JP2004057233A - 複合ロープ付きハーネス型安全帯 - Google Patents
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Abstract
【課題】ハーネス型安全帯のロープは背部に結着されることが多いが、使用者の視覚によって点検がしづらい。そのため使用者が気づかないダメージを受けたロープで墜落が発生すれば、小さな衝撃荷重でも切断し、墜落を阻止できないものであった。
【解決手段】従来は単一ロープであったものを複合ロープとし、その複合ロープの1本を太径とし、他の1本を細径に構成すること、また同径のロープとすること。また、それぞれ材質または撚り構成を変える構成、また、伸びあるいは長さを変える構成とするものである。
よって、一方のロープにダメージを受けていたとしても、他方のロープによって落下衝撃荷重を確実に受止める。
【選択図】 図1
【解決手段】従来は単一ロープであったものを複合ロープとし、その複合ロープの1本を太径とし、他の1本を細径に構成すること、また同径のロープとすること。また、それぞれ材質または撚り構成を変える構成、また、伸びあるいは長さを変える構成とするものである。
よって、一方のロープにダメージを受けていたとしても、他方のロープによって落下衝撃荷重を確実に受止める。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本願は、高所で作業する際に用いる安全帯に係るものであり、特にハーネス型安全帯のロープに関するものである。
今日まで世界各国ともに、安全帯の一本吊り作業は主ロープ1本で対応するものであった。これは胴締めベルトのみで人体を支える安全帯であろうと、ハーネス型の安全帯であろうと同じであった。
これら安全帯の主ロープは相手の構造物にいつも接触して使用するものであるので、構造物の状況によってはしばしば損傷して切断し、作業者が高所から墜落する死亡事故が多数発生していた。
ハーネス型安全帯においてはこの主ロープの結着点が背部となることが多く、このような場合目視での確認が行いにくいため、ロープの損傷状態の把握が困難となることがある。よって墜落災害の発生確率も高くなるものである。
本願ではこのロープを複合ロープにすることにより、損傷の進んだロープが1本切断しても補助する副ロープが人体を受け止め、墜落災害を防止することを目的とし、尊い人命を守ることにより社会に多大に貢献することを特長とした複ロープ式のハーネス型安全帯を開示する。
【0002】
【従来の技術】
以前よりハーネス型安全帯には、フルハーネスタイプ、腿部を支持するもの、胸部を支持するもの等、種々のものがあるが、いずれにおいてもD環とフックを連結しているロープは1本である。
【0003】
建設作業、造船所などにおける高所作業にはフックを鋼材に引っ掛けて作業を行うことが多いがそのような場合、鋼材のエッジにロープが接触し、その際荷重が加わっておれば、簡単にロープ切断が起り、人体と構築物を連結する手段は断たれたこととなり、今日までこのようなロープ切断事故により、多くの人命を失ってきた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
高所作業においては万が一の墜落を防止するため、労働安全衛生法で、2M以上となる場所においては必ず安全帯を着用することが義務付けられている。
最近の動向として、高所作業用安全帯は従来の胴ベルトで体を支えるだけの安全帯に代わり、フルハーネス型が普及し始めている。これは墜落の衝撃を体の腿、胸等、多くの場所で分散して受け止めることにより、衝撃荷重が集中するのを避けるためのもので、墜落を防止できたが、体に損傷が残った、という状況を避ける目的では有効である。しかし、ハーネス型安全帯の多くは背部にロープの基端を結着することが多く、この始業時のロープ点検がしづらい面があった。
【0005】
ハーネス型安全帯において人体を固縛するベルト部と、構築物と人体を連結するロープ部の重要さは優劣がつけられないものであるが、使用時を想定した場合、相手の構造物にいつも接触しているロープ部の方が危険な状況にさらされることが多いものである。
【0006】
例えば建設作業等の現場において使用される安全帯の使用頻度が高い場合、土砂、油等で汚れてロープの摩耗、傷、老朽化が判別し難くなることが多く見られる。またロープの強度は自然劣化して老朽化するものである。
