JP2004055311A - フラーレン誘導体含有プロトン伝導性複合膜、電解質膜、膜−電極接合体、並びに電気化学デバイス - Google Patents
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Abstract
【解決手段】プロトン解離性の基を有する水溶性フラーレン誘導体からなるプロトン伝導性膜の表面に、フラーレン誘導体の少なくとも水溶性を抑制する、異種材料からなる膜を積層するか、又は、前記フラーレン誘導体と、フラーレン誘導体の少なくとも水溶性を抑制する、プロトン伝導性異種材料とからなる複合物によって複合膜を形成することにより、フラーレン誘導体含有プロトン伝導性複合膜を形成する。更に、電極と接着性の良い表面層を有するプロトン伝導性複合膜を対向電極間に挟持した状態で加熱処理して、接合界面が良好なMEAを作製する。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、固体高分子電解質型燃料電池等に使用可能なフラーレン誘導体含有プロトン伝導性複合膜、このプロトン伝導性複合膜を用いた膜−電極接合体(Membrane−Electrode Assembly:MEA)、並びにこのMEAを用いた電気化学デバイスに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
固体高分子電解質型燃料電池は、主として燃料電極、酸素電極、及び両電極間に挟持されたプロトン伝導膜で構成され、燃料と酸素との反応による起電力が燃料電極と酸素電極との間に発生する。
【0003】
例えば、燃料が水素である場合、燃料電極に供給された水素は、下記
2H2 → 4H+ +4e−
の反応により酸化され、燃料電極に電子を与える。生じた水素イオンH+(プロトン)はプロトン伝導膜を介して酸素電極へ移動する。
【0004】
酸素電極へ移動した水素イオンは、酸素電極に供給される酸素と下記
O2 +4H+ +4e− → 2H2O
のように反応し、水を生成するとともに、酸素電極から電子を取り込む。
【0005】
固体高分子電解質型燃料電池は、電解質に水素イオン(プロトン)を伝達し得る固体高分子膜(プロトン伝導膜)を用いているため、電解質の飛散が無く、振動に強く、小型軽量化が可能で出力密度が大きい等、他の燃料電池にはない優れた特徴をもつ。
【0006】
従来、プロトン伝導膜としてパーフルオロスルホン酸系樹脂(Du Pont 社製のNafion(R)(商品名) など)等が用いられてきたが、近年見出されたフラーレン等の炭素質材料にプロトン解離性の基を導入したフラーレン誘導体は、無加湿でもプロトン伝導能を有する点で有望な材料である。
【0007】
なお、本発明において「プロトン解離性の基」とは、その基から水素原子がプロトン(H+)として電離し、離脱し得る官能基を意味する。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
固体高分子電解質型燃料電池に用いられるプロトン伝導膜が満たすべき性能は非常に多岐にわたる。即ち、プロトン伝導性が高いこと、燃料や酸素の透過(クロスリーク)を遮断する性能が十分であること、機械的強度や耐熱性に優れていること、耐水性や化学的安定性に優れていることなどが要求される。
【0009】
しかしながら、従来使用されてきた固体高分子電解質型燃料電池用のプロトン伝導体材料では、1つの材料でこれらの要求すべてに応え得る膜を作製できるものは無く、燃料電池の開発と普及における大きな障害となってきた。
【0010】
一例を挙げれば、従来用いられてきたパーフルオロスルホン酸系樹脂は、これらの性能のうち、燃料の透過(クロスリーク)を遮断する性能が十分ではない。
【0011】
燃料が水素である場合、燃料電極に供給された水素ガスが酸素電極側へ透過するのを防止するためには、膜を厚くする必要があり、その結果、膜抵抗が大きくなり、電池の出力が低下するという問題点がある。
【0012】
パーフルオロスルホン酸系樹脂は、そのプロトン伝導の機構上、特にメタノールの透過を遮断する性能が低い。この樹脂では、スルホン酸基とその周囲に吸着された水がクラスター構造を形成し、このクラスター内の水をチャネルとしてプロトンが移動することにより、プロトン伝導性が発現する。従って、この樹脂に高いプロトン伝導性を発揮させるには、内部に十分な量の水を保水させる必要があるが、このようにすると、親水性の強いメタノールは、樹脂内部の水に溶解して膜を透過しやすくなる。
【0013】
また、プロトン解離性の基、例えばスルホン酸基を有するフラーレン誘導体は多くが水溶性であるため、この水溶性フラーレン誘導体からなるプロトン伝導性膜は、水に対する不溶性や加水分解等に対する安定性にやや劣る。
【0014】
本発明は、上記のような事情に鑑みてなされたものであって、その目的は、固体高分子電解質型燃料電池等に使用可能な、耐水性を有し、燃料の透過を遮断する性能及びプロトン伝導性に優れたフラーレン誘導体含有プロトン伝導性複合膜、このプロトン伝導性複合膜を用いた膜−電極接合体、並びにこの膜−電極接合体を用いた電気化学デバイスを提供することである。
【0015】
【課題を解決するための手段】
即ち、本発明は、プロトン解離性の基を有する水溶性フラーレン誘導体からなるプロトン伝導性膜の表面に、前記フラーレン誘導体の少なくとも水溶性を抑制する性質をもつ異種材料からなる膜が積層されているフラーレン含有プロトン伝導性複合膜、及び、プロトン解離性の基を有する水溶性フラーレン誘導体と、前記フラーレン誘導体の少なくとも水溶性を抑制する性質をもつプロトン伝導性異種材料とからなる複合体によって形成されているフラーレン誘導体含有プロトン伝導性複合膜、並びに、少なくとも燃料の透過を遮断する遮断層が、触媒との接合を受け持ちかつ内部からの電解質の流出と外部からの化学的作用とを防止する保護層によって挟着されてなる電解質膜に係わり、更に前記プロトン伝導性複合膜並びに前記電解質膜が対向電極間に挟持されてなる膜−電極接合体、並びにこの膜−電極接合体を用いた電気化学デバイスに係わるものである。
【0016】
本発明によれば、前記異種材料が、前記水溶性フラーレン誘導体からなるプロトン伝導性膜の表面に積層されるか、或いは前記水溶性フラーレン誘導体と複合されてプロトン伝導性複合膜を形成しているので、前記異種材料は、前記水溶性フラーレン誘導体の一部又は全部を被覆することにより、前記水溶性フラーレン誘導体が水と自在に接触する機会を物理的に制限する。これにより、前記水溶性フラーレン誘導体が水へ溶出したり、水と化学反応することを抑制する。
