JP2004051518A - ケトン及び/又はアルデヒドの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】不飽和エーテルとアルコールとから、ケトン及び/又はアルデヒドを製造する新規な方法を提供する。
【解決手段】不飽和エーテルとアルコールとを、周期表の第4族〜第12族に属する金属及び水の存在下に反応させてケトン及び/又はアルデヒドを製造する方法。
【選択図】 なし
【解決手段】不飽和エーテルとアルコールとを、周期表の第4族〜第12族に属する金属及び水の存在下に反応させてケトン及び/又はアルデヒドを製造する方法。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ケトン及び/又はアルデヒドの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
ケトンは、塗料、接着剤、インキ等の溶剤又は工業用洗浄剤等として、アルデヒドは、アルコール製造等の中間体等として、いずれも工業上有用である。従来、これらは、第一級アルコール又は第二級アルコールの酸化又は接触的脱水素、不飽和アルデヒド又は不飽和ケトンの水素化、及び末端又は非末端アルキンの水和等により製造されていた。
【0003】
特公昭48−34728号公報及び特公昭49−48407号公報には、酸性触媒の存在下で少なくともC5共役ジオレフィンと水とを0.05:1乃至50:1の範囲の水対共役ジエン重量比を用いて気相にて反応させるケトンの製造方法が開示されている。しかし、該方法においては、気相反応で比較的多量の水を使用するために多量のエネルギーを必要とすると言う欠点を有していた。
【0004】
特開平4−235140号公報には、第VIII族金属の給源とプロトンの給源とを一緒にすることにより得られ得る触媒系の存在下に共役ジオレフィンと水とを液相にて反応するところのケトンの製造方法が開示されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、不飽和エーテルとアルコールとから、ケトン及び/又はアルデヒドを製造する新規な方法を提供するものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記の課題を解決すべく種々検討した。その結果、不飽和エーテルとアルコールとを、下記所定の金属及び水の存在下に反応させれば、ケトン及び/又はアルデヒドを製造し得ることを見出し、本発明を完成するに至った。不飽和エーテルとアルコールとから、ケトン及び/又はアルデヒドを製造し得ることは、従来、知られていなかったことである。
【0007】
即ち、本発明は、
(1)不飽和エーテルとアルコールとを、周期表の第4族〜第12族に属する金属及び水の存在下に反応させてケトン及び/又はアルデヒドを製造する方法である。
【0008】
好ましい態様として、
(2)不飽和エーテルが、メトキシエテン、エトキシエテン、プロポキシエテン、ブトキシエテン、メトキシプロペン、エトキシプロペン、プロポキシプロペン、ブトキシプロペン、メトキシブテン、エトキシブテン、プロポキシブテン、ブトキシブテン、メトキシペンテン、エトキシペンテン、プロポキシペンテン、ブトキシペンテン、メトキシヘキセン、エトキシヘキセン、プロポキシヘキセン及びブトキシヘキセンより成る群から選ばれる一つ又はそれ以上の化合物であるところの上記(1)記載の方法、
(3)不飽和エーテルが、メトキシエテン、エトキシエテン、プロポキシエテン、ブトキシエテン、3−メトキシ−1−プロペン、3−エトキシ−1−プロペン、3−プロポキシプロペン、3−ブトキシ−1−プロペン、3−メトキシ−1−ブテン、1−メトキシ−2−ブテン、3−エトキシ−1−ブテン、1−エトキシ−2−ブテン、3−プロポキシ−1−ブテン、1−プロポキシ−2−ブテン、3−ブトキシ−1−ブテン、1−ブトキシ−2−ブテン、3−メトキシ−1−ペンテン、1−メトキシ−2−ペンテン、3−エトキシ−1−ペンテン、1−エトキシ−2−ペンテン、3−プロポキシ−1−ペンテン、1−プロポキシ−2−ペンテン、3−ブトキシ−1−ペンテン、1−ブトキシ−2−ペンテン、3−メトキシ−1−ヘキセン、1−メトキシ−2−ヘキセン、3−エトキシ−1−ヘキセン、1−エトキシ−2−ヘキセン、3−プロポキシ−1−ヘキセン、1−プロポキシ−2−ヘキセン、3−ブトキシ−1−ヘキセン及び1−ブトキシ−2−ヘキセンより成る群から選ばれる一つ又はそれ以上の化合物であるところの上記(1)記載の方法、
(4)不飽和エーテルが、3−メトキシ−1−ブテン及び/又は1−メトキシ−2−ブテンである上記(1)記載の方法、
(5)アルコールが、炭素数1〜12個の脂肪族アルコールから選ばれるところの上記(1)〜(4)のいずれか一つの記載の方法、
(6)アルコールが、炭素数1〜8個の脂肪族アルコールから選ばれるところの上記(1)〜(4)のいずれか一つの記載の方法、
(7)アルコールが、炭素数1〜4個の脂肪族アルコールから選ばれるところの上記(1)〜(4)のいずれか一つの記載の方法、
(8)アルコールが、メタノールであるところの上記(1)〜(4)のいずれか一つの記載の方法、
(9)周期表の第4族〜第12族に属する金属が、Pd、Pt、Ni、Ir、Ru、Co、Re、V、Cr、Cu、Zn、Mo、W、Mn、Rh及びZrより成る群から選ばれる一つ又はそれ以上の金属であるところの上記(1)〜(8)のいずれか一つの記載の方法、
(10)周期表の第4族〜第12族に属する金属が、Pd、Pt、Ni、Ir、Ru、Co、Re、V、Cr、Cu及びZnより成る群から選ばれる一つ又はそれ以上の金属であるところの上記(1)〜(8)のいずれか一つの記載の方法、(11)周期表の第4族〜第12族に属する金属が、Pd、Pt、Ni、Ir、Ru、Co及びCuより成る群から選ばれる一つ又はそれ以上の金属であるところの上記(1)〜(8)のいずれか一つの記載の方法、
