JP2004059495A - フェニルアセトアルドキシム誘導体の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】工業的スケ−ルでの生産に適する、熱的に安定な原料からの、廃水処理の負荷の少ない環境に優しい条件で、ベンゼン環上の置換基に影響されない、簡便なプロセスでのフェニルアセトアルドキシム誘導体の製造方法の提供。
【解決手段】一般式(1)
(式中、Xは、水素原子、ハロゲン原子、ニトロ基等を示し、nは1〜5の整数を示し、nが2以上の時、Xは同一または相異なっても良く、R1、R2は同一または相異なっても良いアルキル基を示し、R1、R2が結合することにより窒素原子と共に5〜6員環を形成することもできる。)で表される、{2−(N,N−ジアルキルアミノ)エテニル}ベンゼン誘導体とヒドロキシルアミン鉱酸塩とを反応させることを特徴とする、一般式(2)
(式中、X、n、R1、R2は、前記と同じ意味を表す。)で表されるフェニルアセトアルドキシム誘導体の製造方法。
【選択図】なし
【解決手段】一般式(1)
(式中、Xは、水素原子、ハロゲン原子、ニトロ基等を示し、nは1〜5の整数を示し、nが2以上の時、Xは同一または相異なっても良く、R1、R2は同一または相異なっても良いアルキル基を示し、R1、R2が結合することにより窒素原子と共に5〜6員環を形成することもできる。)で表される、{2−(N,N−ジアルキルアミノ)エテニル}ベンゼン誘導体とヒドロキシルアミン鉱酸塩とを反応させることを特徴とする、一般式(2)
(式中、X、n、R1、R2は、前記と同じ意味を表す。)で表されるフェニルアセトアルドキシム誘導体の製造方法。
【選択図】なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は医薬・農薬分野において有用なフェニルアセトアルドキシム誘導体の新規な製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来の、フェニルアセトアルドキシム誘導体の製造方法としては、フェニルアセトアルデヒドと塩酸ヒドロキシルアミンを酢酸ナトリウム存在下、アルコ−ル溶媒中反応させる方法〔テトラへドロンレタ−(Tetrahedron Letter)、第35巻、9099頁(1994年)〕や、β−ニトロスチレンを塩化第一スズで還元する方法〔シンセティック コミュニケーション(Synthetic Communication)、第18巻、693頁(1988年)〕等が知られている。
【0003】
前者の方法においては、熱的に不安定なフェニルアセトアルデヒドを原料として使用するという点に加え、水と混合するアルコ−ル溶媒を使用するため、工業的スケ−ルでの実施において、廃水処理の負荷が大きくなり、環境保護の面において不利であると云う問題点を有していた。
【0004】
後者の方法では、還元剤と反応する置換基を有する原料化合物(例えばニトロ基等がベンゼン環上に存在するニトロスチレン体)には応用できず、適用できる原料が限られるという問題点を有していた。
【0005】
従って、フェニルアセトアルドキシム誘導体の製造においては、熱的に安定な原料を用いることができ、廃水処理の負荷の少ない環境に優しい条件で、ベンゼン環上の置換基に影響されない、広く応用可能な、簡便なプロセスでの製造方法はなかった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、工業的スケ−ルでの生産に適する、熱的に安定な原料からの、廃水処理の負荷の少ない環境に優しい条件で、ベンゼン環上の置換基に影響されない、簡便なプロセスでのフェニルアセトアルドキシム誘導体の製造方法を提供することを課題としてなされたものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記のような状況に鑑み、本発明者が、熱的に安定な原料から、環境に優しい条件でのフェニルアセトアルドキシム誘導体の製造方法について鋭意研究を重ねた結果、意外にも、{2−(N,N−ジアルキルアミノ)エテニル}ベンゼン誘導体とヒドロキシルアミン鉱酸塩とを直接反応させることにより、フェニルアセトアルドキシム誘導体を収率良く製造できることを知得し、この知見を基に本発明を完成するに至った。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳細に説明する。
【0009】
本発明は、下記〔1〕乃至〔6〕項に記載の発明を提供する事により、上記課題を解決したものである。
【0010】
〔1〕一般式(1)
【0011】
【化3】
【0012】
(式中、Xは、水素原子、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、アルキル基、アラルキル基、ハロゲン置換アルキル基、アルコキシ基、アルコキシアルキル基、またはアルコキシカルボニル基を示し、nは1〜5の整数を示し、nが2以上の時、Xは同一、または相異なっても良く、R1、R2は同一または相異なっても良いアルキル基を示し、R1、R2が結合することにより窒素原子と共に5〜6員環を形成することもできる。)
【0013】
で表される{2−(N,N−ジアルキルアミノ)エテニル}ベンゼン誘導体と、ヒドロキシルアミンとを反応させることを特徴とする、一般式(2)
【0014】
【化4】
【0015】
(式中、X、n、R1、R2は前記と同じ意味を表す。)
【0016】
で表される、フェニルアセトアルドキシム誘導体の製造方法。
【0017】
〔2〕反応を、非プロトン性溶媒中で行うものである、〔1〕項記載のフェニルアセトアルドキシム誘導体の製造方法。
【0018】
〔3〕一般式(1)で表される{2−(N,N−ジアルキルアミノ)エテニル}ベンゼン誘導体が、X、nとして、少なくとも一つの2−ニトロ基(2位に置換したニトロ基)を有するものである、〔1〕又は〔2〕項記載のフェニルアセトアルドキシム誘導体の製造方法。
