JP2004044763A - ギアプレート式アクチュエータ及びこれを用いた動力断続装置及びデファレンシャル装置 - Google Patents
ギアプレート式アクチュエータ及びこれを用いた動力断続装置及びデファレンシャル装置 Download PDFInfo
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Abstract
【課題】ギア組の噛み合い状態を正常に保つ。
【解決手段】プレート15,17,19と、ギア組を介してプレート17を回転操作する電動モータと、プレート17の回転をプレート19の移動操作力に変換するカム機構21とを備え、前記ギア部を構成するプレート17側のギア部と前記電動モータ側のピニオンギアとの噛み合いを正常に保持する噛み合い保持手段103を設けた。
【選択図】 図16
【解決手段】プレート15,17,19と、ギア組を介してプレート17を回転操作する電動モータと、プレート17の回転をプレート19の移動操作力に変換するカム機構21とを備え、前記ギア部を構成するプレート17側のギア部と前記電動モータ側のピニオンギアとの噛み合いを正常に保持する噛み合い保持手段103を設けた。
【選択図】 図16
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、クラッチのような被操作装置を操作するギアプレート式アクチュエータと、このクラッチによって駆動力を断続する動力断続装置と、このクラッチによって駆動力を断続する、あるいは、差動を制限するデファレンシャル装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
特公平5−54574号公報に図37のようなデファレンシャル装置1001が記載されている。
【0003】
デファレンシャル装置1001はデフキャリヤ1003に収容されており、アウターデフケース1005、インナーデフケース1007、ベベルギア式の差動機構1009、噛み合いクラッチ1011、空気圧式のアクチュエータ1013などから構成されている。
【0004】
噛み合いクラッチ1011は、インナーデフケース1007に移動自在にスプライン連結されたクラッチリング1015と、アウターデフケース1005との間に形成されている。
【0005】
アクチュエータ1013はデフキャリヤ1003に固定されたシリンダ1017、ピストン1019などから構成されており、エンジンに駆動されるエアポンプから空気圧を供給されて作動し、ピストン1019とシフトフォーク1021とを介してクラッチリング1015を移動操作し、噛み合いクラッチ1011を噛み合わせる。また、空気圧の供給を停止すると噛み合いクラッチ1011の噛み合いが解除される。
【0006】
アウターデフケース1005は、ドライブピニオンギア1023とリングギア1025とを介して入力するエンジンの駆動力により回転駆動される。
【0007】
噛み合いクラッチ1011が噛み合うと、アウターデフケース1005の回転はインナーデフケース1007と差動機構1009とを介して車軸1027,1029から左右の車輪に配分され、車両が4輪駆動状態になり、悪路などでの走破性、脱出性、安定性が向上する。
【0008】
また、噛み合いクラッチ1011の噛み合いが解除されると、インナーデフケース1007から左右の車輪までがエンジン側から切り離されて、車両は2輪駆動状態になり、エンジンの燃費が向上する。
【0009】
また、空気圧式アクチュエータ1013のような流体圧式アクチュエ−タの他に、電動モータの回転トルクをカム機構によって、クラッチなどの被操作装置の操作力に変換するアクチュエータがある。
【0010】
電動モータを用いたこのアクチュエータには、流体圧式アクチュエータを用いた装置と異なって、ポンプとその駆動源及び圧力ラインの引き回しなどが不要であり、構造簡単、低コストで、配置スペースが狭くてすみ、軽量で車載性に優れる上に、レスポンスが速く、高い信頼性が得られるなどの利点がある。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
電動モータを用いた上記のアクチュエータでは、電動モータとカム機構との間にギア組が配置される。このギア組は、電動モータの回転をカム機構に伝達するだけでなく、電動モータの回転を減速(トルク増幅)してカム機構に充分なトルクを与えるために必要である。
【0012】
このように、電動モータを用いたアクチュエータにとって、ギア組は必須の構成要素であり、ギア組の噛み合い、動作、耐久性などが正常に保たれないと、アクチュエータの動作が不安定になり、性能が低下する恐れがある。
【0013】
また、アクチュエータ1013を用いたデファレンシャル装置1001では、シフトフォーク1017を含めたシフトメカニズムが必要であって、部品点数が多く、構造が複雑である上に、高価であり、特に、エアポンプはこれらのコストの約3割を占める。
【0014】
また、空気圧式アクチュエータのような流体圧式のアクチュエータでは、圧力ラインでの圧力漏れを避けることが難しく、この圧力漏れによって噛み合いクラッチ1011の連結及び連結解除のレスポンスが低下し、走行条件の変化に応じて4輪駆動状態と2輪駆動状態とを迅速に切り替えることが困難になる。
【0015】
また、この圧力漏れによって信頼性が低下する上に、圧力漏れを防止するためには、圧力ライン各部のシ−ルを強化するなどの配慮が必要であり、これに伴うコストの上昇は避け難い。
【0016】
また、空気圧式アクチュエータ1013は、内圧や外圧の影響を受け易く、それだけ動作が不安定になり、性能が低下し易い。
【0017】
また、流体圧式のアクチュエータを用いると、圧力ラインの配管及びその引き回しスペ−スなどを含めた広い配置スペ−スが必要であるから、デファレンシャル装置1001が大型になって車載性が低下する上に、デファレンシャル装置1001を収容するケーシング(例えば、デフキャリヤ)の変更が必要になり、大きな変更コストが生じると共に、車載性がさらに低下する。
【0018】
そこで、この発明は、電動モータの回転トルクをカム機構に伝達するギア組の噛み合いが正常に保たれると共に、構造簡単、低コストで、信頼性が高いギアプレート式アクチュエータと、このギアプレート式アクチュエータを用いて構成した動力断続装置とデファレンシャル装置の提供を目的としている。
【0019】
【課題を解決するための手段】
請求項1のギアプレート式アクチュエータは、静止側に固定された環状の支持プレートと、前記支持プレートの軸方向一側に正逆回動可能に配置されたカムプレートと、前記支持プレートの軸方向他側に軸方向移動可能に配置され、被操作装置を移動操作する可動プレートと、前記カムプレートと一体のギアプレートに設けられたギア部と、前記カムプレート側の前記ギア部と噛み合う出力軸上のピニオンギアを介して前記カムプレートを、正逆方向に回転させる電動モータと、前記カムプレートと前記可動プレートとの間に設けられ、前記カムプレートの回転力を前記可動プレートの移動操作力に変換するカム機構とを備え、前記カムプレート側の前記ギア部と前記電動モータ側の前記ピニオンギアとの噛み合いを正常に保持する噛み合い保持手段を設けたことを特徴とする。
【0020】
請求項1のギアプレート式アクチュエータは、噛み合い保持手段を設けたことによって、ギア組(ピニオンギアとギア部)の噛み合いが正常に保たれ、耐久性が向上するから、動作と性能が安定する。
【0021】
また、電動モータの回転トルクをカム機構によって被操作装置の操作力に変換する本発明のギアプレート式アクチュエータは、流体圧式のアクチュエータを用いた従来例と異なって、高価なポンプ、流体圧式アクチュエータ(ピストンとシリンダ)、シフトメカニズムなどが不要であり、部品点数が少なく、構造が簡単であり、低コストに実施できる。
【0022】
また、流体圧式アクチュエータを用いたシステムでは避けがたい圧力漏れによる機能低下から解放され、信頼性が大きく向上する上に、圧力ライン各部のシ−ル強化とこれに伴うコストの上昇を避けることができる。
【0023】
また、空気圧式アクチュエータを用いたシステムと異なって、圧力変動の影響を受けないから、性能が向上し、安定する。
【0024】
また、流体圧式アクチュエータと異なって、圧力ライン及びその引き回しスペ−スなどの広い配置スペ−スが不要になるから、ギアプレート式アクチュエータ及び被操作装置が軽量で、さらにコンパクトになり、車載性が大きく向上する。
【0025】
また、アクチュエータ及び被操作装置を収容するケーシングの変更が不要になり、変更に伴う大きなコスト上昇が避けられる。
【0026】
請求項2の発明は、請求項1に記載されたギアプレート式アクチュエータであって、前記噛み合い保持手段が、前記ギア部との間に所定の間隔を空けて前記カムプレートに設けられ、前記ピニオンギアを前記ギア部に対して所定の噛み合い位置に保持するガイド部であることを特徴とする。
【0027】
請求項2の構成では、ピニオンギアのガイド部(噛み合い保持手段)をカムプレートに設けたことにより、電動モータ側ピニオンギアがカムプレート側のギア部に対して所定の噛み合い位置に保持される。
【0028】
従って、例えば、カムプレート(ギア部)の回動に伴ってピニオンギアがギア部の端部まで移動しても、ガイド部のガイド機能によって、ピニオンギアがギア部から外れることが防止される。
【0029】
また、ギア部との噛み合いによってピニオンギアに掛かる噛み合い反力は、ガイド部が受けるから、ピニオンギアや電動モータ(出力軸)などの変形が防止される。
【0030】
請求項2の発明は、このようにしてピニオンギアとギア部との噛み合いが正常に保たれるから、請求項1の構成と同等の作用・効果を得ることができる。
【0031】
請求項3の発明は、請求項1または請求項2に記載されたギアプレート式アクチュエータであって、前記カムプレートの回動角度を所定の範囲に保つストッパを設け、前記噛み合い保持手段が、前記カムプレートの、前記ストッパとの当接部に設けられたバネ片であることを特徴とする。
【0032】
請求項3の構成では、カムプレートがストッパと当接する部分に、バネ片(噛み合い保持手段)を設けたことにより、回動に伴ってカムプレートがストッパと衝突しても、バネ片によってその衝撃が吸収されるから、衝撃を受けてもピニオンギアとギア部との噛み合いが外れることはない。
【0033】
また、このようなバネ片の衝撃吸収機能により、ピニオンギアとギア部が衝撃によって磨耗することが防止されると共に、衝撃によるカムプレート(ギアプレート)やストッパの変形が防止される。
【0034】
請求項3の発明は、このようにしてピニオンギアとギア部との噛み合いが正常に保たれるから、請求項1または請求項2の構成と同等の作用・効果を得ることができる。
【0035】
また、カムプレートの両端部に適度な切り欠き(スリット)を、例えば、プレス加工するだけで、ストッパと当接する部分にバネ片を形成することができるから、この構成は、極めて低コストで容易に実施することができる。
【0036】
請求項4の発明は、請求項1または請求項2に記載されたギアプレート式アクチュエータであって、前記カムプレートの回動角度を所定の範囲に保つストッパを設け、前記噛み合い保持手段が、前記カムプレートの、前記ストッパとの当接部に設けられ、前記ギア部の一部を構成する肉圧部であることを特徴とする。
【0037】
請求項4の構成は、カムプレートがストッパと当接する部分に肉圧部(噛み合い保持手段)を設け、ギア部の歯幅を広くしたことにより、回動に伴ってカムプレート(ギア部)がストッパと衝突し、電動モータがストール(電動モータの回転がロックされた状態)し、ギア部に大きなストールトルクが掛かっても、上記のように、肉圧部によって歯幅を広くしたから、ギア部の磨耗や破損などが防止される。
【0038】
請求項4の発明は、このようにしてピニオンギアとギア部との噛み合いが正常に保たれるから、請求項1または請求項2の構成と同等の作用・効果を得ることができる。
【0039】
また、ストールトルクが掛かる部分だけを肉厚にしたことにより、カムプレート(ギアプレート)全体を肉厚にする必要がなくなるから、ギアプレートの全体を肉厚にすることによる重量化、軸方向の大型化、軸方向の大型化に伴うレイアウト性の低下、材料費の増加などが防止される。
【0040】
また、ストールトルクが掛かる部分だけを肉厚にするこの構成は、例えば、カムプレート(ギアプレート)の両端に折り曲げ加工を施し、その後ギア部を加工するだけで、極めて低コストで容易に実施することができる。
【0041】
請求項5の発明は、請求項1〜4のいずれかに記載されたギアプレート式アクチュエータであって、前記噛み合い保持手段が、前記カムプレートの軸方向に屈曲して形成された前記ギア部であり、前記カムプレートの回動に伴って、前記ピニオンギアの前記ギア部との噛み合い箇所が歯幅方向に変化することを特徴とする。
【0042】
請求項5の構成は、ギア部をカムプレートの軸方向(ギア部の歯幅方向)に屈曲して形成したことにより、カムプレート(ギア部)の回動に伴ってギア部と噛み合うピニオンギアの噛み合い箇所が軸方向に移動(歯幅方向に分散)し、ピニオンギアが同一の箇所でギア部と噛み合うことにより磨耗が1箇所にだけ集中することが避けられて耐久性が大幅に向上する。
【0043】
請求項5の発明は、このようにしてピニオンギアとギア部との噛み合いが正常に保たれるから、請求項1〜4の構成と同等の作用・効果を得ることができる。
【0044】
従って、ピニオンギアとギア部との噛み合い幅を広くするために、カムプレート(ギア部)を肉厚にする必要がないから、カムプレートを肉厚にすることによる重量化、軸方向の大型化、軸方向の大型化に伴うレイアウト性の低下、材料費の増加などが防止される。
【0045】
また、軸方向に屈曲して形成したことによってカムプレート(ギア部)の剛性が向上し、例えば、噛み合いクラッチのラチェッティングに伴うカムプレートの共振が軽減されるから、ギアプレート式アクチュエータの性能と動作がさらに安定する。
【0046】
請求項6の発明は、請求項1〜4のいずれかに記載されたギアプレート式アクチュエータであって、前記噛み合い保持手段が、軸方向に傾斜して配置された前記カムプレートの前記ギア部であり、前記カムプレートの回動に伴って、前記ピニオンギアの前記ギア部との噛み合い箇所が歯幅方向に変化することを特徴とする。
【0047】
請求項6の構成は、カムプレート(ギア部)を軸方向に傾斜して配置したことにより、カムプレート(ギア部)の回動に伴ってギア部と噛み合うピニオンギアの噛み合い箇所が歯幅方向に移動し、ピニオンギアが同一の箇所でギア部と噛み合うことにより磨耗が1箇所にだけ集中することが避けられて耐久性が大幅に向上する。
【0048】
請求項6の発明は、このようにしてピニオンギアとギア部との噛み合いが正常に保たれるから、請求項1〜4の構成と同等の作用・効果を得ることができる。
【0049】
また、請求項5の構成と同様に、ピニオンギアとギア部との噛み合い幅を広くするために、カムプレート(ギア部)を肉厚にする必要がないから、カムプレートを肉厚にすることによる重量化、軸方向の大型化、軸方向の大型化に伴うレイアウト性の低下、材料費の増加などが防止される。
【0050】
また、ギア部をスパーギアにしたカムプレートを軸方向に傾斜して配置すればヘリカルギアになり、ピニオンギアをこれに対応するヘリカルギアにすれば、噛み合い率が増加することにより、各歯の負担が軽減されて耐久性が向上し、ギア音が低減されるなど、ヘリカルギアの利点が得られる。
【0051】
請求項7の発明は、請求項1〜5のいずれかに記載されたギアプレート式アクチュエータであって、前記噛み合い保持手段が、前記カムプレートに設けられ、前記支持プレートの端部を包み込む折り返し部であることを特徴とする。
【0052】
請求項7の構成は、支持プレートの端部を包み込む折り返し部(噛み合い保持手段)をカムプレートに設けたことによって、支持プレートとカムプレートとが互いにセンターリングされ、軸方向に位置決めされる。
【0053】
一方、折り返し部による支持プレートとカムプレート間の軸方向位置決め機能とセンターリング機能がない場合、カム機構が作動していない間(カム機構のカムスラスト力によってカムプレートと可動プレートとが軸方向に位置決めされていない間)は、カムプレート(ギア部)が軸方向に自由に移動できる状態になり、センターリングもされないから、カムプレートの振れの影響を受けてギア部とピニオンギアとの噛み合いが不安定になると共に、ギア部とピニオンギアの両方が磨耗し、耐久性が低下する恐れがある。
【0054】
特に、被操作装置が噛み合いクラッチである場合は、噛み合いクラッチのラチェッティングによってカムプレートの振れ幅が大きくなり、ギア部とピニオンギアの磨耗と耐久性低下が促進され易い。
【0055】
しかし、請求項7の構成では、折り返し部の軸方向位置決め機能とセンターリング機能によってカムプレートが支持プレートに支持されるから、例えば、カム機構が作動していない間に噛み合いクラッチのラチェッティングが生じても、カムプレートの振れが防止され、磨耗と耐久性の低下が防止される。
【0056】
請求項7の発明は、このようにしてピニオンギアとギア部との噛み合いが正常に保たれるから、請求項1〜5の構成と同等の作用・効果を得ることができる。
【0057】
請求項8の発明は、請求項1または請求項2に記載されたギアプレート式アクチュエータであって、前記カムプレートの回動角度を所定の範囲に保つストッパを設け、前記カムプレートが、前記カム機構での接触を終了した後、前記ストッパと当接する前に、前記カムプレートの回動速度を減速する減速手段を設けたことを特徴とし、請求項1または請求項2の構成と同等の作用・効果を得ることができる。
【0058】
カムプレートがカム機構で可動プレートとの接触を終了すると、カムプレートの回動抵抗が一気に消失するから、電動モータのトルクによってカムプレート(ギアプレート)が高速で回動してストッパに突き当たり、その衝撃により、電動モータのピニオンギアとギアプレートのギア部と、ストッパと、電動モータが損傷を受ける恐れがある。
【0059】
しかし、請求項8のギアプレート式アクチュエータでは、カムプレートの減速手段を設け、カムプレートがカム機構で可動プレートとの接触を終了した後、ストッパと当接する前に、カムプレートの回動速度が減速手段によって減速される。
【0060】
こうして、カムプレートとストッパとが強く当接する(衝突する)ことが防止され、当接時の衝撃が緩和されるから、電動モータのピニオンギアとギアプレートのギア部とストッパと電動モータなどが保護され、損傷が防止され、その結果、耐久性と信頼性が向上し、正常な機能が長く保たれる。
【0061】
請求項9の発明は、請求項8に記載されたギアプレート式アクチュエータであって、前記減速手段が、前記支持プレートに形成された凸部であり、前記凸部が、回動する前記カムプレートと接触し、発生した摩擦抵抗によって前記カムプレートの回動速度を減速することを特徴とし、請求項8の構成と同等の作用・効果を得ることができる。
【0062】
また、支持プレートに凸部を形成する減速手段は、実施が容易であり、低コストである。
【0063】
請求項10の動力断続装置は、一対のトルク伝達部材と、前記両トルク伝達部材の間に配置されたクラッチと、請求項1〜9のいずれかに記載され、前記クラッチを被操作装置とするギアプレート式アクチュエータとを備え、前記ギアプレート式アクチュエータによる前記クラッチの操作によって前記トルク伝達部材の間でトルクを断続することを特徴としている。
【0064】
請求項10の動力断続装置は、例えば、4輪駆動車で2輪駆動走行時に切り離される車輪側の動力伝達系に配置され、本発明のギアプレート式アクチュエータによってクラッチを連結すれば車両は4輪駆動状態になり、クラッチの連結を解除すれば車両は2輪駆動状態になる。
【0065】
また、請求項10の動力断続装置は、請求項1〜9のギアプレート式アクチュエータを用いたことにより、請求項1〜9の構成と同様に、ギア組の噛み合いが正常に保たれて性能が安定する上に、構造簡単、軽量、低コスト、信頼性向上などの効果を得ることができる。
【0066】
請求項11のデファレンシャル装置は、原動機の駆動力を受けて回転するアウターデフケースと、前記アウターデフケースの内部に相対回転可能に配置されたインナーデフケースと、前記インナーデフケースに連結された差動機構と、前記アウターデフケースと前記インナーデフケースとの連結を断続するクラッチと、請求項1〜9のいずれかに記載され、前記クラッチを被操作装置とするギアプレート式アクチュエータとを備え、前記ギアプレート式アクチュエータによる前記クラッチの操作によって前記アウターデフケースと前記インナーデフケースとの間でトルクを断続することを特徴としている。
