JP2004055385A - メタルバック付き蛍光面および画像表示装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】FEDのような画像表示装置のメタルバック付き蛍光面において、メタルバック層の成膜性および密着性を向上させ、耐圧特性を改善する。
【解決手段】本発明は、フェースプレート内面に光吸収層および蛍光体層をそれぞれ有し、該蛍光体層上にメタルバック層を有するメタルバック付き蛍光面であり、蛍光体層が2層以上の異なる粒径の蛍光体を主体とする層を有することを特徴とする。蛍光体層を、3〜15μmの粒径を有する第1の蛍光体の下層と、第1の蛍光体より粒径の小さい(好ましくは1/2以下)第2の蛍光体の上層との積層構造とすることができる。
【選択図】 図1
【解決手段】本発明は、フェースプレート内面に光吸収層および蛍光体層をそれぞれ有し、該蛍光体層上にメタルバック層を有するメタルバック付き蛍光面であり、蛍光体層が2層以上の異なる粒径の蛍光体を主体とする層を有することを特徴とする。蛍光体層を、3〜15μmの粒径を有する第1の蛍光体の下層と、第1の蛍光体より粒径の小さい(好ましくは1/2以下)第2の蛍光体の上層との積層構造とすることができる。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、メタルバック付き蛍光面、およびメタルバック付き蛍光面を有する画像表示装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、陰極線管(CRT)やフィールドエミッションディスプレイ(FED)などの画像表示装置では、蛍光体層の内面(電子源側の面)にアルミニウム(Al)膜などの金属膜が形成されたメタルバック方式の蛍光面が広く採用されている。
【0003】
この蛍光面の金属膜は、メタルバック層と呼ばれ、電子源から放出された電子により蛍光体から発せられた光のうちで、電子源側に進む光をフェースプレート側へ反射して輝度を高めること、および蛍光面に導電性を付与しアノード電極の役割を果たすことを目的としたものである。また、真空外囲器内に残留するガスの電離により生じるイオンによって、蛍光体が損傷することを防ぐ機能をも有している。
【0004】
メタルバック層の形成は、通常、蛍光体層の上にニトロセルロース等の有機樹脂からなる薄い膜をスピン法などで形成し、その上にAlを真空蒸着し、さらに焼成して有機物を除去する方法により行われている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来のメタルバック付き蛍光面では、蛍光体層の表面に蛍光体粒子に起因する大きな凹凸(段差)が存在し、蛍光体層の平坦性が悪いため、その上に形成されるメタルバック層の成膜性が悪く、また密着性が不十分であった。そのため、メタルバック層に亀裂やしわ、ピンホール等が生じ易く、耐圧特性が低いという問題があった。また、高輝度の蛍光面を得ることが難しく、特に低速電子線領域で作動するFEDのような表示装置では、輝度ムラの問題も発生していた。
【0006】
従来から、蛍光体層の表面の段差および凹凸を解消し、メタルバック層の成膜性や密着性を高めるために、蛍光体の粒径を微細化するなどの方法も考えられているが、この方法では、表示面の輝度が大幅に低下するという問題があった。
【0007】
本発明は、これらの問題を解決するためになされたもので、メタルバック層の成膜性が良好で下層の蛍光体層との密着性に優れており、輝度低下を伴うことなく耐圧特性が向上されたメタルバック付き蛍光面、およびそのようなメタルバック付き蛍光面を備え、高輝度で安定した表示が可能な画像表示装置を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明の第1の発明のメタルバック付き蛍光面は、フェースプレートの内面に少なくとも光吸収層と蛍光体層を有し、該蛍光体層上にメタルバック層を有する蛍光面であり、前記蛍光体層が、少なくとも2層の互いに異なる粒径の蛍光体を主体とする層を有することを特徴とする。
【0009】
第1の発明のメタルバック付き蛍光面において、蛍光体層が、3〜15μmの粒径を有する第1の蛍光体を主体として含む蛍光体下層と、該蛍光体下層の上に形成され、前記第1の蛍光体より粒径の小さい第2の蛍光体を主体として含む蛍光体上層とを有することができる。そして、第2の蛍光体の粒径を、第1の蛍光体の粒径の1/2より小さくすることができる。
【0010】
また、このメタルバック付き蛍光面において、蛍光体層の上面と光吸収層の上面とが、1〜5μmの段差を有することができる。さらに、光吸収層の上に結着性の無機材料を主体とする段差調整層を有し、メタルバック層が前記段差調整層の上面に接して形成されており、かつ蛍光体層の上面と前記段差調整層の上面とが、1〜5μmの段差を有することができる。
【0011】
第2の発明の画像表示装置は、フェースプレートと、前記フェースプレートと対向配置されたリアプレートと、前記リアプレート上に形成された多数の電子放出素子と、前記フェースプレート上に前記リアプレートに対向して形成され、前記電子放出素子から放出される電子線により発光する蛍光面とを具備し、前記蛍光面が、前記した第1の発明のメタルバック付き蛍光面であることを特徴とする。
【0012】
