JP2004042995A - 温度検知部付き多重断熱容器 - Google Patents
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Abstract
【課題】簡単な構成でありながら高い断熱性を発揮することのできる温度検知部付き多重断熱容器において、その内部温度を外部から容易に確認できると共に、測温に用いる温度検知部とリード線に破損が生じるのを確実に回避する。
【解決手段】2層以上の容器要素10、20、30がその間に空間dが形成されるようにして一体に組み合わされてなる多重断熱容器において、最も内側の容器要素20の内側面に末広がり状の凹陥部120を形成し、その中に温度検知部100を配置する。リード線101を前記空間dを通しながら、容器外部に引き出し、そこに温度表示部102を取り付ける。
【選択図】 図2
【解決手段】2層以上の容器要素10、20、30がその間に空間dが形成されるようにして一体に組み合わされてなる多重断熱容器において、最も内側の容器要素20の内側面に末広がり状の凹陥部120を形成し、その中に温度検知部100を配置する。リード線101を前記空間dを通しながら、容器外部に引き出し、そこに温度表示部102を取り付ける。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は多重断熱容器、特に、厳密な定温管理を必要とする商品のリユース物流分野、例えば、医薬品および血液・臓器などの各種検体輸送や、冷蔵・冷凍食品の宅配などの分野で好適に用いることのできる多重断熱容器に関する。
【0002】
【従来の技術】
上記の目的で用いられる断熱容器は知られている。容器の素材に特に制限はないが、軽量性、加工容易性、高い断熱性などの観点から、合成樹脂発泡体が多く用いられる。例えば、実用新案登録第3023900号公報、実開平5−84634号公報などには、外側容器要素と内側容器要素とからなり、外側容器要素と内側容器要素との間に空気層(断熱層)となる空間を形成した状態で、内側容器要素が外側容器要素に気密的に挿入されて組み合わされてなる合成樹脂製二重容器が記載されている。
【0003】
また、保冷・断熱容器において、内部の温度を外部からチェックできるようにした容器も知られている。例えば、特開2001−56169号公報には、容器内部に温度検知部を備え、容器外部には該検知部が検知した温度を表示する表示部を備え、温度検知部と表示部とをリード線により接続した温度計付き保冷ボックスが記載されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記した発泡樹脂を用いた二重構造の断熱容器は、弁当箱のように厳密な定温管理を求められない食品保温容器としては有効であるが、前記したような、医薬品および血液・臓器などの各種検体輸送や、冷蔵・冷凍食品の宅配のように、厳密な定温管理を必要とする商品のリユース物流分野には、必ずしも有効ではない。さらに、温度計を備えないために、血液や臓器などの各種検体輸送時のように容器内の温度チェックが法律で規定されているような分野でそのままで使用することはできない。蓄冷材を入れ気密的に蓋をした状態で使用するとしても、中間点や帰着時のように測温が求められる場所において、蓋を開けて温度計を挿入することが必要であり、温度チェックが容易でないと共に、容器内温度の変動をもたらす。
【0005】
特開2001−56169号公報に記載される保冷ボックスは、温度計を備えており、蓋を開けることなく必要な温度チェックを行うことができる。しかし、基本的に単層構造の保冷ボックスであるために、所要の保冷機能を待たせるためには保冷ボックスの構成が複雑となりがちであり、さらに、温度検知部とリード線とが容器内部に露出した状態で配置されていることから、内容物や蓄冷材の出し入れ時に、温度検知部やリード線に破損が起こりやすい。
【0006】
本発明は、上記のような事情に鑑みてなされたものであり、簡単な構成でありながら高い断熱性を発揮することのできる多重断熱容器、すなわち、少なくとも2層以上の容器要素をその間に断熱空間が形成されるようにして一体に組み合わせ密封多重構造とされている発泡樹脂製の多重断熱容器において、容器内部の温度を常時外部から確認できるようにし、同時に、温度検知部とリード線に破損が生じるのを極力なくすことができるようにした温度検知部付き多重断熱容器を提供することを目的とする。
【0007】
本発明の他の目的は、温度検知部付き多重断熱容器において、各容器要素間に形成される断熱空間をより大きくとり断熱性能を向上させながら、各層を形成する容器要素が不用意に変形するのを防止し、断熱破壊が生じるのを極力抑制することができようにした温度検知部付き多重断熱容器を提供することにある。本発明のさらに他の目的は、容器内空間の中央部の温度により近い温度を測温できるようにした温度検知部付き多重断熱容器を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するための本発明による温度検知部付き多重断熱容器は、構成要素として発泡樹脂製の容器本体と蓋体とを備え、構成要素のいずれか一方または双方は、少なくとも2層以上の容器要素をその間に空間が形成されるようにして一体に組み合わせた密封多重構造とされている多重断熱容器において、密封多重構造とされている構成要素を構成する最も内側層となる容器要素の容器内側面には少なくとも1個の温度検知部が備えられており、該温度検知部にはリード線が接続されており、該リード線の他端側は、2層の容器要素の間に形成された空間を通って所要位置まで案内された後、容器外側面に露出した状態とされていることを特徴とする。
【0009】
本発明の温度検知部付き多重断熱容器は、発泡樹脂製である2層以上の容器要素をその間に空間が形成されるようにして一体に組み合わせた密封多重構造とされているので、高い断熱性が確保される。そして、最も内側層となる容器要素の容器内側面に温度検知部が備えられており、保冷物や蓄冷材などの出し入れ時に温度検知部が障害となることはなく、破損は生じがたい。温度検知部に接続するリード線は、2層の容器要素の間に形成された空間を通って所要位置まで案内されており、リード線が収容物の出し入れにより破損を受けることもない。空間を形成する壁面に溝を形成しておき、該溝を通してリード線を案内することにより、リード線の損傷は一層確実に回避できる。リード線の他端側は容器外側面に露出した状態とされており、そこに温度表示部を接続することにより、外部から常時あるいは必要なときに容器内温度を容易にチェックすることができる。
【0010】
好ましい態様において、温度検知部が備えられる容器要素の容器内側面には、末広がり状の凹陥部が形成され、温度検知部は前記末広がり状の凹陥部内にかつ凹陥部の壁面に接しない状態で備えられる。温度検知部が容器内側面に接した状態に置かれると、容器要素の影響を避けることができず、容器内中央部近傍の温度に近い温度を測温できないことを実験を通して知った。上記の態様は、その不都合を解消するものであり、容器内側面に形成した末広がり状の凹陥部内に、その壁面に接しないようにして、温度検出器を配置することにより、容器内空間の中央部の温度により近い温度を測温できる。その理由は、容器内の空気が前記凹陥部内をその壁面に沿うようにした循環することによると推測される。
【0011】
本発明による温度検知部付き多重断熱容器において、容器外側面に露出したリード線は、そのままの状態で放置しておいてもよく、温度表示部を常時接続させておいてもよい。前者の場合には、測温が必要とされるときに、その都度、温度表示部を接続して計測する。複数の多重断熱容器に対して1つの温度表示部を共通に使用できることから、コストが低下する。後者の場合には、温度表示部を収容できる凹陥部を容器外側面に形成しておくことは望ましく、輸送中に温度表示部が障害物となるとは回避される。
