JP2004050572A - 露光装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】信頼性に優れた露光装置を提供する。
【解決手段】R色の発光素子が形成されたR領域及びG色及びB色の発光素子が形成されたGB領域の各々を、対応する駆動回路により同時独立にパッシブ・マトリックス駆動することで、発光素子群全体をパッシブ・マトリックス駆動する場合よりも各発光素子の駆動デューティが向上し、ピーク発光強度が低下する。これにより、信頼性が向上する。
【選択図】図9

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、露光装置に関し、特に、マトリクス電極の交差部に設けられた複数の発光素子を備えた露光装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
蛍光性の有機物質を発光層に用いた有機EL(エレクトロ・ルミネッセント)素子は、他の発光素子に比べて製造が容易であり、薄型かつ軽量の発光素子が構成できる等の利点により、従来、薄型ディスプレイ用素子として研究開発が進められてきた。近年では、発光輝度、発光効率、耐久性等の点でも発光ダイオード(LED)に匹敵する高性能の有機EL素子が得られていることから、ハロゲン化銀感光体等の感光材料を露光する露光装置への応用が検討されている。
【0003】
例えば、特開2000−103114号公報等には、有機EL素子を用いた露光装置が記載されている。この露光装置は、図8に示すように、赤色(R)、緑色(G)、青色(B)の各色に発光する有機EL素子80を各色毎に主走査方向に複数配列して形成された素子列を、RGB3色1組として副走査方向に複数組(図8では2組)並べたものである。なお、図8では、RGB各色の有機EL素子80を区別するために符号末尾に対応する色を示すアルファベット(R/G/B)を付して示している。
【0004】
この露光装置では、1回の副走査により、RGB各色の光は感光材料の同一位置に1回ずつ照射され、感光材料にはフルカラーの画像潜像が形成される。また、縦横に交差したマトリックス電極の交点部に各発光素子を形成する場合には、従来、RGB各色の素子列に1本の陰極ラインを割り当てると共に、各陰極ラインを時分割順次走査して、各発光素子をパッシブ・マトリックス駆動するのが通常であった。
【0005】
更に、各有機EL素子の発光強度や発光時間は、図示しない制御回路により制御されており、RGB各色毎に所定の露光階調が実現されている。例えば、各色毎にm段階の露光階調が可能であるとすると、この露光装置の発色発現可能数はm通りとなる。従って、多彩な発色を可能とするためには、この露光階調数mを大きくする必要がある。例えば、パルス幅変調方式やパルス数変調方式による露光制御において露光階調数を大きくするためには、最小パルス時間幅をより小さくする必要がある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、感光材料は各色の光に対して感度が異なるため、感度の低い色についてはより高い発光強度で露光する必要があり、その場合、高い発光強度が要求される色の発光素子の寿命が、他の色の発光素子に比較して特に短くなる問題があった。露光装置の寿命は最も寿命が短い発光素子により律速される。感光材料がハロゲン化銀感光材料である場合には、赤色光に対しての感度が緑色光や青色光に対する感度に比較して1桁以上低いため、赤色の発光素子の発光強度を高くしなければならない。このため、赤色の発光素子の寿命が短くなり、露光ヘッドの寿命も短くなるという問題があった。
【0007】
本発明は上記の問題点に鑑み成されたものであり、本発明の目的は、信頼性に優れた露光装置を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために本発明の露光装置は、感光材料を露光する露光装置であって、複数の陰極と複数の陽極とが格子状に配列され且つ陰極配列方向又は陽極配列方向に沿って複数の領域に分割されたマトリックス電極と、該マトリクス電極の交差部に設けられた発光素子と、を備えた発光素子アレイと、分割された領域毎に、前記陰極と前記陽極との間に電圧を印加して、該領域のマトリクス電極の交差部に設けられた発光素子を点灯するように独立に駆動する駆動手段と、を備えたことを特徴とする。
【0009】
発光素子アレイが、複数の陰極と複数の陽極とが格子状に配列されたマトリックス電極と、このマトリクス電極の交差部に設けられた発光素子と、を備えて構成されている場合には、発光素子アレイのマトリックス電極を陰極配列方向又は陽極配列方向に沿って複数の領域に分割すると共に、駆動手段により、分割された領域毎に、前記陰極と前記陽極との間に電圧を印加して、該領域のマトリクス電極の交差部に設けられた発光素子を点灯するように独立に駆動する。
【0010】
マトリックス電極を複数の領域に分割して、各領域毎に、前記陰極と前記陽極との間に電圧を印加して、該領域のマトリクス電極の交差部に設けられた発光素子を点灯するように独立に駆動(例えば、パッシブ・マトリックス駆動)することで、発光素子群全体を駆動する場合と比較すると、1本の陰極又は1本の陽極当りに割り当てられる発光素子数が減少し、各発光素子の駆動デューティが向上し、ピーク発光強度が低下する。これにより、露光装置の信頼性が向上する。
【0011】
なお、駆動デューティとは、発光素子をパルス駆動した場合のパルス繰り返し周期Tに対するパルス幅tの割合t/Tである。駆動デューティが向上することにより露光効率が向上するので、各発光素子のピーク発光強度を低下することができる。
【0012】
特に、露光装置が発光スペクトルが異なる複数種類の発光素子を備えている場合には、前記マトリックス電極を、交差部に複数種類の発光素子の中で感光材料の感度が最も低い(発光スペクトルの光を発光する)発光素子が設けられた領域と、それ以外の領域とに分割するのが好ましい。この場合には、感度が最も低い発光素子のピーク発光強度が低下することで、より信頼性が向上する。
【0013】
また、複数種類の発光素子を有する露光装置において、複数種類の発光素子の中で感光材料の感度が最も低い発光素子を配列した素子列の行数を、他の種類の発光素子を配列した各素子列のいずれの行数よりも多くすることが好ましい。感光材料の感度が最も低い発光素子の発光強度(時間平均)を低減でき、露光装置の信頼性が向上する。
【0014】
また、複数種類の発光素子を、感光材料との関係でフルカラーの画像を形成可能な発光スペクトルを備えた3種類の発光素子とすることができる。例えば、赤色光を発光する赤色の発光素子、緑色光を発光する緑色の発光素子、及び青色光を発光する青色の発光素子の3種類の発光素子とすることができる。これにより、フルカラーの画像(潜像)を形成することができる。
