JP2004046113A - 静電潜像現像用トナー及び画像形成方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】個数基準で粒子分布曲線において、1.0〜2.0μmの間にピークまたは極大値があり、1.0〜2.0μmの割合が0.1〜5.0%であり、かつ6.35μm以上の割合が5.0%以下であることを特徴とする静電潜像現像用トナー。
【選択図】 なし
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、複写機、プリンター等に用いられる静電潜像現像用トナー(単にトナーということがある)とその製造方法及び該トナーを用いる画像形成方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、高速で高画質を要求される画像形成装置においては、殆ど電子写真方式等の静電潜像現像法が用いられている。この方法における最大のテーマの一つは、更なる高画質化であり、現在でも多くの技術開発がなされている。
【0003】
高画質化の手段として最も有効なものは、トナー粒子を小粒径にすることである。それ故、従来用いられていたものより、トナー粒径が小さく、下記の理由からその粒径分布も揃ったものが用いられるようになり、高画質化はおおいに進展してきた。
【0004】
例えば、従来は高画質画像をねらったものでも、トナーの平均粒径は数平均粒径(個数平均粒子径)で9〜11μm程度のものが用いられていたが、最近では数平均粒径が3.0〜6.5μmのものが用いられつつある。
【0005】
この場合、その粒径分布を揃えないと、混在している大粒径トナー粒子により画像あれが起こり、また、混在微粒子トナーによりトナー飛散等を起こす。このため、画質劣化は勿論、環境問題等をも引き起こす要因となり、極力トナー粒径や外部形状を揃える努力がなされてきた。
【0006】
上記の如く、画質向上の努力により画質自体の改善は著しいものがあり、その主な手段は、トナー粒径を小さくし、しかも粒径分布と形状を揃えることである。しかし、発明者等の検討によれば、これにより問題が全く解決したわけではない。
【0007】
とりわけ、静電潜像担持体(殆どの場合電子写真感光体であり、単に感光体ということもある)上に形成されたトナー像を転写材(転写紙等)に転写する工程での転写率の問題や、この時転写されずに感光体上に残留したトナーをクリーニングする工程において、クリーニング不良を起こす傾向がなお残り、また、ハーフトーンの均一性や、細線再現性においても充分な解決策は見出されていない。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記の状況に鑑み成されたものである。
【0009】
即ち、本発明の目的は、上記問題を解決し、小粒径トナーを用いて高画質画像を得、かつ、トナーの転写率が高く、クリーニング不良を起こさず、ハーフトーンの均一性や、細線再現性のよい静電潜像現像用トナーとその製造方法及び画像形成方法を提供することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
従来トナーの粒径分布において、微粉とされる特に2.0μm以下の微粒子は画像形成装置内のトナー汚染などの点から、存在しないことが好ましいと考えられてきた。
【0011】
しかしながら、本発明の発明者等が検討した結果では、数平均粒径1.0〜2.0μmの微粒子がトナー中に規定量存在することにより、転写材への転写性、感光体上のクリーニング性が向上することを見いだした。一方、トナー粒径分布において大粒子側となる6.35μm以上の粒子の存在は、ハーフトーンの均一性、細線再現性の点から少ない方が良いことを突き止め、本発明に至った。
【0012】
即ち、本発明者等は、鋭意検討した結果、本発明の目的は下記いずれかの構成をとることにより達成されることを見いだした。
【0013】
〔1〕 個数基準で粒子分布曲線において、1.0〜2.0μmの間にピークまたは極大値があり、1.0〜2.0μmの割合が0.1〜5.0%であり、かつ6.35μm以上の割合が5.0%以下であることを特徴とする静電潜像現像用トナー。
【0014】
〔2〕 個数平均粒径が3.0〜5.0μmであることを特徴とする〔1〕に記載の静電潜像現像用トナー。
【0015】
〔3〕 静電潜像担持体上に静電潜像を形成する工程、静電潜像現像用トナーを含む現像剤で該静電潜像を現像してトナー画像を形成する工程、及びトナー画像を転写体上に転写する工程を含む画像形成方法において、該静電潜像現像用トナーとして〔1〕又は〔2〕のいずれか1項に記載の静電潜像現像用トナーを用いることを特徴とする画像形成方法。
【0016】
本発明の効果が得られる理由については、次のように推察される。
トナーの粒度分布が揃っているとき、とりわけ形状が丸みを帯びている場合、感光体上に現像されたトナー粒子の間に隙間ができる。1.0〜2.0μmの粒子は、その隙間を埋め、最密充填された状態となり、転写電界が効率的に作用し、転写率が向上すると共に、細線のエッジが直線状になり解像度が向上する。
【0017】
本発明において、数平均粒径が1.0〜2.0μmの成分の混合比率範囲は、0.1〜5.0個数%、好ましくは0.3〜2.0個数%の範囲がよい。
【0018】
数平均粒径1.0〜2.0μmの成分は、少なくともバインダー樹脂の化学構造が双方とも共通していることが好ましく、トナー粒子と同一の組成であることが特に好ましい。
【0019】
更に、粒径が1.0〜2.0μmにピークまたは極大値があるとは、トナーの粒子分布曲線を描いた時に、この領域に明確にその周辺より高い部分が存在するという意味である。この場合、周囲より高い部分が、鋭く尖った形状を有したスペクトル図を示すもの(ピーク)だけではなく、スペクトル図はなだらかな形状ではあるが、なお、周囲よりは高い部分(極大値)が有る場合を含む。いうまでもなく、ピークまたは極大値はその頂上が、粒径1.0〜2.0μmの範囲内にあればよい。
【0020】
通常のトナーの粒子分布曲線は、平均粒径付近(分布の中央部)に最高部があり、それから粒径が離れるに従って低くなっている。しかし、本発明のトナーの粒子分布曲線は、粒径が1.0〜2.0μmに明かなピークまたは極大値があるのが特徴であり、これを模式的に示したのが図1である。
【0021】
トナー粒子分布曲線の粒径が大きい方の端部においては、6.35μm以上のトナーの割合が、5.0%以下である。好ましくは0〜2.0%、更に好ましくは0〜1.0%であるのがよい。5.0%を超えると、ハーフトーンの均一性がそこなわれ、細線再現性が低下する。
【0022】
本発明のトナーの粒径は、個数平均粒径で3.0〜6.0μmであるのが好ましい。特に好ましくは3.0〜5.0μmである。粒径が1.0〜2.0μmにピーク又は極大値を持つ構成により、この様な小径のトナーを使用し高い解像度を得ることが可能になった。