【0012】
本発明による温度検知部付き多重断熱容器において、密封多重構造とされている構成要素の具体的な構造は、一定の自己姿勢保持性を有し、かつ隣接する容器要素の間に断熱用空間が気密的に形成されることを条件に任意であり、特に制限はない。上記した実用新案登録第3023900号や実開平5−84634号公報に記載のような二重容器では、自己姿勢保持性を確保するために、容器要素の相対向する面のいずれか一方に凸状リブを形成しており、その先端に相手方の平坦面が乗るようになっている。しかし、この構造は、内側容器要素の表面に局部的に力が作用したときに容易に変形し断熱破壊が起こり易い。形成される空気層を構造的に安定化しようとすると、凸状リブの先端と相手方の容器要素とをかなりの巾でもって面接触させることが必要となるが、その面積分だけ断熱層としての空気層が減少してしまう。
【0013】
本発明による温度検知部付き多重断熱容器の好ましい態様は、そのような不都合を解消した多重断熱容器を得ることにあり、そのための構成として、隣接する容器要素の相対向する面の一方にはその少なくとも一部に凹状溝が一体成形されており、他方の面の前記凹状溝に対向する位置には該凹状溝の底部との間に空間を残した状態で嵌り合う形状の凸状リブが一体成形されており、隣接する容器要素は、凸状リブと凹状溝とが互いに嵌り合った状態で組み合わされている構成を備える。
【0014】
この構成を備えることにより、従来のこの種の多層容器と比較して、容器要素相互を安定した姿勢で組み付けることができ、各容器要素に局部的な力が作用した場合でも、各層を形成する容器要素が不用意に移動したり変形したりするのを阻止できる。それにより、断熱破壊が生じるのを高い確率で防止できる。また、凸状リブは、凹状溝に嵌り合ったときに、凹状溝の底部との間に空間を残した状態で嵌り合う形状とされており、その空間は断熱層として有効に機能する。そのために、凹状溝と凸状リブとの嵌め合わせにより、隣接する容器要素同士を安定した姿勢で維持することができる一方において、同時に、断熱層としての空間を極力大きく確保することができ、高い断熱性、保温性も確保される。
【0015】
上記の密封多重構造とされる構成要素は、多重断熱容器を構成する容器本体と蓋体との双方であってもよく、いずれか一方であってもよい。また、密封多重構造とされている構成要素は外側容器要素と内側容器要素とからなる2層構造であってもよく、外側容器要素と内側容器要素との間に1層以上の中間層としての容器要素をさらに備えた多層構造であってもよい。いずれの場合にも、各容器要素は互いに分離できるようにして組み合わされていることが望ましい。
【0016】
本発明において、容器本体および蓋体を構成する素材は、所定の断熱性能が確保されることを条件に任意のものを用いうるが、軽量性、加工容易性、高い断熱性などの観点から、樹脂発泡体は特に好ましい。樹脂発泡体としては、ポリスチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリエステル系樹脂、またはポリウレタン系樹脂などの発泡体を任意に用いることができる。なかでも、ポリスチレン系樹脂の予備発泡粒子を用いた型内発泡成形品であることは、成形の容易さや強度、耐衝撃性などの理由から特に好ましい。発泡倍率は、求められる断熱性能や容器重量などを勘案して適宜定められるが、20倍〜100倍、好ましくは30倍〜60倍である。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照しながら、本発明による温度検知部付き多重断熱容器をいくつかの実施の形態に基づき説明する。図1は、温度検知部付き多重断熱容器を構成する構成要素の1つである容器本体1の一例を分解して示す斜視図、図2は、図1に示す各容器要素を組み付ける途中を示す縦方向の断面図、図3は、組み付け後の容器本体1を示す縦方向の断面図、図4は、図3でのIV−IV線に沿う断面図(水平方向の断面図)である。また、図5は、凸状リブと凹状溝との嵌め合い状態を示す拡大図である。
【0018】
容器本体1は、外側容器要素10、内側容器要素20、および両者の間に挿入される中間容器要素30とからなる。この例において、3つの容器要素はすべて発泡樹脂の型内発泡成形品であるが、これに限らず、発泡樹脂または非発泡樹脂のシート成形品、非発泡樹脂の射出成形品、あるいはこれらの成形品の組み合わせであってもよい。外側容器要素10は、水平面である矩形状の底部11と、該底部11から垂直に立ち上がる4周の側壁部12a,12b,12c,12dとからなり、底部11および各側壁部の内側面には凸状リブ13a,13bが一体成形されている。
【0019】
横幅の狭い方の対向する2枚の側壁12a,12cには、対をなす2条の凸条13、13で形成される凸状リブ13aが、所定の間隔をおいて並行に2条、側壁12a,12cの上下方向の全長にわたり形成されており、また、横幅の広い方の対向する2枚の側壁12b,12dには、同様な凸状リブ13aが、所定の間隔をおいて並行に4条、側壁12b,12dの上下方向の全長にわたり形成されている。また、底部11の内側面には、対向する側壁12b、12dに形成した各凸状リブ13aを繋ぐようにして4本の凸状リブ13bが形成されている。各凸状リブ13a,13bを形成する各凸条13の断面形状とその大きさはすべて同じであり、壁面と所定の角度θ1で傾斜する左右の側面14a,14bと、底部からの高さがhである平坦な頂面15とで形成される。
【0020】
中間容器要素30は、外側容器要素10内に側壁部と底部との間にわずかな隙間d(<h)を保って挿入される形状と大きさであり、外側容器要素10と同様に、水平面である矩形状の底部31と、該底部31から垂直に立ち上がる4周の側壁部32a,32b,32c,32dとを備える。そして、底部31および各側壁部の外側面には、前記外側容器要素10に形成した凸状リブ13aおよび13bが嵌り合うことのできる凹状溝33a、33bが一体成形されており、また、内側面には凸状リブ34a,34bが一体成形されている。
【0021】
すなわち、横幅の狭い方の対向する2枚の側壁32a,32cの外側面には、中間容器要素30を外側容器要素10内に挿入したときに、外側容器要素10の側壁部の内側面に形成した凸状リブ13aに対向することとなる位置に、図5に示すように、対をなす2条の凹溝33、33で形成される凹状溝33aが側壁32a,32cの上下方向の全長にわたり形成されており、また、横幅の広い方の対向する2枚の側壁32b,32dの外側面にも、同様に、同様な凹状溝33aが側壁32b,32dの上下方向の全長にわたり形成されている。底部31の外側面にも、対向する側壁32b、32dに形成した各凹状溝33aと繋ぐようにして4本の凹状溝33bが形成されている。凹状溝33a,33bを形成する各凹溝33の断面形状とその大きさはすべて同じであり、所定の角度θ2(ただし、θ2>θ1)で傾斜する左右の側面35a,35bと、深さがhの所に位置する平坦な底面36とからなる。
中間容器要素30の内側面に一体成形される凸状リブ34a,34bは、前記した外側容器要素10の内側面に形成した凸状リブ13a,13bと同様な条件に従って形成されている。
【0022】
