JP2004054869A - 温度制御回路 - Google Patents
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Abstract
【課題】制御素子109を駆動する矩形パルスの出力電圧が一定であるため、設定温度付近における制御素子109への供給電力が小さくできないことによる温度制御精度の低下を改善するという課題があった。
【解決手段】制御素子109に供給する電流の量および方向を矩形パルス波により制御する温度制御回路において、絶対値演算回路からの信号を入力として制御素子109に印加する電圧を可変することにより供給電力を小さくできる構成とした。
【選択図】 図1
【解決手段】制御素子109に供給する電流の量および方向を矩形パルス波により制御する温度制御回路において、絶対値演算回路からの信号を入力として制御素子109に印加する電圧を可変することにより供給電力を小さくできる構成とした。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、制御対象の温度を検出し、検出された温度と任意に設定される設定温度との差により温度制御素子を駆動し、制御対象の温度を一定に保つ温度制御回路に関する。
【0002】
【従来の技術】
図2に、従来の温度制御回路のブロック図を示す。図2に示される温度制御回路は、制御対象101の温度を制御するためのものである。
【0003】
図2において制御対象101の温度は、温度検出部102によって検出される。温度検出部102は、具体的にはサーミスタや白金等の温度検出器が適している。この温度検出部によって制御対象101の温度を検出し、この検出した温度に比例した電圧を発生させる。この電圧を、温度検出部102の出力信号として用いる。
【0004】
この温度検出部102の出力信号は、増幅器103に供給される。増幅器103は、温度検出部102から与えられた入力信号を増幅して、絶対値演算回路104に供給する。このとき、増幅器103の増幅率は、絶対値演算回路104、および後述する加熱/冷却判別回路106に適切な入力レベルとなるような値に設定されるべきであるのは勿論である。
【0005】
絶対値演算回路104は、入力された電圧の絶対値をとり、これをデューティー発生回路105へ供給する。すなわち、温度検出部102において検出した温度と目標温度との差に相当する電圧を出力する。デューティー発生回路105は、供給された電圧の絶対値を制御素子109を駆動するためのON/OFFの時間比に変換して、制御ブロック108を駆動するための信号として出力する。
【0006】
増幅器103の出力は、加熱/冷却判別回路106へもまた供給されている。加熱/冷却判別回路106は、増幅器103から入力された信号から、制御対象101の温度に相当する電圧を得る。この電圧を、あらかじめ与えられている基準電圧と比較することで、制御対象101の温度が目標値に対して高いか低いかを判別することができる。加熱/冷却判別回路106は、この比較結果を制御ブロック108へ送る。すなわち、絶対値演算回路104によって制御対象の温度と目標値との差が得られる。また、加熱/冷却判別回路106によって制御対象の温度と目標値との高低関係が得られる。
【0007】
制御ブロック108は、制御素子109を駆動するための電流供給機能と、供給電流の方向を切り換える機能を有する。デューティー発生回路105、および加熱/冷却判別回路106から入力された信号により、トランジスタ等の増幅機能を用い制御素子109に電流を供給し、制御素子109を駆動する。制御素子109としては、ペルチェ素子が適当である。ペルチェ素子は、印加する電流の向きによって加熱あるいは冷却という効果を得ることができる。したがって、制御ブロック108のトランジスタ等のスイッチング機能を用いた制御により、制御対象101を加熱あるいは冷却することができる。
【0008】
電源回路110bは、制御ブロック108および制御素子109に一定の電圧を供給し、前述した加熱および冷却に必要な電力を供給する。
【0009】
図3は、デューティー発生回路105で発生した矩形パルス波の動作を説明するため、デューティー発生回路105への入力電圧Vinを増大させていった場合に、制御素子109への矩形パルス波がどのように変化するかを示す。図3において、縦軸は入力電圧Vinまたは矩形パルス波の出力電圧Voutを表す。また横軸は矩形パルス波の波形を示す。
【0010】
デューティー発生回路105は、図3に示すように入力電圧Vinに対して出力電圧Voutを出力する。この出力電圧Voutは入力電圧Vinに応じてパルス幅、およびパルス発生周期が変化する矩形パルス波である。このパルスが発生している期間、制御ブロック108は制御素子109をONとする。またパルスが発生していない期間は、制御ブロック108は制御素子109をOFFとする。
