JP2004055431A - 蛍光管点灯装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】PWM方式の蛍光管点灯装置のインバータ回路で発生する鳴り音を抑制する。
【解決手段】PWM信号の波形の立ち上がり時間及び立ち下がり時間を規制する手段を講じた。
【選択図】 図2
【解決手段】PWM信号の波形の立ち上がり時間及び立ち下がり時間を規制する手段を講じた。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、蛍光管点灯装置に関わり、特に、液晶表示装置のバックライトとして用いられている蛍光管の点灯装置に好適に適用できるものである。
【0002】
【従来の技術】
液晶を用いた表示装置は、液晶表示パネルの背面にバックライトを配した構成となっている。このバックライトには蛍光管が使用される。
【0003】
バックライトの調光方式としては、電圧制御調光方式とPWM(Pulse Wide Modulation :パルス幅変調)調光方式が知られている。電圧制御調光方式は調光範囲が大きくとれないのに対し、PWM調光方式は調光比を大きくできることから、液晶表示装置用のバックライトの調光方式としては、PWM調光方式が多く用いられる。かかるPWM調光方式を用いた液晶表示装置は特開平7−325286号公報等に開示されている。
【0004】
従来のPWM調光方式によるバックライト装置を図4に、また、図4の各部の信号波形を図5に示す。
【0005】
図4において、401はPWM調光駆動回路部、402はインバータ部、403はインバータ部402の電源、404は蛍光管である。また、PWM調光駆動回路部401は、三角波発振回路405、波形設定部406、オペアンプ407、コンパレータ408、NANDゲート409から構成される。また、インバータ部402にはチョークコイル410、トランス411が含まれる。
【0006】
PWM調光駆動回路部401による蛍光管404の駆動周期は、固定周期となっている。三角波発振回路405からは、駆動周期を決定する三角波信号a(図5(a)参照)が一定の周期で出力される。この三角波信号aの波形および周期は、波形設定部406によって設定される。即ち、図5(a)の時間t0から時間tfまでの間の三角波信号aの波形は、波形設定部406の抵抗RonとコンデンサCfとの時定数によって決定され、時間tfから時間t0′までの間の三角波信号aの波形は、波形設定部56の抵抗RoffとコンデンサCfとの時定数によって決定される。
【0007】
また、三角波発振回路405からは、1周期(時間t0から時間t0′まで)の期間中における時間tfから時間t0′の期間だけ”Lレベル”になるデッドタイム信号bが出力される(図5(b)参照)。このデッドタイム信号bが”Lレベル”の期間は、PWM調光の1周期中のデッドタイム(発光を停止させる時間)となり、点灯期間が制限される。
【0008】
表示装置の輝度調節ボリューム(図示せず)の操作により、その操作量に応じた直流の制御入力信号Vctlが上記PWM調光駆動回路部401に入力される。このとき、オペアンプ407からは、制御入力信号Vctlの直流電圧レベルに応じた信号cがコンパレータ408へ出力され、該コンパレータ408において上記信号cと上記三角波信号aとが比較される(図5(c)参照)。
【0009】
コンパレータ408からは、信号cのレベルに対応した信号dがNANDゲート409へ出力され(図5(d)参照)、該NANDゲート409からは、上記デッドタイム信号bによって点灯期間に制限が加えられた信号eがインバータ部402へ出力される(図5(e)参照)。これにより、インバータ部402は、例えば制御入力信号VctlがLのときは1周期の期間中における時間t2から時間tfの期間だけ発振し、制御入力信号VctlがHのときは時間t1から時間tfの期間だけ発振する(図5(f)参照)。即ち、アナログ量の制御入力信号Vctlのレベルを変化させることによってインバータ部402の発振期間が変化し、この結果、蛍光管404の点灯期間と消灯期間との時間比率が変化して調光が行われる。
【0010】
また、PWM調光駆動回路部401は、図6のようにも構成できる。かかる回路は、PNPトランジスタ601のコレクタ側にDC入力ラインを接続し、エミッタ−ベース間には調光信号を反映した波形が、2つの抵抗602、603によって分圧された電圧値で入力される。この電圧のON/OFFによってPNPトランジスタ601が切替え動作を起こし、ひいてはスイッチング回路へのON/OFFの動作切替えを制御するように動作するものである。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
