JP2004053897A - ドライフォトレジスト用フィルム - Google Patents
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Abstract
【解決手段】ポリエステルフィルムの少なくとも片面に、分子内にフッ素を含有する重合体成分および架橋剤由来の成分を含有する塗布層を有するフィルムであって、前記架橋剤由来の成分の塗布層乾燥固形分中の割合が5〜80重量%であり、塗布層表面の粗さ(Ra)が5〜50nm、摩擦係数が0.20〜0.39であることを特徴とするドライフォトレジスト用フィルム。
【選択図】 なし
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ドライフォトレジスト用フィルムに関するものであり、詳しくは、フォトレジスト層の剥離性、易滑性等の加工適正に優れたドライフォトレジスト用フィルムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、プリント配線板の製造等において、ドライフォトレジストフィルムを用いて写真法にて基板上に回路を形成する方法で製造されることが多い。このドライフォトレジストフィルムは支持フィルム/フォトレジスト/保護フィルムからなる3層構成からなり、プリント配線基板の製造工程では保護フィルムを剥がしながら、露出面のフォトレジスト層を銅箔基板にラミネーター装置で熱圧着させる。その後、支持フィルム側からパターンマスクを通して紫外線露光した後、支持フィルムを剥がして現像するのが一般的方法である。
通常フォトレジスト層は、紫外線露光すると粘着性が弱まり、支持フィルムの剥離は容易になるが、生産性向上あるいは銅箔基板との密着性向上を計るためフォトレジスト組成の変更が行われる場合がある。このようなフォトレジスト組成の変更があると、組成によっては支持フィルムや保護フィルムとの接着性が増し、レジスト層の剥離が困難となり、レジスト表面の平坦性、平滑性が悪化し印刷回路の欠陥を生じさせたり、加工作業性に支障を来したりする。著しい場合には支持フィルムが全く剥離できず、使用できない状態にも至る。
【0003】
これまで支持フィルムあるいは保護フィルムの剥離性を改良する方法としては、ポリエステル支持フィルム表面に架橋性シリコンやワックス類を塗設した方法等が知られている。
しかしながら、上述の架橋性シリコンやワックス類を塗設した基材を用いたドライレジストフィルムでは、剥離性においては満足しえるものの、塗設したシリコンやワックス類がフォトレジスト面に転着し、フォトレジスト層と銅箔基板との密着性が低下したり、工程装置の汚染あるいは現像液性能を低下させたりする等、好ましくないものであり、改良が求められている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記実情に鑑みなされたものであって、その解決課題は、レジスト塗布時の欠陥がなく、適度な滑り性でレジスト塗布工程適正にも優れ、レジスト解像性やレジストとの離型性に優れたドライフォトレジスト用の支持体を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記の目的を達成すべく種々検討を重ねた結果、特定の構成を選択することにより、上記の課題を容易に解決できることを見いだし、本発明を完成するに至った。
【0006】
すなわち、本発明の要旨は、ポリエステルフィルムの少なくとも片面に、分子内にフッ素を含有する重合体成分および架橋剤由来の成分を含有する塗布層を有するフィルムであって、前記架橋剤由来の成分の塗布層乾燥固形分中の割合が5〜80重量%であり、塗布層表面の粗さ(Ra)が5〜50nm、摩擦係数が0.20〜0.39であることを特徴とするドライフォトレジスト用フィルムに存する。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明で言うポリエステルとは、ジカルボン酸とジオールまたはヒドロキシカルボン酸の重縮合によって得られるエステル基を含むポリマーを指す。ジカルボン酸としては、テレフタル酸、イソフタル酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸などが挙げられ、ジオールとしては、エチレングリコール、1,4−ブタンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ポリエチレングリコール等が挙げられ、ヒドロキシカルボン酸としては、p−ヒドロキシ安息香酸、6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸などが挙げられる。
