JP2004053140A - 温度成層型蓄熱装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】建物地下に構成する従来の蓄熱槽では、a.連結型混合水槽では、蓄熱槽効率は65%程度と低く、多量の熱を蓄えるには不利である。b.単独槽として構成する一般的な温度成層型蓄熱槽は、低水位でなく、建物の躯体を特殊な構造としなければならないため、コストが増大してしまう。c.低水位温度成層型蓄熱槽では、各空間毎にディフューザーが必要であるため、コスト的に高くなってしまう。
【解決手段】本発明では、複数の区画された蓄熱槽1を列設し、それらの隔壁2に設けた連通部を介して連通させる構成において、列の端側の蓄熱槽内の上下位置に、水の吹出し及び吸込み方向を、隣接する蓄熱槽との隔壁側の横方向に向けた横長構成のディフューザー3を設置すると共に、夫々の隔壁には、ディフューザーの水の吹出し及び吸込み方向に対応する上下位置に横長構成の連通部4を設けた温度成層型蓄熱装置を提案する。
【選択図】   図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は温度成層型蓄熱装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
蓄熱槽は、一般的に建物地下のピット内に設置され、地中梁に囲まれたスパン毎に区画された空間に例えば水深1.5mの水を貯めて蓄熱に利用するものであり、混合型と温度成層型とがある。
【0003】
混合型の蓄熱槽の例としては、例えば図7、図8に示されるように、列接された複数の蓄熱槽aを連通部bで連通させて連結型混合水槽として構成することが多い。
【0004】
一方、一般的な温度成層型の蓄熱槽は、水深が5m以上で、列設された複数の蓄熱槽から構成するのではなく、単一の槽により構成されることが多い。
【0005】
また温度成層型の蓄熱槽の他の例として、例えば図9、図10に示されるように、列設された複数の水深の浅い蓄熱槽c毎に、ディフューザーd,eと称される水の分配器を上下に配置したものがあり、これらの上下のディフューザーd,eは、一方が水を横方向に吹出し、他方が水を吸込むようにして夫々の蓄熱槽c内の水に温度成層を形成するものである。尚、これらの複数の蓄熱槽cは、隣接した蓄熱槽との隔壁fである梁の中央に形成された人通孔gと下部の水抜き口(図示省略)により連結されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
以上のような従来の蓄熱槽では以下に示すような課題がある。
a.連結型混合水槽では、各蓄熱槽が混合型水槽として動作するため、蓄熱槽効率は65%程度と低く、多量の熱を蓄えるには不利である。
b.これに対して、温度成層型の蓄熱槽では80%程度の蓄熱槽効率を確保することができるが、単独槽として構成される温度成層型の蓄熱槽では、躯体を特殊な構造としなければならず、コストが増大してしまう。
c.一方、水深の浅い蓄熱槽に温度成層が形成されるようにディフューザーを配置した温度成層型の蓄熱槽においても、80%程度の蓄熱槽効率を確保することができるが、各空間毎にディフューザーが必要であるため、コスト的に高くなってしまう。
そこで、本発明はこのような課題を解決することを目的とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上述した課題を解決するために本発明では、複数の区画された蓄熱槽を列設し、それらの隔壁に設けた連通部を介して連通させる構成の温度成層型蓄熱装置において、列の端側の蓄熱槽内の上下位置に、水の吹出し及び吸込み方向を、隣接する蓄熱槽との隔壁側の横方向に向けた横長構成のディフューザーを設置すると共に、夫々の隔壁には、ディフューザーの水の吹出し及び吸込み方向に対応する上下位置に横長構成の連通部を設けた温度成層型蓄熱装置を提案する。
【0008】
また本発明では、上記の構成において、ディフューザーは、水の吹出し及び吸込み部を、複数の孔を横方向に配置して構成することを提案する。
【0009】
また本発明では、上記の構成において、ディフューザーは、水の吹出し及び吸込み部を、横長のスリットにより構成することを提案する。
【0010】
本発明において、蓄熱槽に例えば冷熱を蓄熱する場合には、冷却器により冷却された水を、列の端側の蓄熱槽に設けた下側のディフューザーから、隣接する蓄熱槽との隔壁方向に向かって幅広く横方向に吹き出すと共に、上側のディフューザーから蓄熱槽内の水を幅広く横方向から吸い込んで冷却器に還流させる。
