JP2004044399A - 内燃機関の動弁装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】動弁カムに当接するカム当接部を有してロッカシャフトで揺動可能に支承されるロッカアームに、閉弁方向にばね付勢された機関弁に一端を当接させるとともに他端を油圧室に臨ませる弁当接ピストンが摺動可能に嵌合される内燃機関の動弁装置において、機関弁の開弁リフト量を無段階に変化させることを可能とする。
【解決手段】ロッカアーム21A内に形成される制御油圧室32Aの油圧変化に応じて開弁圧を変化させるリリーフ弁33Aが、開弁時に油圧室28Aの作動油を逃がすようにしてロッカアーム21Aに設けられ、油圧供給源34および制御油圧室32A間に、油圧供給源34からの油圧を無段階に可変として制御する油圧制御弁35が介設され、油圧室28Aは油圧供給源34側への逆流を阻止する一方向弁51を介して該油圧供給源34に接続される。
【選択図】    図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、内燃機関の動弁装置に関し、特に、動弁カムと、該動弁カムの回転軸線と平行な軸線を有するロッカシャフトと、前記動弁カムに当接するカム当接部を有して前記ロッカシャフトで揺動可能に支承されるロッカアームと、閉弁方向にばね付勢された機関弁に一端を当接させるとともに他端を油圧室に臨ませて前記ロッカアームに摺動可能に嵌合される弁当接ピストンとを備える内燃機関の動弁装置の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、かかる動弁装置は、たとえば実開昭55−149505号公報で既に知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、機関弁の開弁作動特性を内燃機関の運転状態に適合させるためには機関弁の開弁リフト量を無段階に変化させることが望ましいが、上記従来のものでは、弁当接ピストンの他端を臨ませる油圧室を、外部に開放する状態ならびに外部から遮断する状態を切り換えることで、機関弁の休止および作動を切り換えるだけであり、機関弁の開弁リフト量を無段階に変化させることはできない。
【0004】
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、機関弁の開弁リフト量を無段階に変化させることを可能とした内燃機関の動弁装置を提供することを目的とする。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上記目的を達成するために、請求項1記載の発明は、動弁カムと、該動弁カムの回転軸線と平行な軸線を有するロッカシャフトと、前記動弁カムに当接するカム当接部を有して前記ロッカシャフトで揺動可能に支承されるロッカアームと、閉弁方向にばね付勢された機関弁に一端を当接させるとともに他端を油圧室に臨ませて前記ロッカアームに摺動可能に嵌合される弁当接ピストンとを備える内燃機関の動弁装置において、前記ロッカアーム内に形成される制御油圧室の油圧変化に応じて開弁圧を変化させるリリーフ弁が、開弁時に前記油圧室の作動油を逃がすようにして前記ロッカアームに設けられ、油圧供給源および前記制御油圧室間に、油圧供給源からの油圧を無段階に可変として制御する油圧制御弁が介設され、前記油圧室は油圧供給源側への逆流を阻止する一方向弁を介して該油圧供給源に接続されることを特徴とする。
【0006】
このような請求項1記載の発明の構成によれば、動弁カムの回転に応じてロッカアームが揺動するのに応じて、弁当接ピストンは、その他端を臨ませた油圧室の油圧による油圧力と、閉弁方向にばね付勢された機関弁から受ける反力とがバランスするようにして摺動するのであるが、リリーフ弁が開弁するのに応じて油圧室の作動油が逃がされることによって弁当接ピストンが油圧室の容積を収縮する側に移動することになり、リリーフ弁の開弁圧を油圧制御弁によって無段階に変化させることで、油圧室を収縮する側への弁当接ピストンの移動限すなわち機関弁の最大開弁リフト量が無段階に変化する。しかも機関弁の閉弁作動時には油圧供給源からの作動油が一方向弁を介して油圧室に導かれることになり、簡単な構成で機関弁の開弁リフト量をその開弁時に無段階に変化させて、機関の運転状態に適合した弁作動特性を得ることができる。