内側容器要素20は、中間容器要素30内に側壁部と底部との間にわずかな隙間d1(<h)(なお、d1は前記dと同じでもよく、異なっていてもよい)を保って挿入される形状と大きさであり、他の容器要素10、30と同様に、水平面である矩形状の底部21と、該底部21から垂直に立ち上がる4周の側壁部22a,22b,22c,22dとを備える。そして、底部21および各側壁部の外側面には、中間容器要素30の内側面に形成した前記凸状リブ34aおよび34bが嵌り合うことのできる凹状溝23a、23bが一体成形されている。中間容器要素30の内側面に形成した凸状リブ34a、34bと、内側容器要素20の外側面に形成した凹状溝23a、23bとの断面形状上の関係は、外側容器要素10の内側面に形成した凸状リブ13a、13bと、中間容器要素30の外側面に形成した凹状溝33a、33bとの断面形状上の関係と好ましくは同じとされるが、嵌め合わせたときに両者の間に後記する空間Sが形成されることを条件に異なっていてもよい。なお、内側容器要素20の内側面は、この例では、平坦面とされるが、同様な凸状リブが形成されていてもよい。また、内側容器要素20は、組み付け後に外側容器要素10と中間容器要素30の上端面を覆うことのできるフランジ26を備えており、該フランジ26の上面には凹所27が形成さている。
【0023】
内側容器要素20の内側面には末広がり状の凹陥部120が形成されており、該凹陥部120の底面には外側面に貫通する細孔121が形成されている。細孔121に繋がるようにして、内側容器要素20の外側面にはほぼ同じ太さの凹溝122が形成されており、フランジ26の裏面に達している。凹溝122はフランジ26の裏面にも続いて形成され、フランジ26の外周縁にまで達している。図2bの要部拡大図に示すように、末広がり状の凹陥部120内には、温度検知器100が底面および側壁面のいずれにも接しない状態で取り付けてあり、温度検知器100に接続するリード線101は、細孔121から凹溝122内に圧入された状態で走り、フランジ26の裏面に通過して、フランジ26の外周縁からさらに外側に延出している。
【0024】
上記の構成であり、3つの容器要素10、30、20は、図2に示すように、互いに凸状リブと凹状溝とを嵌め合わせた状態で、外側容器要素10の内側に中間容器要素30を挿入し、さらに、中間容要素30の内側に内側容器要素20を挿入して、一体に組み付けることができる。組み付け後の状態では、図5にその一部を拡大して示すように、外側容器要素10と中間容器要素30との相対向する面(側壁面同士および底部同士)の間には、図3にその一部を示すように、隙間d、d1の空間が形成されるとともに、凸状リブと凹状溝との嵌め合わせ部では、対向する斜面同士の傾斜角度θ1、θ2が異なっていることから、左右の側面14a,14bの位置に実質的に線接触が形成され、かつ、少なくとも凸状リブ頂面(凸条13の頂面15)と凹状溝の底面(凹溝33の底面36)との間には空間Sが形成される。この状態は、中間容器要素30の内側に組み付けられた内側容器要素20との間でも同様に確保される。
【0025】
結果として、上記した凹状溝と凸状リブとの嵌め合わせ態様により、すべての容器要素、すなわち、外側容器要素10と中間容器要素30と内側容器要素20とは常に安定した姿勢が維持される一方において、隙間d,d1に加えて、前記空間Sが形成されることにより断熱層としての空間を極力大きく確保することが可能となり、多重断熱容器として、高い断熱性、保温性が確保される。
【0026】
また、3つの容器要素10、30、20を互いに凸状リブと凹状溝とを嵌め合わせた状態で組み付けるに際して、温度検知器100は内側容器要素20の内側面に形成した末広がり状の凹陥部120内に入り込んでおり、また、リード線は細孔121から内側容器要素20の外側面に形成した凹溝122内を通過し、さらにフランジ26の裏面に通過しているので、それらが嵌め合わせ作業に支障をきたすことはなく、嵌め合わせ後も、断熱空間の気密性は確保される。なお、内側容器要素20の外側面に形成した凹溝122は省略することもできる。
【0027】
図6は上記した容器本体1に気密に取り付けるための蓋体の一例を示す斜視図であり、図7は該蓋体2を多重断熱容器1に取り付けた状態を示す縦方向の断面図である。図示されように、この蓋体2は、全体として矩形状であり、下側蓋体要素50と上側蓋体要素60と、両者の間に挟持される中間蓋体要素70とからなる。この例において、3つの蓋体要素はすべて発泡樹脂(好ましくは、上記した多重断熱容器1と同じ発泡樹脂)の型内発泡成形品であるが、これに限らず、発泡樹脂または非発泡樹脂のシート成形品、非発泡樹脂の射出成形品、あるいはこれらの成形品の組み合わせであってもよい。
【0028】
下側蓋体要素50は、前記した内側容器要素20内に気密的に嵌り合う大きさの膨出部51と、その周囲に一体成形された水平フランジ52とを備えており、該水平フランジ52の上面には所定深さの凹溝53が形成されている。さらに、前記膨出部51の表面側には深さKの凹陥部54が形成されており、該凹陥部54の底部には、前記した各容器要素に形成したと同じ断面形状を備えた凸条からなる凸状リブ54bが適当本数だけ一体成形されている。
【0029】
中間蓋体要素70は、前記の凹陥部54に気密的に嵌入する平面形状を有し、厚みd3は凹陥部54の深さKよりも幾分薄い。中間蓋体要素70の裏面には、該凹陥部54に気密的に嵌入したときに前記凸状リブ54bに当接することとなる位置に、前記した凸状リブと凹状溝のと断面形状同士の関係と同じ関係とされた凹溝からなる凹状溝71bが一体成形されている。また、中間蓋体要素70の表面にも、任意の本数の凸状リブ72bが一体成形されている。
【0030】
上側蓋体要素60は、外側蓋体要素50の上面を覆う大きさのものであり、周辺部裏面には、前記水平フランジ52に形成した凹溝53に気密に嵌入する形状の凸条63が一体成形されている。また、裏面おける前記中間蓋体要素70の凸状リブ72bに当接することとなる位置には、前記した凸状リブと凹状溝のと断面形状同士の関係と同じ関係とされた凹状溝61bが一体成形されている。
【0031】
上記のようであり、3つの蓋体要素50、60、70は、図7に示すように、その凸状リブと凹状溝とを嵌め合わせた状態で一体に組み付けることができる。図7bの拡大図に示されるように、組み付け後の状態では、下側蓋体要素50と中間蓋体要素60との相対向する面の間には、隙間d4の空間が形成されるとともに、凸状リブと凹状溝との嵌め合わせ部では、対向する斜面同士の傾斜角度が異なっていることから、左右の側面の位置に実質的に線接触が形成され、かつ、少なくとも凸状リブの頂面と凹状溝の底面との間には空間S1が形成される。この状態は、中間蓋体要素70と上側蓋体要素60との間でも同様に確保される。さらに、下側蓋体要素50と上側蓋体要素60との間には、凹溝53と凸条63との気密嵌合域も形成される。それにより、蓋体2を多重断熱容器1に気密に取り付けたときに、蓋体2を通過して熱が流出・流入することを確実に阻止することができ、蓋付き断熱容器として、高い断熱性・保温性が確保される。
【0032】
この蓋体2にも、上記容器本体1におけると同様にして温度検知器100およびリード線101を取り付けるようにしてもよい。その場合には、図示のように、下側蓋体要素50(最も内側層となる容器要素に相当する)の容器内側面に、同様に末広がり状の凹陥部150を形成し、該末広がり状の凹陥部150の底面には反対側の面に貫通する細孔151を形成する。また、必要な場合には、反対側の面にリード線を案内するための溝152を形成する。さらに、中間蓋体要素70と上側蓋体要素60を通過する細孔171、161を適所に形成する。細孔151、171、161の孔径は用いるリード線101の直径に等しいか、それよりもやや細いものとする。
【0033】
