JP2004052066A - R−Fe−B系磁石およびその製造方法 - Google Patents

R−Fe−B系磁石およびその製造方法 Download PDF

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入山 恭彦
Norio Yoshikawa
吉川 紀夫
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森田 嘉之
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Abstract

【課題】磁気特性に優れ且つ電気抵抗率の高いR−Fe−B系磁石およびその製造方法を提供する。
【解決手段】溶解工程P1において希土類元素、鉄、およびホウ素を含む原料12に0.5重量%以上3.0重量%以下のケイ素を添加して溶解させ、超急冷工程P2において急冷することにより原料片16を形成し、その原料片16をホットプレス工程P4において加熱し且つ加圧することで、たとえば2.0×10−6Ωm以上の電気抵抗率と28MGOe以上の最大エネルギ積とを何ら弊害を発生させることなく共に示す異方性R−Fe−B系磁石10を製造することができる。また、ホットプレス工程P4に先立って、超急冷工程P2において形成された原料片16あるいは粉砕された原料粉末にケイ素粉を添加しても、同じように磁気特性に優れ且つ電気抵抗率の高いR−Fe−B系磁石10の製造方法を提供することができる。
【選択図】 図2

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、たとえば各種電動モータに組み込まれるなどして使用されるR−Fe−B系磁石およびその製造方法の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、原動機として電動モータを備えた所謂ハイブリッド自動車が実用化され、工業的に量産されるに至った。かかる自動車のEV/HEV化に伴い、たとえば電動パワーステアリング、ブレーキモータ、電動サスペンションなどに用いられる高トルクおよび高効率を備えた高性能モータへの需要が高まってきた。そのような高性能モータには、他の原料から成る磁石に比べて最大エネルギ積が高いR−Fe−B系希土類磁石すなわち希土類元素(R)、鉄(Fe)、およびホウ素(B)を含む磁石合金から成る永久磁石が多用されている。たとえば、特開平11−329810号公報の明細書などに記載された磁石合金およびそれを用いた異方性磁石がそれであり、その明細書における発明の詳細な説明などに開示されているように、原料として用いられる希土類元素、鉄属遷移金属、およびホウ素などの質量比を所定の値に定めることで優れた磁気特性を示すR−Fe−B系磁石が製造できる。
【0003】
上述の高性能モータには、省エネルギ化の観点から高効率化すなわち低損失化が求められる。図6は、一般的なSPM型モータ(円筒状の磁石から構成されたロータを備えた電動モータ)およびIPM型モータ(板状の磁石が複数枚埋め込まれて構成されたロータを備えた電動モータ)の損失の一例を示すグラフである。電動モータの損失は大別して鉄損と銅損に分類される。そのうち鉄損は、ヨークとして使用される軟磁性材料およびロータなどとして使用される磁石によるものであり、中でも電動モータの使用に際してそれら磁性材料が渦電流発熱を発生させることに起因する界磁磁石鉄損は、図4に示すように、SPM型モータおよびIPM型モータ共に損失全体の二割以上を占める無視できない損失である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明者等は、R−Fe−B系磁石の組み込まれた電動モータの損失を低減すべく鋭意研究を続ける中、そのR−Fe−B系磁石の電気抵抗率を高めることにより上記界磁磁石鉄損を抑制する技術の開発を目指してきた。すなわち、一般に渦電流発熱による損失の程度は、概ね磁石の電気抵抗率に反比例するとされており、その電気抵抗率を高めることで上記界磁磁石鉄損の抑制が期待できるのである。