【0011】
すなわち、制御素子109のON時間は、出力電圧Voutのパルスの発生時間に等しい。このパルスの発生時間は、入力電圧Vinが高くなるにつれて長くなる。また制御素子109のOFF時間は、出力電圧Voutの、あるひとつのパルスと次のパルスとの間の時間に等しい。この時間は、入力電圧Vinが高くなるにつれて短くなる。前述したように、入力電圧Vinを供給する絶対値演算回路104は、制御対象101の温度と目標温度との差に応じた電圧を出力している。すなわち、差が大きければそれだけ高い入力電圧となり、差が小さければそれだけ低い入力電圧となる。
【0012】
出力電圧Voutのパルスの立ち上がりから次のパルスの立ち上がりまでを1周期とすると、図3において、設定温度に比較的近い温度における入力電圧VinがV1(V)である場合、対応する矩形パルス波11bにおける出力電圧Voutの周期はたとえばt1となる。また設定温度から比較的離れた温度における入力電圧VinがV2(V)である場合、対応する矩形パルス波12bにおける出力電圧Voutの周期はたとえばt2となる。図から理解されるように、入力電圧Vinが増加するにつれて、すなわち設定温度から離れた温度になるにしたがって出力電圧Voutの1周期に占めるON時間の割合が増加している。この、出力電圧Voutの1周期に占めるON時間の割合を、デューティー比と定義する。すなわち、
デューティー比=制御素子駆動ONの時間/1周期の時間
と表すことができる。
【0013】
すなわち制御対象101と目標温度との差が大きくなると、制御素子109を駆動する時間の割合が大きくなる。従ってそれだけ短時間で、制御対象101の温度制御を行うことができる。一方、温度差が小さければデューティー比が小さくなり、急激な加熱、あるいは冷却のされることによる熱的なオーバーシュートを抑制している。
【0014】
ここで出力電圧Voutのデューティー比が大きくなると、1周期のほぼすべての時間が制御素子109のON時間となる可能性がある。この場合は、制御素子109の駆動をONのままとし、制御素子109を連続的に駆動する。このとき、制御素子に流れる電流が最大値となる。
【0015】
また、制御対象101の温度と目標温度とがほぼ一致した場合、1周期のほぼすべての時間が制御素子109のOFF時間となる可能性がある。この場合、制御素子109の駆動をOFFとする。このようにして制御対象101を目標温度に制御している。
【0016】
上記の動作を、式を用いて以下に説明する。制御素子109、たとえばペルチェ素子に流れる電流をI、印加電圧をVとすると、ペルチェ素子への供給電力Pは、
P=I×V
で与えられる。ここで電流Iはパルス振幅により制御しているため、周波数をf、パルス幅をτ、デューティーをDとし、最大電流をImaxとすると、デューティー比Dは、前述のように出力電圧Voutの1周期の時間tに占めるON時間の割合であるため、
D=τ/t=τ×f
と表すことができるので、電流Iは、
I=Imax×D=Imax×τ×f
により与えられる。よって上記供給電力Pは、
P=Imax×τ×f×V
となる。すなわち、電圧Vが一定の場合は、設定温度に近づくにつれて周波数fおよびパルス幅τを小さくすることにより、供給電力を小さくすることができる。
【0017】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記構成の温度制御回路では、制御素子109に印加する矩形パルスの出力電圧Vが一定であるため、設定温度付近における温度制御の精度は、周波数fおよびパルス幅τのみに依存するものである。また、周波数fおよびパルス幅τの最小値は、通常市販されている部品で構成した回路を用いた場合では、周波数fが約0.2〔Hz〕、パルス幅τが約0.5〔μs〕が限度であるため、設定温度付近における温度制御精度に限界があり、微小な温度調整ができないという欠点があった。
【0018】
本発明は、以上述べた問題点を除去するため、制御素子109に印加する矩形パルス波の出力電圧を可変することにより、制御素子109に供給する電力を減少させ、設定温度付近における温度制御の精度の向上を図ることができる温度制御回路を提供することを目的とする。
【0019】
【課題を解決するための手段】
この目的を解決するため、この発明は、温度制御素子に印加する矩形パルス波の出力電圧を可変する電源回路と、電源回路の出力電圧を制御する回路とを設け、絶対値演算回路からの信号を入力として、温度制御素子に印加する矩形パルス波の出力電圧を可変する構成とした。
【0020】
