JP2005270814A - ガス分離方法及び装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】
分離対象ガスを吸収液に吸収させた後、分離させる際に、分離に要するエネルギーコストを低下させる。
【解決手段】
ガス吸収塔2で被分離ガス中の二酸化炭素を吸収した吸収液はガス減圧分離装置24に送られる。ガス減圧分離装置24は内部に充填材26が充填されており、真空ポンプ30により吸引されて内部が減圧状態になっている。ガス減圧分離装置24に供給された吸収液は充填材26の表面を流れ落ちる間に、吸収した二酸化炭素を放散し、ガス減圧分離装置24からガス吸収塔2に供給されて再利用される。ガス減圧分離装置24で分離された二酸化炭素は真空ポンプ30に引かれ、コンデンサ32で水が除去された後、系外に導かれる。膜分離ユニット50は二酸化炭素を吸収した吸収液から膜分離モジュール52−1〜52−nで液透過膜により気液分離を行なう。
【選択図】 図1

Description

本発明は石油化学工業その他の分野の製造プロセスにおいて生成するガスや発生する排ガスから、二酸化炭素などの特定の成分を分離するための方法と装置に関するものである。
工場などの燃焼プロセスや反応プロセスからの排ガス中に含まれるガスで多いものは二酸化炭素(CO2)である。二酸化炭素は温室効果により地球の温暖化をもたらすため、排ガスから二酸化炭素を回収することが望まれている。
排ガス中から二酸化炭素を分離して回収する方法として、充填材を充填した吸収塔で排ガスと吸収液を向流接触させて排ガス中の二酸化炭素を吸収液に吸収させ、その吸収液を気液分離部に導き、常圧下で加熱することによって吸収液から二酸化炭素を分離させて回収する方法が提案されている(特許文献1参照。)。そこでは、二酸化炭素用の吸収液としてはモノエタノールアミン溶液などのアルカノールアミン溶液が使用される。吸収液としてモノエタノールアミン溶液を使用した場合、気液分離部における加熱温度は120〜140℃とすることが必要であるとされている。
特開平8−10565号公報
上に紹介した提案の方法に限らず、従来行なわれている対象ガスの回収方法は、分離対象ガスを吸収液に吸収させた後、常圧下で加熱して分離する方法であるため、気液分離のために高温加熱蒸気などの上質の熱エネルギーを必要とし、そのため分離エネルギーコストが大きくなる問題がある。
本発明は、二酸化炭素に限らず種々の対象ガスを分離するために、分離対象ガスを吸収液に吸収させた後、分離させる際に、分離に要するエネルギーコストを低下させることを目的とするものである。
本発明のガス分離方法は、分離対象ガスを含む被分離ガスを分離対象ガス用吸収液と気液接触させて被分離ガス中の分離対象ガスを前記吸収液に吸収させる吸収工程と、前記吸収工程で分離対象ガスを吸収した吸収液を前記吸収工程よりも低い圧力状態に置くことによって吸収液から分離対象ガスを分離させる減圧分離工程とを備えている。
減圧分離工程は分離対象ガスを吸収した吸収液と接する気相中の分離対象ガス圧力を低下させることにより吸収液から分離対象ガスを気液分離させるものであるので、分離速度を高めるためにはその減圧の程度は低圧力ほど好ましいが、吸収液を気化させるほどの低圧力である必要はない。適当な圧力は、1〜数百mmHg、例えば50〜200mmHgである。
この減圧分離工程では、分離対象ガスの分離を促すために吸収液を加熱するのが好ましい。この場合の加熱は、従来のように常圧下で加熱のみによって分離対象ガスを分離させるのに比べると低温ですむ。
本発明のガス分離方法では、前記吸収工程と減圧分離工程との間に、分離対象ガスを吸収した吸収液又はガス吸収塔を経由させないで直接分離対象ガスを含む被分離ガスを分離対象ガス用吸収液と気液接触させて被分離ガス中の分離対象ガスを前記吸収液に吸収させた吸収液を、液透過膜を介して前記吸収工程よりも低い圧力下に置くことにより、吸収液を分離対象ガス以外のガスから分離して液透過膜を透過させるとともに、分離対象ガスを吸収液から放散させて気液分離させる膜分離工程をさらに備えてもよい。