(12)周期表の第4族〜第12族に属する金属が、担体に担持されているところの上記(1)〜(11)のいずれか一つの記載の方法、
(13)周期表の第4族〜第12族に属する金属が、活性炭、アルミナ、シリカ、シリカ−アルミナ、珪藻土、チタニア、シリカ−チタニア、ゼオライト及び粘土鉱物より成る群から選ばれる一つ又はそれ以上の担体に担持されているところの上記(1)〜(11)のいずれか一つの記載の方法、
(14)周期表の第4族〜第12族に属する金属が、活性炭及び/又はアルミナに担持されているところの上記(1)〜(11)のいずれか一つの記載の方法、
(15)水が、不飽和エーテル1モルに対して0.01〜20モルで存在する上記(1)〜(14)のいずれか一つの記載の方法、
(16)水が、不飽和エーテル1モルに対して、0.1〜10モルで存在する上記(1)〜(14)のいずれか一つの記載の方法、
(17)水が、不飽和エーテル1モルに対して、1〜5モルで存在する上記(1)〜(14)のいずれか一つの記載の方法
を挙げることができる。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明の方法においては、不飽和エーテルとアルコールとからケトン及び/又はアルデヒドが製造される。
【0010】
不飽和エーテルとは、分子内に、少なくとも一つの炭素・炭素二重結合と少なくとも一つのエーテル結合とを有する化合物を言う。該炭素・炭素二重結合及びエーテル結合は、好ましくは夫々一つである。該不飽和エーテルとしては、限定されるものではないが、好ましくは不飽和脂肪族エーテルが使用される。不飽和脂肪族エーテルとしては、例えば、メトキシエテン、エトキシエテン、プロポキシエテン、ブトキシエテン、メトキシプロペン、エトキシプロペン、プロポキシプロペン、ブトキシプロペン、メトキシブテン、エトキシブテン、プロポキシブテン、ブトキシブテン、メトキシペンテン、エトキシペンテン、プロポキシペンテン、ブトキシペンテン、メトキシヘキセン、エトキシヘキセン、プロポキシヘキセン、ブトキシヘキセン等が挙げられる。より好ましくは、メトキシエテン、エトキシエテン、プロポキシエテン、ブトキシエテン、3−メトキシ−1−プロペン、3−エトキシ−1−プロペン、3−プロポキシ−1−プロペン、3−ブトキシ−1−プロペン、3−メトキシ−1−ブテン、1−メトキシ−2−ブテン、3−エトキシ−1−ブテン、1−エトキシ−2−ブテン、3−プロポキシ−1−ブテン、1−プロポキシ−2−ブテン、3−ブトキシ−1−ブテン、1−ブトキシ−2−ブテン、3−メトキシ−1−ペンテン、1−メトキシ−2−ペンテン、3−エトキシ−1−ペンテン、1−エトキシ−2−ペンテン、3−プロポキシ−1−ペンテン、1−プロポキシ−2−ペンテン、3−ブトキシ−1−ペンテン、1−ブトキシ−2−ペンテン、3−メトキシ−1−ヘキセン、1−メトキシ−2−ヘキセン、3−エトキシ−1−ヘキセン、1−エトキシ−2−ヘキセン、3−プロポキシ−1−ヘキセン、1−プロポキシ−2−ヘキセン、3−ブトキシ−1−ヘキセン及び1−ブトキシ−2−ヘキセンが挙げられる。最も好ましくは、3−メトキシ−1−ブテン及び1−メトキシ−2−ブテンが挙げられる。これらは単独又は二以上組合せて使用してもよい。上記の不飽和エーテルのうち、エーテル結合を末端に有するものからアルデヒドが得られ、他のものからケトンが得られる。例えば、3−メトキシ−1−ブテンからはメチルエチルケトンが得られ、一方、1−メトキシ−2−ブテンからはブタナールが得られる。
【0011】
本発明における不飽和エーテルは、例えば、アルキン、又はジエンとアルコールを反応させて得られる。この場合、不飽和エーテルとして、上記反応により得られる異性体混合物を使用することができる。また、上記混合物を分離して得られる単独化合物を使用することもできる。ジエンとして1,3−ブタジエンを使用し、かつアルコールとしてメタノールを使用すれば、3−メトキシ−1−ブテン及び1−メトキシ−2−ブテンの混合物を得ることができ、更に、例えば、蒸留分離により各々の単独化合物を得ることができる。共役ジエンとアルコールとから不飽和エーテルを製造する方法は公知である。例えば、米国特許第2,922,822号明細書、英国特許第943,160号公報、特開昭56−40631号公報、特表平9−508109号公報、特表2001−500868号公報及び特表2001−513075号公報等に開示されている方法を使用することができる。
【0012】
本発明において使用されるアルコールに特に制限はなく、脂肪族アルコール、脂環族アルコール又は芳香族アルコールのいずれも使用することができる。好ましくは脂肪族アルコールが使用される。脂肪族アルコールとしては、炭素数が、好ましくは1〜12個、より好ましくは1〜8個、特に好ましくは1〜4個のものが使用される。これらのうち、好ましくは、メタノール、エタノール、1−プロパノール、イソプロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、イソブタノール、t−ブタノール等が使用される。
【0013】
本発明におけるアルコール/不飽和エーテルのモル比は、上限が好ましくは50、より好ましくは20、更に好ましくは10であり、下限が好ましくは0.01、より好ましくは0.1、更に好ましくは1である。上記上限を超えては、単位時間当たりの目的物の生産効率が低くなり、また、目的生成物の回収、単離等が困難になる。上記下限未満では、反応基質当たりの収率が低くなり、また、望ましくない副生成物が多くなる。
【0014】
本発明における不飽和エーテルとアルコールとの反応は、周期表の第4族〜第12族に属する金属及び水の存在下に行われる。
【0015】