安全帯の使用基準の中に、始業前の点検は必須のものとして指導されているが、汚れによってそれが非常に困難となっている場合、万が一の墜落が発生した際の大きな墜落荷重によってロープが切断し、引止めが出来ないことが考えられる。
【0007】
ハーネス型安全帯のロープは主としてナイロンが用いられる。これは強度、衝撃吸収性、耐候性、重量等を考慮して決定されたものであるが、その使用頻度、使用方法、保管方法等によってその有する強度は、大きく異なる。よって上記したような問題を含め、その管理の仕方によっては非常に危険な状況が発生するものである。
また、適切に保管、使用されていたとしても、建設現場などの鋼材の鋭いエッジに引っ掛けて使用することが多く、このような鋼材にロープが接触する現場での使用において、万が一の墜落発生の場合、安全帯が機能して墜落を引き止めるが、次の瞬間エッジに接触したロープが切断されることが想定される。墜落引止め時の衝撃荷重は通常900Kgf程度もあり、その荷重で引き伸ばされたナイロンロープに鋭いエッジが当接すると、一瞬にしてロープは切断する。
【0008】
以上の様に通常の使用状態では人体の墜落を引き止める機能を発揮する安全帯であるが、その使用方法によっては無力にも近い状況が発生することが考えられる。特に背部にロープの結着点を設けることの多いハーネス型安全帯ではロープの状況を目視で確認しづらい死角が発生するため、何等かの対策が望まれていた。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本願では単一ロープを複合ロープに変えて、従来において発生していたハーネス型安全帯の危険状況を解消するものである。
ロープ部を複数のロープで構成することによって、一方のロープが損傷、あるいは摩耗していてももう一方の別ロープで墜落を防止できるし、また墜落発生時の鋼材エッジへの接触においてもロープと鋼材の接触点が2点以上に分散し、最悪の事態を避ける可能性も生れるものである。
【0010】
複合ロープとしては2本構成、3本構成等種々のものが考えられ、ここでは2本について述べるが、実施時の要求に応じ選択できる。
一つの形態としては現在使用しているロープを2本並行に使用するもの。若干重量的には増すが、安全面では有効。
また1本はナイロンで、他の1本はポリエステルというように材質を変えることにより、耐候性に勝るポリエステルが、ナイロンロープが切断した後、最終的に墜落を引き止めることがある。
また、同径であっても撚り構成に変化を持たせ、一方は3つ撚りとし、他方に断面が扁平に変化するためエッジに強い8つ撚りロープを採用することも有効である。また同様の主旨で、一方をベルトとすることによって対エッジの当接面積を増し、荷重の分散をすることはなお有効である。
【0011】
二つ目は、2本に主副の位置付けを行い、主ロープは従来通りナイロン製とし、副についてはワイヤー等で補助する方法はエッジ対策として有効と考えられる。衝撃負荷時には伸びの少ないワイヤーが先ずエッジ切断されるが、その際には衝撃が緩和されているため、ナイロンロープはエッジ切断されず、十分に墜落者の引止めが可能となるものである。また副次的に用いるロープの取付点を主ロープのシンブルと供用して構成することにより、D環、フックへの接続を簡素化することが出来る。
【0012】
三つ目は、2本のロープの伸度あるいは長さを変えた構成とし、落下衝撃荷重を吸収緩和あるいは段階的に受け持たせるものである。
【0013】
【実施例】
本願の実施例を詳記すると、
細幅織りベルト1で構成したハーネス型安全帯2のD環3に、先端にフック4を備えたロープの基端部を結着した安全帯において、ロープを2本で構成する複合ロープとしたものである。
なお、並行する複合ロープは、一方のロープに固定具8を通して2本がバラバラにならないようにし、他方のロープの対応位置を摺動自在にして一体化するものである。
【0014】
複合ロープの連結構成において、図1乃至8のようにすると簡素化できる。また、フックのロープ取付環部の形状変更をしなくて済むものである。
図2乃至5は、D環3、フック4との結着点を、一方のロープは直接D環、フックに連結し、他方のロープはそのシンブルに連結した構成である。
図7は、サツマ編込部の余長ストランド端を束ねた個所に、細径の副ロープ7を結着した構成である。
図8は、サツマ編込部寄りに細径の副ロープ7端をサツマ編込により結着した構成である。本願の複合ロープの連結部を被覆することは実施時の要求に応じ選択できる。