蓋体2に温度検知器100を取り付ける場合には、末広がり状の凹陥部150内に温度検知器100が、その底面および側壁面のいずれにも接しない状態で取り付ける。温度検知器100に接続するリード線101を細孔151から下側蓋体要素50と中間蓋体要素70の間の空間を走らせながら前記細孔171の位置まで案内し、細孔171、161を通過させて蓋体2の上面から外側へ延出させる。図8aはその状態を示している。
【0034】
上記のように、本発明による温度検知部付き多重断熱容器において、温度検知部100は容器本体1側に取り付けてもよく、蓋体2側に取り付けてもよい。図示しないが、それぞれに末広がり状の凹陥部を複数個形成して、複数個の温度検知部100を取り付けるようにしてもよく、図示されるもののように、容器本体1と蓋体2との双方に温度検知部100取り付けてもよい。取り付ける部位の特に制限はなく、収容する物品などに応じて、最適な測温が得られる位置を決めればよい。例えば、図9に示すように、容器本体1の内部の底面域に取り付けてもよい。
【0035】
容器の外側に延出したリード線101は、図8aに示すように、そのままの状態で放置しておき、測温が必要とされるときに、その都度、適宜の温度表示部を接続するようにしてもよい。また、図8bに示すように、温度表示部102を常時接続させておいてもよい。後者の場合には、図8cに示すように、温度表示部102を収容できる凹陥部103を容器外側面(図示の例では、蓋体1を構成する上側蓋体要素60の外側面)に形成しておくことは望ましく、輸送中に温度表示部102が障害物となるとは回避される。なお、図8は、蓋体2の側にリード線101の延出部が存在する例であるが、容器本体1にリード線101の延出部が存在する場合にも、同様である。
【0036】
図示の例では、多重断熱容器を3層構造として示したが、これは例示であって容器本体1および蓋体2の双方およびそのいずれかにおいて、2層以上の任意の層構造のものであってよい。また、特別な関係にある凸状リブと凹状溝とを備えた容器要素を上記では説明したが、このような凸状リブと凹状溝は容器要素にとって必須の要件でないことも当然であり、従来知られた断熱空間を備えた多層構造のものであってもよい。
【0037】
本発明において、前記末広がり状の凹陥部120(150)の縦断面および横断面の形状に制限はなく、容器本体内の冷気が末広がり状の凹陥部120(150)内の空間を好ましくはその壁面に沿って移動できることを条件に任意である。図示したような頭部を切断した4角錐体形状に限らす。頭部を切断した円錐体形状でもよく、多角錐体でもよく、楕円状の錐体でもよい。
【0038】
さらに、本発明の温度検知部付き多重断熱容器において、密封多重構造とされている構成要素を構成する最も内側層となる容器要素の容器内側面に、前記した末広がり状の凹陥部120(150)を形成することも必須ではなく、内側面に沿うようにして温度検知部を配置とてもよい。しかし、末広がり状の凹陥部120(150)を形成し、温度検知部100を該凹陥部内にかつ凹陥部の壁面に接しない状態で備えるようにすることにより、容器内部の中央部の温度をより的確に測定することができる。以下、そのことを実施例に基づき説明する。
【0039】
図10aに示すように、容器本体1と蓋体2とからなる保温保冷容器における容器本体1の側面内側面に末広がり状の凹陥部120を形成した。容器本体1の底面部の中央に融解温度0℃である蓄冷剤P:1.0kgを収容するとともに、該末広がり状の凹陥部120内であって周囲の壁部に接しない位置に温度センサS1を、また、容器本体1の内部空間中心部にも温度センサTを設置して、2点での温度を経時的に測定した。
【0040】
同じ形状の保温保冷容器であるが、図10bに示すように、末広がり状の凹陥部に代えて、同じ深さの単なる円柱状の孔を形成したものを用意し、該円柱状の孔内であって周囲の壁部に接しない位置に温度センサS2を、また、容器本体1の内部空間中心部にも温度センサTを設置して、2点での温度を経時的に測定した。
【0041】
さらに、同じ形状の保温保冷容器であるが、図10cに示すように、側面内側面に凹陥部のない、すなわち内側面が平坦な容器本体を用意し、凹陥部に相当する位置の内側面に接するようにして温度センサS3を取り付けた。また、容器本体の内部空間中心部にも温度センサTを設置して、2点での温度を経時的に測定した。
【0042】
なお、容器本体1および蓋体2は、先に図5に基づき説明したようにして、それぞれ3層の容器要素をその間に空間d,d1(図5参照)が形成されるようにして一体に組み合わせた密封多重構造とされている。容器要素は発泡ポリスチレンの成形品であり、容器要素間の空間d,d1は2.5mmとした。容器本体1および蓋体2の厚さは30mmであり、容器本体1の内寸法は長さ300mm×幅250mm×高さ200mmである。末広がり状の凹陥部120は、円錐体形状であって、下面側直径は20mm、上面側の直径は10mm、深さは6.5mmとした。円柱状孔は、下面側直径は10mm、上面側の直径は10mm、深さは6.5mmとした。
【0043】
測温の結果を図11示す。図11に示されるように、図10aに示す形態の保温保冷容器は、温度センサS2を円柱状の孔内であって周囲の壁部に接しない位置に設置した場合、および、容器本体の内側面に接して温度センサS3を設置した場合と比較して、容器内中央部近傍の温度に近い温度を測温することができることがわかる。
【0044】
【発明の効果】
上記したように、本発明によれば、簡単な構成でありながら高い断熱性を発揮することのできる温度検知部付き多重断熱容器において、その内部温度を外部から容易に確認できると共に、測温に用いる温度検知部とリード線に破損が生じるのを確実に回避することができる。
【0045】
好ましい態様においては、各層を形成する容器要素が不用意に変形するのを防止でき、使用中に層間に形成されている断熱空間が大気に連通して断熱破壊が生じるのを極力抑制することができる。また、他の好ましい態様では、容器内空間の中央部の温度により近い温度を確実に測温することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による温度検知部付き多重断熱容器を構成する容器本体の各容器要素を分解して示す斜視図。
【図2】図2aは、図1に示す各容器要素を組み付ける途中を示す縦方向の断面図であり、図2bは、末広がり状の凹陥部の部分を拡大して示す斜視図である。
【図3】組み付け後の容器本体を示す縦方向の断面図。
【図4】図3でのIV−IV線に沿う断面図(水平方向の断面図)。
【図5】凸状リブと凹状溝との嵌め合い状態を示すための拡大図。
【図6】蓋体を示す斜視図。
【図7】図7aは蓋体を気密に装着した状態の温度検知部付き多重断熱容器を示す縦方向の断面図、図7bはその一部を拡大して記す図。
【図8】温度検知部付き多重断熱容器におけるリード線と温度表示部との3つの態様を示す斜視図。
【図9】容器本体の他の態様を示す断面図。
【図10】実験で用いた温度検知部付き多重断熱容器の3つの態様を示す図。
【図11】実験で用いた温度検知部付き多重断熱容器での温度比較を示すグラフ。
【符号の説明】
1…容器本体、2…蓋体、10…外側容器要素、20…内側容器要素、30…中間容器要素、13a,13b、34a,34b…凸状リブ、23a、23b、33a、33b…凹状溝、d,d1…各容器要素の間に形成される空間の厚み、S…凸状リブと凹状溝の間に形成される空間、100…温度検知部、101…リード線、102…温度表示部、120(150)…末広がり状の凹陥部
【発明の属する技術分野】
本発明は多重断熱容器、特に、厳密な定温管理を必要とする商品のリユース物流分野、例えば、医薬品および血液・臓器などの各種検体輸送や、冷蔵・冷凍食品の宅配などの分野で好適に用いることのできる多重断熱容器に関する。