【0017】
また、前記異種材料が前記フラーレン誘導体と化学的な親和性を有するものである場合には、その親和性によって前記フラーレン誘導体を安定化し、前記フラーレン誘導体の水への溶出等をより効果的に抑制する。
【0018】
また、前記電解質膜では、前記保護層が、触媒との接合を受け持ち、かつ、前記遮断層からの前記電解質の流出と前記遮断層に対する外部からの化学的作用とを防止するので、前記遮断層の材料選択の制限が大幅に緩和され、例えば少々の水溶性を有するフラーレン誘導体含有膜でも使用可能となる。
【0019】
更に、電極と接着性の良い表面層を有する前記プロトン伝導性複合膜又は前記電解質膜を対向電極間に挟持した状態で加熱処理すると、前記プロトン伝導性複合膜又は前記電解質膜と電極との接合界面が良好な膜−電極接合体(MEA)を作製できる。
【0020】
このMEAを、電極上で水素イオンがやり取りされる電気化学デバイスの電気化学反応部、例えば燃料電池の発電部に用いると、装置を小型化できるとともに、前記プロトン伝導性複合膜又は前記電解質膜を単独でハンドリングすることによる膜の損傷を防止できる。
【0021】
【発明の実施の形態】
本発明において、前記フラーレン誘導体が、ヒドロキシル基を有する高分子材料と混合されているのがよく、例えばこのフラーレン誘導体含有プロトン伝導性混合体膜の表面(両面又は片面)に、前記異種材料からなる膜が積層されているものがよい。
【0022】
このような場合、前記異種材料は、多少なりともプロトン伝導性を有するものであることが必要である。なぜなら、積層された膜中にプロトン伝導性を有しない層が存在すると、プロトンの移動がその層で遮断されて、膜全体のプロトン伝導性が損なわれるからである。
【0023】
しかしながら、電極との接合性を改善するために付け加えられる層などで完全な層を形成しない場合や、電極構成材料と相互嵌入し合う層の場合のように、プロトン伝導パスが別に確保される場合は、前記異種材料をプロトン伝導性をもたないものとすることも可能である。
【0024】
また、前記フラーレン誘導体とプロトン伝導性を持つ前記異種材料との混合物が、前記フラーレン誘導体含有プロトン伝導性混合体膜を形成しているものであるのもよい。
【0025】
また、前記電解質膜を構成する前記遮断層が、プロトン解離性の基を有する水溶性フラーレン誘導体からなり、これがヒドロキシル基を有する高分子材料と混合されていると共に、前記保護層が前記フラーレン誘導体の少なくとも水溶性を抑制する性質を有している材料であるのがよい。
【0026】
本発明において、前記水溶性フラーレン誘導体が、水、メタノール、エタノール、1−プロパノール、及び2−プロパノールからなる群より選ばれた少なくとも1種の物質からなる溶媒に10質量%以上溶解する物質であるのがよい。
【0027】
また、前記プロトン解離性の基が−XH又は−C(YH)(ZH)−(X、Y及びZは2価の結合手を有する任意の原子もしくは原子団である。)であり、具体的には−OH又は−OH含有の原子団、即ち−OSO3H、−COOH、−SO3H、−OPO(OH)2のいずれかであるのがよい。
【0028】
前記プロトン解離性の基が−C(YH)(ZH)−の構造をもつ場合、この基を含む原子団の両端でフラーレン骨格を構成する2個の炭素原子と結合して、3員環以上の環構造をとるものもよい。
【0029】
また、前記フラーレン分子が、球状炭素クラスター分子Cn(n=36、60、70、76、78、80、82、84等)であるのがよい。
【0030】
本発明において、前記高分子材料がポリビニルアルコール又はその誘導体、又はビニルアルコールとアルケン又はアルケン誘導体との共重合体であるのがよい。
【0031】
前記アルケン又はアルケン誘導体は、末端に二重結合をもつアルケン又はその誘導体であるのがよく、具体的には、エチレン、プロピレン、1−ブテン、酢酸ビニル及び酢酸−1−プロペニルなどである。
【0032】
また、前記水溶性フラーレン誘導体がC60(C4H8SO3H)8であり、前記高分子材料がポリビニルアルコールであるのがよい。
【0033】
バインダーに用いられる前記高分子材料は、前記ポリビニルアルコールのように、ヒドロキシル基を有し、側鎖をもたない鎖状高分子であることが最も好ましい。ただし、加熱処理による不溶化は、ヒドロキシル基を有する鎖状高分子なら原理的には可能と考えられ、高温作動の燃料電池用には、耐熱性に優れているシラノール含有ポリ有機シロキサン等の使用も考えられる。
【0034】
本発明において、前記異種材料が、水に不溶のプロトン伝導性高分子電解質であり、スルホン酸基を有するもの、例えばパーフルオロスルホン酸系樹脂を含有するものであるのがよい。前記パーフルオロスルホン酸系樹脂として、具体的には、Du Pont 社製の Nafion(R)があるが、他に、旭硝子社製フレミオン(R) 等が挙げられる。
【0035】
本発明において、前記MEAは、前記プロトン伝導性複合膜又は前記電解質膜の積層膜の両面に、前記対向電極と接着性のよい材料、例えば前記対向電極の材料と実質的に同じ材料を介して、前記対向電極が形成されているものがよい。
【0036】
以下、本発明に基づく実施の形態をより詳しく具体的に説明する。
【0037】
図1は、本発明の実施の形態の1つである積層膜の概念を表す概略断面図である。機能膜a、機能膜b、・・・、機能膜xは、それぞれ異なる特性を有する機能膜である。例えば、いずれの機能膜もプロトン伝導性の材料からなるとすると、図1のように積層させることにより、それぞれの材料の特徴を生かしながら相互の欠点を補完して、機能性を高めたプロトン伝導性多層膜を形成できる。
【0038】
例えば、水に不溶であるが燃料分子を透過させやすく、フラーレン誘導体は透過させないプロトン伝導層(Nafion(R)層など)を外側に配置し、水に溶けるが燃料分子を透過させにくいプロトン伝導層(水溶性フラーレン誘導体層など)を内側に配置すれば、全体では、水に不溶で燃料分子を透過させにくいプロトン伝導性多層膜を形成できる。
【0039】
なお、本発明の別の実施の形態である、異なる特性を有する複数の材料の混合物からなる混合体膜を形成しても、機能性を高めた複合膜を形成できる。例えば、Nafion(R)をバインダーとしてフラーレン誘導体との混合体膜を形成すれば、フラーレン誘導体単独よりは水に溶けにくく、Nafion(R)単独よりは燃料分子を透過させにくい膜を形成することができる。
