JP2004051920A - 生分解性プラスチックとその製造方法およびその製造装置 - Google Patents

生分解性プラスチックとその製造方法およびその製造装置 Download PDF

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Abstract

【課題】低コストで安定して工業生産でき、かつ排ガス中の二酸化炭素を固定化、除去することを可能とする生分解性プラスチックとその製造方法及びその製造装置を提供する。
【解決手段】二酸化炭素、水素、酸素及び窒素を含む混合ガスにて一酸化炭素に耐性のある細菌を二酸化炭素を固定のもと培養することによって、前記細菌体内に蓄積生産されることを特徴とする生分解性プラスチック。さらに、混合ガスの一部として一酸化炭素または廃排ガスを用いることができる。
【選択図】      図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、生分解性プラスチックに関し、詳しくは、一酸化炭素に耐性のある細菌を用いて、例えば排ガスを含む混合ガスにて培養し、前記細菌に蓄積生産される生分解性プラスチックとその製造方法及びその製造装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
生分解性プラスチックは、エネルギー貯蔵物質として数多くの微生物の菌体内に生成、蓄積するものであり、優れた生物分解性と生体適合性とを示す熱可塑性高分子であることから、循環型社会に適した環境にやさしい“クリーンプラスチック”として注目されている。そして、手術糸や骨折固定用材などの医用材料、医薬や農薬を徐々に放出する徐放性システムなどの多方面への応用が期待されている。特に、近年、合成プラスチックが環境汚染や資源環境の観点から深刻な社会問題になるに至り、生分解性プラスチックは石油に依存しないバイオポリマーとして注目され、これまでにも例えば、アゾトバクター属、プロトモナス属の菌体をアルカリゲネス属の菌体の場合と同様に増殖制限条件下で回分培養することにより生分解性プラスチックを製造する方法など、いくつかの生分解性プラスチックの製造法が報告されている。しかしこれらの方法は生産コストが高いなど工業的生産を行うには未だ不十分である。
【0003】
このような中で、特公平6−102025号公報では、水素酸化細菌の1種であるAlcaligenes  eutrophus(現在の名称はRalstonia  eutropha)を先ず有機培地を用いて従属栄養条件下で増殖させ、酸素分圧を爆発組成より低く制御した水素、酸素、二酸化炭素からなる混合基質ガスを通じたリアクターに、得られた菌体を移して菌体内にPHBなどのバイオポリマーを蓄積生産させる方法が記載されている。
【0004】
しかしながら、特公平6−102025号公報に開示される技術は、用いられている固定プロセスでは基質ガスとして精製ガスの使用が前提となっているため、精製ガス等を主たる基質ガスとして用いるとコストが増大する。また、前記水素酸化細菌は対数増殖期での菌体内PHB含有率が極めて低いため、連続固定化プロセス(=連続培養)ではPHB生産性が著しく低下する。
【0005】
ところで、石油、石炭などの化石燃料の大量消費による二酸化炭素濃度の急激な上昇が引き起こす地球温暖化現象は重大な環境問題として各国で検討されており、とくに工場排ガス中の二酸化炭素は排出量規制のターゲットとなっている。二酸化炭素濃度の増加抑制策としては、二酸化炭素発生量の削減と、発生した二酸化炭素の分離除去や固定化の両面から研究がなされており、化学媒体による吸着法や吸収法など化学的な分離回収方法や、主として光合成生物を用いた生物的な固定化方法が検討されている。
化学的な分離回収方法では、膜分離等を用いて排出源で二酸化炭素を分離濃縮したり、化学物質に吸収固定させる方法が検討されている。ただし、分離濃縮された二酸化炭素の主な処理法は地底もしくは深海の奥深くへの隔離とされており、炭素源としての有効利用は考えられていない。また、化学的な吸収固定法では、二酸化炭素を産業上有益な物質に変換できる余地が残されてはいるが、未だ検討段階である。