本発明のメタルバック付き蛍光面においては、蛍光体層が異なる粒径の蛍光体を主体とする複数の層を有し、例えば、蛍光体層の上面の面内の凹凸(段差)が1〜5μmとなるように、比較的粒径の大きな蛍光体から成る下層の上に粒径の小さい蛍光体から成る上層が積層・形成された構造となっているので、蛍光体層の表面の凹凸が低減され、十分な平坦性が実現される。その結果、蛍光体層の上に形成されるメタルバック層の成膜性が向上し、亀裂やピンホール、しわ等のない平滑なメタルバック層を得ることができる。また、メタルバック層と蛍光体層との密着性が向上するため、耐圧特性が大幅に向上する。さらに、蛍光体層が、比較的大粒径の蛍光体から成る層を有しているので、十分に高輝度の表示面が得られる。
【0013】
また、本発明の画像表示装置においては、輝度低下を生じることなく耐圧特性が向上したメタルバック付き蛍光面を有しているので、高輝度、高品位で耐久性・信頼性に優れた表示を実現することができる。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について説明する。
【0015】
図1は、本発明に係るメタルバック付き蛍光面の第1の実施形態を示す断面図である。
【0016】
図において、符号1はガラス基板を示す。このガラス基板1の内面には、カーボンブラックのような黒色顔料等からなる所定パターン(例えばストライプ状あるいはドット状)の光吸収層2が、フォトリソ法などにより形成されている。また、光吸収層2のパターンの間に、赤(R)、緑(G)、青(B)の3色の蛍光体層3が設けられている。さらに、光吸収層2と蛍光体層3を有する蛍光面の上に、Al膜のような金属膜から成るメタルバック層4が形成されている。
【0017】
各色の蛍光体層3は、それぞれ第1の蛍光体から成る蛍光体下層3aの上に、第1の蛍光体より粒径の小さい第2の蛍光体から成る蛍光体上層3bが積層された2層構造を有している。
【0018】
ここで、第1の蛍光体は3〜15μmの粒径を有している。第2の蛍光体の粒径R2は、第1の蛍光体の粒径をR1とすると、R2<(1/2)R1とすることが望ましく、より好ましい範囲は(1/5)R1<R2<(1/3)R1である。
【0019】
また、蛍光体層3全体の厚さは、3〜20μmとし、蛍光体下層3aと蛍光体上層3bとの厚さの比は、8:2〜7:3とすることが好ましい。
【0020】
さらに、蛍光体層3の上面と光吸収層2の上面が、1〜5μmの段差を有するように構成することが望ましい。
【0021】
蛍光体層3の上面と光吸収層2の上面との段差が1μm未満では、メタルバック層4を形成した後の加熱処理工程で、有機ガスの抜け道がなくなるため、有機成分の焼け残りやメタルバック層4の火膨れなどの問題が発生して好ましくない。段差が5μmを超える場合には、下層の平坦性が乏しくなるため、メタルバック層4の蛍光面への追従が不十分となり成膜性が悪化する。したがって、連続したメタルバック層4が得られない。
【0022】
さらに、蛍光体層3を3層以上の多層構造とすることも可能である。例えば、3〜15μmの粒径を有する第1の蛍光体の層と、第1の蛍光体の1/2以下の粒径を有する第2の蛍光体の層との間に、これらの中間の粒径を有する第3の蛍光体の層を設けることができる。
【0023】
各色の蛍光体層3を形成するには、まず、3〜15μmの粒径を有するZnS系、Y2O3系、Y2O2S系などの第1の蛍光体と、バインダである樹脂成分、溶媒および添加剤などからなる第1の蛍光体ペーストを、所定の位置にスクリーン印刷し、蛍光体下層のパターンを形成した後、粒径の小さい第2の蛍光体と樹脂バインダ、溶媒および添加剤等からなる第2の蛍光体ペーストを、対応する蛍光体下層の上にスクリーン印刷し、蛍光体上層のパターンを形成する。
【0024】
なお、蛍光体下層および蛍光体上層のパターンは、第1および第2の蛍光体を含むスラリーを塗布し、フォトリソ法によりパターニングする方法(スラリー法)により形成することもできる。
【0025】
また、図2に示すように、光吸収層2の上に、結着性の無機材料を主成分として含む段差調整層5を光吸収層2と同一のパターンで形成し、この段差調整層5の上面と蛍光体層の上面とが、1〜5μmの段差を有するように調整することができる。蛍光体層3と段差調整層5との段差が1μm未満では、メタルバック層4を形成した後の加熱処理工程で、有機ガスの抜け道がなくなるため、有機成分の焼け残りやメタルバック層4の火膨れなどの問題が発生して好ましくない。段差が5μmを超える場合には、下層の平坦性が乏しくなるため、メタルバック層4の蛍光面への追従が不十分となり成膜性が悪化する。したがって、連続したメタルバック層4が得られない。
【0026】
ここで、結着性の無機材料としては、低融点ガラス、水ガラス、セラミックスなどが挙げられ、特に低融点ガラスを使用することが望ましい。低融点ガラスとしては、例えば、組成式(SiO2・B2O3・PbO)、(B2O3・Bi2O3)、(SiO2・PbO)あるいは(B2O3・PbO)で表わされるガラスを用いることができる。
【0027】
また、このような結着性の無機材料とともに、粒径が5μm以下の耐熱性の無機微粒子を、段差調整層5中に含有させることができる。耐熱性の無機微粒子としては、特に種類は限定されず、例えばFe2O3、SiO2、Al2O3、TiO2、MnO2、In2O3、Sb2O5、SnO2、WO3、NiO、ZnO、ZrO2、ITO、ATOなどの金属酸化物から選ばれる少なくとも一種を用いることができる。このような無機微粒子を含有する段差調整層5を設けた場合には、膜強度がより向上する。