【0007】
また請求項2記載の発明は、上記請求項1記載の発明の構成に加えて、前記油圧制御弁からの制御油圧を導く第1制御油圧路と、油圧供給源に通じる第1油圧供給路とが並列して前記ロッカシャフト内に設けられ、前記第1制御油圧路および前記制御油圧室間を結ぶ第2制御油圧路ならびに前記第1油圧供給路および前記油圧室間を結ぶ第2油圧供給路が前記ロッカアームに設けられ、前記一方向弁が前記第2油圧供給路の途中に介在して前記ロッカアームに設けられることを特徴とし、かかる構成によれば、油圧室に通じる油路構成およびリリーフ弁の制御油圧室に通じる油路構成をコンパクトに纏めることができる。
【0008】
請求項3記載の発明は、上記請求項2記載の発明の構成に加えて、前記一方向弁の弁ハウジングは、前記弁当接ピストンおよび機関弁の接触部側に向けて開口するようにしてロッカアームに設けられた有底の装着孔に嵌合、固定され、第2油圧供給路の上流部を前記装着孔の開口端側に通じさせるリーク孔が前記弁ハウジングおよびロッカアーム間に形成されることを特徴とし、かかる構成によれば、リーク孔からリークする作動油を弁当接ピストンおよび機関弁の接触部にかけるようにして、弁当接ピストンおよび機関弁間の潤滑を果たすことができる。
【0009】
さらに請求項4記載の発明は、上記請求項2または3記載の発明の構成に加えて、前記第2制御油圧路および前記第2油圧供給路が、前記ロッカシャフトの軸線方向から見て相互に重なる配置で前記ロッカアームに設けられ、第2制御油圧路および第2油圧供給路がロッカシャフトの軸線方向に離隔した位置で第1制御油圧路および第1油圧供給路に連通されることを特徴とし、かかる構成によれば、ロッカアームを上下にコンパクトに構成することが可能となるとともに、第2制御油圧路および第2油圧供給路を第1制御油圧路および第1油圧供給路に通じさせるためにロッカシャフトに連通孔が設けられることによるロッカシャフトの剛性低下を抑制することができる。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を、添付の図面に示した本発明の実施例に基づいて説明する。
【0011】
図1〜図3は本発明の実施例の第1実施例を示すものであり、図1は内燃機関の一部を示す縦断側面図、図2は図1の要部拡大図、図3は開弁リフト特性を示す図である。
【0012】
先ず図1において、内燃機関のシリンダヘッド11には、燃焼室12に通じ得るポートたとえば吸気ポート13が設けられるとともに、吸気ポート13および燃焼室12間の連通・遮断を切換える機関弁としての吸気弁14が開閉作動可能に配設されており、該吸気弁14は、シリンダヘッド11に固定されたガイド筒15に摺動可能に嵌合され、ガイド筒15から上方に突出した吸気弁14の上部に設けられるリテーナ16およびシリンダヘッド11間に、吸気弁14を閉弁方向に付勢する弁ばね17が設けられる。
【0013】
吸気弁14を開閉駆動するための動弁装置は、図示しないクランクシャフトから1/2の減速比で駆動力が伝達されるようにしてシリンダヘッド11で回転自在に支承されるカムシャフト18と、該カムシャフト18に設けられる動弁カム19と、その動弁カム19の回転軸線すなわちカムシャフト18の軸線と平行な軸線を有してシリンダヘッド11に支持される円筒状のロッカシャフト20と、前記動弁カム19の回転に従動して揺動するようにして前記ロッカシャフト20で支承されるロッカアーム21Aとを備える。
【0014】
ロッカアーム21Aの一端部には、動弁カム19に当接するカム当接部としてのローラ22が、ロッカシャフト20と平行な軸線を有する支軸23を介して回転自在に支承される。またロッカアーム21Aの他端部には、前記吸気弁14の上端に一端を当接させる弁当接ピストン24Aが摺動可能に嵌合される。
【0015】
図2を併せて参照して、ロッカアーム21Aの他端部には上下に開口した摺動孔25が設けられ、この摺動孔25の上部には閉塞部材26が圧入される。しかも閉塞部材26よりも上方で摺動孔25の内面には閉塞部材26に上方から係合することで摺動孔25の上方に閉塞部材26が抜け出すことを確実に阻止するための止め輪27が装着される。