【0005】
しかし、所望される磁気特性を保ちつつ磁石の電気抵抗率を高めることは、原料の質量比を変更するなど通常の手段では実現できなかった。そこで、R−Fe−B系磁石の電気抵抗率を高める為、絶縁体である各種の酸化物を原料に添加する試みが過去に為されているが、添加された酸化物により磁石の残留磁束密度および保磁力が低下し、延いては十分な最大エネルギ積が得られなくなるなどの弊害を新たに発生させるものであり実用に耐えなかった。すなわち、磁気特性に優れ且つ電気抵抗率の高いR−Fe−B系磁石は未だ開発されていないのが現状である。
【0006】
本発明は、以上の事情を背景として為されたものであり、その目的とするところは、磁気特性に優れ且つ電気抵抗率の高いR−Fe−B系磁石およびその製造方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための第1の手段】
かかる目的を達成する為に、本第1発明の要旨とするところは、希土類元素、鉄、およびホウ素を含む異方性R−Fe−B系磁石であって、ケイ素を0.5重量%以上3.0重量%以下の割合で含むことを特徴とするものである。
【0008】
【第1発明の効果】
このようにすれば、前記R−Fe−B系磁石が希土類元素、鉄、およびホウ素に加えて、ケイ素を0.5重量%以上3.0重量%以下の割合で含んでいることから、たとえば2.0×10−6Ωm以上の電気抵抗率と28MGOe以上の最大エネルギ積とを何ら弊害を発生させることなく共に示す。すなわち、磁気特性に優れ且つ電気抵抗率の高いR−Fe−B系磁石を提供することができる。
【0009】
【課題を解決するための第2の手段】
また、前記目的を達成する為に、本第2発明の要旨とするところは、希土類元素、鉄、およびホウ素を含む原料を溶解させる溶解工程と、その溶解工程において溶解させられたその原料を急冷することにより原料片を形成する超急冷工程と、その超急冷工程において形成されたその原料片を加熱し且つ加圧するホットプレス工程とを含む異方性R−Fe−B系磁石の製造方法であって、前記溶解工程において前記原料に0.5重量%以上3.0重量%以下のケイ素を添加することを特徴とするものである。
【0010】
【第2発明の効果】
このようにすれば、前記溶解工程において希土類元素、鉄、およびホウ素を含む原料に0.5重量%以上3.0重量%以下のケイ素を添加して溶解させ、その溶解工程において溶解させられたその原料を前記超急冷工程において急冷することにより原料片を形成し、その超急冷工程において形成されたその原料片を前記ホットプレス工程において加熱し且つ加圧することで、たとえば2.0×10−6Ωm以上の電気抵抗率と28MGOe以上の最大エネルギ積とを何ら弊害を発生させることなく共に示す異方性R−Fe−B系磁石を製造することができる。すなわち、磁気特性に優れ且つ電気抵抗率の高いR−Fe−B系磁石の製造方法を提供することができる。
【0011】
【課題を解決するための第3の手段】
また、前記課題を解決する為に、本第3発明の要旨とするところは、希土類元素、鉄、およびホウ素を含む原料を溶解させる溶解工程と、その溶解工程において溶解させられたその原料を急冷することにより原料片を形成する超急冷工程と、その超急冷工程において形成されたその原料片を加熱し且つ加圧するホットプレス工程とを含む異方性R−Fe−B系磁石の製造方法であって、前記ホットプレス工程に先立って、前記超急冷工程において形成された原料片に0.5重量%以上3.0重量%以下のケイ素を添加して混合することを特徴とするものである。
【0012】
【第3発明の効果】
このようにすれば、前記溶解工程において希土類元素、鉄、およびホウ素を含む原料を溶解させ、その溶解工程において溶解させられたその原料を前記超急冷工程において急冷することにより原料片を形成し、その超急冷工程において形成されたその原料片に0.5重量%以上3.0重量%以下のケイ素を添加して混合した後に前記ホットプレス工程において加熱し且つ加圧することで、たとえば2.0×10−6Ωm以上の電気抵抗率と28MGOe以上の最大エネルギ積とを何ら弊害を発生させることなく共に示す異方性R−Fe−B系磁石を製造することができる。すなわち、磁気特性に優れ且つ電気抵抗率の高いR−Fe−B系磁石の製造方法を提供することができる。