この膜分離工程における減圧の程度は減圧分離工程における減圧の程度と同程度とすることができる。この膜分離工程を経た吸収液はさらに前記減圧分離工程に供する。
この膜分離工程を設けた場合には、被分離ガスの量と組成の一方又は両方に応じて、前記吸収工程とこの膜分離工程の両方又は一方を使用することが好ましい。
本発明は分離対象ガスの種類を限定するものではないが、その一例は二酸化炭素(CO2)である。その場合の好ましい吸収液はモノエタノールアミン(MEA)溶液、ジエタノールアミン(DEA)溶液又はトリエタノールアミン(TEA)溶液などのアルカノールアミン溶液に代表されるアミン類のほか、アミノ酸類、炭酸塩類等の溶液である。吸収した二酸化炭素は減圧下、できるだけ低温で放散するものがエネルギー消費の低減の観点から好ましい。そのような吸収液の例としては、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール(AMP)のような立体障害アミンと呼ばれるアミンの溶液、2,3−ジアミノプロピオン酸のようなアミノ酸の溶液があげられる。
本発明のガス分離方法に含まれる減圧分離工程を実現するガス減圧分離装置は、容器と、この容器の内部に配置されて減圧分離工程を促進させるための充填材と、分離対象ガスを吸収した吸収液を前記充填材上に供給する吸収液供給部と、前記容器の下部から吸収液を外部に取り出す吸収液取出し部と、前記容器内を吸引して減圧にするとともに前記容器内で吸収液から分離された分離対象ガスを取り出すガス取出し部とを備えている。
本発明のガス分離方法を実現するガス分離装置は、分離対象ガスを含む被分離ガスを分離対象ガス用吸収液と気液接触させて前記被分離ガス中の分離対象ガスを前記吸収液に吸収させるガス吸収部と、前記ガス減圧分離装置であってその容器内を前記ガス吸収部よりも低い圧力にしたものとを備えている。
ガス減圧分離装置で吸収液を充填材上に供給する吸収液供給部には供給される吸収液を加熱する加熱機構が設けられていることが好ましい。
ガス吸収部で使用される吸収液はこのガス分離装置の外部から供給されるものであってもよいが、ガス減圧分離装置で分離対象ガスを分離した後の吸収液を再利用するのが好ましい。そのために、ガス減圧分離装置の吸収液取出し部から取り出された吸収液をガス吸収部に供給する吸収液回収流路が設けられていることが好ましい。
分離対象ガスを吸収した吸収液を液透過膜を介してガス吸収部よりも低い圧力下に置くことにより分離対象ガスを吸収した吸収液を液透過膜を介してガス吸収部よりも低い圧力下に置くことにより吸収液を分離対象ガス以外のガスから分離して液透過膜を透過させるとともに、分離対象ガスを吸収液から放散させて気液分離させる膜分離ユニットをさらに備えているのが好ましい。この気液分離ユニットは上記の膜分離工程を実現するものである。
膜分離ユニットを備えた本発明のガス分離装置の一形態は、膜分離ユニットにはガス吸収部で分離対象ガスを吸収した吸収液が供給される流路が開閉弁を介して接続されており、この膜分離ユニットで分離された分離対象ガスとその分離対象ガスを放散した吸収液を取り出す流路が開閉弁を介して前記減圧分離装置に接続されており、分離対象ガスを吸収した吸収液をガス吸収部から減圧分離装置に供給する流路にも開閉弁が設けられているものである。
膜分離ユニットを備えた本発明のガス分離装置の他の形態は、膜分離ユニットには被分離ガスが供給される流路と減圧分離装置の吸収液取出し部から取り出された吸収液が供給される流路とがそれぞれ開閉弁を介して接続されており、この膜分離ユニットで分離された分離対象ガスとその分離対象ガスを放散した吸収液を取り出す流路が開閉弁を介して前記減圧分離装置に接続されており、分離対象ガスを吸収した吸収液をガス吸収部から減圧分離装置に供給する流路にも開閉弁が設けられているものである。
