JP2004047730A - プラズマ処理装置及びプラズマ処理装置用隔板 - Google Patents

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Abstract

【課題】プラズマ処理装置において、大気側にアンテナが配置された隔板に対するプラズマのイオンアタックによる汚染を防止する。
【解決手段】誘導アンテナ5と減圧処理室1を隔てる隔板7を、非磁性金属板71と誘電体72とから構成し、非磁性金属板71の占める面積を誘電体72の占める面積より大きくする。誘電体72は誘導アンテナ5に直交するように線状に設け、金属板71に誘導される渦電流の発生を防止する。減圧処理室にプラズマ着火手段9を設け、安定したプラズマ着火を行う。
【選択図】   図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体ウェハやガラス基板等のプラズマ処理装置に関し、特に、誘導結合プラズマ(Inductively Coupled Plasma 又は Inductive Current Plasma)処理装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
誘導結合プラズマ処理装置は、大気側に配置した高周波誘導アンテナによる電磁界により、減圧室に導入されたガスをプラズマ化し、被処理物表面の成膜、エッチング等の処理を行うものである。
【0003】
従来のプラズマ処理装置30は、図8(a)に示すように、例えば減圧処理室1と減圧処理室1外に配置した誘導アンテナ5を備える。減圧処理室1は、通常アルミで形成され、半導体ウェハやガラス基板などの被処理体3が載置されるサセプタ2を備え、ガス導入管、排気管等(図示せず)を備える。また、サセプタ3は、必要に応じて高周波バイアスのための高周波バイアス電源11に接続されている。誘導アンテナ5は渦巻状に形成され、プラズマPを生成するための高周波電源6に接続される。誘導アンテナ5と減圧処理室1との間に設けられる、減圧側と大気側とを画す隔板はアルミナ、石英ガラスなどの誘電板4で構成されている。
【0004】
このように構成されるプラズマ処理装置10においては、減圧処理室1のサセプタ2に被処理体3を載置し、減圧処理室1を排気して所定の圧力に保ち、その後ガス導入管により減圧処理室1にガスを導入し、誘導アンテナ5に電流を流して生じる電磁界によりそのガスをプラズマPにして、エッチング、CVD等の処理を被処理体3に対して行うものである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
このようなプラズマ処理装置10にあっては、減圧処理室1に有効な電磁界を発生させるために、誘導アンテナ5が配置される壁面又は窓に隔板として誘電板4を用いられていた。しかし、誘電板4の大気側と減圧処理室側とでは大きな電位差が生じ、誘電板4の減圧処理室側の面にはプラズマによるイオンが衝突する、いわゆるイオンアタックが起こり、誘電板4が損傷することがあり、また誘電板4がスパッタされることにより、不要な汚染物質が処理室に放出される等の問題があった。
【0006】
また、大面積の被処理物の表面処理に必要な大面積プラズマを形成する場合には、減圧処理室及び誘導アンテナの形状も大きくする必要があり、これにあわせて誘電板も大きなものが必要となるが、大面積の誘電板の製造加工は困難であり、強度の問題もあった。
【0007】
本発明は、前記問題点に鑑み、誘電板へのイオンアタックによる汚染が防止できる強固で製造容易な隔板とこれを用いたプラズマ処理装置を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、前記目的を達成するために、プラズマ処理装置の誘導アンテナと減圧処理室を隔てる隔板を、両面を貫通する空隙を誘電体で塞いだ非磁性金属板で構成し、非磁性金属板の占める面積を誘電体の占める面積より大きくした。
このようにすれば、隔板を非磁性金属板で構成できるので、製造が容易で、強度も高く、また、サセプタへの高周波バイアスを容易にかけることができる。
【0009】
さらに、本発明による前記隔板の非磁性金属板に複数の孔を設けた隔板を用いれば、前記隔板と複数の孔を設けた隔板とを所定の間隔をあけて配置することにより、処理ガスを被処理体に向けるシャワーヘッド構造を有する隔板として利用することができる。
【0010】
さらにまた、本発明によれば、両面を貫通する空隙を誘電体で塞いだ隔板を用いた減圧処理室にプラズマ着火手段を設けることにより、安定したプラズマ着火を行うことができる。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態を説明する。
図1(a)に、本発明の実施形態であるプラズマ処理装置を示し、図2(b)に、本発明の実施形態に用いる誘導アンテナの一例を示す。
なお、各図を通して、同一の部材には同一の符号を付した。
【0012】
