JP2004057931A - 廃棄有機物の分解処理装置およびこの分解処理装置を備えたトイレ - Google Patents

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Toshihiro Kitsui
橘井 敏弘
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Abstract

【課題】電気や燃料に頼らない分解処理装置の作動。
【解決手段】使用者自身の力を攪拌部3の駆動力として伝達する駆動手段4を備える。
【選択図】図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、人や家畜の糞尿、生ゴミなどの廃棄有機物の分解処理装置およびこの分解処理装置を用いたトイレに関する。
【0002】
【従来の技術】
人や家畜の糞尿、生ゴミなどの廃棄有機物を処理するために、おが屑中に糞尿や生ゴミを導き入れて、おが屑と糞尿・生ゴミともども攪拌して微生物により分解処理する装置が開発されている。
この装置は、高齢者や身障者が使用する介護用トイレや、山中あるいは各種のイベントや緊急災害などで臨時に設置される仮設トイレとして利用されたり、一般住宅用から業務用等の生ごみ処理用として利用されたりしている。
特に、この分解処理装置をトイレとして用いた場合には、微生物による分解であるため水が不要であるとともに、臭気も抑制される。
そして、糞尿や生ゴミの分解処理物は堆肥や土壌改良材として有効利用することができる。
このように、数々の優れた効果を有していることから、現在では、広く普及させるために、国および各自治体や各団体共に努力している。
【0003】
ところで、現状の分解処理装置は、処理層内に装備された攪拌部の駆動回転が電動モーターによるものが主流であって、設置する場合には電源が必要不可欠である。
そのため、例えば、分解処理装置を用いたトイレを、電気が無い場所に設置する場合には、別途電気設備工事を要している。
イベントや緊急災害などで一時的に設置される仮設トイレであれば、燃料で作動する発電機を用いて電動モーターを作動させることができるが、山頂および登山道あるいは林道等に、ほぼ永久的に設置するような場合には、大掛かりな電気設備工事が必要であるし、この設備の定期的なメンテナンスも必要となる。
したがって、分解処理装置を備えたトイレは、前記したように極めて有意義なものではあるものの、このトイレを1台でも設置すれば、これを作動させるための設備が必要であるため、設置コストの面はもちろんのこと、電気設備によって景観を損ねたり、動植物に影響を与えたりする可能性があって、これらの理由が普及の障害になっている。
このため、多くの場所において糞尿垂れ流しが行われ、周辺環境や自然環境の破壊が社会問題視されている事実もある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
そこで本発明は、電気や燃料に頼らない分解処理装置の作動を課題とし、この課題を解決した分解処理装置およびこの装置を用いたトイレの提供を目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は前記した課題を達成するために、下記の技術的手段を採用した。
その技術的手段は、図示するように、廃棄有機物を入れるための開口部31を有する処理槽3の内側に、回転可能に装備された攪拌部3の駆動回転が、使用者自身の力を攪拌部3の駆動力として伝達する駆動手段4によって行われることを特徴とする分解処理装置2にしたことである。(請求項1)
請求項1の発明によれば、使用者自身の力(手動、足動)で分解処理装置1を作動させることができる。
したがって、電気が無い場所においても電気設備の設置工事や発電機の必要が無いので、設置コストやメンテナンスコストを大幅に削減できる。
【0006】
【発明の実施の形態】
使用者自身の力とは、使用者の腕の力や足の力であるが、力が強い足の力を攪拌部3の駆動力とする(請求項2)ことが好適である。
駆動手段4は、使用者自身の力を攪拌部3に伝達可能な態様のものを包含し、攪拌部を回転させる手段として、例えば、攪拌部の回転軸を処理槽外に延長し、延長した部分を折り曲げたり、当該部分にハンドルを取付けて入力部を構成し、このような入力部を手や足で回転させる(入力する)ことによって、攪拌部を回転させるようにした直接伝達式が挙げられる。(図示せず)
また、図示するように、入力部5と、当該入力部5と攪拌部3とに亘って装備された動力伝達手段6とから構成(請求項3)した間接伝達式が挙げられる。
【0007】
直接伝達式の動力伝達手段では、前記したように入力部が攪拌部における回転軸の軸線上で直結形態となることから、駆動手段の配設場所が限定されるし、ねじりトルクの関係上、回転軸の長さも限られるため、設計やレイアウトの自由度が狭い。
対して、間接伝達式の動力伝達手段は、例えば、歯車列あるいは図示する無限軌道式(請求項4)のように、入力部5が攪拌部3の回転軸34の軸線から外れた場所にあっても動力の伝達ができるものであるので、設計やレイアウトの自由度が広い。
特に、限られた場所に設置される仮設トイレをコンパクトに構成する際に極めて大きな効果がある。
【0008】
さらに、直接伝達式では、攪拌部の回転抵抗力のすべてが使用者の腕や足に作用し、その抵抗力の強さによっては、攪拌部を回転させるために極めて大きな力を要することになる。
対して、歯車列あるいは無限軌道式であれば、回転比を変更することで、小さな力で攪拌部3を回転させることが可能であるので、例えば、使用対象者に応じて入力する力を大小設定することができる。
ここでいう無限軌道式とは、チェーン66,67やベルトを、入力部5と同一体回転する巻掛け体(ギア、スプロケット、プーリー)と、攪拌部と同一体回転する巻掛け体に亘って巻掛けてなるものである。(図3,図4参照)
この場合、変速機を用いて、使用者自らが回転比を変更するようにしても良いものである。
【0009】
前記したように、直接伝達式よりも間接伝達式が機能的に優れてはいるものの、本発明では間接伝達式に限定するものではない。