【0015】
上記の露光装置において、発光素子としては、アレイ化が容易な有機EL素子が好ましい。有機EL素子は、真空蒸着の外、塗布、インクジェット法等を用いることにより単一基板上に多数形成することが容易である。上記の露光装置において発光素子として有機EL素子を使用した場合には、露光装置の生産性を向上することができると同時に、個々の発光素子の配置位置を調整する手間が省け、配置位置を高精度に維持できるというメリットがある。また、各発光素子は、発光強度及び露光時間の少なくとも一方を変調して露光階調を制御することにより、mi(i=1〜p)段階の露光階調制御が可能となる。
【0016】
なお、本発明の露光装置は、ハロゲン化銀カラー感光材料の露光装置として好適である。階調表現性、階調再現性に優れるハロゲン化銀カラー感光材料を用いることで、本発明の露光装置により実現される高露光階調数を、感光材料において忠実に再現することができる。
【0017】
感光材料としてハロゲン化銀感光材料を用いる場合には、赤色、緑色、及び青色の3種類の発光素子を用いてフルカラー画像を形成することができるが、発光素子アレイのマトリックス電極の所定分割領域の交差部に感光材料の感度が最も低い赤色の発光素子を設けると共に、他の分割領域の交差部に緑色及び青色の発光素子を設けることが好ましい。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を詳細に説明する。
(第1の実施の形態)
[露光装置の構成]
本発明の実施の形態に係る露光装置は、図1に示すように、透明基板10と、透明基板10上に形成され且つRGB色の何れかの色で発光する複数の発光部(以下、便宜上、各発光部を「発光素子」という)を備えた有機ELアレイ20と、有機ELアレイ20の各発光素子からの光を集光して感光材料40に照射するセルフォックレンズアレイ(以下、「SLA」という)30と、透明基板10及びSLA30を支持する支持体50とを備えている。
【0019】
有機ELアレイ20は、透明基板10上に、陽極としての透明電極21、発光層を含む有機化合物層22、陰極としての金属電極23が順次積層されて形成されている。透明電極21及び金属電極23は、透明電極21のライン(陽極ライン)と金属電極23のライン(陰極ライン)とが発光素子の配置レイアウトに応じて交差するように、各々ライン状にパターンニングされている。
【0020】
この有機ELアレイ20は、例えばステンレス製缶等の封止部材60により覆われており、封止部材60の縁部と透明基板10とが接着剤により接着されて、乾燥窒素ガスで置換された封止部材60内に封止されている。この有機ELアレイ20の透明電極21と金属電極23との間に所定電流が注入されると、陽極ラインと陰極ラインとの交差点に在る有機化合物層22に含まれる発光層が発光し、発光光が透明電極21及び透明基板10を介して取り出される。
【0021】
また、透明電極21と金属電極23の両電極は、複数の発光素子の各々を独立に駆動(パッシブ・マトリックス駆動)する駆動回路80に接続されている。この駆動回路80は、両電極間に電圧を印加する電源(図示せず)及びトランジスタやサイリスタで構成されたスイッチング素子(図示せず)を含んで構成されている。
【0022】
上記の駆動回路80は、各発光素子の発光強度及び発光時間の少なくとも一方を変更して素子毎にm段階の露光階調が可能となるように、制御部90により制御される。即ち、パルス幅変調、パルス数変調、強度変調等により、各発光素子が変調駆動される。
【0023】
透明基板10は、発光光に対して透明な基板であり、ガラス基板、プラスチック基板等を用いることができる。また、透明基板10には、一般的な基板特性として、耐熱性、寸法安定性、耐溶剤性、電気絶縁性、加工性、低通気性、低吸湿性等が要求される。
【0024】
透明電極(陽極)21は、400nm〜700nmの可視光の波長領域において、少なくとも50%以上、好ましくは70%以上の光透過率を有するものが好ましい。透明電極21を構成するための材料としては、酸化錫、酸化錫インジウム(ITO)、酸化亜鉛インジウムなどの透明電極材料として公知の化合物の他、金や白金など仕事関数が大きい金属の薄膜を用いてもよい。また、ポリアニリン、ポリチオフェン、ポリピロールまたはこれらの誘導体などの有機化合物でもよい。透明導電膜については、沢田豊監修「透明導電膜の新展開」シーエムシー刊(1999年)に詳細に記載されており、本発明に適用することができる。また、透明電極21は、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法などにより、透明基板10上に形成することができる。
【0025】
有機化合物層22は、発光層のみからなる単層構造であってもよいし、発光層の外に、ホール注入層、ホール輸送層、電子注入層、電子輸送層等のその他の層を適宜有する積層構造であってもよい。有機化合物層22の具体的な構成(電極を含めて表示する)としては、陽極/ホール注入層/ホール輸送層/発光層/電子輸送層/陰極、陽極/発光層/電子輸送層/陰極、陽極/ホール輸送層/発光層/電子輸送層/陰極、などが挙げられる。また、発光層、ホール輸送層、ホール注入層、電子注入層を複数層設けてもよい。
【0026】
有機ELアレイ20は、有機化合物層の材料に応じた色で発光する。従って、発光素子毎に有機化合物層の材料を塗り分けることにより、RGB色の何れかの色で発光する複数の発光素子を備えた有機ELアレイ20を得ることができる。ホール輸送層、電子輸送層、発光層および導電性高分子層などの有機化合物層の各構成層には、従来公知の材料を適宜用いることができる。また、各構成層は、真空蒸着法、スパッタ法、ディッピング法、スピンコーティング法、キャスティング法、バーコート法、ロールコート法等、公知の方法を用いて形成することができる。また、溶媒を使い分けることにより多層塗布も可能である。
【0027】
金属電極(陰極)23は、仕事関数の低いLi、Kなどのアルカリ金属、Mg、Caなどのアルカリ土類金属、及びこれらの金属とAgやAlなどとの合金や混合物等の金属材料から形成されるのが好ましい。陰極における保存安定性と電子注入性とを両立させるために、上記材料で形成した電極を、仕事関数が大きく導電性の高いAg、Al、Auなどで更に被覆してもよい。なお、金属電極23も透明電極21と同様に、真空蒸着法、スパッタ法、イオンプレーティング法などの公知の方法で形成することができる。また、金属電極23を透明電極21と同様に透明導電膜で構成することもできる。
【0028】
SLA30は、複数のセルフォックレンズ31で構成されている。セルフォックレンズ31は、断面の半径方向に屈折率分布をもつ棒状の厚肉レンズである。セルフォックレンズ31に入射された光は、光軸に対して正弦波状に蛇行しながら進行し、感光材料40表面上で結像して露光スポット70を結ぶように感光材料40に向けて出力される。