周期表の第4族〜第12族に属する金属としては、例えば、Pd、Pt、Ni、Ir、Ru、Co、Re、V、Cr、Cu、Zn、Mo、W、Mn、Rh、Zr等が挙げられる。これらのうち、好ましくは、Pd、Pt、Ni、Ir、Ru、Co、Re、V、Cr、Cu、Znが使用され、より好ましくはPd、Pt、Ni、Ir、Ru、Co、Cuが使用される。該金属は好ましくは担体に担持されて使用される。担体として、好ましくは活性炭、アルミナ、シリカ、シリカ−アルミナ、珪藻土、チタニア、シリカ−チタニア、ゼオライト、粘土鉱物等が挙げられる。最も好ましくは活性炭又はアルミナが使用される。担体へ金属を担持する方法としては公知の方法、例えば、含浸、共沈、イオン交換法等を使用し得る。担体への金属担持量は、触媒の全体量に対して、好ましくは0.01〜50重量%、より好ましくは0.1〜30重量%、更に好ましくは1〜20重量%である。
【0016】
本発明の反応において使用される水の量は、不飽和エーテル1モルに対して、下限は特に制限はないが、好ましくは0.01モル、より好ましくは0.1モル、更に好ましくは1モルであり、上限が好ましくは20モル、より好ましくは10モル、更に好ましくは5モルである。上記上限を超えては、目的生成物の回収、単離等が煩雑になり、上記下限未満では、目的生成物の生産効率が低くなる。
【0017】
本発明の方法において、反応器として、従来から使用されている公知の反応器を使用することができ、バッチ式又は連続式反応器のいずれでもよい。連続式反応器においては、反応は液相、気相又は気液混相のいずれでも行うことができる。バッチ式反応器においては、反応は好ましくは不活性ガス又は還元性ガス雰囲気下に液相で行われる。液相反応おいては溶媒を使用することができる。溶媒としては、好ましくは炭化水素類例えばドデカン等、エーテル、エステル、ケトン等が挙げられる。周期表の第4族〜第12族に属する金属は、バッチ式反応器を使用した場合には、仕込み不飽和エーテルに対して好ましくは0.001〜20モル%、より好ましくは0.005〜15モル%、更に好ましくは0.01〜10モル%で使用される。
【0018】
本発明において連続式反応器を使用した際には、不飽和エーテル、アルコール及び水の混合物が、好ましくは固定床触媒中に通される。空間速度は、液相反応(LHSV)においては、上限が好ましくは200hr−1、より好ましくは100hr−1、更に好ましくは10hr−1であり、下限が好ましくは0.005hr−1、より好ましくは0.01hr−1、更に好ましくは0.1hr−1であり、気相反応(GHSV)においては、上限が好ましくは100,000hr−1、より好ましくは50,000hr−1、更に好ましくは5,000hr−1であり、下限が好ましくは0.1hr−1、より好ましくは5hr−1、更に好ましくは50hr−1である。上記上限を超えては不飽和エーテルの転化率が低下し、上記下限未満では目的物の生産効率が低下する。
【0019】
反応温度は、上限が好ましくは500℃、より好ましくは450℃、更に好ましくは400℃であり、下限が好ましくは50℃、より好ましくは80℃、更に好ましくは100℃である。上記上限を超えては、望ましくない副生成物の増加、あるいは触媒が劣化し易くなる等の問題がある。上記下限未満では、不飽和エーテルの転化率が低くなり生産効率が悪い。反応中の圧力は、所望の反応温度において所望の反応相を維持し得るものであればよく、上限が好ましくは10MPa、より好ましくは5MPa、更に好ましくは3MPaであり、下限が好ましくは0.001MPa、より好ましくは0.05MPa、更に好ましくは0.1MPaである。
【0020】
以下、本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明はこれら実施例により限定されるものではない。
【0021】
【実施例】
<触媒の還元>
触媒10ミリリットルをステンレス鋼製の固定床管型反応器[内径15.8mm(外径19.2mm)×長さ300mm]中に充填した。
【0022】
触媒充填後、常圧において反応器内に窒素ガスを19ミリリットル/分にて導入して、系内を窒素ガスで置換した後、水素ガスを1ミリリットル/分で導入した。次いで、反応器を50℃/30分の昇温速度で加熱を開始し、約2時間かけて210℃まで昇温した。また、同時にプレヒーターを150℃まで昇温した。反応器の温度が210℃に達し、反応器の入口と出口における水素濃度が等しくなったことを確認した後、反応器の温度を140℃まで下げ、その後水素ガスの導入を停止して、触媒の還元を終えた。
【0023】
【実施例1〜3】
1,3−ブタジエンとメタノールとの反応により、3−メトキシ−1−ブテンと1−メトキシ−2−ブテンの混合物[3−メトキシ−1−ブテン:1−メトキシ−2−ブテン=55:45(モル比)]を製造した。該混合物1モルに対してメタノール2モル、及び水0.004モル、0.25モル又は1.3モルを加えて、3種類の混合液を製造し、夫々実施例1〜3の供給原料として使用した。
【0024】
担体として活性炭を使用し、金属成分としてパラジウムを2重量%担持した触媒(2%Pd/活性炭)を使用した。該触媒を上記のようにして還元した。次いで、窒素ガス流量を30ミリリットル/分まで増加し、次いで、上記の供給原料を10ミリリットル/時間(LHSV=1hr−1に相当する)で150℃に加熱したプレヒーターに導入して気化し、反応器(3,500ミリリットル/時間、GHSV=350hr−1)に導入した。供給原料導入後は、系内を背圧弁で0.1MPaに調節し、かつ反応器温度を150℃に保持した。
【0025】
供給原料の導入を開始してから3時間後、生成物の回収を開始した。ここで、該反応後の生成物は、ドライアイス‐アセトンでイソプロパノールを−78℃に冷却し、該イソプロパノール中に該生成物を15分間かけてバブリングすることにより回収された。次いで、該生成物をガスクロマトグラフィー(内部標準物質:ジエチルカーボネート、島津製作所製GC−14A)を使用して分析して成分を定量した。
【0026】
【実施例4】
