JP2004042417A - インクジェット記録装置 - Google Patents

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JP2004042417A JP2002202382A JP2002202382A JP2004042417A JP 2004042417 A JP2004042417 A JP 2004042417A JP 2002202382 A JP2002202382 A JP 2002202382A JP 2002202382 A JP2002202382 A JP 2002202382A JP 2004042417 A JP2004042417 A JP 2004042417A
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Tokitaka Ehata
江幡 時任
Mitsuru Kurata
蔵田 満
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Abstract

【目的】記録装置の小型軽量化及びスループットの向上を達成し、記録ヘッドを着脱する際のインク垂れ落ちによる記録装置内の各部のインク汚損を無くすとともに、着脱する記録ヘッドの吐出口面の他の部材との擦れによる損傷のおそれを無くす。
【構成】記録ヘッド10を受容できる受け部材40を用意し、記録ヘッドを交換する際には、隣接する記録ヘッドの上部に受け部材をセットするとともに不要になった記録ヘッドを持ち上げ、持ち上げられた記録ヘッドを受け部材へ移し、この受け部材を記録ヘッドごと記録装置から抜き去り、次いで新しい記録ヘッドを受け部材に入れ、取り外すときと逆の手順で所定の位置に装着する。
【選択図】        図5

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、着脱自在に装着される複数の記録手段から被記録材へインクを吐出して記録を行なうインクジェット記録装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
プリンタ、複写機、ファクシミリ等の機能を有する記録装置、あるいはコンピューターやワードプロセッサ等を含む複合型電子機器やワークステーションなどの出力機器として用いられる記録装置は、記録情報に基づいて紙、布、プラスチックシート、OHP用シート等の被記録材(記録媒体)に画像(文字や記号等を含む)を記録していくように構成されている。前記記録装置は、記録方式により、インクジェット式、ワイヤドット式、サーマル式、レーザービーム式等に分けることができる。
【0003】
被記録材の搬送方向(紙送り方向、副走査方向)と交叉する方向に主走査しながら記録するシリアルタイプの記録装置においては、被記録材に沿って移動するキャリッジ上に搭載した記録手段(記録ヘッド)によって画像を記録(主走査)し、1行分の記録を終了した後に所定量の紙送り(副走査としてのピッチ搬送)を行い、その後に再び停止した被記録材に対して次の行の画像を記録(主走査)するという動作を繰り返すことにより、被記録材全体の記録が行われる。一方、被記録材の搬送方向の副走査のみで記録するラインタイプの記録装置においては、被記録材を所定の記録位置にセットし、一括して1行分の記録を行った後、所定量の紙送り(ピッチ送り)を行い、さらに次の行の記録を一括して行うという動作を繰り返すことにより、被記録材全体の記録が行われる。
【0004】
そのうち、インクジェット式の記録装置(インクジェット記録装置)は、記録手段(記録ヘッド)から被記録材へインクを吐出して記録を行うものであり、記録手段のコンパクト化が容易であり、高精細な画像を高速で記録することができ、普通紙に特別の処理を必要とせずに記録することができ、ランニングコストが安く、ノンインパクト方式であるため騒音が少なく、しかも、多種類のインク(例えばカラーインク)を使用してカラー画像を記録するのが容易であるなどの利点を有している。インクジェット記録ヘッドの吐出口からインクを吐出するために利用されるエネルギーを発生するエネルギー発生素子としては、ピエゾ素子等の電気機械変換体を用いるもの、レーザー等の電磁波を照射して発熱させ、この発熱作用によってインク滴を吐出させるもの、あるいは発熱抵抗体を有する電気熱変換体によって液体を加熱するものなどがある。
【0005】
その中でも、熱エネルギーを利用してインクを滴として吐出するインクジェット式の記録手段(記録ヘッド)は、吐出口を高密度に配列することができるため高解像度の記録をすることが可能である。特に、電気熱変換体素子をエネルギー発生素子として用いる記録ヘッドは、小型化が容易であり、かつ最近の半導体分野における技術の進歩と信頼性の向上性が著しいIC技術やマイクロ加工技術の長所を十分に活用でき、高密度実装化が容易で製造コストも安価なことから、有利である。また、被記録材の材質に対する要求も様々なものがあり、近年では、これらの要求に対する開発が進み、通常の被記録材である紙(薄紙や加工紙を含む)や樹脂薄板(OHP等)などの他に、布、皮革、不織布、さらには金属等を被記録材として用いる記録装置も使用されるようになっている。
【0006】
上記インクジェット記録装置においては、カラー記録用あるいは階調記録用のインクジェット記録装置では、色相あるいは濃度の異なるインクを使用する複数の記録手段(記録ヘッド)が使用されている。また、記録ヘッドが故障したり、記録ヘッドに目詰まりが生じた場合には、該記録ヘッドを記録装置本体から取り外して新しい記録ヘッドと交換したり、一旦取り外して補修した記録ヘッドを再装着することが行なわれている。そこで、先ず、着脱可能な複数の記録手段を使用するインクジェット記録装置における記録手段の取付け構造の従来例について説明する。
【0007】
図11は従来のインクジェット記録装置における交換可能な記録ヘッド(記録手段)を示す模式的斜視図である。図11において、交換可能に構成された記録ヘッド100には、外部のインク供給系からのインクを取り込むためのインクコネクタ101a及び101b、並びにインク吐出の際に発熱した部位を冷却するための冷却水を外部の冷却水供給系から取り込むための冷却コネクタ102a、102bが設けられている。これらのコネクタ101a、101b及び102a、102bは、図12等を参照して後述する押え部材(ヘッド押え板)200に設けられたインクコネクタ及び冷却水コネクタと圧接等により容易に着脱できる構成となっている。外部のインク供給系により供給されるインクは、一方のインクコネクタから記録手段(記録ヘッド)100内に導入され、記録情報に基いて吐出口から被記録材(記録紙等)へ吐出され、記録が行なわれる。