なお、図2乃至8には、複合ロープ端のフック4側にショックアブソーバー5を介して取付けた状態の図であるが、図1のようにD環側に設けることも出来る。
図11には、D環側を小径のフックとショックアブソーバー5を介して取り付け、他方は大径のフック4(図示せず)を設けるものである。
【0015】
図2,3は、請求項2に記載したもので、複合ロープは、太径で3つ撚りの主ロープ6と、細径で3つ撚りの副ロープ7で構成したものである。
【0016】
図4は、請求項4に記載したもので、複合ロープは、ロープ6と細幅ベルト9で構成し、ベルトの幅によって対エッジの当接面積を増し、荷重の分散をするもので、有効な手段である。
【0017】
図5は、請求項5に記載したもので、複合ロープは、それぞれ材質または撚り構成を変えた構成とするもので、主ロープ6は従来通りナイロン製3つ撚りとし、副ロープ7についてはワイヤー71で補助する方法はエッジ対策として有効と考えられるものである。墜落の衝撃負荷時には伸びの少ないワイヤー71に先に負荷が加わりエッジ切断されるが、そのワイヤー切断により大部分の衝撃が緩和されているため、伸びの大きいナイロンロープに加わる衝撃荷重は小さく、エッジ切断は生じずに十分に墜落者の引止めが可能となるものである。
また、上記ワイヤーに代わりポリアミド製の細径ロープとすることもできる。
【0018】
図6は、請求項3に記載したもので、複合ロープは、同径の主ロープ6の2本構成としたもので、重量的には増すが、安全性が高く、作業者に安心感を与えるものである。
【0019】
その他にも、同径であっても撚り構成に変化をもたせ、一方は3つ撚り、他方は8つ撚りとして、断面が扁平に変化するためエッジに強い8つ撚りロープを最終的な保証とするもの。さらに、3つ撚りと8つ撚りで、太さを変えた組み合わせとすることもできる。また8つ撚りロープに代えて、細幅のベルトを採用することは対エッジ作用において当接面積が増しなお有効である。
【0020】
また、1本をナイロン製、他の1本をポリエステル製とすることにより、ナイロンロープの自然劣化による強度低下が発生しても、耐候性に勝るポリエステルが最終的な保証となるものである。さらに、使用される現場の状況に応じてナイロンロープを太く、あるいはポリエステルを太くする等、太さを変えた組み合わせとすることもできる。この実施は請求項2と5の組み合わせである。
【0021】
図9、10は、請求項6に記載したものを用いた安全帯使用状態図で、複合ロープの伸度あるいは長さを変えた構成とし、伸びの違いによる落下衝撃荷重の分散を行う。常時引張力が加わる主ロープが著しく損傷して衝撃荷重負荷時に低荷重で切断したとしても、最終的には副ロープで引止めを行なうものであるが、この際主ロープの切断が衝撃荷重を緩衝してよりスムーズに墜落の引止めを行うものである。図10に示すように鋼材のエッジに主ロープ6が当接して切断されたとしても、副ロープ7が最終的に墜落を防止するものである。
【0022】
以上の本願複合ロープは、従来一本であったものを二本、あるいはそれ以上に構成し、安全率の向上を図ったものである。また、墜落発生の際には、衝撃荷重が2本のロープ同時に加わらないように、先ず、副ロープを切断させたり伸張させて、初期の荷重を受け持たせ、他方の主ロープに高荷重が加わらないようにした構成を開示したものである。
さらに、請求項7に記載したものは、ショックアブソーバー5を設けることにより、墜落発生の際には、衝撃荷重を吸収緩和し、複合ロープに加わる荷重をより低荷重とし、相乗効果により安全性を高めたものである。
【0023】
【発明の効果】
上記したように、ハーネス型の安全帯に複合ロープを採用することにより、作業中に一方のロープにダメージを受けていたとしても、残存するロープにより、万が一の落下に際しても、落下衝撃荷重を確実に受止めることができると共に、作業者に安心感を与え、安全に作業することができる。また、ハーネス型安全帯は人体の胸部、胴部、腿部をそれぞれ細幅ベルトで支持するため、墜落の引止め荷重は広範囲に分散され、人体の損傷が一部に偏って発生することがないものである。
さらに、複合ロープの採用により、一方のロープの切断で初期の衝撃荷重を吸収緩和し、次段階として別のロープで、弱められた落下衝撃荷重を吸収して、2段階で墜落を引き止めて荷重を分散を図るなど、人体、また安全帯自体に加わる損傷を防止した墜落の引き止めを行なうことが可能なものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本願安全帯の装着状態正面図。
