最も好ましくは30分以内に3−イソチアゾロン化合物を処方物に添加する。
【0024】
好ましくは、有機共溶媒と共にまたはそれなしで、3−イソチアゾロンおよび銅化合物を、安定化すべきコーティング組成物に添加する前に、単一パッケージまたは溶液に予め組み合わせることができる。3−イソチアゾロン、銅化合物および任意の有機溶媒の単一パッケージ組み合わせは、塗料のようなコーティング組成物に添加される銅化合物に対する3−イソチアゾロンの比率の改良された制御という利点を供する。というのは、各成分を別々に添加する場合、複数の工程ではなく、単一操作で行われるからである。加えて、もし各成分が別々に供給される場合に必要とされる複数ではなく、単一パッケージ処方物用の1つの貯蔵容器を必要とするにすぎず、また、こぼしたり失敗したりする機会となる、各成分を別々に添加する多工程プロセスよりも1工程操作は元々単純である。
【0025】
典型的には、本発明のコーティング組成物は、1〜75部のポリマーコーティング組成物(a)、0.02〜0.2部の3−イソチアゾロン(b)、0.02〜1部のpH調整化合物(c)、0.0001〜0.02部の銅イオン(d)、25〜99部の水(e)を含み、さらに、0から10部までの、脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素、二価アルコールおよび二価アルコールのモノアルキルエーテルよりなる群の1以上から選択される溶媒を含む。(a)、(b)および(c)の部は全水性組成物の100部当たりで表す。本発明の好ましい実施形態において、該組成物は0.05〜0.1部の3−イソチアゾロン(b)および0.001〜0.005部の銅イオン(d)を含む。
【0026】
理論に拘束されるものではないが、本発明者らは、もし水性環境のpHがpH調整化合物として用いるアミンのpKaよりも幾分高ければ、アミンの求核性は、pHがアミンのpKaよりも幾分低い同環境におけるそれと比較して非常に高く、より低いpHでは、アミンのいくらかの部分はプロトン化された状態、すなわち、求核性はかなり低いと考える。アミンの求核性が大きくなれば、開環攻撃が3−イソチアゾロン化合物で起こり得る確率は大きくなり、潜在的に悪臭を有する硫黄副産物の分解および生成に至る。コーティング組成物のpHが約9.5を下回れば、銅化合物安定化剤の不存在下、または常法による亜鉛化合物の存在下いずれかにおいて、3−イソチアゾロンからの非安定化または臭いの発生はない。しかしながら、約9.5pHを超えれば、亜鉛化合物の存在さえが、3−イソチアゾロンの分解を妨げるのに効果的ではなく、驚くべきことに本発明者らは、これらの条件下にて、分解に対して3−イソチアゾロン化合物を保護するのに銅イオンが効果的であることを見出した。加えて本発明者らは、アミンの不存在下にて、2−n−オクチル−3−イソチアゾロンが10もの高いpH値にて安定であることを見出した(実施例5参照)。アミンが存在する場合、pH単独の効果は、3−イソチアゾロンの潜在的分解の点で「求核性」の効果によって低められる。
【0027】
本発明のいくつかの実施形態を以下の実施例で詳細に記載する。全ての比率、部およびパーセントは、特記しない限り、重量によって表し、用いる全ての試薬は、特記しない限り、良好な商業的品質のものである。
【0028】
実施例および表で用いる略語を対応する記載と共に以下に列挙する。
OIT=2−n−オクチル−3−イソチアゾロン
AMP=2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール
NH3=アンモニア
AA=アクリル酸
BA=アクリル酸ブチル
MMA=メタクリル酸メチル
アクリル=52/47/1 BA/MMA/AAエマルジョンポリマー、60%ポリマー固形物
NA=分析せずまたは適用不能
【0029】
実施例1