本発明の実施形態であるプラズマ処理装置10は、従来のものと同様に、半導体ウェハやガラス基板などの被処理体3が載置されるサセプタ2を備える減圧処理室1と、サセプタ2に対向して大気側に配置した高周波電源6に接続される渦巻状の誘導アンテナ5を備え、必要により高周波バイアス電源11からサセプタ2に高周波バイアスを与えて動作させる。
図2(b)には、角型の渦巻状アンテナの一例を示したが、通常渦巻状アンテナの外形は被処理物ないし処理室の形状に対応するもので、半導体ウェハの処理に対しては、渦巻状のアンテナの外形は円形状となる。
【0013】
本例では、大気側に誘導アンテナ5が配置された隔板7をアルミのような非磁性金属板71とし、誘電体72を組み合わせて用い、また着火手段としてプラズマトーチ9を備えるものである。
図2に、本例の隔板7の一例を示す。隔板7は、非磁性金属板71と非磁性金属板71の中心から周縁部に設けられたスリットに嵌合した誘電体72とからなる。
【0014】
図3に、図2の隔板の部分断面図を示す。
誘電体72は、断面T字状に形成され、非磁性金属板71のスリットの下部に設けられた突出部にOリングを介して保持される。誘電体72は、スリットに対してOリングを介して嵌め込むだけで、圧力差により押圧固定されるものである。
【0015】
また、図4に示すように、非磁性金属板71に図3に示したスリットを複数たとえば4本、対称性を持たせて設けて誘電体72を配置すれば、さらに渦電流の発生を少なくすることができる。
【0016】
本発明の隔板7は、誘電体でスリットを埋めた非磁性金属板71で構成されるから、誘電板で製作するより容易に製作でき、強度も高く、かつファラデーシールドの効果も大きい。さらに、アルミのような非磁性金属板にイオンが衝突しても誘電体とは異なり不純物がスパッタされることもない。さらに、誘電体が設けられたスリットはアンテナに直交して設けられているから、線状の誘電体で渦電流の発生を防止することができ、渦電流の発生による電磁界エネルギーの消耗を有効に防ぐことができる。
【0017】
なお、誘導アンテナ5と金属板71との接触を回避するためにガラス等の絶縁部材8を介在させているが、これは接触防止のためのスペーサであり、その形状配置は適宜選択することができる。
【0018】
現在、半導体ウェハやガラス基板は大型化し、その処理のための減圧処理室及び誘導アンテナも大型化している。大型化した誘導アンテナを、一本の導線を巻回して作成すると、インダクタンス成分が大きくなり大電圧が必要となる。これを回避するために種々の分割アンテナが提案されているが、図5に示すような4分割アンテナ51〜54を使用する場合には、隔板である非磁性金属板に設ける誘電体は、図6に示すように配置すればよい。このように構成すると各アンテナに直交する部分が存在して有効に渦電流の発生を防止できる。
【0019】
なお、この場合も非磁性金属板に設けるスリットおよびスリットに嵌合する誘電体は図3に示したものと同じでよいが、一般には、誘電体ないしスリットの形状配置等については、誘電体部分の面積が金属板の面積より大きくならない範囲で、適宜設計選択できる。
【0020】
このようにサセプタ3に対向する面が金属板で構成されれば、たとえばエッチング処理における、高周波電源11によってサセプタに印加される高周波バイアスをかけやすくなり、従来より少ない電力の使用で従来と同等の処理が可能になる。
【0021】
ところで、このようにサセプタ3に対向する面がほぼ金属板で構成されると、プラズマ着火が起こりにくくなる。これは、プラズマ処理装置プラズマ着火時には、誘導アンテナ5とサセプタ2とが平行平板モードで動作して着火するものであるが、本例の場合、誘導アンテナ5とサセプタ2間には金属板71が介在して、誘導アンテナ5とサセプタ2とが平行平板モードにならず必要な電界が得られないからである。
【0022】
このような場合に備えて、プラズマ処理室にプラズマ着火手段としてプラズマトーチが設けられる。プラズマトーチは、通常多重管の中心部にガスを供給し、管の外側に巻回した高周波アンテナの誘導電流でプラズマ化してプラズマ炎を吹き出すもので、本発明のプラズマ発生装置においても公知のプラズマトーチを適宜使用できる。
【0023】
このように、プラズマトーチによりプラズマの着火を行うものであるから、本例のように大半が金属板の隔板を採用しても、プラズマ着火が行えないということはなくなる。なお、プラズマが一旦生成されれば、プラズマトーチを使用することなく誘導アンテナ5による高周波誘導電磁界でプラズマを維持拡大できる。
【0024】
なお、スパークプラグもプラズマ着火手段として用いることができるが、スパーク時に不純物が発生する恐れがあり、プラズマ着火手段としてはプラズマトーチの使用が好適である。
【0025】
図7に、本発明の第2の実施形態であるプラズマ処理装置20を示す。図7に示したプラズマ処理装置20は、第1の実施形態であるプラズマ処理装置10の隔板を二重構造とし、サセプタに対向する側の隔板の金属板部分に多数のガス孔を設け、隔板間の空間にガスを供給するようにしたものである。
【0026】
