JP2004050449A - 記録装置および記録方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】中間転写体の表面上におけるインク滴の移動を抑止して、写真調の高精細な画像を記録することができる記録装置および記録方法を提供する。
【解決手段】中間転写ローラ3に撥水部を設け、その中間転写ローラ3における撥水部以外の部分に付着したインク滴2によって形成した反転画像を、被記録媒体7に転写させる。
【選択図】 図1
【解決手段】中間転写ローラ3に撥水部を設け、その中間転写ローラ3における撥水部以外の部分に付着したインク滴2によって形成した反転画像を、被記録媒体7に転写させる。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、インク滴によって中間転写体に形成した反転画像を被記録媒体に転写させることにより、粒状感のない写真調の高精細な画像を記録可能な記録装置および記録方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来の技術として、例えば、特開平5−4335号公報には、凹凸加工が施された被記録媒体や撥水性の高い被記録媒体に画像を記録する際に、中間転写体としてのローラに形成した保護膜上に、インクジェット方式により反転画像を形成してから、その反転画像を被記録媒体に転写する技術が開示されている。
【0003】
また、特開平7−81051号公報には、インクジェット方式によって被記録媒体の両面に画像を記録するための技術が開示されている。かかる技術においては、表面が撥水材料により形成された中間転写ローラを用い、その表面に、被記録媒体の裏面に記録すべき画像の反転画像をインクジェット方式により形成してから、インクジェット方式による被記録媒体の表面への画像の記録速度と同じ速度によって、中間転写ローラの表面上の反転画像を被記録媒体の裏面に転写する。
【0004】
さらに、特開平9−216421号公報、および特開平9−286096号公報には、表面が撥水性材料からなる中間転写ローラを用い、その表面に反転画像を形成してから、それを凹凸のある被記録媒体に記録する技術が開示されている。かかる技術においては、被記録媒体の凹凸面に倣うように、中間転写ローラが弾性体によって形成されている。ゴムなどの弾性材料によって中間転写体を形成することは、特開平5−4335号公報にも記載されている。
【0005】
このように、インクジェット方式によって中間転写体に形成した反転画像を転写する記録方式に関する技術は、従来より種々提案されている。
【0006】
また、特開平7−17030号公報には、記録画質の向上を目的として、中間転写体の表面粗度を最大Rmax1μm〜25μmとすることにより、インクの濡れ性を向上させる技術が開示されている。しかし、かかる技術においては、中間転写体の平面性状が一様ではないために、記録画像に画質の良い部分と悪い部分が生じ、必ずしも良好な画像は得られない。また、特開平7−89067号公報には、中間転写体に界面活性剤を噴霧して、インクの濡れ性を向上させる技術が開示されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
昨今においては、インクジェット記録方式によって写真調の高精細な画像の記録が実現される状況に至りつつある。写真調の高精細な画像を記録する場合には、600dpiまたは1200dpiの記録密度に応じた小さいインクのドットを形成する必要がある。ドットは、画素を形成するインクの1ドットであり、カラー画像を記録する場合には、Y(イエロー)、M(マゼンタ)、C(シアン)の3色インクの内、いずれか1色のインクによって形成される1ドットを意味する。一般に、人間の目に見える限界の画素(1ドット)の大きさは、直径50μmといわれており、それ以下の小さいドットは肉現では認識できない。直径50μmのドットを形成するためにインクジェット記録ヘッドから吐出されるインク滴は、約4〜6ピコリットル程度である。例えば、3ピコリットル程度のインク滴が吐出できた場合には、直径30〜40μmのドットを形成することができ、粒状感のないほぼ完璧な写真調の画像を記録することができる。
【0008】
また、インクの比重を1g/ccとした場合、4ピコリットルの球状のインク滴の直径は20μm程度と推察される。このインク滴が紙などの被記録媒体に着弾することによって、直径約50μm程度のインクのドットが形成される。そのドットの大きさは被記録媒体の吸水性にも依存し、その吸水性が高い場合にはドットが小さくなり、その吸水性が低い場合にはドットが少し大きくなる。例えば、従前のインクジェット記録ヘッドによって、30〜60ピコリットルのインク滴を吐出した場合、その重量は30〜60ngとなり、それが被記録媒体上に着弾することによって、直径約80〜120μm程度のドットが形成される。インク滴の重量増加の割に、そのインク滴によって形成されるドットが大きくならない理由は、インクジェット記録ヘッドから吐出されて空間を飛翔するインク滴の体積が、その半径の3乗に比例するためである。換言すれば、インク滴の体積(重量)を減らしても、その直径はほとんど小さくならないことを意味する。
【0009】
したがって、このようなインクジェット方式によって中間転写ローラに反転画像を形成して、その反転画像を被記録媒体に転写して画像を記録する場合には、中間転写ローラに着弾させるインク滴の量を減らしても、写真調の画像を記録できるほどに画質は向上しなかった。そもそも、中間転写ローラを用いる記録方式は、凹凸のある被記録媒体に対して画像を記録することを目的として採用されており、画質の向上に主眼とするものではなかった。
【0010】
中間転写体としての中間転写ローラにおいては、仮に、その表面に着弾させるインク滴の大きさを4ピコリットルとしても画質が向上しない。その最も大きな理由は、中間転写ローラの表面構造のためである。すなわち、中間転写ローラの表面は均一構造とされているため、その表面に、インクジェット方式によって吐出されたインク滴を担持させた場合に、隣同士のインク滴が表面張力によって引き合って結合して、それらが移動してしまうからである。仮に、インク滴を4ピコリットル程度に減らした場合には、その分、ドット数を増加して記録密度を高めなければならず、中間転写ローラの表面上において互いに隣り合うインク滴同士の間隔は小さくしなければならない。
【0011】
このような状況下において、仮に、インク滴を吸収しない中間転写ローラ、あるいは撥水材料によって表面が形成されている中間転写ローラに、インク滴を担持させた場合には、インク滴同士が引き合って合体し、それらが大きなインク滴となってしまい、その中間転写ローラの表面上に形成される反転画像の画質が低下する。このような反転画像の画質低下は、従来のように厳しい記録画質が求められない場合には問題にはならないものの、写真調の高精細なフォトプリントをしようとした場合には問題となる。一般の銀塩写真の画素密度は3000dpiであり、1インチ(25.4mm)の間に3000個のドットが存在する。この銀塩写真に近い画質を得るためには、前述したように、インクのドットの直径を50μm以下として、記録ドットの粒状感をなくすことが必要となる。
【0012】
通常、写真調の記録をするときは、インク滴の体積が4ピコリットル程度の場合にも、6色あるいは7色のインクが重ねられる。その場合には、例えば、Bk(ブラック),Y(イエロー),M(マゼンタ),C(シアン),UY(薄いイエロー),UM(薄いマゼンタ),UC(薄いシアン)の7色のインクが用いられる。イエローに関しては、階調性が低いために、TY(中間イエロー)の1色インクが用いられることもある。
【0013】
仮に、このような6色あるいは7色のインク滴を中間転写ローラ上の小さい領域に密集するように担持させた場合には、それらのインク滴同士が引き合って、大きなインク滴となるように凝集し、そして移動することが起こり得る。このような中間転写ローラ上におけるインク滴の凝集および移動は、写真調の高精細な画像を記録する上において、その実現を阻む最も大きな問題となる。
【0014】
前述したように、中間転写体を用いる記録方式において、記録画像の画質の向上を目的とする技術としては、中間転写体の表面粗度を最大Rmax1μm〜25μmとすることにより、インクの濡れ性を向上させる技術(特開平7−17030号公報)がある。しかし、かかる技術においては、中間転写体の平面性状が一様ではないために、記録画像に画質の良い部分と悪い部分が生じ、必ずしも良好な画像は得られない。また、インクが集積して凝集する問題を避けることができず、意図した画像が得られない。また、特開平7−89067号公報には、中間転写体に界面活性剤を噴霧して、インクの濡れ性を向上させる技術が開示されている。しかし、かかる技術の場合にも同様の問題があり、被記録媒体へのインクの転写効率が低下する。
【0015】
結局、中間転写ローラなどの中間転写体を用いた従来の記録方式においては、その中間転写体の表面上においてインク滴同士が凝集して移動するために、写真調の高精細な画像の記録を実現することができなかった。
【0016】
本発明の目的は、中間転写体の表面上におけるインク滴の移動を抑止して、写真調の高精細な画像を記録することができる記録装置および記録方法を提供することにある。
【0017】
【課題を解決するための手段】
本発明の記録装置は、インク滴付与手段から中間転写体に付与したインク滴によって前記中間転写体に反転画像を形成し、前記反転画像を被記録媒体に転写させることによって、前記被記録媒体に画像を記録する記録装置において、前記中間転写体に撥水部分を設け、前記中間転写体の前記撥水部分以外の部分に付着したインク滴によって形成した反転画像を被記録媒体に転写させることを特徴とする。
【0018】