【0028】
段差調整層5の形成は、フェースプレート内面の所定の位置に光吸収層2を形成し、光吸収層2の間に各色の蛍光体層3をパターン形成した後に行うことが望ましい。蛍光体層3を形成した後に段差調整層5を形成することで、段差調整層5の厚さのコントロールが容易になる。
【0029】
このように構成される蛍光面の上に、Al膜のような金属膜から成るメタルバック層4を形成するには、例えばスピン法で形成されたニトロセルロース等の有機樹脂からなる薄い膜の上に、Alなどの金属膜を真空蒸着し、さらに約450℃の温度で焼成して有機物を除去する方法を採ることができる。また、以下に示すように、転写フィルムを用いてメタルバック層4を形成することもできる。
【0030】
転写フィルムは、ベースフィルム上に離型剤層(必要に応じて保護膜)を介してAl等の金属膜と接着剤層が順に積層された構造を有しており、この転写フィルムを、接着剤層が蛍光体層に接するように配置し、押圧処理を行う。押圧方式としては、スタンプ方式、ローラー方式などがある。こうして転写フィルムを押圧し金属膜を接着してから、ベースフィルムを剥ぎ取ることにより、蛍光面に金属膜が転写される。次いで、金属膜が転写されたフェースプレートに加熱処理(ベーキング)を施し有機分を分解し除去することにより、メタルバック層が形成される。
【0031】
第1の実施形態のメタルバック付き蛍光面においては、蛍光体層3が2層構造を有し、第1の蛍光体から成る蛍光体下層3aの上に、第1の蛍光体よりはるかに粒径の小さい第2の蛍光体から成る蛍光体上層3bが積層して形成されているので、蛍光体層3表面の凹凸(段差)が小さく、十分な平坦性を有している。したがって、その上に形成されたメタルバック層4の成膜性が良好であるうえに、メタルバック層4と蛍光体層3との密着性が高く、耐圧性が向上している。また、蛍光体層3が、3〜15μmと比較的粒径の大きな第1の蛍光体を含む層を有しているので、良好な発光輝度が実現される。
【0032】
さらに、光吸収層2の上に段差調整層5が形成された構造では、蛍光体層3との間の段差がよりいっそう低減あるいは解消されるので、メタルバック層4の成膜性および下層との密着性がさらに向上し、しわ等のない平滑なメタルバック層を得ることができ、耐圧特性が大幅に向上する。
【0033】
次に、本発明の第2の実施形態として、メタルバック付き蛍光面をアノード電極とするFEDを図3に示す。
【0034】
このFEDでは、前記した第1の実施形態のメタルバック付き蛍光面を有するフェースプレート6と、マトリックス状に配列された電子放出素子7を有するリアプレート8とが、1mm〜数mm程度の狭い間隙を介して対向配置され、フェースプレート6とリアプレート8との間に、5〜15kVの高電圧が印加されるように構成されている。図中符号9は、光吸収層と蛍光体層を有する蛍光面を示し、10はメタルバック層を示す。また、符号11は支持枠(側壁)を示す。
【0035】
フェースプレート6とリアプレート8との間隙が極めて狭く、これらの間で放電(絶縁破壊)が起こりやすいが、このFEDでは、亀裂やピンホール等がなく平滑で平坦なメタルバック層10を有しており、メタルバック層10と下層の蛍光面9との間の密着性が高いので、放電が抑制され耐圧特性が大幅に向上している。
【0036】
次に、本発明をFEDに適用した具体的実施例について説明する。
【0037】
実施例1
ガラス基板上に、黒色顔料であるカーボンブラックからなるストライプ状の光吸収層(厚さ11μm)を、スクリーン印刷法により形成した後、光吸収層のパターンの間に、赤(R)、緑(G)、青(B)の3色の蛍光体層を、ストライプ状でそれぞれが隣り合うパターンで形成した。
【0038】
各色の蛍光体層を形成するには、まず以下に示す組成を有する下層用の蛍光体ペーストをスクリーン印刷した後、90℃で10分間乾燥して蛍光体下層のパターンを形成し、次いで上層用の蛍光体ペーストをスクリーン印刷した後、90℃で15分間乾燥して蛍光体上層のパターンを形成した。なお、蛍光体層の全厚は11μmとし、蛍光体下層と蛍光体上層との厚さの比を7:3とした。また、蛍光体層の表面に存在する凹凸(段差)の最大値は、1μmであった。
【0039】
[下層用蛍光体ペーストの組成]
蛍光体(粒径10μm) …………35wt%
樹脂(エチルセルロース) ………… 6wt%
溶媒(ブチルカルビトールアセテート) …………59wt%
【0040】
[上層用蛍光体ペーストの組成]
蛍光体(粒径2μm) …………30wt%
樹脂(エチルセルロース) ………… 5wt%
溶媒(ブチルカルビトールアセテート) …………65wt%
【0041】
次に、450℃で2時間加熱焼成した後、蛍光面の上に、アクリル樹脂を主成分とする有機樹脂溶液を塗布、乾燥し、有機樹脂層を形成した後、その上に真空蒸着によりAl膜を形成した。次いで、450℃の温度で30分間加熱焼成して有機分を分解・除去し、メタルバック層を形成した。
【0042】