以上の通り構成したことにより、設定温度への収束時間を劣化させることなく設定温度付近における温度制御の精度の向上を図ることができる温度制御回路を提供することが可能となる。
【0021】
【発明の実施の形態】
図1に、本発明の温度制御回路におけるブロック図を示す。図1において制御対象101の温度は、温度検出部102によって検出される。この温度検出部によって制御対象101の温度を検出し、この検出した温度に比例した電圧を発生させる。この電圧を、温度検出部102の出力信号として用いる。この温度検出部102の出力信号は、増幅器103に供給される。増幅器103は、温度検出部102から与えられた入力信号を増幅して、絶対値演算回路104に供給する。
【0022】
絶対値演算回路104は、入力された電圧の絶対値をとり、これをデューティー発生回路105へ供給する。すなわち、温度検出部102において検出した温度と目標温度との差に相当する電圧を出力する。デューティー発生回路105は、供給された電圧の絶対値を、制御素子109を駆動するON/OFFの時間比に変換して制御ブロック108を駆動するための信号として出力する。絶対値演算回路104は、さらに後述する電源電圧制御回路へも出力する。
【0023】
増幅器103の出力は、加熱/冷却判別回路106へもまた供給されている。加熱/冷却判別回路106は、増幅器103から入力された信号から、制御対象101の温度に相当する電圧を得る。この電圧を、あらかじめ与えられている基準電圧と比較することで、制御対象101の温度が目標値に対して高いか低いかを判別することができる。加熱/冷却判別回路106は、この比較結果を制御ブロック108へ送る。すなわち、絶対値回路104によって制御対象の温度と目標値との差が得られる。また、加熱/冷却判別回路106によって制御対象の温度と目標値との高低関係が得られる。
【0024】
制御ブロック108は、制御素子109を駆動するための電流供給機能と、供給電流の方向を切り換える機能を有する。デューティー発生回路105、および加熱/冷却判別回路106から入力された信号により、トランジスタ等の増幅機能を用い制御素子109に電流を供給し、制御素子109を駆動する。制御素子109としては、ペルチェ素子が適当である。ペルチェ素子は、印加する電流の向きによって加熱あるいは冷却という効果を得ることができる。したがって、制御ブロック108のトランジスタ等のスイッチング機能を用いた制御により、制御対象101を加熱あるいは冷却することができる。
【0025】
電源回路110aは、後述する電源電圧制御回路107からの出力により、制御ブロック108および制御素子109に供給する電圧を可変し、前述した加熱および冷却に必要な電力を供給する。電源回路110aにおいて出力電圧を可変させる方法としては、例えば3端子レギュレータを使用するのが一般的である。3端子レギュレータの調整端子に負荷される電圧を変化させる等により、出力電圧を容易に変化させることができる。
【0026】
電源電圧制御回路107は、絶対値演算回路104の出力信号を入力し、入力電圧の大小により電源回路110aの出力電圧を変化させる信号を送る機能を有する。具体的に説明すれば、設定温度から比較的離れた温度、すなわち入力電圧が大きい場合は電源回路110aの出力電圧を大きくするようにし、逆に設定温度から比較的近い温度、すなわち入力電圧が小さい場合は電源回路110aの出力電圧を小さくするように電源回路110aを制御する信号を送る。電源回路110aにおける出力電圧を可変する方法の例としては前述したとおりであるため、3端子レギュレータの調整端子に負荷すべき電圧に相当する信号を電源電圧制御回路107から送ることにより、電源回路110aの出力電圧を変化させることができる。これにより、設定温度付近において制御素子に供給する電力を小さくすることができ、温度制御の精度が向上し、微小な温度調整が可能となる。
【0027】
図4に、本発明による入力電圧Vinに対する矩形パルス波の変化を示す。図において、縦軸は入力電圧Vinまたは出力電圧Voutを表す。また横軸は矩形パルス波の波形を示す。設定温度から比較的離れた温度における入力電圧V2に対する矩形パルス波12aにおける出力電圧Va12に比較し、設定温度に比較的近い温度における入力電圧V1に対する矩形パルス波11aにおける出力電圧Va11が小さくなっている。
【0028】
図3における従来の矩形パルス波11bと、図4における本発明による矩形パルス波11aとの比較を、以下に式を用いて説明する。
本発明による矩形パルス波11aにおける電力をPa11、ペルチェ素子への供給電流をIa、矩形パルス波の出力電圧をVa11、最大電流をImaxa、従来の矩形パルス波11bにおける電力をPb11、ペルチェ素子への供給電流をIb、矩形パルス波の出力電圧をVb11、最大電流をImaxb、および両者共通である矩形パルス波のパルス幅をτ、周波数をf、また、ペルチェ素子抵抗をRとすると、従来の矩形パルス波と本発明による矩形パルス波の電力の比は、