【0019】
〔4〕一般式(1)で表される{2−(N,N−ジアルキルアミノ)エテニル}ベンゼン誘導体が、3−メトキシメチル−2−ニトロ−{2−(N,N−ジアルキルアミノ)エテニル}ベンゼンであることを特徴とする、〔1〕又は〔2〕項記載のフェニルアセトアルドキシム誘導体の製造方法。
【0020】
〔5〕一般式(1)で表される{2−(N,N−ジアルキルアミノ)エテニル}ベンゼン誘導体のR1、R2が、結合することにより窒素原子と共に5〜6員環を形成しているものである、〔1〕又は〔2〕項記載のフェニルアセトアルドキシム誘導体の製造方法。
【0021】
〔6〕一般式(1)で表される{2−(N,N−ジアルキルアミノ)エテニル}ベンゼン誘導体が、X、nとして、少なくとも一つの2−ニトロ基(2位に置換したニトロ基)を有し、R1、R2が互いに結合することによりR1、R2が結合する窒素原子と共に5〜6員環を形成しているものである、〔1〕又は〔2〕項記載のフェニルアセトアルドキシム誘導体の製造方法。
【0022】
以下、本発明について詳細に説明する。
【0023】
まず、本発明方法の原料として用いる一般式(1)で表される(2−ジアルキルアミノエテニル)ベンゼン誘導体について説明する。
【0024】
一般式(1)中のXは、水素原子、ハロゲン原子、ニトロ基、アルキル基、ハロゲン置換アルキル基、アルコキシ基、アルコキシメチル基、またはアルコキシカルボニル基を示す。
【0025】
Xのハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子を例示することができる。
【0026】
Xのアルキル基としては、炭素数1乃至6(以下、置換基の炭素数については、この場合では「C1〜C6」の様に略記する。)の直鎖又は分岐鎖のアルキル基であればよく、具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、及びn−ヘキシル基等を例示することができる。
【0027】
Xのアルコキシ基としては、[(C1〜C6)アルキル]オキシ基、具体的にはメトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、イソブトキシ基、ヘキシルオキシ基等を例示することができる。
【0028】
Xのアラルキル基としては、ベンジル基等の他に、2−クロロフェニルメチル基、4−クロロフェニルメチル基、4−メチルフェニルメチル基、4−メトキシフェニルメチル基等の、ハロゲン原子、C1〜C6アルキル基、及び/又はC1〜C6アルコキシ基等で置換されたベンジル基を例示することができる。
【0029】
Xのハロゲン置換アルキル基としては、例えばフルオロメチル基、ジフルオロメチル基、トリフルオロメチル基、ジクロロメチル基、トリクロロメチル基、クロロフルオロメチル基等の、ハロゲン原子で置換したC1〜C6アルキル基を例示することができる。
【0030】
Xのアルコキシアルキル基としては、[(C1〜C6)アルキル]オキシ(C1〜C6)アルキル基、具体的にはメトキシメチル基、エトキシメチル基、プロポキシメチル基、イソプロポキシメチル基、ブトキシメチル基、イソブトキシメチル基、ヘキシルオキシメチル基等を例示することができる。
【0031】
Xのアルコキシカルボニル基としては、[(C1〜C6)アルキル]オキシカルボニル基、具体的にはメトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、プロポキシカルボニル基、イソプロポキシカルボニル基、ブトキシカルボニル基、イソブトキシカルボニル基、ヘキシルオキシカルボニル基等を例示することができる。
【0032】
一般式(1)中のnは1〜5の整数を示し、nが2以上の時、Xは同一でも異なっていてもよい。
【0033】
R1、R2のアルキル基は、(C1〜C6)の直鎖又は分岐鎖のアルキル基であればよく、具体的にはメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、及びn−ヘキシル基等を例示することができ、さらに、R1、R2のアルキル基が互いに結合することにより、R1、R2が結合する窒素原子と共に5〜6員環(ピロリジン環、ピペリジン環)を形成することもでき、R1、R2が互いに結合してR1、R2が結合する窒素原子と共に5〜6員環を形成しているのが好ましい。
【0034】
上記のようなXn、R1、R2を有する、本発明方法の原料として用いる一般式(1)で表される(2−ジアルキルアミノエテニル)ベンゼン誘導体としては、例えば、3−メトキシメチル−2−ニトロ−{2−(ピロリジン−1−イル)エテニル}ベンゼン、3−メトキシメチル−2−ニトロ−{2−(ピペリジン−1−イル)エテニル}ベンゼン、3−メトキシメチル−2−ニトロ−{2−(N,N−ジメチルアミノ)エテニル}ベンゼン、3−メトキシカルボニル−2−ニトロ−{2−(ピロリジン−1−イル)エテニル}ベンゼン、3−メトキシカルボニル−2−ニトロ−{2−(N,N−ジメチルアミノ)エテニル}ベンゼン、3−メトキシカルボニル−6−ニトロ−{2−(ピロリジン−1−イル)エテニル}ベンゼン、3−メトキシカルボニル−6−ニトロ−{2−(N,N−ジメチルアミノ)エテニル}ベンゼン、2−メトキシカルボニル−6−ニトロ−{2−(ピロリジン−1−イル)エテニル}ベンゼン、2−メトキシカルボニル−6−ニトロ−{2−(N,N−ジメチルアミノ)エテニル}ベンゼン、4−メトキシカルボニル−2−ニトロ−{2−(ピロリジン−1−イル)エテニル}ベンゼン、4−メトキシカルボニル−2−ニトロ−{2−(N,N−ジメチルアミノ)エテニル}ベンゼン、4−クロロ−2−ニトロ−{2−(ピロリジン−1−イル)エテニル}ベンゼン、4−クロロ−2−ニトロ−{2−(N,N−ジメチルアミノ)エテニル}ベンゼン、4−