膜分離ユニットを備えた本発明のガス分離装置のさらに他の形態は、膜分離ユニットにはガス吸収部で分離対象ガスを吸収した吸収液が供給される流路と、被分離ガスが供給される流路と、減圧分離装置の吸収液取出し部から取り出された吸収液が供給される流路とがそれぞれ開閉弁を介して接続されており、この膜分離ユニットで分離された分離対象ガスとその分離対象ガスを放散した吸収液を取り出す流路が開閉弁を介して前記減圧分離装置に接続されており、分離対象ガスを吸収した吸収液をガス吸収部から減圧分離装置に供給する流路にも開閉弁が設けられているものである。
本発明の方法及び装置において、分離対象ガスを吸収した吸収液から分離対象ガスを分離する工程で気相を吸収工程よりも低い圧力状態にして分離対象ガス圧力を低下させるようにした。吸収工程は常圧又はそれよりも高圧に加圧した状態で行なわれるので、そのような圧力下で気液分離するのに必要となる高温、高圧の加熱蒸気のような良質の熱エネルギーを必要としないため、気液分離エネルギーコストを大幅に低減させることができる。
本発明における減圧分離工程においても吸収液を加熱することにより気液分離を促進することができる。しかし、この場合の加熱は減圧分離と併用するため、減圧にしないで気液分離を行なう加熱に比べて低温ですむ。その結果、仮に加熱するとしても廃熱などの低品位の熱エネルギーですむようになり、気液分離エネルギーコストは低減させることができる。
ガス透過膜を利用した膜分離工程をさらに備えることにより、気液分離の多様性が増す。例えば、被分離ガスの負荷(被分離ガスの量と組成の一方又は両方)に応じて最適なガス吸収と気液分離条件を選択することができるので、ガス回収コストの無駄を抑えることができる。
膜分離ユニットを備えた本発明のガス分離装置の形態においては開閉弁の操作により、ガス吸収部と膜分離ユニットの操作条件を変えることができ、被分離ガスのガス組成や流量の変動(負荷変動)に容易に対応することができ、エネルギーコストが最小になるような最適な条件で分離対象ガスの分離を行なうことができるようになる。
また、液透過膜を用いた膜分離ユニットは、液透過膜の目詰まりなどのために保守点検を行なうことが必要になるので、膜分離ユニットにつながる開閉弁を閉じることによって膜分離ユニットを他の部分から遮断し、膜分離ユニットの保守や点検を行なうことができる。この保守点検の期間中もガス吸収部、ガス減圧分離装置及び回収部は動作を続けることができ、膜分離ユニットの保守作業や点検作業によってはこの分離装置の稼動率を低下させることがないようにすることができる。
本発明は分離対象ガスに応じて吸収液を選択することにより、種々の分離対象ガスに適用することができるものである。分離対象ガスの一例は二酸化炭素であり、その場合の適当な吸収液はアルカノールアミン溶液である。
液透過膜を利用した膜分離ユニットにおける液透過膜は、吸収液に吸収されない非分離ガスを透過させずに分離対象ガスのみを吸収液に吸収させた状態で吸収液を透過させる液透過膜が好ましい。したがって膜の材質は、有機材料、無機材料又は金属材料のいずれでもよいが、吸収液に濡れるものが好ましい。有機材料としては、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリアミド、ポリイミド、ポリアクリロニトリルなどを用いることができる。これらの液透過膜は孔径が数μm以下の微孔が膜中に存在して膜を厚さ方向に貫通している微多孔質膜で、精密濾過膜、限外濾過膜、ナノ濾過膜の領域の膜が好ましい。このような液透過膜は、本発明のように吸収液がこの液透過膜を介して減圧下の気相と接する箇所で吸収液に吸収させた分離対象ガスは、吸収液と気液分離される。
