JP2004049668A - プレフィルドシリンジキット - Google Patents

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【課題】2種以上の薬剤を別々に滅菌でき、保存中におけるゴムからの溶出のおそれや、薬剤調製の際における操作者の怪我や異物混入のおそれがなく、簡便かつ短時間に薬剤調製操作の可能な、取り扱いに優れたコンパクトなプレフィルドシリンジキットを提供する。
【解決手段】本発明のプレフィルドシリンジキットは、先端に注射針接続部11を有するバレル12及びこのバレル12内に液密かつ摺動可能に挿着されたガスケット13からなるシリンジ10と、先端に吐出口21を有する伸縮可能な有底筒状の蛇腹容器20とからなり、注射針接続部11と吐出口21が液密に接続可能になっている。
【選択図】   図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、プレフィルドシリンジキットに関する。さらに詳しくは、粉末製剤または溶解液が収容されたシリンジと、溶解液が収容された蛇腹容器からなるプレフィルドシリンジキットに関する。
【0002】
【従来の技術】
混合した場合に製剤的、薬効的な安定性を保つことの困難な薬剤は、従来、アンプルやバイアルなどに別々に収容して保存しておき、用時にシリンジや移注針などを用いて混合し、調製して使用している。
例えば、バイアルに収容された凍結乾燥製剤の場合、バイアルやアンプルに収容された溶解液をシリンジに吸引し(または、予め溶解液の収容された所謂プレフィルドシリンジに溶解液注入針を装着し)、注入針をバイアルのゴム栓に刺通して、シリンジからバイアル内に溶解液を注入し、凍結乾燥製剤を溶解液と混合して薬液に調製し、薬液調製操作終了後、薬液をバイアルからシリンジに再吸引して使用している。
【0003】
また、複数の薬剤を同一のシリンジ内に互いに分離して保存しておき、用時混合して用いる、所謂プレフィルドシリンジも提案され実用化されている。現在市販されているプレフィルドシリンジは、概ね図8に示すような2成分混合型である。すなわち、バレル60内を第1ガスケット61と第2ガスケット62で、2つの空間に隔て、バレル60の中央部内壁にバイパス溝63を凹設し、プランジャー64を押し込んだとき、後方空間65の溶解液66(例えば生理食塩水やブドウ糖)がバイパス溝63を通って前方空間67に進入し、凍結乾燥製剤68(例えば凍結乾燥された抗生物質)と混合されるようになっている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかるに、上記の従来技術には次のような課題がある。
従来のシリンジを用いる方法では、薬液調製操作に金属針を必要としているため、操作者が注射針で怪我をするおそれがあり、また、アンプルカットの際に生じるガラス片や、バイアルのゴム栓を穿刺した際に生じるコアリングなどの異物が薬液中に混入するおそれがある。また、何よりその操作が煩雑であるため、その調製に少なからず時間がかかっている。
【0005】
一方、プレフィルドシリンジでは、第1ガスケット61をバイパス溝63まで移動し、後方空間65の溶解液66の全量を前方空間67に進入させた後に、凍結乾燥製剤68と溶解液66とを十分に混合するには大きな空間が必要となる。しかし、第1ガスケット61がバイパス溝63まで移動した後に、プランジャー64を引いても、バイパス溝63を通って液が後方空間65へ移動し、第1ガスケット61と第2ガスケット62が別々に摺動するため、第1ガスケット61は、バイパス溝63より、バレル60の基端60aの方向には移動できず、両薬剤の混合に必要な空間をバレル60内につくりだすことはできない。したがって、前方空間67の容積は、予め大きくとる必要があり、薬剤容量の割にシリンジのサイズが大きくなるといった問題がある。
