JP2004057842A - 地熱熱水の処理方法及び地熱熱水の処理装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】硫化水素選択性吸着剤が充填された吸着塔の前方より、硫化水素を含有する二酸化炭素を主成分とする不凝結ガスを相対的高圧で供給し、当該吸着塔後方より残ガスを放出する吸着工程と、吸着工程終了後の吸着塔を相対的に低圧に導き、かつ、吸着塔後方から上記の残ガスを向流にパージして吸着塔前方から減容濃縮した硫化水素を回収する脱着工程と、脱着工程から回収された濃縮硫化水素を含有する不凝結ガスを地熱熱水に吸収させて地熱熱水のpHを7以下にする吸収工程と、前記吸収工程で未吸収の硫化水素を前記吸着塔の前方に導いて前記不凝結ガスに混合する回収工程とを少なくとも具備してなることを特徴とする地熱熱水の処理方法を採用する。
【選択図】 なし
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、地熱発電プラント等から排出される地熱熱水を地下に還元する際に、硫化水素を含有する二酸化炭素を主成分とした不凝結ガスを利用して地下の透水層でのシリカの析出を防止する技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、地熱発電プラント等の動力源として、地熱井から噴出する地熱流体を汽水分離して得られた蒸気が用いられている。使用済みの蒸気には、水蒸気の他に二酸化炭素、硫化水素(H2S)等の不凝結ガスが含まれている。H2Sは有毒性が高いため、プラント外に漏出させることなく適正に処理することが求められている。
【0003】
そこで最近では、エタノールアミン溶液にH2Sを含む不凝結ガスを相対的低温で接触させてエタノールアミン溶液にH2Sを吸収させた後、エタノールアミン溶液を相対的高温に導いてH2Sを濃縮して回収する液相吸収法が一般的になっている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし従来の液相吸収法は湿式法であるため、エタノールアミン溶液の系外への離散、エタノールアミン溶液の劣化に対する補充、周辺機器部材の腐食等の問題が発生し、ユーティリティコストが高くなるという問題があった。
【0005】
そのため、従来の別の方法として、使用済みの蒸気中のH2Sを酸化してSO3とし、更にこのSO3を水に接触させて硫酸(H2SO4)とし、この硫酸を、地熱流体の汽水分離の際に得られた地熱熱水に添加し、当該地熱熱水を地下に還元する方法が知られている。この方法によれば、H2Sを環境中に放出させることなく硫酸の形態で地下に還元することが可能であるとともに、硫酸の添加により地熱熱水のpHを7以下にして地熱熱水に含まれるシリカの析出を抑制し、地下透水層の透水性の劣化防止が可能となる。
しかしこの方法では、H2Sを硫酸にする工程が煩雑になり、ユーティリティコストが高くなるという問題があった。
【0006】
更に、H2Sを含む不凝結ガスを高圧で地熱熱水とともに地下に還元する方法も知られている。
しかし、この方法では、H2Sを含む不凝結ガスを高圧まで圧縮する必要があり、ユーティリティコストが高くなるという問題が依然として存在していた。
また、高圧で還元したH2Sの一部が地下で分離し、環境中に再放出されるおそれもあった。
【0007】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、ユーティリティコストが低く、H2Sが環境中に再放出されるおそれのない地熱熱水の処理方法及び地熱熱水の処理装置を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、本発明は以下の構成を採用した。
