JP2004043326A - 免疫増強剤 - Google Patents
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Abstract
【課題】CPPと同様な効果が期待でき、かつCPPが抱えるコスト面ならびに安全面における課題を解決し得るリン酸化糖を含む免疫増強剤と該リン酸化糖の製造法を開発すること。
【解決手段】リン酸化された糖であって、該糖がグルカンであり、該グルカンがαまたはβ型のいずれかである1−3、1−4および1−6結合した複数個のグルコース残基からなり、そして該グルカン1分子あたり複数個のリン酸基が結合しているリン酸化糖を含んでなる、免疫増強剤並びに天然物あるいは非天然物を起源とする糖をリン酸緩衝液中で加熱処理後、得られた処理物を凍結乾燥し、該凍結乾燥物をさらに加熱処理し、必要に応じて精製することを特徴とする上記リン酸化糖の製造方法。
【選択図】 なし
【解決手段】リン酸化された糖であって、該糖がグルカンであり、該グルカンがαまたはβ型のいずれかである1−3、1−4および1−6結合した複数個のグルコース残基からなり、そして該グルカン1分子あたり複数個のリン酸基が結合しているリン酸化糖を含んでなる、免疫増強剤並びに天然物あるいは非天然物を起源とする糖をリン酸緩衝液中で加熱処理後、得られた処理物を凍結乾燥し、該凍結乾燥物をさらに加熱処理し、必要に応じて精製することを特徴とする上記リン酸化糖の製造方法。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、特定のリン酸化糖を含んでなる免疫増強剤に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
カゼインは牛乳等に含まれるタンパク質であるが、一般的に通常のタンパク質にはあまり存在しないリン酸基を有するホスホセリンというアミノ酸残基を含んでいる。カゼインを酵素で消化したものから、このホスホセリン残基を多く含む画分を分離・精製したものが、カゼインホスホペプチド(以下、CPPと略記することがある)である。
CPPには、小腸で不溶化するカルシウムの可溶化状態を保ち、カルシウムの吸収を促進する作用があることが知られており、既に数々の食品もしくは飼料原料として実用化されている。また、CPPには、培養細胞系または動物の消化管中で免疫グロブリンA(以下、IgAと略記することがある)の産生を増強する作用があることが知られており(Milk Science, 49(2000), pp73−79 およびFoodand Agricultural Immunology, 12(2000), pp165−173)、さらにはCPPを添加した錠菓をヒトが摂取した場合にも糞中のIgAレベルを増強することが示されている(仲野ら,日本畜産学会誌、第99回大会講演要旨,2001)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
既に述べたように、CPPは数々の食品ならびに飼料原料として実用化されているが、高コストであることから、その利用法には限界があり、使用場面が狭められている。
また、CPPはカゼインを酵素で分解したものであるため、その抗原性はカゼインに比較すると低いが、完全には消失していない。このため、牛乳カゼインに対してアレルギーのあるヒトや動物が、免疫増強を期待してCPPを摂取すると、アレルギー反応を引き起こすことが懸念される。
さらに、例えば飼料において、従来は免疫力低下に伴う家畜の損耗防止を図るため、抗菌性物質等の飼料添加物やCPPのような飼料素材が用いられていたが、食品衛生面での安全性や生産コストの上昇等の問題から、安全で安価な素材が求められている。
したがって、CPPと同様な効果が期待でき、CPPが抱えるコスト面ならびに安全面における課題を解決し得るものは、産業的価値が高く、その開発が望まれるところである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、今般、リン酸基を有する特定の糖が、優れた免疫増強作用を示すことを見出した。本発明はかかる知見に基づくものである。
したがって、本発明は、リン酸基を有する免疫増強活性にすぐれた糖、その製造法およびそのような糖を含んでなる免疫増強剤を提供することを目的とする。
【0005】
請求項1に記載の本発明は、リン酸化された糖であって、該糖がグルカンであり、該グルカンがαまたはβ型のいずれかである1−3、1−4および1−6結合した複数個のグルコース残基からなり、そして該グルカン1分子あたり複数個のリン酸基が結合しているリン酸化糖を含んでなる、免疫増強剤である。
請求項2に記載の本発明は、請求項1に記載のリン酸化糖の製造方法であって、天然物あるいは非天然物を起源とする糖をリン酸緩衝液中で加熱処理後、得られた処理物を凍結乾燥し、該凍結乾燥物をさらに加熱処理し、必要に応じて精製することを特徴とするリン酸化糖の製造方法である。
請求項3に記載の本発明は、医薬として用いられる、請求項1に記載の免疫増強剤である。
請求項4に記載の本発明は、動物薬として用いられる、請求項1に記載の免疫増強剤である。
請求項5に記載の本発明は、薬学上許容可能な製剤用添加剤をさらに含んでなる、請求項3〜4のいずれかに記載の免疫増強剤である。
請求項6に記載の本発明は、請求項1に記載の免疫増強剤を含有する食品である。
請求項7に記載の本発明は、請求項1に記載の免疫増強剤を含有する飼料である。
【0006】
【発明の実施の形態】
本発明に係る免疫増強剤の出発原料は、一般的に安価で、入手しやすい糖であることから、その安全性は言うまでもなく、低コストにより産業に貢献することができる。
本発明に係る免疫増強剤は、リン酸化された糖であって、該糖がグルカンであり、該グルカンがαまたはβ型のいずれかである1−3、1−4および1−6結合した複数個のグルコース残基からなり、そして該グルカン1分子あたり複数個のリン酸基が結合しているリン酸化糖を含むものである。ここで、複数個のグルコース残基とは、3〜300個、より好ましくは3〜250個のグルコース残基を意味し、グルカン1分子あたり複数個のリン酸基が結合しているリン酸化糖とは、グルカン1分子あたり2〜42個、より好ましくは4〜39個のリン酸基が結合しているリン酸化糖を意味する。
【0007】
本発明において「グルカン」とは、セルロース、アミロース、グリコゲン、デンプン、デキストリン等のポリマー類を含有する、各種の天然に生ずるホモ多糖類またはポリグルコース類、あるいはこれらを処理して得られるものを一般的に対象とする。グルカンは、αまたはβ型のいずれかである1−3、1−4および1−6のグリコシド結合によりリンクされた分枝または非分枝鎖のグルコース単位を含む。
【0008】
本発明において「免疫増強剤」とは、免疫増強活性を有する剤のことを言い、その用途は医薬、動物薬に限られず、食品や飼料等に配合され、利用されるものであってもよい。
また、本発明において、「免疫増強活性を有する」とは、ヒトを含む動物において、脾臓細胞のマイトージェン活性および免疫グロブリンの産生増強活性のような免疫増強作用を増加させることができることを言い、例えば、本明細書の実施例の評価試験に記載の測定法と同様の条件において測定した場合に、脾臓細胞増殖および免疫グロブリン量増加のような指標によって免疫増強活性が認められたと評価されることを意味する。