【0008】
また、インク供給系や記録ヘッドのインク流路や液室の内部に発生した気泡を抜く(排出除去)するため、あるいは増粘インク等による吐出口の目詰まりを回復させるためにも、外部のインク供給系から一方のインクコネクタを通して記録ヘッド100内へインクが供給される。この場合は、インク供給系からのインクが加圧供給され、吐出口からインクと共に気泡を排出すると同時に、残りのインクは他方のインクコネクタより再びインク供給系に戻される。つまり、インクコネクタ101a、101bは記録ヘッド100の吐出性能を維持回復するための加圧循環を行うためにも用いられる。
【0009】
冷却水についても、外部の冷却水供給系より適温に温調された冷却水が冷却コネクタ102a、102bの一方から記録ヘッド100内へ導入され、該記録ヘッドの発熱部を冷却した冷却水は他方の冷却コネクタより流出し、再び冷却水供給系に戻されるように構成されている。前記記録手段(記録ヘッド)100には、さらに、電力及び吐出信号を該記録手段に供給するためのカードエッジ103が設けられている。このカードエッジ103も、前記インクコネクタ及び前記冷却コネクタと同様に、押え部材(ヘッド押え板)200に設けられたカードエッジ203(図12)に対して着脱可能となっている。
【0010】
図11中の一点鎖線は記録ヘッド100の下面に形成された吐出口列(その長さをSで示す)を示し、これらの吐出口から矢印sd方向へインクを吐出する。近年では、1000個を超す数の吐出口から成る吐出口列を有する記録ヘッドも生産されている。図11中の寸法hは、吐出口列Sと直交する方向の記録ヘッド100の厚みを示す。また、記録ヘッド100の両端には、後述するヘッドホルダ300(図12)に対して位置決めするための位置決め部104、104が形成されており、これらの位置決め部がヘッドホルダ300の突き当て面302(図12)に突き当たることで記録ヘッド100の位置決めが行なわれる。
【0011】
図12は記録手段(記録ヘッド)100と押え部材(ヘッド押え板)200とヘッドホルダ300との関係を示す模式的立面図である。図12において、押え部材200には、前述した記録ヘッド100のコネクタ101a、101b、102a、102bと対向する位置にインクコネクタ201a、201b及び冷却コネクタ202a、202bが設けられている。また、記録ヘッド100のカードエッジ103と対向する位置に、カードエッジコネクタ203が設けられている。
【0012】
さらに、押え部材200の両側には、記録ヘッド100をヘッドホルダ300に安定的に押しつけるための加圧機構204が設けられている。この加圧機構204は、例えば、加圧軸204aを加圧バネ204bによって記録ヘッド100側へ突出させた構成を有し、押え部材(ヘッド押え板)200を不図示の機構でヘッドホルダ300に固定することにより記録ヘッド100を該ヘッドホルダ300に押し付けて固定するものである。押え部材200がヘッドホルダ300に固定された状態では、前述のインクコネクタ101a、101bと201a、201b及び冷却コネクタ102a、102bと202a、202bも同時に接続される。
【0013】
また、押え部材200のインクコネクタ201a、201b及び冷却コネクタ202a、202bには、外部のインク供給系に接続されたインクチューブ251、251及び外部の冷却水供給系に接続された冷却水チューブ252、252が接続されているので、上記接続状態では、記録ヘッド100に対するインク及び冷却水の供給が可能になる。また、押え部材200のカードエッジコネクタ203には電気ケーブル253が接続されており、前述の各チューブの接続と同時に、電気系統も該カードエッジコネクタ203及び前記カードエッジ103を介して記録ヘッド100に接続される。
【0014】
ヘッドホルダ300には、記録ヘッド100が挿入される取付開口301と該記録ヘッドの位置決め部104(図11)が突き当たる突き当て面302とが設けられており、これらによってヘッドホルダ300に対する記録手段(記録ヘッド)100の位置決めが行われる。図12は、記録ヘッド100をヘッドホルダ300の位置決め部に合わせてセットした後であって、押え部材(ヘッド押え板)200で該記録ヘッド100をヘッドホルダ300に固定する直前の状態を示す。この図12の状態から、押え部材200を記録ヘッド100側へ降下させて、不図示の機構によって該押え部材200をヘッドホルダ300に固定すれば、前記加圧機構204によって記録ヘッド100がヘッドホルダ300に位置決め固定されると同時に、前述したインク供給用、冷却水供給用及び電気供給用の各コネクタも接続されることになる。図13は共通のヘッドホルダ300に対して複数(4個)の記録手段100A、100B、100C、100Dをそれぞれの押え部材200A、200B、200C、200Dによって着脱可能に位置決め固定するように構成した従来のインクジェット記録装置の要部を示す模式的平面図である。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】
カラー記録や階調記録などを行うためには、例えばBk(ブラック)、C(シアン)、M(マゼンタ)、Y(イエロー)などのインクを吐出することが必要となり、複数のインク色に対応して複数個の記録手段(記録ヘッド)100をヘッドホルダ300に取り付ける必要がある。図13は4個の記録ヘッドを共通のヘッドホルダ300に取り付ける場合を示す。なお、複数個の記録ヘッド100A、100B、100C、100D及び複数個の押え部材200A、200B、200C、200Dについて、任意の一つあるいは全体を指す場合は後付けの符号を省略して単に記録手段(記録ヘッド)100及び押え部材(ヘッド押え板)200と称する。
【0016】
しかしながら、図11〜図13で説明した複数個の記録手段を用いる従来のインクジェット記録装置では、次のような解決すべき技術的課題があった。先ず、第1の技術的課題について説明する。記録ヘッド100は前述したように押さ部材(ヘッド押え板)200の下側に位置しているので、該記録ヘッドを交換等のため着脱する際には、押え部材200を図13中に矢印Zで示すように隣接する記録ヘッドとの間(図13中の2点鎖線で示す位置)にずらす必要がある。図13中には、記録ヘッド100Bを交換するために、該記録ヘッド100Bを固定していた押え部材200Bを実線で示すように記録ヘッド100Cとの間の位置までずらした状態が示されている。