本発明の地熱熱水の処理方法は、硫化水素選択性吸着剤が充填された吸着塔の前方より、硫化水素を含有する二酸化炭素を主成分とする不凝結ガスを相対的高圧で供給し、当該吸着塔後方より残ガスを放出する吸着工程と、吸着工程終了後の吸着塔を相対的に低圧に導き、かつ、吸着塔後方から上記の残ガスを向流にパージして吸着塔前方から減容濃縮した硫化水素を回収する脱着工程と、脱着工程から回収された濃縮硫化水素を含有する不凝結ガスを地熱熱水に吸収させて地熱熱水のpHを7以下にする吸収工程と、前記吸収工程で未吸収の硫化水素を前記吸着塔の前方に導いて前記不凝結ガスに混合する回収工程とを少なくとも具備してなることを特徴とする。
【0009】
本発明の地熱熱水の処理方法によれば、吸収工程で未吸収の硫化水素を、回収工程により吸着工程及び脱着工程に再送するので、系外に排出される硫化水素は吸着工程で吸着塔後方より放出される残ガスに含まれる微量の硫化水素のみとなり、硫化水素の大部分を地熱熱水に吸収させることができる。これにより、本発明の地熱熱水の処理方法を脱硫方法として用いることができる。
また、吸着工程及び脱着工程により減容濃縮した高濃度の硫化水素を地熱熱水に吸収させるため、地熱熱水の単位量当たりに対する硫化水素の吸収量を大きくすることができる。
更に、硫化水素を含む不凝結ガスを地熱熱水に吸収させることで地熱熱水のpHを7以下にするので、地熱熱水中に含まれるシリカの析出を防止することができ、流路内でのシリカスケールの発生を防いで流路の詰まりを防止できる。
【0010】
また本発明の地熱熱水の処理方法は、先に記載の地熱熱水の処理方法であり、前記地熱熱水は、地熱井から噴出する硫化水素を含む地熱流体を汽水分離して得られたものであることを特徴とする。
係る地熱熱水の処理方法によれば、地熱流体を汽水分離して得られた地熱熱水を用いるので、地熱井から噴出する地熱流体のほぼ全部を処理することができる。
【0011】
また本発明の地熱熱水の処理方法は、先に記載の地熱熱水の処理方法であり、吸収工程後の前記地熱熱水を還元井に送ることを特徴とする。
pHが7以下となった地熱熱水を還元井に送るため、還元井の地下にある透水層でのシリカスケールの発生を防止することができ、透水層の詰まりを防止して還元井の寿命を長くできる。
【0012】
次に本発明の地熱熱水の処理装置は、硫化水素を含有する不凝結ガスを減容濃縮して硫化水素を回収する濃縮手段と、該濃縮手段により減容濃縮された硫化水素を含む不凝結ガスを地熱熱水に吸収させて地熱熱水のpHを7以下にする吸収手段と、前記吸収手段で未吸収の硫化水素を前記濃縮手段の前方に導いて前記不凝結ガスに混合する回収手段とを少なくとも具備してなることを特徴とする。
【0013】
係る地熱熱水の処理装置によれば、吸収手段で未吸収の硫化水素を、回収手段により濃縮手段の手前に再送するので、系外に排出される硫化水素は 濃縮手段で放出される残ガスに含まれる微量の硫化水素のみとなり、硫化水素の大部分を地熱熱水に吸収させることができる。これにより、本発明の地熱熱水の処理装置を脱硫装置として用いることができる。
また、濃縮手段により減容濃縮した高濃度の硫化水素を地熱熱水に吸収させるため、地熱熱水の単位量当たりに対する硫化水素の吸収量を大きくすることができる。
更に、硫化水素を含む不凝結ガスを地熱熱水に吸収させて地熱熱水のpHを7以下にするので、地熱熱水中に含まれるシリカの析出を防止することができ、処理装置の流路内でのシリカスケールの発生を防いで流路の詰まりを防止できる。
また地熱熱水を還元井に送った場合でも、還元井の地下にある透水層でのシリカスケールの発生を防止することができ、透水層の詰まりを防止して還元井の寿命を長くできる。
【0014】
また本発明の地熱熱水の処理装置は、先に記載の地熱熱水の処理装置であり、前記濃縮手段は、硫化水素選択性吸着剤が充填された2以上の吸着塔と、前記の各吸着塔の前方入口側に接続された加圧ポンプと、前記の各吸着塔の後方に接続された排気口と、1の吸着塔後方から放出された残ガスを他の吸着塔後方に送るバイパス流路と、前記の各吸着塔の前方出口側に接続された減圧ポンプとが少なくとも備えられてなることを特徴とする。