【0009】
本発明の好ましい態様によれば、免疫増強剤に含まれるリン酸化された糖において、該糖は分子量が小さいほど好ましい。分子量が小さい糖であるほど、後記の実施例3に示したとおり、リン酸基が多く結合してリン酸化されやすい。
また、分子量が小さいと生体内で吸収されやすく、生体調節機能、すなわち本発明においては免疫増強活性を発現させるのに有利である。
【0010】
本発明によるリン酸化糖は、糖として天然起源または非天然起源のものを出発原料として、慣用の各種合成法を利用することによって製造したものであって、例えば下記のような手順に従って製造することができる。
微生物源(サッカロミセス・セレビシェ)由来の微粒子グルカンを強力オトロピック剤を含む高極性溶媒に懸濁して得られた混合物を、約50〜150℃で一定に攪拌しながらリン酸と反応させる。約1時間後、可溶性リン酸化グルカン生産物から成る反応混合物の生成が明らかとなる。
活性生産物の収量増加のためには、約100℃で約3〜12時間反応混合物を保持することが好ましい。可溶性リン酸化グルカン生産物を単離するため、反応混合物から残留沈降物を除去するためのろ過、目的物質より小さい分子量の物質を除去するためのモレキュラーシービングおよび透析等を実施する。その後、濃縮、凍結乾燥により最終的に可溶性リン酸化グルカンが得られる(特許第2550332号明細書(WO87/01037)。
【0011】
また、本発明のリン酸化糖を得るための好ましい方法として、以下の方法が提供される。すなわち、天然物あるいは非天然物を起源とする糖を用意し、該糖をリン酸緩衝液中で、例えば50〜120℃で5〜30分間、好適には約80℃で10分間加熱処理して反応させる。このとき、糖の濃度は0.5〜10%、好適には1〜5%が適当である。加熱処理後、該処理混合物を凍結乾燥し、得られた凍結乾燥物をさらに90〜160℃、好適には約110〜140℃で12〜36時間、好適には約24時間加熱処理する。次いで、所望により、該加熱処理物を透析等により精製して、目的とするリン酸化糖を得る方法が提供される。
【0012】
本発明に係る免疫増強剤は、医薬、動物薬などの用途の他、食品または飼料に配合して用いることができる。
医薬として用いる場合には、本発明に係る免疫増強剤は、投与経路に応じて適当な剤形とされる。具体的には、主として静注、筋注等の注射剤;カプセル剤、錠剤、顆粒剤、散剤、丸剤、細粒剤、糖衣錠、トローチ錠、チュアブル錠等の経口剤;直腸投与剤、油脂性坐剤等のいずれかの製剤形態に調製することができる。また、該免疫増強剤は必要に応じて、液剤、懸濁剤、液剤封入カプセル剤等の形態であってもよい。
【0013】
これらの製剤は、通常用いられている賦形剤、増量剤、結合剤、湿潤化剤、崩壊剤、表面活性剤、滑沢剤、分散剤、緩衝剤、保存剤、溶解補助剤、防腐剤、矯味矯臭剤、無痛化剤、安定化剤等の薬学上許容される製剤用添加剤を、必要に応じて配合し、常法により製造することができる。すなわち、本発明に係る免疫増強剤は、薬学上許容される製剤用添加剤をさらに含むものであっても良い。
【0014】
使用可能な上記添加剤としては、例えば乳糖、果糖、ブドウ糖、ゼラチン、炭酸マグネシウム、合成ケイ酸マグネシウム、タルク、ステアリン酸マグネシウム、メチルセルロースまたはその塩、アラビアゴム、ポリエチレングリコール、シロップ、ワセリン、グリセリン、エタノール、プロピレングリコール、クエン酸、塩化ナトリウム、亜硫酸ソーダ、リン酸ナトリウム等が挙げられる。
【0015】
本発明に係る免疫増強剤を、医薬として用いる場合には、経口投与、非経口投与、吸入、経直腸投与、局所投与などの各種投与形態を採用することができる。このうち、非経口投与には、皮下注射、静脈内投与、筋肉内投与、鼻腔内投与または注入などが含まれる。したがって、例えば鼻、口腔、舌下、直腸等の粘膜投与あるいは経皮投与埋め込み剤による投与であってもよく、このようないずれかの投与経路により、本発明に係る免疫増強剤を、ヒトおよびヒト以外の動物に投与することができる。
免疫増強剤の投与量は、用法、患者の年齢、性別、症状の程度等を考慮して適宜決定すればよく、決定された量を1日1回または数回に分けて投与することができる。
【0016】
このように医薬の形態で提供される本発明に係る免疫増強剤は、種々の感染症の治療および予防や、アレルギー性の疾患や自己免疫疾患のような疾患の治療等において有利に使用することができる。
すなわち、乳汁中に分泌される免疫グロブリンである分泌型IgAは、強力な病原性をもつ微生物の腸管粘膜への結合阻害および細菌毒素と特異的に結合してその作用を不活化すること、ならびにアレルゲンとして作用する食餌性の抗原と結合し、消化管壁を通過することを防止してアレルギー反応を抑制すること等が知られている。
また一方で、分泌型IgAのない育児粉乳で育てられた人工栄養児およびIgA欠損症の患者では、食餌性抗原に対するIgG抗体が高頻度に出現し、アレルギー性の疾患や自己免疫疾患の発現頻度が高いことが知られている。
本発明に係る免疫増強剤によれば、感染防御やアレルギー反応の抑制効果を有するIgAの体内での誘導を促進することができる。このため、生体の免疫能を増強させることができる。
【0017】
食品として用いる場合には、本発明に係る免疫増強剤は、ガム、ビスケット、チョコレート、キャンディー、ゼリー、錠菓、粉乳、および飲料などの形で提供することができる。
このような食品形態で提供される本発明に係る免疫増強剤は、体力的に劣る幼年者や老年者、病後の患者等の栄養補給や健康増進、さらにはアレルギー性疾患のような疾患を有する患者の健康増進等を図る上で有利である。なお、食品中における免疫増強剤の含有量については、使用目的などを考慮して適宜決定すればよい。
【0018】
次に、本発明に係る免疫増強剤を飼料として用いる場合には、養牛用飼料、養豚用飼料、養鶏用飼料等の家畜飼料、ペットフード、各種配合飼料などの形で提供することができる。
免疫増強剤を投与する方法としては、飼料等に配合して経口的に摂取させる方法が一般的であるが、水などの飲料に加えて摂取させる方法でもよい。
本発明に係る免疫増強剤を配合する飼料等については、格別の制限はなく、市販品でよく、動物の種類やその成長の程度等に応じて適切なものを選択すればよい。
このときの投与量については、動物の種類、年齢、体重、性別、給餌する環境等を考慮して適宜決定される。これを一定期間、好ましくは出荷時まで継続して動物に投与することが好ましい。
【0019】
本発明の免疫増強剤は、飼料形態により動物の免疫能を簡便に増強することができるものである。それ故、例えば牧場等における牛のような家畜動物の感染症やアレルギー性疾患等の治療および予防を図ることができ、有用である。
【0020】
本発明に係る免疫増強剤は、脾臓細胞のマイトージェン活性および免疫グロブリンの産生増強活性のような免疫賦活作用に優れている。また、本発明の免疫増強剤に有効成分として含まれているものは、複数個のリン酸基を有する糖であり、このものは従来から免疫増強活性が認められていたカゼインやCPPのようなタンパク質ならびにペプチドに比べると、明らかにアレルゲンとなりにくい。
