JP2004042629A - 金型の製作方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】金型素材4と裏打ち部材5を電鋳である連結部材6を用いて接合するので、室温環境下で電鋳を形成することで、熱膨張による変形を生じさせることがなく、精度の高い接合が可能であり、しかも高温の環境下でも十分な接合強度を維持し、且つ成形時の繰り返し力に対しても十分な耐性があるため、ボルトによる締結、接着剤による接着、溶射、低融点合金による接合などと比較し、信頼性に優れた金型を提供することができる。
【選択図】 図3
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、光学素子の光学面などを成形可能な金型の製作方法に関し、特に複数の部材から金型を形成する場合、精度良く接合を行える金型の製作方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、急速に発展している光ピックアップ装置の分野では、極めて高精度な形状を有する対物レンズなどの光学素子が用いられている。又、回折格子などの微細パターンを有する光学素子も開発されている。ここで、プラスチックやガラスなどの素材を金型を用いて、そのような光学素子を成形すると、均一な形状の製品を迅速に製造することができるため、金型成形は大量生産に適しているといえる。
【特許文献1】
特開2002−67113号公報
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、光学素子成形用の金型は、例えば単結晶ダイヤモンド工具などによって、一つ一つ切削されて製作されることが多い。しかるに、金型の素材が高価であることから、コストを抑えるためには、金型を小さく作り込む必要がある。又、例えば円筒研削盤などに金型を取り付けて回転させながら加工するような場合、振れ周りなどによる加工誤差を抑制するために、金型はなるべく軽く小さい方が好ましい。しかるに、成形装置に金型を組み付ける場合、金型が小さい場合には、成形プレス力を適切に伝達するために裏打ち部材と一体化しなければならないが、その金型転写面に微細パターンなどが形成されている場合、かかる微細パターンと裏打ち部材とを、ミクロンオーダーで精度良く位置決めする必要がある。
【0004】
ここで、金型と裏打ち部材とを接合しようとする場合、ボルトによる締結(特許文献1参照)、接着剤による接着、溶射、低融点合金による接合を用いることが考えられる。しかるに、ボルトの締結で金型を裏打ち部材に接合すると、成形による温度サイクルや繰り返し力によって、長期間の使用によリボルトがゆるむ恐れがある。又、接着剤を用いて金型を裏打ち部材に接合すると、成形時における高温環境下では、十分な接着強度を維持できない恐れがある。更に、溶射により金型を裏打ち部材に接合すると、溶射時の温度で金型又は裏打ち部材が変形する恐れがある。加えて、低融点合金を溶融させた後固化させることで金型を裏打ち部材の接合すると、その融点が高い場合には、高温の溶融合金に曝されることで金型又は裏打ち部材が変形する恐れがあり、融点が低い場合には、成形時のごとき高温環境下では、かかる合金の十分な接着強度を確保できない恐れがある。特に前述した微細パターンが金型に形成されている場合、これらの接合方法では大きな問題が生じる。特に最終的に光学素子が形成される場合、微細パターンによる光学性能に大きな影響を与えることになる。
【0005】
本発明は、このような問題に鑑みてなされたものであり、このような複数の部材を精度良く接合して信頼性の高い金型を得ることができる金型の成形方法を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
