JP2004048827A - ブラシレスdcモータの回転子 - Google Patents

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Abstract

【課題】IPM型のブラシレスDCモータの回転子において、容易にその組み立てを行うことができるものを提供する。
【解決手段】IPM型のブラシレスDCモータの回転子14において、回転子鉄心24の一方の端部に冷却ファン36が一体形成された合成樹脂製のファンホルダー34が配され、回転子鉄心24の他方の端部に合成樹脂製のセンサホルダー50が配され、センサホルダー50にヨーク46を介してリング状のセンサマグネット44が配されたものである。
【選択図】    図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、インナー・パーマネント・マグネット型のブラシレスDCモータの回転子に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
コードレスドライバドリルなどの電動工具や、工作機械などの産業機器の駆動源には、ブラシレスDCモータ(以下、単にモータという)が用いられ、このブラシレスDCモータには、回転子内部に永久磁石よりなるメインマグネットを内蔵したインナー・パーマネント・マグネット型(以下、IPM型という)のものがある。また、電動工具や産業機器においては、モータ自身を冷却するために冷却ファンが設けられている。
【0003】
このような冷却ファンを設けた従来のIPM型のモータ100としては、図6に示すようなものがある。
【0004】
この従来のモータ100は、固定子102内部に、回転子104が配され、その回転軸106に冷却ファン108とセンサマグネット110が取り付けられている。また、回転子104内部には、メインマグネット112が内蔵されている。そして、センサマグネット110からの磁気をホールIC118によって検出する。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上記のようなモータ100においては、センサマグネット110とメインマグネット112とを位置決めする必要があるので、回転軸106を回転子鉄心114に圧入すると共にセンサマグネット110のホルダー116も圧入または接着によって固定するときに、位置決めを行っている。
【0006】
また、冷却ファン108は、空回りを防ぐ目的のために、金属ブッシュに合成樹脂を一体成形したもの、または、金属製の冷却ファンを、回転軸106に圧入して固定している。
【0007】
このように、モータ100を組み立てる場合に、各部品毎に位置決めを行い圧入または接着を行う必要がある。
【0008】
また、圧入によって回り止めを行う場合に、締結部分に合成樹脂よりなる部品を使えないという問題点がある。
【0009】
さらに、回り止め機能の品質確保のために、各部品の圧入部分における品質管理が必要となるという問題点がある。
【0010】
そこで、本発明は上記問題点に鑑み、IPM型のブラシレスDCモータの回転子において、容易にその組み立てを行うことができるものを提供するものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明は、インナー・パーマネント・マグネット型のブラシレスDCモータの回転子において、鋼板を積層した回転子鉄心の中心に回転軸が圧入され、前記回転子鉄心の内部にメインマグネットが前記回転軸に沿って内蔵され、前記回転子鉄心の一方の端部に冷却ファンが一体形成された合成樹脂製のファンホルダーが配され、前記回転子鉄心の他方の端部に合成樹脂製のセンサーホルダーが配され、前記センサーホルダーにヨークを介してリング状のセンサーマグネットが配されたことを特徴とするブラシレスDCモータの回転子である。
【0012】
請求項2の発明は、前記回転子鉄心の両端部に回り止め用孔がそれぞれ形成され、前記ファンホルダーに回り止め用突部が形成されて前記一方の端部の回り止め用孔と係合し、前記センサーホルダーに回り止め用突部が形成されて前記他方の端部の回り止め用孔と係合したことを特徴とする請求項1記載のブラシレスDCモータの回転子である。
【0013】
請求項3の発明は、前記ファンホルダー、または、前記センサーホルダーの両方、または、どちから一方であって、かつ、前記メインマグネットの対応する位置に逃げ用凹部が形成されたことを特徴とする請求項1記載のブラシレスDCモータの回転子である。
【0014】
請求項4の発明は、前記センサーホルダーに回り止め用凹部が形成され、前記ヨークに回り止め用突部が形成されて前記センサーホルダーの回り止め用凹部と係合したことを特徴とする請求項1記載のブラシレスDCモータの回転子である。