このため、本発明に用いる該リン酸化糖は、優れた免疫増強作用を有すると同時に、カゼインやCPPを使用した場合に比べてアレルギー反応が大幅に低減されるか、またはアレルギー反応を引き起こすことのないものである。すなわち、本発明に係る免疫増強剤は安全性に優れたものである。
【0021】
また、本発明に係る免疫増強剤は、免疫機能が弱いヒトや動物に対して、免疫増強作用を賦与する食品素材、医薬品素材あるいは飼料素材としての用途に有用である。例えば、生後間もない仔豚は、母乳からの移行抗体により感染から守られているが、養豚における通常の飼育管理では生後20日齢を越えると、母豚より引き離され強制的に離乳させられる。そして、それに伴う移行抗体の減少により仔豚は免疫力が低下し、感染症の脅威に曝される。その場合、本発明の免疫増強剤を与えれば、免疫力低下を阻止することが期待できる。さらに、加齢、疾病および疲労等に伴って免疫力が低下したヒトや動物においても、本発明の免疫増強剤を使用することにより、日常の健康増進を安全に図ることができる。
【0022】
【実施例】
以下に実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明し、本発明の効果を明らかにするが、これらによって本発明の範囲が限定されるものではない。
実施例1
デキストリン(三和澱粉工業株式会社製)を0.1M リン酸緩衝液(pH5.5、以下PBと略記することがある)中に2%濃度になるように、80℃に調整したウォーターバス中で10分間振盪しながら溶解させた。
この溶液を凍結乾燥後、三角フラスコに移し、蓋をしない状態で140℃に調整した乾燥機で24時間保持した。次いで、2%濃度になるように脱塩水に溶解し、PPECTRA/PORCE チューブ(cut off M.W.500、フナコシ株式会社製) に注入して、水道水に対して72時間透析した。そして、透析内液を凍結乾燥したものを実験に供した。一方、PBの代わりに蒸留水を用いて同様の処理を行ったものを、コントロールのデキストリンとした。
上記のPB中で加熱処理したデキストリンの0.05%ならびに0.1%脱塩水溶液、未処理およびコントロールデキストリンの0.5%脱塩水溶液を調製して、それぞれのリン酸量を測定した。
【0023】
まず、無機リン酸量を求めるため、25ml容メスフラスコにこれら試料溶液2mlを入れ、70%過塩素酸2.0ml、アミドール(2,4−ジアミノフェノールヒドロクロライド)試薬2.0mlおよび8.3%モリブデン酸アンモニウム溶液1.0mlを加えて良く混合した後、脱塩水で25mlにメスアップした。次いで、室温で20分間放置した後、UV−VIS SPECTROPHOTOMETER(島津製作所製)を用いて、その720nmの波長における吸光度を測定した。既知量のリン酸二水素カリウム溶液標準溶液に、同様の処理を行い標準曲線を作成し、その標準曲線に吸光度を代入することにより、無機リン酸量を算出した。
【0024】
一方、30ml容ケルダール分解フラスコに、試料溶液2.0mlと70%過塩素酸2.2mlを入れ、ケルダール分解装置を用いて15〜25分間、溶液の色が一定になるまで加熱した。
一度放冷した後、30%過酸化水素水20μlを加えて、5分間再度加熱した。次いで、放冷した分解液に、脱塩水3.0mlを加え、激しく沸騰している湯浴中に10分間浸し、完全に湿式灰化させた。
続いて、この溶液を25ml容メスフラスコに移し、アドミール試薬2.0mlおよび8.3%モリブデン酸アンモニウム溶液1.0mlを加えた後、脱塩水で25mlにメスアップした。室温に20分間放置した後、無機リン酸と同様に吸光度を測定し、得られた吸光度を標準曲線に代入して算出された値を全リン酸量とした。なお、有機リン酸量は、全リン酸量から無機リン酸量を減ずることにより求めた。
【0025】
また、デキストリンの代わりにデンプンについてもリン酸化し(中野ら, 日本農芸化学会誌(臨時増刊), 74, 2000)、同様の検討を行った。
リン酸量に関する結果は第1表に示した通りであった。すなわち、デンプン(分子量27,000)の場合、デンプン1分子あたりに110℃で処理すると、11.2分子のリン酸残基が、120℃では17.4分子が、130℃では26.3分子が、140℃では35.4分子がそれぞれ含まれることがわかる。
一方、デキストリン(分子量2,700)の場合、未処理デキストリンおよび蒸留水溶液での凍結乾燥物を加熱処理したデキストリン中のリン酸残基数は、それぞれデキストリン1分子あたり0.005および0.003分子と微量であるが、PB中での凍結乾燥物を加熱処理したデキストリンには、1分子あたり約4.5分子のリン酸が検出された。このことから、PB中での凍結乾燥物を加熱処理することによりデキストリンにリン酸が導入されることが確認された。
【0026】
【表1】
第1表
【0027】
実施例2
実施例1で得たPB中での凍結乾燥物を加熱処理して得たリン酸化デキストリン1mgあるいは未処理デキストリン1mgを10〜100倍の臭化カリウムと混合して錠剤状にしたものを試料として、その赤外線吸収スペクトル(IR)をJasco IR−810s Infrared Spectrophotometer(日本分光株式会社製)にて測定した。結果を図1に示した。
未処理デキストリンには、波数1,300〜1,400cm−1付近に強い吸収があり、PB中の凍結乾燥物を加熱処理したデキストリンには波数1,300〜1,400cm−1の吸収は弱く、1,240cm−1付近にピークの形成が認められた。一般的に1,300〜1,400cm−1付近は−OHに由来し、1,240cm−1付近はP=Oに由来することから、加熱処理したデキストリンでは−OHが減少してP=Oが増加したと考えられる。このことは、PB中の凍結乾燥物を加熱処理したデキストリンでは−OHとリン酸の脱水縮合反応による共有結合、すなわちリン酸化が起こったことを示している。
【0028】
実施例3
実施例1で得たPB中での凍結乾燥物を加熱処理して得たリン酸化デキストリンまたは未処理デキストリンをリン酸緩衝生理食塩水(以下PBSと略記することがある)(pH7.2)に100mg/4mlに懸濁させ、4℃、3,000rpmで15分間遠心分離して得た上澄み3.5mlを、Bio−Gel P−6 カラム(100−200mesh、Bio−Rad Laboratories, California, USA 、2.5×100cm)に供した。溶出にはPBS(pH7.2)を用い、流速は25ml/hrとした。溶出液をフェノール硫酸法で呈色させ、UV−VIS SPECTROPHOTOMETER(島津製作所製)を用いて、490nmの波長で吸光度を測定した。なお、本ゲル濾過に供した試料溶液3.5ml中にはデキストリンが43.8mg溶解している。結果を図2に示した。
【0029】
図2から明らかなように、未処理デキストリンは2つのピークを形成して溶出し、ボイドボリュームに溶出するデキストリンが全体の26.8%を占めた。PB中での凍結乾燥物を加熱処理したデキストリンでは3つのピークを形成して溶出し、それら溶出液をそれぞれ溶出順にA、B、Cと命名した。A、BおよびCは、それぞれ添加したデキストリンの58.6%、22.5%、10.4%を占め、ボイドボリューム(Aに等しい)に溶出するデキストリンは未処理の場合のおよそ2倍であり、ボイドボリューム以外に溶出するデキストリンは、未処理の場合のおよそ半分であると共に、より早く溶出した。すなわち、デキストリンは加熱処理することによって高分子化した。