【0067】
請求項11のデファレンシャル装置は、差動機構の入力側で駆動力を断続するデファレンシャル装置であり、4輪駆動車で2輪駆動走行時に切り離される車輪側の動力伝達系に配置され、本発明のギアプレート式アクチュエータによってクラッチを連結すれば車両は4輪駆動状態になり、クラッチの連結を解除すれば車両は2輪駆動状態になる。
【0068】
また、請求項11のデファレンシャル装置は、請求項1〜9のギアプレート式アクチュエータを用いたことにより、請求項1〜9の構成と同様に、ギア組の噛み合いが正常に保たれて性能が安定する上に、構造簡単、軽量、低コスト、信頼性向上などの効果を得ることができる。
【0069】
請求項12のデファレンシャル装置は、原動機の駆動力を受けて回転するデフケースと、前記デフケースの回転を一対の出力側サイドギアから車輪側に配分する差動機構と、前記出力側サイドギアのいずれか一方とその車輪との間に配置されたクラッチと、請求項1〜9のいずれかに記載され、前記クラッチを被操作装置とするギアプレート式アクチュエータとを備え、前記ギアプレート式アクチュエータによる前記クラッチの操作によって前記サイドギアと車輪との間でトルクを断続することを特徴としている。
【0070】
また、請求項12のデファレンシャル装置は、差動機構の出力側で駆動力を断続するデファレンシャル装置であり、請求項11のデファレンシャル装置と同様に、4輪駆動車で2輪駆動走行時に切り離される車輪側の動力伝達系に配置され、本発明のギアプレート式アクチュエータによってクラッチを連結すれば車両は4輪駆動状態になり、クラッチの連結を解除すれば、差動機構の差動回転によって駆動力が遮断され、車両は2輪駆動状態になる。
【0071】
また、請求項12のデファレンシャル装置は、請求項1〜9のギアプレート式アクチュエータを用いたことにより、請求項1〜9の構成と同様に、ギア組の噛み合いが正常に保たれて性能が安定する上に、構造簡単、軽量、低コスト、信頼性向上などの効果を得ることができる。
【0072】
請求項13のデファレンシャル装置は、原動機の駆動力を受けて回転するデフケースと、前記デフケースの回転を一対の出力側サイドギアから車輪側に配分する差動機構と、前記デフケースと前記出力側サイドギアのいずれか2者の間に配置され、前記差動機構の差動を制限するクラッチと、請求項1〜9のいずれかに記載され、前記クラッチを被操作装置とするギアプレート式アクチュエータとを備え、前記ギアプレート式アクチュエータによる前記クラッチの操作によって前記差動機構の差動を制限することを特徴としている。
【0073】
また、請求項13のデファレンシャル装置は、本発明のギアプレート式アクチュエータによってクラッチを連結すれば差動機構の差動が制限され、クラッチの連結を解除すれば差動が自由になる。
【0074】
また、請求項13のデファレンシャル装置は、請求項1〜9のギアプレート式アクチュエータを用いたことにより、請求項1〜9の構成と同様に、ギア組の噛み合いが正常に保たれて性能が安定する上に、構造簡単、軽量、低コスト、信頼性向上などの効果を得ることができる。
【0075】
【発明の実施の形態】
[第1実施形態]
図1〜図16によって本発明の第1実施形態であるギアプレート式アクチュエータ1とこれを用いたリヤデフ3(デファレンシャル装置)の説明をする。
【0076】
図1はリヤデフ3を示しており、左右の方向はリヤデフ3が用いられた4輪駆動車での左右の方向である。また、以下の説明の中で符号を与えていない部材等は図示されていない。
【0077】
リヤデフ3(エンジンの駆動力を左右の後輪に配分するデファレンシャル装置)は、差動機構の入力側に駆動力の断続機能を備えたデファレンシャル装置であり、4輪駆動車に用いられ、2輪駆動時は後輪への駆動力を切断する。
【0078】
リヤデフ3が用いられた4輪駆動車の動力伝達系は、エンジン(原動機)、トランスミッション、トランスファ、2−4切替え機構、フロントデフ(エンジンの駆動力を左右の前輪に配分するデファレンシャル装置)、前車軸、左右の前輪、後輪側のプロペラシャフト、リヤデフ3、後車軸、左右の後輪などから構成されている。
【0079】
2−4切替え機構は、トランスファの後輪側出力インターフェイスを構成しており、下記のように、リヤデフ3と同時に連結解除操作及び連結操作され、後輪側への駆動力を断続する。
【0080】
エンジンの駆動力は、トランスミッションからトランスファに伝達され、トランスファから前輪側と後輪側に配分される。
【0081】
前輪側に配分された駆動力は、フロントデフから前車軸を介して左右の前輪に配分される。
【0082】
また、後輪側に配分された駆動力は、2−4切替え機構とリヤデフ3が連結されている間は、2−4切替え機構と後輪側プロペラシャフトからリヤデフ3に伝達され、リヤデフ3から後車軸を介して左右の後輪に配分され、車両は4輪駆動状態になる。
【0083】
また、2−4切替え機構とリヤデフ3の連結をそれぞれ解除すると、後輪側がエンジンから切り離されて、車両は2輪駆動状態になる。
【0084】
リヤデフ3はデフキャリヤ5の内部に配置されており、デフキャリヤ5の内部にはオイル溜りが形成されている。
【0085】
リヤデフ3は、ギアプレート式アクチュエータ1、アウターデフケース7、インナーデフケース9、ベベルギア式の差動機構11、ドッグクラッチ13(被操作装置:クラッチ)などから構成されている。
【0086】
また、ギアプレート式アクチュエータ1は、支持プレート15、カムプレート17、可動プレート19、カム21(カム機構)、リターンスプリング23、シフトスプリング25、電動モータ27、ギア組29、コントローラなどから構成されている。
【0087】
リヤデフ3はアウターデフケース7とインナーデフケース9からなる2重ケーシング構造になっており、インナーデフケース9はアウターデフケース7の内周で摺動回転自在に支承されている。また、アウターデフケース7に形成された左右のボス部31,33はそれぞれスラストベアリング35を介してデフキャリヤ5に支承されている。
【0088】
デフキャリヤ5には、ベアリングキャップ37,37がネジ部39によって螺着されており、これらのベアリングキャップ37をネジ部39で回転させることによって、アウターレース41が軸方向に移動し各スラストベアリング35のプリロード調整が行われる。
【0089】
アウターデフケース7にはリングギア43がボルト45で固定されている。リングギア43はドライブピニオンギア47と噛み合っており、ドライブピニオンギア47はドライブピニオンシャフト49と一体に形成されている。ドライブピニオンシャフト49は継ぎ手と後輪側のプロペラシャフトなどを介してトランスファの2−4切替え機構に連結されており、エンジンの駆動力はトランスファと2−4切替え機構からこの後輪側動力伝達系を介してアウターデフケース7を回転させる。
【0090】
アウターデフケース7の内部にはクラッチリング51が配置されており、アウターデフケース7の内周で軸方向移動自在に支承されている。
【0091】
ドッグクラッチ13は、噛み合い歯53と噛み合い歯55によって構成されており、噛み合い歯53はクラッチリング51の左端部に形成され、噛み合い歯55はインナーデフケース9の右端部に形成されている。
【0092】
また、アウターデフケース7の左右にはそれぞれオイルが流出入する開口57,59が周方向等間隔に設けられている。クラッチリング51の右端には周方向等間隔に4本の脚部61が設けられており、これらの脚部61は右の開口59に係合し、外部に突き出している。
【0093】
クラッチリング51は、下記のように、ギアプレート式アクチュエータ1によって左右に移動操作される。クラッチリング51が左方に移動操作されると、図1の下半部のように、ドッグクラッチ13が噛み合ってアウターデフケース7とインナーデフケース9とが連結され、クラッチリング51が右方に戻ると、図1の上半部のように、ドッグクラッチ13の噛み合いが解除され、アウターデフケース7とインナーデフケース9とが切り離される。
【0094】
インナーデフケース9の左端部とアウターデフケース7との間には、ギアプレート式アクチュエータ1からの操作力を受けるスラストワッシャ63が配置されており、インナーデフケース9はこのスラストワッシャ63を介して軸方向の左方に位置決めされている。
【0095】
ベベルギア式の差動機構11は、複数本のピニオンシャフト65、ピニオンギア67、左右の出力側サイドギア69,71などから構成されている。
【0096】
各ピニオンシャフト65の先端は、インナーデフケース9に周方向等間隔に形成された貫通孔73に係合し、スプリングピン75によって抜け止めが施されている。
【0097】
ピニオンギア67は、各ピニオンシャフト65上に回転自在に支承されており、サイドギア69,71は左右から各ピニオンギア67と噛み合っている。
【0098】
サイドギア69,71の各ボス部77,79はアウターデフケース7に形成された支承部81,83によって支承されており、各ボス部77,79には左右の後車軸がそれぞれスプライン連結されている。
【0099】
また、各サイドギア69,71とアウターデフケース7との間にはスラストワッシャ85がそれぞれ配置され、サイドギア69,71の噛み合いスラスト力を受けている。
【0100】
インナーデフケース9の内周には、各ピニオンギア67の背面に対向して球面ワッシャ部87が形成されており、ピニオンギア67の遠心力と、各サイドギア69,71との噛み合いによってピニオンギア67が受ける噛み合い反力とを負担している。
【0101】
ギアプレート式アクチュエータ1の支持プレート15はプレス加工されており、図2,3,8のように、環状板部89、環状板部89と一体に形成された2個の固定板部91、環状板部89の内周に周方向等間隔に設けられた3個の組み付け凹部93、環状板部89の外周に周方向等間隔に設けられた2個のガイド溝95などから構成されている。
【0102】
カムプレート17はプレス加工されており、図4,5,8のように、環状板部97、ギアプレート99、環状板部97の内周に周方向等間隔に設けられた3個の組み付け凹部101、各凹部101の周方向に隣接して設けられた3個の支持突起103(支持プレートの端部を包み込む折り返し部:噛み合い保持手段)、環状板部97の内周に沿って周方向等間隔に設けられた3個のカム片105などから構成されている。
【0103】
ギアプレート99は環状板部97と一体に形成されており、その外周にはギア107(ギア部)が設けられている。また、支持突起103は、環状板部97に形成された軸方向部分109と、軸方向部分109の端部に形成された径方向部分111から構成されている。
【0104】
各カム片105は、図5,11,13,15のように、傾斜面113(カム面)、径方向に形成されたカム角を持たない保持面115、傾斜面113と保持面115との間に形成された保持突起117から構成されている。
【0105】
可動プレート19はプレス加工されており、図6,7,8のように、環状板部119(基部)、環状板部119の内周に周方向等間隔に設けられた3個のカムガイド片121(突起)、各カムガイド片121の間に設けられた3個の内周ガイド片123、環状板部119の外周に周方向等間隔に設けられた2個の外周ガイド片125などから構成されている。
【0106】
また、各カムガイド片121は、環状板部119に形成された軸方向部分127と、軸方向部分127の端部に形成された径方向部分129から構成されている。
【0107】
支持プレート15とカムプレート17と可動プレート19は、図9のように組付けられ、この組付けは次のような順序で行われる。
【0108】
先ず、カムプレート17の各支持突起103を、右側から支持プレート15の各組み付け凹部93にそれぞれ挿通させた後、カムプレート17を、図8の矢印131の方向に、カムプレート17の各組み付け凹部101が支持プレート15の各組み付け凹部93と重なるまで回転させる。
【0109】
この状態で、図16のように、カムプレート17の各支持突起103の軸方向部分109と径方向部分111が支持プレート15の環状板部89の内周端部を囲んで係合し、支持プレート15によってカムプレート17が軸方向に位置決めされ、センターリングされる。
【0110】
次いで、可動プレート19の各カムガイド片121を、左側から支持プレート15とカムプレート17の各組み付け凹部93,101に挿通させた後、カムプレート17を、図8の矢印133の方向に回転させると、可動プレート19が各カムガイド片121の径方向部分129によってカムプレート17の環状板部97と係合する。
【0111】
このように、各プレート15,17,19の組付けは工程が少なく、極めて容易である。
【0112】
組付けが終了した状態で、支持プレート15とカムプレート17の各環状板部89,97は可動プレート19の内周ガイド片123によって内周をガイドされており、こうして支持プレート15とカムプレート17と可動プレート19は互いにセンターリングされている。また、カムプレート17は支持プレート15と可動プレート19に対して回動可能である。
【0113】
支持プレート15の各固定板部91は、図1のように、電動モータ27の取り付け金具135と共に、ボルト137によってデフキャリヤ5に固定されている。
【0114】
カム21は、図11,13,15のように、カムプレート17の各カム片105と可動プレート19の各カムガイド片121(径方向部分129)とで構成されている。
【0115】
リターンスプリング23は、図1のように、クラッチリング51のリテーナ139に一体形成されている。図1,8,9のように、このリテーナ139に形成された腕部141はクラッチリング51の各脚部61に固定されており、リテーナ139(リターンスプリング23)とアウターデフケース7の右端部との間にはリング143が配置されている。
【0116】
クラッチリング51とリテーナ139は一体で軸方向に往復移動可能であり、リターンスプリング23はクラッチリング51をドッグクラッチ13の噛み合い解除方向(右方)に付勢している。
【0117】
シフトスプリング25は、図1のように、可動プレート19と一体に形成されている。シフトスプリング25の付勢力はリターンスプリング23の付勢力より大きくされており、可動プレート19とクラッチリング51をドッグクラッチ13の噛み合い方向(左方)に付勢している。
【0118】
なお、リターンスプリング23とシフトスプリング25は、図8に示すように、それぞれコイルスプリング145とコイルスプリング147を用いてもよい。
【0119】
また、カムプレート17には、コイルスプリング147用のばね座149が周方向等間隔に3箇所設けられている。
【0120】
電動モータ27は、取り付け金具135を介してデフキャリヤ5に固定されている。電動モータ27は両方向に回転可能であり、コントローラを介して車載のバッテリに接続されている。
【0121】
ギア組29は、電動モータ27の出力軸151に固定されたピニオンギア153と、カムプレート17(ギアプレート99)のギア107とで構成されており、電動モータ27の回転トルクを増幅し、カムプレート17を回転させる。
【0122】
コントローラは、下記のようにしてドッグクラッチ13の断続操作を行うと共に、2輪駆動状態から4輪駆動状態に切り換える際はドッグクラッチ13と2−4切替え機構をそれぞれ同時に連結操作し、4輪駆動状態から2輪駆動状態に切り換える際はそれぞれを同時に連結解除操作する。
【0123】
また、ドッグクラッチ13の断続操作に当たって、コントローラは電動モータ27を両方向(一方向と反対方向)にそれぞれ所定の時間(角度)だけ回転させる時間制御を行う。電動モータ27が所定の時間だけ回転すると、ギア組29を介してカムプレート17が所定の方向に所定の角度だけ回転操作される。
【0124】
図10は、ギアプレート99を一方向に最大角度だけ回転させた状態を示しており、ギア組29のピニオンギア153はギア107の一側端部で噛み合っている。このとき、支持プレート15の一方の固定板部91はギアプレート99と突き当たってストッパになり、カムプレート17の過回転を防止し、ギア107がピニオンギア153から外れることを防止している。
【0125】
図11は、図10に対応するカム21の状態を示しており、各カムガイド片121(可動プレート19)の径方向部分129は各カム片105(カムプレート17)の傾斜面113を上る前である。このとき径方向部分129はシフトスプリング25の付勢力によって環状板部97に押し付けられており、カム21は作動していない。また、図10,11の各矢印は、それぞれの状態から電動モータ27を反対方向に回転させたときのカムプレート17とカムガイド片121(可動プレート19)の移動方向を示している。
【0126】
カム21が作動していない状態では、図1の下半部のように、可動プレート19(クラッチリング51)がシフトスプリング25によって左方に移動し、ドッグクラッチ13が噛み合っている。
【0127】
このとき、シフトスプリング25は待ち機構になり、噛み合い歯53,55の位相が合ったところでドッグクラッチ13を噛み合わせる。
【0128】
ドッグクラッチ13が噛み合うと、上記のように、車両は4輪駆動状態になる。
【0129】
図12は、図10の状態から電動モータ27を反対方向に最大角度回転させた状態を示しており、ギア組29のピニオンギア153はギア107の他側端部で噛み合っている。このとき、支持プレート15の他方の固定板部91はギアプレート99と突き当たってストッパになり、カムプレート17の過回転を防止し、ギア107がピニオンギア153から外れることを防止している。
【0130】
図13は、図12に対応するカム21の状態を示しており、各カムガイド片121の径方向部分129が各カム片105の傾斜面113を上り、保持突起117を乗り越えて保持面115に保持され、カム21を作動させている。また、図12,13の各矢印は、それぞれの状態から電動モータ27を反対方向に回転させたときのカムプレート17とカムガイド片121(可動プレート19)の移動方向を示している。
【0131】
カム21が作動すると、そのカムスラスト力によって各カムガイド片121(可動プレート19)が図13の上方に移動し、シフトスプリング25を押し縮める。
【0132】
なお、図16は、このときの各プレート15,17,19の軸方向位置を示しており、シフトスプリング25が押し縮められた状態でも可動プレート19(環状板部119)とカムプレート17の径方向部分111との間には、充分なクリアランスDが保たれている。
【0133】
シフトスプリング25が縮められると、図1の上半部のように、リターンスプリング23の付勢力によって可動プレート19(クラッチリング51)が右方に移動し、ドッグクラッチ13の噛み合いが解除される。
【0134】
ドッグクラッチ13の噛み合いが解除されると、上記のように、車両は2輪駆動状態になる。
【0135】
また、保持突起117がそのチェック機能により、各カムガイド片121を保持面115に保持するから、電動モータ27を停止させた状態で、走行中に振動や衝撃などの外乱因子を受けても、ドライバーの意に反して車両が2輪駆動状態から4輪駆動状態に変動することが防止される。
【0136】
図14は、図10と図12の状態からカムプレート17を両方向に回転操作する途中で、ピニオンギア153がギア107の中央部で噛み合った状態を示しており、図15は、このときカムプレート17の回転方向(矢印155)に応じた各カムガイド片121(可動プレート19)の移動方向(矢印157)を示している。
【0137】
カムプレート17を図14の矢印159の方向に回転させると、図10の4輪駆動状態になり、矢印161の方向に回転させると、図12の2輪駆動状態になる。
【0138】
また、カム片105の傾斜面113の両側にカム角を持たない保持面(保持面115と環状板部97)が設けられているから、カムガイド片121(径方向部分129)がこれらの保持面に乗っているときは、シフトスプリング25の付勢力を受けてもカムプレート17に回転トルクが掛かることはない。従って、作動前と作動後の両方でカム21の状態が保持され、車両が4輪駆動状態及び2輪駆動状態に安定して保持されるから、カム21を操作するとき以外は電動モータ27を停止させることができる。
【0139】
