JP2004058834A - 空気入りランフラットタイヤの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】支持体に脚部を形成する際にこれらに高い接着性を付与することが可能な空気入りランフラットタイヤの製造方法を提供する。
【解決手段】ランフラット走行時に荷重を支持可能な環状の支持体の両端部であって脚部との接触部分の少なくとも一部に、接着剤を塗布し、放電処理を施して前記支持体と前記脚部との接着処理を施した後、前記支持体を空気入りタイヤの内部に配設し、該空気入りタイヤと共に前記支持体の前記脚部をリムに組み付けることを特徴とする空気入りランフラットタイヤの製造方法である。
【選択図】 なし
【解決手段】ランフラット走行時に荷重を支持可能な環状の支持体の両端部であって脚部との接触部分の少なくとも一部に、接着剤を塗布し、放電処理を施して前記支持体と前記脚部との接着処理を施した後、前記支持体を空気入りタイヤの内部に配設し、該空気入りタイヤと共に前記支持体の前記脚部をリムに組み付けることを特徴とする空気入りランフラットタイヤの製造方法である。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はパンクした時、その状態のまま相当の距離を走行し得るようにタイヤの内部に配設される環状の支持体が内部に配設された空気入りランフラットタイヤの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
空気入りタイヤでランフラット走行が可能、即ち、パンクしてタイヤ内圧が0kg/cm2になっても、ある程度の距離を安心して走行することが可能なタイヤ(以後、ランフラットタイヤと呼ぶ。)として、タイヤの空気室内におけるリムの部分に、金属、合成樹脂製の環状の中子(支持体)を取り付けた中子タイプが知られている。
【0003】
この中子タイプでは、リムに組み込む回転中子タイプと、リムに取り付けられるタイヤ径方向断面において2つの凸部を有する形状(二山形状)の中子タイプが知られている。回転中子タイプは回転中子を固定するための特殊ホイールが必要とされる点で汎用性に問題がある。一方、二山形状の中子タイプは、従来のリムに取り付けられるため汎用性が高い。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
かかるランフラットタイヤでは、中子(支持体)は、その両端部が環状の脚部を介してリムに取り付けられている。
当該脚部は支持体の固定とともに、ランフラット走行時の走行安定性とリム組み込み、リム解きの作業性等を向上させるために設けられる。脚部の材質としては耐久性、耐熱性を考慮して、NR(天然ゴム)系、IR(イソプレンゴム)系、BR(ブタジエンゴム)系、SBR(スチレンブタジエンゴム)系、IIR(ブチルゴム)系、等を単独もしくは適宜コンパウンドした加硫ゴムが使用されている。
【0005】
脚部を支持体の両端部に形成するには、これらをボルトなどで締結する方法があるが、タイヤの軽量化を図る観点からは、好ましい方法ではない。
そこで、脚部を支持体の両端部に形成する方法として、接着剤により脚部と支持体の両端部を接着する方法が検討されている。かかる接着方法としては、接着力を向上させるため、まず、前処理として支持体の両端部で脚部との接触部に種々の表面処理を施す。表面処理後、接着剤を付与して加硫接着により接着を行っている。
上記表面処理としては、ブラスト処理による表面処理、燐酸塩等を用いた化成処理、プライマー処理等が挙げられる。
【0006】
しかし、上記処理を行って加硫接着を行っても、接着が均一でなく接着力が安定していなかったり、実用に供する程の接着力が得られないことがあった。
特に、ランフラット走行時には、安全性や走行安定性等の観点から、脚部と支持体とを完全に接着させておく必要があり、非常に過酷な条件での接着性が要求される。
以上から本発明は、上記事実を考慮し、支持体に脚部を形成する際にこれらに高い接着性を付与することが可能な空気入りランフラットタイヤの製造方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的は、以下に示す本発明により達成される。