実施例1および実施例2の結果と合わせて考慮すると、デキストリンは加熱処理によってリン酸化され、そのため高分子化したことが判る。
【0030】
また、本ゲル濾過に供した、PB中での凍結乾燥物を加熱処理したデキストリンを未分画デキストリンとし、分画したA、BおよびCと共に、それらデキストリン中のリン酸量を求めた結果を第2表に示した。
デキストリンの分子量を2,700としてデキストリン1分子に結合しているリン酸残基を算出すると、未分画デキストリン、A、BおよびCは、それぞれ4.5分子、3.6分子、4.0分子および6.5分子のリン酸を含んでいた。このことより分子量が小さくなるほど、リン酸化されやすいことが確認された。
【0031】
【表2】
第2表
【0032】
試験例1
実施例1で得たリン酸化デンプンのサンプルならびに実施例3で得たリン酸化デキストリンの分画物A、BおよびCのサンプルを、下記の評価試験に付して免疫増強能を評価した。
評価試験
マウス脾臓細胞は、6週齢のC3H/HeN系雄マウスから無菌的に採取し、100U/mlのペニシリンと100μg/mlのストレプトマイシンを含むRPMI1600培地で培養を行った。
マイクロプレート中で5×106 個の脾臓細胞に対して、前記した各サンプルを、リン酸化デンプンは10μg/ml、リン酸化デキストリンの分画物A、BおよびCは各5μg/mlになるように添加し、2μg/mlのコンカナバリンA(ConA)、50μl/mlのリポ多糖(LPS)または2.5μg/mlのフィトヘマグルチニン(PHA)のいずれかを、それぞれに加え、それらを37℃で5%の炭酸ガス下において培養した。
【0033】
細胞の増殖活性は72時間後の細胞数で評価し、免疫グロブリンの産生は24〜120時間の培養で測定した。
培養終了後、免疫細胞の増殖を色素MTT法(Mosmann,T., J. Immunol. Method, 65(1983), pp55−63)により測定し、フォルマザンの生成は、570nmの吸光度をマイクロプレートリーダー(Bio−Rad model 450)で測定することにより求めた。
また、免疫グロブリン(IgA)の量は、リン酸化デキストリンの分画物A、BおよびCについて、サンドウィッチELISA法(Williams,D.J.L. et al., Vet. Immunol. Immunopath., 24(1990), pp267−283)により測定した。すなわち、ヤギの抗マウスIgA抗体をコートしたプレートに細胞培養液を添加し、洗浄後、西洋ワサビペルオキシダーゼを標識した抗マウスIgA抗体を反応させることにより求めた。なお、効果の有意差判定には、Student のt検定を用いた。
【0034】
細胞増殖に関する試験結果は図3および図4に示した。これらの図から明らかなように、リン酸化デンプンは、未処理デンプンと比較しても、また各々のマイトージェン単独と比較しても、ほとんどの濃度でBリンパ球、ヘルパーTリンパ球およびサプレッサーT・キラーTリンパ球の増殖活性が有意に増加した(図3)。図中、左から無添加、マイトージェンのみ、未処理デンプン、1モルあたりのリン酸基数11−12のリン酸化デンプン、1モルあたりのリン酸基数17−18のリン酸化デンプン、1モルあたりのリン酸基数26−27のリン酸化デンプン、1モルあたりのリン酸基数35−36のリン酸化デンプンを示す。また、*は有意水準5%未満(P<0.05)、**は有意水準1%未満(P<0.01)、***は有意水準0.1%未満(P<0.001)であることを示す。
次に、リン酸化デキストリンの分画物A、BおよびCは、各々のマイトージェン単独と比較し、Bリンパ球、Tリンパ球およびサプレッサーT・キラーTリンパ球の増殖活性が有意に増加した。また、マイトージェン非存在下でも、それら自身が脾臓細胞増殖活性を有意に増加させた(図4)。図中、*は有意水準5%未満(P<0.05)、**は有意水準1%未満(P<0.01)、***は有意水準0.1%未満(P<0.001)であることを示す。
【0035】
IgA量に関する試験結果は図5に示した通りである。図から明らかなように、リン酸化デキストリンの分画物A、BおよびCは、陰性対照と比較して有意にIgA量が増加した。図中、*は有意水準5%未満(P<0.05)、**は有意水準1%未満(P<0.01)、***は有意水準0.1%未満(P<0.001)であることを示す。
【0036】
【発明の効果】
本発明の免疫増強剤は、リン酸化された糖を有効成分として含むものであり、免疫増強作用に優れている上に、安価、かつ安定的に供給することができる。そのため、体力的に劣る幼年者や老年者、病中病後の患者等に用いられる医薬品および食品、さらには動物薬や飼料に適する。
この免疫増強剤を医薬品、食品または飼料としてそのまま用いても、あるいは希釈して用いても脾臓細胞増殖および免疫グロブリン産生増強に示される免疫増強効果を発揮する。
【0037】
さらに、本発明の免疫増強剤は糖を由来とするために、アレルゲンとなりにくく、アレルギー反応が全くないか、もしくは少ない安全性に優れたものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例2の結果を示す図である。リン酸化糖の製造に際しての加熱処理によるリン酸化デキストリンおよび未処理デキストリンの赤外線吸収スペクトルを調べた結果を示す。なお、図中の矢印は特徴的な強い吸収が認められた波数を指す。
【図2】実施例3の結果を示す図である。リン酸化糖の製造に際しての加熱処理によるリン酸化デキストリンおよび未処理デキストリンのゲル濾過カラムクロマトグラムを調べた結果を示す。なお、図中においてA、BおよびCは溶出順に示したピークを示す。
【図3】試験例1の評価試験の結果を示す図である。リン酸化デンプンおよび未処理デンプンのマイトージェン存在下におけるマウス脾臓細胞増殖に及ぼす影響を調べた結果を示す。図中において、LPS、PHAおよびConAは各種マイトージェンを示しており、LPSはBリンパ球増殖活性を、PHAはヘルパーTリンパ球増殖活性を、ConAはサプレッサーT・キラーTリンパ球増殖活性を有する。
【図4】試験例1の評価試験の結果を示す図である。リン酸化デキストリンの分画物A、BおよびCならびに未分画物のマイトージェン存在下および非存在下におけるマウス脾臓細胞増殖に及ぼす影響を調べた結果を示す。図中において、A、BおよびCは、リン酸化デキストリンのゲル濾過カラムクロマトグラフィーによる溶出順の分画物を示す。
【図5】試験例1の評価試験の結果を示す図である。リン酸化デキストリンの分画物A、BおよびCのマウス脾臓細胞におけるIgA産生に及ぼす影響を調べた結果を示す。図中において、A、BおよびCは、リン酸化デキストリンのゲル濾過カラムクロマトグラフィーによる溶出順の分画物を示す。
【発明の属する技術分野】
本発明は、特定のリン酸化糖を含んでなる免疫増強剤に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
カゼインは牛乳等に含まれるタンパク質であるが、一般的に通常のタンパク質にはあまり存在しないリン酸基を有するホスホセリンというアミノ酸残基を含んでいる。カゼインを酵素で消化したものから、このホスホセリン残基を多く含む画分を分離・精製したものが、カゼインホスホペプチド(以下、CPPと略記することがある)である。