種々のシミュレートしたコーティング組成物を以下のように調製した(実施例2〜4で使用)。実施例2に記載した実験では、ほぼ0.3gのSkane(登録商標)M−8 殺カビ剤(45〜47%、2−n−オクチル−3−イソチアゾロン(OIT)、48〜50%プロピレングリコール、3〜5%水)の形態の3−イソチアゾロン殺微生物剤を、ほぼ70gのフィルム形成性ポリマーエマルジョンおよび0.2〜0.3gのpH調整アミン化合物を含有するシュミレートした塗料処方物に添加した。実施例3および4に記載した実験では、ほぼ0.2gのSkane(登録商標)M−8 殺カビ剤(45〜47%2−n−オクチル−3−イソチアゾロン(OIT)、48〜50%プロピレングリコール、3〜5%水)の形態の3−イソチアゾロン殺微生物剤を、ほぼ50gのフィルム形生性ポリマーエマルジョン、0.1〜0.3gのpH調整アミン化合物、0.0〜0.11gの亜鉛オクトエート(18%水性溶液)および0.0〜0.017gの(Cu(NO3)2・1.5H2Oまたは23%水性溶液としての)硝酸銅を含有するシュミレートした塗料処方物に添加した。次いで、処方した試料を60℃のオーブンに入れ、残存するOITの分析のため、種々の時点においてアリコートを採取した。全ての場合において、テスト試料におけるOITの初期濃度はほぼ2000ppmの有効成分であった。pH調整アミン化合物はAMP(2−アミノ−2−メチルプロパノール)または(29%NH4OHとして添加した)アンモニアのいずれかであった。
【0030】
実施例2
表1は、銅または亜鉛イオンの不存在下における、シミュレートしたコーティング組成物でのOITの安定性に対するpHの効果をまとめた(試料のいずれも亜鉛オクトエートまたは銅塩を含有しなかった)。全ての試料のpHは10%HClまたは10%NaOHで調整して、各々、pHを低下または上昇させた。試料2−A−1および2−B−1のpHは3日後には9.6まで下降した。9.5未満のpHでは、全ての処方物はOIT含有量に関して安定であり(約2ヶ月後に>90%保持)、9.5を超えるpHでは、最初の数日以内にOIT安定性は迅速に劣化した(3日後に<75%保持)。
【0031】
【表1】
【0032】
実施例3
表2は、高いpH条件(9.8〜9.9)での、シミュレートされたコーティング処方物における、OITの安定性に対する亜鉛オクトエートとしての亜鉛イオンまたは硝酸銅としての銅イオンの効果をまとめた。全ての試料のpHは10%NaOHで調整して、最終の所望のpHを達成した。亜鉛イオン(Zn2+=400ppm)単独を含有する処方物において、OITの安定性は最初の数日以内に迅速に劣化し(5日後に<50%保持)、他方、銅イオン(Cu2+=50ppm)を処方物に添加した場合、攻撃的な高いpH条件においてさえ、OITの安定性は大いに増強された(2ヶ月後に>90%保持)。
【0033】
【表2】
【0034】
実施例4
表3は、高いpH条件(9.9〜10.0)におけるシュミレートされたコーティング処方物での、OITの安定性に対する、
(1)銅単独(Cu2+=50ppm、亜鉛オクトエートの不存在下)および(2)400ppm亜鉛イオンの存在下における種々のレベルの銅(Cu2+=10または30ppm)
の効果をまとめた。全ての試料のpHを10%NaOHで調整して、最終の所望のpHを達成した。銅イオン単独(Cu2+=50ppm)を含有する処方物において、OIT安定性は優れており、亜鉛イオンが存在する場合、10ppmもの低い銅レベルも効果的であるが、高いpH条件では、これらのレベルにおける亜鉛イオン単独はOITを安定化させるのに効果的でないことが示された(表2、試料3−Aおよび3−B参照)。
【0035】
【表3】
【0036】
実施例5
本実施例は、9.0を超えるpKaを有するアミン化合物の不存在下における高いpH条件での2−n−オクチル−3−イソチアゾロンの安定性を証明する。2−n−オクチル−3−イソチアゾロン溶液(1%)は95%プロピレングリコール/5%水中で調製し、pHはNaOHで10.0〜10.1に調整し、金属塩安定化剤は混合物に添加しなかった。次いで、この混合物の試料を雰囲気温度(ほぼ25℃)で、および40℃のオーブン中で貯蔵した。14日後、25℃または40℃いずれかで貯蔵した試料につき、2−n−オクチル−3−イソチアゾロン有効成分の喪失はなかった(100%保持)。
