JP2004051493A - 濃縮粗大豆オリゴ糖液及びその製造法 - Google Patents
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Abstract
又、本発明は蛋白質や脂質が少なく、濃縮に際しては着色が少なく、オリゴ糖分解が極めて少ない濃縮方法を目的とした。
【解決手段】濃縮粗大豆オリゴ糖液の固形分が45〜75重量%で、乾燥固形分当たり糖質含量が60重量%〜80重量%、粗蛋白質含量が15重量%〜3重量%、脂質含量が0.2重量%〜0.001重量%である濃縮粗大豆オリゴ糖液。又、大豆を脱皮し75℃以上の温水系下に大豆オリゴ糖を抽出し濃縮することを特徴とする濃縮粗大豆オリゴ糖液の製造法。
【選択図】なし。
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は濃縮粗大豆オリゴ糖液及びその製造法に関する。
【0002】
【従来の技術】
精製されたオリゴ糖液の規格は乾燥固形分当たり蛋白質含量が1重量%以下、脂質が0重量%、糖質が99重量%以上であり、シロップとして固形分は77±1重量%である。
このオリゴ糖液を精製する原料としての粗オリゴ糖液として大豆から得られるホエーを濃縮したものが検討されてきた。
例えば、大豆から大豆オリゴ糖を水性媒体あるいはアルコールなど有機溶媒で抽出し濃縮する方法が試みられてきた。
大豆を水性媒体で抽出する方法として、Nippon Shokuhin Kogyo GakkaishiVol.36.,No.8,636〜642及びVol.38.,No.9,770〜775に記載の発明が知られている。しかし、濃縮されたものではなく、乾燥品では潮解性があるので取り扱いに問題がある。
その他、市販豆腐の製造工程においては大豆を水浸漬して膨潤させた後大豆を水切りした後の水に多少大豆オリゴ糖が溶出するが、その量は少なくオリゴ糖原料としては適していない。
また、大豆をブランチングして大豆オリゴ糖の溶出したホエーも知られているが、本発明のように特定の高濃度に濃縮してビフィズス因子に用いることは知られていない。
また、大豆から温水抽出したホエーを入浴剤(特開平7−304655号公報)に使用することも知られているが、本発明のようにビフィズス因子用に特定の濃度に濃縮することは知られていない。
【0003】
一方、工業的に分離大豆蛋白を製造する工程において、脱脂大豆より水抽出してオカラを除去した豆乳から更に大豆蛋白を分離すると大豆ホエーが得られるが、脱脂大豆から水抽出して得られるホエーには、大豆オリゴ糖だけでなく大豆アルブミン等の蛋白質も壊れた細胞から溶出する。
そこで溶出した大豆蛋白を除去してこの大豆ホエーから大豆オリゴ糖を製造する方法として、特開昭60−66978号公報には、大豆ホエーを塩化カルシウム存在下に水酸化カルシウムで中和するとともに加熱し、生じた沈殿物を除去し膜処理する方法が開示されている。
また、本出願人は特許第2635210号に、大豆ホエーを加熱処理した後リン酸にてpH3.0以下に調製し生じた沈殿を除去し膜処理する方法を開示している。
以上のように分離大豆蛋白を製造する工程で得られるホエーは蛋白質(主に大豆アルブミン)を多く含み、そのまま濃縮すると蛋白質濃度が高くなって粘度が上昇し、約35重量%固形分以上の高濃度に濃縮することは困難である。
【0004】
また、アルコールを用いて抽出する方法として、例えば特開昭62−155082号公報には、脱脂大豆をアルコール溶液で抽出して大豆オリゴ糖を含む物質を得る方法が開示されているが、脂質を含むのでビフィズス菌因子として用いる場合脂質を除去しなければならない。