となり、電圧の二乗に比例して小さくなる。また、ペルチェ素子の電力Pに対する変換温度係数をKとすると、制御温度幅ΔTは
ΔT=K√P
と表すことができるため、電力を減少させた分だけ制御温度幅を小さくすることができる。一例として、従来の矩形パルスの電圧Vb11を3.3(V)、本発明による矩形パルスの電圧Va11を1(V)とした場合、従来の矩形パルスと本発明による矩形パルスの電力比Pa11/Pb11は(1/3.3)2となり、すなわち制御温度幅は本発明により約3.3倍の精度を実現することができる。
【0029】
【発明の効果】
以上詳細に説明したように、本発明によれば、絶対値演算回路からの信号を入力として温度制御素子を駆動する矩形パルス波の出力電圧を可変する構成としたことにより、設定温度付近における温度制御の精度が向上し、設定温度への収束時間を劣化させることなく微小な温度調整ができる温度制御回路を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の温度制御回路を示すブロック図である。
【図2】従来の温度制御回路を示すブロック図である。
【図3】従来のデューティー発生回路の入力/出力電圧を示す図である。
【図4】本発明のデューティー発生回路の入力/出力電圧を示す図である。
【符号の説明】
101 制御対象
102 温度検出回路
103 増幅器
104 制御演算回路
105 デューティー発生回路
106 加熱/冷却判別回路
107 電源電圧制御回路
108 制御ブロック
109 制御素子
110a 電源回路
【発明の属する技術分野】
この発明は、制御対象の温度を検出し、検出された温度と任意に設定される設定温度との差により温度制御素子を駆動し、制御対象の温度を一定に保つ温度制御回路に関する。
【0002】
【従来の技術】
図2に、従来の温度制御回路のブロック図を示す。図2に示される温度制御回路は、制御対象101の温度を制御するためのものである。
【0003】
図2において制御対象101の温度は、温度検出部102によって検出される。温度検出部102は、具体的にはサーミスタや白金等の温度検出器が適している。この温度検出部によって制御対象101の温度を検出し、この検出した温度に比例した電圧を発生させる。この電圧を、温度検出部102の出力信号として用いる。
【0004】
この温度検出部102の出力信号は、増幅器103に供給される。増幅器103は、温度検出部102から与えられた入力信号を増幅して、絶対値演算回路104に供給する。このとき、増幅器103の増幅率は、絶対値演算回路104、および後述する加熱/冷却判別回路106に適切な入力レベルとなるような値に設定されるべきであるのは勿論である。
【0005】
絶対値演算回路104は、入力された電圧の絶対値をとり、これをデューティー発生回路105へ供給する。すなわち、温度検出部102において検出した温度と目標温度との差に相当する電圧を出力する。デューティー発生回路105は、供給された電圧の絶対値を制御素子109を駆動するためのON/OFFの時間比に変換して、制御ブロック108を駆動するための信号として出力する。
【0006】
増幅器103の出力は、加熱/冷却判別回路106へもまた供給されている。加熱/冷却判別回路106は、増幅器103から入力された信号から、制御対象101の温度に相当する電圧を得る。この電圧を、あらかじめ与えられている基準電圧と比較することで、制御対象101の温度が目標値に対して高いか低いかを判別することができる。加熱/冷却判別回路106は、この比較結果を制御ブロック108へ送る。すなわち、絶対値演算回路104によって制御対象の温度と目標値との差が得られる。また、加熱/冷却判別回路106によって制御対象の温度と目標値との高低関係が得られる。
【0007】
制御ブロック108は、制御素子109を駆動するための電流供給機能と、供給電流の方向を切り換える機能を有する。デューティー発生回路105、および加熱/冷却判別回路106から入力された信号により、トランジスタ等の増幅機能を用い制御素子109に電流を供給し、制御素子109を駆動する。制御素子109としては、ペルチェ素子が適当である。ペルチェ素子は、印加する電流の向きによって加熱あるいは冷却という効果を得ることができる。したがって、制御ブロック108のトランジスタ等のスイッチング機能を用いた制御により、制御対象101を加熱あるいは冷却することができる。
【0008】
電源回路110bは、制御ブロック108および制御素子109に一定の電圧を供給し、前述した加熱および冷却に必要な電力を供給する。
【0009】
