JP2003306014A - 空気入りタイヤ - Google Patents

空気入りタイヤ

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JP2003306014A
JP2003306014A JP2002110925A JP2002110925A JP2003306014A JP 2003306014 A JP2003306014 A JP 2003306014A JP 2002110925 A JP2002110925 A JP 2002110925A JP 2002110925 A JP2002110925 A JP 2002110925A JP 2003306014 A JP2003306014 A JP 2003306014A
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bead
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fiber
bead apex
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Masahiro Oku
正博 奥
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Sumitomo Rubber Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 制動性能を向上する。 【解決手段】 ビード部に、ビードコア5と、このビー
ドコア5の外面からタイヤ半径方向外側にのびるビード
エーペックスゴム8とを具えた空気入りタイヤである。
前記ビードエーペックスゴム8は、短繊維fによって補
強された繊維補強部9を含む。前記短繊維fは、その長
手方向Kがタイヤ半径方向外側に向かってタイヤ周方向
の先着側にかつタイヤ半径方向線Nに対して30〜60
゜の角度θで傾くことを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、制動性能を向上す
るのに役立つ空気入りタイヤに関する。
【0002】
【従来の技術】近年では、制動手段としてアンチロック
ブレーキシステム(以下、単に「ABS」ということが
ある。)を具えた自動車が種々提案されており、その装
着率も年々向上しつつある。一般に、ABSは機械式あ
るいは電子式等複数種類の方式が存在するが、いずれも
車輪のロックを感知した時にブレーキを瞬時に緩和し、
タイヤがブレーキロック(固定)しないように制御する
ことにより、制動中の車両挙動を安定させるシステムで
ある。発明者らは、このようなABSの特性を最大限に
発揮させ、さらに制動能力を高めるためには、ブレーキ
システム単体ではなくタイヤも含めて検討すること、つ
まりタイヤとABSとの相性をより適合させることが必
要との知見を得て種々の実験を試みた。
【0003】まず一般的なABS制動中のタイヤのスリ
ップ率の発生頻度を調べると、図8に示す如く概ね5〜
10%程度の範囲が最も多いことが分かる。従って、空
気入りタイヤの制動性能をよりABSの特性に適合させ
るためには、上述のような低いスリップ率の領域内で最
大摩擦係数(以下、単に「ピークμ」ということがあ
る。)を示す構造が好ましい。
【0004】一般に、タイヤの路面との間の摩擦係数μ
とスリップ率sとは、例えば図9に示す如く、縦軸に摩
擦係数μ、横軸にスリップ率sをとったμ−s曲線によ
り特定することができる(なお、制動を開始する速度に
よりグラフは変化しうる。)。ここで、ピークμを示す
スリップ率を小さくするためには、スリップ率が0から
立ち上がる直線部の傾きγ(以下、この傾きを「ブレー
キングスティフネス」と呼ぶ。)を大きくするのが良
い。
【0005】そして、種々の実験の結果、ブレーキング
スティフネスを大きくするためには、ビード部に配され
たビードエーペックスゴムに、短繊維を配合しかつその
長手方向を一定の角度かつ方向に傾けることを基本とし
て、制動によってタイヤに生じる捻り(以下、このよう
な捻りを「制動捻り」と呼ぶ)に対して、高い剛性を発
揮し、ブレーキングスティフネスを高めうることを見い
だした。
【0006】以上のように、本発明は、制動性能の向