本出願人は、大豆オリゴ糖の製造法(特開平4−187695号公報)など、大豆ホエーからオリゴ糖を製造する研究を行って来た。
大豆オリゴ糖は主にビフィズス因子など(特開平3−22971号公報、特開昭60−066978号公報等)として利用されたり、低甘味糖など利用されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
脱脂大豆から分離大豆蛋白を製造する工程で得られる大豆ホエーは蛋白質含量が高く高濃度に濃縮すると粘度が上昇しせいぜい35%程度の濃縮しか出来ない。一方、大豆よりアルコール抽出して得られる濃縮ホエーは脂質を含みそのままではビフィズス菌用などの利用には不適である。
本発明はオリゴ糖の濃度が高くかつ蛋白質含量および脂質含量が少なく、固形分を腐敗の懸念のない約55%程度に濃縮しても流動性を有する液体の濃縮オリゴ糖液を目的とした。
又、本発明は蛋白質や脂質が少なく、濃縮に際しては着色が少なく、オリゴ糖分解が極めて少ない濃縮方法を目的とした。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、大豆抽出溶液調製において温度と加水倍率に留意し、濃縮においては温度とpHに留意することで上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに到った。
即ち、本発明は、濃縮粗大豆オリゴ糖液の固形分が45〜75重量%で、乾燥固形分当たり糖質含量が60重量%〜80重量%、粗蛋白質含量が15重量%〜3重量%、脂質含量が1重量%〜0.001重量%である濃縮粗大豆オリゴ糖液である。
また、濃縮粗大豆オリゴ糖液の固形分は53〜75重量%が好ましい。
また、濃縮粗大豆オリゴ糖液はビフィズス因子が好ましい。
また、本発明は、大豆を脱皮し75℃以上の温水系下に大豆オリゴ糖を抽出し濃縮することを特徴とする濃縮粗大豆オリゴ糖液の製造法である。
大豆に対する温水の量は2.5〜6倍量が好ましい。
抽出オリゴ糖液をpH4.0からpH6.0の範囲で濃縮することが好ましい。
抽出オリゴ糖液を濃縮する温度は80℃以下が好ましい。
抽出オリゴ糖液を濃縮する態様は減圧濃縮が好ましい。
濃縮粗大豆オリゴ糖液の製造工程のいずれかで精製(除蛋白、脱塩及び/又は脱色)することが好ましい。
【0007】
【発明の実施の形態】
まず、本発明の濃縮粗大豆オリゴ糖液について説明する。
本発明の濃縮粗大豆オリゴ糖液は精製されたオリゴ糖液に至ってない粗(クルード)な濃縮粗大豆オリゴ糖液であり、特に精製オリゴ糖の製造のための原料として極めて適したものである。
【0008】
本発明の濃縮粗大豆オリゴ糖液は、乾燥固形分当たり粗蛋白質含量が15重量%〜3重量%、好ましくは12重量%〜7重量%が適当である。
脱脂大豆から分離大豆蛋白を製造する工程で得られるホエー中の粗蛋白質の含有量は乾燥固形分中通常18重量%以上である。
本発明の濃縮粗大豆オリゴ糖液の乾燥固形分当たりの粗蛋白質含量が低いほど目的のオリゴ糖の含有量を高くできるだけでなく、濃縮粗大豆オリゴ糖液の粘度の上昇を防ぐことができるので高濃度に濃縮することが可能である。例えば、分離大豆蛋白ホエーは乾燥固形分が50%付近における粘度が7000mPas超、アルコール抽出液では粘度が2000mPas超となるのに対し、本発明の濃縮粗大豆オリゴ糖液は乾燥固形分が50%付近でも粘度が300mPas以下の低粘度であり、大豆オリゴ糖の精製原料として優れている。
本発明の製造過程において、除蛋白処理をすれば、粗蛋白質含量をさらに乾燥固形分当たり3重量%未満にまで低下させることが可能である。
【0009】