すなわち、本発明は、ランフラット走行時に荷重を支持可能な環状の支持体の両端部であって脚部との接触部分の少なくとも一部に、接着剤を塗布し、放電処理を施して前記支持体と前記脚部との接着処理を施した後、前記支持体を空気入りタイヤの内部に配設し、該空気入りタイヤと共に前記支持体の前記脚部をリムに組み付けることを特徴とする空気入りランフラットタイヤの製造方法である。前記放電処理は、コロナ放電処理であることが好ましく、前記接着剤を塗布する前の前記接触部分に表面処理を施すことが好ましい。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明の空気入りランフラットタイヤの製造方法により得られる空気入りランフラットタイヤの例を図1に示す。
ランフラットタイヤ10とは、図1に示すように、リム12に空気入りタイヤ14と支持体16とを組み付けたものをいう。リム12は、空気入りタイヤ14のサイズに対応した標準リムである。
空気入りタイヤ14は、図1に示すように、一対のビード部18と、両ビード部18に跨がって延びるトロイド状のカーカス20と、カーカス20のクラウン部に位置する複数(本実施形態では2枚)のベルト層22と、ベルト層22の上部に形成されたトレッド部24とを備える。
空気入りタイヤ14の内部に配設される支持体16は、図1に示す断面形状のものがリング状に形成されたものであり、支持部26と、支持部26の両端に加硫成形されたゴム製の脚部28とを備える。
【0009】
上記のような空気入りランフラットタイヤは以下に説明するようにして製造される。
すなわち、ランフラット走行時に荷重を支持可能な環状の支持体16の両端部であって脚部28との接触部分の少なくとも一部に接着剤を塗布し、該接着剤の塗布部分に放電処理を施して、支持体16と脚部28との接着処理を施した後、支持体16を空気入りタイヤ14の内部に配設し、該空気入りタイヤ14と共に支持体16の脚部28をリム12に組み付けることで製造される。
【0010】
具体的には、まず、支持体16の支持部26を、ロールフォーミング等の成形方法によって、平板から図1に示されるような断面形状とした後、曲げ加工によってリング状とする。
ここで、支持体16(支持部26)に使用される材料としては、鉄、ハイテンション鋼、SUS、アルミニウム等が挙げられる。また、後述する脚部28に使用される材料としては、NR(天然ゴム)系、IR(イソプレンゴム)系、BR(ブタジエンゴム)系、SBR(スチレンブタジエンゴム)系、IIR(ブチルゴム)系等が挙げられる。
【0011】
続いて、支持体16の両端部で脚部28が形成される部分(接着部分)の少なくとも一部に接着剤を塗り、その部分の少なくとも一部に放電処理を施す。放電処理を施すことで、金属表面が活性な状態となるため、後に脚部28を形成する際の当該脚部28と支持体16の接着部分との接着強度が増加して、支持体16から脚部28が剥離しにくくなるため、ランフラットタイヤの耐久性を向上させることができる。
なお、放電処理を施すことで接着剤の表面が活性な状態となるのは、当該放電処理により親水性基(水酸基やカルボキシル基等)が生成するためと考えられる。そして、ゴムの加硫において該親水性基とゴムとが反応し、強固な結合が生じ接着強度が向上するものと考えられる。
【0012】
放電処理としては、コロナ放電処理やアーク放電処理等を適用することが可能で、放電処理が均一にできることを考慮してコロナ放電処理を適用することが好ましい。
コロナ放電処理は支持体の接着部分を対面電極とし、これと放電電極との間で放電を生じさせる方法を適用することが好ましい。
この場合、放電条件として、出力は10〜1000Wとすることが好ましく、200〜700Wとすることがより好ましい。1000Wを超えると出力が強すぎて均一な処理が行えないことがあり、10W未満では放電の効果が充分に得られないことがある。
処理時間は、上記出力にもよるが、100cm2当たり0.1〜30秒とすることが好ましく、1〜10秒とすることがより好ましい。30秒を超えると放電による接着剤層の劣化が生じ、かえって製品の接着力を低下させてしまうことがあり、0.1秒未満では放電処理が充分でなく、効果が得られないことがある。
【0013】
当該放電処理で特にコロナ放電処理を施す場合は、特開2000−82565号公報、特開2000−82566号公報に開示されたコロナ放電処理機を使用してもよい。当該コロナ放電処理機は携帯性に優れており、特に特開2000−82566号公報に開示されたコロナ放電処理機は、電極が可撓性を有するコイル電極にて構成されているため、狭く曲がりくねった目地や種々の幅の目地についても放電部分を交換することなく、放電処理を施すことができるので、作業効率を大きく向上させることができる。
【0014】
