JP2004042727A - タング - Google Patents
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Abstract
【課題】ウエビングを確実に保持することができるタングを得る。
【解決手段】タング10のストッパバー48の幅方向寸法は、ウエビング14の幅方向の中央側に対応する部分よりも端部側に対応する部分が短い。これにより、ウエビング14がストッパバー48に斜め掛けされていても、ウエビング14が引っ張られる際のウエビング14に掛かる荷重が、ウエビング14の端部側に集中することなく、ウエビング14の幅方向の全体に渡って略均一になる。したがって、ウエビング14を確実に挟み込んで保持することができる。
【選択図】 図1
【解決手段】タング10のストッパバー48の幅方向寸法は、ウエビング14の幅方向の中央側に対応する部分よりも端部側に対応する部分が短い。これにより、ウエビング14がストッパバー48に斜め掛けされていても、ウエビング14が引っ張られる際のウエビング14に掛かる荷重が、ウエビング14の端部側に集中することなく、ウエビング14の幅方向の全体に渡って略均一になる。したがって、ウエビング14を確実に挟み込んで保持することができる。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、バックル装置に係合することで乗員拘束用のウエビングをバックル装置に支持させるタングに関する。
【0002】
【従来の技術】
車両用シートベルト装置には、連続ウエビングを用いて三点式シートベルト装置としたものがある。
【0003】
この種のシートベルト装置では、ウエビングの一端部は座席側方に設けられた巻取装置に係止される。また、ウエビングはセンタピラ等(乗員の肩近傍)に取り付けられたスルーアンカに巻き掛けられることで折り返され、他端部が巻取装置の近傍に設けられたアンカプレートに係止される。乗員がウエビングを装着する際には、アンカプレートとスルーアンカとの間のウエビング中間部に摺動可能に配設されたタングを、巻取装置とは反対側の座席側方に設けられたバックル装置に係合させる。これにより、ウエビングが巻取装置から引き出され装着状態となる。この装着状態でウエビングは、スルーアンカとタングとの間で乗員の肩部及び胸部を拘束すると共に、タングとアンカプレートとの間で乗員の腰部を拘束する。
【0004】
ところで、タングには、例えば、車両が急減速して、車両前方に移動しようとする乗員の身体によりウエビングが引っ張られた場合に、ウエビングのタングに対する摺動を制限する機構を備えるタングがある。
【0005】
このタイプのタングは、金属により形成された板状のロックプレートを備えている。このロックプレートの先端側には、バックル装置に係合する係合孔が形成されている。また、ロックプレートの係合孔より基端側にはウエビング挿通用の挿通孔が形成されている。さらに、タングは角棒状に形成されたストッパバーを備えている。このストッパバーは、ロックプレート上において、挿通孔を跨いだ状態で配置されることで挿通孔を分割する。また、ウエビングはこのストッパバーを介して折り返されており、折り返されたウエビングは、分割された挿通孔にそれぞれ挿通される。このとき、ウエビングはロックプレートの先端側の挿通孔に挿通される方が乗員の腰部を拘束するラップ側ウエビングになり、基端側の挿通孔に挿通される方がショルダ側ウエビングになる。
【0006】
このタングでは、ウエビングが引っ張られることでストッパバーがロックプレートの基端側方向に移動し、挿通孔の内周の一部との間でショルダ側ウエビングを挟み込んで保持する。これにより、ウエビングのストッパバーに対する摺動が制限される。したがって、ラップ側ウエビングの長さが変化せず(伸びないため)、乗員の腰部の車両前方向への移動が制限される。
【0007】
一方で、上記ウエビングがストッパバーにより挟み込まれた状態においても、乗員は慣性により車両前方向に移動しようとする。この場合であっても、乗員の身体を拘束するという観点からすれば、ストッパバーでウエビングを確実に保持する必要がある。しかしながら、ストッパバーでウエビングを確実に保持するためには、例えば、ストッパバーを大型化する等の対策が必要となり、タング自体が大型化する等の問題が生ずる。このため、ウエビングを確実に保持することができ、なおかつ、大型化等の問題が生じないタングの開発が望まれていた。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記事実を考慮して、ウエビングを確実に保持することのできるタングを得ることが目的である。
【0009】
【課題を解決するための手段】
請求項1に係る発明のタングは、バックル装置へ係合する略板状の係合部が先端側に形成され、長手方向の中間部分が折り返された乗員拘束用のウエビングの折り返し部分が挿通される挿通孔が前記係合部よりも基端側に形成された本体部と、前記ウエビングの折り返し部分で前記ウエビングに挟み込まれて、前記本体部の挿通孔を跨いだ状態で前記本体部の基端側方向に移動可能に配置され、前記本体部の前後方向に沿った寸法が前記ウエビングの幅方向の中央側に対応する部分よりも前記ウエビングの幅方向の端部側に対応する部分で短くされ、前記基端側方向への移動により前記ウエビングを前記挿通孔の内周一部との間で保持する移動部と、を有している。
【0010】
請求項1記載のタングでは、乗員拘束用のウエビングの中間部分が挿通孔に挿通される共にタングの移動部で折り返される。これにより、タングが乗員によりバックル装置の方向に移動されることで、巻取装置等からウエビングが引き出される。この後、タングはバックル装置に係合することでバックル装置に支持され、乗員はウエビングを装着した状態となる。
【0011】
一方、移動部は挿通孔を跨いだ状態で配置され、挿通孔が移動部によって分割される。これにより、ウエビングは上記分割された挿通孔にそれぞれ挿通される。
【0012】
したがって、例えば、車両が急減速して、車両前方に移動しようとする乗員の身体によりウエビングが引っ張られると、移動部が本体部の基端側方向へ移動する。これにより、移動部は、移動部から見て本体部の基端側から挿通された方のウエビングを、挿通孔の内周の一部との間に挟み込んで保持する。これにより、ウエビングの移動部に対する摺動が制限される。
【0013】
ところで、通常の3点式シートベルト装置では、上記装着状態のウエビングは移動部に対して角度がついた状態で斜めに折り返される。したがって、従来のタングの如く移動部が角棒状であると、ウエビングが引っ張られたときにウエビングの幅方向の端部側に荷重が集中する。
【0014】
ここで、移動部の本体部の前後方向に沿った寸法は、前記ウエビングの幅方向の中央側に対応する部分よりも前記ウエビングの幅方向の端部側に対応する部分が短い(ウエビングの幅方向の中央側に対向する部分が最も凸となる)。
【0015】
このため、ウエビングが移動部に角度がついた状態で折り返されていても、上記ウエビングが引っ張られる際には、ウエビングの幅方向の中央側に掛かる荷重が相対的に高くなると共に、ウエビングの幅方向の端部側に掛かる荷重が相対的に低くなる。すなわち、ウエビングの幅方向の全体に渡って荷重が概ね均一に掛かる。したがって、移動部がウエビングを挟み込んで保持する際に、移動部の保持力に抗してウエビングが移動部に対し摺動する可能性が少なく、ウエビングを確実に保持することができる。また、タング自体が大型化する等の問題も発生しない。
【0016】
請求項2に係る発明のタングは、バックル装置へ係合する略板状の係合部が先端側に形成され、長手方向の中間部分が折り返された乗員拘束用のウエビングの折り返し部分が挿通される挿通孔が前記係合部よりも基端側に形成された本体部と、前記ウエビングの折り返し部分で前記ウエビングに挟み込まれて、前記本体部の挿通孔を跨いだ状態で前記本体部の基端側方向に移動可能に配置され、前記基端側方向への移動により前記ウエビングを前記挿通孔の内周一部との間で保持すると共に、前記ウエビングを保持する部位以外の前記ウエビングと摺接する部位に他の部位よりも摩擦係数が高い高摩擦部が形成された移動部とを有している。