【0002】
【従来の技術】
上記の目的で用いられる断熱容器は知られている。容器の素材に特に制限はないが、軽量性、加工容易性、高い断熱性などの観点から、合成樹脂発泡体が多く用いられる。例えば、実用新案登録第3023900号公報、実開平5−84634号公報などには、外側容器要素と内側容器要素とからなり、外側容器要素と内側容器要素との間に空気層(断熱層)となる空間を形成した状態で、内側容器要素が外側容器要素に気密的に挿入されて組み合わされてなる合成樹脂製二重容器が記載されている。
【0003】
また、保冷・断熱容器において、内部の温度を外部からチェックできるようにした容器も知られている。例えば、特開2001−56169号公報には、容器内部に温度検知部を備え、容器外部には該検知部が検知した温度を表示する表示部を備え、温度検知部と表示部とをリード線により接続した温度計付き保冷ボックスが記載されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記した発泡樹脂を用いた二重構造の断熱容器は、弁当箱のように厳密な定温管理を求められない食品保温容器としては有効であるが、前記したような、医薬品および血液・臓器などの各種検体輸送や、冷蔵・冷凍食品の宅配のように、厳密な定温管理を必要とする商品のリユース物流分野には、必ずしも有効ではない。さらに、温度計を備えないために、血液や臓器などの各種検体輸送時のように容器内の温度チェックが法律で規定されているような分野でそのままで使用することはできない。蓄冷材を入れ気密的に蓋をした状態で使用するとしても、中間点や帰着時のように測温が求められる場所において、蓋を開けて温度計を挿入することが必要であり、温度チェックが容易でないと共に、容器内温度の変動をもたらす。
【0005】
特開2001−56169号公報に記載される保冷ボックスは、温度計を備えており、蓋を開けることなく必要な温度チェックを行うことができる。しかし、基本的に単層構造の保冷ボックスであるために、所要の保冷機能を待たせるためには保冷ボックスの構成が複雑となりがちであり、さらに、温度検知部とリード線とが容器内部に露出した状態で配置されていることから、内容物や蓄冷材の出し入れ時に、温度検知部やリード線に破損が起こりやすい。
【0006】
本発明は、上記のような事情に鑑みてなされたものであり、簡単な構成でありながら高い断熱性を発揮することのできる多重断熱容器、すなわち、少なくとも2層以上の容器要素をその間に断熱空間が形成されるようにして一体に組み合わせ密封多重構造とされている発泡樹脂製の多重断熱容器において、容器内部の温度を常時外部から確認できるようにし、同時に、温度検知部とリード線に破損が生じるのを極力なくすことができるようにした温度検知部付き多重断熱容器を提供することを目的とする。
【0007】
本発明の他の目的は、温度検知部付き多重断熱容器において、各容器要素間に形成される断熱空間をより大きくとり断熱性能を向上させながら、各層を形成する容器要素が不用意に変形するのを防止し、断熱破壊が生じるのを極力抑制することができようにした温度検知部付き多重断熱容器を提供することにある。本発明のさらに他の目的は、容器内空間の中央部の温度により近い温度を測温できるようにした温度検知部付き多重断熱容器を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するための本発明による温度検知部付き多重断熱容器は、構成要素として発泡樹脂製の容器本体と蓋体とを備え、構成要素のいずれか一方または双方は、少なくとも2層以上の容器要素をその間に空間が形成されるようにして一体に組み合わせた密封多重構造とされている多重断熱容器において、密封多重構造とされている構成要素を構成する最も内側層となる容器要素の容器内側面には少なくとも1個の温度検知部が備えられており、該温度検知部にはリード線が接続されており、該リード線の他端側は、2層の容器要素の間に形成された空間を通って所要位置まで案内された後、容器外側面に露出した状態とされていることを特徴とする。
【0009】
本発明の温度検知部付き多重断熱容器は、発泡樹脂製である2層以上の容器要素をその間に空間が形成されるようにして一体に組み合わせた密封多重構造とされているので、高い断熱性が確保される。そして、最も内側層となる容器要素の容器内側面に温度検知部が備えられており、保冷物や蓄冷材などの出し入れ時に温度検知部が障害となることはなく、破損は生じがたい。温度検知部に接続するリード線は、2層の容器要素の間に形成された空間を通って所要位置まで案内されており、リード線が収容物の出し入れにより破損を受けることもない。空間を形成する壁面に溝を形成しておき、該溝を通してリード線を案内することにより、リード線の損傷は一層確実に回避できる。リード線の他端側は容器外側面に露出した状態とされており、そこに温度表示部を接続することにより、外部から常時あるいは必要なときに容器内温度を容易にチェックすることができる。
【0010】
好ましい態様において、温度検知部が備えられる容器要素の容器内側面には、末広がり状の凹陥部が形成され、温度検知部は前記末広がり状の凹陥部内にかつ凹陥部の壁面に接しない状態で備えられる。温度検知部が容器内側面に接した状態に置かれると、容器要素の影響を避けることができず、容器内中央部近傍の温度に近い温度を測温できないことを実験を通して知った。上記の態様は、その不都合を解消するものであり、容器内側面に形成した末広がり状の凹陥部内に、その壁面に接しないようにして、温度検出器を配置することにより、容器内空間の中央部の温度により近い温度を測温できる。その理由は、容器内の空気が前記凹陥部内をその壁面に沿うようにした循環することによると推測される。
【0011】
本発明による温度検知部付き多重断熱容器において、容器外側面に露出したリード線は、そのままの状態で放置しておいてもよく、温度表示部を常時接続させておいてもよい。前者の場合には、測温が必要とされるときに、その都度、温度表示部を接続して計測する。複数の多重断熱容器に対して1つの温度表示部を共通に使用できることから、コストが低下する。後者の場合には、温度表示部を収容できる凹陥部を容器外側面に形成しておくことは望ましく、輸送中に温度表示部が障害物となるとは回避される。
【0012】
本発明による温度検知部付き多重断熱容器において、密封多重構造とされている構成要素の具体的な構造は、一定の自己姿勢保持性を有し、かつ隣接する容器要素の間に断熱用空間が気密的に形成されることを条件に任意であり、特に制限はない。上記した実用新案登録第3023900号や実開平5−84634号公報に記載のような二重容器では、自己姿勢保持性を確保するために、容器要素の相対向する面のいずれか一方に凸状リブを形成しており、その先端に相手方の平坦面が乗るようになっている。しかし、この構造は、内側容器要素の表面に局部的に力が作用したときに容易に変形し断熱破壊が起こり易い。形成される空気層を構造的に安定化しようとすると、凸状リブの先端と相手方の容器要素とをかなりの巾でもって面接触させることが必要となるが、その面積分だけ断熱層としての空気層が減少してしまう。
【0013】
本発明による温度検知部付き多重断熱容器の好ましい態様は、そのような不都合を解消した多重断熱容器を得ることにあり、そのための構成として、隣接する容器要素の相対向する面の一方にはその少なくとも一部に凹状溝が一体成形されており、他方の面の前記凹状溝に対向する位置には該凹状溝の底部との間に空間を残した状態で嵌り合う形状の凸状リブが一体成形されており、隣接する容器要素は、凸状リブと凹状溝とが互いに嵌り合った状態で組み合わされている構成を備える。
【0014】