本発明の記録方法は、インク滴付与手段から中間転写体に付与したインク滴によって前記中間転写体に反転画像を形成し、前記反転画像を被記録媒体に転写させることによって、前記被記録媒体に画像を記録する記録方法において、前記中間転写体に付与されたインク滴の移動を前記中間転写体に設けた撥水部分によって抑止し、前記中間転写体の前記撥水部分以外の部分に付着したインク滴によって形成した反転画像を被記録媒体に転写させることを特徴とする。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0020】
(第1の実施形態)
「基本構成」
まず、図1および図2に基づいて、本例における記録装置の基本構成について説明する。
【0021】
インクジェット記録ヘッド1から吐出されたインク滴2は、中間転写体としての中間転写ローラ3の表面の親水部4に付着して仮保持(以下、「仮固定」ともいう)される。このインク滴2によって、記録画像の反転画像6が中間転写ローラ3の表面上に形成され、その反転画像は、搬送ローラ20上の転写位置において紙などの被記録媒体7に転写される。本例は、1つの記録ヘッド1から吐出する1色のインクによって記録画像を形成する場合の構成例であり、後述するように複数の記録ヘッド1を備えることにより、複数色のインクを用いてカラー画像を記録することもできる.また、中間転写体は、本例のようなローラ形状の他、板状の平面板あるいは円弧状の平面板であってもよい。
【0022】
中間転写ローラ3は、インク滴2によって形成された反転画像を被記録媒体7に転写した後、清掃機構11によってクリーニングされる。未転写の微小なインク滴の飛抹が中間転写ローラ3に付着している場合、および被記録媒体7に付着していたゴミや異物などが中間転写ローラ3に付着した場合、それらの異物が清掃機構11によって除去される。これにより、常に、清掃度の高いクリーンな中間転写ローラ3の表面が供与される。清掃機構11は、洗浄水19を含んだ吸水性の吸引ローラ12を備えており、中間転写ローラ3の表面を濡らしながら洗浄し、その後、吸引エアーパイプ28に接続された吸引除去ローラ13によって、中間転写ローラ3の表面上の水滴やゴミなどの異物を吸引除去する。
【0023】
本例の記録ヘッド1は、中間転写ローラ3の記録領域の全幅に渡って延在するフルマルチタイプ(通称、「FMヘッド」)である。記録ヘッド1は、中間転写ローラ3の軸線方向(図1中紙面の表裏方向)に往復移動可能なシリアルタイプであってもよい。記録ヘッド1は、信号線14によって記録画像生成装置15に接続されており、オンデマンドでインク滴2を吐出する。また、記録ヘッド1は、例えば、熱エネルギーを発生する電気熱変換体を備え、その熱エネルギーによってインクに膜沸騰を生じさせたときの発泡エネルギーを利用して、インク吐出口からインク滴2を吐出する構成であってもよい。
【0024】
中間転写ローラ3、被記録媒体7の搬送機構、清掃機構11におけるローラ12,13などは、図示しない駆動モータにより、ベルトやギアなどの駆動力伝達機構を介して駆動される。それらの駆動は、記録画像生成装置15と連動する駆動制御装置によって制御される。
【0025】
「特徴的構成」
次に、本例の特徴的な構成について説明する。
【0026】
本実施形態の場合は、前述した基本構成における記録ヘッド1が中間転写ローラ3から0.2mm離れて配置される。記録ヘッド1から吐出されるインク滴2の吐出方向は、中間転写ローラ3の表面に対してほぼ直角、つまり中間転写ローラ3のほぼ径方向である。実際には、中間転写ローラ3の表面に対するインク滴2の吐出方向は、その中間転写ローラ3の回転方向にずらされている。その理由は、インク滴2が中間転写ローラ3の表面に衝突したときにしぶきとなって飛散することを防止し、インク滴2が中間転写ローラ3と同方向に移動しながら仮固定されやすくするためである。
【0027】
インク滴2は、直径が約14.5μm程度、体積が約4ピコリットルであり、記録ヘッド1は、このインク滴2を2.0KHzの駆動周波数に同期して吐出する能力を有する。中間転写ローラ3は、記録ヘッド1のインク吐出に同期して回転し、その回転速度は、0.5m/secの外周面移動速度をもつ。中間転写ローラ3の直径は200mmとなっているため、その回転速度は約48rpmとなる。
【0028】
中間転写ローラ3の表面には、図3、図4、または図5のように、親水部4と格子状の撥水部5が形成されている。図3の場合、格子状の撥水部5によって囲まれる四角形状の親水部4は、中間転写ローラ3の周方向および軸方向(同図中の上下および左右方向)に並ぶように形成される。図4の場合、格子状の撥水部5によって囲まれる四角形状の親水部4は、同図中上下の中間転写ローラ3の周方向にずれて形成される。その親水部4は、図4中左右の中間転写ローラ3の軸方向にずれて形成してもよい。図5の場合、格子状の撥水部5によって囲まれる四角形状の親水部4は、中間転写ローラ3の周方向および軸方向(同図中の上下および左右方向)にずれて形成される。これらの図3、図4、および図5における親水部4と撥水部5の大きさや形成方法については後述する。
【0029】
記録ヘッド1は、インク滴2を4m/sec程度の速度で吐出し、そのインク滴2は、中間転写ローラ3の表面に着弾して親水部4に仮固定される。その親水部4に仮固定されたインク滴2は、撥水部5に囲まれて移動が阻止されるため、紙などの被記録媒体7に転写されるまで、その仮固定位置に留まる。そして、中間転写ローラ3が回転して、その表面が被記録媒体7と接触することにより、中間転写ローラ3に仮固定されていたインク滴2が被記録媒体7に転写される。このように、記録ヘッド1から吐出されたインク滴2が、中間転写ローラ3を経由して被記録媒体7に転写されることによって、画像が記録される。
【0030】
親水部4に仮固定されたインク滴2は、中間転写ローラ3が図3、図4、または図5のいずれの表面構造であっても格子状の撥水部5を越えて移動することができない。そのため、隣り合うインク滴2同士が引き合って凝集することはない。平板状の中間転写体を図3、図4、または図5の表面形状とした場合も同様である。また、中間転写ローラ3および平板状を含む中間転写体の表面は、凹凸のある面であってもよい。例えば、親水部4が撥水部5よりも若干窪んでいた方が望ましい。その理由は、親水部4に複数種のインクを重ねるように仮固定した場合に、それらのインクが撥水部5を越えて隣の親水部4に移動する機会を低減できるからである。その場合、親水部4の窪みの深さは、5μm程度が望ましい。また、その親水部4の窪みの最深部は、浸水部4の中心に位置することが望ましい。その理由は、その最深部の位置に、インク滴2の位置が微視的に規定されるからである。
【0031】
中間転写ローラ3は、インク滴2を被記録媒体7に転写した後、清掃機構11によって清掃されて初期の表面状態となってから、再び、次のインク滴2を記録ヘッド1から受け取って、それを被記録媒体7に転写する。このようにして、連続的に画像が記録される。
【0032】
清掃機構11において、吸水性のローラ12の内部や表面には、外部より供給される洗浄水19が含まれており、そのローラ12が中間転写ローラ3に接触した段階において、親水部4に大量に付着させる洗浄水19に、その中間転写ローラ3の表面の付着物、つまりインク滴2の残余の粒子やゴミなどの異物を含ませる。その後、吸引ローラ13によって、洗浄水19と共に、インク滴2の残余の粒子やゴミなどの異物を吸引除去する。その後、洗浄された中間転写ローラ3の表面は、送風や赤外線の照射により乾燥される。
【0033】
(第2の実施形態)
図6および図7は、本発明の第2の実施形態を説明するための図である。
【0034】
本例の場合は、図6のように、インクジェット記録ヘッド1として、Y(イエロー),M(マゼンタ),C(シアン),UM(薄いマゼンタ),UC(薄いシアン),Bk(ブラック)のインクを吐出するための5つの記録ヘッド1Y,1M,1C,1UM,1UC,1Bkが備えられている。それらの記録ヘッド1は、中間転写ローラ3から0.2mm離れて配置される。記録ヘッド1から吐出されるインク滴2の吐出方向は、中間転写ローラ3の表面に対してほぼ直角、つまり中間転写ローラ3のほぼ径方向である。実際には、中間転写ローラ3の表面に対するインク滴2の吐出方向は、その中間転写ローラ3の回転方向にずらされている。その理由は、インク滴2が中間転写ローラ3の表面に衝突したときにしぶきとなって飛散することを防止し、インク滴2が中間転写ローラ3と同方向に移動しながら仮固定されやすくするためである。
【0035】
インク滴2は、直径が約20μm程度、体積が約4ピコリットルであり、記録ヘッド1は、このインク滴2を2.0KHzの駆動周波数に同期して吐出する能力を有する。中間転写ローラ3は、記録ヘッド1のインク吐出に同期して回転し、その回転速度は、0.5m/secの外周面移動速度をもつ。中間転写ローラ3の直径は200mmとなっているため、その回転速度は約48rpmである。
【0036】
中間転写ローラ3の表面には、図7のように、平面6角形の親水部4と6角枠状の撥水部5が多数形成されている。6角形状の親水部4は窪んでおり、その中央が最も窪んでいる。撥水部5の向かい合う辺部分の間隔は18μmであり、また撥水部5の辺部分の幅は3μmである。この図7における親水部4と撥水部5の大きさや形成方法については後述する。
【0037】
記録ヘッド1は、インク滴2を4m/sec程度の速度で吐出し、そのインク滴2は、中間転写ローラ3の表面に着弾して親水部4に仮固定される。中間転写ローラ3に最初に仮固定されるY(イエロー)のインク滴2(以下、「インク滴2Y」ともいう)は、6角形状の親水部4の中央部に溜まる傾向をもつ。その理由は、6角形の親水部4の中心部が最も窪んでいて、毛管現象によって、その中心部に引きずり込まれるからである。同様に、次に中間転写ローラ3に着弾するM(マゼンタ)のインク滴2(以下、「インク滴2M」ともいう)も親水部4に仮固定される。そのインク滴2Mが仮固定される親水部4に、インク滴2Yが存在していた場合には、それらのインク滴2Y,2Mが凝集し混合する。その場合、仮に、インク滴2Mの飛翔軌跡がずれて、インク滴2Yが存在する目的の親水部4に着弾せずに、その目的の親水部4の隣の親水部4に着弾したときは、そのインク滴2Mとインク滴2Yとは混合されない。しかし、それらが着弾する親水部4は、わずかに20μm程度離れているだけであるため、それらのインク滴2M,2Yを肉眼で識別することは不可能であり、それらはあたかも混合されたように見える。