すなわち非磁性金属板71に誘電体72を嵌着した隔板7の前面すなわち減圧処理室側に、わずかな間隙を介して金属板121に誘電体122を嵌着した隔板12であって、金属板121に多数の小孔123が設けられたものを配置し、ガス供給管13を隔板7と隔板12の間の空間に向けて配置する。
【0027】
このように構成して、ガス供給管から処理ガスを供給すると、減圧処理室1に対して、処理ガスを小孔123からシャワー状に噴きださせてプラズマ化して、被処理物に均一に作用させることができる。これは、サセプタに対向する面が加工しやすい金属となることに着目してなされたものであって、被処理物に対するガスのシャワー構造を簡易に構成できる。
【0028】
【発明の効果】
本発明によると、誘導アンテナと減圧処理室の間の隔板を空隙を誘電体で塞いだ非磁性金属としたので、製造が容易で強度が高く、かつイオンアタックを避けることができる。また、誘電体により、金属板に誘導される渦電流の発生を防ぐことができる。
減圧処理室にプラズマ着火手段を設けると、隔板を非磁性の金属板で構成したとしても、安定したプラズマ着火を行うことができる。
【0029】
隔板の非磁性金属板に多数の孔を設けたものを用いれば、処理ガスを被処理体に向けるシャワー構造を有する隔板として利用することができる。
また、サセプタに対向する面が金属板となるので、サセプタに高周波バイアスをかけやすくなり、従来より少ない電力の使用で従来と同等の処理が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】
(a)は、本発明の第1の実施形態であるプラズマ処理装置を示す図である。(b)は、本発明の実施形態の誘導アンテナを示す図である。
【図2】
本発明の実施形態の非磁性金属と誘電体とからなる隔板の一例を示す図である。
【図3】
図2に示す隔板の部分断面図である。
【図4】
本発明の実施形態の非磁性金属と誘電体とからなる隔板の一例を示す図である。
【図5】
本発明の実施形態の分割誘導アンテナの例を示す図である。
【図6】
本発明の実施形態の分割誘導アンテナに対する非磁性金属と誘電体とからなる隔板の一例を示す図である。
【図7】
本発明の第2の実施形態であるプラズマ処理装置を示す図である。
【図8】
従来のプラズマ処理装置を示す図である。
【符号の説明】
1…減圧処理室
2…サセプタ
3…被処理物
5…誘導アンテナ
6…高周波電源
7…隔板
71…非磁性金属板
72…誘電体
8…絶縁部材
9…プラズマトーチ
12…隔板
121…非磁性金属板
122…誘電体
123…小孔
13…ガス供給管

Claims (13)

  1. 内部に被処理体を配置可能な減圧処理室と、
    前記減圧処理室の一部を構成する隔板と、
    前記隔板を介して前記処理室の外側に配置された高周波誘導アンテナと、
    を備えたプラズマ処理装置であって、
    前記隔板は、両面を貫通する空隙を有する非磁性金属板と前記空隙を塞ぐ誘電体とからなり、前記非磁性金属板の占める面積が前記誘電体の占める面積より大きいことを特徴とするプラズマ処理装置。
  2. 前記隔板は、内部にガス通路を設けたシャワーヘッドであることを特徴とする請求項1に記載のプラズマ処理装置。
  3. 前記減圧処理室にプラズマ着火手段を備える請求項1又は2に記載のプラズマ処理装置。
  4. 前記非磁性金属板の前記空隙はスリットであって、該スリットに前記誘電体が嵌合する請求項1〜3のいずれか1項に記載のプラズマ処理装置。
  5. 前記誘電体が前記誘導アンテナと直交する向きに設けられた請求項4に記載のプラズマ処理装置。
  6. 前記誘電体は、前記非磁性金属板の複数個所に設けられる請求項1〜5のいずれか1項に記載のプラズマ処理装置。
  7. 前記誘導アンテナが複数配置される請求項1〜6のいずれか1項に記載のプラズマ処理装置。
  8. 前記誘導アンテナと非磁性金属板との間に絶縁部材が配置される請求項1〜7のいずれか1項に記載のプラズマ処理装置。
  9. 内部に被処理体を配置可能な減圧処理室と、前記減圧処理室の外側に配置された高周波誘導アンテナとを隔てる、前記減圧処理室の一部を構成するプラズマ処理装置用隔板であって、
    両面を貫通する空隙を有する非磁性金属板と該空隙を塞ぐ誘電体とからなり、前記非磁性金属板の占める面積が前記誘電体の占める面積より大きいことを特徴とするプラズマ処理装置用隔板。
  10. 前記隔板は、内部にガス通路を設けたシャワーヘッドであることを特徴とする請求項9に記載のプラズマ処理装置用隔板。
  11. 前記非磁性金属板の前記空隙はスリットであって、該スリットに前記誘電体が嵌合する請求項9又は10に記載のプラズマ処理装置用隔板。
  12. 前記誘電体が前記誘導アンテナと直交する向きに設けられた請求項11に記載のプラズマ処理装置用隔板。
  13. 前記誘電体は、前記非磁性金属板の複数個所に設けられる請求項9〜12のいずれか1項に記載のプラズマ処理装置用隔板。
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