【0023】
本発明において、トナーの数平均粒径や粒径分布は、シースフロー電気抵抗法であるSD−2000(シスメックス社製)を用いて、下記の条件にて測定した。
【0024】
尚、トナー粒子の粒径、形状等は、通常の外添剤であればこれを添加する前であっても、添加後であっても、その測定値に変化はない。従って、本発明においても、トナーへの外添剤添加前後を特に区別せず記載している。また、外添剤添加前のトナー粒子を着色粒子と呼ぶこともあるが、本発明の記載においては、特に厳密に区別して記載していない。
【0025】
【発明の実施の形態】
次に、本発明に用いられるトナーの製造方法、画像形成方法等について更に説明する。
【0026】
〔1〕トナーの製造方法
次に本発明に用いられるトナーの製造方法について説明する。
【0027】
1.トナーの製造方法
本発明のトナーの製造方法については、特に限定はないが、粒径分布をシャープにするために、粉砕・分級工程を伴う粉砕法ではなく、水系媒体中で粒子を形成することが好ましい。
【0028】
例えば微粒の樹脂粒子を作製し、着色剤など必要な添加剤の分散液を加え、その後に、有機溶媒、塩類等の凝集剤等を添加して当該樹脂粒子を凝集、融着する方法で製造することが出来る。
【0029】
又、特開平7−287419号公報に記載されているごとき溶液重合法や特開平11−15191号公報に記載されているごとき溶解あるいは懸濁重合法も用いることが出来る。
【0030】
乳化会合法
本発明のトナーを製造する具体的方法としては、樹脂粒子乳化液を水系媒体中で塩析、凝集、融着させて作製する方法も挙げることが出来る。この方法としては、特に限定されるものではないが、例えば、特開平5−265252号公報や特開平6−329947号公報、特開平9−15904号公報に示す方法を挙げることが出来る。
【0031】
ここで、樹脂粒子は、乳化重合法、ミニエマルジョン重合、シード重合で、得ることが好ましい。別の方法としては、ポリエステル樹脂を融解又は溶媒に溶かした後、水系媒体中で樹脂乳化液としてもよい。
【0032】
すなわち、樹脂粒子と着色剤等の構成材料の分散粒子、或いは樹脂および着色剤等より構成される微粒子を複数以上塩析、凝集、融着させる方法、特に水中にてこれらを乳化剤を用いて分散した後に、臨界凝集濃度以上の凝集剤を加え塩析させると同時に、形成された重合体自体のガラス転移点温度以上で加熱融着させて融着粒子を形成しつつ徐々に粒径を成長させ、目的の粒径となったところで水を多量に加えて粒径成長を停止し、さらに加熱、撹拌しながら粒子表面を平滑にして形状を制御し、その粒子を固液分離した後加熱乾燥することにより、本発明のトナーを形成することが出来る。なお、ここにおいて凝集剤と同時にアルコール等水に対して無限溶解する溶媒を加えてもよい。
【0033】
懸濁重合法
本発明のトナーを製造する他の方法の一例を示せば、重合性単量体中に荷電制御性樹脂を溶解させ、着色剤や必要に応じて離型剤、さらに重合開始剤等の各種構成材料を添加し、ホモジナイザー、サンドミル、サンドグラインダー或いは超音波分散機等で重合性単量体に各種構成材料を溶解或いは分散させる。この各種構成材料が溶解或いは分散された重合性単量体を分散安定剤を含有した水系媒体中にホモミキサーやホモジナイザー等を使用しトナーとしての所望の大きさの油滴に分散させる。その後、撹拌機構が後述の撹拌翼である反応装置(撹拌装置)へ移し、加熱することで重合反応を進行させる。反応終了後、分散安定剤を除去し、濾過(固液分離)、洗浄し、さらに乾燥のいずれかの工程で1.0〜2.0μmの粒子を粒度のピークが出来るまで添加する。この場合、添加される微粒子は前記乳化重合法で使用した樹脂粒子を用いてもよい。なお、前記水系媒体とは、少なくとも水が50質量%以上含有されたものを示す。
【0034】
以下本発明で好ましく用いられる水系媒体中で粒子形成する方法におけるポイントとなる工程を詳細に説明する。
【0035】
本発明において、数平均粒径が1.0〜2.0μmの間にピーク又は極大値を持ち、かつ、6.35μm以上の割合が5.0%以下とするための達成手段は、特に限定されるものではないが、好ましくは、まず、2.0μm以下の割合が0%となるように、平均粒径を3.0〜5.0μmの間に調整し、必要に応じて6.35μm以上の割合が5.0%以下となるよう液中分級するか、フィルター、あるいはスクリーンを通過させる。次に2.0μm以下の微粒子を添加する。特に好ましくは、前述の樹脂粒子乳化液を固液分離する前に添加する。この時、1.0μm以下の樹脂粒子乳化液を添加し、塩析することで1.0〜2.0μmに凝集融着を進行させてもよい。
【0036】
更に、別の好ましい方法は、1.0〜2.0μmのトナー粒子を別に造り、2.0μm以下の成分を含まず、かつ、6.35μm以上の割合が5.0%以下であるトナーと混合してもよい。
【0037】
《濾過・洗浄工程》
この濾過・洗浄工程では、上記の工程で得られたトナー粒子の分散系から当該トナー粒子を濾別する濾過処理と、濾別されたトナー粒子(ケーキ状の集合物)から界面活性剤や塩析剤等の付着物を除去する洗浄処理とが施される。
【0038】
ここに、濾過処理方法としては、遠心分離法、ヌッチェ等を使用して行う減圧濾過法、フィルタープレス等を使用して行う濾過法等特に限定されるものではない。
【0039】
《乾燥工程》
この乾燥工程は、洗浄処理されたトナー粒子を乾燥処理する工程である。
【0040】
この工程で使用される乾燥機としては、スプレードライヤー、真空凍結乾燥機、減圧乾燥機等を挙げることが出来、静置棚乾燥機、移動式棚乾燥機、流動層乾燥機、回転式乾燥機、撹拌式乾燥機等を使用することが好ましい。
【0041】
乾燥処理されたトナー粒子の水分は、5質量%以下であることが好ましく、2質量%以下がより好ましい。
【0042】
なお、乾燥処理されたトナー粒子同士が、弱い粒子間引力で凝集している場合には、当該凝集体を解砕処理してもよい。解砕処理装置としては、ジェットミル、ヘンシェルミキサー、コーヒーミル、フードプロセッサー等の機械式の解砕装置を使用することが出来る。
【0043】
《外添剤を添加する工程》
外添剤を添加する工程は、乾燥処理されたトナー粒子に脂肪酸金属塩、研磨性外添剤及び通常の外添剤(シリカ微粒子等)を添加してトナーを製造する工程である。この工程で使用される製造装置としては、ヘンシェルミキサー、ナウターミキサー等を使用することが好ましい。
【0044】
次に、トナー製造工程で用いられる各構成因子について、詳細に説明する。
重合性単量体
本発明に用いられる樹脂(バインダ)を造るための重合性単量体としては、疎水性単量体を必須の構成成分とし、必要に応じて架橋性単量体が用いられる。又、下記するごとく酸性極性基を有する単量体又は塩基性極性基を有する単量体を少なくとも1種類含有するのが望ましい。
【0045】
《疎水性単量体》