上記のように、ドッグクラッチ13と2−4切替え機構がそれぞれ連結される4輪駆動状態では、エンジンの駆動力が2−4切替え機構から後輪側動力伝達系を介してアウターデフケース7に伝達され、ドッグクラッチ13を介してインナーデフケース9が回転駆動される。この回転はピニオンシャフト65からピニオンギア67を介してサイドギア69,71に配分され、各車軸を介して左右の後輪に伝達される。
【0140】
車両が4輪駆動状態になると、悪路などでの走破性、脱出性、安定性が向上する。
【0141】
また、例えば、悪路走行中に後輪間に駆動抵抗差が生じると、各ピニオンギア67の自転によってエンジンの駆動力は左右の後輪に差動配分される。
【0142】
ドッグクラッチ13と2−4切替え機構の連結がそれぞれ解除される2輪駆動状態では、インナーデフケース9から後輪までがドッグクラッチ13によって切り離され、フリー回転状態になると共に、2−4切替え機構からアウターデフケース7までの動力伝達系が、エンジンの駆動力と後輪による連れ回りの両方から切り離され、回転が停止する。
【0143】
このように2−4切替え機構からアウターデフケース7までの後輪側動力伝達系の回転が停止する2輪駆動状態では、振動が軽減して乗り心地が向上すると共に、後輪側動力伝達系の各部で磨耗が軽減されて耐久性が向上し、さらに、回転抵抗の低減分だけエンジンの負担が軽減し、燃費が向上する。
【0144】
アウターデフケース7には、開口57,59の他に、ボス部31,33の内周にそれぞれ螺旋状のオイル溝163,165が形成されており、さらに、スラストワッシャ85,85と対向する部分には、オイル溝163,165にそれぞれ連通した径方向のオイル溝167,169が形成されている。
【0145】
開口57,59はアウターデフケース7の径方向外側部分に形成されているから、デフキャリヤ5に形成されたオイル溜りのオイルに常時浸されており、アウターデフケース7の回転に伴って開口57,59からオイルが流出入する。
【0146】
また、オイル溜りのオイルはアウターデフケース7(リングギア43)の回転によって掻き上げられ、掻き上げられたオイルはオイル溝163,165のネジポンプ作用によって移動を促進され、オイル溝167,169と、スラストワッシャ85,85などの隙間を通ってアウターデフケース7の内部に流入する。
【0147】
アウターデフケース7に流入したオイルは、差動機構11を構成する各ギア67,69,71の噛み合い部、ピニオンシャフト65とピニオンギア67の摺動部、アウターデフケース7とインナーデフケース9の摺動部、アウターデフケース7とクラッチリング51の摺動部、ドッグクラッチ13(噛み合い歯53,55)などに供給されてこれらを潤滑・冷却する。
【0148】
また、ギアプレート式アクチュエータ1の下部もオイル溜りに浸されており、回転操作されるカムプレート17と支持プレート15及び可動プレート19との摺動部、カム21なども潤滑・冷却される。
【0149】
また、ギア組29も上記の掻き上げオイルによって潤滑・冷却される。
【0150】
上記の各潤滑・冷却部では、供給されたオイルによって、磨耗が軽減され、耐久性が向上すると共に、各摺動部での摩擦抵抗が軽減され、エンジンの燃費が向上する。
【0151】
こうして、ギアプレート式アクチュエータ1とリヤデフ3が構成されている。
【0152】
ギアプレート式アクチュエータ1は、図16のように、カムプレート17に設けた支持突起103によって、支持プレート15とカムプレート17が軸方向に位置決めされセンターリングされている。
【0153】
従って、カム21が作動していない間にドッグクラッチ13にラチェッティングが生じても、カムプレート17の振れが防止されて、カムプレート17側のギア107と電動モータ27側のピニオンギア153は噛み合いが安定し、磨耗と耐久性の低下が防止され、ギアプレート式アクチュエータ1とリヤデフ3の動作と性能が安定する。
【0154】
さらに、カムプレート17の振れを防止することによって、ドッグクラッチ13のラチェッティングが軽度になるから、ドッグクラッチ13の噛み合い歯53,55と、ラチェッティングに伴って伸縮するリターンスプリング23とシフトスプリング25の耐久性低下も大幅に軽減される。
【0155】
また、電動モータ27の回転トルクをカム21によってドッグクラッチ13の操作力に変換するギアプレート式アクチュエータ1は、流体圧式のアクチュエータを用いた従来例と異なって、高価なポンプ、ピストンとシリンダ、シフトメカニズムなどが不要であり、それだけ部品点数が少なく、構造が簡単で、低コストである。
【0156】
さらに、ギアプレート式アクチュエータ1を用いたリヤデフ3は、圧力ラインなどの広い配置スペ−スが不要であり、軽量でコンパクトに構成されて車載性が向上すると共に、デフキャリヤ5を変更する必要もなくなり、変更に伴う大きなコスト上昇が防止される。
【0157】
また、ギアプレート式アクチュエータ1とリヤデフ3は、圧力漏れによる機能低下と圧力変動の影響から解放され、性能と安定性と信頼性が大きく向上する上に、圧力ライン各部のシ−ル強化とこれに伴うコストの上昇も避けられる。
【0158】
[第2実施形態]
図17によって第2実施形態のギアプレート式アクチュエータを説明する。
【0159】
第2実施形態のギアプレート式アクチュエータは、第1実施形態のリヤデフ3にギアプレート式アクチュエータ1と置き換えて用いられており、以下、ギアプレート式アクチュエータ1と同一の部材等には同一の符号を与えて引用しながら、相違点を説明する。
【0160】
第2実施形態のギアプレート式アクチュエータでは、支持プレート15(環状板部89)に2個の回り止め用爪部201が周方向等間隔に設けられている。
【0161】
これらの回り止め用爪部201は可動プレート19に設けられた2個の外周ガイド片125とそれぞれ対向する位置に配置されており、各プレート15,17,19が組み付けられた状態で、外周ガイド片125と接触し、その摩擦抵抗によってフリクションダンパーを構成している。
【0162】
一方、このようなフリクションダンパーを持たない構成では、第1実施形態で説明したように、カム21が作動していない間にドッグクラッチ13にラチェッティングが生じると、カムプレート17に振れが伝達されてラチェット音が増幅されると共に、増幅されたラチェット音が長く継続され易い。
【0163】
さらに、ラチェッティングに伴ってドッグクラッチ13の噛み合い歯53,55が、また、カムプレート17の振れに伴ってギア107とピニオンギア153が磨耗し耐久性が低下すると共に、ラチェッティングによって伸縮するリターンスプリング23とシフトスプリング25の耐久性も低下する。
【0164】
しかし、上記のように構成された第2実施形態では、支持プレート15の回り止め用爪部201と可動プレート19の外周ガイド片125との間で構成したフリクションダンパーの摩擦抵抗により、ドッグクラッチ13のラチェッティングが軽度になる。
【0165】
従って、ラチェッティング及びラチェット音の強さと継続時間、噛み合い歯53,55と、ギア107とピニオンギア153の磨耗及び耐久性低下、リターンスプリング23とシフトスプリング25の耐久性低下などが大幅に軽減される。
【0166】
第2実施形態は、こうしてピニオンギア153とギア107の噛み合いが正常に保たれるから、ギアプレート式アクチュエータとリヤデフ3の性能と動作が安定する。
【0167】
[第3実施形態]
図18と図19によってギアプレート式アクチュエータ251(第3実施形態)の説明をする。
【0168】
ギアプレート式アクチュエータ251は、第1実施形態のリヤデフ3にギアプレート式アクチュエータ1と置き換えて用いられており、以下、ギアプレート式アクチュエータ1と同一の部材等には同一の符号を与えて引用しながら、相違点を説明する。
【0169】
ギアプレート式アクチュエータ251では、カムプレート17(ギアプレート99)に、ギア107との間に所定の間隔を空けながら、ギア107の両端側と背面側を囲むガイド部253(噛み合い保持手段)が設けられており、電動モータ27側のピニオンギア153は、ガイド部253とギア107の間に設けられたスリット255の中で、ギア107と噛み合っている。
【0170】
このように構成されたギアプレート式アクチュエータ251では、ピニオンギア153の回転によってカムプレート17(ギア107)が回動し、ピニオンギア153がギア107の端部まで移動しても、ピニオンギア153はガイド部253の両端部に突き当たり、そのガイド機能によってギア107から外れることが防止される。
【0171】
また、ギア107との噛み合いによってピニオンギア153に掛かる噛み合い反力は、ガイド部253が受けるから、ピニオンギア153や電動モータ27の出力軸151などの変形が防止される。
【0172】
第3実施形態は、こうしてピニオンギア153とギア107の噛み合いが正常に保たれるから、ギアプレート式アクチュエータ251とリヤデフ3の性能と動作が安定する。
【0173】
[第4実施形態]
図20によって第4実施形態のギアプレート式アクチュエータを説明する。
【0174】
第4実施形態のギアプレート式アクチュエータは、第1実施形態のリヤデフ3にギアプレート式アクチュエータ1と置き換えて用いられており、以下、ギアプレート式アクチュエータ1と同一の部材等には同一の符号を与えて引用しながら、相違点を説明する。
【0175】
第4実施形態のギアプレート式アクチュエータでは、カムプレート17(ギアプレート99)の両端(カムプレートがストッパと当接する部分)にスリット301を加工することにより、バネ片303,303(噛み合い保持手段)が形成されている。
【0176】
従って、電動モータ27によりカムプレート17(ギア107)が両方向に回動し、支持プレート15の固定板部91(カムプレートの回動角度を所定の範囲に保つストッパ)と衝突しても、これらのバネ片303によってその衝撃が吸収されるから、衝撃を受けてもピニオンギア153とギア107の噛み合いが外れることはない。
【0177】
また、バネ片303によるこのような衝撃吸収機能によって、衝撃によるピニオンギア153とギア107の磨耗が防止され、カムプレート17(ギアプレート99)や固定板部91の変形も防止される。
【0178】
第4実施形態は、このようにピニオンギア153とギア107の噛み合いが正常に保たれるから、ギアプレート式アクチュエータとリヤデフ3の性能と動作が安定する。
【0179】
また、ギアプレート99のスリット301は、カムプレート17をプレス加工する際に同時加工できるから、この構成は極めて低コストで容易に実施することができる。
【0180】
[第5実施形態]
図21と図22によって第5実施形態のギアプレート式アクチュエータを説明する。
【0181】
第5実施形態のギアプレート式アクチュエータは、第1実施形態のリヤデフ3にギアプレート式アクチュエータ1と置き換えて用いられており、以下、ギアプレート式アクチュエータ1と同一の部材等には同一の符号を与えて引用しながら、相違点を説明する。
【0182】
第5実施形態のギアプレート式アクチュエータでは、カムプレート17(ギアプレート99)の両端(カムプレートがストッパと当接する部分)に肉圧部351、351(噛み合い保持手段)を設けたことにより、ギア107の歯幅がこれらの肉圧部351で広くなっている。
【0183】
従って、電動モータ27によってカムプレート17(ギア107)が両方向に回動し、支持プレート15の固定板部91(ストッパ)と衝突して電動モータ27の回転がロック(ストール)し、ギア107に大きなストールトルクが掛かっても、ストールトルクが掛かる箇所の歯幅を肉圧部351によって広くしたギア107の磨耗や破損などが防止される。
【0184】
第5実施形態は、こうしてピニオンギア153とギア107の噛み合いが正常に保たれるから、ギアプレート式アクチュエータとリヤデフ3の性能と動作が安定する。
【0185】
また、ストールトルクが掛かる部分(両端)だけを肉厚にしたことによって、カムプレート17(ギアプレート99)の全体を肉厚にする必要がなくなるから、カムプレート17全体を肉厚にすることによる重量化、軸方向の大型化、軸方向の大型化に伴うレイアウト性の低下、材料費の増加などが防止される。
【0186】
また、カムプレート17(ギアプレート99)の両端に折り曲げ加工を施し、ギア107を加工するだけで、ギア107の、ストールトルクが掛かる部分だけを肉厚にすることができるから、この構成は、極めて低コストで容易に実施可能である。
【0187】
[第6実施形態]
図23と図24によって第6実施形態のギアプレート式アクチュエータを説明する。
【0188】
第6実施形態のギアプレート式アクチュエータは、第1実施形態のリヤデフ3にギアプレート式アクチュエータ1と置き換えて用いられており、以下、ギアプレート式アクチュエータ1と同一の部材等には同一の符号を与えて引用しながら、相違点を説明する。
【0189】
第6実施形態のギアプレート式アクチュエータでは、ギア107とギアプレート99がカムプレート17の軸方向に屈曲して形成されており、これに伴ってピニオンギア153も噛み合い部の移動分(ギア107の軸方向屈曲分)だけ歯幅の広いものが用いられている。
【0190】
一方、ピニオンギアが歯幅方向の同一箇所でギアと噛み合う構成では、負担と磨耗がこの1箇所にだけ集中するから、耐久性が低下する。
【0191】
また、ピニオンギア153とギア107との噛み合い幅を広くするためには、カムプレート17(ギア107)を肉厚にする必要がある。
【0192】
しかし、ギア107をピニオンギア153の歯幅方向に屈曲させた第6実施形態の構成では、カムプレート17(ギア107)の回動に伴ってギア107と噛み合うピニオンギア153の噛み合い箇所が、矢印401のように、軸方向に移動してピニオンギア153の負担が歯幅方向に分散されるから、ピニオンギア153の1箇所だけが磨耗することがなくなり、耐久性が大幅に向上する。
【0193】
第6実施形態は、こうしてピニオンギア153とギア107の噛み合いが正常に保たれるから、ギアプレート式アクチュエータとリヤデフ3の性能と動作が安定する。
【0194】
また、カムプレート17(ギア107)の全体を肉厚にする必要がないから、これに伴う重量化、軸方向の大型化、軸方向の大型化に伴うレイアウト性の低下、材料費の増加などが避けられる。
【0195】
また、軸方向に屈曲して形成したことによってカムプレート17(ギア107)の剛性が向上し、ドッグクラッチ13のラチェッティングによるカムプレート17の共振が軽減されるから、ギアプレート式アクチュエータとリヤデフ3の性能と動作がさらに安定する。
【0196】
[第7実施形態]
図25と図26によって第7実施形態のギアプレート式アクチュエータを説明する。
【0197】
第7実施形態のギアプレート式アクチュエータは、第1実施形態のリヤデフ3にギアプレート式アクチュエータ1と置き換えて用いられており、以下、ギアプレート式アクチュエータ1と同一の部材等には同一の符号を与えて引用しながら、相違点を説明する。
【0198】
第7実施形態のギアプレート式アクチュエータでは、カムプレート17(ギア107とギアプレート99)が軸方向に傾斜して配置されており、これに伴ってピニオンギア153も噛み合い箇所の移動分(ギア107の傾斜分)だけ歯幅の広いものが用いられている。
【0199】
このように構成された第7実施形態の構成では、カムプレート17(ギア107)の回動に伴ってギア107と噛み合うピニオンギア153の噛み合い箇所が、矢印451のように、軸方向に移動し、ピニオンギア153の負担が歯幅方向に分散されるから、ピニオンギア153の1箇所だけが磨耗することがなくなり、耐久性が大幅に向上する。
【0200】
第7実施形態は、こうしてピニオンギア153とギア107の噛み合いが正常に保たれるから、ギアプレート式アクチュエータとリヤデフ3の性能と動作が安定する。
【0201】
また、第6実施形態と同様に、カムプレート17(ギア107)の全体を肉厚にする必要がないから、これに伴う重量化、軸方向の大型化、レイアウト性の低下、材料費の増加などが避けられる。
【0202】
なお、図25と図26に示した例は、ギア107をヘリカルギアにし、ピニオンギア153をスパーギアにしたものであるが、スパーギアのギア107を軸方向に傾斜して配置すればヘリカルギアになり、ピニオンギア153をこれに対応したヘリカルギアにすれば、噛み合い率が増加し、各歯(ピニオンギア153とギア107)の負担が軽減され、耐久性が向上し、ギア音が低減されるなど、ヘリカルギアの利点が得られる。
【0203】
[第8実施形態]
図27によって第8実施形態のギアプレート式アクチュエータを説明する。
【0204】
第8実施形態のギアプレート式アクチュエータは、第1実施形態のリヤデフ3にギアプレート式アクチュエータ1と置き換えて用いられており、以下、ギアプレート式アクチュエータ1と同一の部材等には同一の符号を与えて引用しながら、相違点を説明する。
【0205】
第8実施形態のギアプレート式アクチュエータの場合、電動モータ27はデフキャリヤ5に取り付けられており、電動モータ27のピニオンギア153には円筒部501が形成され、この円筒部501にはフランジ部503が形成されている。
【0206】
ピニオンギア153は、円筒部501で電動モータ27の出力軸151に固定されており、円筒部501をデフキャリヤ5に設けられた軸支部505で回転自在に支承されていると共に、この円筒部501に形成されたフランジ部503によってデフキャリヤ5に抜け止めされている。
【0207】
一方、電動モータ27側のピニオンギアがデフキャリヤに対してこのように支承され、抜け止めされていないと、回転に伴うピニオンギアの振れを防止することが難しい。
【0208】
さらに、ピニオンギアの抜け止め手段を工夫しなければならず、抜け止め手段を設けるスペースを空けることが困難であり、抜け止め手段を無理に設けると、周辺の部材、例えば、オイルフィラープラグなどと干渉する恐れがある。
【0209】
しかし、上記のように構成された第8実施形態の構成では、円筒部501をデフキャリヤ5で支承したことによってピニオンギア153の振れが防止される。
【0210】
また、デフキャリヤ5を利用してピニオンギア153(フランジ部503)の抜け止めを行うから、抜け止めを設けるスペースを空ける必要がなくなり、抜け止めと周辺部材との干渉から解放される。
【0211】
第8実施形態は、こうしてピニオンギア153とギア107の噛み合いが正常に保たれるから、ギアプレート式アクチュエータとリヤデフ3の性能と動作が安定する。
【0212】
[第9実施形態]
図28〜図34によって第9実施形態のギアプレート式アクチュエータ601を説明する。
【0213】
このギアプレート式アクチュエータ601は、ギアプレート式アクチュエータ1と置き換えて第1実施形態のリヤデフ3に用いられており、以下、ギアプレート式アクチュエータ1と同一の部材等には同一の符号を与えて引用しながら、相違点を説明する。
【0214】
上記の各実施形態は、支持プレート15の固定板部91がギアプレート99(カムプレート17)と突き当たるストッパを兼ねている例であるが、図34はこれらと異なった例を示しており、ストッパ603は支持プレート15の所定の位置に折り曲げて形成されている。
【0215】
上記各実施形態のギアプレート式アクチュエータにおいて、カムプレート17がカム21で可動プレート19との接触を終了すると、カムプレート17の回動抵抗が一気に消失するから、電動モータ27のトルクによってカムプレート17(ギアプレート99)が高速で回動し、ストッパ(支持プレート15の固定板部91)に突き当たり、その衝撃によって電動モータ27のピニオンギア153とギアプレート99のギア部107が損傷を受け、また、電動モータ27が損傷を受ける恐れがある。
【0216】
また、図34のような細身のストッパ603の場合は、カムプレート17との衝突によってストッパ603も損傷する恐れがある。
【0217】
ギアプレート式アクチュエータ601では、図28と図29に示すように、支持プレート15に、カムプレート17(ギアプレート99)の回動中心両側の周方向等距離に、ストッパ603と張り出し部605と一対の凸部607(減速手段)とが形成されている。
【0218】
各ストッパ603は各張り出し部605においてカムプレート17側に折り曲げ形成されており、図28の矢印651のように、両方向に回動したカムプレート17(ギアプレート99)がストッパ603に当たって回動を停止し、回動を停止することによってピニオンギア153がギア部107から外れることを防止する。図29は、矢印653のように、カムプレート17(ギアプレート99)が右方向(2WDの位置)に回動してストッパ603に当たった状態を示している。