両伝達式の使い分けとしては、例えば、大型の分解処理装置である場合には、攪拌部が大型でおが屑の量も多く、使用者に作用する回転抵抗力が大きくなるということから間接伝達式が適している。
ちなみに、この場合では、大きな力を発生できる足動式が適している。
また、小型の分解処理装置では、攪拌部が小型でおが屑の量も少なく、使用者に作用する回転抵抗力が小さくなうということから、使用者に体力的な負担を掛けることが無く、構成的にも簡単である直接伝達式で良い。
ちなみに、この場合では、手動式でも難なく操作できるし、小型の分解処理装置に間接伝達式を採用した場合には、手動における操作性を向上させることができる。
このように、分解処理装置の大小によって両伝達式および手動・足動を使い分けができ、また、他の理由によっても使い分けることも任意である。
【0010】
そして、前記請求項1ないし請求項4いずれか1項に記載の分解処理装置を備えたトイレ1(請求項5)は、前記した優れた効果を有する。
つまり、電気が無い場所においても電気設備の設置工事や発電機の必要が無いので、設置コストやメンテナンスコストを大幅に削減し、周辺の景観を損ねることや動植物への悪影響も無い。
その上、トイレの設計自由度の拡大、使用性の向上等の優れた効果を有するトイレである。
したがって、富士山における糞尿垂れ流しに代表されるような周辺環境や自然環境の破壊問題を低コストで解決することができるので、分解処理型のトイレの普及に大きく貢献することができる。
【0011】
【実施例】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。
なお、本実施例では、本発明の分解処理装置を用いたトイレを例示して説明する。
また、本実施例では、入力部を足動式として説明する。
【0012】
本実施例のトイレ1は、室内に糞尿をおが屑共々攪拌して分解する分解処理装置2を備えている。
分解処理装置2は、上面の開口部31上に便座32を、内側に攪拌部33を夫々備えた処理槽3と、攪拌部33を駆動回転させるための駆動手段4とからなる。
【0013】
処理槽3は、攪拌部33を含めて基本的には周知のものであるので詳述はしないが、ちなみに、処理槽3の長手方向に沿って攪拌部33が回転可能に支持され、その攪拌部33は、回転軸34周りに略スクリュー状の攪拌ブレード35を装備してなる。
【0014】
駆動手段4は、自転車のペダル構造を利用した入力部5と、当該入力部5と処理槽3の側壁から外方へ突出させた攪拌部33の回転軸34に亘って配設された動力伝達手段6とからなる。
【0015】
入力部5は、自転車と同様のフレーム51の左右に回転可能に支持されたペダル52である。
フレーム51には、ペダルの上方にサドル53を、サドル53の前方にハンドル54が備えられていて、自転車に乗るように、使用者はサドル53に座るとともに、ハンドル54を握った状態で、足でペダル52をこいで攪拌部33を回転させるようになっている。
【0016】
本実施例の動力伝達手段6は無限軌道式のものである。
詳述すると、ペダル52と同一体回転するスプロケット61と、当該スプロケットの回転軸線と平行状に配設した回転軸62と、当該回転軸と同一体回転するように回転軸の両端に配設されたスプロケット63,64と、前記処理槽3の外側に位置する回転軸34と同一体回転するスプロケット65を備える。
そして、前記スプロケット61とスプロケット63に亘ってチェーン66を巻掛けるとともに、スプロケット64とスプロケット65に亘ってチェーン67を巻掛けて構成してある。
前記スプロケット61の歯数はスプロケット63の歯数よりも少ないものであり、この構成にすることによって、小さい力で攪拌部33を回転させるようにしている。
【0017】
前記したような構成とするトイレ1は、使用者が排泄後に自ら、ペダル52をこぐ。
すると、ペダル52から入力された使用者自身の足の力は、前記した構成の動力伝達手段6を介して回転軸34に伝達されて攪拌部33を回転させる。
そして、攪拌部33の回転によって、排泄された糞尿とおが屑とが攪拌されて糞尿が分解される。
【0018】
なお、前記した実施例では、分解処理装置をトイレに用いた構成で例示し、例えば、電気の無い山中等で使用する仮設トイレとして極めて効果的なものであるが、これ以外の分解処理装置の使用例として、一般家庭用のトイレに用いても良いし、生ゴミやペットの糞等の分解処理装置として使用しても良い。
前記した実施例の構成とする分解処理装置を、一般家庭用のトイレまたは一般家庭用の生ゴミやペットの糞等の分解処理装置として使用する場合においては、電気代の節約にもなる上に、攪拌作業が自転車こぎ運動となる。
したがって、トイレの糞尿および生ゴミやペットの糞等の分解処理を行いながら、トレーニングも行えるので、経費節減および環境保全に加えて、使用者自らの健康を保つとともに、体力増進のためにおいても極めて有意義なものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の廃棄有機物の分解処理装置を用いたトイレの平面横断面図。
【図2】同、縦断面図。
【図3】要部拡大図。
【図4】図3の平面図。
【符号の説明】
1:トイレ
2:分解処理装置
3:処理槽
31:開口部
4:駆動手段
5:入力部
6:動力伝達手段

Claims (5)

  1. 廃棄有機物を入れるための開口部を有する処理槽の内側に、回転可能に装備された攪拌部の駆動回転が、使用者自身の力を攪拌部の駆動力として伝達する駆動手段によって行われることを特徴とする分解処理装置。
  2. 使用者の足の力を攪拌部の駆動力とする請求項1に記載の分解処理装置。
  3. 駆動手段が、入力部と、当入力部と攪拌部とに亘って装備された動力伝達手段とから構成されたものであることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の分解処理装置。
  4. 動力伝達手段が、無限軌道式の構成であることを特徴とする請求項3に記載の分解処理装置。
  5. 請求項1ないし請求項3いずれか1項に記載の分解処理装置を備えたことを特徴とするトイレ。
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