本発明の濃縮粗大豆オリゴ糖液は、乾燥固形分当たりの脂質含量が1重量%〜0.001重量%、好ましくは0.05重量%〜0.001重量%が適当である。本発明の製造法の特徴は脂質を極めて低くすることができることにある。また、脱脂処理をすれば微量ではあるが0.001重量%未満にすることが可能である。
オリゴ糖液の用途にもよるが、例えばビフィズス因子として利用する場合、脂質が多いとビフィズス菌の増殖だけでなくビフィズス菌を用いた飲料素材として不適になる場合があり好ましくない。
【0010】
本発明の濃縮粗大豆オリゴ糖液は、乾燥固形分当たり糖質含量が60重量%〜80重量%、好ましくは65重量%〜80重量%、より好ましくは70重量%〜80重量%が適当である。
本発明の製造工程において、除蛋白や脱塩処理をすれば糖質含量をこれ以上に上げることが可能である。
糖質含量が高いほどオリゴ糖原料として適当であるだけでなく、水分活性(AW)を高く保つことができるので原料の保存中、運搬中の菌による腐敗を防止することができる。
尚、糖質としてはシュークロースがもっとも割合が多いが3糖以上のオリゴ糖としてスタキオース、ラフィノース、ベルバスコースなどを含むものである。これらの糖類がビフィズス因子として重要な役割を果たすものである。
【0011】
本発明の濃縮粗大豆オリゴ糖液の固形分は45〜75重量%、好ましくは53重量%〜75重量%が適当である。
本発明の濃縮粗大豆オリゴ糖液は粗オリゴ糖である。糖質だけでなく蛋白質、微量の脂質及び塩類その他微量成分を含むからである。
固形分濃度が低いと水分活性(Aw)が小さくなり、殺菌処理して無菌的に保存しないと菌の増殖が可能になり大豆オリゴ糖液の保存や運搬中に腐敗する恐れがあり好ましくない。ちなみに、固形分45重量%未満では細菌の繁殖が見られ好ましくない。
また、固形分が53重量%以上では細菌及び酵母の生育が認められない。
濃縮粗大豆オリゴ糖液の固形分は高いほど輸送コストが安くなるだけでなく菌による腐敗を防止できるので好ましいが、固形分が高くなりすぎると流動性が失われ溶液として扱うことが困難になるので工業的に濃縮したり、容器(タンク、パックなど)に充填したりタンク輸送などには不適となるので好ましくない。もっとも、流動性が失われるまで濃縮してペーストとしたり可塑性素材、或いは噴霧乾燥して粉体とすることもできるが大豆オリゴ糖は潮解性があるので取り扱いが不便である。
ちなみに、本発明の濃縮粗大豆オリゴ糖液の固形分が55重量%のときのAwは0.86となり、本発明の濃縮オリゴ糖液の固形分が50重量%ではAwは0.89となる。通常、Aw0.94以下で細菌増殖を抑制することができ、AW0.88以下で酵母増殖を抑制することができ、AW0.80以下でカビの増殖を抑制することができる。
【0012】
本発明の濃縮粗大豆オリゴ糖液はそのままオリゴ糖の原料として利用できる。主にビフィズス因子として好適である。
本発明の濃縮粗大豆オリゴ糖液は必要により、更に除蛋白、脂質除去、脱塩、脱色などの処理を行ってオリゴ糖の純度を上げることができる。尚、除蛋白、脂質の除去、脱塩、脱色などの処理は公知の手段を利用することができる。
例えば、アルカリ金属塩やアルカリ土類金属、リン酸を添加し加熱して蛋白質を沈殿除去したり、膜処理により除蛋白や脱塩をしたり、樹脂処理により脱色や脱塩などをすることができる。
本発明の濃縮粗大豆オリゴ糖液は濃縮したままでもビフィズス因子として利用することができるが、オリゴ糖の含有量を上げるため前記のように除蛋白、脱塩、あるいは脂質の除去をすることができる。
例えば、除蛋白、脱塩処理すると、実施例に示すように水分35%、粗蛋白質0.01%、灰分0.03%、糖質65%程度までオリゴ糖の純度を上げることができる。