【0040】
同様に、積層膜の積層方向も、図1に示す厚み方向に限られるものではない。
【0041】
積層の方法としては、予め作製しておいた複数の膜を重ね合わせて熱プレスにより貼り付ける方法、粘着力のある膜を接着剤として使用して他の膜を貼り合せる方法、基材の上に層の材料を含む溶液を塗布した後、溶媒を蒸発させ、この材料からなる層を形成する操作を繰り返す方法、基材の上に蒸着又はスパッタ等による層形成を繰り返し行い積層させる方法、及びこれらの方法の組み合わせにより多数の層を積層する方法等が挙げられる。
【0042】
電気化学デバイス等において、電極反応に直接曝される膜の両表面層には、化学的安定性に優れた材料からなる層、例えばNafion(R)などのパーフルオロスルホン酸系樹脂等からなる層を配置するのがよい。
【0043】
この場合、電極側にも同種の材料からなる層を形成しておき、膜−電極接合体(Membrane−Electrode Assembly:MEA)を形成すれば、プロトンや電子の移動がスムーズに行える良好な接合面が形成される。
【0044】
また、膜の両表面層に蒸着やスパッタ等の手法により金属層を付加し、触媒層との接触抵抗を低減する場合には5nmほどの厚さがあれば十分にその効果が発揮される。
【0045】
上記以外のプロトン伝導性複合膜を構成する各層の厚さは、各層の材料のプロトン伝導度が10−4S/cmより大きい場合は概ね100μm以下とすることが好ましい。また、プロトン伝導度が10−4S/cmを下回る場合には、その層の抵抗値が100Ω・cm2 を超えないような厚さにすることが好ましい。上記の厚さを超える場合、プロトン伝導性複合膜の抵抗値が著しく大きくなり、そのような膜を使用して電池を作製すると、内部抵抗が極めて大きくなり、発電性能を著しく低下させる原因となる。
【0046】
一方、厚さの下限としては、各層がその特長的な性能を発揮しうる最低限の厚さとする必要がある。具体的な例を挙げれば、フラーレン誘導体とバインダーであるポリビニルアルコールとの混合物によるプロトン伝導性の中間層を2つのNafion(R)層の間に設け、この層により燃料の水素ガスの透過を防ぎたい場合には、おおよそ0.01μm以上の厚みとするのが良い。
【0047】
【実施例】
次に、実施例を挙げて、本発明の提供するプロトン伝導性複合膜の有効性を具体的に説明する。
【0048】
実施例1
以下、パーフルオロスルホン酸系樹脂膜、プロトン解離性の基を有するフラーレン誘導体とヒドロキシル基を有する高分子材料との混合体膜、及びパーフルオロスルホン酸系樹脂膜の3つの膜を積層した3層積層膜の例について説明する。
【0049】
ここでは、パーフルオロスルホン酸系樹脂膜としてNafion(R)膜を用い、プロトン解離性の基を有するフラーレン誘導体としてオクタキス(4−スルホブチル)フラーレン C60(CH2CH2CH2CH2SO3H)8 (以下、スルホブチルフラーレンと略称することがある)を用い、ヒドロキシル基を有する高分子材料としてポリビニルアルコール(以下、PVAと略記する)を用いた。
【0050】
この構成では、燃料電池の電解質膜として用いた場合、Nafion(R)層が、電極層と良好に接合する役割及び電極触媒近傍でのラジカル等による攻撃を防御する役割を受け持つ。更に、スルホブチルフラーレンとPVAとの混合体層をNafion(R)層で挟み込むことで、混合体層が水に溶解して流出するのを防止する。
【0051】
一方、スルホブチルフラーレンとPVAとの混合体層は、燃料である水素ガスが膜を透過して酸素電極側に到達することを防ぐ機能があるほか、粘着性があるため両側のNafion(R)層を接着剤として貼り合せる役割も果たす。
【0052】
<3層積層膜の作製>
上記の3層膜(以下、Nafion/スルホブチルフラーレン・PVA/Nafion 膜と表記する)は、以下のようにして作製した。
【0053】
まず、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)のフィルム上にNafion(R)のメタノール溶液をドクターブレード法によりキャストして薄膜を作製した。このとき、膜の厚さがおよそ10μmになるように、ブレードのギャップ幅を調整した。この薄膜を、150℃で2時間加熱処理した後、二等分した。
【0054】
二等分した一方のNafion(R)膜の上に、オクタキス(4−スルホブチル)フラーレンとPVAとを質量比で2:1に混合した水溶液をドクターブレード法でキャストした。このとき、膜の厚さがおよそ10μmになるように、ブレードのギャップ幅を調整した。この液体膜から水が蒸発して失われると、オクタキス(4−スルホブチル)フラーレンとPVAとの混合体膜が形成された。
【0055】
上記の混合体膜を室温で充分乾燥させた後、混合体膜の上から、残ったもう一方のNafion(R)膜を重ね合わせ、10kg/cm2 の圧力を加えながら90℃で24時間加熱処理した。この結果、厚さがおよそ30μmの Nafion/スルホブチルフラーレン・PVA/Nafion 膜を得た。
【0056】
比較例として、3層膜の各層の材料からなる単層膜も用意した。単層のNafion(R)膜として、3層膜と同程度の厚さを有するNafion111(R)を使用した。また、オクタキス(4−スルホブチル)フラーレンとPVAとの混合体からなる単層膜は、上記の混合体膜の作製に用いたものと同一の混合水溶液を、直接PTFEのフィルム上にドクターブレード法でキャストし、これを90℃で24時間処理することにより作製した。このとき、膜の厚さがおよそ30μmになるように、ブレードのギャップ幅を調整した。
【0057】
3層膜の断面の走査電子顕微鏡(SEM)写真によると、上記のプロセスにより、密着性の良い所望の3層膜が得られたことがわかった。
【0058】
<3層膜のプロトン伝導度と湿度の影響>
室温での3層膜のプロトン伝導度を、複素インピーダンス法によって測定した。このとき、調湿装置を用いて膜が置かれている空気中の湿度を変化させた。図2は、3層膜のプロトン伝導度と相対湿度との関係を示すグラフである。また、図2には、各層の材料からなる単層膜のプロトン伝導度を同一条件で測定した結果もあわせて示す。
【0059】