【0029】
また、露光スポットを絞り、光学的クロストークを抑制するために、このセルフォックレンズ31の開口部は各有機ELアレイ20の各発光領域よりも大きく形成され、且つ隣り合うセルフォックレンズ31同士は互いに接するように配列されてされている。なお、セルフォックレンズ31は有機ELアレイ20の各発光素子と1対1で対応するように設けてもよいし、副走査方向に並んだ複数の各発光素子に対して1つというように、1対N(N:2以上の整数)で対応するように設けてもよい。
【0030】
感光材料40は、RGB3色でのカラー露光が可能であれば、特に制限されない。例えば、感光材料40としてカラーのハロゲン化銀感光材料を使用することができる。また、感光感熱材料も使用することができる。
【0031】
[発光素子の配列]
次に、有機ELアレイ20の発光素子の配列について説明する。有機ELアレイ20には、図2に示すように、赤色(R色)に発光する発光素子25R、緑色(G色)に発光する発光素子25G、及び青色(B色)に発光する発光素子25Bが、第1のブロック26と第2のブロック27の2ブロックに分けられて、以下に説明するレイアウトで同一基板上にマトリクス状に配列されている。各ブロックについて、各発光素子の配置は単純マトリックス配置とされている。
【0032】
有機ELは、蒸着等の方法により同一基板上に多数の発光素子を形成できる。また、異なる基板上にRGB各色の発光素子を形成し、これら3つのブロックを配列して使用することも可能である。
【0033】
まず、第1のブロック26においては、発光素子25Rが主走査方向に所定間隔で複数個配列されて素子列Rを構成し、この素子列Rが副走査方向に複数行配列されている。同様に、発光素子25Gを複数個配列した素子列Gが副走査方向に素子列Rと同数行配列され、発光素子25Bを複数個配列した素子列Bが副走査方向に素子列Rと同数行配列されている。
【0034】
例えば、図2では、第1のブロック26に、発光素子25Rが各々主走査方向に20個配列された3行の素子列R〜R、発光素子25Gが各々主走査方向に20個配列された3行の素子列G〜G、及び発光素子25Bが各々主走査方向に20個配列された3行の素子列B〜Bが、副走査方向にRGBの順に配列されている。従って、RGB各色の発光素子が3個ずつ、合計9個の発光素子が副走査方向に配列されることになる。
【0035】
次に、第2のブロック27においては、第1のブロック26と同様に、素子列R、素子列G、及び素子列Bの各々が副走査方向に第1のブロック26の素子列Rと同数行ずつ配列されているが、第2のブロック27の各素子列は、第1のブロック26の各素子列から主走査方向に所定間隔ずらして配置されている。これにより、第1のブロック26に配置された発光素子による露光スポット間を、第2のブロック27に配置された発光素子によって露光することができる。
【0036】
例えば、図2では、第2のブロック27に、発光素子25Rが各々主走査方向に20個配列された3行の素子列R〜R、発光素子25Gが各々主走査方向に20個配列された3行の素子列G〜G、及び発光素子25Bが各々主走査方向に20個配列された3行の素子列B〜Bが、副走査方向にRGBの順に配列されている。従って、第1のブロック26と同様に、RGB各色の発光素子が3個ずつ、合計9個の発光素子が副走査方向に配列されることになる。
【0037】
なお、この例では、多数の発光素子をマトリックス状に配置した複数のブロックを設ける例について説明したが、多数の発光素子を単に千鳥状に配置してもよい。
【0038】
[多階調露光方法]
次に、上記の露光装置を用いて感光材料を多階調で露光する露光方法について説明する。
【0039】
感光材料40が搬送されるのに伴い、有機ELアレイ20の発光素子25R、25G、及び25Bの各々が所定のタイミングで点灯され、副走査方向に配列されたRGB3色の発光素子により感光材料40の同一位置が露光(多重露光)される。例えば、図2に示す素子配列では、R色に発光する発光素子25Rで3回、G色に発光する発光素子25Gで3回、及びB色に発光する発光素子25Bで3回の合計9回の多重露光がなされる。
【0040】
第1のブロック26及び第2のブロック27の各々は、駆動回路80により同時独立にパッシブ・マトリックス駆動(デュアル・スキャン)される。パッシブ・マトリックス駆動とは、各陰極ラインを時分割線順次走査し、走査中の陰極ラインと交差する陽極ラインを信号に発光させたい信号に応じて駆動して、走査を全陰極線に順次行き渡らせる駆動方法である。
【0041】
発光素子群を複数の領域に分割して、各領域毎にパッシブ・マトリックス駆動することにより、発光素子群全体をパッシブ・マトリックス駆動する場合と比較すると、各発光素子の駆動デューティが向上し、ピーク発光強度が低下する。発光素子群を2つの領域に分割する場合には、各発光素子の駆動デューティが2倍に向上し、ピーク発光強度が半減する。これにより、信頼性が向上する。
【0042】
また、各発光素子について独立にm段階の露光階調制御が可能である場合には、各色毎に最大n回多重露光すると仮定すると、各色毎にシャドウからハイライトまでを{n×(m−1)+1}段階で表した階調での露光量制御が可能となる。即ち、発光色が同じ場合は、階調数はその発光色で発色する色の濃度の可能数となるので、複数の発光素子で多重露光する場合の可能数は各素子の可能数の和となる。1素子当りm段階の露光階調制御が可能である場合、これと同じ発光色の素子n個により多重露光されるとすると、最小0から最大n×(m−1)までの濃度での露光が可能であり、露光階調数は{n×(m−1)+1}となる。一方、発光色が異なる場合は、各色の濃度の組合せで色彩が表現されることになるので、複数色で多重露光する場合の可能数は各色の可能数の積となる。従って、RGB3色毎にn回多重露光すると仮定すると、{n×(m−1)+1}通りのフルカラーの発色発現(階調表現)が可能になる。
【0043】
例えば、本実施の形態の有機ELアレイ20の各発光素子について1回の露光で8ビット(2=256)の露光階調制御が可能であるとすると、RGB各色について3回露光する場合には、各色毎に766階調の露光量制御が可能となり、766=449455096通りのフルカラーの発色発現が可能になる。即ち、RGB各色毎に1回ずつ露光する従来の露光装置では発色発現数が256=16777216通りであったが、RGB各色について3回ずつ露光する場合には、この約27倍もの発色発現数を実現することができる。
【0044】