次に、こうして得られたメタルバック付き蛍光面を有するパネルを使用し、FEDを作製した。すなわち、基板上に表面伝導型電子放出素子をマトリクス状に多数形成した電子発生源を背面ガラス基板に固定して、リアプレートとし、このリアプレートと前記したパネル(フェースプレート)とを、支持枠およびスペーサを介して対向配置し、フリットガラスにより封着した。フェースプレートとリアプレートとの間隙は、2mmとした。次いで、真空排気、封止など必要な処理を施し、FEDを完成した。
【0043】
こうして得られたFEDの耐圧特性および輝度(相対輝度)を、常法により測定・評価した。測定結果を表1に示す。
【0044】
実施例2
以下の組成を有する下層用および上層用の蛍光体ペーストを用いて、蛍光体下層および蛍光体上層をそれぞれ形成した以外は、実施例1と同様にして、メタルバック付き蛍光面を作製した。そして、このメタルバック付き蛍光面において、蛍光体層表面の凹凸(段差)を測定した。
【0045】
[下層用蛍光体ペーストの組成]
蛍光体(粒径7μm) …………40wt%
樹脂(エチルセルロース) ………… 6wt%
溶媒(ブチルカルビトールアセテート) …………54wt%
【0046】
[上層用蛍光体ペーストの組成]
蛍光体(粒径2μm) …………30wt%
樹脂(エチルセルロース) ………… 5wt%
溶媒(ブチルカルビトールアセテート) …………65wt%
【0047】
次いで、このメタルバック付き蛍光面を有するパネルを使用して、FEDを作製し、得られたFEDの耐圧特性および相対輝度を、実施例1と同様に測定した。測定結果を、蛍光体層表面の凹凸の値とともに、表1に示す。
【0048】
実施例3
以下の組成を有する下層用および上層用の蛍光体ペーストを用いて、蛍光体下層および蛍光体上層をそれぞれ形成した以外は、実施例1と同様にして、メタルバック付き蛍光面を作製した。そして、このメタルバック付き蛍光面において、蛍光体層表面の凹凸を測定した。なお、この実施例では、蛍光体下層と蛍光体上層との厚さの比は、6:4とした。
【0049】
[下層用蛍光体ペーストの組成]
蛍光体(粒径7μm) …………35wt%
樹脂(エチルセルロース) ………… 6wt%
溶媒(ブチルカルビトールアセテート) …………59wt%
【0050】
上層用蛍光体ペーストの組成
蛍光体(粒径2μm) …………35wt%
樹脂(エチルセルロース) ………… 5wt%
溶媒(ブチルカルビトールアセテート) …………60wt%
【0051】
次いで、このメタルバック付き蛍光面を有するパネルを使用して、FEDを作製し、得られたFEDの耐圧特性および相対輝度を、実施例1と同様に測定した。測定結果を、蛍光体層の表面の凹凸の値とともに、表1に示す。
【0052】
さらに、比較例1および2として、以下の組成を有する蛍光体ペーストを用いて単層の蛍光体層を形成した以外は実施例1と同様にして、メタルバック付き蛍光面を作製した。そして、このメタルバック付き蛍光面において、蛍光体層表面の凹凸を測定した。
【0053】
[比較例1の蛍光体ペーストの組成]
蛍光体(粒径7μm) …………50wt%
樹脂(エチルセルロース) ………… 5wt%
溶媒(ブチルカルビトールアセテート) …………45wt%
【0054】
[比較例2の蛍光体ペーストの組成]
蛍光体(粒径2μm) …………65wt%
樹脂(エチルセルロース) ………… 3wt%
溶媒(ブチルカルビトールアセテート) …………32wt%
【0055】
次いで、このメタルバック付き蛍光面を有するパネルを使用して、FEDを作製し、得られたFEDの耐圧特性および発光輝度(相対輝度)を実施例1と同様に測定した。測定結果を、蛍光体層表面の凹凸の値とともに表1に示す。
【0056】
【表1】
【0057】
表1から明らかなように、実施例1〜3で得られたメタルバック付き蛍光面を備えたFEDは、比較例1,2で得られたものに比べて、良好な耐圧特性を有しており、しかも実用上十分な発光輝度を有している。
【0058】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、メタルバック層の成膜性が良好で下層との密着性に優れており、放電の発生が抑制され耐圧特性に優れたメタルバック付き蛍光面が得られる。したがって、そのような蛍光面を有する画像表示装置においては、耐圧特性が大幅に改善され、かつ高輝度の表示を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るメタルバック付き蛍光面の第1の実施形態を示す断面図。
【図2】本発明に係るメタルバック付き蛍光面の別の実施形態を示す断面図。
【図3】本発明の第2の実施形態であるFEDの構造を示す断面図。
【符号の説明】
1………ガラス基板、2………光吸収層、3………蛍光体層、3a………蛍光体下層、3b………蛍光体上層、4、10………メタルバック層、5………段差調整層、6………フェースプレート、7………電子放出素子、8………リアプレート、9………蛍光面、11………支持枠
【発明の属する技術分野】
本発明は、メタルバック付き蛍光面、およびメタルバック付き蛍光面を有する画像表示装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、陰極線管(CRT)やフィールドエミッションディスプレイ(FED)などの画像表示装置では、蛍光体層の内面(電子源側の面)にアルミニウム(Al)膜などの金属膜が形成されたメタルバック方式の蛍光面が広く採用されている。