図2から、得られた3層膜のプロトン伝導度は、Nafion(R)111単層膜のプロトン伝導度とスルホブチルフラーレンとPVAとの混合体単層膜のプロトン伝導度との中間の値をとり、高湿度下では10−3S/cm2 を超える高いプロトン伝導度を示すことがわかった。
【0060】
<不溶化度の評価>
次に、3層膜の水に対する不溶化度を下記の手順で評価した。まず、3層膜を露点−40℃の乾燥雰囲気下で1日乾燥させ、その初期質量として乾燥質量w0を測定した。続いて、この膜をその質量の1000倍の質量の純水中に投入し、室温で24時間放置した。この後、3層膜を水中から取り出し、再び露点−40℃の乾燥雰囲気下で24時間乾燥させ、その質量w1を測定した。
【0061】
ここで、3層膜の1回目の溶残率(%)を
溶残率(%)=(w1/w0)×100(%)
と定義する。例えば、溶残率が80%である場合、1gの膜を1000gの純水中に投入したとき、質量の減少が20%、つまり0.2gであるということであるから、溶解度が0.02質量%であることに相当する。
【0062】
この水中投入と乾燥の1サイクルを複数回繰り返し、その都度、上記と同様に乾燥質量w2 、w3 、・・を測定し、これを初期質量w0で割って、2回目、3回目、・・の溶残率を計算した。
【0063】
図3に、3層膜の3回目までの溶残率を示す。図3には、参考例として、スルホブチルフラーレンとPVAとの混合体の単層膜(加熱処理しなかったもの)、同じ混合体単層膜を加熱処理したもの、3層膜と同様にしてスルホブチルフラーレンとPVAとの混合体層をNafion層上に作製したスルホブチルフラーレン・PVA/Nafionの2層膜、及びスルホブチルフラーレンとPVAとの混合体層でNafion層を両側から挟み込んで加熱処理したスルホブチルフラーレン・PVA/Nafion/スルホブチルフラーレン・PVAの3層膜について、同一条件にて溶残率を測定した結果も示す。
【0064】
図3に示したように、加熱処理しなかったスルホブチルフラーレン・PVA単層膜の溶残率は、1回の水中投入で0となった。また、加熱処理を施したスルホブチルフラーレン・PVA単層膜は2回までの溶残率試験では80%以上の溶残率を示すが、2回までで膜がぼろぼろとなり3回目の溶残試験は実施できなかった。
【0065】
図3から、加熱処理することにより、スルホブチルフラーレン・PVA単層膜の溶残率が改善され、耐水性が向上したことがわかる。加熱処理によって質量が減少することから、何らかの縮合反応、おそらくエステル化等による架橋反応が起こり、溶解性が低下したものと考えられる。
【0066】
更に、スルホブチルフラーレン・PVA膜(又は層)を加熱処理したもの同士を比べると、溶残率は、単層膜、スルホブチルフラーレン・PVA/Nafion/スルホブチルフラーレン・PVAの3層膜、スルホブチルフラーレン・PVA/Nafionの2層膜、Nafion/スルホブチルフラーレン・PVA/Nafionの3層膜の順で大きくなっている。この結果から、Nafion層を積層することでスルホブチルフラーレン・PVA層の水への溶解が抑えられること、その効果は、Nafion層で両側から挟み込んだ場合に最も大きくなることがわかる。
【0067】
また、図3から、Nafion層で挟んだ3層膜では、2回目以後の水中投入による質量変化が大幅に低減されていて、繰り返しの水中投入に対して特に強い耐性を有することがわかる。これは、スルホブチルフラーレン・PVA膜を長時間使用した場合の耐水性が、Nafion層で両側から挟むことで大幅に向上していることを示している。
【0068】
<3層膜の水素透過性の測定>
3層膜をポリカーボネート製の多孔質フィルムに貼り付け、膜の水素透過性を測定した。また、比較例として、3層膜の各層の材料からなる、ほぼ同じ厚さの各単層膜についても、3層膜と同じ条件で水素透過性を測定した。
【0069】
図4は、膜の水素透過性を測定する装置の概略構成図である。この装置では、膜を貼り付けた試料21を2つの容器22、23の間にOリング24で気密を保ちながら保持できるようになっている。試料21の左側の容器22に一定圧力で水素ガス26を充填すると、水素ガス26が試料21を透過して右側の容器23に侵入し始め、容器23内の水素濃度は時間とともに増大する。この水素濃度の時間変化を水素検出器25で測定する。
【0070】
図5は、測定された水素濃度の時間変化を示すグラフである。Nafion(R)111では、容器22内の水素ガスの圧力が0.01MPaのとき120分後に230ppmの水素が検出され、0.03MPaのときには短時間で水素検出器25の測定限界である300ppmを超えてしまった。これに対し、本実施例の3層膜では、容器22内の水素ガスの圧力を0.03MPaにした場合でも、約10ppmの水素しか検出されず、スルホブチルフラーレン・PVAの単層膜での約5ppmをわずかに上回る程度であった。
【0071】
この結果から、3層膜では、水素ガスの透過を阻止する能力が、Nafion(R)111の単層膜に比べて大幅に向上しており、スルホブチルフラーレン・PVAの単層膜とほぼ同等になっていることがわかる。
【0072】
従って、この3層膜を用いれば、水素ガスの透過を防ぐために膜の厚さを厚くする必要がなく、燃料電池を設計する際にプロトン伝導膜を極めて薄くすることができ、前述した3層膜のもつ高いプロトン伝導性とあいまって、膜抵抗の極めて小さい、高性能な電池の作製が可能である。
【0073】
以上のように、Nafion/スルホブチルフラーレン・PVA/Nafion の3層膜は、耐水性が向上し、水素ガスの透過を阻止する性能及びプロトン伝導性に優れた膜であり、各層の材料の特長を兼ね備えていることがわかった。
【0074】
実施例2
ここでは、パーフルオロスルホン酸系樹脂層としてNafion(R)112層を用い、プロトン解離性の基を有するフラーレン誘導体として [C60(CHSO3H)n ]m(以下、スルホメチレンフラーレンと略称する)を用い、ヒドロキシル基を有する高分子材料としてPVAを用いて、3層膜(以下、Nafion112/スルホメチレンフラーレン・PVA/Nafion112と表記する)を作製し、これを用いてダイレクトメタノール型燃料電池(DMFC)を作製し、この電池の開放電池電圧(OCV:電流が流れていないときの両極間の電位差)の測定を行った例について説明する。
【0075】
なお、スルホメチレンフラーレン[C60(CHSO3H)n]m は、スルホン酸基で置換されたメチレン基でフラーレン同士が三次元的に架橋された構造を有するフラーレン誘導体である。m、nの値は現在のところ特定できていない。