【0038】
同様に、次に中間転写ローラ3に着弾するC(シアン)のインク滴2(以下、「インク滴2C」ともいう)も親水部4に仮固定される。そのインク滴2Cは、それが仮固定される親水部4に、インク滴2Yおよび/またはインク滴2Mが存在していた場合には、それらのインク滴2Yおよび/またはインク滴2Mと凝集し混合される。その場合、仮に、インク滴2Cの飛翔軌跡がずれて、インク滴2Yおよび/またはインク滴2Mが存在する目的の親水部4に着弾せずに、その目的の親水部4の隣の親水部4に着弾したときは、そのインク滴2Cとインク滴2Yおよび/またはインク滴2Mとは混合されない。しかし、それらが着弾する親水部4は、わずかに20μm程度離れているだけであるため、それらのインク滴2Y,2M,2Cを肉眼で識別することは不可能であり、それらはあたかも混合されたように見える。
【0039】
同様に、次に中間転写ローラ3に着弾するUM(薄いマゼンタ),UC(薄いシアン),およびBk(ブラック)のインク滴2も親水部4に仮固定される。
【0040】
当然ながら、単色のインクのみを用いて画像を記録する場合を含め、1つの親水部4に単色のインクのみが仮固定されることもある。例えば、淡色インクのみを用いて画像を記録する場合には、親水部4において他のインクとの混色は生ぜず、インク滴2は目的の親水部4、あるいはそれに隣接する親水部4に着弾することになる。後者の場合には、隣接する親水部4がわずか20μm程度離れているだけであるため、肉眼での確認はできず問題はない。
【0041】
仮に、記録ヘッド1から吐出されたインク滴2が中間転写ローラ3に到達するまでの間に、そのインク滴2の位置が大きくずれた場合には、記録位置のずれとして記録画像上に現れるおそれがある。例えば、記録ヘッド1からのインク滴2の吐出速度がかなり遅くなった場合には、そのインク滴2が着弾目標の中間転写ローラ3上の位置から大きくずれるおそれがある。このような場合には、後述する実施形態のように、電界を付与することによってインク滴2の飛翔の安定化して、目標位置に確実に着弾させることができる。
【0042】
このようにして親水部4に仮固定されたインク滴2は、撥水部5に囲まれて移動が阻止されるため、紙などの被記録媒体7に転写されるまで、その仮固定位置に留まる。インク滴2の量、中間転写ローラ3の親水部4の面積、その親水部4の窪みの体積は、その親水部4からインクが極力はみ出ないように設定する。また、親水部4の窪みを形成した場合には、被記録媒体7への転写を良好に行うために、中間転写ローラ3を柔軟性のゴムローラとしたり、後述するように電界を付与してもよい。
【0043】
また、記録ヘッド1から吐出されるインク滴2は、基本的に、目標とする親水部4に到達すべく吐出される。しかし、記録装置の振動、記録ヘッド1のインク吐出の微妙なバラツキのために、インク滴2の着弾位置がわずかにずれて、撥水部5上に着弾する場合もある。その場合、その撥水部5に着弾したインク滴2は、その撥水部5の近傍の親水部4に付着、あるいは、その撥水部5の近傍の複数の親水部4に分かれて付着する。しかし、親水部4が僅か20μm程度離れているため、また図7のように撥水部5が互い違いに形成されているために、そのようなインク滴2の付着位置のずれは肉眼では確認し難く問題はない。
【0044】
このようにして中間転写ローラ3に形成された反転画像は、中間転写ローラ3が回転して、その表面が被記録媒体7と接触することにより、被記録媒体7に転写される。このように、記録ヘッド1から吐出されたインク滴2が、中間転写ローラ3を経由して被記録媒体7に転写されることによって、画像が記録される。
【0045】
中間転写ローラ3は、インク滴2を被記録媒体7に転写した後、清掃機構11によって清掃されて初期の表面状態となってから、再び、次のインク滴2を記録ヘッド1から受け取って、それを被記録媒体7に転写する。このようにして、連続的に画像が記録される。その記録画像は、従来の技術によっては実現できなかった高精細のフォト画像であった。
【0046】
(第3の実施形態)
次に、本発明の第3の実施形態として、中間転写ローラ3を含む中間転写体に対する図3、図4、図5、および図7の親水部4と撥水部5の形成方法について説明する。
【0047】
まず、図3の親水部4と撥水部5の形成方法について説明する。
【0048】
図3において、親水部4は一辺が17〜20μmの平面正方形状であり、撥水部5は、その親水部4を取り囲む4角形の格子状である。格子状を成す撥水部5の幅は3〜5μm程度である。撥水部5によって囲まれる親水部4は、前述したように、中間転写ローラ3の周方向および軸方向(同図中の上下および左右方向)に並ぶように多数形成される。好ましくは、親水部4の一辺は18μm、撥水部5の幅は4μmである。
【0049】
中間転写ローラ3を含む中間転写体に、このような親水部4および撥水部5を形成する場合には、まず、金属平板上にポリサルフォン樹脂フィルムを仮固定する。ポリサルフォン樹脂フィルムの厚さは50±4μm程度であり、またポリサルフォン樹脂フィルムとしては、帝人アモコ社製のものを用いることができる。そして、そのポリサルフォン樹脂フィルムの上にシランカップリング剤を塗布した後に、撥水剤(商品名CTX500:旭ガラス社製)の1%溶液を希釈溶媒と共に噴霧し、150℃でエージング固着させる。このようにして、全面が撥水性の基板フィルムが作成され、その基板フィルムの表面には、0.05〜0.1μm程度の厚さの撥水剤の被膜が形成される。
【0050】
その後、この基板フィルムの表面をエキシマレーザー加工によって、アブレーション処理をする。そのエキシマレーザ加工により、撥水剤が固着している母材としてのポリサルフォン樹脂を分解除去し、それと共に撥水剤の部分も除去される。ポリサルフォン樹脂の除去部分によって、親水部4が形成される。その除去パターンは、エキシマレーザーを遮断するようなパターンマスクを用いて設定することができ、そのパターンマスクを基板フィルムの表面上に固定して、エキシマレーザーを照射することにより親水部4が形成される。そのパターンマスクは、半導体のフォトマスクを設計するパターンニングの手法によって容易に製作できる。
【0051】
このようにして親水部4と撥水部5が形成された平面状の基板フィルムは、その親水部4が撥水部5よりも0.3〜0.6μm程度窪んでいる。その理由は、エシキマレーザーの照射によって、ポリサルフォンが僅かに分解除去されるためである。エキシマレーザーの照射時間を延ばすことによって、その親水部4の窪みを30μm程度にまで深くすることができる。また、マスクパターンを変更することによって、その親水部4の深さを段階的に変化させることも可能である。
【0052】
そして、このように形成した基板フィルムを直径200mmのローラの表面上に巻き付け固定することによって、中間転写ローラ3を製作することができる。
【0053】
図4の親水部4および撥水部5は、このような図3のものと同様に形成することができる。
【0054】
次に、図5の親水部4と撥水部5の形成方法について説明する。
【0055】
まず、直径200mmの銅製の中空真円ローラの表面に、ダイヤモンドダイスによって微小な四角錐の窪みを形成する。その窪みの一辺は15μm程度、その窪みの最深部の深さは6μm程度とした。この窪みを24μmピッチで図5中の横一列に形成し、それを図5のように間隔を詰めて複数列形成してパターン化する。このように表面がパターン化された銅製ローラを回転軸に取り付け、その表面にエポキシ系接着溶剤を塗布してから、その表面を直ちに硬度70度のシリコンゴム板により擦って、銅製ローラの表面の窪みにエポキシ接着剤被膜を形成する。そして、そのエポキシ系接着剤を乾燥固化させた後、銅製ローラの表面に厚さ1μm程度のニッケルメッキを施してから、その上に、一般に知られている弗化カーボン混合メッキを電界メッキによって3μmの厚さに形成した。この弗化カーボン混合メッキは、撥水メッキとして広く知られている。エポキシ樹脂は親水樹脂であるため、銅製ローラの表面に、親水部と撥水部が形成される。したがって、この銅製ローラを中間転写ローラ3としても用いることもできる。
【0056】
本例の場合は、有機溶剤によって、銅製ローラの表面上のエポキシ樹脂を除去して、窪み部分の銅表面を露出させた。銅製ローラは、その窪み部分の中心は最も深く形成されているため、中間転写ローラ3として用いることができる。また、銅は腐食しやすいため、ダイヤモンドダイスによって窪み部分を形成した後に、ニッケルを1μm程度メッキしてから、窪み部分の中にエポキシ樹脂を固着させた後に、弗化カーボンメッキをしてもよい。
【0057】
図7の親水部4および撥水部5は、このような図5のものと同様に形成することができる。すなわち、先端が6角形のダイスを超硬合金によって形成し、これを刻印機により定量送りして、平面6角形の窪みを形成した。そして、その窪み部分にエポキシ樹脂を流し込み、その窪み部分を除く表面部分、つまり撥水部の形成予定部分上におけるエポキシ樹脂をシリコンブレードによって除去して、その撥水部形成予定部分の銅表面を露出させる。その後、その露出された撥水部形成予定部分上にニッケルメッキを施してから、弗化カーボン混合ニッケルメッキ層を形成した。その後は、図5の場合と同様に処理して中間転写ローラ3とした。
【0058】
(第4の実施形態)
図8は、本発明の第4の実施形態を説明するための図である。
【0059】