【0011】
このようにディフューザーは横長構成としていることから、そこから水が幅広く吹き出されると共に、蓄熱槽内の水も、幅広の部分から吸い込まれるので、このディフューザーを配置している蓄熱槽内に水の密度差を利用した温度成層が良好に形成される。
【0012】
下側のディフューザーから幅広く横方向に吹き出された水は隔壁の下側に構成した連通部を通って、隣接した蓄熱槽内に流入し、またこの隣接した蓄熱槽内の上部の水が上側に構成した連通部を通ってディフューザーを配置した蓄熱槽内に流入するため、隣接した蓄熱槽内においても温度成層が良好に形成される。
【0013】
このようにして、列の端側の蓄熱槽に設けたディフューザーにより形成される水の流れが、順次隣接する複数の蓄熱槽内に伝わり、従ってこれらの複数の蓄熱槽内のいずれにおいても温度成層が良好に形成される。このため、列の端側の蓄熱槽以外にはディフューザーを設置する必要がなくなる。
【0014】
蓄熱槽に蓄熱された冷熱を利用する場合には、上記と逆に、端側の蓄熱槽内の下層の水を下側のディフューザーから幅広く吸い込んで冷熱の利用に供すると共に、冷熱の利用に供された水を上側のディフューザーから幅広く蓄熱槽内に吹き出すことにより、上述したと同様な動作により、ディフューザーを配置している蓄熱槽と、隣接している複数の蓄熱槽内に、上記と逆の水の流れが形成され、従って夫々の蓄熱槽内の温度成層を崩さずに冷水を利用することができる。
【0015】
蓄熱槽に温熱を蓄熱して利用する場合には、上記と逆の水の流れにより温度成層の形成と、その利用を計ることができる。
【0016】
ここで、ディフューザーは、水の吹出し及び吸込み部を、複数の孔を横方向に配置して構成したり、または水の吹出し及び吸込み部を、横長のスリットにより構成することができる。
【0017】
一方、隣接する蓄熱槽間の隔壁の上下位置に、夫々のディフューザーに対応させて設ける連通部も、複数の連通孔を横方向に配置して構成したり、また横長のスリットにより構成することができる。
【0018】
【発明の実施の形態】
次に本発明の実施の形態を添付図面を参照して説明する。
まず図1〜図5は本発明に係る温度成層型蓄熱装置の第1の実施の形態を示すもので、図1は建物の地下のピット内に設置した蓄熱槽の要部を示す縦断面図であり、図2は図1のA−A線断面図、図3は図1のB−B線断面図である。また図4は本発明の温度成層型蓄熱装置の構成要素であるディフューザーの斜視図、図5は図4のC−C線断面図である。
符号1a,1b,1c,1dは建物の地下に区画して構成された蓄熱槽、即ち、地中梁に囲まれて区画された蓄熱槽を示すもので、これらの蓄熱槽1a,1b,1c,1dは連なって隣接して列を構成している。
そして列の端側の蓄熱槽1a内の上下位置に、水の吹出し及び吸込み方向を、隣接する蓄熱槽1bとの隔壁2a側の横方向に向けた横長構成のディフューザー3u,3dを設置する。また夫々の隔壁2a,2b,2cには、ディフューザー3u,3dの、水の吹出し及び吸込み方向に対応する上下位置に横長構成の連通部4u,4dを設ける。
【0019】
この実施の形態では、ディフューザー3u,3dは、水の吹出し及び吸込み部を、複数の孔5を横方向に配置して構成している。また隔壁2の連通部4u,4dも横方向に配置した複数の連通孔により構成している。
【0020】
以上の構成において、蓄熱槽1a,1b,1c,1dに例えば冷熱を蓄熱する場合には、冷却器により冷却された水を、水往き経路6dを経て列の端側の蓄熱槽1aに設けた下側のディフューザー3dから、隣接する蓄熱槽1bとの隔壁2a方向に向かって、幅広く横方向に吹き出すと共に、上側のディフューザー3uから蓄熱槽1a内の水を幅広く横方向から吸い込んで還り経路6uを経て冷却器に還流させる。
【0021】
ディフューザー3u,3dは横長構成としていることから、そこから水が幅広く吹き出されると共に、蓄熱槽1a内の水も、幅広の部分から吸い込まれるので、このディフューザー3u,3dを配置している蓄熱槽1a内に水の密度差を利用した温度成層が良好に形成される。
【0022】
下側のディフューザー3dから幅広く横方向に吹き出された水は隔壁2aの下側に構成した連通部4dを通って、隣接した蓄熱槽1b内に流入し、またこの隣接した蓄熱槽1b内の上部の水が上側に構成した連通部4uを通って蓄熱槽1a内に流入するため、ディフューザー3u,3dを配置している蓄熱槽1aに隣接した蓄熱槽1b内においても温度成層が良好に形成される。