以上のようなPWM調光方式による蛍光管点灯装置では、鳴り音が発生する。かかる鳴り音は、インバータ部402に含まれるチョークコイル410及びトランス411から発生する。その原因は、蛍光管に流れる管電流の急激な増加と点灯直前に瞬間的に流れる励磁電流により、蛍光管が消灯状態から点灯状態に変わるときに発生する磁歪等によるものと考えられる。
【0012】
即ち、点灯始動時には、蛍光管に絶縁破壊を引き起こさせるために通常の2倍近い電圧が印加される。このため、トランス回路2次側のこの影響を受けて回路1次側にも始動時に一時的に通常時よりも高い電圧がかかる。これにより、調光信号の立ち上がりの際はランプが始動し、その周波数に同調した励磁電流が流れ所謂ヒゲ電圧が発生する。この時、トランスの内部の部材(スペーサー等)もこの周波数で振動するため鳴り音が発生することとなる。
【0013】
尚、このヒゲ電圧の値が高くなれば鳴り音も大きくなる。また、蛍光管を複数用いた所謂多灯式の場合は、高圧トランスが多数含まれることとなり鳴り音も大きくなる。
【0014】
このような鳴り音は、使用者に不快感を与えるものである。従って、極力その発生を抑制することが望ましい。上記公報で開示されている発明では、PWM調光の周波数を低くすることで、この問題の解決を図っている。しかしながら、その場合は、フリッカが増加するという問題が生じ、鳴り音の問題とフリッカの問題の両方を同時に考慮しなければならないという複雑さが生じる。
【0015】
本発明は、かかる課題に鑑み、鳴り音を効果的に抑制した蛍光管点灯装置を提供するものである。
【0016】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、本発明は以下のような手段を講じた。
【0017】
即ち、本発明にかかる蛍光管点灯装置は、蛍光管と、少なくとも昇圧手段と共振手段とスイッチング手段とを含むインバータ手段と、を具備し、このインバータ手段にPWM信号を入力することにより調光を制御する蛍光管点灯装置において、前記インバータ手段に与えるPWM信号の少なくとも立ち上がり時間を規制する調光手段を設けたものである。そして、このPWM信号の立ち上がり時間は10から100μ秒程度が好ましい。
【0018】
かかる構成により、蛍光管点灯装置において発生する鳴り音を効果的に抑制することができる。
【0019】
また、前記調光手段は、更にPWM信号の立ち下がり時間を規制することが好ましい。
【0020】
これにより、蛍光管点灯装置において発生する鳴り音を効果的に抑制すると共に、安定した蛍光管の点灯を図ることができる。
【0021】
尚、本発明では、前記調光手段でのPWM信号の立ち上がり時間、および/または、立ち下がり時間を抵抗とコンデンサの時定数で規制する構成とした。
【0022】
このような構成により、PWM信号の立ち上がり時間、立ち下がり時間を容易に調整できる。
【0023】
【発明の実施の形態】
PWM方式を用いた蛍光管点灯装置において鳴り音が発生する原因は、上述のように点灯時に瞬間的に流れる励磁電流である。従って、この励磁電流を抑制することが鳴り音の発生を抑制することにつながる。
【0024】
ここで、点灯時に励磁電流が流れる要因を検討すると、点灯を制御しているPWM信号波形の立ち上がり時間が急峻であることが大きく関わっていると考えられる。そこで、本願発明では、この励磁電流を抑制するために、調光を制御するPWM信号の波形の立ち上がり時間を規制する手段を講じた。尚、この際、立ち下がり時間も遅延することとなり、立下り時に不安定な点灯状態となる虞がある。そのため、立ち下がり時間の規制も同時に行うようにした。
【0025】
以下、本願発明にかかる蛍光管点灯装置を液晶表示装置用のバックライトに適用した場合を例として、その実施形態を説明する。
【0026】
本発明にかかる蛍光管点灯装置のブロック図を図1に示す。
【0027】
図1において、101は蛍光管、102は昇圧回路、103は共振回路、104はスイッチング回路、105は帰還回路、106は平滑化回路、107は電源入力、108は調光回路、109は調光を制御するPWM信号である。
【0028】