第1の本発明の金型の製作方法は、少なくとも一つが金型転写面を有する複数の部材を接合して、光学素子成形用の金型を製作する金型の製作方法において、前記複数の部材を電鋳を用いて接合するので、室温に近い環境下で電鋳を形成することにより、前記部材の熱膨張による変形を生じさせることがなく、精度の高い接合が可能であり、しかも高温の環境下でも十分な接合強度を維持し、且つ成形時の繰り返し力に対しても十分な耐性があるため、ボルトによる締結、接着剤による接着、溶射、低融点合金による接合などと比較し、信頼性に優れた金型を提供することができる。ここで、「接合面を合わせる」とは、直接的に接触させることのほか、間をあけて対向させることも含む。
【0007】
尚、前記部材の一つは、金型転写面を有する金型であって良く、かかる金型の素材としては、金属、アモルファス材料などが考えられる。更に、前記部材の一つは、前記金型と接合される裏打ち部材であって良い。金属を素材とする金型は、ダイヤモンド工具を用いて旋削で、その光学面や微細パターンに対応する金型転写面を形成することができるが、光学素子の形状に対応する母型が存在すれば、そこから電鋳を成長させることで、例えば微細パターンを含む転写面を精度良く転写形成することもできる。接合しようとする部材の一方が導電性部材でなくても、その表面に無電解メッキや蒸着などで導電性被膜を形成することで電鋳は可能である。更に、母型に対して溶融したアモルファス材料を押しつけて、そのまま固化させることでも微細パターンを精度良く転写形成した金型を形成できる。電鋳やアモルファス材料から、裏打ち部材を必要としない長さの金型全体を形成することも考えられるが、電鋳を成長させるには時間がかかることから、例えば、シリンダー状の駆動部分を含む長さの金型製作に要する時間が長時間となってしまう。また、アモルファス材料自体が高価であることから、非常にコストのかかる金型となってしまうという問題がある。よって、電鋳やアモルファス材料で金型転写面を有する金型を形成するとしても、製作コストや時間を考慮すると、裏打ち部材と接合することが必要となり、本発明の効果が発揮されるのである。この他、金型の素材としては、シリコンのウエファーやセラミックなどが考えられるが、これらは靱性が低く成形による繰り返し力に耐えられない恐れがある。
【0008】
第2の本発明の金型の製作方法は、光学素子成形用の金型の製作方法であって、少なくとも一つが金型転写面を有する複数の部材の接合面を合わせ位置決めした状態で仮固定する位置決めステップと、前記複数の部材が位置決めされた状態で前記接合面の周囲に電鋳を形成することにより両部材を接合する電鋳接合ステップと、を有するので、室温に近い環境下で電鋳接合を行うことにより、前記部材の熱膨張による変形を生じさせることがなく、精度の高い接合が可能であり、しかも高温の環境下でも十分な接合強度を維持し、且つ成形時の繰り返し力に対しても十分な耐性があるため、ボルトによる締結、接着剤による接着、溶射、低融点合金による接合などと比較し、信頼性に優れた金型を提供することができる。
【0009】
又、前記金型転写面を有する母型に対して電鋳処理を行い、前記金型転写面が転写された金型素材を形成する電鋳ステップと、前記金型素材を整形する整形ステップと、を更に有し、前記位置決めステップは、前記整形ステップにより整形された金型素材に裏打ち部材を仮固定することにより行われ、前記電鋳接合ステップは、前記電鋳部材と前記裏打ち部材との接合面の周囲に電鋳を形成することにより行われると、前記電鋳部材の上から同じ電鋳を形成したときに、それらの結合状態が良好に確保され接合強度や耐久性に優れる。
【0010】
更に、前記電鋳接合ステップにおいて、前記裏打ち部材に通電することにより、前記電鋳部材と前記裏打ち部材の接合面の周囲に電鋳が形成されると好ましい。
【0011】
又、前記裏打ち部材は導電部材で形成されていると好ましい。
【0012】
更に、前記接合面がある部位の周囲は、前記接合面がある部位以外の部位における前記裏打ち部材又は前記金型素材の外径よりも細く形成されていると好ましい。
【0013】
又、前記位置決めステップにおいて、前記仮固定は前記接合面を接着剤により接着することにより行われるとともに、前記複数の部材の少なくとも一つに前記接着剤を逃す周溝が形成されていると、適切な接着を行えるので好ましい。
【0014】
更に、前記金型転写面には、前記部材を接合する前に微細パターンを形成すると、前記微細パターンと、前記金型転写面を有する部材に接合されるべき部材との位置決めが高精度に必要になるため、より本発明の効果が発揮できる。