【0003】
この蛍光面の金属膜は、メタルバック層と呼ばれ、電子源から放出された電子により蛍光体から発せられた光のうちで、電子源側に進む光をフェースプレート側へ反射して輝度を高めること、および蛍光面に導電性を付与しアノード電極の役割を果たすことを目的としたものである。また、真空外囲器内に残留するガスの電離により生じるイオンによって、蛍光体が損傷することを防ぐ機能をも有している。
【0004】
メタルバック層の形成は、通常、蛍光体層の上にニトロセルロース等の有機樹脂からなる薄い膜をスピン法などで形成し、その上にAlを真空蒸着し、さらに焼成して有機物を除去する方法により行われている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来のメタルバック付き蛍光面では、蛍光体層の表面に蛍光体粒子に起因する大きな凹凸(段差)が存在し、蛍光体層の平坦性が悪いため、その上に形成されるメタルバック層の成膜性が悪く、また密着性が不十分であった。そのため、メタルバック層に亀裂やしわ、ピンホール等が生じ易く、耐圧特性が低いという問題があった。また、高輝度の蛍光面を得ることが難しく、特に低速電子線領域で作動するFEDのような表示装置では、輝度ムラの問題も発生していた。
【0006】
従来から、蛍光体層の表面の段差および凹凸を解消し、メタルバック層の成膜性や密着性を高めるために、蛍光体の粒径を微細化するなどの方法も考えられているが、この方法では、表示面の輝度が大幅に低下するという問題があった。
【0007】
本発明は、これらの問題を解決するためになされたもので、メタルバック層の成膜性が良好で下層の蛍光体層との密着性に優れており、輝度低下を伴うことなく耐圧特性が向上されたメタルバック付き蛍光面、およびそのようなメタルバック付き蛍光面を備え、高輝度で安定した表示が可能な画像表示装置を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明の第1の発明のメタルバック付き蛍光面は、フェースプレートの内面に少なくとも光吸収層と蛍光体層を有し、該蛍光体層上にメタルバック層を有する蛍光面であり、前記蛍光体層が、少なくとも2層の互いに異なる粒径の蛍光体を主体とする層を有することを特徴とする。
【0009】
第1の発明のメタルバック付き蛍光面において、蛍光体層が、3〜15μmの粒径を有する第1の蛍光体を主体として含む蛍光体下層と、該蛍光体下層の上に形成され、前記第1の蛍光体より粒径の小さい第2の蛍光体を主体として含む蛍光体上層とを有することができる。そして、第2の蛍光体の粒径を、第1の蛍光体の粒径の1/2より小さくすることができる。
【0010】
また、このメタルバック付き蛍光面において、蛍光体層の上面と光吸収層の上面とが、1〜5μmの段差を有することができる。さらに、光吸収層の上に結着性の無機材料を主体とする段差調整層を有し、メタルバック層が前記段差調整層の上面に接して形成されており、かつ蛍光体層の上面と前記段差調整層の上面とが、1〜5μmの段差を有することができる。
【0011】
第2の発明の画像表示装置は、フェースプレートと、前記フェースプレートと対向配置されたリアプレートと、前記リアプレート上に形成された多数の電子放出素子と、前記フェースプレート上に前記リアプレートに対向して形成され、前記電子放出素子から放出される電子線により発光する蛍光面とを具備し、前記蛍光面が、前記した第1の発明のメタルバック付き蛍光面であることを特徴とする。
【0012】
本発明のメタルバック付き蛍光面においては、蛍光体層が異なる粒径の蛍光体を主体とする複数の層を有し、例えば、蛍光体層の上面の面内の凹凸(段差)が1〜5μmとなるように、比較的粒径の大きな蛍光体から成る下層の上に粒径の小さい蛍光体から成る上層が積層・形成された構造となっているので、蛍光体層の表面の凹凸が低減され、十分な平坦性が実現される。その結果、蛍光体層の上に形成されるメタルバック層の成膜性が向上し、亀裂やピンホール、しわ等のない平滑なメタルバック層を得ることができる。また、メタルバック層と蛍光体層との密着性が向上するため、耐圧特性が大幅に向上する。さらに、蛍光体層が、比較的大粒径の蛍光体から成る層を有しているので、十分に高輝度の表示面が得られる。
【0013】
また、本発明の画像表示装置においては、輝度低下を生じることなく耐圧特性が向上したメタルバック付き蛍光面を有しているので、高輝度、高品位で耐久性・信頼性に優れた表示を実現することができる。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について説明する。
【0015】
図1は、本発明に係るメタルバック付き蛍光面の第1の実施形態を示す断面図である。
【0016】
図において、符号1はガラス基板を示す。このガラス基板1の内面には、カーボンブラックのような黒色顔料等からなる所定パターン(例えばストライプ状あるいはドット状)の光吸収層2が、フォトリソ法などにより形成されている。また、光吸収層2のパターンの間に、赤(R)、緑(G)、青(B)の3色の蛍光体層3が設けられている。さらに、光吸収層2と蛍光体層3を有する蛍光面の上に、Al膜のような金属膜から成るメタルバック層4が形成されている。
【0017】