【0076】
この構成では、Nafion(R)112層が、電極層と良好に接合する役割及び電極触媒近傍でのラジカル等による攻撃を防御する役割を受け持つ。更に、スルホメチレンフラーレンとPVAとの混合体層をNafion(R)112層で挟み込むことで、混合体層が水に溶解して流出するのを防止する。
【0077】
一方、中間層のスルホメチレンフラーレン・PVA層は、メタノールが膜を透過して酸素電極に到達するのを防止し、結果としてOCVを向上させることが期待される。
【0078】
<3層積層膜の作製>
上記の3層膜は、以下のようにして作製した。
【0079】
まず、ボールミルによりスルホメチレンフラーレンの粉末をN−メチルピロリドン(NMP)に分散させた。この分散液とPVA水溶液とをボールミルにて混合し、ドクターブレード法にてPTFEフィルム上にキャストした。このとき、膜の厚さが10μmになるように、ギャップ幅を調整した。
【0080】
溶媒が蒸発してスルホメチレンフラーレンとPVAの混合体膜が形成された後、この混合体膜をPTFEフィルムから剥がし、2枚のNafion(R)112膜で挟み、40kg/cm2 の圧力を加えながら150℃で5分間ホットプレスして、3層の膜を接合し、3層積層膜を得た。
【0081】
比較例として、Nafion(R)112のフィルムを2枚重ね、40kg/cm2 の圧力を加えながら150℃で5分間ホットプレスして、Nafion112接合膜を作製した。
【0082】
<DMFC用電極の作製>
DMFC用の電極として、燃料供給層と電極触媒層とからなる電極を下記のように作製した。
【0083】
まず、カーボンシートの上に、カーボン微粉末とPTFE微粒子を40:60の質量比率で水中で混合分散させたものを、バーコート法により塗布した後、乾燥させて燃料供給層を形成した。
【0084】
次に、水とプロパノールの混合溶媒に、触媒金属を担持したカーボン粉末と、Nafion(R)のメタノール溶液とを投入し、十分に撹拌混合した。この溶液を上記ガス供給層の上にバーコート法により塗布し、溶媒を蒸発させ、触媒反応層を形成した。
【0085】
ここで、触媒金属担持カーボン粉末とNafion(R)の質量比は、1:0.6とした。また、燃料電極(アノード)側の触媒には、田中貴金属(株)製の燃料電池用触媒担持カーボン(Pt 30.1質量%、Ru 23.4質量%担持)を用い、触媒金属の塗布量を2mg/cm2 とした。酸素電極(カソード)側の触媒には、田中貴金属(株)製の燃料電池用触媒担持カーボン(Pt 45.8質量%担持)を用い、触媒金属の塗布量を1mg/cm2 とした。
【0086】
このようにして作製した燃料電極(アノード)と酸素電極(カソード)で、既に作製してあった3層積層膜を挟み込み、40kg/cm2 の圧力を加えながら150℃で5分間ホットプレスして、膜−電極接合体(MEA)を作製した。
【0087】
<DMFCの作製>
MEA温度60℃の条件下で、MEAの燃料電極(アノード)側に3mol/Lメタノール水溶液を供給し、酸素電極(カソード)側に酸素ガスを供給して、DMFCとしてのOCVを測定した。
【0088】
図6は、OCVが最高値に達してからの経過時間に対してOCVを図示したグラフである。図6には、比較例として、3層積層膜の代わりにNafion112接合膜を用いて作製したMEAによるDMFCの結果も示す。
【0089】
図6から、Nafion(R)112のみからなるNafion112接合膜を用いたDMFCではOCVが200秒ほどで0.55Vまで下がって安定する。これに対し、中間にスルホメチレンフラーレン・PVA層を挟んだ3層積層膜では800秒ほどかけて0.66Vまで下がって安定することが分かる。
【0090】
DMFCのOCV低下は、燃料であるメタノールが膜を透過して酸素電極に到達し、そこで直接酸素と反応してしまうことによるところが大きいとされている。上記の結果から、スルホメチレンフラーレン・PVA層を挟んだことにより、3層積層膜のメタノール透過阻止性能が向上したことがわかる。
【0091】
実施例3
ここでは、実施例1と同じ3層膜の両外側に、電極との接合を改善するための層を付加して5層膜とし、MEAの出力向上を図った例を示し、説明する。
【0092】
付加する層は、白金触媒担持カーボンをNafionバインダー中に分散させた層(PtC・Nafionと表記)であり、構成成分は電極の表面層である触媒反応層と同じであるが、白金触媒担持カーボンの比率は、はるかに小さい。この5層膜を用いてMEAを形成すると、5層膜は電極の表面層と同じ構成成分からなる層で電極と接合することになり、電極との接触抵抗が低減され、結果としてMEAの出力の向上が期待される。
【0093】
<5層積層膜の作製>
上記の5層膜(以下、PtC・Nafion/Nafion/スルホブチルフラーレン・PVA/Nafion/PtC・Nafion 膜と表記する)は、以下のようにして作製した。
【0094】
まず、田中貴金属(株)製の燃料電池用白金触媒担持カーボン(Pt 36.4質量%担持)とNafion(R)のメタノール溶液を固形分の重量比が1:0.6になるようにボールミルにて充分に混合する。この分散溶液を、PTFEフィルム上に、ドクターブレード法を用いてキャストし、溶媒を蒸発させて、触媒層PtC・Nafionを形成する。このとき、ギャップ幅を調整して、白金の塗布量が、0.078mg/cm2 になるようにした。
【0095】
次に、この触媒層PtC・Nafion層の上からNafion(R)のメタノール溶液を、ドクターブレード法によりキャストした。このとき、Nafion(R)の層の厚さが10μmになるように、ギャップ幅を調整した。この様にして作製した2層からなる薄膜PtC・Nafion/Nafionを、150℃で2時間加熱処理した後、二等分した。
【0096】
二等分した一方の2層膜のNafion層の上に、スルホブチルフラーレンとPVAとを質量比で2:1に混合した水溶液をドクターブレード法でキャストした。このとき、膜の厚さがおよそ10μmになるように、ブレードのギャップ幅を調整した。この液体膜から水が蒸発して失われると、2層膜のNafion層の上に、スルホブチルフラーレンとPVAとの混合体層が形成された3層膜PtC・Nafion/Nafion/スルホブチルフラーレン・PVAが形成された。
【0097】