【0015】
又、前記光学素子成形用の金型は、射出成形用の金型であると好ましい。
【0016】
更に、接合されるべき前記部材の接合面を合わせ位置決めした状態で仮固定し、その後、前記接合面の周囲に電鋳を形成すると、位置決めを悪化させる要因となる熱や応力が前記部材に接合時に生じないことから、精度良く位置決め後に仮固定し、その状態を維持しつつ接合を行うことができる。尚、前記接合面同士を付き当てる場合、仮固定の構成が簡素化されるという利点がある。また、特にこの場合、相互の部材の外周を主に電鋳で成長させるため、接合までの時間が短く、かつ射出成形に必要な長さの金型部材を容易に作り上げることができる。
【0017】
又、合わされるべき前記接合面の一方に凹部を形成し、他方に突起を形成し、前記凹部に前記突起を嵌合することで前記接合面の位置決めを行うと、精度良い位置決めを行える。
【0018】
更に、合わされるべき前記接合面の双方に凹部を形成し、前記凹部の双方に係合する介在物(例えば前記凹部に嵌合する棒状部材)を介して前記接合面を合わせることで、その位置決めを行うと、精度良い位置決めを行える。
【0019】
又、前記接合面を接着することにより前記仮固定を行うと、前記部材を保持する構成が不要となるので好ましい。
【0020】
更に、前記複数の部材の少なくとも一つは導電部材からなり、前記接合面は、接着層を介在させることなく、一部が互いに当接していると、電鋳に必要な配線を簡素化できる。
【0021】
又、前記導電部材は金属を含むと好ましい。
【0022】
更に、前記接合面同士に対して互いに向かう方向に力を付与することにより、前記仮固定を行うと好ましい。
【0023】
又、機械的手段を用いて前記力を付与すると、前記接合面同士の密着度が高まるため好ましい。
【0024】
更に、前記機械的手段は、前記力の伝達経路内に対向して配置された一対の平面と、前記平面間に挟持され転動自在な球とを含むと、力の付与源より、本来的に前記力を付与すべき方向以外の方向成分を含む力が生じても、かかる方向成分の力を伝達せず、本来的に付与すべき方向のみに前記力を伝達できる。従って、前記一対の平面は、前記平面に付与される力に対してほぼ垂直に延在すると好ましい。
【0025】
又、前記機械的手段は、前記力からの伝達経路内に配置されたテーパ面と、前記テーパ面に係合する球とを含むと、当接直前まで、或いは当接後も軽く触れている程度であれば、前記球は平面側との位置関係を規制されない(球と平面との滑りが可能であることを前提に)ので、接合面がそれ自身の重力で、或いは一時的にでも別途磁力や機械的力を付与することで、接合面が合わさった状態にしておき、その状態で付与する力を増大してゆくことにより、接合面が合わさった状態を維持して密着させることができる。
【0026】
更に、前記複数の部材は強磁性材料からなり、前記強磁性材料に磁界を印加して発生する磁力を用いて前記力を付与すると好ましい。尚、ここで磁力とは、永久磁石が発生する磁力でも、電磁石が発生する磁力でもよい。
【0027】
又、前記接合面同士に対して接着剤を塗布した後、互いに向かう方向に力を付与することにより前記仮固定を行うと、より強く仮固定を行える。
【0028】
前記仮固定前に、前記接合面同士の位置決めを行うと好ましい。尚、両部材の基準面、例えば両部材の接合面の反対側の後端面を基準面とし、それらを互いに平行に保持した状態で、間隔と位置を調整して接合面を合わせると、例えば接合面の面積が小さいため、加工精度を向上させにくく、或いは突き当てで位置決めする精度を向上させにくい場合に、有効である。接合面の面積が狭い場合、突き当てでは異物の挟まりなどの影響を受けやすいが、接合面に比べ後端面や外周は広い面積を持ち、加工精度や位置決めの精度が出しやすいというメリットがある。後端面でなく外周面を基準にしても良いが、この場合後端面を基準面として保持した方が、電鋳作業を行いやすいというメリットがある。
