JP2004051998A - 低熱膨張アルミニウム合金及び自動車部品 - Google Patents

低熱膨張アルミニウム合金及び自動車部品 Download PDF

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JP2004051998A
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Noritsune Harada
原田 典恒
Kazuhiko Kato
加藤 和彦
Masakazu Kawamatsu
川松 正和
Taketoshi Tomita
富田 剛利
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Mitsubishi Motors Corp
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Asahi Tec Corp
Mitsubishi Motors Corp
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Abstract

【課題】自動車のディファレンシャルキャリア等の自動車部品を砂型を用いて作ることのできる低熱膨張アルミニウム合金を提供する。
【解決手段】Si :11〜12質量%、Cu :2.0〜3.0質量%、Mg :0.3〜1.0質量%、Ni :0.5〜5.0質量%、Ti :0.05〜0.20質量%、Fe :0.2質量%以下、Mn :0.15質量%以下、Zn :0.15質量%以下を含有し、残部が実質的にAl からなる組成を有することを特徴とする。
【選択図】   図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、砂型鋳造のような重力鋳造によっても適用することのできる低熱膨張アルミニウム合金、及びその低熱膨張アルミニウム合金を用いた自動車部品に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、自動車の燃費の向上を図るために、軽量化の一手法としてディファレンシャルキャリア(以下、「デフキャリア」と呼称する。)のような自動車部品をアルミニウム合金とすることが行われるようになってきている。アルミニウム合金からなる自動車部品は、通常、ダイカスト法で鋳造されている。
【0003】
また、アルミニウム合金からなる自動車部品のうち、上述のデフキャリアのように、鉄合金製のギヤやベアリングと組合わされて使用される場合は、鉄合金とアルミニウム合金との熱膨張係数の差によりギヤの歯当りの不良が発生し、部品の早期摩耗の原因となる。そこで、アルミニウム合金には、熱膨張係数の低い低熱膨張アルミニウム合金を用いる必要がある。アルミニウム合金の熱膨張係数を低下させるのに有効な添加元素としては、Si 、Cu 及びNi 等が知られている(特開平8−165537号公報)。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来の自動車部品として用いられる低熱膨張アルミニウム合金は、砂型を用いて鋳造できるような良好な湯流れ等の性質を有してないので、専らダイスト法で鋳造されている。
【0005】
そこで、本発明は、上記欠点を解決するためになされたものであって、その目的は、砂型鋳造のような重力鋳造にも適用可能な良好な湯流れ特性を持つ低熱膨張アルミニウム合金を提供するとともに、その低熱膨張アルミニウム合金を用いた自動車部品を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る低熱膨張アルミニウム合金は、上記目的を達成するために、Si :11〜12質量%、Cu :2.0〜3.0質量%、Mg :0.3〜1.0質量%、、Ni :0.5〜5.0質量%、Ti :0.05〜0.20質量%、Fe :0.2質量%以下、Mn :0.15質量%以下、Zn :0.15質量%以下を含有し、残部が実質的にAl からなる組成を有することを特徴としている。
また、Na を15〜100ppm又はSr を15〜200ppmを含有することを特徴としている。
さらに、自動車部品を低熱膨張アルミニウム合金で形成したことを特徴としている。
【0007】
本発明者らは、鋳物用として知られている低熱膨張アルミニウム合金で、かつ、耐熱性に優れているといわれるJISのAC8Aのアルミニウム合金の性質と同等、又はそれ以上のアルミニウム合金を得るために、添加するための元素とその添加量の検討を行った結果、上述の各元素とその最適な添加量を求めることができた。Si の含有量が上述より少ないときは膨張係数が大きくなり、また、多すぎるときは初晶Si が晶出して過共晶となり鋳造性・加工性が低下してしまう。Cu の含有量が上述より少ないときは強度,硬さの高温特性が低下し、また、多すぎるときは耐食性が低下してしまう。Mg の含有量が上述より少ないときは時効析出による強化がされず、また、多すぎるときはより以上の析出強度がなく不経済となってしまう。Ni の含有量が上述よりも少ないときは熱膨張係数を下げることができず、また、少なすぎるときは金属間化合物(Al ,Ni )が晶出しやすくなり、機械的性質が低下してしまう。なお、JISのAC8Aの化学成分は、Si :11.0〜13.0質量%、Cu :0.8〜1.3質量%、Mg :0.7〜1.3質量%、Ni :0.8〜1.5質量%、Ti :0.2質量%以下、Fe :0.8質量%以下、Mn :0.15質量%以下、Zn :0.15質量%以下を含有し、残部がAl からなっている。
【0008】
また、本発明の低熱膨張アルミニウム合金にNa 又はSr を添加したときは、共晶ケイ素の改良(共晶ケイ素の粒状化)が行われて強度を向上させることができる。なお、Na 又はSr が上述の添加量より少ないときは、共晶ケイ素の改良効果が低下し、また、多すぎるときは、微細化改良がされすぎて機能性が劣ってしまう。
【0009】
上述した本発明に係る低熱膨張アルミニウム合金は、熱膨張係数が低いので、例えば、デフキャリアのような熱を帯びる自動車部品にも適用することができる。
【0010】
【実施例】
以下、本発明の実施例について説明する。図1は、本発明に係る低熱膨張アルミニウム合金で作られた普通乗用車のデフキャリアであって、(a)は、その正面図、(b)は、その裏面図、(c)は、その右側面図、(d)は、その上面図、(f)は、その底面図であり、砂型を用いて鋳造されている。
【0011】
このデフキャリアの化学成分は、Si が12.1質量%、Cu が2.65質量%、Mg が0.58質量%、Ni が2.6質量%、Ti が0.01質量%以下、Fe が0.2質量%、Mn が0.02質量%、Zn が0.04質量%であった。
【0012】
鋳造されたデフキャリアのフランジ部分からサンプルを切出し、機械的強度を測定した。その結果を表1に示す。なお、表1中における熱処理は、JISのT6の条件で行った。
【表1】
Figure 2004051998
【0013】
表1に示されるように、熱膨張係数は20×10−6以下で、自動車部品として十分に使用できることが分かる。
【0014】
【発明の効果】
本発明に係る低熱膨張アルミニウム合金は、Cu やSi 等の低熱膨張係数を持つ化合物を晶出させるので、低熱膨張アルミニウム合金を得ることができるとともに、砂型等の重力鋳造にも適用することができる。また、Na 又はSr を添加したときは、共晶ケイ素が改良され、強度を向上させることができる。さらに、本発明に係る低熱膨張アルミニウム合金は、自動車部品としての機械的強度を有しているので、自動車部品として採用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る低熱膨張アルミニウム合金を用いて作られたデフキャリアである。

Claims (3)

  1. Si :11〜12質量%、Cu :2.0〜3.0質量%、Mg :0.3〜1.0質量%、Ni :0.5〜5.0質量%、Ti :0.05〜0.20質量%、Fe :0.2質量%以下、Mn :0.15質量%以下、Zn :0.15質量%以下を含有し、残部が実質的にAl からなる組成を有することを特徴とする低熱膨張アルミニウム合金。
  2. Na を15〜100ppm又はSr を15〜200ppmを含有することを特徴とする請求項1に記載の低熱膨張アルミニウム合金。
  3. 請求項1又は2に記載の低熱膨張アルミニウム合金で形成したことを特徴とする自動車部品。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN111020303A (zh) * 2019-11-27 2020-04-17 亚太轻合金(南通)科技有限公司 4xxx系铝合金及其制备方法

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