【0017】
請求項2記載のタングでは、乗員拘束用のウエビングの中間部分が挿通孔に挿通される共にタングの移動部で折り返される。これにより、タングが乗員によりバックル装置の方向に移動されることで、巻取装置等からウエビングが引き出される。この後、タングはバックル装置に係合することでバックル装置に支持され、乗員はウエビングを装着した状態となる。
【0018】
一方、移動部は挿通孔を跨いだ状態で配置され、挿通孔が移動部によって分割される。これにより、ウエビングは上記分割された挿通孔にそれぞれ挿通される。
【0019】
したがって、例えば、車両が急減速して、車両前方に移動しようとする乗員の身体によりウエビングが引っ張られると、移動部が本体部の基端側方向へ移動する。これにより、移動部は、移動部から見て本体部の基端側から挿通された方のウエビングを、挿通孔の内周の一部との間に挟み込んで保持する。これにより、ウエビングの移動部に対する摺動が制限される。
【0020】
ここで、移動部には高摩擦部が形成される。この高摩擦部は、摩擦係数が移動部の他の部位よりも高く、ウエビングと接触することで摩擦力によりウエビングを保持し、ウエビングの移動部に対する摺動を制限する。
【0021】
これにより、移動部は、ウエビングを挟み込んで保持するのみならず、当該保持部位以外の部位で摩擦力によりウエビングを保持する。したがって、ウエビングを保持する力が大きく、ウエビングを確実に保持することができる。また、タング自体が大型化する等の問題の発生しない。
【0022】
請求項3に係る発明のタングは、請求項2記載のタングにおいて、表面の摩擦係数が前記高摩擦部の摩擦係数よりも低く、前記高摩擦部を被覆すると共に、前記移動部が前記ウエビングを前記挿通孔の内周一部との間で保持する際に前記移動部から除去される被覆部を有することを特徴としている。
【0023】
請求項3記載のタングでは、ウエビングと高摩擦部との間に被覆部が介在する。したがって、高摩擦部とウエビングとが接触しない。
【0024】
ここで、この被覆部の表面の摩擦係数は高摩擦部の摩擦係数より低く、ウエビングと接触しても、ウエビングの引き出し・巻き取り等が円滑に行われる。
【0025】
また、この被覆部は、移動部がウエビングを挟み込んで保持する際に、例えば、ウエビングから押圧荷重を受けることで割れて、移動部から除去される。これにより、高摩擦部が露出してウエビングと接触する。したがって、移動部はウエビングを挟み込んで保持するのみならず、高摩擦部でウエビングを摩擦力により確実に保持する。
【0026】
請求項4に係る発明のタングは、請求項2または請求項3記載のタングにおいて、前記移動部のうち前記本体部の先端側方向へ向いた部位に前記高摩擦部が形成されることを特徴としている。
【0027】
請求項4記載のタングでは、高摩擦部が形成されるのは、移動部のうち本体部の先端側方向へ向いた部位である。したがって、高摩擦部が被覆部に被覆されても、タングが厚くならない(タングが大型化しない)。
【0028】
【発明の実施の形態】
(第1の実施の形態)
図4には、本発明の第1の実施の形態に係るタング10を適用した車両用のシートベルト装置12の全体構成が正面図で示されている。
【0029】
シートベルト装置12は、乗員30を拘束するためのウエビング14を備えている。このウエビング14の一端部は、車両のセンタピラ16の下端部近傍に配設されているウエビング巻取装置18の図示しない巻取軸に係止されている。
【0030】
また、ウエビング14は、中間部がセンタピラ16の上部に配設されたスルーアンカ20に巻き掛けられて、他端部がセンタピラ16の下端部近傍に配設されたアンカプレート22に係止されている。さらに、シート24のセンタピラ16とは反対側の側方には、バックル装置26が配設されている。
【0031】
さらに、ウエビング14のスルーアンカ20とアンカプレート22との間には、タング10が配設されている。
【0032】
次に、タング10について詳細に説明する。図1には、タング10の斜視図が示されている。また、図2にはタング10の正面図が示され、さらに、図3にはタング10の側断面図が示されている。
【0033】
タング10は、金属により板状に形成された本体部としてのロックプレート32を有している。このロックプレート32は、バックル装置26への挿入方向(図1の矢印IN方向)側(以下、「前端側」という)に形成された係合部34と、引き抜き方向側(以下、「後端側」という)に形成された係合部34より広幅な基部36とにより構成されており、正面視で略T字形状とされている(図2参照)。
【0034】
また、係合部34の略中央部には矩形状の係合孔38が形成されている。この係合孔38には、係合部34がバックル装置26に挿入されることで、バックル装置26に配設されたラッチ金具が嵌まり込む。これにより、タング10はバックル装置26において、引き抜き方向への移動が制限される。
【0035】
一方、基部36の略中央部には略矩形状の挿通孔40が形成されている。この挿通孔40の幅方向(ロックプレート32の幅方向に対応した方向)寸法は、ウエビング14の幅方向寸法より広幅に形成されている。ウエビング14は、長手方向の中間部分がウエビング14の幅方向回りに折り返されており、この折り返し部分が、挿通孔40に挿通されている。このとき、ウエビング14の幅方向とロックプレート32の幅方向とが対応している。
【0036】
また、基部36の幅方向両端部には、それぞれ、板状の側壁部42が形成されている。これらの側壁部42は、基端部側が基部36と一体に形成され、ロックプレート32の一方の厚さ方向に突設されている。また、これらの側壁部42の先端部からは、それぞれ板状の突片44が対向して基部36と平行に突設されている。さらに、これらの基部36、側壁部42及び突片44は樹脂製のハウジング46により覆われており(図4参照)、ロックプレート32の金属部分は、係合部34のみが露出するようになっている。
【0037】
また、タング10は、金属により棒状に形成された、移動部としてのストッパバー48を有している。
【0038】
このストッパバー48の長手方向(ロックプレート32の幅方向に対応した方向)寸法は、基部36の幅方向寸法より短く、かつ、挿通孔40の幅方向寸法より長く(すなわち、ウエビング14の幅方向寸法よりも長く)形成されている。また、厚さ方向(ロックプレート32の厚さ方向に対応した方向)寸法は、基部36と突片44との間隔より短く形成されている。
【0039】
さらに、このストッパバー48の前面部54は、共に平面状に形成された平行部54Aと傾斜部54Bとで構成されている。平行部54Aは、ストッパバー48の長手方向の中央部分に形成され、タング10の幅方向と平行になっている。一方、傾斜部54Bは、ストッパバー48の長手方向両端部分に形成され、タング10の前後方向に対して、所定角度外向きとなるように傾斜している。
【0040】
また、後面部56も同様に、共に平面状に形成された平行部56Aと傾斜部56Bとで構成されている。平行部56Aは、ストッパバー48の長手方向の中央部分に形成され、タング10の幅方向と平行になっている。一方、傾斜部56Bは、ストッパバー48の長手方向両端部分に形成され、タング10の前後方向に対して、所定角度外向きとなるように傾斜している。
【0041】
これにより、ストッパバー48の幅方向(ロックプレート32の前後方向に対応した方向)寸法は、長手方向の中央側から端部側に向けて次第に短くなっている。
【0042】
また、ストッパバー48は、下面部50がロックプレート32の基部36と対向した状態で、ロックプレート32の幅方向に対し平行に、かつ、挿通孔40を跨いで(挿通孔40と重なった状態で)配置されている。これにより、挿通孔40は、ストッパバー48によりロックプレート32の前後方向の二つの区分に分割された状態になっている。
【0043】