単量体成分を構成する疎水性単量体としては、特に限定されるものではなく従来公知の単量体を用いることが出来る。又、要求される特性を満たすように、1種又は2種以上のものを組み合わせて用いることが出来る。
【0046】
具体的には、モノビニル芳香族系単量体、アクリル酸エステル系単量体、ビニルエステル系単量体、ビニルエーテル系単量体、モノオレフィン系単量体、ジオレフィン系単量体、ハロゲン化オレフィン系単量体等を用いることが出来る。
【0047】
ビニル芳香族系単量体としては、例えば、スチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−メトキシスチレン、p−フェニルスチレン、p−クロロスチレン、p−エチルスチレン、p−n−ブチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ノニルスチレン、p−n−デシルスチレン、p−n−ドデシルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、3,4−ジクロロスチレン等のスチレン系単量体およびその誘導体が挙げられる。
【0048】
アクリル系単量体としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸−2−エチルヘキシル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸フェニル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸ヘキシル、メタクリル酸−2−エチルヘキシル、β−ヒドロキシアクリル酸エチル、γ−アミノアクリル酸プロピル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジエチルアミノエチル等が挙げられる。
【0049】
ビニルエステル系単量体としては、例えば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ベンゾエ酸ビニル等が挙げられる。
【0050】
ビニルエーテル系単量体としては、例えば、ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルイソブチルエーテル、ビニルフェニルエーテル等が挙げられる。
【0051】
モノオレフィン系単量体としては、エチレン、プロピレン、イソブチレン、1−ブテン、1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン等が挙げられる。
【0052】
ジオレフィン系単量体としては、ブタジエン、イソプレン、クロロプレン等が挙げられる。
【0053】
《架橋性単量体》
樹脂粒子の特性を改良するために架橋性単量体を添加しても良い。架橋性単量体としては、例えば、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタレン、ジビニルエーテル、ジエチレングリコールメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、フタル酸ジアリル等の不飽和結合を2個以上有するものが挙げられる。
【0054】
《酸性極性基を有する単量体》
酸性極性基を有する単量体としては、(a)カルボキシル基(−COOH)を有するα,β−エチレン性不飽和化合物及び(b)スルホン基(−SO3H)を有するα,β−エチレン性不飽和化合物を挙げることが出来る。
【0055】
(a)の−COO基を有するα,β−エチレン性不飽和化合物の例としては、アクリル酸、メタアクリル酸、フマール酸、マレイン酸、イタコン酸、ケイ皮酸、マレイン酸モノブチルエステル、マレイン酸モノオクチルエステル、およびこれらのNa、Zn等の金属塩類等を挙げることが出来る。
【0056】
(b)の−SO3H基を有するα,β−エチレン性不飽和化合物の例としてはスルホン化スチレン、そのNa塩、アリルスルホコハク酸、アリルスルホコハク酸オクチル、そのNa塩等を挙げることが出来る。
【0057】
《塩基性極性基を有する単量体》
塩基性極性基を有する単量体としては、(1)アミン基或いは4級アンモニウム基を有する炭素原子数1〜12、好ましくは2〜8、特に好ましくは2の脂肪族アルコールの(メタ)アクリル酸エステル、(2)(メタ)アクリル酸アミド或いは随意N上で炭素原子数1〜18のアルキル基でモノ又はジ置換された(メタ)アクリル酸アミド、(3)Nを環員として有する複素環基で置換されたビニール化合物及び(4)N,N−ジアリル−アルキルアミン或いはその四級アンモニウム塩を例示することが出来る。中でも、(1)のアミン基或いは四級アンモニウム基を有する脂肪族アルコールの(メタ)アクリル酸エステルが塩基性極性基を有する単量体として好ましい。
【0058】
(1)のアミン基或いは四級アンモニウム基を有する脂肪族アルコールの(メタ)アクリル酸エステルの例としては、ジメチルアミノエチルアクリレート、ジメチルアミノエチルメタクリレート、ジエチルアミノエチルアクリレート、ジエチルアミノエチルメタクリレート、上記4化合物の四級アンモニウム塩、3−ジメチルアミノフェニルアクリレート、2−ヒドロキシ−3−メタクリルオキシプロピルトリメチルアンモニウム塩等を挙げることが出来る。
【0059】
(2)の(メタ)アクリル酸アミド或いはN上で随意モノ又はジアルキル置換された(メタ)アクリル酸アミドとしては、アクリルアミド、N−ブチルアクリルアミド、N,N−ジブチルアクリルアミド、ピペリジルアクリルアミド、メタクリルアミド、N−ブチルメタクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N−オクタデシルアクリルアミド等を挙げることが出来る。
【0060】
(3)のNを環員として有する複素環基で置換されたビニル化合物としては、ビニルピリジン、ビニルピロリドン、ビニル−N−メチルピリジニウムクロリド、ビニル−N−エチルピリジニウムクロリド等を挙げることが出来る。
【0061】
(4)のN,N−ジアリル−アルキルアミンの例としては、N,N−ジアリルメチルアンモニウムクロリド、N,N−ジアリルエチルアンモニウムクロリド等を挙げることが出来る。
【0062】
《重合開始剤》
本発明で用いられるラジカル重合開始剤は、水溶性であれば適宜使用が可能である。例えば、過硫酸塩(例えば、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等)、アゾ系化合物(例えば、4,4′−アゾビス4−シアノ吉草酸及びその塩、2,2′−アゾビス(2−アミジノプロパン)塩等)、パーオキシド化合物等が挙げられる。更に、上記ラジカル性重合開始剤は、必要に応じて還元剤と組み合わせレドックス系開始剤とする事が可能である。レドックス系開始剤を用いることにより、重合活性が上昇し、重合温度の低下が図れ、更に重合時間の短縮が達成出来好ましい。
【0063】