インクジェット記録ヘッド1(1Y,1M,1C,1UM,1UC,1Bk)から吐出されるインクは、5〜20シーメンス/cm2程度の電気伝導度をもつ電導体である。したがって、記録ヘッド1に設けた電極によってインクに電圧を掛けることにより、インク全体に電位を与えることができる。また、中間転写ローラ3において、銅製のローラによって形成された部分は導電性であるため、この中間転写ローラ3に設けた電極によって電圧を掛けることにより、中間転写ローラ3全体に電位を与えることができる。
【0060】
また、転写位置において、被記録媒体7の搬送ローラ20を導電性のローラとすることにより、中間転写ローラ3と搬送ローラ20との間に電界を付与することが可能である。帯電した粒子は、電界に導かれて、その粒子がもつ電荷と逆の電荷の方向に飛翔する性質をもつ。本例の場合は、その性質をインク滴2に応用する。
【0061】
すなわち、図8のように、電圧発生装置22から電極線21を介して、記録ヘッド1内のインクに−10Vの電圧を掛ける。また、電圧発生装置22から電極線23を介して、中間転写ローラ3に+100Vの電圧を掛ける。また、電圧発生装置22から電極線24を介して、搬送ローラ20に−100Vの電圧を掛ける。したがって、記録ヘッド1から吐出されるインク滴2は、マイナスの帯電粒子となり、中間転写ローラ3の+100Vの電位に引かれて、中間転写ローラ3の表面に付着する。撥水部5の撥水力は、110V程度の電位で変化するものではないため、インク滴2は親水部4に付着する。
【0062】
本例の場合、記録ヘッド1から吐出されるインク滴2に掛ける電圧は、記録ヘッド1の内部の電気回路を破壊しない程度の電圧40〜50Vを考慮して、−10Vに設定した。また、インクに高電圧を印加した場合には、インクが電気分解を起こすおそれがあるため、それを避けることも考慮して、−10Vの電位に設定した。中間転写ローラ3が回路的に切り離されている場合には、インクに掛ける電圧は自由に設定できる。また、本例において、中間転写ローラ3に掛ける電圧を+100Vに設定した理由は、通常の一般家庭用の電源から容易に得られるからである。その電圧は、+100Vのみに限定されず任意である。また、搬送ローラ20に掛ける電圧も−100Vのみに限定されず任意であり、インク滴2を中間転写ローラ3から被記録媒体7に転写させる方向の電界が生じればよい。
【0063】
本例のように電界を付与して画像を記録した場合には、被記録媒体7に対してインクを良好に転写することができた。特に、中間転写ローラ3の残るインク量がかなり少なくなった。その理由は、窪んでいる中間転写ローラ3の親水部4内のインク滴2が、電界によって被記録媒体7に引き出されたからである。
【0064】
また、記録ヘッド1と中間転写ローラ3との間に電界を付与することにより、それらの間の距離を大きく設定することが可能となった。それらの間に電界を付与しない場合は、それらの間の距離を0.4mm程度とする範囲が画像の記録むらの発生しにくい領域であり、本例のように電界を付与することによって、その距離を約1mm程度にまで拡大することができた。通常の記録画像を支障なく視認するレベルにおいては、記録ヘッド1と中間転写ローラ3との間に電界を付与しない場合には、それらの間の距離を0.5mmまで大きくするのが限界であり、一方、それらの間に電界を付与した場合には、それらの間の距離を1.2mmまで拡大することができた。
【0065】
記録ヘッド1と中間転写ローラ3との間に電界を付与するか、または中間転写ローラ3と搬送ローラ20との間に電界を付与するか、あるいは、それらの両方に電界を付与するかは、記録状況に応じて設定することができる。
【0066】
(第5の実施形態)
図9は、本発明の第5の実施形態を説明するための図である。
【0067】
本例の中間転写ローラ3は絶縁体で構成されており、例えば、親水部4と撥水部5が形成された前述のポリサルフォンフィルムを備えた構成となっている。このような中間転写ローラ3と被記録媒体7との間に、電界が付与される。すなわち、プラス帯電器25を用いて、反転画像6が形成された中間転写ローラ3にプラス電荷を付与する。帯電器25は、例えば、+3000Vに帯電させることが可能なコロトコロン帯電器である。絶縁体である中間転写ローラ3上にはプラス電荷が付与され、液体であるインク滴2は帯電粒子となる。一方、被記録媒体7には、マイナス帯電器26によってマイナス電荷が付与され、プラスに帯電した中間転写ローラ3上のインク滴2は、転写位置の被記録媒体7に引き寄せられて、そのほとんど全てが良好に転写された。その後、除電器27によって被記録媒体7が除電され、また清掃機構11の給水ローラ12をアース電位(0電位)に接続しておくことにより、中間転写ローラ3は簡単に除電された。
【0068】
このように帯電器を用いて電界を付与する簡便な方法により、インク滴2を良好に転写することができ、特に、記録速度が1m/secを超えるような高速記録を実施する場合に有効となる。これに対して、前述した図8の実施形態の場合には、導電体である中間転写ローラ3の電位が清掃機構11の洗浄水19を通して逃げないように、清掃機構11を外部回路と絶縁することが必要となり、洗浄水19と接触する部分のすべてを電気的に絶縁することは機構的な複雑化を伴なう。
【0069】
また、本例の場合とは逆に、中間転写ローラ3をマイナスに帯電させて、被記録媒体7をプラスに帯電させてもよい。また、被記録媒体7を帯電させる代わりに、搬送ローラ20を帯電させてもよい。
【0070】
(他の実施形態)
撥水部5の形状は、四角形の格子形状や6角形等の網目形状の他、種々の形状に形成することができる。また、中間転写体と被記録媒体との間に電位差を生じさせるためのバイアス手段は、一定あるいは変動するバイアス電圧を掛けるものであってもよい。また、撥水部5の代わりに疎水部を形成して、その疎水部によって、中間転写体上におけるインク滴2の移動や広がりを抑止することできる。また、被記録媒体7の搬送手段は、空気の吸引力や静電気を利用して、ベルトやロールに被記録媒体7を吸着保持しつつ、それを高精度に搬送する構成とすることもできる。
【0071】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明は、中間転写体に撥水部分を設け、その中間転写体における撥水部分以外の部分に付着したインク滴によって形成した反転画像を、被記録媒体に転写させるため、その撥水部分によってインク滴の移動を抑止して、画像のぼやけやにじみ等による記録画質の低下を防止することができ、この結果、粒状感のない写真調の高精細な画像のフォトプリントを実現することができる。
【0072】
また、中間転写体における撥水部分の形状を記録条件などに応じて最適に設定することにより、中間転写体にインク滴を良好に仮保持して、記録画像の品位をより向上させることができる。
【0073】
また、中間転写体と被記録媒体との間、および/または、インク滴付与手段から付与されるインク滴と中間転写体との間に、電位差を生じさせることにより、被記録媒体へのインクの転写や中間転写体へのインクの付与をより確実に実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態を説明するための要部の側面図である。
【図2】図1における要部の斜視図である。
【図3】図1の中間転写ローラに形成可能な親水部と撥水部のパターンの一例の説明図である。
【図4】図1の中間転写ローラに形成可能な親水部と撥水部のパターンの他の例の説明図である。
【図5】図1の中間転写ローラに形成可能な親水部と撥水部のパターンのさらに他の例の説明図である。
【図6】本発明の第2の実施形態を説明するための要部の側面図である。
【図7】図6の中間転写ローラに形成可能な親水部と撥水部のパターンの一例の説明図である。
【図8】本発明の第4の実施形態を説明するための要部の側面図である。
【図9】本発明の第5の実施形態を説明するための要部の側面図である。
【符号の説明】
1 インクジェット記録ヘッド
2 インク滴
3 中間転写ローラ(中間転写体)
4 親水部
5 撥水部
6 反転画像
7 被記録媒体
11 清掃機構
12 吸引ローラ
13 吸引除去ローラ
14 信号線
15 記録画像生成装置
19 洗浄水
20 搬送ローラ
21,23,24 電極線
22 電圧発生装置
25,26 帯電器
27 除電器
28 吸引エアーパイプ
【発明の属する技術分野】
本発明は、インク滴によって中間転写体に形成した反転画像を被記録媒体に転写させることにより、粒状感のない写真調の高精細な画像を記録可能な記録装置および記録方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来の技術として、例えば、特開平5−4335号公報には、凹凸加工が施された被記録媒体や撥水性の高い被記録媒体に画像を記録する際に、中間転写体としてのローラに形成した保護膜上に、インクジェット方式により反転画像を形成してから、その反転画像を被記録媒体に転写する技術が開示されている。
【0003】
また、特開平7−81051号公報には、インクジェット方式によって被記録媒体の両面に画像を記録するための技術が開示されている。かかる技術においては、表面が撥水材料により形成された中間転写ローラを用い、その表面に、被記録媒体の裏面に記録すべき画像の反転画像をインクジェット方式により形成してから、インクジェット方式による被記録媒体の表面への画像の記録速度と同じ速度によって、中間転写ローラの表面上の反転画像を被記録媒体の裏面に転写する。
【0004】
さらに、特開平9−216421号公報、および特開平9−286096号公報には、表面が撥水性材料からなる中間転写ローラを用い、その表面に反転画像を形成してから、それを凹凸のある被記録媒体に記録する技術が開示されている。かかる技術においては、被記録媒体の凹凸面に倣うように、中間転写ローラが弾性体によって形成されている。ゴムなどの弾性材料によって中間転写体を形成することは、特開平5−4335号公報にも記載されている。
【0005】
