JP2004050239A - 金属帯の重ね圧延方法 - Google Patents
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Abstract
【課 題】金属帯を2枚以上重ねて圧延する際に、金属帯に反りが生じるのを防止し、良好な形状の金属帯を製造できる重ね圧延方法を提供する。
【解決手段】2枚以上の金属帯を重ねて圧延機に装入して圧延を行なう重ね圧延方法において、ワークロールの算術平均表面粗さを 0.2μmRa以下とする。
【選択図】 図1
【解決手段】2枚以上の金属帯を重ねて圧延機に装入して圧延を行なう重ね圧延方法において、ワークロールの算術平均表面粗さを 0.2μmRa以下とする。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ステンレス鋼帯等をはじめとする金属帯の重ね圧延方法に関し、特に圧延後の金属帯の反りの発生を抑制し、良好な形状の金属帯を得ることが可能な金属帯の重ね圧延方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
金属帯の圧延を行なうにあたって、通常、前工程でコイルに巻かれた金属帯を圧延機の入側で巻き戻して、さらに金属帯に張力を付与しながら、圧延機の上下のワークロールを回転させつつ圧下する。その後、 圧延機の出側で金属帯を再度コイルに巻き取る。これを複数回繰り返して所望の板厚とした後、 次工程に送給する。
【0003】
特に極薄の金属帯については、図1に示すように、2枚以上の金属帯を重ねて圧延(以下、重ね圧延という)を行なう方法が用いられる場合がある。重ね圧延を行なう理由は、金属帯の板厚が薄くなったときに圧下力を強くしても、それがワークロールの偏平変形に費やされるだけになるいわゆる圧延限界に近づき、金属帯の圧下率が低下してしまうのを防ぐためと、一度に複数枚の金属帯を圧延することによって生産性を高めるためである。図1中の矢印は、金属帯の進行方向を示す。
【0004】
前工程で金属帯3a,3bを巻き取ったコイルは、圧延機の入側に配設される入側リール1a,1bに装填される。次いで金属帯3a,3bは、それぞれ入側リール1a,1bから巻き戻され、さらにデフレクターロール5で重ねられて、ワークロール4a,4bで圧下を受ける。その後、金属帯3a,3bは互いに分離されて、圧延機の出側に配設される出側リール2a,2b, に巻き取られる。
【0005】
このような金属帯3a,3bの重ね圧延に特有の問題として、圧延した後の金属帯3a,3bに反りが生じるという問題がある。重ね圧延によって金属帯3a,3bに反りが生じるのは、圧延時にワークロール4a,4bに接触する側の伸びが、金属帯3a,3b同士が接触する側の伸びに比べて大きくなるためである。圧延機出側のデフレクターロール5を過ぎて金属帯3a,3bが分離されることで、この影響が顕在化するのである。金属帯3a,3bに反りが生じると、金属帯製品の形状等の製品品質が劣化するだけでなく、次工程での通板トラブル等を引き起こしやすいという問題がある。
【0006】
このような問題に対し、重ね圧延における反りを防止する技術として、例えば特開昭62−248503 号公報に、重ね圧延を行なった後、 少なくとも最終パスでは金属帯3a,3bを1枚ずつ別個に圧延を行なう方法が開示されている。しかしながら、特開昭62−248503 号公報に開示された方法では、板厚が薄くなった最終パスで金属帯3a,3bを1枚ずつ圧延するので、前述の通り大きな圧下率はとれない。よって、一度に複数枚を圧延する重ね圧延に比べて、1枚ずつの圧延になるため生産能率が悪化するという問題がある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記のような問題を解消し、金属帯を2枚以上重ねて圧延する際に、金属帯に反りが生じるのを防止し、良好な形状の金属帯を製造できる金属帯の重ね圧延方法を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、2枚以上の金属帯を重ねて圧延機に装入して圧延を行なう重ね圧延方法において、ワークロールの算術平均表面粗さを 0.2μmRa以下とすることとした。