【0219】
また、ストッパ603はカムプレート17の回動方向に撓むように折り曲げられており、回動したカムプレート17が当たったとき、そのばね力によって衝撃を緩和する。
【0220】
各凸部607は、カムプレート17側に設けられており、カムプレート17がストッパ603と当たる直前の回動位置(回動角度)に形成されている。
【0221】
図30は、カムプレート17が回動して凸部607に近づく状態を示している。この状態では、上記のようにカムプレート17はカム21で可動プレート19との接触を終了しており、長い矢印655が示すように、電動モータ27のトルクによって高速で回動している。
【0222】
図31は、図30の位置からさらに回動したカムプレート17が凸部607に乗り上げて摺動抵抗を受ける状態を示しており、短い矢印657が示すように、この摺動抵抗によってストッパ603と当たる直前に回動速度が減速される。
【0223】
回動速度がこのように減速されると、カムプレート17がストッパ603と高速で突き当たることが回避されて、衝撃が緩和されるから、電動モータ27のピニオンギア153とギアプレート99のギア部107や電動モータ27が損傷を受けることが防止される。
【0224】
図32は、カムプレート17の回動角度に対する可動プレート19の軸方向位置を示すグラフ659であり、横軸(回動角度)にはストッパ位置が表示され、縦軸(軸方向位置)には2輪駆動(2WD)時の位置と4輪駆動(4WD)時の位置が表示されている。
【0225】
カムプレート17が図28の状態から2輪駆動時の方向(図29の位置)まで回動するとカム21が作動し、グラフ659のように、可動プレート19はカム片105の傾斜面113を登り、保持突起117によるピーク661を経て2輪駆動時の位置へ移動する。
【0226】
この間に、カムプレート17は凸部607と接触して減速された後、ストッパ603に当たって回動を停止する。さらに、可動プレート19は、ピーク661を過ぎた後、カムプレート17が凸部607に乗り上げたときの軸方向移動分だけ、ピーク663のように軸方向へ移動する。
【0227】
また、カムプレート17が図28の状態から4輪駆動時の方向に回動するとカム21の作動が停止し、可動プレート19はカム片105の傾斜面113を下りて、4輪駆動時の位置へ移動する。
【0228】
この間に、カムプレート17は反対側の凸部607と接触して減速された後、反対側のストッパ603に当たって回動を停止する。さらに、可動プレート19はカムプレート17が凸部607に乗り上げたときの軸方向移動分だけ、ピーク665のように軸方向へ移動する。
【0229】
また、図33は、凸部607,607を持たないギアプレート式アクチュエータでの、カムプレートの回動角度に対する可動プレートの軸方向位置を示すグラフ671であり、図32のグラフ659と異なって、カムプレート17が凸部607に乗り上げたときのピーク663,665がなく、カムプレート17の減速機能と衝撃緩和機能を持たないことを示している。
【0230】
なお、ギアプレート式アクチュエータ601の場合、ストッパ603,603を設けたことにより、支持プレート15の固定板部91はストッパ機能から解放されている。
【0231】
また、図28と図29のように、可動プレート19には、2個の外周ガイド片609と4個のガイド片611が設けられており、各外周ガイド片609は支持プレート15の外周を保持して可動プレート19と支持プレート15を互いにセンターリングし、各ガイド片611は支持プレート15に設けられたガイド孔613に係合し、互いの回り止めとセンターリングをしている。
【0232】
このように構成されたギアプレート式アクチュエータ601は、上記のように、カムプレート17の回動が凸部607との摺動によって減速されるから、ストッパ603と当たるときの衝撃が緩和され、ピニオンギア153とギア部107や電動モータ27の損傷が防止されて、耐久性が向上する。
【0233】
また、支持プレート15に凸部607,607を形成する構成は、実施が容易であり、低コストである。
【0234】
[第10実施形態]
図35と図36によって第10実施形態のギアプレート式アクチュエータ701を説明する。
【0235】
このギアプレート式アクチュエータ701は、ギアプレート式アクチュエータ1,601と置き換えて第1実施形態のリヤデフ3に用いられており、以下、ギアプレート式アクチュエータ1,601と同一の部材等には同一の符号を与えて引用しながら、相違点を説明する。
【0236】
ギアプレート式アクチュエータ701では、図35と図36のように、可動プレート19に、各2個の外周ガイド片703,705と各2個のガイド片707,709が設けられており、図36のように、各外周ガイド片703,705は支持プレート15の外周を保持して可動プレート19と支持プレート15を互いにセンターリングし、各ガイド片707,709は支持プレート15に設けられたガイド孔711に係合し、互いの回り止めとセンターリングをしている。
【0237】
また、図36のようにアセンブリした状態で、カムプレート17(ギアプレート99)の両回動方向にあるガイド片707はカムプレート17のストッパを兼ねており、各ガイド片707(ストッパ)には、両方向に回動したカムプレート17(ギアプレート99)が当たって回動を停止し、回動を停止することによってピニオンギア153がギア部107から外れることを防止する。
【0238】
また、各ストッパの手前にある外周ガイド片703は可撓性を与えられて、衝撃吸収手段を兼ねている。
【0239】
支持プレート15のカムプレート17側には、カムプレート17(ギアプレート99)の回動中心の両側周方向等距離に、一対の凸部713(減速手段)が形成されている。
【0240】
各凸部713は、カムプレート17が外周ガイド片703と当たる直前の回動位置(回動角度)に形成されており、カム21で可動プレート19との接触を終了し電動モータ27のトルクによって高速で回動するカムプレート17は凸部713との摺動抵抗を受けて回動速度が減速される。
【0241】
さらに、減速されたカムプレート17は外周ガイド片703と突き当たり、外周ガイド片703は、撓みによってこのときの衝撃を吸収する。
【0242】
また、ストッパであるガイド片707は、外周ガイド片703より軸方向寸法が長くされており、上記の過程において可動プレート19は軸方向に移動中であるから、外周ガイド片703はカムプレート17との衝撃を吸収した後、可動プレート19の軸方向移動に伴ってカムプレート17から外れ、カムプレート17は最終的にガイド片707(ストッパ)に当たって、回動を停止する。
【0243】
このように構成されたギアプレート式アクチュエータ701は、凸部713によって回動速度が減速され、カムプレート17が外周ガイド片703及びガイド片707(ストッパ)と高速で突き当たることが回避され、衝撃が緩和されるから、電動モータ27のピニオンギア153とギアプレート99のギア部107や電動モータ27の損傷が防止されると共に、外周ガイド片703とガイド片707の損傷も防止され、耐久性が向上する。
【0244】
また、支持プレート15に凸部713,713を形成する構成は、実施が容易であり、低コストである。
【0245】
なお、ギアプレート式アクチュエータ701の場合、ガイド片707にストッパ機能を与えたことにより、支持プレート15の固定板部91はストッパ機能から解放されている。
【0246】
また、カムプレート17にはギアプレート99との間に軸方向の屈曲部715が形成されており、ギア部107と電動モータ27がアウターデフケース7に対して軸方向に近接するから、ギアプレート式アクチュエータ701とリヤデフ3がそれだけ軸方向コンパクトにアセンブリされている。
【0247】
なお、本発明のギアプレート式アクチュエータにおいて、被操作装置はクラッチに限らず、クラッチも、各実施形態のような噛み合いクラッチ(ドッグクラッチ)だけでなく、多板クラッチやコーンクラッチのような摩擦クラッチでもよい。
【0248】
また、本発明のデファレンシャル装置において、差動機構は、ベベルギア式の差動機構に限らず、プラネタリーギア式の差動機構、デフケースの収容孔に回転自在に収容されたピニオンギアで出力側のサイドギアを連結した差動機構、ウォームギアを用いた差動機構などでもよい。
【0249】
【発明の効果】
請求項1のギアプレート式アクチュエータは、噛み合い保持手段によってギア組の噛み合いが正常に保たれるから、性能が安定し、耐久性が向上する。
【0250】
請求項2のギアプレート式アクチュエータは、ピニオンギアを所定の位置に保持するガイド部によってギア組の噛み合いが正常に保たれ、請求項1の構成と同等の効果を得ることができる。
【0251】
請求項3のギアプレート式アクチュエータは、カムプレートに設けたバネ片の衝撃吸収機能によってギア組の噛み合いが正常に保たれ、請求項1または請求項2の構成と同等の効果を得ることができる。
【0252】
また、カムプレートの両端部に適度なスリットを設けてバネ片を形成するこの構成は、極めて低コストで容易に実施できる。
【0253】
請求項4のギアプレート式アクチュエータは、カムプレートの両端に肉圧部を設けて歯幅を広くしたことにより、ギア部の磨耗や破損などが防止されてギア組の噛み合いが正常に保たれ、請求項1または請求項2の構成と同等の効果を得ることができる。
【0254】
また、電動モータのストールトルクが掛かる部分(両端部)だけを肉厚にするこの構成では、ギアプレートの全体を肉厚にすることによる重量化、軸方向の大型化、軸方向の大型化に伴うレイアウト性の低下、材料費の増加などが避けられる。
【0255】
また、カムプレート(ギアプレート)の両端に折り曲げ加工を施すだけでストールトルクが掛かる部分だけを肉厚にすることができるこの構成は、極めて低コストで容易に実施できる。
【0256】
請求項5のギアプレート式アクチュエータは、ギア部をカムプレートの軸方向に屈曲して形成したことにより、ギア部と噛み合うピニオンギアの噛み合い箇所が歯幅方向に分散して耐久性が大幅に向上し、ギア組の噛み合いが正常に保たれ、請求項1〜4の構成と同等の効果を得ることができる。
【0257】
また、ギア部を歯幅方向に屈曲させたこの構成では、カムプレート(ギア部)の全体を肉厚にする必要がないから、全体を肉厚にすることによる重量化、軸方向の大型化、軸方向の大型化に伴うレイアウト性の低下、材料費の増加などが避けられる。
【0258】
また、軸方向に屈曲させたことによってカムプレート(ギア部)の剛性が向上し、噛み合いクラッチのラチェッティングに伴うカムプレートの共振が軽減され、ギアプレート式アクチュエータの性能と動作がさらに安定する。
【0259】
請求項6のギアプレート式アクチュエータは、カムプレート(ギア部)を軸方向に傾斜して配置したことにより、ギア部と噛み合うピニオンギアの噛み合い箇所が歯幅方向に分散して耐久性が大幅に向上し、ギア組の噛み合いが正常に保たれ、請求項1〜4の構成と同等の効果を得ることができる。
【0260】
また、カムプレート(ギア部)を軸方向に傾斜して配置したこの構成では、カムプレート(ギア部)の全体を肉厚にする必要がないから、重量化、軸方向の大型化、軸方向の大型化に伴うレイアウト性の低下、材料費の増加などが避けられる。
【0261】
また、カムプレートの傾斜配置に伴ってギア組をヘリカルギアにすれば、噛み合い率が増加し、各歯の負担が軽減されて耐久性が向上し、ギア音が低減する。
【0262】
請求項7のギアプレート式アクチュエータは、支持プレートと係合する折り返し部をカムプレートに設けたことによって、カム機構が作動していない状態で噛み合いクラッチにラチェッティングが生じても、カムプレートの振れが防止されてギア組の噛み合いが正常に保たれ、請求項1〜5の構成と同等の効果を得ることができる。
【0263】
請求項8のギアプレート式アクチュエータは、請求項1または請求項2の構成と同等の効果を得ることができる。
【0264】
また、ストッパと当たる直前にカムプレートの回動を減速することによって、カムプレートとストッパとの衝突が防止され、電動モータのピニオンギアとギアプレートのギア部とストッパと電動モータなどが衝撃から保護され、耐久性と信頼性が向上し、正常な機能が長く保たれる。
【0265】
請求項9のギアプレート式アクチュエータは、請求項8の構成と同等の効果を得ることができる。
【0266】
また、支持プレートに凸部を形成する減速手段は、実施が容易であり、低コストである。
【0267】
請求項10の動力断続装置は、請求項1〜9のギアプレート式アクチュエータを用いたことにより、ギア組の噛み合いが正常に保たれて性能が安定する上に、構造簡単、軽量、低コスト、信頼性向上などの効果を得ることができる。
【0268】
請求項11のデファレンシャル装置は、請求項1〜9のギアプレート式アクチュエータを用いたことにより、ギア組の噛み合いが正常に保たれて性能が安定する上に、構造簡単、軽量、低コスト、信頼性向上などの効果を得ることができる。
【0269】
請求項12のデファレンシャル装置は、請求項1〜9のギアプレート式アクチュエータを用いたことにより、ギア組の噛み合いが正常に保たれて性能が安定する上に、構造簡単、軽量、低コスト、信頼性向上などの効果を得ることができる。
【0270】
請求項13のデファレンシャル装置は、請求項1〜9のギアプレート式アクチュエータを用いたことにより、ギア組の噛み合いが正常に保たれて性能が安定する上に、構造簡単、軽量、低コスト、信頼性向上などの効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1実施形態のギアプレート式アクチュエータとこれを用いたリヤデフを示す断面図である。
【図2】第1実施形態に用いられた支持プレートの正面図である。
【図3】図2のA−A断面図である。
【図4】第1実施形態に用いられたカムプレートの正面図である。
【図5】図4のB−B断面図である。
【図6】第1実施形態に用いられた可動プレートの正面図である。
【図7】図6のC−C断面図である。
【図8】第1実施形態に用いられた支持プレート、カムプレート、可動プレートなどを示す分解斜視図である。
【図9】図8の各部材をサブアセンブリした状態を示す斜視図である。
【図10】車両が4輪駆動状態にあるときのカムプレートの角度を示す正面図である。
【図11】カムプレートが図10の角度にあるときのカムの状態を示す図面である。
【図12】車両が2輪駆動状態にあるときのカムプレートの角度を示す正面図である。
【図13】カムプレートが図12の角度にあるときのカムの状態を示す図面である。
【図14】車両を4輪駆動状態と2輪駆動状態に切り換えるときのカムプレートの角度を示す正面図である。
【図15】カムプレートが図14の角度にあるときのカムの状態を示す図面である。
【図16】第1実施形態の要部断面図である。
【図17】第2実施形態の要部断面図である。
【図18】第3実施形態のギアプレート式アクチュエータとこれを用いたリヤデフを示す断面図である。
【図19】図18のE−E断面図である。
【図20】第4実施形態に用いられたカムプレートなどの正面図である。
【図21】第5実施形態に用いられたカムプレートなどの正面図である。
【図22】第5実施形態に用いられたカムプレートのギア部を示す図面である。
【図23】第6実施形態に用いられたカムプレートとピニオンギアと電動モータなどを示す図面である。
【図24】図23のF矢視図である。
【図25】第7実施形態に用いられたカムプレートとピニオンギアと電動モータなどを示す図面である。
【図26】図25のG矢視図である。
【図27】第8実施形態に用いられたピニオンギアと電動モータとデフキャリヤなどを示す図面である。
【図28】第9実施形態のギアプレート式アクチュエータを示す正面図である。
【図29】第9実施形態のギアプレート式アクチュエータの他の状態を示す正面図である。
【図30】第9実施形態において、回動するカムプレートが凸部とストッパに近づく状態を示す断面図である。
【図31】第9実施形態において、回動するカムプレートが凸部と摺動して減速されながらストッパに近づく状態を示す断面図である。
【図32】第9実施形態において、カムプレートの回動角度に対する可動プレートの軸方向位置を示すグラフである。
【図33】カムプレートの減速機能を持たない構成において、カムプレートの回動角度に対する可動プレートの軸方向位置を示すグラフである。
【図34】カムプレートの減速機能を持たない構成の要部を示す斜視図である。
【図35】第10実施形態に用いられた支持プレート、カムプレート、可動プレートなどを示す分解斜視図である。
【図36】図35の各部材をサブアセンブリした状態を示す斜視図である。
【図37】従来例の断面図である。
【符号の説明】
1 ギアプレート式アクチュエータ
3 リヤデフ(デファレンシャル装置)
7 アウターデフケース
9 インナーデフケース
11 ベベルギア式の差動機構
13 ドッグクラッチ(被操作装置:クラッチ)
15 支持プレート
17 カムプレート
19 可動プレート
21 カム(カム機構)
27 電動モータ
29 ギア組
91 支持プレート上の固定板部(カムプレートの回動角度を所定の範囲に保つストッパ)
99 ギアプレート
103 支持突起(支持プレートの端部を包み込む折り返し部:噛み合い保持手段)
107 ギアプレート(ギアプレート)上のギア(ギア部)
201 支持プレート上の回り止め用爪部
251 ギアプレート式アクチュエータ
253 カムプレート(ギアプレート)上のガイド部(噛み合い保持手段)
303,303 カムプレート(ギアプレート)に設けられたバネ片(噛み合い保持手段)
351、351 カムプレート(ギアプレート)に設けられた肉圧部(噛み合い保持手段)
501 デフキャリヤで支持されるピニオンギアの円筒部
503 デフキャリヤで抜け止めされるピニオンギアのフランジ部
601 ギアプレート式アクチュエータ
603 ストッパ
607 凸部(減速手段)
701 ギアプレート式アクチュエータ
707 ガイド片(ストッパ)
713 凸部(減速手段)
【発明の属する技術分野】
この発明は、クラッチのような被操作装置を操作するギアプレート式アクチュエータと、このクラッチによって駆動力を断続する動力断続装置と、このクラッチによって駆動力を断続する、あるいは、差動を制限するデファレンシャル装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
特公平5−54574号公報に図37のようなデファレンシャル装置1001が記載されている。
【0003】
デファレンシャル装置1001はデフキャリヤ1003に収容されており、アウターデフケース1005、インナーデフケース1007、ベベルギア式の差動機構1009、噛み合いクラッチ1011、空気圧式のアクチュエータ1013などから構成されている。
【0004】
噛み合いクラッチ1011は、インナーデフケース1007に移動自在にスプライン連結されたクラッチリング1015と、アウターデフケース1005との間に形成されている。
【0005】
アクチュエータ1013はデフキャリヤ1003に固定されたシリンダ1017、ピストン1019などから構成されており、エンジンに駆動されるエアポンプから空気圧を供給されて作動し、ピストン1019とシフトフォーク1021とを介してクラッチリング1015を移動操作し、噛み合いクラッチ1011を噛み合わせる。また、空気圧の供給を停止すると噛み合いクラッチ1011の噛み合いが解除される。
【0006】
アウターデフケース1005は、ドライブピニオンギア1023とリングギア1025とを介して入力するエンジンの駆動力により回転駆動される。
【0007】
噛み合いクラッチ1011が噛み合うと、アウターデフケース1005の回転はインナーデフケース1007と差動機構1009とを介して車軸1027,1029から左右の車輪に配分され、車両が4輪駆動状態になり、悪路などでの走破性、脱出性、安定性が向上する。
【0008】
また、噛み合いクラッチ1011の噛み合いが解除されると、インナーデフケース1007から左右の車輪までがエンジン側から切り離されて、車両は2輪駆動状態になり、エンジンの燃費が向上する。
【0009】
また、空気圧式アクチュエータ1013のような流体圧式アクチュエ−タの他に、電動モータの回転トルクをカム機構によって、クラッチなどの被操作装置の操作力に変換するアクチュエータがある。