このように、インクジェット方式によって中間転写体に形成した反転画像を転写する記録方式に関する技術は、従来より種々提案されている。
【0006】
また、特開平7−17030号公報には、記録画質の向上を目的として、中間転写体の表面粗度を最大Rmax1μm〜25μmとすることにより、インクの濡れ性を向上させる技術が開示されている。しかし、かかる技術においては、中間転写体の平面性状が一様ではないために、記録画像に画質の良い部分と悪い部分が生じ、必ずしも良好な画像は得られない。また、特開平7−89067号公報には、中間転写体に界面活性剤を噴霧して、インクの濡れ性を向上させる技術が開示されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
昨今においては、インクジェット記録方式によって写真調の高精細な画像の記録が実現される状況に至りつつある。写真調の高精細な画像を記録する場合には、600dpiまたは1200dpiの記録密度に応じた小さいインクのドットを形成する必要がある。ドットは、画素を形成するインクの1ドットであり、カラー画像を記録する場合には、Y(イエロー)、M(マゼンタ)、C(シアン)の3色インクの内、いずれか1色のインクによって形成される1ドットを意味する。一般に、人間の目に見える限界の画素(1ドット)の大きさは、直径50μmといわれており、それ以下の小さいドットは肉現では認識できない。直径50μmのドットを形成するためにインクジェット記録ヘッドから吐出されるインク滴は、約4〜6ピコリットル程度である。例えば、3ピコリットル程度のインク滴が吐出できた場合には、直径30〜40μmのドットを形成することができ、粒状感のないほぼ完璧な写真調の画像を記録することができる。
【0008】
また、インクの比重を1g/ccとした場合、4ピコリットルの球状のインク滴の直径は20μm程度と推察される。このインク滴が紙などの被記録媒体に着弾することによって、直径約50μm程度のインクのドットが形成される。そのドットの大きさは被記録媒体の吸水性にも依存し、その吸水性が高い場合にはドットが小さくなり、その吸水性が低い場合にはドットが少し大きくなる。例えば、従前のインクジェット記録ヘッドによって、30〜60ピコリットルのインク滴を吐出した場合、その重量は30〜60ngとなり、それが被記録媒体上に着弾することによって、直径約80〜120μm程度のドットが形成される。インク滴の重量増加の割に、そのインク滴によって形成されるドットが大きくならない理由は、インクジェット記録ヘッドから吐出されて空間を飛翔するインク滴の体積が、その半径の3乗に比例するためである。換言すれば、インク滴の体積(重量)を減らしても、その直径はほとんど小さくならないことを意味する。
【0009】
したがって、このようなインクジェット方式によって中間転写ローラに反転画像を形成して、その反転画像を被記録媒体に転写して画像を記録する場合には、中間転写ローラに着弾させるインク滴の量を減らしても、写真調の画像を記録できるほどに画質は向上しなかった。そもそも、中間転写ローラを用いる記録方式は、凹凸のある被記録媒体に対して画像を記録することを目的として採用されており、画質の向上に主眼とするものではなかった。
【0010】
中間転写体としての中間転写ローラにおいては、仮に、その表面に着弾させるインク滴の大きさを4ピコリットルとしても画質が向上しない。その最も大きな理由は、中間転写ローラの表面構造のためである。すなわち、中間転写ローラの表面は均一構造とされているため、その表面に、インクジェット方式によって吐出されたインク滴を担持させた場合に、隣同士のインク滴が表面張力によって引き合って結合して、それらが移動してしまうからである。仮に、インク滴を4ピコリットル程度に減らした場合には、その分、ドット数を増加して記録密度を高めなければならず、中間転写ローラの表面上において互いに隣り合うインク滴同士の間隔は小さくしなければならない。
【0011】
このような状況下において、仮に、インク滴を吸収しない中間転写ローラ、あるいは撥水材料によって表面が形成されている中間転写ローラに、インク滴を担持させた場合には、インク滴同士が引き合って合体し、それらが大きなインク滴となってしまい、その中間転写ローラの表面上に形成される反転画像の画質が低下する。このような反転画像の画質低下は、従来のように厳しい記録画質が求められない場合には問題にはならないものの、写真調の高精細なフォトプリントをしようとした場合には問題となる。一般の銀塩写真の画素密度は3000dpiであり、1インチ(25.4mm)の間に3000個のドットが存在する。この銀塩写真に近い画質を得るためには、前述したように、インクのドットの直径を50μm以下として、記録ドットの粒状感をなくすことが必要となる。
【0012】
通常、写真調の記録をするときは、インク滴の体積が4ピコリットル程度の場合にも、6色あるいは7色のインクが重ねられる。その場合には、例えば、Bk(ブラック),Y(イエロー),M(マゼンタ),C(シアン),UY(薄いイエロー),UM(薄いマゼンタ),UC(薄いシアン)の7色のインクが用いられる。イエローに関しては、階調性が低いために、TY(中間イエロー)の1色インクが用いられることもある。
【0013】
仮に、このような6色あるいは7色のインク滴を中間転写ローラ上の小さい領域に密集するように担持させた場合には、それらのインク滴同士が引き合って、大きなインク滴となるように凝集し、そして移動することが起こり得る。このような中間転写ローラ上におけるインク滴の凝集および移動は、写真調の高精細な画像を記録する上において、その実現を阻む最も大きな問題となる。
【0014】
前述したように、中間転写体を用いる記録方式において、記録画像の画質の向上を目的とする技術としては、中間転写体の表面粗度を最大Rmax1μm〜25μmとすることにより、インクの濡れ性を向上させる技術(特開平7−17030号公報)がある。しかし、かかる技術においては、中間転写体の平面性状が一様ではないために、記録画像に画質の良い部分と悪い部分が生じ、必ずしも良好な画像は得られない。また、インクが集積して凝集する問題を避けることができず、意図した画像が得られない。また、特開平7−89067号公報には、中間転写体に界面活性剤を噴霧して、インクの濡れ性を向上させる技術が開示されている。しかし、かかる技術の場合にも同様の問題があり、被記録媒体へのインクの転写効率が低下する。
【0015】
結局、中間転写ローラなどの中間転写体を用いた従来の記録方式においては、その中間転写体の表面上においてインク滴同士が凝集して移動するために、写真調の高精細な画像の記録を実現することができなかった。
【0016】
本発明の目的は、中間転写体の表面上におけるインク滴の移動を抑止して、写真調の高精細な画像を記録することができる記録装置および記録方法を提供することにある。
【0017】
【課題を解決するための手段】
本発明の記録装置は、インク滴付与手段から中間転写体に付与したインク滴によって前記中間転写体に反転画像を形成し、前記反転画像を被記録媒体に転写させることによって、前記被記録媒体に画像を記録する記録装置において、前記中間転写体に撥水部分を設け、前記中間転写体の前記撥水部分以外の部分に付着したインク滴によって形成した反転画像を被記録媒体に転写させることを特徴とする。
【0018】
本発明の記録方法は、インク滴付与手段から中間転写体に付与したインク滴によって前記中間転写体に反転画像を形成し、前記反転画像を被記録媒体に転写させることによって、前記被記録媒体に画像を記録する記録方法において、前記中間転写体に付与されたインク滴の移動を前記中間転写体に設けた撥水部分によって抑止し、前記中間転写体の前記撥水部分以外の部分に付着したインク滴によって形成した反転画像を被記録媒体に転写させることを特徴とする。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0020】
(第1の実施形態)
「基本構成」
まず、図1および図2に基づいて、本例における記録装置の基本構成について説明する。
【0021】
インクジェット記録ヘッド1から吐出されたインク滴2は、中間転写体としての中間転写ローラ3の表面の親水部4に付着して仮保持(以下、「仮固定」ともいう)される。このインク滴2によって、記録画像の反転画像6が中間転写ローラ3の表面上に形成され、その反転画像は、搬送ローラ20上の転写位置において紙などの被記録媒体7に転写される。本例は、1つの記録ヘッド1から吐出する1色のインクによって記録画像を形成する場合の構成例であり、後述するように複数の記録ヘッド1を備えることにより、複数色のインクを用いてカラー画像を記録することもできる.また、中間転写体は、本例のようなローラ形状の他、板状の平面板あるいは円弧状の平面板であってもよい。
【0022】
中間転写ローラ3は、インク滴2によって形成された反転画像を被記録媒体7に転写した後、清掃機構11によってクリーニングされる。未転写の微小なインク滴の飛抹が中間転写ローラ3に付着している場合、および被記録媒体7に付着していたゴミや異物などが中間転写ローラ3に付着した場合、それらの異物が清掃機構11によって除去される。これにより、常に、清掃度の高いクリーンな中間転写ローラ3の表面が供与される。清掃機構11は、洗浄水19を含んだ吸水性の吸引ローラ12を備えており、中間転写ローラ3の表面を濡らしながら洗浄し、その後、吸引エアーパイプ28に接続された吸引除去ローラ13によって、中間転写ローラ3の表面上の水滴やゴミなどの異物を吸引除去する。
【0023】
本例の記録ヘッド1は、中間転写ローラ3の記録領域の全幅に渡って延在するフルマルチタイプ(通称、「FMヘッド」)である。記録ヘッド1は、中間転写ローラ3の軸線方向(図1中紙面の表裏方向)に往復移動可能なシリアルタイプであってもよい。記録ヘッド1は、信号線14によって記録画像生成装置15に接続されており、オンデマンドでインク滴2を吐出する。また、記録ヘッド1は、例えば、熱エネルギーを発生する電気熱変換体を備え、その熱エネルギーによってインクに膜沸騰を生じさせたときの発泡エネルギーを利用して、インク吐出口からインク滴2を吐出する構成であってもよい。