【0017】
このような状態にすることで、記録ヘッド100Bを上方へ抜き出すことが可能となり、新しい記録ヘッドと交換できるようになる。しかしながら、このような構成では、前述したように隣接する記録ヘッドの間に押え部材(ヘッド押え板)200を移動させることができるだけのスペースを必要とすることになる。すなわち、記録ヘッド100の厚みがhである場合、対応する押え部材200の幅もh程度になり、さらに若干の隙間も必要であることから、隣接する記録ヘッド100の間に「h+α」程度の間隔をあけて配置しなければならず、厚さhの記録ヘッド1個当たり「2h+α」の幅が必要になる。
【0018】
そのため、ヘッドホルダ300の全長lが長くなり、記録装置の大型化を招くことになり、小型軽量化が困難になるという不都合がある。加えて、図13中の矢印Y方向にスキャンして記録を行なうシリアルスキャン記録方式の場合には、記録ヘッド間の間隔が広い分だけ必要とされるスキャン幅(記録ヘッドの移動距離)が増大するため、トータルの記録速度が低下するという不都合が生じる。
【0019】
次に第2の技術的課題について説明する。前述したように、記録ヘッド100の内部に対して、インク供給系よりインクが供給され、冷却水供給系により冷却水が供給されている。記録ヘッド100を交換する際には、これらの供給系に接続するためのコネクタを開放することになる。ところが、記録ヘッド100内に導入されたインクは、インクコネクタが開放され大気と連通することにより、吐出口部でのメニスカスが破れて吐出口からインク滴となって落下する場合が生じる。
【0020】
複数個の記録ヘッド100を有する記録装置においては、該記録ヘッドを交換する場合、交換する記録ヘッドを取り去るためには、装着されている記録ヘッドの上方を通過させて取り去ることになる。このとき、インク滴が他の記録ヘッドの吐出口部に落下したり、該インク滴が電気ケーブル253と擦れて付着したりすると、装着されている記録ヘッドやカードエッジコネクタ203にインクが回り、記録ヘッド100の電極部や他の電気系統が短絡して作動不良等の不都合を生じることがある。また、可動部分にインクが付着すると、該可動部が固着する可能性もある。
【0021】
次に、第3の技術的課題について説明する。記録ヘッドを交換する際にも、装着されている記録ヘッドのインクチューブ、冷却水チューブ及び電気ケーブル等を避けながら新しい記録ヘッドを取り付けることが必要である。その場合、不注意な取り扱い方をすると、記録ヘッドの吐出口面がこれらの部材に擦れて損傷し、新品の記録ヘッドを取り付けたにもかかわらず、インク吐出不良が生じたり、不吐出になる原因ともなっていた。
【0022】
最後に第4の技術的課題について説明する。近年、記録ヘッドのマルチノズル化(多ノズル化)により長尺ヘッドが生産されるようになった。その場合、ノズル列(吐出口列)の長さSと記録ヘッドの厚みhとの関係がS>2hとなるような長尺ヘッドになると、厚みhに比べてヘッド長が長くなることにより、取り付け作業中に少し傾けるだけでも記録ヘッド100の両端が大きく上下するため、ヘッドホルダ(記録ヘッド支持部材)に対する位置決めが正確に行われずに傾いたまま記録ヘッドを取り付けてしまったり、気づかないうちにチューブや電気ケーブルと記録ヘッドの吐出口面とを擦らせてしまうなどのトラブルも発生していた。
【0023】本発明は上述のような技術的課題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、記録手段を小型化することで記録装置の小型軽量化及びスループットの向上を達成することができ、記録手段を着脱するに際し、着脱する記録手段からインクが垂れ落ちたとしても、装着される記録手段や電気ケーブルや可動部材等にインクが付着することを防止でき、また、着脱する記録手段の吐出口面がチューブや電気ケーブルと擦れて損傷するおそれがないインクジェット記録装置を提供することである。
【0024】
【課題を解決するための手段】
本発明(請求項1)は、上記目的を達成するため、着脱自在に装着される複数の記録手段から被記録材へインクを吐出して記録を行なうインクジェット記録装置において、前記記録手段をその吐出口面を覆う状態で受容できる受け部材を設け、前記記録手段を着脱するとき、該記録手段を前記受け部材に移して該受け部材ごと出し入れすることを特徴とする。
【0025】
請求項2〜6の発明は、上記請求項1の構成に加えて、各記録手段を上方へ引上げ可能とし、着脱する記録手段以外の記録手段の上部に前記受け部材をセットし、引き上げられた記録手段を前記受け部材に移して該受け部材ごと該記録手段を取り出す構成、記録手段を装着するときは、該記録手段を受容した受け部材を該記録手段以外の記録手段の上部に一旦セットした後、該受け部材内の記録手段を装着位置へ移す構成、各記録手段をそれぞれの押え部材に着脱自在に連結し、前記受け部材を前記押え部材の上部にセット可能とする構成、前記受け部材を前記押え部材にセットする際に、該受け部材の外面でチューブ等を押し広げ可能にする構成、あるいは、各記録手段をそれぞれの押え部材に着脱自在に連結し、該押え部材を介して各記録手段を上下動させる構成とすることにより、一層効率よく上記目的を達成するものである。
【0026】
請求項7及び8の発明は、上記請求項1の構成に加えて、前記記録手段に吐出口列に直交する方向から把持するための把手を設ける構成、あるいは、前記把手と対向する面に各記録手段を出し入れするための出入口を設ける構成とすることにより、上記目的を達成できることに加えて、記録手段を着脱する際に該記録手段の長手方向の全体を見ながら作業することを可能にし、それによって、記録手段の傾きの有無や所定位置への記録手段の位置決め状態を確認しながら記録手段の着脱を容易にかつ正確に行なうことができるインクジェット記録装置を提供するものである。
