JP2004051764A - 品質管理された顔料およびそれを使用した着色剤組成物 - Google Patents
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Abstract
【課題】厳しく品質管理された顔料に対する要求に応え、改善されたおよび安定した品質の顔料および着色剤組成物提供すること。
【解決手段】顔料1g中の繊維状異物の含有量が30本以下であることを特徴とする品質管理された顔料および少なくとも上記の品質管理された顔料と樹脂とからなることを特徴とする着色剤組成物。
【選択図】 なし
【解決手段】顔料1g中の繊維状異物の含有量が30本以下であることを特徴とする品質管理された顔料および少なくとも上記の品質管理された顔料と樹脂とからなることを特徴とする着色剤組成物。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、安定した品質の顔料および着色剤組成物に関し、さらに詳しくは、顔料を着色成分とする着色剤組成物を製造する際、顔料中の繊維状異物の含有量が特定量以下に品質管理された顔料を使用した安定化および改善された品質を有する着色剤組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、例えば、印刷インキ(オフセットインキ、グラビアインキなどの)、各種塗料、プラスチックなどの着色剤、顔料捺染剤、電子写真用(乾式または湿式)トナー、インクジェット記録用インキ、熱転写記録用インキ、筆記具用インキ、カラーフィルター用着色剤および化粧品用着色剤などの着色剤組成物は、着色成分として顔料を各種の分散機を使用して樹脂または樹脂溶液中に均一に分散させて製造される。
【0003】
顔料中には、通常、未反応原料や原材料中に含まれていたあるいは顔料の合成時に副成された不純物(反応不純物)や、原材料中に含まれていたあるいは顔料の製造過程で混入した、例えば、鉄さびなどの不純物(異物)が微量ながら含まれている。
【0004】
これらの顔料中の不純物は、顔料を使用して製造された各種着色剤組成物の品質に大きく影響するため、通常、顔料製造工程中に除去され、着色剤組成物の品質に影響しないよう品質管理されている。また、異物の総量を少なくすることも、顔料本来の品質や顔料が添加されてなる各種製品の品質にとっても良いことはいうまでもない。一般に、顔料製品中の不純物は、反応不純物で数%程度以下、異物は数十ppm程度以下に除去されている。
【0005】
顔料中の不純物のうち、反応不純物は、着色剤組成物本来の性能への影響のほかに、変異原性や発癌性、皮膚感作性などの生理学的な危険性に対する懸念から管理が見直されてきている。一方、異物については、顔料製造工程中や着色剤組成物の製造工程中でもある程度除去可能であるため、数値的な管理はあまり配慮されて来なかった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、顔料を使用した着色剤組成物では、印刷インキや塗料といった従来からの用途に加えて、電子写真用トナー、インクジェット記録用インキやカラーフィルター用着色剤などの新たな用途が増加している。特にこれらの用途に使用される顔料には、従来の色材としての性質に加えて機能剤としての特性が求められているため、従来用途以上の厳しい品質管理が要求されている。
従って、本発明の目的は、このような厳しく品質管理された顔料に対する要求に応え、改善されたおよび安定した品質の顔料および着色剤組成物を提供することにある。
【0007】
本発明者らは、上記目的を達成すべく検討を重ねた結果、顔料中には、鉄さびのほか、繊維屑、木屑、プラスチック、ゴム、砂などの異物が含まれており、これらの異物のなかで、特に繊維屑などの繊維状の異物が、従来の異物除去の方法では除去されにくく、顔料中に微量でも残存すると、印刷インキなどの従来用途をはじめ、特に前掲の新規用途の着色剤組成物の品質に致命的な悪影響を及ぼすことを知得し、その含有量を特定量以下に数値的に管理することで顔料の品質の改善及び安定化が達成されることを見出し、本発明を完成した。
【0008】
【課題を解決するための手段】
即ち、本発明によれば、顔料1g中の繊維状異物の含有量が30本以下であることを特徴とする品質管理された顔料および少なくとも上記顔料と樹脂とからなることを特徴とする着色剤組成物が提供される。