CPPには、小腸で不溶化するカルシウムの可溶化状態を保ち、カルシウムの吸収を促進する作用があることが知られており、既に数々の食品もしくは飼料原料として実用化されている。また、CPPには、培養細胞系または動物の消化管中で免疫グロブリンA(以下、IgAと略記することがある)の産生を増強する作用があることが知られており(Milk Science, 49(2000), pp73−79 およびFoodand Agricultural Immunology, 12(2000), pp165−173)、さらにはCPPを添加した錠菓をヒトが摂取した場合にも糞中のIgAレベルを増強することが示されている(仲野ら,日本畜産学会誌、第99回大会講演要旨,2001)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
既に述べたように、CPPは数々の食品ならびに飼料原料として実用化されているが、高コストであることから、その利用法には限界があり、使用場面が狭められている。
また、CPPはカゼインを酵素で分解したものであるため、その抗原性はカゼインに比較すると低いが、完全には消失していない。このため、牛乳カゼインに対してアレルギーのあるヒトや動物が、免疫増強を期待してCPPを摂取すると、アレルギー反応を引き起こすことが懸念される。
さらに、例えば飼料において、従来は免疫力低下に伴う家畜の損耗防止を図るため、抗菌性物質等の飼料添加物やCPPのような飼料素材が用いられていたが、食品衛生面での安全性や生産コストの上昇等の問題から、安全で安価な素材が求められている。
したがって、CPPと同様な効果が期待でき、CPPが抱えるコスト面ならびに安全面における課題を解決し得るものは、産業的価値が高く、その開発が望まれるところである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、今般、リン酸基を有する特定の糖が、優れた免疫増強作用を示すことを見出した。本発明はかかる知見に基づくものである。
したがって、本発明は、リン酸基を有する免疫増強活性にすぐれた糖、その製造法およびそのような糖を含んでなる免疫増強剤を提供することを目的とする。
【0005】
請求項1に記載の本発明は、リン酸化された糖であって、該糖がグルカンであり、該グルカンがαまたはβ型のいずれかである1−3、1−4および1−6結合した複数個のグルコース残基からなり、そして該グルカン1分子あたり複数個のリン酸基が結合しているリン酸化糖を含んでなる、免疫増強剤である。
請求項2に記載の本発明は、請求項1に記載のリン酸化糖の製造方法であって、天然物あるいは非天然物を起源とする糖をリン酸緩衝液中で加熱処理後、得られた処理物を凍結乾燥し、該凍結乾燥物をさらに加熱処理し、必要に応じて精製することを特徴とするリン酸化糖の製造方法である。
請求項3に記載の本発明は、医薬として用いられる、請求項1に記載の免疫増強剤である。
請求項4に記載の本発明は、動物薬として用いられる、請求項1に記載の免疫増強剤である。
請求項5に記載の本発明は、薬学上許容可能な製剤用添加剤をさらに含んでなる、請求項3〜4のいずれかに記載の免疫増強剤である。
請求項6に記載の本発明は、請求項1に記載の免疫増強剤を含有する食品である。
請求項7に記載の本発明は、請求項1に記載の免疫増強剤を含有する飼料である。
【0006】
【発明の実施の形態】
本発明に係る免疫増強剤の出発原料は、一般的に安価で、入手しやすい糖であることから、その安全性は言うまでもなく、低コストにより産業に貢献することができる。
本発明に係る免疫増強剤は、リン酸化された糖であって、該糖がグルカンであり、該グルカンがαまたはβ型のいずれかである1−3、1−4および1−6結合した複数個のグルコース残基からなり、そして該グルカン1分子あたり複数個のリン酸基が結合しているリン酸化糖を含むものである。ここで、複数個のグルコース残基とは、3〜300個、より好ましくは3〜250個のグルコース残基を意味し、グルカン1分子あたり複数個のリン酸基が結合しているリン酸化糖とは、グルカン1分子あたり2〜42個、より好ましくは4〜39個のリン酸基が結合しているリン酸化糖を意味する。
【0007】
本発明において「グルカン」とは、セルロース、アミロース、グリコゲン、デンプン、デキストリン等のポリマー類を含有する、各種の天然に生ずるホモ多糖類またはポリグルコース類、あるいはこれらを処理して得られるものを一般的に対象とする。グルカンは、αまたはβ型のいずれかである1−3、1−4および1−6のグリコシド結合によりリンクされた分枝または非分枝鎖のグルコース単位を含む。
【0008】
本発明において「免疫増強剤」とは、免疫増強活性を有する剤のことを言い、その用途は医薬、動物薬に限られず、食品や飼料等に配合され、利用されるものであってもよい。
また、本発明において、「免疫増強活性を有する」とは、ヒトを含む動物において、脾臓細胞のマイトージェン活性および免疫グロブリンの産生増強活性のような免疫増強作用を増加させることができることを言い、例えば、本明細書の実施例の評価試験に記載の測定法と同様の条件において測定した場合に、脾臓細胞増殖および免疫グロブリン量増加のような指標によって免疫増強活性が認められたと評価されることを意味する。
【0009】
本発明の好ましい態様によれば、免疫増強剤に含まれるリン酸化された糖において、該糖は分子量が小さいほど好ましい。分子量が小さい糖であるほど、後記の実施例3に示したとおり、リン酸基が多く結合してリン酸化されやすい。
また、分子量が小さいと生体内で吸収されやすく、生体調節機能、すなわち本発明においては免疫増強活性を発現させるのに有利である。
【0010】
本発明によるリン酸化糖は、糖として天然起源または非天然起源のものを出発原料として、慣用の各種合成法を利用することによって製造したものであって、例えば下記のような手順に従って製造することができる。
微生物源(サッカロミセス・セレビシェ)由来の微粒子グルカンを強力オトロピック剤を含む高極性溶媒に懸濁して得られた混合物を、約50〜150℃で一定に攪拌しながらリン酸と反応させる。約1時間後、可溶性リン酸化グルカン生産物から成る反応混合物の生成が明らかとなる。
活性生産物の収量増加のためには、約100℃で約3〜12時間反応混合物を保持することが好ましい。可溶性リン酸化グルカン生産物を単離するため、反応混合物から残留沈降物を除去するためのろ過、目的物質より小さい分子量の物質を除去するためのモレキュラーシービングおよび透析等を実施する。その後、濃縮、凍結乾燥により最終的に可溶性リン酸化グルカンが得られる(特許第2550332号明細書(WO87/01037)。
【0011】
また、本発明のリン酸化糖を得るための好ましい方法として、以下の方法が提供される。すなわち、天然物あるいは非天然物を起源とする糖を用意し、該糖をリン酸緩衝液中で、例えば50〜120℃で5〜30分間、好適には約80℃で10分間加熱処理して反応させる。このとき、糖の濃度は0.5〜10%、好適には1〜5%が適当である。加熱処理後、該処理混合物を凍結乾燥し、得られた凍結乾燥物をさらに90〜160℃、好適には約110〜140℃で12〜36時間、好適には約24時間加熱処理する。次いで、所望により、該加熱処理物を透析等により精製して、目的とするリン酸化糖を得る方法が提供される。