【0016】
弁当接ピストン24Aは、その他端が臨む油圧室28Aを前記閉塞部材26との間に形成するようにして摺動孔25に摺動自在に嵌合される。弁当接ピストン24Aおよび閉塞部材26間には、油圧室28Aの容積を増大する側に弁当接ピストン24Aを付勢する戻しばね29が介設されており、この戻しばね29のばね荷重はごく弱く設定される。また弁当接ピストン24Aの外周には止め輪30が装着されており、弁当接ピストン24Aの摺動孔25内での移動範囲を定めるべく前記止め輪30を収納する環状凹部31が、摺動孔25の軸方向に比較的長くして該摺動孔25の内面に設けられる。
【0017】
ロッカアーム21Aには、該ロッカアーム21A内に形成される制御油圧室32Aの油圧変化に応じて開弁圧を変化させるリリーフ弁33Aが設けられており、該リリーフ弁33Aの開弁時には前記油圧室28Aの作動油が外部に逃がされる。しかも油圧供給源34および前記制御油圧室32A間には、油圧供給源34からの油圧を無段階に可変として制御する油圧制御弁35が介設されている。
【0018】
ロッカシャフト20内には、該ロッカシャフト20内に筒状の仕切り部材58を嵌合、固定することにより、油圧制御弁35からの制御油圧を導く第1制御油圧路36と、オイルポンプ等の油圧供給源34に通じる第1油圧供給路37とが並列して設けられる。油圧供給源34から第1油圧供給路37に供給される作動油の油温は油温センサ38で検出される。また油圧制御弁35は、たとえばリニアソレノイド弁であり、油圧供給源34および第1制御油圧路36間に介設され、第1制御油圧路36の圧力を検出する油圧センサ39の検出値および前記油温センサ38の検出値に応じて油圧制御弁35が制御されることにより、第1制御油圧路36の油圧が、油温を勘案しつつ無段階に変化するように調圧される。
【0019】
またロッカアーム21Aには、第1制御油圧路36および前記制御油圧室32A間を結ぶ第2制御油圧路40Aならびに第1油圧供給路37および前記油圧室28A間を結ぶ第2油圧供給路41Aが上下に平行に設けられており、一端を第1制御油圧路36に連通させる第2制御油圧路40Aは閉塞部材26側に延びるようにしてロッカアーム21Aに設けられ、第2油圧供給路41Aは、第1油圧供給路37および油圧室28A間を結ぶようにしてロッカアーム21Aに設けられる。
【0020】
リリーフ弁33Aは、油圧室28Aに通じて閉塞部材26に設けられた油路42に通じるようにしてロッカアーム21Aに設けられる弁孔43と、第2制御油圧路40Aの他端部に摺動可能に嵌合して前記弁孔43と同軸の弁室44をロッカアーム21Aとの間に形成する制御ピストン45と、前記弁孔43を中央部に開口させるようにしてロッカアーム21Aに設けられて前記弁室44に臨むテーパ状の弁座46と、該弁座46に着座して前記弁孔43を閉じることを可能として弁室44に収納される球状の弁体47と、弁体47を弁座に着座する側に付勢するばね力を発揮して弁体47および制御ピストン45間に介設されるばね48とを備える。
【0021】
制御ピストン45に関して弁室44とは反対側でロッカアーム21Aには、第2制御油圧路40Aを横断するようにして規制ピン49が圧入されており、弁室44の容積を増大する側への制御ピストン45の摺動は該規制ピン49で規制される。而して第2制御油圧路40Aのうち規制ピン49および制御ピストン45間の部分が制御油圧室32Aとして機能するものであり、弁体47を弁座46に着座させる側へのばね48のばね荷重すなわち開弁圧は制御油圧室32Aの油圧によって定まることになる。またロッカアーム21Aには、弁室44に通じるリリーフ路50がロッカアーム21Aの上部外面に開口するようにして設けられる。
【0022】
第2油圧供給路41Aの途中には、前記油圧室28Aから油圧供給源34側すなわち第1油圧供給路37側への逆流を阻止する一方向弁51が介設される。
【0023】
一方向弁51は、第2油圧供給路41Aのうち該一方向弁51よりも上流側の上流部41Aaに通じる弁孔52を有するとともに第2油圧供給路41Aのうち該一方向弁51よりも下流側の下流部41Abに通じる弁室53をロッカアーム21Aとの間に形成する有底円筒状の弁ハウジング54と、前記弁孔52を閉鎖可能として弁室53に収納される球状の弁体55とで構成される。