【0009】
【発明の実施の形態】
次に発明の実施の形態を挙げて、本発明をさらに詳細に説明する。
一般に、着色剤組成物、例えば、印刷インキ(オフセットインキ、グラビアインキなどの)、各種塗料、プラスチック等のポリマー用着色剤、顔料捺染剤、電子写真用(乾式または湿式)トナー、インクジェット記録用インキ、熱転写記録用インキ、筆記具用インキ、カラーフィルター用着色剤および化粧品用着色剤などは、着色成分としての各種顔料を、二本ロール、三本ロール、加熱ニーダー、加圧加熱ニーダー、一軸押出機、二軸押出機などの混練分散機や、ボールミルやビーズミルなどの分散機を使用して、樹脂等または樹脂溶液等中に、目的の用途に応じて0.03〜10μm程度の粒度に分散させて製造される。また、印刷インキの製造では、顔料の水性プレスケーキを使用するフラッシング法も採用される。着色剤組成物中の顔料の含有量は、一般に1〜10重量%程度である。
【0010】
顔料中には、未反応原料や、原材料中にあるいは顔料中に、それらの合成時に副成された不純物(反応不純物)や、原材料中にあるいは顔料中に、それらの製造過程で混入した鉄さび、繊維屑、木屑、プラスチック、ゴム、砂などの不純物(異物:通常はそれらの微細粒子として含有)が微量含有されている。
これらの不純物は、それを含有する顔料を使用して製造された各種着色剤組成物の品質に大きく影響するため、顔料製造工程中に着色剤組成物の品質に影響しない程度まで除去される。
【0011】
例えば、反応不純物は、酸処理、アルカリ処理などの精製、洗浄の方法で、異物は、同様の方法のほか、ストレーナーなどのフィルターを通過させるなどの方法、あるいは顔料粉砕時の分級などの方法で除去されている。
【0012】
また、異物は、前記のごとく顔料製造工程中で除去されるほか、着色剤組成物の製造工程中でもフィルターを通過させるなどの方法で除去されるが、着色剤組成物は顔料の分散体であるため、この段階で使用できるフィルターには制限があり、細かなものは使用できない。
【0013】
これら従来の方法では、繊維状異物の除去は困難である。即ち、繊維屑などの繊維状の異物はフィルターの目を通過しやすいため除去されにくく、顔料中に残って、微量でも着色剤組成物の品質に重大な影響を及ぼす。例えば、印刷インキでは、ヒッキー発生の原因となったり、特にハイライト部の網点再現性不良などの原因となる。また、電子写真用トナーでは、ダマ状となった繊維屑がドットムラを引き起こすなど、画像ムラの原因となる。
【0014】
実際、品質不良を引き起こした顔料中には、数十μm〜3mm程度の長さのセルロースなどの繊維状異物が微量に検出され、含有量と着色剤組成物の品質との間に明確な相関性を示した。
つまり、本発明において、顔料1g中の繊維状異物の含有量が30本以下、好ましくは20本以下に品質管理された顔料を用いることで、改善されたおよび安定した品質の着色剤組成物の製造が可能となる。
【0015】
本発明における繊維状異物は、主に使用する原材料に含まれ、顔料中に混入する幅が約1〜30μm、長さが約50μm〜3mm程度のものである。その除去には、それを目的としたミクロン単位の濾過が必要であり、顔料製造工程中の顔料粒子生成前の工程、具体的には、原料を溶解または溶融した段階でのフィルタープレスなどによる濾過あるいは各種フィルターによる除去の方法が効果的である。
【0016】
なお、本発明で顔料とは、例えば、カラーインデックス記載の無機顔料、有機顔料を始め、顔料として使用できるものであればいずれでもよく、特に限定されない。顔料は単独でもあるいは混合しても使用できる。また、着色剤組成物の製造では、合理化された製造方法に応じて顔料もさまざまな形態、例えば、顔料粗製物やプレ(Pre)顔料、水性ペーストや粉体などの形態で使用されるが、顔料の形態も特に制限されない。
【0017】
本発明における繊維状異物の含有量の測定は、以下の方法に従う。
1.0gの顔料を200mlのビーカーに採り、アセトン50mlを加えてガラス棒で攪拌しながら超音波にて5分間分散させる。さらにアセトン50mlを加え、同様に5分間分散させる。次に、この顔料分散液を500メッシュ(目開き25μm)の金網を用いて自然濾過し、金網に残った繊維状物質を光学顕微鏡にて30倍程度の倍率で観察し、その全量をカウントする。