【0013】
次に、本発明の濃縮粗大豆オリゴ糖液の製造法について説明する。
本発明は大豆を脱皮し80℃以上の水系下に大豆オリゴ糖を抽出し濃縮することを特徴とする濃縮粗大豆オリゴ糖液の製造法である。
【0014】
本発明に用いる大豆は脱皮大豆、好ましくは脱胚軸した大豆が適当である。通常、大豆を半割れし風選などして皮を除くことができる。重要なことは大豆を粉砕しないことである。せいぜい半割れ〜4つ割れ程度が好適である。
大豆を粉砕して細かくすると、大豆の細胞が壊れプロテインボディーやリピッドボディーが破壊されて温水で抽出する場合に大豆の細胞から蛋白質や脂質が溶出するので好ましくない。
大豆を脱皮することにより温水中に糖類が溶出しやすくなる。このとき大豆は半割れ〜4つ割れ程度であるので蛋白質や脂質の溶出が極めて少ないものである。
脱胚軸は必ずしも必要ではないが、オリゴ糖液の風味を良くしたり、美肌効果を有するイソフラボンなどの摂取を目的としないのであれば脱胚軸することもできる。
【0015】
本発明において大豆から温水でオリゴ糖を抽出する温度は、70℃以上、好ましくは75℃〜100℃の温水系下に大豆オリゴ糖を抽出することが適当である。常圧下では100℃以下が通常であるが、加圧下においては圧力に応じた沸点以下の温度で抽出することができる。例えばゲージ圧1kg/cm2では120℃とすることができる。
オリゴ糖の分解を抑えかつ大豆からの溶出を促進し、蛋白質などの溶出を防ぐには高圧下より常圧が好ましく、75〜100℃、好ましくは80℃〜100℃が適当である。
【0016】
また、抽出時間は抽出温度が高いほど短時間でよい。例えば80℃では1〜3時間が好適である。
【0017】
また、本発明においては、大豆に対して温水の加水倍率は2.5〜6倍、好ましくは3〜5倍)が適当である。通常、2倍程度の温水が豆に吸収されるため加水量が大豆の2.5倍未満は不適である。
又、大豆に対する温水の加水倍率が高いと、大豆から蛋白質が溶出しやすくなりだけでなく、オリゴ糖の濃度も相対的に低くなり、後の濃縮工程にコストがかかる。
また、大豆から温水で大豆オリゴ糖を抽出する態様は前記加水倍率や抽出時間に相当する連続抽出も可能である。例えば、連続抽出管の一方から温水を流し他方から大豆を入れるいわゆる向流抽出法などを利用することができる。
【0018】
また、本発明においては抽出オリゴ糖液を酸性領域、好ましくはpH4.0〜6.0の範囲で濃縮することが好ましい。
濃縮温度にもよるが、pHが4.0未満の強酸性域ではオリゴ糖が分解される恐れがある。また、pHが高くてもオリゴ糖が分解されたり、アミノ酸との反応によるアミノカルボニル反応が起きやすくなりオリゴ糖液が着色する恐れがある。
【0019】
本発明において濃縮は低温弱酸性領域で行うことで、アミノカルボニル反応が最も反応速度が遅くなり好ましい。
本発明において、抽出オリゴ糖液を濃縮する温度は80℃以下が好ましい。工業的な濃縮機の能力と効率の観点より温度は30℃以上が実用的である。
濃縮温度が高いとpHにもよるがオリゴ糖の分解やアミノカルボニル反応が促進され着色されるなどするので好ましくない。濃縮温度が低いと濃縮効率が低下して実用的でない。
【0020】
抽出オリゴ糖液を濃縮する態様は、前記条件を満たす実用的な方法として蒸発温度で制御できる減圧濃縮が好ましい。
同様に凍結溶解による濃縮方法も利用できる。この場合は温度の制限は懸念する必要はないがpHは前記同様4.0〜6.0の弱酸性領域が好ましい。
以上の条件により粗蛋白質の溶出が少なく脂質を殆ど含まない大豆オリゴ糖液を比較的高濃度で得ることができる。
【0021】