図3は、デューティー発生回路105で発生した矩形パルス波の動作を説明するため、デューティー発生回路105への入力電圧Vinを増大させていった場合に、制御素子109への矩形パルス波がどのように変化するかを示す。図3において、縦軸は入力電圧Vinまたは矩形パルス波の出力電圧Voutを表す。また横軸は矩形パルス波の波形を示す。
【0010】
デューティー発生回路105は、図3に示すように入力電圧Vinに対して出力電圧Voutを出力する。この出力電圧Voutは入力電圧Vinに応じてパルス幅、およびパルス発生周期が変化する矩形パルス波である。このパルスが発生している期間、制御ブロック108は制御素子109をONとする。またパルスが発生していない期間は、制御ブロック108は制御素子109をOFFとする。
【0011】
すなわち、制御素子109のON時間は、出力電圧Voutのパルスの発生時間に等しい。このパルスの発生時間は、入力電圧Vinが高くなるにつれて長くなる。また制御素子109のOFF時間は、出力電圧Voutの、あるひとつのパルスと次のパルスとの間の時間に等しい。この時間は、入力電圧Vinが高くなるにつれて短くなる。前述したように、入力電圧Vinを供給する絶対値演算回路104は、制御対象101の温度と目標温度との差に応じた電圧を出力している。すなわち、差が大きければそれだけ高い入力電圧となり、差が小さければそれだけ低い入力電圧となる。
【0012】
出力電圧Voutのパルスの立ち上がりから次のパルスの立ち上がりまでを1周期とすると、図3において、設定温度に比較的近い温度における入力電圧VinがV1(V)である場合、対応する矩形パルス波11bにおける出力電圧Voutの周期はたとえばt1となる。また設定温度から比較的離れた温度における入力電圧VinがV2(V)である場合、対応する矩形パルス波12bにおける出力電圧Voutの周期はたとえばt2となる。図から理解されるように、入力電圧Vinが増加するにつれて、すなわち設定温度から離れた温度になるにしたがって出力電圧Voutの1周期に占めるON時間の割合が増加している。この、出力電圧Voutの1周期に占めるON時間の割合を、デューティー比と定義する。すなわち、
デューティー比=制御素子駆動ONの時間/1周期の時間
と表すことができる。
【0013】
すなわち制御対象101と目標温度との差が大きくなると、制御素子109を駆動する時間の割合が大きくなる。従ってそれだけ短時間で、制御対象101の温度制御を行うことができる。一方、温度差が小さければデューティー比が小さくなり、急激な加熱、あるいは冷却のされることによる熱的なオーバーシュートを抑制している。
【0014】
ここで出力電圧Voutのデューティー比が大きくなると、1周期のほぼすべての時間が制御素子109のON時間となる可能性がある。この場合は、制御素子109の駆動をONのままとし、制御素子109を連続的に駆動する。このとき、制御素子に流れる電流が最大値となる。
【0015】
また、制御対象101の温度と目標温度とがほぼ一致した場合、1周期のほぼすべての時間が制御素子109のOFF時間となる可能性がある。この場合、制御素子109の駆動をOFFとする。このようにして制御対象101を目標温度に制御している。
【0016】
上記の動作を、式を用いて以下に説明する。制御素子109、たとえばペルチェ素子に流れる電流をI、印加電圧をVとすると、ペルチェ素子への供給電力Pは、
P=I×V
で与えられる。ここで電流Iはパルス振幅により制御しているため、周波数をf、パルス幅をτ、デューティーをDとし、最大電流をImaxとすると、デューティー比Dは、前述のように出力電圧Voutの1周期の時間tに占めるON時間の割合であるため、
D=τ/t=τ×f
と表すことができるので、電流Iは、
I=Imax×D=Imax×τ×f
により与えられる。よって上記供給電力Pは、
P=Imax×τ×f×V
となる。すなわち、電圧Vが一定の場合は、設定温度に近づくにつれて周波数fおよびパルス幅τを小さくすることにより、供給電力を小さくすることができる。
【0017】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記構成の温度制御回路では、制御素子109に印加する矩形パルスの出力電圧Vが一定であるため、設定温度付近における温度制御の精度は、周波数fおよびパルス幅τのみに依存するものである。また、周波数fおよびパルス幅τの最小値は、通常市販されている部品で構成した回路を用いた場合では、周波数fが約0.2〔Hz〕、パルス幅τが約0.5〔μs〕が限度であるため、設定温度付近における温度制御精度に限界があり、微小な温度調整ができないという欠点があった。
【0018】