上、とりわけABS装着車に取り付けたときにより一層
の制動性能の向上を図りうる空気入りタイヤを提供する
ことを目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明のうち請求項1記
載の発明は、ビード部に、ビードコアと、このビードコ
アの外面からタイヤ半径方向外側にのびるビードエーペ
ックスゴムとを具えた空気入りタイヤであって、前記ビ
ードエーペックスゴムは、短繊維によって補強された繊
維補強部を含むとともに、前記短繊維は、その長手方向
がタイヤ半径方向外側に向かってタイヤ周方向の先着側
にかつタイヤ半径方向線に対して20〜70゜の角度で
傾くことを特徴としている。
【0008】また請求項2記載の発明は、前記ビードエ
ーペックスゴムは、前記繊維補強部と、短繊維を含まな
い非補強部とを含むことを特徴とする請求項1記載の空
気入りタイヤである。
【0009】また請求項3記載の発明は、前記繊維補強
部は、略一定の厚さのシート状をなし、かつビードエー
ペックスゴムの曲げ中心の近傍に配されてなる請求項2
記載の空気入りタイヤである。
【0010】また請求項4記載の発明は、前記ビードエ
ーペックスゴムは、前記繊維補強部のみからなり、かつ
タイヤ半径方向外側に向かって厚さが減少するととも
に、厚さの減少率をタイヤ半径方向の外側で小としたこ
とを特徴とする請求項1記載の空気入りタイヤである。
【0011】
【発明の実施の形態】以下本発明の実施の一形態を図面
に基づき説明する。図1には、本実施形態の空気入りタ
イヤ1の断面図を示している。図において空気入りタイ
ヤ1は、トレッド部2と、その両側からタイヤ半径方向
内方にのびる一対のサイドウォール部3と、各サイドウ
ォール部3の内方端に位置するビード部4とを具え、本
例では乗用車用のラジアルタイヤを例示している。この
空気入りタイヤ1は、前記ビード部4、4間を跨るトロ
イド状のカーカス6と、トレッド部2の内方かつ前記カ
ーカス6のタイヤ半径方向の外側に配されたベルト層7
とを具える。
【0012】前記カーカス6は、カーカスコードをタイ
ヤ周方向に対して75゜〜90゜の角度で配列した1枚
以上(本例では1枚)のカーカスプライ6Aから形成さ
れる。カーカスコードとしては、ナイロン、ポリエステ
ル、レーヨン、芳香族ポリアミド等の有機繊維コードが
好適に採用できる。
【0013】またカーカス6は、トレッド部2からサイ
ドウォール部3をへてビード部4のビードコア5に至る
本体部6aと、その両側に連なりビードコア5の廻りで
タイヤ軸方向内側から外側に折り返されて係止される折
返し部6bとを有する。また前記ベルト層7は、ベルト
コードをタイヤ周方向に対して10゜〜35゜の角度で
傾斜配列した2枚以上、本例では2枚のベルトプライ7
A、7Bから形成される。各ベルトプライ7A、7B
は、ベルトコードがプライ間相互で交差して配されるこ
とによりタガ効果を発揮する。ベルトコードとしては、
スチールコードが好適であるが、例えば芳香族ポリアミ
ド繊維、芳香族ポリエステル繊維等の高弾性の有機繊維
コードも使用できる。
【0014】また前記カーカスプライ6Aの本体部6a
と折返し部6bとの間には、ビードコア5からタイヤ半
径方向外方に先細状にのびるビードエーペックスゴム8
が配されている。前記ビードエーペックスゴム8は、図
1及び図2に模式的に示すごとく、短繊維fによって補
強された繊維補強部9を含み、本例ではビードエーペッ
クスゴム8が繊維補強部9のみからなるものを例示して
いる。
【0015】前記短繊維fは、その長手方向Kがタイヤ
半径方向外側に向かってタイヤ周方向の先着側にかつタ
イヤ半径方向線Nに対して20〜70゜の角度θで傾け
て配向されている。なお図2において、タイヤの回転方
向(前進時)は、矢印Aで表されており、「タイヤ周方
向の先着側」とは、ある位置を基準として、その位置よ
りもこの矢印の指す側を意味している。また、短繊維f
は、微細な繊維であるため、物理的に全ての繊維が上述
の角度になるものではないため、本明細書では、配向さ
れた短繊維の90%以上が上記角度θの範囲に含まれて
いれば良いものとする。
【0016】図3にはタイヤの制動中の概念図を示す。
空気入りタイヤ1は、転動し図に示す車両進行方向へと
移動する場合、タイヤには走行中の慣性力Faとブレー