【0024】
中間転写ローラ3、被記録媒体7の搬送機構、清掃機構11におけるローラ12,13などは、図示しない駆動モータにより、ベルトやギアなどの駆動力伝達機構を介して駆動される。それらの駆動は、記録画像生成装置15と連動する駆動制御装置によって制御される。
【0025】
「特徴的構成」
次に、本例の特徴的な構成について説明する。
【0026】
本実施形態の場合は、前述した基本構成における記録ヘッド1が中間転写ローラ3から0.2mm離れて配置される。記録ヘッド1から吐出されるインク滴2の吐出方向は、中間転写ローラ3の表面に対してほぼ直角、つまり中間転写ローラ3のほぼ径方向である。実際には、中間転写ローラ3の表面に対するインク滴2の吐出方向は、その中間転写ローラ3の回転方向にずらされている。その理由は、インク滴2が中間転写ローラ3の表面に衝突したときにしぶきとなって飛散することを防止し、インク滴2が中間転写ローラ3と同方向に移動しながら仮固定されやすくするためである。
【0027】
インク滴2は、直径が約14.5μm程度、体積が約4ピコリットルであり、記録ヘッド1は、このインク滴2を2.0KHzの駆動周波数に同期して吐出する能力を有する。中間転写ローラ3は、記録ヘッド1のインク吐出に同期して回転し、その回転速度は、0.5m/secの外周面移動速度をもつ。中間転写ローラ3の直径は200mmとなっているため、その回転速度は約48rpmとなる。
【0028】
中間転写ローラ3の表面には、図3、図4、または図5のように、親水部4と格子状の撥水部5が形成されている。図3の場合、格子状の撥水部5によって囲まれる四角形状の親水部4は、中間転写ローラ3の周方向および軸方向(同図中の上下および左右方向)に並ぶように形成される。図4の場合、格子状の撥水部5によって囲まれる四角形状の親水部4は、同図中上下の中間転写ローラ3の周方向にずれて形成される。その親水部4は、図4中左右の中間転写ローラ3の軸方向にずれて形成してもよい。図5の場合、格子状の撥水部5によって囲まれる四角形状の親水部4は、中間転写ローラ3の周方向および軸方向(同図中の上下および左右方向)にずれて形成される。これらの図3、図4、および図5における親水部4と撥水部5の大きさや形成方法については後述する。
【0029】
記録ヘッド1は、インク滴2を4m/sec程度の速度で吐出し、そのインク滴2は、中間転写ローラ3の表面に着弾して親水部4に仮固定される。その親水部4に仮固定されたインク滴2は、撥水部5に囲まれて移動が阻止されるため、紙などの被記録媒体7に転写されるまで、その仮固定位置に留まる。そして、中間転写ローラ3が回転して、その表面が被記録媒体7と接触することにより、中間転写ローラ3に仮固定されていたインク滴2が被記録媒体7に転写される。このように、記録ヘッド1から吐出されたインク滴2が、中間転写ローラ3を経由して被記録媒体7に転写されることによって、画像が記録される。
【0030】
親水部4に仮固定されたインク滴2は、中間転写ローラ3が図3、図4、または図5のいずれの表面構造であっても格子状の撥水部5を越えて移動することができない。そのため、隣り合うインク滴2同士が引き合って凝集することはない。平板状の中間転写体を図3、図4、または図5の表面形状とした場合も同様である。また、中間転写ローラ3および平板状を含む中間転写体の表面は、凹凸のある面であってもよい。例えば、親水部4が撥水部5よりも若干窪んでいた方が望ましい。その理由は、親水部4に複数種のインクを重ねるように仮固定した場合に、それらのインクが撥水部5を越えて隣の親水部4に移動する機会を低減できるからである。その場合、親水部4の窪みの深さは、5μm程度が望ましい。また、その親水部4の窪みの最深部は、浸水部4の中心に位置することが望ましい。その理由は、その最深部の位置に、インク滴2の位置が微視的に規定されるからである。
【0031】
中間転写ローラ3は、インク滴2を被記録媒体7に転写した後、清掃機構11によって清掃されて初期の表面状態となってから、再び、次のインク滴2を記録ヘッド1から受け取って、それを被記録媒体7に転写する。このようにして、連続的に画像が記録される。
【0032】
清掃機構11において、吸水性のローラ12の内部や表面には、外部より供給される洗浄水19が含まれており、そのローラ12が中間転写ローラ3に接触した段階において、親水部4に大量に付着させる洗浄水19に、その中間転写ローラ3の表面の付着物、つまりインク滴2の残余の粒子やゴミなどの異物を含ませる。その後、吸引ローラ13によって、洗浄水19と共に、インク滴2の残余の粒子やゴミなどの異物を吸引除去する。その後、洗浄された中間転写ローラ3の表面は、送風や赤外線の照射により乾燥される。
【0033】
(第2の実施形態)
図6および図7は、本発明の第2の実施形態を説明するための図である。
【0034】
本例の場合は、図6のように、インクジェット記録ヘッド1として、Y(イエロー),M(マゼンタ),C(シアン),UM(薄いマゼンタ),UC(薄いシアン),Bk(ブラック)のインクを吐出するための5つの記録ヘッド1Y,1M,1C,1UM,1UC,1Bkが備えられている。それらの記録ヘッド1は、中間転写ローラ3から0.2mm離れて配置される。記録ヘッド1から吐出されるインク滴2の吐出方向は、中間転写ローラ3の表面に対してほぼ直角、つまり中間転写ローラ3のほぼ径方向である。実際には、中間転写ローラ3の表面に対するインク滴2の吐出方向は、その中間転写ローラ3の回転方向にずらされている。その理由は、インク滴2が中間転写ローラ3の表面に衝突したときにしぶきとなって飛散することを防止し、インク滴2が中間転写ローラ3と同方向に移動しながら仮固定されやすくするためである。
【0035】
インク滴2は、直径が約20μm程度、体積が約4ピコリットルであり、記録ヘッド1は、このインク滴2を2.0KHzの駆動周波数に同期して吐出する能力を有する。中間転写ローラ3は、記録ヘッド1のインク吐出に同期して回転し、その回転速度は、0.5m/secの外周面移動速度をもつ。中間転写ローラ3の直径は200mmとなっているため、その回転速度は約48rpmである。
【0036】
中間転写ローラ3の表面には、図7のように、平面6角形の親水部4と6角枠状の撥水部5が多数形成されている。6角形状の親水部4は窪んでおり、その中央が最も窪んでいる。撥水部5の向かい合う辺部分の間隔は18μmであり、また撥水部5の辺部分の幅は3μmである。この図7における親水部4と撥水部5の大きさや形成方法については後述する。
【0037】
記録ヘッド1は、インク滴2を4m/sec程度の速度で吐出し、そのインク滴2は、中間転写ローラ3の表面に着弾して親水部4に仮固定される。中間転写ローラ3に最初に仮固定されるY(イエロー)のインク滴2(以下、「インク滴2Y」ともいう)は、6角形状の親水部4の中央部に溜まる傾向をもつ。その理由は、6角形の親水部4の中心部が最も窪んでいて、毛管現象によって、その中心部に引きずり込まれるからである。同様に、次に中間転写ローラ3に着弾するM(マゼンタ)のインク滴2(以下、「インク滴2M」ともいう)も親水部4に仮固定される。そのインク滴2Mが仮固定される親水部4に、インク滴2Yが存在していた場合には、それらのインク滴2Y,2Mが凝集し混合する。その場合、仮に、インク滴2Mの飛翔軌跡がずれて、インク滴2Yが存在する目的の親水部4に着弾せずに、その目的の親水部4の隣の親水部4に着弾したときは、そのインク滴2Mとインク滴2Yとは混合されない。しかし、それらが着弾する親水部4は、わずかに20μm程度離れているだけであるため、それらのインク滴2M,2Yを肉眼で識別することは不可能であり、それらはあたかも混合されたように見える。
【0038】
同様に、次に中間転写ローラ3に着弾するC(シアン)のインク滴2(以下、「インク滴2C」ともいう)も親水部4に仮固定される。そのインク滴2Cは、それが仮固定される親水部4に、インク滴2Yおよび/またはインク滴2Mが存在していた場合には、それらのインク滴2Yおよび/またはインク滴2Mと凝集し混合される。その場合、仮に、インク滴2Cの飛翔軌跡がずれて、インク滴2Yおよび/またはインク滴2Mが存在する目的の親水部4に着弾せずに、その目的の親水部4の隣の親水部4に着弾したときは、そのインク滴2Cとインク滴2Yおよび/またはインク滴2Mとは混合されない。しかし、それらが着弾する親水部4は、わずかに20μm程度離れているだけであるため、それらのインク滴2Y,2M,2Cを肉眼で識別することは不可能であり、それらはあたかも混合されたように見える。
【0039】
同様に、次に中間転写ローラ3に着弾するUM(薄いマゼンタ),UC(薄いシアン),およびBk(ブラック)のインク滴2も親水部4に仮固定される。
【0040】
当然ながら、単色のインクのみを用いて画像を記録する場合を含め、1つの親水部4に単色のインクのみが仮固定されることもある。例えば、淡色インクのみを用いて画像を記録する場合には、親水部4において他のインクとの混色は生ぜず、インク滴2は目的の親水部4、あるいはそれに隣接する親水部4に着弾することになる。後者の場合には、隣接する親水部4がわずか20μm程度離れているだけであるため、肉眼での確認はできず問題はない。
【0041】
仮に、記録ヘッド1から吐出されたインク滴2が中間転写ローラ3に到達するまでの間に、そのインク滴2の位置が大きくずれた場合には、記録位置のずれとして記録画像上に現れるおそれがある。例えば、記録ヘッド1からのインク滴2の吐出速度がかなり遅くなった場合には、そのインク滴2が着弾目標の中間転写ローラ3上の位置から大きくずれるおそれがある。このような場合には、後述する実施形態のように、電界を付与することによってインク滴2の飛翔の安定化して、目標位置に確実に着弾させることができる。
【0042】