【0029】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態にかかる金型の製作方法につき、図面を参照して説明する。図1は、電鋳により金型を製作する工程を示す図である。まず、微細パターンを有するシリコンの母型1を、機械的処理又は化学的処理或いは物理的処理により形成し、図1(a)に示すように、治具2の端面にボルト3を用いて取り付ける。このとき治具2の端面2aは、その軸線Xに対して精度良く直交しているものとする。その後、母型1の表面に、微細パターン保護用、導電化用、金型としての表面硬度向上用のニッケル燐の膜をスパッタリングで形成する。
【0030】
更に、図1(b)において、二点鎖線で示すように、純ニッケルの電鋳を成長させ金型素材4を形成する(電鋳ステップ)。治具2の外周面には、予め絶縁剤を塗布することで電鋳防止処理を行うと、不要な電鋳の付着を抑制できる。形成後に、図に実線で示すように、金型素材4を整形する(整形ステップ)。
【0031】
その後、図1(c)において、金型素材4に対して導電部材で形成された裏打ち部材5を仮固定する。より具体的に仮固定の手法について説明する。矢印II部を拡大して示す図2において、金型4の接合面4cは、中央に形成された突起4eと、その周囲に形成された周溝4dとを有する。一方、裏打ち部材5の接合面5dは、中央に開口5fを形成している。接合面4c、5dの外周は、電鋳形成に備えて縮径されている。すなわち接合部(接合面のある部位)の周囲は、図2に示されるように接合部以外の裏打ち部材5や金型素材4の外径よりも細く形成されている。これによって、その後の電鋳処理により連結部材6を十分厚く形成することができ、図1(f)のように接合部の外周が仕上げ加工されても、金型素材4と裏打ち部材5を強固に固定することができる。接合面4c又は接合面5dに接着剤を塗布した後、開口5fに突起4eを挿入嵌合させることで、接合面4c、5dは位置決めが成される(位置決めステップ)。かかる状態で接着剤が固化すると、金型素材4と裏打ち部材5の仮固定が終了する。位置決め時に、接着剤は周溝4d内に逃げるので、その周囲の接合面4cは、接合面5dに直接当接することとなり、金型素材4と裏打ち部材5が傾いたり、全長がばらついたりすることを抑制できる。又、金型素材4と裏打ち部材5との間に電気的接触が達成されるため、後述する電鋳形成時に裏打ち部材5に通電することによって金型素材4にも電流が流れることになるから、配線等の簡略化が図れる。なお、通電は裏打ち部材5からの通電に限らず、金型素材4から通電することも可能である。接合面の外部にはみでた接着剤は、除去することが好ましい。本実施の形態では、仮固定は接着剤を用いて行っており、それ故、仮固定に必要な補助具などの必要がない。
【0032】
その後、接合面外周に電鋳を成長させ連結部材6を形成する(電鋳接合ステップ)。連結部材6が金型素材4と裏打ち部材5の外周を取り巻くようにして架橋されることで、両者は接合される。本発明では接合される少なくとも一方の部材、特に金型転写面を有する部材が予め電鋳を成長させたもので形成されているため、同じく電鋳によって形成された連結部材と非常に強固に接合され金型として使用される際の耐久性を高くすることができ、かつ金型転写面に形成された微細なパターンに対応した精度の高い接合が可能となる。電鋳を形成したくない領域には、上述したように電鋳防止処理を施しておくと良い。電鋳後に十分な洗浄を行い、治具2の端面2aを基準面として、平面研削盤などを用いて裏打ち部材5の端面5aを加工し、所定の平行度を得る。従って、端面5aも、軸線Xに対して精度良く直交していることになる。更に、治具2を回転させながら、金型素材4を、図中Aで示す位置でカットすることで、治具2から分離(脱型)し、図1(d)に示す構成を得る。このとき、金型素材4の母型1に対向する面4aには、微細パターンが転写形成されていることとなる。尚、脱型前に裏打ち部材5の外周面を仕上げ加工し、その外周面を基準として端面を仕上げ加工しても良い。
【0033】