電源入力107からのDC入力は、キャパシタ等により構成される平滑化回路106によってノイズが除去される。かかる電源電圧は共振回路103に印加される。定電圧を印加された共振回路103では、内在するインダクタ、キャパシタ及びトランス1次側のコイル巻線によって共振電圧波形を発生させる。この共振波形は、昇圧回路102に入力される。昇圧回路102では、昇圧トランスの2次側巻線で数百KVから数KV程度の高電圧に昇圧される。この高電圧によって蛍光管101が絶縁破壊を引き起こし放電状態となり、内在する蛍光体を発光させる。
【0029】
一方、共振回路103で発生させた共振波形は、トランスの3次巻線によって負電圧としてスイッチング回路105に帰還し、スイッチング回路104に内在する2つのトランジスタを交互に動作させることで共振回路を継続動作させることができる。
【0030】
調光回路108は、このスイッチング回路104に対し動作させるか否かの判定波形を送ることで、蛍光灯の点灯/消灯を制御し、ひいては明るさを制御することが可能となる。
【0031】
次に、本発明の特徴となる調光回路108について詳述する。
【0032】
図2は、調光回路108の回路図である。図中の矢印は、調光信号のON/OFF時の各々に対する電流の流れを示したものである。また、図中の波形201は、調光回路108への入力調光信号波形であり、波形202は、調光回路108からの出力調光信号波形である。
【0033】
先ず、入力調光信号がOFF(13.6V)の時は、電源電圧であるVin(13.6V)との間に電圧差が無いのでトランジスタTrはOFFとなりトランジスタTrのエミッタ・コレクタ間に電流は流れない。この時、コンデンサC3には、電源電圧である13.6Vラインによって電荷が蓄積される。
【0034】
次に、入力調光信号201がON(0V)になると、電源電圧であるVin(13.6V)との間に電圧差が生じる。即ち、トランジスタTrのベース端には、抵抗R1と抵抗R2で分圧された電圧が印加され、トランジスタTrはON状態となる。これにより、ベース・エミッタ間に約0.6Vの電圧差が生じ、トランジスタTrにコレクタ電流が流れる。
【0035】
この時、トランジスタTrのエミッタ・コレクタ間電圧が13.6Vから略0Vに立ち下がるのでコンデンサC3は放電を始める(この時、出力調光信号202は逆に立ち上がり方向に遷移する)。この放電期間の分だけトランジスタTrの立ち下がり時間が緩和される。よって、出力調光信号202の立ち上がり時間が緩和されることになる。
【0036】
また、この出力調光信号202の立ち下がり時間を制御するため、抵抗R3を設けている。コンデンサC2は、入力調光信号201がOFFの時もONの時も13.6Vラインに印加され続けているので放電され難い。このため、調光回路から出力される電圧波形の立ち下がりの遅延が著しくなる。そこで、コンデンサC2の電荷を早く放電させるためC2と並列に抵抗R3設けている。この抵抗R3とコンデンサC2の時定数を制御することで調光出力信号波形202の立ち下がり時間を調整することができる。
【0037】
以上の実施形態における、実験結果を図3に示す。
【0038】
図3(a)は、従来技術によるものであり、同図(b)は、本願発明によるものである。同図(a)、(b)において、上段の波形は、調光を制御するPWM信号の波形であり、下段の波形は、電圧波形である。また、同図(c)は、同図(b)上段のPWM波形の様子を模式的に拡大したものである。
【0039】
同図(a)、(b)を比較することにより、本願発明により電圧波形に生じているヒゲ電圧が抑制されていることが確認できる。
【0040】
また、PWM波形の立ち上がり時間と、ヒゲ電圧の抑制効果との関係を表1に示す。表1のマトリックスの上段はヒゲ電圧のレベルであり、中段は、従来技術によるヒゲ電圧レベル(56.8V)を基準とした場合の抑制程度の比率をパーセントで示したものであり、下段は、PWM波形の立ち上がり時間である。
【0041】
【表1】
【0042】
表1より、PWM波形の立ち上がり時間の遅れに比例して、ヒゲ電圧レベルの抑制効果が大きくなっていることが理解できる。
【0043】
ここで、このPWM波形の立ち上がり時間の遅れをどの程度にすれば最良となるかが問題であるが、この点に関しては、鳴り音が人間の聴覚に関わるものであり個人差が大きいこと等を考慮しなければならない。このような点を考慮した複数の被験者に対する官能実験等の結果から、PWM波形の立ち上がり時間の遅れは10から100μ秒程度が好ましいと考える。