ここで、接着部分に接着剤塗布を施す前に、接着部分にブラスト処理や、燐酸、硝酸等を使用した化成処理といった表面処理を施しておくことも好ましい態様である。かかる表面処理を施しておくことで、接着部分(金属)と接着剤との接着力を高めることができる。
【0015】
接着剤塗布を施す前に、プライマー処理を施すことが好ましい。プライマーとしては、ポリイソシアネート、エポキシ樹脂、合成ゴム等を少なくとも1種に配合した合成ゴム系、エポキシ系、といったプライマーを使用することが好ましい。
かかる処理は、いわゆる2液系の接着剤を使用する場合に行われる。すなわち、接着部分には、プライマー処理によるプライマー層とその上にカバーコート層が形成される。
【0016】
必要に応じて上記プライマー処理を施した後、支持体16の接着部分に接着剤を塗布して脚部と加硫接着(接着処理)することで、支持体の両端部に脚部を形成することができる。
接着剤としては、合成樹脂系、フェノール樹脂系、シリコーン系等でゴム用加硫型接着剤を使用することが好ましい。
加硫接着の条件として、温度は120〜200℃とすることが好ましく、時間は5〜60分とすることが好ましい。
放電処理は、プライマー処理を施した後に適宜施してもよい。放電処理をそれぞれの界面(プライマー処理後や接着剤塗布後)に施すことで、接着性をさらに向上させることができる。当該放電処理の条件は、既述の所望の範囲で設定することが好ましい。
【0017】
このようにして脚部が形成された支持体16を空気入りタイヤ14の内部に配設した状態で、従来と同様に空気入りタイヤ14のサイズに対応した標準リム12に組み付けることで、空気入りランフラットタイヤが製造される。
【0018】
ここで、標準リムとはJATMA(日本自動車タイヤ協会)のYear Book2002年度版規定のリムであり、標準荷重とはJATMA(日本自動車タイヤ協会)のYear Book2002年度版の単輪を適用した場合の最大負荷能力に相当する荷重である。
日本以外では、荷重とは下記規格に記載されている適用サイズにおける単輪の最大荷重(最大負荷能力)のことであり、内圧とは下記規格に記載されている単輪の最大荷重(最大負荷能力)に対応する空気圧のことであり、リムとは下記規格に記載されている適用サイズにおける標準リム(または、”ApprovedRim”、”Recommended Rim”)のことである。
規格は、タイヤが生産又は使用される地域に有効な産業規格によって決められている。例えば、アメリカ合衆国では、”The Tire and Rim Association Inc. のYear Book ”であり、欧州では”The European Tire and Rim Technical OrganizationのStandards Manual”である。
【0019】
以上のような空気入りランフラットタイヤでは、空気入りタイヤ14の内圧が低下した場合、空気入りタイヤ14のトレッド部24を支持体16の凸部(支持体16のうち図面上、径方向に突出した部分)が支持して走行可能とする。
【0020】
【実施例】
下記実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0021】
(実施例1)
実施形態で説明した空気入りランフラットタイヤと同様の構成(図1参照)であり、205/50R16サイズの空気入りタイヤに脚部(SBR製 Hd:60)付きの支持体を挿入したものを、上記タイヤサイズに対応する標準リム(6J)に組み付けたランフラットタイヤを3本作製した(以下、ランフラットタイヤA,B,Cとする)
【0022】
なお、支持体は、ロールフォーミング法によって、平板(高張力鋼製、N,K,K社製、商品名:JSC780Y)から図1に示されるような断面形状とし、接着部分にブラスト処理(フジA−100を使用)を施した。
接着部分に6EF(シクソン社製)をプライマーとし、該プライマー上にカバーコート(532EF シクソン社製)を塗布した。プライマー層、カバーコート層はそれぞれ、10〜20μmの厚さとした。
上記接着剤を塗布した後に行ったコロナ放電処理における出力は500Wとし、処理時間は5秒/100cm2とした。
放電処理後の加硫接着による接着処理は、支持体の両端部に脚部を形成して行った。加硫温度および時間は、それぞれ、150℃および20分とした。
【0023】
作製した3本のランフラットタイヤA〜Cのそれぞれについて、支持体と脚部との接着性を調べるため、ペンチ剥離試験(接着試験)を行った。結果を下記表1に示す。