一方、光合成生物による二酸化炭素固定化方法としては、地球規模での森林資源の保護育成をはじめ、光合成微生物の大量培養による固定化法など種々の方法が検討されており、そのなかでもクロレラや微細藻類などの光合成微生物を用いた大量培養法は、種々研究がなされている。しかし、光合成微生物の増殖速度は非常に小さく、かつ太陽光を必要とするため植物と同様に施設面積が過大となるという欠点を有する。当然、季節や天候にもその固定効率は著しく左右されるほか、有用物質の生産力に優れた菌種がほとんど存在しない。このように、生物的な固定化方法は濃度が希薄な大気中の二酸化炭素の固定には適しているが、工場排ガスなど二酸化炭素濃度が高い排出源での固定には全く効力を持たない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
以上のような状況の中で、例えば、特公平6−102025号公報に開示される技術において、上記環境問題を考慮し、かつ低コスト化のために工場排ガスを基質ガス供給源に用いようとした場合、工場排ガスに多く含まれる一酸化炭素などの有害成分によって水素酸化細菌種の増殖とPHBの合成は著しく阻害される。すなわち、現在提唱されている細菌の培養プロセスを用いて、工場排ガス等を対象にした排出源での二酸化炭素固定化は不可能である。
【0007】
このように、安価で工業的な生産を満足し、さらには工場等から排出される排ガス中の二酸化炭素を固定化、除去するためにも効果的な生分解性プラスチックの生産に関する技術は未だ開示されていない。
【0008】
本発明は、以上のような状況を鑑みなされたもので、低コストで安定して工業生産でき、かつ排ガス中の二酸化炭素を固定化、除去することを可能とする生分解性プラスチックとその製造方法及びその製造装置を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決すべく検討した結果、以下のような知見を得た。
【0010】
すなわち、低コストで安定して生分解性プラスチックを生産し、かつ、工場排ガスをその原料に用いようとした場合、細菌の工場排ガスに対する耐性が問題となる。この点についてさらに検討した結果、工場排ガスに含まれる一酸化炭素に対して耐性のある細菌種を用いること、二酸化炭素、水素、酸素及び窒素さらには一酸化炭素を含む混合ガスを基質ガスとして培養に用いること、そして、二酸化炭素、水素および酸素を主たる栄養源として前記細菌を増殖させること、以上により、排ガス中の二酸化炭素を固定化、除去することを可能としながら細菌体内に生分解性プラスチックが蓄積生産されることを見出した。
【0011】
本発明は、上記のような知見に基づいてなされたものであり、以下のような構成を有する。
【0012】
[1]二酸化炭素、水素、酸素及び窒素を含む混合ガスにて一酸化炭素に耐性のある細菌を二酸化炭素を固定のもと培養することによって、前記細菌体内に蓄積生産されることを特徴とする生分解性プラスチック。
【0013】
[2]上記[1]において、混合ガスの一部としてさらに一酸化炭素を用いることを特徴とする生分解性プラスチック。
【0014】
[3]上記[1]または[2]において、混合ガスの一部として排ガスを用いることを特徴とする生分解性プラスチック。
【0015】
[4]二酸化炭素、水素、酸素及び窒素を含む混合ガスにて一酸化炭素に耐性のある細菌を培養し、二酸化炭素を固定化することによって前記細菌体内に蓄積生産されることを特徴とする生分解性プラスチックの製造方法。
【0016】
[5]上記[4]において、混合ガスの一部として、さらに一酸化炭素を用いることを特徴とする生分解性プラスチックの製造方法。
【0017】
[6]上記[4]または[5]において、混合ガスの一部として、排ガスを用いることを特徴とする生分解性プラスチックの製造方法。
【0018】
[7]一酸化炭素に耐性のある細菌を培養し前記細菌体内に生分解性プラスチックを蓄積生産させるためのリアクタ−と、該リアクタ−に混合ガスを供給するための混合ガス供給装置と、前記リアクタ−から生分解性プラスチックを蓄積生産した細菌を含んだ培養液を抜き取る抜き取り装置と、該抜き取り装置で抜き取られた培養液から細菌を分離するとともに該細菌体内中から生分解性プラスチックを回収する生分解性プラスチック回収装置とを備えた、生分解性プラスチック製造装置。
【0019】
[8]上記[7]において、混合ガス供給装置に対して混合ガスの成分を調整するための調整ガスを供給するガス供給手段を備えていることを特徴とする生分解性プラスチック製造装置。
【0020】