この液透過膜は外形が筒状にして使用するのが好ましい。
図1は分離対象ガスとして二酸化炭素を取り上げ、本発明を二酸化炭素分離装置に適用した一実施例のシステム全体を概略的に表わしたものである。
2はガス吸収部としてのガス吸収塔であり、内部にラシヒリングなどの充填材4が充填されている。ガス吸収塔2の充填材4よりも下部の位置には分離対象ガスの二酸化炭素を含む被分離ガスが開閉弁6からブロア又はコンプレッサ8及び開閉弁10を経て供給される。ブロア又はコンプレッサ8は被分離ガスを加圧して吸収塔2内に供給するためのものである。
吸収塔2では上部から吸収液が適当な温度に加熱された状態で充填材4に向けて落下又は噴霧され、充填材4の表面を落下する間に充填材4の下部から供給される被分離ガスと向流接触し、被分離ガス中の二酸化炭素を選択的に吸収する。吸収液としては、例えば、アルカノールアミン溶液であるモノエタノールアミン溶液を使用する。
吸収塔2の上端には、被分離ガスの成分のうちで吸収液に吸収されなかったガスを取り出すための配管12が設けられ、取り出されたガスは開閉弁14を介して別の流路に供給される。
吸収塔2の下端部には二酸化炭素を吸収した吸収液を取り出す取出し管16が設けられており、取出し管16は開閉弁18及び加熱器20を経てガス減圧分離装置24に接続されている。
ガス減圧分離装置24は容器の内部にラシヒリングなどの充填材26が充填されており、吸収塔2からの吸収液は充填材26の上部に落下又は噴霧するように供給される。ガス減圧分離装置24の上端にはガス取出し用の配管28が設けられており、配管28には真空ポンプ30が設けられてガス減圧分離装置24内を減圧状態としている。配管28と真空ポンプ30はガス取出し部を構成している。ガス減圧分離装置24内では吸収液は充填材26の表面を流れ落ちる間に、ガス減圧分離装置24の容器内が減圧であることによって、吸収した二酸化炭素を放出する。
真空ポンプ30の下流側には水を凝縮するコンデンサ32が設けられ、ガス減圧分離装置24で分離された二酸化炭素は真空ポンプ30に引かれ、コンデンサ32で水が除去された後、系外に導かれる。
ガス減圧分離装置24の下部に集まる吸収液38は再度二酸化炭素を吸収するために再利用される。そのためガス減圧分離装置24の下端部には吸収液を取り出すための配管40が設けられ、その配管40は液ポンプ42から開閉弁44を経てガス吸収塔2の充填材4の上方の位置に接続されている。ガス減圧分離装置24から取り出されたガスがコンデンサ32で冷却されて回収された水は、補給水容器46に導かれる。補給水容器46には別途、補給水が供給される。補給水容器46の補給水は、ガス減圧分離装置24の下端に集まる吸収液38の濃度を調整するために、ガス減圧分離装置24の下端部の配管40に供給される。
ガス減圧分離装置24の下端部に集まった吸収液は補給水により濃度が調整され、液ポンプ42によりガス吸収塔2に送られ、ガス吸収塔2での吸収液として再利用される。
この実施例ではさらに、膜分離ユニット50が設けられている。膜分離ユニット50は、二酸化炭素を吸収した吸収液を、液透過膜53を介して二酸化炭素以外のガスから分離するとともに、二酸化炭素を吸収液から放散させて気液分離する膜分離モジュール52−1〜52−nを備えている。膜分離モジュール52−1〜52−nのそれぞれは、液透過膜53を筒状にしたものを備えており、そのような膜分離モジュールが複数個並列に配置されている。筒状の液透過膜53は下端部から上部まで延びる高さをもち、二酸化炭素を吸収した吸収液が筒状液透過膜53の上端を越えて溢れた場合は、液透過膜53を透過した吸収液と合流するようになっている。膜分離モジュール52−1〜52−nでは筒状液透過膜53の内側に吸収液を流すことにより、その吸収液に吸収されていた分離対象ガス、この実施例では二酸化炭素を吸収した吸収液が、液透過膜から外部に透過してくる。