ここで、ペンチ剥離試験は、支持体と脚部との接着部分の界面にカッターで切り込みを入れ、切り込み部分から脚部を構成するゴムを剥離して、支持体の接着部分に残留するゴムの量を測定することで行った。当該接着部分にゴムが多く残留するほど(脚部の母材が破壊されるほど)支持体と脚部との接着性が高いことが示される。
なお、表中の値(ゴム破壊)は、支持体の接触部分表面に剥離後のゴムが残留した割合を、面積率で示したものである。
【0024】
(実施例2)
プライマー塗布を施した後、接着剤塗布(カバーコート塗布)を施す前に、さらにコロナ処理(出力500W、処理時間5秒/100cm2)を施した以外は、実施例1と同様にしてランフラットタイヤを3本作製した。
作製した3本のランフラットタイヤA〜Cのそれぞれについて、実施例1と同様のペンチ剥離試験を行った。結果を下記表1に示す。
【0025】
(比較例1)
コロナ処理を施さなかった以外は、実施例1と同様にしてランフラットタイヤを3本作製した。作製した3本のランフラットタイヤA〜Cについて、実施例1と同様のペンチ剥離試験を行った。結果を下記表1に示す。
【0026】
【表1】
【0027】
このように、コロナ処理を施すことで脚部と支持体との接着性を向上させることができた。
また、実施例1および2で作製した空気入りランフラットタイヤを使用して400kmのランフラット走行をした後に、ペンチ剥離試験をしても、表1中のゴム破壊の値はほとんど変わることはなかった。すなわち、ランフラット走行時でも強固な接着力が維持されていることがわかった。
【0028】
【発明の効果】
以上から、本発明の空気入りランフラットタイヤの製造方法によれば、支持体に脚部を形成する際にこれらに高い接着性を付与することできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係る空気入りランフラットタイヤのリム装着時の断面図である。
【符号の説明】
10 空気入りランフラットタイヤ
12 リム
14 空気入りタイヤ
16 支持体
24 トレッド部
26 支持部
28 脚部
【発明の属する技術分野】
本発明はパンクした時、その状態のまま相当の距離を走行し得るようにタイヤの内部に配設される環状の支持体が内部に配設された空気入りランフラットタイヤの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
空気入りタイヤでランフラット走行が可能、即ち、パンクしてタイヤ内圧が0kg/cm2になっても、ある程度の距離を安心して走行することが可能なタイヤ(以後、ランフラットタイヤと呼ぶ。)として、タイヤの空気室内におけるリムの部分に、金属、合成樹脂製の環状の中子(支持体)を取り付けた中子タイプが知られている。
【0003】
この中子タイプでは、リムに組み込む回転中子タイプと、リムに取り付けられるタイヤ径方向断面において2つの凸部を有する形状(二山形状)の中子タイプが知られている。回転中子タイプは回転中子を固定するための特殊ホイールが必要とされる点で汎用性に問題がある。一方、二山形状の中子タイプは、従来のリムに取り付けられるため汎用性が高い。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
かかるランフラットタイヤでは、中子(支持体)は、その両端部が環状の脚部を介してリムに取り付けられている。
当該脚部は支持体の固定とともに、ランフラット走行時の走行安定性とリム組み込み、リム解きの作業性等を向上させるために設けられる。脚部の材質としては耐久性、耐熱性を考慮して、NR(天然ゴム)系、IR(イソプレンゴム)系、BR(ブタジエンゴム)系、SBR(スチレンブタジエンゴム)系、IIR(ブチルゴム)系、等を単独もしくは適宜コンパウンドした加硫ゴムが使用されている。
【0005】
脚部を支持体の両端部に形成するには、これらをボルトなどで締結する方法があるが、タイヤの軽量化を図る観点からは、好ましい方法ではない。
そこで、脚部を支持体の両端部に形成する方法として、接着剤により脚部と支持体の両端部を接着する方法が検討されている。かかる接着方法としては、接着力を向上させるため、まず、前処理として支持体の両端部で脚部との接触部に種々の表面処理を施す。表面処理後、接着剤を付与して加硫接着により接着を行っている。
上記表面処理としては、ブラスト処理による表面処理、燐酸塩等を用いた化成処理、プライマー処理等が挙げられる。
【0006】
しかし、上記処理を行って加硫接着を行っても、接着が均一でなく接着力が安定していなかったり、実用に供する程の接着力が得られないことがあった。