この構成を備えることにより、従来のこの種の多層容器と比較して、容器要素相互を安定した姿勢で組み付けることができ、各容器要素に局部的な力が作用した場合でも、各層を形成する容器要素が不用意に移動したり変形したりするのを阻止できる。それにより、断熱破壊が生じるのを高い確率で防止できる。また、凸状リブは、凹状溝に嵌り合ったときに、凹状溝の底部との間に空間を残した状態で嵌り合う形状とされており、その空間は断熱層として有効に機能する。そのために、凹状溝と凸状リブとの嵌め合わせにより、隣接する容器要素同士を安定した姿勢で維持することができる一方において、同時に、断熱層としての空間を極力大きく確保することができ、高い断熱性、保温性も確保される。
【0015】
上記の密封多重構造とされる構成要素は、多重断熱容器を構成する容器本体と蓋体との双方であってもよく、いずれか一方であってもよい。また、密封多重構造とされている構成要素は外側容器要素と内側容器要素とからなる2層構造であってもよく、外側容器要素と内側容器要素との間に1層以上の中間層としての容器要素をさらに備えた多層構造であってもよい。いずれの場合にも、各容器要素は互いに分離できるようにして組み合わされていることが望ましい。
【0016】
本発明において、容器本体および蓋体を構成する素材は、所定の断熱性能が確保されることを条件に任意のものを用いうるが、軽量性、加工容易性、高い断熱性などの観点から、樹脂発泡体は特に好ましい。樹脂発泡体としては、ポリスチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリエステル系樹脂、またはポリウレタン系樹脂などの発泡体を任意に用いることができる。なかでも、ポリスチレン系樹脂の予備発泡粒子を用いた型内発泡成形品であることは、成形の容易さや強度、耐衝撃性などの理由から特に好ましい。発泡倍率は、求められる断熱性能や容器重量などを勘案して適宜定められるが、20倍〜100倍、好ましくは30倍〜60倍である。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照しながら、本発明による温度検知部付き多重断熱容器をいくつかの実施の形態に基づき説明する。図1は、温度検知部付き多重断熱容器を構成する構成要素の1つである容器本体1の一例を分解して示す斜視図、図2は、図1に示す各容器要素を組み付ける途中を示す縦方向の断面図、図3は、組み付け後の容器本体1を示す縦方向の断面図、図4は、図3でのIV−IV線に沿う断面図(水平方向の断面図)である。また、図5は、凸状リブと凹状溝との嵌め合い状態を示す拡大図である。
【0018】
容器本体1は、外側容器要素10、内側容器要素20、および両者の間に挿入される中間容器要素30とからなる。この例において、3つの容器要素はすべて発泡樹脂の型内発泡成形品であるが、これに限らず、発泡樹脂または非発泡樹脂のシート成形品、非発泡樹脂の射出成形品、あるいはこれらの成形品の組み合わせであってもよい。外側容器要素10は、水平面である矩形状の底部11と、該底部11から垂直に立ち上がる4周の側壁部12a,12b,12c,12dとからなり、底部11および各側壁部の内側面には凸状リブ13a,13bが一体成形されている。
【0019】
横幅の狭い方の対向する2枚の側壁12a,12cには、対をなす2条の凸条13、13で形成される凸状リブ13aが、所定の間隔をおいて並行に2条、側壁12a,12cの上下方向の全長にわたり形成されており、また、横幅の広い方の対向する2枚の側壁12b,12dには、同様な凸状リブ13aが、所定の間隔をおいて並行に4条、側壁12b,12dの上下方向の全長にわたり形成されている。また、底部11の内側面には、対向する側壁12b、12dに形成した各凸状リブ13aを繋ぐようにして4本の凸状リブ13bが形成されている。各凸状リブ13a,13bを形成する各凸条13の断面形状とその大きさはすべて同じであり、壁面と所定の角度θ1で傾斜する左右の側面14a,14bと、底部からの高さがhである平坦な頂面15とで形成される。
【0020】
中間容器要素30は、外側容器要素10内に側壁部と底部との間にわずかな隙間d(<h)を保って挿入される形状と大きさであり、外側容器要素10と同様に、水平面である矩形状の底部31と、該底部31から垂直に立ち上がる4周の側壁部32a,32b,32c,32dとを備える。そして、底部31および各側壁部の外側面には、前記外側容器要素10に形成した凸状リブ13aおよび13bが嵌り合うことのできる凹状溝33a、33bが一体成形されており、また、内側面には凸状リブ34a,34bが一体成形されている。
【0021】
すなわち、横幅の狭い方の対向する2枚の側壁32a,32cの外側面には、中間容器要素30を外側容器要素10内に挿入したときに、外側容器要素10の側壁部の内側面に形成した凸状リブ13aに対向することとなる位置に、図5に示すように、対をなす2条の凹溝33、33で形成される凹状溝33aが側壁32a,32cの上下方向の全長にわたり形成されており、また、横幅の広い方の対向する2枚の側壁32b,32dの外側面にも、同様に、同様な凹状溝33aが側壁32b,32dの上下方向の全長にわたり形成されている。底部31の外側面にも、対向する側壁32b、32dに形成した各凹状溝33aと繋ぐようにして4本の凹状溝33bが形成されている。凹状溝33a,33bを形成する各凹溝33の断面形状とその大きさはすべて同じであり、所定の角度θ2(ただし、θ2>θ1)で傾斜する左右の側面35a,35bと、深さがhの所に位置する平坦な底面36とからなる。
中間容器要素30の内側面に一体成形される凸状リブ34a,34bは、前記した外側容器要素10の内側面に形成した凸状リブ13a,13bと同様な条件に従って形成されている。
【0022】
内側容器要素20は、中間容器要素30内に側壁部と底部との間にわずかな隙間d1(<h)(なお、d1は前記dと同じでもよく、異なっていてもよい)を保って挿入される形状と大きさであり、他の容器要素10、30と同様に、水平面である矩形状の底部21と、該底部21から垂直に立ち上がる4周の側壁部22a,22b,22c,22dとを備える。そして、底部21および各側壁部の外側面には、中間容器要素30の内側面に形成した前記凸状リブ34aおよび34bが嵌り合うことのできる凹状溝23a、23bが一体成形されている。中間容器要素30の内側面に形成した凸状リブ34a、34bと、内側容器要素20の外側面に形成した凹状溝23a、23bとの断面形状上の関係は、外側容器要素10の内側面に形成した凸状リブ13a、13bと、中間容器要素30の外側面に形成した凹状溝33a、33bとの断面形状上の関係と好ましくは同じとされるが、嵌め合わせたときに両者の間に後記する空間Sが形成されることを条件に異なっていてもよい。なお、内側容器要素20の内側面は、この例では、平坦面とされるが、同様な凸状リブが形成されていてもよい。また、内側容器要素20は、組み付け後に外側容器要素10と中間容器要素30の上端面を覆うことのできるフランジ26を備えており、該フランジ26の上面には凹所27が形成さている。
【0023】
内側容器要素20の内側面には末広がり状の凹陥部120が形成されており、該凹陥部120の底面には外側面に貫通する細孔121が形成されている。細孔121に繋がるようにして、内側容器要素20の外側面にはほぼ同じ太さの凹溝122が形成されており、フランジ26の裏面に達している。凹溝122はフランジ26の裏面にも続いて形成され、フランジ26の外周縁にまで達している。図2bの要部拡大図に示すように、末広がり状の凹陥部120内には、温度検知器100が底面および側壁面のいずれにも接しない状態で取り付けてあり、温度検知器100に接続するリード線101は、細孔121から凹溝122内に圧入された状態で走り、フランジ26の裏面に通過して、フランジ26の外周縁からさらに外側に延出している。