膜分離ユニット50の膜分離モジュール52−1〜52−nのそれぞれに二酸化炭素を吸収した吸収液を供給するために、吸収塔2の下端部には吸収液を取り出す配管54がさらに設けられており、配管54は開閉弁56を介してモジュール52−1〜52−nのそれぞれの下端部に接続されている。
膜分離ユニット50の膜分離モジュール52−1〜52−nのそれぞれには被分離ガスを直接導入し、吸収液と合流させて吸収液に二酸化炭素を吸収させた後、吸収液を二酸化炭素以外のガスから分離するとともに、二酸化炭素を吸収液から放散させて気液分離する流路も設けられている。そのような流路として、各膜分離モジュール52−1〜52−nの下端部には、ブロア又はコンプレッサ8により加圧して送られる被分離ガスを開閉弁60を介して供給する流路と、ガス減圧分離装置24から液ポンプ42により配管40を通して送られる吸収液を開閉弁58を介して供給する流路とが接続されている。
各膜分離モジュール52−1〜52−nの液透過膜の外側は配管64によって開閉弁65を介してガス減圧分離装置24に接続されている。これにより各膜分離モジュール52−1〜52−nで分離された二酸化炭素は配管64から分離装置24を経て真空ポンプ30により系外に導かれる。
各膜分離モジュール52−1〜52−nでは液透過膜の外側が減圧状態になっているので、吸収液に吸収された二酸化炭素は吸収液とともに液透過膜を透過して減圧下の気相と接する箇所で気液分離される。
各膜分離モジュール52−1〜52−nを透過した吸収液からさらに二酸化炭素の分離を行なうために、液透過膜を透過した吸収液をガス減圧分離装置24の充填材26の上部に導く配管66が設けられている。配管66には開閉弁67が設けられている。配管66によってガス減圧分離装置24の充填材26上に導かれた吸収液は、ガス減圧分離装置24でさらに気液分離が行なわれ、ガス減圧分離装置24の下端部に集められる。
各膜分離モジュール52−1〜52−nで筒状液透過膜53の上端を越えて溢れた吸収液は、透過膜53を透過した吸収液と合流して配管66から開閉弁67を経てガス減圧分離装置24に導かれ、気液分離が行なわれる。
膜分離ユニット50に被分離ガスが直接供給され吸収液と接触させられた場合は、二酸化炭素以外のガスは吸収液に吸収されず、液透過膜53を透過せずに筒状液透過膜53の内側を通過する。そのような非分離ガスを別の流路に導くために各膜分離モジュール52−1〜52−nの上端部には配管68が設けられている。
次に、この実施例における各部の詳細な例を示す。
図2はガス減圧分離装置の一例を示したものである。図2のガス減圧分離装置24aは、図1の説明でも述べたように、容器内にラシヒリングや表面突起物をもつものなど減圧分離工程を促進させるための充填物が充填材26aとして充填されたものである。容器の上部にガス取出し用の配管28を介して真空ポンプ30が接続されて、ガス減圧分離装置24a内が減圧状態にされるようになっており、容器内の下部には充填材26aに沿って流れ落ちてきた吸収液38を溜めて下端部の配管から取り出すようになっている。
図1の実施例におけるガス減圧分離装置24は図2の構成のものを使用したものであるが、ガス減圧分離装置24はこれに限らない。
図3は他の構造のガス減圧分離装置24bを示したものである。図3のガス減圧分離装置24bは、内部に充填材に変わるものとして金属メッシュなどのスクリーン26bの複数枚が縦方向に並べて配置されている。スクリーン26bを多数並べることによってその上部から供給される吸収液がスクリーン26bに沿って流れ、その間に気液分離が行なわれる。容器の上部にガス取出し用の配管を介して真空ポンプが接続されて、ガス減圧分離装置24b内が減圧状態にされるようになっており、容器内の下部にはスクリーン26bに沿って流れ落ちてきた吸収液38を溜めて下端部の配管から取り出すようになっている。