【図2】本願請求項2の実施例を示すフック部の拡大正面図。
【図3】本願請求項2の他の実施例を示すフック部の拡大正面図。
【図4】本願請求項4の実施例を示すフック部の拡大正面図。
【図5】本願請求項5の実施例を示すフック部の拡大正面図。
【図6】本願請求項3の実施例を示すフック部の拡大正面図。
【図7】本願の他の連結を示すフック部の拡大正面図。
【図8】本願の他の連結を示すフック部の拡大正面図。
【図9】本願請求項6の実施例を示す使用状態図。
【図10】図9のエッジ部の拡大斜視図。
【図11】本願の一実施例の落下状態図。
【符号の説明】
1 細幅織りベルト
2 ハーネス型安全帯
3 D環
4 フック
5 ショックアブソーバー
6 主ロープ
7 副ロープ
8 固定具
9 細幅ベルト
10 熱収縮チューブ
71 ワイヤー
【発明の属する技術分野】
本願は、高所で作業する際に用いる安全帯に係るものであり、特にハーネス型安全帯のロープに関するものである。
今日まで世界各国ともに、安全帯の一本吊り作業は主ロープ1本で対応するものであった。これは胴締めベルトのみで人体を支える安全帯であろうと、ハーネス型の安全帯であろうと同じであった。
これら安全帯の主ロープは相手の構造物にいつも接触して使用するものであるので、構造物の状況によってはしばしば損傷して切断し、作業者が高所から墜落する死亡事故が多数発生していた。
ハーネス型安全帯においてはこの主ロープの結着点が背部となることが多く、このような場合目視での確認が行いにくいため、ロープの損傷状態の把握が困難となることがある。よって墜落災害の発生確率も高くなるものである。
本願ではこのロープを複合ロープにすることにより、損傷の進んだロープが1本切断しても補助する副ロープが人体を受け止め、墜落災害を防止することを目的とし、尊い人命を守ることにより社会に多大に貢献することを特長とした複ロープ式のハーネス型安全帯を開示する。
【0002】
【従来の技術】
以前よりハーネス型安全帯には、フルハーネスタイプ、腿部を支持するもの、胸部を支持するもの等、種々のものがあるが、いずれにおいてもD環とフックを連結しているロープは1本である。
【0003】
建設作業、造船所などにおける高所作業にはフックを鋼材に引っ掛けて作業を行うことが多いがそのような場合、鋼材のエッジにロープが接触し、その際荷重が加わっておれば、簡単にロープ切断が起り、人体と構築物を連結する手段は断たれたこととなり、今日までこのようなロープ切断事故により、多くの人命を失ってきた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
高所作業においては万が一の墜落を防止するため、労働安全衛生法で、2M以上となる場所においては必ず安全帯を着用することが義務付けられている。
最近の動向として、高所作業用安全帯は従来の胴ベルトで体を支えるだけの安全帯に代わり、フルハーネス型が普及し始めている。これは墜落の衝撃を体の腿、胸等、多くの場所で分散して受け止めることにより、衝撃荷重が集中するのを避けるためのもので、墜落を防止できたが、体に損傷が残った、という状況を避ける目的では有効である。しかし、ハーネス型安全帯の多くは背部にロープの基端を結着することが多く、この始業時のロープ点検がしづらい面があった。
【0005】
ハーネス型安全帯において人体を固縛するベルト部と、構築物と人体を連結するロープ部の重要さは優劣がつけられないものであるが、使用時を想定した場合、相手の構造物にいつも接触しているロープ部の方が危険な状況にさらされることが多いものである。
【0006】
例えば建設作業等の現場において使用される安全帯の使用頻度が高い場合、土砂、油等で汚れてロープの摩耗、傷、老朽化が判別し難くなることが多く見られる。またロープの強度は自然劣化して老朽化するものである。
安全帯の使用基準の中に、始業前の点検は必須のものとして指導されているが、汚れによってそれが非常に困難となっている場合、万が一の墜落が発生した際の大きな墜落荷重によってロープが切断し、引止めが出来ないことが考えられる。
【0007】
ハーネス型安全帯のロープは主としてナイロンが用いられる。これは強度、衝撃吸収性、耐候性、重量等を考慮して決定されたものであるが、その使用頻度、使用方法、保管方法等によってその有する強度は、大きく異なる。よって上記したような問題を含め、その管理の仕方によっては非常に危険な状況が発生するものである。