【0027】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。図7は本発明を適用したインクジェット記録装置の一実施例の要部構成を示す一部破断斜視図である。図7において、キャリッジ400に搭載されたヘッドホルダ30には複数個(例えば4個)の記録ヘッド(記録手段)10が位置決めされて取り付けられており、このヘッドホルダ30はキャリッジ400とともに不図示の駆動装置によって図7中の両矢印X方向に移動(主走査)される。被記録材60としては例えば布帛が使用され、この被記録材60は、表面に粘着剤が付与された搬送ベルト50に貼り付けられて図13中の矢印W方向に1記録幅づつ間欠送りされ、前記キャリッジ400の主走査と同期して記録が行なわれる。
【0028】
前記キャリッジ400には、不図示の支点を中心に開閉(回動)可能なフタ部材410が取り付けられており、記録ヘッド10を交換する際には、該フタ部材410を矢印V方向に回動させて二点鎖線で示す位置まで開き、それによって、記録ヘッド交換用の開口である出入口410aを通してキャリッジ400の内部の記録手段10のところまで手を入れることができるようになっている。前記出入口410aを開いて記録ヘッド10を出し入れする状態は図8に示されている。前記キャリッジ400は、スライドベアリング430を介して、互いに平行配置された一対の主走査レール(ガイドレール)420、420に沿って往復移動可能に案内支持されている。なお、図示の例では、主走査レール420、420は、キャリッジ400の重量によっても撓まないように、I型鋼440によって支持されている。また、布帛等から成る前記被記録材60は、押圧ローラ51によって搬送ベルト50に押付けれることで該搬送ベルト50に貼り付けられている。
【0029】
図1は本発明を適用したインクジェット記録装置における複数の記録手段の装着部に受け部材を取り付けるとともに1つの記録手段を持ち上げたときの状態を主走査方向から見て示す立面図であり、図2は図1中の記録手段を1個取り出して示す平面図であり、図3は図2の記録手段の斜視図であり、図4は図1中の押え部材と記録手段と受け部材を示す模式的斜視図であり、図5は図1中の記録手段の装着部に新しい記録手段を装着しているときの状態を主走査方向と直角を成す方向から見て示す部分立面図であり、図6は本発明を適用したインクジェット記録装置における複数の記録手段の装着部の1つの記録手段が持ち上げられた時の状態を主走査方向から見て示す立面図である。
【0030】
図1〜図7において、10は記録手段(記録ヘッド)を、20は押え部材(ヘッド押え板)を、30はヘッドホルダを、40は受け部材(ヘッド受け)を、それぞれ示す。そこで、共通のヘッドホルダ30に対して主走査方向に複数個の記録ヘッド10が位置決め装着されており、これらの記録ヘッド10のそれぞれの上部に押え部材(ヘッド押え板)20が接続されている。つまり、本実施例では、図7中の左から右へ4個の記録ヘッド(記録手段)10A、10B、10C、10Dが配設されており、これらの記録ヘッドのそれぞれの上部には押え部材(ヘッド押え板)20A、20B、20C、20Dが接続されている。そして、これら4組の記録ヘッド10及び押え部材20はヘッドホルダ30に対して実質的に同じ構造を順次繰り返して搭載されている。なお、以下においても、前記記録手段及び前記押え部材の全体もしくは任意の一つを指す場合は、前述と同様、単に記録手段(記録ヘッド)10及び押え部材(ヘッド押え板)20と称することにする。
【0031】
前記記録手段(記録ヘッド)10は、熱エネルギーを利用してインクを吐出するインクジェット記録手段であって、熱エネルギーを発生するための電気熱変換体を備えたものである。また、前記記録ヘッド10は、前記電気熱変換体によって印加される熱エネルギーにより生じる膜沸騰による気泡の成長、収縮によって生じる圧力変化を利用して、吐出口よりインクを吐出させ、記録を行なうものである。
【0032】
図10は、前記記録手段(記録ヘッド)10のインク吐出部の構造を模式的に示す部分斜視図である。図10において、被記録材と所定の隙間(例えば、約0.3〜2.0ミリ程度)をおいて対面する吐出口面81には、所定のピッチで複数の吐出口82が形成され、共通液室83と各吐出口82とを連通する各液路84の壁面に沿ってインク吐出用のエネルギーを発生するための電気熱変換体(発熱抵抗体など)85が配設されている。本例においては、記録ヘッド10は、前記吐出口82がキャリッジ400の走査方向と交叉する方向に並ぶような位置関係で、該キャリッジ400に搭載されている。こうして、画像信号または吐出信号に基づいて対応する電気熱変換体85を駆動(通電)して、液路84内のインクを膜沸騰させ、その時に発生する圧力によって吐出口82からインクを吐出させる記録ヘッド10が構成されている。
【0033】
図8は、図1〜図7に示す本実施例に係るインクジェット記録装置において、出入口に最も近い位置の記録手段(記録ヘッド)10Aを装着(交換等)する時の状態を示す一部破断斜視図である。ここで、本実施例に係るインクジェット記録装置、すなわち図1〜図8に示すインクジェット記録装置は、着脱自在に装着される複数個の記録手段10から被記録材60へインクを吐出して記録を行なうインクジェット記録装置において、前記記録手段10をその吐出口面を覆う状態で受容できる受け部材40を設け、前記記録手段10を着脱するとき、該記録手段を前記受け部材40に移して該受け部材ごと出し入れするように構成されている。
【0034】
より、具体的には、各記録手段10を上方へ引上げ可能とし、着脱する記録手段10B以外の記録手段10Aの上部に前記受け部材40をセットし、引き上げられた記録手段10Bを前記受け部材40に移して該受け部材ごと該記録手段10Bを取り出すように構成されている。また、記録手段10Bを装着するときは、該記録手段10Bを受容した前記受け部材40を該記録手段10B以外の記録手段10Aの上部に一旦セットした後、該受け部材内の記録手段10Bを装着位置へ移すように構成されている。
【0035】
さらに具体的には、図5に示すように、各記録手段10A、10B、10C、10Dをそれぞれの押え部材20A、20B、20C、20Dに着脱自在に連結し、前記受け部材40を前記押え部材の上部にセット可能とするように構成される。また、図1に示すように、前記受け部材40を前記押え部材20にセットする際に、該受け部材の外面でインクチューブ251、冷却水252、電気ケーブル253等を押し広げ可能な構成にされる。さらに、各記録手段10をそれぞれの押え部材20に着脱自在に連結し、該押え部材を介して各記録手段を上下動させるように構成される。
【0036】