フルオロ−2−ニトロ−{2−(ピロリジン−1−イル)エテニル}ベンゼン、4−フルオロ−2−ニトロ−{2−(N,N−ジメチルアミノ)エテニル}ベンゼン、4−ブロモ−2−ニトロ−{2−(ピロリジン−1−イル)エテニル}ベンゼン、4−ブロモ−2−ニトロ−{2−(N,N−ジメチルアミノ)エテニル}ベンゼン、3,4−ジクロロ−6−ニトロ−{2−(ピロリジン−1−イル)エテニル}ベンゼン、3,4−ジクロロ−6−ニトロ−{2−(N,N−ジメチルアミノ)エテニル}ベンゼン、4−クロロ−3−メトキシ−6−ニトロ−{2−(ピロリジン−1−イル)エテニル}ベンゼン、4−クロロ−3−メトキシ−6−ニトロ−{2−(N,N−ジメチルアミノ)エテニル}ベンゼン、4−メチル−2−ニトロ−{2−(ピロリジン−1−イル)エテニル}ベンゼン、4−メチル−2−ニトロ−{2−(N,N−ジメチルアミノ)エテニル}ベンゼン、2−シアノ−6−ニトロ−{2−(ピロリジン−1−イル)エテニル}ベンゼン、2−シアノ−6−ニトロ−{2−(N,N−ジメチルアミノ)エテニル}ベンゼン、2−ニトロ−{2−(ピロリジン−1−イル)エテニル}ベンゼン、2−ニトロ−{2−(N,N−ジメチルアミノ)エテニル}ベンゼン、4−ニトロ−{2−(ピロリジン−1−イル)エテニル}ベンゼン、4−ニトロ−{2−(N,N−ジメチルアミノ)エテニル}ベンゼン、4−クロロ−{2−(ピロリジン−1−イル)エテニル}ベンゼン、4−クロロ−{2−(N,N−ジメチルアミノ)エテニル}ベンゼン、4−メチル−{2−(ピロリジン−1−イル)エテニル}ベンゼン、4−メチル−{2−(N,N−ジメチルアミノ)エテニル}ベンゼン、4−メトキシ−{2−(ピロリジン−1−イル)エテニル}ベンゼン、4−メトキシ−{2−(N,N−ジメチルアミノ)エテニル}ベンゼン、4−シアノ−{2−(ピロリジン−1−イル)エテニル}ベンゼン、4−シアノ−{2−(N,N−ジメチルアミノ)エテニル}ベンゼン、{2−(ピロリジン−1−イル)エテニル}ベンゼン、{2−(N,N−ジメチルアミノ)エテニル}ベンゼン等を挙げることができる。本発明方法の原料としては、R1、R2が互いに結合してR1、R2が結合する窒素原子と共に5〜6員環を形成している化合物(ピロリジン環、ピペリジン環を有する化合物)を好ましいものとして挙げることができ、具体的には3−メトキシメチル−2−ニトロ−{2−(ピロリジン−1−イル)エテニル}ベンゼン、3−メトキシメチル−2−ニトロ−{2−(ピペリジン−1−イル)エテニル}ベンゼン、3−メトキシカルボニル−2−ニトロ−{2−(ピロリジン−1−イル)エテニル}ベンゼン、3−メトキシカルボニル−6−ニトロ−{2−(ピロリジン−1−イル)エテニル}ベンゼン、2−メトキシカルボニル−6−ニトロ−{2−(ピロリジン−1−イル)エテニル}ベンゼン、3−メトキシカルボニル−2−ニトロ−{2−(ピロリジン−1−イル)エテニル}ベンゼン、4−メトキシカルボニル−2−ニトロ−{2−(ピロリジン−1−イル)エテニル}ベンゼン、3−メトキシカルボニル−6−ニトロ−{2−(ピロリジン−1−イル)エテニル}ベンゼン、4−クロロ−2−ニトロ−{2−(ピロリジン−1−イル)エテニル}ベンゼン、4−フルオロ−2−ニトロ−{2−(ピロリジン−1−イル)エテニル}ベンゼン、4−ブロモ−2−ニトロ−{2−(ピロリジン−1−イル)エテニル}ベンゼン、3,4−ジクロロ−6−ニトロ−{2−(ピロリジン−1−イル)エテニル}ベンゼン、4−クロロ−3−メトキシ−6−ニトロ−{2−(ピロリジン−1−イル)エテニル}ベンゼン、4−メチル−2−ニトロ−{2−(ピロリジン−1−イル)エテニル}ベンゼン、2−シアノ−6−ニトロ−{2−(ピロリジン−1−イル)エテニル}ベンゼン、2−ニトロ−{2−(ピロリジン−1−イル)エテニル}ベンゼン、4−ニトロ−{2−(ピロリジン−1−イル)エテニル}ベンゼン、4−クロロ−{2−(ピロリジン−1−イル)エテニル}ベンゼン、4−メチル−{2−(ピロリジン−1−イル)エテニル}ベンゼン、4−メトキシ−{2−(ピロリジン−1−イル)エテニル}ベンゼン、4−シアノ−{2−(ピロリジン−1−イル)エテニル}ベンゼン、{2−(ピロリジン−1−イル)エテニル}ベンゼン等を例示できる。二重結合の立体について云えば、シス(cis)体、トランス(trans)体、任意の割合のシス体とトランス体との混合物、の何れのものでも問題なく使用できる。
【0035】
一般式(1)で表される{2−(N,N−ジアルキルアミノ)エテニル}ベンゼン誘導体を得る方法は、特に制限されないが、例えば、ジャ−ナル オブ オ−ガニック ケミストリ−(Journal of Organic Chemistry)、第44巻、4003頁(1979年)に記載の、対応するトルエン誘導体をN,N−ジメチルホルムアミドジメチルアセタ−ルと反応させてエナミン化する方法等により、容易に製造することができる。
【0036】
本反応で使用するヒドロキシルアミンとしては、遊離のヒドロキシルアミンを用いることができると共に、ヒドロキシルアミンの塩酸塩、硝酸塩、硫酸塩に代表されるヒドロキシルアミンの鉱酸塩も使用できるものとして例示することができる。その中でも、入手容易なヒドロキシルアミン塩酸塩の使用が好ましい。ヒドロキシルアミンの鉱酸塩を用いる場合は、これを中和することなく鉱酸塩のままで用いることもできるし、事前に、或いは反応系内で、適当な塩基により中和して、遊離のヒドロキシルアミンとして用いることもできる。ヒドロキシルアミン(或いは、その鉱酸塩)は、それ自身のままの形態で(鉱産塩のごとく固体である場合は固体のままで)用いることもできるし、水溶液として反応系に加えて用いることもできる。
【0037】
ヒドロキシルアミン(又はその鉱酸塩)の使用量としては、一般式(1)で表される{2−(N,N−ジアルキルアミノ)エテニル}ベンゼン誘導体1モルに対して、ヒドロキシルアミンとして通常1〜2モル、好ましくは1.0〜1.4モルの範囲を例示できる。