なお、ここで使用する有機溶剤は、顔料を充分に邂逅するものであればいずれでもよく、上記のアセトンに限定されない。
【0018】
本発明の着色剤組成物は、少なくとも上記の本発明の顔料と樹脂(バインダー樹脂)からなり、樹脂は前記の各種インキ、塗料、カラーフィルター用着色剤などの各用途で従来から使用されている樹脂がいずれも使用でき、特に限定されない。それぞれの用途に応じて樹脂は、固体または溶液として使用される。溶剤も各用途で従来から使用されているものがいずれも使用でき、特に限定されない。さらに、各種インキなどの前記の用途用の着色剤組物の製造方法も、それらの従来の製造方法がいずれも使用でき、とくに制限されない。また、その際使用される添加剤も、各用途で従来から使用されているものがいずれも使用でき、特に限定されない。
【0019】
【実施例】
次に実施例および比較例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。文中の部または%とあるのは重量基準である。
【0020】
実施例1
4−アミノトルエン−3−スルホン酸をジアゾ化し、これをβ−オキシナフトエ酸から調製した下漬液とカップリングしてナトリウム染料を得る。この染料にロジン(得られる顔料100部に対し10部)を注入し、塩化カルシウム溶液(染料1モルに対し塩化カルシウム1.4モル使用)を注入してレーキ化し、このスラリーを80℃に昇温し、20分間熟成する。これを濾過、水洗し、次に、乾燥、粉砕してアゾレーキ顔料を得る。
【0021】
上記、常法のアゾレーキ顔料の製造方法において、資材はすべて工業用原料を使用し、4−アミノトルエン−3−スルホン酸、β−オキシナフトエ酸、ロジンの各原料を溶解工程でフィルタープレスを用いて濾過し、異物の除去を充分に行って製造したアゾレーキ顔料(Pigment Red 57:1)1g中の繊維状異物の含有量は9本であった。
【0022】
実施例2
実施例1で製造したアゾレーキ顔料18部を印刷インキ用ワニス(ロジン変性フェノール樹脂系ワニス、不揮発分70%)67部に混合し、3本ロールにて3回練肉しベースインキを得た。このベースインキに、さらに印刷インキ用ワニス19部、7号ソルベント(日本石油社製石油系溶剤)6部、コンパウンド(インキ調整助剤)10部を加えて印刷インキを得た。
この印刷インキをテスト用印刷機を使用して試験したところ優れた印刷適性を示した。
【0023】
比較例1
繊維状異物の除去を行わない以外は実施例1と同様にしてアゾレーキ顔料 (Pigment Red 57:1)を製造した。得られた顔料1g中の繊維状異物の含有量が42本であった。
このアゾレーキ顔料を用い、実施例2と同様にして得た印刷インキを試験したところヒッキーが発生し、この印刷インキは実用的には問題があった。
【0024】
実施例3
実施例1で製造したアゾレーキ顔料30部と、スチレン/メタクリル系共重合樹脂(軟化点約110℃、ガラス転移点約56℃、GPC法重量平均分子量約5万)70部とを三本ロールにて十分混練して顔料を分散させた後、冷却、粗砕し、顔料を30%の濃度で含有するシアン色の高濃度着色剤組成物の粗粉を得た。
【0025】
次に、このようにして得られた高濃度着色剤組成物11.7部およびクロム錯塩系負帯電制御剤3部を、上記で使用したスチレン/メタクリル系共重合樹脂3部と常法に従って混練し、冷却、粉砕後、ジェットミルで微粉砕し、さらに分級して5〜20μmのシアン色樹脂組成物の微粉末を得た。続いて、常法に従い流動化剤としてコロイダルシリカを添加して十分に混合した後、キャリアの磁性鉄粉と混合して電子写真用乾式トナーを得た。
これを電子写真複写機にて紙に複写したところ、複写画像は優れた画像再現性を示し、実用に十分耐え得るものであった。
【0026】
比較例2
繊維状異物の除去を特に行わずに製造した比較例1のアゾレーキ顔料を用い、実施例3と同様にして得た電子写真用乾式トナーを試験したところ画像ムラが発生し、本電子写真用乾式トナーは実用的には問題があった。
【0027】
実施例4
常法に従い、無水フタル酸、尿素、モリブデン酸アンモニウム、塩化第一銅およびハイゾールP(日本石油社製アルキルベンゼン系溶剤)の規定量を反応容器中に配合して200℃で4時間加熱反応させ、反応終了後、溶剤を減圧留去した後、反応生成物を2%希硫酸水溶液中で80℃で2時間加熱処理し、濾過、湯洗、水洗および乾燥して粗製銅フタロシアニンを得た。