さらに、図3に示す如く、ストッパバー48は、挿通孔40に挿通されたウエビング14の折り返された部分に挟み込まれている。これにより、ウエビング14は、ストッパバー48の上面部52を境にして、タング10の前端部側の挿通孔40に挿通される方がラップ側ウエビング14Aとなり、ストッパバー48の前面部54と対向するようになっている。一方、タング10の後端部側の挿通孔40に挿通される方はショルダ側ウエビング14Bとなり、ストッパバー48の後面部56と対向するようになっている。
【0044】
また、このとき、ウエビング14の幅方向の中央部分とストッパバー48の長手方向の中央部分とが対応している。したがって、ストッパバー48は、ウエビング14の幅方向の中央側に対応する部分から、ウエビング14の幅方向の端部側に対応する部分に向けて次第に短くなるように(ウエビング14の幅方向の中央側に対応する部分が最も凸となるように)形成されている。
【0045】
さらに、ストッパバー48は、ロックプレート32の後端部側に移動可能になっている。また、ストッパバー48は、側壁部42及び突片44により、ロックプレート32の幅方向及び厚さ方向への移動が制限されている。すなわち、この側壁部42及び突片44は、ストッパバー48が移動する際のガイドとしての機能を有している。また、ストッパバー48は図示しないストッパーによって、図1に示す状態においてロックプレート32の前端部側への移動が阻止されている。
【0046】
次に本第1の実施の形態の作用について説明する。
【0047】
上記構成のシートベルト装置12では、車両のシート24に着座した乗員30が、タング10を把持して、バックル装置26の方向に引っ張ることで、ウエビング14をウエビング巻取装置18から引き出す。この後、タング10をバックル装置26に挿入することで、タング10の係合孔38とバックル装置26のラッチ金具とが係合する。これにより、図4に示す三点式のシートベルト装置12のウエビング14の装着状態となる。このウエビング14装着状態では、ウエビング14はストッパバー48に対して、図2に示す如く、角度がついた状態で斜めに折り返される。
【0048】
このウエビング14の装着状態で、例えば、走行中の車両が急停止する等した場合には、慣性により乗員30の身体が車両前方に移動しようとする。これにより、ラップ側ウエビング14Aが乗員30の腰部により、また、ショルダ側ウエビング14Bが乗員30の胸部により引っ張られる。
【0049】
このときウエビング14は、タング10の後端部側方向に引っ張られるので、ウエビング14に挟み込まれたストッパバー48が、同様にタング10の後端部側方向に移動する(図3参照)。
【0050】
これにより、ショルダ側ウエビング14Bがストッパバー48の後面部56とロックプレート32(より詳細には、ロックプレート32の挿通孔40が設けられた側の端部)との間に挟み込まれる(保持される)。これにより、ウエビング14のストッパバー48に対する摺動が阻止される。したがって、ラップ側ウエビング14Aの長さが変化することがなく、乗員30の腰部が拘束されて、車両前方への移動が制限される。
【0051】
一方、上記ウエビング14が挟み込まれた状態においても、乗員30は慣性により車両前方向に移動しようとする。このため、ウエビング14には、ストッパバー48に対して摺動する方向に荷重が掛かる。
【0052】
ここで、ストッパバー48の前面部54には傾斜部54Bが、また、後面部56には傾斜部56Bが形成され、ストッパバー48の幅方向寸法は、ウエビング14の幅方向の中央側に対応する部分より、ウエビング14の幅方向の端部側に対応する部分が短い。
【0053】
したがって、ウエビング14がストッパバー48に斜め掛けされていても、ストッパバー48が従来の如く角棒状である場合に比べ、ウエビング14が引っ張られる際のウエビング14の幅方向の中央側に掛かる荷重が相対的に高くなると共に、ウエビング14の幅方向の端部側に掛かる荷重が相対的に低くなる(ウエビング14の幅方向に渡って略均一に荷重が掛かる)。
【0054】
このように、タング10では、ストッパバー48がウエビング14を挟み込んで保持したときに、ウエビング14の幅方向の端部側に荷重が集中して、当該端部側からストッパバー48の保持力に抗してウエビング14がストッパバー48に対し摺動する可能性が少なく、ウエビング14が確実に保持される。
【0055】
また、ストッパバー48に傾斜部54B及び56Bを設けただけなので、タング10が大型化しない。
【0056】
さらに、ストッパバー48が従来の如く角棒状である場合には、ウエビング14の幅方向の端部側に荷重が集中するため、ウエビング14の端部側で損傷が発生する可能性があったが、タング10では、ウエビング14の幅方向に渡って略均一に荷重が掛かるのでウエビング14の幅方向の端部側に損傷が発生し難い。
【0057】
なお、本実施の形態のストッパバー48は、前面部54及び後面部56が平面状に形成されているが、ストッパバー48の形状はこれに限られず、例えば、長手方向中央側が最も凸となるような湾曲面状に形成されていてもよい。また、前面部54及び後面部56の傾斜部54B、56Bだけが、湾曲面状になっていてもよい。
【0058】
さらに、ストッパバー48は、前面部54及び後面部56の両方において傾斜部54B、56Bが形成されているが、ストッパバー48の形状はこれに限られない。すなわち、ストッパバー48の幅方向寸法がウエビングの幅方向の中央側に対応する部分よりも、ウエビングの幅方向の端部側に対応する部分で短くされていれば、例えば、前面部54及び後面部56の一方において、傾斜部54Bまたは56Bが形成されていてもよい。
(第2の実施の形態)
次に本発明の第2の実施の形態について説明する。なお、前記第1の実施の形態と基本的に同一の構成・作用については前記第1の実施の形態と同一の符号を付してその説明を省略する。
【0059】
図5には、本発明の第2の実施の形態に係るタング60の斜視図が示されている。また、図6には、タング60のストッパバー62及びカバー68の構成が斜視図で示されており、さらに、図7には、タング60の側断面図が示されている。
【0060】
このタング60のストッパバー62は、上記第1の実施の形態のタング10のストッパバー48の傾斜部54B及び56Bに相当する部分がなく、ロックプレート32(タング60)の前端側へ向いた部位に高摩擦部64が形成されていることが特徴になっている。
【0061】
この高摩擦部64は、正面視で複数(本実施の形態では10個)の三角形がストッパバー62の幅方向に連続した鋸歯状になっており、合計10箇所に頂部66が形成されている。なお、本実施の形態の高摩擦部64は、合計10個の三角形が連続する構成であるが、この数はこれに限られない。
【0062】
さらに、この高摩擦部64に対向して被覆部としてのカバー68が配置されている。このカバー68は、合成樹脂材により板状に形成されており、表面の摩擦係数が高摩擦部64の摩擦係数よりも低くなっている。また、カバー68は、ストッパバー62の厚さ方向寸法と略同一の高さ方向寸法を有すると共に、長手方向両端部がロックプレート32の後端側に向けて湾曲している。カバー68はこの湾曲部分でストッパバー62を挟み込むことで、ストッパバー62に取り付けられている(図6参照)。これにより、ストッパバー62は、高摩擦部64がカバー68により覆われる構成になっている。
【0063】
さらに、このカバー68は、厚さ方向に所定値以上の押圧荷重が掛かることで割れるように機械的強度が設定されており、例えば、車両が急減速して、車両前方に移動しようとする乗員30の身体によりウエビング14が引っ張られたときにカバー68に掛かる押圧荷重と同等以上の押圧荷重で割れるように機械的強度が設定されている。
【0064】
さらに、ストッパバー62は、下面部70がロックプレート32の基部36と対向した状態で、ロックプレート32の幅方向に対し平行に、かつ、挿通孔40を跨いで(挿通孔40と重なった状態で)配置されている。これにより、挿通孔40は、ストッパバー62によりロックプレート32の前後方向の二つの区分に分割された状態になっている。