【0023】
このようにして、列の端側の蓄熱槽1aに設けたディフューザー3u,3dにより形成される水の流れが、順次、隣接する複数の蓄熱槽1b,1c,1d内に伝わり、従ってこれらの複数の蓄熱槽1b,1c,1d内のいずれにおいても温度成層が良好に形成される。このため、列の端側の蓄熱槽1a以外にはディフューザー3u,3dを設置する必要がなくなる。
【0024】
以上とは逆に、蓄熱槽1a,1b,1c,1dに蓄熱された冷熱を利用する場合には、上記と逆に、端側の蓄熱槽1a内の下層の水を下側のディフューザー3dから幅広く吸い込んで還り経路6dを経て冷熱の利用に供すると共に、冷熱の利用に供された水を往き経路6uを経て上側のディフューザー3uから幅広く蓄熱槽1a内に吹き出すことにより、上述したと同様な動作により、ディフューザーを配置している蓄熱槽1aと、隣接している複数の蓄熱槽1b,1c,1d内に、上記と逆の水の流れが形成され、従って夫々の蓄熱槽1a,1b,1c,1d内の温度成層を崩さずに冷水を利用することができる。
【0025】
蓄熱槽1a,1b,1c,1dに温熱を蓄熱して利用する場合には、上記と逆の水の流れにより温度成層の形成と、その利用を計ることができる。
【0026】
次に図6は本発明の温度成層型蓄熱装置の構成要素であるディフューザーの他の実施の形態を示す斜視図である。
この実施の形態では、ディフューザー3d,3uは、水の吹出し及び吸込み部を、横長のスリット7により構成している。
【0027】
上述したとおり、隣接する蓄熱槽1a,1b,1c,1d間の隔壁2a,2b,2cに、夫々のディフューザー3d,3uの水の吹出し及び吸込み方向に対応する上下位置に設ける連通部も、上述したとおり、複数の連通孔を横方向に配置して構成する他、横長のスリットにより構成することができる。
【0028】
【発明の効果】
本発明は以上のとおりであるので、次のような効果がある。
a.建物地下の水深の浅い空間において低水位でありながら良好に温度成層を形成するようにしたので、連結型混合水槽と比較して蓄熱槽効率を高くすることができ、従って蓄熱容量を大きくすることができる。
b.単独槽として構成される一般的な温度成層型の蓄熱槽のように躯体を特殊な構造とする必要がないので、コストが増大しない。
c.水深の浅い空間に温度成層が形成されるようにディフューザーを配置した従来の低水位温度成層型蓄熱槽のように、各空間毎にディフューザーを配置する必要がなくなるので、コストを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る温度成層型蓄熱槽の実施の形態を示す要部の縦断面図である。
【図2】図1のA−A線断面図である。
【図3】図1のB−B線断面図である。
【図4】本発明の構成要素であるディフューザーの一例を示す斜視図である。
【図5】図4のC−C線縦断面図である。
【図6】本発明の構成要素であるディフューザーの他の例を示す斜視図である。
【図7】従来の連結型混合水槽の一例を示す縦断面図である。
【図8】図7のD−D線断面図である。
【図9】従来の低水位温度成層型蓄熱槽の一例を示す縦断面図である。
【図10】図9のE−E線断面図である。
【符号の説明】
1a,1b,1c,1d   蓄熱槽
2a,2b,2c      隔壁
3u,3d         ディフューザー
4u,4d         連通部
5             孔
6u,6d         水の経路

Claims (3)

  1. 複数の区画された蓄熱槽を列設し、それらの隔壁に設けた連通部を介して連通させる構成の温度成層型蓄熱装置において、列の端側の蓄熱槽内の上下位置に、水の吹出し及び吸込み方向を、隣接する蓄熱槽との隔壁側の横方向に向けた横長構成のディフューザーを設置すると共に、夫々の隔壁には、ディフューザーの水の吹出し及び吸込み方向に対応する上下位置に横長構成の連通部を設けたことを特徴とする温度成層型蓄熱装置
  2. ディフューザーは、水の吹出し及び吸込み部を、複数の孔を横方向に配置して構成したことを特徴とする請求項1に記載の温度成層型蓄熱装置
  3. ディフューザーは、水の吹出し及び吸込み部を、横長のスリットにより構成したことを特徴とする請求項1に記載の温度成層型蓄熱装置
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