担体としてアルミナを使用し、金属成分としてニッケルを60重量%担持した触媒(60%Ni/アルミナ)を使用した以外は、実施例2(水添加量0.25モル)と同一条件で反応を実施し、生成物を定量した。
【0027】
【実施例5】
担体としてアルミナを使用し、金属成分としてニッケルを60重量%担持した触媒(60%Ni/アルミナ)を使用した以外は、実施例3(水添加量1.30モル)と同一条件で反応を実施し、生成物を定量した。
【0028】
【実施例6】
担体としてアルミナを使用し、金属成分として銅を30重量%担持した触媒(30%Cu/アルミナ)を使用した以外は、実施例2(水添加量0.25モル)と同一条件で反応を実施し、生成物を定量した。
【0029】
【実施例7】
担体としてアルミナを使用し、金属成分として銅を30重量%担持した触媒(30%Cu/アルミナ)を使用した以外は、実施例3(水添加量1.30モル)と同一条件で反応を実施し、生成物を定量した。
【0030】
【実施例8】
担体として活性炭を使用し、金属成分として白金を0.5重量%担持した触媒(0.5%Pt/活性炭)を使用したこと及び反応温度を200℃にしたこと以外は、実施例2(水添加量0.25モル)と同一条件で反応を実施し、生成物を定量した。
【0031】
【実施例9】
担体として活性炭を使用し、金属成分としてイリジウムを1重量%担持した触媒(1%Ir/活性炭)を使用したこと及び反応温度を250℃にしたこと以外は、実施例2(水添加量0.25モル)と同一条件で反応を実施し、生成物を定量した。
【0032】
【実施例10】
担体として活性炭を使用し、金属成分としてルテニウムを1重量%担持した触媒(1%Ru/活性炭)を使用したこと及び反応温度を250℃にしたこと以外は、実施例2(水添加量0.25モル)と同一条件で反応を実施し、生成物を定量した。
【0033】
【実施例11】
担体としてアルミナを使用し、金属成分としてコバルトを25重量%担持した触媒(25%Co/アルミナ)を使用したこと及び反応温度を250℃にしたこと以外は、実施例2(水添加量0.25モル)と同一条件で反応を実施し、生成物を定量した。
【0034】
【実施例12】
担体としてアルミナを使用し、金属成分としてコバルトを25重量%担持した触媒(25%Co/アルミナ)を使用したこと及び反応温度を250℃にしたこと以外は、実施例3(水添加量1.30モル)と同一条件で反応を実施し、生成物を定量した。
【0035】
【実施例13】
担体として活性炭を使用し、金属成分としてレニウムを2重量%担持した触媒(2%Re/活性炭)を使用したこと及び反応温度を350℃にしたこと以外は、実施例2(水添加量0.25モル)と同一条件で反応を実施し、生成物を定量した。
【0036】
【実施例14】
担体として活性炭を使用し、金属成分としてバナジウムを1重量%担持した触媒(1%V/活性炭)を使用し、還元処理を実施しなかったこと及び反応温度を350℃にしたこと以外は、実施例2(水添加量0.25モル)と同一条件で反応を実施し、生成物を定量した。
【0037】
【実施例15】
担体として活性炭を使用し、金属成分としてクロムを1重量%担持した触媒(1%Cr/活性炭)を使用し、還元処理を実施しなかったこと及び反応温度を350℃にしたこと以外は、実施例2(水添加量0.25モル)と同一条件で反応を実施し、生成物を定量した。
【0038】
【実施例16】
触媒として、担体を使用せず酸化亜鉛(ZnO)のみを使用し、還元処理を実施しなかったこと及び反応温度を350℃にしたこと以外は、実施例2(水添加量0.25モル)と同一条件で反応を実施し、生成物を定量した。
【0039】
上記の結果を表1に示す。
【0040】
【表1】
*:触媒の還元処理を実施していない。
【0041】
表1において使用した略号は下記の通りである。
MBE:メトキシブテン
MEK:メチルエチルケトン
MB:メトキシブタン
1,1DMB:1,1−ジメトキシブタン
2,2DMB:2,2−ジメトキシブタン
【0042】
上記の表1において、メトキシブテン転化率は、ガスクロマトグラフィーにより反応器入口及び出口におけるメトキシブテンの濃度を測定して算出したものである。また、表1中の生成物収率は主要なもののみを記載した。
【0043】
実施例1〜3は、2%Pd/活性炭触媒を使用して水の添加量を順次変化させたものである。水の添加量を増加するとMBE転化率はそれに伴って増加する。実施例3は、水の添加量を1.3モルにしたものである。MEKに加えてブタナールが生成した。実施例4及び5は、60%Ni/アルミナ触媒を使用したものである。実施例2及び3と同様に、いずれもMBE転化率は高く、かつMEKを高収率で得ることができた。また、水の添加量を1.3モルにした実施例5では、実施例3と同様に、MEKに加えてブタナールが得られた。実施例6及び7は、30%Cu/アルミナ触媒を使用したものである。実施例2及び3と同様に良好な結果が得られた。実施例8〜10は、夫々触媒として、0.5%Pt/活性炭、1%Ir/活性炭、1%Ru/活性炭を使用したものである。MBE転化率は多少低下するものの本発明の効果を十分に満足するものであった。実施例11及び12は、25%Co/アルミナ触媒を使用したものである。実施例2及び3と同様に、いずれもMBE転化率は高く、かつMEKを高収率で得ることができた。また、水の添加量を1.3モルにした実施例12では、実施例3と同様に、MEKに加えてブタナールが得られた。実施例13は、触媒として、2%Re/活性炭を使用したものである。MBE転化率は多少低下するものの本発明の効果を十分に満足するものであった。実施例14〜16は、いずれも触媒の還元処理を行わなかったものである。MEK収率は低いものではあったが、3−メトキシ−1−ブテンと1−メトキシ−2−ブテンの混合物とメタノールからMEKを製造し得ることが分った。
【0044】
【発明の効果】