重合温度は、重合開始剤の最低ラジカル生成温度以上であればどの温度を選択しても良いが例えば50〜90℃の範囲が用いられる。但し、常温開始の重合開始剤、例えば過酸化水素−還元剤(アスコルビン酸等)の組み合わせを用いる事で、室温又はそれ以上の温度で重合する事も可能である。
【0064】
《連鎖移動剤》
分子量を調整することを目的として、公知の連鎖移動剤を用いることが出来る。連鎖移動剤としては、特に限定されるものではないが、例えば、オクチルメルカプタン、ドデシルメルカプタン、tert−ドデシルメルカプタン等のメルカプト基を有する化合物が用いられる。特に、メルカプト基を有する化合物は、加熱定着時の臭気を抑制し、分子量分布がシャープであるトナーが得られ、保存性、定着強度、耐オフセット性に優れるため好ましく用いられ、好ましいものとしては、例えば、チオグリコール酸エチル、チオグリコール酸プロピル、チオグリコール酸プロピル、チオグリコール酸ブチル、チオグリコール酸t−ブチル、チオグリコール酸2−エチルヘキシル、チオグリコール酸オクチル、チオグリコール酸デシル、チオグリコール酸ドデシル、エチレングリコールのメルカプト基を有する化合物、ネオペンチルグリコールのメルカプト基を有する化合物、ペンタエリストールのメルカプト基を有する化合物を挙げることが出来る。このうち、トナー加熱定着時の臭気を抑制する観点で、n−オクチル−3−メルカプトプロピオン酸エステルが、特に好ましい。
【0065】
《界面活性剤》
前述の重合性単量体を使用して、特にミニエマルジョン重合を行うためには、界面活性剤を使用して水系媒体中に油滴分散を行うことが好ましい。この際に使用することの出来る界面活性剤としては、特に限定されるものでは無いが、下記のイオン性界面活性剤を好適な化合物の例として挙げることが出来る。
【0066】
イオン性界面活性剤としては、例えば、スルホン酸塩(ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、アリールアルキルポリエーテルスルホン酸ナトリウム、3,3−ジスルホンジフェニル尿素−4,4−ジアゾ−ビス−アミノ−8−ナフトール−6−スルホン酸ナトリウム、オルト−カルボキシベンゼン−アゾ−ジメチルアニリン、2,2,5,5−テトラメチル−トリフェニルメタン−4,4−ジアゾ−ビス−β−ナフトール−6−スルホン酸ナトリウム等)、硫酸エステル塩(ドデシル硫酸ナトリウム、テトラデシル硫酸ナトリウム、ペンタデシル硫酸ナトリウム、オクチル硫酸ナトリウム等)、脂肪酸塩(オレイン酸ナトリウム、ラウリン酸ナトリウム、カプリン酸ナトリウム、カプリル酸ナトリウム、カプロン酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム、オレイン酸カルシウム等)が挙げられる。
【0067】
又、ノニオン性界面活性剤も使用することが出来る。具体的には、例えば、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイドとポリエチレンオキサイドの組み合わせ、ポリエチレングリコールと高級脂肪酸とのエステル、アルキルフェノールポリエチレンオキサイド、高級脂肪酸とポリエチレングリコールのエステル、高級脂肪酸とポリプロピレンオキサイドのエステル、ソルビタンエステル等をあげることが出来る。これら界面活性剤は、主に乳化重合時の乳化剤として使用されるが、他の工程又は他の目的で使用してもよい。
【0068】
樹脂粒子の分子量は、100,000〜1,000,000の領域にピークもしくは肩を有する高分子量成分と、1,000から50,000未満の領域にピークもしくは肩を有する低分子量成分の両成分を少なくとも含有する樹脂が好ましい。さらに好ましくは、ピーク分子量で15,000〜100,000の部分にピーク又は肩を有する中間分子量体の樹脂を使用することが好ましい。
【0069】
トナー或いは樹脂の分子量測定方法は、THF(テトラヒドロフラン)を溶媒としたGPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)による測定がよい。すなわち、測定試料0.5〜5mg、より具体的には1mgに対してTHFを1.0ml加え、室温にてマグネチックスターラー等を用いて撹拌を行い、充分に溶解させる。ついで、ポアサイズ0.45〜0.50μmのメンブランフィルターで処理した後に、GPCへ注入する。GPCの測定条件は、40℃にてカラムを安定化させ、THFを毎分1.0mlの流速で流し、1mg/mlの濃度の試料を約100μL注入して測定する。カラムは、市販のポリスチレンジェルカラムを組み合わせて使用することが好ましい。
【0070】
例えば、昭和電工社製のShodex GPC KF−801、802、803、804、805、806、807の組合せや、東ソー社製のTSKgelG1000H、G2000H、G3000H、G4000H、G5000H、G6000H、G7000H、TSK guard columnの組合せ等を挙げることが出来る。又、検出器としては、屈折率検出器(IR検出器)、或いはUV検出器を用いるとよい。試料の分子量測定では、試料の有する分子量分布を単分散のポリスチレン標準粒子を用いて作成した検量線を用いて算出する。検量線作成用のポリスチレンとしては10点程度用いるとよい。
【0071】
《塩析剤(凝集剤)》
本発明で用いられる塩析剤は、金属塩の中から選択されるものが好ましい。
【0072】
金属塩としては、一価の金属、例えばナトリウム、カリウム、リチウム等のアルカリ金属の塩、二価の金属、例えばカルシウム、マグネシウム等のアルカリ土類金属の塩、マンガン、銅等の二価の金属塩、鉄、アルミニウム等の三価の金属塩等が挙げられる。
【0073】
これら金属塩の具体的な例を以下に示す。一価の金属の金属塩の具体例として、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化リチウム、二価の金属の金属塩として塩化カルシウム、塩化亜鉛、硫酸銅、硫酸マグネシウム、硫酸マンガン等が挙げられる。三価の金属塩としては、塩化アルミニウム、塩化鉄等が挙げられる。これらは、目的に応じて適宜選択される。一般的には一価の金属塩より二価の金属塩のほうが臨界凝集濃度(凝析値或いは凝析点)が小さく、更に三価の金属塩の臨界凝集濃度は小さい。
【0074】
臨界凝集濃度とは、水性分散液中の分散物の安定性に関する指標であり、凝集剤を添加し、凝集が起こる点の濃度を示している。この臨界凝集濃度は、樹脂粒子乳化液自身及び分散剤により大きく変化する。例えば、岡村誠三他著 高分子化学17,601(1960)等に記述されており、これらの記載に従えば、その値を知ることが出来る。又、別の方法として、目的とする粒子分散液に所望の塩を濃度を変えて添加し、その分散液のζ電位を測定し、ζ電位が変化し出す点の塩濃度を臨界凝集濃度とすることも可能である。
【0075】