【0015】
請求項5の発明は、前記センサーホルダーに前記センサーマグネットを挿入し、前記センサホルダーを熱溶着することにより前記センサマグネットを保持したことを特徴とする請求項1記載のブラシレスDCモータの回転子である。
【0016】
請求項6の発明は、前記ファンホルダーの軸方向端部に前記回転軸を支持する一方の軸受が配され、前記センサーホルダーの軸方向端部に前記回転軸を支持する他方の軸受が配され、前記ファンホルダー、前記回転子鉄心、前記センサーホルダーを前記一対の軸受で挟み支持することを特徴とする請求項1記載のブラシレスDCモータの回転子である。
【0017】
【作 用】
請求項1のブラシレスDCモータの回転子であると、回転子鉄心の一方の端部にファンホルダーが配され、他方の端部にセンサホルダーが配されており、これによって回転子鉄心内部にあるメインマグネットが固定される。また、センサホルダーにヨークを介してリング状のセンサマグネットを配することにより、センサマグネットを回転子に簡単に取り付けることができる。
【0018】
請求項2のブラシレスDCモータの回転子であると、ファンホルダーとセンサホルダーが、回転子鉄心に対し回り止め用突部と回り止め用孔とが係合していることにより、回転することがない。
【0019】
請求項3のブラシレスDCモータの回転子であると、メインマグネットの対応する位置に逃げ用凹部をファンホルダーまたはセンサホルダーに設けることにより、メインマグネットに関して精密な加工を必要としない。
【0020】
請求項4のブラシレスDCモータであると、回り止め用突部と回り止め用凹部が係合していることにより、センサマグネットがセンサホルダーに対し回転することがない。
【0021】
請求項5のブラシレスDCモータの回転子であると、センサホルダーとセンサマグネットを熱溶着することにより、センサマグネットがセンサホルダーに確実に固定される。
【0022】
請求項6のブラシレスDCモータの回転子であると、ファンホルダー、回転子鉄心、センサホルダーが、一対の軸受で挟み支持されているため、これら部品が確実に固定される。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施例を図1から図5に基づいて説明する。
【0024】
本実施例のインナー・パーマネント・マグネット型(以下、IPM型という)のブラシレスDCモータ(以下、単にモータという)10は、例えば、コードレスドライバドリルなどの電動工具62の駆動源として用いられているものである。
【0025】
(1)電動工具62の構造
図5は、モータ10を電動工具62に取り付けた場合の側面図である。
【0026】
図5に示すように、電動工具62のフレーム70内部の後部にモータ10を取り付けるための支持台72が配され、支持台72から突設された固定壁74にモータ10の固定子12が固定されている。すなわち、固定子12は、支持台72から立設された固定壁74に設けられた係合孔80に対し、固定子12から突設した係合爪82が係合することにより固定されている。
【0027】
このモータ10は、固定子12内部に回転子14が配されており、回転子14は、フレーム70に固定された一対のベアリング16,18によって回転自在に支持されている。回転子14の回転軸20は、不図示のギアボックスを経て、電動工具62の出力軸に連結されている。
【0028】
(2)回転子14の構造
次に、図1〜図4に基づいて、回転子14の構造について、その組み立て工程の順番に説明していく。
【0029】
(第1工程)
図4に示すように、円形の鋼板よりなる抜板22を積層して回転子鉄心24を形成する。この場合に、図1、5に示すように、抜板22の中央部には、回転軸20が貫通する回転軸貫通孔26が設けられ、また、4枚のメインマグネット28が挿入されるための矩形のマグネット挿入孔30,30,30,30が設けられ、4個のマグネット挿入孔30と回転軸貫通孔26との間には4個の回り止め用孔32、32,32,32が開口している。
【0030】
(第2工程)
上記のように組み立てた回転子鉄心24の回転軸貫通孔26に回転軸20を圧入する。
【0031】
(第3工程)
回転子鉄心24の4個のマグネット挿入孔30に、板状のメインマグネット28をそれぞれ挿入する。
【0032】
(第4工程)
図1における回転子鉄心24の右側の端部に、合成樹脂製のファンホルダー34を取り付ける。
【0033】
ファンホルダー34の中心には、回転軸20が挿入される回転軸挿入孔38が貫通している。
【0034】
また、このファンホルダー34の右側であって、その外側には、図2に示すように、冷却ファン36が形成されている。
【0035】