特に、ランフラット走行時には、安全性や走行安定性等の観点から、脚部と支持体とを完全に接着させておく必要があり、非常に過酷な条件での接着性が要求される。
以上から本発明は、上記事実を考慮し、支持体に脚部を形成する際にこれらに高い接着性を付与することが可能な空気入りランフラットタイヤの製造方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的は、以下に示す本発明により達成される。
すなわち、本発明は、ランフラット走行時に荷重を支持可能な環状の支持体の両端部であって脚部との接触部分の少なくとも一部に、接着剤を塗布し、放電処理を施して前記支持体と前記脚部との接着処理を施した後、前記支持体を空気入りタイヤの内部に配設し、該空気入りタイヤと共に前記支持体の前記脚部をリムに組み付けることを特徴とする空気入りランフラットタイヤの製造方法である。前記放電処理は、コロナ放電処理であることが好ましく、前記接着剤を塗布する前の前記接触部分に表面処理を施すことが好ましい。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明の空気入りランフラットタイヤの製造方法により得られる空気入りランフラットタイヤの例を図1に示す。
ランフラットタイヤ10とは、図1に示すように、リム12に空気入りタイヤ14と支持体16とを組み付けたものをいう。リム12は、空気入りタイヤ14のサイズに対応した標準リムである。
空気入りタイヤ14は、図1に示すように、一対のビード部18と、両ビード部18に跨がって延びるトロイド状のカーカス20と、カーカス20のクラウン部に位置する複数(本実施形態では2枚)のベルト層22と、ベルト層22の上部に形成されたトレッド部24とを備える。
空気入りタイヤ14の内部に配設される支持体16は、図1に示す断面形状のものがリング状に形成されたものであり、支持部26と、支持部26の両端に加硫成形されたゴム製の脚部28とを備える。
【0009】
上記のような空気入りランフラットタイヤは以下に説明するようにして製造される。
すなわち、ランフラット走行時に荷重を支持可能な環状の支持体16の両端部であって脚部28との接触部分の少なくとも一部に接着剤を塗布し、該接着剤の塗布部分に放電処理を施して、支持体16と脚部28との接着処理を施した後、支持体16を空気入りタイヤ14の内部に配設し、該空気入りタイヤ14と共に支持体16の脚部28をリム12に組み付けることで製造される。
【0010】
具体的には、まず、支持体16の支持部26を、ロールフォーミング等の成形方法によって、平板から図1に示されるような断面形状とした後、曲げ加工によってリング状とする。
ここで、支持体16(支持部26)に使用される材料としては、鉄、ハイテンション鋼、SUS、アルミニウム等が挙げられる。また、後述する脚部28に使用される材料としては、NR(天然ゴム)系、IR(イソプレンゴム)系、BR(ブタジエンゴム)系、SBR(スチレンブタジエンゴム)系、IIR(ブチルゴム)系等が挙げられる。
【0011】
続いて、支持体16の両端部で脚部28が形成される部分(接着部分)の少なくとも一部に接着剤を塗り、その部分の少なくとも一部に放電処理を施す。放電処理を施すことで、金属表面が活性な状態となるため、後に脚部28を形成する際の当該脚部28と支持体16の接着部分との接着強度が増加して、支持体16から脚部28が剥離しにくくなるため、ランフラットタイヤの耐久性を向上させることができる。
なお、放電処理を施すことで接着剤の表面が活性な状態となるのは、当該放電処理により親水性基(水酸基やカルボキシル基等)が生成するためと考えられる。そして、ゴムの加硫において該親水性基とゴムとが反応し、強固な結合が生じ接着強度が向上するものと考えられる。
【0012】
放電処理としては、コロナ放電処理やアーク放電処理等を適用することが可能で、放電処理が均一にできることを考慮してコロナ放電処理を適用することが好ましい。
コロナ放電処理は支持体の接着部分を対面電極とし、これと放電電極との間で放電を生じさせる方法を適用することが好ましい。
この場合、放電条件として、出力は10〜1000Wとすることが好ましく、200〜700Wとすることがより好ましい。1000Wを超えると出力が強すぎて均一な処理が行えないことがあり、10W未満では放電の効果が充分に得られないことがある。