更に、裏打ち部材5を回転させながら、金型素材4を、ワイヤカットやフライス盤などを用いて、図1(d)中、Bの位置でカットすることで粗加工を行う。最後に、裏打ち部材5の端面5aを基準として、円筒研削盤(もしくは精密旋盤等)を用いて裏打ち部材の大径部5b、小径部5cの外周面を仕上げ加工する。又、端面5aを基準として、金型素材4の外周面4bと、連結部材6の外周面とを仕上げ加工する。このとき金型素材4の外周面4bと、連結部材6の外周面とは、裏打ち部材5の小径部5cの外径に等しいか、それよりわずかに小さく形成されると好ましい。純ニッケルの電鋳により形成された連結部材6は、鋼などで形成される裏打ち部材5に比して硬度が低いため、繰り返し成形により早期摩耗や発熱などの恐れがあるからである。このようにして形成された金型は、射出成形などに用いられると好適である。
【0034】
図3は、金型素材を裏打ち部材に仮固定する装置を示す図である。かかる装置は、金型素材を裏打ち部材に仮固定するために、力を付与する機械的手段を構成する。図3に示す母型1,治具2,金型の素材4,裏打ち部材5は、基本的に図1,2に示す構成を有するため、その説明は省略する。
【0035】
図3において、フレーム10に、ボルト11を用いて、整形の終わった金型素材4を取り付けた状態(図1(b)参照)の治具2を固定する。一方、裏打ち部材5の端面に、ボルト12を用いてホルダ13を固定し、更に、ホルダ13にテーパ部材14を嵌合させる。かかる状態で、接合面4c、5dを対向させながら、凹部である開口5f(図2)に突起4e(図2)を挿入嵌合させることで、金型素材4と裏打ち部材5の位置決めが成される。その後、テーパ部材14のテーパ面14aに球15を係合させ、且つ球15にパッド16aの平面を当接させる。パッド16aは、支持部材16によりフレーム10に変位可能に取り付けられており、背面側からフレーム10に螺合されたボルト17の先端で押圧されている。
【0036】
ボルト17を螺進させると、支持部材16を介してパッド16aが押され、図3で左方に移動する。パッド16aが押されると、球15がテーパ部材14のテーパ面14aを押圧し、ホルダ13を介して裏打ち部材5を押すので、接合面4c、5d同士が機械的に押圧力を付与された状態で当接しあう。この状態で、電鋳を行うことで、図1(c)に示すように、電鋳から形成される連結部材6を用いて、金型素材4と裏打ち部材5とを連結することができる。本実施の形態によれば、押圧力の伝達経路内に、テーパ面14aと、それに当接する球15とを含むので、仮固定の前に接合面4c、5dが非平行であったとしても、押圧力を付与しながらそれらを当接させると、接合面5dが傾くことができるから、両接合面4c、5dが互いに密着するようになり、金型素材4と裏打ち部材5の軸線を一致させることができる。
【0037】
図4は、金型素材を裏打ち部材に仮固定する別な装置を示す図である。かかる装置も、金型素材を裏打ち部材に仮固定するために、力を付与する機械的手段を構成するが、図3の装置に対して異なる構成についてのみ説明する。
【0038】
図4において、ホルダ13に平行部材14’が嵌合しており、その平面14a’と、パッド16の面との間に球15が転動自在に配置されている。ボルト17を螺進させると、支持部材16を介してパッド16aが押され、図3で左方に移動する。パッド16aが押されると、球15が平行部材14’の平面14a’を押圧し、ホルダ13を介して裏打ち部材5を押すので、接合面4c、5d同士が機械的に押圧力を付与された状態で当接しあう。
【0039】
厳密に言えば、ボルト17が螺進しても、パッド16aは円弧運動をするため、パッド16aから球15に付与される力は、押圧力を付与すべき軸線方向以外の方向成分を含む力が生じる可能性がある。しかしながら、本実施の形態によれば、平行部材14’の平面14a’と、パッド16の面との間で、球15が転動することにより、軸線方向以外の力の伝達を阻止することができるため、両接合面4c、5dが互いに密着するようになり、金型素材4と裏打ち部材5の軸線を一致させることができる。
【0040】
図5は、金型素材を裏打ち部材に仮固定する別な装置を示す図である。かかる装置も、金型素材を裏打ち部材に仮固定するために、力を付与する機械的手段を構成するが、図3の装置に対して異なる構成についてのみ説明する。