次に、得られた粗製銅フタロシアニンを乾式アトライターで、100℃で30分間粉砕し、この摩砕物にジエチレングリコールおよび食塩を配合し、ニーダー中で、60℃で5時間混練する。この混合物を1.0%希硫酸水溶液中で80℃で1時間加熱処理し、濾過、水洗、乾燥および粉砕して銅フタロシアニン顔料(Pigment Blue 15:3)を得た。
【0028】
尚、上記の常法による銅フタロシアニン顔料の製造において、原材料は全て工業用原料を使用し、無水フタル酸および尿素は加熱溶融してカートリッジフィルターを通し、異物の除去を充分に行なった。得られた銅フタロシアニン顔料(Pigment Blue 15:3)1g中の繊維状異物の含有量は8本であった。
【0029】
実施例5
実施例4で得られた銅フタロシアニン顔料の水性プレスケーキ12.5部 (顔料固形分40%)、スチレン/アクリレート/メタクリレート共重合体(酸価約186、重量平均分子量約9900)3部、エチレングリコール22部、グリセリン8部、および水50部からなる水性顔料分散液を作り、超遠心分離機で分散し得なかった顔料粗粒子を除去し、インクジェット用水性青色インキを得た。
【0030】
このインキを用いてピエゾ振動子を有するオンデマンド型のインクジェットプリンターで画像情報をプリントしたところ、ノズルの目詰まりや、ドット再現性などのトラブルの発生が無く、鮮明な青色画像を得た。
【0031】
【発明の効果】
以上の本発明によれば、顔料1g中の繊維状異物の含有量が30本以下に品質管理された顔料が提供される。この繊維状異物の含有量の少ない顔料を使用することで、改善された、および安定した品質の着色剤組成物が提供される。
【発明の属する技術分野】
本発明は、安定した品質の顔料および着色剤組成物に関し、さらに詳しくは、顔料を着色成分とする着色剤組成物を製造する際、顔料中の繊維状異物の含有量が特定量以下に品質管理された顔料を使用した安定化および改善された品質を有する着色剤組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、例えば、印刷インキ(オフセットインキ、グラビアインキなどの)、各種塗料、プラスチックなどの着色剤、顔料捺染剤、電子写真用(乾式または湿式)トナー、インクジェット記録用インキ、熱転写記録用インキ、筆記具用インキ、カラーフィルター用着色剤および化粧品用着色剤などの着色剤組成物は、着色成分として顔料を各種の分散機を使用して樹脂または樹脂溶液中に均一に分散させて製造される。
【0003】
顔料中には、通常、未反応原料や原材料中に含まれていたあるいは顔料の合成時に副成された不純物(反応不純物)や、原材料中に含まれていたあるいは顔料の製造過程で混入した、例えば、鉄さびなどの不純物(異物)が微量ながら含まれている。
【0004】
これらの顔料中の不純物は、顔料を使用して製造された各種着色剤組成物の品質に大きく影響するため、通常、顔料製造工程中に除去され、着色剤組成物の品質に影響しないよう品質管理されている。また、異物の総量を少なくすることも、顔料本来の品質や顔料が添加されてなる各種製品の品質にとっても良いことはいうまでもない。一般に、顔料製品中の不純物は、反応不純物で数%程度以下、異物は数十ppm程度以下に除去されている。
【0005】
顔料中の不純物のうち、反応不純物は、着色剤組成物本来の性能への影響のほかに、変異原性や発癌性、皮膚感作性などの生理学的な危険性に対する懸念から管理が見直されてきている。一方、異物については、顔料製造工程中や着色剤組成物の製造工程中でもある程度除去可能であるため、数値的な管理はあまり配慮されて来なかった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、顔料を使用した着色剤組成物では、印刷インキや塗料といった従来からの用途に加えて、電子写真用トナー、インクジェット記録用インキやカラーフィルター用着色剤などの新たな用途が増加している。特にこれらの用途に使用される顔料には、従来の色材としての性質に加えて機能剤としての特性が求められているため、従来用途以上の厳しい品質管理が要求されている。