【0024】
上記の構成であり、3つの容器要素10、30、20は、図2に示すように、互いに凸状リブと凹状溝とを嵌め合わせた状態で、外側容器要素10の内側に中間容器要素30を挿入し、さらに、中間容要素30の内側に内側容器要素20を挿入して、一体に組み付けることができる。組み付け後の状態では、図5にその一部を拡大して示すように、外側容器要素10と中間容器要素30との相対向する面(側壁面同士および底部同士)の間には、図3にその一部を示すように、隙間d、d1の空間が形成されるとともに、凸状リブと凹状溝との嵌め合わせ部では、対向する斜面同士の傾斜角度θ1、θ2が異なっていることから、左右の側面14a,14bの位置に実質的に線接触が形成され、かつ、少なくとも凸状リブ頂面(凸条13の頂面15)と凹状溝の底面(凹溝33の底面36)との間には空間Sが形成される。この状態は、中間容器要素30の内側に組み付けられた内側容器要素20との間でも同様に確保される。
【0025】
結果として、上記した凹状溝と凸状リブとの嵌め合わせ態様により、すべての容器要素、すなわち、外側容器要素10と中間容器要素30と内側容器要素20とは常に安定した姿勢が維持される一方において、隙間d,d1に加えて、前記空間Sが形成されることにより断熱層としての空間を極力大きく確保することが可能となり、多重断熱容器として、高い断熱性、保温性が確保される。
【0026】
また、3つの容器要素10、30、20を互いに凸状リブと凹状溝とを嵌め合わせた状態で組み付けるに際して、温度検知器100は内側容器要素20の内側面に形成した末広がり状の凹陥部120内に入り込んでおり、また、リード線は細孔121から内側容器要素20の外側面に形成した凹溝122内を通過し、さらにフランジ26の裏面に通過しているので、それらが嵌め合わせ作業に支障をきたすことはなく、嵌め合わせ後も、断熱空間の気密性は確保される。なお、内側容器要素20の外側面に形成した凹溝122は省略することもできる。
【0027】
図6は上記した容器本体1に気密に取り付けるための蓋体の一例を示す斜視図であり、図7は該蓋体2を多重断熱容器1に取り付けた状態を示す縦方向の断面図である。図示されように、この蓋体2は、全体として矩形状であり、下側蓋体要素50と上側蓋体要素60と、両者の間に挟持される中間蓋体要素70とからなる。この例において、3つの蓋体要素はすべて発泡樹脂(好ましくは、上記した多重断熱容器1と同じ発泡樹脂)の型内発泡成形品であるが、これに限らず、発泡樹脂または非発泡樹脂のシート成形品、非発泡樹脂の射出成形品、あるいはこれらの成形品の組み合わせであってもよい。
【0028】
下側蓋体要素50は、前記した内側容器要素20内に気密的に嵌り合う大きさの膨出部51と、その周囲に一体成形された水平フランジ52とを備えており、該水平フランジ52の上面には所定深さの凹溝53が形成されている。さらに、前記膨出部51の表面側には深さKの凹陥部54が形成されており、該凹陥部54の底部には、前記した各容器要素に形成したと同じ断面形状を備えた凸条からなる凸状リブ54bが適当本数だけ一体成形されている。
【0029】
中間蓋体要素70は、前記の凹陥部54に気密的に嵌入する平面形状を有し、厚みd3は凹陥部54の深さKよりも幾分薄い。中間蓋体要素70の裏面には、該凹陥部54に気密的に嵌入したときに前記凸状リブ54bに当接することとなる位置に、前記した凸状リブと凹状溝のと断面形状同士の関係と同じ関係とされた凹溝からなる凹状溝71bが一体成形されている。また、中間蓋体要素70の表面にも、任意の本数の凸状リブ72bが一体成形されている。
【0030】
上側蓋体要素60は、外側蓋体要素50の上面を覆う大きさのものであり、周辺部裏面には、前記水平フランジ52に形成した凹溝53に気密に嵌入する形状の凸条63が一体成形されている。また、裏面おける前記中間蓋体要素70の凸状リブ72bに当接することとなる位置には、前記した凸状リブと凹状溝のと断面形状同士の関係と同じ関係とされた凹状溝61bが一体成形されている。
【0031】
上記のようであり、3つの蓋体要素50、60、70は、図7に示すように、その凸状リブと凹状溝とを嵌め合わせた状態で一体に組み付けることができる。図7bの拡大図に示されるように、組み付け後の状態では、下側蓋体要素50と中間蓋体要素60との相対向する面の間には、隙間d4の空間が形成されるとともに、凸状リブと凹状溝との嵌め合わせ部では、対向する斜面同士の傾斜角度が異なっていることから、左右の側面の位置に実質的に線接触が形成され、かつ、少なくとも凸状リブの頂面と凹状溝の底面との間には空間S1が形成される。この状態は、中間蓋体要素70と上側蓋体要素60との間でも同様に確保される。さらに、下側蓋体要素50と上側蓋体要素60との間には、凹溝53と凸条63との気密嵌合域も形成される。それにより、蓋体2を多重断熱容器1に気密に取り付けたときに、蓋体2を通過して熱が流出・流入することを確実に阻止することができ、蓋付き断熱容器として、高い断熱性・保温性が確保される。
【0032】
この蓋体2にも、上記容器本体1におけると同様にして温度検知器100およびリード線101を取り付けるようにしてもよい。その場合には、図示のように、下側蓋体要素50(最も内側層となる容器要素に相当する)の容器内側面に、同様に末広がり状の凹陥部150を形成し、該末広がり状の凹陥部150の底面には反対側の面に貫通する細孔151を形成する。また、必要な場合には、反対側の面にリード線を案内するための溝152を形成する。さらに、中間蓋体要素70と上側蓋体要素60を通過する細孔171、161を適所に形成する。細孔151、171、161の孔径は用いるリード線101の直径に等しいか、それよりもやや細いものとする。
【0033】
蓋体2に温度検知器100を取り付ける場合には、末広がり状の凹陥部150内に温度検知器100が、その底面および側壁面のいずれにも接しない状態で取り付ける。温度検知器100に接続するリード線101を細孔151から下側蓋体要素50と中間蓋体要素70の間の空間を走らせながら前記細孔171の位置まで案内し、細孔171、161を通過させて蓋体2の上面から外側へ延出させる。図8aはその状態を示している。
【0034】
上記のように、本発明による温度検知部付き多重断熱容器において、温度検知部100は容器本体1側に取り付けてもよく、蓋体2側に取り付けてもよい。図示しないが、それぞれに末広がり状の凹陥部を複数個形成して、複数個の温度検知部100を取り付けるようにしてもよく、図示されるもののように、容器本体1と蓋体2との双方に温度検知部100取り付けてもよい。取り付ける部位の特に制限はなく、収容する物品などに応じて、最適な測温が得られる位置を決めればよい。例えば、図9に示すように、容器本体1の内部の底面域に取り付けてもよい。
【0035】
容器の外側に延出したリード線101は、図8aに示すように、そのままの状態で放置しておき、測温が必要とされるときに、その都度、適宜の温度表示部を接続するようにしてもよい。また、図8bに示すように、温度表示部102を常時接続させておいてもよい。後者の場合には、図8cに示すように、温度表示部102を収容できる凹陥部103を容器外側面(図示の例では、蓋体1を構成する上側蓋体要素60の外側面)に形成しておくことは望ましく、輸送中に温度表示部102が障害物となるとは回避される。なお、図8は、蓋体2の側にリード線101の延出部が存在する例であるが、容器本体1にリード線101の延出部が存在する場合にも、同様である。