また、適切に保管、使用されていたとしても、建設現場などの鋼材の鋭いエッジに引っ掛けて使用することが多く、このような鋼材にロープが接触する現場での使用において、万が一の墜落発生の場合、安全帯が機能して墜落を引き止めるが、次の瞬間エッジに接触したロープが切断されることが想定される。墜落引止め時の衝撃荷重は通常900Kgf程度もあり、その荷重で引き伸ばされたナイロンロープに鋭いエッジが当接すると、一瞬にしてロープは切断する。
【0008】
以上の様に通常の使用状態では人体の墜落を引き止める機能を発揮する安全帯であるが、その使用方法によっては無力にも近い状況が発生することが考えられる。特に背部にロープの結着点を設けることの多いハーネス型安全帯ではロープの状況を目視で確認しづらい死角が発生するため、何等かの対策が望まれていた。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本願では単一ロープを複合ロープに変えて、従来において発生していたハーネス型安全帯の危険状況を解消するものである。
ロープ部を複数のロープで構成することによって、一方のロープが損傷、あるいは摩耗していてももう一方の別ロープで墜落を防止できるし、また墜落発生時の鋼材エッジへの接触においてもロープと鋼材の接触点が2点以上に分散し、最悪の事態を避ける可能性も生れるものである。
【0010】
複合ロープとしては2本構成、3本構成等種々のものが考えられ、ここでは2本について述べるが、実施時の要求に応じ選択できる。
一つの形態としては現在使用しているロープを2本並行に使用するもの。若干重量的には増すが、安全面では有効。
また1本はナイロンで、他の1本はポリエステルというように材質を変えることにより、耐候性に勝るポリエステルが、ナイロンロープが切断した後、最終的に墜落を引き止めることがある。
また、同径であっても撚り構成に変化を持たせ、一方は3つ撚りとし、他方に断面が扁平に変化するためエッジに強い8つ撚りロープを採用することも有効である。また同様の主旨で、一方をベルトとすることによって対エッジの当接面積を増し、荷重の分散をすることはなお有効である。
【0011】
二つ目は、2本に主副の位置付けを行い、主ロープは従来通りナイロン製とし、副についてはワイヤー等で補助する方法はエッジ対策として有効と考えられる。衝撃負荷時には伸びの少ないワイヤーが先ずエッジ切断されるが、その際には衝撃が緩和されているため、ナイロンロープはエッジ切断されず、十分に墜落者の引止めが可能となるものである。また副次的に用いるロープの取付点を主ロープのシンブルと供用して構成することにより、D環、フックへの接続を簡素化することが出来る。
【0012】
三つ目は、2本のロープの伸度あるいは長さを変えた構成とし、落下衝撃荷重を吸収緩和あるいは段階的に受け持たせるものである。
【0013】
【実施例】
本願の実施例を詳記すると、
細幅織りベルト1で構成したハーネス型安全帯2のD環3に、先端にフック4を備えたロープの基端部を結着した安全帯において、ロープを2本で構成する複合ロープとしたものである。
なお、並行する複合ロープは、一方のロープに固定具8を通して2本がバラバラにならないようにし、他方のロープの対応位置を摺動自在にして一体化するものである。
【0014】
複合ロープの連結構成において、図1乃至8のようにすると簡素化できる。また、フックのロープ取付環部の形状変更をしなくて済むものである。
図2乃至5は、D環3、フック4との結着点を、一方のロープは直接D環、フックに連結し、他方のロープはそのシンブルに連結した構成である。
図7は、サツマ編込部の余長ストランド端を束ねた個所に、細径の副ロープ7を結着した構成である。
図8は、サツマ編込部寄りに細径の副ロープ7端をサツマ編込により結着した構成である。本願の複合ロープの連結部を被覆することは実施時の要求に応じ選択できる。
なお、図2乃至8には、複合ロープ端のフック4側にショックアブソーバー5を介して取付けた状態の図であるが、図1のようにD環側に設けることも出来る。
図11には、D環側を小径のフックとショックアブソーバー5を介して取り付け、他方は大径のフック4(図示せず)を設けるものである。
【0015】
図2,3は、請求項2に記載したもので、複合ロープは、太径で3つ撚りの主ロープ6と、細径で3つ撚りの副ロープ7で構成したものである。
【0016】