従って、本発明の目的は、このような厳しく品質管理された顔料に対する要求に応え、改善されたおよび安定した品質の顔料および着色剤組成物を提供することにある。
【0007】
本発明者らは、上記目的を達成すべく検討を重ねた結果、顔料中には、鉄さびのほか、繊維屑、木屑、プラスチック、ゴム、砂などの異物が含まれており、これらの異物のなかで、特に繊維屑などの繊維状の異物が、従来の異物除去の方法では除去されにくく、顔料中に微量でも残存すると、印刷インキなどの従来用途をはじめ、特に前掲の新規用途の着色剤組成物の品質に致命的な悪影響を及ぼすことを知得し、その含有量を特定量以下に数値的に管理することで顔料の品質の改善及び安定化が達成されることを見出し、本発明を完成した。
【0008】
【課題を解決するための手段】
即ち、本発明によれば、顔料1g中の繊維状異物の含有量が30本以下であることを特徴とする品質管理された顔料および少なくとも上記顔料と樹脂とからなることを特徴とする着色剤組成物が提供される。
【0009】
【発明の実施の形態】
次に発明の実施の形態を挙げて、本発明をさらに詳細に説明する。
一般に、着色剤組成物、例えば、印刷インキ(オフセットインキ、グラビアインキなどの)、各種塗料、プラスチック等のポリマー用着色剤、顔料捺染剤、電子写真用(乾式または湿式)トナー、インクジェット記録用インキ、熱転写記録用インキ、筆記具用インキ、カラーフィルター用着色剤および化粧品用着色剤などは、着色成分としての各種顔料を、二本ロール、三本ロール、加熱ニーダー、加圧加熱ニーダー、一軸押出機、二軸押出機などの混練分散機や、ボールミルやビーズミルなどの分散機を使用して、樹脂等または樹脂溶液等中に、目的の用途に応じて0.03〜10μm程度の粒度に分散させて製造される。また、印刷インキの製造では、顔料の水性プレスケーキを使用するフラッシング法も採用される。着色剤組成物中の顔料の含有量は、一般に1〜10重量%程度である。
【0010】
顔料中には、未反応原料や、原材料中にあるいは顔料中に、それらの合成時に副成された不純物(反応不純物)や、原材料中にあるいは顔料中に、それらの製造過程で混入した鉄さび、繊維屑、木屑、プラスチック、ゴム、砂などの不純物(異物:通常はそれらの微細粒子として含有)が微量含有されている。
これらの不純物は、それを含有する顔料を使用して製造された各種着色剤組成物の品質に大きく影響するため、顔料製造工程中に着色剤組成物の品質に影響しない程度まで除去される。
【0011】
例えば、反応不純物は、酸処理、アルカリ処理などの精製、洗浄の方法で、異物は、同様の方法のほか、ストレーナーなどのフィルターを通過させるなどの方法、あるいは顔料粉砕時の分級などの方法で除去されている。
【0012】
また、異物は、前記のごとく顔料製造工程中で除去されるほか、着色剤組成物の製造工程中でもフィルターを通過させるなどの方法で除去されるが、着色剤組成物は顔料の分散体であるため、この段階で使用できるフィルターには制限があり、細かなものは使用できない。
【0013】
これら従来の方法では、繊維状異物の除去は困難である。即ち、繊維屑などの繊維状の異物はフィルターの目を通過しやすいため除去されにくく、顔料中に残って、微量でも着色剤組成物の品質に重大な影響を及ぼす。例えば、印刷インキでは、ヒッキー発生の原因となったり、特にハイライト部の網点再現性不良などの原因となる。また、電子写真用トナーでは、ダマ状となった繊維屑がドットムラを引き起こすなど、画像ムラの原因となる。
【0014】
実際、品質不良を引き起こした顔料中には、数十μm〜3mm程度の長さのセルロースなどの繊維状異物が微量に検出され、含有量と着色剤組成物の品質との間に明確な相関性を示した。
つまり、本発明において、顔料1g中の繊維状異物の含有量が30本以下、好ましくは20本以下に品質管理された顔料を用いることで、改善されたおよび安定した品質の着色剤組成物の製造が可能となる。
【0015】
本発明における繊維状異物は、主に使用する原材料に含まれ、顔料中に混入する幅が約1〜30μm、長さが約50μm〜3mm程度のものである。その除去には、それを目的としたミクロン単位の濾過が必要であり、顔料製造工程中の顔料粒子生成前の工程、具体的には、原料を溶解または溶融した段階でのフィルタープレスなどによる濾過あるいは各種フィルターによる除去の方法が効果的である。
【0016】