本発明は、以上述べた問題点を除去するため、制御素子109に印加する矩形パルス波の出力電圧を可変することにより、制御素子109に供給する電力を減少させ、設定温度付近における温度制御の精度の向上を図ることができる温度制御回路を提供することを目的とする。
【0019】
【課題を解決するための手段】
この目的を解決するため、この発明は、温度制御素子に印加する矩形パルス波の出力電圧を可変する電源回路と、電源回路の出力電圧を制御する回路とを設け、絶対値演算回路からの信号を入力として、温度制御素子に印加する矩形パルス波の出力電圧を可変する構成とした。
【0020】
以上の通り構成したことにより、設定温度への収束時間を劣化させることなく設定温度付近における温度制御の精度の向上を図ることができる温度制御回路を提供することが可能となる。
【0021】
【発明の実施の形態】
図1に、本発明の温度制御回路におけるブロック図を示す。図1において制御対象101の温度は、温度検出部102によって検出される。この温度検出部によって制御対象101の温度を検出し、この検出した温度に比例した電圧を発生させる。この電圧を、温度検出部102の出力信号として用いる。この温度検出部102の出力信号は、増幅器103に供給される。増幅器103は、温度検出部102から与えられた入力信号を増幅して、絶対値演算回路104に供給する。
【0022】
絶対値演算回路104は、入力された電圧の絶対値をとり、これをデューティー発生回路105へ供給する。すなわち、温度検出部102において検出した温度と目標温度との差に相当する電圧を出力する。デューティー発生回路105は、供給された電圧の絶対値を、制御素子109を駆動するON/OFFの時間比に変換して制御ブロック108を駆動するための信号として出力する。絶対値演算回路104は、さらに後述する電源電圧制御回路へも出力する。
【0023】
増幅器103の出力は、加熱/冷却判別回路106へもまた供給されている。加熱/冷却判別回路106は、増幅器103から入力された信号から、制御対象101の温度に相当する電圧を得る。この電圧を、あらかじめ与えられている基準電圧と比較することで、制御対象101の温度が目標値に対して高いか低いかを判別することができる。加熱/冷却判別回路106は、この比較結果を制御ブロック108へ送る。すなわち、絶対値回路104によって制御対象の温度と目標値との差が得られる。また、加熱/冷却判別回路106によって制御対象の温度と目標値との高低関係が得られる。
【0024】
制御ブロック108は、制御素子109を駆動するための電流供給機能と、供給電流の方向を切り換える機能を有する。デューティー発生回路105、および加熱/冷却判別回路106から入力された信号により、トランジスタ等の増幅機能を用い制御素子109に電流を供給し、制御素子109を駆動する。制御素子109としては、ペルチェ素子が適当である。ペルチェ素子は、印加する電流の向きによって加熱あるいは冷却という効果を得ることができる。したがって、制御ブロック108のトランジスタ等のスイッチング機能を用いた制御により、制御対象101を加熱あるいは冷却することができる。
【0025】
電源回路110aは、後述する電源電圧制御回路107からの出力により、制御ブロック108および制御素子109に供給する電圧を可変し、前述した加熱および冷却に必要な電力を供給する。電源回路110aにおいて出力電圧を可変させる方法としては、例えば3端子レギュレータを使用するのが一般的である。3端子レギュレータの調整端子に負荷される電圧を変化させる等により、出力電圧を容易に変化させることができる。
【0026】
電源電圧制御回路107は、絶対値演算回路104の出力信号を入力し、入力電圧の大小により電源回路110aの出力電圧を変化させる信号を送る機能を有する。具体的に説明すれば、設定温度から比較的離れた温度、すなわち入力電圧が大きい場合は電源回路110aの出力電圧を大きくするようにし、逆に設定温度から比較的近い温度、すなわち入力電圧が小さい場合は電源回路110aの出力電圧を小さくするように電源回路110aを制御する信号を送る。電源回路110aにおける出力電圧を可変する方法の例としては前述したとおりであるため、3端子レギュレータの調整端子に負荷すべき電圧に相当する信号を電源電圧制御回路107から送ることにより、電源回路110aの出力電圧を変化させることができる。これにより、設定温度付近において制御素子に供給する電力を小さくすることができ、温度制御の精度が向上し、微小な温度調整が可能となる。
【0027】
図4に、本発明による入力電圧Vinに対する矩形パルス波の変化を示す。図において、縦軸は入力電圧Vinまたは出力電圧Voutを表す。また横軸は矩形パルス波の波形を示す。設定温度から比較的離れた温度における入力電圧V2に対する矩形パルス波12aにおける出力電圧Va12に比較し、設定温度に比較的近い温度における入力電圧V1に対する矩形パルス波11aにおける出力電圧Va11が小さくなっている。