【0036】
図示の例では、多重断熱容器を3層構造として示したが、これは例示であって容器本体1および蓋体2の双方およびそのいずれかにおいて、2層以上の任意の層構造のものであってよい。また、特別な関係にある凸状リブと凹状溝とを備えた容器要素を上記では説明したが、このような凸状リブと凹状溝は容器要素にとって必須の要件でないことも当然であり、従来知られた断熱空間を備えた多層構造のものであってもよい。
【0037】
本発明において、前記末広がり状の凹陥部120(150)の縦断面および横断面の形状に制限はなく、容器本体内の冷気が末広がり状の凹陥部120(150)内の空間を好ましくはその壁面に沿って移動できることを条件に任意である。図示したような頭部を切断した4角錐体形状に限らす。頭部を切断した円錐体形状でもよく、多角錐体でもよく、楕円状の錐体でもよい。
【0038】
さらに、本発明の温度検知部付き多重断熱容器において、密封多重構造とされている構成要素を構成する最も内側層となる容器要素の容器内側面に、前記した末広がり状の凹陥部120(150)を形成することも必須ではなく、内側面に沿うようにして温度検知部を配置とてもよい。しかし、末広がり状の凹陥部120(150)を形成し、温度検知部100を該凹陥部内にかつ凹陥部の壁面に接しない状態で備えるようにすることにより、容器内部の中央部の温度をより的確に測定することができる。以下、そのことを実施例に基づき説明する。
【0039】
図10aに示すように、容器本体1と蓋体2とからなる保温保冷容器における容器本体1の側面内側面に末広がり状の凹陥部120を形成した。容器本体1の底面部の中央に融解温度0℃である蓄冷剤P:1.0kgを収容するとともに、該末広がり状の凹陥部120内であって周囲の壁部に接しない位置に温度センサS1を、また、容器本体1の内部空間中心部にも温度センサTを設置して、2点での温度を経時的に測定した。
【0040】
同じ形状の保温保冷容器であるが、図10bに示すように、末広がり状の凹陥部に代えて、同じ深さの単なる円柱状の孔を形成したものを用意し、該円柱状の孔内であって周囲の壁部に接しない位置に温度センサS2を、また、容器本体1の内部空間中心部にも温度センサTを設置して、2点での温度を経時的に測定した。
【0041】
さらに、同じ形状の保温保冷容器であるが、図10cに示すように、側面内側面に凹陥部のない、すなわち内側面が平坦な容器本体を用意し、凹陥部に相当する位置の内側面に接するようにして温度センサS3を取り付けた。また、容器本体の内部空間中心部にも温度センサTを設置して、2点での温度を経時的に測定した。
【0042】
なお、容器本体1および蓋体2は、先に図5に基づき説明したようにして、それぞれ3層の容器要素をその間に空間d,d1(図5参照)が形成されるようにして一体に組み合わせた密封多重構造とされている。容器要素は発泡ポリスチレンの成形品であり、容器要素間の空間d,d1は2.5mmとした。容器本体1および蓋体2の厚さは30mmであり、容器本体1の内寸法は長さ300mm×幅250mm×高さ200mmである。末広がり状の凹陥部120は、円錐体形状であって、下面側直径は20mm、上面側の直径は10mm、深さは6.5mmとした。円柱状孔は、下面側直径は10mm、上面側の直径は10mm、深さは6.5mmとした。
【0043】
測温の結果を図11示す。図11に示されるように、図10aに示す形態の保温保冷容器は、温度センサS2を円柱状の孔内であって周囲の壁部に接しない位置に設置した場合、および、容器本体の内側面に接して温度センサS3を設置した場合と比較して、容器内中央部近傍の温度に近い温度を測温することができることがわかる。
【0044】
【発明の効果】
上記したように、本発明によれば、簡単な構成でありながら高い断熱性を発揮することのできる温度検知部付き多重断熱容器において、その内部温度を外部から容易に確認できると共に、測温に用いる温度検知部とリード線に破損が生じるのを確実に回避することができる。
【0045】
好ましい態様においては、各層を形成する容器要素が不用意に変形するのを防止でき、使用中に層間に形成されている断熱空間が大気に連通して断熱破壊が生じるのを極力抑制することができる。また、他の好ましい態様では、容器内空間の中央部の温度により近い温度を確実に測温することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による温度検知部付き多重断熱容器を構成する容器本体の各容器要素を分解して示す斜視図。
【図2】図2aは、図1に示す各容器要素を組み付ける途中を示す縦方向の断面図であり、図2bは、末広がり状の凹陥部の部分を拡大して示す斜視図である。
【図3】組み付け後の容器本体を示す縦方向の断面図。
【図4】図3でのIV−IV線に沿う断面図(水平方向の断面図)。
【図5】凸状リブと凹状溝との嵌め合い状態を示すための拡大図。
【図6】蓋体を示す斜視図。
【図7】図7aは蓋体を気密に装着した状態の温度検知部付き多重断熱容器を示す縦方向の断面図、図7bはその一部を拡大して記す図。
【図8】温度検知部付き多重断熱容器におけるリード線と温度表示部との3つの態様を示す斜視図。
【図9】容器本体の他の態様を示す断面図。
【図10】実験で用いた温度検知部付き多重断熱容器の3つの態様を示す図。
【図11】実験で用いた温度検知部付き多重断熱容器での温度比較を示すグラフ。
【符号の説明】
1…容器本体、2…蓋体、10…外側容器要素、20…内側容器要素、30…中間容器要素、13a,13b、34a,34b…凸状リブ、23a、23b、33a、33b…凹状溝、d,d1…各容器要素の間に形成される空間の厚み、S…凸状リブと凹状溝の間に形成される空間、100…温度検知部、101…リード線、102…温度表示部、120(150)…末広がり状の凹陥部
Claims (5)
- 構成要素として発泡樹脂製の容器本体と蓋体とを備え、構成要素のいずれか一方または双方は、少なくとも2層以上の容器要素をその間に空間が形成されるようにして一体に組み合わせた密封多重構造とされている多重断熱容器において、密封多重構造とされている構成要素を構成する最も内側層となる容器要素の容器内側面には少なくとも1個の温度検知部が備えられており、該温度検知部にはリード線が接続されており、該リード線の他端側は、2層の容器要素の間に形成された空間を通って所要位置まで案内された後、容器外側面に露出した状態とされていることを特徴とする温度検知部付き多重断熱容器。
- 温度検知部が備えられる容器要素の容器内側面には、末広がり状の凹陥部が形成されており、温度検知部は前記凹陥部内にかつ凹陥部の壁面に接しない状態で備えられていることを特徴とする請求項1記載の温度検知部付き多重断熱容器。
- 容器外側面に露出したリード線に接続可能な温度表示部をさらに備えていることを特徴とする請求項1または2記載の温度検知部付き多重断熱容器。
- 容器外側面に露出したリード線に接続した状態の温度表示部を収容できる凹陥部が容器外側面に形成されていることを特徴とする請求項3記載の温度検知部付き多重断熱容器。
- 密封多重構造とされている構成要素は、隣接する容器要素の相対向する面の一方にはその少なくとも一部に凹状溝が一体成形されており、他方の面の前記凹状溝に対向する位置には該凹状溝の底部との間に空間を残した状態で嵌り合う形状の凸状リブが一体成形されており、隣接する容器要素は、凸状リブと凹状溝とが互いに嵌り合った状態で組み合わされている構成を備えることを特徴とする請求項1ないし4いずれか記載の温度検知部付き多重断熱容器。
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