また、2成分を混合した後、さらに別の薬液を配合する必要が生じたとしても、プランジャー64を引いても第1ガスケット61はそれに連動して動かないため、新たな薬液をバレル60内に定量的に吸引することは困難である。さらに、ガスケットに含まれている添加剤、例えば硫黄や加硫促進剤などが保存中に溶解液中に溶出するおそれがある。さらに、同一バレル内に2種類の薬剤が収容されているため、製造時に別々に滅菌することができない。
【0006】
本発明は、如上の事情に鑑みてなされたもので、2種以上の薬剤を別々に滅菌でき、保存中におけるゴムからの溶出のおそれや、薬剤調製の際における操作者の怪我や異物混入のおそれがなく、簡便かつ短時間に薬剤調製操作の可能な、取り扱いに優れたコンパクトなプレフィルドシリンジキットを提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、上記課題を解決するため鋭意検討の結果、本発明に想到した。すなわち本発明のプレフィルドシリンジキットは、先端に注射針接続部を有するバレル及びこのバレル内に液密かつ摺動可能に挿着されたガスケットからなるシリンジと、先端に吐出口を有する伸縮可能な有底筒状の蛇腹容器とからなる構成からなり、注射針接続部と前記吐出口が液密に接続可能になっている。
【0008】
注射針接続部の先端開口部及び、吐出口の先端の開口部は、液密に封止されていることが好ましく、吐出口は、その内部にシール部材を剥離可能に弱溶着することにより、液密に封止することもできる。
【0009】
また、本発明のプレフィルドシリンジキットは、先端に注射針接続部を有するバレル及びこのバレル内に液密かつ摺動可能に挿着されたガスケットからなるシリンジと、先端に吐出口を有する伸縮可能な有底筒状の蛇腹容器からなり、注射針接続部と吐出口が液密に接続された構成であって、吐出口は、その内部にシール部材を剥離可能に弱溶着することにより液密に封止されていてもよい。
【0010】
注射針接続部の形状は、オス型ルアーテーパーであり、吐出口の形状は、この注射針接続部と嵌合するメス型ルアーテーパーであることが好ましい。
【0011】
さらに、バレルの内部には第1薬剤を、蛇腹容器の内部には第2薬剤を収容していることが好ましい。
【0012】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の実施例を示す縦断面図であり、吐出口開口部の封止手段がキャップ部材である。図2は、本発明の他の実施例を示す縦断面図であり、吐出口開口部の封止手段がシール部材である。図3は、本発明の実施例の蛇腹容器の吐出口の部分拡大縦断面図である。図4は、本発明の蛇腹容器の他の実施例を示す部分断面図であり、残液を極力排し、蛇腹の収縮状態を保つ構造となっている。図5は、本発明の他の実施例を示す縦断面図であり、シリンジと蛇腹容器が予め接続されている。図6、図7は、本発明のプレフィルドシリンジキットの使用状況を説明する図である。
【0013】
本発明のプレフィルドシリンジキット1は、図1に示すように、先端に注射針接続部11を有するバレル12及びこのバレル12内に液密かつ摺動可能に挿着されたガスケット13からなるシリンジ10と、先端に吐出口21を有する伸縮可能な有底筒状の蛇腹容器20とからなり、注射針接続部11と吐出口21が液密に接続可能になっている。
【0014】
ここで、シリンジ10としては、先端に注射針接続部11を有する基端12aの開放されたバレル12と、このバレル12の基端12aからバレル12内に液密かつ摺動可能に挿着されたガスケット13からなるシリンジが好適に採用される。シリンジ10のバレル12は、通常ガラス、ポリプロピレンやポリエチレンで形成された筒状部材であり、基端12aには指掛用のフランジ14が設けられている。
ガスケット13は、ブチルゴムや熱可塑性エラストマー等で形成され、基端には雌ネジ15等の結合手段が設けられており、先端に雄ネジ31を設けたプランジャー30を結合することができるようになっている。