本発明は、不飽和エーテルとアルコールとから、ケトン及び/又はアルデヒドを製造する新規な方法を提供するものである。
【発明の属する技術分野】
本発明は、ケトン及び/又はアルデヒドの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
ケトンは、塗料、接着剤、インキ等の溶剤又は工業用洗浄剤等として、アルデヒドは、アルコール製造等の中間体等として、いずれも工業上有用である。従来、これらは、第一級アルコール又は第二級アルコールの酸化又は接触的脱水素、不飽和アルデヒド又は不飽和ケトンの水素化、及び末端又は非末端アルキンの水和等により製造されていた。
【0003】
特公昭48−34728号公報及び特公昭49−48407号公報には、酸性触媒の存在下で少なくともC5共役ジオレフィンと水とを0.05:1乃至50:1の範囲の水対共役ジエン重量比を用いて気相にて反応させるケトンの製造方法が開示されている。しかし、該方法においては、気相反応で比較的多量の水を使用するために多量のエネルギーを必要とすると言う欠点を有していた。
【0004】
特開平4−235140号公報には、第VIII族金属の給源とプロトンの給源とを一緒にすることにより得られ得る触媒系の存在下に共役ジオレフィンと水とを液相にて反応するところのケトンの製造方法が開示されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、不飽和エーテルとアルコールとから、ケトン及び/又はアルデヒドを製造する新規な方法を提供するものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記の課題を解決すべく種々検討した。その結果、不飽和エーテルとアルコールとを、下記所定の金属及び水の存在下に反応させれば、ケトン及び/又はアルデヒドを製造し得ることを見出し、本発明を完成するに至った。不飽和エーテルとアルコールとから、ケトン及び/又はアルデヒドを製造し得ることは、従来、知られていなかったことである。
【0007】
即ち、本発明は、
(1)不飽和エーテルとアルコールとを、周期表の第4族〜第12族に属する金属及び水の存在下に反応させてケトン及び/又はアルデヒドを製造する方法である。
【0008】
好ましい態様として、
(2)不飽和エーテルが、メトキシエテン、エトキシエテン、プロポキシエテン、ブトキシエテン、メトキシプロペン、エトキシプロペン、プロポキシプロペン、ブトキシプロペン、メトキシブテン、エトキシブテン、プロポキシブテン、ブトキシブテン、メトキシペンテン、エトキシペンテン、プロポキシペンテン、ブトキシペンテン、メトキシヘキセン、エトキシヘキセン、プロポキシヘキセン及びブトキシヘキセンより成る群から選ばれる一つ又はそれ以上の化合物であるところの上記(1)記載の方法、
(3)不飽和エーテルが、メトキシエテン、エトキシエテン、プロポキシエテン、ブトキシエテン、3−メトキシ−1−プロペン、3−エトキシ−1−プロペン、3−プロポキシプロペン、3−ブトキシ−1−プロペン、3−メトキシ−1−ブテン、1−メトキシ−2−ブテン、3−エトキシ−1−ブテン、1−エトキシ−2−ブテン、3−プロポキシ−1−ブテン、1−プロポキシ−2−ブテン、3−ブトキシ−1−ブテン、1−ブトキシ−2−ブテン、3−メトキシ−1−ペンテン、1−メトキシ−2−ペンテン、3−エトキシ−1−ペンテン、1−エトキシ−2−ペンテン、3−プロポキシ−1−ペンテン、1−プロポキシ−2−ペンテン、3−ブトキシ−1−ペンテン、1−ブトキシ−2−ペンテン、3−メトキシ−1−ヘキセン、1−メトキシ−2−ヘキセン、3−エトキシ−1−ヘキセン、1−エトキシ−2−ヘキセン、3−プロポキシ−1−ヘキセン、1−プロポキシ−2−ヘキセン、3−ブトキシ−1−ヘキセン及び1−ブトキシ−2−ヘキセンより成る群から選ばれる一つ又はそれ以上の化合物であるところの上記(1)記載の方法、
(4)不飽和エーテルが、3−メトキシ−1−ブテン及び/又は1−メトキシ−2−ブテンである上記(1)記載の方法、
(5)アルコールが、炭素数1〜12個の脂肪族アルコールから選ばれるところの上記(1)〜(4)のいずれか一つの記載の方法、
(6)アルコールが、炭素数1〜8個の脂肪族アルコールから選ばれるところの上記(1)〜(4)のいずれか一つの記載の方法、
(7)アルコールが、炭素数1〜4個の脂肪族アルコールから選ばれるところの上記(1)〜(4)のいずれか一つの記載の方法、
(8)アルコールが、メタノールであるところの上記(1)〜(4)のいずれか一つの記載の方法、
(9)周期表の第4族〜第12族に属する金属が、Pd、Pt、Ni、Ir、Ru、Co、Re、V、Cr、Cu、Zn、Mo、W、Mn、Rh及びZrより成る群から選ばれる一つ又はそれ以上の金属であるところの上記(1)〜(8)のいずれか一つの記載の方法、
(10)周期表の第4族〜第12族に属する金属が、Pd、Pt、Ni、Ir、Ru、Co、Re、V、Cr、Cu及びZnより成る群から選ばれる一つ又はそれ以上の金属であるところの上記(1)〜(8)のいずれか一つの記載の方法、(11)周期表の第4族〜第12族に属する金属が、Pd、Pt、Ni、Ir、Ru、Co及びCuより成る群から選ばれる一つ又はそれ以上の金属であるところの上記(1)〜(8)のいずれか一つの記載の方法、
(12)周期表の第4族〜第12族に属する金属が、担体に担持されているところの上記(1)〜(11)のいずれか一つの記載の方法、
(13)周期表の第4族〜第12族に属する金属が、活性炭、アルミナ、シリカ、シリカ−アルミナ、珪藻土、チタニア、シリカ−チタニア、ゼオライト及び粘土鉱物より成る群から選ばれる一つ又はそれ以上の担体に担持されているところの上記(1)〜(11)のいずれか一つの記載の方法、
(14)周期表の第4族〜第12族に属する金属が、活性炭及び/又はアルミナに担持されているところの上記(1)〜(11)のいずれか一つの記載の方法、