【0024】
弁ハウジング54は、弁当接ピストン24Aおよび吸気弁14の接触部側に向けて開口するとともに第2油圧供給路41Aの中間部を横切るようにしてロッカアーム21Aに設けられた有底の装着孔56に、圧入等によって嵌合、固定されるものであり、弁ハウジング54の開口端側に設けられた第1の切欠き54aを介して弁室53が第2油圧供給路41Aの下流部41Abに連通する。
【0025】
しかも弁ハウジング54の閉塞端側外面に設けられた第2の切欠き54bにより、第2油圧供給路41Aの上流部41Aaを装着孔56の開口端側に通じさせるリーク孔57が、弁ハウジング54およびロッカアーム21A間に形成される。
【0026】
次にこの第1実施例の作用について説明すると、ロッカアーム21Aには、閉弁方向にばね付勢された吸気弁14に一端を当接させるとともに他端を油圧室28Aに臨ませた弁当接ピストン24Aが摺動可能に嵌合されており、動弁カム19の回転に応じてロッカアーム21Aが揺動するのに応じて、弁当接ピストン24Aは、油圧室28Aの油圧による油圧力と、吸気弁14から受ける反力とがバランスするようにして摺動する。
【0027】
しかるにロッカアーム21A内に形成される制御油圧室32Aの油圧変化に応じて開弁圧を変化させるリリーフ弁33Aが、開弁時に前記油圧室28Aの作動油を逃がすようにしてロッカアーム21Aに設けられ、油圧供給源34および制御油圧室32A間に、油圧供給源34からの油圧を無段階に可変として制御する油圧制御弁35が介設され、油圧室28Aは油圧供給源34側への逆流を阻止する一方向弁51を介して該油圧供給源34に接続されている。
【0028】
したがってリリーフ弁33Aが開弁するのに応じて油圧室28Aの作動油が逃がされることにより、吸気弁14の開弁時に弁当接ピストン24Aが油圧室28Aの容積を収縮する側に移動することになり、リリーフ弁33Aの開弁圧を油圧制御弁35によって無段階に変化させることで、油圧室28Aを収縮する側への弁当接ピストン24Aの移動限すなわち吸気弁14の最大開弁リフト量が無段階に変化する。また吸気弁14の閉弁作動時には油圧供給源34からの作動油が一方向弁51を介して油圧室28Aに導かれることになり、簡単な構成で吸気弁14の開弁リフト量をその開弁時に無段階に変化させることができる。
【0029】
しかも、制御油圧室32Aの油圧を変化させるタイミングを吸気弁14の開弁初期から変化させることで、図3(A)で示すような複数の開弁作動特性を得ることができ、また制御油圧室32Aの油圧を変化させるタイミングを吸気弁14の開弁リフト途中から変化させることで、図3(B)で示すような複数の開弁作動特性を得ることができ、機関の運転状態に適合した弁作動特性を得るように吸気弁14の開弁リフト量を無段階に変化させることができる。
【0030】
また油圧制御弁35からの制御油圧を導く第1制御油圧路36と、油圧供給源34に通じる第1油圧供給路37とが並列してロッカシャフト20内に設けられ、第1制御油圧路36および制御油圧室32A間を結ぶ第2制御油圧路40Aならびに第1油圧供給路37および前記油圧室28A間を結ぶ第2油圧供給路41Aが前記ロッカアーム21Aに設けられ、一方向弁51が第2油圧供給路41Aの途中に介在して前記ロッカアーム21Aに設けられているので、油圧室28Aに通じる油路構成およびリリーフ弁33Aの制御油圧室32Aに通じる油路構成をコンパクトに纏めることができる。
【0031】
しかもロッカアーム21Aに第2制御油圧路40Aおよび第2油圧供給路41Aが上下に平行に設けられ、一方向弁51およびリリーフ弁33Aを第2制御油圧路40Aおよび第2油圧供給路41Aの内部を利用して設けることで、ロッカアーム21Aをより一層コンパクト化することができる。
【0032】
さらに一方向弁51の弁ハウジング54は、弁当接ピストン24Aおよび吸気弁14の接触部側に向けて開口するようにしてロッカアーム21Aに設けられた有底の装着孔56に嵌合、固定され、第2油圧供給路41Aの上流部41Aaを装着孔56の開口端側に通じさせるリーク孔57が弁ハウジング54およびロッカアーム21A間に形成されているので、リーク孔57からリークする作動油を弁当接ピストン24Aおよび吸気弁14の接触部にかけるようにして、弁当接ピストン24Aおよび吸気弁14間の潤滑を果たすことができる。