注射針接続部11はオス型ルアーテーパー形状であり、後述する蛇腹容器20のメス型ルアーテーパー形状の吐出口21と嵌合できる。ここでいうオス型ルアーテーパー、メス型ルアーテーパーとは、一般に流通している三方活栓や、輸液チューブ、カテーテル等の医療器具のコネクターと接続可能な規格のものを指す。さらに、この注射針接続部11には、ブチルゴムや熱可塑性エラストマー等で形成されたキャップ部材16が液密に冠着しているが、注射針接続部11が液密に封止されるなら、素材や封止方法は特に限定はされず、例えばシール部材(図示しない)を注射針接続部11の先端に溶着して封止してもよい。
またバレル12には、製造時にガスケット13を基端12aに半打栓した状態で凍結乾燥が行えるよう、バイパス溝17を凹設してもよい。
【0015】
蛇腹容器20は、吐出口21を設けた天面22及び伸縮可能な蛇腹状胴部23を有する有底筒状容器であり、通常ポリプロピレンや、ポリエチレン等から形成されるが、医療用具として許容される可撓性材料であれば、その素材は特に限定されない。蛇腹状胴部23は、伸縮可能なように波形に成形されており、この蛇腹状銅部23を葛折に折り畳むことにより蛇腹容器20の容積は減少し、吐出口21から内容物を排出することができる。
吐出口21はメス型ルアーテーパー形状であり、前述したオス型ルアーテーパー形状の注射針接続部11と嵌合できる。ここでいうメス型ルアーテーパー、オス型ルアーテーパーとは、一般に流通している三方活栓や、輸液チューブ、カテーテル等の医療器具のコネクターと接続可能な規格のものを指す。
この吐出口21には、ブチルゴムや熱可塑性エラストマー等で形成されたキャップ部材24が液密に冠着しているが、吐出口21が液密に封止されるなら、素材や封止方法は特に限定はされず、図2に示すように、吐出口41の先端にフランジ42を設け、このフランジ42の先端面にシール部材43を溶着して封止してもよい。シール部材43としては、滅菌紙が好適に採用可能であるが、合成樹脂も採用可能である。
また、図3に示すように、吐出口21の内側の薬剤通路25は、肩部26で縮径しており、この肩部26にシール部材27を剥離可能に弱溶着して、吐出口21を液密に封止してもよい。シール部材27の素材としては、蛇腹容器20の形成材料と相溶性の悪い素材であれば特に限定されない。例えば、蛇腹容器20がポリプロピレンから形成されている場合、シール部材は、ポリプロピレンとポリエチレンの混合物が好適である。なお、シール部材は、吐出口に挿入した注射針接続部がシール部材を押すことにより、剥離するようにしてもよい。
蛇腹容器20の側面には、その先端寄りに蛇腹状でない周面28が設けてられている。製造時にこの周面28を機械的に挟持することにより、蛇腹の伸縮に影響されず、充填作業や密栓作業を有利に効率よく行うことができ、シリンジ10と蛇腹容器20を接続する際にも、この周面28を持って行えば、内容物を吐出させるおそれもない。周面28には径方向に溝や段差を設け、狭持しやすくしてもよい。
さらに、図4に示すように、蛇腹容器50が収縮した際に、容器内部に残留する薬剤が極力少なくなるよう、蛇腹容器50の底面51に、一部分を内部に向けて陥入させた凹部52を設けてもよい。
【0016】
また、図5に示すように、本発明のプレフィルドシリンジ3は、シール部材27により封止した吐出口21を有する蛇腹容器20と、シリンジ10とを予め嵌合させた構成としてもよい。これにより、注射針接続部11及び吐出口21を封止する手段が不要となり、製造コストも下げられ、使用に際しての廃棄物も少なくなる。さらに、蛇腹容器とシリンジを接続する際の空中浮遊細菌による汚染のおそれもなくなる。
【0017】
次に本発明のプレフィルドシリンジキットの使用について、図6及び図7を用いて説明する。
先ず、図6の▲1▼に示すように、凍結乾燥製剤Dを収容したシリンジ10と、溶解液Sを収容した蛇腹容器20からなる、本発明の好適な実施形態であるプレフィルドシリンジキット1を用意し、図6の▲2▼に示すように、シリンジ10の注射針接続部11を封止しているキャップ部材11及び、蛇腹容器20の吐出口21を封止しているキャップ部材24を取り外し、注射針接続部11と吐出口21とを接続する。