(15)水が、不飽和エーテル1モルに対して0.01〜20モルで存在する上記(1)〜(14)のいずれか一つの記載の方法、
(16)水が、不飽和エーテル1モルに対して、0.1〜10モルで存在する上記(1)〜(14)のいずれか一つの記載の方法、
(17)水が、不飽和エーテル1モルに対して、1〜5モルで存在する上記(1)〜(14)のいずれか一つの記載の方法
を挙げることができる。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明の方法においては、不飽和エーテルとアルコールとからケトン及び/又はアルデヒドが製造される。
【0010】
不飽和エーテルとは、分子内に、少なくとも一つの炭素・炭素二重結合と少なくとも一つのエーテル結合とを有する化合物を言う。該炭素・炭素二重結合及びエーテル結合は、好ましくは夫々一つである。該不飽和エーテルとしては、限定されるものではないが、好ましくは不飽和脂肪族エーテルが使用される。不飽和脂肪族エーテルとしては、例えば、メトキシエテン、エトキシエテン、プロポキシエテン、ブトキシエテン、メトキシプロペン、エトキシプロペン、プロポキシプロペン、ブトキシプロペン、メトキシブテン、エトキシブテン、プロポキシブテン、ブトキシブテン、メトキシペンテン、エトキシペンテン、プロポキシペンテン、ブトキシペンテン、メトキシヘキセン、エトキシヘキセン、プロポキシヘキセン、ブトキシヘキセン等が挙げられる。より好ましくは、メトキシエテン、エトキシエテン、プロポキシエテン、ブトキシエテン、3−メトキシ−1−プロペン、3−エトキシ−1−プロペン、3−プロポキシ−1−プロペン、3−ブトキシ−1−プロペン、3−メトキシ−1−ブテン、1−メトキシ−2−ブテン、3−エトキシ−1−ブテン、1−エトキシ−2−ブテン、3−プロポキシ−1−ブテン、1−プロポキシ−2−ブテン、3−ブトキシ−1−ブテン、1−ブトキシ−2−ブテン、3−メトキシ−1−ペンテン、1−メトキシ−2−ペンテン、3−エトキシ−1−ペンテン、1−エトキシ−2−ペンテン、3−プロポキシ−1−ペンテン、1−プロポキシ−2−ペンテン、3−ブトキシ−1−ペンテン、1−ブトキシ−2−ペンテン、3−メトキシ−1−ヘキセン、1−メトキシ−2−ヘキセン、3−エトキシ−1−ヘキセン、1−エトキシ−2−ヘキセン、3−プロポキシ−1−ヘキセン、1−プロポキシ−2−ヘキセン、3−ブトキシ−1−ヘキセン及び1−ブトキシ−2−ヘキセンが挙げられる。最も好ましくは、3−メトキシ−1−ブテン及び1−メトキシ−2−ブテンが挙げられる。これらは単独又は二以上組合せて使用してもよい。上記の不飽和エーテルのうち、エーテル結合を末端に有するものからアルデヒドが得られ、他のものからケトンが得られる。例えば、3−メトキシ−1−ブテンからはメチルエチルケトンが得られ、一方、1−メトキシ−2−ブテンからはブタナールが得られる。
【0011】
本発明における不飽和エーテルは、例えば、アルキン、又はジエンとアルコールを反応させて得られる。この場合、不飽和エーテルとして、上記反応により得られる異性体混合物を使用することができる。また、上記混合物を分離して得られる単独化合物を使用することもできる。ジエンとして1,3−ブタジエンを使用し、かつアルコールとしてメタノールを使用すれば、3−メトキシ−1−ブテン及び1−メトキシ−2−ブテンの混合物を得ることができ、更に、例えば、蒸留分離により各々の単独化合物を得ることができる。共役ジエンとアルコールとから不飽和エーテルを製造する方法は公知である。例えば、米国特許第2,922,822号明細書、英国特許第943,160号公報、特開昭56−40631号公報、特表平9−508109号公報、特表2001−500868号公報及び特表2001−513075号公報等に開示されている方法を使用することができる。
【0012】
本発明において使用されるアルコールに特に制限はなく、脂肪族アルコール、脂環族アルコール又は芳香族アルコールのいずれも使用することができる。好ましくは脂肪族アルコールが使用される。脂肪族アルコールとしては、炭素数が、好ましくは1〜12個、より好ましくは1〜8個、特に好ましくは1〜4個のものが使用される。これらのうち、好ましくは、メタノール、エタノール、1−プロパノール、イソプロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、イソブタノール、t−ブタノール等が使用される。
【0013】
本発明におけるアルコール/不飽和エーテルのモル比は、上限が好ましくは50、より好ましくは20、更に好ましくは10であり、下限が好ましくは0.01、より好ましくは0.1、更に好ましくは1である。上記上限を超えては、単位時間当たりの目的物の生産効率が低くなり、また、目的生成物の回収、単離等が困難になる。上記下限未満では、反応基質当たりの収率が低くなり、また、望ましくない副生成物が多くなる。
【0014】
本発明における不飽和エーテルとアルコールとの反応は、周期表の第4族〜第12族に属する金属及び水の存在下に行われる。
【0015】
周期表の第4族〜第12族に属する金属としては、例えば、Pd、Pt、Ni、Ir、Ru、Co、Re、V、Cr、Cu、Zn、Mo、W、Mn、Rh、Zr等が挙げられる。これらのうち、好ましくは、Pd、Pt、Ni、Ir、Ru、Co、Re、V、Cr、Cu、Znが使用され、より好ましくはPd、Pt、Ni、Ir、Ru、Co、Cuが使用される。該金属は好ましくは担体に担持されて使用される。担体として、好ましくは活性炭、アルミナ、シリカ、シリカ−アルミナ、珪藻土、チタニア、シリカ−チタニア、ゼオライト、粘土鉱物等が挙げられる。最も好ましくは活性炭又はアルミナが使用される。担体へ金属を担持する方法としては公知の方法、例えば、含浸、共沈、イオン交換法等を使用し得る。担体への金属担持量は、触媒の全体量に対して、好ましくは0.01〜50重量%、より好ましくは0.1〜30重量%、更に好ましくは1〜20重量%である。