本発明では、金属塩を用いて臨界凝集濃度以上の濃度になるように重合体微粒子分散液を処理する。この時、当然の事ながら、金属塩を直接加えるか、水溶液として加えるかは、その目的に応じて任意に選択される。水溶液として加える場合には、重合体粒子分散液の容量と金属塩水溶液の総容量に対し、添加した金属塩が重合体粒子の臨界凝集濃度以上になる必要がある。
【0076】
本発明における塩析剤たる金属塩の濃度は、臨界凝集濃度以上であれば良いが、好ましくは臨界凝集濃度の1.2倍以上、更に好ましくは1.5倍以上添加される。
【0077】
《着色剤》
本発明のトナーは、特に限定はなく公知の着色剤を用いることができる。
【0078】
本発明に係るトナーを構成する着色剤としては、各種の無機顔料、有機顔料、染料を挙げることが出来る。無機顔料としては、従来公知のものを用いることが出来る。具体的な無機顔料を以下に例示する。
【0079】
黒色の顔料としては、例えば、ファーネスブラック、チャンネルブラック、アセチレンブラック、サーマルブラック、ランプブラック等のカーボンブラック、更にマグネタイト、フェライト等の磁性粉も用いられる。
【0080】
これらの無機顔料は所望に応じて単独又は複数を選択併用する事が可能である。又顔料の添加量は重合体に対して2〜20質量%であり、好ましくは3〜15質量%が選択される。
【0081】
磁性トナーとして使用する際には、前述のマグネタイトを添加することが出来る。この場合には所定の磁気特性を付与する観点から、トナー中に20〜60質量%添加することが好ましい。
【0082】
有機顔料及び染料としても従来公知のものを用いることが出来る。具体的な有機顔料及び染料を以下に例示する。
【0083】
マゼンタ又はレッド用の顔料としては、例えば、C.I.ピグメントレッド2、C.I.ピグメントレッド3、C.I.ピグメントレッド5、C.I.ピグメントレッド6、C.I.ピグメントレッド7、C.I.ピグメントレッド15、C.I.ピグメントレッド16、C.I.ピグメントレッド48:1、C.I.ピグメントレッド53:1、C.I.ピグメントレッド57:1、C.I.ピグメントレッド122、C.I.ピグメントレッド123、C.I.ピグメントレッド139、C.I.ピグメントレッド144、C.I.ピグメントレッド149、C.I.ピグメントレッド166、C.I.ピグメントレッド177、C.I.ピグメントレッド178、C.I.ピグメントレッド222等が挙げられる。
【0084】
オレンジ又はイエロー用の顔料としては、例えば、C.I.ピグメントオレンジ31、C.I.ピグメントオレンジ43、C.I.ピグメントイエロー12、C.I.ピグメントイエロー13、C.I.ピグメントイエロー14、C.I.ピグメントイエロー15、C.I.ピグメントイエロー17、C.I.ピグメントイエロー93、C.I.ピグメントイエロー94、C.I.ピグメントイエロー138、C.I.ピグメントイエロー180、C.I.ピグメントイエロー185、C.I.ピグメントイエロー155、C.I.ピグメントイエロー156等が挙げられる。
【0085】
グリーン又はシアン用の顔料としては、例えば、C.I.ピグメントブルー15、C.I.ピグメントブルー15:2、C.I.ピグメントブルー15:3、C.I.ピグメントブルー16、C.I.ピグメントブルー60、C.I.ピグメントグリーン7等が挙げられる。
【0086】
又、染料としては、例えば、C.I.ソルベントレッド1、同49、同52、同58、同63、同111、同122、C.I.ソルベントイエロー19、同44、同77、同79、同81、同82、同93、同98、同103、同104、同112、同162、C.I.ソルベントブルー25、同36、同60、同70、同93、同95等を用いることが出来、又これらの混合物も用いることが出来る。
【0087】
これらの有機顔料及び染料は、所望に応じて、単独又は複数を選択併用することが可能である。又、顔料の添加量は、重合体に対して2〜20質量%であり、好ましくは3〜15質量%が選択される。
【0088】
本発明に係るトナーを構成する着色剤(着色剤粒子)は、表面改質されていてもよい。表面改質剤としては、従来公知のものを使用することが出来、具体的にはシランカップリング剤、チタンカップリング剤、アルミニウムカップリング剤等を好ましく用いることが出来る。
【0089】
シランカップリング剤としては、例えば、メチルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、メチルフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン等のアルコキシシラン、ヘキサメチルジシロキサン等のシロキサン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−ウレイドプロピルトリエトキシシラン等が挙げられる。チタンカップリング剤としては、例えば、味の素社製の「プレンアクト」と称する商品名で市販されているTTS、9S、38S、41B、46B、55、138S、238S等、日本曹達社製の市販品A−1、B−1、TOT、TST、TAA、TAT、TLA、TOG、TBSTA、A−10、TBT、B−2、B−4、B−7、B−10、TBSTA−400、TTS、TOA−30、TSDMA、TTAB、TTOP等が挙げられる。アルミニウムカップリング剤としては、例えば、味の素社製の(プレンアクトAL−M)等が挙げられる。
【0090】
これらの表面改質剤の添加量は、着色剤に対して0.01〜20質量%であることが好ましく、更に好ましくは0.1〜5質量%とされる。
【0091】
着色剤粒子の表面改質法としては、着色剤粒子の分散液中に表面改質剤を添加し、この系を加熱して反応させる方法を挙げることが出来る。
【0092】
表面改質された着色剤粒子は、濾過により採取され、同一の溶媒による洗浄処理と濾過処理が繰り返された後、乾燥処理される。
【0093】
《離型剤》
本発明のトナーは、離型剤を内包した樹脂粒子を水系媒体中に於いて融着させたトナーであることが好ましい。この様に樹脂粒子中に離型剤を内包させた樹脂粒子を着色剤粒子と水系媒体中で塩析/融着させることで、微細に離型剤が分散されたトナーを得ることが出来る。
【0094】
本発明のトナーでは、離型剤として、低分子量ポリプロピレン(数平均分子量1500〜9000)や低分子量ポリエチレン等が好ましく、特に好ましくは、下記式で表されるエステル系化合物である。
【0095】
R1−(OCO−R2)n
式中、nは1〜4の整数、好ましくは2〜4、さらに好ましくは3〜4、特に好ましくは4である。R1、R2は、各々置換基を有しても良い炭化水素基を示す。R1は、炭素数1〜40、好ましくは1〜20、さらに好ましくは2〜5がよい。R2は、炭素数1〜40、好ましくは16〜30、さらに好ましくは18〜26がよい。
【0096】
次に代表的な化合物の例を以下に示す。