【0038】
本反応は無溶媒で実施可能であるが、溶媒を使用することもできる。使用する溶媒としては、当該反応に不活性な溶媒を使用することができる。このような溶媒としては、例えば芳香族炭化水素系溶媒、具体的にはトルエン、キシレン、クロロベンゼン、オルトジクロロベンゼン等;脂肪族炭化水素系溶媒、具体的にはn−ヘキサン、n−ヘプタン、n−デカン等;エ−テル系溶媒、具体的にはジプロピルエ−テル、ジイソプロピルエ−テル、ジブチルエ−テル等の非プロトン性溶媒や、水を例示することができ、該溶媒は1種で、又は2種以上を混合して用いることもできる。反応後処理時等において、水との分液が容易で廃水負荷の少ない、非プロトン性溶媒の使用が好ましい。また、水と、それ以外の水と分離する溶媒(例えば芳香族炭化水素系溶媒、脂肪族炭化水素系溶媒、エ−テル系溶媒等の非プロトン性溶媒)を用いて、反応を二相溶媒系で行うことも差し支えない。
【0039】
溶媒の使用量としては、反応系の攪拌が充分にできる量であれば良いが、反応速度等を考慮して、一般式(1)で表される{2−(N,N−ジアルキルアミノ)エテニル}ベンゼン誘導体1モルに対し5000ml以下、好ましくは1000ml以下の範囲を、使用量として例示できる。
【0040】
本反応の反応温度は、−10℃〜反応系における還流温度までの任意の温度で行い、好ましくは0〜60℃の範囲であり、又、反応時間は0.1〜24時間の範囲で、反応は常圧下に行うことができ、通常は加圧する必要はない。
【0041】
本発明方法により製造できる一般式(2)で表されるフェニルアセトアルドキシム誘導体としては、例えば、3−メトキシメチル−2−ニトロフェニルアセトアルドキシム、4−メトキシカルボニル−2−ニトロフェニルアセトアルドキシム、3−メトキシカルボニル−6−ニトロフェニルアセトアルドキシム、2−メトキシカルボニル−6−ニトロフェニルアセトアルドキシム、3−メトキシカルボニル−2−ニトロフェニルアセトアルドキシム、4−クロロ−2−ニトロフェニルアセトアルドキシム、4−フルオロ−2−ニトロフェニルアセトアルドキシム、4−ブロモ−2−ニトロフェニルアセトアルドキシム、3,4−ジクロロ−6−ニトロフェニルアセトアルドキシム、4−クロロ−3−メトキシ−6−ニトロフェニルアセトアルドキシム、4−メチル−2−ニトロフェニルアセトアルドキシム、2−シアノ−6−ニトロフェニルアセトアルドキシム、2−ニトロフェニルアセトアルドキシム、4−ニトロフェニルアセトアルドキシム、4−クロロフェニルアセトアルドキシム、4−メチルフェニルアセトアルドキシム、4−メトキシフェニルアセトアルドキシム、4−シアノフェニルアセトアルドキシム、フェニルアセトアルドキシム等を例示することができる。
【0042】
また、得られるフェニルアルドキシム体のオキシム部分の立体に関しては、一般にE体とZ体の混合物となる。
【0043】
【発明の効果】
本発明方法により、フェニルアセトアルドキシム誘導体の新規な工業的製造法が提供される。本発明方法によれば、熱的に安定な原料から、環境に優しい条件で、簡便なプロセスで、多くのフェニルアセトアルドキシム誘導体を製造できるので、本発明方法は工業的な利用価値が非常に高い。
【0044】
【実施例】
次に、実施例、比較例を挙げて本発明化合物の製造方法を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によって何ら限定されるものではない。
【0045】
実施例1:3−メトキシメチル−2−ニトロフェニルアセトアルドキシムの製造
窒素雰囲気下、3−メトキシメチル−2−ニトロ−{2−(ピロリジン−1−イル)エテニル}ベンゼン262.3g(1.0mol)とジイソプロピルエ−テル500mlを仕込み、氷浴中で冷却し、ヒドロキシルアミン塩酸塩90.3g(1.3mol)を30℃以下で加えた。続いて、25〜30℃にて、2時間熟成した後、反応液に水1300mlを加え、抽出した。ジイソプロピルエ−テル300mlで再抽出後、得られたジイソプロピルエ−テル層を合わせて、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、濃縮し、目的とする3−メトキシメチル−2−ニトロフェニルアセトアルドキシム(GC−MS:m/z=207(M+−OH))を213.0g(0.95mol、収率95.0%)得た。
【0046】
実施例2:3−メトキシメチル−2−ニトロフェニルアセトアルドキシムの製造
ジイソプロピルエーテル500mlからトルエン500mlに変えた以外は、実施例1と同様の操作を行い、目的とする3−メトキシメチル−2−ニトロフェニルアセトアルドキシムを215.3g(0.96mol、収率96.0%)得た。
【0047】
実施例3:フェニルアセトアルドキシムの製造
窒素雰囲気下、{2−(ピロリジン−1−イル)エテニル}ベンゼン1.73g(0.01mol)、トルエン5ml、及びヒドロキシルアミン塩酸塩0.76g(0.011mol)を仕込み、25〜30℃にて、2時間熟成した。熟成終了後、反応液に水10mlを加え、抽出した。トルエン10mlで再抽出後、得られたトルエン層を合わせて、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、濃縮し、目的とするフェニルアセトアルドキシム(GC−MS:m/z=135(M+))を1.57g(0.0097mol、収率97.3%)得た。
【0048】
実施例4〜8:原料、反応溶媒、熟成時間を変え、実施例3と同様の操作を行った。実施例4〜8における生成物のGC−MSでのデータ(m/z)の一部を下記に、実施例4〜8の結果を(表1)に、それぞれ示す。
実施例4〜6:m/z=207(M+−OCH3)
実施例7:m/z=196(M+−H2O)
実施例8:m/z=180(M+)
【0049】