【0028】
図3における従来の矩形パルス波11bと、図4における本発明による矩形パルス波11aとの比較を、以下に式を用いて説明する。
本発明による矩形パルス波11aにおける電力をPa11、ペルチェ素子への供給電流をIa、矩形パルス波の出力電圧をVa11、最大電流をImaxa、従来の矩形パルス波11bにおける電力をPb11、ペルチェ素子への供給電流をIb、矩形パルス波の出力電圧をVb11、最大電流をImaxb、および両者共通である矩形パルス波のパルス幅をτ、周波数をf、また、ペルチェ素子抵抗をRとすると、従来の矩形パルス波と本発明による矩形パルス波の電力の比は、
となり、電圧の二乗に比例して小さくなる。また、ペルチェ素子の電力Pに対する変換温度係数をKとすると、制御温度幅ΔTは
ΔT=K√P
と表すことができるため、電力を減少させた分だけ制御温度幅を小さくすることができる。一例として、従来の矩形パルスの電圧Vb11を3.3(V)、本発明による矩形パルスの電圧Va11を1(V)とした場合、従来の矩形パルスと本発明による矩形パルスの電力比Pa11/Pb11は(1/3.3)2となり、すなわち制御温度幅は本発明により約3.3倍の精度を実現することができる。
【0029】
【発明の効果】
以上詳細に説明したように、本発明によれば、絶対値演算回路からの信号を入力として温度制御素子を駆動する矩形パルス波の出力電圧を可変する構成としたことにより、設定温度付近における温度制御の精度が向上し、設定温度への収束時間を劣化させることなく微小な温度調整ができる温度制御回路を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の温度制御回路を示すブロック図である。
【図2】従来の温度制御回路を示すブロック図である。
【図3】従来のデューティー発生回路の入力/出力電圧を示す図である。
【図4】本発明のデューティー発生回路の入力/出力電圧を示す図である。
【符号の説明】
101 制御対象
102 温度検出回路
103 増幅器
104 制御演算回路
105 デューティー発生回路
106 加熱/冷却判別回路
107 電源電圧制御回路
108 制御ブロック
109 制御素子
110a 電源回路
Claims (1)
- 温度制御素子に供給する電流の量および方向を、矩形パルス波を用いて制御することにより前記温度制御素子に接続された制御対象の温度を目標温度に保持する温度制御回路において、
前記温度制御素子に印加する矩形パルス波の出力電圧を可変する電源回路と、
前記電源回路の出力電圧を制御する回路とを設け、
前記矩形パルス波の出力電圧を可変することにより、前記温度制御素子に供給する電力を可変することを特徴とする温度制御回路
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002242688A JP2004054869A (ja) | 2002-07-19 | 2002-07-19 | 温度制御回路 |
Applications Claiming Priority (1)
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JP2002242688A JP2004054869A (ja) | 2002-07-19 | 2002-07-19 | 温度制御回路 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
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JP2004054869A true JP2004054869A (ja) | 2004-02-19 |
Family
ID=31944048
Family Applications (1)
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---|---|---|---|
JP2002242688A Pending JP2004054869A (ja) | 2002-07-19 | 2002-07-19 | 温度制御回路 |
Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP2004054869A (ja) |
-
2002
- 2002-07-19 JP JP2002242688A patent/JP2004054869A/ja active Pending
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