図3に、露光階調の各発光素子への割り付け例を示す。この例では、1回の露光で256段階の露光階調制御が可能である発光素子を用い、副走査方向に配列された3個のR色の発光素子(R素子1、R素子2、及びR素子3)に着目して、766段階で表した各階調をこの3個の発光素子に略均等に割り付けている。R素子1、R素子2、及びR素子3の配列順序は任意である。また、G色の発光素子、B色の発光素子についても、同様に、露光階調の割り付けを行うことができる。また、図4に示すように、露光階調を各発光素子に不均等に割り付けることもできる。
【0045】
上記の露光階調を略均等に割り付ける露光階調の割り付け方法は、以下の通り一般化することができる。ここでは、R色についてn個の発光素子によるn回の露光で766階調の露光量制御を行い、入力された画像データに基づいて所定画素を露光量Xで露光する場合について説明する。露光量Xは最小露光量単位であり、整数で与えられる。766階調の露光量制御を行うとすると、露光量Xは766階調の各段階に対応して0から765までの何れかの整数で与えられ、数値が大きくなるほど露光量が増加する。このX値とn値とを用いてp値及びq値を演算する。下記式に示すように、p値はXをnで除算した場合の剰余として与えられる。
【0046】
【数1】
Figure 2004050572
【0047】
また、下記式に示すように、q値はXをnで除算した場合の商を0に近い整数に丸めた値として与えられる。
【0048】
【数2】
Figure 2004050572
【0049】
そして、n個の発光素子の内、任意のp個には露光量が(q+1)となるように、残りの(n−p)個の発光素子には露光量がqとなるように、露光階調を割り付けることができる。例えば、露光量241を3個の発光素子に割り付ける場合には、p値は1となり、q値は80となるから、1個の発光素子には露光量が81となるように露光階調が割り付けられ、残りの2個の発光素子には露光量が80となるように露光階調が割り付けられる。
【0050】
上記の方法で割り付けられた露光階調に基づいてn個のR色の発光素子の各々により感光材料の同一位置がn回露光され、各画素毎に決定された露光量Xが与えられる。B色、G色についても同様に露光され、RGB各色毎に画像データに応じた露光量が与えられる。
【0051】
以上説明した通り、本実施の形態に係る露光装置は、発光素子群を複数の領域に分割して、各領域毎に同時独立にパッシブ・マトリックス駆動することにより、発光素子群全体をパッシブ・マトリックス駆動する場合と比較すると、各発光素子の駆動デューティが向上し、ピーク発光強度が低下するので、露光装置の信頼性が向上する。
【0052】
また、本実施の形態に係る露光装置は、RGB各色毎にn個ずつ、合計3n個の発光素子が副走査方向に配列された有機ELアレイを備えているので、1回の副走査で、感光材料の同一位置を各色毎にn回ずつ、合計3n回露光することができる。従って、各発光素子について独立にm段階の露光階調制御が可能である場合には、各色毎に最大n回多重露光すると仮定すると、各色毎に{n×(m−1)+1}階調の露光量制御が可能となり、RGB各色毎にn回多重露光すると仮定すると、{n×(m−1)+1}通りのフルカラーの発色発現(階調表現)が可能になる。即ち、RGB各色毎に1回ずつ露光する従来の露光装置と比べて、各色毎の露光階調数及び発色発現数が飛躍的に増大する。これにより多彩且つ超高精細な色再現、高画質化を達成することができる。
【0053】
また、階調数を一定とした場合にも、従来の露光装置と比べて、発光素子やこの発光素子を駆動する駆動回路の応答速度の限界を超えて、副走査速度を向上することができる。一方、副走査速度を一定とした場合にも、各発光素子の発光強度を低減できるので、露光装置の信頼性を向上することができる。
【0054】
更に、面積階調ではなく、露光量を制御する露光階調を採用しているので、空間分解能を犠牲にすることなく、発色発現数を増加させることができる。
【0055】
(第2の実施の形態)
本実施の形態に係る露光装置は、有機ELアレイ20の発光素子の配列を変更した以外は第1の実施の形態と同様の構成であるため、同じ構成部分に付いては説明を省略し、相違点である発光素子の配列と露光方法とについて説明する。
【0056】
[発光素子の配列]
有機ELアレイ20には、図5に示すように、1枚の基板上に、赤色(R色)に発光する発光素子25R、緑色(G色)に発光する発光素子25G、及び青色(B色)に発光する発光素子25Bが、第1のブロック26Aと第2のブロック27Aの2ブロックに分けられて、以下に説明するレイアウトでマトリクス状に配列されている。
【0057】
まず、第1のブロック26Aにおいては、発光素子25Rが主走査方向に所定間隔で複数個配列されて素子列Rを構成し、この素子列Rが副走査方向に複数(n)行配列されている。同様に、発光素子25Gを複数個配列した素子列Gが副走査方向に複数(n)行配列され、発光素子25Bを複数個配列した素子列Bが副走査方向に複数(n)行配列されている。ここで、素子列Rの配列行数n、素子列Gの配列行数n、及び素子列Bの配列行数nの少なくとも1つは他の配列行数と異なっている。
【0058】
素子列R、素子列G、及び素子列Bそれぞれの配列行数は、感光材料の感度に応じて変更することができる。例えば、感光材料40としてハロゲン化銀感光材料(カラーペーパ)を使用する場合には、RGB各色の光に対する感度は、R色、G色、B色の順に高くなる。従って、RGB各色について配列行数を同じにした場合には、B色、G色、R色の順に発光強度を大きくする必要があるが、この場合はR色の発光素子の寿命が短くなる問題がある。これに対し、R色の発光素子の配列行数を、他色の発光素子の配列行数よりも多くすることにより、R色の発光素子1個当りの(時間平均した)発光強度を低減でき、短寿命化の問題を低減することができる。上記のように感度がR色、G色、B色の順に高くなる感光材料を使用する場合には、最も低感度のR色に最も多くの列数が割り当てられるように、RGB各色の配列行数をB色、G色、R色の順に増加させるのがより好ましい。
【0059】
例えば、図5では、第1のブロック26Aに、発光素子25Rが各々主走査方向に20個配列された4行の素子列R〜R、発光素子25Gが各々主走査方向に20個配列された3行の素子列G〜G、及び発光素子25Bが各々主走査方向に20個配列された2行の素子列B、Bが、副走査方向にRGBの順に配列されている。従って、副走査方向には、R色の発光素子が4個、G色の発光素子が3個、B色の発光素子が2個の合計9個の発光素子が配列されることになる。
【0060】
次に、第2のブロック27Aには、第1のブロック26Aと同様に、n行の素子列R、n行の素子列G、及びn行の素子列Bの各々が副走査方向に配列されているが、第2のブロック27Aの各素子列は、第1のブロック26Aの各素子列から主走査方向に所定間隔ずらして配置されている。これにより、第1のブロック26Aに配置された発光素子による露光スポット間を、第2のブロック27Aに配置された発光素子により露光することができる。
【0061】