【0010】
電動モータを用いたこのアクチュエータには、流体圧式アクチュエータを用いた装置と異なって、ポンプとその駆動源及び圧力ラインの引き回しなどが不要であり、構造簡単、低コストで、配置スペースが狭くてすみ、軽量で車載性に優れる上に、レスポンスが速く、高い信頼性が得られるなどの利点がある。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
電動モータを用いた上記のアクチュエータでは、電動モータとカム機構との間にギア組が配置される。このギア組は、電動モータの回転をカム機構に伝達するだけでなく、電動モータの回転を減速(トルク増幅)してカム機構に充分なトルクを与えるために必要である。
【0012】
このように、電動モータを用いたアクチュエータにとって、ギア組は必須の構成要素であり、ギア組の噛み合い、動作、耐久性などが正常に保たれないと、アクチュエータの動作が不安定になり、性能が低下する恐れがある。
【0013】
また、アクチュエータ1013を用いたデファレンシャル装置1001では、シフトフォーク1017を含めたシフトメカニズムが必要であって、部品点数が多く、構造が複雑である上に、高価であり、特に、エアポンプはこれらのコストの約3割を占める。
【0014】
また、空気圧式アクチュエータのような流体圧式のアクチュエータでは、圧力ラインでの圧力漏れを避けることが難しく、この圧力漏れによって噛み合いクラッチ1011の連結及び連結解除のレスポンスが低下し、走行条件の変化に応じて4輪駆動状態と2輪駆動状態とを迅速に切り替えることが困難になる。
【0015】
また、この圧力漏れによって信頼性が低下する上に、圧力漏れを防止するためには、圧力ライン各部のシ−ルを強化するなどの配慮が必要であり、これに伴うコストの上昇は避け難い。
【0016】
また、空気圧式アクチュエータ1013は、内圧や外圧の影響を受け易く、それだけ動作が不安定になり、性能が低下し易い。
【0017】
また、流体圧式のアクチュエータを用いると、圧力ラインの配管及びその引き回しスペ−スなどを含めた広い配置スペ−スが必要であるから、デファレンシャル装置1001が大型になって車載性が低下する上に、デファレンシャル装置1001を収容するケーシング(例えば、デフキャリヤ)の変更が必要になり、大きな変更コストが生じると共に、車載性がさらに低下する。
【0018】
そこで、この発明は、電動モータの回転トルクをカム機構に伝達するギア組の噛み合いが正常に保たれると共に、構造簡単、低コストで、信頼性が高いギアプレート式アクチュエータと、このギアプレート式アクチュエータを用いて構成した動力断続装置とデファレンシャル装置の提供を目的としている。
【0019】
【課題を解決するための手段】
請求項1のギアプレート式アクチュエータは、静止側に固定された環状の支持プレートと、前記支持プレートの軸方向一側に正逆回動可能に配置されたカムプレートと、前記支持プレートの軸方向他側に軸方向移動可能に配置され、被操作装置を移動操作する可動プレートと、前記カムプレートと一体のギアプレートに設けられたギア部と、前記カムプレート側の前記ギア部と噛み合う出力軸上のピニオンギアを介して前記カムプレートを、正逆方向に回転させる電動モータと、前記カムプレートと前記可動プレートとの間に設けられ、前記カムプレートの回転力を前記可動プレートの移動操作力に変換するカム機構とを備え、前記カムプレート側の前記ギア部と前記電動モータ側の前記ピニオンギアとの噛み合いを正常に保持する噛み合い保持手段を設けたことを特徴とする。
【0020】
請求項1のギアプレート式アクチュエータは、噛み合い保持手段を設けたことによって、ギア組(ピニオンギアとギア部)の噛み合いが正常に保たれ、耐久性が向上するから、動作と性能が安定する。
【0021】
また、電動モータの回転トルクをカム機構によって被操作装置の操作力に変換する本発明のギアプレート式アクチュエータは、流体圧式のアクチュエータを用いた従来例と異なって、高価なポンプ、流体圧式アクチュエータ(ピストンとシリンダ)、シフトメカニズムなどが不要であり、部品点数が少なく、構造が簡単であり、低コストに実施できる。
【0022】
また、流体圧式アクチュエータを用いたシステムでは避けがたい圧力漏れによる機能低下から解放され、信頼性が大きく向上する上に、圧力ライン各部のシ−ル強化とこれに伴うコストの上昇を避けることができる。
【0023】
また、空気圧式アクチュエータを用いたシステムと異なって、圧力変動の影響を受けないから、性能が向上し、安定する。
【0024】
また、流体圧式アクチュエータと異なって、圧力ライン及びその引き回しスペ−スなどの広い配置スペ−スが不要になるから、ギアプレート式アクチュエータ及び被操作装置が軽量で、さらにコンパクトになり、車載性が大きく向上する。
【0025】
また、アクチュエータ及び被操作装置を収容するケーシングの変更が不要になり、変更に伴う大きなコスト上昇が避けられる。
【0026】
請求項2の発明は、請求項1に記載されたギアプレート式アクチュエータであって、前記噛み合い保持手段が、前記ギア部との間に所定の間隔を空けて前記カムプレートに設けられ、前記ピニオンギアを前記ギア部に対して所定の噛み合い位置に保持するガイド部であることを特徴とする。
【0027】
請求項2の構成では、ピニオンギアのガイド部(噛み合い保持手段)をカムプレートに設けたことにより、電動モータ側ピニオンギアがカムプレート側のギア部に対して所定の噛み合い位置に保持される。
【0028】
従って、例えば、カムプレート(ギア部)の回動に伴ってピニオンギアがギア部の端部まで移動しても、ガイド部のガイド機能によって、ピニオンギアがギア部から外れることが防止される。
【0029】
また、ギア部との噛み合いによってピニオンギアに掛かる噛み合い反力は、ガイド部が受けるから、ピニオンギアや電動モータ(出力軸)などの変形が防止される。
【0030】
請求項2の発明は、このようにしてピニオンギアとギア部との噛み合いが正常に保たれるから、請求項1の構成と同等の作用・効果を得ることができる。
【0031】
請求項3の発明は、請求項1または請求項2に記載されたギアプレート式アクチュエータであって、前記カムプレートの回動角度を所定の範囲に保つストッパを設け、前記噛み合い保持手段が、前記カムプレートの、前記ストッパとの当接部に設けられたバネ片であることを特徴とする。
【0032】
請求項3の構成では、カムプレートがストッパと当接する部分に、バネ片(噛み合い保持手段)を設けたことにより、回動に伴ってカムプレートがストッパと衝突しても、バネ片によってその衝撃が吸収されるから、衝撃を受けてもピニオンギアとギア部との噛み合いが外れることはない。
【0033】
また、このようなバネ片の衝撃吸収機能により、ピニオンギアとギア部が衝撃によって磨耗することが防止されると共に、衝撃によるカムプレート(ギアプレート)やストッパの変形が防止される。
【0034】
請求項3の発明は、このようにしてピニオンギアとギア部との噛み合いが正常に保たれるから、請求項1または請求項2の構成と同等の作用・効果を得ることができる。
【0035】
また、カムプレートの両端部に適度な切り欠き(スリット)を、例えば、プレス加工するだけで、ストッパと当接する部分にバネ片を形成することができるから、この構成は、極めて低コストで容易に実施することができる。
【0036】
請求項4の発明は、請求項1または請求項2に記載されたギアプレート式アクチュエータであって、前記カムプレートの回動角度を所定の範囲に保つストッパを設け、前記噛み合い保持手段が、前記カムプレートの、前記ストッパとの当接部に設けられ、前記ギア部の一部を構成する肉圧部であることを特徴とする。
【0037】
請求項4の構成は、カムプレートがストッパと当接する部分に肉圧部(噛み合い保持手段)を設け、ギア部の歯幅を広くしたことにより、回動に伴ってカムプレート(ギア部)がストッパと衝突し、電動モータがストール(電動モータの回転がロックされた状態)し、ギア部に大きなストールトルクが掛かっても、上記のように、肉圧部によって歯幅を広くしたから、ギア部の磨耗や破損などが防止される。
【0038】
請求項4の発明は、このようにしてピニオンギアとギア部との噛み合いが正常に保たれるから、請求項1または請求項2の構成と同等の作用・効果を得ることができる。
【0039】
また、ストールトルクが掛かる部分だけを肉厚にしたことにより、カムプレート(ギアプレート)全体を肉厚にする必要がなくなるから、ギアプレートの全体を肉厚にすることによる重量化、軸方向の大型化、軸方向の大型化に伴うレイアウト性の低下、材料費の増加などが防止される。
【0040】
また、ストールトルクが掛かる部分だけを肉厚にするこの構成は、例えば、カムプレート(ギアプレート)の両端に折り曲げ加工を施し、その後ギア部を加工するだけで、極めて低コストで容易に実施することができる。
【0041】
請求項5の発明は、請求項1〜4のいずれかに記載されたギアプレート式アクチュエータであって、前記噛み合い保持手段が、前記カムプレートの軸方向に屈曲して形成された前記ギア部であり、前記カムプレートの回動に伴って、前記ピニオンギアの前記ギア部との噛み合い箇所が歯幅方向に変化することを特徴とする。
【0042】
請求項5の構成は、ギア部をカムプレートの軸方向(ギア部の歯幅方向)に屈曲して形成したことにより、カムプレート(ギア部)の回動に伴ってギア部と噛み合うピニオンギアの噛み合い箇所が軸方向に移動(歯幅方向に分散)し、ピニオンギアが同一の箇所でギア部と噛み合うことにより磨耗が1箇所にだけ集中することが避けられて耐久性が大幅に向上する。
【0043】
請求項5の発明は、このようにしてピニオンギアとギア部との噛み合いが正常に保たれるから、請求項1〜4の構成と同等の作用・効果を得ることができる。
【0044】
従って、ピニオンギアとギア部との噛み合い幅を広くするために、カムプレート(ギア部)を肉厚にする必要がないから、カムプレートを肉厚にすることによる重量化、軸方向の大型化、軸方向の大型化に伴うレイアウト性の低下、材料費の増加などが防止される。
【0045】
また、軸方向に屈曲して形成したことによってカムプレート(ギア部)の剛性が向上し、例えば、噛み合いクラッチのラチェッティングに伴うカムプレートの共振が軽減されるから、ギアプレート式アクチュエータの性能と動作がさらに安定する。
【0046】
請求項6の発明は、請求項1〜4のいずれかに記載されたギアプレート式アクチュエータであって、前記噛み合い保持手段が、軸方向に傾斜して配置された前記カムプレートの前記ギア部であり、前記カムプレートの回動に伴って、前記ピニオンギアの前記ギア部との噛み合い箇所が歯幅方向に変化することを特徴とする。
【0047】
請求項6の構成は、カムプレート(ギア部)を軸方向に傾斜して配置したことにより、カムプレート(ギア部)の回動に伴ってギア部と噛み合うピニオンギアの噛み合い箇所が歯幅方向に移動し、ピニオンギアが同一の箇所でギア部と噛み合うことにより磨耗が1箇所にだけ集中することが避けられて耐久性が大幅に向上する。
【0048】
請求項6の発明は、このようにしてピニオンギアとギア部との噛み合いが正常に保たれるから、請求項1〜4の構成と同等の作用・効果を得ることができる。
【0049】
また、請求項5の構成と同様に、ピニオンギアとギア部との噛み合い幅を広くするために、カムプレート(ギア部)を肉厚にする必要がないから、カムプレートを肉厚にすることによる重量化、軸方向の大型化、軸方向の大型化に伴うレイアウト性の低下、材料費の増加などが防止される。
【0050】
また、ギア部をスパーギアにしたカムプレートを軸方向に傾斜して配置すればヘリカルギアになり、ピニオンギアをこれに対応するヘリカルギアにすれば、噛み合い率が増加することにより、各歯の負担が軽減されて耐久性が向上し、ギア音が低減されるなど、ヘリカルギアの利点が得られる。
【0051】
請求項7の発明は、請求項1〜5のいずれかに記載されたギアプレート式アクチュエータであって、前記噛み合い保持手段が、前記カムプレートに設けられ、前記支持プレートの端部を包み込む折り返し部であることを特徴とする。
【0052】
請求項7の構成は、支持プレートの端部を包み込む折り返し部(噛み合い保持手段)をカムプレートに設けたことによって、支持プレートとカムプレートとが互いにセンターリングされ、軸方向に位置決めされる。
【0053】
一方、折り返し部による支持プレートとカムプレート間の軸方向位置決め機能とセンターリング機能がない場合、カム機構が作動していない間(カム機構のカムスラスト力によってカムプレートと可動プレートとが軸方向に位置決めされていない間)は、カムプレート(ギア部)が軸方向に自由に移動できる状態になり、センターリングもされないから、カムプレートの振れの影響を受けてギア部とピニオンギアとの噛み合いが不安定になると共に、ギア部とピニオンギアの両方が磨耗し、耐久性が低下する恐れがある。
【0054】
特に、被操作装置が噛み合いクラッチである場合は、噛み合いクラッチのラチェッティングによってカムプレートの振れ幅が大きくなり、ギア部とピニオンギアの磨耗と耐久性低下が促進され易い。
【0055】
しかし、請求項7の構成では、折り返し部の軸方向位置決め機能とセンターリング機能によってカムプレートが支持プレートに支持されるから、例えば、カム機構が作動していない間に噛み合いクラッチのラチェッティングが生じても、カムプレートの振れが防止され、磨耗と耐久性の低下が防止される。
【0056】
請求項7の発明は、このようにしてピニオンギアとギア部との噛み合いが正常に保たれるから、請求項1〜5の構成と同等の作用・効果を得ることができる。
【0057】
請求項8の発明は、請求項1または請求項2に記載されたギアプレート式アクチュエータであって、前記カムプレートの回動角度を所定の範囲に保つストッパを設け、前記カムプレートが、前記カム機構での接触を終了した後、前記ストッパと当接する前に、前記カムプレートの回動速度を減速する減速手段を設けたことを特徴とし、請求項1または請求項2の構成と同等の作用・効果を得ることができる。
【0058】
カムプレートがカム機構で可動プレートとの接触を終了すると、カムプレートの回動抵抗が一気に消失するから、電動モータのトルクによってカムプレート(ギアプレート)が高速で回動してストッパに突き当たり、その衝撃により、電動モータのピニオンギアとギアプレートのギア部と、ストッパと、電動モータが損傷を受ける恐れがある。
【0059】
しかし、請求項8のギアプレート式アクチュエータでは、カムプレートの減速手段を設け、カムプレートがカム機構で可動プレートとの接触を終了した後、ストッパと当接する前に、カムプレートの回動速度が減速手段によって減速される。
【0060】
こうして、カムプレートとストッパとが強く当接する(衝突する)ことが防止され、当接時の衝撃が緩和されるから、電動モータのピニオンギアとギアプレートのギア部とストッパと電動モータなどが保護され、損傷が防止され、その結果、耐久性と信頼性が向上し、正常な機能が長く保たれる。
【0061】
請求項9の発明は、請求項8に記載されたギアプレート式アクチュエータであって、前記減速手段が、前記支持プレートに形成された凸部であり、前記凸部が、回動する前記カムプレートと接触し、発生した摩擦抵抗によって前記カムプレートの回動速度を減速することを特徴とし、請求項8の構成と同等の作用・効果を得ることができる。
【0062】
また、支持プレートに凸部を形成する減速手段は、実施が容易であり、低コストである。
【0063】
請求項10の動力断続装置は、一対のトルク伝達部材と、前記両トルク伝達部材の間に配置されたクラッチと、請求項1〜9のいずれかに記載され、前記クラッチを被操作装置とするギアプレート式アクチュエータとを備え、前記ギアプレート式アクチュエータによる前記クラッチの操作によって前記トルク伝達部材の間でトルクを断続することを特徴としている。
【0064】
請求項10の動力断続装置は、例えば、4輪駆動車で2輪駆動走行時に切り離される車輪側の動力伝達系に配置され、本発明のギアプレート式アクチュエータによってクラッチを連結すれば車両は4輪駆動状態になり、クラッチの連結を解除すれば車両は2輪駆動状態になる。
【0065】
また、請求項10の動力断続装置は、請求項1〜9のギアプレート式アクチュエータを用いたことにより、請求項1〜9の構成と同様に、ギア組の噛み合いが正常に保たれて性能が安定する上に、構造簡単、軽量、低コスト、信頼性向上などの効果を得ることができる。
【0066】
請求項11のデファレンシャル装置は、原動機の駆動力を受けて回転するアウターデフケースと、前記アウターデフケースの内部に相対回転可能に配置されたインナーデフケースと、前記インナーデフケースに連結された差動機構と、前記アウターデフケースと前記インナーデフケースとの連結を断続するクラッチと、請求項1〜9のいずれかに記載され、前記クラッチを被操作装置とするギアプレート式アクチュエータとを備え、前記ギアプレート式アクチュエータによる前記クラッチの操作によって前記アウターデフケースと前記インナーデフケースとの間でトルクを断続することを特徴としている。
【0067】
請求項11のデファレンシャル装置は、差動機構の入力側で駆動力を断続するデファレンシャル装置であり、4輪駆動車で2輪駆動走行時に切り離される車輪側の動力伝達系に配置され、本発明のギアプレート式アクチュエータによってクラッチを連結すれば車両は4輪駆動状態になり、クラッチの連結を解除すれば車両は2輪駆動状態になる。
【0068】
また、請求項11のデファレンシャル装置は、請求項1〜9のギアプレート式アクチュエータを用いたことにより、請求項1〜9の構成と同様に、ギア組の噛み合いが正常に保たれて性能が安定する上に、構造簡単、軽量、低コスト、信頼性向上などの効果を得ることができる。
【0069】
請求項12のデファレンシャル装置は、原動機の駆動力を受けて回転するデフケースと、前記デフケースの回転を一対の出力側サイドギアから車輪側に配分する差動機構と、前記出力側サイドギアのいずれか一方とその車輪との間に配置されたクラッチと、請求項1〜9のいずれかに記載され、前記クラッチを被操作装置とするギアプレート式アクチュエータとを備え、前記ギアプレート式アクチュエータによる前記クラッチの操作によって前記サイドギアと車輪との間でトルクを断続することを特徴としている。
【0070】
また、請求項12のデファレンシャル装置は、差動機構の出力側で駆動力を断続するデファレンシャル装置であり、請求項11のデファレンシャル装置と同様に、4輪駆動車で2輪駆動走行時に切り離される車輪側の動力伝達系に配置され、本発明のギアプレート式アクチュエータによってクラッチを連結すれば車両は4輪駆動状態になり、クラッチの連結を解除すれば、差動機構の差動回転によって駆動力が遮断され、車両は2輪駆動状態になる。
【0071】
また、請求項12のデファレンシャル装置は、請求項1〜9のギアプレート式アクチュエータを用いたことにより、請求項1〜9の構成と同様に、ギア組の噛み合いが正常に保たれて性能が安定する上に、構造簡単、軽量、低コスト、信頼性向上などの効果を得ることができる。
【0072】
請求項13のデファレンシャル装置は、原動機の駆動力を受けて回転するデフケースと、前記デフケースの回転を一対の出力側サイドギアから車輪側に配分する差動機構と、前記デフケースと前記出力側サイドギアのいずれか2者の間に配置され、前記差動機構の差動を制限するクラッチと、請求項1〜9のいずれかに記載され、前記クラッチを被操作装置とするギアプレート式アクチュエータとを備え、前記ギアプレート式アクチュエータによる前記クラッチの操作によって前記差動機構の差動を制限することを特徴としている。
【0073】
また、請求項13のデファレンシャル装置は、本発明のギアプレート式アクチュエータによってクラッチを連結すれば差動機構の差動が制限され、クラッチの連結を解除すれば差動が自由になる。
【0074】
また、請求項13のデファレンシャル装置は、請求項1〜9のギアプレート式アクチュエータを用いたことにより、請求項1〜9の構成と同様に、ギア組の噛み合いが正常に保たれて性能が安定する上に、構造簡単、軽量、低コスト、信頼性向上などの効果を得ることができる。
【0075】
【発明の実施の形態】
[第1実施形態]
図1〜図16によって本発明の第1実施形態であるギアプレート式アクチュエータ1とこれを用いたリヤデフ3(デファレンシャル装置)の説明をする。
【0076】
図1はリヤデフ3を示しており、左右の方向はリヤデフ3が用いられた4輪駆動車での左右の方向である。また、以下の説明の中で符号を与えていない部材等は図示されていない。