【0008】
代表的なポリエステルとしては、ポリエチレンテレフタレートやポリエチレンー2、6ナフタレート等が例示されるが、特に80%以上の成分がポリエチレンテレフタレートであることが好ましい。
本発明のフィルムの塗布層表面の粗さ(Ra)は5〜50nm、好ましくは7〜30nmの範囲内に有ることが肝要である。
表面粗さRaが5nm未満であると、ポリエステルフィルムの製膜工程でフィルム表面にキズの発生が見られるようになり、こうしたフィルム表面のキズは当該表面に塗設したレジスト表面の欠陥となるし、また、後述する摩擦係数が本願発明の範囲である0.20〜0.39を超え、滑り性が悪くなり、ポリエステルフィルムをロール状に巻き取る際やレジスト塗布フィルムをロール状に巻き取る際にシワが発生するし、同時に高速で巻かれる際のフィルム随伴空気が抜け難く、ロールの端面ズレを生じさせ好ましくないものとなる。
【0009】
一方、ポリエステルフィルムの表面粗さRaが50nmを超えると、レジスト塗布時に塗布欠陥が生じたり、フィルム表面での光散乱が大となり紫外線の露光量が低下し解像度が劣ったりするようになる。また、表面形状転写により塗布したレジストの表面の粗さが大となり、解像度の高い用途では好ましくないものとなる。
上記のように一定の粗さを付与するために、フィルムまたはコート層に微粒子を添加することが好ましい。用いる微粒子としては、有機架橋高分子粒子、シリカ、アルミナ、カオリン、炭酸カルシウム、バリウム塩等の各粒子が挙げられる。これら粒子の中からレジスト露光に用いる紫外線の透過光量を極力低下させず、またレジスト塗布の際に欠陥起因となることのないような粒子種、粒径、添加量を選択して用いるが、中でも透明性等の特性から有機架橋高分子粒子、シリカ粒子が好ましい。
【0010】
本発明のフィルムのヘーズは、フィルム厚み換算25μmで、好ましくは5%以下、より好ましくは3%以下である。ヘーズが5%を超えると、紫外線の透過光量が低下し解像度の低下を引き起こしたり、フォトレジストの塗布抜け等の欠陥を確認しづらくなったりする傾向がある。
本発明のフィルムの厚さは50μm以下であることが好ましく、50μm以上になると紫外線の屈折が大きくなり、解像度が著しく低下するようになる。
本発明のフィルムにおいて、フィルム表面に塗設する塗布液としてフッ素を含有する重合体成分と架橋剤を用いることが必要である。
【0011】
フッ素含有する高分子成分としては、フッ化ビニル、フッ化ビニリデン、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、クロロトリフルオロエチレンなどを単量体とするフルオロオレフィン系共重合樹脂、ヒドロキシ基含有のフッ素樹脂共重合体と(メタ)アクリル酸エステル系化合物または他の単量体とをグラフト重合してなるフッ素系共重合樹脂、パーフルオロアルキル基を有するビニル重合体等が挙げられる。中でもフルオロオレフィン系共重合樹脂が好ましい。具体的にはクロロトリフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、テトラフルオロエチレンまたはフッ化ビニリデン等の含フッ素ビニル単量体類が約20〜約60モル%、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、シクロヘキサンカルボン酸ビニル等の各種のカルボン酸ビニルエステル類が30〜70モル%およびマレイン酸モノエステル、フマル酸モノエステルが5〜35モル%からなる共重合樹脂が具体的なものとして例示することができる。
【0012】
上記分子内にフッ素を含有する重合体は水分散体として塗布液とすることが好ましく、水分散体とする方法は例えばカルボキシル基の一部を塩基性化合物で以て中和した後、水性媒体中に分散する方法、アニオン型、カチオン型、両性型、非イオン型などの界面活性剤を乳化剤として水媒体中で乳化重合する方法等がある。分子中にフッ素を含有する重合体の水分散体は塗膜を形成させるために用いる塗布液に対して、通常20〜95重量%、好ましくは30〜90重量%配合して使用される。フッ素を含有する重合体が20重量%未満の場合には、支持フィルムのフォトレジストからの離型性が低下する傾向にある。