各色の蛍光体層3は、それぞれ第1の蛍光体から成る蛍光体下層3aの上に、第1の蛍光体より粒径の小さい第2の蛍光体から成る蛍光体上層3bが積層された2層構造を有している。
【0018】
ここで、第1の蛍光体は3〜15μmの粒径を有している。第2の蛍光体の粒径R2は、第1の蛍光体の粒径をR1とすると、R2<(1/2)R1とすることが望ましく、より好ましい範囲は(1/5)R1<R2<(1/3)R1である。
【0019】
また、蛍光体層3全体の厚さは、3〜20μmとし、蛍光体下層3aと蛍光体上層3bとの厚さの比は、8:2〜7:3とすることが好ましい。
【0020】
さらに、蛍光体層3の上面と光吸収層2の上面が、1〜5μmの段差を有するように構成することが望ましい。
【0021】
蛍光体層3の上面と光吸収層2の上面との段差が1μm未満では、メタルバック層4を形成した後の加熱処理工程で、有機ガスの抜け道がなくなるため、有機成分の焼け残りやメタルバック層4の火膨れなどの問題が発生して好ましくない。段差が5μmを超える場合には、下層の平坦性が乏しくなるため、メタルバック層4の蛍光面への追従が不十分となり成膜性が悪化する。したがって、連続したメタルバック層4が得られない。
【0022】
さらに、蛍光体層3を3層以上の多層構造とすることも可能である。例えば、3〜15μmの粒径を有する第1の蛍光体の層と、第1の蛍光体の1/2以下の粒径を有する第2の蛍光体の層との間に、これらの中間の粒径を有する第3の蛍光体の層を設けることができる。
【0023】
各色の蛍光体層3を形成するには、まず、3〜15μmの粒径を有するZnS系、Y2O3系、Y2O2S系などの第1の蛍光体と、バインダである樹脂成分、溶媒および添加剤などからなる第1の蛍光体ペーストを、所定の位置にスクリーン印刷し、蛍光体下層のパターンを形成した後、粒径の小さい第2の蛍光体と樹脂バインダ、溶媒および添加剤等からなる第2の蛍光体ペーストを、対応する蛍光体下層の上にスクリーン印刷し、蛍光体上層のパターンを形成する。
【0024】
なお、蛍光体下層および蛍光体上層のパターンは、第1および第2の蛍光体を含むスラリーを塗布し、フォトリソ法によりパターニングする方法(スラリー法)により形成することもできる。
【0025】
また、図2に示すように、光吸収層2の上に、結着性の無機材料を主成分として含む段差調整層5を光吸収層2と同一のパターンで形成し、この段差調整層5の上面と蛍光体層の上面とが、1〜5μmの段差を有するように調整することができる。蛍光体層3と段差調整層5との段差が1μm未満では、メタルバック層4を形成した後の加熱処理工程で、有機ガスの抜け道がなくなるため、有機成分の焼け残りやメタルバック層4の火膨れなどの問題が発生して好ましくない。段差が5μmを超える場合には、下層の平坦性が乏しくなるため、メタルバック層4の蛍光面への追従が不十分となり成膜性が悪化する。したがって、連続したメタルバック層4が得られない。
【0026】
ここで、結着性の無機材料としては、低融点ガラス、水ガラス、セラミックスなどが挙げられ、特に低融点ガラスを使用することが望ましい。低融点ガラスとしては、例えば、組成式(SiO2・B2O3・PbO)、(B2O3・Bi2O3)、(SiO2・PbO)あるいは(B2O3・PbO)で表わされるガラスを用いることができる。
【0027】
また、このような結着性の無機材料とともに、粒径が5μm以下の耐熱性の無機微粒子を、段差調整層5中に含有させることができる。耐熱性の無機微粒子としては、特に種類は限定されず、例えばFe2O3、SiO2、Al2O3、TiO2、MnO2、In2O3、Sb2O5、SnO2、WO3、NiO、ZnO、ZrO2、ITO、ATOなどの金属酸化物から選ばれる少なくとも一種を用いることができる。このような無機微粒子を含有する段差調整層5を設けた場合には、膜強度がより向上する。
【0028】
段差調整層5の形成は、フェースプレート内面の所定の位置に光吸収層2を形成し、光吸収層2の間に各色の蛍光体層3をパターン形成した後に行うことが望ましい。蛍光体層3を形成した後に段差調整層5を形成することで、段差調整層5の厚さのコントロールが容易になる。
【0029】
このように構成される蛍光面の上に、Al膜のような金属膜から成るメタルバック層4を形成するには、例えばスピン法で形成されたニトロセルロース等の有機樹脂からなる薄い膜の上に、Alなどの金属膜を真空蒸着し、さらに約450℃の温度で焼成して有機物を除去する方法を採ることができる。また、以下に示すように、転写フィルムを用いてメタルバック層4を形成することもできる。
【0030】
転写フィルムは、ベースフィルム上に離型剤層(必要に応じて保護膜)を介してAl等の金属膜と接着剤層が順に積層された構造を有しており、この転写フィルムを、接着剤層が蛍光体層に接するように配置し、押圧処理を行う。押圧方式としては、スタンプ方式、ローラー方式などがある。こうして転写フィルムを押圧し金属膜を接着してから、ベースフィルムを剥ぎ取ることにより、蛍光面に金属膜が転写される。次いで、金属膜が転写されたフェースプレートに加熱処理(ベーキング)を施し有機分を分解し除去することにより、メタルバック層が形成される。
【0031】