【0044】
尚、上述のように、鳴り音に対する感覚は個人差が大きいため、本願発明のPWM波形の立ち下がり時間及び立ち上がり時間は、容易に調整できることが好ましい。この点に関し、本願発明では、その立ち下がり時間及び立ち上がり時間は、抵抗とコンデンサによる時定数で決定されるため、抵抗、コンデンサの値を可変できるようにすることで容易に対応することができる。
【0045】
【発明の効果】
本発明によれば、PWM調光方式による蛍光管点灯装置で生じる鳴り音を効果的に抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る蛍光管点灯装置のブロック図である。
【図2】本発明に係る調光回路の回路図である。
【図3】本発明に係るPWM波形と電圧ノイズの実験データである。
【図4】従来の蛍光管点灯装置の回路図である。
【図5】従来の蛍光管点灯装置の各部の波形図である。
【図6】従来の調光回路の回路図である。
【符号の説明】
101・・・蛍光管、102・・・昇圧回路、103・・・共振回路、104・・・スイッチング回路、105・・・帰還回路、106・・・平滑化回路、107・・・DC入力、108・・・調光回路、109・・・PWM入力、201・・・入力PWM波形、202・・・出力PWM波形、401・・・PWM調光駆動回路部、402・・・インバータ部、403・・・インバータ部402の電源、404・・・蛍光管405・・・三角波発振回路、406・・・波形設定部、407・・・オペアンプ、408・・・コンパレータ、409・・・NANDゲート、410・・・チョークコイル、411・・・トランス、601・・・トランジスタ、602,603・・・抵抗
【発明の属する技術分野】
本発明は、蛍光管点灯装置に関わり、特に、液晶表示装置のバックライトとして用いられている蛍光管の点灯装置に好適に適用できるものである。
【0002】
【従来の技術】
液晶を用いた表示装置は、液晶表示パネルの背面にバックライトを配した構成となっている。このバックライトには蛍光管が使用される。
【0003】
バックライトの調光方式としては、電圧制御調光方式とPWM(Pulse Wide Modulation :パルス幅変調)調光方式が知られている。電圧制御調光方式は調光範囲が大きくとれないのに対し、PWM調光方式は調光比を大きくできることから、液晶表示装置用のバックライトの調光方式としては、PWM調光方式が多く用いられる。かかるPWM調光方式を用いた液晶表示装置は特開平7−325286号公報等に開示されている。
【0004】
従来のPWM調光方式によるバックライト装置を図4に、また、図4の各部の信号波形を図5に示す。
【0005】
図4において、401はPWM調光駆動回路部、402はインバータ部、403はインバータ部402の電源、404は蛍光管である。また、PWM調光駆動回路部401は、三角波発振回路405、波形設定部406、オペアンプ407、コンパレータ408、NANDゲート409から構成される。また、インバータ部402にはチョークコイル410、トランス411が含まれる。
【0006】
PWM調光駆動回路部401による蛍光管404の駆動周期は、固定周期となっている。三角波発振回路405からは、駆動周期を決定する三角波信号a(図5(a)参照)が一定の周期で出力される。この三角波信号aの波形および周期は、波形設定部406によって設定される。即ち、図5(a)の時間t0から時間tfまでの間の三角波信号aの波形は、波形設定部406の抵抗RonとコンデンサCfとの時定数によって決定され、時間tfから時間t0′までの間の三角波信号aの波形は、波形設定部56の抵抗RoffとコンデンサCfとの時定数によって決定される。
【0007】
また、三角波発振回路405からは、1周期(時間t0から時間t0′まで)の期間中における時間tfから時間t0′の期間だけ”Lレベル”になるデッドタイム信号bが出力される(図5(b)参照)。このデッドタイム信号bが”Lレベル”の期間は、PWM調光の1周期中のデッドタイム(発光を停止させる時間)となり、点灯期間が制限される。
【0008】
表示装置の輝度調節ボリューム(図示せず)の操作により、その操作量に応じた直流の制御入力信号Vctlが上記PWM調光駆動回路部401に入力される。このとき、オペアンプ407からは、制御入力信号Vctlの直流電圧レベルに応じた信号cがコンパレータ408へ出力され、該コンパレータ408において上記信号cと上記三角波信号aとが比較される(図5(c)参照)。