なお、本発明で顔料とは、例えば、カラーインデックス記載の無機顔料、有機顔料を始め、顔料として使用できるものであればいずれでもよく、特に限定されない。顔料は単独でもあるいは混合しても使用できる。また、着色剤組成物の製造では、合理化された製造方法に応じて顔料もさまざまな形態、例えば、顔料粗製物やプレ(Pre)顔料、水性ペーストや粉体などの形態で使用されるが、顔料の形態も特に制限されない。
【0017】
本発明における繊維状異物の含有量の測定は、以下の方法に従う。
1.0gの顔料を200mlのビーカーに採り、アセトン50mlを加えてガラス棒で攪拌しながら超音波にて5分間分散させる。さらにアセトン50mlを加え、同様に5分間分散させる。次に、この顔料分散液を500メッシュ(目開き25μm)の金網を用いて自然濾過し、金網に残った繊維状物質を光学顕微鏡にて30倍程度の倍率で観察し、その全量をカウントする。
なお、ここで使用する有機溶剤は、顔料を充分に邂逅するものであればいずれでもよく、上記のアセトンに限定されない。
【0018】
本発明の着色剤組成物は、少なくとも上記の本発明の顔料と樹脂(バインダー樹脂)からなり、樹脂は前記の各種インキ、塗料、カラーフィルター用着色剤などの各用途で従来から使用されている樹脂がいずれも使用でき、特に限定されない。それぞれの用途に応じて樹脂は、固体または溶液として使用される。溶剤も各用途で従来から使用されているものがいずれも使用でき、特に限定されない。さらに、各種インキなどの前記の用途用の着色剤組物の製造方法も、それらの従来の製造方法がいずれも使用でき、とくに制限されない。また、その際使用される添加剤も、各用途で従来から使用されているものがいずれも使用でき、特に限定されない。
【0019】
【実施例】
次に実施例および比較例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。文中の部または%とあるのは重量基準である。
【0020】
実施例1
4−アミノトルエン−3−スルホン酸をジアゾ化し、これをβ−オキシナフトエ酸から調製した下漬液とカップリングしてナトリウム染料を得る。この染料にロジン(得られる顔料100部に対し10部)を注入し、塩化カルシウム溶液(染料1モルに対し塩化カルシウム1.4モル使用)を注入してレーキ化し、このスラリーを80℃に昇温し、20分間熟成する。これを濾過、水洗し、次に、乾燥、粉砕してアゾレーキ顔料を得る。
【0021】
上記、常法のアゾレーキ顔料の製造方法において、資材はすべて工業用原料を使用し、4−アミノトルエン−3−スルホン酸、β−オキシナフトエ酸、ロジンの各原料を溶解工程でフィルタープレスを用いて濾過し、異物の除去を充分に行って製造したアゾレーキ顔料(Pigment Red 57:1)1g中の繊維状異物の含有量は9本であった。
【0022】
実施例2
実施例1で製造したアゾレーキ顔料18部を印刷インキ用ワニス(ロジン変性フェノール樹脂系ワニス、不揮発分70%)67部に混合し、3本ロールにて3回練肉しベースインキを得た。このベースインキに、さらに印刷インキ用ワニス19部、7号ソルベント(日本石油社製石油系溶剤)6部、コンパウンド(インキ調整助剤)10部を加えて印刷インキを得た。
この印刷インキをテスト用印刷機を使用して試験したところ優れた印刷適性を示した。
【0023】
比較例1
繊維状異物の除去を行わない以外は実施例1と同様にしてアゾレーキ顔料 (Pigment Red 57:1)を製造した。得られた顔料1g中の繊維状異物の含有量が42本であった。
このアゾレーキ顔料を用い、実施例2と同様にして得た印刷インキを試験したところヒッキーが発生し、この印刷インキは実用的には問題があった。
【0024】
実施例3
実施例1で製造したアゾレーキ顔料30部と、スチレン/メタクリル系共重合樹脂(軟化点約110℃、ガラス転移点約56℃、GPC法重量平均分子量約5万)70部とを三本ロールにて十分混練して顔料を分散させた後、冷却、粗砕し、顔料を30%の濃度で含有するシアン色の高濃度着色剤組成物の粗粉を得た。
【0025】
次に、このようにして得られた高濃度着色剤組成物11.7部およびクロム錯塩系負帯電制御剤3部を、上記で使用したスチレン/メタクリル系共重合樹脂3部と常法に従って混練し、冷却、粉砕後、ジェットミルで微粉砕し、さらに分級して5〜20μmのシアン色樹脂組成物の微粉末を得た。続いて、常法に従い流動化剤としてコロイダルシリカを添加して十分に混合した後、キャリアの磁性鉄粉と混合して電子写真用乾式トナーを得た。