第1の実施形態のメタルバック付き蛍光面においては、蛍光体層3が2層構造を有し、第1の蛍光体から成る蛍光体下層3aの上に、第1の蛍光体よりはるかに粒径の小さい第2の蛍光体から成る蛍光体上層3bが積層して形成されているので、蛍光体層3表面の凹凸(段差)が小さく、十分な平坦性を有している。したがって、その上に形成されたメタルバック層4の成膜性が良好であるうえに、メタルバック層4と蛍光体層3との密着性が高く、耐圧性が向上している。また、蛍光体層3が、3〜15μmと比較的粒径の大きな第1の蛍光体を含む層を有しているので、良好な発光輝度が実現される。
【0032】
さらに、光吸収層2の上に段差調整層5が形成された構造では、蛍光体層3との間の段差がよりいっそう低減あるいは解消されるので、メタルバック層4の成膜性および下層との密着性がさらに向上し、しわ等のない平滑なメタルバック層を得ることができ、耐圧特性が大幅に向上する。
【0033】
次に、本発明の第2の実施形態として、メタルバック付き蛍光面をアノード電極とするFEDを図3に示す。
【0034】
このFEDでは、前記した第1の実施形態のメタルバック付き蛍光面を有するフェースプレート6と、マトリックス状に配列された電子放出素子7を有するリアプレート8とが、1mm〜数mm程度の狭い間隙を介して対向配置され、フェースプレート6とリアプレート8との間に、5〜15kVの高電圧が印加されるように構成されている。図中符号9は、光吸収層と蛍光体層を有する蛍光面を示し、10はメタルバック層を示す。また、符号11は支持枠(側壁)を示す。
【0035】
フェースプレート6とリアプレート8との間隙が極めて狭く、これらの間で放電(絶縁破壊)が起こりやすいが、このFEDでは、亀裂やピンホール等がなく平滑で平坦なメタルバック層10を有しており、メタルバック層10と下層の蛍光面9との間の密着性が高いので、放電が抑制され耐圧特性が大幅に向上している。
【0036】
次に、本発明をFEDに適用した具体的実施例について説明する。
【0037】
実施例1
ガラス基板上に、黒色顔料であるカーボンブラックからなるストライプ状の光吸収層(厚さ11μm)を、スクリーン印刷法により形成した後、光吸収層のパターンの間に、赤(R)、緑(G)、青(B)の3色の蛍光体層を、ストライプ状でそれぞれが隣り合うパターンで形成した。
【0038】
各色の蛍光体層を形成するには、まず以下に示す組成を有する下層用の蛍光体ペーストをスクリーン印刷した後、90℃で10分間乾燥して蛍光体下層のパターンを形成し、次いで上層用の蛍光体ペーストをスクリーン印刷した後、90℃で15分間乾燥して蛍光体上層のパターンを形成した。なお、蛍光体層の全厚は11μmとし、蛍光体下層と蛍光体上層との厚さの比を7:3とした。また、蛍光体層の表面に存在する凹凸(段差)の最大値は、1μmであった。
【0039】
[下層用蛍光体ペーストの組成]
蛍光体(粒径10μm) …………35wt%
樹脂(エチルセルロース) ………… 6wt%
溶媒(ブチルカルビトールアセテート) …………59wt%
【0040】
[上層用蛍光体ペーストの組成]
蛍光体(粒径2μm) …………30wt%
樹脂(エチルセルロース) ………… 5wt%
溶媒(ブチルカルビトールアセテート) …………65wt%
【0041】
次に、450℃で2時間加熱焼成した後、蛍光面の上に、アクリル樹脂を主成分とする有機樹脂溶液を塗布、乾燥し、有機樹脂層を形成した後、その上に真空蒸着によりAl膜を形成した。次いで、450℃の温度で30分間加熱焼成して有機分を分解・除去し、メタルバック層を形成した。
【0042】
次に、こうして得られたメタルバック付き蛍光面を有するパネルを使用し、FEDを作製した。すなわち、基板上に表面伝導型電子放出素子をマトリクス状に多数形成した電子発生源を背面ガラス基板に固定して、リアプレートとし、このリアプレートと前記したパネル(フェースプレート)とを、支持枠およびスペーサを介して対向配置し、フリットガラスにより封着した。フェースプレートとリアプレートとの間隙は、2mmとした。次いで、真空排気、封止など必要な処理を施し、FEDを完成した。
【0043】
こうして得られたFEDの耐圧特性および輝度(相対輝度)を、常法により測定・評価した。測定結果を表1に示す。
【0044】
実施例2
以下の組成を有する下層用および上層用の蛍光体ペーストを用いて、蛍光体下層および蛍光体上層をそれぞれ形成した以外は、実施例1と同様にして、メタルバック付き蛍光面を作製した。そして、このメタルバック付き蛍光面において、蛍光体層表面の凹凸(段差)を測定した。
【0045】
[下層用蛍光体ペーストの組成]
蛍光体(粒径7μm) …………40wt%
樹脂(エチルセルロース) ………… 6wt%
溶媒(ブチルカルビトールアセテート) …………54wt%
【0046】
[上層用蛍光体ペーストの組成]
蛍光体(粒径2μm) …………30wt%
樹脂(エチルセルロース) ………… 5wt%
溶媒(ブチルカルビトールアセテート) …………65wt%
【0047】
次いで、このメタルバック付き蛍光面を有するパネルを使用して、FEDを作製し、得られたFEDの耐圧特性および相対輝度を、実施例1と同様に測定した。測定結果を、蛍光体層表面の凹凸の値とともに、表1に示す。
【0048】
実施例3
以下の組成を有する下層用および上層用の蛍光体ペーストを用いて、蛍光体下層および蛍光体上層をそれぞれ形成した以外は、実施例1と同様にして、メタルバック付き蛍光面を作製した。そして、このメタルバック付き蛍光面において、蛍光体層表面の凹凸を測定した。なお、この実施例では、蛍光体下層と蛍光体上層との厚さの比は、6:4とした。