【0013】
【実施例】
以下、本発明の好適な実施例を図面に基づいて詳細に説明する。
【0014】
図1は、本発明の一実施例である異方性R−Fe−B系磁石(以下、単に磁石と称する)10を示す斜視図である。この図に示すように、かかる磁石10は、たとえば外径10〜80mmφ×肉厚t1〜14mm×高さ1〜300mm程度の寸法を備えて円筒状に形成されたものであり、たとえば各種電動モータにおけるロータの構成要素などとして好適に用いられる。上記磁石10の着磁形態はその磁石10が組み込まれる製品に応じて適宜定められ、たとえばサーボモータ、スピンドルモータ、発電機、カップリング、あるいはボイスコイルモータなどでは周方向にS極およびN極が交互に設けられた内外周多極着磁(multi−pole on OD and ID)、サーボモータあるいはパワーステアリング用モータなどでは周方向にS極およびN極が交互に設けられ且つそれらの境界線が軸心と非平行であるスキュー着磁(skewed magnetization)、リニアアクチュエータ、冷凍機、磁気軸受、あるいはスピーカなどでは内外周にS極およびN極が設けられた内外周単極着磁(uni−pole on OD and ID)などとされる。
【0015】
上記磁石10は、ネオジム(Nd)をはじめとする希土類元素(R)、鉄(Fe)、ホウ素(B)、およびケイ素(Si)を含む合金から成るものであり、たとえば希土類元素を27重量%以上33重量%以下、鉄を65.8重量%以上72.2重量%以下、ホウ素を0.8重量%以上1.2重量%以下、ケイ素を0.5重量%以上3.0重量%以下の割合で含むものである。ここで、鉄に対し、50重量%以下の割合でコバルト(Co)を添加する場合もある。磁石合金内においてケイ素は、R−rich相に多く存在しているものと考えられる。かかる組成から成る上記磁石10は、磁気特性として、たとえば28MGOe以上35MGOe以下の最大エネルギ積(BH)maxと、10.7kG以上12.6kG以下の残留磁束密度Brと、10kOe以上25kOe以下の保磁力iHcとを備え、電気特性として、2.0×10−6Ωm以上1.0×10−5Ωm以下の電気抵抗率ρを備えたものである。
【0016】
従来の一般的な希土類磁石であるNd−Fe−B系磁石の電気抵抗率は通常1.0×10−6Ωm以上1.5×10−6Ωm以下程度であり、本実施例の磁石10はそれに比べて高い電気抵抗率を備えているが、これはケイ素を0.5重量%以上3.0重量%以下の割合で含むことに起因するものであり、しかも上述のように、各種電動モータなどに用いられるのに十分な磁気特性をも兼ね備えているのである。また、より好適には、前記磁石10のケイ素含有割合は1.0重量%以上2.0重量%未満であり、そのようにすれば、3.0×10−6Ωm以上の電気抵抗率と30MGOe以上の最大エネルギ積とを何ら弊害を発生させることなく共に示す磁石10が得られる。なお、前記磁石10のケイ素含有割合が0.5重量%よりも低い組成では電気抵抗率が2.0×10−6Ωm未満となり、3.0重量%よりも高い組成では最大エネルギ積が28MGOe未満となる。
【0017】
以下、前記磁石10の製造工程の一例について説明する。図2は、前記磁石10の製造工程の一例を説明する工程図であり、図3は、その要部を説明する概略断面図である。これらの図に示すように、前記磁石10の製造に際しては、先ず、溶解工程P1において、希土類元素、鉄、ホウ素、およびケイ素を前記割合で含む原料12が溶解させられる。その溶解工程P1において溶解させられたその原料12は、続く超急冷工程P2においてたとえば20℃程度に冷却された状態で軸心まわりに回転させられているホイール14の外周面に供給されることにより急冷され、最大幅200μm×厚さt35μm程度の寸法を備えた多数の原料片16として形成される。図3の(a)はこの状態を示す。