図4は、請求項4に記載したもので、複合ロープは、ロープ6と細幅ベルト9で構成し、ベルトの幅によって対エッジの当接面積を増し、荷重の分散をするもので、有効な手段である。
【0017】
図5は、請求項5に記載したもので、複合ロープは、それぞれ材質または撚り構成を変えた構成とするもので、主ロープ6は従来通りナイロン製3つ撚りとし、副ロープ7についてはワイヤー71で補助する方法はエッジ対策として有効と考えられるものである。墜落の衝撃負荷時には伸びの少ないワイヤー71に先に負荷が加わりエッジ切断されるが、そのワイヤー切断により大部分の衝撃が緩和されているため、伸びの大きいナイロンロープに加わる衝撃荷重は小さく、エッジ切断は生じずに十分に墜落者の引止めが可能となるものである。
また、上記ワイヤーに代わりポリアミド製の細径ロープとすることもできる。
【0018】
図6は、請求項3に記載したもので、複合ロープは、同径の主ロープ6の2本構成としたもので、重量的には増すが、安全性が高く、作業者に安心感を与えるものである。
【0019】
その他にも、同径であっても撚り構成に変化をもたせ、一方は3つ撚り、他方は8つ撚りとして、断面が扁平に変化するためエッジに強い8つ撚りロープを最終的な保証とするもの。さらに、3つ撚りと8つ撚りで、太さを変えた組み合わせとすることもできる。また8つ撚りロープに代えて、細幅のベルトを採用することは対エッジ作用において当接面積が増しなお有効である。
【0020】
また、1本をナイロン製、他の1本をポリエステル製とすることにより、ナイロンロープの自然劣化による強度低下が発生しても、耐候性に勝るポリエステルが最終的な保証となるものである。さらに、使用される現場の状況に応じてナイロンロープを太く、あるいはポリエステルを太くする等、太さを変えた組み合わせとすることもできる。この実施は請求項2と5の組み合わせである。
【0021】
図9、10は、請求項6に記載したものを用いた安全帯使用状態図で、複合ロープの伸度あるいは長さを変えた構成とし、伸びの違いによる落下衝撃荷重の分散を行う。常時引張力が加わる主ロープが著しく損傷して衝撃荷重負荷時に低荷重で切断したとしても、最終的には副ロープで引止めを行なうものであるが、この際主ロープの切断が衝撃荷重を緩衝してよりスムーズに墜落の引止めを行うものである。図10に示すように鋼材のエッジに主ロープ6が当接して切断されたとしても、副ロープ7が最終的に墜落を防止するものである。
【0022】
以上の本願複合ロープは、従来一本であったものを二本、あるいはそれ以上に構成し、安全率の向上を図ったものである。また、墜落発生の際には、衝撃荷重が2本のロープ同時に加わらないように、先ず、副ロープを切断させたり伸張させて、初期の荷重を受け持たせ、他方の主ロープに高荷重が加わらないようにした構成を開示したものである。
さらに、請求項7に記載したものは、ショックアブソーバー5を設けることにより、墜落発生の際には、衝撃荷重を吸収緩和し、複合ロープに加わる荷重をより低荷重とし、相乗効果により安全性を高めたものである。
【0023】
【発明の効果】
上記したように、ハーネス型の安全帯に複合ロープを採用することにより、作業中に一方のロープにダメージを受けていたとしても、残存するロープにより、万が一の落下に際しても、落下衝撃荷重を確実に受止めることができると共に、作業者に安心感を与え、安全に作業することができる。また、ハーネス型安全帯は人体の胸部、胴部、腿部をそれぞれ細幅ベルトで支持するため、墜落の引止め荷重は広範囲に分散され、人体の損傷が一部に偏って発生することがないものである。
さらに、複合ロープの採用により、一方のロープの切断で初期の衝撃荷重を吸収緩和し、次段階として別のロープで、弱められた落下衝撃荷重を吸収して、2段階で墜落を引き止めて荷重を分散を図るなど、人体、また安全帯自体に加わる損傷を防止した墜落の引き止めを行なうことが可能なものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本願安全帯の装着状態正面図。
【図2】本願請求項2の実施例を示すフック部の拡大正面図。
【図3】本願請求項2の他の実施例を示すフック部の拡大正面図。
【図4】本願請求項4の実施例を示すフック部の拡大正面図。
【図5】本願請求項5の実施例を示すフック部の拡大正面図。
【図6】本願請求項3の実施例を示すフック部の拡大正面図。
【図7】本願の他の連結を示すフック部の拡大正面図。
【図8】本願の他の連結を示すフック部の拡大正面図。