処理時間は、上記出力にもよるが、100cm2当たり0.1〜30秒とすることが好ましく、1〜10秒とすることがより好ましい。30秒を超えると放電による接着剤層の劣化が生じ、かえって製品の接着力を低下させてしまうことがあり、0.1秒未満では放電処理が充分でなく、効果が得られないことがある。
【0013】
当該放電処理で特にコロナ放電処理を施す場合は、特開2000−82565号公報、特開2000−82566号公報に開示されたコロナ放電処理機を使用してもよい。当該コロナ放電処理機は携帯性に優れており、特に特開2000−82566号公報に開示されたコロナ放電処理機は、電極が可撓性を有するコイル電極にて構成されているため、狭く曲がりくねった目地や種々の幅の目地についても放電部分を交換することなく、放電処理を施すことができるので、作業効率を大きく向上させることができる。
【0014】
ここで、接着部分に接着剤塗布を施す前に、接着部分にブラスト処理や、燐酸、硝酸等を使用した化成処理といった表面処理を施しておくことも好ましい態様である。かかる表面処理を施しておくことで、接着部分(金属)と接着剤との接着力を高めることができる。
【0015】
接着剤塗布を施す前に、プライマー処理を施すことが好ましい。プライマーとしては、ポリイソシアネート、エポキシ樹脂、合成ゴム等を少なくとも1種に配合した合成ゴム系、エポキシ系、といったプライマーを使用することが好ましい。
かかる処理は、いわゆる2液系の接着剤を使用する場合に行われる。すなわち、接着部分には、プライマー処理によるプライマー層とその上にカバーコート層が形成される。
【0016】
必要に応じて上記プライマー処理を施した後、支持体16の接着部分に接着剤を塗布して脚部と加硫接着(接着処理)することで、支持体の両端部に脚部を形成することができる。
接着剤としては、合成樹脂系、フェノール樹脂系、シリコーン系等でゴム用加硫型接着剤を使用することが好ましい。
加硫接着の条件として、温度は120〜200℃とすることが好ましく、時間は5〜60分とすることが好ましい。
放電処理は、プライマー処理を施した後に適宜施してもよい。放電処理をそれぞれの界面(プライマー処理後や接着剤塗布後)に施すことで、接着性をさらに向上させることができる。当該放電処理の条件は、既述の所望の範囲で設定することが好ましい。
【0017】
このようにして脚部が形成された支持体16を空気入りタイヤ14の内部に配設した状態で、従来と同様に空気入りタイヤ14のサイズに対応した標準リム12に組み付けることで、空気入りランフラットタイヤが製造される。
【0018】
ここで、標準リムとはJATMA(日本自動車タイヤ協会)のYear Book2002年度版規定のリムであり、標準荷重とはJATMA(日本自動車タイヤ協会)のYear Book2002年度版の単輪を適用した場合の最大負荷能力に相当する荷重である。
日本以外では、荷重とは下記規格に記載されている適用サイズにおける単輪の最大荷重(最大負荷能力)のことであり、内圧とは下記規格に記載されている単輪の最大荷重(最大負荷能力)に対応する空気圧のことであり、リムとは下記規格に記載されている適用サイズにおける標準リム(または、”ApprovedRim”、”Recommended Rim”)のことである。
規格は、タイヤが生産又は使用される地域に有効な産業規格によって決められている。例えば、アメリカ合衆国では、”The Tire and Rim Association Inc. のYear Book ”であり、欧州では”The European Tire and Rim Technical OrganizationのStandards Manual”である。
【0019】
以上のような空気入りランフラットタイヤでは、空気入りタイヤ14の内圧が低下した場合、空気入りタイヤ14のトレッド部24を支持体16の凸部(支持体16のうち図面上、径方向に突出した部分)が支持して走行可能とする。
【0020】
【実施例】
下記実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0021】
(実施例1)
実施形態で説明した空気入りランフラットタイヤと同様の構成(図1参照)であり、205/50R16サイズの空気入りタイヤに脚部(SBR製 Hd:60)付きの支持体を挿入したものを、上記タイヤサイズに対応する標準リム(6J)に組み付けたランフラットタイヤを3本作製した(以下、ランフラットタイヤA,B,Cとする)
【0022】
なお、支持体は、ロールフォーミング法によって、平板(高張力鋼製、N,K,K社製、商品名:JSC780Y)から図1に示されるような断面形状とし、接着部分にブラスト処理(フジA−100を使用)を施した。