また、本発明においては、塗布層とフィルムとの接着性を向上させ、レジスト面への移行を防ぐため、および滑り性を良化するために架橋剤を混合して塗布することが必須である。架橋剤としては、メラミン系、アミド系、アクリルアミド系等の化合物、エポキシ化合物、ポリイソシアネート、ブロックポリイソシアネート、カルボジイミド化合物等が挙げられる。
【0013】
上記架橋剤は、当該架橋剤の由来成分が塗布層の乾燥固形分中5〜80重量%、好ましくは10〜70重量%となるように配合して使用される。架橋剤由来の成分が80重量%を超える場合には、支持フィルムからのフォトレジストの離型性が低下する傾向にあり、5重量%未満の場合には、塗布層の塗膜強度が低下する傾向がある。
本発明で用いる塗布液には、塗布性を向上させるために本発明の効果を損なわない範囲で、潤滑剤、帯電防止剤、消泡剤、粒子等を含有させてもよい。
塗布方法としては、例えば、原崎勇次著、(株)総合技術センター、1990年発行、「コーティング装置と操作技術入門」に示されるようなコーティング装置を使用することができる。
【0014】
本発明のフィルムの塗布層は、フィルム製膜中にコーティングを行うインラインコーティング、フィルムを製膜した後にコーティングを行うオフラインコーティングまたはこれら以外の方式により設けることができるが、インラインコーティングにより設けられることが好ましい。
インラインコーティングは、ポリエステルフィルム製造の工程内で塗布を行う方法であり、具体的には、ポリエステルを溶融押出ししてから二軸延伸後熱固定して巻き上げるまでの任意の段階で塗布を行う方法である。通常は、溶融・急冷して得られる実質的に非晶状態の未延伸シート、その後に長手方向(縦方向)に延伸された一軸延伸フィルム、熱固定前の二軸延伸フィルムの何れかに塗布する。これらの中では、一軸延伸フィルムに塗布した後に横方向に延伸する方法が優れている。かかる方法によれば、製膜と塗布層乾燥を同時に行うことができるため、製造コスト上のメリットがあり、塗布後に延伸を行うために薄膜塗布が容易であり、塗布後に施される熱処理が他の方法では達成されない高温であるためにコート層とポリエステルフィルムが強固に密着する。
【0015】
本発明フィルムの塗布層の厚みは通常0.01〜1.0μm、好ましくは0.05〜0.5μmの範囲である。塗布厚みが0.01μm未満となると、塗布膜の均一性が悪くなり、離型性にバラツキが生じるようになるおそれがある。逆に塗布層厚みが1.0μmを超えると、ポリエステルフィルムとの界面で剥離が生ずるようになることがある。
【0016】
【実施例】
以下、実施例によって本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。本発明におけるフィルムの評価方法は以下に示すとおりである。
【0017】
(1)摩擦係数
ASTM−D1894に準じて、ポリエステルフィルム塗設面と反対面の静止摩擦係数を測定した。測定値は測定3回の平均値をもって表した。
【0018】
(2)フィルムヘイズ
JIS−7105に準じ、日本電色工業社製積分球式濁度計NDH−20Dによりフィルムのヘーズを測定し、数値をフィルム厚み25μmに基準化した。
【0019】
(3)表面粗さ(Ra)
中心線平均粗さRa(μm)をもって表面粗さとした。(株)小坂研究所社製表面粗さ測定器(SE−3F)を用いて次のようにして求めた。すなわち、フィルム断面曲線からその中心線の方向に基準長さL(2.5mm)の部分を抜き取り、この抜き取り部分の中心線をx軸、縦倍率の方向をy軸として粗さ曲線 y=f(x)で表した時、次の式で与えられた値を〔μm〕で表す。中心線平均粗さは、試料フィルム表面から10本の断面曲線を求め、これらの断面曲線から求めた抜き取り部分の中心線平均粗さの平均値で表した。なお、触針の先端半径は2μm、荷重は30mgとし、カットオフ値は0.08mmとした。
Ra=(1/L)∫0 L|f(x)|dx
【0020】
(4)レジストとの離型性