キ力Fbとが同時に作用し、この結果、制動中のタイヤ
1は地面GLとリムrとの間で矢印M方向の制動捻りを
受ける。そこで、本発明の空気入りタイヤ1では、上述
のようにビードエーペックスゴム8に短繊維fを配向す
ること、換言すればこの制動捻りの方向Mに沿って短繊
維fを配向することによって、この矢印M方向の捻りに
対する剛性を向上し、これがブレーキングスティフネス
の向上をもたらす。そしてブレーキングスティフネスの
向上によって、ピークμをABS作動時に頻度の高いス
リップ率の範囲へと移行させて制動性能を向上しうる。
【0017】なお従来より、図10(A)に示すよう
に、ビードエーペックスゴム8に短繊維fを配合するこ
とが提案されてはいるが、このものは短繊維fの長手方
向がタイヤ周方向に沿って配向されたもの(つまりθ=
90゜)であり、制動中に生じるビード部の制動捻りを
抑制しブレーキングスティフネスを向上することはでき
ない。また図10(B)に示すように、補強コードcを
有するプライpをビード部4に断面略U字状に配するこ
とも知られているが、このものでは生産性に劣りかつタ
イヤ重量の増加を招くため好ましくない。また本発明で
は、短繊維fが、タイヤ半径方向線N対して20〜70
゜の角度θで傾けて配向されているため、タイヤ半径方
向の縦バネ剛性などの増加を最小限に抑えることができ
る。従って、乗り心地の著しい悪化なども効果的に防止
しうる。
【0018】本実施形態では、空気入りタイヤ1の両側
のビードエーペックスゴム8をこのような繊維補強部9
により構成するが、いずれか一方のみもでよい。この場
合、制動性能に影響の大きい車両装着時に車両外側に位
置するビードエーペックスゴムに繊維補強部9を設ける
のが望ましい。
【0019】前記短繊維fは、例えばナイロン、ポリエ
ステル、アラミド、レーヨン、ビニロン、芳香族ポリア
ミド、コットン、セルロース樹脂、結晶性ポリブタジエ
ンなどの有機物の他、ボロン、グラスファイバー、カー
ボンファイバー等の無機材質なども用いることができ
る。そしてこれらは単独でも、又2種以上を組合わせて
使用することもできる。特に好ましくは、有機の短繊維
が好適である。
【0020】また前記短繊維fは、例えば平均繊維径が
1〜100μであって、平均長さが0.1〜5mm程度の
ものが望ましく、特に表面をフィブリル化したものが好
適である。短繊維fの平均繊維径が1μ未満或いは長さ
が0.1mm未満であると、短繊維fによるビードエーペ
ックスゴム8の制動捻りに対する剛性向上効果が低下
し、逆に短繊維fの平均繊維径が100μよりも大或い
は長さが5mmよりも大であると、短繊維fが大きくなり
すぎて周囲のゴムとの接着性が低下し耐摩耗性や耐クラ
ック性が低下しやすい。かかる観点より、短繊維の平均
繊維径は、3〜50μ、その長さは0.1〜3mmとする
ことが特に望ましい。
【0021】また短繊維fは、例えばゴム基材100重
量部に対して2〜30重量部、より好ましくは5〜20
重量部程度配合するのが望ましい。短繊維fの配合量が
2重量部未満では、制動捻りに対する剛性向上効果が低
下する傾向にあり、逆に30重量部を超えるとビードエ
ーペックスゴムの耐クラック性などが低下する傾向があ
る。なおビードエーペックスゴム8に用いるゴム基材と
しては、慣例に従いジエン系ゴムが好ましく、より具体
的には天然ゴム、イソプレンゴム、スチレンブタジエン
ゴム、ブタジエンゴム、クロロプレンゴム、アクリロニ
トリルブタジエンゴムなどの1種又は2種以上をブレン
ドして用いることができる。
【0022】また、短繊維fの長手方向Kが、タイヤ半
径方向外側に向かってタイヤ周方向の後着側に向く場
合、あるいは短繊維fの前記角度θが20゜未満または
70゜よりも大の場合、いずれも制動捻りに対するビー
ド部の剛性向上には寄与し得ない。特に好ましくは前記
角度θを45〜60゜とするのが好適である。
【0023】このような繊維補強部9は、例えば図4に
示すように、カレンダーロールを用いて製造することが
できる。公知のように、短繊維fを配合したゴム材料m
を一対のカレンダーロールR1、R2にて圧延加工した
場合、短繊維fの90%以上の長手方向が圧延方向Xに
沿うものとなる。そして、この圧延されたゴムシートi
を圧延方向Xに対して角度α(90゜−θ)で所定幅で