【0009】
コンパレータ408からは、信号cのレベルに対応した信号dがNANDゲート409へ出力され(図5(d)参照)、該NANDゲート409からは、上記デッドタイム信号bによって点灯期間に制限が加えられた信号eがインバータ部402へ出力される(図5(e)参照)。これにより、インバータ部402は、例えば制御入力信号VctlがLのときは1周期の期間中における時間t2から時間tfの期間だけ発振し、制御入力信号VctlがHのときは時間t1から時間tfの期間だけ発振する(図5(f)参照)。即ち、アナログ量の制御入力信号Vctlのレベルを変化させることによってインバータ部402の発振期間が変化し、この結果、蛍光管404の点灯期間と消灯期間との時間比率が変化して調光が行われる。
【0010】
また、PWM調光駆動回路部401は、図6のようにも構成できる。かかる回路は、PNPトランジスタ601のコレクタ側にDC入力ラインを接続し、エミッタ−ベース間には調光信号を反映した波形が、2つの抵抗602、603によって分圧された電圧値で入力される。この電圧のON/OFFによってPNPトランジスタ601が切替え動作を起こし、ひいてはスイッチング回路へのON/OFFの動作切替えを制御するように動作するものである。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
以上のようなPWM調光方式による蛍光管点灯装置では、鳴り音が発生する。かかる鳴り音は、インバータ部402に含まれるチョークコイル410及びトランス411から発生する。その原因は、蛍光管に流れる管電流の急激な増加と点灯直前に瞬間的に流れる励磁電流により、蛍光管が消灯状態から点灯状態に変わるときに発生する磁歪等によるものと考えられる。
【0012】
即ち、点灯始動時には、蛍光管に絶縁破壊を引き起こさせるために通常の2倍近い電圧が印加される。このため、トランス回路2次側のこの影響を受けて回路1次側にも始動時に一時的に通常時よりも高い電圧がかかる。これにより、調光信号の立ち上がりの際はランプが始動し、その周波数に同調した励磁電流が流れ所謂ヒゲ電圧が発生する。この時、トランスの内部の部材(スペーサー等)もこの周波数で振動するため鳴り音が発生することとなる。
【0013】
尚、このヒゲ電圧の値が高くなれば鳴り音も大きくなる。また、蛍光管を複数用いた所謂多灯式の場合は、高圧トランスが多数含まれることとなり鳴り音も大きくなる。
【0014】
このような鳴り音は、使用者に不快感を与えるものである。従って、極力その発生を抑制することが望ましい。上記公報で開示されている発明では、PWM調光の周波数を低くすることで、この問題の解決を図っている。しかしながら、その場合は、フリッカが増加するという問題が生じ、鳴り音の問題とフリッカの問題の両方を同時に考慮しなければならないという複雑さが生じる。
【0015】
本発明は、かかる課題に鑑み、鳴り音を効果的に抑制した蛍光管点灯装置を提供するものである。
【0016】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、本発明は以下のような手段を講じた。
【0017】
即ち、本発明にかかる蛍光管点灯装置は、蛍光管と、少なくとも昇圧手段と共振手段とスイッチング手段とを含むインバータ手段と、を具備し、このインバータ手段にPWM信号を入力することにより調光を制御する蛍光管点灯装置において、前記インバータ手段に与えるPWM信号の少なくとも立ち上がり時間を規制する調光手段を設けたものである。そして、このPWM信号の立ち上がり時間は10から100μ秒程度が好ましい。
【0018】
かかる構成により、蛍光管点灯装置において発生する鳴り音を効果的に抑制することができる。
【0019】
また、前記調光手段は、更にPWM信号の立ち下がり時間を規制することが好ましい。
【0020】
これにより、蛍光管点灯装置において発生する鳴り音を効果的に抑制すると共に、安定した蛍光管の点灯を図ることができる。
【0021】
尚、本発明では、前記調光手段でのPWM信号の立ち上がり時間、および/または、立ち下がり時間を抵抗とコンデンサの時定数で規制する構成とした。
【0022】
このような構成により、PWM信号の立ち上がり時間、立ち下がり時間を容易に調整できる。
【0023】
【発明の実施の形態】
PWM方式を用いた蛍光管点灯装置において鳴り音が発生する原因は、上述のように点灯時に瞬間的に流れる励磁電流である。従って、この励磁電流を抑制することが鳴り音の発生を抑制することにつながる。