【0097】
【化1】
【0098】
【化2】
【0099】
上記化合物の添加量は、トナー全体に対し1〜30質量%、好ましくは2〜20質量%、さらに好ましくは3〜15質量%である。
【0100】
〔2〕現像剤及び現像方法
本発明のトナーは、一成分現像剤でも二成分現像剤として用いてもよい。
【0101】
一成分現像剤として用いる場合は、非磁性一成分現像剤、或いはトナー中に磁性体を含有させ磁性一成分現像剤としたものがあげられ、いずれも使用することが出来る。
【0102】
又、キャリアと混合して二成分現像剤として用いる場合は、キャリアの磁性粒子として、例えば、鉄、フェライト、マグネタイト等の金属、それらの金属とアルミニウム、鉛等の金属との合金等の従来から公知の材料を用いることが出来る。これらの磁性粒子の中ではフェライト粒子が好ましい。上記磁性粒子の体積平均粒径は15〜100μmが好ましく、25〜80μmがより好ましい。
【0103】
キャリアの体積平均粒径の測定は、代表的には湿式分散機を備えたレーザ回折式粒子分布測定装置「ヘロス(HELOS)」(シンパティック(SYMPATEC)社製)により測定することが出来る。
【0104】
キャリアは、磁性粒子が更に樹脂により被覆されているもの、或いは樹脂中に磁性粒子を分散させたいわゆる樹脂分散型キャリアが好ましい。コーティング用の樹脂組成としては、特に限定は無いが、例えば、オレフィン系樹脂、スチレン系樹脂、スチレン−アクリル系樹脂、シリコーン系樹脂、エステル系樹脂或いはフッ素含有重合体系樹脂等が用いられる。又、樹脂分散型キャリアを構成するための樹脂としては、特に限定されず公知のものを使用することが出来、例えば、スチレン−アクリル系樹脂、ポリエステル樹脂、フッ素系樹脂、フェノール樹脂等を使用することが出来る。
【0105】
又、現像法は接触、非接触のどちらでも用いることができる。非接触の現像法を採用する場合には非接触での正規現像又は非接触での反転現像を行うことができる。そのときの直流現像電界は絶対値で1×103〜1×105V/cm、好ましくは5×103〜1×104V/cmとされ、103V/cm未満だと現像が不足し、十分な画像濃度が得られず、105V/cmを越えると画質が荒れ、かぶりが発生する。
【0106】
次に交流バイアスは0.5〜4kVp−p、好ましくは1〜3kVp−pとされ、又周波数は0.1〜10kHz、好ましくは2〜8kHzとされる。
【0107】
前記交流バイアスが0.5kVp−p未満の場合、キャリアに付着したトナーが離脱せず、非接触現像が不十分となり、画像濃度が不足する。又交流バイアスが4kVp−pを越えると現像剤中のキャリアが飛翔して感光体上にキャリア付着を生ずる。
【0108】
更に交流バイアスの周波数が0.1kHz未満では矢張りキャリアからのトナーの脱離が不十分となり現像不足、画像濃度低下を招く。又交流バイアスの周波数が10kHzを越えるとトナーが電界の変動に追随できず、矢張り現像不良となり、画像濃度が低下する。
【0109】
〔3〕画像形成方法及び画像形成装置
次に、本発明の画像形成方法に用いられる画像形成装置について説明する。
【0110】
図2は本発明の画像形成方法に用いられる画像形成装置の一例を示す断面構成図である。
【0111】
図中、3は像形成体である感光体ドラムであり、アルミニウム製のドラム基体の外周面に感光体層である有機光導電体(OPC)を形成してなるもので矢印方向に所定の速度で回転する。
【0112】
図2において、図示しない原稿読み取り装置にて読み取った情報に基づき、半導体レーザ光源21から露光光が発せられる。これをポリゴンミラー22により、図2の紙面と垂直方向に振り分け、画像の歪みを補正するfθレンズ13を介して、感光体面上に照射され静電潜像を作る。像形成体である感光体ドラム3は、あらかじめ帯電器15により一様帯電され、像露光のタイミングにあわせて時計方向に回転を開始している。
【0113】
感光体ドラム面上の静電潜像は、現像器16により現像され、形成された現像像はタイミングを合わせて搬送されてきた転写紙18に転写器17の作用により転写される。さらに感光体ドラム3と転写紙18は分離器(分離極)9により分離されるが、トナー像は転写紙18に転写担持されて、定着器10へと導かれ定着される。
【0114】
感光体面に残留した未転写のトナー等は、クリーニング器11のクリーニングブレード7にて清掃され、帯電前露光(PCL)12にて残留電荷を除き、次の画像形成のため再び帯電器15により、一様帯電される。
【0115】
トナーリサイクルシステム
本発明の画像形成方法において、トナーリサイクルを行ってもよい。例えば、クリーニング部で回収されたトナーを搬送コンベア或いは搬送スクリューによって補給用トナーホッパー、現像器或いは補給用トナーと中間室によって混合して現像器へ供給する方法等をあげることが出来る。好ましくは現像器へ直接戻す方式或いは中間室にて補給用トナーとリサイクルトナーを混合して供給する方式を挙げることが出来る。
【0116】
図3はトナーリサイクル装置の一例を示す部材斜視構成図である。
この方式は現像器へリサイクルトナーを直接戻す方式である。クリーニングブレード7で回収された未転写トナーはトナークリーニング器11内の搬送スクリュウによってトナーリサイクルパイプ24に集められ、更にこのリサイクルパイプの受け口25から現像器16に戻され、再び現像剤として使用される。
【0117】
図3は又、本発明に係る画像形成装置に着脱自在のプロセスカートリッジの斜視図でもある。この図3では斜視構造を判りやすくするため感光体ユニットと現像剤ユニットを分離した図面になっているが、これを全部一体化したユニットとして着脱自在に画像形成装置に搭載出来る。この場合、感光体ドラム、現像器、クリーニング器及びリサイクル部材が一体となりプロセスカートリッジを構成している。
【0118】
又、上記画像形成装置は、感光体ドラムと、帯電器、現像器、クリーニング器或いはリサイクル部材等の少なくとも一つを含むプロセスカートリッジを搭載する形態にすることも出来る。
【0119】
次に、転写材(転写紙)は代表的には普通紙であるが、現像後の未定着像を転写可能なものなら、特に限定されず、OHP用のPETベース等も無論含まれる。
【0120】
近年、感光体ドラム上に静電潜像を形成し、この潜像を現像して可視画像を得る電子写真等の分野において、画質の改善、変換、編集等が容易で高品質の画像形成が可能なデジタル方式を採用した画像形成方法の研究開発が盛んになされている。
【0121】
この画像形成方法に採用されるコンピュータ又は複写原稿からのデジタル画像信号により光変調する走査光学系として、レーザ光学系に音響光学変調器を介在させ、当該音響光学変調器により光変調する装置、半導体レーザを用い、レーザ強度を直接変調する装置があり、これらの走査光学系から一様に帯電した感光体上にスポット露光してドット状の画像を形成する。
【0122】