例えば、図5では、第2のブロック27Aに、発光素子25Rが各々主走査方向に20個配列された4行の素子列R〜R、発光素子25Gが各々主走査方向に20個配列された3行の素子列G〜G、及び発光素子25Bが各々主走査方向に20個配列された2行の素子列B、Bが、副走査方向にRGBの順に配列されている。従って、第1のブロック26Aと同様に、R色の発光素子が4個、G色の発光素子が3個、B色の発光素子が2個の合計9個の発光素子が副走査方向に配列されることになる。
【0062】
[多階調露光方法]
次に、上記の露光装置を用いて感光材料を多階調で露光する露光方法について説明する。
【0063】
感光材料40が搬送されるのに伴い、1回の副走査で、有機ELアレイ20の発光素子25R、25G、及び25Bの各々が所定のタイミングで点灯され、副走査方向に配列されたRGB3色の発光素子により感光材料40の同一位置が露光(多重露光)される。例えば、図5に示す素子配列では、R色に発光する発光素子25Rで4回、G色に発光する発光素子25Gで3回、及びB色に発光する発光素子25Bで2回の合計9回の多重露光がなされる。
【0064】
第1のブロック26A及び第2のブロック27Aの各々は、駆動回路により同時独立にパッシブ・マトリックス駆動される。発光素子群を複数の領域に分割して、各領域毎にパッシブ・マトリックス駆動することにより、発光素子群全体をパッシブ・マトリックス駆動する場合と比較すると、各発光素子の駆動デューティが向上し、ピーク発光強度が低下する。これにより、信頼性が向上する。
【0065】
各色の発光素子について独立にmi(i=R,G,B)段階の露光階調制御が可能である場合には、各色毎に最大ni(i=R,G,B)回多重露光すると仮定すると、各色毎にシャドウからハイライトまでを{ni×(mi−1)+1}段階で表した階調での露光量制御が可能となる。上記の通り、niの値はRGB3色について同じ値とはならないが、miの値はRGB3色について同じ値でも良く、異なる値でも良い。
【0066】
例えば、図6に示すように、RGB各色について露光階調数{ni×(mi−1)+1}が同じ値となるように、niの値に応じてmiの値を設定することができる。従って、RGB3色で多重露光すると、{ni×(mi−1)+1}通りのフルカラーの発色発現が可能になる。
【0067】
図6に示す例では、1回の露光で256段階の露光階調制御が可能なR色の発光素子25Rで4回露光し、1回の露光で341段階の露光階調制御が可能なG色の発光素子25Gで3回露光し、1回の露光で511段階の露光階調制御が可能なB色の発光素子25Bで2回露光するので、各色毎に1021階調の露光量制御が可能となり、1021=1064332261通りのフルカラーの発色発現が可能になる。即ち、この場合には、RGB3色毎に1回ずつ露光する従来の露光装置の約63倍もの発色発現数を実現することができる。
【0068】
また、図7に示すように、RGB各色について露光階調数{ni×(mi−1)+1}は必ずしも一致する必要は無い。R色については{n×(m−1)+1}階調、G色については{n×(m−1)+1}階調、B色については{n×(m−1)+1}階調の露光量制御が可能となる場合には、RGB各色で多重露光すると、{n×(m−1)+1}・{n×(m−1)+1}・{n×(m−1)+1}通りのフルカラーの発色発現が可能になる。
【0069】
図7に示す例では、1回の露光で256段階の露光階調制御が可能なR色の発光素子25Rで4回露光し、1回の露光で512段階の露光階調制御が可能なG色の発光素子25Gで3回露光し、1回の露光で512段階の露光階調制御が可能なB色の発光素子25Bで2回露光するので、R色については1021階調、B色については1534階調、B色については1023階調の露光量制御が可能となり、1021×1534×1023=1602236922通りのフルカラーの発色発現が可能になる。即ち、この場合には、RGB3色毎に1回ずつ露光する従来の露光装置の約96倍もの発色発現数を実現することができる。
【0070】
グレーを表現する場合には、RGB3色の露光により銀塩感光材料が発色する、それぞれC(シアン)、M(マゼンタ)、Y(イエロー)の色濃度が実質的に等しくなるように、RGB3色の露光量を制御する必要がある。露光階調数を各色同一にすれば、ブラックからホワイトに至るグレー階調を各露光階調に応じて正確に表現可能である。各色の露光階調数が異なる場合、正確なグレーを表現できないケースが発生する。勿論、原理的に正確なグレーを表現できないとしても、人間の視認限度以下の精度であれば、問題にはならない。
【0071】
以上説明した通り、本実施の形態に係る露光装置は、発光素子群を複数の領域に分割して、各領域毎に同時独立にパッシブ・マトリックス駆動することにより、発光素子群全体をパッシブ・マトリックス駆動する場合と比較すると、各発光素子の駆動デューティが向上し、ピーク発光強度が低下するので、露光装置の信頼性が向上する。
【0072】
また、本実施の形態に係る露光装置は、R色の発光素子がn個、G色の発光素子がn個、B色の発光素子がn個の合計(n+n+n)個の発光素子が副走査方向に配列された有機ELアレイを備えているので、感光材料の同一位置をR色でn回、G色でn回、B色でn回の合計(n+n+n)回露光することができる。従って、各色の発光素子について独立にmi(i=R,G,B)段階の露光階調制御が可能である場合には、各色毎に最大ni(i=R,G,B)回多重露光すると仮定すると、R色については{n×(m−1)+1}階調、G色については{n×(m−1)+1}階調、B色については{n×(m−1)+1}階調の露光量制御が可能となる。RGB各色毎に多重露光すると仮定すると、{n×(m−1)+1}・{n×(m−1)+1}・{n×(m−1)+1}通りのフルカラーの発色発現が可能になる。即ち、RGB3色毎に1回ずつ露光する従来の露光装置と比べて、各色毎の露光階調数及び発色発現数が飛躍的に増大する。これにより多彩且つ超高精細な色再現、高画質化を達成することができる。
【0073】
また、階調数を一定とした場合にも、発光素子やこの発光素子を駆動する駆動回路の応答速度の限界を超えて、副走査速度を向上することができる。一方、副走査速度を一定とした場合にも、各発光素子の発光強度を低減できるので、露光装置の信頼性を向上することができる。
【0074】
更に、面積階調ではなく、露光量を制御する露光階調を採用しているので、空間分解能を犠牲にすることなく、発色発現数を増加させることができる。
【0075】
(第3の実施の形態)
本実施の形態に係る露光装置は、有機ELアレイ20の発光素子の配列を変更すると共に、駆動回路を基板上に形成した以外は第1の実施の形態と同様の構成であるため、同じ構成部分に付いては説明を省略し、相違点である発光素子の配列と駆動回路の配置、及び露光方法について説明する。