バイアス裁断したカット片iaを継ぎ合わせることによ
って、繊維補強部9をシート状で形成しうる。そして、
これをビードコア5の外面に沿って環状に張り付けする
ことにより繊維補強部9を形成できる。なお繊維補強部
9の断面を略三角形状とするためには、例えば高さが異
なるゴムシートiを積層して形状を整えることもでき
る。
【0024】なお特に限定はされないが、繊維補強部9
のタイヤ半径方向の高さHa(図1に示す)が小さすぎ
ると、ブレーキングスティフネスの向上が十分に得られ
ない場合があり、逆に大きすぎても他の諸性能の悪化等
を招くおそれがある。このような観点より、繊維補強部
9のタイヤ半径方向の高さHaは、タイヤ断面高さHの
20〜80%、より好ましくは40〜70%とするのが
望ましい。
【0025】また図5に示すように、ビードエーペック
スゴム8は、前記繊維補強部9と、短繊維fを含まない
非補強部10とを含んで構成することもできる。このよ
うなビードエーペックスゴム8では、繊維補強部9によ
る制動性能の向上と、非補強部10による良好な乗り心
地とをバランス良く両立するのに役立つ。
【0026】また本形態のビードエーペックスゴム8
は、軸方向でほぼ2分され、タイヤ軸方向内側を非補強
部10とし、タイヤ軸方向外側を繊維補強部9としてい
る。通常、制動時では、ビード部外面とリムフランジと
の間に大きな捻りが生じるため、本例のように、ビード
部4の外側を補強することによってビード部4のリムと
のスリップを効果的に防止して制動力を高める。また副
次的に操作安定性の向上も期待できる。なお、ビードエ
ーペックスゴム8の内側を補強部9としても良い。この
場合には、乗り心地の悪化をより防ぎつつ制動力を高め
るのに役立つ。
【0027】なお繊維補強部9は、短繊維fが配合され
たことにより、ゴムの耐クラック性、接着性という面で
は若干不利となる。従って、厚さが小となる繊維補強部
9の外端9tと非補強部10の外端10tとがタイヤ半
径方向の同高さで重なると、該外端部分では大きな屈曲
歪が作用し易いため、セパレーションやクラックなどが
生じるおそれがある。そこで本実施形態では、繊維補強
部9のタイヤ半径方向の外端9tを、非補強部10のタ
イヤ半径方向の外端10tよりも3〜10mm、より好ま
しくは5〜10mmの小距離hだけタイヤ半径方向の内方
に控えてビードエーペックスゴム8を形成することによ
り、該外端部分でのセパレーションなどの損傷を効果的
に防止し耐久性を維持している。
【0028】図6には、さらに本発明の他の実施形態を
示している。本実施形態のビードエーペックスゴム8
は、略一定の厚さのシート状をなす繊維補強部9と、こ
の両側に配された非補強部10A、10Bとから構成さ
れている。また繊維補強部9は、ビードエーペックスゴ
ム8の曲げ中心CLの近傍に配されたものを例示してい
る。「近傍」には、曲げ中心CL上に繊維補強部9の中
心線を一致させる場合の他、ビードエーペックスゴム8
の曲げ中心CLと繊維補強部9の中心線とのずれ量が5
mm以下の場合を包含する。このようなビードエーペック
スゴム8は、制動性能を高めつつ繊維補強部9によるビ
ード部4の曲げ剛性等の変化等を最小限に抑えることが
できる。従って、操縦安定性や乗り心地を悪化させるこ
となく制動性能の向上を図り得る。
【0029】また繊維補強部9をこのようなシート状で
形成する場合、制動時の捻りに対する剛性を高めるに
は、その厚さtを0.5〜4.0mm、より好ましくは
1.0〜3.0mmとするのが望ましい。なおこの形態に
おいても、繊維補強部9の外端9tは、非補強部10の
外端10tから前記小距離hをタイヤ半径方向内方に控
えて配されている。これにより繊維補強部9と非補強部
10との間でセパレーションを防止し耐久性を高めるの
に役立つ。
【0030】図7には、さらに本発明の他の実施形態を
示している。この実施形態のビードエーペックスゴム8
は、前記繊維補強部9のみからなり、かつタイヤ半径方
向外側に向かって厚さが減少するとともに、厚さの減少
率をタイヤ半径方向の外側で小としたものを例示してい
る。このものでは、捻り剛性以外の性能への関与を減じ
ることができる。つまり、他の性能に変化を与えること
なく制動性能を向上するのに役立つ。
【0031】ここで、「厚さの減少率がタイヤ半径方向
の外側で小になる」とは、ビードエーペックスゴム8の