【図9】本願請求項6の実施例を示す使用状態図。
【図10】図9のエッジ部の拡大斜視図。
【図11】本願の一実施例の落下状態図。
【符号の説明】
1 細幅織りベルト
2 ハーネス型安全帯
3 D環
4 フック
5 ショックアブソーバー
6 主ロープ
7 副ロープ
8 固定具
9 細幅ベルト
10 熱収縮チューブ
71 ワイヤー
Claims (7)
- 細幅織りベルトで構成したハーネス型の安全帯において、D環とフックを連結するロープを、複数本で構成する複合ロープとしたことを特徴とする複合ロープ付きハーネス型安全帯。
- 複合ロープは太径の主ロープと細径の副ロープで構成したことを特徴とする請求項1に記載の複合ロープ付きハーネス型安全帯。
- 複合ロープは同径のロープの複数本構成としたことを特徴とする請求項1に記載の複合ロープ付きハーネス型安全帯。
- 複合ロープはロープと細幅ベルトで構成したことを特徴とする請求項1に記載の複合ロープ付きハーネス型安全帯。
- 複合ロープはそれぞれ材質または撚り構成を変えた構成としたことを特徴とする請求項2,請求項3または請求項4に記載の複合ロープ付きハーネス型安全帯。
- 複合ロープはそれぞれの伸度あるいは長さを変えた構成としたことを特徴とする請求項2,請求項3,請求項4または請求項5に記載の複合ロープ付きハーネス型安全帯。
- 複合ロープ端部にショックアブソーバーを設け、該ショックアブソーバーの他端にD環あるいはフックを設けたことを特徴とする請求項2,請求項3,請求項4,請求項5または請求項6に記載の複合ロープ付きハーネス型安全帯。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002215752A JP2004057233A (ja) | 2002-07-24 | 2002-07-24 | 複合ロープ付きハーネス型安全帯 |
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---|---|---|---|
JP2002215752A JP2004057233A (ja) | 2002-07-24 | 2002-07-24 | 複合ロープ付きハーネス型安全帯 |
Publications (1)
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ID=31937705
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Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2002215752A Pending JP2004057233A (ja) | 2002-07-24 | 2002-07-24 | 複合ロープ付きハーネス型安全帯 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2004057233A (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP3170262U (ja) * | 2011-06-29 | 2011-09-08 | 株式会社基陽 | 安全帯 |
CN103191535A (zh) * | 2013-04-25 | 2013-07-10 | 金陵科技学院 | 一种防拉断的安全带绳 |
JP2018204244A (ja) * | 2017-06-01 | 2018-12-27 | 大成建設株式会社 | 建設現場用動作補助装置 |
-
2002
- 2002-07-24 JP JP2002215752A patent/JP2004057233A/ja active Pending
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP3170262U (ja) * | 2011-06-29 | 2011-09-08 | 株式会社基陽 | 安全帯 |
CN103191535A (zh) * | 2013-04-25 | 2013-07-10 | 金陵科技学院 | 一种防拉断的安全带绳 |
JP2018204244A (ja) * | 2017-06-01 | 2018-12-27 | 大成建設株式会社 | 建設現場用動作補助装置 |
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