なお、(表1)中、溶媒の項の略号は、各々下記の溶媒を示す。又、収率は単離収率である。
IPE:ジイソプロピルエーテル
TOL:トルエン
XYL:キシレン
CB:クロロベンゼン
【0050】
【表1】
【発明の属する技術分野】
本発明は医薬・農薬分野において有用なフェニルアセトアルドキシム誘導体の新規な製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来の、フェニルアセトアルドキシム誘導体の製造方法としては、フェニルアセトアルデヒドと塩酸ヒドロキシルアミンを酢酸ナトリウム存在下、アルコ−ル溶媒中反応させる方法〔テトラへドロンレタ−(Tetrahedron Letter)、第35巻、9099頁(1994年)〕や、β−ニトロスチレンを塩化第一スズで還元する方法〔シンセティック コミュニケーション(Synthetic Communication)、第18巻、693頁(1988年)〕等が知られている。
【0003】
前者の方法においては、熱的に不安定なフェニルアセトアルデヒドを原料として使用するという点に加え、水と混合するアルコ−ル溶媒を使用するため、工業的スケ−ルでの実施において、廃水処理の負荷が大きくなり、環境保護の面において不利であると云う問題点を有していた。
【0004】
後者の方法では、還元剤と反応する置換基を有する原料化合物(例えばニトロ基等がベンゼン環上に存在するニトロスチレン体)には応用できず、適用できる原料が限られるという問題点を有していた。
【0005】
従って、フェニルアセトアルドキシム誘導体の製造においては、熱的に安定な原料を用いることができ、廃水処理の負荷の少ない環境に優しい条件で、ベンゼン環上の置換基に影響されない、広く応用可能な、簡便なプロセスでの製造方法はなかった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、工業的スケ−ルでの生産に適する、熱的に安定な原料からの、廃水処理の負荷の少ない環境に優しい条件で、ベンゼン環上の置換基に影響されない、簡便なプロセスでのフェニルアセトアルドキシム誘導体の製造方法を提供することを課題としてなされたものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記のような状況に鑑み、本発明者が、熱的に安定な原料から、環境に優しい条件でのフェニルアセトアルドキシム誘導体の製造方法について鋭意研究を重ねた結果、意外にも、{2−(N,N−ジアルキルアミノ)エテニル}ベンゼン誘導体とヒドロキシルアミン鉱酸塩とを直接反応させることにより、フェニルアセトアルドキシム誘導体を収率良く製造できることを知得し、この知見を基に本発明を完成するに至った。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳細に説明する。
【0009】
本発明は、下記〔1〕乃至〔6〕項に記載の発明を提供する事により、上記課題を解決したものである。
【0010】
〔1〕一般式(1)
【0011】
【化3】
【0012】
(式中、Xは、水素原子、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、アルキル基、アラルキル基、ハロゲン置換アルキル基、アルコキシ基、アルコキシアルキル基、またはアルコキシカルボニル基を示し、nは1〜5の整数を示し、nが2以上の時、Xは同一、または相異なっても良く、R1、R2は同一または相異なっても良いアルキル基を示し、R1、R2が結合することにより窒素原子と共に5〜6員環を形成することもできる。)
【0013】
で表される{2−(N,N−ジアルキルアミノ)エテニル}ベンゼン誘導体と、ヒドロキシルアミンとを反応させることを特徴とする、一般式(2)
【0014】
【化4】
【0015】
(式中、X、n、R1、R2は前記と同じ意味を表す。)
【0016】
で表される、フェニルアセトアルドキシム誘導体の製造方法。
【0017】
〔2〕反応を、非プロトン性溶媒中で行うものである、〔1〕項記載のフェニルアセトアルドキシム誘導体の製造方法。
【0018】
〔3〕一般式(1)で表される{2−(N,N−ジアルキルアミノ)エテニル}ベンゼン誘導体が、X、nとして、少なくとも一つの2−ニトロ基(2位に置換したニトロ基)を有するものである、〔1〕又は〔2〕項記載のフェニルアセトアルドキシム誘導体の製造方法。
【0019】
〔4〕一般式(1)で表される{2−(N,N−ジアルキルアミノ)エテニル}ベンゼン誘導体が、3−メトキシメチル−2−ニトロ−{2−(N,N−ジアルキルアミノ)エテニル}ベンゼンであることを特徴とする、〔1〕又は〔2〕項記載のフェニルアセトアルドキシム誘導体の製造方法。
【0020】
〔5〕一般式(1)で表される{2−(N,N−ジアルキルアミノ)エテニル}ベンゼン誘導体のR1、R2が、結合することにより窒素原子と共に5〜6員環を形成しているものである、〔1〕又は〔2〕項記載のフェニルアセトアルドキシム誘導体の製造方法。
【0021】
〔6〕一般式(1)で表される{2−(N,N−ジアルキルアミノ)エテニル}ベンゼン誘導体が、X、nとして、少なくとも一つの2−ニトロ基(2位に置換したニトロ基)を有し、R1、R2が互いに結合することによりR1、R2が結合する窒素原子と共に5〜6員環を形成しているものである、〔1〕又は〔2〕項記載のフェニルアセトアルドキシム誘導体の製造方法。
【0022】
以下、本発明について詳細に説明する。
【0023】
まず、本発明方法の原料として用いる一般式(1)で表される(2−ジアルキルアミノエテニル)ベンゼン誘導体について説明する。
【0024】
一般式(1)中のXは、水素原子、ハロゲン原子、ニトロ基、アルキル基、ハロゲン置換アルキル基、アルコキシ基、アルコキシメチル基、またはアルコキシカルボニル基を示す。
【0025】
Xのハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子を例示することができる。
【0026】
Xのアルキル基としては、炭素数1乃至6(以下、置換基の炭素数については、この場合では「C1〜C6」の様に略記する。)の直鎖又は分岐鎖のアルキル基であればよく、具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、及びn−ヘキシル基等を例示することができる。
【0027】
Xのアルコキシ基としては、[(C1〜C6)アルキル]オキシ基、具体的にはメトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、イソブトキシ基、ヘキシルオキシ基等を例示することができる。
【0028】
Xのアラルキル基としては、ベンジル基等の他に、2−クロロフェニルメチル基、4−クロロフェニルメチル基、4−メチルフェニルメチル基、4−メトキシフェニルメチル基等の、ハロゲン原子、C1〜C6アルキル基、及び/又はC1〜C6アルコキシ基等で置換されたベンジル基を例示することができる。
【0029】
Xのハロゲン置換アルキル基としては、例えばフルオロメチル基、ジフルオロメチル基、トリフルオロメチル基、ジクロロメチル基、トリクロロメチル基、クロロフルオロメチル基等の、ハロゲン原子で置換したC1〜C6アルキル基を例示することができる。
【0030】
Xのアルコキシアルキル基としては、[(C1〜C6)アルキル]オキシ(C1〜C6)アルキル基、具体的にはメトキシメチル基、エトキシメチル基、プロポキシメチル基、イソプロポキシメチル基、ブトキシメチル基、イソブトキシメチル基、ヘキシルオキシメチル基等を例示することができる。
【0031】
Xのアルコキシカルボニル基としては、[(C1〜C6)アルキル]オキシカルボニル基、具体的にはメトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、プロポキシカルボニル基、イソプロポキシカルボニル基、ブトキシカルボニル基、イソブトキシカルボニル基、ヘキシルオキシカルボニル基等を例示することができる。
【0032】
一般式(1)中のnは1〜5の整数を示し、nが2以上の時、Xは同一でも異なっていてもよい。
【0033】
R1、R2のアルキル基は、(C1〜C6)の直鎖又は分岐鎖のアルキル基であればよく、具体的にはメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、及びn−ヘキシル基等を例示することができ、さらに、R1、R2のアルキル基が互いに結合することにより、R1、R2が結合する窒素原子と共に5〜6員環(ピロリジン環、ピペリジン環)を形成することもでき、R1、R2が互いに結合してR1、R2が結合する窒素原子と共に5〜6員環を形成しているのが好ましい。
【0034】
上記のようなXn、R1、R2を有する、本発明方法の原料として用いる一般式(1)で表される(2−ジアルキルアミノエテニル)ベンゼン誘導体としては、例えば、3−メトキシメチル−2−ニトロ−{2−(ピロリジン−1−イル)エテニル}ベンゼン、3−メトキシメチル−2−ニトロ−{2−(ピペリジン−1−イル)エテニル}ベンゼン、3−メトキシメチル−2−ニトロ−{2−(N,N−ジメチルアミノ)エテニル}ベンゼン、3−メトキシカルボニル−2−ニトロ−{2−(ピロリジン−1−イル)エテニル}ベンゼン、3−メトキシカルボニル−2−ニトロ−{2−(N,N−ジメチルアミノ)エテニル}ベンゼン、3−メトキシカルボニル−6−ニトロ−{2−(ピロリジン−1−イル)エテニル}ベンゼン、3−メトキシカルボニル−6−ニトロ−{2−(N,N−ジメチルアミノ)エテニル}ベンゼン、2−メトキシカルボニル−6−ニトロ−{2−(ピロリジン−1−イル)エテニル}ベンゼン、2−メトキシカルボニル−6−ニトロ−{2−(N,N−ジメチルアミノ)エテニル}ベンゼン、4−メトキシカルボニル−2−ニトロ−{2−(ピロリジン−1−イル)エテニル}ベンゼン、4−メトキシカルボニル−2−ニトロ−{2−(N,N−ジメチルアミノ)エテニル}ベンゼン、4−クロロ−2−ニトロ−{2−(ピロリジン−1−イル)エテニル}ベンゼン、4−クロロ−2−ニトロ−{2−(N,N−ジメチルアミノ)エテニル}ベンゼン、4−フルオロ−2−ニトロ−{2−(ピロリジン−1−イル)エテニル}ベンゼン、4−フルオロ−2−ニトロ−{2−(N,N−ジメチルアミノ)エテニル}ベンゼン、4−ブロモ−2−ニトロ−{2−(ピロリジン−1−イル)エテニル}ベンゼン、4−ブロモ−2−ニトロ−{2−(N,N−ジメチルアミノ)エテニル}ベンゼン、3,4−ジクロロ−6−ニトロ−{2−(ピロリジン−1−イル)エテニル}ベンゼン、3,4−ジクロロ−6−ニトロ−{2−(N,N−ジメチルアミノ)エテニル}ベンゼン、4−クロロ−3−メトキシ−6−ニトロ−{2−(ピロリジン−1−イル)エテニル}ベンゼン、4−クロロ−3−メトキシ−6−ニトロ−{2−(N,N−ジメチルアミノ)エテニル}ベンゼン、4−メチル−2−ニトロ−{2−(ピロリジン−1−イル)エテニル}ベンゼン、4−メチル−2−ニトロ−{2−(N,N−ジメチルアミノ)エテニル}ベンゼン、2−シアノ−6−ニトロ−{2−(ピロリジン−1−イル)エテニル}ベンゼン、2−シアノ−6−ニトロ−{2−(N,N−ジメチルアミノ)エテニル}ベンゼン、2−ニトロ−{2−(ピロリジン−1−イル)エテニル}ベンゼン、2−ニトロ−{2−(N,N−ジメチルアミノ)エテニル}ベンゼン、4−ニトロ−{2−(ピロリジン−1−イル)エテニル}ベンゼン、4−ニトロ−{2−(N,N−ジメチルアミノ)エテニル}ベンゼン、4−クロロ−{2−(ピロリジン−1−イル)エテニル}ベンゼン、4−クロロ−{2−(N,N−ジメチルアミノ)エテニル}ベンゼン、4−メチル−{2−(ピロリジン−1−イル)エテニル}ベンゼン、4−メチル−{2−(N,N−ジメチルアミノ)エテニル}ベンゼン、4−メトキシ−{2−(ピロリジン−1−イル)エテニル}ベンゼン、4−メトキシ−{2−(N,N−ジメチルアミノ)エテニル}ベンゼン、4−シアノ−{2−(ピロリジン−1−イル)エテニル}ベンゼン、4−シアノ−{2−(N,N−ジメチルアミノ)エテニル}ベンゼン、{2−(ピロリジン−1−イル)エテニル}ベンゼン、{2−(N,N−ジメチルアミノ)エテニル}ベンゼン等を挙げることができる。