前記した発明においては、好適態様として、ワークロールの算術平均表面粗さを 0.2μmRa以下とし、かつ上下のワークロールの算術平均表面粗さの差を0.06μmRa以下とすることが好ましい。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、 本発明の実施の形態について図面を用いて説明する。
図1は、本発明を適用して重ね圧延を行なう装置の例を模式的に示す配置図である。図1中の矢印は、金属帯の進行方向を示す。
前工程で金属帯3a,3bを巻き取ったコイルは、圧延機の入側に配設される入側リール1a,1bに装填される。次いで金属帯3a,3bは、それぞれ入側リール1a,1bから巻き戻されて、さらにデフレクターロール5で重ねられる。そして、ワークロール4a,4bで圧下を受けて圧延される。ここで重ね圧延中の金属帯3a,3bには、圧下方向への圧縮応力の他にせん断応力が作用する。
【0010】
重ね圧延ではこのせん断応力によって、ワークロール4a,4bに接触する側の伸びが、金属帯3a,3b同士が接触する側の伸びに比べて大きくなる。このようにして伸びの大きさが異なるために反りが生じるのである。このような反りは、上側の金属帯3bは下向きに、下側の金属帯3aは上向きに生じる。
せん断応力は、ワークロール4a,4bと金属帯3a,3bが接触しているロールバイト内のスリップ領域で発生し、せん断応力が大きいほど、金属帯3a,3bに生じる反りも大きくなることが知られている。
【0011】
発明者らは、金属帯3a,3bの重ね圧延における反りを防止する方法を鋭意検討した結果、ワークロール4a,4bの表面粗さが多大な影響を及ぼすことを見出した。図2に、金属帯3a,3bの一例としてステンレス鋼帯(共にSUS304相当、板厚0.1mm ,板幅500mm )を2枚重ね、2枚分の厚さに対し、40%の圧下率で圧延した場合のワークロール4a,4bの算術平均表面粗さとステンレス鋼帯3a,3bの反りとの関係を示す。このとき、ステンレス鋼帯3a,3bには、それぞれ10kNの前方および後方張力を付与した。なおワークロール4a,4bは直径50mmとし、算術平均表面粗さを種々変化させた。
【0012】
ここでワークロール4a,4bの算術平均表面粗さとは、ワークロール4a,4bの軸方向に測定した表面粗さについてJIS規格B0601−1994に規定される算術平均粗さRaを算出した値であり、カットオフ値は0.8mm ,評価長さは4mmとする。またステンレス鋼帯3a,3bの反りは、ステンレス鋼帯3a,3bを定盤上に載置したときの端部における反り上がり高さ(mm)とする。
【0013】
図2から明らかなように、ワークロール4a,4bの算術平均表面粗さが小さいほど、ステンレス鋼帯3a,3bの反りも小さくなる。特に、ワークロール4a,4bの算術平均表面粗さが 0.2μmRa以下であれば反りは生じない。このようなワークロール4a,4bの算術平均表面粗さとステンレス鋼帯3a,3bの反りとの関係は、ワークロール4a,4bの直径や圧延荷重を変更した場合、あるいは金属帯3a,3bの材質を変更した場合でも、同様の傾向を示すことが確認できた。
【0014】
したがって重ね圧延において反りを生じさせないためには、ワークロール4a,4bの算術平均表面粗さを 0.2μmRa以下とすることが有効である。つまりワークロール4a,4bの算術平均表面粗さは、ワークロール4a,4bと金属帯3a,3bとの間の摩擦係数に多大な影響を及ぼす因子であるから、ワークロール4a,4bの算術平均表面粗さが小さいほど、金属帯3a,3bに作用するせん断応力が小さくなり、反りの発生が抑制されるのである。
【0015】
そこで本発明は、2枚以上の金属帯3a,3bを重ねて圧延機に装入して圧延を行なう重ね圧延方法において、ワークロール4a,4bの算術平均表面粗さを 0.2μmRa以下とすることとした。
また重ね圧延で使用する上下2本のワークロール4a,4bの算術平均表面粗さに差がある場合には、前述したような反りとは別に、重ねた金属帯3a,3bが同じ方向に反る場合がある。これは上下のワークロール4a,4bの摩擦係数の違いによって、金属帯3a,3bの伸びに差が生じるためである。図3に、前述の図2と同様に実験的に求めた上下のワークロール4a,4bの算術平均表面粗さの差とステンレス鋼帯3a,3bの反りとの関係を示す。
【0016】
図3から明らかなように、上下のワークロール4a,4bの算術平均表面粗さの差が0.06μmRa以下であれば、反りは生じない。したがって反りを一層抑制するためには、上下のワークロール4a,4bの算術平均表面粗さの差が0.06μmRa以下とするのが好ましい。