【0065】
また、ストッパバー62及びカバー68は、挿通孔40に挿通されたウエビング14の折り返された部分に挟み込まれている(図7(A)参照)。これにより、ウエビング14は、ストッパバー62の上面部72を境にして、ロックプレート32の前端側の挿通孔40に挿通される方がラップ側ウエビング14Aとなり、カバー68と対向する。一方、ロックプレート32の後端側の挿通孔42に挿通される方はショルダ側ウエビング14Bとなり、ストッパバー62の後面部74と対向する。
【0066】
次に、本第2の実施の形態の作用について説明する。
【0067】
図4に示す三点式のシートベルト装置12のウエビング14の装着状態において、ウエビング14は、ロックプレート32の挿通孔40に折り返し部分が挿通される。また、このウエビング14は、この折り返し部分でストッパバー62及びカバー68を挟み込む(図7(A)参照)。これにより、ウエビング14はスルーアンカ20とタング60との間のショルダ側ウエビング14Bで乗員30の胸部を拘束すると共に、タング60とアンカプレート22との間のラップ側ウエビング14Aで乗員30の腰部を拘束する。
【0068】
また、このとき、ラップ側ウエビング14Aがカバー68と対向すると共に、ショルダ側ウエビング14Bがストッパバー62の後面部74と対向する。したがって、ウエビング14は高摩擦部64に接触しない。また、カバー68の表面の摩擦係数は高摩擦部64の摩擦係数より低いので、ウエビング14とカバー68とが接触しても、ウエビング14はストッパバー62及びカバー68に対して円滑に摺動し、引き出しや巻き取りが円滑に行われる。
【0069】
一方、このウエビング14の装着状態で、例えば、走行中の車両が急減速する等した場合には、慣性により乗員30の身体が車両前方に移動しようとする。これにより、ラップ側ウエビング14Aが乗員30の腰部により、また、ショルダ側ウエビング14Bが乗員30の胸部により引っ張られる。
【0070】
このときウエビング14は、タング70の後端側方向に引っ張られるので、ウエビング14に挟み込まれたストッパバー62及びカバー68が、同様にタング10の後端側方向に移動する。
【0071】
これにより、ショルダ側ウエビング14Bが、ストッパバー62の後面部60(より詳細には、後面部74と下面部70とにより形成される角部)と、挿通孔40の内周の一部(より詳細には、挿通孔40の内周の一部であってタング70の前端側へ向いた部位)との間に挟み込まれ保持される。これにより、ウエビング14のストッパバー62に対する摺動が制限される(図7(B)参照)。したがって、ラップ側ウエビング14Aの長さが変化することがなく、乗員30の腰部の車両前方向への移動が制限される。
【0072】
一方、上記ウエビング14が挟み込まれた状態においても、乗員30は慣性により車両前方向に移動しようとする。このため、ウエビング14には、ストッパバー62に対して摺動する方向に荷重が掛かる。
【0073】
ここで、ストッパバー62及びカバー68はウエビング14に挟み込まれている。したがって、上記のようにウエビング14が挟み込まれた状態で、ウエビング14に荷重が掛かると、カバー68がラップ側ウエビング14Aによりストッパバー62の高摩擦部64に押圧される。
【0074】
これにより、カバー68が割れる。このカバー68の破片は自重により落下し、高摩擦部64が露出する。この高摩擦部64はラップ側ウエビング14Aに接触し、これにより、頂部62がラップ側ウエビング14Aに食い込んで摩擦力によりウエビング14を保持する。したがって、ウエビング14のストッパバー62に対する摺動が制限される。
【0075】
すなわち、ストッパバー62は、後面部74と挿通孔40の内周とでショルダ側ウエビング14Bを挟み込んで保持するのみならず、高摩擦部64でラップ側ウエビング14Aを摩擦力により保持する。したがって、ウエビング14を保持する力が大きく、ウエビング14をより確実に保持することができる。
【0076】
また、タング70にはストッパバー62に高摩擦部64が設けられただけであり、しかも、この高摩擦部64と高摩擦部64を覆うカバー68とは、ストッパバー62のうちタング70の前端側へ向いた部位に形成されている。したがって、ストッパバー62の厚さ方向寸法が大きくなることがなく、タング60が大型化することがない。
【0077】
なお、本第2の実施の形態ではストッパバー62の高摩擦部64を鋸歯状としたが、高摩擦部64の構成はこれに限られない。すなわち、高摩擦部64はウエビング14を摩擦力により保持し、ストッパバー62に対する摺動を制限することが可能であればよく、例えば、ローレット切り加工(ナーリング)により網目状の凹凸面が形成されるような構成であってもよい。
【0078】
また、ストッパバー62では、高摩擦部64の頂部66がウエビング14に沿って直線的に配置されているが、頂部66の配置はこれに限らず、例えば、ウエビング14の幅方向の中央側に対応する部分が最も凸となるように頂部66を配置しても良い。この場合には、ウエビング14がストッパバー62に角度がついた状態で折り返されていても、ウエビング14が引っ張られる際にウエビング14に掛かる荷重がウエビング14の幅方向端部に集中することなく、ウエビング14の幅方向の全体に渡って略均一に掛かる。したがって、全ての頂部66がウエビングに確実に食い込むので、ウエビング14をより確実に保持することができる。
【0079】
さらに、高摩擦部64は、ストッパバー62のうちタング70の前端側へ向いた部位に形成されているが、高摩擦部64の形成箇所はこれに限られず、例えば、ストッパバー62の後面部60側の部位に形成されていてもよく、さらに、これら両方の部位に形成されていてもよい。
【0080】
また、カバー68は、板状部材とされ、ストッパバー62を挟み込むことでストッパバー62に取り付けられているが、カバー68の構成はこれに限られず、高摩擦部64を覆うと共に、高摩擦部64より摩擦係数が低いものであればよく、例えば、高摩擦部64に液状合成樹脂材を塗布することで、高摩擦部64をコーティングするような構成であってもよい。
【0081】
【発明の効果】
以上説明した如く本発明に係るタングは、ウエビングを確実に保持することができるという優れた効果を有している。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係るタングの構成を示す斜視図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態に係るタングの構成を示す正面図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態に係るタングのストッパバーの動作を示す側断面図である。
【図4】本発明の第1の実施の形態に係るタングを適用した車両用シートベルト装置の全体構成を示す正面図である。
【図5】本発明の第2の実施の形態に係るタングの構成を示す斜視図である。
【図6】本発明の第2の実施の形態に係るタングのストッパバー及びカバーの構成を示す斜視図である。
【図7】本発明の第2の実施の形態に係るタングのストッパバーの動作を示し、(A)はストッパバーに対してウエビングが摺動可能となっているときの状態を示す側断面図であり、(B)はストッパバーがウエビングを保持した状態を示す側断面図である。
【符号の説明】
10 タング
14 ウエビング
32 ロックプレート(本体部)
48 ストッパバー(移動部)
60 タング
62 ストッパバー(移動部)
64 高摩擦部
68 カバー(被覆部)
【発明の属する技術分野】
本発明は、バックル装置に係合することで乗員拘束用のウエビングをバックル装置に支持させるタングに関する。
【0002】
【従来の技術】
車両用シートベルト装置には、連続ウエビングを用いて三点式シートベルト装置としたものがある。
【0003】