本発明方法の原料としては、R1、R2が互いに結合してR1、R2が結合する窒素原子と共に5〜6員環を形成している化合物(ピロリジン環、ピペリジン環を有する化合物)を好ましいものとして挙げることができ、具体的には3−メトキシメチル−2−ニトロ−{2−(ピロリジン−1−イル)エテニル}ベンゼン、3−メトキシメチル−2−ニトロ−{2−(ピペリジン−1−イル)エテニル}ベンゼン、3−メトキシカルボニル−2−ニトロ−{2−(ピロリジン−1−イル)エテニル}ベンゼン、3−メトキシカルボニル−6−ニトロ−{2−(ピロリジン−1−イル)エテニル}ベンゼン、2−メトキシカルボニル−6−ニトロ−{2−(ピロリジン−1−イル)エテニル}ベンゼン、3−メトキシカルボニル−2−ニトロ−{2−(ピロリジン−1−イル)エテニル}ベンゼン、4−メトキシカルボニル−2−ニトロ−{2−(ピロリジン−1−イル)エテニル}ベンゼン、3−メトキシカルボニル−6−ニトロ−{2−(ピロリジン−1−イル)エテニル}ベンゼン、4−クロロ−2−ニトロ−{2−(ピロリジン−1−イル)エテニル}ベンゼン、4−フルオロ−2−ニトロ−{2−(ピロリジン−1−イル)エテニル}ベンゼン、4−ブロモ−2−ニトロ−{2−(ピロリジン−1−イル)エテニル}ベンゼン、3,4−ジクロロ−6−ニトロ−{2−(ピロリジン−1−イル)エテニル}ベンゼン、4−クロロ−3−メトキシ−6−ニトロ−{2−(ピロリジン−1−イル)エテニル}ベンゼン、4−メチル−2−ニトロ−{2−(ピロリジン−1−イル)エテニル}ベンゼン、2−シアノ−6−ニトロ−{2−(ピロリジン−1−イル)エテニル}ベンゼン、2−ニトロ−{2−(ピロリジン−1−イル)エテニル}ベンゼン、4−ニトロ−{2−(ピロリジン−1−イル)エテニル}ベンゼン、4−クロロ−{2−(ピロリジン−1−イル)エテニル}ベンゼン、4−メチル−{2−(ピロリジン−1−イル)エテニル}ベンゼン、4−メトキシ−{2−(ピロリジン−1−イル)エテニル}ベンゼン、4−シアノ−{2−(ピロリジン−1−イル)エテニル}ベンゼン、{2−(ピロリジン−1−イル)エテニル}ベンゼン等を例示できる。二重結合の立体について云えば、シス(cis)体、トランス(trans)体、任意の割合のシス体とトランス体との混合物、の何れのものでも問題なく使用できる。
【0035】
一般式(1)で表される{2−(N,N−ジアルキルアミノ)エテニル}ベンゼン誘導体を得る方法は、特に制限されないが、例えば、ジャ−ナル オブ オ−ガニック ケミストリ−(Journal of Organic Chemistry)、第44巻、4003頁(1979年)に記載の、対応するトルエン誘導体をN,N−ジメチルホルムアミドジメチルアセタ−ルと反応させてエナミン化する方法等により、容易に製造することができる。
【0036】
本反応で使用するヒドロキシルアミンとしては、遊離のヒドロキシルアミンを用いることができると共に、ヒドロキシルアミンの塩酸塩、硝酸塩、硫酸塩に代表されるヒドロキシルアミンの鉱酸塩も使用できるものとして例示することができる。その中でも、入手容易なヒドロキシルアミン塩酸塩の使用が好ましい。ヒドロキシルアミンの鉱酸塩を用いる場合は、これを中和することなく鉱酸塩のままで用いることもできるし、事前に、或いは反応系内で、適当な塩基により中和して、遊離のヒドロキシルアミンとして用いることもできる。ヒドロキシルアミン(或いは、その鉱酸塩)は、それ自身のままの形態で(鉱産塩のごとく固体である場合は固体のままで)用いることもできるし、水溶液として反応系に加えて用いることもできる。
【0037】
ヒドロキシルアミン(又はその鉱酸塩)の使用量としては、一般式(1)で表される{2−(N,N−ジアルキルアミノ)エテニル}ベンゼン誘導体1モルに対して、ヒドロキシルアミンとして通常1〜2モル、好ましくは1.0〜1.4モルの範囲を例示できる。
【0038】
本反応は無溶媒で実施可能であるが、溶媒を使用することもできる。使用する溶媒としては、当該反応に不活性な溶媒を使用することができる。このような溶媒としては、例えば芳香族炭化水素系溶媒、具体的にはトルエン、キシレン、クロロベンゼン、オルトジクロロベンゼン等;脂肪族炭化水素系溶媒、具体的にはn−ヘキサン、n−ヘプタン、n−デカン等;エ−テル系溶媒、具体的にはジプロピルエ−テル、ジイソプロピルエ−テル、ジブチルエ−テル等の非プロトン性溶媒や、水を例示することができ、該溶媒は1種で、又は2種以上を混合して用いることもできる。反応後処理時等において、水との分液が容易で廃水負荷の少ない、非プロトン性溶媒の使用が好ましい。また、水と、それ以外の水と分離する溶媒(例えば芳香族炭化水素系溶媒、脂肪族炭化水素系溶媒、エ−テル系溶媒等の非プロトン性溶媒)を用いて、反応を二相溶媒系で行うことも差し支えない。
【0039】
溶媒の使用量としては、反応系の攪拌が充分にできる量であれば良いが、反応速度等を考慮して、一般式(1)で表される{2−(N,N−ジアルキルアミノ)エテニル}ベンゼン誘導体1モルに対し5000ml以下、好ましくは1000ml以下の範囲を、使用量として例示できる。
【0040】
本反応の反応温度は、−10℃〜反応系における還流温度までの任意の温度で行い、好ましくは0〜60℃の範囲であり、又、反応時間は0.1〜24時間の範囲で、反応は常圧下に行うことができ、通常は加圧する必要はない。
【0041】