次いで、図7の▲1▼に示すように、蛇腹容器20の底面29を矢印A方向に押すと、その圧力で吐出口の内部に弱溶着されていたシール部材27が剥離し、蛇腹容器20内の溶解液Sがシリンジ10内へ流入する。しかる後に、プレフィルドシリンジ1全体を振盪し、凍結乾燥製剤Dを溶解液Sに完全に溶解させ、薬液LDを調製する。
最後に、図7の▲2▼に示すように、蛇腹容器20を取り外し、シリンジ10の注射針接続部11に注射針70を接続し、ガスケット13にプランジャー30を結合すれば、患者の静脈などに薬液LDを注射することができる。
【0018】
【発明の効果】
以上述べたことから明らかなように、本発明によれば、2種以上の薬剤を別々に滅菌でき、保存中におけるゴムからの溶出のおそれや、薬剤調製の際における操作者の怪我や異物混入のおそれがなく、簡便かつ短時間に薬剤調製操作の可能な、取り扱いに優れたコンパクトなプレフィルドシリンジキットを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例を示す縦断面図であり、吐出口開口部の封止手段がキャップ部材である。
【図2】本発明の他の実施例を示す縦断面図であり、吐出口開口部の封止手段がシール部材である。
【図3】本発明の実施例の蛇腹容器の吐出口の部分拡大縦断面図である。
【図4】本発明の蛇腹容器の他の実施例を示す部分断面図であり、残液を極力排し、蛇腹の収縮状態を保つ構造となっている。
【図5】本発明の他の実施例を示す縦断面図であり、シリンジと蛇腹容器が予め接続されている。
【図6】本発明のプレフィルドシリンジキットの使用状況を説明する図である。
【図7】本発明のプレフィルドシリンジキットの使用状況を説明する図である。
【図8】従来の2成分混合型プレフィルドシリンジの縦断面図である。
【符号の説明】
1、3 プレフィルドシリンジキット
10 シリンジ
11 注射針接続部
12、60 バレル
12a、60a 基端
13 ガスケット
14 フランジ
15 雌ネジ
16、24 キャップ部材
17、63 バイパス溝
20、50 蛇腹容器
21、41 吐出口
22 天面
23 蛇腹状胴部
25 薬剤通路
26 肩部
28 周面
30、64 プランジャー
31 雄ネジ
42 フランジ
27、43 シール部材
29、51 底面
52 凹部
61 第1ガスケット
62 第2ガスケット
65 後方空間
67 前方空間
70 注射針
D、68 凍結乾燥製剤
S、66 溶解液
LD 薬液

Claims (6)

  1. 先端に注射針接続部を有するバレル及び該バレル内に液密かつ摺動可能に挿着されたガスケットからなるシリンジと、先端に吐出口を有する伸縮可能な有底筒状の蛇腹容器とからなり、前記注射針接続部と前記吐出口が液密に接続可能にされてなるプレフィルドシリンジキット。
  2. 前記注射針接続部の先端開口部及び、前記吐出口の先端の開口部が、液密に封止されてなる請求項1記載のプレフィルドシリンジキット。
  3. 前記吐出口が、その内部にシール部材を剥離可能に弱溶着することにより液密に封止されてなる請求項1〜2のいずれかに記載のプレフィルドシリンジキット。
  4. 先端に注射針接続部を有するバレル及び該バレル内に液密かつ摺動可能に挿着されたガスケットからなるシリンジと、先端に吐出口を有する伸縮可能な有底筒状の蛇腹容器からなり、前記注射針接続部と前記吐出口が液密に接続された構成であって、前記吐出口の内部にシール部材を剥離可能に弱溶着することにより液密に封止されてなるプレフィルドシリンジキット。
  5. 前記注射針接続部が、オス型ルアーテーパーであり、前記吐出口が該オス型ルアーテーパーと嵌合するメス型ルアーテーパーである請求項1〜4のいずれかに記載のプレフィルドシリンジキット。
  6. 前記バレルの内部に第1薬剤を収容し、前記蛇腹容器の内部に第2薬剤を収容してなる請求項1〜5のいずれかに記載のプレフィルドシリンジキット。
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