厚さの中心線8CL上かつ該中心線8CLに沿った一定
長さBを隔てる各位置での前記中心線8CLと直角なビ
ードエーペックスゴム厚さt1、t2、t3、…の比
(t1/t0)、(t2/t1)、(t3/t2)、…
(tm+1/tm)が、下記の関係を満たすことを言
う。 t1/t0<t2/t1<t3/t2<…<tm+1/
tm なお前記長さBは、例えば3〜5mm程度で設定される。
特に好ましくは、図7(B)に略示する如く、ビードコ
ア5の外面からビードエーペックスゴム8の高さhaの
1/3高さにおけるビードエーペックスゴムの厚さts
が、厚さの減少率を一定とした場合の仮想厚さtpの
0.9倍よりも小、より好ましくは0.6倍よりも小、
さらに好ましくは0.4倍よりも小かつ0.2倍以上で
あることが望ましい。
【0032】以上詳述したが、本発明は、高扁平かつ1
7インチ以下の小径のリムに装着される空気入りタイヤ
に適用するとその効果がより顕著に現れる。
【0033】
【実施例】(試験1)表1の仕様に基づきタイヤサイズ
が185/70R14の乗用車用ラジアルタイヤを試作
し、タイヤ重量、制動時の捻る対する剛性、ブレーキン
グスティフネス、乗り心地、耐久性についてテストし
た。なおHa/H=0.45とした。テストの方法は次
の通りである。
【0034】<タイヤ重量>タイヤ1本当たりの重量を
測定し、従来例を100とする指数で表示している。指
数は小さい方が良好である。
【0035】<制動捻りに対する剛性>タイヤを6J×
14のリムに内圧200kPAでリム組みし、タイヤト
レッド部全周を固定した状態でリムにトルクを与えたと
きの反力を測定した。評価は従来例の反力を100とす
る指数で表示した。数値が大きいほど良好である。
【0036】<ブレーキングスティフネス>μ−s曲線
からその立ち上がりの勾配を求め、従来例を100とす
る指数で表示している。数値が大きいほど良好である。
なおμ−s曲線は、供試タイヤをリム(6J×14)に
リム組みし、かつ内圧(200kPa)を充填するとと
もに自走式のトラクション試験車に、該試験車の車輪と
は別の第5輪として、かつ特定の荷重と制動力を付加す
ることができる治具を介して取り付ける。そしてこの試
験車でアスファルト路面を一定速度で直進走行したとき
に試験タイヤに制動をかけて、路面とのスリップ率、タ
イヤに発生する前後力、車輪速度などを測定及び演算に
より求める。また試験車の走行速度は64km/Hと
し、供試タイヤへの制動はタイヤの自由転動からロック
まで1秒になるようにして行う。そして、その間の4
(msec)毎に、供試タイヤに作用する縦荷重、前後力と
制動力を例えばロードセルで、また試験車速度と車輪速
度はパルスセンサなどの各種センサを用いて測定する。
【0037】<乗り心地>排気量1800cm3 の国産F
F車に、試験タイヤを4輪装着し、ドライアスファルト
路面の段差路、ベルジャソ路(石畳の路面)、ビッツマ
ン路(小石を敷き詰めた路面)等において、ゴツゴツ
感、突き上げ、ダンピングに関して官能評価を行い、従
来例を100とする指数で表示した。数値が大きいほど
良好である。
【0038】<耐久性>ドラム耐久試験を行い、タイヤ
が破壊するまでの走行距離を求めた。結果は、従来例を
100とする指数で表示した。数値が大きいほど良好で
ある。なお条件は、次の通りである。 内圧:190kPa リムサイズ:5.5J×14 縦荷重:6.34KN ドラム径:1707mm 走行速度:80km/H テストの結果を表1に示す。
【0039】
【表1】
【0040】テストの結果、実施例のものは、いずれも
ブレーキングスティフネスを高めていることが確認でき
る。従って、制動性能、特にABSにより適した制動性
能を発揮できる。
【0041】(試験2)次に、実施例1と従来例とをA
BSを装備した乗用車にそれぞれ装着し、速度60km
/Hからのフルロック制動テストを行い性能を比較し
た。なお各タイヤともビードエーペックスゴム以外の構
成は同一である。フルロック制動テストは、速度60km
/Hからブレーキペダルを思いっきり踏み込んで制動さ
せ、ブレーキペダル踏み込みから車両の停止までの時間
を測定した。テストは、各タイヤともそれぞれ10回づ
つ行い、従来例の平均時間を100とする指数で表示し
た。数値が小さいほど良好である。テストの結果を表2