図1の実施例において、吸収塔2で二酸化炭素を吸収液に吸収させ、ガス減圧分離装置24で気液分離を行なわせる動作を行なわせる場合は、弁10,18,44を開け、弁56,58,60を閉じる。このとき、被分離ガス中の二酸化炭素は吸収塔2で吸収液に吸収され、ガス減圧分離装置24に導かれて気液分離が行なわれる。
被分離ガス中の二酸化炭素濃度が高くなったりガス流量が多くなったりして負荷が大きくなった場合には、膜分離ユニット50も同時に稼動させて対応することができる。その場合、弁10,18,44のほかに弁56,58,60も開ける。このとき被分離ガスは吸収塔2に供給されるとともに膜分離ユニット50にも供給され、膜分離ユニット50でも二酸化炭素の吸収と膜分離が行なわれる。
被分離ガス中の二酸化炭素濃度が低下したりガス流量が減少したりして負荷が低下した場合には、吸収塔2の稼動を停止し、膜分離ユニット50だけを稼動させるように切り替えることもできる。その場合は弁58,60を開け、弁10,18,44,56を閉じる。このときは、被分離ガスは膜分離ユニット50の各膜分離モジュール52−1〜52−nの下端部に供給され、また同時に吸収液も各膜分離モジュール52−1〜52−nの下端部に供給され、被分離ガス中の二酸化炭素はいったん吸収液に吸収された後に各膜分離モジュール52−1〜52−nで液透過膜により気液分離が行なわれる。
このように開閉弁10,18,44,56,58,60の開閉の切替えにより、吸収塔2とガス減圧分離装置24だけを稼動させたり、膜分離ユニット50とガス減圧分離装置24だけを稼動させたり、吸収塔2、膜分離ユニット50及びガス減圧分離装置24の全てを稼動させたりするように、被分離ガスの組成や流量の変動に応じて稼動状態を選択することができる。
また、膜分離ユニット50の膜分離モジュールは液透過膜を使用しているため、保守点検を行なう必要があるが、そのときはこのシステム全体を稼動停止にしなくても、弁56,58,60,65,67を閉じることによって膜分離ユニット50を他の部分から切り離すことができるので、その状態で膜分離ユニット50内のモジュールの交換などの保守を行なうことができ、このシステムの他の部分は稼動を継続することができる。
次に、図1の実施例の具体的な動作の一例を示す。
被分離ガスは特に限定されるものではなく、石油化学工業や焼却炉などからの排ガスであってもよいが、ここでは被分離ガスの一例としてPSA(圧力スイング吸着)型水素製造装置の生成ガスを取り上げて説明する。PSA生成ガス組成の一例は、CH4:10%、H2:39%、CO:7%、CO2:44%である。PSA型水素製造装置は水素を製造するものであるが、その生成ガスに副生物として多量に含まれる二酸化炭素を分離して回収するためにこの実施例の二酸化炭素分離装置を利用するものとする。
被分離ガスは30℃で1.2気圧をもち、1260Nm3/時の流量で供給され、ブロア又はコンプレッサ8により2.8気圧に加圧されてガス吸収塔2に供給される。ガス吸収塔2には約40℃の吸収液が供給され、被分離ガス中の二酸化炭素が吸収液に吸収される。
被分離ガス中のCH4,H2,及びCOは二酸化炭素用の吸収液であるモノエタノールアミン溶液などのアルカノールアミン溶液には吸収されないため、ガス吸収塔2の上部の配管12から外部に取り出される。
ガス吸収塔2で二酸化炭素を吸収した吸収液は配管16によりガス減圧分離装置24に送られる途中で加熱器20により約48℃に加熱されるが、ガス減圧分離装置24に供給されるときには約40℃となる。
ガス減圧分離装置24では内部の圧力が真空ポンプ30による吸引により大気圧よりも低い圧力の状態、例えば圧力180mmHgの状態になっている。ガス減圧分離装置24内の圧力は、ガス吸収塔4で二酸化炭素が吸収液に吸収されるときの圧力よりは低い。ガス減圧分離装置24に供給された吸収液は充填材26上に落下又は噴霧され、充填材26に沿って流れ落ちる間に気液分離がなされて二酸化炭素が分離する。二酸化炭素は真空ポンプ30により吸引され、コンデンサ32で水分が除去された後、系外に導かれる。