【0015】
係る地熱熱水の処理装置によれば、硫化水素を含む不凝結ガスを圧力スイング法により減容濃縮することで高濃度の硫化水素を得ることができ、この高濃度の硫化水素を地熱熱水に吸収させることで吸収率を向上させ、地熱熱水の単位量当たりに対する硫化水素の吸収量を大きくすることができる。
【0016】
また本発明の地熱熱水の処理装置は、先に記載の地熱熱水の処理装置であり、前記吸収手段は、未吸収の硫化水素を排出する排出部を備えた吸収塔と、前記吸収塔の上部に配置されて前記地熱熱水を前記吸収塔に送る熱水ポンプと、前記吸収塔の下部に配置されて前記濃縮手段からの硫化水素を前記吸収塔内に送る送風機とを具備してなり、前記吸収塔内において前記硫化水素を地熱熱水に対して向流接触させるように構成されたことを特徴とする。
【0017】
係る地熱熱水の処理装置によれば、硫化水素を前記吸収塔内の地熱熱水に対して向流接触させるように構成されているので、硫化水素の吸収量を高くすることができる。
また、濃縮手段により硫化水素が高濃度に濃縮されているので、地熱熱水の単位量に対する硫化水素の吸収量をより高くすることができる。
【0018】
また本発明の地熱熱水の処理装置は、先に記載の地熱熱水の処理装置であり、前記回収手段は、前記吸収塔の排出部から前記吸着塔の前方の間に接続された流路からなることを特徴とする。
【0019】
係る地熱熱水の処理装置によれば、前記吸収塔の排出部から前記吸着塔の前方の間に接続された流路が備えられ、吸収手段で未吸収の硫化水素を、上記の流路により濃縮手段手前まで再送するので、系外に排出される硫化水素は 濃縮手段で放出される残ガスに含まれる微量の硫化水素のみとなり、硫化水素の大部分を地熱熱水に吸収させることができる。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
図1に本実施形態の地熱熱水の処理装置の構成を示す。図1に示すように、本実施形態の地熱熱水の処理装置1は、硫化水素を含有する不凝結ガスを減容濃縮して硫化水素を回収する濃縮手段2と、この濃縮手段2により減容濃縮された硫化水素を地熱熱水に吸収させて地熱熱水のpHを7以下にする吸収手段3と、吸収手段3で未吸収の硫化水素を濃縮手段2の前方に導いて前記不凝結ガスに混合する回収手段4とを少なくとも具備して構成されている。また、吸収手段3は、地下の還元井に接続されている。
更に、地熱熱水の処理装置1の前方には、地熱発電プラント5が配置されている。
【0021】
地熱発電プラント5には、地熱井51から噴出する硫化水素を含む地熱流体を地上に導く流路52と、流路52の下流側に接続された汽水分離器53と、汽水分離器53で分離された蒸気が導入されて作動するタービン54と、タービン54から排出された蒸気を冷却凝縮して水にする凝縮器55と、汽水分離器53で蒸気から分離された地熱熱水を吸収手段3に送る流路56と、凝縮器55で生じた不凝結ガスを濃縮手段2に送る流路57とが備えられている。
【0022】
汽水分離器53では、地熱井51から導入された地熱流体を、高温の蒸気と地熱熱水とに分離する。分離された蒸気には、水蒸気の他に、硫化水素、二酸化炭素等の火山性ガスが通常含まれている。
汽水分離器53で分離された高温の蒸気はタービン54に送られてタービン54を作動させた後、比較的低温の蒸気となって排出される。
排出された蒸気は凝縮器55に送られ、蒸気中の水蒸気が常圧下で冷却水と熱交換されて温水となる。温水はポンプ53aを介してクーリングタワー58に送られ、冷却用の冷却水となる。
タービンから排出された蒸気に含まれる成分のうち、常圧で凝縮されない硫化水素、二酸化炭素等が不凝結ガスとして凝縮器55から排出され、流路57を経て濃縮手段2に送られる。
不凝結ガスに含まれる硫化水素の濃度は、通常、数体積%程度である。
【0023】