以上の工程で得られる濃縮粗大豆オリゴ糖液は着色も少なくそのままビフィズス因子として利用することもできるが、オリゴ糖の純度をあげるためには除蛋白、脱塩処理を行うことが好ましい。
即ち、本発明の方法では、脂質は比較的少ないので必ずしも除く必要はないが、大豆オリゴ糖液の製造工程のいずれかで精製(除蛋白、脂質除去及び/又は脱塩)することが好ましい。
除蛋白は前述のようにアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、あるいはリン酸などを利用することができる。その他膜処理などによる除蛋白や膜処理や樹脂処理などによる脱塩は公知の手段を利用することができる。
【0022】
以上の方法により得られる濃縮粗大豆オリゴ糖液は蛋白質及び脂質の含量が低いので、粘度を大豆ホエーや脂質を含むアルコール抽出液の濃縮溶液より著しく低くすることができる。これにより、取り扱い易く、またオリゴ糖精製に際しては低粘度であるため高濃度で製造ラインに供することができる。
【0023】
【実施例】以下に実施例を示し本発明の実施態様を説明する。なお、実施例以降の「%」は「重量%」を示す。
【0024】
実験例1(浸漬温度による大豆からの浸漬液中の糖含有量の変化)
脱皮脱胚軸した大豆1000g(固形分90%)に5倍量の水5000gを加え、pHを7.5になるように水酸化ナトリウムで調整しながら、プロペラで大豆がわずかに浮き上がる程度の攪拌を加えながら浸漬温度20℃、60℃、80℃、90℃、98℃で大豆の固形分が45%になるまで浸漬して、浸漬液を回収した。得られた浸漬液中に浸出された糖質量及び粗蛋白質量を測定した。糖質の定量はフェノール硫酸法でシュークロース量として求めた。
【0025】
【表1】
【0026】
浸漬温度が高いほど短時間で浸漬液中に浸出する糖質量が増え、90℃で最も高くなった。対して粗蛋白質量は浸漬温度が高いほど低くなった。この結果から、オリゴ糖原料用に効率的に糖成分を抽出するためには60℃以上、好ましくは80℃以上の高温での浸漬が必要であると示唆された。
【0027】
実施例1
脱皮大豆に4倍量の90℃の熱水を加え温度を80℃以上に保ちつつ15分に一回程度弱い攪拌を加え2時間浸漬して大豆浸漬液(サンプル1)を得た。
【0028】
比較例1
脱脂大豆に10倍量の水を加水し、NaOHにてpHを7.5に調整して室温(20℃)にて1時間プロペラ攪拌抽出の後、遠心分離により固液分離して脱脂豆乳を調製した。脱脂豆乳をHClによりpH4.5に調整して沈殿物を除去して大豆ホエー(サンプル2)を得た。
【0029】
比較例2
脱脂大豆へ55%の含水エタノールを6倍量加え室温(20℃)にて1時間プロペラ攪拌により抽出後減圧濾過により固液を分離しアルコール抽出液(サンプル3)を得た。
【0030】
実施例1、比較例1、2で得られた各サンプルの乾燥固形分(重量%)および乾燥固形分を100%とした場合の成分組成(%)を表2に示す。
【0031】
【表2】(単位:%)
【0032】
表2において、実施例1のサンプル1は乾物固形分が高く溶媒を使用していないにも関わらず粗蛋白質の溶出を抑え糖質も比較的高い。比較例1のサンプル2は粗蛋白質含有量が極めて高く糖質は最も少ない。比較例2のサンプル3は糖質が最も高いが脂質も高く含有する。従って、糖質を比較的高く含有し脂質を殆ど含まないことより、サンプル1に優位性がある。
【0033】
実施例2
実施例1と同様にして得たサンプル1を減圧濃縮機「エバポール」(大川原製作所製(CEP−L型))にて蒸発温度75℃、加熱温度95℃の減圧濃縮により乾燥乾物固形分として50%付近まで濃縮を行い濃縮大豆浸漬液(サンプル4)を得た。
【0034】
比較例3