一方、ガス減圧分離装置24で充填材26を経て下部に落下した吸収液38は約40℃を保って液ポンプ42により配管40からガス吸収塔2に送られて再利用される。
膜分離ユニット50を稼動させるときは、ガス吸収塔2で二酸化炭素を吸収した吸収液が各膜分離モジュール52−1〜52−nの下端部に供給されるか、被分離ガスとガス減圧分離装置24からの吸収液が各膜分離モジュール52−1〜52−nの下端部に供給され、各膜分離モジュール52−1〜52−nで液透過膜により気液分離が行なわれる。
実施例は被分離ガスから分離対象ガスとして二酸化炭素を分離して回収する例を示しているが、分離対象ガスは二酸化炭素に限らない。吸収液を分離対象ガスを選択的に吸収するものに替えることにより、二酸化炭素以外の分離対象ガスに対しても本発明を同様に適用することができる。
本発明は石油化学工業などにおけるガス分離プロセスやガス精製プロセスから発生するガス、火力発電、製鉄、セメント工業もしくは焼却炉などのプラントなどから排出されるガス、下水道や環境処理等で発生するバイオガスや消化ガス、又は半導体産業などで発生するガスから二酸化炭素ガスその他の対象とするガスを分離し回収するために利用することができる。
一実施例を示す流路図である。 同実施例におけるガス減圧分離装置の一例を示す概略構成図である。 同実施例におけるガス減圧分離装置の他の例を示す概略構成図である。
符号の説明
2 ガス吸収塔
4,26 充填材
12,16,28,40,64,66 配管
18,56,58,60,65,67 開閉弁
20 加熱器
24 ガス減圧分離装置
30 真空ポンプ
42 液ポンプ
50 膜分離ユニット
52,52−1〜52−n 膜分離モジュール
53 液透過膜

Claims (15)

  1. 分離対象ガスを含む被分離ガスを分離対象ガス用吸収液と気液接触させて前記被分離ガス中の分離対象ガスを前記吸収液に吸収させる吸収工程と、
    前記吸収工程で分離対象ガスを吸収した吸収液を前記吸収工程よりも低い圧力状態に置くことによって吸収液から分離対象ガスを気液分離させる減圧分離工程と、を備えたガス分離方法。
  2. 前記減圧分離工程では吸収液を加熱する請求項1に記載のガス分離方法。
  3. 前記吸収工程と減圧分離工程との間に、分離対象ガスを吸収した吸収液を、液透過膜を介して前記吸収工程よりも低い圧力下に置くことにより、吸収液を分離対象ガス以外のガスから分離して前記液透過膜を透過させるとともに、分離対象ガスを吸収液から放散させて気液分離させる膜分離工程をさらに備え、この膜分離工程を経た吸収液をさらに前記減圧分離工程に供する請求項1又は2に記載のガス分離方法。
  4. 前記被分離ガスの量と組成の一方又は両方に応じて、前記吸収工程と膜分離工程の両方又は一方を使用する請求項3に記載のガス分離方法。
  5. 前記分離対象ガスは二酸化炭素であり、前記吸収液はアミン、アミノ酸、炭酸塩の中から選ばれた少なくとも1つを含む溶液である請求項1から4のいずれかに記載のガス分離方法。
  6. 容器と、
    この容器の内部に配置されて減圧分離工程を促進させるための充填材と、
    分離対象ガスを吸収した吸収液を前記充填材上に供給する吸収液供給部と、
    前記容器の下部から吸収液を外部に取り出す吸収液取出し部と、
    前記容器内を吸引して減圧にするとともに前記容器内で吸収液から分離された分離対象ガスを取り出すガス取出し部とを備えたガス減圧分離装置。
  7. 前記分離対象ガスは二酸化炭素であり、前記吸収液はアミン、アミノ酸、炭酸塩の中から選ばれた少なくとも1つを含む溶液である請求項6に記載のガス減圧分離装置。
  8. 分離対象ガスを含む被分離ガスを分離対象ガス用吸収液と気液接触させて前記被分離ガス中の分離対象ガスを前記吸収液に吸収させるガス吸収部と、