濃縮手段2は、いわゆる圧力スイング法が適用可能な濃縮装置2aであり、図1に示すように、硫化水素選択性吸着剤が充填された2つの吸着塔11a、11bと、各吸着塔11a、11bの前方入口側に接続された加圧ポンプ12と、各吸着塔11a、11bの後方に接続された排気口13と、いずれか一方の吸着塔11a(または11b)の後方から放出された残ガスをいずれか他方の吸着塔11b(または11a)の後方に送るバイパス流路14と、各吸着塔11a、11bの前方出口側に接続された減圧ポンプ15とが少なくとも備えられている。
【0024】
吸着塔11a、11bには、硫化水素選択性吸着剤が充填されている。硫化水素選択性吸着剤は、例えば、SiO2/Al2O3比が100以上のペンタシルゼオライト、超安定Y型ゼオライト、メソポーラスシリカ等を例示できる。
【0025】
バイパス流路14には、バルブ14a、14b、14c、14dと流量制御バルブ14eが設けられている。
例えば、吸着塔11aから残ガスを排気口13へ排出する場合はバルブ14b、14c及び14dを「閉」にし、バルブ14aを「開」とする。
また吸着塔11bから残ガスを排気口13へ排出する場合はバルブ14a、14b及び14dを「閉」にし、バルブ14cを「開」とする。
更に、吸着塔11aから残ガスを吸着塔11bに送る場合は、バルブ14b、14cを「閉」にし、バルブ14a、14dを「開」とし、更に流量制御バルブ14eを調整して残ガスの流量を制御する。
【0026】
また、各吸着塔11a、11bの前方には、不凝結ガス流入路16と濃縮ガス流出路17が接続されている。不凝結ガス流入路16は吸着塔11a、11bと加圧ポンプ12とを連結し、濃縮ガス流出路17は吸着塔11a、11bと減圧ポンプ15とを連結している。
不凝結ガス流入路16は吸着塔11a、11bの手前で二手に分岐しており、吸着塔11a側の分岐路にバルブ16aが設けられ、吸着塔11b側の分岐路にはバルブ16bが設けられている。
【0027】
また、濃縮ガス流出路17は、各吸着塔11a、11bからそれぞれ延びる枝流路が途中で1つの流路に合流してなるもので、吸着塔11a側の枝流路にバルブ17aが設けられ、吸着塔11b側の枝流路にはバルブ17bが設けられている。
また、濃縮ガス流出路17の各枝流路が、吸着塔11a、11bの直前で、不凝結ガス流入路16の各分岐路にそれぞれ連結されている。
更に吸着塔11a、11bは、バイパス流路18により連結されている。バイパス流路18の吸着塔11a寄りにバルブ18aが設けられ、吸着塔11b寄りにはバルブ18bが設けられている。
【0028】
以上の構成により、各バルブ16a〜18bを適宜作動させることで、不凝結ガスをいずれか一方の吸着塔に送ったり、いずれか一方の吸着塔に吸着させた硫化水素を減圧ポンプ15側に導いたりできるようになっている。
即ち、不凝結ガスを吸着塔11aに送る場合はバルブ16aのみを「開」とし、不凝結ガスを吸着塔11bに送る場合はバルブ16bのみを「開」とする。
また吸着塔11aに不凝結ガスを送りつつ、吸着塔11bに吸着された硫化水素を減圧ポンプ15で減圧排気する場合は、バルブ16a、17bを「開」とし、バルブ16b、18a、18bを「閉」とする。
【0029】
上記の濃縮手段2により、不凝結ガス中の数体積%程度の硫化水素を減容濃縮して、硫化水素濃度を数十体積%まで高めることが可能である。
【0030】
次に吸収手段3は、排出部31aを備えた吸収塔31と、吸収塔31の上部に配置されて地熱発電プラントの流路56から導かれた地熱熱水を吸収塔31に送る熱水ポンプ32と、吸収塔31の下部に配置されて濃縮手段2からの硫化水素を吸収塔31内に送る送風機33とから構成されている。
吸収塔31内では、吸収塔31に導入された地熱熱水が上部から下部に向けて流れ、硫化水素が吸収塔31の下部から上部に向けて流れる。このように、高濃度の硫化水素含む不凝結ガスを地熱熱水に対して向流接触させることで、地熱熱水に硫化水素を効率良く吸収させることができる。