この種のシートベルト装置では、ウエビングの一端部は座席側方に設けられた巻取装置に係止される。また、ウエビングはセンタピラ等(乗員の肩近傍)に取り付けられたスルーアンカに巻き掛けられることで折り返され、他端部が巻取装置の近傍に設けられたアンカプレートに係止される。乗員がウエビングを装着する際には、アンカプレートとスルーアンカとの間のウエビング中間部に摺動可能に配設されたタングを、巻取装置とは反対側の座席側方に設けられたバックル装置に係合させる。これにより、ウエビングが巻取装置から引き出され装着状態となる。この装着状態でウエビングは、スルーアンカとタングとの間で乗員の肩部及び胸部を拘束すると共に、タングとアンカプレートとの間で乗員の腰部を拘束する。
【0004】
ところで、タングには、例えば、車両が急減速して、車両前方に移動しようとする乗員の身体によりウエビングが引っ張られた場合に、ウエビングのタングに対する摺動を制限する機構を備えるタングがある。
【0005】
このタイプのタングは、金属により形成された板状のロックプレートを備えている。このロックプレートの先端側には、バックル装置に係合する係合孔が形成されている。また、ロックプレートの係合孔より基端側にはウエビング挿通用の挿通孔が形成されている。さらに、タングは角棒状に形成されたストッパバーを備えている。このストッパバーは、ロックプレート上において、挿通孔を跨いだ状態で配置されることで挿通孔を分割する。また、ウエビングはこのストッパバーを介して折り返されており、折り返されたウエビングは、分割された挿通孔にそれぞれ挿通される。このとき、ウエビングはロックプレートの先端側の挿通孔に挿通される方が乗員の腰部を拘束するラップ側ウエビングになり、基端側の挿通孔に挿通される方がショルダ側ウエビングになる。
【0006】
このタングでは、ウエビングが引っ張られることでストッパバーがロックプレートの基端側方向に移動し、挿通孔の内周の一部との間でショルダ側ウエビングを挟み込んで保持する。これにより、ウエビングのストッパバーに対する摺動が制限される。したがって、ラップ側ウエビングの長さが変化せず(伸びないため)、乗員の腰部の車両前方向への移動が制限される。
【0007】
一方で、上記ウエビングがストッパバーにより挟み込まれた状態においても、乗員は慣性により車両前方向に移動しようとする。この場合であっても、乗員の身体を拘束するという観点からすれば、ストッパバーでウエビングを確実に保持する必要がある。しかしながら、ストッパバーでウエビングを確実に保持するためには、例えば、ストッパバーを大型化する等の対策が必要となり、タング自体が大型化する等の問題が生ずる。このため、ウエビングを確実に保持することができ、なおかつ、大型化等の問題が生じないタングの開発が望まれていた。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記事実を考慮して、ウエビングを確実に保持することのできるタングを得ることが目的である。
【0009】
【課題を解決するための手段】
請求項1に係る発明のタングは、バックル装置へ係合する略板状の係合部が先端側に形成され、長手方向の中間部分が折り返された乗員拘束用のウエビングの折り返し部分が挿通される挿通孔が前記係合部よりも基端側に形成された本体部と、前記ウエビングの折り返し部分で前記ウエビングに挟み込まれて、前記本体部の挿通孔を跨いだ状態で前記本体部の基端側方向に移動可能に配置され、前記本体部の前後方向に沿った寸法が前記ウエビングの幅方向の中央側に対応する部分よりも前記ウエビングの幅方向の端部側に対応する部分で短くされ、前記基端側方向への移動により前記ウエビングを前記挿通孔の内周一部との間で保持する移動部と、を有している。
【0010】
請求項1記載のタングでは、乗員拘束用のウエビングの中間部分が挿通孔に挿通される共にタングの移動部で折り返される。これにより、タングが乗員によりバックル装置の方向に移動されることで、巻取装置等からウエビングが引き出される。この後、タングはバックル装置に係合することでバックル装置に支持され、乗員はウエビングを装着した状態となる。
【0011】
一方、移動部は挿通孔を跨いだ状態で配置され、挿通孔が移動部によって分割される。これにより、ウエビングは上記分割された挿通孔にそれぞれ挿通される。
【0012】
したがって、例えば、車両が急減速して、車両前方に移動しようとする乗員の身体によりウエビングが引っ張られると、移動部が本体部の基端側方向へ移動する。これにより、移動部は、移動部から見て本体部の基端側から挿通された方のウエビングを、挿通孔の内周の一部との間に挟み込んで保持する。これにより、ウエビングの移動部に対する摺動が制限される。
【0013】
ところで、通常の3点式シートベルト装置では、上記装着状態のウエビングは移動部に対して角度がついた状態で斜めに折り返される。したがって、従来のタングの如く移動部が角棒状であると、ウエビングが引っ張られたときにウエビングの幅方向の端部側に荷重が集中する。
【0014】
ここで、移動部の本体部の前後方向に沿った寸法は、前記ウエビングの幅方向の中央側に対応する部分よりも前記ウエビングの幅方向の端部側に対応する部分が短い(ウエビングの幅方向の中央側に対向する部分が最も凸となる)。
【0015】
このため、ウエビングが移動部に角度がついた状態で折り返されていても、上記ウエビングが引っ張られる際には、ウエビングの幅方向の中央側に掛かる荷重が相対的に高くなると共に、ウエビングの幅方向の端部側に掛かる荷重が相対的に低くなる。すなわち、ウエビングの幅方向の全体に渡って荷重が概ね均一に掛かる。したがって、移動部がウエビングを挟み込んで保持する際に、移動部の保持力に抗してウエビングが移動部に対し摺動する可能性が少なく、ウエビングを確実に保持することができる。また、タング自体が大型化する等の問題も発生しない。
【0016】
請求項2に係る発明のタングは、バックル装置へ係合する略板状の係合部が先端側に形成され、長手方向の中間部分が折り返された乗員拘束用のウエビングの折り返し部分が挿通される挿通孔が前記係合部よりも基端側に形成された本体部と、前記ウエビングの折り返し部分で前記ウエビングに挟み込まれて、前記本体部の挿通孔を跨いだ状態で前記本体部の基端側方向に移動可能に配置され、前記基端側方向への移動により前記ウエビングを前記挿通孔の内周一部との間で保持すると共に、前記ウエビングを保持する部位以外の前記ウエビングと摺接する部位に他の部位よりも摩擦係数が高い高摩擦部が形成された移動部とを有している。
【0017】
請求項2記載のタングでは、乗員拘束用のウエビングの中間部分が挿通孔に挿通される共にタングの移動部で折り返される。これにより、タングが乗員によりバックル装置の方向に移動されることで、巻取装置等からウエビングが引き出される。この後、タングはバックル装置に係合することでバックル装置に支持され、乗員はウエビングを装着した状態となる。
【0018】
一方、移動部は挿通孔を跨いだ状態で配置され、挿通孔が移動部によって分割される。これにより、ウエビングは上記分割された挿通孔にそれぞれ挿通される。
【0019】
したがって、例えば、車両が急減速して、車両前方に移動しようとする乗員の身体によりウエビングが引っ張られると、移動部が本体部の基端側方向へ移動する。これにより、移動部は、移動部から見て本体部の基端側から挿通された方のウエビングを、挿通孔の内周の一部との間に挟み込んで保持する。これにより、ウエビングの移動部に対する摺動が制限される。
【0020】
ここで、移動部には高摩擦部が形成される。この高摩擦部は、摩擦係数が移動部の他の部位よりも高く、ウエビングと接触することで摩擦力によりウエビングを保持し、ウエビングの移動部に対する摺動を制限する。
【0021】
これにより、移動部は、ウエビングを挟み込んで保持するのみならず、当該保持部位以外の部位で摩擦力によりウエビングを保持する。したがって、ウエビングを保持する力が大きく、ウエビングを確実に保持することができる。また、タング自体が大型化する等の問題の発生しない。
【0022】