この3層膜を室内で充分乾燥した後、二等分したもう一方の2層膜を、Nafion(R)層の側がスルホブチルフラーレン・PVA層に接するように重ね合わせ、10kg/cm2 の圧力を加えながら90℃で24時間加熱処理した。こうして、厚さがおよそ40μmの、PtC・Nafion/Nafion/スルホブチルフラーレン・PVA/Nafion/PtC・Nafion の5層膜を得た。
【0098】
参考例として、実施例1と同じ方法で、触媒層を付加していないNafion/スルホブチルフラーレン・PVA/Nafion からなる3層膜も作製した。膜の厚さを含め、すべてのスペックは実施例1と同じである。
【0099】
<電極の作製>
このようにして準備した膜を用いてMEAを作製するため、電極を実施例2と同様にして作製した。
【0100】
即ち、カーボンシート上にカーボン微粉末とPTFE微粒子とを水中に混合分散させた分散液を塗布乾燥させ燃料供給層を形成し、更に、この上に触媒金属を担持したカーボン粉末とNafion(R)を混合分散させた分散液を塗布し、溶媒を蒸発させて触媒反応層を形成した。
【0101】
ただし、燃料電極(アノード)と酸素電極(カソード)とは同じものを用いることとし、触媒金属担持カーボンとして田中貴金属(株)製の白金担持カーボン(Pt 45.8質量%担持)を用いた。
【0102】
参考例の3層膜MEA用の電極は、白金の塗布量を0.55mg/cm2 とした。本実施例の5層膜MEA用の電極は、5層膜自体に触媒層が設けられていることを考慮して、白金の塗布量を0.42mg/cm2 とした。即ち、これに、前述した5層膜の触媒層における白金塗布量0.078mg/cm2 を加えると、電極近傍全体では白金の塗布量が約0.50mg/cm2 となり、3層膜MEA用の電極と比べておよそ10%小さい白金塗布量となっている。
【0103】
このようにして作製した燃料電極(アノード)と酸素電極(カソード)で、既に作製してあった本実施例による5層膜及び参考例の3層膜を挟み込み、40kg/cm2 の圧力を加えながら90℃で5分間ホットプレスして、膜−電極接合体(MEA)を作製した。
【0104】
<作製したMEAを用いた水素−酸素燃料電池の性能>
室温で、MEAの燃料電極(アノード)側に水素ガスを供給し、酸素電極(カソード)側に酸素ガスを供給して、水素−酸素燃料電池として機能させ、出力電流密度を変えて、そのときの出力電圧を測定した。
【0105】
なお、実験は、燃料電極(アノード)に供給される水素ガスが、無加湿の水素ガスである場合と、バブラー内の純水の中を通すことによって水蒸気で飽和させた水素ガスである場合との2通りを実施した。
【0106】
図7は、無加湿の水素ガスを供給した場合の、出力電圧と出力電流密度との関係を示すグラフである。膜に触媒層の無い参考例の3層膜MEAでは、ほとんど電流が得られなかったが、膜自体に触媒層を設けた5層膜MEAでは、600mA/cm2 以上の電流を得ることができた。
【0107】
図8は、加湿した水素ガスを供給した場合の、出力電圧と出力電流密度との関係を示すグラフである。ほぼ全ての出力電流密度の領域で(電流密度が0に近い領域を除いて)、5層膜MEAの方が3層膜MEAより高い出力電圧を維持できた。白金触媒の使用量は、5層膜MEAの方が3層膜MEAより1割ほど少ないことを考えると、上記の結果は、触媒層PtC・Nafionを付加することの有効性をを示すデータと考えることができる。
【0108】
<MEAの性能改善の原因の考察>
このように、MEAとしての性能の改善が見られた原因としては以下のように考察することができる。
【0109】
図9は、MEA接合部の概略構成図であり、(a)は参考例の3層膜MEAの場合、(b)は本実施例による5層膜MEAの場合である。
【0110】
膜に触媒層5を含まない3層膜では、膜表面のNafion層2と電極触媒層1との界面は、異相界面となる。このため、プレスによる接合を行っても、図9(a)のように、膜表面のNafion層2の一部は、電極触媒層1の触媒担持カーボン11に直接接触できない。このため、界面でのプロトンや電子の移動がうまくいかない場合があり、分極が大きくなる。
【0111】
一方、Nafion層2、4の上に塗布することにより膜触媒層5を形成した5層膜では、Nafion層2、4の表面は、図9(b)のように膜触媒層5の触媒担持カーボン12で緻密に被覆されていて、スムーズなプロトンや電子の移動に貢献する。しかも、この触媒担持カーボン12からなる膜触媒層5は、電極触媒層1と同種の物質で構成されているので、電極―膜の接合界面は同種物質相の接合となり、接触抵抗が小さくなる。このため、界面での分極は小さい。
【0112】
実施例4
ここでは、燃料電池の電解質膜としてスルホブチルフラーレン・PVA/Nafionの2層膜を用い、スルホブチルフラーレン・PVA層を水素電極側、Nafion層を酸素電極側に配置した水素−酸素燃料電池の例を示し、説明する。
【0113】
この構成の特徴は、水が生成する酸素電極側にNafion(R)層が配置されていることである。これにより、Nafion(R)層へ供給する水分の必要量を抑えることができ、且つ、生成した水にスルホブチルフラーレンとPVAとの混合体層が溶解して流出するのを防止できる。更に、Nafion(R)層が、酸素電極近傍での酸素系ラジカル等による攻撃を防御する役割も受け持つ。
【0114】
一方、スルホブチルフラーレンとPVAとの混合体層は、燃料である水素ガスが膜を透過して酸素電極側に到達することを防止するほか、その粘着性によってNafion(R)層に密着する役割も果たす。
【0115】
2層膜は、実施例1と同様に、Nafion層の上にブチルスルホフラーレン・PVAの層を形成して作製した。即ち、PTFEフィルム上にNafion(R)のメタノール溶液をドクターブレード法によりキャストしてNafion(R)の薄膜を作製し、150℃で2時間加熱処理した。このNafion(R)層の上に、スルホブチルフラーレンとPVAとを質量比で2:1に混合した水溶液をドクターブレード法でキャストし、この液体膜から水を蒸発させ、ブチルスルホフラーレンとPVAとの混合体層を積層した。
【0116】
電極は、実施例2又は3と同様にして作製した。即ち、カーボンシート上にカーボン微粉末とPTFE微粒子とを水中に混合分散させた分散液を塗布し乾燥させ燃料供給層を形成する。更に、この上に白金担持カーボン(Pt 45.8質量%担持)粉末とNafion(R)を混合分散させた分散液を塗布し、溶媒を蒸発させて触媒反応層を形成した。白金の塗布量は、0.55mg/cm2 とした。このようにして作製した電極で、前述の2層膜を挟み込み、10kg/cm2 の圧力を加えながら90℃で24時間ホットプレスして、膜−電極接合体(MEA)を作製した。