また、地熱熱水に未吸収の硫化水素は、吸収塔31の排気部31aから塔外に排出される。
更に、硫化水素を吸収した地熱熱水は、吸収塔31の下部から排出され、流路34に導かれて還元井35に送られる。
【0031】
回収手段4は、吸収塔31の排出部31aと流路57を連結する流路41であり、排気部31aから排出された未吸収の硫化水素を含む不凝結ガスを流路57に送るものである。流路57を介して送られた硫化水素は不凝結ガスとともに再び濃縮手段2である濃縮装置2aに送られる。
【0032】
次に上記の処理装置1による地熱熱水の処理方法について説明する。
まず、地熱井51から噴出した硫化水素を含む地熱流体を流路52を介して地上に導き、汽水分離器53に送る。汽水分離器53では、地熱流体を高温の蒸気と地熱熱水に分離する。分離された蒸気には、水蒸気の他に、硫化水素、二酸化炭素等の火山性ガスが通常含まれている。この蒸気は、タービン54に送られてタービン54を作動させた後、比較的低温の蒸気となって排出される。
排出された蒸気は凝縮器55に送られ、蒸気中の水蒸気が常圧下で凝縮されて温水となる。またこの蒸気に含まれる成分のうち、常圧で凝縮されない硫化水素、二酸化炭素等が不凝結ガスとして凝縮器55から排出され、流路57を経て濃縮手段2に送られる。
不凝結ガスに含まれる硫化水素の濃度は、通常、数体積%程度である。
【0033】
次に吸着工程として、加圧ポンプ12を介して不凝結ガスを相対的高圧、例えば105〜150kPa程度に加圧して吸着塔11aに供給する。吸収塔11a内では、不凝結ガス中の硫化水素が硫化水素選択性吸着剤に選択的に吸着され、吸着されない残ガスが吸着塔11aの後方からバルブ14a及び排気口13を経て系外に放出される。残ガス中の硫化水素濃度は大体100volppm以下程度である。
【0034】
次に脱着工程として、バルブ14a及びバルブ14bを「閉」とし、バルブ17aを「開」にし、更に減圧ポンプ15を作動させて吸着塔11a内を相対的低圧、例えば1〜10kPa程度の減圧にする。
【0035】
このとき、もう一方の吸着塔11bでは次の吸着工程が進行している。即ち、吸着塔11bにはバルブ16bを介して不凝結ガスが供給され、不凝結ガス中の硫化水素が硫化水素選択性吸着剤に吸着され、吸着塔11bの後方から残ガスがバルブ14cを介して排出されている。この残ガスを、バルブ14c、流量調整バルブ14e及びバルブ14aを介して吸着塔11aの後方から減圧中の吸着塔11a内にパージガスとして導入する。即ち、不凝結ガスの流入方向に対して向流となるようにパージガス(残ガス)を流す。
【0036】
導入したパージガス(残ガス)には硫化水素が殆ど含まれていないので、吸着塔11a内に吸着された硫化水素のほぼ全量がパージガスに移行して減容濃縮され、濃縮ガスが塔外に排出される。減容濃縮された硫化水素は、減圧ポンプ15を経て送風機33に送られる。
濃縮ガス中の硫化水素濃度は十数体積%〜数十体積%になる。従って、本実施形態の濃縮装置によって硫化水素を数十倍に濃縮することができる。
【0037】
次に吸収工程では、送風機33を介して濃縮ガス(硫化水素)を吸収塔31の下部から供給し、同時に地熱発電プラント5から排出された地熱熱水を熱水ポンプ32を介して吸収塔31の上部から供給する。
これにより、硫化水素が地熱熱水に対して向流に流れ、硫化水素が地熱熱水に吸収される。濃縮手段2によって硫化水素が十数体積%〜数十体積%に減容濃縮されているので、高い吸収効率で地熱熱水に吸収させることができる。即ち、地熱熱水の単位量当たりに対する硫化水素の吸収量を大きくすることができる。
尚、未吸収の硫化水素を含む不凝結ガスは排出部31aから吸収塔31外に排出される。
【0038】
通常、硫化水素を吸収する前の地熱熱水にはモノケイ酸等が溶解しており、しかも地熱熱水のpHが7程度の場合、シリカスケールが極めて析出しやすい状態にある。