請求項3に係る発明のタングは、請求項2記載のタングにおいて、表面の摩擦係数が前記高摩擦部の摩擦係数よりも低く、前記高摩擦部を被覆すると共に、前記移動部が前記ウエビングを前記挿通孔の内周一部との間で保持する際に前記移動部から除去される被覆部を有することを特徴としている。
【0023】
請求項3記載のタングでは、ウエビングと高摩擦部との間に被覆部が介在する。したがって、高摩擦部とウエビングとが接触しない。
【0024】
ここで、この被覆部の表面の摩擦係数は高摩擦部の摩擦係数より低く、ウエビングと接触しても、ウエビングの引き出し・巻き取り等が円滑に行われる。
【0025】
また、この被覆部は、移動部がウエビングを挟み込んで保持する際に、例えば、ウエビングから押圧荷重を受けることで割れて、移動部から除去される。これにより、高摩擦部が露出してウエビングと接触する。したがって、移動部はウエビングを挟み込んで保持するのみならず、高摩擦部でウエビングを摩擦力により確実に保持する。
【0026】
請求項4に係る発明のタングは、請求項2または請求項3記載のタングにおいて、前記移動部のうち前記本体部の先端側方向へ向いた部位に前記高摩擦部が形成されることを特徴としている。
【0027】
請求項4記載のタングでは、高摩擦部が形成されるのは、移動部のうち本体部の先端側方向へ向いた部位である。したがって、高摩擦部が被覆部に被覆されても、タングが厚くならない(タングが大型化しない)。
【0028】
【発明の実施の形態】
(第1の実施の形態)
図4には、本発明の第1の実施の形態に係るタング10を適用した車両用のシートベルト装置12の全体構成が正面図で示されている。
【0029】
シートベルト装置12は、乗員30を拘束するためのウエビング14を備えている。このウエビング14の一端部は、車両のセンタピラ16の下端部近傍に配設されているウエビング巻取装置18の図示しない巻取軸に係止されている。
【0030】
また、ウエビング14は、中間部がセンタピラ16の上部に配設されたスルーアンカ20に巻き掛けられて、他端部がセンタピラ16の下端部近傍に配設されたアンカプレート22に係止されている。さらに、シート24のセンタピラ16とは反対側の側方には、バックル装置26が配設されている。
【0031】
さらに、ウエビング14のスルーアンカ20とアンカプレート22との間には、タング10が配設されている。
【0032】
次に、タング10について詳細に説明する。図1には、タング10の斜視図が示されている。また、図2にはタング10の正面図が示され、さらに、図3にはタング10の側断面図が示されている。
【0033】
タング10は、金属により板状に形成された本体部としてのロックプレート32を有している。このロックプレート32は、バックル装置26への挿入方向(図1の矢印IN方向)側(以下、「前端側」という)に形成された係合部34と、引き抜き方向側(以下、「後端側」という)に形成された係合部34より広幅な基部36とにより構成されており、正面視で略T字形状とされている(図2参照)。
【0034】
また、係合部34の略中央部には矩形状の係合孔38が形成されている。この係合孔38には、係合部34がバックル装置26に挿入されることで、バックル装置26に配設されたラッチ金具が嵌まり込む。これにより、タング10はバックル装置26において、引き抜き方向への移動が制限される。
【0035】
一方、基部36の略中央部には略矩形状の挿通孔40が形成されている。この挿通孔40の幅方向(ロックプレート32の幅方向に対応した方向)寸法は、ウエビング14の幅方向寸法より広幅に形成されている。ウエビング14は、長手方向の中間部分がウエビング14の幅方向回りに折り返されており、この折り返し部分が、挿通孔40に挿通されている。このとき、ウエビング14の幅方向とロックプレート32の幅方向とが対応している。
【0036】
また、基部36の幅方向両端部には、それぞれ、板状の側壁部42が形成されている。これらの側壁部42は、基端部側が基部36と一体に形成され、ロックプレート32の一方の厚さ方向に突設されている。また、これらの側壁部42の先端部からは、それぞれ板状の突片44が対向して基部36と平行に突設されている。さらに、これらの基部36、側壁部42及び突片44は樹脂製のハウジング46により覆われており(図4参照)、ロックプレート32の金属部分は、係合部34のみが露出するようになっている。
【0037】
また、タング10は、金属により棒状に形成された、移動部としてのストッパバー48を有している。
【0038】
このストッパバー48の長手方向(ロックプレート32の幅方向に対応した方向)寸法は、基部36の幅方向寸法より短く、かつ、挿通孔40の幅方向寸法より長く(すなわち、ウエビング14の幅方向寸法よりも長く)形成されている。また、厚さ方向(ロックプレート32の厚さ方向に対応した方向)寸法は、基部36と突片44との間隔より短く形成されている。
【0039】
さらに、このストッパバー48の前面部54は、共に平面状に形成された平行部54Aと傾斜部54Bとで構成されている。平行部54Aは、ストッパバー48の長手方向の中央部分に形成され、タング10の幅方向と平行になっている。一方、傾斜部54Bは、ストッパバー48の長手方向両端部分に形成され、タング10の前後方向に対して、所定角度外向きとなるように傾斜している。
【0040】
また、後面部56も同様に、共に平面状に形成された平行部56Aと傾斜部56Bとで構成されている。平行部56Aは、ストッパバー48の長手方向の中央部分に形成され、タング10の幅方向と平行になっている。一方、傾斜部56Bは、ストッパバー48の長手方向両端部分に形成され、タング10の前後方向に対して、所定角度外向きとなるように傾斜している。
【0041】
これにより、ストッパバー48の幅方向(ロックプレート32の前後方向に対応した方向)寸法は、長手方向の中央側から端部側に向けて次第に短くなっている。
【0042】
また、ストッパバー48は、下面部50がロックプレート32の基部36と対向した状態で、ロックプレート32の幅方向に対し平行に、かつ、挿通孔40を跨いで(挿通孔40と重なった状態で)配置されている。これにより、挿通孔40は、ストッパバー48によりロックプレート32の前後方向の二つの区分に分割された状態になっている。
【0043】
さらに、図3に示す如く、ストッパバー48は、挿通孔40に挿通されたウエビング14の折り返された部分に挟み込まれている。これにより、ウエビング14は、ストッパバー48の上面部52を境にして、タング10の前端部側の挿通孔40に挿通される方がラップ側ウエビング14Aとなり、ストッパバー48の前面部54と対向するようになっている。一方、タング10の後端部側の挿通孔40に挿通される方はショルダ側ウエビング14Bとなり、ストッパバー48の後面部56と対向するようになっている。
【0044】
また、このとき、ウエビング14の幅方向の中央部分とストッパバー48の長手方向の中央部分とが対応している。したがって、ストッパバー48は、ウエビング14の幅方向の中央側に対応する部分から、ウエビング14の幅方向の端部側に対応する部分に向けて次第に短くなるように(ウエビング14の幅方向の中央側に対応する部分が最も凸となるように)形成されている。
【0045】
さらに、ストッパバー48は、ロックプレート32の後端部側に移動可能になっている。また、ストッパバー48は、側壁部42及び突片44により、ロックプレート32の幅方向及び厚さ方向への移動が制限されている。すなわち、この側壁部42及び突片44は、ストッパバー48が移動する際のガイドとしての機能を有している。また、ストッパバー48は図示しないストッパーによって、図1に示す状態においてロックプレート32の前端部側への移動が阻止されている。
【0046】
次に本第1の実施の形態の作用について説明する。
【0047】