【0016】
本発明の反応において使用される水の量は、不飽和エーテル1モルに対して、下限は特に制限はないが、好ましくは0.01モル、より好ましくは0.1モル、更に好ましくは1モルであり、上限が好ましくは20モル、より好ましくは10モル、更に好ましくは5モルである。上記上限を超えては、目的生成物の回収、単離等が煩雑になり、上記下限未満では、目的生成物の生産効率が低くなる。
【0017】
本発明の方法において、反応器として、従来から使用されている公知の反応器を使用することができ、バッチ式又は連続式反応器のいずれでもよい。連続式反応器においては、反応は液相、気相又は気液混相のいずれでも行うことができる。バッチ式反応器においては、反応は好ましくは不活性ガス又は還元性ガス雰囲気下に液相で行われる。液相反応おいては溶媒を使用することができる。溶媒としては、好ましくは炭化水素類例えばドデカン等、エーテル、エステル、ケトン等が挙げられる。周期表の第4族〜第12族に属する金属は、バッチ式反応器を使用した場合には、仕込み不飽和エーテルに対して好ましくは0.001〜20モル%、より好ましくは0.005〜15モル%、更に好ましくは0.01〜10モル%で使用される。
【0018】
本発明において連続式反応器を使用した際には、不飽和エーテル、アルコール及び水の混合物が、好ましくは固定床触媒中に通される。空間速度は、液相反応(LHSV)においては、上限が好ましくは200hr−1、より好ましくは100hr−1、更に好ましくは10hr−1であり、下限が好ましくは0.005hr−1、より好ましくは0.01hr−1、更に好ましくは0.1hr−1であり、気相反応(GHSV)においては、上限が好ましくは100,000hr−1、より好ましくは50,000hr−1、更に好ましくは5,000hr−1であり、下限が好ましくは0.1hr−1、より好ましくは5hr−1、更に好ましくは50hr−1である。上記上限を超えては不飽和エーテルの転化率が低下し、上記下限未満では目的物の生産効率が低下する。
【0019】
反応温度は、上限が好ましくは500℃、より好ましくは450℃、更に好ましくは400℃であり、下限が好ましくは50℃、より好ましくは80℃、更に好ましくは100℃である。上記上限を超えては、望ましくない副生成物の増加、あるいは触媒が劣化し易くなる等の問題がある。上記下限未満では、不飽和エーテルの転化率が低くなり生産効率が悪い。反応中の圧力は、所望の反応温度において所望の反応相を維持し得るものであればよく、上限が好ましくは10MPa、より好ましくは5MPa、更に好ましくは3MPaであり、下限が好ましくは0.001MPa、より好ましくは0.05MPa、更に好ましくは0.1MPaである。
【0020】
以下、本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明はこれら実施例により限定されるものではない。
【0021】
【実施例】
<触媒の還元>
触媒10ミリリットルをステンレス鋼製の固定床管型反応器[内径15.8mm(外径19.2mm)×長さ300mm]中に充填した。
【0022】
触媒充填後、常圧において反応器内に窒素ガスを19ミリリットル/分にて導入して、系内を窒素ガスで置換した後、水素ガスを1ミリリットル/分で導入した。次いで、反応器を50℃/30分の昇温速度で加熱を開始し、約2時間かけて210℃まで昇温した。また、同時にプレヒーターを150℃まで昇温した。反応器の温度が210℃に達し、反応器の入口と出口における水素濃度が等しくなったことを確認した後、反応器の温度を140℃まで下げ、その後水素ガスの導入を停止して、触媒の還元を終えた。
【0023】
【実施例1〜3】
1,3−ブタジエンとメタノールとの反応により、3−メトキシ−1−ブテンと1−メトキシ−2−ブテンの混合物[3−メトキシ−1−ブテン:1−メトキシ−2−ブテン=55:45(モル比)]を製造した。該混合物1モルに対してメタノール2モル、及び水0.004モル、0.25モル又は1.3モルを加えて、3種類の混合液を製造し、夫々実施例1〜3の供給原料として使用した。
【0024】
担体として活性炭を使用し、金属成分としてパラジウムを2重量%担持した触媒(2%Pd/活性炭)を使用した。該触媒を上記のようにして還元した。次いで、窒素ガス流量を30ミリリットル/分まで増加し、次いで、上記の供給原料を10ミリリットル/時間(LHSV=1hr−1に相当する)で150℃に加熱したプレヒーターに導入して気化し、反応器(3,500ミリリットル/時間、GHSV=350hr−1)に導入した。供給原料導入後は、系内を背圧弁で0.1MPaに調節し、かつ反応器温度を150℃に保持した。
【0025】
供給原料の導入を開始してから3時間後、生成物の回収を開始した。ここで、該反応後の生成物は、ドライアイス‐アセトンでイソプロパノールを−78℃に冷却し、該イソプロパノール中に該生成物を15分間かけてバブリングすることにより回収された。次いで、該生成物をガスクロマトグラフィー(内部標準物質:ジエチルカーボネート、島津製作所製GC−14A)を使用して分析して成分を定量した。
【0026】
【実施例4】
担体としてアルミナを使用し、金属成分としてニッケルを60重量%担持した触媒(60%Ni/アルミナ)を使用した以外は、実施例2(水添加量0.25モル)と同一条件で反応を実施し、生成物を定量した。
【0027】
【実施例5】
担体としてアルミナを使用し、金属成分としてニッケルを60重量%担持した触媒(60%Ni/アルミナ)を使用した以外は、実施例3(水添加量1.30モル)と同一条件で反応を実施し、生成物を定量した。
【0028】
【実施例6】
担体としてアルミナを使用し、金属成分として銅を30重量%担持した触媒(30%Cu/アルミナ)を使用した以外は、実施例2(水添加量0.25モル)と同一条件で反応を実施し、生成物を定量した。