[9]上記[7]または[8]において、リアクタ−に無機塩培地を供給するための無機塩培地供給装置を備えていることを特徴とする生分解性プラスチック製造装置。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の生分解性プラスチックとその製造方法およびその製造装置について具体的に説明する。まず、本発明の実施の形態を図によって詳述する。
【0022】
図1は、本発明の生分解性プラスチック製造装置の一実施形態を示す説明図である。
【0023】
図1に示すように、この生分解性プラスチック製造装置は、生分解性プラスチックの一つであるPHBの製造に関する装置であり、一酸化炭素に耐性のある細菌の培養を行うリアクタ−1と、このリアクタ−1に混合ガス供給ライン11とこれに設けられる混合ガス供給ポンプ2を通じて混合ガスを供給する排ガス−調整ガス混合用タンク5と、リアクタ−1に無機塩培地を供給するための無機塩培地供給ライン8と、リアクタ−1から生分解性プラスチックを蓄積生産した細菌を含んだ培養液を抜き取るための細菌(PHB含有菌体)抜き出しライン3と、この細菌(PHB含有菌体)抜き出しライン3により抜き出された培養液から細菌を分離するとともに細菌体内中から生分解性プラスチックを回収するPHB回収装置4と、このPHB回収装置4で回収されたPHBのみを抜き出すPHB回収ライン10と、前記排ガス−調整ガス混合用タンク5に排ガス用の調整ガスを供給するための供給手段(調整ガス供給ライン12及び調整ガス供給用ポンプ7)と、前記排ガス−調整ガス混合用タンク5に工場排ガスを供給するための工場排ガス供給ライン6と、前記リアクタ−1からの排ガスを排気し、一部を排ガス−調整ガス混合用タンク5に戻し、他の一部を系外に排出するための排ガス分離回収ライン9とを備えている。
【0024】
前記リアクタ−1は、無機塩培地供給ライン8を通じて無機塩培地が、混合ガス供給ポンプ2を通じて混合ガスが連続供給され、リアクタ−内にて培養された細菌は細菌(PHB含有菌体)抜き出しライン3へと排出される構造になっている。リアクタ−1としては、一酸化炭素に耐性のある細菌を、二酸化炭素を固定のもと培養できるものであればよく、特に限定はしない。例えば、通常用いられる培養槽、通気撹拌槽、または、一般的な深部培養型好気発酵槽を用いることができる。
【0025】
前記PHB回収装置4としては、特に限定はしない。例えば細菌と培養液を分離する遠心分離機、分離後の菌体乾燥装置、乾燥菌体から溶媒でPHBを抽出するPHB抽出装置、PHBを貧溶媒で凝固沈殿させる凝固沈殿装置等のいずれかを適宜選択して用いることができる。
【0026】
前記リアクタ−1と前記混合ガス供給ポンプ2との間に除菌フィルタ−を設けることが好ましい。除菌フィルタ−を設けることにより、リアクタ−にて細菌を培養するにあたり悪影響を及ぼす可能性のある排ガス中の粉塵等が除去される。
【0027】
次に、図1による生分解性プラスチック製造装置を用いて、生産される生分解性プラスチックおよびその製造方法について説明する。
【0028】
まず、工場排ガス供給ライン6を通じて供給される排ガスと調整ガス供給用ポンプ7によって供給される調整ガスとが排ガス−調整ガス混合用タンク5に導入され、排ガス−調整ガス混合用タンク5内で細菌培養用に使用される混合ガスが調整される。調整された混合ガスは、混合ガス供給ポンプ2によってリアクタ−1に供給される。
【0029】
一方、アンモニウム塩やリン酸塩、マグネシウム塩などを栄養素として含む無機塩培地は無機塩培地供給ライン8を通じてリアクタ−1に連続供給される。混合ガスと無機塩培地が供給されたリアクタ−1内では、細菌の培養増殖が行われ、細菌体内には生分解性プラスチックが蓄積生産される。
【0030】
次いで、リアクタ−1内の生分解性プラスチックを蓄積生産した細菌を含んだ培養液は細菌(PHB含有菌体)抜き出しライン3を通じて抜き取られ、PHB回収装置4へ導入された後、PHBが回収され、回収されたPHBはPHB回収ライン10へと送られる。
【0031】
リアクタ−1内で細菌の培養増殖、PHBの蓄積生産に未利用の混合ガスは、排ガス分離回収ライン9を通り、一部は排ガス−調整ガス混合用タンク5に戻され、一部は大気中に放出される。
【0032】
本発明の対象となる生分解性プラスチックとしては、上述したPHBの他に、ポリ(ヒドロキシ酪酸−ヒドロキシ吉草酸)等のポリヒドロキシアルカン酸の共重合体が挙げられる。