ポリエステルフィルムの片面に本発明の塗布液をインラインコートした塗膜面上に下記組成のフォトレジストを塗布、乾燥して60μm厚みのフォトレジスト層を形成させ、当該フォトレジスト層上に厚み40μmのポリエチレンフィルムを保護層として乗せた後、加圧しドライフォトレジストフィルムを得た。次に、保護層を剥離し、フォトレジスト層上に銅箔をラミネーターで熱圧着した。ポリエステルフィルム塗布層とフォトレジスト層との界面剥離力をJIS−K−6854に準じて(180°剥離)測定した。
【0021】
(フォトレジストの組成)
熱可塑性重合体(メタクリル酸/スチレン/メチルアクリレート/メチルメタクリレート=50/20/50/80の共重合体):60重量部
架橋性単量体(ポリプロピレングリコールジアクリレート):30重量部
架橋性単量体(プロピレングリコールジグリシジルエーテルジアクリレート):5重量部
架橋性単量体(トリメチロールプロパントリアクリレート):5重量部
光重合開始剤(ベンゾフェノン):5重量部
光重合開始剤(ミヒラーズケトン):0.2重量部
密着促進剤(5−アミノテトラゾール):0.3重量部
溶剤(メチルメチルケトン):50重量部
溶剤(イソプロピルアルコール):100重量部
【0022】
(判定基準)
○:剥離力が600g/cm以下で、離型が非常にスムーズであり、レジスト表面に傷を与えないもの
△:接着力が600g/cm以上で、カクカクと剥離するもののレジスト表面に傷を与えるほどではないもの
×:剥離がスムーズでなく、レジスト表面に傷を与えるもの
【0023】
(5)レジスト表面性
上記(4)のレジストとの離型性評価にて剥離したレジスト表面状態を目視観察し、下記の判定基準で評価した。
○:表面は光沢があり、傷やスジも無い状態である
△:若干表面がスジが見られる
×:表面は光沢が無く荒れた状態である
【0024】
(6)総合評価
以上の評価項目から、ドライフォトレジストフィルムとしての性能を5段階で評価した。ドライフォトレジスト支持体用フィルムとしては、総合評価「5」のものが最も優れており、総合評価「1」ものが最も劣っている。総合評価「4」以上のものがドライフォトレジスト用支持フィルムとして使用し得るものである。
【0025】
実施例1
平均粒径2μmの非晶質シリカを300ppm含有する、固有粘度0.65のポリエチレンテレフタレートのチップを180℃で3時間乾燥した後、押出し機にて295℃で溶融押出し、冷却したキャスティングドラム上にシート状に固化させて無配向シートを得た。次いで、90℃にて縦方向に3.6倍延伸した後、下記に記載のフッ素を含有する重合体の水分散体と架橋剤の水分散体が混合された塗布液をコーティングし、テンター内で予熱工程を経て90℃で4倍横延伸、230℃で10秒間の熱処理を行い、厚さ25μmのポリエステルフィルムを得た。得られたフィルムの塗布面にフォトレジストを塗布乾燥し、評価を行った。
(塗布液成分の内容)
フッ素含有重合体:下記表1中に離型成分「重合体A」で示した。
クロロトリフルオロエチレン/プロピオン酸ビニル/脂肪酸ビニルエステル/マレイン酸モノブチル=40/47/3/10モル%からなるカルボキシル基含有フッ素共重合体:80重量%
アルキロールメラミン:20重量%
下記表1の結果に示すとおり、本発明によるドライフォトレジストフィルムはレジスト塗布時の欠陥もなく、レジストからの離型性が良好である上、UV照射後の解像度および剥離レジスト表面の平坦性も良く、いずれの評価項目についても優れていた。
【0026】
実施例2
塗布液の架橋剤成分の配合比を70重量%に変更したこと以外は実施例1と全く同様にして、フィルムを得た。得られたフィルムは架橋剤成分が多いことにより、ポリエステルフィルムの密着性が高まり、また塗膜表面の硬さ増加することにより、摩擦係数は低く工程適正に優れ、またレジスト塗布工程設備への汚染もなく良好なものであった。
【0027】
実施例3
実施例1で用いたポリエチレンテレフタレートに含有する平均粒径2μmの非晶質シリカを200ppmとし、塗布液中の架橋剤成分の配合比を7重量%とする以外は実施例1と全く同じ条件で製膜した。得られたフィルムのフィルム特性、レジスト特性を表1に示した。
【0028】
実施例4
実施例1で用いたポリエチレンテレフタレートに含有する粒子を平均粒径0.3μmの非晶質シリカを1000ppmとし、塗布液中の離型剤成分を下記に変更する以外は実施例1と全く同じ条件で製膜した。得られたフィルムのフィルム特性、レジスト特性を表1に示した。