【0012】
本発明に係る免疫増強剤は、医薬、動物薬などの用途の他、食品または飼料に配合して用いることができる。
医薬として用いる場合には、本発明に係る免疫増強剤は、投与経路に応じて適当な剤形とされる。具体的には、主として静注、筋注等の注射剤;カプセル剤、錠剤、顆粒剤、散剤、丸剤、細粒剤、糖衣錠、トローチ錠、チュアブル錠等の経口剤;直腸投与剤、油脂性坐剤等のいずれかの製剤形態に調製することができる。また、該免疫増強剤は必要に応じて、液剤、懸濁剤、液剤封入カプセル剤等の形態であってもよい。
【0013】
これらの製剤は、通常用いられている賦形剤、増量剤、結合剤、湿潤化剤、崩壊剤、表面活性剤、滑沢剤、分散剤、緩衝剤、保存剤、溶解補助剤、防腐剤、矯味矯臭剤、無痛化剤、安定化剤等の薬学上許容される製剤用添加剤を、必要に応じて配合し、常法により製造することができる。すなわち、本発明に係る免疫増強剤は、薬学上許容される製剤用添加剤をさらに含むものであっても良い。
【0014】
使用可能な上記添加剤としては、例えば乳糖、果糖、ブドウ糖、ゼラチン、炭酸マグネシウム、合成ケイ酸マグネシウム、タルク、ステアリン酸マグネシウム、メチルセルロースまたはその塩、アラビアゴム、ポリエチレングリコール、シロップ、ワセリン、グリセリン、エタノール、プロピレングリコール、クエン酸、塩化ナトリウム、亜硫酸ソーダ、リン酸ナトリウム等が挙げられる。
【0015】
本発明に係る免疫増強剤を、医薬として用いる場合には、経口投与、非経口投与、吸入、経直腸投与、局所投与などの各種投与形態を採用することができる。このうち、非経口投与には、皮下注射、静脈内投与、筋肉内投与、鼻腔内投与または注入などが含まれる。したがって、例えば鼻、口腔、舌下、直腸等の粘膜投与あるいは経皮投与埋め込み剤による投与であってもよく、このようないずれかの投与経路により、本発明に係る免疫増強剤を、ヒトおよびヒト以外の動物に投与することができる。
免疫増強剤の投与量は、用法、患者の年齢、性別、症状の程度等を考慮して適宜決定すればよく、決定された量を1日1回または数回に分けて投与することができる。
【0016】
このように医薬の形態で提供される本発明に係る免疫増強剤は、種々の感染症の治療および予防や、アレルギー性の疾患や自己免疫疾患のような疾患の治療等において有利に使用することができる。
すなわち、乳汁中に分泌される免疫グロブリンである分泌型IgAは、強力な病原性をもつ微生物の腸管粘膜への結合阻害および細菌毒素と特異的に結合してその作用を不活化すること、ならびにアレルゲンとして作用する食餌性の抗原と結合し、消化管壁を通過することを防止してアレルギー反応を抑制すること等が知られている。
また一方で、分泌型IgAのない育児粉乳で育てられた人工栄養児およびIgA欠損症の患者では、食餌性抗原に対するIgG抗体が高頻度に出現し、アレルギー性の疾患や自己免疫疾患の発現頻度が高いことが知られている。
本発明に係る免疫増強剤によれば、感染防御やアレルギー反応の抑制効果を有するIgAの体内での誘導を促進することができる。このため、生体の免疫能を増強させることができる。
【0017】
食品として用いる場合には、本発明に係る免疫増強剤は、ガム、ビスケット、チョコレート、キャンディー、ゼリー、錠菓、粉乳、および飲料などの形で提供することができる。
このような食品形態で提供される本発明に係る免疫増強剤は、体力的に劣る幼年者や老年者、病後の患者等の栄養補給や健康増進、さらにはアレルギー性疾患のような疾患を有する患者の健康増進等を図る上で有利である。なお、食品中における免疫増強剤の含有量については、使用目的などを考慮して適宜決定すればよい。
【0018】
次に、本発明に係る免疫増強剤を飼料として用いる場合には、養牛用飼料、養豚用飼料、養鶏用飼料等の家畜飼料、ペットフード、各種配合飼料などの形で提供することができる。
免疫増強剤を投与する方法としては、飼料等に配合して経口的に摂取させる方法が一般的であるが、水などの飲料に加えて摂取させる方法でもよい。
本発明に係る免疫増強剤を配合する飼料等については、格別の制限はなく、市販品でよく、動物の種類やその成長の程度等に応じて適切なものを選択すればよい。
このときの投与量については、動物の種類、年齢、体重、性別、給餌する環境等を考慮して適宜決定される。これを一定期間、好ましくは出荷時まで継続して動物に投与することが好ましい。
【0019】
本発明の免疫増強剤は、飼料形態により動物の免疫能を簡便に増強することができるものである。それ故、例えば牧場等における牛のような家畜動物の感染症やアレルギー性疾患等の治療および予防を図ることができ、有用である。
【0020】
本発明に係る免疫増強剤は、脾臓細胞のマイトージェン活性および免疫グロブリンの産生増強活性のような免疫賦活作用に優れている。また、本発明の免疫増強剤に有効成分として含まれているものは、複数個のリン酸基を有する糖であり、このものは従来から免疫増強活性が認められていたカゼインやCPPのようなタンパク質ならびにペプチドに比べると、明らかにアレルゲンとなりにくい。
このため、本発明に用いる該リン酸化糖は、優れた免疫増強作用を有すると同時に、カゼインやCPPを使用した場合に比べてアレルギー反応が大幅に低減されるか、またはアレルギー反応を引き起こすことのないものである。すなわち、本発明に係る免疫増強剤は安全性に優れたものである。
【0021】
また、本発明に係る免疫増強剤は、免疫機能が弱いヒトや動物に対して、免疫増強作用を賦与する食品素材、医薬品素材あるいは飼料素材としての用途に有用である。例えば、生後間もない仔豚は、母乳からの移行抗体により感染から守られているが、養豚における通常の飼育管理では生後20日齢を越えると、母豚より引き離され強制的に離乳させられる。そして、それに伴う移行抗体の減少により仔豚は免疫力が低下し、感染症の脅威に曝される。その場合、本発明の免疫増強剤を与えれば、免疫力低下を阻止することが期待できる。さらに、加齢、疾病および疲労等に伴って免疫力が低下したヒトや動物においても、本発明の免疫増強剤を使用することにより、日常の健康増進を安全に図ることができる。
【0022】
【実施例】
以下に実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明し、本発明の効果を明らかにするが、これらによって本発明の範囲が限定されるものではない。
実施例1
デキストリン(三和澱粉工業株式会社製)を0.1M リン酸緩衝液(pH5.5、以下PBと略記することがある)中に2%濃度になるように、80℃に調整したウォーターバス中で10分間振盪しながら溶解させた。
この溶液を凍結乾燥後、三角フラスコに移し、蓋をしない状態で140℃に調整した乾燥機で24時間保持した。次いで、2%濃度になるように脱塩水に溶解し、PPECTRA/PORCE チューブ(cut off M.W.500、フナコシ株式会社製) に注入して、水道水に対して72時間透析した。そして、透析内液を凍結乾燥したものを実験に供した。一方、PBの代わりに蒸留水を用いて同様の処理を行ったものを、コントロールのデキストリンとした。