【0049】
[下層用蛍光体ペーストの組成]
蛍光体(粒径7μm) …………35wt%
樹脂(エチルセルロース) ………… 6wt%
溶媒(ブチルカルビトールアセテート) …………59wt%
【0050】
上層用蛍光体ペーストの組成
蛍光体(粒径2μm) …………35wt%
樹脂(エチルセルロース) ………… 5wt%
溶媒(ブチルカルビトールアセテート) …………60wt%
【0051】
次いで、このメタルバック付き蛍光面を有するパネルを使用して、FEDを作製し、得られたFEDの耐圧特性および相対輝度を、実施例1と同様に測定した。測定結果を、蛍光体層の表面の凹凸の値とともに、表1に示す。
【0052】
さらに、比較例1および2として、以下の組成を有する蛍光体ペーストを用いて単層の蛍光体層を形成した以外は実施例1と同様にして、メタルバック付き蛍光面を作製した。そして、このメタルバック付き蛍光面において、蛍光体層表面の凹凸を測定した。
【0053】
[比較例1の蛍光体ペーストの組成]
蛍光体(粒径7μm) …………50wt%
樹脂(エチルセルロース) ………… 5wt%
溶媒(ブチルカルビトールアセテート) …………45wt%
【0054】
[比較例2の蛍光体ペーストの組成]
蛍光体(粒径2μm) …………65wt%
樹脂(エチルセルロース) ………… 3wt%
溶媒(ブチルカルビトールアセテート) …………32wt%
【0055】
次いで、このメタルバック付き蛍光面を有するパネルを使用して、FEDを作製し、得られたFEDの耐圧特性および発光輝度(相対輝度)を実施例1と同様に測定した。測定結果を、蛍光体層表面の凹凸の値とともに表1に示す。
【0056】
【表1】
【0057】
表1から明らかなように、実施例1〜3で得られたメタルバック付き蛍光面を備えたFEDは、比較例1,2で得られたものに比べて、良好な耐圧特性を有しており、しかも実用上十分な発光輝度を有している。
【0058】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、メタルバック層の成膜性が良好で下層との密着性に優れており、放電の発生が抑制され耐圧特性に優れたメタルバック付き蛍光面が得られる。したがって、そのような蛍光面を有する画像表示装置においては、耐圧特性が大幅に改善され、かつ高輝度の表示を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るメタルバック付き蛍光面の第1の実施形態を示す断面図。
【図2】本発明に係るメタルバック付き蛍光面の別の実施形態を示す断面図。
【図3】本発明の第2の実施形態であるFEDの構造を示す断面図。
【符号の説明】
1………ガラス基板、2………光吸収層、3………蛍光体層、3a………蛍光体下層、3b………蛍光体上層、4、10………メタルバック層、5………段差調整層、6………フェースプレート、7………電子放出素子、8………リアプレート、9………蛍光面、11………支持枠
Claims (6)
- フェースプレートの内面に少なくとも光吸収層と蛍光体層を有し、該蛍光体層上にメタルバック層を有する蛍光面であり、
前記蛍光体層が、少なくとも2層の互いに異なる粒径の蛍光体を主体とする層を有することを特徴とするメタルバック付き蛍光面。 - 前記蛍光体層が、3〜15μmの粒径を有する第1の蛍光体を主体として含む蛍光体下層と、該蛍光体下層の上に形成され、前記第1の蛍光体より粒径の小さい第2の蛍光体を主体として含む蛍光体上層とを有することを特徴とする請求項1記載のメタルバック付き蛍光面。
- 前記第2の蛍光体の粒径が、前記第1の蛍光体の粒径の1/2より小さいことを特徴とする請求項2記載のメタルバック付き蛍光面。
- 前記蛍光体層の上面と前記光吸収層の上面とが、1〜5μmの段差を有することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項記載のメタルバック付き蛍光面。
- 前記光吸収層の上に結着性の無機材料を主体とする段差調整層を有し、前記メタルバック層が前記段差調整層の上面に接して形成されており、かつ前記蛍光体層の上面と前記段差調整層の上面とが、1〜5μmの段差を有することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項記載のメタルバック付き蛍光面。
- フェースプレートと、前記フェースプレートと対向配置されたリアプレートと、前記リアプレート上に形成された多数の電子放出素子と、前記フェースプレート上に前記リアプレートに対向して形成され、前記電子放出素子から放出される電子線により発光する蛍光面とを具備し、前記蛍光面が、請求項1乃至5のいずれか1項記載のメタルバック付き蛍光面であることを特徴とする画像表示装置。
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2002
- 2002-07-22 JP JP2002212465A patent/JP2004055385A/ja not_active Withdrawn
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