フッ素含有重合体:表1中に離型成分「重合体B」で示した。
ヘキサフルオロプロピレン/酢酸ビニル/脂肪酸ビニルエステル/フマル酸モノエチル=30/40/12/18モル%からなるカルボキシル基含有フッ素共重合体
【0029】
比較例1
実施例1で用いたポリエチレンテレフタレートに含有する粒子を平均粒径0.3μmの非晶質シリカを1500ppmとし、塗布液中の架橋剤成分を配合しない以外は実施例1と全く同じ条件で製膜した。得られたフィルムのフィルム特性、レジスト特性を表1に示した。架橋剤成分を配合しない為、摩擦係数が大となり、また離型性も劣る様になり剥離したレジスト表面も若干荒れた表面になった。
【0030】
比較例2
実施例1で用いたポリエチレンテレフタレートに含有する平均粒径2μmの非晶質シリカを5000ppmとし、塗布液中の架橋剤成分の配合比を40重量%とする以外は実施例1と全く同じ条件で製膜した。得られたフィルムのフィルム特性、レジスト特性を表1に示した。該フィルムは表面粗さが本発明範囲を越え、フィルム表面での光散乱が大となり紫外線の露光量が低下し解像度が劣り、また表面形状転写により剥離したレジストの表面の粗さが大となりドライフォトレジスト用フィルムとしては好ましくないものであった。
【0031】
比較例3
実施例1で用いた塗布液中の離型剤成分を下記に変更する以外は実施例1と全く同じ条件で製膜した。得られたフィルムのフィルム特性、レジスト特性を表1に示した。該重合体成分にはフッ素は含有しない為、レジストとの離型性が劣り、剥離後のレジスト表面はキズや凹凸が多く、表面性状は極めて悪いものであった。
重合体:表1中に離型成分「重合体C」で示した。
ジクロロエチレン/酢酸ビニル/脂肪酸ビニルエステル/フマル酸モノエチル=30/40/12/18モル%からなる共重合体(フッ素を含有しない重合体成分)
【0032】
比較例4
実施例1において粒子を全く含有しないポリエチレンテレフタレートを用いた以外は実施例1と全く同じ条件で製膜した。得られたフィルムは表面キズが多く、またロール巻き取り時の端面のズレやシワが発生しロールフォーメーションが極めて悪い状態であった。また該フィルムを支持体としたレジスト特性の結果でも、UV照射で回路パターン印刷した時、フィルム表面キズが回路欠陥となりドライフォトレジスト用フィルムとしては好ましくないものであった。
比較例5
実施例1で用いたポリエチレンテレフタレートに含有する平均粒径2μmの非晶質シリカを3000ppmとし、塗布液中の塗布液中の離型剤成分を下記に変更する以外は実施例1と全く同じ条件で製膜した。得られたフィルムのフィルム特性、レジスト特性を表1に示した。該フィルムは摩擦係数が本発明の範囲を下回り、フィルムを巻き取る際に巻きズレが生じ好ましくない。さらにレジスト塗布の際にハジキや塗布欠陥が生ずるなど塗布性に劣るものであった。
フッ素含有重合体:表1中に離型成分「重合体D」で示した。
ヘキサフルオロプロピレン/酢酸ビニル/脂肪酸ビニルエステル/フマル酸モノエチル=55/25/10/10モル%からなるカルボキシル基含有フッ素共重合体
【0033】
【0034】
【発明の効果】
本発明によれば、レジスト塗布時の欠陥がなく、適度な滑り性でレジスト塗布工程適正にも優れ、レジスト解像性やレジストとの離型性に優れたフォトレジスト支持体を提供することができ、その工業的価値は高い。
Claims (3)
- ポリエステルフィルムの少なくとも片面に、分子内にフッ素を含有する重合体成分および架橋剤由来の成分を含有する塗布層を有するフィルムであって、前記架橋剤由来の成分の塗布層乾燥固形分中の割合が5〜80重量%であり、塗布層表面の粗さ(Ra)が5〜50nm、摩擦係数が0.20〜0.39であることを特徴とするドライフォトレジスト用フィルム。
- 塗布層が水分散状態の塗布液をフィルム製膜工程中で塗設することにより形成されたものであることを特徴とする請求項1項記載のドライフォトレジスト用フィルム。
- フィルムヘーズ(厚さ25μm換算)が5.0以下であり、フィルム成分の80%以上がポリエチレンテレフタレートからなることを特徴とする請求項1項記載のドライフォトレジスト用フィルム。
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