さらに、ファンホルダー34の左側であって、回転子鉄心24と接する面(以下、鉄心側面)は、回転子鉄心24の右側端部と合致するように平らな面で構成されている。また、この鉄心面における回転軸挿入孔38の外周部には、リング状の逃げ用凹部40が設けられている。この逃げ用凹部40は、回転子鉄心24に挿入されたメインマグネット28に対応する位置に設けられている。この逃げ用凹部40と回転軸挿入孔38との間であって、回転子鉄心24の4個の回り止め用孔32に対応する鉄心側面の位置には、4個の回り止め用突部42が突出している。
【0036】
そして、このファンホルダー34を回転子鉄心24に取り付ける場合には、回転軸20を回転軸挿入孔38に圧入すると共に、4個の回り止め用突部42を回転子鉄心24の回り止め用孔32にそれぞれ係合させる。
【0037】
これによって、回転子鉄心24に対しファンホルダー34が回転せず、また、メインマグネット28はファンホルダー34に抑えられているため、回転子鉄心24の図1における右側から抜け出ることがない。
【0038】
(第5工程)
図1における回転子鉄心24の左側の端部に、合成樹脂製のセンサホルダー50を取り付ける。
【0039】
このセンサホルダー50は、合成樹脂製で円盤状をなし、その中心部に回転軸挿入孔52が貫通している。
【0040】
回転軸挿入孔52の周囲であって、回転子鉄心24側の面(以下、鉄心側面という)には、4個の回り止め用突部58が突出している。そして、センサホルダー50を回転子鉄心24に取り付ける場合には、回転軸挿入孔52に回転軸20を挿入すると共に、回り止め用突部58を回転子鉄心24の回り止め用孔32に係合させる。
【0041】
これによって、回転子鉄心24に対しセンサホルダー50が回転せず、また、メインマグネット28はセンサホルダー50に抑えられているため、回転子鉄心24の図1における左側から抜け出ることがない。
【0042】
(第6工程)
リング状のセンサマグネット44に同じリング形状のヨーク46を接着剤で固定する。このヨーク46は鉄製であって、センサマグネット44と接する面と反対側の面から回り止め用突部48が突出している。この回り止め用突部48は、ヨーク46を打ち抜くことによって形成しておく。
【0043】
(第7工程)
固定したセンサマグネット44とヨーク46をセンサホルダー50に固定する。
【0044】
図1においてセンサホルダー50の左側の面(以下、センサ取り付け面という)には、リング状の取り付け凹部54が設けられ、この取り付け凹部54の一部分に、さらに回り止め用凹部56が設けられている。そして、ヨーク46とセンサマグネット44とを接着して一体化したものを取り付ける場合には、ヨーク46がセンサ取り付け面に接するようにしつつ、取り付け凹部54にセンサマグネット44とヨーク46を挿入して取り付ける。この場合に、ヨーク46の回り止め用突部48がセンサホルダー50の回り止め用凹部56に係合させる。そのため、センサホルダー50に対しセンサマグネット44が回転したりすることがない。
【0045】
(第8工程)
図1の拡大された円内に示すように、ヨーク46とセンサホルダー50を取り付けた後、取り付け凹部54の縁部55を熱によって溶かし、その一部分がセンサマグネット44に被さるように熱溶着する。これによって、センサマグネット44とヨーク46がセンサホルダー50に固定される。
【0046】
(第8工程)
センサホルダー50に固定したセンサマグネット44を、図3に示すように、S極とN極にそれぞれ着磁する。
【0047】
(第9工程)
センサホルダー50側に、ベアリング18を取り付ける。即ち、回転軸20にベアリング18を圧入する。
【0048】
(第10工程)
ファンホルダー34側に、ベアリング16を取り付ける。即ち、回転軸20にベアリング16を圧入する。そして、この場合に、ベアリング16とベアリング18によって、ファンホルダー34、回転子鉄心24、センサホルダー50を挟むようにして固定する。
【0049】
以上のようにして組み立てた回転子14を、図5に示すように、予めフレーム70に取り付けられている固定子12の内周部に挿入すると共に、ベアリング16とベアリング18をフレーム70に固定する。
【0050】
支持台72には、回転子14の位置を検出するためのホールIC76を有したセンサ固定壁78が立設されている。このホールIC76は、センサマグネット44の状態を検知するように配されている。
【0051】
上記構成の回転子14であると、回転子鉄心24の両側にファンホルダー34とセンサホルダー50を配する構造であるため、冷却ファン36を有した回転子14を容易に組み立てることができる。
【0052】
ファンホルダー34は、回り止め用突部42が回転子鉄心24の回り止め用孔32に係合していることにより、回り止めが完全に行える。
【0053】