に示す。
【0042】
【表2】
【0043】テストの結果、実施例のものは、従来例に
比べて停止に要する時間(即ち制動距離)を短縮してい
る。これにより、本発明タイヤをABS装着車両に取り
付けたときの制動性能の優位性が確認できる。
【0044】
【発明の効果】上述したように、請求項1記載の発明で
は、ビードエーペックスゴムが短繊維によって補強され
た繊維補強部を含むとともに、短繊維の長手方向がタイ
ヤ半径方向外側に向かってタイヤ周方向の先着側にかつ
タイヤ半径方向線に対して一定の角度で傾けたことによ
り、制動時にビード部に生じる捻りに対する剛性を高め
る。従って、ブレーキングスティフネスを向上し、制動
性能を高めうる。とりわけ制動中のスリップ率が低いA
BS装着車において、より優れた制動性能を発揮でき
る。
【0045】また請求項2記載の発明のように、ビード
エーペックスゴムは、繊維補強部と、短繊維を含まない
非補強部とを含むときには、繊維補強部による制動性能
の向上と、非補強部による良好な乗り心地とをバランス
良く両立するのに役立つ。
【0046】また請求項3記載の発明のように、繊維補
強部を略一定の厚さのシート状とし、かつビードエーペ
ックスゴムの曲げ中心の近傍に配したときには、制動性
能を高めつつ繊維補強部によるビード部の曲げ剛性等の
変化等を最小限に抑えることができる。従って、操縦安
定性や乗り心地を悪化させることなく制動性能の向上を
図り得る。
【0047】また請求項4記載の発明のように、ビード
エーペックスゴムは、繊維補強部のみからなり、かつタ
イヤ半径方向外側に向かって厚さが減少するとともに、
厚さの減少率をタイヤ半径方向の外側で小とした場合に
は、捻り剛性以外の性能への関与を減じることができ
る。つまり、他の性能に変化を与えることなく制動性能
を向上するのに役立つ。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態を示す空気入りタイヤの断面
図である。
【図2】ビードエーペックスゴムの一例を示す斜視図で
ある。
【図3】制動中のタイヤの部分側面図である。
【図4】繊維補強部を製造する一例を示す斜視図であ
る。
【図5】ビードエーペックスゴムの他の例を示す斜視図
である。
【図6】ビードエーペックスゴムの他の例を示す断面図
である。
【図7】ビードエーペックスゴムの他の例を示す断面図
である。
【図8】ABSのスリップ率の頻度を示すグラフであ
る。
【図9】μ−s曲線の一例を示すグラフである。
【図10】(A)、(B)は従来のビード部の補強構造
を示す断面図である。
【符号の説明】
1 空気入りタイヤ 2 トレッド部 3 サイドウォール部 4 ビード部 5 ビードコア 6 カーカス 7 ベルト層 8 ビードエーペックスゴム 9 繊維補強部 10 非補強部 f 短繊維 K 短繊維の長手方向

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ビード部に、ビードコアと、このビードコ
    アの外面からタイヤ半径方向外側にのびるビードエーペ
    ックスゴムとを具えた空気入りタイヤであって、 前記ビードエーペックスゴムは、短繊維によって補強さ
    れた繊維補強部を含むとともに、 前記短繊維は、その長手方向がタイヤ半径方向外側に向
    かってタイヤ周方向の先着側にかつタイヤ半径方向線に
    対して20〜70゜の角度で傾くことを特徴とする空気
    入りタイヤ。
  2. 【請求項2】前記ビードエーペックスゴムは、前記繊維
    補強部と、短繊維を含まない非補強部とを含むことを特
    徴とする請求項1記載の空気入りタイヤ。
  3. 【請求項3】前記繊維補強部は、略一定の厚さのシート
    状をなし、かつビードエーペックスゴムの曲げ中心の近
    傍に配されてなる請求項2記載の空気入りタイヤ。
  4. 【請求項4】前記ビードエーペックスゴムは、前記繊維
    補強部のみからなり、かつタイヤ半径方向外側に向かっ
    て厚さが減少するとともに、厚さの減少率をタイヤ半径
    方向の外側で小としたことを特徴とする請求項1記載の
    空気入りタイヤ。
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