なお、ワークロール4a,4bの所望の算術平均表面粗さは、ワークロール4a,4bの表面を研磨する際に、砥石の粗さ(すなわち番手)や回転速度等の研磨条件を調整することによって得られる。
【0017】
図2および図3には、金属帯3a,3bとしてステンレス鋼帯を用いて重ね圧延を行なった場合のグラフを示したが、その他の金属帯(たとえば銅帯,アルミ帯等)についても同様の関係が認められるので、本発明を適用した重ね圧延を行なうことが可能である。
なお図1には金属帯3a,3bを2枚重ねて重ね圧延を行なう例を示したが、金属帯を3枚以上重ねて重ね圧延を行なう場合も、ワークロール4a,4bの算術平均表面粗さを上記した範囲に維持することによって、金属帯に反りが生じるのを防止できる。
【0018】
【実施例】
図1に示すような4段圧延機を用いて、金属帯3a,3bの重ね圧延を行なった。金属帯3a,3bとして板厚0.1mm ,板幅500mm のステンレス鋼帯(SUS304相当)を使用した。ワークロール4a,4bの直径は50mm、圧延荷重は1200kN、圧下率は40%とした。ステンレス鋼帯3a,3bには、それぞれ10kNの前方および後方張力を付与した。上側のワークロール4bと下側のワークロール4aの算術平均表面粗さ(μmRa)は表1に示す通りである。
【0019】
【表1】
【0020】
発明例1〜4は、ワークロール4a,4bの算術平均表面粗さが 0.2μmRa以下を満足する例であり、比較例1〜2は、ワークロール4a,4bの算術平均表面粗さが0.2μmRaを超える例である。
発明例1〜4と比較例1〜2について、それぞれ3回ずつ重ね圧延を行ない、上側のステンレス鋼帯3bと下側のステンレス鋼帯3aに生じた反りを測定し、その平均値を算出した。その平均値が0mmのものを極めて良好(◎),0mm超え〜2mmのものを良好(○),2mm超えのものを不良(×)として評価した。反りの平均値とその評価を表1に併せて示す。
【0021】
発明例1〜4は、いずれも反りの評価は極めて良好(◎)または良好(○)であった。特に上下のワークロール4a,4bの算術平均表面粗さの差が0.06μmRa以下である発明例1,2,4は、反りの評価は極めて良好(◎)であった。
これに対して、比較例1〜2では4mm以上の反りが生じて、評価は不良(×)であった。なお比較例1〜2で生じた反りは、上側のステンレス鋼帯3bに生じた反りは下向き、下側のステンレス鋼帯3aに生じた反りは上向きであった。
【0022】
さらに圧下率を種々変更して、同様にステンレス鋼帯3a,3bの重ね圧延を行なった。その結果、 本発明を適用することによって、ステンレス鋼帯3a,3bの反りを防止でき、良好な形状のステンレス鋼帯3a,3bの製造が可能であることが確認できた。
その他の金属帯(たとえば銅帯,アルミ帯等)についても同様の重ね圧延を行なった。その結果、本発明を適用することによって、金属帯3a,3bの反りを防止でき、良好な形状の金属帯3a,3bの製造が可能であることが確認できた。
【0023】
【発明の効果】
本発明によれば、ステンレス鋼帯等を始めとする金属帯の重ね圧延を行なう際に、金属帯の反りの発生を抑制し、良好な形状の金属帯を得ることできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】重ね圧延を行なう装置の例を模式的に示す配置図である。
【図2】ワークロールの算術平均表面粗さと金属帯の反りとの関係を示すグラフである。
【図3】上下のワークロールの算術平均表面粗さの差と金属帯の反りとの関係を示すグラフである。
【符号の説明】
1a 入側リール
1b 入側リール
2a 出側リール
2b 出側リール
3a 金属帯
3b 金属帯
4a ワークロール
4b ワークロール
5 デフレクターロール
【発明の属する技術分野】
本発明は、ステンレス鋼帯等をはじめとする金属帯の重ね圧延方法に関し、特に圧延後の金属帯の反りの発生を抑制し、良好な形状の金属帯を得ることが可能な金属帯の重ね圧延方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