センサホルダー50も同様に、回転子鉄心24の回り止め用孔32に回り止め用突部58が係合することにより、回り止めが完全に行える。
【0054】
センサマグネット44を固定したヨーク46の回り止め用突部48が、センサホルダー50の回り止め用凹部56に係合しているため、センサマグネット44がセンサホルダー50に対し回転することがなく、位置決めを完全に行うことができ、固定も行うことができる。
【0055】
一対のベアリング16,18によって、ファンホルダー34、回転子鉄心24、センサホルダー50を挟む構造であるため、これら各部品を完全に固定することができる。
【0056】
そして、本実施例の回転子14であると、接着工程を最低限にすることができ、組み立て中に部品の浮きなどによってその組み立て異常をすぐ判別することができる。
【0057】
また、突部と凹部の係合による回り止め構造を安価に行うことができる。さらに、回転子14全体を一体構造とできるので小型化することができ、剛性も強くなる。
【0058】
(変更例)
上記実施例では電動工具62に用いるモータ10を説明したが、これに代えて、工作機械であるNC旋盤などの産業機器に用いるモータとしても使用してもよい。
【0059】
【発明の効果】
以上により本発明であると、回転子を簡単に組み立てることができ、凹部と突部の係合により回り止めを確実に行うことができる。そして、回転子全体を一体構造とできるので小型化でき、剛性が高くなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例を示す回転子の縦断面図である。
【図2】冷却ファンの正面図である。
【図3】センサマグネットの正面図である。
【図4】モータの縦断面図である。
【図5】モータを電動工具に取り付けた状態の側面図である。
【図6】従来のモータの構造を示す縦断面図である。
【符号の説明】
10 モータ
12 固定子
14 回転子
16 ベアリング
18 ベアリング
20 回転軸
22 抜板
24 回転子鉄心
26 回転軸貫通孔
28 メインマグネット
30 マグネット挿入孔
32 回り止め用孔
34 ファンホルダー
36 冷却ファン
38 ファンホルダーの回転軸挿入孔
40 逃げ用凹部
42 センサホルダーの回り止め用突部
44 センサマグネット
46 ヨーク
48 ヨークの回り止め用突部
50 センサホルダー
52 センサホルダーの回転軸挿入孔
54 取り付け用凹部
56 回り止め用凹部
58 センサホルダーの回り止め用突部

Claims (6)

  1. インナー・パーマネント・マグネット型のブラシレスDCモータの回転子において、
    鋼板を積層した回転子鉄心の中心に回転軸が圧入され、
    前記回転子鉄心の内部にメインマグネットが前記回転軸に沿って内蔵され、
    前記回転子鉄心の一方の端部に冷却ファンが一体形成された合成樹脂製のファンホルダーが配され、
    前記回転子鉄心の他方の端部に合成樹脂製のセンサーホルダーが配され、
    前記センサーホルダーにヨークを介してリング状のセンサーマグネットが配された
    ことを特徴とするブラシレスDCモータの回転子。
  2. 前記回転子鉄心の両端部に回り止め用孔がそれぞれ形成され、
    前記ファンホルダーに回り止め用突部が形成されて前記一方の端部の回り止め用孔と係合し、
    前記センサーホルダーに回り止め用突部が形成されて前記他方の端部の回り止め用孔と係合した
    ことを特徴とする請求項1記載のブラシレスDCモータの回転子。
  3. 前記ファンホルダー、または、前記センサーホルダーの両方、または、どちから一方であって、かつ、前記メインマグネットの対応する位置に逃げ用凹部が形成された
    ことを特徴とする請求項1記載のブラシレスDCモータの回転子。
  4. 前記センサーホルダーに回り止め用凹部が形成され、
    前記ヨークに回り止め用突部が形成されて前記センサーホルダーの回り止め用凹部と係合した
    ことを特徴とする請求項1記載のブラシレスDCモータの回転子。
  5. 前記センサーホルダーに前記センサーマグネットを挿入し、前記センサホルダーを熱溶着することにより前記センサマグネットを保持した
    ことを特徴とする請求項1記載のブラシレスDCモータの回転子。
  6. 前記ファンホルダーの軸方向端部に前記回転軸を支持する一方の軸受が配され、前記センサーホルダーの軸方向端部に前記回転軸を支持する他方の軸受が配され、
    前記ファンホルダー、前記回転子鉄心、前記センサーホルダーを前記一対の軸受で挟み支持する
    ことを特徴とする請求項1記載のブラシレスDCモータの回転子。
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