【0077】
リヤデフ3(エンジンの駆動力を左右の後輪に配分するデファレンシャル装置)は、差動機構の入力側に駆動力の断続機能を備えたデファレンシャル装置であり、4輪駆動車に用いられ、2輪駆動時は後輪への駆動力を切断する。
【0078】
リヤデフ3が用いられた4輪駆動車の動力伝達系は、エンジン(原動機)、トランスミッション、トランスファ、2−4切替え機構、フロントデフ(エンジンの駆動力を左右の前輪に配分するデファレンシャル装置)、前車軸、左右の前輪、後輪側のプロペラシャフト、リヤデフ3、後車軸、左右の後輪などから構成されている。
【0079】
2−4切替え機構は、トランスファの後輪側出力インターフェイスを構成しており、下記のように、リヤデフ3と同時に連結解除操作及び連結操作され、後輪側への駆動力を断続する。
【0080】
エンジンの駆動力は、トランスミッションからトランスファに伝達され、トランスファから前輪側と後輪側に配分される。
【0081】
前輪側に配分された駆動力は、フロントデフから前車軸を介して左右の前輪に配分される。
【0082】
また、後輪側に配分された駆動力は、2−4切替え機構とリヤデフ3が連結されている間は、2−4切替え機構と後輪側プロペラシャフトからリヤデフ3に伝達され、リヤデフ3から後車軸を介して左右の後輪に配分され、車両は4輪駆動状態になる。
【0083】
また、2−4切替え機構とリヤデフ3の連結をそれぞれ解除すると、後輪側がエンジンから切り離されて、車両は2輪駆動状態になる。
【0084】
リヤデフ3はデフキャリヤ5の内部に配置されており、デフキャリヤ5の内部にはオイル溜りが形成されている。
【0085】
リヤデフ3は、ギアプレート式アクチュエータ1、アウターデフケース7、インナーデフケース9、ベベルギア式の差動機構11、ドッグクラッチ13(被操作装置:クラッチ)などから構成されている。
【0086】
また、ギアプレート式アクチュエータ1は、支持プレート15、カムプレート17、可動プレート19、カム21(カム機構)、リターンスプリング23、シフトスプリング25、電動モータ27、ギア組29、コントローラなどから構成されている。
【0087】
リヤデフ3はアウターデフケース7とインナーデフケース9からなる2重ケーシング構造になっており、インナーデフケース9はアウターデフケース7の内周で摺動回転自在に支承されている。また、アウターデフケース7に形成された左右のボス部31,33はそれぞれスラストベアリング35を介してデフキャリヤ5に支承されている。
【0088】
デフキャリヤ5には、ベアリングキャップ37,37がネジ部39によって螺着されており、これらのベアリングキャップ37をネジ部39で回転させることによって、アウターレース41が軸方向に移動し各スラストベアリング35のプリロード調整が行われる。
【0089】
アウターデフケース7にはリングギア43がボルト45で固定されている。リングギア43はドライブピニオンギア47と噛み合っており、ドライブピニオンギア47はドライブピニオンシャフト49と一体に形成されている。ドライブピニオンシャフト49は継ぎ手と後輪側のプロペラシャフトなどを介してトランスファの2−4切替え機構に連結されており、エンジンの駆動力はトランスファと2−4切替え機構からこの後輪側動力伝達系を介してアウターデフケース7を回転させる。
【0090】
アウターデフケース7の内部にはクラッチリング51が配置されており、アウターデフケース7の内周で軸方向移動自在に支承されている。
【0091】
ドッグクラッチ13は、噛み合い歯53と噛み合い歯55によって構成されており、噛み合い歯53はクラッチリング51の左端部に形成され、噛み合い歯55はインナーデフケース9の右端部に形成されている。
【0092】
また、アウターデフケース7の左右にはそれぞれオイルが流出入する開口57,59が周方向等間隔に設けられている。クラッチリング51の右端には周方向等間隔に4本の脚部61が設けられており、これらの脚部61は右の開口59に係合し、外部に突き出している。
【0093】
クラッチリング51は、下記のように、ギアプレート式アクチュエータ1によって左右に移動操作される。クラッチリング51が左方に移動操作されると、図1の下半部のように、ドッグクラッチ13が噛み合ってアウターデフケース7とインナーデフケース9とが連結され、クラッチリング51が右方に戻ると、図1の上半部のように、ドッグクラッチ13の噛み合いが解除され、アウターデフケース7とインナーデフケース9とが切り離される。
【0094】
インナーデフケース9の左端部とアウターデフケース7との間には、ギアプレート式アクチュエータ1からの操作力を受けるスラストワッシャ63が配置されており、インナーデフケース9はこのスラストワッシャ63を介して軸方向の左方に位置決めされている。
【0095】
ベベルギア式の差動機構11は、複数本のピニオンシャフト65、ピニオンギア67、左右の出力側サイドギア69,71などから構成されている。
【0096】
各ピニオンシャフト65の先端は、インナーデフケース9に周方向等間隔に形成された貫通孔73に係合し、スプリングピン75によって抜け止めが施されている。
【0097】
ピニオンギア67は、各ピニオンシャフト65上に回転自在に支承されており、サイドギア69,71は左右から各ピニオンギア67と噛み合っている。
【0098】
サイドギア69,71の各ボス部77,79はアウターデフケース7に形成された支承部81,83によって支承されており、各ボス部77,79には左右の後車軸がそれぞれスプライン連結されている。
【0099】
また、各サイドギア69,71とアウターデフケース7との間にはスラストワッシャ85がそれぞれ配置され、サイドギア69,71の噛み合いスラスト力を受けている。
【0100】
インナーデフケース9の内周には、各ピニオンギア67の背面に対向して球面ワッシャ部87が形成されており、ピニオンギア67の遠心力と、各サイドギア69,71との噛み合いによってピニオンギア67が受ける噛み合い反力とを負担している。
【0101】
ギアプレート式アクチュエータ1の支持プレート15はプレス加工されており、図2,3,8のように、環状板部89、環状板部89と一体に形成された2個の固定板部91、環状板部89の内周に周方向等間隔に設けられた3個の組み付け凹部93、環状板部89の外周に周方向等間隔に設けられた2個のガイド溝95などから構成されている。
【0102】
カムプレート17はプレス加工されており、図4,5,8のように、環状板部97、ギアプレート99、環状板部97の内周に周方向等間隔に設けられた3個の組み付け凹部101、各凹部101の周方向に隣接して設けられた3個の支持突起103(支持プレートの端部を包み込む折り返し部:噛み合い保持手段)、環状板部97の内周に沿って周方向等間隔に設けられた3個のカム片105などから構成されている。
【0103】
ギアプレート99は環状板部97と一体に形成されており、その外周にはギア107(ギア部)が設けられている。また、支持突起103は、環状板部97に形成された軸方向部分109と、軸方向部分109の端部に形成された径方向部分111から構成されている。
【0104】
各カム片105は、図5,11,13,15のように、傾斜面113(カム面)、径方向に形成されたカム角を持たない保持面115、傾斜面113と保持面115との間に形成された保持突起117から構成されている。
【0105】
可動プレート19はプレス加工されており、図6,7,8のように、環状板部119(基部)、環状板部119の内周に周方向等間隔に設けられた3個のカムガイド片121(突起)、各カムガイド片121の間に設けられた3個の内周ガイド片123、環状板部119の外周に周方向等間隔に設けられた2個の外周ガイド片125などから構成されている。
【0106】
また、各カムガイド片121は、環状板部119に形成された軸方向部分127と、軸方向部分127の端部に形成された径方向部分129から構成されている。
【0107】
支持プレート15とカムプレート17と可動プレート19は、図9のように組付けられ、この組付けは次のような順序で行われる。
【0108】
先ず、カムプレート17の各支持突起103を、右側から支持プレート15の各組み付け凹部93にそれぞれ挿通させた後、カムプレート17を、図8の矢印131の方向に、カムプレート17の各組み付け凹部101が支持プレート15の各組み付け凹部93と重なるまで回転させる。
【0109】
この状態で、図16のように、カムプレート17の各支持突起103の軸方向部分109と径方向部分111が支持プレート15の環状板部89の内周端部を囲んで係合し、支持プレート15によってカムプレート17が軸方向に位置決めされ、センターリングされる。
【0110】
次いで、可動プレート19の各カムガイド片121を、左側から支持プレート15とカムプレート17の各組み付け凹部93,101に挿通させた後、カムプレート17を、図8の矢印133の方向に回転させると、可動プレート19が各カムガイド片121の径方向部分129によってカムプレート17の環状板部97と係合する。
【0111】
このように、各プレート15,17,19の組付けは工程が少なく、極めて容易である。
【0112】
組付けが終了した状態で、支持プレート15とカムプレート17の各環状板部89,97は可動プレート19の内周ガイド片123によって内周をガイドされており、こうして支持プレート15とカムプレート17と可動プレート19は互いにセンターリングされている。また、カムプレート17は支持プレート15と可動プレート19に対して回動可能である。
【0113】
支持プレート15の各固定板部91は、図1のように、電動モータ27の取り付け金具135と共に、ボルト137によってデフキャリヤ5に固定されている。
【0114】
カム21は、図11,13,15のように、カムプレート17の各カム片105と可動プレート19の各カムガイド片121(径方向部分129)とで構成されている。
【0115】
リターンスプリング23は、図1のように、クラッチリング51のリテーナ139に一体形成されている。図1,8,9のように、このリテーナ139に形成された腕部141はクラッチリング51の各脚部61に固定されており、リテーナ139(リターンスプリング23)とアウターデフケース7の右端部との間にはリング143が配置されている。
【0116】
クラッチリング51とリテーナ139は一体で軸方向に往復移動可能であり、リターンスプリング23はクラッチリング51をドッグクラッチ13の噛み合い解除方向(右方)に付勢している。
【0117】
シフトスプリング25は、図1のように、可動プレート19と一体に形成されている。シフトスプリング25の付勢力はリターンスプリング23の付勢力より大きくされており、可動プレート19とクラッチリング51をドッグクラッチ13の噛み合い方向(左方)に付勢している。
【0118】
なお、リターンスプリング23とシフトスプリング25は、図8に示すように、それぞれコイルスプリング145とコイルスプリング147を用いてもよい。
【0119】
また、カムプレート17には、コイルスプリング147用のばね座149が周方向等間隔に3箇所設けられている。
【0120】
電動モータ27は、取り付け金具135を介してデフキャリヤ5に固定されている。電動モータ27は両方向に回転可能であり、コントローラを介して車載のバッテリに接続されている。
【0121】
ギア組29は、電動モータ27の出力軸151に固定されたピニオンギア153と、カムプレート17(ギアプレート99)のギア107とで構成されており、電動モータ27の回転トルクを増幅し、カムプレート17を回転させる。
【0122】
コントローラは、下記のようにしてドッグクラッチ13の断続操作を行うと共に、2輪駆動状態から4輪駆動状態に切り換える際はドッグクラッチ13と2−4切替え機構をそれぞれ同時に連結操作し、4輪駆動状態から2輪駆動状態に切り換える際はそれぞれを同時に連結解除操作する。
【0123】
また、ドッグクラッチ13の断続操作に当たって、コントローラは電動モータ27を両方向(一方向と反対方向)にそれぞれ所定の時間(角度)だけ回転させる時間制御を行う。電動モータ27が所定の時間だけ回転すると、ギア組29を介してカムプレート17が所定の方向に所定の角度だけ回転操作される。
【0124】
図10は、ギアプレート99を一方向に最大角度だけ回転させた状態を示しており、ギア組29のピニオンギア153はギア107の一側端部で噛み合っている。このとき、支持プレート15の一方の固定板部91はギアプレート99と突き当たってストッパになり、カムプレート17の過回転を防止し、ギア107がピニオンギア153から外れることを防止している。
【0125】
図11は、図10に対応するカム21の状態を示しており、各カムガイド片121(可動プレート19)の径方向部分129は各カム片105(カムプレート17)の傾斜面113を上る前である。このとき径方向部分129はシフトスプリング25の付勢力によって環状板部97に押し付けられており、カム21は作動していない。また、図10,11の各矢印は、それぞれの状態から電動モータ27を反対方向に回転させたときのカムプレート17とカムガイド片121(可動プレート19)の移動方向を示している。
【0126】
カム21が作動していない状態では、図1の下半部のように、可動プレート19(クラッチリング51)がシフトスプリング25によって左方に移動し、ドッグクラッチ13が噛み合っている。
【0127】
このとき、シフトスプリング25は待ち機構になり、噛み合い歯53,55の位相が合ったところでドッグクラッチ13を噛み合わせる。
【0128】
ドッグクラッチ13が噛み合うと、上記のように、車両は4輪駆動状態になる。
【0129】
図12は、図10の状態から電動モータ27を反対方向に最大角度回転させた状態を示しており、ギア組29のピニオンギア153はギア107の他側端部で噛み合っている。このとき、支持プレート15の他方の固定板部91はギアプレート99と突き当たってストッパになり、カムプレート17の過回転を防止し、ギア107がピニオンギア153から外れることを防止している。
【0130】
図13は、図12に対応するカム21の状態を示しており、各カムガイド片121の径方向部分129が各カム片105の傾斜面113を上り、保持突起117を乗り越えて保持面115に保持され、カム21を作動させている。また、図12,13の各矢印は、それぞれの状態から電動モータ27を反対方向に回転させたときのカムプレート17とカムガイド片121(可動プレート19)の移動方向を示している。
【0131】
カム21が作動すると、そのカムスラスト力によって各カムガイド片121(可動プレート19)が図13の上方に移動し、シフトスプリング25を押し縮める。
【0132】
なお、図16は、このときの各プレート15,17,19の軸方向位置を示しており、シフトスプリング25が押し縮められた状態でも可動プレート19(環状板部119)とカムプレート17の径方向部分111との間には、充分なクリアランスDが保たれている。
【0133】
シフトスプリング25が縮められると、図1の上半部のように、リターンスプリング23の付勢力によって可動プレート19(クラッチリング51)が右方に移動し、ドッグクラッチ13の噛み合いが解除される。
【0134】
ドッグクラッチ13の噛み合いが解除されると、上記のように、車両は2輪駆動状態になる。
【0135】
また、保持突起117がそのチェック機能により、各カムガイド片121を保持面115に保持するから、電動モータ27を停止させた状態で、走行中に振動や衝撃などの外乱因子を受けても、ドライバーの意に反して車両が2輪駆動状態から4輪駆動状態に変動することが防止される。
【0136】
図14は、図10と図12の状態からカムプレート17を両方向に回転操作する途中で、ピニオンギア153がギア107の中央部で噛み合った状態を示しており、図15は、このときカムプレート17の回転方向(矢印155)に応じた各カムガイド片121(可動プレート19)の移動方向(矢印157)を示している。
【0137】
カムプレート17を図14の矢印159の方向に回転させると、図10の4輪駆動状態になり、矢印161の方向に回転させると、図12の2輪駆動状態になる。
【0138】
また、カム片105の傾斜面113の両側にカム角を持たない保持面(保持面115と環状板部97)が設けられているから、カムガイド片121(径方向部分129)がこれらの保持面に乗っているときは、シフトスプリング25の付勢力を受けてもカムプレート17に回転トルクが掛かることはない。従って、作動前と作動後の両方でカム21の状態が保持され、車両が4輪駆動状態及び2輪駆動状態に安定して保持されるから、カム21を操作するとき以外は電動モータ27を停止させることができる。
【0139】
上記のように、ドッグクラッチ13と2−4切替え機構がそれぞれ連結される4輪駆動状態では、エンジンの駆動力が2−4切替え機構から後輪側動力伝達系を介してアウターデフケース7に伝達され、ドッグクラッチ13を介してインナーデフケース9が回転駆動される。この回転はピニオンシャフト65からピニオンギア67を介してサイドギア69,71に配分され、各車軸を介して左右の後輪に伝達される。
【0140】
車両が4輪駆動状態になると、悪路などでの走破性、脱出性、安定性が向上する。
【0141】
また、例えば、悪路走行中に後輪間に駆動抵抗差が生じると、各ピニオンギア67の自転によってエンジンの駆動力は左右の後輪に差動配分される。
【0142】
ドッグクラッチ13と2−4切替え機構の連結がそれぞれ解除される2輪駆動状態では、インナーデフケース9から後輪までがドッグクラッチ13によって切り離され、フリー回転状態になると共に、2−4切替え機構からアウターデフケース7までの動力伝達系が、エンジンの駆動力と後輪による連れ回りの両方から切り離され、回転が停止する。
【0143】
このように2−4切替え機構からアウターデフケース7までの後輪側動力伝達系の回転が停止する2輪駆動状態では、振動が軽減して乗り心地が向上すると共に、後輪側動力伝達系の各部で磨耗が軽減されて耐久性が向上し、さらに、回転抵抗の低減分だけエンジンの負担が軽減し、燃費が向上する。
【0144】
アウターデフケース7には、開口57,59の他に、ボス部31,33の内周にそれぞれ螺旋状のオイル溝163,165が形成されており、さらに、スラストワッシャ85,85と対向する部分には、オイル溝163,165にそれぞれ連通した径方向のオイル溝167,169が形成されている。
【0145】
開口57,59はアウターデフケース7の径方向外側部分に形成されているから、デフキャリヤ5に形成されたオイル溜りのオイルに常時浸されており、アウターデフケース7の回転に伴って開口57,59からオイルが流出入する。
【0146】
また、オイル溜りのオイルはアウターデフケース7(リングギア43)の回転によって掻き上げられ、掻き上げられたオイルはオイル溝163,165のネジポンプ作用によって移動を促進され、オイル溝167,169と、スラストワッシャ85,85などの隙間を通ってアウターデフケース7の内部に流入する。
【0147】
アウターデフケース7に流入したオイルは、差動機構11を構成する各ギア67,69,71の噛み合い部、ピニオンシャフト65とピニオンギア67の摺動部、アウターデフケース7とインナーデフケース9の摺動部、アウターデフケース7とクラッチリング51の摺動部、ドッグクラッチ13(噛み合い歯53,55)などに供給されてこれらを潤滑・冷却する。
【0148】
また、ギアプレート式アクチュエータ1の下部もオイル溜りに浸されており、回転操作されるカムプレート17と支持プレート15及び可動プレート19との摺動部、カム21なども潤滑・冷却される。
【0149】
また、ギア組29も上記の掻き上げオイルによって潤滑・冷却される。
【0150】
上記の各潤滑・冷却部では、供給されたオイルによって、磨耗が軽減され、耐久性が向上すると共に、各摺動部での摩擦抵抗が軽減され、エンジンの燃費が向上する。
【0151】
こうして、ギアプレート式アクチュエータ1とリヤデフ3が構成されている。
【0152】
ギアプレート式アクチュエータ1は、図16のように、カムプレート17に設けた支持突起103によって、支持プレート15とカムプレート17が軸方向に位置決めされセンターリングされている。
【0153】