上記のPB中で加熱処理したデキストリンの0.05%ならびに0.1%脱塩水溶液、未処理およびコントロールデキストリンの0.5%脱塩水溶液を調製して、それぞれのリン酸量を測定した。
【0023】
まず、無機リン酸量を求めるため、25ml容メスフラスコにこれら試料溶液2mlを入れ、70%過塩素酸2.0ml、アミドール(2,4−ジアミノフェノールヒドロクロライド)試薬2.0mlおよび8.3%モリブデン酸アンモニウム溶液1.0mlを加えて良く混合した後、脱塩水で25mlにメスアップした。次いで、室温で20分間放置した後、UV−VIS SPECTROPHOTOMETER(島津製作所製)を用いて、その720nmの波長における吸光度を測定した。既知量のリン酸二水素カリウム溶液標準溶液に、同様の処理を行い標準曲線を作成し、その標準曲線に吸光度を代入することにより、無機リン酸量を算出した。
【0024】
一方、30ml容ケルダール分解フラスコに、試料溶液2.0mlと70%過塩素酸2.2mlを入れ、ケルダール分解装置を用いて15〜25分間、溶液の色が一定になるまで加熱した。
一度放冷した後、30%過酸化水素水20μlを加えて、5分間再度加熱した。次いで、放冷した分解液に、脱塩水3.0mlを加え、激しく沸騰している湯浴中に10分間浸し、完全に湿式灰化させた。
続いて、この溶液を25ml容メスフラスコに移し、アドミール試薬2.0mlおよび8.3%モリブデン酸アンモニウム溶液1.0mlを加えた後、脱塩水で25mlにメスアップした。室温に20分間放置した後、無機リン酸と同様に吸光度を測定し、得られた吸光度を標準曲線に代入して算出された値を全リン酸量とした。なお、有機リン酸量は、全リン酸量から無機リン酸量を減ずることにより求めた。
【0025】
また、デキストリンの代わりにデンプンについてもリン酸化し(中野ら, 日本農芸化学会誌(臨時増刊), 74, 2000)、同様の検討を行った。
リン酸量に関する結果は第1表に示した通りであった。すなわち、デンプン(分子量27,000)の場合、デンプン1分子あたりに110℃で処理すると、11.2分子のリン酸残基が、120℃では17.4分子が、130℃では26.3分子が、140℃では35.4分子がそれぞれ含まれることがわかる。
一方、デキストリン(分子量2,700)の場合、未処理デキストリンおよび蒸留水溶液での凍結乾燥物を加熱処理したデキストリン中のリン酸残基数は、それぞれデキストリン1分子あたり0.005および0.003分子と微量であるが、PB中での凍結乾燥物を加熱処理したデキストリンには、1分子あたり約4.5分子のリン酸が検出された。このことから、PB中での凍結乾燥物を加熱処理することによりデキストリンにリン酸が導入されることが確認された。
【0026】
【表1】
第1表
【0027】
実施例2
実施例1で得たPB中での凍結乾燥物を加熱処理して得たリン酸化デキストリン1mgあるいは未処理デキストリン1mgを10〜100倍の臭化カリウムと混合して錠剤状にしたものを試料として、その赤外線吸収スペクトル(IR)をJasco IR−810s Infrared Spectrophotometer(日本分光株式会社製)にて測定した。結果を図1に示した。
未処理デキストリンには、波数1,300〜1,400cm−1付近に強い吸収があり、PB中の凍結乾燥物を加熱処理したデキストリンには波数1,300〜1,400cm−1の吸収は弱く、1,240cm−1付近にピークの形成が認められた。一般的に1,300〜1,400cm−1付近は−OHに由来し、1,240cm−1付近はP=Oに由来することから、加熱処理したデキストリンでは−OHが減少してP=Oが増加したと考えられる。このことは、PB中の凍結乾燥物を加熱処理したデキストリンでは−OHとリン酸の脱水縮合反応による共有結合、すなわちリン酸化が起こったことを示している。
【0028】
実施例3
実施例1で得たPB中での凍結乾燥物を加熱処理して得たリン酸化デキストリンまたは未処理デキストリンをリン酸緩衝生理食塩水(以下PBSと略記することがある)(pH7.2)に100mg/4mlに懸濁させ、4℃、3,000rpmで15分間遠心分離して得た上澄み3.5mlを、Bio−Gel P−6 カラム(100−200mesh、Bio−Rad Laboratories, California, USA 、2.5×100cm)に供した。溶出にはPBS(pH7.2)を用い、流速は25ml/hrとした。溶出液をフェノール硫酸法で呈色させ、UV−VIS SPECTROPHOTOMETER(島津製作所製)を用いて、490nmの波長で吸光度を測定した。なお、本ゲル濾過に供した試料溶液3.5ml中にはデキストリンが43.8mg溶解している。結果を図2に示した。
【0029】
図2から明らかなように、未処理デキストリンは2つのピークを形成して溶出し、ボイドボリュームに溶出するデキストリンが全体の26.8%を占めた。PB中での凍結乾燥物を加熱処理したデキストリンでは3つのピークを形成して溶出し、それら溶出液をそれぞれ溶出順にA、B、Cと命名した。A、BおよびCは、それぞれ添加したデキストリンの58.6%、22.5%、10.4%を占め、ボイドボリューム(Aに等しい)に溶出するデキストリンは未処理の場合のおよそ2倍であり、ボイドボリューム以外に溶出するデキストリンは、未処理の場合のおよそ半分であると共に、より早く溶出した。すなわち、デキストリンは加熱処理することによって高分子化した。
実施例1および実施例2の結果と合わせて考慮すると、デキストリンは加熱処理によってリン酸化され、そのため高分子化したことが判る。
【0030】
また、本ゲル濾過に供した、PB中での凍結乾燥物を加熱処理したデキストリンを未分画デキストリンとし、分画したA、BおよびCと共に、それらデキストリン中のリン酸量を求めた結果を第2表に示した。
デキストリンの分子量を2,700としてデキストリン1分子に結合しているリン酸残基を算出すると、未分画デキストリン、A、BおよびCは、それぞれ4.5分子、3.6分子、4.0分子および6.5分子のリン酸を含んでいた。このことより分子量が小さくなるほど、リン酸化されやすいことが確認された。
【0031】
【表2】
第2表
【0032】
試験例1
実施例1で得たリン酸化デンプンのサンプルならびに実施例3で得たリン酸化デキストリンの分画物A、BおよびCのサンプルを、下記の評価試験に付して免疫増強能を評価した。
評価試験
マウス脾臓細胞は、6週齢のC3H/HeN系雄マウスから無菌的に採取し、100U/mlのペニシリンと100μg/mlのストレプトマイシンを含むRPMI1600培地で培養を行った。
マイクロプレート中で5×106 個の脾臓細胞に対して、前記した各サンプルを、リン酸化デンプンは10μg/ml、リン酸化デキストリンの分画物A、BおよびCは各5μg/mlになるように添加し、2μg/mlのコンカナバリンA(ConA)、50μl/mlのリポ多糖(LPS)または2.5μg/mlのフィトヘマグルチニン(PHA)のいずれかを、それぞれに加え、それらを37℃で5%の炭酸ガス下において培養した。
【0033】
細胞の増殖活性は72時間後の細胞数で評価し、免疫グロブリンの産生は24〜120時間の培養で測定した。
培養終了後、免疫細胞の増殖を色素MTT法(Mosmann,T., J. Immunol. Method, 65(1983), pp55−63)により測定し、フォルマザンの生成は、570nmの吸光度をマイクロプレートリーダー(Bio−Rad model 450)で測定することにより求めた。