この地熱熱水に硫化水素を含む二酸化炭素を主成分とする不凝結ガスを吸収させることでpHが7以下となり、地熱熱水を酸性にすることができ、溶解しているモノケイ酸等の析出を抑えることができる。
【0039】
硫化水素を含む二酸化炭素を主成分とする不凝結ガスを吸収して酸性になった地熱熱水は、流路34を介して還元井35に戻される。地熱熱水に含まれるモノケイ酸等は酸性では析出しにくいので、還元井35の地下にある透水層35aや流路34をシリカスケールで詰まらせることがなく、還元井35の寿命を延ばすことができる。
【0040】
次に回収工程では、吸収塔31の排出部31aから排出した未吸収の硫化水素を含む不凝結ガスを流路41を介して吸着塔11a、11bの前方の流路57に送り、不凝結ガスに混合する。
このようにして、未吸収の硫化水素を含む不凝結ガスを、吸着工程及び脱着工程が行われる濃縮装置2aに再送するため、環境中に排出される硫化水素ガスは、吸着工程で吸着塔後方の排気口13から放出される残ガスに含まれる100volppm以下程度の硫化水素ガスのみとなる。これにより、硫化水素の大部分を地熱熱水に吸収させて還元井35の地下に戻すことができる。
【0041】
また硫化水素を吸収させる地熱熱水は、地熱井51から噴出する地熱流体を気液分離して得られたものであるので、地熱流体に含まれる硫化水素と地熱熱水のほぼ全部を還元井35を経て地下に戻すことができる。
【0042】
【実施例】
以下の実施例により、本発明の地熱熱水の処理方法について更に詳細に説明する。
図1に示す吸着塔11a、11bに硫化水素選択制吸着剤として、ペンタシルゼオライト(SiO2/Al2O3=3000)をそれぞれ5kg充填した。なお、ペンタシルゼオライトは、高さ0.9m、直径0.1mの円柱状のハニカム構造とした。
次に、吸着工程として、図1に示す凝縮器55から排出される不凝結ガスを、加圧ポンプ12により圧力120kPaまで加圧した状態で吸着塔11aに供給し、不凝結ガス中の硫化水素をペンタシルゼオライトに吸着させた。尚、吸着温度を40℃とし、不凝結ガスの流量を2.5m3N/hとした。また、不凝結ガスの組成は硫化水素が1vol%、二酸化炭素が70vol%、窒素が22vol%、酸素7vol%、飽和水蒸気(40℃)であった。
このとき、図1の排気口13から排出される残ガス中の硫化水素濃度は100volppm以下であった。
【0043】
次に、バルブ16bを「開」にして吸着塔11bで吸着工程を開始し、同時に吸着塔11aで脱着工程を開始した。即ち、バルブ16aを「閉」とし、バルブ17a、14a、14dを「開」とし、更に減圧ポンプ15を作動させることで、吸着塔11bから排出される残ガスを、バイパス流路14を介して吸着塔11aにパージさせつつ、吸着塔11a内を5kPaまで減圧して吸着済みの硫化水素を脱着させた。
脱着された濃縮ガス中の硫化水素の濃度は12vol%であった。従って、濃縮装置2a(濃縮手段2)による硫化水素の濃縮率は12倍であった。
【0044】
次に、還元井の透水層を模した充填層を作成し、この充填層に対し、モノケイ酸を760mg/l含む地熱熱水に脱着工程で得られた硫化水素濃縮ガスを模擬したガスを連続して通水したところ、500時間経過後でも差圧の上昇は見られなかった。
一方、上記と同様の充填層に、モノケイ酸を760mg/l含むpH7の地熱熱水を連続して通水したところ、通水直後から差圧が上昇し、46時間経過後には透水係数が当初の30%まで低下した。これは、地熱熱水のpHが7であるために、モノケイ酸が充填層内でシリカスケールとして析出し、透水性が低下したためと考えられる。
【0045】
【発明の効果】
以上、詳細に説明したように、本発明の地熱熱水の処理方法によれば、吸収工程で未吸収の硫化水素を、回収工程により吸着工程及び脱着工程に再送するので、系外に排出される硫化水素は 吸着工程で吸着塔後方より放出される残ガスに含まれる微量の硫化水素のみとなり、硫化水素の大部分を地熱熱水に吸収させることができる。これにより、本発明の地熱熱水の処理方法を脱硫方法として用いることができる。