従って、カム21が作動していない間にドッグクラッチ13にラチェッティングが生じても、カムプレート17の振れが防止されて、カムプレート17側のギア107と電動モータ27側のピニオンギア153は噛み合いが安定し、磨耗と耐久性の低下が防止され、ギアプレート式アクチュエータ1とリヤデフ3の動作と性能が安定する。
【0154】
さらに、カムプレート17の振れを防止することによって、ドッグクラッチ13のラチェッティングが軽度になるから、ドッグクラッチ13の噛み合い歯53,55と、ラチェッティングに伴って伸縮するリターンスプリング23とシフトスプリング25の耐久性低下も大幅に軽減される。
【0155】
また、電動モータ27の回転トルクをカム21によってドッグクラッチ13の操作力に変換するギアプレート式アクチュエータ1は、流体圧式のアクチュエータを用いた従来例と異なって、高価なポンプ、ピストンとシリンダ、シフトメカニズムなどが不要であり、それだけ部品点数が少なく、構造が簡単で、低コストである。
【0156】
さらに、ギアプレート式アクチュエータ1を用いたリヤデフ3は、圧力ラインなどの広い配置スペ−スが不要であり、軽量でコンパクトに構成されて車載性が向上すると共に、デフキャリヤ5を変更する必要もなくなり、変更に伴う大きなコスト上昇が防止される。
【0157】
また、ギアプレート式アクチュエータ1とリヤデフ3は、圧力漏れによる機能低下と圧力変動の影響から解放され、性能と安定性と信頼性が大きく向上する上に、圧力ライン各部のシ−ル強化とこれに伴うコストの上昇も避けられる。
【0158】
[第2実施形態]
図17によって第2実施形態のギアプレート式アクチュエータを説明する。
【0159】
第2実施形態のギアプレート式アクチュエータは、第1実施形態のリヤデフ3にギアプレート式アクチュエータ1と置き換えて用いられており、以下、ギアプレート式アクチュエータ1と同一の部材等には同一の符号を与えて引用しながら、相違点を説明する。
【0160】
第2実施形態のギアプレート式アクチュエータでは、支持プレート15(環状板部89)に2個の回り止め用爪部201が周方向等間隔に設けられている。
【0161】
これらの回り止め用爪部201は可動プレート19に設けられた2個の外周ガイド片125とそれぞれ対向する位置に配置されており、各プレート15,17,19が組み付けられた状態で、外周ガイド片125と接触し、その摩擦抵抗によってフリクションダンパーを構成している。
【0162】
一方、このようなフリクションダンパーを持たない構成では、第1実施形態で説明したように、カム21が作動していない間にドッグクラッチ13にラチェッティングが生じると、カムプレート17に振れが伝達されてラチェット音が増幅されると共に、増幅されたラチェット音が長く継続され易い。
【0163】
さらに、ラチェッティングに伴ってドッグクラッチ13の噛み合い歯53,55が、また、カムプレート17の振れに伴ってギア107とピニオンギア153が磨耗し耐久性が低下すると共に、ラチェッティングによって伸縮するリターンスプリング23とシフトスプリング25の耐久性も低下する。
【0164】
しかし、上記のように構成された第2実施形態では、支持プレート15の回り止め用爪部201と可動プレート19の外周ガイド片125との間で構成したフリクションダンパーの摩擦抵抗により、ドッグクラッチ13のラチェッティングが軽度になる。
【0165】
従って、ラチェッティング及びラチェット音の強さと継続時間、噛み合い歯53,55と、ギア107とピニオンギア153の磨耗及び耐久性低下、リターンスプリング23とシフトスプリング25の耐久性低下などが大幅に軽減される。
【0166】
第2実施形態は、こうしてピニオンギア153とギア107の噛み合いが正常に保たれるから、ギアプレート式アクチュエータとリヤデフ3の性能と動作が安定する。
【0167】
[第3実施形態]
図18と図19によってギアプレート式アクチュエータ251(第3実施形態)の説明をする。
【0168】
ギアプレート式アクチュエータ251は、第1実施形態のリヤデフ3にギアプレート式アクチュエータ1と置き換えて用いられており、以下、ギアプレート式アクチュエータ1と同一の部材等には同一の符号を与えて引用しながら、相違点を説明する。
【0169】
ギアプレート式アクチュエータ251では、カムプレート17(ギアプレート99)に、ギア107との間に所定の間隔を空けながら、ギア107の両端側と背面側を囲むガイド部253(噛み合い保持手段)が設けられており、電動モータ27側のピニオンギア153は、ガイド部253とギア107の間に設けられたスリット255の中で、ギア107と噛み合っている。
【0170】
このように構成されたギアプレート式アクチュエータ251では、ピニオンギア153の回転によってカムプレート17(ギア107)が回動し、ピニオンギア153がギア107の端部まで移動しても、ピニオンギア153はガイド部253の両端部に突き当たり、そのガイド機能によってギア107から外れることが防止される。
【0171】
また、ギア107との噛み合いによってピニオンギア153に掛かる噛み合い反力は、ガイド部253が受けるから、ピニオンギア153や電動モータ27の出力軸151などの変形が防止される。
【0172】
第3実施形態は、こうしてピニオンギア153とギア107の噛み合いが正常に保たれるから、ギアプレート式アクチュエータ251とリヤデフ3の性能と動作が安定する。
【0173】
[第4実施形態]
図20によって第4実施形態のギアプレート式アクチュエータを説明する。
【0174】
第4実施形態のギアプレート式アクチュエータは、第1実施形態のリヤデフ3にギアプレート式アクチュエータ1と置き換えて用いられており、以下、ギアプレート式アクチュエータ1と同一の部材等には同一の符号を与えて引用しながら、相違点を説明する。
【0175】
第4実施形態のギアプレート式アクチュエータでは、カムプレート17(ギアプレート99)の両端(カムプレートがストッパと当接する部分)にスリット301を加工することにより、バネ片303,303(噛み合い保持手段)が形成されている。
【0176】
従って、電動モータ27によりカムプレート17(ギア107)が両方向に回動し、支持プレート15の固定板部91(カムプレートの回動角度を所定の範囲に保つストッパ)と衝突しても、これらのバネ片303によってその衝撃が吸収されるから、衝撃を受けてもピニオンギア153とギア107の噛み合いが外れることはない。
【0177】
また、バネ片303によるこのような衝撃吸収機能によって、衝撃によるピニオンギア153とギア107の磨耗が防止され、カムプレート17(ギアプレート99)や固定板部91の変形も防止される。
【0178】
第4実施形態は、このようにピニオンギア153とギア107の噛み合いが正常に保たれるから、ギアプレート式アクチュエータとリヤデフ3の性能と動作が安定する。
【0179】
また、ギアプレート99のスリット301は、カムプレート17をプレス加工する際に同時加工できるから、この構成は極めて低コストで容易に実施することができる。
【0180】
[第5実施形態]
図21と図22によって第5実施形態のギアプレート式アクチュエータを説明する。
【0181】
第5実施形態のギアプレート式アクチュエータは、第1実施形態のリヤデフ3にギアプレート式アクチュエータ1と置き換えて用いられており、以下、ギアプレート式アクチュエータ1と同一の部材等には同一の符号を与えて引用しながら、相違点を説明する。
【0182】
第5実施形態のギアプレート式アクチュエータでは、カムプレート17(ギアプレート99)の両端(カムプレートがストッパと当接する部分)に肉圧部351、351(噛み合い保持手段)を設けたことにより、ギア107の歯幅がこれらの肉圧部351で広くなっている。
【0183】
従って、電動モータ27によってカムプレート17(ギア107)が両方向に回動し、支持プレート15の固定板部91(ストッパ)と衝突して電動モータ27の回転がロック(ストール)し、ギア107に大きなストールトルクが掛かっても、ストールトルクが掛かる箇所の歯幅を肉圧部351によって広くしたギア107の磨耗や破損などが防止される。
【0184】
第5実施形態は、こうしてピニオンギア153とギア107の噛み合いが正常に保たれるから、ギアプレート式アクチュエータとリヤデフ3の性能と動作が安定する。
【0185】
また、ストールトルクが掛かる部分(両端)だけを肉厚にしたことによって、カムプレート17(ギアプレート99)の全体を肉厚にする必要がなくなるから、カムプレート17全体を肉厚にすることによる重量化、軸方向の大型化、軸方向の大型化に伴うレイアウト性の低下、材料費の増加などが防止される。
【0186】
また、カムプレート17(ギアプレート99)の両端に折り曲げ加工を施し、ギア107を加工するだけで、ギア107の、ストールトルクが掛かる部分だけを肉厚にすることができるから、この構成は、極めて低コストで容易に実施可能である。
【0187】
[第6実施形態]
図23と図24によって第6実施形態のギアプレート式アクチュエータを説明する。
【0188】
第6実施形態のギアプレート式アクチュエータは、第1実施形態のリヤデフ3にギアプレート式アクチュエータ1と置き換えて用いられており、以下、ギアプレート式アクチュエータ1と同一の部材等には同一の符号を与えて引用しながら、相違点を説明する。
【0189】
第6実施形態のギアプレート式アクチュエータでは、ギア107とギアプレート99がカムプレート17の軸方向に屈曲して形成されており、これに伴ってピニオンギア153も噛み合い部の移動分(ギア107の軸方向屈曲分)だけ歯幅の広いものが用いられている。
【0190】
一方、ピニオンギアが歯幅方向の同一箇所でギアと噛み合う構成では、負担と磨耗がこの1箇所にだけ集中するから、耐久性が低下する。
【0191】
また、ピニオンギア153とギア107との噛み合い幅を広くするためには、カムプレート17(ギア107)を肉厚にする必要がある。
【0192】
しかし、ギア107をピニオンギア153の歯幅方向に屈曲させた第6実施形態の構成では、カムプレート17(ギア107)の回動に伴ってギア107と噛み合うピニオンギア153の噛み合い箇所が、矢印401のように、軸方向に移動してピニオンギア153の負担が歯幅方向に分散されるから、ピニオンギア153の1箇所だけが磨耗することがなくなり、耐久性が大幅に向上する。
【0193】
第6実施形態は、こうしてピニオンギア153とギア107の噛み合いが正常に保たれるから、ギアプレート式アクチュエータとリヤデフ3の性能と動作が安定する。
【0194】
また、カムプレート17(ギア107)の全体を肉厚にする必要がないから、これに伴う重量化、軸方向の大型化、軸方向の大型化に伴うレイアウト性の低下、材料費の増加などが避けられる。
【0195】
また、軸方向に屈曲して形成したことによってカムプレート17(ギア107)の剛性が向上し、ドッグクラッチ13のラチェッティングによるカムプレート17の共振が軽減されるから、ギアプレート式アクチュエータとリヤデフ3の性能と動作がさらに安定する。
【0196】
[第7実施形態]
図25と図26によって第7実施形態のギアプレート式アクチュエータを説明する。
【0197】
第7実施形態のギアプレート式アクチュエータは、第1実施形態のリヤデフ3にギアプレート式アクチュエータ1と置き換えて用いられており、以下、ギアプレート式アクチュエータ1と同一の部材等には同一の符号を与えて引用しながら、相違点を説明する。
【0198】
第7実施形態のギアプレート式アクチュエータでは、カムプレート17(ギア107とギアプレート99)が軸方向に傾斜して配置されており、これに伴ってピニオンギア153も噛み合い箇所の移動分(ギア107の傾斜分)だけ歯幅の広いものが用いられている。
【0199】
このように構成された第7実施形態の構成では、カムプレート17(ギア107)の回動に伴ってギア107と噛み合うピニオンギア153の噛み合い箇所が、矢印451のように、軸方向に移動し、ピニオンギア153の負担が歯幅方向に分散されるから、ピニオンギア153の1箇所だけが磨耗することがなくなり、耐久性が大幅に向上する。
【0200】
第7実施形態は、こうしてピニオンギア153とギア107の噛み合いが正常に保たれるから、ギアプレート式アクチュエータとリヤデフ3の性能と動作が安定する。
【0201】
また、第6実施形態と同様に、カムプレート17(ギア107)の全体を肉厚にする必要がないから、これに伴う重量化、軸方向の大型化、レイアウト性の低下、材料費の増加などが避けられる。
【0202】
なお、図25と図26に示した例は、ギア107をヘリカルギアにし、ピニオンギア153をスパーギアにしたものであるが、スパーギアのギア107を軸方向に傾斜して配置すればヘリカルギアになり、ピニオンギア153をこれに対応したヘリカルギアにすれば、噛み合い率が増加し、各歯(ピニオンギア153とギア107)の負担が軽減され、耐久性が向上し、ギア音が低減されるなど、ヘリカルギアの利点が得られる。
【0203】
[第8実施形態]
図27によって第8実施形態のギアプレート式アクチュエータを説明する。
【0204】
第8実施形態のギアプレート式アクチュエータは、第1実施形態のリヤデフ3にギアプレート式アクチュエータ1と置き換えて用いられており、以下、ギアプレート式アクチュエータ1と同一の部材等には同一の符号を与えて引用しながら、相違点を説明する。
【0205】
第8実施形態のギアプレート式アクチュエータの場合、電動モータ27はデフキャリヤ5に取り付けられており、電動モータ27のピニオンギア153には円筒部501が形成され、この円筒部501にはフランジ部503が形成されている。
【0206】
ピニオンギア153は、円筒部501で電動モータ27の出力軸151に固定されており、円筒部501をデフキャリヤ5に設けられた軸支部505で回転自在に支承されていると共に、この円筒部501に形成されたフランジ部503によってデフキャリヤ5に抜け止めされている。
【0207】
一方、電動モータ27側のピニオンギアがデフキャリヤに対してこのように支承され、抜け止めされていないと、回転に伴うピニオンギアの振れを防止することが難しい。
【0208】
さらに、ピニオンギアの抜け止め手段を工夫しなければならず、抜け止め手段を設けるスペースを空けることが困難であり、抜け止め手段を無理に設けると、周辺の部材、例えば、オイルフィラープラグなどと干渉する恐れがある。
【0209】
しかし、上記のように構成された第8実施形態の構成では、円筒部501をデフキャリヤ5で支承したことによってピニオンギア153の振れが防止される。
【0210】
また、デフキャリヤ5を利用してピニオンギア153(フランジ部503)の抜け止めを行うから、抜け止めを設けるスペースを空ける必要がなくなり、抜け止めと周辺部材との干渉から解放される。
【0211】
第8実施形態は、こうしてピニオンギア153とギア107の噛み合いが正常に保たれるから、ギアプレート式アクチュエータとリヤデフ3の性能と動作が安定する。
【0212】
[第9実施形態]
図28〜図34によって第9実施形態のギアプレート式アクチュエータ601を説明する。
【0213】
このギアプレート式アクチュエータ601は、ギアプレート式アクチュエータ1と置き換えて第1実施形態のリヤデフ3に用いられており、以下、ギアプレート式アクチュエータ1と同一の部材等には同一の符号を与えて引用しながら、相違点を説明する。
【0214】
上記の各実施形態は、支持プレート15の固定板部91がギアプレート99(カムプレート17)と突き当たるストッパを兼ねている例であるが、図34はこれらと異なった例を示しており、ストッパ603は支持プレート15の所定の位置に折り曲げて形成されている。
【0215】
上記各実施形態のギアプレート式アクチュエータにおいて、カムプレート17がカム21で可動プレート19との接触を終了すると、カムプレート17の回動抵抗が一気に消失するから、電動モータ27のトルクによってカムプレート17(ギアプレート99)が高速で回動し、ストッパ(支持プレート15の固定板部91)に突き当たり、その衝撃によって電動モータ27のピニオンギア153とギアプレート99のギア部107が損傷を受け、また、電動モータ27が損傷を受ける恐れがある。
【0216】
また、図34のような細身のストッパ603の場合は、カムプレート17との衝突によってストッパ603も損傷する恐れがある。
【0217】
ギアプレート式アクチュエータ601では、図28と図29に示すように、支持プレート15に、カムプレート17(ギアプレート99)の回動中心両側の周方向等距離に、ストッパ603と張り出し部605と一対の凸部607(減速手段)とが形成されている。
【0218】
各ストッパ603は各張り出し部605においてカムプレート17側に折り曲げ形成されており、図28の矢印651のように、両方向に回動したカムプレート17(ギアプレート99)がストッパ603に当たって回動を停止し、回動を停止することによってピニオンギア153がギア部107から外れることを防止する。図29は、矢印653のように、カムプレート17(ギアプレート99)が右方向(2WDの位置)に回動してストッパ603に当たった状態を示している。
【0219】
また、ストッパ603はカムプレート17の回動方向に撓むように折り曲げられており、回動したカムプレート17が当たったとき、そのばね力によって衝撃を緩和する。
【0220】
各凸部607は、カムプレート17側に設けられており、カムプレート17がストッパ603と当たる直前の回動位置(回動角度)に形成されている。
【0221】
図30は、カムプレート17が回動して凸部607に近づく状態を示している。この状態では、上記のようにカムプレート17はカム21で可動プレート19との接触を終了しており、長い矢印655が示すように、電動モータ27のトルクによって高速で回動している。
【0222】
図31は、図30の位置からさらに回動したカムプレート17が凸部607に乗り上げて摺動抵抗を受ける状態を示しており、短い矢印657が示すように、この摺動抵抗によってストッパ603と当たる直前に回動速度が減速される。
【0223】
回動速度がこのように減速されると、カムプレート17がストッパ603と高速で突き当たることが回避されて、衝撃が緩和されるから、電動モータ27のピニオンギア153とギアプレート99のギア部107や電動モータ27が損傷を受けることが防止される。
【0224】
図32は、カムプレート17の回動角度に対する可動プレート19の軸方向位置を示すグラフ659であり、横軸(回動角度)にはストッパ位置が表示され、縦軸(軸方向位置)には2輪駆動(2WD)時の位置と4輪駆動(4WD)時の位置が表示されている。
【0225】
カムプレート17が図28の状態から2輪駆動時の方向(図29の位置)まで回動するとカム21が作動し、グラフ659のように、可動プレート19はカム片105の傾斜面113を登り、保持突起117によるピーク661を経て2輪駆動時の位置へ移動する。
【0226】
この間に、カムプレート17は凸部607と接触して減速された後、ストッパ603に当たって回動を停止する。さらに、可動プレート19は、ピーク661を過ぎた後、カムプレート17が凸部607に乗り上げたときの軸方向移動分だけ、ピーク663のように軸方向へ移動する。
【0227】
また、カムプレート17が図28の状態から4輪駆動時の方向に回動するとカム21の作動が停止し、可動プレート19はカム片105の傾斜面113を下りて、4輪駆動時の位置へ移動する。
【0228】
この間に、カムプレート17は反対側の凸部607と接触して減速された後、反対側のストッパ603に当たって回動を停止する。さらに、可動プレート19はカムプレート17が凸部607に乗り上げたときの軸方向移動分だけ、ピーク665のように軸方向へ移動する。
【0229】
また、図33は、凸部607,607を持たないギアプレート式アクチュエータでの、カムプレートの回動角度に対する可動プレートの軸方向位置を示すグラフ671であり、図32のグラフ659と異なって、カムプレート17が凸部607に乗り上げたときのピーク663,665がなく、カムプレート17の減速機能と衝撃緩和機能を持たないことを示している。
【0230】
なお、ギアプレート式アクチュエータ601の場合、ストッパ603,603を設けたことにより、支持プレート15の固定板部91はストッパ機能から解放されている。
【0231】
また、図28と図29のように、可動プレート19には、2個の外周ガイド片609と4個のガイド片611が設けられており、各外周ガイド片609は支持プレート15の外周を保持して可動プレート19と支持プレート15を互いにセンターリングし、各ガイド片611は支持プレート15に設けられたガイド孔613に係合し、互いの回り止めとセンターリングをしている。