【0018】
上記超急冷工程P2において形成された上記原料片16は、適宜粉砕されて平均粒径150μmφ程度の原料粉末とされた後、続く冷間プレス工程P3において所定の金型18に充填されて室温程度の温度雰囲気にて加圧されることにより、たとえば円柱状のグリーン成形体20として形成される。図3の(b)はこの状態を示す。その冷間プレス工程P3において形成されたそのグリーン成形体20は、続くホットプレス工程P4において所定の金型22に入れられて800℃程度の温度に加熱されて高密度化される。図3の(c)はこの状態を示す。なお、上記溶解工程P1において原料12にケイ素が溶解させられず、上記ホットプレス工程P4に先立って、上記超急冷工程P2において形成された原料片16あるいは粉砕された原料粉末に平均粒径100μmφ程度のケイ素粉末が添加されて混合されるものであってもよい。さらには、上記溶解工程P1において原料12にケイ素が溶解させられると共に、上記ホットプレス工程P4に先立って、上述のケイ素粉末が添加されて混合されるものであっても構わない。何れの工程において原料にケイ素が添加される場合であっても、その添加量は製造される前記磁石10が前述の組成比とされるように予め定められる。
【0019】
上記ホットプレス工程P4において高密度化された合金24は、続く熱間押出工程P5において所定の金型26に入れられて800℃程度の温度に加熱され且つ押し出されることにより合金のNS方向がその圧力方向に揃えられた状態でたとえば円筒状の成形体28として形成される。図3の(d)はこの状態を示す。その熱間押出工程P5において形成されたその成形体28は、図3の(e)に示すように、続く切断加工工程P6において所定の形状に切断および加工された後、所定の形態で着磁されることにより永久磁石とされる。以上のようにして、前記磁石10が製造される。
【0020】
[実験例1]
以下、本発明の効果を検証する為に本発明者等がおこなった第1試験について説明する。本第1試験においては、前記溶解工程P1において前記原料12に様々な割合でケイ素が添加されたR−Fe−B系磁石である試料1〜7を作製し、それぞれの磁気・電気特性を調べた。先ず、ネオジムを31重量%、鉄を68.1重量%、ホウ素を0.9重量%の割合で含む母組成に対し、試料1〜7でそれぞれ異なる割合のケイ素を添加した原料を溶解させ、25m/s程度の周速で回転する銅ホイールを用いた液体急冷法により原料フレークを作製した。次に、その原料フレークを粉砕し、平均粒径150μmφ程度の原料粉末を得た。続いて、その原料粉末を室温で冷間プレスすることにより外径18mmφ×高さ30mm程度のグリーン成形体を形成した後、そのグリーン成形体を800℃程度にてホットプレスすることにより外径18mmφ×高さ16mm程度の合金を形成した。さらに続いて、その合金を800℃程度にて熱間押し出し加工することにより外径18mmφ×内径14mmφ×高さ35mm程度の円筒状に形成した後、所定の形態に着磁することによりラジアル異方性磁石を作製した。そのようにして作製された試料1〜7の残留磁束密度Br、固有保磁力iHc、および最大エネルギ積(BH)maxをBHトレーサで測定し、電気抵抗率ρを四端子法で測定した。
【0021】
本第1試験の結果を図4の表に示す。この表に示すように、ケイ素を0.5重量%以上3.0重量%以下の割合で含む試料3、試料4、試料5、および試料6では、2.0×10−6Ωm以上の電気抵抗率と28MGOe以上の最大エネルギ積とを共に示し、残留磁束密度および固有保磁力に関しても工業機器用磁石として実用に足る数値範囲内であることがわかる。一方、ケイ素含有割合が0.5重量%よりも低い試料1および試料2では電気抵抗率が2.0×10−6Ωm未満となり、3.0重量%よりも高い試料7では最大エネルギ積が28MGOe未満となっていることがわかる。すなわち、本第1試験の結果から、前記溶解工程P1において前記原料12に0.5重量%以上3.0重量%以下の割合のケイ素を添加することで、磁気特性に優れ且つ電気抵抗率の高いR−Fe−B系磁石を提供できることが確認された。