また、吸着工程及び脱着工程により減容濃縮した高濃度の硫化水素を地熱熱水に吸収させるため、地熱熱水の単位量当たりに対する硫化水素の吸収量を大きくすることができる。
更に、硫化水素を含む二酸化炭素を主成分とする不凝結ガスを地熱熱水に吸収させることで地熱熱水のpHを7以下にするので、地熱熱水中に含まれるシリカの析出を防止することができ、流路内でのシリカスケールの発生を防いで流路の詰まりを防止できる。
【0046】
また本発明の地熱熱水の処理方法によれば、pHが7以下となった地熱熱水を還元井に送るため、還元井の地下にある透水層でのシリカスケールの発生を防止することができ、透水層の詰まりを防止して還元井の寿命を長くできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態である地熱熱水の処理装置の構成を示す模式図である。
【符号の説明】
1 地熱熱水の処理装置
2 濃縮手段
2a 濃縮装置
3 吸収手段
4 回収手段
11a、11b 吸着塔
12 加圧ポンプ
13 排気口
14 バイパス流路
15 減圧ポンプ
31 吸収塔
31a 排出部
32 熱水ポンプ
33 送風機
41 流路
Claims (7)
- 硫化水素選択性吸着剤が充填された吸着塔の前方より、硫化水素を含有する二酸化炭素を主成分とする不凝結ガスを相対的高圧で供給し、当該吸着塔後方より残ガスを放出する吸着工程と、吸着工程終了後の吸着塔を相対的に低圧に導き、かつ、吸着塔後方から上記の残ガスを向流にパージして吸着塔前方から減容濃縮した硫化水素を回収する脱着工程と、脱着工程から回収された濃縮硫化水素を含有する不凝結ガスを地熱熱水に吸収させて地熱熱水のpHを7以下にする吸収工程と、前記吸収工程で未吸収の硫化水素を前記吸着塔の前方に導いて前記不凝結ガスに混合する回収工程とを少なくとも具備してなることを特徴とする地熱熱水の処理方法。
- 前記地熱熱水は、地熱井から噴出する硫化水素を含む地熱流体を汽水分離して得られたものであることを特徴とする請求項1に記載の地熱熱水の処理方法。
- 吸収工程後の前記地熱熱水を還元井に送ることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の地熱熱水の処理方法。
- 硫化水素を含有する不凝結ガスを減容濃縮して硫化水素を回収する濃縮手段と、
該濃縮手段により減容濃縮された硫化水素を含有する不凝結ガスを地熱熱水に吸収させて地熱熱水のpHを7以下にする吸収手段と、
前記吸収手段で未吸収の硫化水素を前記濃縮手段の前方に導いて前記不凝結ガスに混合する回収手段とを少なくとも具備してなることを特徴とする地熱熱水の処理装置。 - 前記濃縮手段は、硫化水素選択性吸着剤が充填された2以上の吸着塔と、前記の各吸着塔の前方入口側に接続された加圧ポンプと、前記の各吸着塔の後方に接続された排気口と、1の吸着塔後方から放出された残ガスを他の吸着塔後方に送るバイパス流路と、前記の各吸着塔の前方出口側に接続された減圧ポンプとが少なくとも備えられてなることを特徴とする請求項4に記載の地熱熱水の処理装置。
- 前記吸収手段は、未吸収の硫化水素を排出する排出部を備えた吸収塔と、前記吸収塔の上部に配置されて前記地熱熱水を前記吸収塔に送る熱水ポンプと、前記吸収塔の下部に配置されて前記濃縮手段からの硫化水素を前記吸収塔内に送る送風機とを具備してなり、前記吸収塔内において前記硫化水素を地熱熱水に対して向流接触させるように構成されたことを特徴とする請求項4または請求項5に記載の地熱熱水の処理装置。
- 前記回収手段は、前記吸収塔の排出部から前記吸着塔の前方の間に接続された流路からなることを特徴とする請求項4ないし6のいずれかに記載の地熱熱水の処理装置。
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