このようにして親水部4に仮固定されたインク滴2は、撥水部5に囲まれて移動が阻止されるため、紙などの被記録媒体7に転写されるまで、その仮固定位置に留まる。インク滴2の量、中間転写ローラ3の親水部4の面積、その親水部4の窪みの体積は、その親水部4からインクが極力はみ出ないように設定する。また、親水部4の窪みを形成した場合には、被記録媒体7への転写を良好に行うために、中間転写ローラ3を柔軟性のゴムローラとしたり、後述するように電界を付与してもよい。
【0043】
また、記録ヘッド1から吐出されるインク滴2は、基本的に、目標とする親水部4に到達すべく吐出される。しかし、記録装置の振動、記録ヘッド1のインク吐出の微妙なバラツキのために、インク滴2の着弾位置がわずかにずれて、撥水部5上に着弾する場合もある。その場合、その撥水部5に着弾したインク滴2は、その撥水部5の近傍の親水部4に付着、あるいは、その撥水部5の近傍の複数の親水部4に分かれて付着する。しかし、親水部4が僅か20μm程度離れているため、また図7のように撥水部5が互い違いに形成されているために、そのようなインク滴2の付着位置のずれは肉眼では確認し難く問題はない。
【0044】
このようにして中間転写ローラ3に形成された反転画像は、中間転写ローラ3が回転して、その表面が被記録媒体7と接触することにより、被記録媒体7に転写される。このように、記録ヘッド1から吐出されたインク滴2が、中間転写ローラ3を経由して被記録媒体7に転写されることによって、画像が記録される。
【0045】
中間転写ローラ3は、インク滴2を被記録媒体7に転写した後、清掃機構11によって清掃されて初期の表面状態となってから、再び、次のインク滴2を記録ヘッド1から受け取って、それを被記録媒体7に転写する。このようにして、連続的に画像が記録される。その記録画像は、従来の技術によっては実現できなかった高精細のフォト画像であった。
【0046】
(第3の実施形態)
次に、本発明の第3の実施形態として、中間転写ローラ3を含む中間転写体に対する図3、図4、図5、および図7の親水部4と撥水部5の形成方法について説明する。
【0047】
まず、図3の親水部4と撥水部5の形成方法について説明する。
【0048】
図3において、親水部4は一辺が17〜20μmの平面正方形状であり、撥水部5は、その親水部4を取り囲む4角形の格子状である。格子状を成す撥水部5の幅は3〜5μm程度である。撥水部5によって囲まれる親水部4は、前述したように、中間転写ローラ3の周方向および軸方向(同図中の上下および左右方向)に並ぶように多数形成される。好ましくは、親水部4の一辺は18μm、撥水部5の幅は4μmである。
【0049】
中間転写ローラ3を含む中間転写体に、このような親水部4および撥水部5を形成する場合には、まず、金属平板上にポリサルフォン樹脂フィルムを仮固定する。ポリサルフォン樹脂フィルムの厚さは50±4μm程度であり、またポリサルフォン樹脂フィルムとしては、帝人アモコ社製のものを用いることができる。そして、そのポリサルフォン樹脂フィルムの上にシランカップリング剤を塗布した後に、撥水剤(商品名CTX500:旭ガラス社製)の1%溶液を希釈溶媒と共に噴霧し、150℃でエージング固着させる。このようにして、全面が撥水性の基板フィルムが作成され、その基板フィルムの表面には、0.05〜0.1μm程度の厚さの撥水剤の被膜が形成される。
【0050】
その後、この基板フィルムの表面をエキシマレーザー加工によって、アブレーション処理をする。そのエキシマレーザ加工により、撥水剤が固着している母材としてのポリサルフォン樹脂を分解除去し、それと共に撥水剤の部分も除去される。ポリサルフォン樹脂の除去部分によって、親水部4が形成される。その除去パターンは、エキシマレーザーを遮断するようなパターンマスクを用いて設定することができ、そのパターンマスクを基板フィルムの表面上に固定して、エキシマレーザーを照射することにより親水部4が形成される。そのパターンマスクは、半導体のフォトマスクを設計するパターンニングの手法によって容易に製作できる。
【0051】
このようにして親水部4と撥水部5が形成された平面状の基板フィルムは、その親水部4が撥水部5よりも0.3〜0.6μm程度窪んでいる。その理由は、エシキマレーザーの照射によって、ポリサルフォンが僅かに分解除去されるためである。エキシマレーザーの照射時間を延ばすことによって、その親水部4の窪みを30μm程度にまで深くすることができる。また、マスクパターンを変更することによって、その親水部4の深さを段階的に変化させることも可能である。
【0052】
そして、このように形成した基板フィルムを直径200mmのローラの表面上に巻き付け固定することによって、中間転写ローラ3を製作することができる。
【0053】
図4の親水部4および撥水部5は、このような図3のものと同様に形成することができる。
【0054】
次に、図5の親水部4と撥水部5の形成方法について説明する。
【0055】
まず、直径200mmの銅製の中空真円ローラの表面に、ダイヤモンドダイスによって微小な四角錐の窪みを形成する。その窪みの一辺は15μm程度、その窪みの最深部の深さは6μm程度とした。この窪みを24μmピッチで図5中の横一列に形成し、それを図5のように間隔を詰めて複数列形成してパターン化する。このように表面がパターン化された銅製ローラを回転軸に取り付け、その表面にエポキシ系接着溶剤を塗布してから、その表面を直ちに硬度70度のシリコンゴム板により擦って、銅製ローラの表面の窪みにエポキシ接着剤被膜を形成する。そして、そのエポキシ系接着剤を乾燥固化させた後、銅製ローラの表面に厚さ1μm程度のニッケルメッキを施してから、その上に、一般に知られている弗化カーボン混合メッキを電界メッキによって3μmの厚さに形成した。この弗化カーボン混合メッキは、撥水メッキとして広く知られている。エポキシ樹脂は親水樹脂であるため、銅製ローラの表面に、親水部と撥水部が形成される。したがって、この銅製ローラを中間転写ローラ3としても用いることもできる。
【0056】
本例の場合は、有機溶剤によって、銅製ローラの表面上のエポキシ樹脂を除去して、窪み部分の銅表面を露出させた。銅製ローラは、その窪み部分の中心は最も深く形成されているため、中間転写ローラ3として用いることができる。また、銅は腐食しやすいため、ダイヤモンドダイスによって窪み部分を形成した後に、ニッケルを1μm程度メッキしてから、窪み部分の中にエポキシ樹脂を固着させた後に、弗化カーボンメッキをしてもよい。
【0057】
図7の親水部4および撥水部5は、このような図5のものと同様に形成することができる。すなわち、先端が6角形のダイスを超硬合金によって形成し、これを刻印機により定量送りして、平面6角形の窪みを形成した。そして、その窪み部分にエポキシ樹脂を流し込み、その窪み部分を除く表面部分、つまり撥水部の形成予定部分上におけるエポキシ樹脂をシリコンブレードによって除去して、その撥水部形成予定部分の銅表面を露出させる。その後、その露出された撥水部形成予定部分上にニッケルメッキを施してから、弗化カーボン混合ニッケルメッキ層を形成した。その後は、図5の場合と同様に処理して中間転写ローラ3とした。
【0058】
(第4の実施形態)
図8は、本発明の第4の実施形態を説明するための図である。
【0059】
インクジェット記録ヘッド1(1Y,1M,1C,1UM,1UC,1Bk)から吐出されるインクは、5〜20シーメンス/cm2程度の電気伝導度をもつ電導体である。したがって、記録ヘッド1に設けた電極によってインクに電圧を掛けることにより、インク全体に電位を与えることができる。また、中間転写ローラ3において、銅製のローラによって形成された部分は導電性であるため、この中間転写ローラ3に設けた電極によって電圧を掛けることにより、中間転写ローラ3全体に電位を与えることができる。
【0060】
また、転写位置において、被記録媒体7の搬送ローラ20を導電性のローラとすることにより、中間転写ローラ3と搬送ローラ20との間に電界を付与することが可能である。帯電した粒子は、電界に導かれて、その粒子がもつ電荷と逆の電荷の方向に飛翔する性質をもつ。本例の場合は、その性質をインク滴2に応用する。
【0061】
すなわち、図8のように、電圧発生装置22から電極線21を介して、記録ヘッド1内のインクに−10Vの電圧を掛ける。また、電圧発生装置22から電極線23を介して、中間転写ローラ3に+100Vの電圧を掛ける。また、電圧発生装置22から電極線24を介して、搬送ローラ20に−100Vの電圧を掛ける。したがって、記録ヘッド1から吐出されるインク滴2は、マイナスの帯電粒子となり、中間転写ローラ3の+100Vの電位に引かれて、中間転写ローラ3の表面に付着する。撥水部5の撥水力は、110V程度の電位で変化するものではないため、インク滴2は親水部4に付着する。
【0062】
本例の場合、記録ヘッド1から吐出されるインク滴2に掛ける電圧は、記録ヘッド1の内部の電気回路を破壊しない程度の電圧40〜50Vを考慮して、−10Vに設定した。また、インクに高電圧を印加した場合には、インクが電気分解を起こすおそれがあるため、それを避けることも考慮して、−10Vの電位に設定した。中間転写ローラ3が回路的に切り離されている場合には、インクに掛ける電圧は自由に設定できる。また、本例において、中間転写ローラ3に掛ける電圧を+100Vに設定した理由は、通常の一般家庭用の電源から容易に得られるからである。その電圧は、+100Vのみに限定されず任意である。また、搬送ローラ20に掛ける電圧も−100Vのみに限定されず任意であり、インク滴2を中間転写ローラ3から被記録媒体7に転写させる方向の電界が生じればよい。
【0063】
本例のように電界を付与して画像を記録した場合には、被記録媒体7に対してインクを良好に転写することができた。特に、中間転写ローラ3の残るインク量がかなり少なくなった。その理由は、窪んでいる中間転写ローラ3の親水部4内のインク滴2が、電界によって被記録媒体7に引き出されたからである。