【0022】
[実験例2]
次に、本発明の効果を検証する為に本発明者等がおこなった第2試験について説明する。本第2試験においては、前記ホットプレス工程P4に先立って、前記超急冷工程P2において形成された原料片16が粉砕された原料粉末に様々な割合でケイ素粉末が添加されたR−Fe−B系磁石である試料8〜14を作製し、それぞれの磁気・電気特性を調べた。先ず、ネオジムを31重量%、鉄を68.1重量%、ホウ素を0.9重量%の割合で含む原料を溶解させ、25m/s程度の周速で回転する銅ホイールを用いた液体急冷法により原料フレークを作製した。次に、その原料フレークを粉砕し、平均粒径150μmφ程度の原料粉末を得た。続いて、その原料粉末に対し、平均粒径100μmφ程度のSi−Nd合金(重量比1:1)粉末を試料1〜14でそれぞれ異なる割合で添加して混合した後、室温で冷間プレスすることにより外径18mmφ×高さ30mm程度のグリーン成形体を形成した。さらに続いて、そのグリーン成形体を800℃程度にてホットプレスすることにより外径18mmφ×高さ16mm程度の合金を形成し、その合金を800℃程度にて熱間押し出し加工することにより外径18mmφ×内径14mmφ×高さ35mm程度の円筒状に形成した後、所定の形態に着磁することによりラジアル異方性磁石を作製した。そのようにして作製された試料8〜14の残留磁束密度Br、固有保磁力iHc、および最大エネルギ積(BH)maxをBHトレーサで測定し、電気抵抗率ρを四端子法で測定した。
【0023】
本第2試験の結果を図5の表に示す。この表に示すように、ケイ素を0.5重量%以上3.0重量%以下の割合で含む試料10、試料11、試料12、および試料13では、2.0×10−6Ωm以上の電気抵抗率と28MGOe以上の最大エネルギ積とを共に示し、残留磁束密度および固有保磁力に関しても工業機器用磁石として実用に足る数値範囲内であることがわかる。一方、ケイ素含有割合が0.5重量%よりも低い試料8および試料9では電気抵抗率が2.0×10−6Ωm未満となり、3.0重量%よりも高い試料14では最大エネルギ積が28MGOe未満となっていることがわかる。すなわち、本第2試験の結果から、前記ホットプレス工程P4に先立って、前記超急冷工程P2において形成された原料片16が粉砕された原料粉末に0.5重量%以上3.0重量%以下の割合のケイ素を添加して混合することで、磁気特性に優れ且つ電気抵抗率の高いR−Fe−B系磁石を提供できることが確認された。
【0024】
このように、本実施例によれば、前記磁石10が希土類元素、鉄、およびホウ素に加えて、ケイ素を0.5重量%以上3.0重量%以下の割合で含んでいることから、たとえば2.0×10−6Ωm以上の電気抵抗率ρと28MGOe以上の最大エネルギ積(BH)maxとを何ら弊害を発生させることなく共に示す。すなわち、磁気特性に優れ且つ電気抵抗率の高いR−Fe−B系磁石10を提供することができる。
【0025】
また、前記溶解工程P1において希土類元素、鉄、およびホウ素を含む原料12に0.5重量%以上3.0重量%以下のケイ素を添加して溶解させ、その溶解工程P1において溶解させられたその原料12を前記超急冷工程P2において急冷することにより原料片16を形成し、その超急冷工程P2において形成されたその原料片16を前記ホットプレス工程P4において加熱し且つ加圧することで、たとえば2.0×10−6Ωm以上の電気抵抗率ρと28MGOe以上の最大エネルギ積(BH)maxとを何ら弊害を発生させることなく共に示す前記磁石10を製造することができる。すなわち、磁気特性に優れ且つ電気抵抗率の高いR−Fe−B系磁石10の製造方法を提供することができる。
【0026】