接着部分に6EF(シクソン社製)をプライマーとし、該プライマー上にカバーコート(532EF シクソン社製)を塗布した。プライマー層、カバーコート層はそれぞれ、10〜20μmの厚さとした。
上記接着剤を塗布した後に行ったコロナ放電処理における出力は500Wとし、処理時間は5秒/100cm2とした。
放電処理後の加硫接着による接着処理は、支持体の両端部に脚部を形成して行った。加硫温度および時間は、それぞれ、150℃および20分とした。
【0023】
作製した3本のランフラットタイヤA〜Cのそれぞれについて、支持体と脚部との接着性を調べるため、ペンチ剥離試験(接着試験)を行った。結果を下記表1に示す。
ここで、ペンチ剥離試験は、支持体と脚部との接着部分の界面にカッターで切り込みを入れ、切り込み部分から脚部を構成するゴムを剥離して、支持体の接着部分に残留するゴムの量を測定することで行った。当該接着部分にゴムが多く残留するほど(脚部の母材が破壊されるほど)支持体と脚部との接着性が高いことが示される。
なお、表中の値(ゴム破壊)は、支持体の接触部分表面に剥離後のゴムが残留した割合を、面積率で示したものである。
【0024】
(実施例2)
プライマー塗布を施した後、接着剤塗布(カバーコート塗布)を施す前に、さらにコロナ処理(出力500W、処理時間5秒/100cm2)を施した以外は、実施例1と同様にしてランフラットタイヤを3本作製した。
作製した3本のランフラットタイヤA〜Cのそれぞれについて、実施例1と同様のペンチ剥離試験を行った。結果を下記表1に示す。
【0025】
(比較例1)
コロナ処理を施さなかった以外は、実施例1と同様にしてランフラットタイヤを3本作製した。作製した3本のランフラットタイヤA〜Cについて、実施例1と同様のペンチ剥離試験を行った。結果を下記表1に示す。
【0026】
【表1】
【0027】
このように、コロナ処理を施すことで脚部と支持体との接着性を向上させることができた。
また、実施例1および2で作製した空気入りランフラットタイヤを使用して400kmのランフラット走行をした後に、ペンチ剥離試験をしても、表1中のゴム破壊の値はほとんど変わることはなかった。すなわち、ランフラット走行時でも強固な接着力が維持されていることがわかった。
【0028】
【発明の効果】
以上から、本発明の空気入りランフラットタイヤの製造方法によれば、支持体に脚部を形成する際にこれらに高い接着性を付与することできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係る空気入りランフラットタイヤのリム装着時の断面図である。
【符号の説明】
10 空気入りランフラットタイヤ
12 リム
14 空気入りタイヤ
16 支持体
24 トレッド部
26 支持部
28 脚部
Claims (3)
- ランフラット走行時に荷重を支持可能な環状の支持体の両端部であって脚部との接触部分の少なくとも一部に、接着剤を塗布し、放電処理を施して前記支持体と前記脚部との接着処理を施した後、前記支持体を空気入りタイヤの内部に配設し、該空気入りタイヤと共に前記支持体の前記脚部をリムに組み付けることを特徴とする空気入りランフラットタイヤの製造方法。
- 前記放電処理が、コロナ放電処理であることを特徴とする請求項1に記載の空気入りランフラットタイヤの製造方法。
- 前記接着剤を塗布する前の前記接触部分に表面処理を施すことを特徴とする請求項1または2に記載の空気入りランフラットタイヤの製造方法。
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Cited By (2)
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WO2005051639A1 (ja) * | 2003-11-28 | 2005-06-09 | Bridgestone Corporation | ランフラットタイヤ用支持体およびその製造方法 |
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-
2002
- 2002-07-29 JP JP2002219899A patent/JP2004058834A/ja active Pending
Cited By (3)
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