金属帯の圧延を行なうにあたって、通常、前工程でコイルに巻かれた金属帯を圧延機の入側で巻き戻して、さらに金属帯に張力を付与しながら、圧延機の上下のワークロールを回転させつつ圧下する。その後、 圧延機の出側で金属帯を再度コイルに巻き取る。これを複数回繰り返して所望の板厚とした後、 次工程に送給する。
【0003】
特に極薄の金属帯については、図1に示すように、2枚以上の金属帯を重ねて圧延(以下、重ね圧延という)を行なう方法が用いられる場合がある。重ね圧延を行なう理由は、金属帯の板厚が薄くなったときに圧下力を強くしても、それがワークロールの偏平変形に費やされるだけになるいわゆる圧延限界に近づき、金属帯の圧下率が低下してしまうのを防ぐためと、一度に複数枚の金属帯を圧延することによって生産性を高めるためである。図1中の矢印は、金属帯の進行方向を示す。
【0004】
前工程で金属帯3a,3bを巻き取ったコイルは、圧延機の入側に配設される入側リール1a,1bに装填される。次いで金属帯3a,3bは、それぞれ入側リール1a,1bから巻き戻され、さらにデフレクターロール5で重ねられて、ワークロール4a,4bで圧下を受ける。その後、金属帯3a,3bは互いに分離されて、圧延機の出側に配設される出側リール2a,2b, に巻き取られる。
【0005】
このような金属帯3a,3bの重ね圧延に特有の問題として、圧延した後の金属帯3a,3bに反りが生じるという問題がある。重ね圧延によって金属帯3a,3bに反りが生じるのは、圧延時にワークロール4a,4bに接触する側の伸びが、金属帯3a,3b同士が接触する側の伸びに比べて大きくなるためである。圧延機出側のデフレクターロール5を過ぎて金属帯3a,3bが分離されることで、この影響が顕在化するのである。金属帯3a,3bに反りが生じると、金属帯製品の形状等の製品品質が劣化するだけでなく、次工程での通板トラブル等を引き起こしやすいという問題がある。
【0006】
このような問題に対し、重ね圧延における反りを防止する技術として、例えば特開昭62−248503 号公報に、重ね圧延を行なった後、 少なくとも最終パスでは金属帯3a,3bを1枚ずつ別個に圧延を行なう方法が開示されている。しかしながら、特開昭62−248503 号公報に開示された方法では、板厚が薄くなった最終パスで金属帯3a,3bを1枚ずつ圧延するので、前述の通り大きな圧下率はとれない。よって、一度に複数枚を圧延する重ね圧延に比べて、1枚ずつの圧延になるため生産能率が悪化するという問題がある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記のような問題を解消し、金属帯を2枚以上重ねて圧延する際に、金属帯に反りが生じるのを防止し、良好な形状の金属帯を製造できる金属帯の重ね圧延方法を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、2枚以上の金属帯を重ねて圧延機に装入して圧延を行なう重ね圧延方法において、ワークロールの算術平均表面粗さを 0.2μmRa以下とすることとした。
前記した発明においては、好適態様として、ワークロールの算術平均表面粗さを 0.2μmRa以下とし、かつ上下のワークロールの算術平均表面粗さの差を0.06μmRa以下とすることが好ましい。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、 本発明の実施の形態について図面を用いて説明する。
図1は、本発明を適用して重ね圧延を行なう装置の例を模式的に示す配置図である。図1中の矢印は、金属帯の進行方向を示す。
前工程で金属帯3a,3bを巻き取ったコイルは、圧延機の入側に配設される入側リール1a,1bに装填される。次いで金属帯3a,3bは、それぞれ入側リール1a,1bから巻き戻されて、さらにデフレクターロール5で重ねられる。そして、ワークロール4a,4bで圧下を受けて圧延される。ここで重ね圧延中の金属帯3a,3bには、圧下方向への圧縮応力の他にせん断応力が作用する。
【0010】
重ね圧延ではこのせん断応力によって、ワークロール4a,4bに接触する側の伸びが、金属帯3a,3b同士が接触する側の伸びに比べて大きくなる。このようにして伸びの大きさが異なるために反りが生じるのである。このような反りは、上側の金属帯3bは下向きに、下側の金属帯3aは上向きに生じる。
せん断応力は、ワークロール4a,4bと金属帯3a,3bが接触しているロールバイト内のスリップ領域で発生し、せん断応力が大きいほど、金属帯3a,3bに生じる反りも大きくなることが知られている。