また、前記溶解工程P1において希土類元素、鉄、およびホウ素を含む原料12を溶解させ、その溶解工程P1において溶解させられたその原料12を前記超急冷工程P2において急冷することにより原料片16を形成し、その超急冷工程P2において形成されたその原料片16に0.5重量%以上3.0重量%以下のケイ素を添加して混合した後に前記ホットプレス工程P4において加熱し且つ加圧することで、たとえば2.0×10−6Ωm以上の電気抵抗率ρと28MGOe以上の最大エネルギ積(BH)maxとを何ら弊害を発生させることなく共に示す前記磁石10を製造することができる。すなわち、磁気特性に優れ且つ電気抵抗率の高いR−Fe−B系磁石10の製造方法を提供することができる。
【0027】
以上、本発明の好適な実施例を図面に基づいて詳細に説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、さらに別の態様においても実施される。
【0028】
たとえば、前述の実施例においては、円筒状を成す前記磁石10について説明したが、本発明の磁石の形状はこれに限定されるものでは当然になく、たとえば部分円筒状、円柱状、円板状、矩形板状、リング状、あるいは棒状など、その磁石が組み込まれる製品に応じて適宜定められるものである。
【0029】
また、前述の製造工程において、前記冷間プレス工程P3、熱間押出工程P5、および切断加工工程P6は製造される磁石の態様によっては必要なく、前記溶解工程P1、超急冷工程P2、およびホットプレス工程P4のみを経た合金24に着磁が施されて製品とされても構わない。
【0030】
その他一々例示はしないが、本発明はその趣旨を逸脱しない範囲内において、種々の変更が加えられて実施されるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例であるR−Fe−B系磁石を示す斜視図である。
【図2】図1のR−Fe−B系磁石の製造工程を説明する工程図である。
【図3】図1のR−Fe−B系磁石の製造工程の要部を説明する概略断面図である。
【図4】本発明の効果を検証する為の第1試験の結果を示す表である。
【図5】本発明の効果を検証する為の第2試験の結果を示す表である。
【図6】一般的なSPM型モータおよびIPM型モータの損失の一例を示すグラフである。
【符号の説明】
10:R−Fe−B系磁石
12:原料
16:原料片
P1:溶解工程
P2:超急冷工程
P4:ホットプレス工程

Claims (3)

  1. 希土類元素、鉄、およびホウ素を含む異方性R−Fe−B系磁石であって、
    ケイ素を0.5重量%以上3.0重量%以下の割合で含むことを特徴とするR−Fe−B系磁石。
  2. 希土類元素、鉄、およびホウ素を含む原料を溶解させる溶解工程と、
    該溶解工程において溶解させられた該原料を急冷することにより原料片を形成する超急冷工程と、
    該超急冷工程において形成された該原料片を加熱し且つ加圧するホットプレス工程と
    を、含む異方性R−Fe−B系磁石の製造方法であって、
    前記溶解工程において前記原料に0.5重量%以上3.0重量%以下のケイ素を添加することを特徴とするR−Fe−B系磁石の製造方法。
  3. 希土類元素、鉄、およびホウ素を含む原料を溶解させる溶解工程と、
    該溶解工程において溶解させられた該原料を急冷することにより原料片を形成する超急冷工程と、
    該超急冷工程において形成された該原料片を加熱し且つ加圧するホットプレス工程と
    を、含む異方性R−Fe−B系磁石の製造方法であって、
    前記ホットプレス工程に先立って、前記超急冷工程において形成された原料片に0.5重量%以上3.0重量%以下のケイ素を添加して混合することを特徴とするR−Fe−B系磁石の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN104762550A (zh) * 2015-04-10 2015-07-08 唐山曹妃甸区通鑫再生资源回收利用有限公司 一种热压铁块热压成型工艺

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