また、前記記録手段10に吐出口列に直交する方向から把持するための把手11を設けるとともに、前記把手と対向する面に各記録手段10を出し入れするための出入口410a(図7)を設ける構成になっている。以下、各図面に基いて、本実施例をさらに詳細に説明する。
【0037】
図1〜図8において、本実施例の記録ヘッド10には、吐出口列Sと直交する方向から該記録ヘッド10を把持できるように把手11が設けられている。この把手11は、記録ヘッド10をヘッドホルダ30から着脱する際に図2に示すような持ち方で把持されるものである。このように把手11を設けることにより、記録ヘッド10の厚さhに対して吐出口列Sの長さがS>2hとなるような長尺の記録ヘッドであっても、その取り付け作業時に記録ヘッド全体を見渡すことができ、記録ヘッドを傾いた姿勢で取り付けるなどの作業ミスを殆ど無くすことができる。
【0038】
また、本実施例においては、記録ヘッド10の両端部に、後述する押え部材(ヘッド押え板)20の上下動に追従して該記録ヘッド10を上下動させるためのひっかけ部12、12が設けられている。本実施例の記録手段(記録ヘッド)10は以上説明した点で従来の記録ヘッド(図11)と相違しており、その他の部分では実質上同じ構成を有しており、従って、それぞれ対応する部分を同じ符号で示す。
【0039】
すなわち、交換可能に構成された記録ヘッド10には、外部のインク供給系からのインクを取り込むためのインクコネクタ101a及び101b、並びにインク吐出の際に発熱した部位を冷却するための冷却水を外部の冷却水供給系から取り込むための冷却コネクタ102a、102bが設けられており、これらのコネクタ101a、101b及び102a、102bは、後述する押え部材(ヘッド押え板)20に設けられたインクコネクタ及び冷却水コネクタと圧接等により容易に着脱できる構成となっている。外部のインク供給系により供給されるインクは、一方のインクコネクタから記録手段(記録ヘッド)10内に導入され、記録情報に基いて吐出口から被記録材(記録紙等)へ吐出され、記録が行なわれる。
【0040】
また、インク供給系や記録ヘッドのインク流路や液室の内部に発生した気泡を抜く(排出除去)するため、あるいは増粘インク等による吐出口の目詰まりを回復させるためにも、外部のインク供給系から一方のインクコネクタを通して記録ヘッド10内へインクが供給される。この場合は、インク供給系からのインクが加圧供給され、吐出口からインクと共に気泡を排出すると同時に、残りのインクは他方のインクコネクタより再びインク供給系に戻される。つまり、インクコネクタ101a、101bは記録ヘッド10の吐出性能を維持回復するための加圧循環を行うためにも用いられる。
【0041】
冷却水についても、外部の冷却水供給系より適温に温調された冷却水が冷却コネクタ102a、102bの一方から記録ヘッド10内へ導入され、該記録ヘッドの発熱部を冷却した冷却水は他方の冷却コネクタより流出し、再び冷却水供給系に戻されるように構成されている。前記記録手段(記録ヘッド)10には、さらに、電力及び吐出信号を該記録手段に供給するためのカードエッジ103が設けられている。このカードエッジ103も、前記インクコネクタ及び前記冷却コネクタと同様に、押え部材(ヘッド押え板)20に設けられたカードエッジ203(図4)に対して着脱可能となっている。
【0042】
図3中の一点鎖線は記録ヘッド10の下面に形成された吐出口列(その長さをSで示す)を示し、これらの吐出口から矢印sd方向へインクを吐出する。図3中の寸法hは、吐出口列Sと直交する方向の記録ヘッド10の厚みを示す。また、記録ヘッド10の両端には、前記ヘッドホルダ30に対して位置決めするための位置決め部104、104が形成されている。そして、記録ヘッド10をヘッドホルダ30の取付用開口301に挿入するとともに前記位置決め部104、104がヘッドホルダ30の突き当て面302(図5)に突き当たることで記録ヘッド10の位置決めが行なわれる。
【0043】
次に、主として図4を参照しながら、本実施例における記録手段(記録ヘッド)10、押え部材(ヘッド押え板)20及び受け部材(ヘッド受け部材)40の構造及び関係を説明する。押え部材20の両端部には、記録ヘッド10の両端部に設けられた前記ひっかけ部12、12を介して該記録ヘッド10を一時的に該押え部材20の上下動に追従させて上下動させるためのひっかけピン21、21が設けられている。また、押え部材20の上部には把手部22が設けられている。この把手部22は、押え部材(ヘッド押え板)20を上下動させるために使用されるとともに、受け部材(ヘッド受け部材)40をその上端部22aに載せるために使用される。
【0044】
前記受け部材40は、全体として容器構造をしており、任意の1個の記録ヘッド(着脱する記録ヘッド)10をその吐出口面81を覆う状態で受容するためのものである。そして、本発明によるインクジェット記録装置は、記録ヘッド10を記録装置に対して着脱するとき、該記録ヘッドを前記受け部材40に移して該受け部材ごと出し入れするように構成されている。この受け部材40の手前側の面(押え部材20にセットしたときの出入口410側の面)には、該受け部材40を持ち運ぶ際に手で把持するための把手部45が設けられている。また、前記記録手段10に吐出口列に直交する方向から把持するための把手11を設けるとともに、前記把手と対向する面に各記録手段10を出し入れするための出入口410a(図7)を設ける構成になっている。以下、各図面に基いて、本実施例をさらに詳細に説明する。
【0045】
また、押え部材20の両端部(図示の両側面)には上下方向のガイド溝23、23が形成されている。このガイド溝23は、前記ヘッドホルダ30に設けられた押さ部材ガイド(図5)に係合することで、押え部材20をガナなく上下動するように案内するためのものである。一方、前記受け部材40には、前記押え部材20に載せる際に前記把手部22の上端部22aに嵌合する溝40aが形成されている。
【0046】
図4中の矢印U(2箇所)は、記録ヘッド10を受け部材(ヘッド受け)40内に入れて、該記録ヘッドの吐出口面81を該受け部材の内面で覆うようにして受容するときの操作状態を示す。また、図4中の矢印Rは、記録ヘッド10を前記ひっかけ部12及び前記前記ひっかけピン21によって押え部材20に一時的に連結支持するためのセッティングの位置関係を示す。
【0047】