【0232】
このように構成されたギアプレート式アクチュエータ601は、上記のように、カムプレート17の回動が凸部607との摺動によって減速されるから、ストッパ603と当たるときの衝撃が緩和され、ピニオンギア153とギア部107や電動モータ27の損傷が防止されて、耐久性が向上する。
【0233】
また、支持プレート15に凸部607,607を形成する構成は、実施が容易であり、低コストである。
【0234】
[第10実施形態]
図35と図36によって第10実施形態のギアプレート式アクチュエータ701を説明する。
【0235】
このギアプレート式アクチュエータ701は、ギアプレート式アクチュエータ1,601と置き換えて第1実施形態のリヤデフ3に用いられており、以下、ギアプレート式アクチュエータ1,601と同一の部材等には同一の符号を与えて引用しながら、相違点を説明する。
【0236】
ギアプレート式アクチュエータ701では、図35と図36のように、可動プレート19に、各2個の外周ガイド片703,705と各2個のガイド片707,709が設けられており、図36のように、各外周ガイド片703,705は支持プレート15の外周を保持して可動プレート19と支持プレート15を互いにセンターリングし、各ガイド片707,709は支持プレート15に設けられたガイド孔711に係合し、互いの回り止めとセンターリングをしている。
【0237】
また、図36のようにアセンブリした状態で、カムプレート17(ギアプレート99)の両回動方向にあるガイド片707はカムプレート17のストッパを兼ねており、各ガイド片707(ストッパ)には、両方向に回動したカムプレート17(ギアプレート99)が当たって回動を停止し、回動を停止することによってピニオンギア153がギア部107から外れることを防止する。
【0238】
また、各ストッパの手前にある外周ガイド片703は可撓性を与えられて、衝撃吸収手段を兼ねている。
【0239】
支持プレート15のカムプレート17側には、カムプレート17(ギアプレート99)の回動中心の両側周方向等距離に、一対の凸部713(減速手段)が形成されている。
【0240】
各凸部713は、カムプレート17が外周ガイド片703と当たる直前の回動位置(回動角度)に形成されており、カム21で可動プレート19との接触を終了し電動モータ27のトルクによって高速で回動するカムプレート17は凸部713との摺動抵抗を受けて回動速度が減速される。
【0241】
さらに、減速されたカムプレート17は外周ガイド片703と突き当たり、外周ガイド片703は、撓みによってこのときの衝撃を吸収する。
【0242】
また、ストッパであるガイド片707は、外周ガイド片703より軸方向寸法が長くされており、上記の過程において可動プレート19は軸方向に移動中であるから、外周ガイド片703はカムプレート17との衝撃を吸収した後、可動プレート19の軸方向移動に伴ってカムプレート17から外れ、カムプレート17は最終的にガイド片707(ストッパ)に当たって、回動を停止する。
【0243】
このように構成されたギアプレート式アクチュエータ701は、凸部713によって回動速度が減速され、カムプレート17が外周ガイド片703及びガイド片707(ストッパ)と高速で突き当たることが回避され、衝撃が緩和されるから、電動モータ27のピニオンギア153とギアプレート99のギア部107や電動モータ27の損傷が防止されると共に、外周ガイド片703とガイド片707の損傷も防止され、耐久性が向上する。
【0244】
また、支持プレート15に凸部713,713を形成する構成は、実施が容易であり、低コストである。
【0245】
なお、ギアプレート式アクチュエータ701の場合、ガイド片707にストッパ機能を与えたことにより、支持プレート15の固定板部91はストッパ機能から解放されている。
【0246】
また、カムプレート17にはギアプレート99との間に軸方向の屈曲部715が形成されており、ギア部107と電動モータ27がアウターデフケース7に対して軸方向に近接するから、ギアプレート式アクチュエータ701とリヤデフ3がそれだけ軸方向コンパクトにアセンブリされている。
【0247】
なお、本発明のギアプレート式アクチュエータにおいて、被操作装置はクラッチに限らず、クラッチも、各実施形態のような噛み合いクラッチ(ドッグクラッチ)だけでなく、多板クラッチやコーンクラッチのような摩擦クラッチでもよい。
【0248】
また、本発明のデファレンシャル装置において、差動機構は、ベベルギア式の差動機構に限らず、プラネタリーギア式の差動機構、デフケースの収容孔に回転自在に収容されたピニオンギアで出力側のサイドギアを連結した差動機構、ウォームギアを用いた差動機構などでもよい。
【0249】
【発明の効果】
請求項1のギアプレート式アクチュエータは、噛み合い保持手段によってギア組の噛み合いが正常に保たれるから、性能が安定し、耐久性が向上する。
【0250】
請求項2のギアプレート式アクチュエータは、ピニオンギアを所定の位置に保持するガイド部によってギア組の噛み合いが正常に保たれ、請求項1の構成と同等の効果を得ることができる。
【0251】
請求項3のギアプレート式アクチュエータは、カムプレートに設けたバネ片の衝撃吸収機能によってギア組の噛み合いが正常に保たれ、請求項1または請求項2の構成と同等の効果を得ることができる。
【0252】
また、カムプレートの両端部に適度なスリットを設けてバネ片を形成するこの構成は、極めて低コストで容易に実施できる。
【0253】
請求項4のギアプレート式アクチュエータは、カムプレートの両端に肉圧部を設けて歯幅を広くしたことにより、ギア部の磨耗や破損などが防止されてギア組の噛み合いが正常に保たれ、請求項1または請求項2の構成と同等の効果を得ることができる。
【0254】
また、電動モータのストールトルクが掛かる部分(両端部)だけを肉厚にするこの構成では、ギアプレートの全体を肉厚にすることによる重量化、軸方向の大型化、軸方向の大型化に伴うレイアウト性の低下、材料費の増加などが避けられる。
【0255】
また、カムプレート(ギアプレート)の両端に折り曲げ加工を施すだけでストールトルクが掛かる部分だけを肉厚にすることができるこの構成は、極めて低コストで容易に実施できる。
【0256】
請求項5のギアプレート式アクチュエータは、ギア部をカムプレートの軸方向に屈曲して形成したことにより、ギア部と噛み合うピニオンギアの噛み合い箇所が歯幅方向に分散して耐久性が大幅に向上し、ギア組の噛み合いが正常に保たれ、請求項1〜4の構成と同等の効果を得ることができる。
【0257】
また、ギア部を歯幅方向に屈曲させたこの構成では、カムプレート(ギア部)の全体を肉厚にする必要がないから、全体を肉厚にすることによる重量化、軸方向の大型化、軸方向の大型化に伴うレイアウト性の低下、材料費の増加などが避けられる。
【0258】
また、軸方向に屈曲させたことによってカムプレート(ギア部)の剛性が向上し、噛み合いクラッチのラチェッティングに伴うカムプレートの共振が軽減され、ギアプレート式アクチュエータの性能と動作がさらに安定する。
【0259】
請求項6のギアプレート式アクチュエータは、カムプレート(ギア部)を軸方向に傾斜して配置したことにより、ギア部と噛み合うピニオンギアの噛み合い箇所が歯幅方向に分散して耐久性が大幅に向上し、ギア組の噛み合いが正常に保たれ、請求項1〜4の構成と同等の効果を得ることができる。
【0260】
また、カムプレート(ギア部)を軸方向に傾斜して配置したこの構成では、カムプレート(ギア部)の全体を肉厚にする必要がないから、重量化、軸方向の大型化、軸方向の大型化に伴うレイアウト性の低下、材料費の増加などが避けられる。
【0261】
また、カムプレートの傾斜配置に伴ってギア組をヘリカルギアにすれば、噛み合い率が増加し、各歯の負担が軽減されて耐久性が向上し、ギア音が低減する。
【0262】
請求項7のギアプレート式アクチュエータは、支持プレートと係合する折り返し部をカムプレートに設けたことによって、カム機構が作動していない状態で噛み合いクラッチにラチェッティングが生じても、カムプレートの振れが防止されてギア組の噛み合いが正常に保たれ、請求項1〜5の構成と同等の効果を得ることができる。
【0263】
請求項8のギアプレート式アクチュエータは、請求項1または請求項2の構成と同等の効果を得ることができる。
【0264】
また、ストッパと当たる直前にカムプレートの回動を減速することによって、カムプレートとストッパとの衝突が防止され、電動モータのピニオンギアとギアプレートのギア部とストッパと電動モータなどが衝撃から保護され、耐久性と信頼性が向上し、正常な機能が長く保たれる。
【0265】
請求項9のギアプレート式アクチュエータは、請求項8の構成と同等の効果を得ることができる。
【0266】
また、支持プレートに凸部を形成する減速手段は、実施が容易であり、低コストである。
【0267】
請求項10の動力断続装置は、請求項1〜9のギアプレート式アクチュエータを用いたことにより、ギア組の噛み合いが正常に保たれて性能が安定する上に、構造簡単、軽量、低コスト、信頼性向上などの効果を得ることができる。
【0268】
請求項11のデファレンシャル装置は、請求項1〜9のギアプレート式アクチュエータを用いたことにより、ギア組の噛み合いが正常に保たれて性能が安定する上に、構造簡単、軽量、低コスト、信頼性向上などの効果を得ることができる。
【0269】
請求項12のデファレンシャル装置は、請求項1〜9のギアプレート式アクチュエータを用いたことにより、ギア組の噛み合いが正常に保たれて性能が安定する上に、構造簡単、軽量、低コスト、信頼性向上などの効果を得ることができる。
【0270】
請求項13のデファレンシャル装置は、請求項1〜9のギアプレート式アクチュエータを用いたことにより、ギア組の噛み合いが正常に保たれて性能が安定する上に、構造簡単、軽量、低コスト、信頼性向上などの効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1実施形態のギアプレート式アクチュエータとこれを用いたリヤデフを示す断面図である。
【図2】第1実施形態に用いられた支持プレートの正面図である。
【図3】図2のA−A断面図である。
【図4】第1実施形態に用いられたカムプレートの正面図である。
【図5】図4のB−B断面図である。
【図6】第1実施形態に用いられた可動プレートの正面図である。
【図7】図6のC−C断面図である。
【図8】第1実施形態に用いられた支持プレート、カムプレート、可動プレートなどを示す分解斜視図である。
【図9】図8の各部材をサブアセンブリした状態を示す斜視図である。
【図10】車両が4輪駆動状態にあるときのカムプレートの角度を示す正面図である。
【図11】カムプレートが図10の角度にあるときのカムの状態を示す図面である。
【図12】車両が2輪駆動状態にあるときのカムプレートの角度を示す正面図である。
【図13】カムプレートが図12の角度にあるときのカムの状態を示す図面である。
【図14】車両を4輪駆動状態と2輪駆動状態に切り換えるときのカムプレートの角度を示す正面図である。
【図15】カムプレートが図14の角度にあるときのカムの状態を示す図面である。
【図16】第1実施形態の要部断面図である。
【図17】第2実施形態の要部断面図である。
【図18】第3実施形態のギアプレート式アクチュエータとこれを用いたリヤデフを示す断面図である。
【図19】図18のE−E断面図である。
【図20】第4実施形態に用いられたカムプレートなどの正面図である。
【図21】第5実施形態に用いられたカムプレートなどの正面図である。
【図22】第5実施形態に用いられたカムプレートのギア部を示す図面である。
【図23】第6実施形態に用いられたカムプレートとピニオンギアと電動モータなどを示す図面である。
【図24】図23のF矢視図である。
【図25】第7実施形態に用いられたカムプレートとピニオンギアと電動モータなどを示す図面である。
【図26】図25のG矢視図である。
【図27】第8実施形態に用いられたピニオンギアと電動モータとデフキャリヤなどを示す図面である。
【図28】第9実施形態のギアプレート式アクチュエータを示す正面図である。
【図29】第9実施形態のギアプレート式アクチュエータの他の状態を示す正面図である。
【図30】第9実施形態において、回動するカムプレートが凸部とストッパに近づく状態を示す断面図である。
【図31】第9実施形態において、回動するカムプレートが凸部と摺動して減速されながらストッパに近づく状態を示す断面図である。
【図32】第9実施形態において、カムプレートの回動角度に対する可動プレートの軸方向位置を示すグラフである。
【図33】カムプレートの減速機能を持たない構成において、カムプレートの回動角度に対する可動プレートの軸方向位置を示すグラフである。
【図34】カムプレートの減速機能を持たない構成の要部を示す斜視図である。
【図35】第10実施形態に用いられた支持プレート、カムプレート、可動プレートなどを示す分解斜視図である。
【図36】図35の各部材をサブアセンブリした状態を示す斜視図である。
【図37】従来例の断面図である。
【符号の説明】
1 ギアプレート式アクチュエータ
3 リヤデフ(デファレンシャル装置)
7 アウターデフケース
9 インナーデフケース
11 ベベルギア式の差動機構
13 ドッグクラッチ(被操作装置:クラッチ)
15 支持プレート
17 カムプレート
19 可動プレート
21 カム(カム機構)
27 電動モータ
29 ギア組
91 支持プレート上の固定板部(カムプレートの回動角度を所定の範囲に保つストッパ)
99 ギアプレート
103 支持突起(支持プレートの端部を包み込む折り返し部:噛み合い保持手段)
107 ギアプレート(ギアプレート)上のギア(ギア部)
201 支持プレート上の回り止め用爪部
251 ギアプレート式アクチュエータ
253 カムプレート(ギアプレート)上のガイド部(噛み合い保持手段)
303,303 カムプレート(ギアプレート)に設けられたバネ片(噛み合い保持手段)
351、351 カムプレート(ギアプレート)に設けられた肉圧部(噛み合い保持手段)
501 デフキャリヤで支持されるピニオンギアの円筒部
503 デフキャリヤで抜け止めされるピニオンギアのフランジ部
601 ギアプレート式アクチュエータ
603 ストッパ
607 凸部(減速手段)
701 ギアプレート式アクチュエータ
707 ガイド片(ストッパ)
713 凸部(減速手段)
Claims (13)
- 静止側に固定された環状の支持プレートと、
前記支持プレートの軸方向一側に正逆回動可能に配置されたカムプレートと、前記支持プレートの軸方向他側に軸方向移動可能に配置され、被操作装置を移動操作する可動プレートと、
前記カムプレートと一体のギアプレートに設けられたギア部と、
前記カムプレート側の前記ギア部と噛み合う出力軸上のピニオンギアを介して前記カムプレートを、正逆方向に回転させる電動モータと、
前記カムプレートと前記可動プレートとの間に設けられ、前記カムプレートの回転力を前記可動プレートの移動操作力に変換するカム機構とを備え、
前記カムプレート側の前記ギア部と前記電動モータ側の前記ピニオンギアとの噛み合いを正常に保持する噛み合い保持手段を設けたことを特徴とするギアプレート式アクチュエータ。 - 請求項1に記載された発明であって、
前記噛み合い保持手段が、前記ギア部との間に所定の間隔を空けて前記カムプレートに設けられ、前記ピニオンギアを前記ギア部に対して所定の噛み合い位置に保持するガイド部であることを特徴とするギアプレート式アクチュエータ。 - 請求項1または請求項2に記載された発明であって、
前記カムプレートの回動角度を所定の範囲に保つストッパを設け、
前記噛み合い保持手段が、前記カムプレートの、前記ストッパとの当接部に設けられたバネ片であることを特徴とするギアプレート式アクチュエータ。 - 請求項1または請求項2に記載された発明であって、
前記カムプレートの回動角度を所定の範囲に保つストッパを設け、
前記噛み合い保持手段が、前記カムプレートの、前記ストッパとの当接部に設けられ、前記ギア部の一部を構成する肉圧部であることを特徴とするギアプレート式アクチュエータ。 - 請求項1〜4のいずれかに記載された発明であって、
前記噛み合い保持手段が、前記カムプレートの軸方向に屈曲して形成された前記ギア部であり、前記カムプレートの回動に伴って、前記ピニオンギアの前記ギア部との噛み合い箇所が歯幅方向に変化することを特徴とするギアプレート式アクチュエータ。 - 請求項1〜4のいずれかに記載された発明であって、
前記噛み合い保持手段が、軸方向に傾斜して配置された前記カムプレートの前記ギア部であり、前記カムプレートの回動に伴って、前記ピニオンギアの前記ギア部との噛み合い箇所が歯幅方向に変化することを特徴とするギアプレート式アクチュエータ。 - 請求項1〜5のいずれかに記載された発明であって、
前記噛み合い保持手段が、前記カムプレートに設けられ、前記支持プレートの端部を包み込む折り返し部であることを特徴とするギアプレート式アクチュエータ。 - 請求項1または請求項2に記載された発明であって、
前記カムプレートの回動角度を所定の範囲に保つストッパを設け、
前記カムプレートが、前記カム機構での接触を終了した後、前記ストッパと当接する前に、前記カムプレートの回動速度を減速する減速手段を設けたことを特徴とするギアプレート式アクチュエータ。 - 請求項8に記載された発明であって、
前記減速手段が、前記支持プレートに形成された凸部であり、
前記凸部が、回動する前記カムプレートと接触し、発生した摩擦抵抗によって前記カムプレートの回動速度を減速することを特徴とするギアプレート式アクチュエータ。 - 一対のトルク伝達部材と、
前記両トルク伝達部材の間に配置されたクラッチと、
請求項1〜9のいずれかに記載され、前記クラッチを被操作装置とするギアプレート式アクチュエータとを備え、
前記ギアプレート式アクチュエータによる前記クラッチの操作によって前記トルク伝達部材の間でトルクを断続することを特徴とする動力断続装置。 - 原動機の駆動力を受けて回転するアウターデフケースと、前記アウターデフケースの内部に相対回転可能に配置されたインナーデフケースと、
前記インナーデフケースに連結された差動機構と、
前記アウターデフケースと前記インナーデフケースとの連結を断続するクラッチと、
請求項1〜9のいずれかに記載され、前記クラッチを被操作装置とするギアプレート式アクチュエータとを備え、
前記ギアプレート式アクチュエータによる前記クラッチの操作によって前記アウターデフケースと前記インナーデフケースとの間でトルクを断続することを特徴とするデファレンシャル装置。 - 原動機の駆動力を受けて回転するデフケースと、
前記デフケースの回転を一対の出力側サイドギアから車輪側に配分する差動機構と、
前記出力側サイドギアのいずれか一方とその車輪との間に配置されたクラッチと、
請求項1〜9のいずれかに記載され、前記クラッチを被操作装置とするギアプレート式アクチュエータとを備え、
前記ギアプレート式アクチュエータによる前記クラッチの操作によって前記サイドギアと車輪との間でトルクを断続することを特徴とするデファレンシャル装置。 - 原動機の駆動力を受けて回転するデフケースと、
前記デフケースの回転を一対の出力側サイドギアから車輪側に配分する差動機構と、
前記デフケースと前記出力側サイドギアのいずれか2者の間に配置され、前記差動機構の差動を制限するクラッチと、
請求項1〜9のいずれかに記載され、前記クラッチを被操作装置とするギアプレート式アクチュエータとを備え、
前記ギアプレート式アクチュエータによる前記クラッチの操作によって前記差動機構の差動を制限することを特徴とするデファレンシャル装置。
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CN109296726A (zh) * | 2018-12-06 | 2019-02-01 | 台州基凯孚汽车部件有限公司 | 断开式齿轮箱 |
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2002
- 2002-08-06 JP JP2002228498A patent/JP2004044763A/ja active Pending
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