本発明方法により製造できる一般式(2)で表されるフェニルアセトアルドキシム誘導体としては、例えば、3−メトキシメチル−2−ニトロフェニルアセトアルドキシム、4−メトキシカルボニル−2−ニトロフェニルアセトアルドキシム、3−メトキシカルボニル−6−ニトロフェニルアセトアルドキシム、2−メトキシカルボニル−6−ニトロフェニルアセトアルドキシム、3−メトキシカルボニル−2−ニトロフェニルアセトアルドキシム、4−クロロ−2−ニトロフェニルアセトアルドキシム、4−フルオロ−2−ニトロフェニルアセトアルドキシム、4−ブロモ−2−ニトロフェニルアセトアルドキシム、3,4−ジクロロ−6−ニトロフェニルアセトアルドキシム、4−クロロ−3−メトキシ−6−ニトロフェニルアセトアルドキシム、4−メチル−2−ニトロフェニルアセトアルドキシム、2−シアノ−6−ニトロフェニルアセトアルドキシム、2−ニトロフェニルアセトアルドキシム、4−ニトロフェニルアセトアルドキシム、4−クロロフェニルアセトアルドキシム、4−メチルフェニルアセトアルドキシム、4−メトキシフェニルアセトアルドキシム、4−シアノフェニルアセトアルドキシム、フェニルアセトアルドキシム等を例示することができる。
【0042】
また、得られるフェニルアルドキシム体のオキシム部分の立体に関しては、一般にE体とZ体の混合物となる。
【0043】
【発明の効果】
本発明方法により、フェニルアセトアルドキシム誘導体の新規な工業的製造法が提供される。本発明方法によれば、熱的に安定な原料から、環境に優しい条件で、簡便なプロセスで、多くのフェニルアセトアルドキシム誘導体を製造できるので、本発明方法は工業的な利用価値が非常に高い。
【0044】
【実施例】
次に、実施例、比較例を挙げて本発明化合物の製造方法を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によって何ら限定されるものではない。
【0045】
実施例1:3−メトキシメチル−2−ニトロフェニルアセトアルドキシムの製造
窒素雰囲気下、3−メトキシメチル−2−ニトロ−{2−(ピロリジン−1−イル)エテニル}ベンゼン262.3g(1.0mol)とジイソプロピルエ−テル500mlを仕込み、氷浴中で冷却し、ヒドロキシルアミン塩酸塩90.3g(1.3mol)を30℃以下で加えた。続いて、25〜30℃にて、2時間熟成した後、反応液に水1300mlを加え、抽出した。ジイソプロピルエ−テル300mlで再抽出後、得られたジイソプロピルエ−テル層を合わせて、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、濃縮し、目的とする3−メトキシメチル−2−ニトロフェニルアセトアルドキシム(GC−MS:m/z=207(M+−OH))を213.0g(0.95mol、収率95.0%)得た。
【0046】
実施例2:3−メトキシメチル−2−ニトロフェニルアセトアルドキシムの製造
ジイソプロピルエーテル500mlからトルエン500mlに変えた以外は、実施例1と同様の操作を行い、目的とする3−メトキシメチル−2−ニトロフェニルアセトアルドキシムを215.3g(0.96mol、収率96.0%)得た。
【0047】
実施例3:フェニルアセトアルドキシムの製造
窒素雰囲気下、{2−(ピロリジン−1−イル)エテニル}ベンゼン1.73g(0.01mol)、トルエン5ml、及びヒドロキシルアミン塩酸塩0.76g(0.011mol)を仕込み、25〜30℃にて、2時間熟成した。熟成終了後、反応液に水10mlを加え、抽出した。トルエン10mlで再抽出後、得られたトルエン層を合わせて、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、濃縮し、目的とするフェニルアセトアルドキシム(GC−MS:m/z=135(M+))を1.57g(0.0097mol、収率97.3%)得た。
【0048】
実施例4〜8:原料、反応溶媒、熟成時間を変え、実施例3と同様の操作を行った。実施例4〜8における生成物のGC−MSでのデータ(m/z)の一部を下記に、実施例4〜8の結果を(表1)に、それぞれ示す。
実施例4〜6:m/z=207(M+−OCH3)
実施例7:m/z=196(M+−H2O)
実施例8:m/z=180(M+)
【0049】
なお、(表1)中、溶媒の項の略号は、各々下記の溶媒を示す。又、収率は単離収率である。
IPE:ジイソプロピルエーテル
TOL:トルエン
XYL:キシレン
CB:クロロベンゼン
【0050】
【表1】
Claims (5)
- 一般式(1)
で表される{2−(N,N−ジアルキルアミノ)エテニル}ベンゼン誘導体と、ヒドロキシルアミンとを反応させることを特徴とする、一般式(2)
で表されるフェニルアセトアルドキシム誘導体の製造方法。 - 反応を、非プロトン性溶媒中で行うものである、請求項1記載のフェニルアセトアルドキシム誘導体の製造方法。
- 一般式(1)で表される{2−(N,N−ジアルキルアミノ)エテニル}ベンゼン誘導体が、X、nとして、少なくとも一つの2−ニトロ基(2位に置換したニトロ基)を有するものである、請求項1又は請求項2記載のフェニルアセトアルドキシム誘導体の製造方法。
- 一般式(1)で表される{2−(N,N−ジアルキルアミノ)エテニル}ベンゼン誘導体が、3−メトキシメチル−2−ニトロ−{2−(N,N−ジアルキルアミノ)エテニル}ベンゼンであることを特徴とする、請求項1又は請求項2記載のフェニルアセトアルドキシム誘導体の製造方法。
- 一般式(1)で表される{2−(N,N−ジアルキルアミノ)エテニル}ベンゼン誘導体のR1、R2が、結合することにより窒素原子と共に5〜6員環を形成しているものである、請求項1又は請求項2記載のフェニルアセトアルドキシム誘導体の製造方法。
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