【0064】
また、記録ヘッド1と中間転写ローラ3との間に電界を付与することにより、それらの間の距離を大きく設定することが可能となった。それらの間に電界を付与しない場合は、それらの間の距離を0.4mm程度とする範囲が画像の記録むらの発生しにくい領域であり、本例のように電界を付与することによって、その距離を約1mm程度にまで拡大することができた。通常の記録画像を支障なく視認するレベルにおいては、記録ヘッド1と中間転写ローラ3との間に電界を付与しない場合には、それらの間の距離を0.5mmまで大きくするのが限界であり、一方、それらの間に電界を付与した場合には、それらの間の距離を1.2mmまで拡大することができた。
【0065】
記録ヘッド1と中間転写ローラ3との間に電界を付与するか、または中間転写ローラ3と搬送ローラ20との間に電界を付与するか、あるいは、それらの両方に電界を付与するかは、記録状況に応じて設定することができる。
【0066】
(第5の実施形態)
図9は、本発明の第5の実施形態を説明するための図である。
【0067】
本例の中間転写ローラ3は絶縁体で構成されており、例えば、親水部4と撥水部5が形成された前述のポリサルフォンフィルムを備えた構成となっている。このような中間転写ローラ3と被記録媒体7との間に、電界が付与される。すなわち、プラス帯電器25を用いて、反転画像6が形成された中間転写ローラ3にプラス電荷を付与する。帯電器25は、例えば、+3000Vに帯電させることが可能なコロトコロン帯電器である。絶縁体である中間転写ローラ3上にはプラス電荷が付与され、液体であるインク滴2は帯電粒子となる。一方、被記録媒体7には、マイナス帯電器26によってマイナス電荷が付与され、プラスに帯電した中間転写ローラ3上のインク滴2は、転写位置の被記録媒体7に引き寄せられて、そのほとんど全てが良好に転写された。その後、除電器27によって被記録媒体7が除電され、また清掃機構11の給水ローラ12をアース電位(0電位)に接続しておくことにより、中間転写ローラ3は簡単に除電された。
【0068】
このように帯電器を用いて電界を付与する簡便な方法により、インク滴2を良好に転写することができ、特に、記録速度が1m/secを超えるような高速記録を実施する場合に有効となる。これに対して、前述した図8の実施形態の場合には、導電体である中間転写ローラ3の電位が清掃機構11の洗浄水19を通して逃げないように、清掃機構11を外部回路と絶縁することが必要となり、洗浄水19と接触する部分のすべてを電気的に絶縁することは機構的な複雑化を伴なう。
【0069】
また、本例の場合とは逆に、中間転写ローラ3をマイナスに帯電させて、被記録媒体7をプラスに帯電させてもよい。また、被記録媒体7を帯電させる代わりに、搬送ローラ20を帯電させてもよい。
【0070】
(他の実施形態)
撥水部5の形状は、四角形の格子形状や6角形等の網目形状の他、種々の形状に形成することができる。また、中間転写体と被記録媒体との間に電位差を生じさせるためのバイアス手段は、一定あるいは変動するバイアス電圧を掛けるものであってもよい。また、撥水部5の代わりに疎水部を形成して、その疎水部によって、中間転写体上におけるインク滴2の移動や広がりを抑止することできる。また、被記録媒体7の搬送手段は、空気の吸引力や静電気を利用して、ベルトやロールに被記録媒体7を吸着保持しつつ、それを高精度に搬送する構成とすることもできる。
【0071】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明は、中間転写体に撥水部分を設け、その中間転写体における撥水部分以外の部分に付着したインク滴によって形成した反転画像を、被記録媒体に転写させるため、その撥水部分によってインク滴の移動を抑止して、画像のぼやけやにじみ等による記録画質の低下を防止することができ、この結果、粒状感のない写真調の高精細な画像のフォトプリントを実現することができる。
【0072】
また、中間転写体における撥水部分の形状を記録条件などに応じて最適に設定することにより、中間転写体にインク滴を良好に仮保持して、記録画像の品位をより向上させることができる。
【0073】
また、中間転写体と被記録媒体との間、および/または、インク滴付与手段から付与されるインク滴と中間転写体との間に、電位差を生じさせることにより、被記録媒体へのインクの転写や中間転写体へのインクの付与をより確実に実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態を説明するための要部の側面図である。
【図2】図1における要部の斜視図である。
【図3】図1の中間転写ローラに形成可能な親水部と撥水部のパターンの一例の説明図である。
【図4】図1の中間転写ローラに形成可能な親水部と撥水部のパターンの他の例の説明図である。
【図5】図1の中間転写ローラに形成可能な親水部と撥水部のパターンのさらに他の例の説明図である。
【図6】本発明の第2の実施形態を説明するための要部の側面図である。
【図7】図6の中間転写ローラに形成可能な親水部と撥水部のパターンの一例の説明図である。
【図8】本発明の第4の実施形態を説明するための要部の側面図である。
【図9】本発明の第5の実施形態を説明するための要部の側面図である。
【符号の説明】
1 インクジェット記録ヘッド
2 インク滴
3 中間転写ローラ(中間転写体)
4 親水部
5 撥水部
6 反転画像
7 被記録媒体
11 清掃機構
12 吸引ローラ
13 吸引除去ローラ
14 信号線
15 記録画像生成装置
19 洗浄水
20 搬送ローラ
21,23,24 電極線
22 電圧発生装置
25,26 帯電器
27 除電器
28 吸引エアーパイプ
Claims (20)
- インク滴付与手段から中間転写体に付与したインク滴によって前記中間転写体に反転画像を形成し、前記反転画像を被記録媒体に転写させることによって、前記被記録媒体に画像を記録する記録装置において、
前記中間転写体に撥水部分を設け、前記中間転写体の前記撥水部分以外の部分に付着したインク滴によって形成した反転画像を被記録媒体に転写させることを特徴とする記録装置。 - 前記撥水部分は、前記中間転写体における前記撥水部分以外の部分に付与されたインク滴の移動を抑止することを特徴とする請求項1に記載の記録装置。
- 前記撥水部分は、前記中間転写体の表面に格子状に形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の記録装置。
- 前記撥水部分は、前記中間転写体の表面に網目状に形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の記録装置。
- 前記インク滴付与手段は、前記中間転写体上において混合される異なるインク滴を付与可能であることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の記録装置。
- 前記異なるインク滴は、前記撥水部分によって囲まれた前記中間転写体上の親水部分にて混合可能であることを特徴とする請求項5に記載の記録装置。
- 前記インク滴付与手段は、画像信号に基づいてインク吐出口からインクを吐出可能なインクジェット記録ヘッドを有することを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の記録装置。
- 前記インクジェット記録ヘッドは、インクの吐出エネルギーとして利用される熱エネルギーを発生する電気熱変換体を有することを特徴とする請求項7に記載の記録装置。
- 前記中間転写体は、外周面上にインク滴が付与される中間転写ローラであることを特徴とする請求項1から8のいずれかに記載の記録装置。
- 前記中間転写体は、平面上にインク滴が付与される板状体であることを特徴とする請求項1から8のいずれかに記載の記録装置。
- 前記中間転写体は、前記被記録媒体と接触することによって前記反転画像を前記被記録媒体に転写することを特徴とする請求項1から10のいずれかに記載の記録装置。
- 前記中間転写体と前記被記録媒体との間に電位差を生じさせるバイアス手段を備えたことを特徴とする請求項1から11のいずれかに記載の記録装置。
- 前記バイアス手段は、前記被記録媒体を保持する部材を介して前記被記録媒体に電位を掛けることを特徴とする請求項12に記載の記録装置。
- 前記インク滴付与手段から付与されるインク滴と前記中間転写体との間に電位差を生じさせるバイアス手段を備えたことを特徴とする請求項1から13のいずれかに記載の記録装置。
- 前記バイアス手段は、イオンを付与可能な帯電イオン発生器を有することを特徴とする請求項12から14のいずれかに記載の記録装置。
- 前記被記録媒体を吸着しつつ搬送する搬送手段を備えたことを特徴とする請求項1から15のいずれかに記載の記録装置。
- インク滴付与手段から中間転写体に付与したインク滴によって前記中間転写体に反転画像を形成し、前記反転画像を被記録媒体に転写させることによって、前記被記録媒体に画像を記録する記録方法において、
前記中間転写体に付与されたインク滴の移動を前記中間転写体に設けた撥水部分によって抑止し、前記中間転写体の前記撥水部分以外の部分に付着したインク滴によって形成した反転画像を被記録媒体に転写させる
ことを特徴とする記録方法。 - 前記撥水部分によってインク滴の移動が抑止される前記中間転写体の領域内に、異なるインク滴を付与して混合させることを特徴とする請求項17に記載の記録方法。
- 前記中間転写体における前記撥水部分は、インク滴を仮保持可能な親水部分を囲むことを特徴とする請求項17または18に記載の記録方法。
- 前記中間転写体と前記被記録媒体との間、および/または前記インク滴付与手段から付与されるインク滴と前記中間転写体との間に、電位差を生じさせることを特徴とする請求項17から19のいずれかに記載の記録方法。
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