前述の走査光学系から照射されるビームは、裾が左右に広がった正規分布状に近似した丸状や楕円状の輝度分布となり、例えばレーザビームの場合、通常、感光体上で主走査方向或いは副走査方向の一方或いは両者が20〜100μmという極めて狭い丸状或いは楕円状である。
【0123】
〔4〕クリーニング手段とその他の構成
クリーニングは、前記した如く、弾性ゴムのクリーニングブレードを部材として用いたブレードクリーニング方式が好ましい。弾性ゴムとしては、ウレタンゴム、シリコーンゴム等を用いることが出来るが、ウレタンゴムが特に好ましい。
【0124】
尚、本発明をファクシミリのプリンターに使用する場合には、図2の像露光器13は受信データをプリントするための露光を行うことになる。
【0125】
本発明に係わる画像形成装置は、複写機、レーザプリンター、LEDプリンター、液晶シャッター式プリンター等の電子写真装置一般に適用し得るものであるが、更には電子写真技術を応用したディスプレイ、記録、軽印刷、製版、ファクシミリ等の装置にも広く適用し得るものである。
【0126】
【実施例】
次に、本発明の実施の態様とその効果を示し、本発明を具体的に説明するが、無論、本発明はこれらの構成に限定されるわけではない。
【0127】
〔1〕着色粒子の製造例
(1)着色粒子1の製造例(乳化重合)
1.樹脂粒子乳化液(1HML)の作製
第一段重合(核粒子の調製 Mw=138,000/5Lスケール)
撹拌装置、温度センサー、冷却管、窒素導入装置を取り付けた5000mlのセパラブルフラスコに、アニオン系界面活性剤(101)
C10H21(OCH2CH2)2OSO3Na
4gをイオン交換水3040gに溶解させた界面活性剤溶液(水系媒体)を仕込み、窒素気流下230rpmの撹拌速度で撹拌しながら、内温を80℃に昇温させた。
【0128】
この界面活性剤溶液に、重合開始剤(過硫酸カリウム:KPS)10gをイオン交換水400gに溶解させた開始剤溶液を添加し、温度を75℃とした後、スチレン560g、n−ブチルアクリレート200g、メタクリル酸40gからなる単量体混合液を1時間かけて滴下し、この系を75℃にて2時間にわたり加熱、撹拌することにより重合(第一段重合)を行い、樹脂粒子乳化液を調製した。これを「樹脂粒子乳化液(1H)」とする。
【0129】
第二段重合(中間層の形成 Mw=80,000/5Lスケール)
撹拌装置を取り付けたフラスコ内において、スチレン95g、n−ブチルアクリレート36g、メタクリル酸9g、n−オクチル−3−メルカプトプロピオン酸エステル0.59gからなる単量体混合液に、結晶性物質として、前記式19)で表される化合物(以下、「例示化合物(19)」という。)77gを添加し、90℃に加温し溶解させて単量体溶液を調製した。
【0130】
一方、アニオン系界面活性剤(101)1gをイオン交換水1560mlに溶解させた界面活性剤溶液を98℃に加熱し、この界面活性剤溶液に、核粒子の分散液である前記樹脂粒子乳化液(1H)を固形分換算で28g添加した後、循環経路を有する機械式分散機「クレアミックス(CLEARMIX)」(エム−テクニック社製)により、前記例示化合物(19)の単量体溶液を8時間混合分散させ、分散粒子径(284nm)を有する乳化粒子(油滴)を含む分散液(乳化液)を調製した。
【0131】
次いで、この分散液(乳化液)に、重合開始剤(KPS)5gをイオン交換水200mlに溶解させた開始剤溶液を添加し、この系を98℃にて12時間にわたり加熱撹拌することにより重合(第二段重合)を行い、樹脂粒子乳化液を得た。これを「樹脂粒子乳化液(1HM)」とする。
【0132】
第三段重合(外層の形成 Mw=170,000/5Lスケール)
上記の様にして得られた樹脂粒子乳化液(1HM)に、重合開始剤(KPS)6.8gをイオン交換水265mlに溶解させた開始剤溶液を添加し、80℃の温度条件下に、スチレン249g、n−ブチルアクリレート88.2g、メタクリル酸19.4g、n−オクチル−3−メルカプトプロピオン酸エステル7.45gからなる単量体混合液を1時間かけて滴下した。滴下終了後、2時間にわたり加熱撹拌することにより重合(第三段重合)を行った後、28℃まで冷却し樹脂粒子乳化液を得た。この樹脂粒子乳化液を「樹脂粒子乳化液(1HML)」とする。
【0133】
この樹脂粒子乳化液(1HML)を構成する複合樹脂粒子は、138,000、80,000および17,000にピーク分子量を有するものであり、また、この複合樹脂粒子の重量平均粒径は122nmであった。
【0134】
2.樹脂粒子乳化液(2L)の作製(Mw=110,000/5スケール)
アニオン系界面活性剤(101)0.2gをイオン交換水3040gに溶解させた水系媒体を窒素気流下140rpmの撹拌速度で撹拌しながら、内温を80℃まで昇温させた。
【0135】
撹拌装置を取り付けたフラスコ内に、重合開始剤(KPS)14.8gをイオン交換水400mlに溶解させた開始剤溶液を仕込み、80℃の温度条件下に、スチレン600g、n−ブチルアクリレート190g、メタクリル酸30.0g、n−オクチル−3−メルカプトプロピオン酸エステル20.8gからなる単量体混合液を1時間かけて滴下した。滴下終了後、2時間にわたり加熱撹拌することにより重合を行った後、27℃まで冷却し樹脂粒子乳化液(低分子量樹脂からなる樹脂粒子の分散液)を得た。この樹脂粒子乳化液を「樹脂粒子乳化液(2L)」とする。
【0136】
この樹脂粒子乳化液(2L)を構成する樹脂粒子は11,000にピーク分子量を有するものであり、また、この樹脂粒子の重量平均粒径は1.2μmであった。
【0137】
3.着色剤の分散
アニオン系界面活性剤(101)90gをイオン交換水1600mlに撹拌溶解した。この溶液を撹拌しながら、C.I.ピグメントブルー15:3を400.0g徐々に添加し、次いで、撹拌装置「クレアミックス」(エム−テクニック社製)を用いて分散処理することにより、着色剤粒子の分散液(以下、「着色剤分散液1」という。)を調製した。この着色剤分散液1における着色剤粒子の粒子径を、電気泳動光散乱光度計「ELS−800」(大塚電子社製)を用いて測定したところ、110nmであった。
【0138】
4.会合(凝集・融着)の工程
樹脂粒子乳化液(1HML)420.7g(固形分換算)と、イオン交換水900gと「着色剤分散液1」200gとを、温度センサー、冷却管、窒素導入装置、撹拌装置を取り付けた反応容器(四つ口フラスコ)に入れ撹拌した。容器内の温度を30℃に調整した後、この溶液に5モル/Lの水酸化ナトリウム水溶液を加えてpHを11.0に調整した。
【0139】
次いで、塩化マグネシウム・6水和物10gをイオン交換水1000mlに溶解した水溶液を、撹拌下、30℃にて10分間かけて添加した。3分間放置した後に昇温を開始し、この系を60分間かけて90℃まで昇温した。その状態で、「コールターカウンターTA−II」にて会合粒子の粒径を測定し、得たい個数平均粒径になった時点で、塩化ナトリウム40.2gをイオン交換水1000mlに溶解した水溶液を添加して粒子成長を停止させ、さらに、熟成処理として液温度98℃にて6時間にわたり加熱撹拌することにより融着を継続させた。