【0117】
室温で、MEAの燃料電極(アノード)側に水蒸気で飽和させた水素ガスを供給し、酸素電極(カソード)側に酸素ガスを供給して、水素−酸素燃料電池として機能させた。
【0118】
図10は、出力電圧と出力電流密度との関係を示すグラフである。出力は、図8に示した実施例3の5層膜に比べて低くなっている。原因は、完全には明らかになっていないが、本実施例の2層膜では膜自身に触媒層が付加されておらず、触媒層−伝導体膜界面は従来どおりのホットプレスによる接合で形成されているためと考えられる。2層膜と電極との接合等を改善することで、出力特性は改善されるものと思われる。
【0119】
同様の理由で、無加湿下での発電は行わなかった。実施例3の場合と同様に、膜自体に触媒層を付加すれば、実施例3の場合より簡単な構成で、無加湿下での発電が可能になると思われる。
【0120】
以上、本発明を実施の形態及び実施例に基づいて説明したが、本発明はこれらの例に何ら限定されるものではなく、発明の主旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能であることは言うまでもない。
【0121】
【発明の作用効果】
本発明によれば、水溶性フラーレン誘導体の少なくとも水溶性を抑制する異種材料が、前記水溶性フラーレン誘導体からなるプロトン伝導性膜の表面に積層されるか、或いは前記水溶性フラーレン誘導体と複合されてプロトン伝導性複合膜を形成しているので、前記異種材料は、前記水溶性フラーレン誘導体の一部又は全部を被覆することにより、前記水溶性フラーレン誘導体が水と自在に接触する機会を物理的に制限する。これにより、前記水溶性フラーレン誘導体が水へ溶出したり、水と化学反応することを抑制する。
【0122】
また、異種材料がフラーレン誘導体と化学的な親和性を有するものである場合には、その親和性によってフラーレン誘導体を安定化し、フラーレン誘導体の水への溶出等をより効果的に抑制する。
【0123】
また、前記電解質膜では、前記保護層が、触媒との接合を受け持ち、且つ、前記遮断層をなす前記電解質の流出と前記遮断層に対する外部からの化学的作用とを防止するので、前記遮断層の材料選択の制限が大幅に緩和され、例えば少々の水溶性を有するフラーレン誘導体含有膜でも使用可能となる。
【0124】
更に、電極と接着性の良い表面層を有するプロトン伝導性複合膜又は電解質膜を対向電極間に挟持した状態で加熱処理すると、プロトン伝導性複合膜又は電解質膜と電極との接合界面が良好な膜−電極接合体(MEA)を作製できる。
【0125】
このMEAを、電極上で水素イオンがやり取りされる電気化学デバイスの電気化学反応部、例えば燃料電池の発電部に用いると、装置を小型化できるとともに、プロトン伝導性複合膜又は電解質膜を単独でハンドリングすることによる膜の損傷を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態の1つである積層膜の概念を表す概略断面図である。
【図2】本発明の実施例1による3層積層膜及び各層の材料からなる単層膜のプロトン伝導度と相対湿度との関係を示すグラフである。
【図3】同、3層積層膜及び参考例である各種の膜の溶残率と水中投入回数との関係を示すグラフである。
【図4】同、膜の水素透過性を測定する装置の概略構成図である。
【図5】同、3層積層膜及び各層の材料からなる単層膜の水素透過性を示すグラフである。
【図6】本発明の実施例2による3層積層膜及びNafion112接合膜を用いたDMFCの開放電池電圧の時間変化を示すグラフである。
【図7】本発明の実施例3による燃料電池の出力電圧と出力電流密度との関係を示すグラフである(加湿しないとき)。
【図8】同、燃料電池の出力電圧と出力電流密度との関係を示すグラフである(加湿したとき)。
【図9】同、MEA接合部の構造を示す概略説明図である。
【図10】本発明の実施例4による燃料電池の出力電圧と出力電流密度との関係を示すグラフである(加湿あり)。
【符号の説明】
1…電極触媒層、2、4…Nafion層、3…スルホブチルフラーレン・PVA層、5…膜触媒層、11…電極触媒層の触媒担持カーボン、12…膜触媒層の触媒担持カーボン
Claims (51)
- プロトン解離性の基を有する水溶性フラーレン誘導体からなるプロトン伝導性膜の表面に、前記フラーレン誘導体の少なくとも水溶性を抑制する性質をもつ異種材料からなる膜が積層されている、フラーレン誘導体含有プロトン伝導性複合膜。
- 前記フラーレン誘導体と、ヒドロキシル基を有する高分子材料との混合物からなるプロトン伝導性混合体膜の表面に、前記異種材料からなる膜が積層されている、請求項1に記載したフラーレン誘導体含有プロトン伝導性複合膜。
- プロトン解離性の基を有する水溶性フラーレン誘導体と、前記フラーレン誘導体の少なくとも水溶性を抑制する性質をもつプロトン伝導性異種材料とからなる複合体によって形成されている、フラーレン誘導体含有プロトン伝導性複合膜。
- 前記フラーレン誘導体からなるプロトン伝導性膜の表面に前
記異種材料からなる膜が積層されていることと、
前記フラーレン誘導体と前記異種材料との混合物がプロトン伝導性混合体膜
を形成していることと
の少なくとも一方を構成として具備している、請求項3に記載したフラーレン誘導体含有プロトン伝導性複合膜。 - 前記フラーレン誘導体が、ヒドロキシル基を有する高分子材料と混合されている、請求項3に記載したフラーレン誘導体含有プロトン伝導性複合膜。
- 水、メタノール、エタノール、1−プロパノール及び2−プロパノールからなる群より選ばれた少なくとも1種の物質からなる溶媒に、前記水溶性フラーレン誘導体が10質量%以上溶解する、請求項1又は3に記載したフラーレン誘導体含有プロトン伝導性複合膜。
- 前記プロトン解離性の基が−XH(Xは2価の結合手を有する任意の原子もしくは原子団である。)である、請求項1又は3に記載したフラーレン誘導体含有プロトン伝導性複合膜。
- 前記プロトン解離性の基が−C(YH)(ZH)−(Y及びZは2価の結合手を有する任意の原子もしくは原子団である。)である、請求項1又は3に記載したフラーレン誘導体含有プロトン伝導性複合膜。