【0076】
[発光素子の配列]
基板10上に形成された有機ELアレイ20は、図9に示すように、R色の発光素子25Rを配列したR領域28Rと、G色の発光素子25Gを配列したG領域28G及びB色の発光素子25Bを配列したB領域28Bを合わせたGB領域と、から構成されている。R領域及びGB領域の各々において、各発光素子の配置は単純マトリックス配置とされている。
【0077】
また、基板10上には、R領域の単純マトリックスを駆動するために、陰極用駆動回路rowIC−R及び陽極用駆動回路columnIC−Rが、GB領域の単純マトリックスを駆動するために、陰極用駆動回路rowIC−GB及び陽極用駆動回路columnIC−GBが、各々発光素子が形成された領域を取り囲むように設けられている。
【0078】
R領域及びGB領域の各々は、これら駆動回路により同時独立にパッシブ・マトリックス駆動(デュアル・スキャン)される。パッシブ・マトリックス駆動とは、各陰極ラインを時分割線順次走査し、走査中の陰極ラインと交差する陽極ラインを信号に発光させたい信号に応じて駆動して、走査を全陰極線に順次行き渡らせる駆動方法である。
【0079】
発光素子群を複数の領域に分割して、各領域毎にパッシブ・マトリックス駆動することにより、発光素子群全体をパッシブ・マトリックス駆動する場合と比較すると、各発光素子の駆動デューティが向上し、ピーク発光強度が低下する。発光素子群を2つの領域に分割する場合には、各発光素子の駆動デューティが2倍に向上し、ピーク発光強度が半減する。これにより、信頼性が向上する。
【0080】
図10に示すように、R領域28Rでは、略六角形状の発光素子25Rが主走査方向に所定間隔で複数個配列されて素子列Rを構成すると共に、同数の発光素子25Rがこの素子列Rから主走査方向に所定間隔ずらして配置されて素子列R´を構成している。この素子列R及び素子列R´が複数(n)行ずつ副走査方向に交互に配列されて、多数の発光素子25Rがいわゆる千鳥状に配置されている。発光素子を千鳥状に配置することで、素子列Rの発光素子による露光スポット間を、素子列R´の発光素子により露光することができる。
【0081】
同様に、G領域28Gには発光素子25Gが主走査方向に所定間隔で複数個配列された素子列G,G´が複数(n)行ずつ副走査方向に交互に配列され、B領域28Bには発光素子25Bが主走査方向に所定間隔で複数個配列された素子列B,B´が複数(n)行ずつ副走査方向に交互に配列されている。
【0082】
上述した通り、感光材料40としてハロゲン化銀感光材料を使用する場合には、低感度のR色の発光素子の配列行数nを、他色の発光素子の配列行数n、nよりも大きくすることにより、R色の発光素子1個当りの発光強度(時間平均)を低減でき、信頼性が向上する。
【0083】
図11は図10の部分Aの拡大図である。図11に示すように、隣接する素子列R、素子列R´は1本の陰極ライン(金属電極23のライン)上に形成されている。即ち、2列で1組の素子列が1本の陰極ライン上に形成され、1本の陰極ラインで駆動される。これにより、各列毎に1本の陰極ラインを割り当てる場合と比較して、陰極ラインの本数を半分に低減でき、駆動回路及び制御回路を単純化することができる。
【0084】
例えば、図9では、R領域に、発光素子25Rが1920個配列された素子列R,R´を32組64行配列すると共に、GB領域に、発光素子25Gが1920個配列された素子列G,G´を16組32行と、発光素子25Bが1920個配列された素子列B,B´を16組32行配列している。この場合、副走査方向には、R色の発光素子が32個、G色の発光素子が16個、B色の発光素子が16個の合計64個の発光素子が配列されることになる。
【0085】
なお、この例では、赤色の発光素子25Rの配列行数を、緑色の発光素子25Gの配列行数や青色の発光素子25Bの配列行数よりも多くしたが、必ずしも赤色の発光素子25Rの配列行数を多くする必要はない。但し、赤色の発光素子25Rの配列行数を多くすることで、赤色の発光素子25Rのピーク発光強度を低減することができる。
【0086】
この場合、R領域の発光素子25Rを駆動するには、32本の陰極ラインと3840本の陽極ラインとが必要になる。図9では、32本の陰極ラインは、1個の32チャンネルの陰極用駆動回路rowIC−Rにより駆動され、3840本の陽極ラインは、並列に配置してカスケード接続された8個の480チャンネルの陽極用駆動回路columnIC−Rにより駆動される。
【0087】
同様に、GB領域の発光素子25G及び発光素子25Bを駆動するには、32本の陰極ラインと3840本の陽極ラインとが必要になる。なお、R領域の陽極ラインとGB領域の陽極ラインとは各々独立である。図9では、R領域と同様に、32本の陰極ラインは、1個の32チャンネルの陰極用駆動回路rowIC−GBにより駆動され、3840本の陽極ラインは、カスケード接続された8個の480チャンネルの陽極用駆動回路columnIC−GBにより駆動される。
【0088】
なお、駆動回路の割り付け方法は、上記の方法には限定されない。例えば、R領域の32本の陰極ラインとGB領域の32本の陰極ラインとを、デュアルスキャンが可能な1個の64チャンネルの陰極用駆動回路により駆動することができる。また、3840本の陽極ラインを駆動するのに、8個の480チャンネルの陽極用駆動回路の代わりに、10個の384チャンネルの陽極用駆動回路又は1個の3840チャンネルの陽極用駆動回路を用いることもできる。
[多階調露光方法]
次に、上記の露光装置を用いて感光材料を多階調で露光する露光方法について説明する。
【0089】
感光材料40が搬送されるのに伴い、有機ELアレイ20の発光素子25R、25G、及び25Bの各々が所定のタイミングで点灯され、副走査方向に配列されたRGB3色の発光素子により感光材料40の同一位置が露光(多重露光)される。例えば、図9に示す素子配列では、R色に発光する発光素子25Rで32回、G色に発光する発光素子25Gで16回、及びB色に発光する発光素子25Bで16回の合計64回の多重露光がなされる。
【0090】
各色の発光素子について独立にmi(i=R,G,B)段階の露光階調制御が可能である場合には、各色毎に最大ni(i=R,G,B)回多重露光すると仮定すると、各色毎にシャドウからハイライトまでを{ni×(mi−1)+1}段階で表した階調での露光量制御が可能となる。上記の通り、niの値はRGB3色について同じ値とはならないが、miの値はRGB3色について同じ値でも良く、異なる値でも良い。
【0091】