【0033】
図4は本発明の第2実施例を示すものであり、上記第1実施例に対応する部分には同一の参照符号を付す。
【0034】
ロッカシャフト20で揺動可能に支承されるロッカアーム21Bには、リリーフ弁33Aに制御油圧を作用せしめる第2制御油圧路40Aと、一方向弁51が中間部に介設される第2油圧供給路41Aとが、ロッカシャフト20の軸線方向から見て相互に重なる配置で設けられており、第2制御油圧路40Aおよび第2油圧供給路41Aがロッカシャフト20の軸線方向に離隔した位置で、ロッカシャフト20内の第1制御油圧路36および第1油圧供給路37(第1実施例参照)に連通される。
【0035】
またロッカシャフト20の軸線に沿う方向に間隔をあけた位置でロッカアーム21Bには、ローラ22を支承する一対の支持壁59,59がロッカシャフト20の軸線と直交するように延びて設けられており、第2制御油圧路40Aおよび第2油圧供給路41Aは、ロッカアーム21Bのロッカシャフト20への支持部において前記両支持壁59,59に対向する位置で開口することになる。
【0036】
この第2実施例によれば、ロッカアーム21Bを上下にコンパクトに構成することが可能となるとともに、第2制御油圧路40Aおよび第2油圧供給路41Aをロッカシャフト20内の第1制御油圧路36および第1油圧供給路37に通じさせるためにロッカシャフト20に連通孔が設けられることによるロッカシャフト20の剛性低下を抑制することができ、しかもロッカアーム21Bのロッカシャフト20への支持部において、第2制御油圧路40Aおよび第2油圧供給路41Aが、ロッカアーム21Bが備える一対の支持壁59,59に対向する位置で開口するので、これによってもロッカアーム21Bのロッカシャフト20への支持部の剛性低下を抑制することができる。
【0037】
図5および図6は本発明の実施例の第3実施例を示すものであり、図5は内燃機関の一部を示す縦断側面図、図6は図5の要部拡大図である。
【0038】
一端部にローラ22を有してロッカシャフト20で揺動可能に支承されるロッカアーム21Cの他端部には、上端を閉じた有底の摺動孔61が設けられ、この摺動孔61の上部には、リリーフ弁33Bの弁ハウジング62が圧入される。また一端を吸気弁14の上端に当接させた有底円筒状の弁当接ピストン24Bが、摺動孔61の下部に摺動可能に嵌合されており、弁ハウジング62および弁当接ピストン24B間に、弁当接ピストン24Bの他端を臨ませる油圧室28Bが形成される。
【0039】
弁ハウジング62の下部外面の周方向に間隔をあけた複数箇所には、弁当接ピストン24Bの上部内面に摺接する複数の突部62a,62a…が一体に突設されており、弁当接ピストン24bの上端部内面には、前記各突部62a,62a…の上端に当接することで油圧室28Bの容積を増大する側への弁当接ピストン24Bの移動限を規制する止め輪63が装着される。また弁当接ピストン24Bおよび弁ハウジング62間には、油圧室28Bの容積を増大するように弁当接ピストン24Bを付勢する戻しばね29が介設されており、この戻しばね29のばね荷重はごく弱く設定される。
【0040】
リリーフ弁33Bは、摺動孔61の上部に圧入される有底円筒状の前記弁ハウジング62と、摺動孔61の上部閉塞端との間に制御油圧室32Bを形成するとともに弁ハウジング62の閉塞端との間に弁室64を形成して弁ハウジング62に摺動自在に嵌合される制御ピストン65と、油圧室28Bに通じるようにして弁ハウジング62の閉塞端中央部に設けられる弁孔66と、該弁孔66を中央部に開口させるようにして弁ハウジング62の閉塞端内面に設けられて前記弁室64に臨むテーパ状の弁座67と、該弁座67に着座して前記弁孔66を閉じることを可能として弁室64に収納される球状の弁体68と、弁体68を弁座に着座する側に付勢するばね力を発揮して弁体68および制御ピストン65間に介設されるばね69とを備える。
【0041】
弁ハウジング62には、弁室64に通じるリリーフ路70が設けられ、そのリリーフ路70とロッカアーム21Cの上部外面との間にわたるリリーフ路71がロッカアーム21Cに設けられる。
【0042】