- 前記プロトン解離性の基が、−OH又は−OH含有の原子団である、請求項1又は3に記載したフラーレン誘導体含有プロトン伝導性複合膜。
- 前記プロトン解離性の基が、−OH、−OSO3H、−COOH、−SO3H、−OPO(OH)2のいずれかより選ばれる基である、請求項9に記載したフラーレン誘導体含有プロトン伝導性複合膜。
- 前記フラーレン分子が、球状炭素クラスター分子Cn(n=36、60、70、76、78、80、82、84等)である、請求項1又は3に記載したフラーレン誘導体含有プロトン伝導性複合膜。
- 前記高分子材料がポリビニルアルコール又はその誘導体である、請求項2又は5に記載したフラーレン誘導体含有プロトン伝導性複合膜。
- 前記高分子材料がビニルアルコールとアルケン又はアルケン誘導体との共重合体である、請求項2に記載したフラーレン誘導体含有プロトン伝導性複合膜。
- 前記高分子材料がビニルアルコールとアルケン又はアルケン誘導体との共重合体である、請求項5に記載したフラーレン誘導体含有プロトン伝導性複合膜。
- 前記アルケン又はアルケン誘導体が末端に二重結合をもつアルケン又はその誘導体である、請求項13に記載したフラーレン誘導体含有プロトン伝導性複合膜。
- 前記アルケン又はアルケン誘導体が末端に二重結合をもつアルケン又はその誘導体である、請求項14に記載したフラーレン誘導体含有プロトン伝導性複合膜。
- 前記水溶性フラーレン誘導体がC60(C4H8SO3H)8であり、前記高分子材料がポリビニルアルコールである、請求項2に記載したフラーレン誘導体含有プロトン伝導性複合膜。
- 前記水溶性フラーレン誘導体がC60(C4H8SO3H)8であり、前記高分子材料がポリビニルアルコールである、請求項5に記載したフラーレン誘導体含有プロトン伝導性複合膜。
- 前記異種材料が、水に不溶のプロトン伝導性高分子電解質である、請求項1又は3に記載したフラーレン誘導体含有プロトン伝導性複合膜。
- 前記プロトン伝導性高分子電解質が、スルホン酸基を含有する、請求項19に記載したフラーレン誘導体含有プロトン伝導性複合膜。
- 前記プロトン伝導性高分子電解質がパーフルオロスルホン酸系樹脂を含有する、請求項20に記載したフラーレン誘導体含有プロトン伝導性複合膜。
- 前記水溶性フラーレン誘導体からなるプロトン伝導性膜の両面又は片面に、前記異種材料からなる膜が積層されている、請求項1又は3に記載したフラーレン誘導体含有プロトン伝導性複合膜。
- 請求項1又は3に記載したプロトン伝導性複合膜が対向電極間に挟持されてなる膜−電極接合体。
- 前記プロトン伝導性複合膜の両面に、前記対向電極と接着性の良い材料を介して、前記対向電極が形成されている、請求項23に記載した膜−電極接合体。
- 前記接着性の良い材料と前記対向電極の材料とが、実質的に同じ材料である、請求項24に記載した膜−電極接合体。
- 電気化学デバイスの電気化学反応部を構成する、請求項23に記載した膜−電極接合体。
- 燃料電池の発電部を構成する、請求項26に記載した膜−電極接合体。
- 請求項23に記載した膜−電極接合体が電気化学反応部に用いられている電気化学デバイス。
- 燃料電池として構成された、請求項28に記載した電気化学デバイス。
- 少なくとも燃料の透過を遮断する遮断層が、触媒との接合を受け持ちかつ内部からの電解質の流出と外部からの化学的作用とを防止する保護層によって挟着されてなる電解質膜。
- 前記遮断層がプロトン解離性の基を有する水溶性フラーレン誘導体からなり、これがヒドロキシル基を有する高分子材料と混合されていると共に、前記保護層が前記フラーレン誘導体の少なくとも水溶性を抑制する性質を有している、請求項30に記載した電解質膜。
- 水、メタノール、エタノール、1−プロパノール及び2−プロパノールからなる群より選ばれた少なくとも1種の物質からなる溶媒に、前記水溶性フラーレン誘導体が10質量%以上溶解する、請求項30に記載した電解質膜。
- 前記プロトン解離性の基が−XH(Xは2価の結合手を有する任意の原子もしくは原子団である。)である、請求項31に記載した電解質膜。
- 前記プロトン解離性の基が−C(YH)(ZH)−(Y及びZは2価の結合手を有する任意の原子もしくは原子団である。)である、請求項31に記載した電解質膜。
- 前記プロトン解離性の基が、−OH又は−OH含有の原子団である、請求項31に記載した電解質膜。
- 前記プロトン解離性の基が、−OH、−OSO3H、−COOH、−SO3H、−OPO(OH)2のいずれかより選ばれる基である、請求項35に記載した電解質膜。
- 前記フラーレン分子が、球状炭素クラスター分子Cn(n=36、60、70、76、78、80、82、84等)である、請求項30に記載した電解質膜。
- 前記高分子材料がポリビニルアルコール又はその誘導体である、請求項31に記載した電解質膜。
- 前記高分子材料がビニルアルコールとアルケン又はアルケン誘導体との共重合体である、請求項31に記載した電解質膜。
- 前記アルケン又はアルケン誘導体が末端に二重結合をもつアルケン又はその誘導体である、請求項39に記載した電解質膜。
- 前記水溶性フラーレン誘導体がC60(C4H8SO3H)8であり、前記高分子材料がポリビニルアルコールである、請求項31に記載した電解質膜。
- 前記異種材料が、水に不溶のプロトン伝導性高分子電解質である、請求項31に記載した電解質膜。
- 前記プロトン伝導性高分子電解質が、スルホン酸基を含有する、請求項42に記載した電解質膜。
- 前記プロトン伝導性高分子電解質がパーフルオロスルホン酸系樹脂を含有する、請求項43に記載した電解質膜。
- 請求項30に記載した電解質膜が対向電極間に挟持されてなる膜−電極接合体。
- 前記電解質膜の両面に、前記対向電極と接着性の良い材料を介して、前記対向電極が形成されている、請求項45に記載した膜−電極接合体。
- 前記接着性の良い材料と前記対向電極の材料とが、実質的に同じ材料である、請求項46に記載した膜−電極接合体。
- 電気化学デバイスの電気化学反応部を構成する、請求項45に記載した膜−電極接合体。
- 燃料電池の発電部を構成する、請求項48に記載した膜−電極接合体。
- 請求項45に記載した膜−電極接合体が電気化学反応部に用いられている電気化学デバイス。
- 燃料電池として構成された、請求項50に記載した電気化学デバイス。
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