また、免疫グロブリン(IgA)の量は、リン酸化デキストリンの分画物A、BおよびCについて、サンドウィッチELISA法(Williams,D.J.L. et al., Vet. Immunol. Immunopath., 24(1990), pp267−283)により測定した。すなわち、ヤギの抗マウスIgA抗体をコートしたプレートに細胞培養液を添加し、洗浄後、西洋ワサビペルオキシダーゼを標識した抗マウスIgA抗体を反応させることにより求めた。なお、効果の有意差判定には、Student のt検定を用いた。
【0034】
細胞増殖に関する試験結果は図3および図4に示した。これらの図から明らかなように、リン酸化デンプンは、未処理デンプンと比較しても、また各々のマイトージェン単独と比較しても、ほとんどの濃度でBリンパ球、ヘルパーTリンパ球およびサプレッサーT・キラーTリンパ球の増殖活性が有意に増加した(図3)。図中、左から無添加、マイトージェンのみ、未処理デンプン、1モルあたりのリン酸基数11−12のリン酸化デンプン、1モルあたりのリン酸基数17−18のリン酸化デンプン、1モルあたりのリン酸基数26−27のリン酸化デンプン、1モルあたりのリン酸基数35−36のリン酸化デンプンを示す。また、*は有意水準5%未満(P<0.05)、**は有意水準1%未満(P<0.01)、***は有意水準0.1%未満(P<0.001)であることを示す。
次に、リン酸化デキストリンの分画物A、BおよびCは、各々のマイトージェン単独と比較し、Bリンパ球、Tリンパ球およびサプレッサーT・キラーTリンパ球の増殖活性が有意に増加した。また、マイトージェン非存在下でも、それら自身が脾臓細胞増殖活性を有意に増加させた(図4)。図中、*は有意水準5%未満(P<0.05)、**は有意水準1%未満(P<0.01)、***は有意水準0.1%未満(P<0.001)であることを示す。
【0035】
IgA量に関する試験結果は図5に示した通りである。図から明らかなように、リン酸化デキストリンの分画物A、BおよびCは、陰性対照と比較して有意にIgA量が増加した。図中、*は有意水準5%未満(P<0.05)、**は有意水準1%未満(P<0.01)、***は有意水準0.1%未満(P<0.001)であることを示す。
【0036】
【発明の効果】
本発明の免疫増強剤は、リン酸化された糖を有効成分として含むものであり、免疫増強作用に優れている上に、安価、かつ安定的に供給することができる。そのため、体力的に劣る幼年者や老年者、病中病後の患者等に用いられる医薬品および食品、さらには動物薬や飼料に適する。
この免疫増強剤を医薬品、食品または飼料としてそのまま用いても、あるいは希釈して用いても脾臓細胞増殖および免疫グロブリン産生増強に示される免疫増強効果を発揮する。
【0037】
さらに、本発明の免疫増強剤は糖を由来とするために、アレルゲンとなりにくく、アレルギー反応が全くないか、もしくは少ない安全性に優れたものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例2の結果を示す図である。リン酸化糖の製造に際しての加熱処理によるリン酸化デキストリンおよび未処理デキストリンの赤外線吸収スペクトルを調べた結果を示す。なお、図中の矢印は特徴的な強い吸収が認められた波数を指す。
【図2】実施例3の結果を示す図である。リン酸化糖の製造に際しての加熱処理によるリン酸化デキストリンおよび未処理デキストリンのゲル濾過カラムクロマトグラムを調べた結果を示す。なお、図中においてA、BおよびCは溶出順に示したピークを示す。
【図3】試験例1の評価試験の結果を示す図である。リン酸化デンプンおよび未処理デンプンのマイトージェン存在下におけるマウス脾臓細胞増殖に及ぼす影響を調べた結果を示す。図中において、LPS、PHAおよびConAは各種マイトージェンを示しており、LPSはBリンパ球増殖活性を、PHAはヘルパーTリンパ球増殖活性を、ConAはサプレッサーT・キラーTリンパ球増殖活性を有する。
【図4】試験例1の評価試験の結果を示す図である。リン酸化デキストリンの分画物A、BおよびCならびに未分画物のマイトージェン存在下および非存在下におけるマウス脾臓細胞増殖に及ぼす影響を調べた結果を示す。図中において、A、BおよびCは、リン酸化デキストリンのゲル濾過カラムクロマトグラフィーによる溶出順の分画物を示す。
【図5】試験例1の評価試験の結果を示す図である。リン酸化デキストリンの分画物A、BおよびCのマウス脾臓細胞におけるIgA産生に及ぼす影響を調べた結果を示す。図中において、A、BおよびCは、リン酸化デキストリンのゲル濾過カラムクロマトグラフィーによる溶出順の分画物を示す。
Claims (7)
- リン酸化された糖であって、該糖がグルカンであり、該グルカンがαまたはβ型のいずれかである1−3、1−4および1−6結合した複数個のグルコース残基からなり、そして該グルカン1分子あたり複数個のリン酸基が結合しているリン酸化糖を含んでなる、免疫増強剤。
- 請求項1に記載のリン酸化糖の製造方法であって、天然物あるいは非天然物を起源とする糖をリン酸緩衝液中で加熱処理後、得られた処理物を凍結乾燥し、該凍結乾燥物をさらに加熱処理し、必要に応じて精製することを特徴とするリン酸化糖の製造方法。
- 医薬として用いられる、請求項1に記載の免疫増強剤。
- 動物薬として用いられる、請求項1に記載の免疫増強剤。
- 薬学上許容可能な製剤用添加剤をさらに含んでなる、請求項3〜4のいずれかに記載の免疫増強剤。
- 請求項1に記載の免疫増強剤を含有する食品。
- 請求項1に記載の免疫増強剤を含有する飼料。
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Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2006028075A (ja) * | 2004-07-15 | 2006-02-02 | Sanrihama Tokusan Nogyo Kyodo Kumiai | リン酸化フルクタン及びその調製方法 |
JP2007204456A (ja) * | 2006-02-06 | 2007-08-16 | Oji Paper Co Ltd | リン酸化澱粉を含んでなる動物成長促進剤 |
JP2007217316A (ja) * | 2006-02-15 | 2007-08-30 | Oji Paper Co Ltd | リン酸化澱粉を酵素で低分子化して得られるリン酸化糖を含んでなる免疫増強剤 |
US9421219B2 (en) | 2012-03-02 | 2016-08-23 | Matsutani Chemical Industry Co., Ltd. | Methods and compositions for preventing allergy and infection |
-
2002
- 2002-07-09 JP JP2002199975A patent/JP2004043326A/ja active Pending
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