【0011】
発明者らは、金属帯3a,3bの重ね圧延における反りを防止する方法を鋭意検討した結果、ワークロール4a,4bの表面粗さが多大な影響を及ぼすことを見出した。図2に、金属帯3a,3bの一例としてステンレス鋼帯(共にSUS304相当、板厚0.1mm ,板幅500mm )を2枚重ね、2枚分の厚さに対し、40%の圧下率で圧延した場合のワークロール4a,4bの算術平均表面粗さとステンレス鋼帯3a,3bの反りとの関係を示す。このとき、ステンレス鋼帯3a,3bには、それぞれ10kNの前方および後方張力を付与した。なおワークロール4a,4bは直径50mmとし、算術平均表面粗さを種々変化させた。
【0012】
ここでワークロール4a,4bの算術平均表面粗さとは、ワークロール4a,4bの軸方向に測定した表面粗さについてJIS規格B0601−1994に規定される算術平均粗さRaを算出した値であり、カットオフ値は0.8mm ,評価長さは4mmとする。またステンレス鋼帯3a,3bの反りは、ステンレス鋼帯3a,3bを定盤上に載置したときの端部における反り上がり高さ(mm)とする。
【0013】
図2から明らかなように、ワークロール4a,4bの算術平均表面粗さが小さいほど、ステンレス鋼帯3a,3bの反りも小さくなる。特に、ワークロール4a,4bの算術平均表面粗さが 0.2μmRa以下であれば反りは生じない。このようなワークロール4a,4bの算術平均表面粗さとステンレス鋼帯3a,3bの反りとの関係は、ワークロール4a,4bの直径や圧延荷重を変更した場合、あるいは金属帯3a,3bの材質を変更した場合でも、同様の傾向を示すことが確認できた。
【0014】
したがって重ね圧延において反りを生じさせないためには、ワークロール4a,4bの算術平均表面粗さを 0.2μmRa以下とすることが有効である。つまりワークロール4a,4bの算術平均表面粗さは、ワークロール4a,4bと金属帯3a,3bとの間の摩擦係数に多大な影響を及ぼす因子であるから、ワークロール4a,4bの算術平均表面粗さが小さいほど、金属帯3a,3bに作用するせん断応力が小さくなり、反りの発生が抑制されるのである。
【0015】
そこで本発明は、2枚以上の金属帯3a,3bを重ねて圧延機に装入して圧延を行なう重ね圧延方法において、ワークロール4a,4bの算術平均表面粗さを 0.2μmRa以下とすることとした。
また重ね圧延で使用する上下2本のワークロール4a,4bの算術平均表面粗さに差がある場合には、前述したような反りとは別に、重ねた金属帯3a,3bが同じ方向に反る場合がある。これは上下のワークロール4a,4bの摩擦係数の違いによって、金属帯3a,3bの伸びに差が生じるためである。図3に、前述の図2と同様に実験的に求めた上下のワークロール4a,4bの算術平均表面粗さの差とステンレス鋼帯3a,3bの反りとの関係を示す。
【0016】
図3から明らかなように、上下のワークロール4a,4bの算術平均表面粗さの差が0.06μmRa以下であれば、反りは生じない。したがって反りを一層抑制するためには、上下のワークロール4a,4bの算術平均表面粗さの差が0.06μmRa以下とするのが好ましい。
なお、ワークロール4a,4bの所望の算術平均表面粗さは、ワークロール4a,4bの表面を研磨する際に、砥石の粗さ(すなわち番手)や回転速度等の研磨条件を調整することによって得られる。
【0017】
図2および図3には、金属帯3a,3bとしてステンレス鋼帯を用いて重ね圧延を行なった場合のグラフを示したが、その他の金属帯(たとえば銅帯,アルミ帯等)についても同様の関係が認められるので、本発明を適用した重ね圧延を行なうことが可能である。
なお図1には金属帯3a,3bを2枚重ねて重ね圧延を行なう例を示したが、金属帯を3枚以上重ねて重ね圧延を行なう場合も、ワークロール4a,4bの算術平均表面粗さを上記した範囲に維持することによって、金属帯に反りが生じるのを防止できる。
【0018】
【実施例】
図1に示すような4段圧延機を用いて、金属帯3a,3bの重ね圧延を行なった。金属帯3a,3bとして板厚0.1mm ,板幅500mm のステンレス鋼帯(SUS304相当)を使用した。ワークロール4a,4bの直径は50mm、圧延荷重は1200kN、圧下率は40%とした。ステンレス鋼帯3a,3bには、それぞれ10kNの前方および後方張力を付与した。上側のワークロール4bと下側のワークロール4aの算術平均表面粗さ(μmRa)は表1に示す通りである。