比較例1と同様にして得たサンプル2を実施例2と同様の条件と方法で濃縮し濃縮大豆ホエー(サンプル5)を得た。
【0035】
比較例4
比較例2と同様にして得たサンプル3を先ずロータリーエバポレーターにて蒸留しエタノール濃度を5%以下とした後、実施例2と同様の条件と方法で濃縮し濃縮アルコール抽出液(サンプル6)を得た。
【0036】
実施例2と比較例3、4の溶液粘度の比較を行った。前記サンプル4〜6の濃縮溶液を溶液温度25℃に調整して B型粘度計を用いて溶液粘度を測定した。結果を次の表に示す。
【0037】
【表3】溶液温度25℃における溶液粘度
【0038】
表3より、比較例のサンプル5及び6の溶液粘度は実施例2のサンプル4に比べ著しく高粘度である。原料の取り扱いは溶液粘度の低い方が扱い易く、オリゴ糖精製に際しても脱塩や脱色を行う工程の溶液粘度が低い方が高濃度で処理できるため有利である。
【0039】
応用例1
実施例2と同様にして得られた濃縮大豆浸漬液を乾物固形分45%以下に加水するが、不溶物が発生しているため遠心分離(3000rpm×10分)により清澄液を得る。不溶物の除去に際しては必要に応じ水酸化カルシウムを添加して加熱処理により除去し易くしても良い。
この清澄液を粒状活性炭カラムに通液処理し、次いで多孔性有機合成吸着剤(ダイアイオンHP−20、三菱化成(株)製)に通液、更にイオン交換樹脂(レバチット、Bayer社製)に通液した後、溶液温度60℃未満で減圧濃縮しオリゴ糖濃縮物を得た。
得られたオリゴ糖濃縮物の成分分析値は、水分35%、粗蛋白質0.01%、灰分0.03%、糖質65%であった。また糖質には3糖以上のオリゴ糖が37.6%、ショ糖が56.7%含まれた。
【0040】
【発明の効果】
本発明により、保存や運搬中に腐敗の極めて少ない高濃度オリゴ糖液(濃縮粗大豆オリゴ糖液)を提供することが可能になったものである。そして、この濃縮粗大豆オリゴ糖液は蛋白質含量も脂質含量も少なく高濃度の固形分を含みながらも流動性を有する液体であり、このままでもビフィズス因子として利用できるものである。
また、本発明の濃縮粗大豆オリゴ糖液はオリゴ糖の純度をあげたオリゴ糖の原料として供給することができる。供給の際に高濃度に濃縮されているので運搬中や保存中に腐敗する心配がない。
また、本発明の製造法を利用することにより着色が少なく、粗蛋白質含量が少なく、脂質がほとんどない濃縮粗大豆オリゴ糖液を得ることができるようになったものである。
Claims (9)
- 濃縮粗大豆オリゴ糖液の固形分が45〜75重量%で、乾燥固形分当たり糖質含量が60重量%〜80重量%、粗蛋白質含量が15重量%〜3重量%、脂質含量が1重量%〜0.001重量%である濃縮粗大豆オリゴ糖液。
- 濃縮粗大豆オリゴ糖液の固形分が53〜75重量%である請求項1の濃縮粗大豆オリゴ糖液。
- 濃縮粗大豆オリゴ糖液がビフィズス因子である請求項1又は2のいずれかの濃縮粗大豆オリゴ糖液。
- 大豆を脱皮し75℃以上の温水系下に大豆オリゴ糖を抽出し濃縮することを特徴とする濃縮粗大豆オリゴ糖液の製造法。
- 大豆に対する温水の量が2.5〜6倍量である請求項4の製造法。
- 抽出オリゴ糖液をpH4.0からpH6.0の範囲で濃縮する請求項4または5の製造法。
- 抽出オリゴ糖液を濃縮する温度が80℃以下である請求項4〜6のいずれかの製造法。
- 抽出オリゴ糖液を濃縮する態様が減圧濃縮である請求項4〜7のいずれかの製造法。
- 濃縮粗大豆オリゴ糖液の製造工程のいずれかで精製(除蛋白、脱塩及び/又は脱色)する請求項5〜9のいずれかの製造法。
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