上記構成のシートベルト装置12では、車両のシート24に着座した乗員30が、タング10を把持して、バックル装置26の方向に引っ張ることで、ウエビング14をウエビング巻取装置18から引き出す。この後、タング10をバックル装置26に挿入することで、タング10の係合孔38とバックル装置26のラッチ金具とが係合する。これにより、図4に示す三点式のシートベルト装置12のウエビング14の装着状態となる。このウエビング14装着状態では、ウエビング14はストッパバー48に対して、図2に示す如く、角度がついた状態で斜めに折り返される。
【0048】
このウエビング14の装着状態で、例えば、走行中の車両が急停止する等した場合には、慣性により乗員30の身体が車両前方に移動しようとする。これにより、ラップ側ウエビング14Aが乗員30の腰部により、また、ショルダ側ウエビング14Bが乗員30の胸部により引っ張られる。
【0049】
このときウエビング14は、タング10の後端部側方向に引っ張られるので、ウエビング14に挟み込まれたストッパバー48が、同様にタング10の後端部側方向に移動する(図3参照)。
【0050】
これにより、ショルダ側ウエビング14Bがストッパバー48の後面部56とロックプレート32(より詳細には、ロックプレート32の挿通孔40が設けられた側の端部)との間に挟み込まれる(保持される)。これにより、ウエビング14のストッパバー48に対する摺動が阻止される。したがって、ラップ側ウエビング14Aの長さが変化することがなく、乗員30の腰部が拘束されて、車両前方への移動が制限される。
【0051】
一方、上記ウエビング14が挟み込まれた状態においても、乗員30は慣性により車両前方向に移動しようとする。このため、ウエビング14には、ストッパバー48に対して摺動する方向に荷重が掛かる。
【0052】
ここで、ストッパバー48の前面部54には傾斜部54Bが、また、後面部56には傾斜部56Bが形成され、ストッパバー48の幅方向寸法は、ウエビング14の幅方向の中央側に対応する部分より、ウエビング14の幅方向の端部側に対応する部分が短い。
【0053】
したがって、ウエビング14がストッパバー48に斜め掛けされていても、ストッパバー48が従来の如く角棒状である場合に比べ、ウエビング14が引っ張られる際のウエビング14の幅方向の中央側に掛かる荷重が相対的に高くなると共に、ウエビング14の幅方向の端部側に掛かる荷重が相対的に低くなる(ウエビング14の幅方向に渡って略均一に荷重が掛かる)。
【0054】
このように、タング10では、ストッパバー48がウエビング14を挟み込んで保持したときに、ウエビング14の幅方向の端部側に荷重が集中して、当該端部側からストッパバー48の保持力に抗してウエビング14がストッパバー48に対し摺動する可能性が少なく、ウエビング14が確実に保持される。
【0055】
また、ストッパバー48に傾斜部54B及び56Bを設けただけなので、タング10が大型化しない。
【0056】
さらに、ストッパバー48が従来の如く角棒状である場合には、ウエビング14の幅方向の端部側に荷重が集中するため、ウエビング14の端部側で損傷が発生する可能性があったが、タング10では、ウエビング14の幅方向に渡って略均一に荷重が掛かるのでウエビング14の幅方向の端部側に損傷が発生し難い。
【0057】
なお、本実施の形態のストッパバー48は、前面部54及び後面部56が平面状に形成されているが、ストッパバー48の形状はこれに限られず、例えば、長手方向中央側が最も凸となるような湾曲面状に形成されていてもよい。また、前面部54及び後面部56の傾斜部54B、56Bだけが、湾曲面状になっていてもよい。
【0058】
さらに、ストッパバー48は、前面部54及び後面部56の両方において傾斜部54B、56Bが形成されているが、ストッパバー48の形状はこれに限られない。すなわち、ストッパバー48の幅方向寸法がウエビングの幅方向の中央側に対応する部分よりも、ウエビングの幅方向の端部側に対応する部分で短くされていれば、例えば、前面部54及び後面部56の一方において、傾斜部54Bまたは56Bが形成されていてもよい。
(第2の実施の形態)
次に本発明の第2の実施の形態について説明する。なお、前記第1の実施の形態と基本的に同一の構成・作用については前記第1の実施の形態と同一の符号を付してその説明を省略する。
【0059】
図5には、本発明の第2の実施の形態に係るタング60の斜視図が示されている。また、図6には、タング60のストッパバー62及びカバー68の構成が斜視図で示されており、さらに、図7には、タング60の側断面図が示されている。
【0060】
このタング60のストッパバー62は、上記第1の実施の形態のタング10のストッパバー48の傾斜部54B及び56Bに相当する部分がなく、ロックプレート32(タング60)の前端側へ向いた部位に高摩擦部64が形成されていることが特徴になっている。
【0061】
この高摩擦部64は、正面視で複数(本実施の形態では10個)の三角形がストッパバー62の幅方向に連続した鋸歯状になっており、合計10箇所に頂部66が形成されている。なお、本実施の形態の高摩擦部64は、合計10個の三角形が連続する構成であるが、この数はこれに限られない。
【0062】
さらに、この高摩擦部64に対向して被覆部としてのカバー68が配置されている。このカバー68は、合成樹脂材により板状に形成されており、表面の摩擦係数が高摩擦部64の摩擦係数よりも低くなっている。また、カバー68は、ストッパバー62の厚さ方向寸法と略同一の高さ方向寸法を有すると共に、長手方向両端部がロックプレート32の後端側に向けて湾曲している。カバー68はこの湾曲部分でストッパバー62を挟み込むことで、ストッパバー62に取り付けられている(図6参照)。これにより、ストッパバー62は、高摩擦部64がカバー68により覆われる構成になっている。
【0063】
さらに、このカバー68は、厚さ方向に所定値以上の押圧荷重が掛かることで割れるように機械的強度が設定されており、例えば、車両が急減速して、車両前方に移動しようとする乗員30の身体によりウエビング14が引っ張られたときにカバー68に掛かる押圧荷重と同等以上の押圧荷重で割れるように機械的強度が設定されている。
【0064】
さらに、ストッパバー62は、下面部70がロックプレート32の基部36と対向した状態で、ロックプレート32の幅方向に対し平行に、かつ、挿通孔40を跨いで(挿通孔40と重なった状態で)配置されている。これにより、挿通孔40は、ストッパバー62によりロックプレート32の前後方向の二つの区分に分割された状態になっている。
【0065】
また、ストッパバー62及びカバー68は、挿通孔40に挿通されたウエビング14の折り返された部分に挟み込まれている(図7(A)参照)。これにより、ウエビング14は、ストッパバー62の上面部72を境にして、ロックプレート32の前端側の挿通孔40に挿通される方がラップ側ウエビング14Aとなり、カバー68と対向する。一方、ロックプレート32の後端側の挿通孔42に挿通される方はショルダ側ウエビング14Bとなり、ストッパバー62の後面部74と対向する。
【0066】
次に、本第2の実施の形態の作用について説明する。
【0067】
図4に示す三点式のシートベルト装置12のウエビング14の装着状態において、ウエビング14は、ロックプレート32の挿通孔40に折り返し部分が挿通される。また、このウエビング14は、この折り返し部分でストッパバー62及びカバー68を挟み込む(図7(A)参照)。これにより、ウエビング14はスルーアンカ20とタング60との間のショルダ側ウエビング14Bで乗員30の胸部を拘束すると共に、タング60とアンカプレート22との間のラップ側ウエビング14Aで乗員30の腰部を拘束する。
【0068】
また、このとき、ラップ側ウエビング14Aがカバー68と対向すると共に、ショルダ側ウエビング14Bがストッパバー62の後面部74と対向する。したがって、ウエビング14は高摩擦部64に接触しない。また、カバー68の表面の摩擦係数は高摩擦部64の摩擦係数より低いので、ウエビング14とカバー68とが接触しても、ウエビング14はストッパバー62及びカバー68に対して円滑に摺動し、引き出しや巻き取りが円滑に行われる。
【0069】