【0029】
【実施例7】
担体としてアルミナを使用し、金属成分として銅を30重量%担持した触媒(30%Cu/アルミナ)を使用した以外は、実施例3(水添加量1.30モル)と同一条件で反応を実施し、生成物を定量した。
【0030】
【実施例8】
担体として活性炭を使用し、金属成分として白金を0.5重量%担持した触媒(0.5%Pt/活性炭)を使用したこと及び反応温度を200℃にしたこと以外は、実施例2(水添加量0.25モル)と同一条件で反応を実施し、生成物を定量した。
【0031】
【実施例9】
担体として活性炭を使用し、金属成分としてイリジウムを1重量%担持した触媒(1%Ir/活性炭)を使用したこと及び反応温度を250℃にしたこと以外は、実施例2(水添加量0.25モル)と同一条件で反応を実施し、生成物を定量した。
【0032】
【実施例10】
担体として活性炭を使用し、金属成分としてルテニウムを1重量%担持した触媒(1%Ru/活性炭)を使用したこと及び反応温度を250℃にしたこと以外は、実施例2(水添加量0.25モル)と同一条件で反応を実施し、生成物を定量した。
【0033】
【実施例11】
担体としてアルミナを使用し、金属成分としてコバルトを25重量%担持した触媒(25%Co/アルミナ)を使用したこと及び反応温度を250℃にしたこと以外は、実施例2(水添加量0.25モル)と同一条件で反応を実施し、生成物を定量した。
【0034】
【実施例12】
担体としてアルミナを使用し、金属成分としてコバルトを25重量%担持した触媒(25%Co/アルミナ)を使用したこと及び反応温度を250℃にしたこと以外は、実施例3(水添加量1.30モル)と同一条件で反応を実施し、生成物を定量した。
【0035】
【実施例13】
担体として活性炭を使用し、金属成分としてレニウムを2重量%担持した触媒(2%Re/活性炭)を使用したこと及び反応温度を350℃にしたこと以外は、実施例2(水添加量0.25モル)と同一条件で反応を実施し、生成物を定量した。
【0036】
【実施例14】
担体として活性炭を使用し、金属成分としてバナジウムを1重量%担持した触媒(1%V/活性炭)を使用し、還元処理を実施しなかったこと及び反応温度を350℃にしたこと以外は、実施例2(水添加量0.25モル)と同一条件で反応を実施し、生成物を定量した。
【0037】
【実施例15】
担体として活性炭を使用し、金属成分としてクロムを1重量%担持した触媒(1%Cr/活性炭)を使用し、還元処理を実施しなかったこと及び反応温度を350℃にしたこと以外は、実施例2(水添加量0.25モル)と同一条件で反応を実施し、生成物を定量した。
【0038】
【実施例16】
触媒として、担体を使用せず酸化亜鉛(ZnO)のみを使用し、還元処理を実施しなかったこと及び反応温度を350℃にしたこと以外は、実施例2(水添加量0.25モル)と同一条件で反応を実施し、生成物を定量した。
【0039】
上記の結果を表1に示す。
【0040】
【表1】
*:触媒の還元処理を実施していない。
【0041】
表1において使用した略号は下記の通りである。
MBE:メトキシブテン
MEK:メチルエチルケトン
MB:メトキシブタン
1,1DMB:1,1−ジメトキシブタン
2,2DMB:2,2−ジメトキシブタン
【0042】
上記の表1において、メトキシブテン転化率は、ガスクロマトグラフィーにより反応器入口及び出口におけるメトキシブテンの濃度を測定して算出したものである。また、表1中の生成物収率は主要なもののみを記載した。
【0043】
実施例1〜3は、2%Pd/活性炭触媒を使用して水の添加量を順次変化させたものである。水の添加量を増加するとMBE転化率はそれに伴って増加する。実施例3は、水の添加量を1.3モルにしたものである。MEKに加えてブタナールが生成した。実施例4及び5は、60%Ni/アルミナ触媒を使用したものである。実施例2及び3と同様に、いずれもMBE転化率は高く、かつMEKを高収率で得ることができた。また、水の添加量を1.3モルにした実施例5では、実施例3と同様に、MEKに加えてブタナールが得られた。実施例6及び7は、30%Cu/アルミナ触媒を使用したものである。実施例2及び3と同様に良好な結果が得られた。実施例8〜10は、夫々触媒として、0.5%Pt/活性炭、1%Ir/活性炭、1%Ru/活性炭を使用したものである。MBE転化率は多少低下するものの本発明の効果を十分に満足するものであった。実施例11及び12は、25%Co/アルミナ触媒を使用したものである。実施例2及び3と同様に、いずれもMBE転化率は高く、かつMEKを高収率で得ることができた。また、水の添加量を1.3モルにした実施例12では、実施例3と同様に、MEKに加えてブタナールが得られた。実施例13は、触媒として、2%Re/活性炭を使用したものである。MBE転化率は多少低下するものの本発明の効果を十分に満足するものであった。実施例14〜16は、いずれも触媒の還元処理を行わなかったものである。MEK収率は低いものではあったが、3−メトキシ−1−ブテンと1−メトキシ−2−ブテンの混合物とメタノールからMEKを製造し得ることが分った。
【0044】
【発明の効果】
本発明は、不飽和エーテルとアルコールとから、ケトン及び/又はアルデヒドを製造する新規な方法を提供するものである。
Claims (1)
- 不飽和エーテルとアルコールとを、周期表の第4族〜第12族に属する金属及び水の存在下に反応させてケトン及び/又はアルデヒドを製造する方法。
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Cited By (1)
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2002
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