【0041】
図5において、複数の支柱21を植設した基板20に、ボルト11を用いて、整形の終わった金型素材4を取り付けた状態(図1(b)参照)の治具2を固定する。一方、裏打ち部材5の端面に、ボルト12を用いてパネル23を固定する。かかる状態で、接合面4c、5dを対向させながら、開口5f(図2)に突起4e(図2)を挿入嵌合させることで、金型素材4と裏打ち部材5の位置決めが成される。この際に、複数の支柱21の上端と、パネル23との間には、薄いシム24を挿入することで、基板21とパネル23との平行度を維持するようにする。以降の工程に関しては、上述した実施の形態と同様であるので説明を省略する。
【0042】
以上述べた金型は、可動側コアを構成するものであるが、固定側キャビティを構成する金型も、本実施の形態を適用することで製作可能である。しかるに、金型によっては、薄板状に形成されるものもある。この場合、どのようにして成形装置に据え付けるかが問題となる。
【0043】
図6(a)は、固定側キャビティを構成する金型の正面図であり、図6(b)は、図6(a)の構成をVIB−VIB線で切断して矢印方向に見た図である。薄板状の金型素材4’は、円筒状の裏打ち部材5’の端面に仮固定された後、裏側から電鋳を成長させてなる連結部材6’で両者が固定されている。
【0044】
固定側キャビティを構成する金型は、摺動面を必要としないが、成形時の圧力に耐えられるように、一定の厚みが必要になる。しかるに、金型素材4’として半導体ウエファーに微細パターン(例えば輪帯状の溝)4a’を形成する場合、プロセス上及びコスト上から、その厚さが1mm以下の薄板状になる場合が多い。このような場合において、本実施の形態によれば、電鋳で金型素材4’と裏打ち部材5’とを連結できるため、固体側キャビティを構成する金型として用いることができる。
【0045】
以上、実施の形態を参照して本発明を詳細に説明してきたが、本発明は上記実施の形態に限定して解釈されるべきでなく、その趣旨を損ねない範囲で適宜変更、改良可能であることはもちろんである。例えば、接合面同士を合わせる場合、位置決めとして、一方の接合面に形成した突起を他方の面に形成した凹部(開口)に嵌合させるようにしたが、双方の接合面に突起を形成し、棒状の部材(ピン等)を双方の凹部に嵌合させることで位置決めを行っても良い。又、裏打ち部材を強磁性材料から形成することで、純ニッケルの金型素材を磁力により吸引することで接合面同士を密着させる力を付与できる。接合面同士は接着と押圧力の付与とを併用しても良い。
【0046】
【発明の効果】
本発明によれば、複数の部材を精度良く接合して信頼性の高い金型を得ることができる金型の成形方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】電鋳により金型を製作する工程を示す図である。
【図2】金型素材と裏打ち部材の一部を拡大して示す図である。
【図3】金型素材を裏打ち部材に仮固定する装置を示す図である。
【図4】金型素材を裏打ち部材に仮固定する別な装置を示す図である。
【図5】図5は、金型素材を裏打ち部材に仮固定する更に別な装置を示す図である。
【図6】図6(a)は、固定側キャビティを構成する金型の正面図であり、図6(b)は、図6(a)の構成をVIB−VIB線で切断して矢印方向に見た図である。薄板状の
【符号の説明】
1 母型
2 治具
3 ニッケル燐層
4、4’ 電鋳
5,5’ 裏打ち部材
6,6’ 連結部材
Claims (23)
- 少なくとも一つが金型転写面を有する複数の部材を接合して、光学素子成形用の金型を製作する金型の製作方法において、
前記複数の部材を電鋳を用いて接合することを特徴とする金型の製作方法。 - 光学素子成形用の金型の製作方法において、
少なくとも一つが金型転写面を有する複数の部材の接合面を合わせ位置決めした状態で仮固定する位置決めステップと、
前記複数の部材が位置決めされた状態で前記接合面の周囲に電鋳を形成することにより両部材を接合する電鋳接合ステップと、を有することを特徴とする金型の製作方法。 - 前記金型転写面を有する母型に対して電鋳処理を行い、前記金型転写面が転写された金型素材を形成する電鋳ステップと、