【0140】
5.1.0〜2.0μmの領域にピークを形成する工程
更に樹脂粒子乳化液(2L)(樹脂粒子の分散液)120gを添加し、2時間加熱撹拌を継続し、粒径分布を測定して、1.0〜2.0μmの領域にピークが形成されているころを確認した。即ち、樹脂粒子乳化液(1HML)の凝集粒子表面に樹脂粒子乳化液(2L)の一部を融着させ、かつ、樹脂粒子乳化液(2L)の粒子が分散液中にも存在している状態にした。ここで、塩化ナトリウム40.2gを加え、8℃/分の条件で30℃まで冷却し、塩酸を添加してpHを2.0に調整し、撹拌を停止した。生成した塩析、凝集、融着粒子を濾過し、45℃のイオン交換水で繰り返し洗浄し、その後、40℃の温風で乾燥することにより、着色粒子1を得た。
【0141】
(2)着色粒子2の製造例
着色粒子1の製造例の1.0〜2.0μmの領域にピークを形成する工程において、撹拌時間を4時間とした以外は、同様に行った。
【0142】
(3)着色粒子3の製造例
着色粒子1の1.0〜2.0μmの領域にピークを形成する工程において、撹拌時間を1時間とした以外は、同様に行った。
【0143】
(4)着色粒子4の製造例
着色粒子1の会合工程を、個数平均粒子径3.0μmになるように調整した以外は、同様に行った。
【0144】
(5)着色粒子5の製造例
着色粒子1の会合工程において、塩化マグネシウム・6水和物を12.5gとし、4.9μmの個数平均粒子径になるまで反応させた以外は、同様に行った。
【0145】
(6)着色粒子6の製造例
着色粒子1の会合工程において、加熱撹拌時間を6時間から3時間とした以外は、同様に行った。
【0146】
(7)比較着色粒子1の製造例
着色粒子1の会合工程において、塩化マグネシウム・6水和物を15gとし、シェリング及び微粉生成工程プロセスにおいて、樹脂粒子分散液の樹脂粒子乳化液(2L)を60gとし、加熱撹拌を4時間にして樹脂粒子乳化液(2L)の粒子が液中に存在しない状態にしたこと以外は、同様に行った。
【0147】
(8)比較着色粒子2の製造例
着色粒子1の会合工程において、塩化マグネシウム・6水和物を14gとした以外は、同様に行った。
【0148】
(9)比較着色粒子3の製造例
着色粒子1の1.0〜2.0μmの領域にピークを形成する工程において、撹拌時間を40分とした以外は、同様に行った。
【0149】
〔2〕トナー及び現像剤
ついで上記、着色粒子1〜6、比較着色粒子1〜3にそれぞれ疎水性シリカ(数平均一次粒子径=12nm、疎水化度=68)を1質量%及び疎水性酸化チタン(数平均一次粒子径=20nm、疎水化度=63)0.5質量%を添加し、ヘンシェルミキサーにより混合してトナーを得た。これらをトナー1〜6、比較トナー1〜3とする。
【0150】
上記トナー1〜6、比較トナー1〜3に対してシリコーン樹脂を被覆した体積平均粒径60μmのフェライトキャリアを混合し、トナー濃度が6質量%の現像剤を調製した。これらを現像剤1〜6、比較現像剤1〜3とし、それに対応する実施例を実施例1〜6、また、比較例を比較例1〜3とする。
【0151】
【表1】
【0152】
〔3〕実写評価
市販のデジタル複写機(コニカ社製)Konica Sitios7075を評価機として使用した。
【0153】
(1)評価および測定方法
1.転写率
高温高湿環境下(33℃、80%RH)にて連続印字を行い、感光体上に60mg/cm2の画像を形成し、転写材である紙に転写された単位面積あたりのトナー量(%)を測定した。
【0154】
◎:転写率90%以上
○:転写率80%以上、90%未満
×:転写率80%未満
2.クリーニング不良
高温高湿環境下(33℃、80%RH)において、画像を連続して5000枚印字した後、電源をオフにして72時間放置後に再度印字し、形成画像の状態を観察した。ベタ画像上に存在する白点の有無(直径0.3mm以上のもの)により、クリーニング不良を評価した。
【0155】
◎ :0個
○ :1〜4個
× :5個以上
3.ハーフトーンの均一性
ハーフトーンの均一性は目視にて判断し、ハーフトーン画像(濃度0.35の均一画像)の均一性を評価した。ランクを下記として評価した。
【0156】
◎:ムラの無い均一な画像
○:スジ状の薄いムラが3本以下存在
×:スジ状のはっきりしたムラが3本以上存在
尚、何れの特性も「○」以上が実用可能レベルである。
【0157】
4.ライン幅(細線再現性)
2ドットラインの画像信号に対応するライン画像のライン幅を印字評価システム「RT2000」(ヤーマン社製)によって測定した。1枚目の形成画像のライン幅および20000枚目の形成画像のライン幅の何れもが200μm以下であり、かつ、ライン幅の変化が10μm未満であれば、細線再現性は問題ないといえる。
【0158】
◎:7μm以下
○:7μmを超えるが10μm未満
×:10μm以上
【0159】
【表2】
【0160】
表2より明らかな如く、本発明内の実施例1〜6は何れの特性も実用可能な範囲にあるが、本発明外の比較例1〜3は何れの特性も問題があることがわかる。
【0161】
【発明の効果】
本発明により、小粒径トナーを用いて高画質画像を得、かつ、トナーの転写率が高く、クリーニング不良を起こさず、ハーフトーンの均一性や、細線再現性のよい静電潜像現像用トナーとその製造方法及び画像形成方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のトナーの粒子分布模式図。
【図2】画像形成装置の一例を示す断面構成図。
【図3】トナーリサイクル装置の一例を示す部材斜視構成図。
【符号の説明】
3 感光体ドラム
7 クリーニングブレード
9 分離器(分離極)
10 定着器
11 クリーニング器
12 帯電前露光(PCL)
13 fθレンズ
15 帯電器
16 現像器
17 転写器
18 転写材(転写紙)
21 半導体レーザ光源
22 ポリゴンミラー
Claims (3)
- 個数基準で粒子分布曲線において、1.0〜2.0μmの間にピークまたは極大値があり、1.0〜2.0μmの割合が0.1〜5.0%であり、かつ6.35μm以上の割合が5.0%以下であることを特徴とする静電潜像現像用トナー。
- 個数平均粒径が3.0〜5.0μmであることを特徴とする請求項1に記載の静電潜像現像用トナー。
- 静電潜像担持体上に静電潜像を形成する工程、静電潜像現像用トナーを含む現像剤で該静電潜像を現像してトナー画像を形成する工程、及びトナー画像を転写体上に転写する工程を含む画像形成方法において、該静電潜像現像用トナーとして請求項1又は2に記載の静電潜像現像用トナーを用いることを特徴とする画像形成方法。
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