またロッカアーム21Cには、第1制御油圧路36および前記制御油圧室32B間を結ぶ第2制御油圧路40Bならびに第1油圧供給路37および前記油圧室28B間を結ぶ第2油圧供給路41Bが設けられており、第2油圧供給路41Bには、第2油圧供給路41Bを上流部41Baおよび下流部41Bbに分けるようにして一方向弁51が介設される。
【0043】
しかもロッカアーム21Cには、第2油圧供給路41Bにおける上流部41Baの油圧が低下したとき、すなわち機関停止時に前記リリーフ路71を遮断する遮断弁72が配設される。
【0044】
この遮断弁72は、第2油圧供給路41Bにおける上流部41Baの油圧低下時にリリーフ路71を遮断する遮断位置ならびに前記上流部41Baの油圧増大に応じてリリーフ路71を開放する開放位置間でのスライドを可能としてロッカアーム21Cに摺動可能に嵌合される弁ピストン73と、該弁ピストン73を遮断位置側に付勢する弁ばね74とを備える。
【0045】
ロッカアーム21Cには、前記リリーフ路71を横切る弁孔75と、第2油圧供給路41Bにおける上流部41Baおよび弁孔75の内端間を同軸に結んで弁孔75よりも小径に形成される連通孔76とが設けられ、弁ピストン73は、第2油圧供給路41Bにおける上流部41Baの油圧を連通孔76側から一端に受けるようにして弁孔75に摺動自在に嵌合される。
【0046】
しかも弁ピストン73の外周には、前記弁孔75および連通孔76間の環状段部78に弁ピストン73の一端を当接させたときに、リリーフ路71の弁孔75への開口部よりも前記環状段部78側にずれるようにして、環状溝77が設けられる。
【0047】
また弁孔75の他端開口部を塞ぐ栓部材80が、たとえばねじ込みによってロッカアーム21Cに固定されており、前記弁ばね74は該栓部材80および弁ピストン73間に縮設される。
【0048】
この遮断弁72によれば、機関の通常運転時に第2油圧供給路41Bにおける上流部41Baの油圧が充分に高いときには、弁ピストン73がその一端に作用する油圧により弁ばね74を収縮させながら弁孔75内を上方にスライドしており、環状溝77がリリーフ路71に通じることによりリリーフ路71が開放される。それに対し、機関の停止によって第2油圧供給路41Bにおける上流部41Baの油圧が低下すると、弁ピストン73はその一端を環状段部78に当接するまで下方に移動し、環状溝77がリリーフ路71の弁孔75への開口端からずれることにより、リリーフ路71が遮断される。
【0049】
この第3実施例によれば、上記第1実施例と同様の効果を奏することができるだけでなく、機関の停止時に遮断弁72でリリーフ路71を遮断することにより油圧室28B内に作動油を保持することができるので、機関の再始動時に、吸気弁14の開弁リフト量制御を速やかに開始することができる。
【0050】
しかも遮断弁72は、第2油圧供給路41Bの油圧を利用して作動するので、遮断弁72の作動のための特別の油路をロッカアーム21Cに設ける必要がなく、加工が容易になるとともにロッカアーム21Cをコンパクト化することができる。
【0051】
以上、本発明の実施例を説明したが、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明を逸脱することなく種々の設計変更を行うことが可能である。
【0052】
たとえば上記実施例では機関弁として吸気弁14を取り上げて説明したが、本発明を排気弁の動弁装置に適用することも可能である。
【0053】
また本発明は、クランク軸を鉛直方向とした船外機などのような船舶推進機用内燃機関にも適用が可能である。
【0054】
【発明の効果】
以上のように請求項1記載の発明によれば、簡単な構成で機関弁の最大開弁リフト量を無段階に変化させて、機関の運転状態に適合した弁作動特性を得ることができる。
【0055】
また請求項2記載の発明によれば、油圧室に通じる油路構成およびリリーフ弁の制御油圧室に通じる油路構成をコンパクトに纏めることができる。
【0056】
請求項3記載の発明によれば、リーク孔からリークする作動油を弁当接ピストンおよび機関弁の接触部にかけるようにして、弁当接ピストンおよび機関弁間の潤滑を果たすことができる。
【0057】