前記金型素材を整形する整形ステップと、を更に有し、
前記位置決めステップは、前記整形ステップにより整形された金型素材に裏打ち部材を仮固定することにより行われ、
前記電鋳接合ステップは、前記電鋳部材と前記裏打ち部材との接合面の周囲に電鋳を形成することにより行われることを特徴とする請求項2に記載の金型の製作方法。 - 前記電鋳接合ステップにおいて、前記裏打ち部材に通電することにより、前記電鋳部材と前記裏打ち部材の接合面の周囲に電鋳が形成されることを特徴とする請求項3に記載の金型の製作方法。
- 前記裏打ち部材は導電部材で形成されていることを特徴とする請求項3又は4に記載の金型の製作方法。
- 前記接合面がある部位の周囲は、前記接合面がある部位以外の部位における前記裏打ち部材又は前記金型素材の外径よりも細く形成されていることを特徴とする請求項3乃至5のいずれかに記載の金型の製作方法。
- 前記位置決めステップにおいて、前記仮固定は前記接合面を接着剤により接着することにより行われるとともに、前記複数の部材の少なくとも一つに前記接着剤を逃す周溝が形成されていることを特徴とする請求項2乃至6のいずれかに記載の金型の製作方法。
- 前記金型転写面には、前記部材を接合する前に微細パターンを形成することを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の金型の製作方法。
- 前記光学素子成形用の金型は、射出成形用の金型であることを特徴とする請求項1乃至8のいずれに記載の金型の製作方法。
- 接合されるべき前記部材の接合面を合わせ位置決めした状態で仮固定し、その後、前記接合面の周囲に電鋳を形成することを特徴とする請求項1、8又は9に記載の金型の製作方法。
- 合わされるべき前記接合面の一方に凹部を形成し、他方に突起を形成し、前記凹部に前記突起を嵌合することで前記接合面の位置決めを行うことを特徴とする請求項1乃至10のいずれかに記載の金型の製作方法。
- 合わされるべき前記接合面の双方に凹部を形成し、前記凹部の双方に係合する介在物を介して前記接合面を合わせることで、その位置決めを行うことを特徴とする請求項1乃至10のいずれかに記載の金型の製作方法。
- 前記接合面を接着することにより前記仮固定を行うことを特徴とする請求項1乃至6,8乃至12のいずれかに記載の金型の製作方法。
- 前記複数の部材の少なくとも一つは導電部材からなり、前記接合面は、接着層を介在させることなく、一部が互いに当接していることを特徴とする請求項7乃至13のいずれかに記載の金型の製作方法。
- 前記導電部材は金属を含むことを特徴とする請求項14に記載の金型の製作方法。
- 前記接合面同士に対して互いに向かう方向に力を付与することにより、前記仮固定を行うことを特徴とする請求項1乃至15のいずれかに記載の金型の製作方法。
- 機械的手段を用いて前記力を付与することを特徴とする請求項16に記載の金型の製作方法。
- 前記機械的手段は、前記力の伝達経路内に対向して配置された一対の平面と、前記平面間に挟持され転動自在な球とを含むことを特徴とする請求項17に記載の金型の製作方法。
- 前記一対の平面は、前記平面に付与される力に対してほぼ垂直に延在することを特徴とする請求項18に記載の金型の製作方法。
- 前記機械的手段は、前記力の伝達経路内に配置されたテーパ面と、前記テーパ面に係合する球とを含むことを特徴とする請求項17に記載の金型の製作方法。
- 前記複数の部材は強磁性材料からなり、前記強磁性材料に磁界を印加して発生する磁力を用いて前記力を付与することを特徴とする請求項16に記載の金型の製作方法。
- 前記接合面同士に対して接着剤を塗布した後、互いに向かう方向に力を付与することにより前記仮固定を行うことを特徴とする請求項7乃至21のいずれかに記載の金型の製作方法。
- 前記仮固定前に、前記接合面同士の位置決めを行うことを特徴とする請求項1乃至22のいずれかに記載の金型の製作方法。
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