図5には、ヘッドホルダ30に取り付けられている記録ヘッド10Aと該ヘッドホルダ30の取付用開口(図示で左側から2番目の取付用開口)301に記録ヘッド10Bを装着する途中の状態が示されている。以下に、主として図5を参照しながら、4個の記録ヘッド10A、10B、10C、10Dのうち、記録ヘッド10Bを交換等の目的で着脱するに際し、該記録ヘッド10Bを装着する動作を説明する。記録ヘッド10Bは、キャリッジ400の外部で、図4中の矢印Uで示すように受け部材(ヘッド受け)40の中に入れられ、キャリッジ400のフタ部材410(図7、図8)を開けて形成された出入口(ヘッド交換口)410aを通して矢印N(図5)で示すように、出入口410aから見て手前側の押え部材(ヘッド押え板)20Aの把手22の上端部22aにセット(係合支持)される。
【0048】
次いで、前記記録ヘッド10Bに対応する押え部材20Bをヘッドホルダ30に形成された押え部材ガイド32に沿って矢印Pのように上方へ引き上げる。そして、この押え部材20Bを不図示の固定機構(ロック機構)により図示の上昇位置に一時的に固定し保持する。なお、図5に示す状態では、不要となった交換前の記録ヘッド10Bはすでに取り外されている。従って、次いで、装着されている記録ヘッド10Aの上部にセットされた前記記録ヘッド10Bを受け部材40から上昇させた前記押え部材20Bへ移し替える。この移替えは、記録ヘッド10Bの把手11を持って該記録ヘッドを矢印Q方向へ移動させることによりそのひっかけ部12、12を上昇した押え部材20Bのひっかけピン21、21にひっかけることによって行なう。
【0049】
次いで、押え部材20Bを記録ヘッド10Bごと矢印Pと反対方向へ降下させ、該記録ヘッド10Bをヘッドホルダ30の取付用開口301に嵌合させるとともに位置決め部104、104を該ヘッドホルダ30の突き当て面302に当接させることにより、該記録ヘッド10Bを従来例で説明したと同様にして所定の位置に固定する。図5を参照して以上説明した作業により、記録ヘッド10Bの交換時等における装着作業を完了する。
【0050】
次に、図5を参照して、逆に記録ヘッド10Bを取り外す際の作業について説明する。不要になったなどの理由で記録ヘッド10Bを取り外す場合は、空(カラ)の状態の受け部材(ヘッド受け)40を、予め、出入口(ヘッド交換口)410aから見て手前側の押え部材(ヘッド押え板)20Aの把手22の上端部22aにセットしておく。続いて、取り外すべき記録ヘッド10Bに連結された押え部材20Bを押え部材ガイド32に沿って矢印P方向へ上昇させ、該押え部材20Bが上昇位置に停止したところで、記録ヘッド10Bを該押え部材20B側から前記受け部材(ヘッド受け)40側へ(矢印Qと反対方向へ)移し渡す。そして、この受け部材40ごと、記録ヘッド10Bを出入口410aを通してキャリッジ400の外部へ運び出す。
【0051】
以上説明した記録ヘッド10の着脱操作によれば、該記録ヘッドをキャリッジ400に対して出し入れする際には、どちらにしても記録ヘッド10が必ず受け部材(ヘッド受け)40の中に受容されているので、新品の記録ヘッドの吐出口面81がキャリッジ400の内部の部材に擦れて損傷するおそれはなく、また、取り外す記録ヘッドの吐出口等からインクが垂れ落ちてキャリッジ400や装着されている他の記録ヘッド10や可動部材(案内部材)などに付着するおそれもない。
【0052】
不要になった記録ヘッド10Bを取り外すために対応する押え部材20Bを上昇させた状態を前記出入口(ヘッド交換口)410aから見ると、図6のような状態になる。この状態から明らかなように、受け部材40が手前側の押え部材20Aの上部にセットされていないと、記録ヘッド10Bを交換する際に、その手前側の押え部材20Aに接続されているインクチューブ251や冷却チューブ252などが邪魔になり、交換作業が困難になる。
【0053】
これに対し、図1に示すように、前述した受け部材40を使用して記録ヘッド10Bを交換する場合は、該受け部材40の左右に斜面41、41(図1)を形成しておけば、これらの斜面によってインクチューブ251や冷却水チューブ252などを押し広げることが可能となり、それによって、押え部材20と受け部材40との間における記録ヘッド10の受け渡しをスムーズに行なうことが可能になる。ただし、前記受け部材(ヘッド受け)40は、図6の状態からでも、手前側の押え部材(ヘッド押え板)20の上部に図5に示すような状態にセットできる(取り付け可能である)ことはいうまでもない。
【0054】
また、図1、図5及び図7から明らかなように、各記録ヘッド10には吐出口82の列Sと直交する方向から該記録ヘッドを持てるように把手11が設けられており、かつ記録ヘッド10をキャリッジ400の外部へ出し入れするための出入口(ヘッド交換口)410aを前記把手11と同一方向とした(つまり、前記把手11と対向する面に記録ヘッド10を出し入れするための出入口を設けた)ので、記録ヘッド10を着脱する時の全容を作業者が容易に見渡して確認することができる。そのため、記録ヘッド10を傾けて取り付けたり、思わぬところにひっかけていることを見落としてしまうなどのトラブル発生を防止する(無くす)ことができる。
【0055】
図8には、前記出入口410aに最も近い位置に装着される記録ヘッド10Aを交換する(装着する)時の状態が示されている。この場合は、図8から明らかなように、交換しようとする記録ヘッド10Aと出入口410aとの間に他の記録ヘッドや可動部材等が存在しないので、前述の受け部材(ヘッド受け)40を使用する必要はない。この場合は、単に、対応する押え部材20A(不図示)を矢印L方向に上昇させ、不要の記録ヘッド10Aを取り外し、図8に示すように新しい記録ヘッド10Aを矢印M方向から出入口410aを通してヘッドホルダ30上に取り付ければよい。
【0056】
図9は本発明を適用したインクジェット記録装置における受け部材(ヘッド受け)40の他の実施例を示す模式的斜視図である。本実施例に係る受け部材40においては、把手部45の面にインクチューブ251や冷却水チューブ252などを押し広げる面42が形成されており、これらのチューブを左右方向ではなく手前側へ押し広げることにより記録ヘッド10との隙間を広げるように構成されている。また、図9の受け部材40では、前記押し広げる面42の左右部分に破線で示すようなリブ43、43を追加することにより、押し広げたチューブ類がずれて戻ってくることがないようにしてもよい。なお、以上の実施例では、本発明を冷却水及び冷却水チューブ252を必要とする記録ヘッド10を用いるインクジェット記録装置を例に挙げて説明したが、これらの有無に無関係に本発明を適用できることは明らかである。