例えば、図12に示すように、1回の露光で256段階(7ビット)の露光階調制御が可能なR色の発光素子25Rで32回露光し、1回の露光で256段階(8ビット)の露光階調制御が可能なG色の発光素子25Gで16回露光し、1回の露光で256段階(8ビット)の露光階調制御が可能なB色の発光素子25Bで16回露光するので、R色については4065階調、B色については4081階調、B色については4081階調の露光量制御が可能となり、4065×4081×4081=67700790465通りのフルカラーの発色発現が可能になる。即ち、この場合には、RGB3色毎に1回ずつ露光する従来の露光装置の約4037倍もの発色発現数を実現することができる。
【0092】
以上説明した通り、本実施の形態に係る露光装置は、発光素子群を複数の領域に分割して、各領域毎に同時独立にパッシブ・マトリックス駆動することにより、発光素子群全体をパッシブ・マトリックス駆動する場合と比較すると、各発光素子の駆動デューティが向上し、ピーク発光強度が低下するので、露光装置の信頼性が向上する。
【0093】
特に、本実施の形態では、感度がR色、G色、B色の順に高くなる感光材料を使用する場合に、発光素子群を、最も低感度のR色の発光素子を配列したR領域と、G色及びB色の発光素子を配列したGB領域とに分割して、各領域毎に同時独立にパッシブ・マトリックス駆動することにより、R色の発光素子のピーク発光強度を低減でき、露光装置の信頼性が更に向上する。
【0094】
また、本実施の形態に係る露光装置は、第2の実施の形態と同様に、R色の発光素子がn個、G色の発光素子がn個、B色の発光素子がn個の合計(n+n+n)個の発光素子が副走査方向に配列された有機ELアレイを備えているので、RGB各色毎に多重露光する場合、{n×(m−1)+1}・{n×(m−1)+1}・{n×(m−1)+1}通りのフルカラーの発色発現が可能になる。即ち、RGB3色毎に1回ずつ露光する従来の露光装置と比べて、各色毎の露光階調数及び発色発現数が飛躍的に増大する。これにより多彩且つ超高精細な色再現、高画質化を達成することができる。
【0095】
また、階調数を一定とした場合にも、発光素子やこの発光素子を駆動する駆動回路の応答速度の限界を超えて、副走査速度を向上することができる。一方、副走査速度を一定とした場合にも、各発光素子の発光強度を低減できるので、露光装置の信頼性を向上することができる。
【0096】
更に、面積階調ではなく、露光量を制御する露光階調を採用しているので、空間分解能を犠牲にすることなく、発色発現数を増加させることができる。
【0097】
なお、この例では、有機ELアレイをR色の発光素子を配列したR領域と、G色及びB色の発光素子を配列したGB領域とに分けたが、R色の発光素子及びG色の発光素子の一部を配列したRG領域と、G色の発光素子の残りの部分及びB色の発光素子を配列したGB領域と、に分けることもできる。例えば、R色の素子列64行とG色の素子列16行とを配列した領域と、残り16行のG色の素子列とB色の素子列32行とを配列したもう1つの領域と、に分けることができる。
【0098】
また、大サイズの露光が可能な露光装置を実現するために、R領域とGB領域とを備えた上記の露光ブロックを同一基板上に複数形成してもよい。例えば、図13に示すように、基板10上に2つの露光ブロックBR、BRを各ブロックが相互に向き合うように主走査方向に並べて配置する。
【0099】
即ち、露光ブロックBRには、R領域28R(R領域1)と、G領域28G及びB領域28Bを合わせたGB領域1とが設けられると共に、R領域1の単純マトリックスを駆動する陰極用駆動回路rowIC−R1及び陽極用駆動回路columnIC−R1と、GB領域1の単純マトリックスを駆動する陰極用駆動回路rowIC−GB1及び陽極用駆動回路columnIC−GB1とが、各々発光素子が形成された領域を取り囲むように設けられる。
【0100】
また、露光ブロックBRについても同様に、R領域28R(R領域2)と、G領域28G及びB領域28Bを合わせたGB領域2とが設けられると共に、R領域2の単純マトリックスを駆動する陰極用駆動回路rowIC−R2及び陽極用駆動回路columnIC−R2と、GB領域2の単純マトリックスを駆動する陰極用駆動回路rowIC−GB2及び陽極用駆動回路columnIC−GB2とが、各々発光素子が形成された領域を取り囲むように設けられる。
【0101】
例えば、R領域1、2の各々に発光素子が主走査方向に1920個配列された素子列Rと素子列R´を交互に配列すると、R領域1、2の各々について3840本の陽極ラインが必要になる。2つの露光ブロックBR、BRを合わせると7680本の陽極ラインが必要になる。即ち、主走査方向に7680チャンネルでの駆動が可能になる。なお、R領域1、R領域2、GB領域1、GB領域2の各領域について陽極ライン及び陰極ラインは各々独立である。
【0102】
以下、上記第1乃至第3の実施の形態に係る露光装置の変形例について説明する。
【0103】
上記第1の実施の形態では、複数の同色の発光素子に露光階調を割り付ける2つの方法を示し、また、第2の実施の形態では、色毎に露光階調を割り付ける2つの方法を示したが、これらの方法を適宜組合わせて露光階調の割り付けを行うことができる。
【0104】
上記第1乃至第3の実施の形態では、複数の発光点を備えた有機ELアレイを使用する例について説明したが、発光素子は有機EL素子には限られない。例えば、無機EL素子、発光ダイオード(LED)、レーザダイオード(LD)等の他の発光素子をマトリクス状に配列したアレイ光源を用いても、同様の効果を得ることができる。但し、有機ELは、蒸着等の方法により同一基板上に多数の発光素子を形成できるので、最も好ましい発光素子である。また、アレイ光源を用いる代わりに、発光素子等の光源と光源からの光を空間的に変調するシャッター・アレイ等の空間変調素子とを組合わせて使用してもよい。
【0105】
上記第1乃至第3の実施の形態では、同一基板上にRGB3色の発光素子をアレイ状に配置したが、RGB3色の発光素子を色毎に異なる基板上にアレイ状に配置してもよい。そして、R色の発光素子を配置したR素子アレイ部、G色の発光素子を配置したG素子アレイ部、及びB色の発光素子を配置したB素子アレイ部の3つのユニットを配列して使用することも可能である。また、R色の発光素子を配置したR素子アレイ部と、G色及びB色の発光素子を配置したGB素子アレイ部の2つのユニットを配列して使用してもよい。
【0106】
上記第1乃至第3の実施の形態では、RGB3色の光で感光材料を露光する例について説明したが、RGB3色の光で露光する露光装置には限定されない。例えば、赤外光や紫外光により感光材料を露光する露光装置にも本発明を適用することができる。また、発光色、発光スペクトルの種類も3種類には限定されない。
【0107】
上記第1乃至第3の実施の形態では、露光階調数及び発色発現数が飛躍的に増大することを示したが、表現可能な階調領域が広くても、その階調領域全域を使用する必要は無く、その階調領域の範囲内で露光装置を運用すればよい。例えば、図7に示す例では、R色については1021階調、B色については1534階調、B色については1023階調の露光量制御が可能となるが、RGB各色について1021階調分を使用してフルカラー画像を形成するように、各発光素子の発光量(発光強度×露光時間)を設定し、運用してもよい。