一方、このウエビング14の装着状態で、例えば、走行中の車両が急減速する等した場合には、慣性により乗員30の身体が車両前方に移動しようとする。これにより、ラップ側ウエビング14Aが乗員30の腰部により、また、ショルダ側ウエビング14Bが乗員30の胸部により引っ張られる。
【0070】
このときウエビング14は、タング70の後端側方向に引っ張られるので、ウエビング14に挟み込まれたストッパバー62及びカバー68が、同様にタング10の後端側方向に移動する。
【0071】
これにより、ショルダ側ウエビング14Bが、ストッパバー62の後面部60(より詳細には、後面部74と下面部70とにより形成される角部)と、挿通孔40の内周の一部(より詳細には、挿通孔40の内周の一部であってタング70の前端側へ向いた部位)との間に挟み込まれ保持される。これにより、ウエビング14のストッパバー62に対する摺動が制限される(図7(B)参照)。したがって、ラップ側ウエビング14Aの長さが変化することがなく、乗員30の腰部の車両前方向への移動が制限される。
【0072】
一方、上記ウエビング14が挟み込まれた状態においても、乗員30は慣性により車両前方向に移動しようとする。このため、ウエビング14には、ストッパバー62に対して摺動する方向に荷重が掛かる。
【0073】
ここで、ストッパバー62及びカバー68はウエビング14に挟み込まれている。したがって、上記のようにウエビング14が挟み込まれた状態で、ウエビング14に荷重が掛かると、カバー68がラップ側ウエビング14Aによりストッパバー62の高摩擦部64に押圧される。
【0074】
これにより、カバー68が割れる。このカバー68の破片は自重により落下し、高摩擦部64が露出する。この高摩擦部64はラップ側ウエビング14Aに接触し、これにより、頂部62がラップ側ウエビング14Aに食い込んで摩擦力によりウエビング14を保持する。したがって、ウエビング14のストッパバー62に対する摺動が制限される。
【0075】
すなわち、ストッパバー62は、後面部74と挿通孔40の内周とでショルダ側ウエビング14Bを挟み込んで保持するのみならず、高摩擦部64でラップ側ウエビング14Aを摩擦力により保持する。したがって、ウエビング14を保持する力が大きく、ウエビング14をより確実に保持することができる。
【0076】
また、タング70にはストッパバー62に高摩擦部64が設けられただけであり、しかも、この高摩擦部64と高摩擦部64を覆うカバー68とは、ストッパバー62のうちタング70の前端側へ向いた部位に形成されている。したがって、ストッパバー62の厚さ方向寸法が大きくなることがなく、タング60が大型化することがない。
【0077】
なお、本第2の実施の形態ではストッパバー62の高摩擦部64を鋸歯状としたが、高摩擦部64の構成はこれに限られない。すなわち、高摩擦部64はウエビング14を摩擦力により保持し、ストッパバー62に対する摺動を制限することが可能であればよく、例えば、ローレット切り加工(ナーリング)により網目状の凹凸面が形成されるような構成であってもよい。
【0078】
また、ストッパバー62では、高摩擦部64の頂部66がウエビング14に沿って直線的に配置されているが、頂部66の配置はこれに限らず、例えば、ウエビング14の幅方向の中央側に対応する部分が最も凸となるように頂部66を配置しても良い。この場合には、ウエビング14がストッパバー62に角度がついた状態で折り返されていても、ウエビング14が引っ張られる際にウエビング14に掛かる荷重がウエビング14の幅方向端部に集中することなく、ウエビング14の幅方向の全体に渡って略均一に掛かる。したがって、全ての頂部66がウエビングに確実に食い込むので、ウエビング14をより確実に保持することができる。
【0079】
さらに、高摩擦部64は、ストッパバー62のうちタング70の前端側へ向いた部位に形成されているが、高摩擦部64の形成箇所はこれに限られず、例えば、ストッパバー62の後面部60側の部位に形成されていてもよく、さらに、これら両方の部位に形成されていてもよい。
【0080】
また、カバー68は、板状部材とされ、ストッパバー62を挟み込むことでストッパバー62に取り付けられているが、カバー68の構成はこれに限られず、高摩擦部64を覆うと共に、高摩擦部64より摩擦係数が低いものであればよく、例えば、高摩擦部64に液状合成樹脂材を塗布することで、高摩擦部64をコーティングするような構成であってもよい。
【0081】
【発明の効果】
以上説明した如く本発明に係るタングは、ウエビングを確実に保持することができるという優れた効果を有している。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係るタングの構成を示す斜視図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態に係るタングの構成を示す正面図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態に係るタングのストッパバーの動作を示す側断面図である。
【図4】本発明の第1の実施の形態に係るタングを適用した車両用シートベルト装置の全体構成を示す正面図である。
【図5】本発明の第2の実施の形態に係るタングの構成を示す斜視図である。
【図6】本発明の第2の実施の形態に係るタングのストッパバー及びカバーの構成を示す斜視図である。
【図7】本発明の第2の実施の形態に係るタングのストッパバーの動作を示し、(A)はストッパバーに対してウエビングが摺動可能となっているときの状態を示す側断面図であり、(B)はストッパバーがウエビングを保持した状態を示す側断面図である。
【符号の説明】
10 タング
14 ウエビング
32 ロックプレート(本体部)
48 ストッパバー(移動部)
60 タング
62 ストッパバー(移動部)
64 高摩擦部
68 カバー(被覆部)
Claims (4)
- バックル装置へ係合する略板状の係合部が先端側に形成され、長手方向の中間部分が折り返された乗員拘束用のウエビングの折り返し部分が挿通される挿通孔が前記係合部よりも基端側に形成された本体部と、
前記ウエビングの折り返し部分で前記ウエビングに挟み込まれて、前記本体部の挿通孔を跨いだ状態で前記本体部の基端側方向に移動可能に配置され、前記本体部の前後方向に沿った寸法が前記ウエビングの幅方向の中央側に対応する部分よりも前記ウエビングの幅方向の端部側に対応する部分で短くされ、前記基端側方向への移動により前記ウエビングを前記挿通孔の内周一部との間で保持する移動部と、
を有するタング。 - バックル装置へ係合する略板状の係合部が先端側に形成され、長手方向の中間部分が折り返された乗員拘束用のウエビングの折り返し部分が挿通される挿通孔が前記係合部よりも基端側に形成された本体部と、
前記ウエビングの折り返し部分で前記ウエビングに挟み込まれて、前記本体部の挿通孔を跨いだ状態で前記本体部の基端側方向に移動可能に配置され、前記基端側方向への移動により前記ウエビングを前記挿通孔の内周一部との間で保持すると共に、前記ウエビングを保持する部位以外の前記ウエビングと摺接する部位に他の部位よりも摩擦係数が高い高摩擦部が形成された移動部と、
を有するタング。 - 表面の摩擦係数が前記高摩擦部の摩擦係数よりも低く、前記高摩擦部を被覆すると共に、前記移動部が前記ウエビングを前記挿通孔の内周一部との間で保持する際に前記移動部から除去される被覆部を有する、
ことを特徴とする請求項2記載のタング。 - 前記移動部のうち前記本体部の先端側方向へ向いた部位に前記高摩擦部が形成される、
ことを特徴とする請求項2または請求項3記載のタング。
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JP2018158686A (ja) * | 2017-03-23 | 2018-10-11 | トヨタ自動車株式会社 | 3点式シートベルト装置 |
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