【0057】
以上説明した実施例によれば、次のような作用効果が得られる。すなわち、第1には、押え部材(ヘッド押え板)20を、これに記録ヘッド10を連結したままの状態で直上に、記録ヘッド着脱に支障のない間隔(おおむね、記録ヘッド10の全高程度)が生じる高さ位置まで引き上げる構成にした上で、交換しようとする記録ヘッド10(図5中の記録ヘッド10B)と隣接する一方の記録ヘッド10Aの押え部材20Aの上部に受け部材40をセットし、この状態で、引き上げた押え部材20Bに追従して引き上げられた記録ヘッド10Bを前記受け部材40の中に移して入れ、この記録ヘッド10Bごと前記受け部材40を抜き去るように構成したので、受け部材40に受容された状態で記録ヘッド10Bを抜き去ることから、この記録ヘッド10Bからインクが垂れ落ちたとしても、他の記録ヘッドや電気ケーブルや可動部分にインクが付着することはなく、従って、記録ヘッドの着脱時におけるインク付着に起因するトラブルを無くすことができる。
【0058】
第2には、記録ヘッド10を取り付ける際にも、キャリッジ400の外側で受け部材40に新しい記録ヘッドを予め入れておき、この受け部材40を隣接する一方の記録ヘッドの押え部材20の上部にセットし、そこから新しい記録ヘッドを間近の(隣接する)押え部材20へ移し替える構成としたので、予め記録ヘッド10を入れた受け部材40を、該記録ヘッドに対応する押え部材20と隣接する位置までセットできることから、記録ヘッド10を装着する途中でその吐出口面81がインクチューブや電気ケーブルなどの他の部分を擦って損傷するといった不都合を無くすことができる。
【0059】
第3には、記録ヘッド10に吐出口列Sと直交する方向から持つことができる把手11を設けると同時に、交換しようとする記録ヘッド10Bと隣接する記録ヘッド10Aの把手11がある側から記録ヘッド10Bを交換できるように構成したので、記録ヘッド10が長尺である場合でも、着脱の際に該記録ヘッドの長手方向の全体を見ながら作業できることから、記録ヘッド10Bの傾きの有無や所定位置への取付等の作業ミスがないかどうかなどを確認しながら記録ヘッドの交換作業を行なうことができる。
【0060】
第4には、受け部材40の外面を、隣接する記録ヘッド10の押え部材20のインクチューブ251や冷却水チューブ252等を押し広げるような形状にするので、当該受け部材40を隣接する押え部材に取り付ける際に、当該受け部材の外面でチューブ類等が押し広げられることになり、出入口410a側のチューブ類が邪魔にならなくなり、記録ヘッド10を受け部材40から押え部材20へ移し替える際の障害物がなくなり、記録ヘッド10の着脱作業を容易にかつ正確に行なうことが可能になる。
【0061】
なお、以上の実施例では記録手段(記録ヘッド)10を被記録材60に対して相対移動させながら記録するシリアル記録方式を例に挙げて説明したが、本発明は、被記録材の全幅または一部をカバーする長さのラインタイプの記録ヘッドを用いて副走査のみで記録するライン記録方式など、記録方式の種類に関わらず種々のインクジェット記録装置に適用可能なものであり、同様の効果を達成し得るものである。
【0062】
また、本発明は、異なる色のインクで記録する複数の記録ヘッドを用いるカラー記録装置の他、同一色彩で異なる濃度で記録する複数の記録ヘッドを用いる階調記録装置、あるいは前記カラー記録装置と前記階調記録装置を組み合わせた記録装置など、複数の記録ヘッドを用いて記録するインクジェット記録装置であれば、種々の記録装置に同様に適用することができ、同様の効果を達成し得るものである。さらに、本発明は、記録ヘッドとインクタンクを一体化した交換可能なインクジェットカートリッジを用いる構成、記録ヘッドとインクタンクを別体にし、その間をインク供給用のチューブ等で接続する構成など、記録ヘッドとインクタンクの配置構成がどのような場合にも同様に適用することができ、同様の効果が得られるものである。
【0063】
なお、本発明は、インクジェット記録装置が、例えば、ピエゾ素子等の電気機械変換体等を用いる記録手段を使用するものである場合にも適用することができ、同様の効果が得られる。
【0064】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなごとく、本発明(請求項1)によれば、着脱自在に装着される複数の記録手段から被記録材へインクを吐出して記録を行なうインクジェット記録装置において、前記記録手段をその吐出口面を覆う状態で受容できる受け部材を設け、前記記録手段を着脱するとき、該記録手段を前記受け部材に移して該受け部材ごと出し入れする構成としたので、
記録手段を小型化することで記録装置の小型軽量化及びスループットの向上を達成することができ、記録手段を着脱するに際し、着脱する記録手段からインクが垂れ落ちたとしても、装着される記録手段や電気ケーブルや可動部材等にインクが付着することを防止でき、また、着脱する記録手段の吐出口面がチューブや電気ケーブルと擦れて損傷するおそれがないインクジェット記録装置が提供される。
【0065】
請求項2〜6の発明によれば、上記請求項1の構成に加えて、各記録手段を上方へ引上げ可能とし、着脱する記録手段以外の記録手段の上部に前記受け部材をセットし、引き上げられた記録手段を前記受け部材に移して該受け部材ごと該記録手段を取り出す構成、記録手段を装着するときは、該記録手段を受容した受け部材を該記録手段以外の記録手段の上部に一旦セットした後、該受け部材内の記録手段を装着位置へ移す構成、各記録手段をそれぞれの押え部材に着脱自在に連結し、前記受け部材を前記押え部材の上部にセット可能とする構成、前記受け部材を前記押え部材にセットする際に、該受け部材の外面でチューブ等を押し広げ可能にする構成、あるいは、各記録手段をそれぞれの押え部材に着脱自在に連結し、該押え部材を介して各記録手段を上下動させる構成としたので、
一層効率よく、記録手段を小型化することで記録装置の小型軽量化及びスループットの向上を達成することができ、記録手段を着脱するに際し、着脱する記録手段からインクが垂れ落ちたとしても、装着される記録手段や電気ケーブルや可動部材等にインクが付着することを防止でき、また、着脱する記録手段の吐出口面がチューブや電気ケーブルと擦れて損傷するおそれがないインクジェット記録装置が提供される。
【0066】