    容器、この容器の内部に配置されて減圧分離工程を促進させるための充填材、前記ガス吸収部で分離対象ガスを吸収した吸収液を前記充填材上に供給する吸収液供給部、前記容器の下部から吸収液を外部に取り出す吸収液取出し部、及び前記容器内を前記ガス吸収部よりも低い圧力にするとともに前記容器内で吸収液から分離された分離対象ガスを取り出すガス取出し部を備えたガス減圧分離装置を備えたガス分離装置。
  9. 前記吸収液供給部には供給される吸収液を加熱する加熱機構が設けられている請求項8に記載のガス分離装置。
  10. 前記吸収液取出し部から取り出された吸収液を前記ガス吸収部に供給する吸収液回収流路が設けられている請求項8又は9に記載のガス分離装置。
  11. 分離対象ガスを吸収した吸収液を液透過膜を介して前記ガス吸収部よりも低い圧力下に置くことにより吸収液を分離対象ガス以外のガスから分離して前記液透過膜を透過させるとともに、分離対象ガスを吸収液から放散させて気液分離させる膜分離ユニットをさらに備え、
    この膜分離ユニットには前記ガス吸収部で分離対象ガスを吸収した吸収液が供給される流路が開閉弁を介して接続されており、
    この膜分離ユニットで分離された分離対象ガスとその分離対象ガスを放散した吸収液を取り出す流路が開閉弁を介して前記減圧分離装置に接続されており、
    分離対象ガスを吸収した吸収液を前記ガス吸収部から前記減圧分離装置に供給する流路にも開閉弁が設けられている請求項8から10のいずれかに記載のガス分離装置。
  12. 分離対象ガスを吸収した吸収液を液透過膜を介して前記ガス吸収部よりも低い圧力下に置くことにより吸収液を分離対象ガス以外のガスから分離して前記液透過膜を透過させるとともに、分離対象ガスを吸収液から放散させて気液分離させる膜分離ユニットをさらに備え、
    この膜分離ユニットには前記被分離ガスが供給される流路と前記減圧分離装置の吸収液取出し部から取り出された吸収液が供給される流路とがそれぞれ開閉弁を介して接続されており、
    この膜分離ユニットで分離された分離対象ガスとその分離対象ガスを放散した吸収液を取り出す流路が開閉弁を介して前記減圧分離装置に接続されており、
    分離対象ガスを吸収した吸収液を前記ガス吸収部から前記減圧分離装置に供給する流路にも開閉弁が設けられている請求項8から10のいずれかに記載のガス分離装置。
  13. 分離対象ガスを吸収した吸収液を液透過膜を介して前記ガス吸収部よりも低い圧力下に置くことにより吸収液を分離対象ガス以外のガスから分離して前記液透過膜を透過させるとともに、分離対象ガスを吸収液から放散させて気液分離させる膜分離ユニットをさらに備え、
    この膜分離ユニットには前記ガス吸収部で分離対象ガスを吸収した吸収液が供給される流路と、前記被分離ガスが供給される流路と、前記減圧分離装置の吸収液取出し部から取り出された吸収液が供給される流路とがそれぞれ開閉弁を介して接続されており、
    この膜分離ユニットで分離された分離対象ガスとその分離対象ガスを放散した吸収液を取り出す流路が開閉弁を介して前記減圧分離装置に接続されており、
    分離対象ガスを吸収した吸収液を前記ガス吸収部から前記減圧分離装置に供給する流路にも開閉弁が設けられている請求項8から10のいずれかに記載のガス分離装置。
  14. 前記膜分離ユニット内で分離対象ガスの分離処理を経た吸収液が前記減圧分離装置に供給されるように接続がなされている請求項8から13のいずれかに記載のガス分離装置。
  15. 前記分離対象ガスは二酸化炭素であり、前記吸収液はアルカノールアミン溶液である請求項8から14のいずれかに記載のガス分離装置。
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