Claims (10)
- (a)アクリルポリマー、ポリ酢酸ビニルポリマー、ポリ塩化ビニルポリマーおよびスチレン−アクリルポリマーよりなる群の1以上から選択されるフィルム形成性ポリマーコーティング組成物、
(b)式I:
RおよびR1は、独立して、水素、ハロゲンまたは(C1−C4)アルキル基であるか、あるいは
RおよびR1はイソチアゾロン環のC=C二重結合と一緒になって、非置換または置換ベンゼン環を形成することができる]
によって表される3−イソチアゾロン化合物、
(c)9.0を超えるpKaを有するアンモニアおよび有機アミンの1以上から選択されるpH調整化合物、
(d)前記組成物の重量に基づき1〜200ppmの銅イオン、および
(e)水、
を含み、前記水性組成物は9.5を超えるpHを有する水性コーティング組成物。 - 銅イオンが硝酸塩、塩化物、酢酸塩および有機酸カルボキシレート塩の1以上から選択される銅化合物によって供される請求項1記載の組成物。
- 1〜75部のポリマーコーティング組成物(a)、0.02〜0.2部の3−イソチアゾロン(b)、0.02〜1部のpH調整化合物(c)、0.0001〜0.02部の銅イオン(d)、および25〜99部の水(e)、を含み、さらに、0〜10部の、脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素、ニ価アルコールおよび二価アルコールのモノアルキルエーテルよりなる群の1以上から選択される溶媒を含み、(a)、(b)および(c)の部が全水性組成物の100部当たりで表される請求項1記載の組成物。
- 前記組成物が0.05〜0.1部の3−イソチアゾロン(b)および0.001〜0.005部の銅イオン(d)を含む請求項3記載の組成物。
- 前記3−イソチアゾロンが2−n−オクチル−3−イソチアゾロンおよび4,5−ジクロロ−2−n−オクチル−3−イソチアゾロンよりなる群の1以上から選択される請求項1記載の組成物。
- 含有する3−イソチアゾロン化合物の分解に対して水性コーティング組成物を安定化させる方法であって、
(a)アクリルポリマー、ポリ酢酸ビニルポリマー、ポリ塩化ビニルポリマーおよびスチレン−アクリルポリマーよりなる群の1以上から選択されるフィルム形成性ポリマーコーティング組成物、
(b)9.0を超えるpKaを有するアンモニアおよび有機アミンの1以上から選択されるpH調整化合物、および
(c)水、
の混合物に、前記水性コーティング組成物の重量に基づいて1〜200ppmの銅イオンを添加することを含み、
前記コーティング組成物のpHは9.5を超え、成分(a)、(b)、(c)および銅化合物は任意の順序で合わせることができ、3−イソチアゾリン化合物が銅化合物の添加前1時間よりも以降の時点でさらに添加される方法。 - 前記水性コーティング組成物の重量に基づいて10〜50ppmの銅イオンを前記混合物に添加することを含む請求項6記載の方法。
- 3−イソチアゾロン化合物が銅化合物の添加後の時点に添加される請求項6記載の方法。
- 含有する3−イソチアゾロン化合物の分解に対して水性コーティング組成物を安定化させる方法であって、
(a)前記水性コーティング組成物の重量に基づいて1〜200ppmの銅化合物を3−イソチアゾロン化合物と合わせて、第1の混合物を形成させ、次いで、
(b)第2の混合物に第1の混合物を添加して、水性コーティング組成物を形成させることを含み、
前記第2の混合物は9.5を超えるpHを有し、かつ
(i)アクリルポリマー、ポリ酢酸ビニルポリマー、ポリ塩化ビニルポリマーおよびスチレン−アクリルポリマーよりなる群の1以上から選択されるフィルム形成性ポリマーコーティング組成物、
(ii)9.0を超えるpKaを有するアンモニアおよび有機アミンの1以上から選択されるpH調整化合物、および
(iii)水、
を含む方法。
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