【0108】
上記第3の実施の形態では、R領域に素子列R,R´を32組64行配列すると共に、GB領域に素子列G,G´を16組32行と素子列B,B´を16組32行とを配列したが、ハロゲン化銀感光材料のRGB各色の光に対する感度は、1(R色):10(G色):70(B色)である。従って、R領域に素子列R,R´を70組140行配列すると共に、GB領域に素子列G,G´を7組14行と素子列B,B´を1組2行とを配列することにより、RGB各色の時間平均での発光強度を略均一にして、より高い信頼性を得ることができる。また、R領域に素子列R,R´を140組280行配列すると共に、GB領域に素子列G,G´を14組28行と素子列B,B´を2組4行とを配列しても、同様の効果を得ることができる。
【0109】
更に、このようにRGB各色の時間平均での発光強度を略均一になるようにした場合であっても、R素子、G素子、B素子をそれぞれ構成する有機EL材料の違いにより、信頼性に差異が生じる場合がある。多くの場合、同一の発光強度条件では、R素子、B素子、G素子の順に信頼性が高い(駆動に伴う劣化に起因する発光強度の低下が少ない)。従って、最初から発光強度が、R素子、B素子、G素子の順に高くなるように、RGB各色の列数を設定することにより、駆動に伴う発光強度が低下する割合を略均一にすることが可能であり、更に高い信頼性を得ることができる。例えば、R領域に素子列R,R´を280組560行配列すると共に、GB領域に素子列G,G´を14組28行と素子列B,B´を3組6行とを配列することにより、発光強度をR素子、B素子、G素子の順に高くすることができ、各色に対する駆動に伴い発光強度が低下する割合を略均一にすることが可能であり、更に高い信頼性を得ることができる。
【0110】
なお、本発明により実現される高露光階調数を、感光材料において忠実に再現するためには、高露光階調用の感光材料を使用することが望ましい。特に、階調表現性、階調再現性に優れるハロゲン化銀カラー感光材料が、本発明における感光材料として好適である。
【0111】
【発明の効果】
本発明によれば、露光装置の信頼性が向上する、という効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施の形態に係る露光装置の構成を示す断面図である。
【図2】第1の実施の形態に係る露光装置の有機ELアレイの発光部(発光素子)の配列を示す平面図である。
【図3】露光階調の各発光素子への割付の1例を示す図である。
【図4】露光階調の各発光素子への割付の他の例を示す図である。
【図5】第2の実施の形態に係る露光装置の有機ELアレイの発光素子の配列を示す平面図である。
【図6】露光階調の各色毎の割付の1例を示す図である。
【図7】露光階調の各色毎の割付の他の例を示す図である。
【図8】従来の露光装置の構成を示す断面図である。
【図9】第3の実施の形態に係る露光装置の有機ELアレイの発光素子の配列と駆動回路の配置とを示す平面図である。
【図10】図9に示す有機ELアレイのR領域の発光素子の配列を示す平面図である。
【図11】図10に示す部分Aの拡大図である。
【図12】露光階調の各発光素子への割付の1例を示す図である。
【図13】第3の実施の形態に係る露光装置の変形例を示す平面図である。
【符号の説明】
10 透明基板
20 有機ELアレイ
21 透明電極
22 有機化合物層
23 金属電極
25R、25G、25B 発光素子
26、27A 第1のブロック
27、27A 第2のブロック
30 セルフォックレンズアレイ(SLA)
31 セルフォックレンズ
40 感光材料
50 支持体
60 封止部材
70 露光スポット
80 駆動回路
90 制御部
28R R領域
28G G領域
28B B領域
rowIC−R  陰極用駆動回路
columnIC−R 陽極用駆動回路
rowIC−GB 陰極用駆動回路
columnIC−GB  陽極用駆動回路

Claims (6)

  1. 感光材料を露光する露光装置であって、
    複数の陰極と複数の陽極とが格子状に配列され且つ陰極配列方向又は陽極配列方向に沿って複数の領域に分割されたマトリックス電極と、該マトリクス電極の交差部に設けられた発光素子と、を備えた発光素子アレイと、
    分割された領域毎に、前記陰極と前記陽極との間に電圧を印加して、該領域のマトリクス電極の交差部に設けられた発光素子を点灯するように独立に駆動する駆動手段と、
    を備えた露光装置。
  2. 前記発光素子アレイは、発光スペクトルが異なる複数種類の発光素子を備えた請求項1に記載の露光装置。
  3. 前記マトリックス電極は、前記交差部に前記複数種類の発光素子の中で感光材料の感度が最も低い発光スペクトルの光を発光する発光素子が設けられた領域とそれ以外の領域とに分割された請求項2に記載の露光装置。
  4. 前記複数種類の発光素子を、前記感光材料との関係でフルカラーの画像を形成可能な発光スペクトルを備えた赤色、緑色、及び青色の3種類の発光素子とした請求項2又は3に記載の露光装置。
  5. ハロゲン化銀感光材料を露光する露光装置であって、
    複数の陰極と複数の陽極とが格子状に配列され且つ陰極配列方向又は陽極配列方向に沿って複数の領域に分割されたマトリックス電極と、該マトリクス電極の交差部に設けられた赤色、緑色、及び青色の3種類の発光素子と、を備え、前記マトリックス電極の所定分割領域の交差部に感光材料の感度が最も低い赤色の発光素子を設け、他の分割領域の交差部に緑色及び青色の発光素子を設けた発光素子アレイと、
    分割された領域毎に、前記陰極と前記陽極との間に電圧を印加して、該領域のマトリクス電極の交差部に設けられた発光素子を点灯するように独立に駆動する駆動手段と、
    を備えた露光装置。
  6. 前記発光素子を有機EL素子とした請求項1乃至5の何れか1項に記載の露光装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2006035790A (ja) * 2004-07-30 2006-02-09 Rohm Co Ltd 有機el発光モジュールおよび光プリンタ
JP2008093938A (ja) * 2006-10-11 2008-04-24 Seiko Epson Corp ラインヘッドおよびそれを用いた画像形成装置とラインヘッドの制御方法
JP2015009431A (ja) * 2013-06-28 2015-01-19 キヤノン株式会社 画像形成装置

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