【0019】
【表1】
【0020】
発明例1〜4は、ワークロール4a,4bの算術平均表面粗さが 0.2μmRa以下を満足する例であり、比較例1〜2は、ワークロール4a,4bの算術平均表面粗さが0.2μmRaを超える例である。
発明例1〜4と比較例1〜2について、それぞれ3回ずつ重ね圧延を行ない、上側のステンレス鋼帯3bと下側のステンレス鋼帯3aに生じた反りを測定し、その平均値を算出した。その平均値が0mmのものを極めて良好(◎),0mm超え〜2mmのものを良好(○),2mm超えのものを不良(×)として評価した。反りの平均値とその評価を表1に併せて示す。
【0021】
発明例1〜4は、いずれも反りの評価は極めて良好(◎)または良好(○)であった。特に上下のワークロール4a,4bの算術平均表面粗さの差が0.06μmRa以下である発明例1,2,4は、反りの評価は極めて良好(◎)であった。
これに対して、比較例1〜2では4mm以上の反りが生じて、評価は不良(×)であった。なお比較例1〜2で生じた反りは、上側のステンレス鋼帯3bに生じた反りは下向き、下側のステンレス鋼帯3aに生じた反りは上向きであった。
【0022】
さらに圧下率を種々変更して、同様にステンレス鋼帯3a,3bの重ね圧延を行なった。その結果、 本発明を適用することによって、ステンレス鋼帯3a,3bの反りを防止でき、良好な形状のステンレス鋼帯3a,3bの製造が可能であることが確認できた。
その他の金属帯(たとえば銅帯,アルミ帯等)についても同様の重ね圧延を行なった。その結果、本発明を適用することによって、金属帯3a,3bの反りを防止でき、良好な形状の金属帯3a,3bの製造が可能であることが確認できた。
【0023】
【発明の効果】
本発明によれば、ステンレス鋼帯等を始めとする金属帯の重ね圧延を行なう際に、金属帯の反りの発生を抑制し、良好な形状の金属帯を得ることできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】重ね圧延を行なう装置の例を模式的に示す配置図である。
【図2】ワークロールの算術平均表面粗さと金属帯の反りとの関係を示すグラフである。
【図3】上下のワークロールの算術平均表面粗さの差と金属帯の反りとの関係を示すグラフである。
【符号の説明】
1a 入側リール
1b 入側リール
2a 出側リール
2b 出側リール
3a 金属帯
3b 金属帯
4a ワークロール
4b ワークロール
5 デフレクターロール
Claims (2)
- 2枚以上の金属帯を重ねて圧延機に装入して圧延を行なう重ね圧延方法において、ワークロールの算術平均表面粗さを 0.2μmRa以下とすることを特徴とする金属帯の重ね圧延方法。
- 前記ワークロールの算術平均表面粗さを 0.2μmRa以下とし、かつ上下のワークロールの算術平均表面粗さの差を0.06μmRa以下とすることを特徴とする請求項1に記載の金属帯の重ね圧延方法。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2002212174A JP2004050239A (ja) | 2002-07-22 | 2002-07-22 | 金属帯の重ね圧延方法 |
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Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
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JP2004050239A true JP2004050239A (ja) | 2004-02-19 |
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JP2002212174A Pending JP2004050239A (ja) | 2002-07-22 | 2002-07-22 | 金属帯の重ね圧延方法 |
Country Status (1)
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2002
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