【0024】
ここで、点灯時に励磁電流が流れる要因を検討すると、点灯を制御しているPWM信号波形の立ち上がり時間が急峻であることが大きく関わっていると考えられる。そこで、本願発明では、この励磁電流を抑制するために、調光を制御するPWM信号の波形の立ち上がり時間を規制する手段を講じた。尚、この際、立ち下がり時間も遅延することとなり、立下り時に不安定な点灯状態となる虞がある。そのため、立ち下がり時間の規制も同時に行うようにした。
【0025】
以下、本願発明にかかる蛍光管点灯装置を液晶表示装置用のバックライトに適用した場合を例として、その実施形態を説明する。
【0026】
本発明にかかる蛍光管点灯装置のブロック図を図1に示す。
【0027】
図1において、101は蛍光管、102は昇圧回路、103は共振回路、104はスイッチング回路、105は帰還回路、106は平滑化回路、107は電源入力、108は調光回路、109は調光を制御するPWM信号である。
【0028】
電源入力107からのDC入力は、キャパシタ等により構成される平滑化回路106によってノイズが除去される。かかる電源電圧は共振回路103に印加される。定電圧を印加された共振回路103では、内在するインダクタ、キャパシタ及びトランス1次側のコイル巻線によって共振電圧波形を発生させる。この共振波形は、昇圧回路102に入力される。昇圧回路102では、昇圧トランスの2次側巻線で数百KVから数KV程度の高電圧に昇圧される。この高電圧によって蛍光管101が絶縁破壊を引き起こし放電状態となり、内在する蛍光体を発光させる。
【0029】
一方、共振回路103で発生させた共振波形は、トランスの3次巻線によって負電圧としてスイッチング回路105に帰還し、スイッチング回路104に内在する2つのトランジスタを交互に動作させることで共振回路を継続動作させることができる。
【0030】
調光回路108は、このスイッチング回路104に対し動作させるか否かの判定波形を送ることで、蛍光灯の点灯/消灯を制御し、ひいては明るさを制御することが可能となる。
【0031】
次に、本発明の特徴となる調光回路108について詳述する。
【0032】
図2は、調光回路108の回路図である。図中の矢印は、調光信号のON/OFF時の各々に対する電流の流れを示したものである。また、図中の波形201は、調光回路108への入力調光信号波形であり、波形202は、調光回路108からの出力調光信号波形である。
【0033】
先ず、入力調光信号がOFF(13.6V)の時は、電源電圧であるVin(13.6V)との間に電圧差が無いのでトランジスタTrはOFFとなりトランジスタTrのエミッタ・コレクタ間に電流は流れない。この時、コンデンサC3には、電源電圧である13.6Vラインによって電荷が蓄積される。
【0034】
次に、入力調光信号201がON(0V)になると、電源電圧であるVin(13.6V)との間に電圧差が生じる。即ち、トランジスタTrのベース端には、抵抗R1と抵抗R2で分圧された電圧が印加され、トランジスタTrはON状態となる。これにより、ベース・エミッタ間に約0.6Vの電圧差が生じ、トランジスタTrにコレクタ電流が流れる。
【0035】
この時、トランジスタTrのエミッタ・コレクタ間電圧が13.6Vから略0Vに立ち下がるのでコンデンサC3は放電を始める(この時、出力調光信号202は逆に立ち上がり方向に遷移する)。この放電期間の分だけトランジスタTrの立ち下がり時間が緩和される。よって、出力調光信号202の立ち上がり時間が緩和されることになる。
【0036】
また、この出力調光信号202の立ち下がり時間を制御するため、抵抗R3を設けている。コンデンサC2は、入力調光信号201がOFFの時もONの時も13.6Vラインに印加され続けているので放電され難い。このため、調光回路から出力される電圧波形の立ち下がりの遅延が著しくなる。そこで、コンデンサC2の電荷を早く放電させるためC2と並列に抵抗R3設けている。この抵抗R3とコンデンサC2の時定数を制御することで調光出力信号波形202の立ち下がり時間を調整することができる。
【0037】
以上の実施形態における、実験結果を図3に示す。
【0038】
図3(a)は、従来技術によるものであり、同図(b)は、本願発明によるものである。同図(a)、(b)において、上段の波形は、調光を制御するPWM信号の波形であり、下段の波形は、電圧波形である。また、同図(c)は、同図(b)上段のPWM波形の様子を模式的に拡大したものである。