さらに請求項4記載の発明によれば、ロッカアームを上下にコンパクトに構成することが可能となるとともに、ロッカシャフトの剛性低下を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1実施例の内燃機関の一部を示す縦断側面図である。
【図2】図1の要部拡大図である。
【図3】開弁リフト特性を示す図である。
【図4】第2実施例のロッカアームの平面図である。
【図5】第3実施例の内燃機関の一部を示す縦断側面図である。
【図6】図5の要部拡大図である。
【符号の説明】
14・・・機関弁としての吸気弁
19・・・動弁カム
20・・・ロッカシャフト
21A,21B,21C・・・ロッカアーム
22・・・カム当接部としてのローラ
24A,24B・・・弁当接ピストン
28A,28B・・・油圧室
32A,32B・・・制御油圧室
33A,33B・・・リリーフ弁
34・・・油圧供給源
35・・・油圧制御弁
36・・・第1制御油圧路
37・・・第1油圧供給路
51・・・一方向弁
40A,40B・・・第2制御油圧路
41A,41B・・・第2油圧供給路
41Aa,41Ba・・・第2油圧供給路の上流部
54・・・弁ハウジング
56・・・装着孔
57・・・リーク孔

Claims (4)

  1. 動弁カム(19)と、該動弁カム(19)の回転軸線と平行な軸線を有するロッカシャフト(20)と、前記動弁カム(19)に当接するカム当接部(22)を有して前記ロッカシャフト(20)で揺動可能に支承されるロッカアーム(21A,21B,21C)と、閉弁方向にばね付勢された機関弁(14)に一端を当接させるとともに他端を油圧室(28A,28B)に臨ませて前記ロッカアーム(21A〜21C)に摺動可能に嵌合される弁当接ピストン(24A,24B)とを備える内燃機関の動弁装置において、前記ロッカアーム(21A〜21C)内に形成される制御油圧室(32A,32B)の油圧変化に応じて開弁圧を変化させるリリーフ弁(33A,33B)が、開弁時に前記油圧室(28A,28B)の作動油を逃がすようにして前記ロッカアーム(21A〜21C)に設けられ、油圧供給源(34)および前記制御油圧室(32A,32B)間に、油圧供給源(34)からの油圧を無段階に可変として制御する油圧制御弁(35)が介設され、前記油圧室(28A,28B)は油圧供給源(34)側への逆流を阻止する一方向弁(51)を介して該油圧供給源(34)に接続されることを特徴とする内燃機関の動弁装置。
  2. 前記油圧制御弁(35)からの制御油圧を導く第1制御油圧路(36)と、油圧供給源(34)に通じる第1油圧供給路(37)とが並列して前記ロッカシャフト(20)内に設けられ、前記第1制御油圧路(36)および前記制御油圧室(32A,32B)間を結ぶ第2制御油圧路(40A,40B)ならびに前記第1油圧供給路(37)および前記油圧室(28A,28B)間を結ぶ第2油圧供給路(41A,41B)が前記ロッカアーム(21A〜21C)に設けられ、前記一方向弁(51)が前記第2油圧供給路(41A,41B)の途中に介在して前記ロッカアーム(21A〜21C)に設けられることを特徴とする請求項1記載の内燃機関の動弁装置。
  3. 前記一方向弁(51)の弁ハウジング(54)は、前記弁当接ピストン(24A,24B)および機関弁(14)の接触部側に向けて開口するようにしてロッカアーム(21A〜21C)に設けられた有底の装着孔(56)に嵌合、固定され、第2油圧供給路(41A,41B)のうち第1油圧供給路(37)側の上流部(41Aa,41Ba)を前記装着孔(56)の開口端側に通じさせるリーク孔(57)が前記弁ハウジング(54)およびロッカアーム(21A〜21C)間に形成されることを特徴とする請求項2記載の内燃機関の動弁装置。
  4. 前記第2制御油圧路(40A)および前記第2油圧供給路(41A)が、前記ロッカシャフト(20)の軸線方向から見て相互に重なる配置で前記ロッカアーム(21B)に設けられ、第2制御油圧路(40A)および第2油圧供給路(41A)がロッカシャフト(20)の軸線方向に離隔した位置で第1制御油圧路(36)および第1油圧供給路(37)に連通されることを特徴とする請求項2または3記載の内燃機関の動弁装置。
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