請求項7及び8の発明によれば、上記請求項1の構成に加えて、前記記録手段に吐出口列に直交する方向から把持するための把手を設ける構成、あるいは、前記把手と対向する面に各記録手段を出し入れするための出入口を設ける構成としたので、上記効果に加えて、さらに、記録手段を着脱する際に該記録手段の長手方向の全体を見ながら作業することを可能にし、それによって、記録手段の傾きの有無や所定位置への記録手段の位置決め状態を確認しながら記録手段の着脱を容易にかつ正確に行なうことができるインクジェット記録装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用したインクジェット記録装置の一実施例における複数の記録手段の装着部に受け部材をセットするとともに1つの記録手段を持ち上げたときの状態を主走査方向から見て示す立面図である。
【図2】図1中の記録手段を1個取り出して手で持った状態を示す平面図である。
【図3】図2の記録手段の斜視図である。
【図4】図1中の押え部材と記録手段と受け部材を示す模式的斜視図である。
【図5】図1中の記録手段の装着部に新しい記録手段を装着しているときの状態を主走査方向と直角を成す方向から見て示す部分立面図である。
【図6】本発明を適用したインクジェット記録装置における複数の記録手段の装着部の1つの記録手段が持ち上げられた時の状態を主走査方向から見て示す立面図である。
【図7】本発明を適用したインクジェット記録装置の一実施例の要部構成を示す一部破断斜視図である。
【図8】図1〜図7に示すインクジェット記録装置において出入口に最も近い位置の記録手段を装着する時の状態を示す一部破断斜視図である。
【図9】本発明を適用したインクジェット記録装置における受け部材の他の実施例を示す模式的斜視図である。
【図10】図1中の記録手段のインク吐出部の構造を模式的に示す部分斜視図である。
【図11】従来のインクジェット記録装置における交換可能な記録手段を示す模式的斜視図である。
【図12】従来のインクジェット記録装置における記録手段と押え部材とヘッドホルダとの関係を示す模式的立面図である。
【図13】従来のインクジェット記録装置における複数の記録手段の装着部の構成及び着脱時状態を説明するための模式的平面図である。
【符号の説明】
10   記録手段(記録ヘッド)
11   把手(記録手段)
12   ひっかけ部
20   押え部材(ヘッド押え)
21   ひっかけピン
22   把手部(押え部材)
23   ガイド溝(押え部材)
30   ヘッドホルダ
32   押え部材ガイド
40   受け部材(ヘッド受け)
40a  溝(受け部材)
41   斜面(受け部材)
42   押し広げる面
43   リブ
45   把手部(受け部材)
50   搬送ベルト
51   押圧ローラ
60   被記録材
81   吐出口面
82   吐出口
83   共通液室
85   電気熱変換体
101   インクコネクタ
102   冷却コネクタ
103   カードエッジ
104   位置決め部
201   インクコネクタ
202   冷却コネクタ
203   カードエッジコネクタ
251   インクチューブ
252   冷却水チューブ
253   電気ケーブル
301   取付用開口
302   突き当て面
400   キャリッジ
410   フタ部材
410a  出入口(ヘッド交換口)
420   走査レール
430   スライドベアリング
S    吐出口列
h    記録手段の厚み

Claims (10)

  1. 着脱自在に装着される複数の記録手段から被記録材へインクを吐出して記録を行なうインクジェット記録装置において、
    前記記録手段をその吐出口面を覆う状態で受容できる受け部材を設け、
    前記記録手段を着脱するとき、該記録手段を前記受け部材に移して該受け部材ごと出し入れすることを特徴とするインクジェット記録装置。
  2. 各記録手段を上方へ引上げ可能とし、着脱する記録手段以外の記録手段の上部に前記受け部材をセットし、引き上げられた記録手段を前記受け部材に移して該受け部材ごと該記録手段を取り出すことを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録装置。
  3. 記録手段を装着するときは、該記録手段を受容した受け部材を該記録手段以外の記録手段の上部に一旦セットした後、該受け部材内の記録手段を装着位置へ移すことを特徴とする請求項1又は2に記載のインクジェット記録装置。
  4. 各記録手段をそれぞれの押え部材に着脱自在に連結し、前記受け部材を前記押え部材の上部にセット可能とすることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のインクジェット記録装置。
  5. 前記受け部材を前記押え部材にセットする際に、該受け部材の外面でチューブ等を押し広げ可能にすることを特徴とする請求項4に記載のインクジェット記録装置。
  6. 各記録手段をそれぞれの押え部材に着脱自在に連結し、該押え部材を介して各記録手段を上下動させることを特徴とする請求項2〜5のいずれかに記載のインクジェット記録装置。
  7. 前記記録手段に吐出口列に直交する方向から把持するための把手を設けることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載のインクジェット記録装置。
  8. 前記把手と対向する面に各記録手段を出し入れするための出入口を設けることを特徴とする請求項7に記載のインクジェット記録装置。
  9. 前記記録手段がインクを吐出するために利用される熱エネルギーを発生する電気熱変換体を備えているインクジェット記録手段であることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載のインクジェット記録装置。
  10. 前記記録手段が前記電気熱変換体が発生する熱エネルギーによりインクに生じる膜沸騰を利用して吐出口よりインクを吐出させることを特徴とする請求項9に記載のインクジェット記録装置。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2010179499A (ja) * 2009-02-03 2010-08-19 Seiko Epson Corp 液体噴射ヘッドユニット及び液体噴射装置
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