なお、本発明において生分解性プラスチックの生産に用いる一酸化炭素に耐性のある細菌とは、まず、二酸化炭素を還元しながら固定化して生分解性プラスチックを生産する能力を有し、次に、高濃度の一酸化炭素を含むガス中で培養された場合に死滅することなく生育可能で増殖することができる細菌である。具体的には、化学合成独立栄養細菌が上げられ、その中で水素酸化細菌が好ましい。水素酸化細菌は水素や酸素などをエネルギー源に用いて二酸化炭素を有機物に変換し増殖する細菌であるため、培養中に特別なメンテナンスを必要としない。また、太陽エネルギーを必要とせずかつ増殖が速いため、装置をコンパクトにすることができる。例えば、Alcaligenes  latusは、一酸化炭素への耐性はそれほど高くないが、対数増殖期でも高含有率でPHBを細菌体内に蓄積生産するので、結局、一酸化炭素存在下でもPHB生産が可能である。さらに、Alcaligenes  latusの場合、連続固定化プロセスでは、高希釈率(=高増殖速度)運転下でも高い菌体内含有率で生分解性プラスチックを蓄積生産するので、生分解性プラスチック生産性を高めることが可能となる。一方、数%の一酸化炭素を含むガス中で培養された場合に死滅あるいは増殖が著しく低下してしまうAlcaligenes  eutrophus等の細菌は本発明の対象外とする。
このように、菌株の種類により一酸化炭素に対する耐性の割合は異なるが、使用目的に合わせ、適宜、菌株を選ぶことが可能であり、生分解性プラスチックの生産よりも二酸化炭素の固定を重視する場合と二酸化炭素の固定除去よりも生分解性プラスチックの生産を重視する場合とで細菌の使い分けをすることができる。また、上述の一酸化炭素耐性な水素酸化細菌等は、比較的容易に自然界などから分離することができる。
【0033】
リアクタ−内に供給される基質ガスは、二酸化炭素、水素、酸素及び窒素を含む混合ガスとし、さらには、一酸化炭素を混合ガスの一部として含んでもよい。また、リアクタ−内に供給される混合ガス組成の全てもしくは一部として排ガスを使用することもできる。この時、排ガスを含む混合ガス中のガス比率を調整するために、調整ガスとして、例えば、空気、精製ガス等を加えることができる。例えば、コークス炉ガスを排ガスとして、調整ガスとして空気を使用する場合、通常はコークス炉ガスと空気を3:2の比で調整すればほぼ上記の組成が得られる。
【0034】
培養条件は、使用する細菌により異なるが、一般的な温度は30℃前後である。また、基質ガスを有効に培養液に溶け込ませるために必要に応じて撹拌することが好ましい。
【0035】
連続培養初期における培養液中の菌体濃度は特に限定しない。
【0036】
【実施例】
実施例は、図1を用いて行った。
【0037】
(実施例1)
張り込み量200 mlで、タービン羽根のマグネット式撹拌子を持つごく普通のガラス製ミニジャーファーメンターをリアクターに用いた(1200rpmでのkaは約600h−1)。このミニジャーファーメンターに(NHSO5g/l、NaHPO12HO0.5g/l、KHPO0.5g/l、MgSO7HO0.2g/l、CaSO 4 mg/lおよび微量金属元素の水溶液0.1 ml/lを含みpHを7.0に調整した培地1lを加圧蒸気滅菌して仕込み、水素酸化細菌Alcaligenes  latus ATCC29712を殖菌した。排ガス−空気混合用ガスタンク内でコークス炉ガスと空気を2:1の比率で混合したガスを、ミニコンプレッサーを用いて(図示しない)除菌フィルターに通して無菌化した後にミニジャーファーメンターに供給した。通気量0.5vvm、攪拌速700rpm、温度30℃、アンモニアフィードでpH7.0に制御して回分培養を開始し、培養20時間で菌濃度が5.2g/lに達した時点で上と同じ組成の殺菌培地を希釈率D=0.10h−1でフィードし、2方向式の定量ポンプを用いて同じ希釈率D で培養液を引き抜きながら連続培養に移行せしめた。
【0038】
この際、循環ガス中の酸素、二酸化炭素、水素および一酸化炭素の濃度をオンラインで分析し、その値に沿って、酸素濃度が7%、一酸化炭素濃度が10%を超えないようにコークス炉ガスと空気の混合比を調整した。連続培養以降30時間後でほぼ定常状態が形成され、菌体濃度5.1g/lの培養液を毎時20ml得ることができた。なお、リアクターから排出されたガス中の残存二酸化炭素濃度は0.1%以下に減少していた。
【0039】