【0039】
同図(a)、(b)を比較することにより、本願発明により電圧波形に生じているヒゲ電圧が抑制されていることが確認できる。
【0040】
また、PWM波形の立ち上がり時間と、ヒゲ電圧の抑制効果との関係を表1に示す。表1のマトリックスの上段はヒゲ電圧のレベルであり、中段は、従来技術によるヒゲ電圧レベル(56.8V)を基準とした場合の抑制程度の比率をパーセントで示したものであり、下段は、PWM波形の立ち上がり時間である。
【0041】
【表1】
【0042】
表1より、PWM波形の立ち上がり時間の遅れに比例して、ヒゲ電圧レベルの抑制効果が大きくなっていることが理解できる。
【0043】
ここで、このPWM波形の立ち上がり時間の遅れをどの程度にすれば最良となるかが問題であるが、この点に関しては、鳴り音が人間の聴覚に関わるものであり個人差が大きいこと等を考慮しなければならない。このような点を考慮した複数の被験者に対する官能実験等の結果から、PWM波形の立ち上がり時間の遅れは10から100μ秒程度が好ましいと考える。
【0044】
尚、上述のように、鳴り音に対する感覚は個人差が大きいため、本願発明のPWM波形の立ち下がり時間及び立ち上がり時間は、容易に調整できることが好ましい。この点に関し、本願発明では、その立ち下がり時間及び立ち上がり時間は、抵抗とコンデンサによる時定数で決定されるため、抵抗、コンデンサの値を可変できるようにすることで容易に対応することができる。
【0045】
【発明の効果】
本発明によれば、PWM調光方式による蛍光管点灯装置で生じる鳴り音を効果的に抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る蛍光管点灯装置のブロック図である。
【図2】本発明に係る調光回路の回路図である。
【図3】本発明に係るPWM波形と電圧ノイズの実験データである。
【図4】従来の蛍光管点灯装置の回路図である。
【図5】従来の蛍光管点灯装置の各部の波形図である。
【図6】従来の調光回路の回路図である。
【符号の説明】
101・・・蛍光管、102・・・昇圧回路、103・・・共振回路、104・・・スイッチング回路、105・・・帰還回路、106・・・平滑化回路、107・・・DC入力、108・・・調光回路、109・・・PWM入力、201・・・入力PWM波形、202・・・出力PWM波形、401・・・PWM調光駆動回路部、402・・・インバータ部、403・・・インバータ部402の電源、404・・・蛍光管405・・・三角波発振回路、406・・・波形設定部、407・・・オペアンプ、408・・・コンパレータ、409・・・NANDゲート、410・・・チョークコイル、411・・・トランス、601・・・トランジスタ、602,603・・・抵抗
Claims (4)
- 蛍光管と、少なくとも昇圧手段と共振手段とスイッチング手段とを含むインバータ手段と、を具備し、このインバータ手段にPWM信号を入力することにより調光を制御する蛍光管点灯装置において、
前記インバータ手段に与えるPWM信号の少なくとも立ち上がり時間を規制する調光手段を設けたことを特徴とする蛍光管点灯装置。 - 請求項1記載の蛍光管点灯装置において、
前記調光手段で規制されたPWM信号の立ち上がり時間は、10から100μ秒程度に規制したことを特徴とする蛍光管点灯装置。 - 請求項1または請求項2記載の蛍光管点灯装置において、
前記調光手段は、更にPWM信号の立ち下がり時間を規制することを特徴とする蛍光管点灯装置。 - 請求項1乃至請求項3の何れかに記載の蛍光管点灯装置において、
前記調光手段は、PWM信号の立ち上がり時間、および/または、立ち下がり時間を抵抗とコンデンサの時定数で規制することを特徴とする蛍光管点灯装置。
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JP2002213597A JP2004055431A (ja) | 2002-07-23 | 2002-07-23 | 蛍光管点灯装置 |
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-
2002
- 2002-07-23 JP JP2002213597A patent/JP2004055431A/ja active Pending
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