これを電子写真複写機にて紙に複写したところ、複写画像は優れた画像再現性を示し、実用に十分耐え得るものであった。
【0026】
比較例2
繊維状異物の除去を特に行わずに製造した比較例1のアゾレーキ顔料を用い、実施例3と同様にして得た電子写真用乾式トナーを試験したところ画像ムラが発生し、本電子写真用乾式トナーは実用的には問題があった。
【0027】
実施例4
常法に従い、無水フタル酸、尿素、モリブデン酸アンモニウム、塩化第一銅およびハイゾールP(日本石油社製アルキルベンゼン系溶剤)の規定量を反応容器中に配合して200℃で4時間加熱反応させ、反応終了後、溶剤を減圧留去した後、反応生成物を2%希硫酸水溶液中で80℃で2時間加熱処理し、濾過、湯洗、水洗および乾燥して粗製銅フタロシアニンを得た。
次に、得られた粗製銅フタロシアニンを乾式アトライターで、100℃で30分間粉砕し、この摩砕物にジエチレングリコールおよび食塩を配合し、ニーダー中で、60℃で5時間混練する。この混合物を1.0%希硫酸水溶液中で80℃で1時間加熱処理し、濾過、水洗、乾燥および粉砕して銅フタロシアニン顔料(Pigment Blue 15:3)を得た。
【0028】
尚、上記の常法による銅フタロシアニン顔料の製造において、原材料は全て工業用原料を使用し、無水フタル酸および尿素は加熱溶融してカートリッジフィルターを通し、異物の除去を充分に行なった。得られた銅フタロシアニン顔料(Pigment Blue 15:3)1g中の繊維状異物の含有量は8本であった。
【0029】
実施例5
実施例4で得られた銅フタロシアニン顔料の水性プレスケーキ12.5部 (顔料固形分40%)、スチレン/アクリレート/メタクリレート共重合体(酸価約186、重量平均分子量約9900)3部、エチレングリコール22部、グリセリン8部、および水50部からなる水性顔料分散液を作り、超遠心分離機で分散し得なかった顔料粗粒子を除去し、インクジェット用水性青色インキを得た。
【0030】
このインキを用いてピエゾ振動子を有するオンデマンド型のインクジェットプリンターで画像情報をプリントしたところ、ノズルの目詰まりや、ドット再現性などのトラブルの発生が無く、鮮明な青色画像を得た。
【0031】
【発明の効果】
以上の本発明によれば、顔料1g中の繊維状異物の含有量が30本以下に品質管理された顔料が提供される。この繊維状異物の含有量の少ない顔料を使用することで、改善された、および安定した品質の着色剤組成物が提供される。
Claims (3)
- 顔料1g中の繊維状異物の含有量が30本以下であることを特徴とする品質管理された顔料。
- 少なくとも請求項1に記載の品質管理された顔料と樹脂とからなることを特徴とする着色剤組成物。
- 印刷インキ、塗料、ポリマー用着色剤、顔料捺染剤、電子写真用トナー、インクジェット記録用インキ、熱転写記録用インキ、筆記具用インキ、カラーフィルター用着色剤および化粧品用着色剤から選ばれる用途用である請求項2に記載の着色剤組成物。
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JP2002210580A JP2004051764A (ja) | 2002-07-19 | 2002-07-19 | 品質管理された顔料およびそれを使用した着色剤組成物 |
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2017125929A (ja) * | 2016-01-13 | 2017-07-20 | 富士ゼロックス株式会社 | 静電荷像現像用トナー、静電荷像現像剤、トナーカートリッジ、プロセスカートリッジ、画像形成装置及び画像形成方法 |
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2002
- 2002-07-19 JP JP2002210580A patent/JP2004051764A/ja active Pending
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