次に、このようにして得られた培養液から、以下のような公知の方法でPHBを回収した。まず、遠心分離で固液分離して細菌を分離回収し、水で洗浄して細菌を得た。次に、このようにして得られた細菌を真空乾燥し、その乾燥細菌からクロロホルムを抽出剤としてPHB抽出液を得た。さらに、これとメタノールとを混合し、凝固沈澱させてPHBを分離した。得られたPHB粉末は培養液1lあたり1.95 gであった。また、PHB粉末の量から計算した結果、この細菌のPHB含有率は39%であった。
【0040】
(実施例2)
実施例1と同じ装置を用い、同様の方法で、Alcaligenes  latus ATCC29712を植菌し、培養28 時間で菌濃度が10.2 g/lに達したところで希釈率D=0.20 h−1で連続培養に移行せしめた。この際、一酸化炭素濃度が5%を超えないようにコークス炉ガスと空気の混合比を調整した。
【0041】
以上の結果、平均菌体濃度12.4 g/lの培養液を毎時40 ml得ることができた。なお、リアクターから排出されたガス中の残存二酸化炭素濃度は0.1%以下に減少していた。
【0042】
次に、実施例1と同様の方法にて、PHBを回収した。得られたPHB粉末は培養液1lあたり8.13 gであった。また、PHB粉末の量から計算した結果、この細菌のPHB含有率は65%であった。
【0043】
【発明の効果】
以上、本発明によれば、生産コストがかからず安価で安定してPHBを生産することができる。さらに、本発明のPHBの生産方法によると、作業の簡素化がはかれ、高菌体内含有率での連続培養が可能となるため、本発明のPHB生産方法は産業上有益である。
【0044】
また、排ガスを含む混合ガスにて細菌を培養するため、排ガス中の二酸化炭素を固定、除去することを可能となり、二酸化炭素濃度の増加抑制策の一つとしても有効である。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の生分解性プラスチック製造装置の一実施形態を示す説明図。
【符号の説明】
1  リアクタ−
2  混合ガス供給ポンプ
3  細菌(PHB含有菌体)抜き出しライン
4  PHB回収装置
5  排ガス−調整ガス混合用タンク
6  工場排ガス供給ライン
7  調整ガス供給用ポンプ
8  無機塩培地供給ライン
9  排ガス分離回収ライン
10 PHB回収ライン
11 混合ガス供給ライン
12 調整ガス供給ライン

Claims (9)

  1. 二酸化炭素、水素、酸素及び窒素を含む混合ガスにて一酸化炭素に耐性のある細菌を二酸化炭素を固定のもと培養することによって、前記細菌体内に蓄積生産されることを特徴とする生分解性プラスチック。
  2. 混合ガスの一部としてさらに一酸化炭素を用いることを特徴とする請求項1記載の生分解性プラスチック。
  3. 混合ガスの一部として排ガスを用いることを特徴とする請求項1または2に記載の生分解性プラスチック。
  4. 二酸化炭素、水素、酸素及び窒素を含む混合ガスにて一酸化炭素に耐性のある細菌を培養し、二酸化炭素を固定化することによって前記細菌体内に蓄積生産されることを特徴とする生分解性プラスチックの製造方法。
  5. 混合ガスの一部として、さらに一酸化炭素を用いることを特徴とする請求項4に記載の生分解性プラスチックの製造方法。
  6. 混合ガスの一部として、排ガスを用いることを特徴とする請求項4または5に記載の生分解性プラスチックの製造方法。
  7. 一酸化炭素に耐性のある細菌を培養し前記細菌体内に生分解性プラスチックを蓄積生産させるためのリアクタ−と、該リアクタ−に混合ガスを供給するための混合ガス供給装置と、前記リアクタ−から生分解性プラスチックを蓄積生産した細菌を含んだ培養液を抜き取る抜き取り装置と、該抜き取り装置で抜き取られた培養液から細菌を分離するとともに該細菌体内中から生分解性プラスチックを回収する生分解性プラスチック回収装置とを備えた、生分解性プラスチック製造装置。
  8. 混合ガス供給装置に対して混合ガスの成分を調整するための調整ガスを供給するガス供給手段を備えていることを特徴とする請求項7に記載の生分解性プラスチック製造装置。
  9. リアクタ−に無機塩培地を供給するための無機塩培地供給装置を備えていることを特徴とする請求項7または8に記載の生分解性プラスチック製造装置。
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